エレン「ドリフターズ?」(1000)

※原作ばりにスローペースで更新予定。
 時系列的にはドリフ側はドワーフ解放前。進撃側は女型編前くらいを想定。
 間違いあったら指摘してくださるとカルタゴが救われる。
 11巻まで未読の方は超絶注意してくだちい。


~ウォール・ローゼ東突出区(カラネス区)・壁外~


信長「どこじゃ、ここは」

豊久「知らぬ。風景が変わった。此処は何処ぞ?」

与一「皆目見当もつきませんなあ」ハッハッハ

オルミーヌ「えッ!? なッ?! ちょッ?! どこです此処ォッ!?」キョロキョロ

シャラ「な、え、え? どこだここ!?」

ハンニバル「おお、カルタゴがほろぶ!! カルタゴがほろんでしまうぞー!!」ブツブツ

ハンニバル「おお、ティベリウス! これだ、これ飲んでみ? シュワシュワしてる水! 腐ってねえよ飲めバカ!」ブツブツ

ハンニバル「それは炭酸水って言ってなー? クソッ垂れローマへの行軍でアルプス越えの途中、ワシが最初に飲んだんじゃよ?」ブツブツ

ハンニバル「ヴェルジェーズってとこでなー! これがなかなかンマイんじゃよ?」ブツブツ

エルフ達「そーなんだー、スゴイネー、じーちゃん」ポカーン


豊久「俺らはどわあふとやらを解放(とき)ん行く途中だった筈じゃ。此処は何処ぞ?」キョロキョロ

与一「急に光に包まれたと思ったら、この場所でしたねー」ハッハッハ

信長「おいどういうこったーッ、オッパイーヌ!!」グワシッ

オルミーヌ「オルミーヌだ!! おっぱいを掴むな!!」フンギャーッ!!

与一「『おくと』と連絡は取れないんですか、オパイーヌさん?」

オルミーヌ「だからオルミーヌだってば!! お師匠さまたちと連絡が取れないんですッ! 水晶球に反応がないッ!!」

信長「あァん?! なんだとーーーッ!?」ムガーッ!!

与一「それをなんとかするのが貴女のお勤めでしょう? なんとかしてくださいよパイオヌーヌさん!!」プンスカ

信長「そーじゃそうじゃ、なんとかしろオッパイ! どうにかしろオッパイ! お前のオッパイは飾りかオッパイ!!」グワシッモミモミモミ

オルミーヌ「アンタ名前覚える気ないだろやっぱり!! だからおっぱいを掴むなッ!! 揉むなッ!!」コノヤロウ!!

エルフA「じいちゃん、木いちごー」

エルフB「そこに生えてたー。おいしい?」

ハンニバル「ウムッ、うまい。ほうびにお主にはイベリア半島の統治を任せよう。あのクソ弟負けくさりおってからに」モグモグ

荒井注とかいかりや長介は当然出てくるんだよな?

ギャー妖怪うなじおいてけだー!

の方だよね?
期待


エルフC「あー、なんか向こうに壁が見えるよ!」

与一「確かに…………おお、随分と長い壁ですなぁ。中華にあったという万里の長城でしょうか」

信長「にしちゃデカすぎるだろ………ひ、ふ、みよ………三十間近く(約50m)はあるぞ?」

豊久「―――――行ってみっが」スタスタ

信長「ちょっ、おまっ………待て、お豊! おるての城壁かなんかだったらどうする!?」

豊久「壁ばよじ登って、首ィ掻き取ればよか」


信長(うわー………やっぱコイツ馬鹿なんだぁー)


与一「まぁまぁ、ここで立ち止まっていても仕方ありませんし、ここはあの壁に向か…………おや? 後ろからこちらに誰か向かって来てますぞ」


 ズシーン、ズシーン、ズシーン


信長「こちらに手を振っておるように見えるな」

シャラ「オルテではないのかもしれませんね。おぉーい」フリフリ


与一「―――――! 待って下さい。なにやら縮尺がおかしい」

信長「はァ?」


 ズシーン、ズシーン、ズシーン


信長「デカッ!? なにあれ、デカッ!!?」ギャボーッ!?

豊久「のう、しゃら。お前(おまあ)の世界には、斯様にデカい『だいだらぼっち』ばおるのか?」

シャラ「いるわけないでしょ!? 何あれ、何あれ!? こ、こっち向かってきますよ!?」


巨人「ギャオーーーーーッ」ドシンドシンドシン


豊久「ならば、あんだいだらぼっちは敵か。面白か…………あんだけどデカか首級、掻き取りがいがありそうじゃ」ズラァアアッ

信長「エルフどもは荷馬車引いて壁に向かって退避しろーーーッ!! 与一は豊久を援護じゃ!!」

与一「ぷっ、あっはっは、了解了解」ギュパッ

信長「オイ、オルミーオッパイ! おまえもあの石壁の符札で援護じゃ!!」

オルミーヌ「なんでこうなるのぉおおおおおおおっ!?」

ジュマンジの人?

壁付近にも普段から巨人数体いなかったっけ


巨人「アンギャーーーッ!!」ズシンズシンズシン


豊久「ほんにデカいのう! あれじゃ首まで刀ば届かぬな」カンシン

オルミーヌ「どっ、どどどどーするんですっ!?」アワワワ

豊久「おるみぬ、あん男女ん時と同じじゃ! 俺を撃ち出せ! あそこまで押し上げちくれ!!」タタタッ

オルミーヌ「むちゃくちゃだ!! ああもお! どうなっても知りませんよッ!!」ヒュパッ


 ズギャッ!!


豊久「ぬ、お、お、お、お、おっ!!!」ギュバッ!!


巨人「グオオオオッ!!」ブンッ

信長「!! 与一! 今じゃ!!」

与一「両目いただき!!」ギュパパッ


 ヒュオッ、ドスドスッ


巨人「ギャアアアアアアアッ!?」ジタバタ


 ゾンッ!!


巨人「」ドズーン……

豊久「ッ、と………」スタッ

豊久「はン………他愛なか」ニイッ

信長「あーやれやれ、ビビッたー…………ッ!? お、おい、豊久ッ!! まだだっ!!」


豊久「!?」ギョッ


巨人「アー………」パキパキパキッ


オルミーヌ「なっ………さ、再生しているっ!?」ギョッ

豊久「ぬ、折角落とした首も蒸発しとるな」ショボン

オルミーヌ「あんたどんだけ首欲しいんですかッ!?」

与一「ッ………どんな化生か。あの武蔵坊モドキとも違う。これも『えんず』とやらですか、オルミーヌ殿」

オルミーヌ「わ、分かりません! とっ、とにかく逃げましょう!!」

信長「荷馬車乗れ! 早く! 早く!!! だいだらぼっちどもが、あっちこっちから来とるぞ!!」


 パカラッパカラッパカラッ
 ガタンゴトン、ガタンゴトッ


シャラ「あいつら、射かけても射かけても再生する!」ギュパッギュパッ

豊久「どうするんじゃ、のう、信(ノブ)」

エルフC「うひゃああああっ!! ねえ、どうするの!? どうするのさノブさん!」ギュパッギュパッ

信長「俺が聞きたいわそんなモン!! 『えるふ』やら『どわあふ』やらだけでも夢想じみたモンだっつーのによう!!」

信長「とにかく、あの壁の一部に門らしきものが見える! 呼びかけて、なんとかして開けて貰う!」

信長「こっちにゃ火薬はある!! 最悪、こいつであの門を打ち破るしかないのう!!」

オルミーヌ「う、打ち破れなかったら?」

信長「そのときゃお陀仏だニャー」アツモリオドリマクリ

オルミーヌ「いやあああああああああああ!!」


豊久「おるみぬ、お前の妖術(あやかし)で、俺らを荷馬車ごと壁ば上に持ち上げることはできるか?」

オルミーヌ「流石に無理ですっ! あの壁、どう見ても高すぎますッ!! 石壁が持ちませんッ!!」

与一「むう、まずいですねえ。目を潰してるうちはこっちを追ってこれないようですが、矢には限りもある」ギュパギュパッ

オルミーヌ「うわああ、このままじゃジリ貧だ………」

ハンニバル「なにあれ、でかい。あれほしい、ローマ滅ぼせる」スゴイ

エルフA「そだねー、でっかいねー、じーちゃん」デケエ

エルフB「木いちごまだあるよ、たべる?」スッ

ハンニバル「苦しゅうない苦しゅうない」ヨシヨシ

シャラ「あの門が素直に開くことを祈るしかないのか………」ギュパギュパッ


豊久「!! おい、見ろ、信」

信長「ああ?! こんどはなんじゃ…………!!」

豊久「壁ば上に、人ば立っとる」



リヴァイ「―――――なんだ、あいつら………なぜ壁の外にいる?」


ハンジ「しかもあのような大所帯で………どういうことなの?」

ミケ「巨人に追われているようだな………」クンクン

エルヴィン「見過ごすわけにもいくまい。リヴァイ、彼らを救え。門まで誘導しろ――――門を開けるタイミングは煙弾で知らせてくれ」

リヴァイ「………分かった。ハンジ、ミケ、てめえらの班は馬に乗ってから壁外に出た後、荷馬車を門まで誘導しろ」

ハンジ「了解!」バッ

ミケ「了解した」バッ

リヴァイ「エルド、グンタ、オルオ、ペトラ、てめえらは俺について来い。巨人を引き付けるぞ」

エルド「はっ!」バッ

グンタ「了解!」バッ

オルオ「了解しました!」バッ

ペトラ「お供します!」

エレン「!? ちょ、待ってください、俺は!?」

リヴァイ「おまえはここで待機だ。いいな?」バシュッ

エレン「ッ…………了解です」ショボーン



 ゴゴゴゴゴッ………ズズン


エルヴィン「開門!!」

リヴァイ「続け!!」ヒヒーンッ


 ハッ!!

 パカラッパカラッパカラッ………


リヴァイ「各班、指示通りだ。あの連中を誘導しろ!」


 ハッ!!


リヴァイ「リヴァイ班は抜剣だ。巨人を足止めしつつ、撤退するぞ」


 リョウカイッ!!



……
………

ss速報の方に既に有る。が面白ければそれでよし

>>15 多分、豊久「首置いてけぇ!!巨人ッ!!」って奴でしょうか。

 今読んだ………まだないと思ったから書き始めたので、超絶ヘコんでます。

 考えてた巨人のブッ殺し方についても、かなりかぶってて気分は本能寺の変。

 黒色火薬(たまぐすり)あるのに、少佐の射撃並に当たらん大砲しか使い道がないとか、正直頭イカれてるとしか思えなかったんです。

 地雷っつー発想はなかったけど。

 なんにしてもユルユル書いていきます。

ジュマンジ書いてた人か
期待してる

つーか既にあったんだな

ドリフターズものは一つでも多い方がいい
よくやった>>1百万年無税


 パカラッパカラッ……


豊久「む。何人か近づいて来おるの」

信長「見たところ敵じゃあなさそうじゃが………おるての者ならば、えるふを見られるのは拙いのう」チラッ

与一「いざとなれば、私が………」シュパッ


 パカラッパカラッ………


ハンジ「おぉーーーい!! 君たち、こっちに!! このまま門に向かうよ………って!?」ギョッ

シャラ「???」キョトン

ハンジ「何その耳ぃいいいいっ! クッソ長い!! 初めてみたッ! ねえ何それ!! 付けてんの!? 自前!?」キラキラキラキラ

シャラ「えっ、ええええっ!? こ、これはその、自前ですけど………」オロオロ

ハンジ「自前だってええええっ!? キャアアアアアッ、よく見たら他にも耳が長い子がいっぱいぃいいいいっ!」ウヒョオオオオオッ!?

ハンジ「ねぇ!? 耳触っていいぃぃぃ!? ねえ!? いいよねぇ?! いいんでしょっ!? 触るだけだからっ!!」ハァハァハァハァ


シャラ「ひいいいいっ!?」ゾゾゾゾッ


 ハァハァ、ネェ、イイデショ、チョットダケダカラァン……
 ヤメテー!! ノブサン、タスケテ、タスケテッ!! タスケ……


信長「うん、俺の勘違いだったわ。こいつの反応からして、えるふを知らんようじゃ」

豊久「ほうか」

信長「しかし…………」チラッ

与一「ん?」


信長(ヤツらの着物を見たか? すべて統一されているが、おるてのそれとも違う………よう分からん)ヒソヒソ

与一(私もわかりませんなぁ。あの腰に付けたのは武器か何かでしょうか? オッパイヌ殿、心当たりは?)ヒソヒソ

オルミーヌ(さっきオルミーヌって呼んでくれたのにわざとか!! 私も知らない。あんなの見たことないです)ヒソヒソ

信長(何にせよ分からんことだらけだ。油断せずに行くぞ)ヒソヒソ

与一(分かりました。情報はできるだけ小出しで行きましょうね)ヒソヒソ


ミケ「いい加減にしろハンジ。君らがなんなのかについては後で問いただすとして………状況がそれを許さない。今は門へ向かいたい」

信長「あー、救援感謝する。けどよ、あのだいだらぼっちども、まだこっちを追いかけて来てるぞ?」

ミケ「問題ない―――――今、巨人殺しのスペシャリストが、足止めに向かってる」


信長「すぺしゃりすととな?」

ミケ「ああ、彼らだ」チラッ


 パカラッパカラッパカラッ


リヴァイ「…………ペトラは左方、エルド、グンタはそれぞれ右方の巨人の足を狙え」

 ハッ!!

リヴァイ「オルオ、おまえは左を削げ。俺は右の2体をやる」

オルオ「了解!!」

リヴァイ「行け!!!」


 ハッ!! バシュッ!!

 ギュオンッ!! バシュゥウウウウウウンッ!!


豊久「!!」

信長(な、なんじゃ、ありゃあ…………宙を、宙を、飛んでおる!?)

与一(わあ、すげい。誰も彼も八艘跳びしてるー。イヤなこと思い出しちゃうなー、撃ち落としたいなー)ウフフ


ペトラ「ハッ!!」シュバッ

エルド「ッシィッ!!」ブンッ

グンタ「オラアッ!!」ビュオッ


 ザシュシュッ!!


リヴァイ「体勢が崩れた! 行くぞ、オルオ」バシュッ

オルオ「はっ!!」バシュッ


 バシュウゥウウッ!!


リヴァイ「くたばれ」ギュルギュルギュルッ!!

オルオ「死ね、クソ巨人」ビュオッ


 ザッバァァアアアアッ!!
 ザシュウッ!!


信長(足の腱を狙って倒した後、後頭部………いや、うなじか! うなじを斬り飛ばした!)


巨人「」シュウウウウウッ


信長(!! だいだらぼっちが蒸気を上げて消えていく………なるほどのう、うなじが急所か)チラッ

信長(し、しかし、あの腰に付けたからくり…………宙を飛べるのか。それもあれほどまでに素早く!)ゾクゾクッ

信長(鉄砲を装備させた兵士に、内外から攻め立てられれば、一溜りもない。城壁など無意味になるではないか)ブルブル


信長「こ、こ、こ、これほしい~~~~~!! なんとしても欲しい~~~~~~~!!!」ニタァ

ハンニバル「何アレ欲しい。あれくれ。ちょっとローマ滅ぼしてくる」


豊久(何やらまたあくどいことを考えてておるな)ヒソヒソ

与一(時々ああなっちゃうんですよねぇ。そっとしておいてあげましょう)ヒソヒソ


ミケ「それで、よろしいか? 我々についてきてもらいたいのだが」

豊久「ん」コクリ

与一「忝し(かたじけなし)。行きましょう」


信長(さて、鬼が出るか蛇が出るか…………)クククク

※本日はここらへんでしゅーりょー。

 割と短くまとめるつもりです。大体これで1/4くらい。

 ついカッとなって書いていますが、まったりだらだら終わらせます。

 あとご指摘の通り>>1はジュマンジ書いてます。


ジュマンジ本編ラストのような熱い展開を期待してていいんだよな?

