ベルトルト「地獄で会おう」 (33)

1 進撃のSSです。
2 基本ベルトルトとユミルしかでません。

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ベルトルト「訓練兵の最後の1年が過ぎると僕達は戦いを始めることになるだろう」

ベルトルト「そうしたら僕はここにいる同期を裏切る形になってしまう」

ベルトルト「だけど僕には同じ志をもった仲間がいるからやっていけると思う」

・・・

ベルトルト「今日はアニ一人で食堂の片付けをやってるな」

ベルトルト「手伝いたいな。けどあまりアニとライナーが人前で仲良くするのやめようといってたしな」

ベルトルト「うーん(とりあえず食堂前まで来てしまった)」

ベルトルト「あっ(誰かいる。エレンだ。)」

ベルトルト(なに話しているんだろう)

ユミル「盗み聞きとはよくないなベルトルさん」

ベルトルト「うわっユミル!なんでここに?」

ユミル「そりゃこっちのセリフだ。静かにしろ。私はお茶を飲みに来ただけだ」

ベルトルト「ぼっ僕がここにいるのは・・・」

ユミル「しっ。静かにしろ聞こえないだろ」

ベルトルト(結局盗み聞きするのかよ。・・・僕もだけど)

ユミル「よっく聞こえないな。ちょっと覗いてみるか」

ベルトルト「やめようよ。もう・・・」

ユミル「真面目ぶってるなお前。あっなんか一緒に食器の片付けして」

ユミル「夫婦みたいだな」

ベルトルト「えっ本当?」

ユミル(喰いつくな・・・)

ベルトルト(あんな顔するんだ。怒ったり。泣きそうだったり・・・)

ベルトルト「あっ笑った・・・。随分昔からあんな顔見てないな・・・」ボソッ

ユミル(?こいつら昔から知り合いなのか?)

ユミル「でもまぁ・・・恥ずかしくなるくらい青春してるな」

ベルトルト「・・・ユミル帰ろう」

ユミル「何でだよ。ここからいいとこだろ」

ベルトルト「いいから!」

ユミル「怒るなよ。わかった帰るよ。(初めて怒ったところみたな。)」

ユミル(いや感情を出すところを初めてみたな)

ユミル(しかし・・・ベルトルさんは何で昔からの知り合いということを隠すんだ?)

ベルトルト(なんて気分だろう。まだ整理がつかない)

ユミル「・・・じゃあ」

ベルトルト「・・・あっああ。また明日」

・・・

宿舎

ベルトルト「今まで僕は何をしていたんだろう・・・」

ベルトルト「仲間の一人も笑顔にできなくて」

ベルトルト「しかし・・・エレンか。よりによって」

ベルトルト「笑えるくらいに皮肉だな」

ベルトルト「泣きたいくらいに・・・」

次の日

ユミル「よぉベルトルさん対人格闘組もうぜ」

ベルトルト「ユミルか珍しいね。いいよ組もう」

ベルトルト「しかし、酷い顔だな。寝てないんじゃないか?」

ユミル「ううん。そんなことないよ。じゃ始めようか」

ユミル「おぉ強いなベルトルさん」

ベルトルト「ユミルもね(これ普段絶対手を抜いてるな)」

ユミル「・・・なぁ昨日の食堂でのことなんだが」

ユミル「お前アニと昔から知り合いなのか?」

ベルトルト「えっそんなこと言った?いや・・・そんなことないよ」

ユミル「ふーん(アホかこいつは?肯定しているようなもんじゃないか)」

ベルトルト「うん・・・(バカか僕は。なにをいってるんだ)」

ユミル(隠す理由はなんだろうな。まぁとりあえず今は訓練を真面目にやるか)

ユミル「おらぁ!」

ベルトルト「ちょっ強すぎ。うわっ」

ベルトルト「いてて・・・」

ユミル「大丈夫か?倒れた拍子に手を地面の石で切っちまったな」

ベルトルト「結構切れてるみたいだ。医務室にいってくるよ」タッタッタ

ユミル「あっちょっと・・・いっちまったな。サボれるし私もついていくか」

ベルトルト「誰もいないな・・・ちょうどいい。治してしまって包帯を適当に巻いとくか」シュー・・・

ユミル「おーい大丈夫か来てやったぞ」

ベルトルト「えっ!ユミル(傷もう治りかけだ・・・)」シュー・・・

ユミル「おーすげーな傷治るのはえーな(なんだこれ?)」

ベルトルト「うんそうなんだ。体質かな?治るの早いんだよ(なにその反応?)」シュー・・・シュー・・・

ユミル(シューシュー言ってる・・・)

ベルトルト(シューシュー言ってる・・・)

ユミル「・・・じゃあまたな。お大事に」ニコニコ・・・

ベルトルト(なんでそこで笑顔なんだよ?)

