【安価】一方通行「安価で世紀末を生き抜く……」【コンマ】 (251)




「……退屈だ」


白い青年はそう独りごちる。


薄い唇から大袈裟に漏れるため息は、厳しい世界には似つかわしくない無気力なものだった。


この世界では、気力を失った人間から死んでいく。ここにこうして彼が生きているのは、彼が人間というものの範疇から一歩外れた存在である何よりの証拠だった。


右も左も瓦礫と埃にまみれたうら寂しい景色の中、紅い瞳を濁らせ、左右を見渡す。


こうして世界が変わって見せても、青年の世界は何一つ変わらなかった。


彼の目を覚ますのも忌々しい太陽の光だけだったし、有害なものはどんなものでも弾き飛ばしてきた。


「……さァて、今日はどォしましょォかね……」


擦り切れたチェスターコートを着込み、青年は立ち上がる。


いつもと代わり映えのしない一日だとしても、どうしてか彼は生きることを諦めようとは出来なかったのだ。





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376731699


▽皆さん、こんにちは。>>1です。


このスレは、大量破壊兵器により焦土と化した禁書世界で一方通行が生きていくスレです。


この一通さんの過去についてはこれから語っていくつもりです。


基本的には登場人物は科学サイドメイン。ヒロインも未定です。


エログロは場合によっては発生するかもしれませんが、基本的には一般向けです。



◆ルール◆


1、安価とコンマで行動を決めていきます。

2、下ネタ安価、余りに突拍子もないと>>1が判断した安価は安価下。

3、細かいところは補足で説明していきます!



◆ゴールについて◆


1、【生きる目的】を物語の中で設定し、それが達成されればゴールです。

2、【生きる目的】に関しては、ヒロインとの関係や、物語の中での立ち位置によって設定されていきます。

3、初期状態の【生きる目的】は「惰性」です。



とりあえず説明は以上です。


細かいルールはその都度説明致します。




まずは、持ち物から決めていきましょう。

決めていただくのは以下の二つです。


◆移動手段……車や徒歩、バイクなど

◆嗜好品(3つ)……これに関するものを趣味として設定します。




まずは移動手段

>>4

バイク



☆ステータス

【生きる目的】……「惰性」

【移動手段】…バイク←new!


⇒車種は?>>6


※指定なしでも可。その場合はこっちで適当に決めます

指定なしで



☆ステータス

【生きる目的】……「惰性」

【移動手段】…バイク(ヴェスパ)←new!(参考画像)http://pds2.exblog.jp/pds/1/200708/14/37/f0123137_1728244.jpg


ありがとうございます!!


次に、嗜好品を設定いたします。

趣味のようなものです!物語において話のタネにもなるかも……


例)コーヒー、タバコ、ゲーム、読書etc……(趣味のようなものと思ってください)


・嗜好品1

>>8


・嗜好品2


>>9


・嗜好品3


>>10



※連投安価は安価下とします!



コーヒー

エロ本

ブラックコーヒー



すみません。ご飯食べてました。



☆詳細設定



・コーヒー

>>13 ブラック?甘いカフェオレ系?

・エロ本

>>14 性癖は?

・ギター

>>15 エレキ?アコースティック?好きな音楽ジャンルは?

ブラック

ブラック

至ってノーマル

癒し系 同級生



すみません!再安価します。


性癖に関しては>>15>>16混ぜちゃいます。


ギターに関して最安価。


☆ステータス


【生きる目的】……「惰性」

【移動手段】…バイク(ヴェスパ)←new!(参考画像)http://pds2.exblog.jp/pds/1/200708/14/37/f0123137_1728244.jpg

【嗜好品】……1、コーヒー(ブラック)

         2、エロ本(癒し系同級生こそ至高)

         3、ギター>>18


エレキ


☆ステータス


【生きる目的】……「惰性」

【移動手段】…バイク(ヴェスパ)←new!(参考画像)http://pds2.exblog.jp/pds/1/200708/14/37/f0123137_1728244.jpg

【嗜好品】……1、コーヒー(ブラック)

         2、エロ本(癒し系同級生こそ至高)

         3、エレキギター ロックミュージック


ステータスが定まりました。

今後、指定に漏れがある場合は安価下とします。

続いて、補足ルールを設定いたします。





※補足ルール

一方通行はこの世界においてほぼ最強クラスのため、勝ち負けの判定はほとんどありません。

それ故、コンマで判定するのは以下のものとします。


1、感情

◆起こった現象に関して、どんな感情を抱くかを設定します。


・ポジティヴ(好意的)

・無関心

・ネガティヴ(否定的)


の、三つに分けられ、その後の彼の人格形成も左右します。


◆安価で行動を、コンマでどんなことを思いながら彼が行動するかを設定していきます。

◆ただ、彼の人格が形成、もしくは向かい合う人物に対する好感度には左右されていくこととなります。

◆コンマで感情設定をする際は、アナウンスが入ります。

例)

行動安価。感情設定⇒あり






以上で説明を終わります。


難解かもしれませんので、只今より五分、質問タイムと致します。



それでは投下を始めます。

前口上が長ったらしくて大変失礼いたしました。



「さァて……行くか」


愛車のヴェスパに跨り、キーを捻る。


古臭く、それでいて心地よいエンジンの音をBGMに缶コーヒーのプルタブを引き上げる。


「食料が尽きてきてたな……どこかの校舎で調達でもするか」


手元には、地図もなければ端末すらなかった。


しかし、彼の世界一高性能な頭は、学園都市の俯瞰図すべてをインプットしている。


手元にはなくとも、彼は、一度捉えた情報を行ってきたりとも零さないだけの知能を持っているのだ。


「……さァて、どこへ向かうか」


ここは第二学区の北端部、おそらく、以前は実験用のサーキットだった場所であろう。


おかげで道路の舗装はほとんど完璧だ。腐っても学園都市、最新鋭の耐久補正が掛けられていたはずだ。


「何にせよ、これじゃ餓死すンな……さっさと北進しねェと」


地獄のそこのような唸りを上げる腹部をさすりながら、一方通行はハンドルを握った。




☆行動安価 感情設定⇒無し


どちらに向かう?

※北、北東、北西、東

の4択です。


>>29







「……北、にするか」


第七学区南端、確か旧学び舎の園があった場所だ。


学園都市が、世界が崩壊して早三年ほど、第七学区に足を踏み入れるのは初めてだ。


「流石に軟弱なお嬢様がたァ生きちゃァいねェだろォが……ま、贅沢言っちゃいらンねェな」


汚染された土壌に空き缶を投げ捨て、一方通行はアクセルを思いっきり回した。








未だに、あの日のことは夢に見る。










その日、私はお気に入りのケーキ屋さんで好物であるショートケーキを買っていた。


その日はちょうどケーキ屋の5周年記念日で、二つ目が半額だったのを覚えている。


「これ、三つ頂けますか?」


「ありがとうございます!」


両親からの仕送りの日であったということもあり、親友二人の分もついつい買ってしまう。


その時の私は甘いもので心がいっぱいで、これから起こることなんて、考えることもしなかった。


考えられるはずも、なかったのだ。







私は、私たち学生は、都市の政治にあまり興味を示すことはなかったけど、あんなことになるなんて誰が予想できただろう?


いや、それは正確ではない。予想できたとしても、誰に何ができたのだろう?


学園都市統括理事長の死。そこから狂いだした歯車は、少しづつ都市の治安を蝕んでいった。


理事会の解散。相次ぐ自爆テロ。警備員の軍隊化。


少しずつ、少しづつ予兆はあったのかもしれない。


それでも、何が。


私たちに、一体何ができたのだろう?