エレンと豊久は、結構似てる感じがある。エレンの成長を手助けしてくれそう。乙。

「ハンニバル 炭酸水」でググッたら、あのじーさんガチで炭酸水飲んでたんだな
後のペリエである

乙!
期待してる

乙です









期待

信長とエルヴィンが組んだらクーデターを起こして政権奪取しそう。

支援

しえん

ネットで拾った妖怪うなじ置いてけ
http://i.imgur.com/BElL3R7.jpg

支援

※さぱっと短めに投下します。亀投下です


………
……



~ウォール・ローゼ東突出区(カラネス区)~


 ザワザワ………


ジャン「なんだ? 門の方が騒がしいが………まさか」

コニー「まじかよ………壁外調査を控えてるってのに、また超大型巨人か!?」

ミカサ「大通りに出れば、門の様子が分かるかも」

アルミン「とにかく、行ってみよう。何が起こってるか確認しなきゃ」

ライナー「俺たちも行ってみるか、ベルトルト」

ベルトルト「うん」

サシャ「ああっ、置いていかないでください! 私も行きます!!」

クリスタ「ユミルも行かない?」

ユミル「めんどくせぇなぁ………」


 ザワザワ……


アルミン「調査兵団………と、誰だ? 後ろからついてきているけど、見える、ミカサ?」ピョンピョン

ミカサ「アルミン。見えないなら肩車をするが………」

アルミン「その気遣いは余計だようっ! 誰が来てるか確認してくれない!? 調査兵団しか来てないなら、住民がこんなに騒いでるのは変だ!」

ミカサ「ん…………遠目に、すこし見える。荷馬車と、馬に乗っている人が何人か………ッ!?」

アルミン「えっ、どうしたのミカサ?」

ジャン「ッ!? お、おい、ミカサ! あれって………おまえと同じ………!!」

ユミル「こいつは………たまげたな」


 民草のざわめきも無理のないことだった。

 彼らを古城へと案内する先導の調査兵団を含め、何よりも人々の目を引いたのは、彼らの風貌だった。

 彼らが身にまとっている見たこともない服装もそうだが、何よりも驚くべきは、その顔立ちや特徴にあった。


ミカサ「!! わ、私と…………い、いえ、お母さんと同じ顔立ちの人がいる………!?」

アルミン「!? あ、あの人の顔立ち…………まさか、ミカサと同じ、東洋人なのか!!?」


ジャン「お、おい。それだけじゃねえ。黒髪の連中とは別に、なんか耳が長いのがいないか?」

コニー「さ、さすがに飾りとかだろ? そうだよな?」

クリスタ「そ、それよりあの人たちって壁外から………壁の外にも文化圏があったの?!」

ユミル(まさか………!?)

ライナー(あの連中も巨人か?)

ベルトルト(分からない。だけど、アニにも連絡する必要がありそうだね)


ミカサ「誰か、近づいてくる」

アルミン「! あの人は、確か調査兵団分隊長の………」


 パカラッパカラッ


ハンジ「いたいた! ミカサ! ちょっと君も来てくれないかい?」

ミカサ「貴方は確か、ハンジ分隊長。理由をお尋ねしてもよろしいでしょうか」

ハンジ「これから、エルヴィンやリヴァイを含めた軍の上層部を集めて、査問委員会を開く」

アルミン「それは、急な話ですね。またエレンの時のように、ザックレー総統も?」


ハンジ「いや、とりあえずは調査兵団のメンツだけで、軽い事情聴取を行うよ。それ次第になる」

ハンジ「気づいたと思うけど、彼らのリーダー格はどうやら東洋人らしい。君なら何か知ってるんじゃないかって思ってね。ぜひ同席して欲しいんだ」

ミカサ「………子供の頃に母から少し東洋の話を聞かされた程度ですが、それでよいなら」

ハンジ「充分さ。それに―――――彼らは恐ろしく強い。戦っているところを実際に見たわけじゃあないが、立体機動装置もなしにあの巨人たちから逃げ切っただけでも脅威だ」


アルミン「!?(そ、そういえばあの人たち、立体機動装置を付けてない………)」


ハンジ「いざという時のために、君が必要だ」

ミカサ「! 危険な連中なんですか?」

ハンジ「可能性はある。彼らの積荷の中には大量の火薬があった」

ミカサ「…………古城には、エレンもいるの?」

ハンジ「ああ。エレンの幼馴染で、凡庸な兵士百名分の戦闘能力を誇るという、君に頼みたい」


ミカサ「行きます。もしあいつらが暴れ出しても、エレンには指一本触れさせない!!」


アルミン「あの、ハンジ分隊長! その、僕も、僕も連れて行ってくれませんか!!」

ハンジ「うん? ああ、君も確かエレンの幼馴染で、名前はアルミンだったかな?」

アルミン「はい!」


ハンジ(座学において非凡な才能を見せると言う評価だったかな………それに、トロスト区防衛戦で、戦術指揮にも関わったとか)


ハンジ「分かった。君もぜひ同席してくれ」

アルミン「は、はい! ありがとうございます!!」バッ


ジャン「オ、オレも―――――!!(ミカサが行くならオレだって)」


ハンジ「君はいらない」


ジャン「」


……
………


………
……



 ガタンゴトンッ、ガタンゴトンッ……


豊久「…………見られちょるな」

信長「あぁ。俺らやえるふ共の見た目が物珍しいってのもあるんだろうが、どうにもそれだけじゃあなさそうだ」

与一「好奇心が大半。しかし微かな怯えや、警戒心………敵意に似たものも感じます」

豊久「よう分かるのう」

与一「弓手ですから。エルフ達も動揺してますよ」

信長「…………おまえら、そう固くなるな。ハイ笑ってー。俺の見たところ、ヤツらおるてってワケじゃなさそーだ」

シャラ「は、はぁ………」

豊久「安心せい、しゃら。こん城邑からは、戦の匂いがせん。民草のほとんどが誰も彼も戦働きなど知らぬ存ぜぬとでもいいたげな顔ばしとる」

シャラ「え?」


豊久「こん壁ばなかで生きてきおった奴らぞ。体つきや顔ば見れば分かる。ここん民草めらは、兵子ではない」


豊久「あの『きょじん』ちうだいだらぼっちを相手にだけ戦ばやってきたんじゃろう。ばってん、人と人との戦ん経験ば、恐らくはなかろう」


信長(―――! そこまで見ておったか。やはりこやつ、戦の申し子か)


豊久「内に這入った以上、攻め落とすとなれば、たやすかことぞ」ニィイッ


信長「(ちょっと感心したらこれかおまえというヤツは………)やめて。マジでやめて」


信長「少なくとも『今はまだ』な―――――」ニィイイイッ


与一(あ、すごく悪い顔してる)

オルミーヌ(これからあたし達、どうなっちゃうのぉおお……)

ハンニバル「木いちご、んまい」モチャモチャ

エルフA「いっぱい取って来たからまだまだあるよー」

エルフB「たくさん食べてねー」



……
………

※というところで今日は終わりです。ゆったりまったりだらだら投下していきます。


ドリフターズ珍しいし、期待

しえん

良作の予感

期待しています


………
……


 調査兵団のエルヴィンの指示のもと、豊久達はエレンが寝起きをしていた古城の地下へと案内された。

 およそ二百名を数えるエルフ達の大半は、古城の中庭で待機している。

 地下に同伴したエルフは、彼らの取りまとめ役であるシャラと、ハンニバルの世話役であるシャラの弟二人だけであった。

 かくして長机を挟んで彼らは対峙し、今まさに査問会が開かれようとしていた。


エルヴィン「初めまして。どうか楽にしてほしい。まず自己紹介と行こう………私は調査兵団13代団長、エルヴィン・スミスだ」

リヴァイ「…………同じく、兵士長のリヴァイだ」

ハンジ「ハンジ・ゾエ。分隊長を務めているよ」

ミケ「ミケ・ザカリアス、分隊長だ」

ミカサ「…………(本当に、こいつらは脅威なのだろうか。どうにもそういったものを感じない)」

アルミン「…………(この人たち、間近で見ると、本当にミカサにそっくりだ。やっぱり東洋人なんだろうか)」


 眼前に居並ぶは調査兵団の班長以下、その他十数名の団員。

 エルヴィン、リヴァイ、ハンジ、ミケらは豊久らに相対するように席に腰掛け、分隊長以下の団員は彼らの背後に直立して並んでいた。


信長「ほれ、お豊。お前から言え」ヒソヒソ

豊久「なんで俺が? お前から言えばよかろう」

信長「フツーこういうのは大将が先に言うもんだって言ったろうが」

与一「それにまた真ん中座ってるじゃないですか」

豊久「…………忘れちょった」

与一「あーやっぱり」

信長「お前は本当に残念な子じゃのう。とりあえず、奴らの肝を潰してやるぐらいのつもりで名乗ってやれ」

豊久「お前こそ、ほんに嫌な奴じゃのう」

信長「うっせー、早く言え。こういう場じゃビビッた方が負けなんだよ」

豊久「おう、わかっちょる」

リヴァイ「オイ。何をごちゃごちゃと――――――ッ!!」

エルヴィン「ッ!!」


 内輪話をする豊久たちに苛立ったリヴァイが文句の一つでも言おうとした時、豊久がゆっくりと立ち上がる。

 どこか緩い空気が漂っていた彼らの雰囲気の変化に、リヴァイとエルヴィンの警戒が高まった。


 豊久は立ち上がると、獣の如き双眸で、調査兵団員たち全員の顔を見据え、



豊久「豊久じゃ! 島津 内務少輔 豊久! 島津家久が子じゃ!」



 腕を組み、一喝するような大声で、名乗りを上げた。

 居並ぶ敵兵の中にひっ飛び、何十何百もの首を掻き獲ってきた戦国武将の眼光に、多くの者が豊久から目を逸らす。

 豊久にとってはただの名乗りに過ぎない。されど彼の壮絶な光を宿した双眸には、直視しがたき迫力があった。

 いわゆる『殺意』と呼ばれるものである。


ミカサ(…………!!)

アルミン(あ、あれ? な、なんだ、これ。震えが、止まらない………巨人に逢った時みたいだ。なんだ、このひと。怖い。怖い!!)


 皮膚が粟立つような殺意の波濤にさらされ、ミカサやアルミン、若手の調査兵団員が、思わず身を固くする。

 壁外調査における巨人の脅威と戦い続けてきた調査兵団の胆力を以てしても、冷たい汗が背筋を伝うほどの強烈さであった。


信長「俺は信長。織田 前右府 信長である」


 続いて口元を笑みに歪めて立ち上がるは、戦国三英雄が一人、第六天魔王・織田信長。

 指先の差配一つで、女子供を含めた何万もの民の虐殺を命じてきた魔王の威圧は健在であった。

 隻眼は煮詰まった墨汁の如きどろどろとした輝きが、妖しげにとぐろを巻いている。


エルヴィン「ッ………!」

リヴァイ「…………!!」


 抜き身の刃のようであった豊久の直接的な殺意よりも、エルヴィンやリヴァイは、信長の円熟した威圧こそを脅威に思った。

 壮年の皺の一つ一つに、殺された人々の怨嗟までもが籠っているようにも見えた。



与一「私は与一。――――那須 資隆 与一で御座います」


 女と見紛うほどに整った顔立ちをしたポニーテールの少年の柔和なあいさつに、一同は僅かに安堵する。

 しかし、数名は気づいた。その美しい顔に浮かんだ笑みとは裏腹に、弓手の冷徹な眼光が黒髪の奥で輝いている。


エルド(これは、また………怖いな。この少年は)

グンタ(キレイな顔して、なんておっかねえ目つきしてやがんだ、このガキ………)

オルオ(ふざけんなバカ野郎………オレが、恐怖を感じてるってのか!? なんなんだよこいつ……!!)

ペトラ(ッ………嫌だ。怖い。ここにいたくない……!!)


 心臓を射抜くような、妖艶な殺意に、エルドやオルオ、グンタ、ペトラといった精鋭は、足の震えを止められずにいた。


リヴァイ(こいつら…………人を、殺してるな。それも相当な数を。数えきれんほどの数を。厄介だ、実に厄介な奴らだ)

ミカサ(…………強い。とてつもなく強い。こいつらは、とてもおそろしい)

エルヴィン(誰も彼も一筋縄ではいかん。舐めてはかかれぬ相手のようだな………まるで『こちらはそちらを警戒している。ふざけたマネをしたら殺す』と、そう言われているかのようだ)


 名乗りが終わると、三名はすぐさま腰を下ろし、殺気を霧散させる。

 途端、ガタンと音を立てて、アルミンが膝をついた。


ミカサ「! アルミン!!」

アルミン「あ、ご、ごめん。なんだか、力が抜けて………」

ミカサ「…………ッ、おまえら」


 アルミンに心的な負担を掛けさせたことが気に入らなかったのか、ミカサが鋭い目つきで豊久を睨み付ける。

 その眼光に対し、豊久は負けじと睨み返し、



豊久「貴様(きさん)らは兵子者(へごもん)と言うたが…………何故おなごがおる? 何故おなごを戦わせる」



 豊久の空気を読まぬ発言に、再び空気が凍りついた。

 ミカサ、ペトラといった女性団員は目を丸くし、すぐに目つきを厳しくする。


豊久「女(おなご)は家で飯(まま)でも炊いておれ。去ね。帰って紅でんつけい」


 女性蔑視とも取られる豊久の言葉は、兵士として心臓を捧げる覚悟を持った彼女らにとって、尊厳を土足で踏み荒らすが如き所業だった。


ペトラ「…………貴方に、何が分かるというの?」

豊久「知らぬ。去ね。よか男(にせ)ば捕まえて、嫁女(よめじょ)として務めい。丈夫な子ば産み、よか兵子に育てる。それが女ん役目じゃ」

信長「…………やめい、お豊。こっちにゃこっちの流儀ってもんがあろうが」

豊久「そがいな法度は皆目知らん。聞いたこともなか! 女子供ば戦場ん駆り出すは鬼畜の所業ぞ」

信長「うわーいマジでこいつ空気読まねえー」


 信長が頭を抱えたその時、ミカサが前に出た。今にも襲い掛からん物騒な目つきで、豊久を睨み付け、


ミカサ「………それを言うなら、そちらにも女性はいる」

与一「そうですよ、豊久殿。オルミーヌ殿だってそうでしょう? そこの・………ええっと」

ミカサ「――――私はミカサ。ミカサ・アッカーマン」

与一「御丁寧にどうも。みかさ殿にも、何らかの理由があるのでは?」


ミカサ「………出来ることなら、私だって戦いたくない。戦わずに済むならば、戦わない方がいいに決まっている」

豊久「ぬ…………ほうか。おい、みかさとやら。主は、何故戦う? 何故、戦場ん出る」

ミカサ「今が、戦うべき時だからだ! 男も女も、ありはしない! 人類全体が戦わなければ、生き延びられない!」

豊久「―――――ぬ」


 震える手を握りしめ、ミカサは高らかに吼えた。

 その程度の威で臆する豊久ではなかったが、


ミカサ「私は家族を失った。全て失った! もう私にはエレンとアルミンしかいない! 守りたいものの傍にいて、何が悪い!!」

ミカサ「私は強い! すごく強い! 私には戦う術がある………だから私は戦う! エレンとアルミンを守る!!」

ミカサ「私だけじゃない! ここにいるみんなには、戦う理由がある! その理由のために、命を捨てる覚悟がある!!」


豊久「!!」


 その言葉は琴線に触れるものがあったのだろう。豊久は目を見開いて驚いた様子を見せた。


豊久「それがお前の法度か。兵子者に、男(おのこ)も女(おなご)もありゃせんか」

ミカサ「…………」

豊久「好き勝手に言うて悪かったのう。確か………えれん、あるみん、ちゅうたか? そやつを守れればええのう」ニカッ

ミカサ「…………!! うん、守る!!」コクリ


 あっさりと険を解いて笑みさえ見せた豊久に、ミカサも頷き、握りしめた拳から力を抜いた。


豊久「お前のようなよか女性(おごじょ)に好かれっどぉは、男冥利に尽きるのう………えれんと、あるみんとやらは、果報者じゃな」

ミカサ「…………/////(この人はいい人かもしれない)」


アルミン(なんだかむず痒いような、くやしいような………/////)

与一(上手い。この人、おなごの扱い方もなかなかだ)

豊久(そういや奥にも久しゅう会っておらんち………佐土原で元気にやっておるかのう)

信長(初心いのー。吉乃に逢うた頃を思い出すニャー)


エルヴィン「んんっ…………話が逸れたな。色々と質問したいことがあるのだが………」

豊久「おう。何でん聞けい。こちらも聞きたいことば山ほどある」

エルヴィン「まず、その後ろに控えている方々は? 君たちとは違う人種のようだが?」

オルミーヌ「あ、私は」

信長「オッパイーヌだ。もしくはオシリーヌと呼ぶが良い」

オルミーヌ「違う! あたしの尻を揉むな!!!」

アルミン(お、おっぱいって………////)カァアッ

オルミーヌ「(あ、可愛い子)………オ、オホン! お、オルミーヌです!」

シャラ「お、俺はシャラといいます。外で待機してもらっているエルフたちの、一応取りまとめ役みたいなものです」

ハンニバル「カルタゴー、カルタゴー」

エルヴィン「カルタゴ? と言うのか? そちらのご老人は?」

信長「知らん。会った時からボケてて名前が聞きだせん。木いちごじーちゃんだ」


エルヴィン「(木いちごじーちゃん………)そ、そうか。それと………その、気を悪くしないでほしいのだが」

ハンジ「うん。そちらのシャラって人。エルフって何?」

信長「なんじゃ、えるふを知らんのか?」

ハンジ「うーん、寡聞にして耳にしたことがないよ」


信長(ふーん………とぼけてる訳じゃあなさそうだ。やはりここは『おるて』ではないらしいな)

ハンジ(彼らの耳………どことなく、巨人化した時のエレンに似ている。偶然か?)


