男「気分転換しよう」(20)

男「と言って外へ出たのはいいんだけどさ……………」

男「お前何やってんの?」

女「私も気分転換」

男「こんな深夜にか?」

女「それは男もじゃん」

男「そうだけどさ……。お前は一応女なんだから気を付けろって言いたいんだよ」

女「何?心配してくれてるの?」

男「一応な、一応」

女「別にそんな念押して言う必要ないじゃん……」

男「ところでお前何かあったのか?」

女「何かって?」

男「ほら、気分転換してるんだろ?ってことは何かあったとかそういうんじゃないのかって聞いてるんだよ」

女「あー。ま、考え事しててさ」

男「考え事ねぇ………」

女「なに?私にだって悩みの一つや二つあるんですからね」

男「別にそう言いたい訳じゃねぇよ。ただ最近お前冴えない顔してたからな。その理由がわかったってだけだ」

女「何を考えてたかは聞かないの?」

男「聞いてほしいか?」

女「あんまり…」

男「そうか。まぁ、無理して言わんでいいがな」

女「そういう男はなんで気分転換なんか?」

男「ん?俺はあれだ、ちょっと疲れたからだ」

女「気分転換じゃなくて寝なよ」

男「今日中に済ましたかったんだよ」

女「何をそんな急いでいるのかは知らないけどもう日またいじゃってるよ」

男「大丈夫だ。ほらよく言うだろ?25時とかって」

女「まったく……。二人そろってこんな時間に何しているんだか……」

女「ついでに聞くけど何してたの?」

男「課題だ」

女「課題?そんなのあったっけ?」

男「お前にはねえよ。俺が個人的に受けさせてもらった課題だ」

女「勉強好きだね……」

男「好きじゃねぇよ。ただ苦手は克服しねぇと駄目だろ?」

女「そういうところは真面目だよね」

男「そういうところはってどういう事だ。俺はいつだって真面目だろ」

女「はいはい、わかったから」

男「ながすな!」

男「あ、ちょっと公園入らないか?」

女「ん?ま、別に何処へ行きたいでもないし…。ベンチもあるから丁度良いか」

女「ふー…。あー、落ち着く…」

男「ほら、もっとつめろ。堂々と真ん中占領してるんじゃねぇよ」

女「はいはい」

男「お前さ、こんな時間に外出てて親なんも言わないのか?」

女「もちろん全員寝てから出たに決まってるでしょ。そういう男は?」

男「俺はちょっとコンビニ行ってくるって言った」

女「ゆるくていいねー」

男「普通だろ」

女「私はそんな事ないよ?深夜なんかに絶対外へ出してくれない」

男「それはお前が女だからだ」

女「その女だから、っての結構理不尽じゃない?」

男「女達は皆そんな風に感じるのか?」

女「いや……。でも私はそう感じる」

男「一般的に考えて娘を深夜の外へ出す親なんていねぇだろ。お前は十分親に愛されているって事だ」

女「ふーん……。そういう考え方もあるか……」

男「お前が悩んでた事ってその事か?」

女「違うよ。これは今ふと思った事」

男「そうか。しかし良い風が吹くな」

女「うん…。夜に外へ出るならやっぱり夏だよねー」

男「あぁ。冬は寒いし秋も若干寒いしな。春に関してはまず外へ出たくねぇ」

女「あ、私も。やっぱり花粉症きっついよねー」

男「まったくだ。毎年悩まされる」

女「いやー、男とこんな会話するの久しぶりだなー」

男「そうか?わりと毎日してないか?」

女「そんな事ないよ。男はモテるし」

男「モテるか俺?単純に気が合う奴に女が多いだけだろ」

女「鈍感め…」ボソ

男「なんか言ったか?」

女「なーんにも」ムスッ

男「なに怒ってるんだよ………」

女「教えない」

男「そういえば考え事で思い出したんだけどさ、俺進路で悩んでるんだよな」

女「どうして?男勉強できるんだから大学に行けばいいじゃん」

男「そうなんだけどさ……。でもうち今そんな金無いし…」

女「あー、兄さんが大学に進んだんだっけ?」

男「あぁ…。しかも一人暮らし始めやがってさ…。なんでわざわざ遠くの大学行くかね?しかも私立だぞ?学費がめっちゃかかるわりに奨学金とってねぇから負担は皆親だ」

女「男の親って言っちゃ悪いけどかなり親馬鹿だからねー…」

男「あぁ…。まぁバイトはしてるらしいけどさ……、兄貴は甘え過ぎだと思う…」

女「だから進学か就職かって?」

男「そうなんだよ」

女「国公立とかなら安く済むでしょ?それに近くに国公立あるから通い易いだろうし」