「――わ―ん」


血を見るのにもいつしか慣れた。


「湾――さん!」


火を見るのにも、死体を見るのにも、誰かが冷たくなるのにも。


「湾内さん!!」


「っ!!ど、どうしたんですの!?」


同じ部隊の少女だ。


血走った目で、私の肩を揺さぶる。気づけば警報が鳴っていた。今日も、あいつらが来たのだ。


「惚けないでください!行きますよ!もう攻撃が始まってます!」


「わかりました」


警報を聞くと、あっという間に心が切り替わるようだった。余計なことも考えずに済む。


私たちの行動を急かす警報の音は、一方で私の心を落ち着けてくれた。





▽一方通行



サイドカーのCDプレイヤーからお気に入りの音楽を響かせ、いつもに比べていい気分で車を走らせる。


無心になって、音楽を口ずさんでいたら、あっという間に目的地が見えてきた。


「………学び舎の園、ねェ……クヒヒッ……ずいぶん過激な学び舎もあったもんだ」



そこには、先客がいた。




「弾持って来い!!」


「うあぁぁああああああああああああああああああ!!」


「駄目だ!!コッチのやつはもう死んでる!!」


もはや、少女たちの青春を彩る園などそこにはなかった。


張り巡らされた鉄条網に、水を張った塹壕。


銃弾と火の玉、電撃と血の雨が飛び交う、そこは正しく戦場だった。


「これはこれはユカイなことになってンなァー。……だいたい……」


だいたい、状況はわかった。


学舎の園を攻めているのは「武装能力者集団(スキルズ)」だろう。


2、300ほどの比較的大型なスキルズだ。集団戦にも慣れているようだった。


守り手は女どもが多い。想像するに、旧常盤台の学生たちであろう。


こちらもよく訓練されている。ただ、こんなザコどもに手こずっているようでは、ホワイトハウスなぞ落とせる訳が無い。


城攻めをするスキルズに、守る常盤台。構図としてはそんなところ。


コーヒー片手に、一方通行は他人事のようにそれを眺めていた。


「っ!!おいテメエ!!何してやがる!!」


「……あァ?」


剣呑な声。分かりきっていたことだが、この状況は彼を放っておいてはくれない。


血と怒号が支配するこの空間で、道端の雑草でも見るかのような目つきを、目の前のスキルズたちに向ける。


「テメエ!!常盤台の連中か!?こんなところで何してやがる!!」


「何って……見て分かンねェのか……?眺めてンだよ……」


「っ!……おい。あんましナメた口聞きやがると蜂の巣だぞ?俺たちが何してるのかくらい見りゃあわかんだろ?あ?」


一方通行を囲むスキルズ。ざっと数えて20人ほど。手にはAK-47。学園都市に生きる割にはチャチなオモチャだ。



☆行動安価 感情設定⇒有り(スキルズに対して)


行動安価に関しては、詳細に書いてもらって構いません!
足りない部分はこちらで補足します!

例)スキルズ皆殺し
  
  常盤台に協力する

  スキルズに協力する

  戦いを止めるetc……



※コンマ判定

-33 ネガティヴ(怒りを覚える)

-66 無関心

-99 ポジティヴ(彼らの行動にある程度の理解を示す)




間違えました!

安価は>>39

一応警戒しておく
スイッチをいつでも入れられるように準備しておく

スキルズに協力



☆行動安価

スキルズに協力

☆感情

ネガティヴ

⇒彼らの行動(常盤台を攻める)に怒りを覚えるも、協力(空腹のため)



☆☆補足☆☆


>>38

ここの一通さんはチョーカーありません。全盛期です。それに関しても後ほど説明致します。



※感情設定について

今後、感情設定の対象についてはアナウンスします。

基本的に一方さんは初期一通さんだと考えてください。アンビヴァレントなことも平気でします。


書くの遅くて済みません。
お風呂入って来てまた再開します。




「……おいコラ三下共」


「「……………!!!」」


一方通行から放たれる、仄暗く、剣呑な雰囲気にスキルズは背筋を震わせる。


彼らの汗腺という汗腺から汗が吹き出す。


「俺は今機嫌がいい……オマエらのクソッタレの争いには興味なンてなかったが……あいにく俺は腹が減ってンだ……言いたい事はわかるか?」


「な、何が言いたい!!!」


リーダーと思しき金髪を後ろに縛ったスキルズが声を荒げる。


恐怖を押し殺したのがありありと分かる。あーあー無理しちゃって。と、そんなことを思う余裕がこの時の一方通行には存在した。


「飯寄越せ……そうすりゃァ、オジョーサマ達をどォにかしてやる。分かンだろ?このままじゃオマエら、負けるぜ?」


くつくつと笑いながら、白い超能力者は冗談をこぼすかのような気軽さをにじませ言い放つ。


そして、スキルズのリーダーは、こう答えた。



※コンマ判定

-66 交渉失敗

-99 交渉成功

ksk



ぎゃあ!安価指定忘れてた!!

すみません!ここは>>45で!

※判定

⇒交渉失敗





「ばっ、馬鹿にしやがって!!殺せ!!蜂の巣だ!!」


「「はっ!」」


「……あーあ。後悔……すンなよ!!!」


一斉に火を噴く銃口。


舞い散る砂塵。地をえぐる銃弾。しかしそこに白い悪魔の姿は見当たらない。


「どっ、どこに――」


「上だああああああああ!!!!」


百キロを余裕で超すバイクとサイドカーを文字通り小脇に抱え、濃紺のコートを翻し、一方通行は飛び上がる。


彼が、スキルズを皆殺しにしなかった理由は三つある。


1つ、彼のお気に入りのバイクを壊されたくなかったから。


2つ、彼のコレクションを破壊されたくなかったから。


そして3つ、それは、彼の機嫌が良かったからだ。


「ぎゃはっ、ぎゃははははははははは!!!!!」


「逃がすな!!狙い撃――」


「無理です!!既にっ!!」


そう、すでに彼は、学舎の園へと逃げ去っていた。


双方の銃声は止み、そこには狂った哄笑だけが鳴り響くのであった。




さきの戦いで、ここを取り仕切っていた大隊長が死んだ。


流れ弾は脳天を直撃。即死だった。


「………」


「……湾内さん」


もうここに、レベル3以上は私を含め6人しか残っていない。


最古参であり、部隊指揮も行っていた私に指揮権が巡ってくるのは仕方のないことであった。


「……損害は……詳細な損害はわかっていますか?」


「え、あ、はい……大隊長を含む9名が戦死……24名が重傷です」


「……分かりました」


200名いた私たちも、もう80名ほど。


どうしてか私たちは殺し合いをしていて、どうしてか私たちは殺し、殺されている。


二年前のその時、近くにいた私たちは固まり、生きるための共同体を構築した。


常盤台の学生達はバラバラになってしまったが、それでも200の学生のうち50は常盤台生だった。


大人が全滅した世界で、私たちがどうにかやっていけたのは僥倖だったのかもしれない。


「……そんなにも……犠牲が……」


しかしそれでも、世界は私たちを放っておいてはくれない。


無政府状態を絵に書いたような学園都市。この都市の外で、誰かが生き残っているという話も聞かない。


放射能に汚染されきったこの世界で、どうしてか私たち学園都市の学生は無事であった。


次々と倒れていく大人たちを横目に、そのことを誰もが疑問に思った。


でも、思い悩む暇はなかった。それこそ、私たちはその日の食べ物を考えなくてはいけなくなったのだった。


「湾内さん!!報告です!!」


仲間のひとりの少女が声を荒げる。


汗だくだ。一体何が起こったのだろうか?


「ど、どうしましたの?まさかまた攻撃が――」


「違います!!」


この部屋にいる誰もが息を呑む。


それならばその慌て様は何が原因なのだ?成人にはまだ月日が足りない少女たちの表情が険しさを増す。それは、私も同様だった。


「……男です」


「……はい?」


「男が……男が忍び込みました!!!」



「………」


むしゃむしゃ。むしゃむしゃ。


少女たちから重厚を向けられようと、恐怖の視線を向けられようと、彼、一方通行は泰然としていた。


そう、腹が減っていたのである。


「……これは一体」


「あっ!わ、湾内さん!こ、こいつが……急に空から降ってきて……」


少女の話ぶりは、こうだ。


急に空からバイクを抱えた男が降ってきた。


食料庫の扉を蹴り飛ばすと、自分のスペースを作って糧秣を貪りだしたのだという。


少女たちは、バイクにまたがりカロリーメイトを貪る白い男を、囲みながらも、遠巻きに見つめている。


誰もが声をかけようとしない。……ここは、私が行くしかないのだろうか?