エルヴィン「まぁ、それは後にしよう――――自己紹介も済んだところで、本題に入ろうか」

エルヴィン「君たちはどこから来た? どうやって巨人たちから逃げ延びた? 主に聞きたいのは、この二点だ」

信長「うーむ…………ま、そうだろうな。とりあえず、オルミー乳(ニュウ)よ。お前が説明しろ」ヒソヒソ

オルミーヌ「(もう突っ込む気さえ起きない)………あ、あたしがですか?」

信長「どーにも、ここは『おるて』ではなさそうだ。あの世界のことにも詳しかったお前の見解も聞きたい」

オルミーヌ「は、はぁ。そういうことでしたら…………オホン。それでは、我々がどこから来たか、と言うご質問に対してですが………」


……
………


………
……



エルヴィン「…………にわかには信じがたい話だ」

リヴァイ「漂流者(ドリフターズ)………異なる世界からやってきた、異なる時代に生きた人物だと?」

ハンジ「分からないな………その、オルテ帝国? っていうのと戦っていた筈の貴方たちが、どうしてここに?」

オルミーヌ「は、はいッ! あたしは、十月機関(オクト)の構成員で導師をやってますので、ドリフではありませんが……」

オルミーヌ「ここに来られた経緯は、あたしたちも良く分かっていません。ドワーフ達を解放するために、廃城から出たところで、急に光に包まれて、気づいたらここの壁の外にいたという次第で………」

豊久「うむ。皆目見当がつかん」

信長「胸を張って言うことか!! 実際マジでヤバいんだぞ俺ら」


アルミン(…………作り話にしては、出来過ぎている。嘘をつくなら、もっとましな嘘をつくと思うけど………)


モブ「し、失礼します」ガチャ

エルヴィン「! 聞きだせたか?」

モブ「は、はい。外にいる、その、エルフ達にも同じことを聞きましたが、みな口をそろえて同じことばかり………」


エルヴィン「…………つまり、君たち漂流者(ドリフ)はこの世界の人物ではない、と? 別の世界からやってきたのだと?」

信長「今やえるふどもも同じみたいだがニャー。お前らの世界に『えるふ』ってのがいないのならば、そうなんだろうよ」

オルミーヌ「一応聞きたいんですが、ドワーフもいないんですか? 亜人種は? 竜とかは?」

エルヴィン「………いない。そんな話は聞いたこともないし、我々は多少頭髪や肌の色に差異があるだけで、極端に耳が長かったり、背が低かったりすることはない」

オルミーヌ「異世界確定じゃないですかー!! やだーーーーーっ!!!」


リヴァイ「イヤ…………まだ俺はおまえらの話を信じたわけじゃない。お前らは、ここに来た時、巨人に追われていたな? あの馬車の速度では、追いつかれていた筈だ。巨人からどうやって逃げ延びた」

豊久「おう、与一が矢で目ン玉ァ潰した隙に、俺(おい)が首ば斬り落としてくれたわ」

与一「いやあ、お陰様で矢が尽きました」ハハハ

豊久「纏めて首ば落とそうと思うたが、信長が止めよるから」

信長「あんな化けモン相手にまともにやってられるかッつーの!! ふざけんなバーカ!! 逃げるが勝ちじゃあんなモン!!」ギャース


リヴァイ(首を、落とした………? 立体機動装置もないくせにか? フカシか?)

アルミン(ッ………動き回る巨人の目に、正確に矢を射かけただって!? どんな弓の腕をしてれば、そんな芸当ができる!?)


信長「うわー、あからさまに信じてねえってツラしてやがるな」

豊久「次は俺から質問じゃ。斬っても斬ってもすぐに元通りばなる。あの『だいだらぼっち』は一体何者ぞ? この世界ば、どうなっちょる? あんなデカか壁は見たこともなか!」

エルヴィン「分かった………話そう。ハンジ、頼む」

ハンジ「分かった。まず、我々の国の歴史を、巨人の発生から、ここ数年の情勢まで追うとだね………」



……
………


………
……



信長「…………つまり、なんだ。この土地はぐるりと四方を三つの壁で区切られてて、その外にはあの巨人らがワンサカおるから出られんと?」

ハンジ「そう、だね。君たちがどうやってここまで…………ウォール・ローゼまで来れたのか、我々は疑問に思っている」

信長「? ちょいと待て。おい、ここは『ろーぜ』っつったな? ここは先程話しておった『まりあ』ではないのか?」

エルヴィン「そうだ。ここはウォール・ローゼの東部突出区・カラネス区だ」

信長「巨人とやらがおったぞ?」

エルヴィン「そうだな」

信長「なして?」

エルヴィン「五年前に、ウォール・マリアが破られたからだ。あの壁すら上回る体長を誇る、超大型巨人によって」

信長「……………成程、そういうわけか」

エルヴィン「御察しの通りだろうが、率直に言おう。我々は君たちを疑っている…………先日、巨人になれる人類が発見されたためだ」

豊久「ここんこつ、『きょじん』ちうモンに変身できる奴が出てきおったとな?」

与一「つまり、我々を『きょじん』ではないかと、疑っていると」


エルヴィン「………そういうことになる。異世界論などより、君たちが巨人であるとした方が、我々にとっては現実味がある」

エルヴィン「君たちも『そう』なのではないかと、我々は思っている………壁外には巨人になれる文化圏が存在し、巨人化の技術を持ってこの壁内に侵攻しているのではないか、と」

信長「つまりは、証を立てよと? 俺らが『きょじん』ではなく、別の浮世から来たということの、証を立てよと?」

エルヴィン「可能であるならば」

信長「――――で、あるか」


信長(フン、生意気な小僧じゃ………王政府とやらのふざけた政策に、巨人の謎、壁の秘密………うつけではないかと思うところがあるが)

信長(―――――成程。ここは統一された日ノ本じゃ。鎖国という愚かな選択を取った場合の、日ノ本の未来じゃ)

信長(今の状況は、さながら元寇か。それも四方八方から、隙間なく押し寄せてきおる。壁によって守られ、土地の拡張はなく、ただ『そこにあるもの』のみで生き続けてきた連中にとっては、辛かろう)

信長(………しかも、この体制が百余年も続いていると来た。そりゃあ施政者側とて搾取する。保身に走る。己の身を守ろうとするわ)

信長(ここからは逃げる場所がない。反感を買われ、追い詰められれば終わりよ。だから伏せる。中央集権を成し、地方からは税を搾取する。壁があるならなおさらじゃ。いくらでも隠せよう)

信長(謀叛を唆すか? いや、それは機会があれば、後でも良かろう―――――よし)ニィイイッ


信長「おい、おいパイオツーヌ!」

オルミーヌ「…………へ? あたし?」

信長「ホレ、なんか怪しげーな術を使えるんだろ、おまえ。証として、見せたれ」


オルミーヌ「えええええ!? 大師匠さまならともかく、あたしは石壁しか出せないんですよぉ!」

信長「出せばよかろうが」

オルミーヌ「無理です、ここ地下だし。崩れたらどうするの」

信長「なんと役に立たんオッパイだ………もう揉んでやらぬぞ」

オルミーヌ「揉まんでいい!! あの、外に出させてもらえるなら、お見せできるんですけど」

エルヴィン「すまないが、それは無理だ。君たちが巨人という疑いが消えない以上、外で巨人化されては困る」

信長「オイオイ、俺らが巨人なら壁ん中に入れた時点でそうなっても不思議じゃねえじゃねーか」

エルヴィン「油断を誘っているだけかもしれない。巨人化について、我々もそう多くのことについては理解していないのだ」

信長「うーむ」

エルヴィン「頭が固いと言われるかもしれんが、それは最終手段としたい。出来れば、ここで証を立てて貰いたい」


オルミーヌ「…………あのう、外に出るのがあたしたちじゃなければいいんですか?」


エルヴィン「? 言ってることの意味が分からないが………まぁ、そうだ」

オルミーヌ「でしたらそこのメガネの人! どことなく親近感がわくメガネの人!」

ハンジ「へぁ? 私?」

元寇とは上手い例えだな
しかも全方位で上陸も許しちゃってるし
実際詰んでるよな


ハンジ「へぁ? 私?」

オルミーヌ「はい、この水晶球持ってください」

ハンジ「なにこれ?」

オルミーヌ「部屋の外へ出て、この水晶に向かって話しかけてみてください」

ハンジ「………えっと、それに何の意味が?」

オルミーヌ「それはですね………あ、お耳を拝借」

ハンジ「ふんふん……………まじで?」

オルミーヌ「まじです」

ハンジ「………ま、まぁ。物は試しだね。一応地上にまで出てみるよ」

リヴァイ「おい、クソメガネ。何をするつもりだ」

ハンジ「んー、もしホントなら、すごく面白いことさ」

エルヴィン「………分かった。許可しよう」

ハンジ「そいじゃ、ちょっくら行ってくるね!」ダッ

オルミーヌ「あっ!! くれぐれも落として壊したりしないで下さいよ!」


信長「おい、オルパイヌ、何をするつもりじゃ?」ヒソヒソ

オルミーヌ「すぐに分かりますよ」

エルヴィン「何をするつもりなんだ?」

オルミーヌ「この水晶球に注目してください」コトッ


ハンジ『まったくもー、おーい、おーい、聞こえるー?』


ミカサ「ッ!? す、水晶が、喋った!?」

アルミン「こ、この声、ハンジ分隊長の声だ!!」


ハンジ『まぁそりゃ聞こえないよねー』


エルヴィン「!? す、水晶玉から、声が………!? ハンジ! ハンジ! 私だ、エルヴィンだ! 聞こえるか!!」

ハンジ『う、うわあああっ?! エルヴィンの声が!?』

エルヴィン「!? ハンジ、今どこにいる!!」

ハンジ『地上だよ! 凄い、マジで声聞こえる!! スッゲ! マジでスッゲエこれ!!』


信長「は? オイ、なんだこれオルミーオッパイ。俺も聞いてねえぞ、こんなモン」ヒソヒソ

豊久「こりゃまた面白か妖術(あやかし)じゃあ」


信長(こ、これが各武将隊に行き渡りゃあ………)

エルヴィン(これを各分隊長………いや、出来ることなら、各班単位に持たせることができるなら………)

信長(伝令いらねえじゃん。戦況の僅かな変化ですら容易に把握できる)

エルヴィン(信煙弾が不要になる。しかもより正確な伝令で、即時対応が可能だ)

信長(狼煙は敵に位置を教えちまう欠点がある。太鼓の音なんかも敵に判読されちまったら無意味。だが――――)

エルヴィン(―――これにはそうした心配がない。隠密にも使える。そもそも、第三者に知られずに、連絡が可能となる………)

信長(視界最悪の夜だろーが、屋内だろうが関係ねえ)

エルヴィン(視界最悪の巨大樹の森だろうと、夜間の戦闘だろうと問題ない)


信長「…………」

エルヴィン「…………」



信長・エルヴィン(これ欲しい)


信長「あー…………ゴホン。フハハハハーーー! どうじゃ! これで証となろうが!! お前らこんなん持ってねーだろ!」


リヴァイ(うぜえ)イラッ


エルヴィン「そう、だな…………君たちが諜報であるならば、こんな壁外の勢力と通信できる技術を堂々と公開したりはすまい」

ハンジ『そうだねー。内通者とかだったら、こんなのがあるって知られたら困るよね』


エルヴィン(何よりも、壁内の内通者がこんな連絡手段を持ち得ているならば、今頃壁内は巨人によって滅ぼされているだろう)


エルヴィン「他にも聞きたいことが山ほどあるが…………もう日も落ちた。今日のところは解散としよう。また後日、話を聞きたい」

リヴァイ「他の調査兵団員の詰所に案内しよう。着いて来い………」

豊久「そういや、昼時から飯(まま)ば食っちょらん」グゥー

信長「ハラ減ったな、そういや」グゥーッ

与一「そうですねー」キュルル



……
………


………
……



~カラネス区・調査兵団詰所~


信長「はァ!? なんじゃあこの料理は!! うっす! 味うっす! 京都か!? 京都かここは! ナメてんのか!」

信長「これを作ったものを此処に呼べ!! 打ち首にしてくれようぞ!!」ムキーーーッ!!

料理人「ひぃっ?! ご、ごめんなさいですの、ごめんなさいですのぉ!!」

信長「冗談だバカ、本気にすんな。あーまずいまずい」ホジホジ

料理人「こ、この………」プルプル

コニー「まぁ、なんにしてもまずいよなー(しかしなんだこのおっちゃん。すげーうるせえ)」


料理人「」ガフッ


信長「ってか、実際なんじゃこのメシ! 味もそっけもねえ!! 乱丸ー! 味噌じゃ、味噌を持てーーい!! ハイいないよミャー、知ってまーす!!」

信長「又介ー! 加州味噌持って参じて来い! 味噌送って来いー! 前右府はここにいるぞーーー!! 棺ん中は空っぽじゃーーー! 早う持って来ーーい!!」シギャーーーッ

コニー「うるせえな!! いい加減にだまってくえよ!!」イラッ

信長「ウルセーのはテメーだボケ、イガグリみたいな頭ァしおって。それで傾いとるつもりかハゲネズミ?」

コニー「うるせーーー!! ハゲじゃねえ、坊主だ!!」

信長「ハイハイ坊主坊主。よかろう、今日からおまえは新たなハゲネズミだ。あるいはサル。以後は第六天魔王様と呼べ」

コニー(このジジィムカつく!!!)イラッ


信長「あーーーーー焼き味噌くいてえーーーーーっ!!!」


クリスタ「おじいちゃん、夕飯おいしい?」

ハンニバル「ウムッ、うまい。ほうびにお前にはガリアをくれてやろう」

アルミン「がりあ?」キョトン


ハンニバル「カルタゴがほろぶ! カルタゴがほろんでしまうぞー!」


アルミン(…………そういえば、ボケちゃってるって言ってたっけ)


与一「味噌か醤(ひしお)があるといいんですけど、ないんですか?」

アルミン「ミソ? ヒシオって何? 調味料か何か?」

与一「んと、簡単に言えば塩漬けですねー。大豆とかを発酵させて作ったヤツです。大豆3石から醤1石5斗が得られます」

クリスタ「うーん、残念だけど聞いたことも無いです」

与一「味わい深くてオイシーですよー」フフフ

アルミン「うーん、倉庫の酵母で再現できないかなー。食べてみたいなぁ」ワクワク

クリスタ「作り方が分かるなら、やってみたいね!」ニコニコ


アルミン「あっ、そうだ! ねぇ、ヨイチさん。異世界の話、もっと聞かせてよ! 『海』の話とか聞きたい!」

クリスタ「私も! 聞きたい聞きたい!」

与一「はっはっは、いいですともいいですとも。あれは私の君主であるヨシツネって人がですね、いきなり水夫射てとか抜かした時の話です。壇ノ浦っていう海で――――」

アルミン「わぁあ………」キラキラキラ

クリスタ「すごい………」キラキラキラ



ユミル(天使が三人………)

ライナー(性別ってなんだっけ………)

ジャン(あのヨイチって奴、女じゃねえのかマジで? 男なの? 嘘だろ? もう何も信じられん)

ベルトルト(笑顔でおっかない話してるなぁ………)

サシャ(パァンおいしい)ムグムグ


ユミル「しかし、なんだな………美人だな、アイツ」

ライナー「ああ。認めたくないが………クリスタに勝るとも劣らん女神だ………男なのが残念すぎる」

ジャン「綺麗な黒髪だ………女だったらマジで天使なのに、ああもったいない」

与一「何言ってんのかわかんないんですけどね? 僕は那須十一人兄弟の末弟だけど、僕は一族の中で一番ブサイクだ」パッ


全員「ウソォオオオオオオオオオオオッ!?」エエエエエエッ!?


