ガンパレード・パンツァー (755)

ガンパレード・マーチとガールズ&パンツァーのクロス二次創作となっています
基本的に西住みほ視点での進行となります

時代設定はガンパレ側に合わせ2000年の設定に 学園艦や戦車道などの世界観設定はガルパン側に合わせてあります
ただ、所々都合のいい改変も行っていますのでご了承ください
榊涼介氏の小説版ガンパレにも多分に影響を受けております

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371960295

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1945年、人類同士での争いは謎の存在である『幻獣』の出現にて突如として終わりを告げた
各国は人類の生存をかけ幻獣と争うもその圧倒的な数により徐々に追い込まれて行き、1997年にユーラシア大陸から人類は撤退、厳重は日本に侵攻する

1998年、日本自衛軍は八代にて惨敗を喫し、本土上陸を阻止するための熊本要塞の設置、および自衛軍回復までの時間稼ぎとして学園艦にて学ぶ十四歳~十七歳までの学生を学籍を保持したままの兵士、学兵として招集

1999年、学兵達は良く戦ったが熊本は陥落、撤退戦にて大多数が死傷
幻獣は山口や青森といった各地へも侵攻を開始

そして2000年、物語は大洗女子学園艦から始まる……

大洗女子学園艦――全長7000mを超す艦であり、日本が幻獣に侵攻して以来は貴重な学兵の教育機関および市民の生存圏となっている
学園艦は大昔から人類の教育を目的とした艦として存在しており、世界各地に存在している
現在では学兵の養成機関が修了すると随時、各地へと送り出されるようになっている
そして今、コンビニエンスストアの前を歩く少女は今年大洗へと転入してきた、西住みほである

みほ「うちの方には無いなあ、サンクス……あいたっ」

よそ見をして電柱に頭をぶつけるみほ

みほ「あ……ブサかわいい」

しかし工事看板に描かれた絵に魅せられ、さほど気にする様子は無い
通り過ぎて行く女生徒たちの喧騒を聞きながら、彼女は少し晴れやかな顔で学園へと向かう

休み時間となり、生徒たちは各々友人たちと昼食へと向かい始める
みほも向かうとしたのだが……

みほ「あっ……」

シャーペンを落とし、拾おうとしたら消しゴムや定規を落とし、気を取られ机にぶつかり筆入れも落とす始末
2年進級と同時に転校したみほは未だ深い付き合いの友人は出来ていない
一転して少々暗い表情になったみほだが

「ヘイ彼女!」

振り向くと二人の少女がにこやかな顔でこちらを見ていた

二人の名は武部沙織と五十鈴華
みほの友達になりたいと話しかけてきた
みほはいつでも友達になれるようにとクラスメートの名前を覚えていた

沙織「ねえ、名前で呼んでもいい?」

華「みほさん、って」

みほ「すごい!友達みたい!」

浮かれてくるくる回りバランスを崩し、二人に支えられるみほ
かけがえの無い友達が出来た瞬間であった

教室にて三人は談笑していた
友達となってくれた沙織と華に感謝するみほ
そこに新たな人影があらわれ、みほに声をかけてきた

沙織「この学校の会長と副会長、それと広報の人……」

広報「少々話がある」

いきなり誤字りました…
>>2の「厳重」は「幻獣」です

ついでに、序盤のガルパン原作になぞる部分は地の文多めのダイジェスト形式になります

会長「必修選択科目なんだけどさぁ、戦車道取ってよね よろしく」

みほ「え、あの……この学校は、戦車道の授業は無かったはずじゃ……」

広報「今年から復活することになった」

戦車道とは女子のたしなみとされる競技である
礼節を学び、淑やかで慎ましく凛とした婦女子を育成することを目的とした武芸であった
しかし軍が劣勢となり、学兵が招集されるようになると、戦車道は『道』を学ぶ武芸から戦争で戦える手段を得るための訓練と見なされる風潮が出てきた
幻獣と戦う訓練が授業に組み込まれている現在では無理からぬことかもしれない

依然として戦車道を由緒正しき伝統として受け継ぐことを主張する人々もいれば、国のために戦車道を生かそうと気勢を挙げる履修者もいる

授業後に生徒会による全校集会が開かれ、そこで戦車道入門のビデオを見せられた
内容は授業で見せられた幻獣との凄惨極まる映像ではなく、古来より受け継がれてきた戦車道のものである
幾人かの生徒は目を輝かせ、とくに沙織は男子の目を惹く、という謳い文句に強く反応していた

生徒会広報である河嶋桃の説明が入る

桃「文科省より全国の高校・大学へ戦車道に力を入れるよう、要請があったのだ」

会長の角谷杏が続く

杏「んで、うちの学校も戦車道を復活させるからね~ 選択すると色々特典を与えちゃおうと思うんだ~ 小山」

副会長の小山柚子が特典内容を告げる
柚子「食堂の食券百枚、通常授業の3倍の単位、遅刻見逃し200日、さらに74アイスクリーム食べ放題券20回分を与えます!」

にわかに湧く体育館
学生である彼女らには確かに魅力的であろう
しかしみほはその内容を聞いても顔を曇らせることしか出来なかった

沙織「私、やる!」

恋に恋する乙女である沙織は男子にモテる、という宣伝にすっかり乗り気になってしまっている

みほ「私は……やっぱり……」

みほも勧められるも、言葉を濁してしまう――文科省の思惑に気づいているからだ

学兵の招集が始まって2年が立つが、全国一律で始まったわけではない
当初は主に激戦が予想された熊本と、一部の志願者に限られていた
しかし熊本が陥落し、未だ自衛軍の再編もままならぬ国は、今後各地に出現されるであろう幻獣に備え、戦車兵の予備役を増やしておこうというのだ
北海道や神奈川、長野等、各地に所属する学園艦では、既に徴兵が始まっている
大洗も徴兵の候補とされているという噂もあるが、これに関しては今のところ確たる発表は無い
それに、みほにはまだ戦車に乗ることを躊躇わせる理由があった

華「そうですよね、わたくし、西住さんの気持ち、よくわかります」

聞けば、華も華道の家元であると言う
しかし、彼女自身は戦車道には前向きな姿勢を示している

先ほどの集会では、戦車道の授業は戦争の訓練とは違い、あくまで武芸としての授業と説明されていた
戦場から離れた、それも洋上である大洗学園艦にて、健全な戦車道を学びたいという二人の気持ちを、みほはそうそう無碍に出来なかった

みほ「ごめんね、わたし、やっぱり……」

みほは沙織と華の二人に申し訳ないと思いながらも、戦車道はやはり選択できなかった
二人はそんなみほに合わせ、戦車道の履修を諦めた
当然みほは慌てるが、友情を取ると言ってくれた二人に深く感謝した
だがみほは生徒会から呼び出され、そこで戦車道復活の事実を聞かされる

生徒会室では一悶着あった
無理矢理戦車道の履修を押し付ける生徒会に対し、沙織と華は自分が戦車道をやりたいにも関わらずみほの意思を尊重し、反対してくれた
そんな二人に応えたい思いもあり、みほは戦車道をすることを決意
その後、杏は生徒会室を去ろうとする生徒のうち、みほのみを呼び止めた

杏「これを知ってるのは、私と河嶋と小山、そして風紀委員の一部だけなんだけど」

みほ「……徴兵のことですか?」

杏「感づいてたんだ……そう、もうじき正式に召集令がかかる。訓練期間は半年」

みほ「……」

杏「期間が終わって配属となる頃には自然休戦期が終わってるだろうから……いや、それはもう信用できないんだったっけ」

自然休戦期――幻獣は夏になると姿を消すと言われていた
だが、先の九州撤退戦にてそれは破られ、結果人類は大損害を被ることとなった

杏「騙したことになっちゃってゴメンね。でもいざという時に戦う手段がなくて、みんなを死なせるのは嫌だったんだ。それに……」

みほ「?」

杏「戦車道は本当にただの授業として受けてもらいたいんだ。召集が掛かったら戦地にはあたしたちだけで向かう。西住ちゃんには迷惑かけないよ」

みほ「そんな!そんなの……」

杏「いまのところ戦車兵はそう多くは要請されてないんだ。あとは後方支援部隊に配属になるかな。今でも戦車道連盟は伝統を守るために全国大会は欠かす気は無いみたいだからね。みんなにはそっちに力入れてほしいんだ」

徴兵が掛かるという噂は本当だったが、会長は自分たちに戦う術を学ぶためにみほを引き入れ、ほかの人たちには戦車道を楽しんで欲しいと言う
みほの胸中は、安堵を覚えながらも、どこか暗い気分を落としていた

グラウンドの倉庫前に集まった人員は全部で28名
オブザーバーとして参加する自動車部も含めると32名になる

戦車道で用いられる車輌は1945年までに製造されたものに限られる
それらの車輌はカーボン技術により乗員の安全が守られるようになっている
もっとも幻獣のレーザーや強酸を含んだ生体ミサイルは防げないが

戦車道の最初の授業は、なんと戦車を探すところから始まった
生徒会によると、10年近く前に資金難によって大洗学園は戦車道を廃止したらしく、その際残った戦車がどこかに残っているはずだという

沙織「どこにあるって言うのよ~!!」

とりあえず手当たり次第探すみほ、沙織、華の三人
その後ろからこっそりついてくる人影を認めたみほは、声をかける

みほ「よければ、一緒に探しませんか?」

少女「いいんですか!?あ、あの、普通二科、2年三組の秋山優花里といいます!」

優花里が加わり、森の中を探すうちに戦車『38(t)』を見つける一行
彼女はどうやらかなりの戦車マニアであるようだった
だが、みほは優花里が自分のことを知っていたことが少々気になった

最初から倉庫にあったⅣ号戦車を含め全部で8輌の戦車が見つかり、それぞれチーム分けも行われた
車輌の洗車を行い、残りの整備は自動車部に任せその日は解散

優花里の提案で戦車ショップに立ち寄ることになったが、店内のテレビモニターに国際強化選手であり、対幻獣戦でも期待されているみほの姉、まほが映し出されると、みほは暗い顔になった

沙織の提案で、みほの家にみんなで遊びに行き、食事を取るなど交流を深める四人
みほは友達の笑顔で幾分気分がほぐれ、改めてこの学園に来て良かったと思った

みほは大洗に来る前、戦車道で一昨年まで全国大会9連覇だった熊本の黒森峰女学園に在籍していた
みほはそこの副隊長でもあった

熊本が幻獣戦の重要拠点であることから、戦車道履修者はほぼ確実に前線で戦車兵となることが望まれ、必然的に戦車道の授業も実戦を想定した形となっていた
特に隊長の西住まほは、強力な戦車道流派・西住流の師範でもある母・しほから薫陶を受け継ぎ、「撃てば必中、守りは固く、進む姿は乱れなし」と、磐石の戦力を持って大会十連覇を成し遂げる筈、だった

昨年の決勝戦でみほは、川に滑り落ちる味方車輌を救出すべく単身川に飛び込み、自らが乗っていたフラッグ車を撃破され勝利を逃した
本来であれば、『道』を学ぶ戦車道において人命を優先したみほの行動は非難されるものではなかったかもしれない
だが、戦争の気運高まる熊本においては、大局を見誤った軽率な行動であると酷く叱責された
しかし、怒られるだけならばまだ良かった

全国大会の後、まほは徴兵され学兵として戦地へと向かった
西住流の後継者であり、2年連続で好成績を修めたまほは当然期待された
事実、緒戦において彼女は大きな戦果を上げ、沢山の仲間の励みとなった
熊本において頭角を現しつつあった5121小隊と並び、彼女は人類の希望として軍のプロパガンダとしても大きく取り上げられていた
しかし、悲劇は起きる

まほは、まるで決勝戦でのみほのように仲間を庇い、戦死したとの報せが届いた
詳細な情報はついぞ聞かされることは無く、また遺体の損傷が激しかった為、葬儀でも空の棺が使われ、みほはまほの遺体を見ることは無かった

だからみほは姉が亡くなったことに実感が持てず、しかし自分の行動がまほに影響を与え死なせてしまったのではないかと、頭の中でぐるぐると後悔の念が浮かんだ

そしてさらに堪えたのは母のことだった

西住流の師範であり、自衛軍でも戦車隊を指揮していた母・しほは、まほの死によって抜け殻のようになってしまった
犠牲も厭わず敵を蹂躙する理念を持っていた彼女だが、娘の死に直面し、深い悲しみに包まれそれに囚われたまま帰ってこなかった

もう一人の娘であるみほがどれほど声をかけようと、しほはまほを失った悲しみに打ちひしがれるだけで、みほを気にかけることは無かった
それがみほにとっては耐え難く辛かった

そしてみほは黒森峰から、戦車から逃げ出した

みほの家に友達が訪れた翌日
その日は自衛軍より特別講師が来る予定となっていた
楽しみ半分、不安半分で登校するみほだが、その途中でふらふら歩く少女を見かける

みほ「大丈夫ですか!?」

少女「つらい……だが、行かねば……ねば……」

後にみほと共に戦車に乗り込むことになる天才少女、冷泉麻子である

沙織「だまされた……」

どうやら沙織は教官がイケメン男性であると聞かされていたらしい
だがやってきたのは若い女性士官であった

90式戦車にて派手に空挺降下してきたその女性は蝶野亜美
自衛軍の一尉である

亜美「あら、西住さんじゃありません?」

亜美はみほの顔を見るなり、話しかけてきた
彼女は母に世話になったことがあるらしく、姉のことも知っていた
表向き、母は事情があり休職となっており、姉の戦死もプロパガンダのため一般には伏せられている
黒森峰やまほのいた部隊には緘口令が敷かれていた

みほは亜美の質問に、曖昧な返事しか返せなかった

蝶野教官の指導は実にざっくばらんとしたものであった
右も左もわからぬ生徒たちにとりあえず戦わせたのである
これにはみほも苦笑いであったが、久しぶりに乗る戦車に少々やる気が出ているのを感じた
それに亜美が「礼に始まり礼に終わる」と、きちんと戦車道としての礼節を重んじてくれたのも嬉しかった

訓練途中、今朝出会った麻子も加え、みほたちのⅣ号戦車はほぼ全ての車輌を撃破
麻子は遅刻免除と単位3倍に釣られたらしい

桃「え~急ではあるが、今度の日曜、聖グロリアーナ女学院との練習試合を行うことになった」

授業のあとそう発表あり、本当に急な話であると、みほは思った
聖グロリアーナ女学院といえばかなりの強豪校である
ようやく戦車を動かせられるようになった、というレベルの大洗にはきつい相手であった

杏「蝶野教官が近々軍に呼び戻されることになったんだ。どうやら幻獣の動きが活発化してるって話でさ。もしかしたら召集も早められるかもしれない。あたしたちが今どれだけやれるのか知っときたいんだ」

みほ「……!わかりました。精一杯頑張ります」

杏「うん!強敵との戦い方、教えてね~」

試合前に、各車輌にはそれぞれエンブレムとチーム名を付けることになった

日曜日、本土に帰港した大洗のメンバーは、地元で練習試合に臨んだ
聖グロリアーナ女学院の隊長は、既に実戦も経験している実力者であり、たまたま学園に帰省したところであったという

結果としては敗退であった
だがみほ達が乗り込むⅣ号戦車は複数の車輌を撃破し、敵隊長車ともギリギリまで渡り合った
バレー部が乗り込んだ八九式中戦車も、車輌が異なれば確実に敵を撃破できていた
ほか、大洗にとって成果と欠点が良く見えた試合であり、彼女たちにとって大きな収穫であった
なお、会長自ら提案した罰ゲームにより、全員町にてあんこう音頭を披露したという

亜美「ごめんなさいね、本当はあなたたちが立派な戦車乗りになるのを見届けたかったのだけど」

桃「いえ、教官には様々なことを教えていただき、大変感謝しております」

柚子「お世話に……なりましたっ」

杏「お気をつけて」

亜美「ふふっあなたたち、涙目よ?聖グロリアーナ戦は、初戦なのに見事だったわ。これからも頑張ってね!」

学園艦に滞在し、大洗の指導をしていた蝶野亜美は戦場へと戻っていった
みほたちは様々な思いを胸に、彼女を見送る

桃「お前たち、本気か?」

柚子「考え直したほうがいいよ?」

杏「……」

みほ「本気です。みんなともよく話し合って決めたんです」

沙織「会長たちと風紀委員の人たちだけ戦場に行くなんて!」

華「わたくしたち、共に学んだ仲間じゃありませんか」

優花里「私たちだけのうのうと過ごすことなど、できません!」

麻子「知らないところで死なれでもしたら寝覚めが悪い」

風紀委員の園みどり子は声を荒げる

みどり子「あんたねえ!遊びじゃないのよ!」

麻子「へたくその癖に強がるな、そど子」

みどり子「なんですって!」

みほ「け、けんかしないで~」

杏「西住ちゃん、あたしは本当にみんなには戦車道を楽しんでもらうつもりだった。みんなを戦争に連れ出すつもりは無かった」

みほ「はい。会長のこと、すごく優しい人だってわかりましたから。最初は怖かったですけど」

沙織「横暴だって思ったよね~」

華「ちょっと沙織さん……!」

桃「だったらわかるだろう!会長のお気持ちが!だったら……」

みほ「でも、そんな人だから守りたいって思いました。もしわたしの力が役立てるなら、大切な人を守ってあげたい。そう思ったんです」

優花里「西住殿……」

みほ「後悔だけは……したくないから」

杏「……ごめんね……ありがとう」

桃「会長……」

優花里「西住殿……」

みほ「?」

優花里「私は、去年の決勝戦を見ていました」

みほ「あ……」

優花里「西住殿は、正しいことをなさいました。誰がなんと言おうとです。西住殿は、誇りを持っていただきたいのです」

みほ「……うん、ありがとう、優花里さん」

まだ、胸のつっかえが取れることは無かったが、みほは仲間たちの声に勇気付けられるのであった

本当は他のみんなには内緒にしておくつもりだった
戦地にみんなを引き連れて行くなんてもっての外だと
だが、思いつめたみほの様子をみた沙織たちは、別のルートから情報を聞き出す
そしてみほの力になりたい一心で、相談に乗り出したのであった

その日、正式に大洗学園艦へ学兵招集令が掛かる
茨城は未だ戦火を逃れていることから大掛かりな徴兵は行われず、少数の選抜、および志願兵に限られることとなった
戦車道を履修していたものは全員志願となり、残りは後方での任務に従事するものとなった
半年の訓練の修了後、戦地へ赴き随伴歩兵やその他諸兵科と合流することとなる

桃「今朝、本部より連絡があった。後日、士魂号Lが学園艦に届く。各チームは操縦に慣れておくようにとのことだ」

沙織「士魂号L?なにそれつよいの?」

優花里「AMTT519(L) 士魂号L型!フランス人の技師達によって作られた、120mm砲1門を回転砲塔に装備する装輪式中戦車です!主に市街地での戦闘を想定されており、路上での最高速度は時速90kmにもなります!射撃能力や防護力でこそ90式には及びませんが、出力は90式を超える2000馬力!車輪も前後4つは可動式で不整地でも走破性は高く、熊本ではこの士魂号Lが粘り強く戦ったことで、大変優秀な戦車と評価がなされているんですよ!」

沙織「へ、へぇ~そうなんだ……」

華「少なくとも、120mmという部分だけでも攻撃力は大幅に上がると見て良さそうですね」

麻子「スピードも出るし、履帯の破損の心配もなさそうだ」

みほ「でも、乗員数が3人なんだよね。自動装填装置もついてるから、チームの再編成が必要かな」

桃「それについてはまた後ほど協議しよう。届くまではこれまで通りの訓練を行う。戦車道の全国大会も近づいているからな」

それから数日は通常の授業・訓練の日々が続いた
大会に向けてチームの士気は上々である

また士魂号Lが届いたときのための編成も協議されていた
役割が変わる人員も出てくるため、それに向けた訓練メニューも組まなければならない
生徒会室にてみほと生徒会メンバーが会議している途中で、電話がなった

桃「はい、大洗学園生徒会、河嶋です。……はい、はい。え?それはどういう…待ってください!我々は!……いえ、わかりました、受領いたします。では失礼いたします」

杏「河嶋、今のは」

暗い顔で受話器を置く河嶋を見て、杏は何かを察した様だった

桃「幻獣の攻勢が活発化の兆しにあり、それに備え予備兵力も本土に置くことになったそうです。輸送ヘリは別件にて出動出来なくなったため、我々は大洗港に上陸、陸路にて基地に赴き士魂号Lを受領、同地で訓練を受けよ、とのことです」

柚子「え?それじゃあ……」

みほ「戦車道の全国大会は……」

桃「別の地域でも同じような措置を取るそうだ……中止だろうな」

本日はここまでです
ここからはガルパン原作の展開からは離れ、ガンパレ寄りとなっていく予定です
会話文も増やす予定

また、こちらでのスレ立てが初めてであったため勝手がわからず、SSwikiが自動で付与されることを知らずに適当にURLを貼り付けた結果、関係の無い他所様の記事を貼り付けてしまいました
お詫び申し上げます


士魂号Lでスキュラ相手とか無理ゲーな予感しかしない

これは九州撤退戦後、岩国での戦闘前ってことかな? マーチなら関西あたりで、オケなら東北に転戦かな? とりあえず期待

再開前に訂正を

>>13>>14で「文科省」とありますが2000年時点ではまだ「文部省」だったため間違いです

このほか、市町村合併などの要素をまったく考慮していなかったため、今後2000年時点では存在しないはずの市町村や施設・建造物、道路等が出てきてもスルーして下さいませ
素直に2012か2013にしておけばよかったかなとちょっと後悔

大洗学園艦は大洗港に寄って大洗の戦車チームを降ろした後、物資の搬入や燃料の補給を済ませ、再び海洋へと戻って行く

学園艦はただ巨大なだけでなく、艦上で様々な農作物や水産物を生産したり、甲板上の町で経済が回っていたりと、艦単体での生活能力を持っている
また幻獣迎撃のための攻撃システムも充実しており、大型で資金のある艦には艦載機が配備されているものもある
外敵の危機にさらされること無く学兵を育成できる学園艦は今や日本にとって貴重な防衛戦力となっている

しかし燃料に関してはどうしても本土から補給する必要があり、寄港した際に幻獣の襲撃を受けたケースもある
また、どうしてもコストが掛かるため日本はこれ以上の学園艦の保持は出来ず、故郷の国が滅び去ってなお生き残った他国の学園艦が日本を頼ってきた時も受け入れることは出来なかった
そういった艦のうち一部は、今でも強固な防衛線を敷き、戦争特需で潤う米国へ一縷の望みをかけ旅立つものもあった

学園出立前、生徒会室にて士魂徽章が授与された

杏「これでみんな、正式に戦車兵だよ」

桃「それと同時に、全員十翼長階級となる。本来であれば基地での訓練後での授与となるが、我々は戦車道履修により基礎は十分と判断されたことによる」

柚子「少ないけど、お給料もでるからね!」

沙織「私、勲章もらうの初めて!これで男子にもモテるかな!」

麻子「私は貰ったことあるぞ」

優花里「おお、さすが冷泉殿!きっとその優秀な頭脳にふさわしい勲章なのですね!?」

麻子「これだ」

華「麻子さん……これは極楽トンボ章ではありませんか!」

麻子「なんだ、それは」

みほ「ええと……たくさん遅刻した人にあげる、勲章?」

麻子「なるほど。道理で授与のとき同席したそど子がイヤミな顔をしてたわけだ」

沙織「麻子、あんたね……」

「あ~あ、大会出たかったなぁ」

口々に大会への未練を語るのは1年生チーム、通称「ウサギさんチーム」のメンバーである
先の台詞はその一人、山郷あゆみのものである

それをたしなめるのは面倒見がよく、1年生のリーダー格でもある澤梓

梓「しかたがないよ。それに1年のわたしたちより、今年が最後だった生徒会の先輩たちのほうがもっと悔しいはずだよ」

それに同意しつつ、マイペースに自分の心境を語るのは宇津木優季

優季「そうだね~。でも、あ~彼氏にも逃げられるしやっぱりサイアク~」

そしてつっこみを入れるのは眼鏡とツインテールが特徴の大野あや

あや「それ、本当に彼氏だったの?」

無邪気な笑い声を上げるのはウサギさんチームの元気印、阪口桂利奈

桂利奈「あはは!まあ気を取り直していこ~よ!」

これらの会話を聞いているのかいないのか、どこか遠くを見ているような少女は丸山紗希
これからは学兵として戦地へ赴くことになるというのにも関わらず、彼女達は相変わらずのピクニック気分であった

Ⅲ号突撃砲F型戦車に搭乗するメンバーは、全員歴女で構成された、通称「カバさんチーム」である
全員が本名とは別にソウルネームを持ち、それで呼び合うチームである

エルヴィン「戦車のみの編成となると、ドイツ軍の電撃戦を髣髴とさせるな」

カエサル「それほどの速度を出す進軍ではないが。我々は訓練のための戦車を受領しに行くだけだ」

おりょう「今のあしらぁは大洗女子戦車小隊、とでも呼称すればいいがやろか?あとで隊長に進言してみるきに」

左衛門佐「それも基地に着くまでだがな。しかし敵がいないとはいえ、随伴歩兵なしでの行軍は少し怖いな」

バレー部で構成された、通称アヒルさんチームは、車内で地図を広げていた
キャプテンでありバレー部唯一の2年、磯部典子が口を開く

典子「士魂号を受け取るのは……勝田駐屯地?どのへん?」

1年で長い髪を持ち、赤い鉢巻をしている近藤妙子が応える

妙子「え~と、このあたりですよ。あ、大洗町じゃなくてひたちなか市なんですね」

金髪を後ろで縛った少女、佐々木あけびが疑問を口にする

あけび「ここなら大洗港より那珂港からの方が近かっんじゃ?」

釣り目で勝気な少女、河西忍が操縦しながら応える

忍「詳しくは聞いてないけど、航路上の問題とか補給の問題とか港施設の問題とか色々だってさ」

無駄に高性能でのろまな人型戦車より、偵察車両をフルチューンしてバルカン無双した方が楽勝出来る

自動車部で構成された、通称レオポンさんチームの戦車長、ナカジマはみほと通信を行っていた

ナカジマ「で、私たちは部隊編入後は整備員に専念でいいんだね?」

みほ「はい。みなさんにはこれまでも車輌整備で大変お世話になっていますし、その上戦闘まで行ってもらうわけには……」

するとチームメンバーのスズキ、ホシノ、ツチヤが通信に割り込んでくる

ツチヤ「いやぁでも士魂号もちょっと操縦したいとは思ってたんだけどねぇ。あれ装輪式だしドリフトできるんじゃないの?」

スズキ「きっと後々嫌ってほど整備できるから試運転で我慢しなよ」

ホシノ「最高速90kmは魅力だね!大洗一速い女としては気になるところ!」

みほ「あはは……」

ネットゲーム仲間で構成された通称「アリクイさんチーム」は、お互いをハンドルネームで呼び合う妙なチームである
全チーム中特に練度が低かったものの、努力により何とか付いてきていた

車長で眼鏡をかけたねこにゃーは気弱につぶやく

ねこにゃー「ゲームではあんなに活躍できたのに……」

操縦主のももがーも困り顔

ももがー「クラッチがこんなに入りにくいなんて知らなかったよぅ」

砲手のぴよたんがフォローする

ぴよたん「士魂号Lになったら、もう少し楽になると思いますから……」

大洗港より勝田駐屯地への道のりはゆっくりの移動でも1時間ほど
各々は暇を紛らわせるためにおしゃべりに興じる
みほはキューポラより身を乗り出し、風景を眺めていた

沙織「みぽりん、どうかした?」

みほ「ううん、学園艦、見えなくなっちゃったなって」

華「次にいつ学園艦に戻れるか、わかりませんものね」

優花里「五十鈴殿、この機会にもう一度母上とお話になっては……練習試合の後の一件、まだ解決していないでしょう?」

華「いいえ、母には今後の働きを持って理解してもらうつもりですので……」

麻子「ん?何かあったのか?」

聖グロリアーナ戦の後、華道の家元の娘である華は母と再会し、勘当を言い渡されていた
そのことを麻子に説明すると

麻子「そうか……あまり他人の事情に口出しはすべきではないと思うが、後悔はしないようにすることだ」

そう言ったきり、麻子は会話を打ち切り操縦に専念した

華がその様子を怪訝に思っていると、沙織が耳打ちをしてきた

沙織「麻子はね、ちっちゃい頃ご両親を幻獣に襲われて亡くしてるの。そのとき麻子はお母さんと喧嘩してて、謝れなかったことをずっと後悔してるんだ」

華「!」

沙織「でも、とっても元気なおばぁが麻子を大切に育ててくれたみたいでね?麻子はおばぁを守りたくて学兵になる決意したんじゃないかな?」

華「そう……だったんですか……」

華は納得するとその心遣いに感謝し、麻子に向けて深々と頭を下げた

国道245線に乗り那珂川を越え、左折し県道38号線に乗る
あとはごく普通の住宅街を道なりに進めば駐屯地へ到着する
用水路を越えたあたりで、何の気無しにみほは辺りを見回した

みほ(すこし道が広くなったな……ん?あれは、ゴブリン!?)

優花里「西住殿?」

みほ(いやまさか、でも何か胸騒ぎが……ゴブリンは、単体でも活動することは……)

そのとき、サイレンが鳴り響いた
避難警報である

沙織「な、何!?」

みほ「沙織さん!司令部に連絡を取ってもらえますか?」

沙織「え?司令部?」

みほ「はい!いま、ゴブリンのような影が見えました。杞憂であれば良いです。でも確認だけはしておきたいので」

沙織「わ、わかった!」

沙織「すみません、こちら大洗女子の戦車隊で……え、あ、あのちょっ」

みほ「切られちゃった……なんかすごく慌しかったよ?」

みほ「……勝田駐屯地に連絡を取ります。代わってもらえますか?」

みほは沙織と席を入れ替わり、無線で連絡を入れる

みほ「こちら大洗女子学園、戦車小隊です。応答してください」

駐屯員「こちら勝田駐屯地。君たち、無事だったか!周波数がわからず心配していたんだ!」

みほ「やはり、何かあったんですか?わたしたちはまだ……」

駐屯員「警報は聞いているだろう?幻獣が那珂港に上陸した!規模は少数のようだが、まだ詳細は分かっていない!」

みほ「幻獣が……わたしたちはこれからどうすれば良いですか?」

駐屯員「残念だが、この騒ぎで士魂号Lの到着は未定となった。上陸した幻獣の対処は自衛軍が行うので、君たちには大洗の住民の避難誘導をお願いしたい」

みほ「避難誘導……ですか?」

駐屯員「そうだ。自衛軍は太平洋側からの幻獣の侵攻を予想していなかったため、配備されている戦力も少なく、学兵もわずかしかいない。おまけに実戦経験のある部隊もほぼ無いと言っていい。いまは猫の手も借りたい状況なんだ!大洗学園艦は収容準備が出来ているらしい!そちらに住民を誘導してくれ!」

みほ「わかりました。出来る限りやってみます。それと、さきほど那珂川付近でゴブリンらしき影を見かけました」

駐屯員「む……現在は那珂港付近にしか幻獣は確認されていないが、万が一ということもあるな。情報では増援部隊が北上して来てくれている。すまんが、市民の安全のためだ。最善を尽くして欲しい」

みほ「みなさん、聞いてください。常陸那珂港区に幻獣が出現しました」

桃「な……!」

優季「げ、幻獣!?」

エルヴィン「せ、戦闘準備か!?」

みほ「落ち着いてください。まず、我々は戦闘は行いません。大洗住民の避難誘導を行います。そもそも、私たちは戦車道の練習はしていましたが、対幻獣戦の訓練は行っていない上、戦車も旧式ばかりで戦闘は出来ません」

みどり子「ちょっと!士魂号はどうなるのよ!」

みほ「士魂号受領はできなくなりました。司令部もこちらまで手は回らないようです。」

ねこにゃー「え?そんなに危険な状況なのでしょうか?」

みほ「確認されている限り、規模は小さいようです。ただ自衛軍側も戦闘経験が無い部隊が多いので私たちにも手伝うように、と」

杏「西住ちゃん、確認するけど、あたしたちは戦わないんだね?」

みほ「はい。もし幻獣を見つけても、こちらからの発砲はしないでください。増援部隊が北上しているそうなので、戦闘はそちらに任せます。私たちはここから南下し、大洗の住民に拡声器で学園艦へ向かうよう誘導します」

町は混乱を極めていた
テレビで連日戦地の報道はされていたが、住人にとってそれはどこか別の世界のように思えていたことだった
しかし、現実にそれが押し寄せると恐怖でいっぱいになり、怒号と悲鳴が飛び交い道路は渋滞、各所で事故も起きていた
みほは熊本出身ではあったが、学生時代を学園艦で過ごしていたため幻獣の出現に対面するのは初めてであった

桃「隊長!もと来た道を引き返せば良いのか?」

みほ「いえ、水戸市は別の部隊が担当してくれるので、海門町を抜け県道108号線に乗り大洗町に入りましょう。まずはそこから町中心部を目指します」

カエサル「心得た」

桂利奈「えっと、えっと、ついて行けばいいんだよね?」

あや「頑張って!桂利奈ちゃんやれば出来る子だよ!」

桂利奈「よっしゃぁー!」

みほ「東光台前までは全車ひとかたまりで行きましょう、そこからは港方面に向かうチームと駅前に向かうチームに分かれます。問題がなければ、その後科学館前で合流にしましょう」

沙織「みなさん!幻獣が出現しました!速やかに大洗港まで避難してください!」

妙子「港に学園艦が停泊しています!」

優季「とにかく急いで~」

町のスピーカーからは命令調の避難警報が響いていた
住人たちは混乱気味ではあるものの、那珂川以北に比べれば比較的速やかに避難している様に見えた

華「カメさんチームの方は大丈夫でしょうか……」

優花里「会長殿はああ見えてやるときはやるお方です!レオポンさんチームやカバさんチームも士気が高い方々ばかりですし大丈夫ですよ!」

麻子「そど子たち風紀委員もいるしな。普段は小うるさいが、こういうときだけは役に立ってくれるだろう」

みほ(さっきのゴブリン、たまたま一匹だったのかな?問題なく終わればいいけど……)

小学生「戦車のおねーちゃんたち頑張ってー!」

桂利奈「よっしゃー頑張るぜー!」

ねこにゃー「みなさんも気をつけて避難してください~!」

避難誘導を開始してからしばらく、杏から通信があった

杏「こちらカメさんチーム、西住ちゃんそっちはどう?」

みほ「はい、ほとんどの方は港のほうへ移動しました。地元の学校の教師の方々や交番の警察官たちも協力してくれています」

杏「駅前は今は閑散としてるよ。そろそろ合流しようか」

大洗女子の全チームは、大洗わくわく科学館横の駐車場に戦車を乗り入れ、一旦小休止を取る
みほと生徒会、風紀委員はその後の行動について協議していた

桃「今のところ自衛軍は幻獣の侵攻を上手く食い止めているようだな」

みどり子「まだ避難完了していない人もたくさんいるわ。さらに南方面にも足を伸ばす?」

みほ「各車の燃料を確認してください。可能なら夏海インターチェンジで国道51号、いえ県道16号に乗り、各所の保育園や小中学校の避難を確認しましょう」

沙織「こっち側には人影がほとんど無いね」

みほ「建物に篭ってやり過ごそうとしている人もいるかもしれない。授業で言ってたけど、小型幻獣は建物にも侵入してくるから、出来るなら学園艦まで避難させたいの。沙織さん、絶えず拡声器で避難を促してください」

沙織「オッケー!避難中に私の声を聞いて惚れる男の人が沢山いるかもだし!」

華「沙織さんったら……」

優花里「まあ、こういうときはモチベーションを切らさないのも重要ですから」

麻子「夏海I・Cだ。16号に乗るぞ」

みほ「はい。お願いします」

エルヴィン「ここの中学校の生徒は既に避難完了しているようだ」

みほ「了解しました。このまま南下し小学校の避難を確認したら、私たちも学園艦に戻りましょう」

数分後、各チームは町立夏海小学校に到着
グラウンドに車輌を乗り入れ拡声器による確認を行う

沙織「まだ避難してない人はいませんかー!?まだ残ってる人がいたら速やかに避難してくださーい!」

沙織「っていうか、幻獣は北から責めてきてるんだから、いっそ篭って戦闘終わるの待つのもアリなんじゃないの?」

みほ「うーん……」

優花里「あ!みなさん見てください!何人か出てきましたよ!」

華「向こうからも出てきました。沢山います!」

麻子「これは教師の判断で上階に立てこもったようだな」

優花里「我々が保護しながら港に向かったほうがよさそうですね」

すると、レオポンさんチームから通信が入った

ナカジマ「た、隊長!お寺の向こうに、きょ、巨人が!」

みほ「巨人!?」

みほは砲塔の上に身を乗り出し、双眼鏡で確認する

みほ「ミノタウロス……」

ミノタウロス――人類が人型戦車を開発すると同時に、それに対抗するように出現した中型幻獣
装甲が厚く、腹から発射される生体ミサイルは強酸を撒き散らし、接近戦では強烈なパンチで戦車を潰してしまうため、戦車兵にとっては恐怖の対象であった

みほ「沙織さん!那珂港の様子を確認できますか!?」

沙織「!いま確認してみる!」

沙織が本部に通信してほどなく、返答があった

沙織「まだ全部じゃないけど、ほとんど倒したって……」

みほ「本部に成田町にも幻獣出現と伝えて!規模は不明だけど、ミノタウロスの数から、相当数の小型幻獣が現れたかもしれないって!」

沙織「わ、わかった!」

麻子「それで、私たちはどうする」

みほ「住民たちを護衛しつつ後退します。大洗港まで約2.5km……幻獣に気づかれないようにしないと」

麻子「派手な操縦は出来んな」

みほ「あんこうチームより各車へ!まだ幻獣はこちらに気づいていません!発砲はせず静かに移動します!カモさんチームは先導してください!」

みどり子「任されたわ!ゴモヨ!パゾ美!しっかりやるわよ!」

みほ「アヒルさんチームとウサギさんチームはその後ろに!小学生たちがパニックにならないよう、安心させてあげてください!」

典子「了解!根性みせるよ!」

梓「わかりました!交代で子供たちを乗せてあげようかな?」

みほ「残りは集団の後ろに!しんがりはあんこうチームが勤めます!幻獣の動きを注視してください!」

華「なんというか……神経が磨り減る思いです」

優花里「敵を目の前にしながらの撤退ですからね……」

沙織「おまけに小学生の歩くスピードに合わせてるんだもん!怖いよぉ!」

麻子「落ち着け、気づかれるぞ」

みほ(ミノタウロスの他にゴルゴーン、キメラ、ナーガ、レッサーデーモンもいる!気づかれたら逃げ切れない!)

みほ「自衛軍は那珂川の敵をほぼ掃討完了。一部の部隊を大洗港に向かわせてくれるとのことです。みなさん、それまで頑張りましょう」

おりょう「やれやれ、手が震えるぜよ」

左衛門佐「初陣でこんな薄氷を踏む思いをするとはな」

カエサル「なんだかウサギさんチームは楽しそうにしてるぞ」

エルヴィン「小学生と精神年齢が近いのかもしれんな」

桃「貴様ら!もっと緊張感を持て!」

柚子「まあまあ桃ちゃん、落ち着いて」

杏「ほら、干しいも食べなよ」

一行は夏海インターチェンジを越え、大洗港が目視できる距離まで来ていた

みほ(あと少し……あと少し……)

ホシノ「ねえ、なんか幻獣がこっち向いてるような気がしない?」

スズキ「不吉なこと言わないでよ」

みほ「! ゴブリン!」

沙織「え?」

みほ「華さん!2時の方向!おそらく偵察ゴブリン!機銃で倒してください!」

華「了解!」

Ⅳ号戦車の7.92mm MG34機銃が火を噴き、ゴブリンはあっけなく粉砕される しかし……

桃「まずいぞ!幻獣がこっちに向かってくる!」

みほ(迷ってる時間はない!)