恐怖で棒のようになる足を、必死に前に押し出しながら私は‘彼’に向かっていく。


一歩、また一歩と足を進めるごとに恐ろしさが増してくる。


私は臆病だ。普通に誰かに声をかけることさえ怖い。恐ろしい。


私を支えるのは、指揮官という立場のみ。それがなかったら、私はきっと、座り込んで涙を流しているだろう。


「あっ、あの!」


「……あァ?」



ぎょろ、と紅い瞳が私を射すくめる。


怖い。ただでさえ、男の人と目を合わせるのも恐ろしいのだ。会話をするのなんて想像するのも恐ろしい。


私の周りには、何か原因があって極度に男に恐怖を抱く人間も少なくはない。


しかし、私は何か特別な原因があってそうなった訳ではなかった。怖いのだ。元来、男の人が。


「とっ、とつぜんっ!……な、なにをしに来たのでしょうか!」


「……あー……腹ァ、減ってたンだよ。迷惑かけたな。もォ帰るわ……」


「ま、待って!!」


「……あ?」


この時の私は、きっとどうかしていたのだろう。


それじゃなきゃ、こんな言葉が出てくるはずもない。相手はどこの誰かも分からないし、その上男である。


だけど私は、嫌な汗を流しながら、唇の震えを噛み殺しながら、こう言い放った。


指揮官としての責任、矜持、懐の広さを示威するための手段だったのだろうか?あまり考えたくはない。


「兵糧もっ!や、安くはないのです!ただで帰るのですか!?」



☆一方通行の反応・行動安価 感情設定⇒有り

※コンマ判定……感情対象:湾内絹保の言動に関して

-33 ネガティヴ(怒りを覚える)

-66 無関心

-99 ポジティヴ(彼らの行動にある程度の理解を示す)



>>52

ぽじてぃぶ



☆感情設定:ポジティヴ


行動安価>>


☆感情設定:ポジティヴ


行動安価>>56


※わかりにくくて済みません。

行動安価は言葉で、感情安価はコンマで判断と言う意味です。

じゃあその分だけ働く


☆感情設定:ポジティヴ


行動安価:その分だけ働く



「………オマエ、誰に口聞いてンのか分かってンのか?」


「わっ、わかりません!!だだだだって、な、名乗ってないでしょう!?」


やけになる私を、周りは唖然、といった様子である。


威厳、と言う前に気が触れたのかと思われたかもしれない。


「……ふゥン……」


「ひっ……」


ヴェスパから降りると、男は、ゆっくりとこちらの歩を進める。


そして、威圧感が服を着たかのような男は、私の目の前にやって来る。


恐怖に足が竦む。震える奥歯を噛み締める。


目の前にやってきた白い男は、息がかかるほどの距離まで顔を近づける。


たった今口にした、チョコレート味の糧秣の香りが鼻腔をくすぐる。


そして、こう言い放った。



☆行動安価 感情設定⇒なし


>>60


※台詞です



一方通行だ、それで分かるか?



「一方通行だ、それで分かるか?」


「あくせら……れーた……一方通行!?」


どよっ、と場がざわめき立つ。


一方通行。学園都市第一位、最強の能力者。


すべての事象を意のままに操る、学園都市の最強兵器。


世界各国との情勢に警報が鳴り響いていた際は、都市全体の期待を一心に受けた男。


話には聞いていたが、実在するとは思ってもみなかった。


御坂様や食蜂様と異なり、決して表舞台に出ることのなかった存在。


『ただのプロパガンダではないのか?』とも噂されたことすらあった。


「………」


「……だんまりか……っち。安心しろ……俺に向かって‘大層な’クチ聞いたことは褒めてやンよ。飯の分くらいは働いてやる」


現実感を失い、ただほうけることしかできない私に、邪気のない微笑みをたたえて彼は背を向ける。


「は、働く……?な、何を――」


「あァ?そンなの決まってンだろ?」


振り向きざまの声は、全能感に溢れていて、私はかすかに高揚し、ひどく羨ましくなってしまった。


>>63


☆行動安価 感情設定⇒なし


>>63


※台詞です


オマエラを皆殺しにしてやンよォ



☆感情設定:ポジティヴ


行動安価:その分だけ働く


に背くため最安価。


>>66

何か雑用でもやってやンよ


「何か雑用でもやってやンよ」


「ざつ……よう……?」


そう言い放ち、彼はコンクリートを積み上げた簡易城壁の上へと登る。


「ただ、今は昼寝だ。一時間たったら起こせ。そうすりゃァ……何でも……やって……や……る」


「………」


瞼を閉じ、驚く程の速度で眠りについた彼を追いかけ、寝顔を覗く。


「……ふしぎなひと」


寄らば斬る、といった剣呑な空気はあっさりと霧散し、眠りについた彼は、絵画の中の眠り姫のようだった。


日の沈みきった第七学区南端。眠り姫の寝顔は、湾内絹保にしばし争いを忘れさせてくれるのであった。


本日はここまでです!ご覧になってくださった皆さん有難うございました!

明日の夕方再び来ます。


☆ルールまとめ


◆安価の取り方


▽文面で行動安価、コンマで感情を指定する。

▽感情種類は三つ

1、ポジティヴ
2、無関心
3、ネガティヴ

※以上は一方通行の人格形成を左右する。物語の区切りで、一方通行のとった行動を下に性格を設定します。


▽交渉など、人物の反応もコンマ形式にすることがあります。


◆物語の進み方


▽台詞などの安価において、上記行動安価、感情安価にそぐわない安価は安価下とします。

安価下の例)湾内に協力する行動安価⇒湾内を殺すような発言をさせる安価


◆この物語の設定について


▽設定については、徐々に明らかになっていきます。

 現在明かせる設定は以下の通り

・学園都市は大量破壊兵器により滅んだ。

・大人は全滅した。

・一方通行は18歳。能力に制限は無し。


以上です!質問や感想あると嬉しい!ではまた明日!

学園都市外は全焦土(と思われてる)ですか?

みなさんこんにちは>>1です。

本日の投下を始めます。

>>74

はい。その辺もおいおい説明できればと思いますが、学園都市も殆ど焦土です。


本日の投下の前に、昨日の>>66で指定していただいた、

「雑用」の内容を決めようと思います。

一方通行の言う雑用がどんなものなのか、不自然でない程度に、具体的にレスしていただけると幸いです。

>>80


☆雑用

⇒掃除(突っかかってくるならず者とかをお掃除)


ありがとうございます。

あと一つ、補足ルールを説明させていただきます。


☆言動安価について

先日、セリフを安価で指定させていただきましたが、今後は「言動安価」として扱いたいと思っております。

一方通行は、今後、様々な人間に出会います。

ヒロインを含め、対面する人物に対し、安価で行動を指定していただきたいと思っております。

あまりに突拍子な安価は最安価とさせていただくことはありますが、話題の振り方、対面する人物へかける言葉など、

ここ一番の際は言動安価を取らせていただきます。


◆持ち物を利用する

話題作りの為に、持ち物を利用することができます。

現在の一方通行の持ち物は、エロ本、ヴェスパ、コーヒー、ギターだけですが、

今後、様々なものを手にするでしょう。

これらを利用して行動安価を設定することが可能です。

※これは、「行動安価」、「言動安価」の両方に該当します。



長々と大変失礼いたしました。

それでは、ホントのほんとに投下します。

投下中に質問いただいても対応いたしますので、どうぞご覧になってください。



「ン……」


一方通行を目覚めさせたのは、彼の体内時計によるものではない。


何者かが近くでコンクリート片を崩したのだ。


「すっ、すみません!起こしてしまいましたか?」


「……」


寝ぼけ眼をこすることもせず、一分ほど虚空を見つめる。そうだ、俺はコイツらに協力するのであった。


「……あの――」


「気にすンな。起こせっつったのは俺だ……オマエ、名前は」


「えっ!?……えと……」


「名前だ……聞かれちゃまずいもンなのか」


「いやっ、そのっ……えと……」


立ち上がり、目の前でまごつき始める少女を見下ろしながら一方通行は溜息をつく。


さきほど指揮官のごとく振舞っていた少女だ。栗色のウェーブがかったショートヘアの、見るからに気弱そうな少女。


年の頃は、彼と同じくらいか1つ2つほど下くらいだろう。



「湾内……湾内、絹保です」


「あァそォかい。……で、湾内さンよ。俺は一体何をやればイインですか?寝起きの運動だ。顎で使われてやンよ」


「いや……でも、悪いです……見ず知らずの人間にそこまでやってもらうなんて……」


一方通行としては睨んだつもりはないのだが、目が合うと、彼女は俯きがちになってしまった。


湾内は、目を見ず話すという行いに内心で後ろめたさを感じた。初対面の人物と接する際の自分の悪癖だ。特に、男性の場合は顕著に表れる。


しかし、彼にとってはいつものことである。彼女の行動になんの悪印象も抱かなかった。


幸いと言っていいものか、少女の過剰な内気具合に気を止めることなど全くないのだ。


それほど彼の眼光は異質であり、それを自覚しないほど一方通行も無垢ではなかった。


「見ず知らずの人間、ねェ……ま、そォだな」


学舎の園の防御機能をふんだんに利用して作られたと思しき簡易要塞には、巻の弾ける音と、彼らの話し声だけがかすかに響いている。


さきほどのスキルズたちの被害も決して小さくはなかったはずだ。現状、最小限の見張りで休息を取るというのも悪手ではないだろう。




☆言動安価>>87


※台詞指定でも、動作指定でも大丈夫です。

アイテムを用いる場合は、自分からそれを用いても、見せびらかしても、プレゼントしてもOK!!