与一「メガミとかテンシとかよくわかんないんですけど、そのぐらいになってから言うべき。あと口開く前と後に源氏バンザイとつけろ」ギュパッ

アルミン「絶対ウソだ、ゲンジバンザイ」

クリスタ「よく分からないけどすごいねゲンジバンザイ」


サシャ(スープおいしい………パァンを浸して食べると、なおおいしい………)モグモグ


豊久「この『ぱん』とかいう飯(まま)はまずいのう………スッカスカして味もへったくれもありゃんせん」モグモグ

エレン「しょうがねえだろ………今はどこも食糧難なんだ」

豊久「ん? お前は何者ぞ?」

エレン「ああ、まだ自己紹介してなかったっけか。俺はエレン。エレン・イェーガーだ」

豊久「ほぅ、主(ぬし)がみかさが言うとった『えれん』か」ジーッ

エレン「ミカサから聞いてたのか? 俺のこと」

豊久「うむ。お主ば守りたい言うちょった」

エレン「ッ…………あいつ、まだそんなこと」

豊久「おなごに守られるんは、悔しかか?」

エレン「…………ッ、ハッキリ言ってくれるな。トヨヒサっつったか?」


豊久「応。島津豊久じゃ。恥ずかしか思うならば、強うなることじゃ」

エレン「簡単に言ってくれるな…………しっかし、ミカサはまだそんなこと言ってたのか」

ミカサ「呼んだ? エレン」

エレン「うわっ!?!」

豊久「おお、みかさか。先ほどは悪かったの」

ミカサ「大丈夫。もう気にしていない。それよりも、異世界の話が聞きたい」

エレン「ッ、そうだ! 異世界から来たって、聞いたけどよ………ホントなのか?」

豊久「知らぬ」

エレン「は? い、いや、知らぬって………」

豊久「俺には難しいことは、よう分からん。とうようじんなんて言葉も知らぬ。いせかいとやらも知らぬ」


エレン(バカなのか?)

ミカサ(バカなの?)


豊久「こん壁ん中の者が、何を考えておるのかが、いっとう良く分からん。こん壁ん中の国のことも、どうして民草めらは壁ん中ち引きこもっちょるのか………てんで分からん」

エレン「ッ、それは………」

豊久「まるで、畜生じゃ。家畜の如き生き様じゃ。恥ずかしくはないのか、祖先に。子孫に」

エレン「―――――!!」


ミカサ(!! 昔、エレンが言ったことと、同じことを………)


豊久「みかさは言うちょった。守りたいものがあると」

豊久「戦う理由があると。その理由のために、命を捨てる覚悟があると」

ミカサ「…………」

豊久「えれん、お前も兵子じゃろう? お前は何故戦う? 何のために戦う」


 いつの間にか、食堂は静まり返っていた。

 誰もが、エレンと豊久の問答に耳を傾けている。

 そんな中、エレンは周囲の様子に一切気づいた様子も無く、ただ真っ直ぐに豊久を見据え、


エレン「……………俺が戦う理由は、一つだ。難しいことじゃねえ」


豊久「それは、何ぞ」

エレン「――――巨人が憎いからだ。俺の母さんを、俺の目の前で殺した。その報いは必ず受けさせてやる。必ずだ」

エレン「生まれ育った故郷を奪った。こんな屈辱はねえ………!!」

豊久「………ほうか」

エレン「まだ子供で、力がなかった俺はその時………何もできなかった」

エレン「それが理由だ。俺が戦う理由だ。巨人を殺す。絶対に殺し尽くす」ギッ

エレン「人類は決して負けない。たとえ最後の一人になろうともだ。諦めなければ、負けじゃない」

豊久「お前が死んでもか」


 豊久がエレンを見据える瞳に力を籠める。

 先ほど地下会議室で放った殺意と同等同質のものであったが、



エレン「ッ―――――死ぬもんか! 俺は死なない! 夢をかなえるまでは絶対に死なん!!」



 エレンは、豊久から視線を逸らすことなく、言い切った。


豊久「…………人は死ぬ。さくりと死ぬもんじゃ。それでもお前は征くのじゃな」

エレン「ああ、そうだ! こんな壁内で家畜のように暮らすのはまっぴらだ。俺は外の世界に出る! 巨人を、一匹残らず駆逐してな!!」

豊久「―――――」


 答えを聞き終わった時、豊久の顔に浮かんでいたのは、満面の笑みだった。


豊久「………良か! 良か目(まなこ)ばしちょる。主ゃ男じゃ、えれん! 薩摩隼人じゃ!」パンパン

エレン「わっぷ!? た、叩くなよ!? 痛いだろ!?」プンスカ

豊久「死ば畏れんのは、良か男(にせ)じゃ。やはり、兵子者(へごもん)は何処でんおるのじゃな」バシンバシン

エレン「痛い! すげえ痛い! 馬鹿力で叩くな!! やめろ!!」

豊久「みかさ、お主が守るち言うた理由ば、よう分かった。確かに、お主が守らんち、こやつはさぱっと死ぬるぞ」

ミカサ「え、エレンは強い。だから大丈夫。私も守る! だから、エレンは生きる!」

エレン「ミカサ! 俺はお前に守られなくっても大丈夫だっての!!」フンガーッ!!

豊久「うむ。仲のよか夫婦じゃのう」

エレン「ッ、め、夫婦って………ち、違うぞ! 俺とミカサは、そんなんじゃねえからな!」

ミカサ「…………わ、私とエレンは、その、家族………////」カァアッ


豊久「ぬ? 家族ならば、夫婦ではなかか」

エレン「い、いや、だからそういうのじゃなくて………ミ、ミカサ、おまえが顔真っ赤にしてるから、そんな誤解されんだぞ!?」

ミカサ「え、エレンこそ、顔が赤い………」

エレン「そ、そんなことねえよ………////」ドキドキ

ミカサ「ある………////」ドキドキ



ジャン「…………あーのーやーろーうー」ギリギリギリギリ

与一(いやー、若いですなぁ)

ライナー(…………やはり、俺とおまえらは、戦うしかないか)

ベルトルト(気の毒ではあるけれど………エレン。次の壁外遠征の時が、人類の最後だ。君を捕えて、僕たちは故郷に帰る)



……
………

※今日はここでおしまいです。かなりグダッた気がする。

 次は壁外遠征。信長が本領発揮予定。エグイ。

 後、漫画原作読んでていろいろ突っ込みどころがあったところを、妄想ぶっぱ。

 ゆるゆる書いていきます。では。

豊久かっこえー。乙。

乙乙!!!
次もジュマンジも楽しみにしてます

支援

ドリフターズ今日読んだけど、面白いなあれ
女型と対峙する時の豊久はどんな反応するんかね

支援

支援

………
……


~翌日~
~カラネス区・訓練場~


 バシュッ、バシュウウウウッ!!


ミカサ「違う。もっと、下半身を意識して」

豊久「ふむ、なかなか難しいものじゃな………『がす』ちうもんで動くからくりか。すごいモンじゃのう。人ば宙へと軽々と運ばす」

ミカサ「難しいとは言っても、初日で使えている。貴方は凄く筋がいい」

豊久「む? ほうか?」チラッ


ジャン「ちょ、こら!! 教えてんのに、オレより先に行くやつがいるか!! もっと速度おとせ、ヨイチ!!」

与一「ほらほら、ジャン殿! 遅れてますぞーーーーー! イャッフーーーーー!!」

ジャン「てめえマジで立体機動は今日が初めてなのか!?(東洋人ってのはどいつもこいつもどこかおかしいのか!?)」


豊久「………与一ん方が上手くつかっとる」

ミカサ「アレは例外すぎる。いきなりあのチビレベルで立体機動装置を使いこなすだなんて………」

なんか始まってた


豊久「ちびっちゅうと、あの『りばい』とかいう、良か面魂ばした小男か」

ミカサ「うん。認めたくないが、あのチビは凄い」

エレン「お、おい。あんまりチビチビ言うなよ………失礼だぞ、お前ら」

豊久「やる奴じゃとは思ったがのう。みかさ、お主にそこまで言わせる男か。戦場でん共に戦う日が楽しみじゃな」

エレン「ッ! おしゃべりはここまでにしとけ!」

豊久「ぬ? アレが的か」

ミカサ「前方に目標確認。腰のブレードを抜いて、うなじを狙って削いで」

豊久「ッチィィイイイイイエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!」ヒュオッ



 ザシュッ!!!


ミカサ「!!! 深い………」

エレン「す、すげえ!(ミカサやアニ並だぞ、あいつ………!!)」


豊久「地に足ばつかん。踏ん張りが効かん」

エレン「はぁ!? アレで不満なのかよ!?」

ミカサ「…………!!(あれで満足しない。つまりはより高みを目指しているということ。見習わなくては)」

豊久「こいでは斬れん」

エレン「いや、めっさ切れてるから!! 丸々うなじ削げてるじゃねえか!」

ジャン(あの斬撃の深さで納得がいかねえのかよ…………こええ。異世界人類こええ)

与一「んー、私はあんまりこっちは向いてないみたいですねえ」

ジャン(こいつは斬撃自体はまぁ、並か…………なんかちょっと安心した)


豊久「こうか? こう…………こうか!!」バシュッ

ミカサ「――――!」


 豊久の立体機動に変化が出たのを、ミカサは見抜いた。

 横回転を加え、より遠心力を増した刀法。

 一撃に全力を込めた、タイ捨流の応用だった。


豊久「ッシィイイイイイイイイッ!!!」ブォンッ


 ズバンッ!!


豊久「――――よか!!」ニィイッ

コニー「うお、お………サシャの肉厚骨太の腹ぐらいの太さの木を、ぶった斬ったぞあいつ……」

サシャ「す、凄い! あんなに深い斬撃、ミカサやアニよりも………って!? 誰が極太ウエストですか!! こんなにほっそりした女の子捕まえて!!」ムッキィー!!

コニー「だっておまえあれだけ食ってるんだから、おなかぽよんぽよんなんだろ?」

サシャ「勝手に想像しないでください! これでも同期の女子たち皆からは、スラッとしてキレイとか言われるんですからね!!」

コニー(あれだけ食べたメシはどこにいったんだー、とかも言われてんじゃねえの?)


ライナー(……!!! や、やはり、強い! 俺の腹回りと同じ太さほどもある生木を、なんなく真っ二つにしやがった………)

ベルトルト(しかも、あれだけの大技でブレードはなまくらになってない……刃筋を立てて、刃に負担を掛けない斬り方をしているんだ)

ライナー(凄まじいな。あれじゃ削ぎ落とさなくても、うなじごと首を刎ね飛ばされかねんぞ)

リヴァイ「!! 成程、口だけじゃなさそうだ………立体機動の特性をあっという間に掴むとは」

信長「先祖代々、由緒正しい戦闘民族らしーからなー」

信長「あやつの国(超ド田舎)じゃあ、『退却』と書いて『前進突撃』と読むらしいぞ」マジデ

ハンジ「マジで!?」

リヴァイ「使いづらい!! 突撃命令出したら突撃して、退却しても突撃か!!」ドウシロト

信長「ガンバンナサイネー」

リヴァイ「てめえ、ノブ!!」ムガーーーッ

信長(金柑頭さえ裏切らなんだら、あやつの親兄弟らと俺が戦っていたやも知れんっちゅーのが怖いもんじゃ)

信長(だが光秀、テメーは許さん死ね)イラッ


アルミン「わー、ミカサといい、あのトヨヒサって人といい、東洋人ってのはみんな規格外なのかなぁ」スゴイ

クリスタ「とんでもないねぇ」ホワァ

与一「ハイハーイ、こっちにも注目ー」ギュパッ

アルミン「え? ヨイチさん?」

クリスタ「弓なんて構えて、何を………」


 与一は立体機動を駆使しながらも、器用にも弓に矢を番え、瞬きのうちに二矢を放つ。

 虚空に二条の線を描いて疾駆した後、それらの矢は寸分たがわずそれぞれが巨人の模型の、両眼球部へと突き刺さった。

 これが実戦ならば、一瞬にして巨人の視力を奪っていることだろう。
 

与一「…………」クルリ、ニコッ

アルミン「す、すごい! あんな高速で立体機動を行いながら、矢を命中させるなんて」パチパチ

クリスタ「わぁ………すごく綺麗」パチパチ


与一「」ニコリ

 ギュパッ、ドスッ

与一「」ニコリ

 ギュパッ、ドスッ

与一「」ニコリ


 ギュパギュパギュパッ、ドスドスドスッ


アルミン「わー!? 分かりましたすいませんもういいです、なんかよく分かりませんがすいません!!」ヒィーッ

クリスタ「分かりました、凄いのは分かりましたから、もうそれ以上模型に矢を撃ち込まないでッ!! 壊れちゃう!!」イヤーッ


リヴァイ「あのヨイチとかいうのも、とんでもねえ弓の腕前だ。五十メートル先の目標に百発百中か」

信長「あの程度の距離、与一なら当然じゃ。お主らは知らんだろうが、那須与一といえば、源平時代で当代随一の弓の名手」

リヴァイ「ほう………最大射程はどれほどのものだ?」

信長「40間(約70メートル)以上も距離の離れた、北風吹きすさぶ舟の上から扇を射抜いたほどじゃ(伝承ではな)」

リヴァイ「なるほど………だが、巨人との戦いで、その技量をどう生かすつもりだ?」


信長「いくらでもやりようはあるさ。目ン玉射抜きゃ支援にもなるし、その気になりゃブチ殺すこともできる」

リヴァイ「弓矢でか?」

信長「おおよ。まだ秘密だがな…………お主には思いつかぬというだけのこと」ククク

リヴァイ「言ってくれるな………勝算は?」

信長「昨夜、会議場で話した通りよ。百度機会があれば、百度勝つ。そういう手段よ。聞く限りでは、犠牲は避けられんだろうがな」

リヴァイ「ああ。有用な手立てだとは思う。意外な盲点だった」

信長「つーか思いつくやつがいねえ方がヤバくね?」

リヴァイ「…………」

ハンジ「耳が痛い………」



信長「まあ良いわ。こちらも、『帰る手立て』が見つかったからのう。利害の一致という奴じゃ」




……
………

※短いですが、今夜はここまで。

 続きは多分近日中に。

乙。

ミカサと豊久のくだり好き

もう一週間だったぞぉ

まあゆっくり待つさ

ドリフSSを書く>>1にはヒラコーの遅筆の呪いがかかるのさ

近日中=半年以内

きっとこうや

ドリフSS書くやつは皆ヒラコーかよ!
あっちのSSもこっちのSSも同じペースとか、呪いみたいだな

誰か呪いという拘束制御術式を開放できる方はおらんのか

※拘束制御術式、第3号・第2号・第1号、開放。

 状況A「クロムウェル」発動による承認認識。

 シガンシナ区到達までの間、能力使用。

 限定使用開始。

 では教育してやろう。

 ”本当の巨人”の闘争というものを。



 遅れてごめんなさい。


………
……


~前夜~
~カラネス区・調査兵団詰所・会議室~


 半日ほど時は遡る。夕食を取った後、信長たちは調査兵団の会議に参加する運びとなった。

 議題の内容は、翌々週に控えた壁外遠征の打ち合わせである。


豊久「俺らは余所者に過ぎんぞ。何故、俺らがその軍議ば出るのか」


 訝しむ豊久に対し、『巨人』に関してはエキスパートと言える調査兵団の実情などを知ってもらいたいとエルヴィンはのたまったが、そこには当然裏がある。

 エルヴィンからすれば、彼らは未だに得体のしれない連中であることは確かであったが、荷馬車で巨人の追撃から逃げ延びたその手腕は見逃せない。エルヴィンには、彼らという『戦力』が非常に魅力的に映っていた。