みほ「カモさんチーム、アヒルさんチーム、ウサギさんチームは子供たちを先導してそのまま大洗港に向かってください!カバさんチーム、レオポンさんチーム、アリクイさんチームは少し距離を置いて敵を照準してください!」

みほ「敵を引き付けるのは私たちと……カメさんチーム、お願いできますか?」

杏「小山!やれるな?」

柚子「やるしかないなら!」

桃「ほ、ほんとにやるのか!?」

みほ「目的は敵の撃破ではありません。足を止めず、ひたすら動いてください!遮蔽物も上手く使って、幻獣は単純な動きしか出来ません!」

柚子「やってみるよ!」

桃「ゆ、柚子ちゃん、がんばってぇ!」

みほ「麻子さん、すみませんがよろしくお願いします」

麻子「やれやれ、命がけの鬼ごっこだな」

沙織「あ、その台詞ちょっとカッコいい!」

麻子「……」

みほ「次の路地を左折します。こちらに引き付けるために、敵の先陣に撃ち込んでください」

華「わかりました!」

優花里「装填準備完了!いつでもどうぞ!」

みほ「……撃て!」

75mm砲が火を噴き、先頭のゴブリンの一団が吹き飛ぶ
同時に幻獣はⅣ号戦車目掛けて進みだした
おびただしい数のゴブリンが波のように押し寄せる

沙織「うわわ、いっぱい来るよぉ!」

みほ「機銃も使います!」

みほがキューポラに取り付けられた機銃架に手をかけ斉射を開始した

沙織「みぽりん!外に出たら危ないよ!」

みほ「大丈夫!この距離ならまだゴブリンのトマホークは届かないし、レーザーも射角が……次、左折してください!」

麻子「了解」

杏「さーて見せ場だね!小山!適当に逃げ回れ!あたしが撃って撃って挑発するから!」

柚子「うう、適当って……」

杏「適切に当てはまる行動を取れってこと!河嶋!装填頼むぞ!」

桃「はっ!」

杏「いけぇぇ!」

カメさんチームの38(t)は学園艦出立前にヘッツァーへと改造されていた
75mm対戦車砲はレーザーを放つ幻獣・キメラの頭部に命中、粉砕した

杏「おー当たった!中型撃破~」

桃「それだけ私たちが注目されるってことですけどね!」

杏「ってあれ?」

柚子「頭潰れたのにまだ生きてる~?」

桃「あれはレーザー発信口のひとつだったんだ!真ん中の頭潰さないと!」

みほ「数が多すぎる……!すみません、レオポンさんチーム!そちらに何体か向かいました!」

ナカジマ「くっ……ウサギさんチーム!私たちが食い止めるから、子供たちを急がせて!」

優季「りょ、了解!梓ちゃん!」

戦車長の梓は、砲塔から身を乗り出し子供たちに叫んだ

梓「さあみんな!あとちょっとでゴールだ!競争しよう!」

そしてそのまま地面に降り立つと、子供たちと一緒に駆けていった

エルヴィン「敵がレオポンさんチームに向かっている!」

カエサル「援護だ!」

左衛門佐「当たれっ」

ねこにゃー「私たちも!」

ぴよたん「発射します!」

各車から発射された砲撃は、足が速く突出してきたゴブリン、ゴブリンリーダーを吹き飛ばす
しかし、それでも間隙を縫うように幻獣は浸透してきた

ホシノ「くっ……ここから先は行かせないよ!」

浸透してきたゴブリンに砲撃を浴びせ続けるレオポンチーム
ただでさえ硬いポルシェティーガーの装甲に、カーボン加工。ゴブリンの攻撃で装甲が破壊されることは無い
しかし、殺戮の権化である幻獣に囲まれることは、搭乗員の精神を酷く削った
さらに間の悪いことに、エンジンが不調を訴え始めた

ツチヤ「やばっ!止まっちゃうよ!」

エルヴィン「レオポンが限界だ!」

左衛門佐「救出に向かうぞ!」

おりょう「うおおおお!」

ポルシェティーガーに張り付いたゴブリンを吹き飛ばしながら、左右にⅢ号戦車と三式中戦車が並ぶ

おりょう「飛び移るぜよ!」

乗員が飛び出し、2名ずつ横の戦車に乗り移ると、2輌は猛然と走り出した

みほ「11時方向、カバさんチームを追ってるゴブリンを狙ってください!」

華の機銃掃射により突出してきたゴブリンは消滅、これで先行するチームと幻獣の差は広がり、あとはあんこうチームとカメさんチームが離脱するのみとなった

みほ「カメさんチーム、あとはこちらが引き受けます!後退して下さい!」

杏「悪いね!そうさせてもらうよ。小山!」

柚子「うん……え?ちょっとあれ!」

杏「どうした……っ!あんこうチーム!逃げ遅れた人たちがいる!」

みほ「逃げ遅れ!?」

杏「おそらくさっき通った保育園の園児と先生だ。先生が足を怪我してるみたい!」

みほ(怪我……ヘッツァーでは収容は出来ない!)

みほ「会長!」

杏「見捨てることはできない!西住ちゃん達はこの人たちを乗せて!あたしたちが囮になる!」

みほ「待ってください……!くっ」

杏たちが示したポイントに到達すると、先生1人と園児5人がいた
怪我した先生と園児を車内に入れるとかなり手狭となったが、みほは車外に出て指揮を執り続けた

囮になったヘッツァーにはゴブリンの大群だけでなく、中型幻獣も肉薄し始めていた

杏「うおー怖ぇ~!レーザーが飛び交ってるよ!」

桃「大砲、のこり3発です!」

杏「いけっ」

砲弾はミノタウロスに命中した。しかし

杏「ミノ助の装甲は抜けないかぁ!」

柚子「前方、ゴブリンの集団!」

杏「構わない!履帯で踏み潰せ!」

ヘッツァーは強引にゴブリンの集団を蹴散らしていく
徐々に包囲されていくカメさんチームに、みほは背筋が寒くなるのを感じていた

みほ「麻子さん!5時の方向!あの角まで進んでください!華さん!カメさんチームの退路を開きます!」

何度もヘッツァーの前に立ち塞がる幻獣に対し、優花里も腕を酷使して神業とも言える装填速度で連続して砲撃し続けたが、それでもすぐに穴がふさがってしまう
その上、75mm砲では抜けない相手も多くなってきた

華「当たっているのに、倒れない!」

麻子「まずいぞ。このままだとこちらも囲まれる」

そしてヘッツァーが何度目か、ゴブリンを踏み潰して進もうとしたとき

柚子「会長!履帯が!」

杏「ゴブのトマホークを巻き込んだか!」

さらにミノタウロス、ゴルゴーンの生体ミサイルが周囲に着弾、撒き散らされた強酸により反対側の履帯も破損してしまった

桃「柚子ちゃん……もう駄目だよ……」

杏「……西住ちゃん!構わないから行ってくれ!」

みほ「!」

杏「小山、河嶋、ごめんね、あたしのわがままに突き合わせちゃって」

柚子「ううん」

桃「……ハァ、いつものことじゃないですか」

みほ「駄目です!諦めちゃ駄目です!あと少しなんですから!」

杏「西住ちゃん、ありがとうね。あたしたちを戦えるようにしてくれて」

みほ「まだ!私たちが救援に……」

杏「もう乗員オーバーだろ?子供たちを無事に避難させてやってよ。それから……ごめんね」

みほ「会長―――!」

杏「さあ、まだまだこっちは機能してる!河嶋、装填だ!あいつらにぶち込んでやろうよ!」

桃「了解っ!」

直後、みほの目の前で激しい爆発が繰り返され、耳をつんざく破裂音が連続して響いた

守れなかったのか―――?
失った悲しみを繰り返すまいと、今度こそは守ると、そう誓ったのに
それとも、これはかつて戦いから逃げ出した罰なのだろうか―――

目を開けると、薄煙の中に黒く巨大なシルエットが浮かび上がる
ミノタウロスか―――みほは敵の眼前であるにも関わらず砲塔の上にふらふらと立ち尽くした
仲間や、託された子供たちを逃がさないと。でも会長たちはどうなった?そもそも逃げられるのか?
そういったまとまらない思考は、しかし戦場に響き渡った凛とした声で吹き飛んだ

「ふむ、そんな旧式の車輌でよくやるものだ……だが、賞賛に値する」

え―――?

「そなたが隊長か?感謝を。そなたらの活躍で多くの命が救われた。名を聞きたい」

みほ「西住、みほです……」

「西住?ふむ、そなたが、なるほどな」

みほ「あの、あなたは……?」

「私か?私は舞」

「芝村をやっておる」

本日は以上となります

いくつかレス返事を
>>54
世の中には初期ステータスの石津(素手)でミノ助スキュりん相手に無双するリアル絢爛舞踏なプレイヤーもおってだな…

>>55
本作では、5121は撤退戦のあと小笠原諸島→青森→中国山地と、忙しく転戦しておりました
これらは1999年内に起きています(ガンオケでは2000年)
そして2000年になって本作がスタートと言う形です
本作では幻獣は九州からじわりじわり侵攻ではなく、九州陥落以降は全国各地に出没し始めている設定です
5121小隊が各地である意味活躍「し過ぎた」ために、国は九州がやられているにも関わらず楽観視してしまっている、という(単純に兵力不足もありますが)

>>64
ぐうの音も出ないほど正論


撤退戦のあとに活躍しまくったパターンとは面白い

そういえばみんな戦車兵用のウォードレス着てるんだろうか。ウォードレスって指揮官用とかあったよね

休憩中にスマホから

>>121
5121もヒヨッコから始まりやがて覚醒しますが、その時には既に大勢は決していた、という設定です
撤退戦後にも戦い続けた結果、善行さんも手放しで喜ぶくらい極まってます
しかしそれでも幻獣の駆逐は出来ていない、という設定

>>122
今後ウォードレスは出す予定ですが、現時点ではパンツァージャケットです
本編で書く予定がないのでここで書きますが、原作ではウォードレスを着る際、肌に直接ゴムを吹き付けたり人工筋肉を取り付けたりとやたら手順が煩雑ですがそういった部分はオミット
簡単に着脱出来て筋力補正が得られるお手軽強化スーツとなる予定です

正規装備で何十分も時間掛かるんだよな、ウォードレス
まあ戦車乗り前提ならそこまで強い必要ないしね
ミノに潰されたらどうせ……

小説版だと戦車乗りの学兵が執拗な描写で惨殺されたりしてたな、確か
ゴブリンでも一般人にはとてつもない脅威ってことが如実にわかった

ガンパレ懐かしい
複座も好きやけど士翼号で飛び回るのも好きやったなあ
ガンオケ白は戦車の方が強かったよね

速水のあっちゃん好きだったなー

設定ばかり先行して書くスピードが追いついてないのががが
楽しみにしてくださってる方には申し訳ないです

再開いたします

5121小隊―――かつて自衛軍二尉だった善行忠孝(現・一佐)が、芝村一族のバックアップを受けて立ち上げた部隊
正式名称、第一大隊第二中隊旗下第一小隊
初めて実戦に投入された人型戦車部隊
熊本で数々の戦果を上げ、その後各地へ転戦
軍のプロパガンダにも利用され、特に士魂号三番機のパイロットでトップエースの芝村舞は、テレビで姿を見たという人も多い
しかし、その実態を知るものは少ない

みほ(5121小隊の人型戦車……!話には聞いていたけど、実物を見るのは初めてだ……)

みほ自身、母や姉のこともあって軍のプロパガンダというものはかなり拡大解釈されたものだという先入観をもっていた
5121も実在することは知っていれども、大方お飾りのようなものではないかと半ば疑っていた。しかし……

みほ(今の爆発はあの人型戦車が?凄い……!ヘッツァーの周りの幻獣だけきれいに倒した!)

今のみほには知る由も無かったが、それは士魂号複座型の有線誘導式ジャベリンミサイルによる攻撃である
これは芝村舞の天才的技術によって可能となった高精度精密攻撃であった

人型戦車の拡声器から声が響く

舞「そこのヘッツァーは擱座したが、搭乗員は無事であろう?我々の隊から随伴歩兵(スカウト)を寄越すゆえ、撤収するが良い。あとは我らが引き受けよう」

全長8mの巨人はみほに背を向け、今なお進撃を止めぬ幻獣の群れに突っ込んでいく
そこで初めて、みほは傍らで優花里と沙織が何事か叫んでいるのに気づいた

沙織「みぽりん!大丈夫!?しっかりして!」

優花里「西住殿!随伴歩兵が来ます!我々は撤退しましょう!」

港まで戻ってきた
随伴歩兵に伴われ徒歩で移動していたカメさんチームは思いのほか元気そうで、みほはひとまずホッと胸を撫で下ろした

桂利奈「せんぱーーーーーい!」

あけび「隊長~~!」

一年生の面々が、戦車から降りたみほに次々と抱きついてくる

エルヴィン「隊長、よくやったぞ!我々は任務を全うした!」

カエサル「隊長がいてくれてよかった!」

みほは周りを見渡す
喜びの顔を浮かべる仲間に、脇を固める随伴歩兵
1年生と一緒にはしゃいでいる小学生たちの姿
やや離れたところには自衛軍のものと思われる戦車が列を成している

みほ「終わった……助かったの?」

みほはその場にへたり込んでしまった

桃は茫然自失ともいえるような表情だった
だが自分の足で歩くことはできるようだ

杏は地面に腰を下ろしている
みほの元には柚子がやってきた

柚子「西住ちゃん、私たち、生き残れたよ。諦めかけたけど、西住ちゃんの声、聞こえたよ」

そう言うと一旦俯き、顔を上げたときには瞳いっぱいに涙を溜めていた

柚子「ありがとう……!」

みどり子「遅いわよ!心配したじゃないの!」

麻子「おお~そど子、わざわざ心配してくれるとは。遅刻には慣れっこで……」

みどり子「馬鹿!……二度と、遅刻しないでよ……!」

麻子「泣いているのか?すまなかったよ、もう泣かせない。……遅刻はするがな」

この日、大洗女子戦車小隊は大洗の地を駆け回り、住民の避難誘導に躍起になった
予想外の幻獣の侵攻を受けたものの、死者を一人も出すことなく子供たちを守りながら撤退した彼女たちを、町の住人たちは大いに賞賛した
しかしみほは、その活躍を喜ぶよりも、疲労感と、自分にも分からない敗北感でいっぱいだった

桃「大洗とひたちなか市の住民は数人の負傷者が出たものの死者はなかった。しかし千葉の北側では犠牲者が出てしまったらしい」

典子「犠牲者が……」

華「あれだけの規模でしたからね……」

麻子「増援というのは5121のことだったんだな」

優花里「すごかったですね、人型戦車!わたしこの目で見たのは初めてです!」

桃「5121小隊は東京に駐屯していたらしい。関東方面軍司令部が救援要請を受け、ヘリによる輸送によって駆けつけてくれた」

桃「現在は茨城の自衛軍と5121小隊が共同して幻獣の掃討に当たっている」

梓「全部倒せそうなんですか?」

桃「詳しい情報はまだだが、どうも簡単には行かないようだ」

柚子「なんかね?どんどん敵が湧いてきて、なんとか狭い範囲に押し込めて防衛線を敷くので精一杯なんだって」

桃「東京からの機甲師団は千葉経由で戦地に向かい、茨城の軍と挟撃作戦に入る予定だそうだ」

あや「しつも~ん!私たちはこれからどうすればいいんですかぁ?」

桃「我々はまだ士魂号Lも受領していないし、旧式車輌もいくつか失ってしまったしな……指令待ちだ」

舞「そのことで少し相談だが」

やおら扉をあけ無遠慮に入ってきたのは、先ほどの戦闘で大洗女子を救った少女だった

優花里「し、芝村上級万翼長殿!」

みほ「!」

優花里は思わず最敬礼してしまった
舞の顔はテレビで見知った人間も多いため、室内に緊張感が漂った

舞「よい。楽にしてくれ。芝村に挨拶は無い」

少年「あはは。そんな態度だと、みんなますます緊張しちゃうんじゃないかな?」

そんな室内において、およそ緊張感とは無縁な間延びした声がした
舞の後ろから青い髪をした、端正な顔立ちの少年が入ってくる
この場においては唯一の男性だ

少年「あ、僕は速水厚志。士魂号複座型の操縦手です」

のらりくらりと言う速水厚志。だが場の緊張感は多少和らいだようだ
何人かは美少年と言って差し支えない厚志の顔を見て興味津々といった表情の者もいる

舞「たわけ。お前はいつも緊張感が無さ過ぎだ」

杏「やぁ!君が芝村舞ちゃん!私たちの命の恩人だね!わたしは大洗女子学園会長の角谷杏。よろしく」

桃「ちょっ会長!」

舞「ふむ。そなたらがあのヘッツァーに乗っていた者たちか。あのときの行動は蛮勇とも言うべき所業ではあったが、子供たちを守らんとする信念には感服するな」

柚子「えっと……?」

厚志「舞、もっと普通に褒めたらどう?それにこれ、挨拶みたいなものじゃ……ぐっ」

舞「ゴホンっ。あー、そなたらの処遇についてだが」

そこで舞はチラリとみほの方を見る

みほ「?」

舞「今、5121小隊は私が臨時司令となっている。じきに元の司令が帰還する予定だが、その際部隊の規模を大きくしたいそうなのだ」

厚志「そこで、まず宙ぶらりん状態の皆さんを僕らの隊に飲み込んでしまおう、というのが我らが司令代理の考え……ぐっ」

舞「見たところ、まだ幻獣戦は不慣れなようだが、筋は悪くないように思える。我々としても、戦車小隊一部隊のみでは、出来る事に限界があるのだ」

みほ「あんなに、あんな大軍と渡り合うことが出来るあなた方でも、ですか?」

優花里「西住殿?」

舞「そうだ。我らは、常に誰かに助けられている」

みほ「……」

舞「実地訓練、と言う形になるだろうか。車輌もこちらの方で用意しよう」

みほは周囲を見渡す 皆、みほの決断に意を唱えようとするものはいなかった

麻子「おばぁも避難はしたけど、すぐちゃんとした病院に戻してあげたい。私はそのための力になりたい」

華「自分のため、みんなのため。わたくしは自分の中の花を咲かせたく思います」

優花里「歴戦の勇者、芝村万翼長閣下!熊本の戦車隊を率いた英雄、善行忠孝殿!この方々の下で戦える、私はそれだけでも幸せです!」

厚志「勇者、閣下だって」

舞「それはやめてくれ……しかしあの無精髭も有名になったものだな」

沙織「えっとえっと私は……活躍すれば、モテるかも知れないし?」

みどり子「動機が不純だわ!」

おりょう「この場では自重するぜよ」

ねこにゃー「ある意味では尊敬できます……」

沙織「だってだって!戦車道始めたのも、モテるよ!って言われたからだし!……本当は、私だって沢山の人、守ってあげたいもん」

みほ「ふふっ」

沙織「あーっ!笑ったー!」

みほ「ごめんごめん、……ありがとうね」

舞「答えは出たようだな」

みほ「会長……」

杏「西住ちゃんに任せるよ」

みほ「大洗女子戦車小隊は、2151小隊さんのお世話になります!」

夜になり、学園艦の住民収容作業はようやく落ち着き始めていた

甲板上の町は通常時約3万人が生活しており、今回収容した住民の数は約2万弱

仮設住宅を建てるスペースは十分にある上、船内の施設を開放すればさらに収容は容易である

ただそれでも、日常を過ごした場所を急に変えるというのは困難なことであった

そんな中、あんこうチームのメンバーは帰途についていた

沙織「ふぁ~!どっと疲れた~」

優花里「明日からはもっと忙しくなると思いますよ?なにしろあの5121小隊ですからね」

華「九州撤退戦以降も、ずっと転戦し続けていたんですよね?」

麻子「朝は勘弁してくれ……夜間戦闘ならいくらでもやってやるから」

みほ(お姉ちゃんも、毎日あんな大変な戦いしてたのかな……)

あんこうチームの仲間と分かれ、自分の部屋に向かうおうとしたとき

杏「西住ちゃん、ちょっといいかな?」

みほ「会長?」

後ろから杏に呼び止められた
杏をこのあたりで見かけたのはこれが初めてである

杏「えっへっへ。尾けてきちゃった」

みほ「えっと……あの、じゃあ、よかったら、部屋に上がってください」

杏「そう?じゃ、お邪魔しちゃおうかな」

あんこうチームの仲間と分かれ、自分の部屋に向かうおうとしたとき

杏「西住ちゃん、ちょっといいかな?」

みほ「会長?」

後ろから杏に呼び止められた
杏をこのあたりで見かけたのはこれが初めてである

杏「えっへっへ。尾けてきちゃった」

みほ「えっと……あの、じゃあ、よかったら、部屋に上がってください」

杏「そう?じゃ、お邪魔しちゃおうかな」

連投ミス失礼

みほは2人分の湯飲みを置き、床に座った
どうも普段の杏と違い、テンションが低く思えた

杏「まだあの時のお礼を言ってなかったよね。助けてくれてありがとう」

柚子からの例を受けた後、桃も頭を下げに来てくれていた
杏はあの時へたり込んで動けないようであったが、死に掛けたのもあって無理も無いことだと、みほは全く気にしていなかった
むしろ自分の無力感でいっぱいだった

みほ「いえそんな、むしろ……」

杏「それと、ごめんね」

みほ「?」

それは杏がヘッツァー擱座の直後にも言った言葉だった
みほはその意味を図りかねていたが

杏「戦車道を無理矢理西住ちゃんに強要してからこっちさ、戦わせるつもりは無かっただとか、迷惑をかけないだとか、無責任なことばっかり言って。あげくあたしたちの犠牲なんて重荷まで背負わせちゃうところだった」

みほ「会長……」

杏「あたしは生徒会長だから、学園と大洗のみんなを守りたくて学兵になるつもりだった。けど結局、西住ちゃんに全部押し付けることになっちゃった。なんでこうなるのかな……」

みほ(会長、ずっと重圧に耐えてたんだ……!あの戦いでの射撃だって、きっと見えないところで努力してたんだ!)

みほは自分の敗北感の正体に気づいた

逃げ遅れた保育園児たちの報せを受けたとき、自分は助けられないと思った
もしかしたら、会長が囮にならなければ見捨てていたかもしれない

みんなを守りたいと思っても、結局先に諦めていたのは自分だったのだ
しかし会長は自分の信念を貫いた

誰が会長を愚かと呼ぼうとも、みほは会長に感服する思いで一杯だった

みほ「会長。わたしは絶対に、みんなを守ります。そう決めました。だから会長も私を信じて、みんなを守ってあげてください」

杏「西住ちゃん……」

みほ「会長だけが重荷を背負うことは無いです。みんなで一緒に背負って行きましょう」

杏「……ありがとう!あたし、信じるよ。西住ちゃんについていく。言ってみ?何でもするよー!」

みほ「あ、いえ、基本的にはいつも通りでいてくれれば……」

杏「えっへへ~。からかわれると弱いな~西住ちゃんは!」

優花里「最早、冷泉殿を起こしに来るのは我々の恒例行事となってしまいましたね」

みほ「Ⅳ号はオーバーホールのために学園艦に返却しちゃったから大変……」

華「優花里さん、重くはありません?」

麻子「おい、失礼だぞ」

沙織「そう思うなら自分の足で歩けー!っていうか、起きてるじゃん!」

麻子「寝言だ……」

優花里「いえいえ、軽いものですよ!」

桃「学園艦は当分の間、大洗港に停泊するそうだ。先の戦闘では艦砲射撃も効果的だったし、住民も不安が和らぐからな。安全な地域には一時帰宅の許可も取られている」

優季「もし学園艦が幻獣に攻撃されちゃったらどうするんですかー?」

桃「学園艦は並みの幻獣の攻勢ではビクともしない。大洗の学園艦は国内でも小さいほうだが、それでも中型幻獣の寄せ集めなんぞでは沈められんだろうな。危険なのは大型幻獣が現れたときくらいのものだが、日本ではまだ確認例は無い」

杏「河嶋がそう言うとなんだか前フリみたいだなぁー」

桃「か、会長!」

杏「これからみんなで5121小隊の仮設テントに挨拶しにいくよー」

アウトレットの駐車場に5121小隊の仮設テントは設置してあった
巨大なテントの周りには10tトレーラー三台に軽トラ、戦闘指揮車、なぜかママチャリが鎮座していた

テントの中から女性が出てきて、大洗女子の面々に歩み寄ってくる

女性「あなたたちが例の戦車兵の女の子たちね!ようこそ、5121小隊へ!私は整備主任の原 素子よ。あらあら、みんなかわいいわね~!嫉妬しちゃうくらいに」

少女「先輩やめてください。私は主任補佐兼、三番機整備士の森 精華です」

杏「どうも!大洗女子学園生徒会長の角谷杏です。んでこっちが」

みほ「あの、小隊長をやらせてもらってる、西住みほです」

森「西住……」

原「よろしくね。どこかの姫様とちがって、ちゃんと挨拶できる子達ね。ね?森さん」

森「ええ、まったくです。それが普通なんですけどね」

みほ「あはは……」

原「今は芝村さんは自衛軍の会議に出席してて留守なの。司令の到着もまだだし、適当に隊員にちょっかい掛けてきていいわよ」

森「それは後にしてください。芝村さんが手配した、あなたたちの乗る車輌が届いています。車種は揃えることが出来ませんでしたが、どこも逼迫しているので了承してくださいね。編成はそちらにお任せするとの事です。……はぁ、苦労したんだから」

原「森さん、口に出てるわよ。大方、芝村さんに命じられて車輌を掻っ攫ってきたんでしょう?」

優花里「えぇ!?そんなことして良いんですか!?」

森「もちろん良くありません。ですが、うちの隊では日常茶飯事です」

沙織「な、なんだかすごい隊だね……」

麻子「武勇伝には事欠かなそうだな。面白い方向で」

原「ああ、それからうちの隊の衛生官に石津さんって女の子がいるんだけど、その子に身体測定の準備をしてもらってるから、受けてきてね」

華「身体測定ですか?」

原「ええ。あなたたち、ウォードレスは支給されていないでしょう?せっかくだから、この私が特別にチューンしたドレスを用意してあげる」

桃「おお、それはありがたい!是非よろしくお願いします」

森「せ、先輩?三番機の整備は……」

原「あなたほどの腕なら、もう私の力も必要ないでしょう?」

杏「じゃ、まずはその石津さんって人のところに行って、後は自由行動ってことで」

原「ごゆっくり~」

原「先輩!」

石津「待って……いたわ……」

アウトレットの一室で、小隊付き衛生官の石津 萌が待っていた
人形を思い起こす様な容姿を持つ和風美少女である

石津は口数少なく淡々と測定を行っていたが、みほの番になると、ふと手を止め見つめてきた

みほ「あの、な、何か?」

石津「怪我を……した先生や……子供たちが、あなたたちに……感謝している」

みほ「……は、はい」

石津「あなたは……やさしくて、強い人……あしきゆめに、負けないで」

みほ「え、と……はい。頑張ります」

石津は微かに微笑むと、それきり口を開くことなく測定を終えた

大勢で押しかけても邪魔になりそうだったので、チームごとに分かれて回ることにした
あんこうチームは仮設テントに向かう

中は予想以上に広かった
三機の巨人が並んでおり、様々な機材が設置されている

少年「お、来た来た!俺、士魂号二番機パイロットの滝川陽平!よろしくな!」

少女「わたくし、一番機操縦手の壬生屋未央と申します。仲良くしてくださいね」

あんこうチームのメンバーもそれぞれ自己紹介した

優花里「お噂はかねがね!滝川殿も壬生屋殿も歴戦の兵と聞き及んでおります!ご一緒できて光栄です!」

壬生屋「まあ、つわものだなんて、わたくしまだまだ未熟ですわ」

滝川「き、聞いたか壬生屋!?滝川殿って呼ばれた!へ、へへへ……」

壬生屋「もう、はしたないですよ滝川さん!しゃんとなさい!」

男性「そうだぞー、石津に呪われても知らんぞ?紳士は常にスマートに努めるんだ」

少女「へへー ようちゃん、お鼻の下がながーくなってるの」

沙織「わ!かわいい!」

華「隊服を着てらっしゃいますが、まさかこちらの女の子も……」

男性「そうですよ、麗しいお嬢さん。俺はみんなのお耳の恋人、オペレーターの瀬戸口隆之だ」

少女「えっと、ののみは東原ののみっていいます!たかちゃんとおんなじ、オペレーターなの」

みほ「こんな小さな女の子が……」

壬生屋「お気持ちは察しますが、ののみさんも我が隊の立派な一員なのです。どうかそれを理解
して下さいませ。それと、瀬戸口さん」

一瞬にして場の空気が変わる

壬生屋「大洗女子の方々に色目を使うのはお止しになってください。迷惑になります」

沙織「あ、いえいえ、そんなことは……」

麻子「む、沙織、ここは黙っておけ」

沙織「え?」

瀬戸口「おいおい、せっかく一緒に戦ってくれるって人たちに挨拶してるんだ。失礼の無いように振舞ってるだけさ」

壬生屋「信用できません!そうやってあなたはいつも……!」

ののみ「みおちゃん、めーっ!だよ?」

壬生屋「あ、あら……わたくしったら!お恥ずかしい……」

瀬戸口「ほーれみろ」

壬生屋「何か!?」

瀬戸口「いーや?」

沙織「あー、これは、そういうことかぁ……かなりのイケメンだと思ったんだけどなぁ」

麻子「残念だったな」

華「でも、お二人とも大変仲がよろしいようで、微笑ましいじゃありませんか」

みほ「華さん、そうじゃなくてね……あれ?」

みほがふと視線を移すと、士魂号軽装甲の前で滝川と優花里は何らかの会話で盛り上がっている様子だった

優花里「いやぁ!滝川殿には大変共感できるところがありまして!士魂号に頬ずりしたという話を聞いたときには思わず全力で同意してしまいました!」

みほ「優花里さん、そこは同意するところなんだ……」

華「滝川さんは、男の子らしい男の子でしたね」

麻子「まあ、戦争をやってる人間という風ではなかったな」

優花里「それに、先ほどお会いした石津殿とお付き合いしてるとも仰られておりました!英雄色を好むとでも言うべきでしょうか!」

麻子「それは褒め言葉になってない」

沙織「えー!滝川くんも!?この隊はどーなってるの!」

華「沙織さん、この隊に何しに来たつもりだったんですか……」

沙織「いやだって重要なことだよ!いや待てよ……?やっぱり戦車に乗ってるとモテるのかな?原さんだって機械油にまみれる仕事をしてるのに、あんなに素敵で綺麗な人だったし……ちょっとやる気出てきた!」

優花里「武部殿は、原千翼長殿のような方が目標なのですね」

整備がひと段落したのか、トレーラーの周りでは5121整備士の面々が思い思いにくつろいでいた
レオポンチームも輪に混じって談笑しているのが見える

整備士の一人である小杉ヨーコに勧められ、テーブル付きのイスに座った
施設から借りたものらしい

榊ガンパレでもそうだったけど、熟練度の高い人型が機動力活かして囮で火力のある戦車がしとめるっていい戦術だよね

小杉「ドウゾ。この紅茶は、ジャムを舐めてから飲むといいそうですヨ?」

みほ「あ、美味しい……」

小杉「前に青森で戦ったトキ、一緒に戦ってくれたプラウダ高校の方から教わりまシタ」

優花里「プラウダ校というと、昨年の戦車道大会の優勝校ですね。比較的初期に徴兵が始まったと聞いていましたが」

眼鏡を掛けた青い髪の少女が、茶菓子を持ってくる
同じく整備士の田辺真紀である

田辺「よければこちらも。なにかあったらおよびくださ……キャア!」

田辺の眼鏡が割れる

沙織「いま、金ダライが……」

華「一体どこから……」

男性「失礼、整備士の遠坂圭吾と申します。今後我々の隊と行動するにあたって、皆さんの生活用品を一通り揃えさせていただきました。後ほど受け取ってください」

みほ「あ、これはご丁寧にどうも」

遠坂「それと、汚れたり破れたりした手袋や靴下、靴などの消耗品はこちらで処分いたしますので、それもそのときお渡しください」

華「わかりました。ご親切にしていただきありがとうございます」

沙織「いまの人!すっごく気品があって物腰柔らかで素敵な人だったね!」

麻子「例に倣って、ああいう男が放っておかれるとは思えんぞ?」

小杉「お付き合いしてるかはワカリマせんが、田辺さんとはよく一緒にいるみたいデスネ」

沙織「oh……」

太った男「遠坂のやつ、また巧妙かつ上手くやったばいね。侮れん男タイ」

奇妙な男「さりげな~い!混ぜ具合!イイ!eee―――!」

沙織「ヒッ!な、何?」

小杉「彼らも整備士の、中村光弘クンと岩田裕クンです。ワルい人じゃありマセンよ?」

小柄な少女「気にしない方がいいよ!あ、ボクは新井木勇美!整備士だよ!」

みほ「よろしくおねがいします。随分と整備士の方が多いんですね」

優花里「人型戦車はその複雑な整備性が、各部隊への配備を困難にしている要因のひとつらしいですからね」

新井木「そーなの。毎日くたくたになるまで整備しても、すぐにポロポロになって戻って来るんだよ!やんなっちゃう」

車椅子の男「誰よりも早く疲れて眠ってしまうのはどこの誰だ?」

赤毛の少女「なっちゃん、いじわる言ったらアカンよ?」

小杉「整備士の狩谷夏樹クンと、事務官の加藤祭サンでス」

狩谷「やあ、こんな姿ですまないね。この部隊は3機の士魂号に対して10人がかりで整備をしてようやく稼動に漕ぎ着けてる」

加藤「財政事情もカツカツなんやで?せっかく軍の有名人なんやから、ちょっとくらい贅沢させてくれてもバチは当たらんとおもわへん?」

みほ「あ、考え無しにお茶菓子いただいてしまって、ごめんなさい!」

加藤「アハハハ!ウソやウソ!お菓子まで食べれへんようになったらお終いや!とくにウチらの隊はね!」

狩谷「君たちの隊の整備士は優秀なようだね。旧式とはいえ8台の戦車を四人で整備していたとは」

みほ「はい!レオポンさんチームには大変助けられました!」

加藤「レオポン?チーム名つけとるんか!アハハ!ええなぁ!なっちゃんもそう思わへん?」

狩谷「思わないね」

新井木「えー?かわいくていいと思うけどな。でも、大洗の整備士が協力してくれたら、カオルちゃんもちょっとは楽になると思うな」

不良っぽい少女「誰がカオルちゃんだコラ!」

新井木「ひいぃぃぃぃ~~~~!」

不良っぽい少女「フン!」

みほ「あ、あの……」

不良っぽい少女「あ?ああ、今度来るっつー戦車兵か。俺は田代香織。カオリちゃんって呼ぶんじゃねーぞ」

沙織「行っちゃった……」

華「バンカラな人でしたね……」

麻子「言いえて妙な表現だな」

沙織「そういや華がみぽりんに最初に持った印象ってあんな感じだったのかなぁ」

華「あ、確かにそうかもしれません」

小杉「田代サンはぶっきらボウですが、心は優しいデス」

最後に回ったのは、テントから少し離れウォードレスを着込んで周辺を警備していた随伴歩兵の二人である
カメさんチームのサポートをしてくれた人たちだった

マッチョな男「……来須、銀河」

でかい男「若宮康光であります!階級は小隊付戦士であります!」

みほ「その節は、大変お世話になりました!」

来須「……」

若宮「いえ、任務を全うしたまでです!あなた方のような女性たちを失うことは世界にとっての損失ですからな!」

沙織「あ、なんか今のうれしいね!」

麻子「まあ、悪い気はしないな」

優花里「やはり戦車に随伴歩兵が付くと、安心感がグッと増しますね!」

みほ(う……こわい人、なのかな?)

若宮「あ、こいつは口下手なやつでして。おい来須!大洗女子の隊長殿が挨拶に来たんだ。何か言え」

来須は、真っ直ぐみほの目を見据えて言った

来須「……忘れるな。お前の困難は、お前だけが立ち向かうものじゃない。俺達で立ち向かうものだ」

そう言って来須は帽子を深くかぶりなおした

みほ「……!」

若宮「あー、なんというか、だな。そういうのではなくて……」

みほ「はい。心に命じておきます。ありがとうございました」

優花里は黙って来須に向かって敬礼した

華「不思議なお方でしたね」

優花里「凄まじい雰囲気を感じましたね。それにお二人とも体の鍛え方が半端じゃないと見ました」

麻子「あの帽子の男の目、黙してなお雄弁といった感じだったな」

沙織「お?なに気になる?」

麻子「そういうんじゃない」

ヒューッ!
いきなり飛ばしてやがるぜロリ……もといミルヒの旦那ァ!

森「あ、いた!ちょっとあなたたち!」

みほ「はい、どうしました?」

森「どうしましたじゃありません!最初に車輌の確認してくださいって言ったじゃないですか!」

みほ「あ!す、すみません!」

森「他の隊の人たちも呼んで、こちらに来てください!」

今回はこれで以上になります
本当は原さん森さん、パイロットとオペレーターの顔出しくらいの予定だったのですが、みんなしゃしゃり出てきてしまいました
あ、茜くんちゃんと出番あるから座っててね(忘れてた)

以下レス返し

>>124
あんな時間掛かったら即展開できないと思うんですけどね…

>>125
そのあたりの怖さは、今後も書いていくつもりです
ただ必要以上にグロくするつもりは(今のところ)ありません

>>126
人型戦車がもっさりでがっかりした思ひ出

>>127
ヒロイン(誤植ではない)

>>177
荒波小隊の釣り野伏せとかいいですよね
しかし本作の5121は3機でそれをこなしてしまいます

>>194
老け顔メイクして突然娘(のようなもの)つれてきたクリサリスさんは関係ないだろ!いい加減にしろ!

ありがとうございました

さらにミス訂正
>>129の5121小隊の正式名称は
「学兵第五連隊、第一大隊第二中隊旗下第一小隊」です

ついでに言うと、既に熊本の連隊は解散しているため部隊名は正確には異なりますが、この通称が広く流布したため現在でも使われている、という設定です


初期の会話は重要だよな、移動射撃とか早くもらっとかないと困るし(メタ発言)

投下も乙訂正も乙

海洋の大型幻獣も自分の数十倍ある学園艦見たら逃げ出すかもねwwww
プラウダは一足先に実践組か。悲しいけどこれ戦争なんだなぁ

さらに訂正w
>>165の最後の「先輩!」は原さんではなく森さんの台詞です

ぐぬぬ

なにこの俺得スレ

とりあえず摺り足と左右ジャンプに左右切りあれば余裕

>>137の次に抜けてるレスがありました
それほど重要でもない箇所ですがせっかく書いたので投下

学園艦は住民の収容で慌しいため、港に隣接してあるアウトレットの施設を間借りして臨時の詰め所としていた
茫然自失状態から脱した桃は現状の説明を行う

桃「那珂港付近に出現した幻獣はおそらく先遣隊だった、というのが自衛軍の見解だ。そちらに軍をおびき寄せている間に茨城と千葉の境から上陸し、疲弊しているところを押しつぶす算段であったと」

カエサル「我々はその先鋒と遭遇してしまったわけだな」

太平洋からってどっから来たんだろ。太平洋の制海権ってたしか人類側だったっけ?

対空戦闘車で主砲が壊れてなんもできない思い出があるな

丸一日以上空けてしまいました
再開いたします

金髪半ズボン「来たか。おい、遅いぞ!せっかくこの僕がこの凡作どもを綺麗に整備してやったというのに、お前たちはモガッ」

森「こらっ!初対面の人たちに悪態つかない!ごめんなさいね。この子は私の義理の弟の茜大介。ちょっと生意気だけど仲良くしてあげてください」

茜「プハッ!くそ、離せ!子ども扱いして!」

森「そういう態度が子供だって言ってるでしょ!」

優花里「ああー!士魂号Lに74式、89式装甲戦闘車!99式自走155mm榴弾砲もあります!これだけの車輌を調達してくださったのですか!?」

茜「ふ、ふん!この程度僕にかかれば特にどうってことないさ」

森「あなたは後ろで見てただけでしょうが」

茜「余計なことは言うな!ちくしょう、馬鹿にして!」

みほ「茜くん、私たちの使う車輌、大事に整備してくれたんだね。ありがとう」

茜「え……はっ!べ、べつにお前たちのためにやったんじゃないからな!」

森「じゃあ何のためにやったのよ」

茜「あ、う、僕の実力を見せ付けてやるためさ!」

華「茜さん、あなたのおかげで私たちは安心して戦えます。とても感謝していますよ」

茜「あ、う……うん」

森「なに赤くなってるの」

茜「うるさい!」

猫「なぁーお」

茜「ブータ……まさかお前まで僕をからかおうって言うのか……?」

森「そんなわけないでしょ」

あや「ねこ!」

あゆみ「かわいい!」

みほ「ここで飼ってる猫さんですか?」

森「いえ、熊本の頃から隊に住み着いてて。私たちが飼ってるって訳じゃないんですけど、ふらっといなくなってはふらっと現れるんです。不思議でしょう?」

沙織「へぇ~。キミ、ブータっていうんだ。よろしく!」

ブータ「ニャオーゥ」

茜「僕はもう行くよ。君らはせいぜい僕たちの足を引っ張らないようにしてくれよ」

森「あなたが言えた事じゃないでしょ、暫定無職のくせに」

茜「なっ」

森「じゃ、私はこれで。編成はお任せしますね」

みほ「はい。ありがとうございました」

麻子「やれやれだ」

沙織「なんだか可愛い男の子だったね」

麻子「私はああいうタイプは苦手だ」

優花里「無職とはどういう意味でしょう?」

華「さぁ……?」

優季「なにコレ」

あゆみ「ありえな~い」

あや「え~でもちょっとかわいくな~い?」

桂利奈「うん、かわいい!」

優花里「これはモコスですよ。軽ホバー装甲車を車体に、士魂号Lの120mm砲取り付けた駆逐戦車です。
最高時速は30km/hほどですが、ホバーゆえ路面状況を選びませんし装甲と火力は十分なものを持っています。
量産性も良く、熊本ではこの120mmと装甲に助けられた学兵は多いと聞いていますよ」

桂利奈「モコスって変な名前~」

みほ「モコスはね、熊本弁で『頑固者』を意味する『もっこす』から付けられたんだよ」

梓「ほ~、頑固さんなんだ」

桂利奈「あははは!もっこすー!」

桃「これは隊の再編成に気を配らねば」

左衛門佐「頼みがある!我々はどうしても回転砲塔が欲しい!」

典子「私たちは火力が……どれ選んでも八九式よりマシか」

桂利奈「わたしモコスがいい!」

梓「なんか弱っちく見えない?」

あゆみ「そこは戦略と腕かな?」

あや「西住先輩のパクリじゃん!」

優季「コレ三人のりだよ?どうするの?」

桃「あー!勝手に決めるな!」

みほ「みなさんの意見はなるべく取り入れるようにしますから……」

昔はモコスと言えば戦車だったのに今じゃ邪神モッコスだからな…

優花里「三人、または四人搭乗の車輌が多いので、必然的にあんこうチームは分かれることになりますね」

カエサル「我らは回転砲塔が欲しいが、アヒルさんチームが四人で固まりつつ、火力のある車輌が欲しいと言っている」

左衛門佐「と、なると74式は譲るほか無いな」

おりょう「残りは士魂号Lのみぜよ」

エルヴィン「……秋山、いやグデーリアン、私と共に士魂号に乗らないか?君とは上手くやれそうな気がするのだ」

優花里「エルヴィン殿……わかりました!西住殿、私はあんこうチームから離脱いたします」

みほ「あうぅ、寂しいけど……わかりました。これからは優花里さんに外から助けてもらうことになりますね」

優花里「はい!頑張ります!」

エルヴィン「もう一人引き抜かねばならぬが……」

優花里「砲手が欲しいですね」

梓「モコスの操縦むずいかもよ?」

桂利奈「が、がんばる!」

あゆみ「120mmは魅力だなー」

あや「1門しかないなら、私どうしよう……!」

優花里「エルヴィン殿」

エルヴィン「うむ。大野君、我々は今、砲手を探しているのだが、我々の力になってはくれないだろうか?」

あや「え?先輩たちと?士魂号?やるやる!あゆみちゃんと同じ120mmだしー!」

優花里「決まりですね!」

優季「私と紗希ちゃんあまっちゃったんだけどー」

沙織「じゃ、私が入ったげる。可愛い後輩のために頑張っちゃうぞ」

優季「ありがとうせんぱい~!」

紗希「……」

優季「紗希ちゃんもよろしくって言ってますー」

沙織(え?だ、大丈夫かな……)

エルヴィン「西住隊長、我々の新しいチーム名、考えておいてくれ」

みほ「わかりました。カッコいいのを考えておきます」

沙織「私たちは可愛いのが良いな。ねー?」

優季「ねー?」

紗希「……」

優季「紗希ちゃんもそう言ってます」

みほ「りょ、了解」

舞「む、会議中であったか」

みほ「芝村さん!」

舞「たった今司令が到着した。さっそくだが今後の打ち合わせをしたいそうだ」

みほ「はい。こちらも編成は済みました」

舞「そうか……」

みほ「あの、なにか?」

舞「そのジャケットに描かれているのは、あんこうか?そなたらの戦車隊には他にも動物の絵がペイントされていたが……」

みほ「は、はい。それぞれチーム名になってまして……あの、駄目でしょうか?」

舞「ぐぬぬ……よい……」

みほ「え?」

舞「いや!なんでもない!ゆくぞ!」

短いですがここで一旦休憩します

>>198
無限移動は時間でも操ってるんですかね・・・?