自分から投げかけなくとも、相手が乗ってくれることがあったりなかったりするでしょう。

現状の把握というか今いるところの様子を見る



「……それにしても、この愉快な状況は、このご時勢にありがちな食い扶持の奪い合いか?あいつら、ずいぶん殺気立っていやがったぜ?」


「……ええ。その通りですの」


現状への呪いは、唇を噛み締めることで押しとどめる。


二年前のあの日から、まるで悪夢のようだ。


学園都市は、有事に備えて230万人が10年暮らせるほどの保存食料を確保していた。


しかし、学園都市特製の保存食は貴重だ。膨大といっても絶対数には限りがある。


一部のコミュニティでは、自給自足を実現させているという話もあったが、まず耐えられるだけの土壌は少ない。


自ずと、奪い合いが始まるのは自明のことだったのかもしれない。


「『その日』は、常盤台の学生は課外授業でしたの。学園に残っていたのは50名ほどでしたわ」


気づけば、私は洗いざらい喋っていた。愚痴を、弱音を聞いてくれる人が欲しかったのかもしれなかった。


「『その日』から、私たちは周辺の学生たちとコミュニティを結成しました。食料の管理、寝床の確保、そして……」


「……自衛、だな」


こくり、と湾内はうなづく。その瞳は、現状に対する嘆きを内包していた。



「‘彼ら’スキルズのような存在は今までも少なからずいました。でも、私たちは集団化された常盤台生。悲しいこともたくさんあったけど、なんとか乗り越えてきたの……」


湾内の口調が崩れていく。お嬢様らしい奥ゆかしさがなりを潜め、ひとりの少女が涙声と共に溢れ出てくる。


「私たち、最初は200人いたんです……でも、いまはたった80人。さっきの争いで、20人以上が死にました」


学園都市きってのエリート学生ですら、あっけなく死ぬ。ここはそんな世界で、人が人を殺し続ける地獄だ。


一方通行は、その事実には何の感慨も湧かない。何故なら、彼は『その日』の前からそれを知っていたから。


「みんな……みんないなくなっちゃった……泡浮さんも、婚后さんだってあの日から離れ離れ……どうして?どうしてこんなことになっちゃったの?」


「………」


「おとうさん……あかあさん……なんで……どうしてっ……」


自らの隣で涙を流す少女に対し、一方通行は……




☆言動安価>>92



それを聞かされて俺はどうすりゃいいってンだよ



>>92


ありがとうございます。


説明不足してて大変恐縮です。

「言動安価」は、台詞だけでなく「動作」を指定していただいてもOKです!両方でももちろんOk!

ちょっと待っててください。投下します。



「それを聞かされて俺はどうすりゃいいってンだよ」


目の前の少女は、優しい言葉を望んでいたのかもしれない。


その場しのぎで、その場しのぎの優しさで少女を慰めることなど簡単だったはずだ。


しかし、一方通行はそうしない。


少女の手など、決して取ろうとはしない。泣きついてくるものなど弾き飛ばす。


120名が死んだ?知人と離れ離れ?それはそれは大層悲しいことなのだろう。


彼に彼女の気持ちはわからない。親しい友もいなければ親もいない。死に別れて悲しむ人などいない。


何かを失う気持ちを否定しているわけではない。しかし、自らの知りえぬものを尊重するほど敬虔な人間ではない。


「おい。湾内。オマエは今何をしてンだ?」


「……あ、あくせら、れーた、さん……?」


しゃくり声を上げる湾内に、一方通行は、あくまで厳しさを孕ませた声で応じた。


「答えろ。オマエは、一体今、何をしている?何をしなきゃなンねェンだ?」


「………っ!!」


鋭い声色に、湾内は心がたたき起こされたかのようだった。


この人は、厳しい人だ。甘えも、逃避も許さない。


「そうやって、愚痴をこぼすのもイイだろ。いくらだって聞いてやる。……でもなァ」


自らを覗き込む赤く鋭い眼光を私から背け、彼は背を向ける。


コートのポケットに手を入れたまま、北の方角、「窓のないビル」を眺めながら、すこし寂しそうな声色でこう呟いた。



言動安価>>97


決め台詞!文脈にあまりにも合わないと安価下。


愚痴をぐちぐち言ってても何も始まらねェぞ




「愚痴をぐちぐち言ってても何も始まらねェぞ」


「…………」

















「………くっ」


「………あァ?」


「……くふふっ……ふふっ……あはははははははははははは!!」


「あ、あァっ!?オマエ……何?情緒不安定なワケ……?」



どうしてか、彼の言葉はスッ、と胸の中に収まった。


そうだ。その通りだ。私は頼りないし、内気だし、くせっ毛だ。でも、それでもここの指揮官なのだ。


現実逃避している場合ではない。私にはやることがある。目の前の問題を片付けるという、使命があるのだ。


「っ……ご、ごめんなさい……気に障ったなら謝ります……決して、侮辱したわけではないんです」


泣いてる暇なんてない。こうしていることは時間の無駄でしかないのだ。


これからも確かに人は死ぬ。悲しみもあるだろう。でも、今笑うことは決して罪じゃないはずだ。


これから更なる悲劇が待っているかもしれないのに、どうしてか私は今までないくらいにやる気に満ち溢れていた。


「一方通行さんって、結構面白いこと言う人なんですね?」


「……馬鹿笑いするようなネタなンて仕込ンじゃいねェぞ」


「……ふふふっ。“愚痴”を“ぐちぐち”だなんて……ふふふふっ」


「お嬢様のツボは良く分かンねェよ……」


自分に笑顔を向けた人間なんて、何年ぶりに見ただろう。


突拍子もなく、あっけらかんに笑う栗毛の少女を見て、一方通行は名状し難い、それでいて悪くない気分に浸るのであった。




本日はここまでと致します。
皆さん、ご協力ありがとうございました。

今後、コンマによる「感情設定」は、トラブルの際のみとします。キリがなくなってきそうなので……


みなさんに安価で取得していただくのは、以下のものとなります。

☆行動安価(有事の際は感情設定有り。所持品の利用も可能)

※今後蓄積されていく一方通行の性格にあまりにもそぐわない場合は安価下。

☆言動安価(ヒロインや、対面する人物に対して指定。所持品の利用可能。)

※言動安価は、行動安価にあまりにもそぐわない場合は安価下。


以上です。

質問も喜んで承ります。

⇒次回はならずものお掃除編!!明日の九時頃来ます!来られなくなったらアナウンスします!

乙乙
ヒロインやヒロイン候補の好感度表示は無し?