ベルトルト(いやそうじゃないってこのまま戻られたら傷口がシューシュー言ってる奴って言いふらされる)

ベルトルト(それで変な奴だと思われるくらいならいいけど)

ベルトルト(どこかおかしいと思う奴がでてきたらヤバイ。それを連想させるだけでもだめだ。)

ベルトルト(なんとかユミルを止めないと)

ベルトルト「あぁちょっと待ってユミル」グイッ

ユミル「ぐぇ・・・」

ユミル「・・・服を引っ張るな。首が絞まった」

ベルトルト「あぁごめん」

ベルトルト「このことを他の人に言って欲しくないんだ」

ベルトルト「その・・・ほら変な奴って思われたくないからさ」

ユミル(まず私に知られたのが最悪だったな)

ユミル(このままもうちょっと探ってみようか?仲間がいるのか?どうだろうか?)

ユミル(いや仲間なのは明白か。重要なのはそいつらがこいつと一緒かどうかだな)

ユミル「・・・わかった。言わないよ」

ベルトルト「あはは・・・ありがとう(何だ今の間は?)」

ユミル「あはは・・・じゃまたな」

ベルトルト「あれから事あるごとにユミルは話かけて来るようになった」

ベルトルト「周りからは仲が良いねと言われるけど決してそんなことは無く」

ベルトルト「腹を探られている。そんな感じを受けていて居心地が少し良くない」

ベルトルト「けどユミル以外に特に話す相手もいないので受け入れている」

ベルトルト「情けない話だ」

ユミル「よぉベルトルさんいいか?」

ユミル(探ってみるために会話を重ねてみたものの)

ユミル(あまり進展がないな。無駄話も多くしているからな)

ユミル(そういえば何で無駄話をしているんだ?)

ユミル(・・・まぁいい今日は少し揺さぶりをかけてみるか)

ユミル「今日は暑いしこの高台はいいな」

ベルトルト「あぁ静かだし風も通るから落ち着くよ」

ユミル「・・・なぁ以前はライナーとか他の奴と一緒にいたように気がしたんだか」

ユミル「最近はいつも一人だな」

ベルトルト「・・・そうだね」

ユミル「なんでだ?」

ベルトルト「さぁ。関係ないだろ(一つは君が探っているため。もう一つは・・・)」

ユミル(なんだその返しは?)イラッ

ユミル「そういえばライナーは最近様子がおかしくないか?」

ユミル「他の奴は気づいていないが顔付きが瞬間的に変わることがあって」

ユミル「話してる内容にも齟齬がある。ありゃどっか病んでるな」

ユミル「お前も気づいているんだろう?だから距離を置いてる」

ベルトルト「・・・なにが言いたいんだよ」

ユミル・・・イライラッ

ユミル「お前ら友人だろ?助けてやらないのか?」

ベルトルト・・・

ユミル(何とか言えよ)カチン

ユミル「そういえば知ってるか?アニとエレンは最近食堂は毎日二人きりで話しているらしいぞ」

ベルトルト・・・

ユミル「アニは以前は大分落ち込んでいるように見えたが明るくなったな」

ユミル「エレンのおかげだな」

ベルトルト「・・・うるさい」ボソッ

ユミル「はぁ?」

ベルトルト「うるさいっていったんだよ!お前が!さっきからなに言いたいんだ?」

ユミル(やべっキレた。こっちもイライラしてキツイこと言っちまった)

ユミル「落ち着けって悪かったよ。私が言いたいのはもっと他の奴と仲良くしたほうがいいぞってことだ」

ベルトルト「はぁ!誰がお前らなんかと仲良くできるんだよ!」

ベルトルト「どうやっても無理だろ。僕は他の二人が信じられない!」

ベルトルト「だから・・・決めたんだ」

ベルトルト「僕は強くなるんだよ一人で」

ベルトルト「どんなことがあってもなにも感じない強さを」

ベルトルト「手に入れるんだ」

ユミル「(・・・こいつは)・・・なぁ。それは強さとは言わないな?」

ベルトルト「知ってるよ・・・そんなの」

ベルトルト「だけど僕は決めたんだよ。逃げたくないんだ」

ベルトルト「僕だけがつらいとか思いたくない」

ベルトルト「僕が・・・僕が選んだんだ」

ベルトルト「もう何も思いたくない・・・」ポロポロ・・・

ユミル「・・・なにを泣いているんだ?何も思いたくないんだろう?強くなるんだろう?」

ユミル(駄目だな私は何でそんなことしかいえないんだ)

ベルトルト「・・・別になにも悲しくないさ」

ベルトルト「僕は強くなろうと必死だった」

ベルトルト「僕はそんなに強くないんだよ」

ベルトルト「ずっと一人で強くなろうと努力して」

ベルトルト「強くなったと思っていた。けど・・」

ベルトルト「そんなことは無かったよ」

ベルトルト「僕は僕の一番の友人の心は救えなかった」

ベルトルト「僕は僕の・・・一番好きな人を笑顔にすることはできなかった」

ベルトルト「もう僕に残っているのは戦うことだけだ」

ベルトルト「一人で生きて一人で戦って一人で死ぬよ」

ベルトルト「それだけは譲れない。なけなしの気持ちなんだ」

ユミル(・・・子供だな。ガキだなそんなこと思って口にだすのは・・・まるで)