>>199
>>15で書かれてる「北海道や神奈川、長野所属の学園艦」というのが、それぞれプラウダ、聖グロリアーナ、サンダース大付属です

>>201
上半身ひねりも加えよう(提案)

>>203
そのあたりはまた後々

>>204
ガンオケの武器損耗率は異常 やってられっか!

乙乙、まああれだけ無茶な使い方したら損耗率は納得だと思う!
栄光号より安くて強い戦車…

再開~

眼鏡の男「どうも。5121の司令の善行忠孝です。先日まで自衛軍で指揮を取っていましたが、前任者が戻ってきたため復隊しました」

みほ「大洗女子戦車隊の西住みほです。隊長をやらせてもらっています」

杏「生徒会長の角谷杏です。よろしくお願いします」

桃「会長が真面目だ……」

柚子「桃ちゃん!」

善行は、みほを曰く有りげに見た後、口を開いた

善行「訓練前に実戦に巻き込まれてしまったと聞いていましたが、まずは皆さん無事でなによりです。芝村さんの提案で5121に合流したということですが、私としても歓迎しますよ」

舞「自衛軍で沢山の手駒を使えたのに味を占めたか?」

善行「ハハハ。まあ、5121はもう私なしでもやっていけますから、それだと私の仕事がなくなってしまうんですよ」

舞「白々しいことだ。それで、これから我が隊は5121・大洗混成、独立遊撃中隊ということで良いのだな?」

善行「はい。ある程度は自由に決定権を行使出来るよう計らっていただきました。その計らいをしてくれた芝村準竜師からお話があります」

善行が持つ液晶パネルに恰幅の言い男が映し出される

準竜師「俺だ。まもなく自衛軍による挟撃作戦が始まる。

大洗南西、ゴルフ場から南方付近に追い込んだ幻獣を撃破してもらう。

近くには原子力研究所があるが、ここに近づけさせるのは言うまでも無いが危険だ。

諸君には自衛軍の命令系統から独立した権限を特別に与えている。

その分の活躍は期待させてもらう。以上だ」

その場にいた全員が敬礼する
そこで通信は終わりだと思われたが―――

準竜師「どうでもいいが、こうやっていると俺は故人の写真みたいだな。」

みほ(えっと……これは……?)

「プフッ……あはははははは!」

みほ「!?」

桂利奈「故人の写真だってー!」

あや「遺影ってことでしょぉ~?」

優季「あはっあははは!」

あゆみ「離れればいいのにー!」

梓「ちょっと、くふっ、みんな、笑っちゃ、だめだって……ふふふふ」

桃「お前たち、黙らんか!」

準竜師「……ふ、元気が良いことだ」

そう言うと通信はプツリと切れた

滝川「なあ、準竜師、ちょっと嬉しそうじゃなかったか?」

善行「ああするのが正解だったのかもしれませんねぇ」

厚志「そういえば、本田先生も初対面のときのアレで笑わなかったら怒ったっけ」

若宮「あー……そうだったな」

華「本田先生とは?」

瀬戸口「俺たちがまだ学園艦で授業を受けていた頃の教官だよ。怒るとすぐにエアガンを乱射してくるエキサイティングな人だったな」

加藤「見た目も派手やったで~。髪は紫に染め上げてあったし、服装は真っ赤なパンクジャケットや。でっかいピアスも付けとったしドギツイ化粧もしとったな」

沙織「うへぇ~!私たちの教官とは随分ちがうのね……」

石津「でも……本当に私たちのことを……案じてくれていたわ……」

みほ「蝶野教官もある意味凄かったけど……」

壬生屋「どんな方だったのですか?」

優花里「対面初日にいきなり戦車での撃ち合いを告げられました」

壬生屋「それは……まあ……」

沙織「その言い方はちょっと誤解があるんじゃないかな……」

善行「さて、それでは出撃準備に取り掛かりますかね」

舞「待て、少し良いか?提案があるのだが」

善行「はい?何でしょう」

舞「あー、その、何だ。我々は今ではそこそこ名も知られてしまっているし、最近は幻獣共生派の暗躍も増えている。通信傍受の可能性も否めない」

善行「はあ、そうですね。それが?」

舞「だからだな、我らも暗号というか、我らの間のみで通じる符合のような名称を付けるべきだと思うのだ」

厚志「舞、素直に大洗の戦車隊のチーム名みたいなのが自分たちにも欲しいって言えば良いじゃない。初めて見たときから物ほしそうな顔してたもの」

舞「た、たわけ!そんな個人的な理由ではない!断じて違うぞ!」

厚志「はいはい。それで、自分のネーミングセンスはアレだから、西住さんに考えて欲しいって言うんでしょ?」

舞「ぐ、ぐぬぬぬぬ……」

滝川「ああ、前に似たようなことしようとしたときは、ノミだのハエだのあんまりな感じだったからな」

舞「余計なことは言うな!……ごほん、あー、西住よ、どうだ?よければ考えて欲しいのだが」

みほ「え、あ、はい。そんなことでよろしければ……」

舞「そうか!期待しているぞ!」

厚志「やっぱりそうじゃないか……」

みほ「そうですね……私たち大洗は無名ですからそのままでもいいと思いますけど、5121は秘匿しておきたいんですよね?」

舞「うむ」

みほ「では、まず5121自体に一括りのチーム名を付けてしまいましょう。そうですね……この隊の隊章は猫なんですか?」

善行「はい。私の実家で飼っていた猫がモデルです」

みほ「では、5121をまとめて『ねこさんチーム』にしましょう」

舞「おお!なかなかではないか!」

沙織「そんなに驚くほどかな?」

優花里「きっと西住殿と芝村殿のような才のある方々にしか分らないものがあるんですよ」

麻子「前に部屋に行ったときの、あのぬいぐるみを見る分には……」

沙織「みぽりんのセンスもちょっとアレだよね……」

みほ「そこから更に符号を分けていきましょう。士魂号一番機は……『くろねこさん』!」

壬生屋「まあ、可愛らしくて素敵だと思います」

みほ「二番機は、『トラねこさん』」

滝川「お、おう。虎はまあ強そうだよな」

みほ「三番機は複座なので『みけねこさんチーム』はどうでしょう?」

舞「三毛猫か。良いな!三毛猫は基本的にメスしかおらぬが、こやつは女々しいからなお良い」

厚志「えぇ~……」

みほ「整備員の皆さんは……」

原「私にふさわしい美しくてゴージャスなやつ、お願いね?」

みほ「えっと……『シャムネコさんチーム』は、いかがですか?」

原「あらあらあら!ぴったりじゃない!さすがだわ~」

滝川「俺はドロボウ猫がぴったりだと思う」

舞「同感だ」

原「何か言ったかしら?」

滝川「い、いえ何も!」

みほ「戦闘指揮車は」

原「指揮車と言えば善行さん。善行さんと言えばおヒゲ」

舞「おい、西住の邪魔をするな!」

原「助言してあげてるのに」

みほ「ひ……『ひげねこさんチーム』……」

善行「……ふふっ」

瀬戸口「え、いいんですか?」

ののみ「わーい!ひげねこさんだー!」

石津「私が……衛生兵として車外に出たときは……ひげが抜けたって表現すれば……いいのかしら?」

加藤「アッハッハ!萌りん、オモロイこと言うようになったなぁ!」

舞「随伴歩兵は我が隊の性質上、単独行動もあるゆえ個別につけるべきだな」

みほ「わかりました。来須さんは、『ヤマネコさん』」

来須「……」

来須は帽子の鍔を掴んだ

厚志「それで良いってさ」

華「あれで分かるのですか?」

厚志「それなりの付き合いだからね」

みほ「若宮さんは、えっと……『くまさん』」

若宮「くまさん!?」

みほ「あ、ご、ごめんなさい!」

桂利奈「あっはっはっは!くまだってー!」

新井木「あはははは!ぴったりじゃん!」

あや「見たまんま過ぎるー!」

若宮「いや、見たまんまは良いとして、俺だけ猫縛りの外か!」

沙織「それはいいんだ……」

優花里「くまねこ……だとパンダになってしまいますね」

原「良いじゃない、熊。かわいいし、なにより強そうじゃない?」

若宮「原さん……!わっかりました!不肖、若宮戦士、謹んで拝命いたします!」

5121・大洗混成独立遊撃中隊

司令・中隊長
  善行忠孝

5121小隊(ねこさんチーム)

 ・戦闘指揮車(ひげねこさんチーム)
   善行忠孝(指揮車長) 
   加藤祭(操縦手 兼・事務官)
   石津萌(機銃手 兼・衛生官)
   瀬戸口隆之(オペレーター)
   東原ののみ(オペレーター)

 ・士魂号一番機(くろねこさん)
   壬生屋未央
 ・士魂号二番機(トラねこさん)
   滝川陽平
 ・士魂号三番機(みけねこさん)
   芝村舞(砲手 兼・小隊長)
   速水厚志(操縦手)

 ・整備員(シャムネコさんチーム)
   原素子(主任 兼・三番機整備士)
   森精華(主任補佐 兼・三番機整備士)
   小杉ヨーコ(三番機整備士)
   狩谷夏樹(二番機整備士)
   遠坂圭吾(二番機整備士)
   田辺真紀(二番機整備士)
   中村光弘(一番機整備士)
   岩田裕(一番機整備士)
   新井木勇美(一番機整備士)
   田代香織(戦闘指揮車・その他 小隊車輌整備士)
   茜大介(臨時補佐)

 ・随伴歩兵
   来須銀河(やまねこさん)
   若宮康光(くまさん)

 ・小隊付猫
   ブータ

大洗女子戦車小隊

 ・士魂号L(あんこうチーム)
   西住みほ(戦車長 兼・小隊長)
   五十鈴華(砲手)
   冷泉麻子(操縦手)

 ・士魂号L(カバさんチーム)
   鈴木貴子<カエサル>(戦車長)
   杉山清美<左衛門佐>(砲手)
   野上武子<おりょう>(操縦手)

 ・士魂号L(キメラさんチーム)
   松本里子<エルヴィン>(戦車長)
   大野あや(砲手)
   秋山優花里(操縦手)

キメラさんはひどいww

 ・74式戦車(アヒルさんチーム)
   磯部典子(戦車長)
   佐々木あけび(砲手)
   河西忍(操縦手)
   近藤妙子(装填手)

 ・89式装甲戦闘車(カメさんチーム)
   河嶋桃(戦車長)
   角谷杏(砲手)
   小山柚子(操縦手)

 ・モコス(ウサギさんチーム)
   澤梓(戦車長)
   山郷あゆみ(砲手)
   阪口桂利奈(操縦手)

 ・99式自走155mm榴弾砲(リスさんチーム)
   武部沙織(戦車長)
   丸山紗希(砲手)
   宇津木優季(操縦手)

 ・87式偵察警戒車(カモさんチーム)
   園みどり子(戦車長)
   金春希美(砲手)
   後藤モヨ子(操縦手)

 ・96式装輪装甲車(アリクイさんチーム)
   猫田<ねこにゃー>(戦車長)
   ぴよたん(砲手)
   ももがー(操縦手)

 ・整備員(レオポンさんチーム)
   ナカジマ(リーダー)
   スズキ
   ホシノ
   ツチヤ

ここで一旦休憩して書き溜めに入ります

>>216
Ep3のKOS-MOSフィギュアはとっても可愛いですよ!(ステマ)

>>227
使って壊れたなら納得もしよう
しかしほとんど何もしなくても壊れるのはリアルを通り越して廃棄品つかまされたとしかw

>>259
これが西住流・・・

ただ、キメラさんチームの人選は漫画版のアンツィオ戦でのチームメンバーに準拠しております
そちらは秋山殿が戦車長ですが
漫画自体はまだ未見なのでそのうち読んでみたいですね

乙ですー。
しっくり来る編成すな。
沙織は指揮適性は高いと思うけど、全国大会を経験してない現在の能力は不安かな。

あー、何度も申し訳ありませんが訂正

準竜師こと芝村勝吏ですが、彼は現在少将相当の竜師長です
準竜師といえば彼、という先入観のおかげで隊員がそう呼んでしまった、ということにして置いてくださいw

ちょっと再開ー

善行「出撃準備の前に、西住さん」

みほ「はい?何でしょう」

善行「あなたは先の戦闘での功績と、小隊長として正式に就任したこともあり、百翼長へ昇進となります。これが勲章です」

みほ「え!?わ、私が?」

善行「ええ。あなたにはその能力があります。責任は重くなるかもしれませんが、皆が協力してくれます。だからあなたも仲間を守れるよう、頑張ってくださいね」

みほ「は、はい!頑張ります!」

舞「ふん、我らが新兵だった頃に比べて、随分と優しくなったものだな」

みほ「え、そ、そうなんですか?」

善行「……そうですね。私も熊本で沢山の学兵たちの死を見てきました。自衛軍を指揮するようになってからは、少し学兵たちには贔屓してしまう様になってしまったかもしれません。それに西住さん、あなたには……」

みほ「?」

善行「いえ……とにかく、少しでも早く幻獣との戦いを学んで下さいね」

舞「ときに善行よ、そなた、自衛軍の制服から学兵の隊服に戻したのだな」

善行「ええ。この隊に籍を置くならばこちらの方がしっくりきますから。5121のものは南校由来の特別なものですしね。まあ気持ちの問題ですが」

舞「そうか、それはいい。だが、その半ズボンは何とかならんのか?」

みほ「うあ……」

沙織「芝村さん、それは……」

善行「半ズボンですか?隊服はある程度バリエーションがありますが、正式な形はこれになるんですよ。なにか問題でも?」

舞「大有りだ!そのスネ毛が目に余ると言っておるのだ!」

麻子「言い切ったな」

脛毛は目の毒やなww

善行「ハハハ、そんなことですか。男性なら仕方のないことですよ」

舞「仕方なくない!貴様以外の半ズボン着用者にはスネ毛が生えている者はおらぬ!厚志だって生えていなかった!」

厚志「ちょ、ちょっと舞!」

沙織「おっとぉ~!」

原「速水くんの生足をじっくり眺める機会があったわけね?」

舞「ハッ!し、しまった!違うのだ!そういう意味では……ぐぬぬ、もうよい!この話はやめだ!」

沙織「お二人の関係が非常に気になりますな~」

杏「芝村ちゃん、からかい甲斐がありそうだなー」

桃「会長、ほどほどにしないと手痛いしっぺ返しを受けますよ」

みどり子「なによこの隊!不純異性交遊だらけだわ!」

壬生屋「芝村さん……!そんな、不潔な……!わたしだって瀬戸口さんのをまじまじと見たことは無いのに」

瀬戸口「お前さんは何を口走っているんだ」

壬生屋「え?な、何でもありません!!」

沙織「芝村さん?速水くんとはどんなお関係で~?」

華「沙織さん!?」

優花里「武部殿!失礼ですよ!」

舞「あ、厚志は……わたしのカダヤだ。私は先に行く!」

みほ「あ、行っちゃった」

沙織「カダヤって……なに?」

みほ「うーん、熊本弁じゃなさそうだなぁ」

原「大洗のみんな、あなたたちのウォードレス出来てるわよ」

優花里「ええ!?もう出来たのですか!?」

原「もともと隊の予備はあったから、それにちょっと手を加えただけよ。芝村さんの久遠も特別チューンしてあるからね」

優花里「と、いうことは戦車兵用久遠がベースなのですね?」

原「ええ、そうよ。さっそく着てみてね」

みほ「こ、これは……」

沙織「体のラインが……」

華「はっきりと……」

優花里「出てしまってますね!」

麻子「あんこう音頭を思い出すな……」

原「人工筋肉のスリム化と強化を同時にこなしつつ、装甲も軽くしてプロポーションも美しく見せる完璧な久遠!性能は従来のものの1.2倍は超える数値をマークしているわ」

桃「それは凄いことなのだろうが……」

柚子「ちょっと恥ずかしいね……」

杏「まあ基本車内にいるわけだしねー」

原「胸部はちゃんと胸当ての装甲で隠れているでしょう?」

森「みなさん、すみません。先輩ったら真面目にやると思っていたんですが」

原「あら失礼ね、真面目にやったわよ。実際性能も上がってるんだし、戦車内では動きやすさや、ストレスの軽減を重視することはとても大切なのよ?」

森「それはそうですが……」

原「それに、あなたの分もちゃあ~んと用意してるから!」

森「え」

新井木「あ、森さん固まった」

茜「ま、待ってくれ!いくら原さんといえど姉さんを辱めるようなことは……」

原「なあに茜くん?あなたも欲しいの?まあ、男の子でも茜くんなら似合いそうね」

茜「ぐっ!すまない……姉さん……」

みほ「あ、あはははは……」

優花里「おお、若宮殿、以前のウォードレスとは違うものを装備していますね!それは重ウォードレスの可憐ですか!」

沙織「腕が四本もある!」

若宮「ああ、この間の作戦は空挺降下だったから軽い装備だったのだが、今回はいつもので行かせてもらう。これもな、なんと原さんが俺のために特別チューンしてくれたものだ!」

麻子「ウォードレスそのものより原整備主任にチューンしてもらったことが自慢のようだな」

華「若宮さんの憧れの人なのでしょうか?」

みほ「え?12.7mm機関銃を4丁も持つんですか?」

優花里「凄い!私はそれを一丁持つのもやっとです!」

桂利奈「力持ちー!」

若宮「お、やるか?」

あや「きゃはははは!」

優季「すごいすごーい!」

沙織「一年生みんなで腕にぶら下がってる……」

麻子「まるで子供だな」

5121の隊員たちはトレーラーや各車輌に乗り込み、大洗の学兵たちも早速新しい戦車や装甲車に乗り込む
一応軽いレクチャーは受けていたものの、実際に操縦するのは始めてである

岩田「フフフ、バナナで滑って転ぶパターンinトレーラー!」

中村「岩田!そぎゃんこつ言っとらんで大人しくしとるばい!」

桂利奈「あははは、狭そー!」

優季「イワッチ先輩おもしろーい!」

戦場までの道のりでのおしゃべりは許可されていた
各々が好き勝手に通信をしている 5121ではこういった雰囲気が日常であるらしかった

沙織「よく考えると、初めての車輌でいきなり実戦って、蝶野教官のときより破天荒かも……」

忍「でも、とっても操縦しやすいというか、よく整備されてる」

茜「ふっ。僕に感謝するが良いさ」

田代「あ?間に合いそうに無くて泣きついてきたのはどこのお坊ちゃんだった?えぇ?」

茜「お、おい!それは言うなって約束だったろ!」

左衛門佐「ついに念願の回転砲塔が……!」

おりょう「足回りも良好ぜよ」

麻子「凄いな、軽く80キロは出せる」

ももがー「装甲車はもっと簡単!」

みどり子「これで火力は戦車道のときより上とはね……」

瀬戸口「今はスピードは抑えてくれよ。車間距離を保ち、行軍スピードを守ってくれ」

桂利奈「はーい!」

あや「戦車道で思い出したけど、速水先輩と滝川先輩は男なのに戦車兵なんですね」

あゆみ「たしかに珍しー」

華「自衛軍でも、戦車兵には女性仕官が多く、男性の多くは歩兵になるそうですね」

滝川「それはそうだけどよ、でも人型戦車はむしろ男のロマンって感じじゃねーか?」

優季「え~なにそれ~」

梓「私はちょっとわかるかも」

優花里「そういえば滝川殿は、『操縦手』ではなく『パイロット』と自称していましたね」

滝川「おうよ!しかし『トラねこ』かぁ~。俺としては『赤い稲妻』とか『荒野の迅雷』とか、そういうのがイケてると思うんだけどな」

舞「滝川よ、貴様は西住の名称に異議があるのか」

滝川「いや、そうは言ってねぇけどよ……」

エルヴィン「二つ名か、『砂漠の狐』なんてどうだ?士魂号の乗り手ともなれば名前負けはすまい!」

左衛門佐「『日本一の兵』……は流石に誰も名乗れんか」

おりょう「『風雲児』はどうやが?軽装甲には似合うと思っちゅうぜよ」

中村「同士タキガワスキーよ、ぬしゃー『ソックスロボ』ちゅー立派なソウルネームが……」

みどり子「ソックス!?あなた、もしかしてソックスハンター?風紀委員として見過ごせないわ!」

桃「生徒会としても聞き捨てならないな」

中村「あいたー!生徒会と風紀委員ば混ざっとったばいね!」

滝川「まて、俺は既に生徒会側だ!巻き込むんじゃねぇ!」

岩田「フフフ、敵は味方にあり!これはピンチですよタイガアァァ!」

遠坂「その名で呼ぶな!」

岩田「タイガァァァァーーーー!」

新井木「あ、イワッチが落ちた」

ここで中断しますー

そろそろ戦闘に入ると思いますが、かなり気力が必要なことがわかったので、次は遅くなるかもです
特製久遠はよくロボアニメとかであるエロいパイロットスーツみたいな感じで想像してください

>>268
現時点では最初の練習、聖グロとの練習試合、大洗での戦闘のみですからね
戦車長になったことでの影響と、5121との共闘での成長に期待

>>276
公式イラストにはスネ毛は描かれていないんですがそういうイメージがあって・・・ごめんなさい善行さん

再開いたします

優花里「それにしてもこのウォードレス、とても動きやすいですね!」

麻子「見た目はともかく、動作が非常に快適だ」

桃「これがあればヘッツァーのあの重い砲弾の装填も楽にこなせたんだがな……」

沙織「えーと、ルールブックによると、戦車道でのウォードレスの着用は禁止事項みたいだね」

あや「え~?なんで~?」

優花里「これを使ってしまうと、KV-2やマウスのような重戦車クラスが連射可能になってしまい、パワーバランスが崩壊してしまいますからね」

エルヴィン「パワーバランスと言っても、もともと黒森峰が圧倒的だったような気もするがな」

ねこにゃー「うちの隊は八両しか揃えませんでしたしね……」

杏「まー、本来は規定車数揃えて初めてスタートラインに立てる競技だからねぇ」

優花里「会長殿はその差を西住殿の腕で覆せると期待されたのですね?」

杏「私の目に狂いは無かったと思ってるよ」

みほ「会長、そんな、わたしは……」

瀬戸口「さてお嬢様方、そろそろ前線に到着だ。ここからはこわ~い芝村さんに従って行動してくれ」

舞「何が。私ほど仲間思いの芝村はおらぬぞ?」

瀬戸口「お、軽口に付き合ってくれるとは、また変わったものだな芝村」

舞「貴様は相変わらず口が減らぬ男だ」

89式に搭乗していた来須と若宮が降車し、先行して行く
コレまでは手狭な軽トラなどに乗っていたが、大洗が合流したことにより彼らの移動手段は増えた
また人型戦車は通常の戦車と違い歩兵の支援は必ずとも必要としないため、舞の判断により大洗側に随伴していた

優花里「若宮殿は12.7mm機関銃4丁を用いて単独で弾幕を張れるという、強力な歩兵であります。
    来須殿はレーザーライフルで狙撃を行い、近距離ではカトラスを巧みに操る凄腕のスナイパーです。
    歩兵でありながら銀剣突撃徽章を何度も受賞しているそうですよ!」

沙織「すごーい!そんな人たちに守ってもらえるんだ!」

舞「私が皆に期待するのは、自分の身を守り、他のものも助けられる兵だ。ゆえに彼らに期待しすぎるのでは無いぞ。」

みほ「は、はい!」

原「士魂号全機リフト・オフ。ホットからクールへ」

全長八メートルの巨人が三機、地面へと降り立つ

善行「さて、指揮車は大洗マリンゴルフの施設前で固定とします。我々の後ろには夏海湖があり、そこには原子力研究所が存在します。
   敵の狙いはここかもしれないと言う考え方もできます。絶対のここの突破は許さぬように」

舞「人型戦車もそなたらの戦車も基本的な考え方は変わらぬ。
  こちらの姿を覚られずに一方的に攻撃すれば、勝てる」

沙織「そ、それはそうだけど」

舞「そなたらの正面になにか見えるか?」

みどり子「林や建物しか見えないわ」

カエサル「敵影もなしだな」

舞「ふむ。来須」

そう遠く離れていない位置に、来須は突然現れた
少なくとも大洗の面々にはそう思えた

舞「あやつが敵であったら、そなたらは全滅だ。
  まあ、やつは自衛軍を探し回ってもそうそういない使い手であるからして、落ち込む必要は無い」

厚志「ちょっといじわるだったね。
   でも、戦車だって一流の人が使えば似たようなことはできるんだよ」

舞「そなたたちが戦車道で使っていた車輌にもスコップが乗せられていたようだが、あれは飾りではあるまい?
  ああいうのを駆使するのもありだ。また囮を使うも良し、射撃・移動・射撃を徹底するも良し。
  幻獣どもは愚鈍なれど、知性があるのだ。それは脅威ではあるが、同時に弱点でもある。
  『こうなるはずがない』『ありえない』やつらも人と同じく自分の都合のいい現実を思い込むことはある。
  そこを徹底的についてやれ」

みほは熊本で戦車道を教わったとき、幻獣戦の基礎も教わっていた

射撃即移動や、遮蔽物の利用、隠蔽などは基本中の基本であった

しかし、幻獣に知性があることを認め、その上でそれを利用してやろうなどという理屈は聞いたことが無かった

全てを利用し、全力で生き残る術を模索する―――それが5121が培ってきた戦略だったのだろう

みほ(セオリーは大事、でもそれに囚われず、柔軟に物事を考え実践する。言うのは簡単だ。でも……)

それが容易なことでないのは分っていた

これは戦車道ではなく、失敗すれば待っているのは死

人型戦車がただ移動している様子を見るだけで、それが全て洗練された動きだと分った

単純に突飛な事を行うのではなく、基本を限界まで極めた上で新たな戦い方を生み出す

みほはそれが途方も無く困難だと思いながら、きっとそれが自分が思い描いていた戦車道と共通するのだと感じていた

舞「まあ、人型は人型ゆえに出来ることも多い。
  真正面からやりあってる様に見られることもあるが、実際には色々考えて動いておるのだ。
  なれど通常の戦車にも我らに行えないことはあろう。
  それをそなたらが見つけ、我らの助けとなってくれることを期待する」

みほ「はい!」

瀬戸口「随分と教官らしさが板についているじゃないか芝村。将来は戦車学校の教官にでもなったらどうだ?」

舞「ふむ。それもひとつの道よな。だが我らにはその前にやらねばならぬことがある」

壬生屋「そうですね。わたくしも精進いたします」

舞「ああ、さっきは人型も戦車も基本は変わらぬと言ったが、壬生屋の真似はするな。
  アレは突然変異のイレギュラーみたいなものだからな」

壬生屋「人を変な風に言わないで下さい!
    わたくしも、敵そのものを盾としたり、遮蔽物や地形を利用したりと、色々考えているんです!」

麻子「それが出来るのは天才というやつだな」

優花里「なんだか雲の上の話を聞かされているような……」

壬生屋「そんことは……わたくしはこれまで沢山戦車隊の方々に助けられて来ました。
    皆さんとも協力し合って行きたいと思っています」

みほ「わかりました。全力を尽くします!」

善行「このあたりは民家も少なく、住人も既に退避済みです。
   そのあたりは気にせず戦闘に集中してください」

桃「了解しました」

瀬戸口「幻獣、1時方向に捕捉。
    先鋒にミノタウロス4、ゴルゴーン6、キメラ8、ナーガ10、グレーターデーモン10、小型が多数。
    距離2000」

舞「きたかぜゾンビやスキュラは無しか。ならば注意すべきは足の速いグレーターデーモンだな。
  あれこれ言ったが、そなたらはまず操縦に慣れることから始めるか。
  我らはグレーターデーモンを重点的に攻める。大洗はレーザー持ちを潰してくれ」

みほ「了解……あんこうチームより大洗各車へ。
   聞いての通り私たちは今回補助に回ります。操縦と戦闘の感じを上手く掴むことが目標です。
   私が移動指示を行いますので、移動完了したら報告してください」

桃「了解した」

エルヴィン「心得た」

典子「やってやる!」

沙織「こちらリスさんチーム。指定位置に付いたよ!」

みほ「分りました。小型幻獣が固まってる地点を見つけ出して照準しておいてください。
   他のチームの報告を待ちます」

やがて全チームの報告が完了
ねこさんチームの移動を待つことになる

みほ「あんこうチームよりみけねこさんチームへ。
   こちらの砲撃で注意を引き付けますので、そのあとそちらの攻撃、と言うことでいいですか?」

舞「わかった。西住よ、遠慮することは無いぞ。
  何かあれば具申するがよい」

みほ「は、はい。わかりました」

華「前は攻撃が通りませんでしたが、士魂号Lであれば……」

杏「雪辱は晴らさせてもらうよー」

みほ「各車、攻撃後はさらに指定した位置への移動を行うように」

梓「了解です」

みほ「……撃て!」

9両の車輌から放たれた砲弾、榴弾、擲弾が幻獣に襲い掛かる
無数のゴブリンは吹き飛ばされ、消滅していく

生き残った幻獣は砲弾が飛来した方向に敵意を向けるが、既にそこに車輌は存在しない

舞「ふむ、よい配置だ。敵も完全に我らに背を向けておるな。厚志」

舞は戦車兵の車長がそうするように、前のシートを軽く蹴る
ジャベリンミサイルを使うまでも無く、士魂号のジャイアントアサルトは傷ついたグレーターデーモンを瞬く間に葬り去ってしまった

ののみが矢継ぎ早に撃破した幻獣を報告する

速水「うん、コレは楽だ。かえって張り合いが無いくらい」

滝川「むぇ、もうデーモン消えたのか。俺はどいつ攻撃しよう」

みほ「あんこうチームよりトラねこさんへ、奥のゴルゴーンとミノタウロスに砲撃をかけます。
   それに気をとられたキメラとナーガを味方車輌と共に攻撃してください」

滝川「……あ!俺か!わかった」

奥の敵への攻撃はあんこうチームとアヒルさんチームが行った
射撃後、即移動する
装甲の硬いミノタウロスとゴルゴーンは撃破仕切れなかったが、反対側からの攻撃でキメラとナーガは消滅

沙織「ミノ助があっちを見たりこっちを見たりしてるよ」

壬生屋「遅いです!」

右往左往するミノタウロスを背後から士魂号一号機が超硬度大太刀で一刀両断にする
逆の手に持ったもう一振りの刀でさらに一閃
ダメージを負っていたミノタウロスはあっさり二匹が倒される

みほ「くろねこさん、離脱してください」

壬生屋「はいっ」

離脱する一番機を攻撃しようとした残り2匹のミノタウロスに、砲弾が直撃、爆散した

あや「やった!」

エルヴィン「すぐ移動だ!」

優花里「了解!」

ゴルゴーンは近くのミノタウロスへの誤射を恐れていたのか攻撃ができず、仲間がやられた後に攻撃態勢に入るが

滝川「もらったぜ!」

二番機は92mmライフルに持ち替え狙撃
それに追従してウサギさんチームやカメさんチームも攻撃を行う

みほ(滝川さん、他の車輌が一匹撃破する間に二匹撃破した……!)

瀬戸口「捕捉範囲内の幻獣、全て撃破」

沙織「やった!」

みほ「各車、警戒を怠らないで下さい」

舞「ふむ……西住よ、なかなか良い配置であったぞ。ああいうのは経験が物を言うものだが」

みほ「は、はい!ありがとうございます」

舞「この間の戦闘では護衛対象がいたからな。ようやくそなたの実力が見れたぞ」

瀬戸口「芝村にこう言わせるとは。西住さん、自慢しちゃっていいぞ」

みほ「あうぅ……」

舞「また貴様は……」

速水「でも、幻獣もちょっとやる気がない感じがしない?」

壬生屋「確かに、熊本の頃の鬼気迫る様子は見られませんね」

舞「だが油断はするな。敵は己の中にあると思え」

ののみ「ひげねこさんチームよりみんなへ。戦闘指揮車は前進します」

善行「さらに南下し、自衛軍の本体とも合流します。
   既に大量の鉄量で戦況は決しつつあるようですが、何が起きても対処できるよう心がけておいてください」

瀬戸口「戦線の端のほうへ。友軍の砲火から逃れてきた幻獣を追撃します」

みほ「これは意図的に幻獣を誘導してると見ていいですね?」

舞「そうだな。平地ゆえ敵の散開は防ぎたかったと見える」

みほ「こちらは十字砲火の形を取ります」

舞「わかった。今度は我らが敵をおびき寄せよう」

士魂号三番機と士魂号一番機・二番機はそれぞれ距離を置いて建物の陰に隠れる
三番機が最も突出した形になっており、流れてきた幻獣をやり過ごす
敵が過ぎ去ったところで三番機は立ち上がり、既にロックオン済みのジャベリンミサイルを一斉発射、一目散に退避した

怒り狂い三番機を追う幻獣を、さらに二番機が狙撃
生体ミサイルやレーザーを発射することなく消滅していく

みほ「煙幕弾発射」

みどり子「了解」

ねこにゃー「発射します」

足周り良好な警戒車や装甲車から煙幕弾が発射される
これは5121特製の弾頭であった

幻獣の中にはスキュラの姿もあったが、これではレーザーも使えない

壬生屋「参ります」

煙幕の中で零距離戦闘が出来るのは壬生屋の一番機のみである
次々と敵の背後から襲い掛かり、煙幕が張れる前に退避する
重装甲の幻獣は粗方片付いてしまった

みほ「煙幕が晴れると同時に、一斉砲火を行います」

友軍のものも含め、旺盛な砲撃が行われた
最早退路も無くなす術も無く消滅していく幻獣たち
しかしみほは妙な予感がした

みほ(わたしたちが来なくても、友軍はこんなに押していた……
   でも敵は一行に引く気配を見せない……?)

舞「にしず……あんこうチーム、どうかしたか」

みほ「友軍の布陣がどのような形になっているか分りますか?」

瀬戸口「かなり密集してきているな。敵は北浦湖畔の方へ退却を開始した」

みほ「……追撃は友軍に任せ、私たちは北に引き返しませんか?」

善行「レーダーには幻獣の姿は確認されていませんが……いいでしょう」

みほ「カモさんチームはヤマネコさんとくまさんを収容
   アリクイさんチームと共に先行してください」

みどり子「わかったわ」

ねこにゃー「了解です」

若宮「いまだ俺たちの出番なし、だな」

来須「……」

みほは砲塔から半身を乗り出して周囲を警戒していた

あたりには敵影も無く、指揮車のレーダーにも未だ反応は無い

杞憂であったなら、それでいいと思った

しかし大洗での避難誘導の際、致し方なかったとはいえゴブリンを放置したことで後々危機を招いたことが脳裏をよぎった

みどり子「こちらカモさんチーム。夏海湖付近まで後退したわ」

ねこにゃー「アリクイさんチームも、異常なしです」

みほ「了解。二チームは分かれて夏海湖周辺を引き続き警戒してください」

来須「俺たちは?」

みほ「危険ですが……出来れば車上で警戒してもらってもいいでしょうか」

若宮「ははは、わかった、了解だ。
   女の子がやってるのに俺たちがやらないわけには行くまい?」

みほ「いえ……私は安全なときに出てますから……すみません」

やはり気のせいだったか?

体の緊張をほぐすため体を伸ばし、ふと空を見上げると

青い空の中になにか浮かんでいるものが見えた

みほ(鳥?)