時間通りに来れずすみません。>>1です。

投下を始めます。

まず最初に、お片付けの安価から。


◆スキルズ(武装能力者集団)を倒す方法を指定してください。

例)血流操作でしらみつぶし

一方通行の能力の範囲外は安価下。

>>111

瓦礫をシュート


☆瓦礫をシュート

に決定しました。

ところどころ言動安価を取りますので、皆さんご協力いただけると幸いです。

>>104

いいですね。じきにやろうと思います。



「……そのツラ見りゃァ分かる。オマエ、もうそろそろ開き直ったな」


「……はい」


笑顔は崩さず、湾内は微かに、それでも力強くうなづいた。


自分らしからぬ説教じみた行為に、どこか気恥ずかしくありながらも、一方通行はそれをおくびに出さずにぶっきらぼうに振舞う。


「覚悟ができたなら、今から十五分後に“奴ら”の野営地に迎え。面白いもン見せてやる」


「……?おもしろいもの…………っ、あ、一方通行さん、まさか――っ」


続きを奪うように、一方通行は濃紺のチェスターコートで湾内の体を覆う。


この時代に似つかわしくないほど仕立てのいいコートは、明け方の寒さから、彼女を一瞬で遠ざけた。


「……あ、ありがとう……ございます……」


「お気に入りなンだよ……得体の知れない汚れが付くなンてまっぴら御免だ」


彼の体温が自らを包んでいるように感じられて、自らの頬が紅潮しているのが感じられる。


汗臭くなかっただろうか。そんなことを湾内絹保は考えた。


顔の赤さを隠すかのように、少し丈の長いコートにくるまっていると、白い彼は、外壁のヘリに立ち尽くしていた。


「お片付けだ。15分で終わらせる」


つむじ風が彼女の栗色のくせっ毛を巻き上げた次の瞬間、一方通行はすでにその場から姿を消していた。






丘原燎多は、この時代こそが自らの時代だと確信していた。


彼をボスと称える仲間は400を優に超えていたし、あれほど欲しかった力も手にした。


かつての科学崇拝都市において、彼は、少し出来の良いただの学生だったのだ。


元来のプライドの高さがそれを許さず、非合法な薬に手を出し、警備員のお世話になったりもした。


「……せっかくの、良い時代だったのになぁ」


くわえタバコで、三年前から生やし始めたあご髭をさする。


“その日”から、彼は、楽しく、悲しみなど忘れて生きてきた。


“数“を率いての戦いの才能があっただろう。趣味で読んでいた軍事書をあらゆる機会で有効活用し、彼は様々な場所で生きる場所を守ってきた。


奪い、奪われる世の中で、皆は彼を尊敬したし、彼も皆を愛していた。


どんな時でも“数の暴力”を有利に活用することができる彼の力は才能であったし、事実、数多の勝利を仲間に与えてきた。


「……ははは。俺は、本気でこのまま勝ち進む気だったんだけどなぁ……現実はそんなに甘くはねえよな……はは」


夜明けとともにやって来た、暴力の象徴としか思えないそれを見て、思う。


俺は、なんて浅はかな人間だったのだろうと。


「がぁぁ!!」


「足がっ!!足がぁぁあ!!」


「たすけっ――」


最小限の犠牲でより多くの血を強いる為、三日三晩寝ずに考案した自陣。


それを豆腐のように切り裂く“暴力”の象徴。


それは、痩身白髪の、小奇麗な男であった。


「はァーい。クソ野郎ども。おはようございまァす」


「やめろっ!くるんじゃ――ぐぎゃああああああああ!!!!!」


奴の踏み鳴らした地面は大きくたわむ。


たわみは砂、石、そして岩石のつぶてとなり、丘原の仲間たちを一方的に食いつぶしていく。


血と砂埃が舞い散る地獄のような光景の中、“それ”の服にはホコリ一つついていない。


不思議と丘原燎多は悔しさを微塵も感じなかった。目の前のそれが、あまりにも圧倒的な存在だからだろうか。



「……よォ。逃げずに堂々と胸張ってるその根性だけは認めてやるよ」


「俺の仲間を皆殺しにしてくれて、随分なクチ聞いてくれるじゃねえかよ白ボウズ。その細首叩き折ってやるから覚悟しとけよ」


せめてもの矜持だった。


最後だけは勇ましく有りたいと、そう思ったのかもしれない。


自分のことを冷静に振り返る余裕は既に丘原には無かったが、そう結論づける。そして、目の前の“それ”を恐怖を押しつぶすかのように睨みつけた。


「皆殺し、ねェ……オマエだいたい――」


「そのマヌケ面がテメエの最後の面だ!!喰らいやがれッ!!」


さきほどから溜め込んでいた渾身の一激を目の前の“それ”に叩きつける。


長年の研鑽と環境の変化により、大能力者レベルにまで達した彼の「発火能力」は、優に1800℃を超えていた。


不意を付いた渾身の一激。蛇のように目の前の男に絡みつく熱に耐え切れず、丘原燎多は後ろに飛び退く。


そして。


「………ははっ」


「…………随分と潔良いじゃねェか。オマエ、悪くねェよ。悪くねェ。」


一身に浴びた炎と熱を渦のように巻き上げ、狂ったような笑みを浮かべる“それ”を穏やかな心で見つめる。


どうしてか気分は清々しく、この男になら殺されてもいいかもしれない、などと思ってしまった。


「オマエを殺す、クソッタレの悪党の名前を教えてやる……イイか?よく聞けよ?」


「はははははははははははっ!!!ははははははははッ!!」


抑えきれない自らの哄笑と、空気が燃える轟音の中、丘原燎多ははっきりのその名前を耳にした。


「一方通行だ」


丘原が最後に見たものは、赤色の濁流。そして、血のように紅い真っ赤な瞳であった。






☆言動安価

一方通行の下に、ヴェスパに乗った湾内がやって来ます。

彼女にかける一言目の言葉は?


>>119


※これまでの彼の行動とあまりにも乖離する安価は安価下。

高笑い




サイドカーに彼の私物を残したまま、湾内絹保はヴェスパを走らせる。


彼女は、結局15分も待つことはしなかった。


いくら明け方とは言え、空まで届くかのような火柱を見逃せるはずがないだろう。


無免許でヴェスパを運転することに罪悪感を感じつつ、必死に彼女は単車を走らせた。


その場所へは、五分とかからず到着した。


「…………」


「…………一方通行さん」


血の匂いの漂う荒野で、彼は一人立ち尽くしていた。


嗅ぎなれた匂い。きっと、何度体を洗ってもこの匂いは落ちないのだろうな、なんてことを考えた。


太陽はまだ登っていない。


「……はは」


「………一方通行さん?」


「……はは」


「………一方通行さん?」


「ははっ、ははは、ぎゃはっ、ぎゃははははははははははははははは!!!」


「っ」


彼の笑いからは、初めて会った時のような剣呑さは消えていた。


お気に入りのコメディドラマを見ているかのような、カジュアルな笑い。


あまりにも場違いなそれを、湾内には黙って聞いていることなどできなかった。


「っ、一方通行さんっ」


「はははははははは!!ははっ」


決してこちらを振り向こうとしない彼を、後ろから抱きしめる。


この寒空の下、彼はあまりにも寒そうだ。


私が、彼のコートを奪ってしまったから。


彼からぬくもりを、優しさを奪い取ってしまったから。


「………」


「………」


暖かさを、体温を分けてあげるかのように細い背中を精一杯抱きしめる。


驚く程細い彼の背中は頼りなくて、ずっと一緒に寄り添っていたいと思わせるような背中だった。


「………」


「………」


どれくらいそうしていたのだろうか。


彼の呼吸、彼の匂いが当たり前のもののように感じられるようになったくらいの時が立ったころ、ようやく彼は口を開いた。



☆多数決安価


一方通行の中で、湾内に対する感情は変化しています。

彼の中で、彼女はどれくらいの存在でしょうか?


1、話し相手になって欲しい、と思えるような存在。

2、嫌われたくない、と思えるような存在。

3、一緒にいたい、と思えるような存在


※最も多いレスの番号に指定されます。今後の物語にも影響します。


本日はここまでです。

ご覧になってくださった皆さん、ありがとうございます。

>>123の安価は、明日の投下(9時~10時位を予定)で締め切ります。

ご質問、ご感想いただけると嬉しいです!それでは失礼いたします。


0時またぐとID変わっちゃうし多数決するならもっと短い期間でいいと思うよー

>>131

ご指摘ありがとうございます。

それでは、本日中を締切と致します。

8月20日の時点で最も多い番号を指定させていただきます。


皆さんレスありがとうございます。

とりあえず多数決安価はここまでと致します。

1、話し相手になって欲しい、と思えるような存在。

で進めていきます。

それではまた明日。

⇒次回は学舎の園編エンディング!

みなさんこんばんは。

>>1です。本日の投下を始めます。


「………」


「………」


どれくらいそうしていたのだろうか。


彼の呼吸、彼の匂いが当たり前のもののように感じられるようになったくらいの時が立ったころ、ようやく彼は口を開いた。


「……軽蔑するか」


「………」


私は黙って首を振る。


軽蔑なんてできるはずないだろう。だって私は、もうこの匂いに慣れてしまっている。


「城壁の外の堀、ご覧になりましたか?」


「………あァ」


有刺鉄線と、陣地の外部に構えられた堀。


そこには、確かに赤い水が溜まっていた。


「……私、水流操作の力を持っていますの」


「……そォかい」


どんな人間より賢い彼のことだ。これで伝わらないはずもない。


きっと学舎の園の人間は、だれだってその匂いに慣れてしまっている。


血だまりの中で、若者たちがなんの不思議もなく生きているこの世界は、やはり狂っているのだろう。




☆言動安価

この空気をなんとかするため、一方通行は何をしますか?何を言いますか?

