P「拗ね拗ね春香さん」 (31)

〜事務所〜


真「おっはようございまーす! ……ってあれ?」


春香「…………」

P「……なあ、頼むよ春香、俺が悪かったから」

春香「…………」つーん

P「春香ぁ……」


真(な、何があったのかな。珍しく春香とプロデューサーが変な雰囲気だ)

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真「あのー、プロデューサー……?」ぼそぼそ

P「あ、真か、おはよう。ごめんな、全然気づかなかったよ」

真「いえ、それはいいんですけど……。いったいどうしたんですか、これ。春香と喧嘩でもしたんですか?」ぼそぼそ

P「あー、うん。まあそんなところかな。……なあ春香、真も来たことだしそろそろ機嫌直してくれよ」

春香「……。つーん」

真「いや、つーんって口で言っちゃってるし……。何が原因なんですか?」

期待

P「ほら、先月春香が炭酸飲料のCMの仕事貰えたって言ってたの覚えてるか?」

真「ありましたね。ちょっと大手の会社だったから、2人とも喜んでましたよね」

P「この間その撮影が無事にうまくいってさ。昨日、そのお疲れ様会をする予定だったんだ」

真「へー。それはいい話じゃないでs……」

真「『だった』?」

P「ああ。実は昨日、他のプロダクションの人から急に電話があってさ」

真「電話?」

P「それで、何人かプロデューサーで集まってるから情報交換がてら飲みに行かないかって誘われちゃって」

真「……まさか、行ったんですか?」

P「あんなに各社のプロデューサー同士が集まることって貴重だからさ……。……春香に謝り倒して、それから向かった」

春香「ふーんだ。どうせプロデューサーさんは、私なんかをお祝いするより他の人とお酒飲んだ方が楽しいんですー」いじいじ

P「うぐ」

春香「……楽しみに、してたのになぁ」しゅーん

P「うぐぐ」

真「それは、ボクにはどうにもできませんね……」

P「100%俺が悪いからな。俺も、昨日は後ろ髪を引かれすぎて正直ハゲるんじゃないかって勢いだったんだが」

真「……それが分かっているなら、まあ何も言うことはないですけど」

春香「約束を守れないプロデューサーさんなんかハゲちゃえばいいんですよー」

P「とまあ、あんな調子なわけだ」

真「はあ。……ちなみに、そのお疲れ様会って、事務所でする予定だったんですか?」

P「いや。ちょっと良さげなお店を見つけたんで、そこで食事にする予定だった」

真(ああ、なるほど。春香の態度も納得だ)

真「あはは……。まあ、埋め合わせをするなりなんなりして誠意を示してあげてください」

春香「…………」

しえん

P「……というわけだ、春香。俺も喜んで行ったってわけじゃないことだけはわかってほしい」

春香「…………」ぷい

P「俺にできる埋め合わせなら、なんでもするからさ。そろそろ機嫌を直してくれないか……?」

春香「……」ちらっ

春香「……何を、してくれるんですか?」

P「……まあ、俺にできることなら何でも」

春香「何でもなんてズルいです。プロデューサーさんが自分で決めてください」つーん

P「ええ……?」

P「じゃ、じゃあ……。今日はこれからちょっとだけ時間あるから、甘いものでも食べに行こう。……どうだ?」

真(よりによって食べ物で釣りにいったよこの人)

春香「…………」

P「も、もちろんお疲れ様会はまた別の日にやろうな。今度は絶対すっぽかさないからさ」

春香「…………」

P「……だめか?」

春香「…………」

春香「……はぁ。プロデューサーさんだから、仕方ないかあ」

真(あ、いいんだ)

P「本当か! ……昨日はほんとにごめんな、春香」

春香「しょうがないから、許してあげます! ……でも、もう約束破ったりしたら、嫌ですからね?」じっ

P「ど、努力します……」

春香「む、怪しい……。まいっか。私今日は、駅前のシュークリームが食べたい気分ですっ!」

P「おお、行こう行こう。あ、良かったら真も一緒に」

真「行きませんから」

P「……お? そ、そうか。それならお土産買ってくるな」

真(……空気読んでください、プロデューサー)

春香「えへへっ。シュークリームっ、シュークリームっ♪」


バッドコミュニケーション!