なにか、嫌な感じがした

瀬戸口「お、おい石津?」

石津「西住さん……それは……敵……!」

みほ「! ヤマネコさん!あんこうチーム現地点より2時方向上空!」

来須「……避けろ!」

麻子「つかまれ!」

麻子が自分の判断で車輌を急ターンさせた
すぐ横をレーザーが掠める

舞「おい、どうした!」

来須「敵を狙撃した。まだ消滅は確認していない。急行する」

来須は車輌から飛び降り徒歩で知性体の落下地点へと向かった

ウォードレス『武尊』を着込んだ来須は歩兵とは思えないスピードで駆けて行く

>>339の「知性体」は誤りで「敵」です

みほ「麻子さん、ありがとう!やられるところだった」

華「こちらの仰角外から攻撃されるとは……」

麻子「今のは自分でも僥倖だ……二度と出来る気はしない」

来須「敵の死体を確認、こいつは……」

若宮「やつを護衛していた少数の小型幻獣を始末した……そいつは、人のようで人じゃない存在だ」

みほ「人のようで……人じゃない……」

善行「死体……?消滅はしていないのですか?」

来須「ああ」

善行「……わかりました。竜師長直属の部隊に連絡を取ります。現場は保持してください。     えー、カモさんチームのみなさんは西住さんの指示にしたがって撤収してください。
   ヤマネコとくまさんは別経路で帰還させます」

みどり子「りょ、了解」

善行「あんこうチーム、よくやってくれました。レーダーに映らない敵に良く気付きましたね」

みほ「ぐ、偶然です」

舞「偶然でも、アレを放置してしまった場合を考えると勲章ものの成果だ。
  やはり目的は研究所だったようだな」

瀬戸口「友軍より通信がありました。敵幻獣の攻勢は止まり、現在はほぼ掃討完了とのこと」

ののみ「だいしょうりだよー!」

沙織「か、勝ったの?」

エルヴィン「ああ!今度は文句無しに我々の勝利だ!」

優花里「ヒャッホオォォォォウ!!」

あや「秋山せんぱい、うるさーい!」

この日、自衛軍と学兵の部隊は幻獣との戦闘に勝利
大洗周辺に出現した幻獣は消滅した

今回は以上です
「知性体」は榊ガンパレのみの呼称で、本作には出ません
訂正前のものをそのまま載せてしまいましたw
次回更新はまた深夜になりそうです

なかなか予定したところまで書けませんが
再開しますー

戦闘が終わり、中隊は間借りしているアウトレットへと帰還していた
少し日は傾き始めたものの、夕方というには早い時間である

優花里「それにしても、戦闘指揮車があると便利ですね!」

みほ「これまでは目視での索敵しか手段が無かったからね」

沙織「レーダーって凄く便利!」

舞「過信はせぬことだ。神経を研ぎ澄ますことを常としておれば、西住のような功を上げることもできる」

厚志「あはは。舞ったら随分と西住さんがお気に入りになっちゃったみたいだね」

舞「む……否定はしない。だが他の者を差別をした覚えも無い。戦友はみな、かけがえの無いものだ」

華「芝村さん……」

麻子「この後の予定はどうなっている?」

桃「それについてだが、善行司令が自衛軍、学園艦側との協議に向かっている。
  おそらく報告は後日になるらしいので、今日はこのまま解散でいいそうだ」

沙織「あ、それじゃあさ!芝村さんを連れてあの露天風呂にいこうよ!」

華「良いですね!今からなら綺麗な夕日が見れると思いますよ」

優花里「名案です!」

麻子「じゃあその後はまたお食事会だな」

みほ「わ、私の部屋?今度は入りきれるかな……?」

舞「待て!……迷惑ではないのか?私は芝村だぞ?」

沙織「まっさか~!」

優花里「大歓迎ですよ!」

みほ「わたしたちだって、仲間を差別する人は誰もいませんよ」

舞「……!」

厚志「お、舞のこういう顔は珍しいね」

舞「み、見るでない!」

厚志「いいな~僕もお呼ばれしたいな~」

舞「たわけ!婦女子の部屋に上がり込むつもりか!」

厚志「あはは、冗談だよ。滝川たちとその辺見て回るつもりさ」

瀬戸口「しかしお前さん、同年代と遊んだりなんぞしたこと無かったろ?まともに話ができるのか?」

舞「馬鹿にしおって!私とて『がぁるずとぉく』なるものに憧れておったのだ!こう見えて雑誌などもチェックしておる!」

滝川「それは気合入りすぎて空回りしてるだろ……」

みほ「ふふふっ」

舞「ぐぬ!そなたまで笑うか?」

みほ「大丈夫だよ芝村さん!さ、行こう!」

一行は露天風呂に到着
ちょうど夕日が見れる時間帯であった

舞「ほう、これは見事なものだな」

優花里「洋上を航海中であれば一面大海原で更に素晴らしいですよ!」

沙織「ところで芝村さん、その……」

舞「どうかしたか?」

華「タオルは巻かないのですか?」

舞「何を言う?タオルを巻いたまま湯船に入るのはマナー違反であろう」

麻子「ああ、全くその通りだ」

舞「む」

麻子「ん」

舞と麻子はお互いの体、もとい胸を見て
ガッチリと握手を交わした

沙織「なんだかなー」

みほ「あはは……」

優花里「しかし芝村殿は、一見華奢ですがその実、とても鍛えられたお体をしていますね」

舞「兵士は体が資本だ。それは歩兵も戦車兵もかわらぬ。とくに人型戦車はその形状ゆえGも強く掛かる。初めのうちは苦労したものだ」

優花里「わかります!私も装填速度向上のために筋トレなどしておりました!芝村殿のようになれるよう精進します!」

舞「私のように……」

沙織「私ももうちょっと絞った方がモテるのかなー?」

華「沙織さんは今でも十分魅力ですよ」

みほ「鍛錬か……」

舞は他のメンバーの体を、もとい胸を見て
涙目で言った

舞「……勝ったと思うなよ!!」

沙織「何が!?」

さらに一行はみほの部屋に上がり込んでいた
流石に六人ともなると少々手狭である

舞「お、おおお!この沢山のぬいぐるみは……!」

みほ「あ、これは『ボコられグマのボコ』っていうシリーズでね?とくにお気に入りは……」

舞「ふむ、ふむ!しかしこの傷は、もしや勇ましく戦った名誉の傷であったり……」

麻子「始まった」

華「芝村さんは、ぬいぐるみがお好きなようですね」

沙織「今のうちに準備しちゃおっか」

優花里「では飯盒炊爨の用意を……」

沙織「やっぱそれ使うの?」

舞「ほう!これはなかなか美味いな!」

沙織「お口にあってなにより~」

華「普段のお食事はどうなさっているのですか?」

舞「学園艦にいた頃は、よく学校近くの定食屋の世話になっていたな。あそこのアップルパイは絶品であった」

麻子「ほほう、食べてみたいな」

舞「今は軍のレーションを食べたり、隊で炊き出しを行ったりな。あと、厚志の奴は料理が趣味でな、たまに貰ったりもする」

沙織「え?なになに愛妻弁当!?」

みほ「愛妻は違うんじゃ……」

舞「ち、違う!他の者にも配っているものだ!」

沙織「なーんだ。あ、でも速水君のお料理も食べてみたいね」

舞「手軽に食べれるサンドイッチや握り飯が多かったな。本格的なものは中村が得意だ」

優花里「そういえば一年生が中村殿から手作りプリンを貰ったと言ってましたね」

沙織「へぇ~意外」

舞「中村め、対価に靴下を要求したりしていないだろうな……?」

みほ「靴下?」

舞「いや、なんでもない」

舞は5121に連絡を取り、今日はみほの部屋に泊まることになった
他の大洗のメンバーは帰途に着き、二人で部屋に戻る

しばらくは先ほどの会話の続きや、他愛の無い世間話のようなものまでしていた
舞は念願の『がぁるずとぉく』を堪能できたようで満足そうであった

ふと、会話が途切れたときに舞は切り出した

舞「実はな、そなたの母と姉には会ったことがある」

みほ「え?」

舞「そう不思議なことでは無かろう。そなたの姉は熊本の英雄の一人だ。我らと共に戦ったこともある。見事な手腕であった」

みほ「……!」

舞「そなたの母については、5121が駆け出しの頃、自衛軍との模擬訓練で相手をしてもらった。
  コテンパンにやられてしまったがな。戦車隊にああもしてやられたのはあの時だけだな」

みほ「……」

舞「そなたの名を聞いたときには得心が行ったと同時に少し驚いた。旧式車輌で幻獣と渡り合える者などそうはおらぬゆえ、話に聞いていた妹だとな。
  だが、なればなぜ大洗の地にいたかは……」

みほ「それは……」

舞「聞かせてくれぬか」

舞「それに撤退戦以後、二人の近況が入ってこぬのだ。プロパガンダにはよく出てくるのにな
  軍のデータベースにハッキングしてみたが、不自然に情報が消された形跡があった」

みほ「芝村さんには、隠し事はできないね……」

みほはどうしてだか分らないが、舞には素直に話してしまおうと思った。
緘口令が敷かれていることなどどうでも良かった
まだ大洗の仲間にも話していない秘密を、全て話した

舞「……そうか。西住まほは戦死していたか」

みほ「……」

舞「惜しい者を亡くした」

みほ「きっと、私のせいなんです。お姉ちゃんは強く頼れる人でしたから。無責任に仲間を置いていってしまうような人じゃなかった」

舞「……」

みほ「私はみんなを守りたくてまた戦車に乗ったけど、いつかみんな不幸にしちゃうんじゃって思ってしまうんです。
   お母さんだって、もう私には期待なんかしてなかったんだ。だから何度励まそうとしても……」

舞「西住よ、それは違う」

みほ「え……」

舞「かつて私自身がののみに言われた言葉がある。『過去はただの思い出なの。重要なのは未来なのよ』と。
  そなたは戻ってきた。大人たちが現実から目を背け、子供たちに過酷な戦いを強いる戦場へ。それはきっと、尊く強いものだ」

みほ「重要なのは……未来……」

舞「なにも幻獣との戦いだけの話ではない。そなたは過去を乗り越え、今を生きているのだ。
  事実、そなたは多くの命を救い、またこれからもそうしていくだろう。私が保証する。だから……」

みほ「……?」

舞「もう、良いのではないか?」

みほ「! う、ぐすっ……ふぇ、うわあぁぁぁぁぁん!」

みほはその時、まほが死んだと聞かされてから初めて泣いた
全てを打ち明け、それを受け止めてくれる人が現れ、ついに堰が切れたように
舞の胸をかりて、みほは思い切り泣いた

舞「泣いて許されるのは子供の頃だけだ。しかし、泣いて前に進めるというのであれば、私はそれも良いと思う。
  そなたは今、子供ではなくなり、多くを救う力となった。なれば私は、友を救う剣となろう」

みほ「芝村さん……ありがとう……!」

舞「これから私のことは『舞』と呼ぶが良い。私も、そなたのことを名前で呼ぶと決めたぞ」

ここで中断いたしますー

たしかオケでも知性体って言ってなかったか

翌日、今度はアウトレットの間借りではなく、大洗学園の会議室に中隊は集まっていた
5121のメンバーも学園艦上の宿泊施設を利用していたためである
装備も全て搬入していた

善行「まずは昨日の戦闘、ご苦労様でした。あの戦闘により茨城における幻獣は全て消滅。
   学園艦に避難していた住民の帰宅も順次始まっています」

桃「もう全面帰宅が始まったのですか?間を置いて再び幻獣が襲撃するということは……」

善行「軍はその心配は無いと発表しています」

舞「それはみほが発見し来須が倒したという『敵』とやらが関わっているのか?」

善行「これが非常に歯がゆいことなんですが、お答えできないのです」

舞「わかった」

沙織「え?」

舞「答えられないということはつまりそういう事だとみて間違いなかろう」

善行「おやおや。判っていることは特殊部隊がそれを持ち去ったことと、軍からの公式発表が無いということだけですが」

舞「大方の見当はついている。だがここでそれを言ったことで詮の無いことだ。今後の方針を話すが良い」

善行「わかりました。我々は今後学園艦にて訓練を行います」

桃「訓練、ですか?」

善行「はい。九州を幻獣に奪われてからもう一年が経とうとしています。
   軍は再編をすすめ、完了すれば奪還作戦を行う心積もりでいます」

みほ「九州、奪還……」

善行「そしてそれには学兵の戦力も不可欠です。一部本土防衛用の戦力を残し、学園艦は九州へ集結
   自衛軍と協力し九州各方面からの攻勢をかける予定です」

麻子「軍と文部省はあまり仲が良くなかったはずだが、よく一大作戦が実現したな」

みどり子「九州を取り返す作戦なのよ!協力するのが当然よ!」

麻子「みんながみんなそど子のような正義感を持っているわけじゃない」

みどり子「どういう意味よ?」

柚子「軍は学兵に頼らざるを得なかったっていう負い目を持っている人もいるの。
   旧帝国軍から流れを汲む軍だから、プライドが高い人も多くて」

杏「強力な戦力をもつ学園艦を傘下に置きたいって考えの人もねー。学園艦はあくまでも文部省の管轄だから」

みどり子「でも、文部省の人たちは義憤に駆られて国を守ろうっていうんでしょ?立派じゃない」

エルヴィン「だが、戦うのは学生たちだ。役人じゃない」

舞「良くも悪くも、文部省の人間には現実が見えておらぬものが多い
  戦車道を武芸として守ろうという気概は立派だが、今は戦わねばならぬときだ
  プロパガンダを真に受け、不必要な学兵を全て除隊させよ、または一気に九州を取り返してしまえ、などとのたまう役人を何度も見た」

厚志「仕方ないよ。その人達は戦場を知らないんだもの」

若宮「知らないままのほうが幸せなこともあるがな」

桃「戦車道の大会が中止になり、我々の徴兵が早まったのも……」

杏「あぁ~、裏で何かあったのかもねー?」

あや「難しくて全然わかんない」

優季「ホント馬鹿だな~あやは~」

あや「よりによって優季ちゃんに言われたー!?」

善行「……とにかく、作戦は行われることになります
   ただそれはもう少し先になりますが
   先ほども言いましたが、軍の再編完了、および学兵の訓練完了を目途に後々通達があるはずです
   学園艦はゆっくりと南下しつつ九州方面に向かいます
   我々は学園艦で訓練を行いつつ、もし幻獣が出現すればその駆逐に向かいます」

大洗学園のグラウンドに集合したメンバー
舞から訓練の内容が告げられる

舞「早速だが、本日は5121と大洗で模擬戦を行う」

沙織「このパターンは」

華「蝶野教官のときと同じですね」

瀬戸口「艦の住人には報告してあるが、幻獣襲撃でナーバスになっている住人もいるかもしれない
    フィールドは山岳や森林部分に限定してくれ」

桃「砲弾にはペイント弾を使用する」

原「人型戦車はデリケートな期待だからね。それに部品の調達も手間だし」

森「一応、戦車道で使われる車輌よりは頑丈ですが、人工筋肉や搭載コンピューターなどのことも考えての措置です
  了承してくださいね」

杏「ああ、こっちは構わないよ」

瀬戸口「撃破判定はコンピューターで行う
    塗料が端っこにくっついたくらいでは撃破とはならないぞ」

中村「壬生屋の太刀には特別に柔らかい素材ば使っとる
   芯にスポンジのよーな素材を巻きつけたものたい
   じゃっどん、それでもかなり重量があるばってん、気をつけてくれ」

舞「さらに今回はフラッグ車戦ではなく、殲滅戦だ。最後まで気を抜くでないぞ」

ののみ「みんな、頑張ってねー!」

みほ「はい!みなさん、行きましょう!」

各員はスタート位置へ向かう
5121小隊は3機、大洗の車輌は9輌である

リスさんチームの戦車長である沙織から通信が入る

沙織「これって、かなりこっち有利なんじゃないの?」

エルヴィン「油断するなと言われたばかりだろう」

優花里「そうですよ!一騎当千と名高い5121小隊の方々が相手ですよ?」

みほ「昨日の戦闘も、むしろ私たちに合わせて戦ってくれた印象がありました」

カエサル「人型戦車の本領、見せてもらおうか」

瀬戸口「みんな、位置に付いたか?そうだな、じゃあ戦車道にならって開始前に挨拶するか」

舞「おい、これは実戦を想定した……」

厚志「まあまあ、これからお世話になるんだし」

壬生屋「わたくしは、いいと思いますよ」

ののみ「それじゃあ、みんなで礼!」

みほ「よろしくお願いします!」

舞「ぬう、よろしく頼む」

みほ「直線での速度はともかく、機動力は人型の方が遥かに上回ってると考えてください
   私たちはとにかく敵の視界に映らない戦いを心がけます」

みどり子「私たちが敵を先に発見すればいいのね?」

みほ「人型には近距離レーダーが搭載されています
   特に三号機は他の二機以上の性能のものを有しているので、捕捉されればまず勝ち目は無いと考えてください」

ねこにゃー「せ、責任重大です……」

桃「こちらカメさんチーム!見つけたぞ!つり橋の前……うわ!ジャンプした!速い!もう来るぞ!」

みほ「偵察車輌は全車後退してください。私たちは十字砲火の隊形をとります」

典子「移動完了!」

沙織「いつでもいけるよ!」

梓「ちょうどいい窪地がある!そこにモコス入れよう」

みどり子「先頭は軽装甲二番機!」

みほ「射程に入ったらアヒルさんチーム、カバさんチーム、リスさんチームは射撃開始」

沙織「わかった!……あれ?」

カエサル「来ない……?」

みどり子「二番機が消えたわ!どういうこと!?」

みほ「おそらく匍匐姿勢で木に隠れていると思います。先頭チームは注意してください!」

ねこにゃー「キャアアアア!」

瀬戸口「アリクイさんチーム、走行不能!」

桃「な……一番機だ!」

みほ「! 隊形を変えます!アヒルさんチームとリスさんチームは更に後退!高い位置から一番機を攻撃してください!」

桃「わ、我々は!ええい撃てー撃てー!」

柚子「桃ちゃん落ち着いて!」

みほ「キメラさんチームは前進、カメさんチームを庇いつつカバさんチームと共に二番機を攻撃」

エルヴィン「了解だ!」

みほ(三番機は、まだ見えない)

みほ「ウサギさんチームは現地点を維持してください
   カモさんチームは11時方向に移動、二番機を挟撃してください」

みどり子「了解……うわ!」

瀬戸口「カモさんチーム、走行不能!」

みどり子「ごめんなさい、やられたわ」

みほ(速さも練度も違いすぎる!……でも諦めるわけには行かない!)

忍「すごい、サスペンションで姿勢維持が楽だよ!」

あけび「でも、一番機が止まらない!」

妙子「全部ギリギリで……!肩とかには当たってるけど」

みほ「重装甲の一番機は、致命的な部位に当たらない限り戦闘不能に出来ません!連射してなんとか頑張ってください!」

あけび「動かない的には当てられるのに、こんなに難しいなんて!」

優季「うわわ!こっちくる!」

沙織「こ、後退!」

みほ「ウサギさんチーム!今です!」

梓「一番機の背後、撃て!」

あゆみ「あたれぇ!」

瀬戸口「リスさんチーム、走行不能!」

沙織「え!?」

みほ(わざと同士討ちを狙った位置取りに……!)

梓「に、逃げないと!」

桂利奈「動けないよ!」

典子「まずい、ウサギさんチームが窪に嵌って抜け出せない!」

あけび「今助け……、あれ、逃げていく?」

みほ「……!華さん!アヒルさんチームの後ろ!」

士魂号三番機複座型は山を大きく迂回し、背後に回ってきた
一番機に気を取られたアヒルさんチームを撃破、次いで動けないリスさんチームも撃破してしまう

華「発射!」

みほ(避けた!うそ、今のは絶対当てたと思ったのに……)

みほ「麻子さん!ジグザグに後退!」

麻子「掴まっていろ」

あんこうチームの士魂号Lは木々を盾に後退していく
三番機は猛スピードで射撃しながら追ってくる

その間、二番機の射撃がカバさんチームに直撃

瀬戸口「カバさんチーム、走行不能!」

カエサル「ぐぬっ!無念だ!」

そのとき、三番機の後部ミサイルコンテナのハッチが開くのがみほの目に映った

みほ「停止!三時方向に移動!」

爆薬の変わりに塗料の詰まったミサイルが次々と飛来
カメさんチームとキメラさんチームは撃破されてしまった

間一髪逃れたあんこうチームは

みほ「二番機を狙って!」

華が即座に射撃
虚を突かれた二番機の手元に命中
しかしジャイアントアサルトを取り落としただけで撃破には至らない

みほ「三番機の足元に直進!麻子さん、華さん、お願いが!」

麻子「……やってみよう」

あんこうチームは反転し、緩やかな斜面を下り急加速する
待ち受ける三番機はジャイアントアサルトを発射
それを速度を乗せたドリフトで回避する

後ろに回りこんだ士魂号Lは背面に向けて砲撃する
しかし……

みほ「消えた……」

直後に衝撃
ペイント弾が士魂号Lの後部上面に着弾した
三番機はジャンプして攻撃をかわし、そのまま空中から攻撃してきたのである

瀬戸口「あんこうチーム、走行不能!」

ここで中断します

>>366
あれ、そうでしたっけ
オケは記憶が中途半端ですw
少なくとも「知性体」というユニット名では無かったですね

乙。
まあ順当な結果だよな

    ______________________________

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  |            __ } /′ イ仁≧トミヽV ,仏イk∠二 ヽ { __           |
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  |          /∠ .:.::人 Vi { ヽ   ヽト     j}   リ /{ ヽ\::.:∧ ヽ         |
  |       |7.: .:::ヽY≧ ミヽ_           {イ{〈 バ∨::: : .L|          |
  |        |ニ. : :::::_ノ/ニVリノk‐、ミz、_,  〈_,.ィ弌テ‐いV^ヽ込_::: .:.{ |           |
  |         | 「{ .:::/ 八 //                  ヾミァ ハ j〉:::::. 〕|       |
  |         \〉__ ゝ{〈 {Y {廴_       |           r 厶イリ __∠r──_─_--、!
  | /_,二二 ,ニ=── `ヾ辷T´      L         k'イ´ ̄丁「 ̄ `ヽ    ゙ヽ|
  レン    //´      _ノ/ l    、_ `_^ _ _, ヽ  / トドミ辷二二二彡′    |
  |{     ヽ辷二二二ィハ{   \ (_ `  ─‐‐ '´¬   / /ハ{      ト-ミー- -一彡|
  ドミー──一_ イ「/|   \ヽ _ r ' `二ニ=-─<  イ /  ′    |   `T丁 ̄ハ|
  | /フ了丁i「ヾ l{  ',      ノ>'´, -──-、__`) `Y       // ′′i  { ゙|
  |〃 /   l|  Y! い、   /  r‐'´ , -───- 、  ',     /イ / / ハ   ヽ |
.   \r─────‐┐ト、ヽ  /    ー'  ィ--──ー'   v‐¬    く 厶/ j/   ヾ、/
.    | 芝村竜師長 !  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

.    ├─────;┴──────────────────────────┐
.    |  俺だ。                                               |
.    |  続きを投下する。                                    |
.    |  どうでもいいが、こうやっていると俺は故人の写真みたいだな。        |

.    |_________________________________!

グラウンドの倉庫前に戻ってきた5121と大洗の面々
相手を一機も撃破出来なかった大洗のメンバーは悔しさをにじませる

杏「や~ら~れ~た~!」

柚子「完敗です~」

沙織「ううう……ここまでコテンパンにされるなんて……」

エルヴィン「侮っていたつもりは無かったんだがな」

優花里「噂に違わぬ強さでした」

ももがー「なんにもできなかった……」

左衛門佐「せっかく回る砲塔を手に入れたのに!」

忍「もっとチームワークを……」

厚志「あはは、でも僕たちも結構本気だったからね。山から頭出した途端に撃たれるとは思わなかったよ」

舞「なまじ、そなたらの攻撃が苛烈だったゆえ、こやつめのスイッチが入ってしまったのだ」

桃「こ、怖かった……!」

壬生屋「こちらもヒヤリとはさせられたのですよ?」

滝川「あそこから撃って来るとはな、正直ビビッたぜ」

舞「そなたらは実戦と訓練の順序が逆だったのだ。それに新兵にやられたとあっては我らこそ名折れであろう」

厚志「レーダーもミサイルもフル活用しちゃったからね。ちょっと大人気なかったかな?」

華「みほさん?」

みほ「隠蔽はもっと巧妙に、展開は素早く、それに射撃時に足を止めすぎた……索敵も……」

舞「……うむ」

瀬戸口「みんな、お疲れ様だ。差し入れがあるぞ」

ののみ「おつかれさまー!みっちゃん特製メロンパンだよー!」

あや「食べていいの!?」

瀬戸口「ああ。疲れも吹っ飛ぶぞ」

桂利奈「やったー!」

あゆみ「いただきまーす!」

優季「おいしー!」

梓「紗希ちゃんもおいしいって!」

麻子「一年は元気だな」

優花里「落ち込んでる暇はありませんね!戦略を練って、みんなで強くなっていきましょう!」

警備、歩哨を兼ねたランニングから随伴歩兵の二人が帰還する

若宮「お?模擬戦終わったのか?5121の勝ちか。来須、賭けは俺の勝ちだな」

来須「……」

華「来須さんは、私たちに賭けてくれていたんですか?」

みどり子「賭けなんて校律違反、いえ法律違反だわ!」

若宮「ははは、負けたら腕立て500回追加だから、見逃してくれ」

瀬戸口「そうだ、次に模擬戦するときは随伴歩兵を大洗に付けてみたらどうだろう?」

沙織「おお!男の人二人に守ってもらえる!」

麻子「またそれか……だが確かに心強い」

滝川「げ!来須さんに若宮ァ!?」

壬生屋「歩兵はレーダーにもほとんど反応しませんし……」

厚志「あは、ちょっと楽しみになってきた」

若宮「ふはは、たまにはお前たちに敗北の味を思い出させてやるのも良いかもな!」

来須は黙って帽子を深く被り直した

ナカジマ「うん、塗料を落として傷を修復」

スズキ「戦車道の訓練の頃よりはずっと楽だね」

ホシノ「でも足回りとか内装とか以前より複雑になってる分、丁寧にやらないとね」

ツチヤ「コンピューター部分とかは流石に……5121の人に相談してみようか」

みほ「すみませんが、みなさんよろしくお願いします」

ナカジマ「おっけーおっけー!こっちもいろんな車輌いじれて楽しいしね!」

整備員に専念することになったレオポンチーム
車輌も9輌に増えたが、5121の整備員はもっと大変なように見えた

原「脚部用人工筋肉、疲労してるわ!代替部品持ってきて!速水くん、ちょっと張り切りすぎじゃないのかしら」

小杉「芝村サンの話だと、速水サンはとても楽しソウに操縦してたソウですヨ?各部バランサーに異常はありまセン」

森「点検が終わったら芝村さんに調整をお願いします」

田辺「二番機に付着した土、ジャイアントアサルトに付いた塗料は落としました」

遠坂「本体に損傷は無いですね」

狩谷「他より軽いから人工筋肉の負担も少ないしな。調整が済んだら他を手伝おう」

中村「こいつはまた、派手に動かしたばいね。相手もなかなかやりおるたい」

岩田「フフフ。新井木さん、損傷が無いからといってサボったら靴下をそっと新品に変えますよ」

新井木「ヒイィ!やめてよ気味が悪い!やるよ、やりますから!」

田代「オラッ!俺たちは大洗の戦車整備しに行くぞ!」

茜「なんでだよ!僕には関係ないだろ!」

田代「あぁ!?無職が粋がってんじゃねぇ!仲間の車輌はみんな面倒みるんだよ!」

茜「うぐ!くそっ何で僕が……!」

訓練修了後のミーティングも終わり、戦闘員は帰宅となった
大洗のメンバーは基本的に訓練・戦闘時以外では発足時のチームで行動することが多い
みほも元々のあんこうチームの五人で帰途についていた

華「みほさんと芝村さん、いつの間にか名前で呼び合う仲になっていたのですね」

みほ「うん、前に泊まって貰ったとき、色々話を聞いてもらって仲良くなっちゃった」

優花里「はあぁ!熊本の英雄芝村殿と我が大洗の軍神西住殿があつい友情で結ばれるとは!そしてその方々のもとで戦える私は幸せ者ですぅ!」

みほ「お、大げさだよ……」

麻子「芝村隊長とは私も少し話をした」

優花里「えぇ!そうだったんですか!?」

麻子「なかなか実のある話が出来た。とくに数学やプログラミングについての造詣が深く為になった」

沙織「うぇ、私には縁がなさそう……」

優花里「天才同士の世界ですね」

華「歴女チームの皆さんも芝村さんとお話しているのを見ました」

みほ「舞さんは、歴女チームが自分たちの間違った知識を正してくれるようお願いしに来たって言ってたよ」

沙織「一年のみんなは整備の人達と仲良くしてたみたい」

華「可愛がられていましたね」

麻子「餌付けされているとも言う」

優花里「バレー部の方々は、随伴歩兵の方にトレーニングをつけさせてもらうと言っていました」

沙織「ええ!想像しただけで疲れちゃうよ!」

華「熱血ですね……」

沙織「アリクイさんチームは?」

みほ「加藤さんと一緒に何か話してたよ」

麻子「あやしい」

みほ「そんなことは……」

華「わたくしは、壬生屋さんと少しお話させていただきました。壬生屋さんの御家も古武道の家元らしく、なんだか気の会う部分がありました」

沙織「へぇ~。雰囲気あるもんね」

優花里「私は、ぜひ善行殿に卓越した兵站運用の極意をお聞きしたいのですが、お忙しいようでなかなかお話が出来ません……」

沙織「兵站ってなに?」

みほ「簡単に言えば戦闘支援かな?物資の輸送とか、基地の設置とか、衛生管理なんかもそう」

優花里「いかに兵士が強力でも、腹が減っては戦はできません!善行殿が細心の注意を払って戦線を構築したことにより、多くの人兵が救われたと言われています!」

沙織「なるほど、訓練して戦うだけが戦争じゃないんだね」

沙織「私は、瀬戸口さんとちょっと話したの。あ、もちろん壬生屋さんにちゃんと了承はとったよ?
壬生屋さんは女の人にだらしの無い人って言ってたけど、瀬戸口さん、戦場で酷い目にあった人を放っておけない人なんだってわかった
そういう人たちと『無駄話』するのが趣味なんだって。きっと優しい人なんだね、壬生屋さんは大変そうだけど」

みほ「5121はそういう人がいっぱいいるね」

優花里「はい!」

沙織「それにしても人型戦車、凄かった~」

みほ「反省しきりだよぅ」

優花里「西住殿のチームが一番活躍していたじゃないですか、我々も努力します!」

華「あの機体はなぜ作られたのでしょう?」

麻子「普通であればデメリットが多すぎて作ろうとは思わんからな」

優花里「では、私が説明しましょう!」

沙織「しまった!始まった!」

みほ「せっかくだから聞いておこうよ」

優花里「AMTT519(M)士魂号M型、スピリットオブサムライとも言います
もともと、熊本では『士魂号』と名がつきながら異なる形式の戦車が沢山合ったといいます
各学校でそれぞれが改修されたからでしょうかね。この人型戦車はあくまでそれら士魂号のバリエーションと言って発表されたそうです」

沙織「それはいくらなんでも無理があるんじゃ」

優花里「それはそうなんですが、滝川殿のように人型という、ロボットと言ってもいい姿に大喜びした偉い人がいたんでしょうね
開発のGoサインが出されまして、人工筋肉を装備した複雑な機体が作られました」

華「たしか、その人工筋肉にはたんぱく燃料が用いられていると……」

優花里「ええ、一応人工筋肉もたんぱく燃料も人間が食べることも出来るそうです。あまり考えたくないですが……」

沙織「うぇ~」

優花里「97年に完成しましたが、いざ運用試験となると整備は大変、120mmを撃てば筋肉は捻挫するわ歩こうとすれば転ぶわで使い物にならなかったそうです
その頃は制御系も不安定だったそうで。で、120mmはL型に流用されM型は研究所や博物館、挙句の果てには演習用の的になるなどの末路を辿ります」

麻子「踏んだり蹴ったりだな」

優花里「しかしプラン廃棄後も研究を続けた人がいたらしく、どういう理論かはブラックボックス化してわかりませんがバランサーが大幅に改善され、そこで機動性に目をつけた善行殿が5121小隊の戦力として配備したそうです!」

みほ「きっと備品確保に凄く苦労したんだろうね」

優花里「でしょうね……ちなみに複座型はAMTT519(MW)スピリットオブナイトと言い、日本名は『騎魂号』だそうです。あまりこの名称では呼ばれませんが」

みほ「あ、それは知らなかった」

優花里「更に蛇足ですが、モコスは別名『武神号』だと言うことを一年生に教えてあげたら、可愛くないと言われてしまいました……カッコいいと思うんですけどね」

沙織「あはは、一年のみんならしいね!」

数日間の間、中隊は訓練に明け暮れていた
訓練は決して楽なものではなかったが、大洗の戦車隊は元々戦車道を自ら希望した者たちであったし、操縦訓練や戦術の考案などをみんなでこなすのは楽しい日々であった
5121にとっては、かつて学園艦で訓練していた日々を思い返すようで、心温まる思いだった

―――ここはネットを常備して隠蔽を容易に出来るように……

―――もくもく作戦にはしてやられたぜ!

―――あんこう音頭?なんですか、それ

―――ソックスハンター、今日こそは根絶やしにしてやる!

それは少し歪んでいたが、たしかに青春と呼べる日々
いつもの訓練を終えた夕方、傾く日の中をみんなで下校している最中


「201v1、201v1
 全兵員は現時点をもって作業を放棄、可能な限り速やかに教室に集合せよ。
 全兵員は現時点をもって作業を放棄、可能な限り速やかに教室に集合せよ。
 繰り返す。
 201v1、201v1、全兵員は教室に集合せよ。」

沙織「えっとえっと、教室?」

舞「いや、ウォードレスに着替え倉庫に直接向かう」

麻子「遅いぞ」

沙織「もう着替え終わってる!」

華「麻子さん、夜型でしたね……」

善行「皆さん聞こえますね?幻獣が愛知県沿岸部から豊田市にかけて出現しました」

桃「そんな都市部のど真ん中に!」

善行「当然疎開も完了しておりません。早急に都市部から幻獣の駆除を行う必要があります。我が隊は三河湾より上陸し、既に戦闘を開始している自衛軍と協力して敵を叩きます」

瀬戸口「それと、他の学園艦が名古屋港に停泊中だったため、参戦してくれる。上手く協力してくれ」

舞「情報は以上か?」

善行「いえ、さらに悪い情報があります。豊田市東部の山間部に、訓練中だった学兵歩兵部隊が取り残されています」

滝川「おいおい、まさかよ……」

善行「ええ、救出します」

カエサル「やはりか!」

善行「こちらは大洗女子戦車小隊にお任せします」

杏「兵員輸送車あるしねー」

エルヴィン「見捨てることは……出来ん!」

桃「ぐぬぬ……やってやる!やってやるぞ!」

杏「おおー河嶋がやる気だ」

善行「芝村さん、西住さん、お二人に言っておきたいことが」

舞「何だ」

みほ「はい」

善行「この襲撃、偶発的なものではないと思っています。我々が近海を通ったときに突如出現した幻獣……なにか作為的なものを感じます」

舞「……」

善行「わたしはあなたたちを失うわけには行きません。軍の指揮官と言うものは兵を効率的に死なせるのが仕事ですが、私はその考えは否定したいのですよ」

みほ「わかりました。細心の注意を払います」

舞「随伴歩兵は大洗側でよいな?」

善行「はい。そのように」

舞「うむ。全車出撃だ!」

                       _____
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         | : : i: : :/| : : : |ィ〃 __):::ハ     __):::ハ乂: :/|/: : 厂 : : :リ
          乂__| : : 人八: iハヘ.弋__ソ     弋__ソ ノイ : : : : /: : : :/
             ∨/ : :丶: :ヽ >      ′     /ノ: : : : :/: : ∨
             〈: : : : : : \_八     {  ̄}   ∠二: :イ /人: 〈
                \|\トミ: : _.:>: .   、__ノ . .イ: : : :/{/´   ̄
               /)冖ト、∨ :_ト -:<|:/| :/}⌒\

                  //  '′}r'こノ    {┬(//   ` }
              ∧     } |       | 〈      ∧
            __厶ヘ,,_    丿{ニニ二二ニニ} ∧    _,厶ヘ.
           /二二ニニ=-<_ マ///╋///  _>‐=ニ二二〉

             /       \∨  ∨////∨ //      ∧
ここで中断ですー

>>388
舞としては負けから学んで欲しかったと 模擬戦でもない限り負ければ即死亡になってしまいますからね
しかしちょっとやりすぎたかな?と思ってましたが、西住殿は思考を絶やさずにいてホッと一安心&満足、みたいな

                      ,,  ,r/"⌒''-、,、、
                      ノ/゛''/V,r'",r'    \、
                   ,, ‐゛''″゛"''ヾ-、、,    ⌒ヽ、

                 ,. -''   ,;へ、ー、_,,,、   `ヾ⌒''\、,ヽ
             ,ヘ,/"7    /、ヽ ,!;, ト, ヽ、   ヽヾ ヽ \
            ,,r/, y ,;i'   、,ヘ,,、 }!,|ト,; | ヾ , ト、   ヽi \ }、
          /r/ ;,/| ,iv,;7^`^ |,! i!,|  |!;| `,! ! `、   ヾ \  }
         ,r';イ;/ ,;,{''| ;!     ノ ,!| ,,._i!|_  | ,! ,!    イ    ヽ
         | { !〈! ,;,{ i,|      ,-リ",;ニl仁、i!,|ヽ,|    ノ!  i \ ヽ
.         |,! | {, ;!| ,il',_、    "´ {:;'p;)`リ リ ,-、、'ノi\!  |ヽ`i
          l| .|,i'|;{,v" !==、     ー-゛"‐  ,レr' )} / ,i| / / !i|
          ` |! |i リ、" {:´yソ             >i',ソ /,! /,;  / リ
            ヽ` 、 `""く 、          、_,// l!/  ;,/
                {,   `           ,!ノ,! lレ  ,/
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                ゛、   ^″     ,. ´ { ),ノヽ ( {ゝ

                  ` 、      , '    ト'ノノ  ヽゝ、
                    ` 、__,. -''     ,|     `
                      ,i      ,. -''"^i
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               ,rーー‐-、く~/V>ー'‐'' " "~"~i´~/"゙ ' '' ‐- 、、,,
             ,,,、i     , ~i"~7~ー     ,レ"      /  ゛~゛'ヽ
r――――――┐ _,、-ー"|    r' ノー{ ~      ,i       /     `i、
| 芝村 舞    ,! /  {,  |    ノ/  i\      ノ    /        `i
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│

|    私だ                                                     |
|    再開する                                                     |
|    付いて来るがいい                                   |

舞「上陸したが、敵の気配はないぞ?」

善行「沿岸部の幻獣は概ね掃討されているようです。しかし豊田市中心部に大量に反応があることから、敵はむしろ山間部から発生したものと思われます。歩兵が取り残されたのもそれが原因でしょう」

舞「妙だな、そんな例はまず見たことが無い」

瀬戸口「歩兵部隊はアンツィオ高校の1年生男子で構成されているらしい。教官の指導でかなり奥まったところで訓練していたらしいが、忝生まで戻って来たところで幻獣に阻まれてしまったそうだ」

アヒルさんチームは地図を広げて位置を確認する

妙子「えーと、えーと、き、キビュウ?ちょっと遠くないですか?」

舞「まずは豊田市市街地をめざし、そこの幻獣を駆逐する」

みほ「了解しました」

原「戦闘区域に到達するまで人型戦車はトレーラーで移動します」

中隊は1時間ほどかけて豊田市近郊まで移動
徐々に砲声が近づいてくる

所々では白兵戦が行われた跡があり、遺体も見受けられた
大洗では死者が出なかったため、実際の戦闘で仲間の遺体を見るのは初めてであった
授業ではその様子を映したビデオも見たが、やはり直に見るのでは違った

舞「飲まれるでないぞ。死は、死の気配を呼ぶのだ。我らは生あるものとして、散っていった者達の意思を継ぎ、次へと伝えてゆかねばならぬ。そのためには、戦うしかないのだ」

みほ「は、はい……」

瀬戸口「いま戦闘は主にアンツィオ高校の女子戦車隊が中心となって行っているとのことだ。ここも大洗のように自衛軍の戦力が少ない。5121の力を借りたいとアンツィオの隊長から通信があった」

ののみ「幻獣は、矢作川を挟んで東側から攻めてきてるの。久澄橋の向こう、豊田スタジアムのほうに幻獣がいっぱいいるって!でも川と橋のおかげでなんとか食い止めてるのよ」

舞「ふむ……やはり山側から攻めて来ているな」

桃「も、もしや敵中を突っ切って忝生に向かうのか!?」

エルヴィン「電撃作戦か!?」

優季「こわ~い」

舞「馬鹿を言うな。指揮車、整備班は市役所前で固定。我らはアンツィオと合流し矢作川を防衛線として戦闘を行う」

壬生屋「腕が鳴ります」

舞「大洗戦車隊は飯田街道を通り主戦場を迂回し忝生へと向かい歩兵を回収、すぐさま引き返すのだ」

みほ「わかりました」

舞「暗闇の中、山中を行軍することになる。ヤマネコとくまは良く目を光らせておけ」

若宮「任された!」

来須「……了解だ」

みほ「それでは大洗女子戦車小隊、パンツァー・フォー!」

滝川「パンツのアホ!?」

舞「アホは貴様だ」

優花里「どこかで聞いたような……」

沙織「し、知らない!私知らないよ!?」

みほ「夜間戦闘で辛くなると思いますが、みんな、頑張って!」

飯田街道こと国道153号線を進む大洗女子戦車隊
友軍が矢作川の向こう側の幻獣に砲撃を加える光が見える

厚志「こいつら、この前の奴らより手ごわいよ」

沙織「大丈夫ですか!?」

舞「案ずるな、そなたらは自分たちと救出対象の心配をしておれ」

滝川「こういう作戦では俺様が輝くぜ!」

壬生屋「橋を突破してきた敵はわたくしがお相手します!何人たりとも通しません!」

平戸橋を越え、次第に民家もまばらになる
砲声もだいぶ遠くになってきた

みどり子「な、なんか心細いわね」

麻子「暗いからって怖くなったか、そど子」

みどり子「こ、怖くなんかないわよ!」

今回は長距離移動を迅速に移動するためウサギさんチームとリスさんチームは5121の支援に回っている
数が減った分、多少の不安感を持っている隊員は少なくなかった

みほ「そこを左折、県道358号に入ります」

モヨ子「わ、凄く狭いよそど子~」

希美「何か出そう……」

みどり子「だ、黙って進む!」

みほ「アンツィオ歩兵小隊、聞こえますか?こちら大洗女子戦車小隊です」

事前に知らされていた周波数に無線を送る
ややあって応答があった

女性の声「おう、来てくれたか!358号線に乗ったか?じゃあ道なりに進んでくれ。こっちも移動する。今は幻獣もいないようだしな」

そうして無線は切れた
無線相手が女性だったことに、華は口を開いた

華「いまのは教官の方でしょうか?女性が歩兵の教官とは珍しいですね」

麻子「声の様子からも男勝りな感じがしたな」

士魂号Lは通常、120mm滑空砲と7.7mm同軸機銃(これはモコス、指揮車共通)しか装備していない
しかしあんこうチーム車のみ、砲塔上部に7.62mm機銃が取り付けられてある
自身の癖なのか、西住流がそうなのか、みほは小隊長とは言え、やたらと砲塔から身を乗り出すため、舞の提案で整備班が取り付けたものだ

鬱蒼とした小道を進んでいく中、みほはふと、脇に何かの気配を感じた

人の顔?―――そう思った瞬間、ロケット砲の発射音がした

みほ「くっ!」

みほが咄嗟に機銃を掃射、ロケット砲は爆発し、破片がみほの頬を掠った
同時に来須がサブマシンガンに持ち替え茂みに突入する

カエサル「何だ!?」

優花里「西住殿!」

若宮「平気か!?くそ!俺が付いていながら!」

若宮は車上に立ち、弁慶か、いや阿修羅かのごとき姿勢で空間を睨む
マシンガンの掃射音が茂みの奥から聞こえる

みどり子「今の、なんなのよ!?」

若宮「十中八九、共生派だろう」

桃「共生派だと……?」

幻獣共生派―――文字通り幻獣との共生を訴える人類のことである
かつて穏健であったものの、現在では自爆テロなども含めかなり過激な行動を行う者が殆どを占めている
日本に幻獣が上陸して以来、国民の意識が幻獣に迎合しないように軍・憲兵によって大規模な弾圧が行われたのが原因の一端でもあると言われている

柚子「なんでそんな人たちがこんなところに……」

来須「始末した」

左衛門佐「一人でやっつけてしまったのか!?」

おりょう「まさに一騎当千ぜよ……」

優花里「西住殿!お怪我は!?ああああ!血が出ていらっしゃる!!!」

みほ「大丈夫だよ、ちょっと掠っただけだから!」

エルヴィン「落ち着けグデーリアン、隊長は無事だ」

優花里「これが落ち着いていられますか!傷口が化膿してしまったら……いや、あれは未知の生体兵器で体内にウィルスが……!」

みほ「ありがとう、優花里さん。戻ったら手当てさせてもらうね?」

みほは平静を装っていたが、同じ人類に攻撃されたことには、やはりかなり動揺していた

みほ(なんで人が人を?なんでここで?)