 日中に行った話し合いでも、エルヴィンは豊久らに強者だけが持ちうる独特の雰囲気を感じ取っていた。

 聞けば彼らが率いているエルフ達も、誰もが弓の名手であり、巨人の眼球を正確に射抜くほどに卓越しているという。

 それを聞いてしまえば、人員の損耗が激しく、万年人手と予算に困窮する調査兵団である。

 「どうにかして彼らを仲間に引き入れることはできないだろうか?」

 エルヴィンがそう考えるのも無理のないことだった。


 エルヴィンにとって懸念があるとすれば、それは織田信長という人物に他ならない。

 島津豊久の、まるで抜き身の刃の如き凄絶な存在感の影で暗躍する、『老獪』といって差し支えないその智謀は脅威であった。

 エルヴィンは、豊久を頭目とする彼ら『ドリフターズ』が、その実、織田信長という男が策謀の支柱となっていることを見抜いていた。


エルヴィン(彼らにとっては未知の怪物たる巨人………その特異性にいち早く気づき、有効な戦術を持って対処し、撤退した………なるほど、脅威だ)

エルヴィン(しかし、味方に引き入れればこれほど信頼できるものはない)


 その彼を味方に率いることができれば、その利益は計り知れないものとなる。


エルヴィン(彼らを味方に引き入れるために、少しでも彼らの要求を知りたい。利害のすり合わせを行いたい)


 もしそれが不可能であれ、巨人を相手に渡り合った彼らの戦術ノウハウを、なんとしてでも手に入れたいという狙いがあった。

 信長からすれば、エルヴィンらにそんな思惑があるのは分かりきったことであったが、


信長(………ま、いいだろ。こちらとしても現状は手詰まりじゃ)


 それ以上に、信長は己たちが置かれている状況が、かなり拙い部類に入ることを理解していた。


 巨人の脅威にさらされた人類。

 全方位を壁に囲まれた鳥籠の中。

 逃げる場所などどこにもない。

 この場がどこなのかすら分からぬ。

 何よりも信長が拙いと感じているのは、この壁内の国家の在り方そのものであった。


信長(聞けば王政だというではないか。そこに群がる諸侯に、特権をむさぼる憲兵団。聞けば聞くほど終わっておる)

信長(百年の安寧が、文字通り壁ごと崩されたにも拘らず、軍備の増強も行わぬ。民草らは調査兵団を年貢泥棒扱い)

信長(この認識は拙い)

信長(それに、人類の敵であるという『巨人』とかいうものの正体すらハッキリわからんとは………)

信長(俺たちはそんな国家の中にポンと放り込まれた形になる。これが最も拙い)


 ここがオルテの占領した地であれば、捨て置かれたことだろう。

 しかし、ここではそうはいかない。土地が限られ、食糧価格が高騰し、民はまともな食事すらとれていない。

 夕食の内容を見るだけで、信長にはそれとわかっていた。


 生きるためには食う必要がある。

 あの廃城であれば、野に跳ねる兎を狩るなどして凌げばよかったのだろうが、ここではそうもいかない。

 信長は実際のところ、ここでの立ち振る舞いをどうすべきか、決めかねていた。


信長(異世界から来たやも知れん、ということは伏せておいた方が良かったか。行き場がないことが分かっては、足元を見られるやもしれぬ)


 傍目には自信満々ではあるが、内心で苦虫を噛み潰す信長である。

 さて、どうすべきか――――。

 テーブル越しに座して向かい合うエルヴィンと信長は、互いの出方を窺っていた。

 そんな時のことだった。


???『おい、聞こえるか。聞こえるか』


 霧の向こうから響くような声に、会議室内の者の視線が、ある人物へと集中する。


オルミーヌ「ふ、ふえ?」


 正しくは、その人物のオッパイであった。


 その声は、彼女の胸元から聞こえたのだった。


信長「オイ、オルミー乳(ニュウ)。お主のオッパイ喋るのか」

オルミーヌ「え?」

豊久「ほうか。すごか乳しとるんじゃのう。その乳も妖術か何かか」

オルミーヌ「ちがう!? あ、あたし何も言ってないです!!」

与一「ははあ、成程。ただのいやらしく肥大化した脂肪の塊ではなかったのですね」

オルミーヌ「違うっつってんだろ!!」


 声を荒げるオルミーヌに、ハンジがはっとした表情でつぶやく。


ハンジ「ひょっとして、昼間見せて貰ったアレじゃない? ホラ、水晶の」

オルミーヌ「ッ!? は、ハンジさん? 水晶球は、返してもらいましたよね?」

ハンジ「え、うん。あれ? 君のお仲間からの連絡じゃないの、これ?」

オルミーヌ「だっ、大師匠さま!? お師匠様ですかっ!?」


晴明『ああ、ようやく繋がった。今どこにいるんだ、オルミーヌ。豊久殿や信長殿もそちらにいるのか』


信長「ッ!! その声………おお、はるあきか!!」

晴明『〝せいめい〟と呼んでいただけると………さておき信長殿、御無事で何より』


 破顔して声を上げる信長に、やや憔悴した男の声が返す。

 彼の者こそ、大陰陽師、安倍晴明(あべの せいめい)である。


信長「この水晶玉と通じるってことは、ここはどこか別の大陸か何かか?」

晴明『別の大陸ですと? どういうことです?』

信長「ああ、それがだな………あー、すまん、そこのズラ。少し時間貰うぞ」


エルヴィン「」


リヴァイ(…………エルヴィン。やはりその髪型は無理がある)



……
………


………
……



信長「というわけでな」

晴明『…………成程、道理で』

信長「何か分かるか? やはりここは『おるて』とは違う大陸なのか? 巨人だとか訳が分からんものばかりじゃ」

晴明『いえ。恐らく、異世界で間違いないでしょう』

信長「…………どういうことじゃ?」

晴明『異世界…………道理で、流れが異なる訳だ』

信長「流れ? なんじゃ、分かるように言えい」

晴明『どうにもこちらとそちらでは時間の流れが大幅に異なるようでして』

信長「何?」

晴明『至極簡潔に言えば、私は今物凄く早口で喋っていると言えばおわかりになるだろうか』

信長「あー、つまりなんだ? こっちは物凄く時間の流れが速くて、そっちは遅い、と」

晴明『そういうことになりますね。おおよそ十倍は異なるものと。オルミーヌからの通信がノイズに聞こえたほどです』


信長「………少し、ゆっくりしゃべった方がいいか?」

晴明『こちらで調整してはいますが、できればそうしていただけると』

信長「しかし十倍、か。つまりこちらで十日が経過しても、そちらでは一日しか経っておらぬというわけか」

晴明『理解が早くて助かります、信長殿』

豊久「…………そげなこつはどうでもよか。おい、おんみょう寺の坊主」

晴明『晴明です………』

豊久「俺らはどわあふらを解放(とき)に行く。そのために廃城ば出た。どうすればそちらに帰れる」

晴明『恐らく、諸兄らがいる世界と、こちらの世界は、どこかで通じています。その裂け目から、次元の狭間へと呑まれたのでしょう』

豊久「日ノ本の言葉で喋れ」

晴明『』

信長「ちょっと黙ってなさい、お豊。して、晴明。帰る手立てはあるのか」

晴明『その通じている場………そうですね、『座標』とでも言いましょうか。その座標に辿り着けば、、私の術でこちらの世界へと誘引することも、恐らく可能かと』


与一「その『座標』とやらが、この世界の何処にあるかはわかりますか?」

晴明『え、ええ。それはなんとか。そちらに地図はありますか?』

信長「ッ! おいズラー、地図よこせ、地図!」

エルヴィン「」

ハンニバル「それと、きいちごー、きいちごー」

信長「それと木いちごだ。はようせい、ズラ」

エルヴィン「……………はい」

信長「用意したぞー」

晴明『では………諸兄らの術式の発信場から逆算するに、恐らくはそこから南西に――――といったところです』

信長「ふむ…………む? ここは」

ハンジ「え…………こ、ここって!!」


 晴明が告げた座標の位置は、地図上においておよそ信じがたい場所を示していた。


信長「…………晴明。ここで間違いないんじゃな?」

晴明『はい。間違いありません。そちらに辿り着き次第、こちらに通信を入れていただければ、すぐにでも』


信長「残念ながら、ここに辿り着くにゃあ、かなり時間が要る。そうさな――――また追って報告する」

晴明『は? そ、それはどういう――――』


 そういうと、信長は握りしめていた水晶玉をオルミーヌへと投げ、再度エルヴィンに向き直る。


信長「おい、若ハゲ」

エルヴィン「エルヴィンだ」

信長「じゃあハゲヴィン」

エルヴィン「」


 絶句するエルヴィンに対し、信長は天井に向かって人差し指を立て、


信長「交換条件だ。お主ら、俺らの助けが要るんじゃろ? だったら――――」


 指先をついと、地図の一点に向かって振り下ろした。



信長「ちっとおまえらを『ここ』まで辿り着かせてやるから、成功したらその立体機動装置とやら、くれよ」



エルヴィン「―――――!」

リヴァイ「…………!!」



 その『座標』は、今や巨人に占領された、『シガンシナ区』を指していた―――――。




……
………


………
……



~現在~
~カラネス区・訓練場~


信長「偶然にしては出来過ぎておるが………俺らが目指す場所も、お前らが取り戻したい場所も同じだったという訳だ」

リヴァイ「フン………確かにな。それで、例のヤツの準備は滞りないか?」

信長「問題があるとすればそれじゃな。数が数だからのう」

リヴァイ「こちらからいくらか人材を差し向けてもいいが」

信長「その言葉を待っておったぞ………ええと、こちらの名前は読みにくくていかんな。すまんが『はんじ』よ、こいつとこいつをオルミーニュウのところに貸してくれい」

ハンジ「うん? この二人だけでいいの?」

信長「ウム。なんでもはるあきが言うには、こういったものには適正というものがあるらしくてな」

ハンジ「了解したよ。それじゃあ、早速向かわせるね」

信長「頼むぞ。なにぶん数が要るからのう。あのオッパイだけでは心許ない」


ハンジ「ふふふ、そうだねえ。何せエルフ達を合わせたら、何千枚と用意しなきゃだもんね………それじゃ、行ってくるよ」

リヴァイ「ああ」

信長「頼んだぞ」


 どこか嬉しそうに駆け去っていくハンジの背を見送ると、リヴァイが信長を横目に見ながら告げる。


リヴァイ「…………正直、昨夜に見せて貰った時は目を疑ったがな」

信長「あん?」

リヴァイ「『アレ』をアッサリ立体機動装置に組み合わせて使おうとするお前も、あの木いちごジジィの発想にも、心底驚かされた」

信長「ふん………で、あるか。こちらからも聞きたいが、お主らは『アレ』を使いこなせるか?」

リヴァイ「問題ない。着けて発射すれば発動するというなら、誰もが上手くやるだろう」

信長「で、あるか。ならば重畳。えるふたちも、あの立体機動装置を使いこなせればよいが、そちらはどうだ?」

リヴァイ「そちらも問題ない。むしろ、並の兵に比べりゃ、誰もが水準を上回るレベルだ。空間把握能力、動体視力、特にアンカーの発射点の見切りに無駄がない。全員が弓の名手というのも頷ける」

リヴァイ「恐らく、後一週間もあれば誰もが使いこなすだろう」


信長「結構。えるふ全員分の馬の手配は? これが一番の問題だと思ってるんじゃが」

リヴァイ「エルヴィンがなりふり構わず手を尽くしている。遅くとも、遠征日までには準備できるだろうが、エルヴィンの毛根はストレスで全滅だろうな」

信長「益々以て重畳じゃな。ざまあ、ズラ頭ざまあ」


リヴァイ(何かエルヴィンに恨みでもあるのかコイツ………)

信長(あの若ハゲの耳が、どこぞの金柑頭に似ている………)


 訝しむリヴァイであったが、信長のそれは一向一揆も真っ青な言いがかりの八つ当たりであった。


リヴァイ「………さておき、エルヴィンも、他の分隊長も、そして俺も―――――おまえたちには期待している。二週間後が楽しみだな」


 リヴァイの言葉に、信長は一瞬目を丸くし―――――口端を歪め、獰猛な笑みを浮かべた。


信長「ククク………なぁに。織田の闘法を見せてやるよ。第六天魔王の戦いぶりがいかなるものか、とくとその目に焼き付けよ」

リヴァイ「ああ、そいつはますます楽しみだ」


 リヴァイにしては珍しく、彼もまた口元に軽く笑みを浮かべて、そう答えた。



……
………

※今日はここまで。

 というわけで彼らはシガンシナ区を目指すことになりました。

 次回は飛んで遠征日からを予定。

 原作崩壊。女型の巨人が涙目になります。


晴明は自分のこと「はるあきら」って名乗ってなかったっけ?
後世で「せいめい」と呼ばれてるらしいとか

他のドリフからの話聞いて「せいめい」の呼び名が気に入ったんかね
200以上の弓の名手+エルヴィン以上の智謀一人追加、そしてリヴァイ並がもう二人追加か・・・
・・・女型乙


あ、>>1は一体!何なんだあ!!
(余りにも面白すぎ&続きが気になりすぎたことによる錯乱)


乙でした
ああ…さようなら女型
もう半年まつ準備はできている(白目)

支援

※ある程度書き溜まりましたが、ちょい切りが悪いので、もうちょっと書き溜めます。

 明日の夜には投下予定です。遅くても今週末です。


………
……



 ――――そして、二週間後。

 第五十七回・壁外遠征の決行の日は訪れた。



……
………


………
……



~ウォールローゼ・ストヘス区 大通り・広場~


信長「細工は流々、後は仕上げを御覧じろ……ってか」

豊久「ウム。しかしノブ。お主、立体駆動ヘタじゃのう」

与一「まさかこの二週間で一番の問題となったのが、信長殿の立体機動適正の無さとは、この与一も驚きました」ハッハッハ

信長「ウルセー!! こっちはもう五十路近いんだっつーの!!」フンガー!!