※アイテム使用可。行動とセリフを指定してください。
行動のみ、台詞のみだった場合は安価下。

>>142

よォ。スクラップにならねェか?

缶コーヒーを差し出し
「飲め。それでもオマエは生きるンだろ、死ンでいったお仲間の分まで。なら食って飲んでクソして寝ろ。……そいつらもそれを望ンでるだろうよ」


>>143

で行きます。


初めて嗜好品が役立った!



「………」


「………」


物思いにふける顔も、穏やかでいるであろう顔も、彼は分かりにくい。


そんな彼は彼らしく、ぶっきらぼうで、わかりにくい表情のままヴェスパのサイドカーへ向かう。


自分から離れていくぬくもりに寂しさを覚えつつ、湾内は温まった手を改めてこすり合わせた。


「飲め」


かしゅっ。という、小気味の良い音と共に、一方通行は缶コーヒーのプルトップを引き上げる。


今では希少品であろうそれを湾内の手に握らせ、彼自身もまたコーヒーをあおる。


「どいつもこいつも……ホント、クソッタレだ。俺も、オマエも含めてなァ……」


「………」


スチール缶を握る手に力がこもる。


しかし、彼の言葉には続きがあった。


「だがな、それでもオマエは生きるンだろ、死ンでいったお仲間の分まで。なら食って飲んでクソして寝ろ」



「……一方通行さん」


また一口、缶コーヒーをあおる。


まるで、自分らしくない、と吐き捨てるように。


これは勢いとカフェインのせいだ、と自らに言い訳をするように。


「……ちっ……そいつらもそれを望ンでるだろ」


「………っ、……はい!!」


気づけば、夜は開けていた。


朝焼けともに、彼の顔は白く照らされていく。


湾内絹保の数年ぶりのモーニング・コーヒーは苦かった。


びっくりするくらい苦くて、それでいて、少しだけしょっぱい。きっと、最高の思い出になるだろう。


「……どォだ?中々イケるだろ?」


「ふふふ……」


誇らしげに笑う彼は、子供みたいで可愛らしかった。だから、ちょっとだけイジワルをしてやろう。らしくもなくそんな気分になってしまった。


「苦いです!とっても!」


きっとこの日を、彼女は忘れない。





ヴェスパのサイドカーに収まり、コミュニティに戻る。


彼は今、私のマフラーを巻いている。私が無理を言って押し付けたのだ。


「……っち。クソめんどくせェ」


そんなことを言いながら、律儀な彼は私に手袋をくれた。


ミトンタイプの可愛らしい手袋で、フェミニンなデザインだからか、私が付けていても違和感はなかった。







そんな彼女たちを出迎えたのは、穏やかとは決して言えない、粘り気の強い視線であった。


恐れるもの、嫉妬するもの、感涙にむせび泣くもの。


彼女を見守る視線は優しい。しかし、隣にいる男が自体を複雑なものに変えていた。


「……流石に、いつまでもここにいるワケには行かねェな」


「えっ」


おめでたいヤツだ、と一方通行は呆れる。


もちろん良い意味でだ。


自分のような埒外人間が、有象無象と楽しく仲良くやっていけるとでも本気で考えていたのだろうか?


百に近い視線が見守る中、一方通行は幼子を諭すような仕草で語りかける。



「中々に悪くなかったぜ……オマエはオマエの地獄を生きろ」


湾内は一言で察する。諦観のこもった声は、彼女を青ざめさせた。


「いやっ!嫌です!!せっかく会えたのに!」


本当に仕方のないヤツだ。彼女には、視線で俺を射殺さんとする野郎どもの顔が見えていないのだろうか?


周りが見えないようじゃまだまだだ。一方通行は薄く笑う。


「そんあ……せっかく……せっかく貴方様とっ――」


「そのへンにしとけ」


二の句を告げないような厳しい声色で釘を指す。それもそのはずだ。


二人連れで朝に帰ったのだ。あらぬ疑いをかけて、コイツの立場まで悪くなったら寝覚めが悪い。


lこの女はは見てくれも悪くないし優秀だ。何より、手の付けられないお人好しなのだ。


「でもっ……イヤです……わたしはっ……貴方が……貴方と……」


楽しいことなんて、一つもなかった。


食べ物のことを考え、人が死に、別れ、今日のことを考える。


彼は、私に明日のことを考えさせてくれた人なんだ。


「ならっ!私も連れて行ってください!私を一人にしないでくださいっ……」


彼に縋りつきたい。でも、彼は瞳でそうするなと言っている。



半日という短い時間が私に明日を与えてくれた。


なんて残酷な人なのだろう?彼はきっとそのことを知らないのだろう。


「………クソガキが」


ぽんっ、と細い指が私の頭を叩いた。


優しく、壊れ物を扱うかのような彼の手つきは心地がよくて、それでいて悲しかった。


きっと彼は、いろいろなものを壊してきたんだ。


人間も、心も、自分さえも。


私は、彼に教えてあげたかった。


そんなに人間は弱くないのだと。


私は壊れないし、貴方を傷つけたりなんかしないのだと。


「俺は、別の地獄を生きる。オマエは、そこにいちゃいけねェ」


「っ……!一方通行さ――」


私の嘆きは、ヴェスパのエンジンにかき消される。


またな。


そう彼が呟いた気がした。


「…………」


「………湾内さん」


長年の同胞の声を背に、朝日に照らされた土煙を眺める。


涙は止まらない。彼なら、私に泣くなと言うのだろうか?


「………っ」


鼻をすすり、期待と信頼をくれる仲間たちに向きあう。彼が、そう言ったから。


「まずは、死んだ人のお墓を作りましょう」


泣くのは夜にしよう。そんなことはいつだってできるのだ。


「スキルズの方々も平等に。手を合わせて、私たち全員の不幸を嘆きましょう」


彼は北に向かった。


私はその日から朝方北を眺めるのが日課になっている。


彼は、再び来てくれるのだろうか。


「……またな、か」


その場しのぎの嘘だとしても、私はいつの日か彼に会いにいくのだろう。


「でも……それは今じゃない」


冬の寒さはまだまだ寂しい。彼のミトンは頼りになるけれど、いつの日か返さなければいけないのだから。





第一章 ~完結~



▽一方通行の性格を設定します。



☆マイペースで気まぐれ

☆ジゴロ

☆自らを含めた「殺し」への嫌悪


以上、この話で規定された性格です。

今後、一方通行はこのようなキャラクターを基礎として動いていきます。



◆所持品

・ヴェスパ(嗜好品)

・缶コーヒー(嗜好品)

・エロ本(嗜好品)

・ギター(嗜好品)

・チェスターフィールドコート

・湾内のマフラー



♪ヒロイン好感度♪


       1    5    10
湾内絹保new!……⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒



※MAXは10!


1~2……知人レベル

3~4……友人レベル

5~6……気になる人、好きな人レベル

7~8……好きすぎて夜な夜な慰めちゃうレベル

 9……行動原理になるレベル

 10……MAX。










ぎゃああああ!!ズレているううううううううう!!

皆さん、ご協力ありがとうございます。
第二章は金曜の夜に投下します。

分かりにくいので、安価はその都度説明いたします。
ご感想ください!励みになります!


※今回はヒロイン攻略イージーです。
 次回以降は安価によってマイナスにもなるように致します。

この好感度見づらいのだけれどこれはいくらなのかな?

>>158

9です。ずれちゃった。

次はもっと見やすくします。

おつ
ズレが気になるなら

湾内絹保……9(→)

湾内絹保……7(←)

こんなんでいいかと

あ、こっちのほうが分かりやすいか

湾内絹保……9(↑)

湾内絹保……7(↓)

ネットのエラーで遅れました。
投下します。

好感度の表示は考えますね?



☆一方通行の行く方角を設定します。

学舎の園から北上後、彼はどこに向かいましたか?