麻子「司令に連絡を入れたほうがいいんじゃないか」

みほ「そう……ですね。そうします」

みほ(今は、みんなを守ることが最優先……!)

共生派出現の報を受け、善行の息を呑む声が聞こえた
その後に安堵の声が聞こえてくる

善行「共生派が……無事でよかった」

瀬戸口「歩兵の件も罠だと考えたほうが……」

みほ「でも、無線には確かに返事がありました。歩兵部隊も正規の部隊で……」

善行「それは承知しています。ですが、その部隊は餌にされたのかもしれません」

みほ「餌……!」

善行「幻獣がそこまで策を張り巡らせた例はありません。物量で押しつぶすのが基本でしたから。しかし共生派まで出てきたとなると……」

みほ「でも、私は見捨てることは出来ません」

善行「……西住さん」

みほ「そして仲間も無事帰還させてみせます。そう、決めたんです」

善行「……芝村さんのような答えですね。わかりました。ですが命令です。必ず戻ってきてください」

みほ「了解!」

共生派の襲撃のあった地点から更に進むと、学兵の集団が現れた
当然、大洗のメンバーは慎重に近づく
一団からは背の高い女性が歩み出てきた

女性「少し遅かったな、無線の後なにかあったのか?」

みどり子「ちょっと!なによあの人!」

みほ「紫に染め上げた髪……」

麻子「ヘビメタメイク……」

華「大きなピアス……」

杏「ど~っかで聞いたことあるよねー」

若宮「本田先生!」

本田「あァ!?若宮!それに来須も!お前、なんでここに!?」

若宮「われわれは今この大洗女子戦車小隊の随伴歩兵をやっております。5121は大洗と合併して行動しておるのです。それより、先生こそ!」

本田「俺ぁ、このアンツィオのヒヨっ子坊主どもを鍛えてたんだよ。尚敬学園艦はもう殆ど生徒が戦地へ行っちまったからな……あ、坂上先生は戦車隊を指揮しているし、芳野先生も一緒だぜ」

若宮「そうでしたか。みんな、話には聞いていたと思うが、彼女が俺たちの教官だった本田節子先生だ!」

みほ「よ、よろしくお願いします」

本田「おう、よろしくな!で、どんな紹介の仕方をしやがったんだ?」

柚子「それより、歩兵の方は早く乗ってください!」

みほ「87式、89式、92式は兵員輸送が出来ます。見た限り全員乗れそうですね」

桃「先ほど共生派の襲撃にあったんだ!一刻も早くこの場を離れたい!」

本田「共生派だと?……かなり切羽詰った状況みたいだな」

若宮「理解が早くて助かります。さあ、撤退だ!」

みほ「……あれ、カモさんチーム、どうしました?」

みどり子「……なにあれ」

みほ「え?」

みどり子「なによ、なんなのよあれ!!いやあああああああ!」

みほ「カモさんチーム!一体……っ!」

前方に、10人ほどの人の顔を貼り付けた何かが浮かんでいた
それらは何事か呻いている

みどり子「いや、顔が、人の顔が!」

みほ「華さん!あれを撃破して!」

華「っ!」

士魂号Lの至近距離からの砲撃により、2mほどの大きさのそれは木っ端微塵に吹き飛ぶ
しかし、その直後周囲がざわめき始める

エルヴィン「隊長!小型幻獣が出現した!」

みほ「すぐ撤退します!カモさんチーム、付いてきてください!」

モヨ子「了解!」

希美「そど子、しっかりして!」

若宮「あいつが司令型幻獣だったか!」

若宮は士魂号Lに二本の腕で掴まり、残り二本の腕に装備した12.7mm機関銃で前方の道を開く

後方ではサブマシンガンを構えた来須が追ってくるゴブリンやヒトウバン、スケルトンやレッサー・デーモンを排除していた

みほ(大洗の撤退戦のときと似てる……でもあの時とは装備も練度も、みんなの覚悟も違う!絶対に切り抜ける!)

暗い山道を全速力で駆け抜け、力石インターチェンジに差し掛かる頃には幻獣を振り切っていた
更に市街地に近づき、矢作川を越えると旺盛な砲撃音が聞こえてくる
こちらの戦闘はまだ続いているようだ

大洗戦車小隊はまもなく陣中町に入るところであった

瀬戸口「よーしお嬢さん方、よくやってくれた!もうすぐ司令部に……まて、なんだこれは」

みほ「ひげねこさんチーム、どうしました?」

ののみ「陣中町にスキュラ6、ミノタウロス8、グレーター・デーモン10、きたかぜゾンビ12出現!」

瀬戸口「くそっ!こいつらどこから湧いてきやがった!」

みほ「!」

前方に、幻獣の空中要塞とも言われるスキュラが浮かび上がる
小型幻獣も無数にいるようだ

みほ「各車散開!ガードレールも壊して乗り越えて!すぐ遮蔽物の陰に!」

5121は矢作川を越え、上野町の方まで進軍していた
既に掃討戦に半ば差し掛かっているところであった

舞「くっ!すぐにそちらに向かいたいが……!」

厚志「いま背を向けるのはマズイね」

滝川「ちっきしょう!これも罠かよ!?」

壬生屋「やはり、この間の敵とは動きが違う……!」

みほ(グレネード装備の装甲車ではスキュラやミノタウロスはまず倒せない……夜間戦闘だから煙幕も持って来なかったから、もくもく作戦も駄目……あとは……!)

みほ「あんこうチームより各車へ!私たちが囮になります!歩兵を乗せた車輌はその隙に一気に市役所まで撤退、残りの車輌は敵の目がこちらに向いているときに砲撃してください!スキュラの射程はおよそ1000、その射程外からの攻撃になるように!」

カエサル「な……!」

エルヴィン「正気か!」

優花里「危険過ぎます!」

みほ「危険は承知です。でも、戦って切り抜けなければいけません。だから……みなさん、助けてくださいね?」

みほはにっこり笑う

ねこにゃー「!」

杏「西住ちゃん……」

典子「ああ、やってやる!」

おりょう「気合入れていくぜよ!」

エルヴィン「隊長は死なせんぞ!」

みどり子「かっこつけちゃって……!ゴモヨ!ポジション探すわよ!」

モヨ子「うん!わかったよそど子!」

みほ「ウサギさんチームも援護していただけますか?」

梓「当然です!」

みほ「中型幻獣は回頭してから攻撃までに若干のタイムラグがあります。射線をずらせるよう位置取りをしてください」

桂利奈「あい!」

みほ「リスさんチーム、99式は指揮車とリンクするとかなり長距離まで榴弾を撃てます。小型幻獣の駆逐をお願いできますか?」

沙織「わかった!やってみるよ!」

桃「隊長、スキュラが動き出した!」

みほ「若宮さんは味方車輌のそばで小型幻獣の浸透に備えてください。来須さんは、きたかぜゾンビの狙撃をお願いしてもいいですか?」

若宮「了解!」

来須「……まかせろ」

みほ「華さん、麻子さん、すみませんが、よろしくお願いします」

華「お任せください!」

麻子「今の私は絶好調だ。好きなだけ無茶を言えばいい」

みほ「ありがとう。あんこうチーム、前進します!」

みほ「次の角を右折!」

カエサル「グレーター・デーモンのわき腹を狙え!」

左衛門佐「隙だらけだ!」

おりょう「こっちを向いた!」

みほ「華さん、機銃掃射!」

華「了解!」

麻子「お前たちの相手はこっちだ」

みほ「カメさんチーム、カモさんチーム、アリクイさんチームは今のうちに!」

桃「了解だ!」

みどり子「ヘマしないでよ!」

ねこにゃー「健闘を祈ります!」

三輌の戦闘車両は一目散に駆けて行った

みほ「次、9時方向に直進、さらに左折!」

麻子「……!」

99式の155mm榴弾砲が小型幻獣を吹き飛ばす
グレーター・デーモンは発射元を特定しようとするが、別の車輌から砲撃を受ける
やがて目の前の士魂号L一輌に怒りの矛先を定めたようだ

みほ「完全にこちらに釣られています。2ブロック先まで全速前進、そして右折……わっ!」

デーモンの生体砲弾やミノタウロスの生体ミサイルが近くに着弾
車輌が衝撃で揺らぐ

みほ(まだだ、まだ感覚を研ぎ澄まして……)

―――神経を研ぎ澄ますことを常としておれば

みほ「……」

あけび「え?」

カエサル「お、おい、何を……」

みほは、砲塔の上にすっくと立ち上がり、幻獣の群れを見据えた
士魂号Lの砲塔上面は広く、Ⅳ号戦車に比べればずっと安定感はあるが……

優花里「西住殿!何を!」

沙織「みぽりんまた!危ないよ!」

みほ「ごめんね、でも……よく見える」

ゴブリンの放ったトマホークがみほ目掛けて飛来する
それを間一髪、士魂号Lが旋回することで回避する

みほ「右折。10時方向に直進。停止、左旋回、直進」

エルヴィン「て、敵が背を向けた!撃て!」

あや「発射ぁ!」

典子「こっちも撃て!」

あけび「当たる!当たるよ!」

あゆみ「こっちも一匹撃破!」

梓「よし、移動だ!」

あんこうチームの誘導と仲間の砲撃により小型幻獣とグレーター・デーモンは消滅
来須は淡々ときたかぜゾンビをレーザーライフルで狩っているようだ
おかげで空から足の速いきたかぜの機銃掃射を受けずに済んでいる

みほ「あの交差点を突っ切ってください。のち、右折。華さん、次の角で敵の側面を砲撃!」

華「発射!」

ゴブリンの左腹部に命中、爆発
ついに単独でも中型を撃破し始めるあんこうチーム

沙織「ミノ助にも榴弾浴びせちゃえ!」

優季「いっけぇ~!」

優花里「この位置からなら更に西住殿の援護が……」

エルヴィン「見えるか!?」

あや「見えました!攻撃!」

ミノタウロスの数も徐々に減っていく
スキュラは未だ相手の補足が出来ずレーザーを撃てずにいる

みほ「反転!11時方向に!右に砲撃!」

最後のミノタウロスも撃破
残りはスキュラのみとなる

みほ「五秒後、左に急旋回。間髪いれずに12時方向に全速力!射角が外れた!華さん!」

スキュラに砲撃が当たり、さらに味方の攻撃も直撃
スキュラは爆発する

本田「戦車であんな動きが出来るモンだったのか……」

あゆみ「すごい……」

優花里「西住殿……まるで踊っているよう……」

みほ「撃破!残り一体!」

いつの間にか敵はほぼ壊滅状態に
次の建物を迂回すれば、スキュラの背後を突ける、そう思っていた

ののみ「みほちゃん、めー!なの!」

突如、ののみの泣きそうな声が響いた

背筋が凍る
スキュラの正面の大きく赤い瞳が視界いっぱいに広がる

みほ(なぜ、こっちを…)

赤い目に光が灯り、徐々に強くなっていく
レーザーが、発振される!

そのとき、飛来した砲弾がスキュラの左側面に直撃
レーザーはわずかに逸れ士魂号Lの近くのビルの壁面を削る

みほ「っ!華さん!」

華「くっ!」

更に真正面に砲撃
スキュラは爆発を起こして消滅した

みほ(いまの砲撃は……)

「なんとか、間に合いましたわね」

それは聞き覚えのある声

「お送りしたティーセット、大事に使って戴いてるかしら?」

かつて練習試合を行った聖グロリアーナ女学院の隊長、ダージリンの声だった

               . : ´ . . . . . . . . . . .  ̄ ̄\
              / . . . ./ ̄ ̄ . . . . . . . . . . . \
              / . . . ./. . . . . . ..「. . . . . . . . . . . . .\
            /. . . . . /. . . . . . . . . |. . . . . . . . . . . . . . . .
            ,′. . . . ′. . . . . . . . ,|.. .. . . . . . . . . . . . . ¦
         : . . . . . . . . . . . . . . ../.|.. .. .. .│. . . .|. . . . .│
         ¦. . . i . . . . . . .| . . / |. . .|.. . |. . . .│ .. .. .〈
         |. . . .i| ___. . . . .| ._/_   . . |. . .|\.-┼- . . . |
         . . . ル三.\.. ..|.7T ` \|\:ト.斗hミ.小|. .│

          \/ ̄\\∨l/斗‐弍     ヒツノ }/|. 从
             火⌒コi| |人.^i弋rツ         ′ |/
            く. ./\Х く.. .|乂_        `  l
         〈`¦...人_>rー个ー      _ ,    人
            \__. ../r┤{う、       /  ̄`rく_,丿
.            人_〈|│ヽ. \\ .>‐ 、}   |丿
            八     \゙く/⌒ \_/
            /\      ∨}}   }:|i__
            /: : : : :\     Kく __,,ノ八{_
          / ̄ ̄\ : / ̄ ̄ ̄\>‐く |\: :\
            /. : : : : .:.:.∨. : : : : : : :.人_,〉|: : : : : :|
        │: : : : : : :./. : : : : : : : /\「 1|: : : : : :|

.   \r─────‐┐
.    | 田尻千翼長 !

.    ├─────;┴──────────────────────────┐
.    |  今回はここまでですのよ                                  |
.    |  優雅に次回をお待ちになってくださいね                          |
.    |_________________________________!

田尻さんきた!これでドヤれる!
しかし西住殿、戦車で舞うように踊っちゃうかwwww

乙。
アンツィオ歩兵だから、千代美かと思ってた。
田尻さん大好き。

ブラボー、おお、ブラボー!!

舞う様に狩る、これこそ絢爛舞踏

                   ,. -‐
               /!  //,.-、_,.-──-- .,__
               l::{ /.:.:/ |彡´ ,、-'ニ二== 、
           ,.、---ゝヽ:::::::::|:::::二ミヾヾ: : :`ヽ、:::::.`゙ー- .,_

          /-‐ニ -: : : : l: :l: : : : :ヽ、゙ヽ: : : :\:.:.:`゙゙''ヽ- 、.:ヽ
          //´:::::/: : /: :.:.: :、: : : : .、.:.:.:\: : : :ヽ;::::::::ー:、ヽ、
        /:/.:/.:.:./:./::i::::i::::::::ヽ::::ヽ:ヽ;::::::::ヽ::::::::ヽ:::::::::::、ヾ::、
      /ィ'::/:::::::::/::.:l |:::|,::.:゙、:::::::::゙、:::゙、:lヽ;:゙、:ヽ;:::::::::゙i::::::::、:ヽ::ヽ、

       '´ /:::/:::::i::.:i.:.| l::::|、::::゙i:::::::::i|:i:.|ヾ:、ヽ;:゙i:::i::::::::::|:::゙、:::ヽ:゙i、:ヽ、
       /::/::::::::::::|::::i::|. ゙、:l ヽ、iヽ;::::||:!i|_,,,.ュ、‐i:!:、!:::::::::|::::::゙i::::|ヽ:゙i i!

       ,':/ |::::i::::::::|:.:.i::|--ゝ;、 l:::i!:::|゙!´,.イ:0:::iヾ |:::::::::/-、::::i,:::l ゙、:! !
      l:/  ゙i::i::::i::::゙i:::|゙i゙T:0:::l゙ 、i:||::l   ┴─' ' |/:::.:.:i|(,`|:::::!i:::| ゙i:!
      i!   /:/i::::゙i:::|、:ヽ`ー‐ '  l レ'        |:::〃ヽ /i::::| ゙i:| i!
         〃 ゙i:::::i::l::ゞ、ヽ.   /          l:/ 、./::::i!:i:! ゙!
        /    |::::i::l:::゙、.    ヽ、-         /  i::i::i::::::| i!
           l::/リ!::::ヽ      __       |::i !:::::|
           〃  ゙!:lヾ:\  ´ 、,,,,.      /  .!::!i! ゙i:!
               i!   ` \        /   |_! ! i!
                   | ゙ヽ、   ,. -'"    ! ゙、
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           ,、-'"      / l      /  / ___  |  ,. -'";;;;;;`'''─-,. __
          __,.>ヽ、 /  !  l     /_, / /  /`ヽ!/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/      ̄`ヽ
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.   \r─────‐┐
.    | 速水万翼長 !

.    ├─────;┴──────────────────────────┐
.    |  遅くなってゴメンね                                     |
.    |  続きを投下するよ                                        |
.    |_________________________________!

みほ「ダージリンさん!」

優花里「あー!その車輌は、FV1034チャレンジャー2!自衛軍には無いはずのその車輌がなぜ!?」

ダージリン「All is fair in love and war. 恋と戦いは、あらゆることが正当化されるのよ」

麻子「答えになってない」

副官であるオレンジペコが口を挟む

ペコ「紅茶を沸かせるポットがあるからじゃ……」

ダージリン「何か言いまして?」

ペコ「ひゃいっ!」

みほ「っ!!」

仲間が駆けつけ安堵した刹那、先ほどと似た戦慄がみほの背筋を駆け抜ける
この感覚にはやはり覚えがあった

みほ「ヤマネコさん!三時方向のビルの向こう!」

すぐさま、レーザーライフルの発射音が聞こえた

来須「すまん、逃げられた」

若宮「例の『敵』か?」

来須「ああ」

麻子「あれの他にも同じのがいたのか?」

来須「似てはいた。だが詳細は判らん。今度のやつは飛行型の幻獣が多数護衛に付いていた」

みほ「最後のスキュラ撃破前にののみちゃんから通信があって……もしかしてその『敵』が……」

華「こちらの動きをスキュラに伝えたと?」

来須「ののみには、幻獣の気配を感じ取る力がある」

華「そんな力が……」

とりあえずその場の脅威は去り、安堵したみほはダージリンに礼を言う

みほ「本当に助かりました……」

ダージリン「土壇場を乗り切るのに必要なのは勇猛さではなく、冷静な計算の上に立った捨て身の精神。あなたの戦いぶり、見せてもらったわ。私たちと戦ったときとは比べ物にならないほど成長したのね」

みほ「そ、そうでしょうか?」

ダージリン「ええ、そうですとも。さあ、あなた方は司令部まで撤退なさい。あとは私たちが引き受けます」

みほ「すみません、よろしくお願いします!」

ダージリン「今度は、一滴たりとも紅茶をこぼさずに幻獣を追い払って見せますわ」

掃討戦、5121の援護を聖グロリアーナに任せ、市役所まで戻る大洗戦車小隊
戦車から降りると沙織が飛びついてきた

沙織「心配したよーもー!」

みほ「ごめんごめん!」

優花里「西住殿!幻獣を目の前にして全く怯まぬ戦いぶり!感動したしました!」

みほ「あはは、あれ?気を抜いたら、足が……」

沙織に支えられゆっくり地面に座るみほ

エルヴィン「前にも似たような光景を見たな」

カエサル「隊長は戦闘中は異常なほど肝が据わっているのにな」

ねこにゃー「もともと普通の女子高生だったんですから……」

優花里「そうだ!お怪我の手当てをしなければ!」

石津「私が……するわ……」

いつの間にか傍に立っていた衛生官の石津が言う
手には救急セットを持っていた

みほ「あ、ありがとうございます」

石津「私も……感じたの……あなた、狙われているわ……」

みほ「え?」

ののみ「みほちゃーん!」

指揮車から駆け寄ってきたののみが抱きついてくる
ひなたの良い匂いがした

瀬戸口「ご苦労さんだったな。敵増援が現れたときは肝を冷やしたが、流石だな」

みほ「いえ、5121さんとの訓練のおかげです」

あゆみ「人型戦車の動きに比べたら、幻獣なんて止まってるみたいなものだった!」

左衛門佐「全て西住隊長のお膳立てあってのことだがな」

あけび「火力アップのおかげでミノタウロスも撃破できました~」

あや「眼鏡割れずに済みました!」

口々に喜びの声を上げる仲間たち
みほは窮地を無事脱することが出来たことに胸をすく思いだった

聖グロリアーナが戦列に加わり、戦闘は順調に進んでいるようだった
激戦を潜り抜けたアンツィオの隊が入れ替わりに撤退してくる

梓「5121と一緒に戦ってくれた人たちだ」

沙織「隊の動きも凄く良かったんだよ」

みほ「挨拶しに行ったほうが良いかな?」

サングラスの男「それは少し待っていただけますか」

瀬戸口「坂上先生……」

華「お知り合いですか?」

若宮「さっき会った本田先生の同僚で、かつて人型戦車の指導もしてくれた坂上先生だ」

坂上「5121の増援で戦線は持ち直しました。ですが、君たちが来る前の戦闘で彼女たちは少なくない犠牲者を出してしまいました。今はそっとしておいてあげてください」

みほ「あ……」

自分たちと違い、引き上げてくるアンツィオの隊員たちは一様に暗い顔をしていた
大洗の隊員たちは否応無く、これが戦争であることを強く思い知らされる

スーツの女性「あなたたちが、歩兵部隊と本田先生を助けてくれたのね?ありがとう」

みほ「あ、はい……無事全員助けられて良かったです」

ののみ「あー!芳野先生!」

芳野「あらののみちゃん!お久しぶりね!」

芳野と呼ばれた女性はののみを抱きしめる
彼女も元5121の教師であったが、他二名と違い戦闘訓練とは無縁の一般教科担当であり、民間からの出向であるらしかった

沙織「その先生がなんでここに……?」

芳野「野戦訓練の合宿のお手伝いで来てたんだけど、巻き込まれちゃって。戦闘が始まってすぐ後送してくれるって言われたんだけど、生徒を置いて逃げ出せなかったの」

本田「ここにいても足手まといでしょうに」

華「そんな……」

芳野「いいの。その通りだから……でもせめて生徒を元気付けてあげなくちゃ。戦車隊のところに行って来ますね」

それを聞いていた森が険しい顔で芳野に問いかける

森「芳野先生、まだお酒に逃げたりしてませんよね?」

芳野「うん!あの頃はあなたたちに迷惑をかけちゃったけど……もう大丈夫!
   私弱かったけど、あなたたちがずっと頑張ってるのを見て勇気をもらったから
   今度は私があの子達にお返ししてあげなくちゃ!」

それを聞いた森は、今にも泣きそうな顔になっていた
みほたちにはわからないが、学園艦時代の彼女たちにも色々あったのであろう
芳野はアンツィオの戦車隊の元へ小走りで駆けて行った

みほは先ほど石津に言われた言葉が気がかりだった

みほ(狙われている?それは『敵』にってこと?あれを私が見つけてしまったから……だとしたら、ここの被害は私の……)

ののみ「みほちゃん、めーなのよ!みほちゃんはみんなを守ったの。それはとっても立派なことなのよ。むねをはって笑うの!」

みほの胸の内を見透かすようなののみの言葉
しかしみほは不思議とののみの言葉を受け入れることが出来た
まるで子供を諭すお姉さんのようなののみの言葉に、みほは笑顔になって言った


みほ「……うん、そうだね!ありがとう、ののみちゃん!」

ののみはにっこり笑った

エルヴィン「それにしても隊長、改めて思うが見事な戦いぶりだった」

カエサル「うむ。小型は榴弾に、中型は我らの戦車砲に任せ、自らは敵の注目を一手に引き受けるあの戦術機動、並の心臓では出来ん」

あや「途中からはもう自分たちで撃ってたし!」

みほ「そ、それは華さんと麻子さんの腕があってのことですし……」

沙織「麻子、絶好調だったもんね?」

麻子「だが、隊長の指示があって初めて動けるからな」

華「でも、完全に身を乗り出すとは思いませんでしたが」

みほ「うう、ちょっとハイになってたかも……」

優花里「あの舞い踊るように戦う姿、まさに絢爛舞踏と言わざるを得ません!」

あゆみ「けんらん?」

桂利奈「ぶとー?」

優花里「そういう勲章があるそうですよ。受賞者は片手で数えられるほどだそうですが」

瀬戸口「絢爛舞踏……」

優花里「瀬戸口殿?」

瀬戸口「そいつは世界で一番、幻獣を殺した人間さ
    息をしているように幻獣を殺すんだろう
    ほんの少しだけ、普通より武器を使い分けて、
    ほんの少しだけ、普通より移動して、
    ほんの少しだけ、普通より作戦会議してる…。そのうち化け物になっちまったのさ」

若宮「その勲章を持つものは、なぜだか、すぐ行方不明になる……
   俺は一度だけ、別の絢爛舞踏を見たことがある。失踪の三日前だったが
   冷たい目をしていたな……」

優季「なにそれ……」

あけび「こわい……」

優花里「に、西住殿、私は決してそのようなつもりで言ったわけでは……」

沙織「みぽりんがそんな恐い人間になるかな~」

麻子「普段はぽややんとしてるからな」

みほ「あぅ、そうなのかな……」

沙織「麻子がそれを言う!?」

笑いあう仲間たち
それを見た瀬戸口と若宮は顔を見合わせ苦笑いし、こちらに向けて少し申し訳なさそうに頭を下げた

みほは、この仲間たちが支えてくれる限り、自分はきっと大丈夫なのだと言う予感があった
だからこそ必ず守るという決意を新たにすると同時に、仲間を喪ったアンツィオの隊員たちを慮った

舞「そこの二人、我が友に随分と不穏なことを吹き込んでくれたようだな」

瀬戸口「げ」

5121と聖グロリアーナ、自衛軍が引き上げてくる
どうやら戦闘は終わったようだ

瀬戸口「いやぁ、お前さんと速水のやつと、少しダブってだな」

舞「たわけ!この者たちは日常の尊さを決して手放さぬ貴重な者たちだ!不安がらせるでない!」

若宮「む……面目ない」

みほ「あの、舞さん、そんなに気にしてませんから……」

舞「みほよ、そなたもそなただ。聞いたぞ、その戦いぶりを。なんという無茶をする」

みほ「う、ごめんなさい……舞さんの言葉を思い出して……」

舞「ぬ、私の?……むぅ、それは困った」

怒ったり、困ったり
かつてテレビに映っていた舞のイメージからはかけ離れたその様子を見て、その場にいた者たちに笑みがこぼれる

ダージリン「ごきげんよう。あなたが、5121小隊の芝村さんね」

舞「……そうだ。先ほどは仲間が世話になったようだな。礼を言う」

ダージリン「あら、芝村の方に礼を言われるなんて」

先ほどとは打って変わって、ダージリンも舞も硬い雰囲気である
その様子を不安げに見守るみほ達

ダージリン「……あなたは、他の芝村とは随分違うみたいね」

舞「私は私だ。芝村だが、時計の電池は取り替えられるようになった。一族に変わり者がいても良かろう」

みほ「時計の電池?」

華「なにかの暗喩でしょうか……?」

ダージリン「……そうね、失礼したわ」

舞「いや、いい」

ダージリン「西住さんは、不思議な人ね」

舞「そうだな。話していると、心が安らぐ」

ダージリン「みんなと仲良くなってしまうものね」

みほ「え、それは……皆さんが素敵な人達だから」

舞「ふっ」

ダージリン「ふふふっ」

みほ「あぅ……」

優花里「そういえばダージリン殿、チャレンジャーは一輌のみであとは日本の戦車なんですね。チャレンジャーはイギリスの戦車ですが……」

ダージリン「ええ、これは私の父が残してくれたものなの。私はいつかイギリスに行きたいと父にせがんでいたのだけれど、戦争が激化してしまって。父の部下がこの戦車を私の元に届けてくれたの」

優花里「イギリスは既に……すみませんでした」

ダージリン「いえ、いいのよ」

歩兵救出の際、一時われを失ったみどり子は石津からカウンセリングを受けていた

石津「精神……干渉を受けたようね……もう大丈夫よ」

みどり子「精神干渉?」

手伝いをしていた小杉が答える

小杉「おそらく、園サンが遭遇しタのは『ナイトメア』ですネ。ココ最近現れるヨウになっタ幻獣デス。……10人ほどノ人間の顔を貼り付けテ、人の心を狂わせるデス」

希美「ひ、人の顔を……!」

モヨ子「ヒトウバンの強化版みたいな……」

麻子「咄嗟に撃破しなければ危なかったな」

みどり子「ふん!どうせビビってしまったわよ!悪かったわね!」

麻子「そんなことは無い」

みどり子「え?」

麻子「実はわたしも、幽霊は駄目なんだよ。ソド子がいてくれたから気丈になれた」

みどり子「……」

麻子「いつか私がやられそうになったときは、ソド子が助けてくれ」

みどり子「……うん」

この日、愛知県に出現した幻獣は5121・大洗混成独立遊撃中隊、聖グロリアーナ女学院戦車隊、アンツィオ高校戦車隊、および自衛軍によって駆逐された
しかし、民間人および学兵の被害も大きく、また取り逃がした『敵』の存在も脅威となり、九州奪還に向かう人類に一抹の不安を残すものとなった

前日の戦闘が夜通しで行われたこともあり、次の日の午前中は休息に当てられていた

5121小隊は大洗学園の倉庫横にプレハブを設置して、そこを小隊詰め所兼司令室として利用している
午後、詰め所には人型戦車の各パイロット、オペレーター、整備主任、そして戦車チームの隊長、副隊長、各リーダーが集められた

沙織「麻子ったらまだ夢見心地なんだよ」

みほ「あはは、頑張ってくれたからね」

沙織「ん?この写真立ては……」

壬生屋「小隊発足時の集合写真ですね」

舞「善行め、ここでも飾っているのか」

みほ「あれ?この男の子は……?」

写真の中央部には黒髪の少年が舞と並んで写っている

厚志「あ、それ僕」

みほ「え?」

厚志「僕の地毛は青なんだけど、そのときは黒く染めてたんだ」

沙織「へぇ~。あ、でもこの頃は髪の毛くりっとしててなんか可愛いね」

厚志「可愛いってのはちょっと……」

舞「こやつめ、一年足らずで身長までグングン伸ばしおって」

滝川「チクショー置いてきやがって!」

壬生屋「顔つきも精悍になられました」

みほ「速水さんの青髪、とっても綺麗ですね」

厚志「そうかな……えへへ、ありがとう。そういう風に言われたこと無かったな
   あまり良い思い出は無かったんだけど……うん、嬉しい」

沙織「みぽりん、舞さんが嫉妬しちゃうよ!」

みほ「え!?あ、いや……」

舞「な!?せ、せぬわ!」

まあこの世界の青髪はねえ……

善行「あー、ごほん。2つお話がありますが、まず我々の今後の予定についてお話します」

舞「う、うむ。話すが良い」

善行「学園艦は更に南下、高知県宿毛市に停泊し燃料や物資等を搬入、これまで同様に訓練を行いつつ軍の再編を待ちます」

カエサル「そこが九州へ攻勢をかける際に出立する地であると?」

善行「はい。我々の中隊は自衛軍と合流し、大分県佐伯市に上陸し侵攻することになります。また現在協議中ですが、別の学兵部隊とも共同作戦をとることになります」

エルヴィン「九州各地からの同時侵攻作戦だったな……」

梓「今から緊張してきた……」

典子「まだ早いって」

ねこにゃー「せめて足手まといにならないよう訓練しないと……」

善行「それともうひとつ。我々が遭遇した『敵』についてです」

みほ「!」

舞「良いのか?」

善行「盗聴器の類は仕掛けられていないことが確認済みです」

沙織「え?そんなにヤバい情報なの?」

善行「……まあ口外したところで眉唾物と思われるだけでしょうが、隊員以外には話さないでいたほうが身の為ではありますね」

沙織「うぐ、自信ないかも……」

桃「そのくらい自重せんか!」

ナカジマ「まあ、内容聞いてからだねー」

善行「ラボ、と呼ばれる研究所があります。噂くらいは聞いたことがあるでしょう」

厚志「……」

カエサル「あまりいい噂は聞かないな」

梓「もう嫌な予感がする」

善行「そこでは幻獣に対抗するための人類を作り出す実験が行われていました。現在では7種類のタイプが存在するようです」

みどり子「人体実験ってこと?そんなの許されるはずが……」

善行「ええ、だからこそ秘匿されています。四世代目までは殆ど普通の人間と代わらない程度の強化でしたが、五世代目で一転、かなり手を加えたそうです。結果、強い同調能力を持ち、姿を変異させることが出来る強力な能力が生まれました」

みほ「まさか……」

善行「ええ、西住さんが見た『敵』はそれが変異した姿なのでしょう。第五世代、別名『ペンタ』と呼ばれるものたちです」

沙織「でも、幻獣に対抗するために作られたなら、なんで私たちに攻撃を……」

善行「能力が強すぎたために幻獣と同調してしまい、大半が幻獣に寝返ってしまったのです。これが幻獣共生派の始まりとも言われています」

エルヴィン「豊田市に共生派がいたのはそういうことだったのか」

善行「彼らは『幻獣使い』とも呼ばれ、かつて人間であったにもかかわらず幻獣を支配下に置くことができます。大洗町と豊田市で幻獣の強さが違ったのはペンタの個性による違いが出たものと思われます」

厚志「来須さんの狙撃からも逃れたし、今回のはより手強かったんだね」

ののみ「大洗のときは、幻獣は嫌がってる感じがしたの」

瀬戸口「無理矢理従わせて隊列もままならなかったってことか」

原「ダメねぇ、ちゃんとアメとムチを使い分けないと」

善行「……」

善行「彼らは精神感応ネットワークを持ち幻獣に指示を送っていると言われています。また、ペンタ同士でも情報共有が出来るようですね」

沙織「ってことはみぽりんの情報が……」

桃「ほかの奴らにも伝わっていると言うことか……!」

みほ「……」

善行「生み出されたペンタは約30体ほど、造反時に大半が処理されましたが、一部は逃げ出し、現在3~5体ほどが存在すると考えられています」

典子「割と少ないんだね」

善行「ですがその1体1体が危険なのです。どうか、皆さんで西住さんを助けてあげてください。そのために、私は独断でこの情報を皆さんに伝えようと思ったのです」

エルヴィン「元より承知!」

カエサル「隊長の恩に報いねばな」

沙織「友達だもん、当たり前だよ!」

みほ「みんな……」

舞「誓おう、人類の敵に、我が友を傷つけさせはせぬとな」

                           ____     /\
                  「\.      \;.;.;.;.;.; \.  /;.;.;.; \
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                  |.;.;.;.;.;.;}      ∨;./;.;.;.;.;.;.Ⅵ;.;.;/
                  人.;.;.;.ノ____, -――ヘ.;.;.;.;.;..;.;.;.};}く
       ___,,.. -=ニ⌒ニ=ァ<  /      二、.;.;.;.;,/ \\
.         \.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;⌒7\_>──ヘーく  `7千
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            ¨7T |                \八::..      |
               〈 |   :|:::...    .:∧::::| ::::::|厂∧:..::|     |
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                 |人:::::::卞芍\{     i| _,ノ   リ   /:::::〉
                 |  ::ー个=- ' _ ィ   リく  /   ....::::/
                 /  :::::::/|介    `__/ L.../  ....::://
             /  :::::(/|     _r┴<⌒7゙\.:::: ⌒(
               〈   .:::::: 八___, イ/|〈::::: ∧/[/::\:::::: _)
                  \...::::::::::∨く// /::: /∨ / .....::::::/]
                 〈`ニ=-::::[/   [/::::::j/ 〈`ニ=‐:::人,┴┐
              〈\:::::::::人  〔:::__/  人::::::/::::::》 ∧
              人:::::::::/|[/\∠二ニ=‐'´ 〈ニ=‐ :/ /  >┐
             《:::::ヽ∨ ||///]  ト-r-r─个=ー人 / / ⌒\

              >::: ∧ |∨/∧_ |__,j__j__xく:::// \/      \
               ( (⌒7 〉〉∨/∧`ー=≠= 乂:)/   マニ=--    〉
.   \r─────‐┐
.    | 安斎百翼長 !

.    ├─────;┴──────────────────────────┐
.    |  本日はここまで                                         |
.    |  次回をお楽しみに                                   |

.    |_________________________________!

補足です
ガンパレ原作では学兵たちは第6世代、大人たちは第4世代クローンなどの設定がありますが、本作ではそれらの設定は排除、普通に親から生まれてきます
代わりに、本編で説明したとおりラボで生まれた実験体を第○世代、と呼称しております

>>454
イメージとしてはガンパレの俯瞰戦闘でターン終わりに射線をずらす感じで
グーグルMAP先生とにらめっこして書きました(生かせてない)
慣れてくると行動数の多い小型幻獣より、スキュラやミノ助のほうが与し易くなってくるんですよね

>>455
漫画版では登場していますが、アニメではまだ台詞が無くキャラが掴めていない為、直接の登場はしない予定です
OVA楽しみですね

>>456
あなたの戦車(チャリオッツ)は戦車(パンツァー)違いでしょ!

>>457
数百年後の火星あたりで「あんこうの絢爛舞踏」として伝説になってるかもしれない


原作だと斉藤みたいにペンタ=幻獣使いでもなかったけど
今回はそもそもの総数が少ないからそうしたって感じかな

速水のあっちゃんでは無く青の厚志なのか
ちなみに今でも英雄幻想をよく聴く

                      ,,  ,r/"⌒''-、,、、
                      ノ/゛''/V,r'",r'    \、
                   ,, ‐゛''″゛"''ヾ-、、,    ⌒ヽ、

                 ,. -''   ,;へ、ー、_,,,、   `ヾ⌒''\、,ヽ
             ,ヘ,/"7    /、ヽ ,!;, ト, ヽ、   ヽヾ ヽ \
            ,,r/, y ,;i'   、,ヘ,,、 }!,|ト,; | ヾ , ト、   ヽi \ }、
          /r/ ;,/| ,iv,;7^`^ |,! i!,|  |!;| `,! ! `、   ヾ \  }
         ,r';イ;/ ,;,{''| ;!     ノ ,!| ,,._i!|_  | ,! ,!    イ    ヽ
         | { !〈! ,;,{ i,|      ,-リ",;ニl仁、i!,|ヽ,|    ノ!  i \ ヽ
.         |,! | {, ;!| ,il',_、    "´ {:;'p;)`リ リ ,-、、'ノi\!  |ヽ`i
          l| .|,i'|;{,v" !==、     ー-゛"‐  ,レr' )} / ,i| / / !i|
          ` |! |i リ、" {:´yソ             >i',ソ /,! /,;  / リ
            ヽ` 、 `""く 、          、_,// l!/  ;,/
                {,   `           ,!ノ,! lレ  ,/
                、   ''" ̄゛゛        ,.イ .人 i! ,/
                ゛、   ^″     ,. ´ { ),ノヽ ( {ゝ

                  ` 、      , '    ト'ノノ  ヽゝ、
                    ` 、__,. -''     ,|     `
                      ,i      ,. -''"^i
                    ,r‐} _,, -ー '"    `i、_

               ,rーー‐-、く~/V>ー'‐'' " "~"~i´~/"゙ ' '' ‐- 、、,,
             ,,,、i     , ~i"~7~ー     ,レ"      /  ゛~゛'ヽ
r――――――┐ _,、-ー"|    r' ノー{ ~      ,i       /     `i、
| 芝村 舞    ,! /  {,  |    ノ/  i\      ノ    /        `i
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

||  ときにみほよ
||  キメラさんチームについてだが
||  幻獣にも『キメラ』がいる以上、ややこしいのではないか?

                  _________
               ...:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....

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            _rく丶.    |ニニニニニ7      //〉、
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       八:::/┬:::┐  ┬::::┐;:::::::::::::}::::::::|i
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          }::::::::「:Y:::::::::::∧  ∧/;′
         (\┬ァ^く\::::/  }  /
          ,≧=‐…:::::::7{(゚w゚)
        (:::::::::::::::::::::::/ \ /
          ̄/二二二>く
r――――――――┐

| 芝村上級万翼長 ,!
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  つまりだ、要するに各チームから集められたことを意味するため、
||  群体の生物ならばよいのであろう? そこでだ、わたしに案がある
||  ホヤさんチームやツリガネムシチーム、イシクラゲチームなどはどうだ!