豊久「凄い無様じゃったのう。ぶらーんってなっておったぞ、ぶらーんと」

与一「『え? 何? ウッソー、こんなのどうやってやればいいの?』って顔してましたよね」プークスクス

信長「オラアアアアアアアアアッ!!」ドガアッ

豊久「ぶばっ?! 何がどぉごんぐぞぼげぇ!!」バキッ

信長「ウルセーーー! 次の日にすぐにうまくできるようになったんだからいーじゃねーか! 蒸し返すんじゃねえよコラてめえやんのかコラ」フギャーーーッ

※すいません、いきなりミスです……。
 ×:~ウォールローゼ・ストヘス区 大通り・広場~
 ○:~ウォールローゼ・カラネス区 大通り・広場~


 ギャーーーーブオーーーーーッギャーーーーーッ


クリスタ(い、今更言えないよぉ。ノブさんが上手くできなかった理由は、エレンの時と同じで、ただベルトの金具が破損してただけだなんて、とても言えないよぉ………)

アルミン(言ったら整備班が打ち首にされる………あとエレンがキレる)


エレン「おい、やめろよお前ら!! これから壁外遠征だぞ!? 分かってんのかよ!!」

豊久「ぬ――――えれんか。勿論わかっちょる。じゃっどん、そげんこつしゃっちこばっておっても、戦えんぞ」

エレン「ぐぬぬ………こ、この二週間で、俺だって頑張って特訓したんだ! 絶対豊久よりたくさんの巨人をブッ殺してやるからな!!」

豊久「おう。その意気じゃ」

信長「バカ同士じゃのう。巨人との戦いは戦わぬことが第一だって分かってんのかあ奴らは」

与一「なんだかあの二人、兄弟みたいですねー」ウフフ

ミカサ「むっ、それは聞き捨てならない。エレンの家族は私」

与一「それは姉弟という意味ですかな? それとも、夫婦(めおと)ですかな?」

ミカサ「――――前言を撤回する。やはり貴方たちは良い人!」キリッ

与一「はっはっは、テレますなぁ」

信長(こやつも腕は立つが、頭の方はやはり大概じゃのう)ダイジョウブカマジデ


与一「いよいよ出立ですな。しかしまぁ、なんというか」

信長「ウム。予想以上」


 壁外へ繋がる門へと続く道を、馬に乗って歩む。

 その道の左右には、壁内の民草たちが、壁外へと遠征する調査兵団を見送ろうとひしめいていた。

 調査兵の家族の見送りもあるだろう。しかし、


商人A「ヘッ、見ろよ。また自殺志願者共が集団自殺に行こうとしてるぜ」

商人B「全くだ。俺たちの税金をなんだと思ってやがるんだか」

区民A「どんな神経をしてれば、巨人と戦えるのかしら………」

区民B「きっと頭がおかしいんでしょ………ああ全く、どうかしてるわ」


 ――――友好的ではない視線が大半を占めていた。

 エルヴィンやリヴァイ、ハンジら分隊長、そしてエレン達新兵からも、信長はこの世界の有様についての話を聞いていた。

 そこから導き出されたことの一つが、民草たちの危機意識の低さである。

 自分たちは百年間壁に守られてきたのだから、きっと明日も無事に生き残れるに違いないと、正気のつもりで言っているのだ。


 それに対し、調査兵団員の取った対応は、黙殺。

 無論、内心で腸煮えくり返っている者もいる。

 しかし、その大半は―――――ある意味で、彼らの暴言に同意する諦めのようなものがあった。

 特に新兵などはその兆候が顕著であり、中には見るからに顔色が悪く、手足の震えを止められないものも少なくなかった。


サシャ(………ぅ、あ。いやだ、こわい。おうちかえりたい………死にたくない。死にたくないよぉ)ガチガチガチガチ

コニー(なんで、なんで、おれ、調査兵団なんかに………母ちゃん。サニー、マーティン。おれ、おれ………)ブルブルブルブル


 言うに及ばず、壁外への遠征には、常に死の危険が隣り合っている。統計では、初の壁外遠征で新兵が生き残る確率は五割。つまり、五割の確率で死ぬ。

 既に新兵やベテランを含め、数百という調査兵団員が、壁外遠征で死んでいるのだ。

 民草たちの心無い言葉は、耳に痛いどころの話ではなく、その恐怖に拍車をかける悪魔の言葉だった。


男性A「今度こそシガンシナを奪還するなんだとよ。出来もしねえことを、よく言うぜ。口だけならなんとでも言えるもんなぁ」ヘッ


 そのあまりの言いぐさが耳に入ったのか、エレンが目を剥いて、罵倒してきた男を睨み付ける。


エレン「ッ………あの野郎。言いたい放題言いやがって……どっちが口だけか教えてやろうか………!!」


ペトラ「駄目よ、エレン。隊列を乱さないで」

オルオ「いつものことだ。相手にするだけバカみるだけだ。ほっとけ」

エレン「けどっ………あんな言い方ってないでしょう!」

グンタ「いいから黙れ、エレン! いちいち構っていたら、切りがないぞ!」

エルド「これから壁外遠征だ。余計なことに力を使う必要はない」

エレン「くっ………了解しました」


信長(うわぁ、ブッ殺してえ。マジで手討ちモンだぞこいつら)

与一(あのう、信長殿)ヒソヒソ

信長(ああ? なんじゃ与一。俺は今ムシャクシャして――――)

与一(いえ、その。豊久殿が…………)

信長(は? お豊…………やべえ!!!?)


 信長ですらイラつくこの状況。

 島津四兄弟の子息として、誇り高き武人、武将としての教育の下に生きてきた島津豊久が、黙って見ている筈があるだろうか。


豊久「おい、貴様(きさん)。前に出い」

男性A「え…………?」


 島津豊久に、空気を読むという発想はない。

 礼には礼を。無礼には無礼を以て返礼し、場合によっては首を刈り取るのがこの男である。

 当然のように、刀を抜き放ち――――――暴言を吐いた男を手討ちにしようとしていた。


与一「止めなくていいんですか、アレ」

信長「早く言えええええええええええええええええええ!!!」

エレン「!?(と、トヨヒサ?! なっ、何やってんだあいつ!?)」

リヴァイ「!!! チッ、あのバカが………止めてくる」

エルヴィン「いや、待て………少し様子を見るぞ」

リヴァイ「なぜだ? あいつの目、本気だぞ。本気で、民を斬り殺そうとしている」

エルヴィン「分かっている。だが―――――ノブナガが言っていたことが正しいかどうか、確かめたい」


リヴァイ「ノブが?」

エルヴィン「ああ」


信長『騙されたと思って、新顔は豊久に任せてみろ。アレはバカだが、兵士を率いさせりゃ天下一品だ』

信長『バカではあるが、兵卒共を戦場へ進んで駆り出させるだけの士気を、あいつなら容易くひねり出すだろう。賭けてもいい』


リヴァイ「―――――そんなことを、会議の時に言ってやがったな」

エルヴィン「私は、それを見極めたい。トヨヒサも、ノブナガも」

リヴァイ「チッ………分かった。だが、ヤバいと思ったら、割って入るぞ」

エルヴィン「頼む、リヴァイ」


 リヴァイはいつでも立体機動装置で豊久を制止できる位置へと駆けて行った。


豊久「何を呆けちょる。貴様じゃ。今、我らを侮辱した貴様に言うておる」

男性A「な、なんだよ…………ぶ、武器なんか抜いて、お、脅しか!?」

豊久「脅しかどうか知りたくば、前に出い。明日も知れぬ我ら兵子に、その言いぐさはなんじゃと問うておる。前に出い」


 先ほどまで愚痴や罵倒で埋め尽くされていた広場は、静寂に包まれていた。

 俯いて震えていた新兵――――サシャやコニーもまた視線を上げ、豊久へと意識を向けている。

 それとは逆に、豊久の猛烈なまでの殺意に当てられた民草たちは、誰もがその口を閉ざして俯いていた。


豊久「再び問うど。これより死地へ赴く兵子に対し、その口の利き方はなんじゃ。答えい」

男性A「ひ、ひ、い、いえ、そ、その…………」

豊久「貴様なら奪われた土地を取り戻すことが出来ると言うんか」

男性A「そ、そんなこと、は、言って………」

豊久「聞こえん。前に出い。これが最後じゃ。先程のように、下卑た笑みを浮かべて出て来やれ」

豊久「面と向かって言えぬならば、そん減らず口ば閉じよ。それとも―――――」

男性A「ッ…………う、うわぁあああああっ!!!!」


 豊久が、近づく。恐れをなして逃げ出そうとするが、男性は足をも連れさせて、その場で盛大に転んでしまった。

 あわてて起き上がろうともがき、あおむけになったその時、男は見た。


 既に目の前に迫っている、戦鬼の双眸を。

 そして、


豊久「首置いてくか?」

男性「ひっ…………!!」


 奈落の底から響くような声音で脅しかけながら、男の股の間の地面に刀を突き立てた。


信長「―――――お豊」

豊久「なんじゃ、ノブ。また小言か?」

信長「いや、そうではない。お主が言わなんだら、俺が言っておったところよ。だが、殺すな。尾張じゃ手討ちモンじゃがな」

豊久「薩州でも手討ちじゃ。あまりにも無礼ぞ」

信長「じゃな。だが、見てみい」

豊久「ぬ?」


 信長が顎で指示した先、豊久が下方を見れば、そこには件の男性が転がっている。

 男性の顔面は鼻水と涙でぐちゃぐちゃになっており、股間からは黄色い液体が漏れだし、下履きをじっとりと濡らしていた。

めっちゃかっこいい。


 あまりの様に、さすがの豊久も毒気を抜かれた様な、拍子抜けしたような表情で、溜息をついた。


信長「ちょいと脅しただけで、斯様なザマじゃ。お前の言うとおり、ただの口だけの餓鬼だ。斬る価値もない。違うか」

豊久「…………うむ。そうじゃな。この程度の心胆で兵子を侮辱するとは、とんだすくたれぞ」


 吐き捨てるようにごちて、豊久は抜いた刀を鞘へとおさめた。


ジャン「なあ、トヨヒサに凄まれて漏らさない自信あるか?」ヒソヒソ

コニー「ある………って言いてえけど、言えるわけねえだろ。無理だろ………キース教官よりこええよ」ビクビク

サシャ「絶対無理です。ご飯全部戻しちゃいますよぉ………」ヒックヒック

クリスタ(お嫁に行けなくなるよぉ………)

ユミル(あんなんと目が合ったら即逃げ出すわ)


信長「で、あろうな。だが――――どうすんだこの空気」

豊久「ぬ?」


 初めて気づいたとばかりに豊久が周囲を見渡せば、唖然とした表情の調査兵団員や、民草の視線があった。


 呆けているのは今のうちだけだろう。冷静さを取り戻せば、調査兵団員は慌てふためき、民草は怒号を上げて怒りの合唱曲を歌いだすことに、疑う余地はなかった。


信長「しょーがねえ、おい、お豊。アレ言え、アレ。ほれ、えるふ共を炊きつけた時と同じように」

豊久「またアレか…………ほんに主ゃあ、ロクな死に方せんぞ」

信長「うるせー早く言え、ホレ早く」


 シッシッと犬を追い払うような信長のぞんざいな手振りに内心腹立たしく思いながらも、豊久は再び馬に跨る。

 そして、周囲の人々の顔を、一人一人見つめた後、瞳を閉じ、深呼吸を一つ。

 再びその目が見開き、口が開いたとき――――。



豊久「兵子どもよ!! 胸を張れい!」



 目の覚めるような大声が、大広場を埋め尽くした。


豊久「お主らはこれより戦場に赴く。先刻まで笑って話ちしておったものがさくりと死せる鉄火場じゃ」

エレン「――――!」

豊久「慈悲も容赦もない。『きょじん』は彼奴等は獣じゃ。お主らの腕ば掴み、骨ごと喰らう化生の物じゃ。二度とこの壁ん中ん土ば踏めぬ輩もおるじゃろう」


 それは淡々とした死の宣告だったのだろうか?


豊久「だが、それは恥ではない。恐れることではない。お主らは兵子じゃ。強か兵(もののふ)じゃ。誰でん出来ることではなか!」


 否、それは檄だ。聞いたものの闘志を奮い立たせ、戦場へと駆り出すための『狂奔(きょうほん)』の儀式だった。


豊久「――――戦にて死するは、誉れぞ。恐れるべきは、死ぬることではない。死は敗北ではない。敗北とは、諦めることにある」


 一人一人の兵の顔を見つめながら、豊久は馬を歩かせ、声を張り上げる。


豊久「誇ってよいのだ。故に胸を張れ。前を見やれ」


 言い聞かせるように、言い含めるように。

 刺々しくも、どこか安心感を与えるような、真綿で締め付けられるような覇気を伴った演説だった。


 そして再び刀を抜き放ち、その切っ先を先ほどの男性へと向ける。


豊久「そこの餓鬼は、壁ん外に出て土地を奪い返さんとする我らを、馬鹿と言った。彼奴は畜生じゃ。糞じゃ。殺す価値もない。否、彼奴は生きてすらおらぬ!!」


 鋼をこすり合わせた様な大音響が、さながら波濤のように人並みの果てまで鳴り響いた。


豊久「お主らに問うど。壁ん中で縮こまっていることが生きることか! 壁ん中で怯えていることが、本当に生か!! それはただ、息をしておるのと同じぞ。家畜の生き様ぞ!!」


ミカサ「―――――!?」ハッ


豊久「主らは、そこな糞と同じか。怯え竦み、ただ黙って巨人の餌となるのか。それでは生きておるのとは違う。死人ぞ」


ミカサ(や、やっぱり、この人は、エレンと、同じだ。見ている物が、違う―――――!)


豊久「お主らは、死人か!! 答えよ!!」


エレン「違う!!」


 真っ先に声を張り上げたのは、エレン・イェーガーだった。


エレン「人は死ぬさ! いつかは必ず死ぬ! だけど、俺たちが死ぬのは、今日じゃねえ!! 何十年も先の今日だ! 俺たちは、自殺しに行くんじゃない! 勝つために行くんだよッ!!」

クリスタ「………!!」

エレン「俺たちは、勝って、壁の外を目指すんだ!! 壁の外を探索し尽くして、いっぱい美味い物を食って!」

サシャ「!!」

エレン「家族にいっぱい孝行して!!」

コニー「ッッ!!」

エレン「俺たちが死ぬのは、それからだ!! 今は戦うさ! だが、俺たちゃ死ぬために、壁外に出るんじゃない!! 家族を、仲間を、人類をッ………助けるためにだ!!」

ジャン「エレン、おまえ………!!」

エレン「俺のっ、俺の夢は、壁の外に出て、俺の大好きな家族と、友達と一緒に、世界中を探検することだ!!! その夢をかなえるまで、俺は死なん! 絶対に、生き延びてやる!!」

ミカサ「エッ、エレン………」ポロポロ

アルミン「え、えれ、ん………」ポロポロ


 心の底からの叫びだった。


 豊久はそれを真正面から受け止め、心底嬉しそうな――――狂暴な笑みを浮かべた。


豊久「よくぞ吼えた、えれん!! ―――――うむ! ならば民草どもよ、聞けい」


 今度の視線は民草へ。


豊久「お主らを守る壁ば、既に崩れちょる。お主らを守る物は既にない」


 先程よりも荒々しく、覇気に満ち溢れた声音で、有無を言わさずに納得させられるような、そんな理不尽な声だった。


豊久「あすこに見ゆる壁は、もはやその体を為してはおらぬ。はりぼてじゃ。いつでん(いつでも)彼の「ちょうおおがた」とやらが現れれば消える。砂上の楼閣じゃ」


 現実を突きつけ、絶望を再認識させようというのか?