男「まぁな…。でも俺が進みたいっていう学部が近くに無いんだよ…」

女「あー…」

男「私立も含めれば見つかるんだけどさ…、それじゃさすがに負担がな…」

男「それに今俺ん家余裕がないからさ、たぶん俺が国公立行っても奨学金とることになると思う」

女「そっか…。あ、でも奨学金ってさ大学入ってからももらえるって話だよ」

男「そうだな」

女「兄さんと相談してみたら?」

男「あぁ、相談しようとは考えてる。でもさ、一方で働いて親に楽させてやりたいって気持ちもあるんだよ」

男「だから俺は今できる事っつったら勉強くらいなもんなんだよな…」

女「そっか……」

女「なんか思いの外真剣な悩みでびっくりしたよ」

男「なんだよ…。女はそんな真剣でもない悩みなのか?」

女「結構真剣な悩みだよ…」

男「へー」

女「興味無さげだな…」

男「そんな事はねぇけどさ…。どうせ教えてくれないんだろ?」

女「うーん……、男も悩みを打ち明けた事だし別に言ってもいいんだけどさ…」

男「なんだ?」

女「わかった。ただ詮索はしないでよ?」

男「おう」

女「外に出る前さ、友達とメールしてたんだよ。内容は恋話なんだけど…」

女「友達はさ、私の好きな人を知っててそれを応援してくれてるんだよ。でも私はさ、友達も私と同じ人の事を好きだからさ………」

男「気まずいか?」

女「うん…。友達はたぶん私が同じ人を好きだって事は知らないと思う。だからさ、私の前では強がって応援してくれているんだけどさ…、最近元気がなくてね…」

女「罪悪感がわいちゃってね……」

女「友達にその好きな人をとられちゃうって考えるのも嫌、でも友達が諦めて私一人が狙うってのはなんか卑怯でしょ?だからもうどうしたらいいのかこんがらがって…」

男「複雑な悩みだな………」

女「うん………」

男「お前は応援されるのもとられるのも嫌なんだよな?」

女「うん…」

男「それって結構な我儘だぞ?」

女「わかってるよ!…でもさ………」

男「気持ちはわからんでもない。ただお前ってネガティブだよな」

女「どうして?」

男「だってお前の言い方だと友達が頑張るとその男が友達にとられるって事になるぞ?最初から負けしか考えてないじゃん」

女「だってさ、友達は私より可愛いし…、性格良いし…。料理もできるし勉強もできて…。私なんか到底敵いようの無い相手だからさ…」

男「だからなんだよ」

女「え?」

男「俺はお前の友達がどんなんかは知らんけどさ、一つ言っておくがお前も十分可愛いからな」

女「え///」

男「料理とか勉強とかは…、あれだけど……。ま、決断するのはその男なんだ」

男「お前の主観で考えても仕方ないだろ?やってみなきゃわからん。でも最初っから後ろ向きだと何も解決しねぇぞ?」

女「うん……」

男「お前はもうちょっと自分に自信を持て。それとその友達にも言ってやれよ」

女「なんて?」

男「なんでもいいだろ。正々堂々とか、そういう風に言っとけ。お前も悩んでるようにその子だって悩んでいるはずなんだから」

女「そうだね……。そうしよう…!」

女「なんか相談しちゃってわるかったね…」

男「いいよ、気分転換の一環だ。話も聞けたしそろそろ帰ろうぜ」

女「うん、そうだね」

男「送ってくぞ。夜道は危険だからな」

女「ありがと」

女「今日は本当にありがとね。それじゃまた学校で」

男「おう。良い報告を待ってるぞ」

女「報告しなくちゃ駄目…?」

男「強制はしない。だが相談までしたんだからできれば最後まで聞かせてくれよ」

女「うんわかった。でもたぶんすぐわかると思うよ」

男「どうして?」

女「そ、それは後のお楽しみ!」

男「よくわからねぇが…。まぁおやすみな

女「うん、おやすみ」

 『次はあなたに気持ちを伝えるね』

終わりです

もう眠い、おやすみ

>>11
悪い書きミス
女「うん…。友達はたぶん私が同じ人を好きだって事は知らないと思う。



女「うん…。友達はたぶん私が友達も同じ人を好きだって事を知ってないと思う。

回りくどい言い方だが女は友達も同じ人を好きだって事を知っているが
友達は女が自分も実は同じ人が好きだって事を知られていないと思っている

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