〜テレビ局・控え室〜

こんこん

P「おーい、着替え終わったか?」

やよい『あ、はーい! 着替え終わりましたあ!』

P「それじゃ、入るぞー?」

春香『大丈夫でーす!』

がちゃり

はるやよ「「お疲れ様ですっ!」」

P「おお、今日もお疲れ様」

やよい「あの、プロデューサー。わたし、今日何回も噛んじゃってごめんなさい……」

P「あはは、やっぱり気にしてたのか。あのくらい大丈夫だよ」

やよい「でもでも、あんなにミスしちゃったら」

P「大丈夫大丈夫。やよいが一生懸命やってたのは伝わってたし、スタッフさんたちも可愛いって言ってくれてたからさ」

やよい「可愛い……?」

P「ああ。いつも通りの、とってもかわいいやよいだったよ」

春香「!」

やよい「そうですか、良かったぁ……。でも、次からはもーっと気をつけますね!」

P「うん、そうしてくれ」

春香「……あ、あの!」

P「? どうした、春香?」

春香「今日の私は、どんな感じでしたか?」

P「うん、今日は完璧だったな。やよいのフォローも上手くしてくれたし、もういっぱしのアイドルって感じだ」

春香「…………」そわそわ

P「?」

春香「……えっと。それだけ、ですか?」

P「え? うーん」

P「あ、そうだ。一回だけ移動のときに転びそうになったけど立て直したな。成長してるよ」

春香「そ、そうじゃなくてぇ……」

P「???」

P「すまん春香。完璧だったと思ってたから、他に気付くところがないよ」

春香「そ、それは嬉しいんですけど! だから、そのぅ……」

やよい(!)ぴーん

やよい「あの、プロデューサー。今日のわたしがどんな感じだったか、もう一回言ってもらってもいいですか?」

P「え? いつも通りのかわいいやよいだった、けど……」

やよい「それですっ!」ぱん

P「?」

春香「だから、その、えっと」

春香「か、可愛いのはやよいだけだったのかなー、って」ちらっ

P「え、あー、うーん……」

春香「な、何でそこで言葉に詰まるんですかぁ!」

P「いや、うん。もちろん、春香もそうだったよ」

春香「ぜんぜん、心がこもってないですー……」むす

やよい「ぷろでゅーさー。春香さんにもちゃんと可愛いって言ってあげないと、不公平かなーって」

P「……いやでも、やよいに言うのと春香に言うのじゃ、その、あれだよ。意味合いが違うというかさ」

やよい「? どういう意味ですか?」

P「いや、だからさ。やよいはまだ小さいし、気軽に言ってもいいけど春香はさ」

やよい「むー。子ども扱いしないでくださいっ!」

P「いやそうじゃなくて、その」おろおろ

春香「あーあ。やよいには、言ってあげたのになぁ。私にはなーんで言ってくれないのかなぁ。ぶぅぶぅ」

P「う……」

春香「きっと私って、魅力無いんだろうなぁ。こんなので私、アイドル、やっていけるのかなぁ……」

P「おいおい、いじけないでくれよ春香……」

春香「もういいですよっ。事務所の可愛い成分はぜーんぶやよいに背負ってもらえばいいんですよー」むすー

P「そんなこと言わずにさ」

春香「いいんです、私なんて。やよいのサポートだけして生きていけばいいんですー」

やよい「春香さん……。もう、プロデューサー!」ぷん

P「う」

P「あーもう、分かった分かった。……春香は可愛いよ」

P「もう、これでいいだろ?」

春香「はぁい。哀れみの言葉をありがとうございまーす」

P「何でそうなるんだよ!」

春香「……じゃあ、どうだって言うんですか」

P「あのな。大体、自分で可愛いと思ってないアイドルをプロデュースするわけがないだろう」

春香「……ほんとに、可愛いですか?」

P「ああ、本当だって」

春香「ほんとに、ほんとですか?」

P「本当に本当だ」

春香「ほんとにほんとに、ほんとですよね?」ぐしゅ