豊久「じゃっどん(だが)―――――だからこそ、我らがここにおる。砂上の城に骨組みば作るために」


 ――――否。それも否。これは、意識の改革だ。


豊久「戦うべき時があるとすれば、それは今ぞ!」


豊久「世に正と邪があるならば、これは正ぞ!」

豊久「戦うことで、貴様らは初めて畜生でなくなるのだ。彼奴等きょじんめらのうなじを削ぎ落とすことで、初めて貴様らは兵子となるのだ」

豊久「その戦にて、たとえ死んだとてあの世で父祖にこう言える。戦って死んだと。家族を守ろうとして死んだと」

豊久「生きて帰った者は、家族にこう言える。戦って生き延びたと。家族を守るために戦い抜いたと」


 戦の心得。

 何のための戦をするのか。

 見送るべきものが送る言葉は、どうあらねばならないのか――――。

 言外に、豊久はそれを伝えようとしていた。


豊久「地を取り戻せ。故郷を取り戻せ。尊厳を取り戻せ」

豊久「それで初めて畜生でなくなる。お前らを畜生に堕とした奴輩(やっぱら)めの首を取れ! うなじを削ぎ落とせ!」

豊久「我らが、貴様らを畜生でなくしてやる!! 我らを讃えい!! 民草ども!!」


 激烈たる声は、空気の振動ごと民草たちの身体に叩きつけられた。


 それを真正面から受けた民草の反応は、まさに劇的だった。


商人A「―――――!!」

商人B「あ、ああ、あああ………」

町人「―――――」

子供A「う、うん、うん! うん!!」

子供B「すっげえ、かっこいい………」


 先ほどまでは調査兵団をバカにしていた大人達は、全身の震えを止めることができなかった。

 恐怖、ではない。怒り、でもない。

 えも言えぬ、昂揚感。久しく忘れていた、血の滾り。いくつになろうと、男は暴力の味を忘れられぬ生き物なのだ。

 調査兵団に憧れる子供たちもまた、跳ねまわりたくなる衝動を必死になって押さえていた。

 檄を飛ばす、緋色の甲冑を身にまとう豊久の姿に見とれていた。豊久が、まるで物語に出てくる勇者のように見えたのだ。


豊久「えるふどもよ!! 貴様らもじゃ!! 我らは『きょじん』めらを屠る! 彼奴等のうなじを手土産に、故郷へと帰るのだ!!」

シャラ「おおおおおおおおおっ!!」

豊久「良い! よか叫びじゃ! 兵子どもよ! 貴様らも天に向かって吼え立てよ!! 我らはここにいるのだと!! 我らこそ、兵子の中の兵子だと!! その臓腑の底より、意志の焔を燃え上がらせい!!」

エレン「お、おおお………」

豊久「打ち破られた百年の後に、新たなる百年ば立てる気概を持てい! この島津豊久が見ておるぞ!!」

ミカサ「あっ、あああ、ああああ………」


豊久「吼えよ!! 兵子共!!! 民草よ、勝鬨ば上げい!! 壁ん外のきょじんめらの肝っ玉を潰すほどの気勢にて、我らを見送れい!!」


エレン「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ミカサ「ッ、お、おおおおっ、おおおおおおおおおおお!!!」

サシャ「う、うわあ………うわああああああああああああああっ!!」

コニー「っしゃああああああ!! やってやるぜえええええええええええ!!!」

ジャン「ッ…………はは。なんなんだあいつ、すげえ。背筋が、ぞくぞくしてきやがった」

アルミン「へ、兵士どころか…………民衆まで、叫んでる」

クリスタ「凄い…………あの人、凄いや」


ベルトルト「ッ!!(ライナー………やっぱり、あいつ)」

ライナー「………(ああ、危険だ。あっという間に、兵士全員の士気を、極限まで高めやがったぞ)」


 兵士たちは、昂揚していた。

 何だ、この胸の熱さは。

 何だ、この心臓の高鳴りは。

 歴戦も新人も隔てなく、滾るような熱さが、胸の中心からとめどなくあふれ出してくるのを感じ取っていた。


サシャ「コニー、私、おかしいです。私………巨人が怖くて、もう二度と、あんなの………死にたくないって………そう、思ってたのに、あの人の話を、聞いたら」

サシャ「私…………故郷の、お父さんが、巨人に食べられちゃうって、そう思って………このまま、ただ壁の中で暮らして、あの時、憲兵に、なってたらって、そう思ったら」

サシャ「物凄く、ムカつきました!! 私は、私は、家畜なんかやない! 獲物を狙う狩人なんやから!!」


コニー「お、おれも。おれもだよ。母ちゃんや、サニー、マーティン………おれの村は、おれが守るんだって、そう思えた」

コニー「憲兵団入りを蹴ってよ………スゲー後悔してよ。だけど、今、スカッとした」

コニー「おれが、家族を守るんだって、そう実感できた…………へ、へへ。巨人をいっぱいぶっ倒して故郷に帰ったら………母ちゃん、きっと驚くぞ………」


 いつの間にか震えも、恐怖も、無くなっていた。


 いつの間にか震えも、恐怖も、無くなっていた。

 巨人が恐ろしかった。

 巨人に殺されることは、恐ろしいと、そう思っていた。

 だが、違う。本当に怖いことがなんなのか、分かった気がした。

 この男は、違う。考えも、思想も、なにもかもが違う。


 ――――この男に、率いられたい。


 兵士たちの心は、今一つになっていた。



信長(くくく、兵士どころか民草の認識すら、あっという間に覆し塗りつぶした。やはりこやつは戦の申し子よ)

与一(やはりこの人は、全知全能が戦いに特化してる。根っからの武将だ)

リヴァイ「どこか、エレンと通じるものがあるな。柄にもねえ…………俺も、昂揚している。思わず、叫び声を上げたいくらいに」

エルヴィン「リヴァイ………」

リヴァイ「意外か、エルヴィン?」


オルミーヌ(これだから、極東のサムライは、この男は怖い。おそろしい。豊久)

オルミーヌ(人の心を容易く惑わし扇動する信長も、兵士たちを戦場へと駆り立てる豊久も、私は怖くて仕方がない)

オルミーヌ(誰も彼もが死にに行く。私よりもずっとずっと若い子供たちもいるのに…………それを痛ましいと思う、私がおかしいの?)


エルヴィン「…………ノブナガ」

信長「おう、ハゲヴィンではないか」

エルヴィン「エルヴィンだ………しかし、負けたよ。君の言った通りだった。彼は………トヨヒサは、尋常ではなかった」


信長『騙されたと思って、新顔は豊久に任せてみろ。アレはバカだが、兵士を率いさせりゃ天下一品だ』


エルヴィン「――――確かに、その通りだった。凄まじいな。まるで戦うために生まれてきたかのような、火のような男だ」

信長「おまえは詰まらん奴じゃのう。もう少し悔しそうな顔をしてみい」

エルヴィン「その資格はない。己の無能が露呈したのだ………ただ、恥じ入るのみだ」

信長「…………やれやれ、しょーがねーなー」


信長「そもそもだな、ハゲ。お主ら、ここ百年ほどは戦も無かったんじゃろう?」

エルヴィン「………文化や、生まれた土地の違い、経験不足が原因だと、そう言ってくれるのか? しかし………」

信長「いいから黙って聞け。この第六天魔王の戦争定石じゃ。聞け、聞くがいい」

エルヴィン「…………」

信長「戦って奴ァ、複雑怪奇なシロモノよ。先刻まで優勢とされていた側が、一刻後には敗北するなどザラだ」

信長「想定外の事態、突然の悪天候に、敵の増援、未知なる兵法との遭遇、味方の謀叛…………さまざまな要因で、黒白(こくびゃく)の天秤は逆転する。俺も伊勢やら本能寺やらでエラい目にあった」

信長「そして俺は負けた。裏切りにあってな。後から聞いた話では、裏切ったのは俺の部下よ。だが、俺がそのさなかで真っ先に疑ったのは俺の実の息子じゃった」

与一「すべては無常ですなあ。私の属していたお家も、今や影も形もないというのですから」

エルヴィン「…………」

信長「二十万から兵を率いておったこの俺が、今やこのザマよ。たかだか千にも届かぬ軍の、客将の一人じゃ」

エルヴィン「――――! 貴方は、それほどの軍勢の将だったのか………成程、どう―――」

信長「黙って聞けいと言った筈じゃ。成程? 道理で? そんなちっぽけな言葉で、俺の人生を語るんじゃあねえぞ、若ハゲ」

信長「元々俺の国は弱小国家じゃった。そんなちっぽけな家を継ぐのも、弟との血で血を洗うような骨肉の争いの末のことだ」

信長「お主とでは、くぐった修羅場が違うのだ。経験不足? 文化の違い? 生っちょろいことをほざくなよクソガキ」

エルヴィン「…………」


信長「ならば弱音を吐くな。ただ前を向け。それこそが軍を率いる者の責務というものよ。それこそが『将』というものよ」

エルヴィン「―――――そう、だな」

信長「辛いか?」

エルヴィン「辛い………ああ、辛いな」

信長「後悔はあるだろう。あの時ああしておればと、そう思ったことはあろう。だが、だからといって諦めるのか。お主は諦めると、そう言うのか」

エルヴィン「―――――違う。それは違う。それだけは、違う。決して、私は諦めない」

エルヴィン「後世に悪鬼と呼ばれ蔑まれようと、兵の遺族に無能と、冷血者と蔑まれようと、それだけはできない。決して」

信長「その通り。では勝たねばなるまい。何が何でも勝たねばならんのだろう。えるう゛ぃんよ」

エルヴィン「――――――!」

信長「ならば進めい。あの時ああすればよかった、こうすればよかったなどと、そんなことは死んだ後でもできることじゃ」

信長「ただひたすらに前へ、前へ、前へ、前へ、だ。生きている間は、ただただそれのみだ。戦い、殺し、弑し、虐し――――勝つ。それだけよ」

信長「血を吐くまで悩み、考え、最善を尽くし、人事を尽くして天命を待たず、更に鬼札を生み出す………まずはそこからじゃ」

エルヴィン「……………」

信長「フン。こんなことも分からぬから、お主はハゲなのだ…………以上、講義終了」

エルヴィン「―――――ふ、ふふ。ああ、そうだな。その通りだ、ノブナガ」


信長「ならば往けい。後はお主の仕事じゃろ?」

エルヴィン「―――――ああ! 開門はまだか!!」

モブ「開門まで残り30秒!! 付近の巨人は大方遠ざけましたッ!!」

エルヴィン「総員、傾注!!! 第五十七回壁外調査を開始するッ!!」

リヴァイ「―――――いよいよだ!! 遅れるんじゃねえぞ、エレン!!」

エレン「はっ、はいっ!!!」

エルヴィン「総員、駆け抜けろォオオオオオオオオオオオッ!! トヨヒサにつづけええええええええ!!」

豊久「行くぞ、兵子ども!! ひっ飛べやああああああああああああああ!!!」


 ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!





……
………

※というところで、本日終了。

 次回こそ、女型涙目回です。

 もうやめて! 泣いてる女型もいるんですよぉおおおお!!

 まったり書いていくよ。

更新乙。面白い。それと作者は、物凄くアニ大好きだとジュマンジシリーズを通じて感じる。
この人の書くアニは、最高だ。

お豊のカリスマ性が脳内再生出来たわ
めっちゃ昂ぶるね、ヒラコー乙

進撃の調査兵団乙
逃げて巨人共超逃げてー ついでにライベルアニもー

豊久かっけえ
薩摩の軍規では刀は抜くな話し合え抜いたなら殺せってあるもんな

どちらの作品も好きなのでコラボ嬉しいです!

島津豊久

スキル:『狂奔』

効果 兵子を戦に駆り立てる意思を沸き立たせる。簡単に言えば煽る。すてがまりじゃー
なお、そのスキルを受けた兵子の戦闘力は三倍(当社比)上昇する

※忘れてたおまけ投下です。
~おまけ・壁外遠征前の二週間でのエレン達との会話など~

豊久「俺の家族?」

エレン「ああ、どんな人たちだったんだ? 教えてくれよ」

豊久「ほうじゃのう………」

信長「以下、ほぼ史実です」


・島津義久
島津四兄弟の長男。職業は超ギネス級の自国警備員。『最強の引きこもり』とか『戦国時代最高峰の政治家』とか呼ばれる。防衛戦大好き。
彼が引きこもれば引きこもるほど他の兄弟が「兄上が守りを固めてるなら安心して暴れられるぜヒャッハー」とばかりに好き勝手やるが、
結果的に国力が増大してるというワケわかんない状態になる。
株式会社で例えると、彼が社長椅子にふんぞり返っているだけで株価がうなぎ上り的なそんな感じ。
大人しそうなふりしてチート揃いの弟どもを影で操っていたのは実はコイツという説もあり、実はラスボス級のオーラを漂わせている。
歴史の歯車のかみ合わせが少し異なっていたら、信長以上の存在になってたかもしれない人。

・島津義弘
島津四兄弟の次男。豊久が一巻で『叔父上』と呼んでた人。通称『完璧超人』、『鬼島津』、『オーガ』、『リアルジャンプマンガ』など。
関ヶ原での退却戦、(通称『島津の退き口』:簡単に言うと三百人程度の手勢率いて八万の徳川軍を正面突破して逃げ切った)
はあまりにも有名だが、それ以外でもワケわかんないぐらい強い。
敵が二倍いたら二倍強くなり、三倍いたら三倍強くなるので、彼を敵に回すと絶対に勝てないという悪夢のような結果に終わる。つまり戦ったら負け確定。
三百の兵で敵兵三千を『包囲殲滅』したとかもうちょっと待てとしか言えない戦果を叩きだす戦闘民族サツマ人の体現者。
そのくせかなりの切れ者。例を挙げると、「関ヶ原の責任を追及するからちょっと義久の首寄越せよ」という徳川家に対して
「もし武力で島津家を潰そうとすんなら旧臣や敗残兵一同、海賊王を目指す。もちろんおまえらとの貿易国の船は見つけしだい即レイプ(どどんっ)」
とか気が狂ったようなことをホザくので、徳川は泣く泣く無罪放免にした。
これだけやっているにも関わらず、85歳まで生きて、畳の上で大往生。色んな意味でチート。


・島津歳久
島津四兄弟の三男。地味だが頼りになる。別名『戦の神様』とか『安産の神様』。
別名が対極的すぎてこれまたワケが分からない人。
他の兄弟がイカレすぎてるため目立たない地味な子。
あとすぐに島津家のために切腹して果てようとするネガティヴな根暗っぽい子なので、クリスタと仲良くなれそう。
ぶっちゃけ本当に影が薄いが、智謀に長けて、生前は大活躍だったとのこと。

・島津家久
島津四兄弟の末弟。ケンシロウっぽいが、どっちかといえば多分ラオウ。
豊久の実父にして、『元祖妖怪首おいてけ』である。別名『プロの釣り師』、『DQNじゃない方の家久』、『釣り野伏の代名詞』など。
彼に目を付けられた敵軍の総大将には死亡フラグが立つ。島津家最強のバトルマシーン。薩摩隼人と書いてサイヤ人とも読める。
耳川の戦い、沖田畷の戦い、戸次川の戦い、大友・龍造寺・豊臣との決戦の場などで『釣り野伏』を用い、大将首をもぎとりまくった。
首ちょんぱのスペシャリストで、とにかく自分の手で大将首をもぎとらないと気が済まない。
敵数が味方と同数ならまず全滅させ、二倍いても問題なく全滅させる。犠牲になった大将首は数知れず。
豊久が妖怪首おいてけになった元凶にして原点と思われる。
死因が病死とかもうワケが分からないが、人望があったのか、殉死する人が九人いた。『九人で良い(謙虚)』と言ったかは不明。

※『釣り野伏』とは
 テキトーに戦果あげて舐めプした挙句に尻を見せて逃げ出したと見せかけ、怒って追いかけてきた敵を伏兵で囲い、(相手が)死ぬまでボコるという超えげつない高難易度の戦術。
 喰らった相手は高確率で死ぬ。


エレン「」

ミカサ「つよい(確信)」

アルミン「もう彼らがいたら巨人は皆殺しにできるんじゃあないかな(確信)」

  ~完~

家久「ちなみに殉死者九人出したのはホントはDQNの方の家久(忠恒)だからな」

忠恒「九人でいいっすよwwwwwww」

家久「首おいてけ」


※DQNの方の家久は、戦国DQN四天王の一人として認定されています。

~今度こそ完~

さすが島津、無茶苦茶だ

やっぱ島津おかしいって (この戦闘民族め)

これだから島津はおっかねえ

島津さんちはリアル戦国無双なんだな

どう考えてもおかしいだろwwwwwwwwwwwwwww








おかしいだろ

Wiki参照Before:史実? ハハッ、釣り乙www

Wiki参照After:アイエエエエエ!? コワイ! シマヅコワイ!