              //: : : : : : : : : : : : :|: : |: : :\: : : :ヽ: ∧
           // : : :/: : : : : :/: :斗|--l: 、: : l: : : : :l: :∧
      、   ∠//: : :|斗-: : /: :.∠Lム. !ハ:`ヽ|: : : : :|: : : :\__

       ヽ二ヽ_彡/| |-///  /==ミl |: : /: |: : : :|: : : \―'
        /: : |: : : :/ 斗=イ´    iノ::: |ヽイ: /: : : :{: : : \\
       /: : /: :|l: : : :レ/iノ:: |     辷ノ / /:/: : : : : |∨: : : \)
       |: :/ : : |\: : ヾ ヽ-'        彡': : : : : : :トゝ: : !: 〈
       l :{ |: : :|: : ー=-; `     <´ : : : : : : : : |: : : : |: /
       ヽ| \: |: : : : : : :/  --   ー-二: __,: : /: : : :イ/
          ` ー┬ へ         イ: : : : /‐ '´: : : ノ/
              )_从 /|>  _ . イ┐ |: : : イ: イ彡'´
             ___,レ、}ノ |/ | |::::|_∧{\∨ {/__  
          r‐/::/:::/:::::∨7′ /| |::::|:::トr‐‐|匚二二フハ

          |:/::/:::::::::::::〈/  ∠、_/::::::::::::::::::::|――‐///|

          ∨::::::::::::::::::::l   |―/:::::::::::::::::::::::|////////|
.           ∨::::::::::::::::::|ニ{/|:::::::::::::::::::://////////|
            ∨::::::::::::::::|//|o/::::::::::::::::://|//////////|
r――――――┐

| 秋山十翼長, !
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  
||  えぇ~……?
||  

     |:::::::::::::::|:: :: :: :: :| :::::::::::::i|:::::::::__|_|:|   |::::|i-―‐-::::::|:::::::ト、:::::|:::::::::::::::::::::::::: |::::::|
     |:::::::::::::::|: :: :: :: ::| :::::|::::::|:|/:::::: : | ̄|:|   | i八 ::::::::::::::::| \| i :::|:::::::::::::::::::::::::: |::::::|

     |:::::::::: i::|::: :: :: :: | :::::|::::/|::|i:::|:i: :|_ 人    乂  \::::::::::∧:::::|\::::|i:::::::::::::::::::::::|::|::::::|
     |:::::::::: |::|:::::: :: :::i|::::::/│乂|:::|:| |厂           ,.二二二、| |:::八 : :::::::|:::::::::|::|::::::|
     |:::::::::: |::|:::::: :: ::八:::::|\|  |从|             イ ̄「 ̄::.\ |/| :::|: :::::::|:::::::::|::|::::::|
     |:::::::::: |∧:::::::::::: : \|   .上. 二二、        |r‐┘__}::ト 刈| :::|: :::::::|:::::::::|::|::::::|
     |::::::::::: /∧:::::::::::::::: l  /   ‐―…┘        └‐- :::::::| ノイ |: /.: :::::::::::::::::|::|::::::|
     |:::::::::::::::/∧:::::::|:::::::| く/          ,         `ニ′  |/.: :::::::/. :/ .:|人::::|
     |:::::::::: :: ::/∧:: :| \|  /////          /////   /.: :::::::/. :/.::::::::::::::::|
     |:::::::::::::: :: /∧: |::::iヘ                           /.: ::::/|/|:::::::│::::::|
     |::::::::::::::::::::::/∧|::::|                       ¦ ___,.. イ:::::::::::::|:::::::│::::::|
.    丿イ::::::::::::::::::::/|:::::::|ーヘ                        し / _,ノ|::::::::::::::|:::::::│::::::|
      |:::::::::::::::: :: ::|:::::::|、                rっ         /⌒/|::::::::::::::|:::::::│::::::|
      |:::::::::::::::: :: ::|:::::::|::::: ̄\                     厶イ :::::|::::::::::::::::::::: ノイ∧|
      |:::::::::::::::: :: ::|:::::::|:::::::: ::i:|{ヽ、                 /.:::::::| ::::::|::::::/.:::::::::::::::::,′
      |:::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::: ::|八::::`:......          . イ:::: ∧: : :::::::|:::/.:::::::::::::::::,

      |:::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::: ::|  \:::l :::i>   ..,,__,,.. <i::::::|i:::/ | イ ::::::|/.:::::::::.::::::::,′
      |::::| ::::::::::::::::::::::: |:::::|人|   jハ|i:::|三三三三:..........|::::::||/    |::/.:/.::::::::::/.: ::/
      人::|\:::::::::::::::::::::|:::::|       |:::|二二二:........... . |:::::八  . イ :/.:::::::/.:/:/
           \::::: ::|\|\!        |丿ニニニ:............. . .人/       |:/.::::/.:/|/
r――――――┐

| 西住百翼長, !
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  えっと、それじゃあ……
||  ぬえ(鵺)さんチームはどうでしょう?
||  意味は、大体一緒ですし……

                _  ──────‐-
               // ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄`丶 \
            / /  ____,,,Ω,,,______   \\
              / /   `ー‐ 、 ー‐'´     \\
          / /  _____ (__)_______   \\

            / / l/   ─/〉─〈\──   \   \\
.           / / / /   《《(( ̄))》》     \>   \\
          / / [/   __坐----坐____ ((\
.         /    [)  -=─┘二二└──‐== _\ ̄∨     |
       | |  [/二二二二二二二二二二二\\∧     |
       | | ∠二T   _\      /-- ___ Tニニ丈リ   | |
          ∨ |  l|斗r元斥     ィ予元¨ア     \   ノ /
         \\| 八ヾ V辷ソ       V辷ン 厶.   八 \/
          _>レト\\    '       ∠イ|/〕=-  \_
.         _/ -=〔  Τ                 __ノ 丿,二ニ冖^´
         `'¬==ニ\人    ー '      --=彡'´
            ` ¬=ニ>         イ  /
                    \.> __,   ´  |//
                     \__]       |厶
                    //」     「\\
                 _ -=ア 厶'      ∨ 〕 マニニ=-
            ___/ _/ /|_   ___/    ∨___  \___
         / ____/7  / i|  ` '´ /  /| ̄l ∨  \__  \
.        //    / /  / j[二二/    /  │       / ̄ ̄ \
.       /「     /_/  ∧ 」┼/   __,/  | │  \.  /     /∧
     ││   /   ∧   |/  ニ二∧ └ ┘   〉         / ∧
r――――――┐

| 松本十翼長 ,!
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  
||  それだ!!
||  

          、,. -''"'""゛''‐z
         ,z w v   w "z
         γー,- 、、,_,, -、ーγ゛
         ,i /      ヽ i
         ト,r' へ   ,へ ゛z,i、
         {k\i'⌒t--i⌒,i/,}/

.         ゝi, ゛ー//'},゛ー'  ,!"
           /'} ///,/~ ,/
           ,i ,l/, 'r',t',.--'y
        ,. -'' !     , ''~/` -、
   _,,, - '" \ }    /ヽ,/  / ゙ ' '‐、.、_
 ,r'~    \ ,r`i、_ __y'!='!' |/  _ /    ~゙'、
. i `i、    `/ /へ」〉|.i .i ノ   r"      ,i'  i,
r――――――┐

| 善行 竜師  ,!
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  失礼いたしました
||  再開します
||  

午後からの訓練は、軽めのもので終了した
前日の疲労を考慮したことによる措置である
夕方になり、みほたちは帰宅の準備を終えたのだが、そこで倉庫前でなにやら作業をしている舞を見かけた

みほ「舞さん、なにしてるの?」

舞「ん、これか?」

言うなり、舞は手に持った木の板を倉庫の出入り口に貼り付けた

みほ「『正義最後の砦』……?」

優花里「おお!なんとも勇壮な響きですね!」

華「確か、整備テントの方にも同じものが掲げられていましたね」

舞「かつて、熊本で戦うときに私は不退転の覚悟を持って我らが隊をそう呼んだ。だが、熊本・九州は陥落した。沢山の仲間たちと共に」

みほ「……」

舞「あのようなことは繰り返させはせぬ。私はこの隊を守り、そして九州を取り戻す。そう決めた」

麻子「これは自らを鼓舞するための言い回しという所か」

沙織「わたしたちが、世界を守るんだね」

鵺さんチームワロタ

大洗学園艦は高知県・宿毛湾に到着
更に近隣にもいくつか学園艦が停泊していた

中隊は宿毛市・大島に上陸し周辺警護をしていた

沙織「なにもない所だね~」

華「島の東側には住宅街もあるようですが」

桃「ここらは九州に近いことから、場所によっては疎開が行われている。大島に住民はほとんど残っていないはずだ」

柚子「各所に塹壕が掘りぬかれてるし、戦車用の壕もあるんだって」

杏「野戦陣地ってやつだね~」

カエサル「向こうに別の学園艦の隊がいるな」

エルヴィン「あれが奪還戦で合流する隊か?」

梓「あ、こっちに来ます!」

沙織「誰?」

舞「あれはプラウダ高校の隊長カチューシャと副隊長ノンナだ」

優花里「あれが有名な"地吹雪"のカチューシャと、"ブリザード"のノンナですね!」

みほ「そういえば、前に一緒に戦ってたって小杉さんが言ってたね」

ノンナ「Здравствуйте 青森以来ですね」

舞「そなたらが我らと共に戦う部隊か?」

カチューシャ「ふん!芝村は挨拶いらずで楽なことね」

ノンナ「私たちはこの後、八幡浜港に移動したあと、別府湾への侵攻に向けて待機する予定です」

沙織「ってことは、あの人たちは合流部隊じゃないみたいだね」

みほ「うん……」

カチューシャ「ん?……ぷふっ!あはははは!このカチューシャを笑わせるためにこんな戦車を用意したのね!ねぇ!?」

どうやらモコスを見て笑っているようだ

桂利奈「他の部隊にはモコスって無いの?」

茜「モコスは撤退戦でほぼ全てが廃棄されたんだ。お前たちが乗ってるのは、研究用に本土に回されたうちの一つをブン取っ……接収したものだ」

杏「やーやーカチューシャ、よろしく!大洗学園生徒会長の角谷だ」

カチューシャ「……」

杏「?」

カチューシャ「ノンナ!」

杏「は、へ?ほぁ……」

カチューシャを肩車するノンナ
面々を見下したカチューシャは得意げに告げる

カチューシャ「あなたたちはね、全てがカチューシャより下なの!技術も、身長もね!」

桃「肩車してるじゃないか……」

カチューシャ「ん!?聞こえたわよ!よくもカチューシャを侮辱したわね!しゅくせーしてやる!」

ののみ「いいな~!ね、たかちゃん、ののみも肩車してほしいの」

瀬戸口「ん?そうだな、よし!」

ノンナよりも背の高い瀬戸口がののみを肩車すると、ののみの頭の位置はカチューシャよりも高くなる
それを見たカチューシャは激昂した

カチューシャ「ああ!お前!カチューシャよりも上になるな!」

ののみ「きゃはははは!」

カチューシャ「お前たちは気に入らなかったんだ!あの人型戦車もカチューシャたちの戦車よりずっと高いし!ずるいぞ!」

麻子「子供か……」

みほ「あはは……」

壬生屋「ののみさん、うらやましい……!」

みほ「え?」

壬生屋「いえっなんでもありません!」

カチューシャ「あら?西住流の……」

みほ「うぅ……」

みほは昨年まで黒森峰に在校していたため、戦車道全国大会決勝戦で対戦したプラウダ高校とは面識があった
自然と大会内容を思い出し萎縮してしまうみほ

優花里「西住殿……」

杏「あれ?河嶋、小山、向こうにいるのってサンダース校じゃないか?」

桃「あ、本当ですね」

優花里「サンダース大学付属高校の方々とお知り合いなのですか?」

杏「うん!前に学校の交流会で知り合って、友達になったんだ!お~い!おケイ~!」

ケイ「え?……アンジー?アンジーなの!?」

杏はサンダース校の隊長であるケイの元へ駆けて行く
みほたちからは再会を喜ぶ様子が見えたが、次第にケイが俯き、泣き出したように見えた
二人は抱き合っている

優花里「なにかあったのでしょうか?」

カチューシャ「今、サンダース校は私たちと一緒に行動してるの」

みほ「そうなんですか?」

ノンナ「説明いたします」

サンダース大学付属高校は長崎県佐世保市所属の学園艦だった

全国でも屈指の生徒数を誇り、戦車道履修者も多い

熊本と同じく、早くから徴兵が行われ多くの学兵が戦地へ送り出された

当然、それだけ多くの死傷者も出た

撤退戦の折には真っ先に幻獣の襲撃を受け初動が遅れ、学園艦を捨て善行が指揮する隊になんとか拾われ命からがら撤退したものの、更にかなりの損害を出してしまった

その後も山口県にて九州からの幻獣の侵攻を防ぐ任務に引き続き従事していたが、その頃には副隊長であるアリサとナオミの隊を除けば死傷により隊員が全て代替わりしており、ケイの精神は磨耗しきってしまっていた

杏が戻ってくる

杏「おケイは、フランクでフレンドリーで、誰よりも明るい子だったんだ」

すっかりやつれてしまったケイの様子を見た杏は、流石にショックを隠せなかった

ノンナ「彼女は撤退以降、極力損害を出さないよう細心の注意を払って隊を指揮し続けました。少し前に私たちと合流してようやく、一時休養を取ることができたのです」

カチューシャ「ケイは誇り高く戦ったわ。私たちには彼女たちを守る義務がある」

カチューシャの先ほどの幼くわがままな様子は鳴りを潜め、その瞳には彼女たちに同情し、そして絶対に守るのだという強い意志が見て取れた

沙織「私たち、急に戦争に駆り出されて、不運なパターンだと思ってたけど」

麻子「まだ恵まれていた方かもしれんな……」

優花里「5121に助けてもらわなければ、どうなっていたか分かりませんしね」

ののみ「カチューシャちゃんは、りっぱなのね。えらいえらい」

ののみは心から賛辞を送った
しかし、カチューシャは何より上からの目線を嫌う
お姉さんのような物言いの彼女の言葉に、先ほどの雰囲気はどこへやら、カチューシャは再び激昂する

カチューシャ「むー!カチューシャより年下の癖に!」

ノンナ「背はカチューシャよりも高いようですね」

カチューシャ「なっ!」

みほ「ののみちゃん、今年でいくつ?」

ののみ「えっとねー……9さい!」

カチューシャ「……」

カチューシャは呆然としてしまった
と、そこへなにやら小さな影がトコトコと歩み寄ってきた

沙織「へ?ペンギン?」

桂利奈「わあぁ!かわいいー!」

優季「お洋服きてるー!」

桃「帽子とトレンチコート?」

華「なぜこんなところにペンギンが……」

カチューシャはわれに返る

カチューシャ「おお!同志ハードボイルドペンギン!」

ノンナ「ご苦労様です」

ペンギン「クェ」

みほ「ハードボイルド?」

カチューシャ「同志よ、私は馬鹿にされているんだ、さぁ私の頭の上に乗ってあいつより高くなるんだ!」

桃「それでいいのか……」

ペンギン「……」

カチューシャ「ピ、ピロシキもやろう!」

ペンギン「……ハァ」

柚子「ため息ついた!?」

ノンナ「カチューシャ、彼は買収には乗りません。なぜならハードボイルドだからです」

ペンギンはいつの間にか来ていたブータと顔を見合わせている

沙織「なにしてるんだろ?」

みほ「お話してるのかな?」

麻子「わからん」

カチューシャ「ぐぬぬ……もういい!行くわよノンナ!」

ノンナ「До свидания」

カチューシャ「あ、そういえばあんたたち、なんでウォードレスの上にジャケット羽織ってるのよ?」

みほ「えっと、それは……」

沙織「ちょっと事情があって……」

カチューシャ「ふん、まあどうでもいいけど」

カチューシャはノンナに肩車されたままサンダース校の元へ向かっていく
ペンギンもそのあとについていく

みほ「ほっ……」

沙織「ダージリンさんに笑われちゃったからね……」

妙子「それにしても、随分と刺激的な格好をなさってるのね?」

忍「隊長、いじわるしちゃだめですよ」

華「あ!ダージリンさんとオレンジペコさんのモノマネですね!?わたくしすぐわかりました!」

麻子「上手いな……」

プラウダ校は降雪地域所属だった為か装軌式戦車が多く、サンダース校は装輪式戦車が多いようだ

そしてその中にポツリと見慣れない車輌が見える

沙織「ん?ゆかりん、あの車はなに?」

優花里「あれは……軍用車輌ではありませんね。装甲は付けてるようですが……」

ナカジマ「ありゃースバル360だね」

スズキ「随分古いタイプだ」

ホシノ「58年のK10型じゃない?」

ツチヤ「たった50台販売の?誰かの趣味かな……」

沙織「自動車部だけの世界に入っちゃったね」

優花里「これは私もお手上げですぅ……」

沙織「このあとの予定はどうなってるのかな?」

ののみ「無事にしざいのはんにゅうがおわったら、交代できゅーけーなの」

優花里「休憩ですか、せっかくですから宿毛の町に出かけませんか?」

華「いいですね。豊田市では観光どころではありませんでしたし……」

瀬戸口「ふーむそうだな……大島には神社くらいしか見るところは無いが……少し足を伸ばせばショッピングセンターやアミューズメントパークがあるな」

沙織「わ!行こう行こう!」

みほ「うん、そうだね!」

麻子「私は寝させてもらう」

舞「そなたら、今は任務中で……」

瀬戸口「すまん、休憩はキャンセルだ。黒崎鼻に幻獣が出現」

あゆみ「えー!?」

あや「空気読んでよー!」

優花里「仕方ありません!」

沙織「むしろ空気呼んでこっちに来たんじゃ」

華「沙織さん!」

沙織「あ!ご、ごめん……」

みほ「ううん、気にしないで。各チーム乗車!発信準備に入ってください!」

ののみ「プラウダ校の方が位置が近かったため、もうすぐ戦闘に入ります!」

善行「ひげねこチームより各隊へ。今回の戦場は主に森林です
   戦車は動きが取り辛く、小型幻獣の浸透が懸念されます
   プラウダ校、サンダース校の男子歩兵部隊もいますので、大洗の各チームは歩兵支援をお願いします」

みほ「了解しました!」

善行「逆にネコさんチームは前線に出て積極的に敵を撃破してください」

舞「わかった」

厚志「こういうところで人型の利点が生きるよね」

瀬戸口「後方には小学校をはじめ市街地がある。駅前から東側は住人も残っている。間違っても突破されることは無いようにな」

若宮「こっちも野戦陣地は構築済みだ。俺たちはプラウダ校の歩兵に合流して行動する」

みほ「わかりました!各車、パンツァー・フォー!」

善行「指揮車は脇本の漁業事務所脇にて停車、そこで固定とします」

瀬戸口「その少し先が防衛線になる。大洗戦車隊はまずそこを目指してくれ」

カエサル「敵の規模は判明したか?」

瀬戸口「少し待ってくれ、プラウダ側から通信が入った。……これは、敵さんかなり気合を入れてきたみたいだな」

ののみ「敵の先鋒部隊、スキュラ25、ミノタウロス35、ゴルゴーン40、グレーターデーモン40、その他レーザー型、小型幻獣多数!」

舞「っ!これは……厚志、速度を上げよ!」

厚志「うん、飛ばすよ!」

最前線ではプラウダ校の車輌と歩兵が戦闘を、その後方からの支援をサンダースの兵が行っているようであった

みほ「かなりの小型幻獣が包囲を潜って浸透してきている……あんこうチームより各車、榴弾を装填、装甲車はグレネードで塹壕の向こうの敵に攻撃してください!」

エルヴィン「了解!」

沙織「こちらリスさんチーム!99式はこの位置でいいかな!」

みほ「大丈夫です。その位置から曲射してください。ウサギさんチームは近くの戦車壕を使用、練習した隠蔽法を使ってください」

梓「りょ、了解!」

典子「もう少しひきつけて……撃て!」

カエサル「こちらも続け!」

浸透してきたゴブリン、ゴブリンリーダー、レッサーデーモンは次々と粉砕される
だが、またすぐに押し寄せてくる

みほ「レッサーデーモンの突破力は歩兵にとって脅威です。カモさんチーム、アリクイさんチームは機動力を生かして敵を引き付けて下さい」

杏「うひゃ~!西住ちゃんも大胆な指令出すようになってきたね~!」

柚子「それだけみんな動けるようになってきたってことだよ!」

桃「わ、我々も焼夷榴弾は使える!敵先鋒に攻撃!」

みどり子「任せて!ほらカモはこっちにいるわよ!」

ねこにゃー「今はゲームではなく訓練を積みました!あの通りに動ければ……!」

足の速いカモさんチームとアリクイさんチームに釣られた小型幻獣は、側面を歩兵、車輌の両方に突かれ撃破されていく

みほ(こちら側は順調……でもこの浸透数は……)

みほ「あんこうよりひげねこさんチームへ、前線の様子はどうなっていますか?」

瀬戸口「敵の攻撃はかなり苛烈で撃破された車輌もいくつか出ている。だが歩兵の被害は少ないな」

善行「どうも、わき目も振らず後方を目指しているような動きですね。おかげで中型の撃破も比較的容易ですが」

みほ「……それは、もしかして私が……」

善行「敵の思惑はまだわかりません。ですが不安要素ですね。ヤマネコを護衛につけましょう」

みほ「……すみません」

ののみ「あやまりっこは無しなのよ、みんなで助け合うの」

みほ「はい。ありがとうございます!」

幻獣の攻撃は苛烈を極めているが、人類側は何とかその攻撃を凌いでいる
しかし、それでもエルネギーが尽きるまで戦い続ける幻獣と違い、戦車は補給を受けなければならない

カチューシャ「こちらプラウダ戦車隊!悪いけど、一旦補給に戻らせて欲しいの!」

舞「了解した。だが我らのみではミノタウロス級はともかく、足の速いデーモンやキメラなどは止めきれぬ」

みほ「入れ替わりに、私たちが……」

ケイ「待って!ここは私たちに任せて!」

杏「おケイ!でも……」

ケイ「アンジー、私もいつまでもおんぶに抱っこじゃいられないわ!やらせて!」

杏「……無理は、しちゃだめだよ」

ケイ「アンジーに会えて、少し元気をもらったから。プラウダの人たちにも恩返しがしたいしね」

善行「サンダース戦車隊、話は聞きました。前衛は人型戦車に任せ、歩兵と協力し支援に努めてください。敵の動きは直線的です。無理はしないように」

ケイ「オーケー!アリサ、ナオミ!フォーメーションVで行くわよ!」

アリサ「イエス、マム!」

ナオミ「了解」

プラウダ戦車隊が最終防衛ラインまで一時撤退してくる
プラウダ校、5121小隊、レオポンチーム総出で整備に当たった

プラウダ学園艦の準備が整い、艦砲射撃によって戦線は優位に保たれてきた
なにしろ巨大な学園艦、大藤島から黒崎鼻の間の宿毛湾数キロに渡ってに鎮座しており、戦域のほぼ全てが射程内と言っても良いのである

舞「被弾した車輌はすぐに後退させよ。今や敵は飛んで火にいる夏の虫に過ぎぬ」

厚志「舞にしては楽観的だね」

舞「逆だ。こちらに戦力を集中しすぎては裏をかかれる可能性がある」

みほ「裏を?」

舞「撤退戦以後の幻獣は妙に狡い手を使ってきた。だが今回はかつての力押しに戻ったような戦法だ。それは今の我らにとっては与し易いことだが……」

善行「なにか裏があると?」

舞「確証はない、だが備えておいて……チッ!また一山追加だ!通信を切る!」

瀬戸口「与し易い、ねぇ……自分たちの仕事量わかってて言ってるのか」

みほ「ねこさんチームもそろそろ補給をしないといけないのでは……?」

善行「……五分後にみけねこチームとトラねこを撤退させます。同時に大洗戦車小隊は前進、プラウダ学園艦の艦砲射撃に合わせ、大洗・サンダースは火力を集中させてください。プラウダ戦車隊は補給後に防衛線まで前進」

瀬戸口「ちょっと待ってください!壬生……くろねこは!」

壬生屋「ひげねこさん?わたくし、まだまだ戦えます。弾薬の補給も必要ありませんし」

瀬戸口「……そういう問題じゃない」

善行「くろねこは火力を集中させている間、突破してきた中型を仕留めることに専念、みけねこチームとトラねこが復帰次第、休息に入ってください」

壬生屋「了解しました」

みほ「ウサギさんチーム、アヒルさんチーム、カメさんチームはくろねこさんのサポートに回ってください」

梓「了解!」

典子「あのサムライはやらせないよ!」

桃「ま、任せろ!」

前進した大洗戦車小隊は、サンダースの戦車隊と共に曲射射撃を行う
同時に学園艦からの旺盛な艦砲射撃も行われた

あけび「うわ!すご……」

カエサル「まるで地獄を呼び出したような光景だな」

あゆみ「森の動物とか、大丈夫かなぁ」

瀬戸口「動物たちは一足先に逃げたさ。彼らは勘が鋭いからね」

優季「えー!わかるんですかー!?」

瀬戸口「ああ、動物たちは人類と盟友なのさ」

桂利奈「すごーい!」

ののみ「みおちゃん!幻獣が何匹か抜けたの!」

壬生屋「通しません!」

梓「来るよ!射撃準備!」

妙子「チームワークの見せ所です!」

杏「河嶋ー、敵数の捕捉頼むよー」

桃「はっ!」

森「みけねこチーム、補給完了!」

狩谷「こっちも完了だ」

舞「くろねこよ、すぐに我らが向かうゆえ、撤退するがよい」

壬生屋「わかりました」

瀬戸口「よしよし、以前と違って素直に言うことを良くいい子になったな」

沙織「お?気になる発言!」

壬生屋「せ、瀬戸口さん!今は作戦中です!」

カチューシャ「なに暢気な通信してるの!プラウダ、前進するわよ!サンダースと大洗は下がりなさい!」

ノンナ「спасибо ケイさん、よく持たせてくれました」

ケイ「なんの!」

カチューシャ「ここまでやってくれただけで十分よ。まだ九州戦も控えてるから、今はコンディションを整えることを考えて」

ケイ「……ラジャー!ありがとうね」

士魂号一番機と大洗戦車小隊、サンダース戦車隊は後退していく
そんな中、瀬戸口の緊迫した声が響く

瀬戸口「宇須々木方面に幻獣出現!くそっ!またこいつら、なぜこうも突然!」

壬生屋「撃破に向かいます!」

みほ「私たちも、でも防衛線が……!」

ケイ「ココは任せて!意地でも通さないわ!」

アリサ「隊長が復活したら、恐いもの無しよ!」

みほ「ケイさん……」

杏「無茶するんじゃないよ」

善行「サンダースの皆さんは、いざとなったら無理せず防衛線を下げてください。そしてあんこうチーム、これはあなた方をおびき寄せる罠かもしれません」

桃「nuts!また罠か!どれだけ西住隊長を苦しめれば気が済む!」

柚子「桃ちゃん……」

みほ「ありがとうございます。でも、一人じゃありません。ヤマネコさんも付いてくれています」

来須「……」

来須の姿はみほからは確認できなかったが、それでも近くで守ってくれているという安心感を感じていた

みほ「大洗は隊を二つに分けます。ののみちゃん、宇須々木に現れた敵の規模はわかりますか?」

ののみ「ミノタウロス3、ゴルゴーン5、グレーター・デーモン7、キメラ8、ナーガ6、あとは小型がたくさんなの。でもまだ隠れてるかもしれないよ」

みほ「……わかりました。先程くろねこさんを支援していた隊と、リスさんチームはサンダース戦車隊と共に防衛線で砲撃を続けてください。残りはくろねこさんと共に宇須々木へ急行します」

沙織「みぽりん、気をつけてね」

忍「ここは任せてください!」

梓「西住隊長のところには行かせない!」

杏「アンジーのことも任せといてよ」

宇須々木へは防衛線から3km後退した道のりになる
家屋も増え複雑な地形になってくるため、艦砲支援は受けられない
近隣住民は避難しているが、さらに東方面へ侵攻されると市民にも被害が出る

茜「こちら、えっと……シャムネコその1、思い出したぞ!宇須々木には前大戦時に海軍基地として重要視されてて、今でも当時の倉庫や壕が残ってるんだ!幻獣どもはそこに潜んでいたのかもしれない!」

左衛門佐「ということは、やはりさっきの報告通りの数じゃない可能性があるな」

瀬戸口「珍しく参考になる意見をありがとうな」

茜「一言余計だ!」

士魂号Lの車内で華はみほに語りかける

華「みほさん、瀬戸口さんの軽口は壬生屋さんを和ませるためでしょうか?」

みほ「うん、きっと……壬生屋さんは休息も、一番機の修理も済んでない。私たちがフォローしなきゃ」

麻子「見かけによらず健気な男だ」

華「沙織さんが言ってたじゃありませんか。優しい人だって」

麻子「そうだな……」

瀬戸口「それと、ようやく自衛軍が援軍に来る。市街地への侵攻は防がねばならんが、焦らず慎重に頼むぞ」

みほ「了解しました……見えた!あんこうチームより各車へ!相手が背を向けてるうちに……」

壬生屋「今のうちに、中型を仕留めます!」

みほ「え、くろねこさん!?待って!」

先頭のあんこうチームを追い抜き、壬生屋の一番機はミノタウロスに向け疾走
ミノタウロスの1体を袈裟斬りに、反対の刀を横薙ぎに
瞬く間に2体を撃破する

みほ「くっ!残り1体を!」

3輌の戦車の砲撃により、ミノタウロスは爆散
残りの幻獣が一斉にこちらへ振り向く

みほ「くろねこさん!一度後退を!」

壬生屋「いいえ!わたくしは前衛でみなさんの盾になりつつ敵を引きつけます!皆さんはその隙に砲撃を!」

みほ(壬生屋さん、もしかして疲労で余裕がないんじゃ……!)

三番機の動きは見事なものだった
常に敵の死角を取り、刀に突き刺した敵を盾とし攻撃を防ぐ
以前みほがやった囮作戦よりもずっと洗練され、最小限の動きでそれを行っていた
しかし、しかしそれでも、みほには胸騒ぎがした

みほ(あの温厚な壬生屋さんが仲間の制止を振り切るなんて……これまで独断で動くことなんて無かった!)

それはみほが知る由も無いことであったが、以前の壬生屋は猪突猛進としか言いようの無い戦い方しか出来なかった

しかし戦いの中で学び、多くの戦友の死を糧として、ようやく自分と仲間、同時に守れる戦い方を得たのである

だが極度の疲労の中、知らず知らずの内にかつての愚かだった自分の戦い方に戻っていく

細かい技術や足捌きなど体が覚えていることはそのまま、しかし思考がまとまらなくなっていたのである

みほ「くろねこさん!まだ敵が潜んでいるかもしれないんです!退いてください!……壬生屋さん!」

壬生屋は更にゴルゴーンやキメラ、ナーガといった射撃型の幻獣に肉薄し、味方車輌との連携で撃破していくが……
次の瞬間、士魂号一番機は大きくぐら付いた

壬生屋「キャアアアアア!!」

一番機の右腕が宙に舞う
レーザー攻撃であった

みどり子「隊長!スキュラが3体浮かんできたわ!隠れてみたい!」

ねこにゃー「私たちは、小型を撃破するので精一杯です!」

みほ「カモさん、アリクイさんはそのまま小型を撃破しつつ退いてください!」

エルヴィン「我々はスキュラか!?」

みほ「この地形ではレーザーも当て辛いはずです!3輌同時攻撃で1体のスキュラに攻撃をかけます!各車射撃位置へ!」

おりょう「心得たぜよ!」

麻子「隊長、一番機が囲まれてる」

みほ「くろねこさん!デーモンが来ます!」

壬生屋「これしきッ!」

一番機は正面のグレーター・デーモンを左の刀で切り捨てると、落ちていた右の刀を士魂号の右足で掴み拾い上げ、そのまま後ろから突進してきたもう1体に突き刺した
さらに数体の幻獣を手足の刀で薙ぎ払う
それは士魂号の限界を超えた動きだった

華「す、凄い……!」

みほ「各車、2時方向のスキュラに砲撃!」

合図と共にスキュラに砲弾が飛来、爆発し消滅する

ののみ「更に敵増援!きたかぜゾンビもいるの!」

瀬戸口「壬生屋!無事か!もうすぐ自衛軍が来る!もうすぐなんだ!耐えてくれ!」

ののみの泣きそうな声と、瀬戸口の切羽詰った声が聞こえる
そこで一番機が方膝をついた

みほ「くろねこさん!?」

壬生屋「くっ!左足が、動かない!」

それは右足で刀を掴んで振り回していたため、軸足となっていた左足の人工筋肉が限界を超え断裂したためであった
いかに士魂号といえど動かなければただの的である
一番機は左手の刀を持ち上げ、寄らば斬ると言わんばかりに敵を威圧し続ける

エルヴィン「一番機を守れ!」

あや「当たって!」

ぬえさんチームの士魂号Lは一番機に迫ったグレーター・デーモンに砲撃を加える
カモさんチームとアリクイさんチームもそれに続く

みほ「スキュラがわき腹を見せた!カバさんチーム!あんこうと共に10時方向のスキュラに十字砲火!カモさんチームとアリクイさんチームは対空砲火!」

カエサル「撃て!」

更に1体のスキュラを撃破
しかし最後の1体のスキュラが一番機のレーダードームを削り飛ばす

みほ(次弾装填……くっ!ゆかりさんの手動装填の方が速い!)

みほが最後のスキュラに砲撃指示を出そうとしたとき、あの寒気がみほを襲った

みほ(この、タイミングで!?)

華「みほさん!」

みほ「……急速後退!」

麻子「!」

麻子がすかさずギアを入れ変え猛バックする
瞬間、前面装甲がレーザーに削り取られる

来須はその瞬間を見逃さないだろう
みほは信頼の元そう判断し、即座に指示を出す

みほ「ヤマネコさん、6時方向上空!各車輌は12時方向のスキュラに一斉砲撃!」

一斉放火がスキュラを襲う しかし……
最後のスキュラは厚い装甲をこちらに向けており、3輌の士魂号Lの砲撃を受けてなお浮かんでいた

みほ(位置が悪い!)

エルヴィン「グデーリアン!移動だ!」

優花里「しかし、一番機が!」

スキュラの赤い目がさらに強い光を帯びる
周りには生き残っているグレーター・デーモンにキメラ、ナーガ
きたかぜゾンビも残っている
このままでは一番機のみならず戦車隊までも危うい
そう思われたとき、突如スキュラは爆発した

カエサル「来てくれたか!」

みどり子「遅いのよ!」

自衛軍の90式戦車の砲撃である
それは狙い違わず、残りの幻獣にも砲撃を加えてゆく

当然、大洗の戦車隊も一番機をカバーしながら攻撃を続ける

やがて周りが静かになったとき、無線に聞いたことのある声が流れてきた

蝶野「あなたたち、無事?お願い、無事なら返事を頂戴!」

みほ「蝶野……教官……!」

かつて基礎の基礎を教えるため自衛軍から出向してきてくれた教官、蝶野亜美の声であった

               /                ∧
          _/    , -‐‐‐‐‐- 、      ∧__

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           -‐‐'1   ∨    /\j ィ{‐、
      -‐=二    |    \  /ク´  ト、 \
r――――――┐

| 蝶野 一尉  ,!
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  今回はここまでよ!
||  読んでくれた人、グッジョブ!ベリーナイス!
||  

>>490
ただでさえヘクサが少なく、その上でブルーヘクサときたら…
このあっちゃんはわだかまりを捨てられた後という設定です

>>501
本作では都合上、第5世代が学兵にいるということはまず無いですね
半数ほどが反乱時に死に絶え、さらにその後1体また1体と狩られていき残りわずか…という設定

>>502
ただ、本作では上昇志向も特に持っていませんし、見た目以外はほぼ以前のままです
榊ガンパレのあっちゃんを少しノリ良くした感じでしょうか

>>509
これぞ西住(ry
いや本当に迂闊でした申し訳ない

AMTTってたしかアニメの方の型番だよね
しばむら、しばむらぐーるぷー
が懐かしいな

更新なしでありますか教官殿

更新を待っていますよ、西住殿ー

                   ヽ、  、    ヽ
               \ー- _   ヾ\ \ヽ  l|
             ─- ー-  二_ ヽ \V|レ∠ __
              >─-   _    `ヽV   ,ィ≦_
              / _ -─    _ 二   厶∠  _`ヽ、
            _/ , ´  -─_  ̄ , ´ ∠≧ュ_ ヽ\ ̄ `
          ̄ フイ        / / `i   .:トヽ ト 、
            /    / ィ.:7 /: . ,ィー_-ク! N
          /    //ノト/∠ -‐≦二 ィ介トv′
          ∠ - フィv' ∠ ン fフ }`ト  _└'_,1
                jハィ r ヾl  `=' ′ く ィ ゝ L. -─ァ
                 jハ廴 /{ ト-_   -┐ /    /
          /  ̄ ̄ ヽ   `フ´  |  ヽ-─  /    /
       /       l  く_    `ー ¬__厶ュ  ∠ __
        |          L.∠ -ミ¬ー- ─辷ー- VL_ }:: ト \
       l        ト、_  \ \:::\ `ヽ{⌒ ヽ `v:: l ヽヽ
       ヽ       ハ辷ュ `>   ヽ 、::: \  \  V |::|  ぃ
      厂\   -‐' ヽ ` く    Vヘ、::::\  \/ |l:: |   l{                   r- vー ¬
     ノ   `        \ ヽ    |  \:::::::\   ||::|  ト、                     ハr }- ─  l
   r ´  l     ヽ         ヽ ト、  人   `ヽ::::::`ヽ、_j」::.|   |:::h                  |  T   _  }
   |    |      l   |    | |:::ア   Y^ー 、  `ヽ、::::. _⊥  ノ::ハ\               _r _」   7  ̄   「
  ハ    |      {   ノ      | レ′    ヾ:::: \    <  / {::::{ V⌒> - 、_  -一'フ ̄  l:| -ヘ  ゝ─- r'
 く  、  \   /⌒ `       l ト-ヘ      \::: ヽ    トイ   l:: |  Y´ /       l:|     l:|   ヽ ー_ュ- '
  ヽ  \__`7           / /  l       Y!:: l     |:i |  l:: l  l   {         |:|    |:| _ - T
   ヽ   _{         / ,イ   l       |l::: |     |:i |  |:: | !        |:|    |:「    l|
       ̄ ヽ  ` ー ´  ̄ ̄ / |   |      ∥: |    |:i |  |:: | ヽ           l:|    l:|   l|
         \ __ _ /    |    |      !: {    }:i |  |:: |  \         l:l    ヾ    リ
r――――――┐

| 滝川百翼長 ,!
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  遅くなってすまねぇ!
||  再開するぜ!
||  

現行最新型である90式戦車戦車を筆頭とする自衛軍の攻撃により、宇須々木に出現した幻獣は駆逐されていく

来須「ペンタを狙撃した。確認に向かう」

先ほど、みほからの指示を受けた来須は、レーザーライフルによる狙撃を成功させていた

みほ「大まかな方向しか指定してなかったのに……」

来須「奴のレーザー照射から大体の位置は割り出せていた。まだ護衛がいると思われる。戦車の支援が欲しい」

エルヴィン「では我々が向かおう」

ねこにゃー「ボクたちもお供します」

来須を乗せた2輌の車輌はペンタの落下地点へと向かって行った

残る3輌は満身創痍の一番機を守るように配置されている

舞「こちらみけねこチーム、敵の攻勢がかなり弱まった」

善行「司令型幻獣を失ったことによる影響だと思われます。掃討戦に移行してください」

ののみ「宇須々木の幻獣、反応消滅しました!」

原「こちらシャムネコチーム、一番機を回収に向かっても?」

善行「あんこうチーム、どうでしょうか」

みほ「……はい。小型幻獣も見当たりません。大丈夫だと思います」

瀬戸口「……司令」

善行「許可します。行ってあげてください」

瀬戸口「感謝します!」

みほたちは車輌から降り、一番機のコクピットから出てきた壬生屋を支える
壬生屋は心身ともに消耗したのか、かなりフラフラであり、地面に降り立つとその場にへたり込んだ
周りは自衛軍の戦車と随伴歩兵に囲まれ安全は確保されている