P「本当に本当だって。春香は。……世界一可愛いアイドルだよ」ぼそ

春香「……えへへっ。お世辞でも、嬉しいですっ♪」にこっ

やよい(一件落着、ですね!)


バッドコミュニケーション!

〜ロケ現場〜

春香「プロデューサーさん、遊園地ですよ、遊園地!」

P「おお、遊園地だな。改装後の新規オープンのキャンペーンガールに選ばれるなんて、春香も有名になったもんだなあ」

春香「ですよね。ちょっと前のことを考えると、信じられません……」

P「今日の撮影も完璧だったしな。着実に力は着いてるってことだよ」

春香「だったら嬉しいですね! ……あ、そうそう。今日はもう撮影も終わったので、好きなアトラクションに乗ってもいい

って言われましたよ」

P「は? だってまだオープン前なんじゃ」

春香「なんか、試運転も兼ねてるみたいです。『春香ちゃんが乗りたいのがあったら、乗ってもいいよ』って」

P「へえ。良かったな、春香」

春香「はい! じゃあ早速、定番のジェットコースターから行きましょう!」

P「行ってらっしゃい。車のところかスタッフさんのところにいるから、気が済んだら電話してくれー」

春香「? 何言ってるんですか? プロデューサーさんも乗るんですよ?」

P「は? ……俺もか?」

春香「はい!」

P「いや、俺はいいよ……。春香一人の方が楽しいと思うぞ?」

春香「そんなこと、ないですよぅ!」

P「俺みたいなおっさんと乗るより、1人で好きなものに乗ったほうが楽しいって」

春香「私はプロデューサーさんと一緒に乗りたいんです!」

P「まあまあ。ほら、いいから行ってこいって」

春香「むぅ。なんでそんなに嫌がるんですかぁ!」

P「いやいや。嫌がってるわけじゃないよ」

春香「なら、乗りましょうよ!」

P「うーん。大体、2人で乗ったりしたら何言われるか分からないだろ? いくらスタッフさんたちしかいないとはいえさ」

春香「……そっかぁ。そうですよね。プロデューサーさんに変な噂が立ったらまずいですもんね」

P「ちょっと待て。逆だ逆」

春香「あーあ。私みたいに可愛くもないアイドルが隣に座ったって、きっと迷惑なだけですもんね」しゅん

P「おーい……」

春香「いいんですいいんです。私みたいに二流のアイドルは、1人寂しく遊んでるのがお似合いなんです」

P「誰が二流だ、誰が」

春香「1人でジェットコースターに乗って、1人でコーヒーカップに乗って、1人で観覧車なんかも乗ってみたりして」

春香「隣にだーれもいないアトラクションで、1人寂しく『わー、きゃー』なんて言ってればいいんですよー」いじいじ

ざわざわ

「おい、春香ちゃんどうしたんだ? 何か悲しそうだけど」

「いやー、なんかプロデューサーさんと揉めてるみたいだぞ?」

「珍しいな。あそこ、いつも仲いいって評判なのに」

ざわざわ


P「は、春香。あのな、その辺で」

春香「あーあ。せっかく改装一番乗りなのになぁ。誰かと、楽しく乗りたかったなぁ……」ちらっ

P「分かった、分かったから! 一緒に乗ればいいんだろ?」

P「ただし、ひとつだけだからな」

春香「えー。どうしてですか?」

P「あのな、恥ずかしい話なんだけどさ。……高いところ苦手なんだよ、俺」

春香「……」

P「……」

春香「……ぷぷっ。何ですかそれ! あははははっ」

P「あー。だから言いたくなかったんだよ……」

春香「分かりました、それじゃあ一つだけ。観覧車、乗りましょうよっ♪」

P「よりによってそのチョイスかよ!」

春香「別に、ジェットコースターとかでもいいんですよ? ほら見てください、あーんなにぐるんぐるん回ってます!」

P「……観覧車でいいです」

春香「けってーい! それじゃ、行きましょうっ!」


バッドコミュニケーション!