北or東or西

>>171

西



☆進路……西





学園都市の日暮れはゆっくりとやってくる。そもそも、他に気を取られるものがないためだ。


人間とは不思議なもので、退屈に退屈を重ねると遠くを見つめる傾向にあるらしい。


一方通行もその例に漏れず、ヴェスパのハンドルを握り締めながら、太陽が沈むのをぼーっと眺めていた。


「見えてきた」


身を冷やす風を全身に受け、ゆっくりと夕暮れを眺める。


しかし、その日の日暮れは少し様子が違った。


彼の視界の外へ逃げていく夕陽は、凸凹で不細工な富士山のような形の影へと身を隠していった。


今や学園都市、いや、世界で最高クラスの人口密集地となった都市がそこにはあった。






☆都市の名前

>>176

※あまりにも下品なものは安価下

クレセリオン


>>176

語感かっけえ……
だがググってもろくに出てきいひん……

ちなみにどのような意味でしょうか?
出典とか……無いならなんとかします!!




傲慢都市クレセリオン。


「その日」までの基準で考えると対した都市ではない。しかし、世界において全ての快楽を平穏に楽しめるのはきっとここを含めて片手ほどしかないだろう。


「………お笑いだな」


荘厳ささえ感じ取れる街の名前。それに反して実情は精々途上国の地方都市だ。


「この世の叡智を収斂した学園都市といっても、無から有は作り出せない」


その事実をまさしく物語っているようなこの都市は、文明の退化の象徴だった。


20世紀的な社会システムが再び成熟するのは、きっと一方通行が土の養分になってからになるだろう。


「っ……っと」


歩いている少年を轢きそうになり、右手にハンドルを切る。


荒野で人を見かけるのは珍しくないが、この道の人の多さはやはり異常だ。


仰々しい門を目指す後ろ姿は正しく難民の群れだ。自分もその一部に見られているのだろうか、なんてことを一方通行は考えた。


「……さァて、一体全体どォしましょォかねェ」




☆彼が最初にとる行動は?

自由安価>>183

※あまりにキャラと違う安価は安価下。

kskst

缶コーヒーを探す

>>183

缶コーヒー人気すぎワロリーヌ

投下します。


凱旋門をモチーフに作られた門は、市が作ったモニュメントらしい。今では珍しい「その日」以前の建築物だ。


門は、入口であることを誇示しているただの飾り。ヴェスパのアクセルを緩めつつ、人ごみを縫うように進む。


「………さァて、コーヒーコーヒー」


寒さと飢えは耐えしのげる。


しかし、コーヒーだけは我慢が出来なかった。


今では希少品の缶コーヒーだが、彼はキョロキョロと探すような素振りを全く見せない。


視線は前方に固定し、頭の中を真っ黒(コーヒー的な意味で)に染めながら、アクセルを握り込むのであった。


>>191

一方通行行きつけのコーヒー屋の店長は誰?


※科学サイドで男女問わず

芳川

てか大人死んでるんだっけか
ダメなら佐天さん

>>181


☆佐天さん


となりました。

申し訳有りません。眠気がやばいので今日はこれにて中断。

明日の夜にまた来ます。

ご覧になってくれた方ありがとうございます!
今日はつまんなくてすまぬ。

申し訳有りません。

本日は来れません。急な仕事が入ってました……

楽しみにしていてくれた皆さんすみません。

明日の夕方来ます!

皆さんこんばんは!昨日は来れなくて申し訳ありません!

投下いたします。




ここに来るのは三ヶ月ぶりだろうか?


この都市におけるコーヒーショップとしては大規模な方ではあったが、三ヶ月前よりも客の入りは上だ。


りぃん、という来客の音に誰も気を止めようとしない。落ち着ける店として気に入っていたのが昔のことに感じられた。


カウンター席の中央に腰掛ける。すると、筋骨隆々の大男が呼んでもいないのにやってくる。そいつは、相も変わらずバリスタの衣装に着られていた。


「久しぶりだな。一方通行」


「そンなに長い間来なかったワケでも無ェだろォが」


駒場利徳。かつてスキルアウトの首領をやっていたというこの男は、このコーヒーショップのマスターをしていた。


心境にどんな変化があったのか少し気になるところだったが、詮索するのも面倒なので一方通行は一度も探りを入れたことはなかった。


「いつもの」


「もう入れておいた。お前の単車のエンジンの音は特殊だからな……覚めてはいないぞ?口うるさいお前のことだ。どうせグチグチいうのだろう」


「……っは、流石繁盛店のマスターは違うねェ……」


皮肉めいたものであったが、一方通行が笑顔を見せることは珍しいことだった。


それだけこの男のプロフェッショナルとしての心意気に感服してしまったのだ。これで腕も上々なのだからもはや言うことなどないだろう。


「……っふ」


「……?どォしたンだよ気持ち悪い……オマエの思い出し笑いなンて誰も得しねェぞ」


「……いや、違う。お前の言葉は間違っているぞ一方通行。俺はもうマスターではない」


「あァ?」


「そのままの意味だ。この三ヶ月、やけに客足が増えたと思わんか?」


そう言いながら駒場は、ホールの方角を指さした。


そちらに目を向けると、そこには、かつてのこの店には似つかわしくない光景が広がっていた。


「はいっ!こちらカフェモカ一つにミラノサンドAです!お待たせしました!」


「悪いね嬢ちゃん。ありがと」


「はいはい!こちらエスプレッソとサルサドッグ、そしてこちらがお冷でございます!」


「あ、ありがとうございますっ」


艶やかな長髪を健康的に翻すひとりの少女。年のほどは一方通行より下であろう。


何よりも笑顔が様になっている少女だ。忙しなく動くその姿は、荒んだ世界には存在し得ない何かを持っていた。


「何だありゃ。新入りか?」


「ああそうだ。お前が最後に来た日から一週間ほどか……おかげで客の入りも以前の4倍だ。働きぶりを鑑みれば彼女がマスターのようなものだ」


「……そォかい」


他の要因も存在する。一方通行としてはそう考えたのだが、言葉にせずにしまっておいた。


コイツに面倒なことを言ってまあまあ飲めるコーヒーにお目にかかれなくなるのもシャクだ。




☆言動安価


佐天涙子との初対面時、一方通行は彼女にどんな言葉をかけますか?


※台詞です。


あまりにも場にふさわしくないと判断できる安価は安価下。


>>208

 えらい働きぶりじゃねェか。穣ちゃン
俺は駒場の知り合いだァ



>>208

で行きます。




夜も更け、客も感情を済ませて帰っていく。


客の注文もまばらになり始めた時、彼女は二人の前にやって来た。


「お疲れ様です駒場さん!……あれ?この人は駒場さんのお知り合いですか?」


「……ああ、友人の――」


「一方通行だ。中々エライ働き振りじゃねェか。お嬢ちゃン」


「あっ、ありがとうございます!」


駒場利徳は目を見張った。


えらく機嫌が良かったのだろう。一方通行は、駒場が一度も見たことのないような無邪気な笑みを浮かべたのだ。


怜悧な瞳が崩れ、薄い唇が少し持ち上がる。


神秘的な微笑みに、目の前の彼女はただただ息を呑むしかなかった。


胸のあたりで何かが持ち上がるような感じ。自らが物語のヒロインになったような不思議な感覚を覚え、少女は顔を赤らめた。


「さっ、佐天涙子っていいます!あ、あの……その……」


突拍子もない出来事に出くわし、助けを求めてくる佐天の視線に、駒場も対応に困るしかない。


額に汗を滲ませ、目を泳がせながらセブンスターに火をつける。




「ちったァ落ち着けよ……誰もとって食ったりなンかしねェ」


ふぅ、と軽い溜息をこぼしながら、一方通行は彼女の反応を受け流す。


いつもの彼なら、ぶっきらぼうに吐き捨ててお仕舞いだったのかもしれない。


マイペースで気まぐれな彼の性格が、社交的に振舞うという定義にぴったりはまった瞬間でもあった。


「ま、まぁ……佐天。お前も座れ。洗い物は今日は俺がやっておく」


「え!?……いいんですか?」


「もちろんだ。たまにはゆっくりと休め……ここのところ、お前にばかり苦労をかけているからな」


遠慮がちな声に、駒場は満足げにうなづく。


どうやら佐天は一方通行を気に入ったようだ。こんなことで彼女が喜ぶのなら雑用など喜んでやってみせよう。


「頑張れよ……佐天涙子」


紫煙とともに吐き出された呟きは、店内に響くジャズの音にかき消され、誰の耳にも届くことはなかったのであった。






☆言動安価

えらく機嫌の良い一方通行は、本日非常に社交的です。

さて、彼は佐天にどんな話題を振るのでしょうか?