整備班のトレーラーとクレーン車、軽トラがやって来た
軽トラの荷台から瀬戸口が飛び降り、こちらへ駆けてくる

華「瀬戸口さん!こちらです!」

瀬戸口「壬生屋!」

壬生屋「瀬戸口さん……」

麻子「とくに外傷は無いようだ。安心しろ」

瀬戸口「そうか!よかった……みんなにも苦労かけた」

みほ「いえ、私たちも壬生屋さんに助けられてますし……無事でよかったです」

壬生屋「わたくし、指示も聞かずに暴走して……」

壬生屋は今になって冷静になり自分の行動を思い返したのか、俯いて顔を上げられないようだった

瀬戸口「今はいい。とりあえず休もう」

壬生屋は瀬戸口に支えられ、軽トラへと向かっていった

中村「あいたー!こいつはまた派手に動かしたばいね。装甲の破損もばってん、手足の人工筋肉もボロボロになっとるタイ」

岩田「フフフ、これは最早サムライの戦いというよりNINJA!ジャパニーズNINJAの所業と言わざるを得ませんね!」

左衛門佐「壬生屋殿は阿修羅のごとく戦った」

おりょう「膝をつきなお闘志を燃やし続けたじゃきに、まっこと勇ましきおなごぜよ」

カエサル「その覇気には我々も勇気付けられた。破損も大目に見てやって欲しい」

新井木「えー?直すのは僕たちなんだけどなー!ただでさえ壬生屋さん被弾率高いんだもん!」

中村「しぇからしか!俺たちは二度とぶっ壊れないよう補強することを考えればよかね!」

岩田「あなたの無駄なエネルギーを消耗するのには一番機担当はもってこいなのですよ。それとも原さんの茶坊主でもやりますか?ふ、フフフ……」

新井木「わかった、わかったよ!壬生屋さん頑張ったもんね!」

左衛門佐「原殿は恐れられているのか?」

カエサル「皆の憧れの美人班長という感じなのだが」

おりょう「女は見た目じゃ判らんきに」

来須「ペンタ護衛の撃破を完了」

善行「了解しました。芝村竜師長の部隊へ連絡します」

エルヴィン「我々はどうすればいい?」

善行「そうですね……現場保持の方は?」

来須「俺一人で問題ないだろう」

善行「わかりました。ぬえさんチーム、アリクイさんチームは大洗と合流してください」

エルヴィン「了解した」

ねこにゃー「わかりました」

舞「自衛軍の車輌がこちらにも来たな」

カチューシャ「ふん、随分とのんびりだったわね。もう私たちでほとんど片付けてしまったわ」

自衛軍の主力戦車隊は黒崎鼻方面へと向かったが、一輌の90式戦車がみほたちの下へ近づいてくる
先ほど通信してきた蝶野亜美の搭乗車輌である

亜美「遅くなってごめんなさい。みんな……無事で良かったわ!」

優花里「蝶野教官!」

華「お久しぶりです」

亜美「みんな立派になったのね!……少し、悲しい気もするけれど」

麻子「教官の指導があったから、私たちは今生き延びている」

亜美「そう言って貰えると、気が楽になるわ」

優花里「あ!その階級証、三佐に昇進なされたのですね!おめでとうございます!」

亜美「ふふ、ありがとう。今は独立部隊の指揮を任されているわ」

みほ「もしかして、私たちの隊と合流する自衛軍の部隊というのは……」

亜美「ええ、私たちの隊よ」

5121、プラウダ、サンダース、そして自衛軍の攻撃により宿毛市に残存していた幻獣は消滅
人類側はさしたる損害も無く敵を退けることに成功した

指揮車の周囲に各員が集まり状況の確認を行う

善行「幻獣の駆逐は完了しました。とりあえず、皆さんお疲れ様です」

ナカジマ「あんこうの士魂号Lは前面装甲の換装が必要だね。でも主要機関に問題はないよ」

原「士魂号一番機も一見手酷いけど、機体の全とっかえは必要ないわ。予備パーツでまかなえます」

壬生屋「あの、わたくし……」

善行「宇須々木での戦闘の件は私の判断ミスです。壬生屋さんの疲労を鑑みませんでした」

壬生屋「そんな!」

瀬戸口「そういうことにしておくんだ」

舞「くっくっく……善行よ、そなたがそんな風に謝罪する姿を見ることになるとはな」

善行「臆病になってしまったんですよ」

沙織「芝村さん、なんか悪役みたい」

みほ「沙織さん!」

厚志「悪役みたいじゃなくて、悪人なのさ」

滝川「へっへっへ!違いねぇ!」

舞「聞こえているぞ」

エルヴィン「それにしても、ここでペンタを一体撃破出来たのは大きいな」

カエサル「うむ。九州奪還に向けて、幻獣の策略や共生派の暗躍などの懸案事項が一つ潰せたからな」

来須「西住」

みほ「は、はい!?」

気配もなく突如として背後から大男に声をかけられたみほは、飛び上がってしまった
来須は帽子の鍔に触れ一拍置くと、再び口を開いた

来須「あの時、お前は砲塔から身を乗り出していなかった。ペンタはレーダーにも映らん……見えていたのか?」

みほ「え……?」

ペンタからのレーザー攻撃を回避したときのことを言っているのだろう
それは判ったのだが、みほはどうにも返答に困った

みほ「えっと……なんというか、勘……みたいなもので」

麻子「だが、三度目だ」

優花里「きっと西住流を受け継ぐ者だけが感じ取る気配とかがあるんですよ!姉上殿も凄い実力者ですしね!」

舞「……」

みほ「あはは……」

まだ舞以外の者には姉の戦死は伝えていない
伝えれば、きっと仲間たちは自分に気を使ってくれるだろう
しかし、余計な心配はさせたくなかった

舞「……同調能力、というものがある」

エルヴィン「前にペンタの説明を受けたときに出た単語だな」

舞「ラボによって様々な実験が行われたようだ。個体差はあるが、何らかの超常能力を付加させるものだ」

カエサル「それが原因で第五世代は寝返ったと」

沙織「でも、みぽりんはそんなの……」

舞「強化実験に頼らずとも、元々は生あるものはみな使えたものらしい。心を落ち着け、自然と同化すれば見えるものがあると。みほよ、そなたはそれが見えるのかもしれぬな」

みほ「心を……」

瀬戸口「だが、ペンタの連中は生ではなく死に引っ張られちまった。自然と同化するってのは、危ういことかもしれないな」

舞「またそなたは恐がらせるようなことを……」

瀬戸口「すまんすまん。だが心配になってな」

華「みほさんなら、きっと大丈夫ですよ」

麻子「そうだな、私も信じる」

みほ「みんな……!」

沙織「でもそもそもなんで第五世代の人達は幻獣に引っ張られたのかなぁ?」

瀬戸口「幻獣、あしきゆめは平穏を生み出そうとしているのさ。死と絶望によってな」

みほ「あしきゆめ……石津さんが言ってた……」

梓「そんなの平穏っていうの?」

優季「さっぱり」

桂利奈「ってことは、良いゆめもあるの?」

舞「そうだな、希望、愛、喜びなど正の想いから生まれるもの。生きようとする意志。生と騒乱。それがよきゆめだ。我らが生きていくためには、あしきゆめと戦い続けなければならぬ。生きることは戦いとはよく言ったものだ」

あや「難しくてよくわかんない」

あゆみ「ねー?」

舞「ふふ……そなたたちはそれでよかろう」

撤収が完了したプラウダ校とサンダース校の隊長、副隊長たちがみほたちのもとにやってきた
カチューシャを肩車したノンナが口を開く

ノンナ「我が方は損害こそ出たものの、死者はゼロ。皆さんの支援に感謝します」

カチューシャ「あなたたち、中々のもんよ。……言っとくけど、カチューシャたちほどじゃないから!」

カチューシャはそっぽを向きながらそう言った
ノンナはカチューシャを降ろす
そしてカチューシャはみほに向かって手を差し伸べた
みほは握手に応じる

カチューシャ「奪還戦、別の戦場だけどヘマはしないように。カチューシャをガッカリさせないでよ!……ミホーシャ」

カチューシャはみほを独特の愛称でそう呼んだ
きっとそれは彼女にとって敬意の証なのだろう
そう思ったみほは満面の笑みで応えた

みほ「はい!」

カチューシャのその青い目は、嬉しそうに強く輝いた

ケイ「ミホー!アンジー!」

みほ「ケイさん……わ!」

ケイはみほに抱きついてきた
突然のことにみほは目を白黒させる

沙織「おお~」

優花里「!」

杏「無事でなにより~」

ケイ「あなたたちと一緒に戦えてよかったわ。私はもう大丈夫。九州ではお互い頑張りましょう!グッドラック!」

みほ「はい!そちらもお気をつけて」

アリサ「隊長がまたヘナチョコになったら、私がお尻叩いてあげますよ!」

ナオミ「おい、調子に乗るんじゃない」

ケイ「あははは!うん!お願いね」

そう軽口を叩き合う彼女たちの目には、薄っすらと涙が滲んでいた

杏もケイと抱き合い、別れを惜しんでいた
みほにはどうもスキンシップに慣れなかったが、彼女たちにとってそれは自然なことのようだった

ののみ「ペンギンさん、またね!」

ペンギン「クェ」

ののみはペンギンを頭に乗せて遊んでいたが、そろそろ時間ということを察して別れの挨拶をした

カチューシャ「ど、同志……」

ノンナ「先を越されましたね」

カチューシャ「な、なんとも思ってないわよ!ほら!撤収するわよ!」

カチューシャは少し離れたところで大洗の一年生と一緒にコサックダンスをして遊んでいた下級生たちに向かって叫んだ

カチューシャ「じゃあね~ピロシキ~」

ノンナ「До свидания」

麻子「結局あのペンギンは何だったんだ」

華「さあ……?」

瀬戸口「彼も俺たちの仲間さ。さぁ学園艦に戻ろう。蝶野三佐が率いる隊とも話し合わなくちゃな」

大洗学園艦のグラウンドでは自衛軍が設営を行っていた

麻子「一気に物々しくなったな」

優花里「流石に自衛軍ともなると屈強な兵が多いですね。とくに歩兵の方々は」

華「来須さんや若宮さんが増えたみたいです」

沙織「コレだけ男の人が増えたとなると……チャンス到来じゃないのかな!」

舞「武部よ、そなたはそればかりだな」

沙織「なにさー!芝村さんは速水くんがいるからうらやましいなー!」

舞「な……!やめんか!」

みほ「あはは……」

亜美「みんな、よく来たわね!」

みほ「蝶野教官!」

亜美「私たちは善行竜師の指揮下に入ることになるわ。これからは同僚というわけ。よろしくね!」

みほ「はい!よろしくお願いします!」

舞「90式戦車3輌、74式戦車12輌、61式戦車改18輌、随伴歩兵80名に砲兵24名か。随分と大所帯になったな」

亜美「はい。尽力いたします。芝村上級万翼長とお呼びしたほうが?」

舞「呼び捨てで構わん。敬語もいい。そもそも階級は同級相当だ」

亜美「……わかったわ。それじゃあよろしくね、芝村さん」

瀬戸口「学兵を大事にしてくれる自衛軍の方は貴重です。歓迎しますよ、蝶野三佐」

亜美「ええ、特にこの子達は私がかつて受け持った子達だから……ずっと心残りだったのよ。でも、立派に戦ってる姿を見て安心したわ」

善行「みなさん、揃っていますね」

亜美は背筋の伸びた綺麗な敬礼を行った

善行「楽にして下さって結構ですよ。私からも我が隊の面々と良くやってくれるようお願いします」

亜美「はい」

善行「さて、もう少し先の話ですが九州奪還戦にて我々と合流する学園が決定しました」

優花里「おお、ついに!」

沙織「どこだろう、仲良くできるかな?」

善行「大分県佐伯市にて、我々は黒森峰女学院と合流します」

みほ「……!」

                  ._
                 上⊥

                -=く-ノヽ  <(やれやれ……)
                  卯'´l
                  l==l_l
                 〈ノL_ゝ

                ´        `丶
               /
                ,′/               |
                 | !│  :|       | :i|
                  jノ :|: : : l:|: : : . l | : : | 八
               〃 八トV|从___八|イ八/ ハ
               {{八_:代^它    它゙ア: : /ハ
               ∨レ:个ヘ  r ¬  人j/人ノ
               \|\≧=、__ノ≦/|/
                r‐L......凶.....」‐┐_

              厂└┘ |  |★ー┘∧
             r'r‐く「 ̄| |  | 亡ア-、ヘ
                 ノ{三 >ァ―…‐<く_三}八
            { /  ..::::::::::::::::::::::::::::く   }

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          {___j」 ::::: /‐-  \ -‐ヽ:::::::|__,,}
         [____〕::::代マ庁   マ庁ア::::〔____]
         [____]::::∧          ∧::::[______]
          |    |::::::ーゝ   -   イー::::::|    |
          |    |::::::::::::介::、 _. ィ介:::::::::::|    |
        r''ニニ)   |_:::斗f¨丁 ¨¨¨ト、:____|   (ニニ'┐
        { 三)  │|_____∨/|  //____,| |  (三 }
       人__」,    ∨    ∨|o/// ★ ∨    `ヽ
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| カチューシャ !
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  今回はここまで!
||  更新が遅れに遅れた作者はシベリア送り、25ルーブルよ!
||  

>>571
原作でも形式番号は同じみたいですよ

>>572 >>573
一ヶ月近く開いてしまい、本当に申し訳ありませんでした

>>606
おかえりー帰還楽しみにしておりました!
あれだよね>>1は日の当たらない部屋で投下作業に入らないとね

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        ヽ::::::::::::::::;::. l:: //  _ ̄´   rテ了`ア'/:  /: //.:.:..  / /      
         ヽ:::::::::::::',::.. ';/´ ̄ ̄ ̄``   iゞイ ノ ,':  /: //.:.:..  / /     
           ヽ::::::::: ヽ::. ', ⊂⊃       ` ̄´ i:: /: //.:.:..  / /    
              .\ヽ:::..\\          ⊂⊃:,.':::., '/.:.:.... / /      
             ヽi\ヽ\`   ヽフ    _,. イ ':./ /.:.:.... / /     
            _ / ̄ ヾ\`二、 _,. -‐1´//:/  /.:.:..  / /        
          /:.:.:.:` ̄`\_ /::::::::`ゞ:`Y´ ̄`ヽr´、 /.:.:..  / /       
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| 原 万翼長  ,!
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  おまたせ!再開するわ!
||  え?この包丁?
||  気にしない気にしない!

校舎の会議室では手狭なため、自衛軍部隊員との顔合わせも兼ね倉庫前で会議が行われた
改めて善行は口を開く

善行「我々は黒森峰女学院と合流後、第106師団隷下第5戦闘団として編成されます」

舞「ふむ、106師団が復活か」

カエサル「九州、とりわけ熊本を取り返すという意思の表れというわけだな」

善行「師団本部は下関に設置される予定ですがね」

瀬戸口「俺たちの隊は、佐伯市から阿蘇を通り、熊本を目指す」

エルヴィン「随分と長距離移動だな、大丈夫か?」

善行「本作戦では人類側が多方面から進軍することにより幻獣の動きを分散させることが重要です。一気に進むのではなくその都度、橋頭堡を築いていきます」

瀬戸口「今回は航空支援も行われる。他の部隊との連絡も密に行わなきゃならない」

ねこにゃー「場合によっては退却も有り得るのでしょうか……?」

善行「戦況によって一時退却は考えられますが、作戦上、一箇所でも穴が開けば総崩れの恐れもあります。それゆえ各戦闘団の戦力を強固なものとし、確実な任務遂行を行うように、というのが上の見解です。攻勢作戦ですからね」

舞「機動防御戦の訓練も行う必要があるな」

善行「そうですね、この作戦では粘り強さが要求されるでしょう」

梓「でも、味方が黒森峰っていうのは心強いよね!」

優花里「確かに!隊長は西住まほ殿なのでしょうか?」

みほ「……」

舞「……」

善行「あー、彼女は現在自衛軍へ出向となっているため、黒森峰の隊長は逸見エリカ千翼長となっています」

みほ(出向?これは嘘……善行さんは本当のことを知っているのかな……)

善行「現在の情報は以上です。また時期が近づけば追って情報が入るでしょう。それまでは作戦に向けての訓練です」

瀬戸口「各員リフレッシュの時間も作るようにな。九州に上陸すれば暇なんかなくなっちまうだろう」

善行からの報告は終わり、ひと段落ついたところで亜美が口を開いた

亜美「ねえ、この部隊では各チームにニックネームが付いているみたいだけど?」

みほ「はい。舞さんたっての希望で……」

舞「共生派の傍受に配慮して、だ」

厚志「舞ったらまだ言ってる」

亜美「あはは!いいわね、そういうの。私たちの部隊にも付けてくれないかしら?」

みほ「え?で、でも……」

亜美「私たちもこれから共に戦う仲間なんだもの。ね?」

顔を向けられた自衛軍の部下たちは苦笑いを浮かべている
それでも批判的な声は無く、彼女は隊員たちから信頼を得ているのだという雰囲気があった

みほは善行の顔をうかがう

善行「今回は他部隊との連携も想定されているので符号は使いませんが……まあ、部隊内での使用であれば問題は無いでしょう」

みほ「えっと、では……自衛軍の皆さんをまとめて『いぬさんチーム』として、戦車隊は『こいぬさんチーム』でどうでしょう」

自衛軍の女性戦車兵たちはまんざらでもないという表情である
亜美の影響か、柔軟でノリの良い隊員が多いようだ

亜美「うん!可愛くていいじゃない!じゃあ、歩兵たちは子犬を狙う狼さんね!」

これには流石に自分たちはそんな節操無しではないと抗議の声が上がる
と言っても、怒っているようではないようだ

亜美「いいじゃない、強そうでしょ?」

桂利奈「狼さん、がおー!」

優季「こわーい!」

あや「つよそー!」

強そうと言う言葉に渋々、と言った感じで隊員たちは納得したようだ

沙織「蝶野教官、男性歩兵の人達を手玉に……!」

華「教官はお強いですから、きっとそれを認めているんですよ」

麻子「尻に敷かれているだけじゃないのか」

その後の質問や雑談も終わり、その日は解散となった
メンバーがその場を離れる中、倉庫前に善行、舞、厚志、亜美、そしてみほが残っている

舞「善行よ、この作戦についてだが」

善行「他の隊員の前では言えませんが……私個人としましては、不確定要素が多すぎるこの作戦は正直不安ですね。兵站運用がかなり厳しくなります」

亜美「補給線がかなり延びてしまいますね」

舞「電撃的な進撃であればともかく、他部隊との足並みを揃えた上での長期戦となると……」

厚志「かわりに、敵の戦力も分散されるから、いつものしつこい増援は減るんじゃないかな?」

みほ「一長一短……という感じですね」

善行「私のモットーは疑うことです。あらゆる被害や落とし穴を想像する悲観主義(ペシニズム)。それと戦うことから私の戦いは始まりますが、今回は味方を信頼することが参戦の前提条件です。つまり……」

舞「そなたの出番は殆ど無いと言う事だな」

厚志「そんな実もふたも無い」

善行「いえ、その通りですよ。だからこそ、現場の指揮官たるみなさんに作戦の成否が掛かっています。どうか、よろしくお願いいたします」

亜美「ご期待に沿えるよう、努力いたします!」

善行「ああ、西住さん」

みほ「はい?」

善行「後ほど正式な伝令が届きますが、今回の戦闘の活躍で、あなたと大洗戦車隊員の昇進が決まりました。それぞれ一階級昇進です」

みほ「あ、えっと……レオポンさんチームの方々は?」

善行「今回は戦車兵に限られますね。どうしてもラインオフィサーとテクノオフィサーでは昇進速度に差が出てしまうもので」

みほ「私の昇進の変わりに、整備の皆さんを昇進させて上げられないでしょうか?」

善行「……ふ、あっはっはっは!」

みほ「あの、おかしかったでしょうか?」

善行「いえ、失礼。軍でもね、前線と後方の兵の間の確執というのは中々解決できない問題なのですよ。前線兵は後援を軽んじ、後方部隊は階級が上がる兵を疎んじ、そして上層部は彼らに目を向けられなくなる」

みほ「……」

善行「あなたは仲間を気遣ってあげられる人です。どうか、皆を引っ張っていってあげてください。上に立つものは、それ相応の責任が発生します。あなたにはそれが期待されるだけの力があるのですよ。大丈夫、あなたの仲間に、あなたの昇進を疎む人はいないでしょう?」

みほ「それはもちろん!……はい、わかりました」

厚志「善行さんはあんなこと言ってたけど、作戦に向けて相当念入りに準備してるよね」

舞「当然だ。あの臆病者が何もせず座っているはずが無い」

みほ(お姉ちゃんのこと、聞きそびれちゃったな……)

善行、亜美と別れ、みほたちは学園の校門へ足を向ける
既に日は落ちかけ、街灯が点き始めている

校門では何人かの生徒がみほたちを待っていて、声をかけてきた

沙織「みぽりーん!」

みほ「沙織さん、みんな、待っててくれたんだ」

沙織「うん!あのね、今度の土曜日なんだけど」

優花里「五十鈴殿が参加されている生け花の展示会に、みんなで行こうという話になりまして」

みほ「わぁ!華さんの作品が見られるの?」

華「はい、少しお恥ずかしいですが、是非」

麻子「5121からも何人か見に行くそうだ」

厚志「へぇ、僕たちも見に行こうか、舞?」

舞「む、そうだな……私に花の何たるかが分るかどうか……」

花「見たまま、感じたままを受け取っていただければ、それでよろしいかと思います」

舞「ふむ、わかった」

厚志「決まりだね!」

土曜日、面々は展示場に集合
水族館の施設内で展示されているようだった

普段、鉄と油の匂いばかり嗅いでいる隊員たちにとって、花の香りはとても心安らぐものであった

壬生屋「これは……とても心が落ち着きます」

瀬戸口「ああ。来てよかっただろう?」

滝川「俺はちょっと落ち着かねぇな……ロボットのプラモ屋とかなら落ち着くんだが」

石津「滝川くんは……こういう雰囲気も……必要……」

沙織「お、おのれー!私もカップルで来たかった!」

麻子「私たちで我慢しろ」

みほ「あはは……華さんのお花はー」

沙織「ん……お!あれじゃない!?」

そこには戦車の形を模した花器に生けられた花が飾られていた
思わず感嘆の声を上げるみほたち

沙織「すごーい!」

みほ「戦車にお花が……」

舞「ほう、こういうものもあるのか」

壬生屋「流石に特注品だと思いますが……」

華「来てくれてありがとう」

そこに着物姿の華が現れる

みほ「華さん。このお花、凄く素敵です!力強くて、でも優しい感じがする……まるで華さんみたいに」

華「……この花は、みなさんが生けさせてくれたんです」

華は戦車道を通じて、これまで自分に足りなかった個性と新しさを花に見出すことが出来、母親とも和解することが出来たという

母から、自分とは違う華の新境地と認められることが出来たと

それを聞いたみほは自分のことのように嬉しかった

舞「確かにこの花からは力強さが伝わってくるが……同時に私には砲塔部分が派手に爆発しているように見えるのだが」

滝川「奇遇だな、俺にもそう見える」

厚志「ちょっと舞……」

瀬戸口「お前さんたち、もっと風情と言うものを」

華「まあ!ふふふ……そう言われれば、そうも見えてきますね。これも戦車道の影響でしょうか」

麻子「まあ、戦車道ではアレも見所の一つではある」

沙織「それでいいの……?」

館内のフードコートで食事を取る一行

壬生屋「西住さん、先日の一件では申し訳ありませんでした。改めて謝罪します」

みほ「あ、いえそんな」

壬生屋「瀬戸口さんにも諭されまして。多くの人を守りたい思いも大事ですが、自分の命を蔑ろにする者にそれは出来ないと。わたくしは西住さんを信じて戦うことを誓います」

みほ「……はい。私からも、よろしくお願いします!」

沙織「麻子のおばあ、退院出来たんだ!」

麻子「ついでにあの口の悪さも治してくれればよかったんだが」

沙織「どの口が言うの?」

みほ「でも良かった。おばあちゃんからも、麻子さんのことよろしくって言われてたの」

麻子「むぅ……おばぁから、奪還戦もしっかりやれと発破かけられたよ」

優花里「私も両親から激励されました!お父さんはちょっと泣いていましたけど」

みほ(家族……か……)

舞「学園艦の一般住人は、九州接近時は内部に退避すると言っていたな?」

みほ「はい。一応本土に降りるという選択もあったのですけど、殆どの人は学園艦に残っています」

優花里「学園艦の守りは強固ですし、内部となるとますます安全ですからね」

華「学兵たちのために、出来るだけ普段の生活を維持したいという住人の方々が多いみたいです」

壬生屋「なんとありがたいことでしょう」

石津「ここは……暖かい人の意思が……集まっているわ……」

滝川「へへっ!心強いじゃねぇか」

厚志「舞?どうかした?」

舞「む、学園艦の守り、という話題で思い出したのだがな。そなたらもサンダースの学園艦が九州撤退戦で放棄されたと言う話は聞いたであろう?」

みほ「はい。ケイさんたちが幻獣に強襲されて逃げたって……」

瀬戸口「中型幻獣クラスでは容易く沈まない学園艦がなぜ、って話しか?」

舞「うむ……いや、当時の戦域図を見たのだが、サンダースの学兵は学園艦との経路を寸断され北西へ逃げざるを得ない状況ではあった。だが学園艦側は海上から逃げるなり出来たはずなのだ。それにその場でやられたのなら学園艦は佐世保に存在するはずなのだが……」

厚志「え?別のところにあるの?」

舞「軍のデータベースに侵入して見た衛星写真では、長崎半島を越え島原湾付近に位置していたのだ」

沙織「侵入って……」

麻子「恐ろしいな」

みほ「それは、サンダースの学園艦はまだ機能していると言うことでしょうか?」

舞「さて、それも今回の作戦で明らかになるやもしれぬな」

次の日、勲章の授与式が行われた
大洗の戦車隊の隊員たちはそれぞれ一階級昇進、みほは千翼長となった

みほは隊内での階級差を危惧したが、レオポンチームメンバーが心から祝ってくれたことに安堵した

善行から九州奪還戦の決行日時が知らされる
残された訓練期間はそう多くは無かった

桃「時間はわずか……我々は戦い抜けるだろうか……」

舞「焦っても仕方がない。目の前の課題を一つずつこなしてゆくしかない」

杏「河嶋。西住ちゃんと芝村ちゃんを信じるんだ」

桃「会長……」

杏「そうだ、あそこ予約しておこうかな。決行前の日はみんな空けておいてよ」

それからは皆訓練に励み、学園艦をみんなで探検したり、隊員たちでバレーボール大会を開いたりもした

5121のメンバーにあんこう音頭を教えたり、奥様言葉で話す善行を目撃したり

みほがシャワールーム使用中に覗かれ、舞が激怒し犯人を大福死に処したこともあった

そしてあっという間に奪還戦前日になる

奪還戦前日早朝、倉庫前で生徒会メンバーが口を開く

杏「さあ!いよいよ奪還戦だよ!」

桃「危険な任務だ。だが我々は人類のため、勝利せねばならない。負ければ……」

みほ「……」

杏「んじゃ、西住ちゃんも何か一言」

みほ「へ?」

杏「ほら!」

みほ「えっと、明日合流する黒森峰女学院は、私がいた学校です。きっと、心強い味方となってくれるはずです。だから、あの……私も一生懸命落ち着いて、冷静に頑張りますので、みなさん頑張りましょう!」

「おーーー!」

厚志「ほら舞も」

舞「お、おー!」

瀬戸口「善行さん、黒森峰から連絡が」

善行「分りました。みなさん、今日はあまり無理をし過ぎないように」

夕方、訓練を終え再び倉庫前

桃「訓練終了!やるべきことは全てやった!」

舞「あとは各自明日の出撃に備えるように。解さ……」

杏「おっと待った待った!今日はみんなあそこに行くよー!」

5121と大洗のメンバーはとある店に向かう

桃「ここ、ですか?」

杏「そ!さあ入ろ入ろ」

店主「いらっしゃい!準備できてるよ!」

店内には沢山のとんかつ料理が並べられていた
ゲンを担ぐつもりで杏が予約していたらしい

杏「ここはねぇ、いろいろと縁起のいいお店なんだよ」

店主「みんな、うちのカツを食べて頑張ってね!それと、君たち味のれんの常連だったんだって?僕はあそこの親父さんと個人的な知り合いでね。連絡を取ったら、これを送ってくれたんだ」

ののみ「わ~!アップルパイだー!」

みほ「もしかして、舞さんが前に言ってたのって」

舞「うむ、間違いないな」

厚志「あはは、これはますます負けられないや」

麻子「こんなに食べ切れんぞ」

華「あら、そんなに量は無いようですが?」

沙織「て、店長~!こっちご飯特盛でお願いします!」

中村「むむ!これは絶品タイ!」

桂利奈「このアップルパイも!」

あけび「ほっぺた落ちそうです!」

新井木「んん~美味しー!」

おりょう「活力が湧いてくるぜよ」

岩田「フフフ!カツだけに!カツ力が湧いてくる!これはカツしかない!カツコイイィィィー!」

舞「やかましい!」

桃「カツカツ言えば良いってもんじゃない!」

杏「河嶋、そうカツカツするな」

桃「会長まで!?」

沙織「重大な発表があります」

みほ「え?」

沙織「実は私……」

優花里「婚約したんですか!?」

華「彼氏もいないのに?」

壬生屋「せ、瀬戸口さん……まさか、あなたという人は!」

瀬戸口「待て!なぜそうなる!」

沙織「違うわよ!じゃん!アマチュア無線2級に合格しました!」

華「まあ!」

優花里「4級どころか2級なんて!」

みほ「2級って結構難しいんじゃ?」

滝川「そんなに難しいのか?」

瀬戸口「まあかなり専門的な分野になるからな。1級ともなると丸暗記では無理かな」

沙織「いやぁ大変だったよ~!麻子と狩谷さんに勉強付き合ってもらって」

麻子「教えるほうが大変だった」

狩谷「まあ、いい気晴らしにはなったさ」

加藤「うぇっへっへ!こりゃなっちゃん貸出料取らんとなぁ」

左衛門佐「有料なのか!?」

狩谷「僕はお前の所有物じゃない」

加藤「あはは、冗談や!」

みほ「でも沙織さん凄い!婚約発表は無いと思ってたけど」

沙織「みぽりん何気に酷い!」

原「でも西住さんもかわいい顔してるんだから、彼氏の一人でも作ればいいのに、ねえ?善行さん?」

善行「ゴフッ!ごほっごほっ!え、あー、それは個人の価値観によりますし……」

滝川「善行さんが動揺してる」

妙子「弱点なんでしょうか?」

典子「はっきり言うんじゃない」

みほ「私は……私は、みんなと一緒にいるのが、今凄く楽しいから……みんなの事が、大好きだから」

麻子「おぉ……」

優花里「西住殿に告られましたー!!」

沙織「むむ、男女関係無く告白とは、みぽりん恐るべし……」

みほ「え!?あ、そういう意味じゃ……」

舞「ののみよ、渡したいものがあるのだろう?」

ののみ「うん!みほちゃん、あのね……これ、みんなで作ったの!」

ののみから手渡されたそれは、あからさま嘘くさい勲章であった
嘘くさいが、ずいぶん真面目に作られているようだ
真ん中にはののみの手書きだろうか、「えらい」と書かれている
みほは普通の勲章より、価値があると思った

みほ「ののみちゃん、みんな……ありがとう!とっても嬉しい!」

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       i!  \:::::i /  {:::::l==ハk='ヽ::ノ  .l/  \
       i    \:iヽ    ヽ-' /:∧:ヽ /   / // \
r――――――┐

| 河嶋百翼長 ,!
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  今回はここまでだ!
||  次回はいよいよ九州奪還戦!
||  気後れするなよ腰抜け共!

>>607
プラウダ校の一室ならばむしろ是非……

                             、       _ -‐¬
                        ヽミ辷ー=ニ  --、 |> '^ト- 、

                          >ー  /  ,ィハ ∨ ,ィ7 | ∥ ト、
                           ∠ -‐= /  厶-┴く / / | l  !l ヽ
                        ー=≦彡'  イ |     V / {      l
                             ノィ フ /Tト、      | | ト、ヽノレノ  |
                            /イ7 マ7i }     _」 | ヽミー<_  ヘ、
                             /イ  ` フ   ' ィ^Xトミx  <  トヽ
                           l  r'         ゞ'ゝ ト,ニ、  |
      / ̄二ニ=一'^ ー-、__ __,ハ|   } ヽ        jイ ^}|l !
      / /                    ヽl  ヽ、           ノフ ,ハjノ^ヽ
     j                      l   、 `  ー     ∠辷ィ´
.    /                          ハ         /  ,イl|
    /                         / ト、__   -‐ ´   /^トN
.   {                        _  / /        /   |
   \                 --─   / /\   _ -‐ '     , ヘ、
     ヽー-   ─        _,. -─<_ ∠イ ̄ `<        /   \
      }           _ 二T「   /  |    j   /l      /   _, -ヘ、
      ヽ-─¬マて    ||  /    l! /⌒Y´  |   ∠ -‐ ´   _,. -ヘ、
            ヽ{ |   ||   |     |l/    /   j_ /    _  -‐ ´      >、
             └|   ||  |    ハ   厶-‐' /    /        /    `ヽ
r――――――┐

| 瀬戸口千翼長 !
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  お嬢さん方、よろしく。野郎は……今回はよろしくだな
||  待たせてすまなかった
||  さて、再開しようか

作戦当日早朝
第5戦闘団の隊員たちは倉庫前にて出撃準備に取り掛かっていた

沙織「ほら麻子起きて!」

麻子「眠い……なんでこんな時間に出撃なんだ……」

みほ「この時間帯は幻獣の活動が比較的少ないんだって、あくまで統計上のものだけど」

滝川「今回は見送りも無しか。この前はそこそこの人が見送ってくれてたよな」

優花里「仕方ありませんよ。一般住人は昨夜までに艦内へ退避していますから。私の両親もそうです」

華「こちらの点検は終わりました」

ナカジマ「全車の整備も万全にしてあるからね!」

茜「この僕が直々に手を汚したんだ。簡単に壊してくれるなよ」

田代「お手伝い君が何をほざく!何か不具合があったらすぐ言えよ」

ツチヤ「今回は余剰パーツもたんまりあるからね~」

みほ「はい!ありがとうございます!」

善行「確認します。佐伯湾に近づいた時点で幻獣側からの激しい抵抗が予想されます。洋上からの艦砲射撃と自衛軍の艦載機による爆撃で防衛線を崩し、佐伯港に上陸します」

瀬戸口「上陸までの間は陸戦隊は昇降口にて待機だ。士魂号三番機のみ特別に用意したミサイルで洋上からの攻撃を援護してくれ」

舞「了解した」

厚志「これは僕の仕事はほとんど無さそうだね」

善行「学園艦のサイズの問題上、黒森峰女子が先行して上陸する予定ですので、士魂号一番機と二番機は先に前進して合流してください。若宮君も、あらかじめ選抜しておいた随伴歩兵と共に向かってください」

若宮「ハッ」

善行「残りは上陸後、南方面から進撃してくる幻獣に備えつつ敵を撃破、集合地点は佐伯小学校の駐車場とします」

みほ「了解です」

宿毛湾を出発して三時間ほど
佐伯湾に近づく前に艦載機が飛び立つ
そして学園艦からの射撃も開始された

麻子「始まったな」

各員はそれぞれ戦車に搭乗して待機しているが、流石に内部に篭っていては気が滅入ると車外に身を乗り出しているものもいる

リスさんチームとウサギさんチームなどはトランプで遊んでいた
その気楽さがみほには少し羨ましかった

華「みほさん?」

言われて気づく
左手が震えていた

みほ「大丈夫……大丈夫……」

手を押さえ、自分に言い聞かせるみほ

小杉「西住サン、手、貸してくださいデス」

みほ「ヨーコさん?」

いつの間にか傍らに三番機整備士の小杉ヨーコが佇んでいた
小杉は整備士であるが、よく細かいことに気付き、隊の縁の下の力持ちのような存在として、皆に慕われていた

大洗が合流してからもよくフォローしてもらっていて、本人の希望もあり下の名前で呼ぶようになっていた
曰く『ヨーコ』は太陽の名前、幸福の名として自慢らしい

小杉「……はい。最初に模様ありキでス。これは、幸運の模様。万物の精霊、この模様を巡って踊り、言うことを聞くデス」

みほ「幸福の……模様……」

小杉「はい。終わりデス。頑張ってくださいネ?」

みほの目にはいつもと変わらない自分の手が映った
一種のおまじないのようなものだったのだろうか
しかし不思議と手の震えは収まり、深い安心感のようなものを感じた

みほ「ヨーコさん、ありがとう!」

小杉はニッコリ笑うと整備班のもとへ戻っていった

瀬戸口「みんな、待つのはしんどいだろうがもう少しの我慢だ。先行した黒森峰女学園は無事上陸に成功した。俺たちもまもなく出撃だ」

みほ「はい!」

善行「三番機も頃合を見て上陸準備に移ってください」

舞「わかった……ふむ、こんなものか。厚志」

厚志「うん、ようやく出番だね!」

大入島で待ち構えていた幻獣は爆撃と艦砲射撃により消滅
第5戦闘団は佐伯港に上陸する

舞「ふむ、このあたりは片付いているか」

壬生屋「わたくしたちは先行いたします」

若宮「こちらも移動する」

ののみ「市立中学校の向こうから幻獣接近中なの!」

瀬戸口「黒森峰は佐伯駅の北西側の幻獣に対応中だ。俺たちは南側に向かうぞ」

善行「ひげねこチームは地方裁判所で固定とします」

みほ「了解!各車、あんこうについて来てください。パンツァー・フォー!」

舞「市街戦ゆえ見通しは利きにくいが、逆に幻獣も動きは取り辛いはずだ」

みほ「はい。各車、指定のポイントに移動してください。いぬさんチーム、よろしくお願いします」

亜美「ええ、前衛は任されたわ!」

来須「きたかぜゾンビが突出してくる」

亜美「オーケー、攻撃開始!」

長島町の少し広い通りを境として、隊は陣形を作り攻撃を開始した
歩兵たちは建物を利用し攻撃を加える

狭い地域に密集して押し寄せる幻獣は旺盛な砲撃を浴び次々と消滅していく

杏「うひゃぁ~!凄い数だね!」

柚子「こんな数は初めて見ました……」

桃「た、隊長!我々は撃たなくていいのか!?」

みほ「まだです。番匠川に阻まれているため、いま来ている幻獣はじきに勢いを緩めるはずです」

舞「今は時折すり抜けてくる敵を撃破することに専念せよ」

およそ一時間、自衛軍の攻撃を浴びた幻獣の攻勢は弱まってきた

みほ「あんこうよりいぬさんちーむ、補給の必要な車輌や被弾した車輌は下がってください。こちらは前進します」

亜美「了解、後退するわ」

瀬戸口「敵さんはまだこちらへ前進を続けている。油断しないでくれ」

舞「ふむ、敵は余力を大きく残していると言うことだな」

みほ「カメさんチーム、カモさんチーム、アリクイさんチームは突出のし過ぎに注意してください」

敵の数はだいぶ少なくなり、生き残った幻獣も傷ついたものが多かった
みほの指示により慎重な攻撃を加え続け、確実に敵を撃破していく

そんな中、ウサギさんチームの操縦手・桂利奈は前方に何かの影を見つけた

桂利奈「あれ?だれか倒れてるよ?」

梓「ホントだ、あのウォードレスは学兵?あ!動いてるよ!」

あゆみ「生き残りかも!助けてあげなくちゃ!」

舞「学兵?……待て!近付くな!!」

倒れていたウォードレスが起き上がり、砲塔から顔を出していた梓と目が合った
しかし、その目は1対ではなく、顔中に赤い眼が無数に存在していた

梓「ひっ」

その手に持った銃が持ち上がる前に、来須のレーザーライフルがウォードレスを貫いた

すると各所から同様にウォードレスを着た『それ』が湧き出てくる

舞「ワイトだ!注意せよ!」

みほ「戦車を破壊するほどの火力はありません!動きも緩慢なはずです!落ち着いて機銃で攻撃してください。オオカミさんたちは援護をお願いします」

やがて20対ほどのワイトは全て駆逐される
しかし、ウサギさんチームのメンバーはショックを受けていた

桂利奈「な、なに今の……恐いよぉ」

舞「授業で習ったであろう?熊本戦のあとより数多く出現しだした非骨格群体属寄生科の超小型幻獣、いわゆるゾンビ兵だ。戦死した我らが同胞の身体に寄生し、これを操って戦う」

杏「寄生……寄生だって?九州を守るために必死で戦って、こんなところで力尽きて、その死まで利用されて!」

桃「会長……」

杏「河嶋、あたしは許せないよ……なんだって幻獣はこんな……みんながやられたらと思ったら、あたしは!」

杏がここまで激昂した姿を見るのは、みほたちはもちろん、生徒会のメンバーも初めてであった
会長の生徒たちを想う気持ちが、幻獣に寄生された学兵たちにも向けられ爆発したのだ

瀬戸口「落ち着くんだ、気持ちはわかる。俺たちだって、始めて遭遇したときは衝撃だったさ。死んだはずの仲間や恋人たちが、死んだときの姿のままで動き出す、その心理的な効果は恐るべきものだった」

杏「……」

瀬戸口「だがな、それこそが奴らの狙いなんだ。彼らの無念を想うのなら、俺たちは生きて切り抜けなきゃならない」

みほ「会長、わたしは皆さんを死なせはしません。それにあんなに訓練したじゃないですか!きっと……絶対大丈夫です!」

杏「……うん、ごめんね……ありがとう。よっし!河嶋、小山!張り切るぞ!」

柚子「会長……!」

桃「はい!」

瀬戸口「よしよし、いい子だ。大洗は素直な子ばかりでお兄さん嬉しいよ」

壬生屋「瀬戸口さん!角谷さんたちは上級生ですよ!」

瀬戸口「ん、そうだったか?で、そっちの状況は」

滝川「いやぁ順調も順調!また撃墜スコア稼いじまったな」

壬生屋「なんというか、とても戦いやすいです。まもなく合流できそうですよ」

若宮「黒森峰は実に統率の取れた隊だな。隊を指揮しているのは逸見エリカ千翼長といったな?」

みほ「エリカさん……」

逸見エリカ―――みほが黒森峰に所属していた頃のチームメイトであり、みほが転校してからは隊長を務めている

彼女はみほの姉、まほのことを大変尊敬していた
気性の激しい一面もあったものの、まほの妹であるみほとも仲は良かった
しかし、去年の戦車道大会決勝での一件で仲に亀裂が入り、まほの戦死でその溝は埋まらないものとなってしまった

みほは今でも、みほが亡くなったと聞かされたとき取り乱し泣き叫んだエリカの顔が忘れられない

瀬戸口「黒森峰もそろそろ佐伯小学校へ向かうそうだ」

華「西住さん、昔のお仲間と再会ですね」

みほ「はい……」

麻子「我々も合流地点に向かおう」

みほ(エリカさん……きっとまだ怨んでるだろうな……)

合流するのが黒森峰だと聞かされたときから、みほはある程度の覚悟はしていた
しかしいざ対面となると、やはり恐かった

佐伯小学校駐車場にに各隊が集合する
休息も兼ねて、隊員たちは早速交流を図っているようだった

優花里「強豪黒森峰と聞けばもっとピリピリとした人達をイメージしていましたが……」

沙織「みんな普通にお話してるね」

みほ「みんな普通の女子高生だよ。もちろん戦車道の試合のときは凄く統率の取れた一流の選手たちばかりだけどね」

麻子「誰かこっちに向かってきたぞ」

みほ「!」

舞「舞だ。芝村をやっておる」

エリカ「黒森峰女学園戦車隊隊長、逸見エリカだ。早速だが今後の動きについて協議したい」

みほ「は、はい!」

九州各地へ侵攻した他部隊も、きわめて順調に上陸を果たしたようであった
第5戦闘団も当初の予定通り国道10号に乗り国道57号を目指すことに
協議の最中、みほが気になったのはエリカの口調であった

みほ(お姉ちゃんに……似てる?)