〜・〜

春香「…………」

P「……なあ、頼むよ春香、俺が悪かったから」

春香「…………」つーん

P「春香ぁ……」

春香「……。つーん」

P「いや、つーんって口で言っちゃってるしさ……」

春香「こーんな大事な日を忘れちゃうプロデューサーさんなんて、私知りませんっ」ぷい

P「いや、だから言ってるじゃないか。忘れてたんじゃなくて」

春香「仕事が長引いちゃって、間に合わなかっただけ、ですよね」

P「……そうだ」

春香「でも、それならそれで連絡くらいは入れられたと思うんですけどぉ」ぶすっ

P「う」

P「……ほ、ほら春香、俺にできることなら何でもするからさ」

春香「ふーんだ。もう、その手には乗りませんよーだ」

P「そんなこと言わずにさ。俺だってわざとやったわけじゃないんだって」

春香「当たり前です! わざとだったらもっと怒ってます!」

P「……すまん」

春香「きっと真だったら、こう言うんだろうなあ。『信じられません、プロデューサー。男の人としてどうかと思います』」

P「う」

春香「もしやよいだったら、こう言うのかなあ。『プロデューサー。それはすっごく悪いことなんじゃないかなーって』」

P「うぐぐ。ご、ごめんってば」

春香「……悪いと思うんだったら、行動で示して欲しいなぁ」いじいじ

P「分かったよ。あ、ほら、前に春香が美味しいって行ってたあのケーキ、明日買って帰るから」

春香「……それだけですか?」

P「ええと、明日は晩ご飯美味しいとこに連れてってやるから」

春香「それだけですか?」

P「……春香が大好きな駅前のお店のシュークリーム、買ってくるから。……それも3個」

春香「むぐっ。……そ、それだけですか?」

P「ま、まだ何か必要なのか?」

はるるんさん可愛い

春香「当たり前ですっ。私、次のお休みの予定とか聞きたいなぁ」

P「……分かった。次の休みは一日中一緒にいるから」

春香「……本当ですか? 一日中、ですよ?」

P「う。ま、まあ、急な仕事が入らなければ……」

春香「」じっ

P「ぜ、善処します」

春香「しょうがないですね。優しい春香さんはそのくらいで許してあげちゃいますよー」

P「面目ない……」

春香「全く。こんな大事な日を忘れるなんて、本当どうかしてますよ!」

P「本当にごめんな。だって昨日は、なんたって」


春香「私たちの結婚記念日、なんですから♪」


おわり

春香「当たり前ですっ。私、次のお休みの予定とか聞きたいなぁ」

P「……分かった。次の休みは一日中一緒にいるから」

春香「……本当ですか? 一日中、ですよ?」

P「う。ま、まあ、急な仕事が入らなければ……」

春香「」じっ

P「ぜ、善処します」

春香「しょうがないですね。優しい春香さんはそのくらいで許してあげちゃいますよー」

P「面目ない……」

春香「全く。こんな大事な日を忘れるなんて、本当どうかしてますよ!」

P「本当にごめんな。だって昨日は、なんたって」


春香「私たちの結婚記念日、なんですから♪」


パーフェクトコミュニケーション?

短いけど終わり。たまにはひたすら可愛い春香さんが書きたかっただけという
お付き合いくださった方がもしおられればありがとうございました

html依頼出してきます

お疲れ様 良かったよ

乙乙
春香さんがひたすら可愛いSSは大好物だからまた書いておくれ

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