>>213より下の三つを採用。

あまりにも突拍子、もしくはキャラに合わないと判断できる安価は安価下。

なんでこの店で働こうと思ったか

一応、安価「店の繁盛の理由を聞く」


わかりにくくてすみません。

>>213から>>216で決定。

そして今日はここまでです!
明日の夜来る予定ですが、これなくなったらまたアナウンスします!!

皆さんありがとうございました!!


皆さんこんばんは。

投下します。本日は佐天さんとのぐだぐだとーく。




透き通るように白い目の前の彼は、ひどく不思議な人だった。


「オマエもモノ好きだな。ゴリラみてェなオッサン一人で切り盛りしてるこンな店で汗流しやがって。あのゴリラに脅されでもしたか?」


「ご、ゴリラって!明日から駒場さんのことゴリラとしか見れなくなっちゃうじゃないですか!?」


「呼んでやれよ。喜ぶぞ?あの野郎はとンでもねェ変態野郎だ」


ぶっきらぼうで投げやりな口調は、初対面の人間を遠ざけるには十分なものだろう。


でも、私にはわかった。彼はきっと楽しいのだと。


軽快にカップを叩く指先がそれを物語っているのだ。気づけば私は、彼に物怖じすることなどなくなっていた。


「そうなんですか?私にはそうは見えませんけど……」


「オマエみてェなスタイルのイイ女には反応しねェンだろォな……ったく、業の深い野郎だ」


「っ……そ、それより!コーヒー好きなんですよね!?こだわりとかあるんですか!?」


……ときたま、突拍子もないことを言うから心臓に悪い。


決して、軽口を叩いているわけではないのだろう。……それだから尚更心臓に悪いのだ。



決して、軽口を叩いているわけではないのだろう。


私には、彼が平気で初対面の人間の肩に手を回すような軽薄な人間だとは決して思えなかったし、思いたくなかった。


それでも思ったことは口に出す。きっと彼は正直な人間なのだろう。


正直さの方向性が少し人と違う。恥ずかしいと思うポイントが少しだけ人とずれてるのかなー。


私は、彼の薄くなめらかな唇を眺めながら、そんなことを考える。


「こだわりねェ……まァ、あるっちゃあるな」


「ホントですか!?聞かせてください!今後の参考にしちゃったりするかも」


「……そォだな、まず、豆は―――」


そして、好きなものには一言ある人間でもあるようだった。


怖いようでお茶目なところもあるんだなー。そんなことを思った私はちょっとだけ調子に乗った。


饒舌になった彼ともっと話をしてみたくて。大人っぽく見えても、子供っぽい愛嬌のある彼に並ぶため、ちょっと背伸びをしてみようと思ったのだ。


「……あれー?こんなところにお酒があるみたいですよ?一方通行さん、なにか飲みます?」



駒場さんが夜ひとりで飲んでたりするので割り方自体は知っていた。


無骨なグラスに氷を一つ落とし、琥珀色の液体を注ぐ。


甘いような……苦いような……私には名状し得ない香りが鼻腔をつく。彼は、それを一息であおった。


「………悪くねェ」


「…………」


「……あァ?……どォした。ションベン我慢してるみてェなツラしやがって」


「ちょっ、ちょっと!下品ですよ一方通行さん!」


「あーあーすいませンねェ……で?ンだよそのツラ」


「………私も飲む」


「………は?」


彼の視線を背後に、同じ割り方をしたプラチナを手際良く作る。


ひるんだら終わりだ……絶対私は尻込みする!


「……おい」


「っ!………………っ~~~!!!!!!!!!!!!!!!!」



言葉にならない刺激が、口の中を蹂躙し、胃を熱くする。


こんなの美味しい美味しい言って飲む人ってどうなってるんですか!?


そんな言葉すら出てこない。


涙目になりながら、言葉にできない憤りで体を震わせる私に、彼は一杯の氷水を入れてくれた。


「飲め」


「………ぁい」


カウンターに突っ伏す私を見る彼の目など、到底見れるはずもなかった。







「みんなずるいんですよー!彼氏がなんだ男がなんだってー!」


「………楽しそうじゃねェかよ」


すっかり酔っ払ってしまった私を、バカにする様子もなく、呆れる様子もなく彼は見ていてくれた。


私の友達のことなど興味がないだろう。しかし、私はそんなことをお構いなしに、というより構う余裕なしに吐き出していた。


「この都市は比較的裕福ですからねー。そんな余裕もあるんでしょう」


えへん、と穿ったような発言をしてみる。何も知らないくせに。だけどそれもどうでも良かった。


彼の返してくれる言葉、その一つ一つが待ち遠しくて私は言葉を選んでいたようなものであった。


「オマエも野郎つくりゃァイイじゃねェか。どンな男がタイプなンだ?」


「……そ、そえはですぇー」


ろれつの回らない自分の様子を見て、一方通行さんは私からグラスを遠ざける。


さりげない優しさに胸が熱くなり、とっさに私はこんなことを口走っていた。




☆言動安価


佐天さんの“タイプの男”とは?

>>230


※コンマで一方通行の感情のブレを判定いたします。


00-24 冗談と思い受け流す

25-49 受け止めるがごまかす

50-74 受け止め、赤面するレベル。ヒット!

75-99 受け止め、言葉を失うレベル。クリティカルヒット!!

私のいれたコーヒーをおいしそうに飲んでくれる人、ですかね///




ちょっwww

まさかのクリティカルwww

ちょっと待っててください。




「…………………」


「…………………」


時が止まる。一秒一秒が長い。


私は、今息をしているのだろうか?


目の前に、二歳ほど子供っぽい顔をした一方通行さんが見える。


時計の音が大きい。からん、と氷がグラスを響かせる。古くなった椅子が軋みをあげ、私の心臓の音がそれらをかき消す。


そして、





「……そォかい」


彼は、ただ。そう呟いただけ。


当たり前のことだ。私は、誰がタイプなんて言っていない。


彼が勘違いしてくれるのを望み、勝手な罠を仕掛けただけ。


そんなに人生甘いもんじゃあない。分かっていただけにショックは少ない。うん、チャンスなんていくらでもあるのだ。



「……そっ、そうなんですよーっ!わ、私っ、倉庫のして来ますね!」


それでも、そのままここにいることなんて出来るはずもなかった。


ああ、きっと私は倉庫で一人泣くのだろう。


勝手に期待して、勝手に落ち込む。馬鹿な女の、面倒な女のテンプレートじゃないか。


そんな自分に腹が立ち、ひゅっ、と啜り上げるかのような呼吸が漏れる。


「…………俺は好きだぜ」


呼吸がかった声は良く通る。それは、青天の霹靂がごとく私の鼓膜と胸を揺さぶった。


「…………えっ」


がた、とカウンターの椅子を足で行儀悪く追いやり、彼はマフラーを締めながら何てことない様子で呟く。


かつかつ、とチャッカブーツの底を鳴らしつつ、入口へ。私から遠ざかる彼は、一度も私の目を見なかった。


ドアの金具を引き上げ、店内に寒気が流れ込む。


そして、寒そうにマフラーに顔を埋めたまま、店の入口に肩を預けた。


「……あ、一方通行さん……今、なんて――」


「好きだって言ったンだよ」


こんな時ばかり、大人っぽいのはやめて欲しい。


皮肉めいた笑顔で、紗に構えた態度で。彼は声色は、どう取って良いのか分かりづらい。


やめて、やめてください。私に変な期待をさせないでください!


続きを遮ることなどできるはずがない。拒絶される恐怖を抱きながら、私は、ただただ彼の言葉の続きを待ち構える。


涙が溢れる。顔が熱い。下腹部が熱い。胸が苦しい。







「オマエのコーヒー、俺は好きだぜ?」














彼の背中を眺めめながら、私はその場にへたり込む。


一方通行さんが外に出ても、私はしばらくそうしていたようだ。時計の短針が一回りしたのを私は覚えている。


その晩のことは、それ以上覚えていない。





今日はここまでです!

やばい……余りに一方通行と佐天さんの絡みが妄想しやすくて、
一方通行のジゴロっぷりが怒髪天を付いてる……

ちなみに佐天さんはやられたりしてないですからね!

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