ユミル「昔の私みたいだ・・・」ボソッ

ベルトルト「えっ?」

ユミル「あっ」

ユミル「チッ・・・ちょっとこっち来い」

ベルトルト「???うん」

ユミル「いまだけだ・・・胸を貸してやるよ」ギュ

ベルトルト「!!!ちょっユミル」

ユミル「なぁお前が言ってきたことは私は同意できるよ私もいままで一人で生きてきたしな」

ユミル「ただお前はまだ分からないかもしれないがそのままだとその思いさえなくす日が来るよ」

ユミル「その時が本当につらい時だ。本当になにもないからな。」

ユミル「お前はまだそうじゃないだろ。あの二人を大事にしたいだろ?」

ユミル「一人とかじゃなくて一緒にいたいからあんなことをいって」

ユミル「お前は優しいやつだよ」

ベルトルト「・・・僕は世界中の誰からも嫌われていい。憎まれてもいいだから・・・」

ユミル「分かったよ。もう言うなって」

ユミル「落ち着いた?」

ベルトルト「ありがとう。もう大丈夫だ」

ユミル「悪かったな。ひどいことを言って。もう言わないよ。」

ベルトルト「僕も冷静じゃなかった。怒鳴ってごめん」

ベルトルト「痛いとこを突かれたんだ。本当のことなのに」

ユミル「痛いと思ったから言ったんだよ。ごめんな」

ベルトルト「・・・ユミルは優しいね」

ユミル「うるせー」

ベルトルト「・・・僕の思い違いならいいんだけど」

ベルトルト「さっきまでのこと自分にも言い聞かせているようだった」

ユミル「うるせーって」

解散式前夜祭の日

ベルトルト「あっユミルこんな所にいたんだ」

ベルトルト「みんな食堂にいるよ?いかないの?」

ユミル「誰があんなの出るかよ。踊るんだぜ?食い物だけもってきたよ」

ユミル「・・・お前も食うか?」

ベルトルト「あぁありがとう。隣に座るよ」

ベルトルト「ねぇユミル」

ユミル「なんだよ」

ベルトルト「前から思ってたけどもうちょっと女の子らしい話し方しないの?」

ユミル「なんだよ急に・・・私はその必要性を感じてないからしない」

ユミル「もっと女らしかったら分からなかったがそうじゃないしな」

ベルトルト「そう・・・もったいない」

ユミル「あぁ?なんか言ったか?」

ユミル「なぁベルトルさん」

ベルトルト「なに?」

ユミル「ライナーのあの眉毛は何なんだ?」

ユミル「自分で手入れしているのか?」

ベルトルト「何今更?」

ユミル「初めに会ったときに聞けばよかったんだがすっかりタイミングを逃してしまった」

ベルトルト「僕は聞いたことがあるよ」

ベルトルト「生まれつきあんなだって言ってた」

ユミル「ホントか?からかわなくてよかったよ」

ベルトルト「いやどっちにしてもからかわないでよ」

ベルトルト「・・・ねぇユミル。アニは元気かな」

ユミル「私に聞くなよ・・・さっき食堂で見なかったのか?」

ベルトルト「見てないよ。行ってないもの」

ユミル「元気だったよ。お前は見ないほうがよかったかもな」

ベルトルト「そういうことか・・・」

ユミル「いいことあるよ。」

ベルトルト「適当なこと言って・・・」

ベルトルト「・・・ねぇユミル」

ユミル「なんだよ」

ベルトルト「握手だ」

ユミル「なんの?」

ベルトルト「さよならの」

ベルトルト「それで・・・これからの・・・」

ベルトルト「もしこれから敵対するような関係になったら・・・」

ユミル「なったら?」

ベルトルト「僕の思い上がりかも知れないけど」

ベルトルト「何も思いも持たずに戦ってくれないか?」

ユミル ・・・

ベルトルト「約束してもらえるかな?」

ベルトルト(女々しいけどそう約束したい)

ユミル(偽善だな。互いを守るための)

ユミル「・・・あぁ約束だ」ギュ・・・

ユミル「だけど・・」

ユミル「ただそれだけじゃつまらないな」

ベルトルト「つまらないってそんな」

ユミル「まぁ聞けって」

ユミル「もしその後に互いに会うことがあったら・・・」

ユミル「・・・あったらまたこんな風に会って話そうか」

ユミル「意外と良かったよ私は、こうやって軽口叩けるのは」

ユミル「他の奴はいいやつらなんだけどいいやつ過ぎるからな」

ユミル「純粋すぎる。私は少し捻じ曲がったような奴のほうが良いよ」

ユミル「私や・・・お前みたいに」

ベルトルト「ありがとう。褒め言葉かな?」

ベルトルト「けど・・・そうなるといいね。」

ベルトルト「じゃ次に会うときは」

ユミル「あぁ」

ベルトルト ユミル「地獄で会おう」

終わりです。
ありがとうございました。

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