最悪、出会い頭に罵声の一つでも浴びせられるかも知れないと思っていたみほだが、エリカは無駄口の一つも叩かず、淡々と舞や善行、亜美らと話している
また、みほが黒森峰にいた頃の彼女は女性語を使用していたが、それも見られない
それが気がかりであった

エリカ「では各隊は補給後、指定の隊列を組み行軍、中ノ谷峠のトンネルまで迅速に移動と」

舞「うむ。距離にして約15kmと言ったところか。だが山中の行軍ゆえ幻獣の奇襲には十分に警戒せねば」

亜美「九州が幻獣の支配下にある以上、あらゆる地点から襲撃されてもおかしくないと考えなきゃね」

善行「移動開始は0800とします」

エリカ「了解。では……」

話が済むと、エリカは踵を返して自分の隊へと戻ろうとする
思わずみほは声をかけてしまった

みほ「あ、あの!」

エリカ「……何か?」

みほ「え、えっと……その……」

考え無しに話しかけてしまったみほは言葉を詰まらせてしまう
謝りたいのか、許されたいのか、そもそもエリカは今自分をどう思っているのか……
頭の中がぐちゃぐちゃになってしまった

エリカ「……我々はもう子供ではない」

みほ「え?」

エリカ「戦場で雑念を抱けば、死に繋がる。私は隊を率いる身……そういったものは既に捨てた」

みほ「……」

エリカ「ここまでは順調だが、決して油断はするな。迅速かつ確実な行動を期待する」

みほ「エリカさん……」

再び歩き出したエリカの背中に、みほは呼びかける

みほ「あの、私たちチーム名を付けて呼び合ってるんです!よかったら黒森峰も……」

エリカ「その必要は無い」

エリカは今度は振り向かずに言った

舞「みほよ、今は行動によって示すときだ。仲間を守るのであろう?」

みほ「そう……だね。うん、頑張らないと!」

みほ(最優先は、皆を生きて帰すこと……!舞さんの言うとおり、エリカさんに気持ちを伝えるなら……今は戦うときだ!)

決意を新たに、自分の搭乗する士魂号Lへと歩き出すみほ
すると今度は自分が声をかけられた

「待ってください、みほさん!」

みほ「あ……」

「あの時はありがとう」

みほ「……!」

その少女の名は赤星小梅
昨年の戦車道大会決勝戦で、みほが助けた戦車に搭乗していた生徒である

小梅「あの後みほさんがいなくなって、ずっと気になってたんです。私たちが迷惑かけちゃったから……でもみほさんが戦車道やめないで良かった!」

みほ「うん……私は、やめないよ」

小梅は、笑顔を見せてくれた

みほは、気がかりになっていたエリカのことについてたずねてみた

みほ「あの、エリカさんのことなんだけど……」

小梅「隊長が変わったことについて……ですか?」

みほ「うん。何て言うか、お姉ちゃんに似た雰囲気を感じるなって」

小梅「みほさんが転校されてからしばらく、隊長はとても気を落とされていました。でも私たち2年も徴兵される頃になって、急に人が変わったようになりました」

みほ「……」

小梅「以前にも増して厳しく、そして優秀な指揮をとるようになりました。私たちが生きてこられたのは隊長のおかげです。でも、無理をしているみたいで……」

みほ「無理を?」

小梅「本当に何となくなんですけど、私たちには分かります。また、以前の元気なエリカさんに戻って欲しいって気持ちも、少しあります……」

みほ「そう……ありがとう。いつか、戦車道で元気な皆と、エリカさんと戦いたいな」

小梅「はい!」

沙織「みぽりーん!」

華「行きましょう!」

みほ「うん!」

大洗戦車隊の各チームに行軍説明を行ったあと、士魂号Lの前に佇むみほ
そっと、装甲に手を乗せる

みほ「がんばろうね」

すると、そこに小さな手が添えられる

みほ「ののみちゃん!」

ののみ「えへへ」

さらに他の仲間たちも手を重ねてくる

ののみ「まいちゃんも!」

厚志「ほら、呼んでるよ」

舞「わ、わたしもか……?」

渋々、と言うには少々嬉しそうな表情で参加する舞
みほはみんなの顔をよく見た

みほ「……行こう!」

「おーーー!」

優花里「西住殿、良かったですね!仲間を助けた西住殿の行動は、間違ってなかったんですよ!」

みほ「……今でも、本当に正しかったかどうかは分らないけど、でも……あのとき私は助けたかったの、チームメイトを。だから、それでいいんだよね」

舞「戦車道は『道』であろう?仲間を助けたそなたは微塵も恥じることは無い。我らはこの地でたくさんの戦友を救えなかった」

みほ「舞さん……」

舞「あの日、大洗で多くの市民を救おうとしたそなたを守ることが出来たのは、私の誇りだ!そなたと出会えてよかった」

みほ「私も、私も舞さんに会えてよかった!」

沙織「ちょっとちょっと、なに今生の別れ~みたいな会話してるのよ!」

麻子「映画では死亡フラグと言うやつだな」

優花里「え、縁起でもない!」

華「ふふふ、みんなで帰れるよう、精一杯頑張りますね」

ののみ「ののみもいっぱい応援するのよ!」

沙織「よーしそれじゃあプロの無線技術を見せようかな!」

麻子「本職に任せておけ」

沙織「酷い!なんでそんなこと言うの!?」

麻子「だってアマチュア無線だし」

黒森峰を先頭として、自衛軍、大洗と続く第5戦闘団は国道10号を進む
5121の人型戦車は3つに別れ、1番機は黒森峰、2番機は自衛軍、3番機は大洗へとそれぞれ付随している
次第に民家はまばらになり、鬱蒼とした山道へと変わっていった

桃「しかし、山道とはいえこれは……」

杏「幻獣領になった地域は自然が復活するって言われてるからね。家も飲み込まれてる……」

柚子「それを根拠に共生派になる人もいるって言われてますね」

梓「いくら自然が戻るって言っても、人を殺してまでなんて!」

おりょう「ここにもたくさんの人の思い出と築き上げてきた歴史があったぜよ……」

左衛門佐「人類にとって到底納得の出来るものではないな」

みほ「……あんこうよりひげねこさんチームへ、こちらは現在異常なし」

善行「了解です」

舞「思ったより抵抗が少ないな」

壬生屋「こちらくろねこ、敵が出現……え?」

瀬戸口「どうした!?」

壬生屋「もう掃討が完了したみたいです……速い!」

エルヴィン「流石黒森峰というところか」

舞「だが敵も多くは無い……これは」

厚志「順調すぎる?」

舞「今回は敵を避けての行動ではなく、敵を九州から駆逐することが目的だ」

みほ「敵がいなければ始まらない……そういう作戦ですからね」

散発的な戦闘は度々起きたものの全て少数の小型幻獣の襲撃にとどまり、戦闘団は1時間ほどで中ノ谷峠まで到達
トンネル前で若宮から通信があった

若宮「ここは俺とオオカミたちで先導しよう。距離は1km弱で見通しも悪くはないが、万が一の時に戦車が身動きが取れなくなると困るだろう」

舞「ねこさんチームもここはトレーラーで通るしかないからな」

エリカ「……了解」

みほ「こちらは外からの攻撃の警戒を行います。来須さんもお願いできますか?」

来須「わかった」

若宮「む、前方にゴブリン集団発見だ。攻撃する!」

ほどなく銃撃音が響き、そしてすぐに止んだ

若宮「掃討完了だ。だがまるで抵抗がなかった。妙だぞ?」

典子「上陸のときにあんなにいた幻獣はどこに……」

優季「恐がって逃げちゃったんじゃないですかぁ?」

あや「そーそー!あんだけコテンパンにされたんだもん!」

優花里「うーん芝村殿も、幻獣にも知性があるとおっしゃっていましたし……」

妙子「でも、ここ幻獣がたーっくさんいるんですよね?」

ねこにゃー「幻獣も何か企んでるんじゃ……」

忍「確かに、これまでも痛い目に合わされてきたし」

みどり子「でも今は隊長たちを信じて進むしかないでしょう?」

カエサル「しかし、只おんぶにだっこと言うわけにも行くまい」

みどり子「何?西住さんたちが信じられないって言うの?」

モヨ子「ちょ、ちょっとソド子!」

カエサル「そうは言っていない。だが、かのカエサルとて失敗はあったのだ。我々も良く考えて……」

みどり子「船頭が多くたって瓦解するだけでしょ?余計なことはしない方が良いって言ってるの!」

カエサル「……なんだと?」

エルヴィン「おい、言いすぎだ!」

優花里「エルヴィン殿、抑えて!」

みほ「み、みなさん落ち着いてください!」

速水「なんかギスギスしてきちゃったね」

舞「すわ決戦と乗り込み緒戦を制し、しかし今は勇み足を踏まされているのだ。逸る気持ちは分かるが、これはいかんな」

善行「……他部隊の状況を確認してください」

瀬戸口「了解」

エリカ「こちらは前進する」

みほ「え?あ、は、はい」

沙織「うぅ~みんな仲良くいこうよ~?」

第5戦闘団は国道502号に乗り換え、なお西へ進んでいく
相変わらず散発的な幻獣の襲撃はあるものの、さしたる損害も無く撃退している
だが、隊員たちの精神は徐々に、しかし確実に消耗していった

みほ「舞さん、この幻獣の動きは……」

舞「うむ、挑発染みているな。善行よ、これは確実に何かあるぞ」

善行「そうですね。ですが現在レーダーにも大規模な幻獣の姿は確認されていません。三重町に入ったら休息を取りましょう。各隊長は指揮車まで集まってください」

三重カントリークラブを通り越し三重町に入った戦闘団を迎えたのは、荒廃した建造物と生い茂る木々が一体となった不思議な光景であった
隊員たちは疲れた表情でその景色を眺める

桃「これは……なんだか寂しい感じがしますね」

麻子「ここにも逃げ遅れた市民や学兵の死体があるな」

舞「注意せよ。また襲い掛かってくる可能性もある」

あゆみ「うう~こんなのヤだよぅ……」

中村「よっし!安全なトコば見つけたら炊き出しするばい。腹が減っては戦が出来んタイね」

新井木「お!いいねいいね!ボク張り切って手伝うよ!」

狩谷「そのやる気を普段も発揮して欲しいものだな」

桂利奈「ごはん?やったやった!」

みほ「えっと……あのスーパーマーケットの駐車場が広くて安全も確保できそうじゃないですか?」

舞「そうだな、ではあそこで休止を取る」

亜美「分かったわ」

エリカ「了解」

豊後大野市に到着した頃には午後3時を過ぎていた
隊員たちは5121の整備班と一部の自衛軍が手伝って作った特製カレーを受け取るため並んでいた

速水「整備班のみんな張り切ってるね」

舞「今のところ士魂号は無傷だからな。これまでの行軍で溜まったフラストレーションを解消できるというのもある」

華「整備班では炊飯も行えるのですね」

壬生屋「中村君をはじめ、食事にこだわりを持つ人がおおくて。実際にこれで士気が保たれている面もあります」

滝川「俺はレーションも好きだけどな。加藤が手配してくれるおかげで質の高いものが食えるし」

麻子「前にスカウトの2人がレーションを食べてるのを見たが、あれはあまり美味そうには見えなかったぞ」

優花里「ああ、それは材料をペースト状にしたもので味は期待できませんが、カロリー量がすごいんですよ。あのお二人は基礎代謝も高いでしょうしね。我々が食べたら3日は持つんじゃないでしょうか?」

沙織「華なら食べられそうかも?」

華「そんな、私そんなに大食いでは……」

沙織「え?」

みほ「……」

みほは先ほど険悪な雰囲気になってしまったみどり子とカエサルの様子をちらっと見た
なんとか仲直りしてもらおうと思案していたみほだが、そこに近寄る人影があった

原「お二人さん、ちょっと良いかしら?」

カエサル「原整備主任……」

みどり子「……なんですか?並ぶ順番ならちゃんと守って……わぷっ」

原は、二人をきつく抱きしめる

原「あなたたちにはいっぱい喧嘩して、何度も仲直りする権利があるわ。でも戦争のせいでそんな当たり前の権利すら戦って勝ち取らなきゃいけなくなってしまった」

カエサル「……」

原「いま躓いてしまったら喧嘩もできなくなってしまう。また皆でバカやって、戦車道続けて欲しいから……だから、ね?」

みどり子「……そんなのわかってます。あの、その、言い過ぎたわ。ごめんなさい」

カエサル「いや、いいんだ。皆を思う心は伝わった。……ソド子殿」

みどり子「ちょっとその呼び方は!」

原「ふふふ、さあ皆でご飯食べましょう!そうだ、そっちの学園艦ではどんな歌が流行ってたの?こっちでは『SWEET DAYS』って曲が流行っててね」

森「先輩、それ去年の流行歌ですよ。やっぱり『想い出になるよ』です!」

加藤「それも去年の流行やね」

あや「あ!私たちも混ぜてくださーい!」

優季「『DreamRiser』って曲が素敵ですよ~」

梓「みんなで歌うなら『Enter Enter MISSION!』の方が~」

みほ「ほっ……原さん凄いなぁ」

沙織「なんて包容力!私もあんなふうになりたい!」

麻子「無理だ」

沙織「そんなバッサリ!」

舞「私からも言わせてもらうがやめておけ、あれは恐ろしい女だ」

優花里「よ、よく分かりませんが何だか凄い説得力が……」

みほ「あれ?石津さん?」

原「あら?あなたも話に混ざる?」

石津「原さん……私のときと……随分違うのね……」

原「あ……」

滝川「お、おい石津……」

沙織「え?なになに?」

厚志「えーっと原さんと石津さんには色々あって」

石津「わたし……ギュってしてもらってない……」

原「え?……あ、そ、そういうこと!えっと……滝川くんにしてもらえばいいじゃない」

沙織「おお~~~!」

麻子「落ち着け」

石津「滝川君は……照れ屋の上に……朴念仁……」

原「……滝川君、あとで来なさいね?お説教」

滝川「な、なんでだ……」

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| 逸見千翼長 !
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||  今回はここまでだ
||  次の作戦まで待機せよ
||  作者には迅速な行動を期待する

佐伯湾の近くに小学校は無い、と地元民がマジレスw

>>701
うえっ?ではこの佐伯市立佐伯小学校というのは一体……?
(湾から2キロくらい離れてはいるけど)

>>1待ってた危うく
ゴットスピード>>1!!とかいうところだった。
次回の投下も楽しみだ…

そろそろないと思うけどガンパレ新作とか
ガンパレでオーケストラの戦闘でリメイクとかないかな

>>702
すいません。佐伯小学校が無いと言いたかった。
「湾の近くは東小だろ。」と思って見直さず書いてしまった。

待ってますよ~

                         /     /-──=ミヽ
                      /      //  ,  -─\
            _____,. -‐'       〃  / __    `ー=ニ二三ミ 、
            /´ ̄ ̄             /   / / ̄   ̄`ヽ           ヽl
          /    ,  ヽ    、___ /    //    , -=ニミヽ      リ
        ,〃   / /  ヘ、    __  -‐'   , -=         \   / /
      / l|   / 〃 ∠_   \     ̄ __ -‐'         _      /,イ
.      /   l|    { {レ'´ _二ニ=─‐< ̄             /      ハ |
     |   ハ  /  /   _,. - __ ヽ              /         〈  ヽ='
     |  〈  ∨  /   ィ二r<     ̄`\ \ー--- ─ '   _     ー一'
     ヽ   >{ /   , くノ  ミ   `ヾー-、 \ ヽ  ` -=   /   ヽ  , -─┐
       / /バ∨  , くノ  、   ` 、 ヽ、  \ |リノ        /     ∨    /
     // | |ハハ / ノ〈{   \   ヽト、>yハjノ         /       |     ヽ、_
.    //  ! l  ヽ V lハヽ    \  〉,ィイフ} }{  \__,     ∠ミ   \
    { {    い   \{ヽ\ `ヽ、 }ヽ/ ^`=' '′i           /⌒ヽ`v_ \_ノ}
    ヽ    ヽ     ヽ X _,ィ干jノ ′       | ヽ           ′  /∨ / >─-、
     \ ヽ  \ \ヽY冰ィリ,     .ヽ   |  \      / ト、 / /| } rく <
         ゛ }  ,ハ     l \¨´       ;ィ  ハ  ` ー一/ ⌒>ー'‐l_ノLノ  ヽ_)
         |  /∧   | \_`ヽ、_     ′  /r<⌒L_ 彡'       `ヽ `ー-、  |
         /   / ',ヽ |     ̄ 二ミー-、イV X`ヽrベ、           \    、
.        /   |     \    __      ヽ \   \<^ヽ         ` ┬ i
      /   ヽ.  } } ヽ   ̄     `ヽ |  〉 X { 〉 ー┐        「ヽ
        ′     Y八  ` ー─-        辷ン    ' く,-¬ <⌒ヽ      }二し
       |       ノ   `ー= ¬7フ厂 ̄`ヽ | >< 厶 //〉|\ヽ、L_    ト- 、
      `ヽ、    (    /  // ><  ,′ \   ,∠ 匸><く   \ヽ、ヽ  トヘ \
         )    >}  {  /´=====!    `く_ノ∨ハヽ! ト、\   \V   |   ヽ
       /  / /  ∨ r┬辷Lハフ八     \{ し' /l | \ >  l ト、rく

      /   イ  , /  '^Y「´        ヽ二ミヽ  ,ハー'ヽ! |  /∧  l レ'{〈〉 〉
      /   / {  i |   { 小           l  `ヽ/ーヘ  レ'ニニニヘ l | 〉 〈
    /   ,イ  j  | |   \ハ   _      l  人_ハ  ∨/  /∧| ! ヽ〈〉7
   {   ハ{  {   \ヽ、二ニ-ヘ   _ 二ニ  }    〈_ハ   Y -// 厶{ └-
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|  石津百翼長 !
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  お待たせして……ごめんなさい……
||  九州……奪還戦……
||  再開……するわ……

カレーを受け取ったみほは大洗の隊員たちと別れ指揮車に向かい、各隊長たちと同じ席についた
食事をしながら今後の話し合いをしようというのである
離れた所からは流行歌を歌う声が聞こえてきた

エリカ「……」

亜美「なんだか不満そうね?」

エリカ「……いえ」

善行「いいじゃないですか、食べながらというのも。我が整備班の作るカレーは絶品ですよ」

舞「もぐ、食えるときにもぐもぐ、食っておくことだ」

厚志「舞、口の周りに付いてるよ」

みほ「ハンカチありますよ」

エリカ「……黒森峰の隊員たちも喜んでいます。そこは感謝します」

善行「結構。ではこれからの行動についてです」

舞「現地点よりさらに西へ進軍し、竹田市へ入ることは予定通りだ。だが予想以上に我々の進軍スピードが速い」

厚志「速いと駄目なの?」

亜美「私たちの行軍ルートは比較的困難なルートなのよ。だから他隊と比べて戦闘団の規模が小さく、かつ人型戦車の打撃力と速度を重視した編成なの」

みほ「でも、こちらの予想に反して幻獣の抵抗が少なかった……」

エリカ「敵が手をこまねいているのならば、一気に熊本まで進軍してしまえばいい。グデーリアンは言った、厚い皮膚より速い足と」

舞「まあ待て、私は阿蘇が危険区域と見ている。あのあたりは市街地は見通しの良い平野となっており遮蔽物が少ない。周囲も山に囲まれており逃げ道も限られておる。奴らにとって都合のいい土地だ」

エリカ「逃げ道などと。我々黒森峰の打撃力を持ってすれば物の数ではない」

みほ「エリカさん、それは……現在の幻獣の出現数から見ても、相当数の幻獣が潜んでいる可能性があります。それに日が暮れてしまえばますますこちらの不利になります」

舞「我ら5121はかつて阿蘇の地で沢山の地獄を見てきた。侮るでない」

エリカ「私が臆したと?」

みほ「そういうことでは……」

善行「双方落ち着いてください。私としては、逸見さんの迅速な行動という意見に一定の支持をします」

舞「善行?」

善行「もちろん、闇雲に突き進むのは容認できませんがね。竹田市から阿蘇市までは20kmほどの距離があります。全体である程度進んだところで先遣隊を出しましょう」

亜美「先遣隊が大規模な幻獣の群れをを先んじて発見できれば、学園艦に爆撃要請が出せるわね」

善行「そういうことです。今の時期ならば日が落ちるまで十分な時間もあるでしょう。逸見さん、先遣隊をお願いしてもよろしいですか?」

エリカ「了解しました」

善行「先遣隊の役目はあくまでも敵の早期発見と報告です。不測の事態にそなえて練度の高い黒森峰にお願いしましたが、発見次第すぐに後方に合流する心積もりでいてください。念のために士魂号一番機も同行させます」

エリカ「……わかりました」

みほ「エリカさん、気をつけてくださいね……」

エリカは準備のため自分の隊に戻って行った

後に残ったメンバーが顔を寄せる

舞「逸見率いる黒森峰は間違いなく精鋭だ。だが……」

厚志「なんか気持ちが逸っているって感じ?」

善行「彼女は九州撤退戦後の数々の防衛線での実績があります。ですが今回のような攻勢作戦は初めてですからね」

みほ「私もエリカさんも撤退戦のときは学園艦にいたので九州戦の経験がありません。そのこともあるのかもしれません」

みほ(あるいはお姉ちゃんの戦死した地であることも影響してるのかも……)

善行「みなさんは各隊員に説明を。壬生屋さんにはよく注意するよう伝えてください」

舞「わかった」

休憩を挟んで午後4時半過ぎ、第5戦闘団は進軍を再開した
のどかとも言える国道57号線を進む戦闘団だったが、これまで以上に幻獣の気配は希薄となっていた

桂利奈「ぜーんぜん敵が出てこないねー」

梓「油断するなって言われたでしょ」

あゆみ「朝のアイツみたいなやつにはもう会いたくないなぁ」

瀬戸口「さて、もうすぐ阿蘇市だ。全軍停車してくれ」

エリカ「こちら黒森峰、先行する」

壬生屋「くろねこ、参ります」

瀬戸口「他の戦闘団も幻獣との戦闘が少ないそうだ。何かあるとみた上で向かってくれ」

壬生屋「承知いたしました」

エリカ「こちら異常なし」

壬生屋「同じく異常なしです」

みほ「……あんこうよりみけねこさんチーム、あまり先行しすぎると分断されてしまう恐れが」

舞「うむ。先遣隊は慎重を期すように」

石津「なんだか……嫌な……予感がするわ……」

ののみ「ののみもなの。誰かがじっと見ている感じがするのよ」

善行「瀬戸口君、戦域図レーダーから目を離さないように」

瀬戸口「了解……と、来やがった!レーダーに反応多数!!壬生屋、そっちの方が先に確認できたはずだ!何をしていた!?」

壬生屋「う……」

みほ「くろねこ……壬生屋さん!?どうしたんですか!?返事を!」

ののみ「めーなの!」

石津「まずいわ……多分……精神汚染型……!」

善行「しまった……!」

舞「先遣隊の進軍が止まらない!滝川!先遣隊の前方に撃ち込め!」

滝川「わ、わかった!」

みほ「リスさんチームも撃ち込んでください!」

沙織「りょ、了解!紗希ちゃんお願い!」

砲弾が先遣隊の頭上を飛び越えて飛来する
前方の道路に着弾し、ようやく先遣隊と一番機は足を止めた

滝川「おいおいヤバいぞ!すげぇ数の幻獣だ!」

優花里「先遣隊が囲まれていきます!」

舞「これが狙いか!」

みほ「エリカさんたちを助けないと……!あんこう全速前進!パンツァー・フォー!」

舞「待て!それこそ敵の思うつぼだ!くっ……厚志!」

厚志「西住さん、単機じゃ無理だ!僕たちが前に出る!」

黒森峰の隊員たちは完全にパニックに陥っていた
高い団結力と技量を誇る黒森峰戦車隊は、しかし突発的な状況に弱いという側面があった
その上で気付けば突然幻獣に囲まれていたのだから、無理からぬことであった

みほの無線機に切迫した声が響く

エリカ「こ、これは……一体……」

壬生屋「くっ……わたくしが付いていながら……」

みほ「壬生屋さん!大丈夫ですか!?」

壬生屋「はい、なんとか……先ほどの攻撃でナイトメアが数体吹き飛んだようです」

みほ(それで精神汚染が止まった……それに大多数への精神汚染は、効き目が浅かったのかも……)

壬生屋「わたくしが盾になります!黒森峰のみなさんは下がってください!」

エリカ「に、西住流に逃げるという道は……」

壬生屋「何を馬鹿な!今は戦車道の試合ではありません!急いで!」

舞「厚志!敵の中に突っ込むぞ!」

厚志「幻獣たち、こっちだよ!僕がお前たちの悪夢だ!」

亜美「この数では歩兵を前に出すわけには……歩兵隊は塹壕から制圧射撃!戦車隊、前へ!黒森峰の退路を退路を確保するわ!」

エルヴィン「隊長!我々は!?」

みほ「阿蘇は各地に野戦用の塹壕が掘られています。自衛軍の歩兵はそこから攻撃を行うので、そちらの援護を」

桃「しかし、それではせっかくの火力も生かしきれないぞ!」

みほ「どのみちあれだけの数を相手に機動戦は無理です。各隊は練習通りに拠点からの攻撃を。出来れば隠蔽も今のうちに」

梓「りょ、了解!」

沙織「ちょっと、あんこうチームは……?」

みほ「私たちは、出来るだけ敵を引っ掻き回して黒森峰の退路を確保します」

カエサル「バカな、危険だ!」

みほ「無茶は承知しています。でも黒森峰を助けたくて、だけど私も全体を指揮する余裕が無いの。みんな、お願い……!」

沙織「……わかった!紗希ちゃん、あんこうチームに近づく敵を狙って!」

エルヴィン「グデーリアン、大野君、やれるだけやってやろう!」

あや「わかりました!」

優花里「了解です!」

滝川「今は猫の手も借りたい、すまねぇが頼むぜ!」

士魂号三番機がジャンプし幻獣の群れを飛び越え着地する
着地した際の低い姿勢のまま背部のミサイルハッチが開き、一斉に有線式ジャベリンミサイルが放たれた

舞「次!奴らの目をこちらに向けさせよ!」

厚志「一番機が見えた!でも……」

ミサイルの一斉発射で開いた穴も、またすぐに幻獣の群れで塞がってしまう
人型戦車はよく奮戦しているが、波のように押し寄せる大軍を単機で防ぐことは出来ないでいた

みほ「見通しが良すぎる!敵を路地に誘い込みます!華さん、11時方向、ミノタウロスに攻撃!」

華「はい!」

腹部に徹甲弾の直撃を受けたミノタウロスは爆発四散、そばにいた別のミノタウロス、ゴルゴーン、グレーターデーモンとそれに追従していた小型幻獣の群れが一斉にこっちを向く

みほ「3時方向に転進!ウサギさんチーム、リスさんチーム、お願いします!」

直線道路を進むあんこうチームに追いすがる幻獣を、別の隊が攻撃する

99式の榴弾とモコスの徹甲弾は効率よく敵の一団を蹴散らした

典子「あんこうチームの前方に敵が来てる!」

忍「角度よし!」

妙子「装填完了!」

あけび「仰角よし……発射!」

74式の砲撃も正確に敵を打ち抜く
訓練でのアヒルさんチームの命中率は大洗の中でもトップクラスの成績であった

壬生屋「っ!敵が少し減ってきてます!黒森峰は今のうちに!」

壬生屋の奮戦とエリカの采配により、混乱に陥ってなお黒森峰はかろうじて被害を防いでいた
最後尾の部隊から猛退却を始める

瀬戸口「待て!10時方向から敵が来ている!」

エリカ「何っ!止まれ!」

しかし、2輌の士魂号Lに生体砲弾が直撃、車輌は擱座してしまった

エリカ「無事か!?応答しろ!」

無線機が破損したのか応答は無かったが、乗員が中から這い出てきた
どうやら奇跡的に全員無事のようだ
しかし―――

舞「まずいぞ、あれでは道が塞がれて後続が離脱できない上に」

滝川「搭乗員は格好の的だ!」

カエサル「10時方向の敵に攻撃を集中だ!」

典子「こっちも!」

沙織「わ、私たちは……」

みほ「こっちは大丈夫です!あちらの援護を!」

梓「私たちも!」

ねこにゃー「だ、脱出した人たちを収容するよ……!」

ももがー「任せるナリ!」

ぴよたん「撃ちまくるっちゃ!」

亜美「私たちも前へ!歩兵も数名連れてきて!」

アリクイさんチームの96式装輪装甲車が徒歩で退却してきた学兵の収容に向かう
友軍の猛烈な射撃は中型幻獣を近づかせない
浸透してきた小型幻獣は随伴歩兵の巧みな射撃により排除されていた

滝川「ははっ!自衛軍も良い腕の部隊がいるもんだな!」

ねこにゃー「い、急いで乗ってください……!」

黒森峰の隊員6名が息を切らせて96式に転がるように乗り込んできた
真っ青な顔をしていたが、外傷は無いようだ
同時に自衛軍の随伴歩兵も乗り込み、乗員限界まで満載にした96式は撤退していく

舞「擱座した車輌を押し出せ!」

滝川「オラァ!」

二番機が撃破された士魂号L2輌をキックで押し出し、後続の部隊は撤退を再開した

ののみ「幻獣が塹壕の方に向かってるの!」

エルヴィン「こ、こっちか!?」

滝川「行かせるかよ!……ってダメだ!数が多すぎる!逃げろ!」

若宮「アレは防ぎきれん、撤退するぞ!」

みどり子「歩兵を収容するわ!」

桃「待ってくれ、ここを離れたらあんこうチームが!」

来須「撤退だ」

杏「承服できないね。西住ちゃんたちを孤立させられない」

みほ「行ってください!こちらは何とかします!」

柚子「何とかって……」

塹壕からはあんこうチームの姿は見えなかったが、、おびただしい数の幻獣が移動する様子は見える
みほ達が幻獣の大軍を誘導している光景は容易に想像できた

桂利奈「わっわっ!こっちに向かってくる!」

あゆみ「ど、どうするの!?」

梓「うぅ……下がりながら先頭の幻獣に砲撃!」

砲塔の旋回も出来ず、ただでさえ速度の遅いモコスの後退射撃は、速度も遅い上に射撃の精度も欠いていた
そしてついに、キメラとナーガの生体レーザーがモコスのホバー部分に直撃した

あゆみ「きゃあぁぁぁぁぁ!」

桂利奈「あ、あれ?動かない!?」

若宮「なんだと!?来須!」

来須「……救助に向かう」

典子「後退しつつ援護だ!」

忍「リスさんチームはやらせない!」

あけび「よく狙って……」

左衛門佐「おのれ!近づくな!」

仲間の援護により幻獣は中々モコスまでたどり着けないでいた
モコスの頑丈な装甲も味方していたが、生体砲弾やトマホークが装甲を削る音を聞くうちに一人の精神が限界に達した

あゆみ「やだ、いやだよ……!」

梓「あゆみちゃん?」

あゆみ「テレビで見たもん……人間を捕まえた幻獣は、人の手足を生きたままちぎってバラバラにして……!」

桂利奈「あ、あゆみちゃ……」

あゆみ「嫌……あんなの嫌ぁ!いやああぁぁぁぁ!助けてえぇぇぇぇ!」

みほ「山郷さん!」

山郷あゆみは普段ボーイッシュでさっぱりした性格であったが、反面ストレスを溜め込みやすい性格であった
上陸早々に学兵たちの死体や、幻獣に寄生された人間を直視してしまったことなどが重なり、ついに爆発してしまった

あゆみ「いやぁ……あんな死に方は嫌だよぉ……」

みほ「山郷さん、落ち着いて」

梓「西住隊長!?」

みほ「大丈夫、もうすぐ若宮さんと来須さんが助けに来てくれるから。皆も援護してくれてる。だから諦めずに気をしっかり持って!」

桂利奈「隊長……」

梓「あんなに沢山の幻獣に追いかけられてるのに……」

あゆみ「……はい、すみません……ひぐっ、頑張ります……!」

そのとき、ハッチを叩く音が聞こえた

若宮「さあ、出た出た!さっさと逃げるぞ!」

先頭の若宮、しんがりをつとめる来須に挟まれてリスさんチームの隊員は地面に降り立つ

若宮「走れるか?遅れたら来須に尻を引っ叩かれるぞ!」

桂利奈「えっちー!」

梓「へんたーい!」

来須「……」

若宮「がははは、それだけ元気があれば大丈夫だな!」

騒ぎながら5人は走り去っていく

みどり子「会長、こちらはもう満員です……リスさんチームを」

杏「……わかった、小山」

桃「くっ!どうしてなんだ!」

柚子「桃ちゃん……西住ちゃん、私たちは……」

みほ「リスさんチームを、お願いします」

桃「……すまない!」

リスさんチームと若宮、来須を乗せた89式装甲戦闘車は戦場を離脱していく
黒森峰の最後尾も自衛軍と合流し体制を立て直していた

麻子「さて、どうする」

華「こちらはもう攻撃する余裕がありませんね」

この状況に置いても2人の仲間は冷静でいてくれた
みほは今はそれがありがたかった

舞「あんこうチーム、こちらと合流は出来ぬか?」

みほ「そちらに、ですか?」

舞「敵の大群は大まかに3つに分かれた。我らのところと、自衛軍・大洗の隊、そしてそなたらのところだ」

厚志「自衛軍のところは拠点の構築も出来てるみたいだし、防衛に徹すれば大丈夫だって」

滝川「こっちもちとキツイけどよ、士魂号が3機揃えばまだ粘れるんだぜ」

壬生屋「ですがそちらは……」

みほ「はい、正直逃げ回るのに精一杯の上、脱出口も見つけられていません」

瀬戸口「お前さん達さえ包囲を脱出できれば、艦載機での爆撃が行える。すでに爆撃要請は行い、あちらさんは攻撃準備中だそうだ。そして他隊にも連絡、プラウダ・サンダースの部隊がこちらに救援に来てくれるとのことだが……」

舞「そちらは間に合わん。一か八かになるが、合流して一気に突破する」

壬生屋「あなた方をここで失うわけには参りません」

滝川「へっ!武者震いがするぜ!」

厚志「滝川、それ恐くて震えてるんじゃ」

滝川「ああ恐いね!だけど仲間に死なれる方がもっと恐い!」

厚志「……そうだね。西住さん、僕も精一杯戦うよ。だから」

みほ「はい、分かりました。……みんな、ありがとう」

みほ「麻子さん、回頭して県道11号に!」

麻子「了解」

並走している道路に乗り換え、逃げてきた方向へ再び向かうあんこうチーム
しかし方々から生体砲弾が飛び交ってくる上に、足の速いきたかぜゾンビが追いすがる

麻子「これだけ道幅が狭かったらジグザグに動くことも出来ないぞ」

みほ「多少の損害は無視して全速力で向かってください!」

きたかぜゾンビの生体機関砲が士魂号Lの装甲を掠める

華「この角度では迎撃も出来ない……!」

滝川「任せろっ!」

士魂号二番機が92mmライフルで遠く離れたきたかぜゾンビを正確に狙撃する
一撃で撃破するものの、さらにその背後からスキュラ数体が姿を現す

舞「厚志、我らもアレを狙う」

壬生屋「目の前の敵はわたくしにお任せを!」

二番機と三番機は160mmジャイアントバズーカに持ち替えスキュラを攻撃
一体を撃破

舞「よし、あんこうチームが近づいてきた。滝川、煙幕だ」

滝川「合点!」

二番機から煙幕弾が発射され、周囲はスモークに覆われる
これによりレーザーはかなり減衰される

舞「まだ中型が大量に向かってきている、我らにぴったり付いて来い……む?」

厚志「あんこうチームが来ない?」

石津「ダメ……これは……罠!」

みほ「麻子さん!華さん!」

麻子「ぐっ!」

華「頭が……!」

煙幕を張るタイミングが若干早かったため、士魂号Lの姿は完全に煙の向こうに消えてしまっていた
さらに大量の小型幻獣が周囲に浸透してくる
それを踏み潰し蹴散らしながら舞は叫ぶ

舞「くそっ!まさかペンタの仕業か!?」

滝川「レーダーにあんこうチームは映ってる!近くにいるのに!」

壬生屋「中型が迫ってきています!」

厚志「舞、突っ込むよ」

厚志がいつもより低いトーンでそう告げる

壬生屋「速水さん!」

バズーカを捨て右手にジャイアントアサルトを装備しそちらの射撃管制は舞に任せ、厚志は開いた左手でグレーターデーモンにパンチをめり込ませる
動かなくなったデーモンを盾に舞がアサルトを連射、スモークにより視界を奪われた幻獣は撃破されていく
デーモンが消滅すると同時に移動しさらにあんこうチームの元に行こうとするが

厚志「っ!」

間一髪のところで生体レーザーを回避する厚志
アンフィスバエナの中距離用レーザーである
それをかなりの至近距離から放ってきた

厚志「邪魔だ!」

厚志が感情的に叫ぶ
今度はキックで吹き飛ばすものの、さらに3体が迫ってくる

滝川「キリがねぇ!」

背後では壬生屋と滝川が迫り来るゴルゴーンやミノタウロス、グレーターデーモンの対処に追われている
とても三番機を援護できる状況ではなさそうだった

舞「みほっ!聞こえるか!?なんとか撤退は出来ぬか!?」

みほ「麻子さんと華さんが……っ!外も小型幻獣で溢れて、あ……」

みほの耳に大きな歩行音が聞こえる
ミノタウロスのものである
腕を振り上げる気配を感じた

みほ「くっ!」

なんとか体を操縦席にねじ込み士魂号Lを急発進させ、ミノタウロスのパンチを回避する
だが、ただでさえ狭い空間で華と密着した状態のためまともに操縦することができない
小型幻獣に足を取られ速度を落とし、すぐに追いつかれてしまう

みほ(麻子さんと華さんは私の勝手でここまで付き合わせたんだ、死なせるわけには行かない!)

みほは二人に呼びかけるものの、苦悶の表情で俯くばかり
精神汚染に必死に抗っているためであるが、その前にもっと現実的な死が押し寄せてくる

みほ「うぅ!小型幻獣が邪魔で、動かせない!」

舞「みほ!」

そのとき、砲声が轟いた
ミノタウロスの上半身が爆発し、ゆっくりと倒れていく

さらにもう一発、今度は違う音が響いた
これは士魂号Lの周りの幻獣を狙ったものでは無かった
その瞬間、フッとプレッシャーが無くなった様な、そんな気がした
麻子と華の顔から苦悶の表情が消える

みほ「舞さん?」

舞「いや、私ではない……」

滝川「俺でもねぇ、誰だ?」

そして煙の中から飛び出してきたのは、見たことも無い巨人であった

右手に持った超硬度大太刀で押し寄せる幻獣を切り裂き、離れた敵に対しては右手のジャイアントアサルト、そして肩に装備されたグレネード砲で攻撃を加える
その動きは鮮烈にして華麗で無駄が無く、そして速かった
瞬く間に士魂号Lの周囲の幻獣を駆逐し、次の敵に備え警戒している
スモークが晴れ、その姿を認めた舞が呟いた

舞「まさか、栄光号……か?」

みほの耳に聞きなれない単語が聞こえてくる
しかし、次の声にその疑問も吹き飛んだ

「聞こえるか、みほ。怪我はないか?」

それは、聞きなれた声

みほ「え……そんな、嘘……!」

「無事なんだな?」

もう二度と聞くことを望めないと、そう思っていた、なんだか懐かしいような声

みほ「お姉……ちゃん……?」

戦死したはずの姉、まほの声であった

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r――――――┐
| 西住万翼長 !
7' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
||  今回はここまで
||  次の作戦まで待機せよ
||  作者には今度こそ迅速な行動を期待する

>>704
グーグルMAP先生仕込のにわか知識ではありますが、地元の人が読んだときにちょっとニヤリとできる要素があればいいなと思っていたので、そういうレスも嬉しかったりしますw

>>703 >>705
本当に申し訳ないです
私事が重なってしまい、遅れに遅れました
なるべく次は早くしたいと思います

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