史実だからやばい
つか戦国後期で動員兵力が増えてるのに、野戦で大名を討ち取るとか何度もやるのがおかしい

しかも古代から幕末明治までも戦闘民族なのがまじやばい

もうDNAから色々おかしいんじゃないかな

しかも姫様はかわいいと

>>173

そりゃあ優秀な兵子を産み育てなきゃいけないもの。仕方ないね


~壁外~


 豊久の檄と、カラネス区の住人たちの大歓声に押されるように壁外へと躍り出た調査兵団。

 壁外遠征は今のところ順調だった。

 そう――――順調だった。

 しかし、その順調さに不安を駆られた者が、調査兵団員に二人いた。

 一人は、ベルトルト・フーバー。

 そして、


ライナー「…………おかしい」ボソッ


 三列四・伝達班のライナー・ブラウンが、もう一人だった。

 馬上で腕を組んで考え込む。

 その様子を訝しんだジャンが首を傾ける。


ジャン「どうかしたかよ、ライナー。難しいツラしてんな」

ライナー「あ………い、いや、その………だな」


ジャン「なんだ、言いよどんでよ」

ライナー「俺たちは、シガンシナ区へと向かっているんだよな?」

ジャン「はァ? おいおい、どうしたよお前。ンなことぁ当たり前だろうが。寝言言ってねえで、もっと周囲を警戒しろよ。いつ奇行種がくるかわからねえぞ?」

ライナー「………………」


 ジャンのからかうような口調も、耳に入らなかった。

 言いようのない不安と違和感の正体は、この壁外遠征の内容にある。

 そう――――順調すぎるのだ。


ライナー(も、もう、壁外に出てから、既に二時間は経っている………俺たちはすぐに引き返す筈じゃなかったのか? 今回はエレンを含めた新兵たちの試運転だと………)


 あらかじめ伝えられていた行軍予定では、既にカラネス区への開始し始めても不思議ではなかった。


ライナー(そ、それに………どういうことだ。巨人が一匹も出てこない。二時間で一匹もだ。これは…………)


 異常に他ならなかった。


 エルヴィンの考案した長距離索敵陣形がいかに有用であろうと、巨人に全く遭遇しないなど前代未聞だ。

 巨人の生態は未だ多くが謎に包まれているが、彼らが何らかの方法で人間の位置を特定し、何にも勝って優先して襲い掛かってくることは、兵士であれば誰もが知っている。

 その巨人がいない。一匹も遭遇していない現状は、異常極まる。

 何よりも――――ライナーとベルトルトにしか知りえないことではあったが―――――今回の遠征に限っては、巨人の襲撃に合わないなど、『絶対に』有り得ないはずなのだ。


ライナー(おかしい…………おかしいぞ。今回、俺たちはカラネス区を出た後、南西側へと迂回路をとる)

ライナー(そのルートの途中で、アニが奇行種を呼び寄せて陣形を崩壊させる手筈になっていた…………とっくの昔に目標のポイントには到達してるはずだ…………なのに!)


 ライナー・ブラウンは、思わず叫びだしたいほどの困惑を心の内側で爆発させる。



ライナー(――――どうして、アニは来ない?!)



 あまりにも想定外の事態であった。様々な憶測が、ライナーの脳裏を駆け巡る。それも、悪い方向にばかりだ。


ライナー(まさか、アニがやられた………!? い、いや。そんなわけがない。あいつは優秀な戦士だ。硬化能力を持ち、高い格闘センスもある)

ライナー(だが、もしも巨人化能力者だとバレてたら? 巨人化する前に捕えられたとしたら?)

ライナー(落ち着け………違う、そんなはずがない。なんらかのトラブルが発生しただけだ)

ライナー(ッ………だが、だったら、なんでアニは来ない………裏切った? まさかそんなことは)


 憶測が憶測を呼び、その全ては情報不足によって否定される。

 まるで巨人という脅威に遭遇した人類のように―――――ライナー・ブラウンの精神は今、混乱の極みにあった。

 そんな中、どこか気の抜けた声が、ライナーの耳朶を打った。


ジャン「しっかし、静かなもんだな………全然巨人がいねえぞ」

ライナー「…………あ、ああ。そうだな」


 内心が乱れきったライナーは、それに漠然とした相槌を返す。


ジャン「外周部の索敵班からも、全然赤の煙弾が上がらねえし…………順調って言ってもいいのか、こいつは?」

ライナー「……………!!(まさか………)」


 そのジャンの何気ない言葉に、ライナーはまるで背骨に氷柱を突き込まれたような感覚に襲われ、その全身が硬直した。

 ジャンはその時たまたま前方を見ていたため、驚愕に強張ったライナーの表情に気付かなかったことは僥倖だろう。


ジャン「さっきのトヨヒサの演説のせいで、士気もうなぎのぼりだしな。実際、あれにゃあオレも滾って…………ライナー? オイ、聞いてんのか?」

ライナー「―――――ッ、あ、ああ、聞いてる」

ジャン「そ、そうか? なんだよ、気に障ることでも言ったか? そんなに睨むんじゃねえよ」

ライナー「す、すまん。少し、気を張りすぎてたらしい」

ジャン「ん、それならいいけどよ。ま、雑談もほどほどにするか」


 そう言い残して、ジャンを乗せた馬はライナーから離れていく。


ライナー「ああ…………(周囲の巨人の不在。煙弾が上がらない理由。まさか…………まさか!!)」カパッ


 予感は悪寒に。

 悪寒は不安に。

 そして、『それ』を確認したとき、ライナーの不安は確信へと変わった。


ライナー「ッ…………!! や、やはり………!!」


 胸元から取り出したコンパスが示す進軍経路は、『南西』ではなく、『東』を指していた。

 事ここに至り、ライナーはようやく悟る。

 しかし、既に遅い。否――――遅すぎた。




ライナー(―――――ハメられた!! 気付け、アニ、ベルトルト!! 俺たちはいっぱい食わされた!!)





……
………


………
……



~二週間前~
~調査兵団詰所・会議室~


信長「それで? 作戦の概要は?」

エルヴィン「まず我々はカラネス区を出た後に、すぐさま長距離索敵陣形と言う、この――――」

信長「ふむ………」


 晴明からの連絡後、壁外遠征への参加の意思を伝えた信長たちは、エルヴィン・リヴァイ・ハンジ・ミケらの調査兵団の上層部から、作戦概要の説明を受けていた。

 陣形や行軍の日数、持っていく資材や人員構成、そして―――――行軍の表向きの目的から、兵たちには伝えていないエルヴィンの本心まで、余すところなく。


信長「エレンの巨人化能力の確認、新人どもには経験を積ませて………あわよくば、内通者のあぶり出しか。ふん、それなりに考えたな」

エルヴィン「当初はエレンの試運転がてら『行って帰ってくる』つもりだったが、君が謳った『シガンシナ区へと我々を辿り着かせることができる』のが可能であれば、別の作戦を立てるがね」

リヴァイ「所見を聞きたい。どうするつもりだ?」

信長「ふむ…………概ねわかった。陣形については問題なかろう。陣形のここら辺にシャラ率いるエルフを参列させればいいだろ」


ハンジ「良かった。陣形自体には大した変更はなしでいいね。んじゃ、この陣形はカラネス区を出た後に、南西へと迂回ルートをとる過程で――――」

信長「あ、それ変更」

ハンジ「え? 何を変更?」

信長「進軍るーと………まあ、進軍経路だな。それ、ボツ。大幅に変更するぞ」

エルヴィン「何!?」


 ――――エルヴィンが顔色を変えて叫ぶのも無理はなかった。

 信長の考える策とやらがなんであれ、行軍のルート自体に待ったをかけてくることだけはないと踏んでいたのだ。


信長「もう一度言う。経路についてはおもっきし変更するぞ」

リヴァイ「………てめえ、話を理解していたのか? 巨人との戦いでは、いかにして遭遇しないか、戦わないかが肝となる。この最短ルートを通るのは大前提。最低条件だぞ」

信長「とりあえず聞いてから判断せい、若造。…………この経路で行く」


 信長が地図のカラネス区を指す。

 そこから右へと信長の指先が動いていく。


信長「このからねす区を出たら、そのまま真っ直ぐに進み、『うぉーる・まりあ』とやらの東の突出区へ向かう」


 自信満々に言ってのける信長に対し、調査兵団の面々は懐疑的な表情を向けるのは当然だった。


エルヴィン「……………どういうことだ?」

信長「あのなー……しがんしな区とかいう、突出区の壁はブチ破られたのは聞いてる。壁外側の門を超大型に、内地側の門は『鎧』に破壊された、とな」

信長「しかし、他の突出区はどうだ?」

リヴァイ「すでに、そこの住人達は全てウォール・ローゼ内に逃げ込んでいる」

信長「そーゆーことじゃねえよ。もちっと考えろ。頭ン中まで禿げあがってんのかオメーは」


 カラネス区を出た後に、そのまま東へと直進し、東突出区へ向かう。

 その進軍経路にどのような意図があるのか―――――真っ先に理解したのは、ハンジ・ゾエだった。


ハンジ(!!!―――――私たちはバカか? そ、そうか………そういうことか、ノブ!!」


 ハンジは己の不明を恥じるかのように天井を仰ぎ、片手で顔を覆う。

 数瞬遅れて、エルヴィンもまた信長の意図を察して目を見開いた。


信長「やっと分かったかバカ」

リヴァイ「何? どういうことだ、クソメガネ」

ハンジ「わかんないかな、リヴァイ! 南側突出区のシガンシナ区の壁は破られたけれど――――東の突出区は、まだ破られていないんだ!!」

リヴァイ「ッ…………成程。門が破壊されていないから、東突出区内に巨人はいない、と?」

ミケ「ッ………!! そうか、そういうことか!!」


 ハンジの叫ぶような声に、リヴァイやミケもようやく得心行った。

 『超大型巨人』と『鎧の巨人』によって門を崩されたとはいえ、壁の恩恵は未だに有効だ。

 通常の巨人には壁を打ち破ることはできないことは、ここ百年では常識だった。

 だったら壁の上を行けばよい――――誰もが思いつきそうで思いつかないその発想は、調査兵団の面々にとってはまさに青天の霹靂であった。


信長「一応確認しておくが、五年前に東突出区の民草どもは、脱出した後に、内地へつながる内門は閉じたんじゃろうな? 閉じているのであれば、間違いなく区内には巨人はおらんということになる。ゆるりと休憩してから壁上を行けるぞ」

ハンジ「あ、ああ。閉まっているはずだ!」

リヴァイ「……………! 盲点だった。だとすれば、このルートは最長であるが、最も危険を冒さないルートでもある、ということか」


 ここカラネス区からシガンシナ区までの最短ルートは、確かに南西への直進だろう。

 しかし、『ウォールマリアという一枚の壁』までの最短ルートはそうではない。

 五年前に破られた壁は、シガンシナ区の外界への扉と、内地への内門の二つのみ。

 他のウォールマリアに隣接する突出区の扉は、どちらも破られてはいない。

 つまり突出区内にさえ入り込めば、できうる限り避けねばならない『巨人』がいない。『巨人そのものがいない』。

 『ウォールマリアはすでに陥落している』という固定概念によって、調査兵団をはじめ、他の兵団の兵士たちも、その発想を完全に失念していたのだ。


ハンジ「東突出区内に入り込みさえすれば、時間はかかるけど…………『壁上を進め』ば、シガンシナ区へと行ける!!」

エルヴィン「…………!!」

信長「そーゆーこった。余計な戦闘は避けるのが、巨人戦の鉄則なんだろ? ならば、まずは東側突出区に辿り着くのが肝要」

信長「そこまではこの経路が最短だ。何せ東側に辿り着きゃあ、後は壁に上って歩いてるだけで巨人どもと一戦交えずに済むんだからのう」

信長「何も馬鹿正直に東から出て、南の迂回路を行くことはねー。『しがんしな』に行くのではなく、『うぉーるまりあ』にさえ届けばよい。ならば東に真っ直ぐ突き進むのがいっとう早い」


 どうじゃ? とでも言いたげな信長に、調査兵団の面々は静かに首肯する。

 その方針に、否やはなかった。


エルヴィン「………道理だ。まだ問題はあるが、その案を聞こう」

信長「ならば良し。ああ、それと…………さっき言っておった『行って帰ってくる』っつー方針? そりゃ既に他の兵士たちには伝えてあるのか?」

リヴァイ「ああ。すでに作戦概要は、二週間ほど前に通達してある。日帰りの予定だということも、行軍予定ルートについても、全てを詳細にな」

信長「それ、そのままにしておくことは可能か?」

ハンジ「―――! そうか、内通者!」

信長「俺らを巨人と疑ってたお主らのことじゃ。そのぐらいはもう疑ってかかってんだろ? 『調査兵団の中に巨人が他にもおるかもしれん』ってことぐらいは」

エルヴィン「無論だ…………つまり、この作戦そのものを」

信長「ウム――――本作戦はここにいる者以外には秘匿する。この場にゃ団長、兵長、分隊長の連中しかおらんから好都合じゃ」

豊久「応。敵を騙すにゃまず味方から、という奴じゃな」

信長「俺が内通者の巨人化だとすりゃ、行軍経路で待ち伏せぐらいはさせるからのう。そのまま死ぬまで待ちぼうけ喰らってろ…………くくくくくくくくくくくくくくくくく」

豊久(悪い笑みを…………)

リヴァイ(悪魔かこいつは)



……
………


………
……



ライナー(……………!! どんな意図があるかはわからんが、行軍ルートが違う?!)


 同じ頃、ベルトルト・フーバーもまた、その事実に気づいていた。


ベルトルト(ッ、やられた………!! これじゃ、アニが来ないはずだ。アニは見当違いの場所で待ち伏せてる。しかも――――奇行種を引き連れて!)


 これは発案者の信長にとっても嬉しい誤算であったが、女型の巨人のアニ・レオンハートには、奇行種を呼び寄せる力がある。

 ウォールローゼ周辺の巨人をあらかじめ呼び寄せていたことが、巨人側にとっては完全に裏目に出ていた。

 待ち伏せした地点以外から巨人を呼び寄せたため、今回のように他のルートを通った場合は、足止めどころか手助けをしてしまう結果となる。

 ライナーとベルトルトはその事実に気づき、思い切り舌打ちをした。


ライナー(このあたりに巨人がいないのは………アニが呼び寄せたから。アニがここにいないのは、予定ルートで待ち伏せてるからか!)

ベルトルト(間違いない………僕たちヒラの兵士には伝えられていない………あえて伝えなかったのか! 僕たちに誤認させ、見当違いのところで待ち伏せさせるために!)


ライナー(効果は劇的だ………しかもこのルートと、進軍速度、一向に引き返さない様子から………どうやって辿り着く気かは知らんが………)

ベルトルト(こいつら………シガンシナ区へ行くつもりか?! 今回の行軍で! だとすると………まずい。本当にまずい!! アニが、アニが!! 引き離される!!)

ライナー&ベルトルト(してやられた!!)


 わかったところでどうにもならない。

 アニの待ち伏せているポイントからは、既に遠く離れている。この場で巨人化して迎えに行くわけにもいかない。

 エレンのいる場所がわからない以上、調査兵団内に巨人がいることを確定させてしまう愚を犯せなかった。

 何もできないふがいなさに、二人は唇を血が出るほどに噛みしめた。

 思わずこの場で巨人化して暴れだしたいという欲求を、必死に押し殺しながら。


ライナー(くそっ………アニ、気づいてくれ! こっちに向かってきてくれ!!)

ベルトルト(イヤな予感がするんだ。凄くイヤな予感が………アニ、お願いだ。なんとかして、こっちに来てくれ………!!)



……
………


~一方その頃の女型の巨人~



女型「…………(来ない)」ポツーン

女型「…………」クスン

女型「…………(ああ、そうか。のけ者か。私だけ憲兵団だもんね。そうやって私をのけ者にしようとしてるんだね、ライナーとベルトルトは)」グスグス

女型「…………(私のことが嫌いならそう言えばいいじゃない………こんな裏切りはないよ……こんな陰湿ないじめなんて、あんまりだ………ひどい、ひどすぎる………)」ウルウル

女型「…………(そうだよ。いつもいつもライナーとベルトルトはセットでさ。私だけ一人ぼっちでさ。のけものでさ。無口キャラ演じてさ)」ヒックヒック

女型「…………(五年前は実質あんたら壁破っただけじゃん。私だけどうして調査兵団員ブッ殺しつつエレン確保とか………明らかに難易度違うじゃん)」ビエエエエッ

女型「…………(そりゃあ私の巨人化能力の特性は敏捷さと部分硬化だよ。この作戦にはもってこいだよ。でもだからって、こんなのないよ………私だってか弱い乙女なのに、こんな鬼畜ミッション任せるなんて)」エグエグ

女型「…………(も、もうやだ。あに、おうちかえる。おとうさん………おとうさぁん………)」ポロポロ


奇行種A「ダイジョウブカイ、オジョウチャン?」オロオロ

奇行種B「ナミダフケヨ」ヨシヨシ

奇行種C「キットナニカ、ジジョウガアッタンダヨ」アセアセ


 まさかのぼっち状態に心細くなったアニは、乙女回路を暴走させて一人泣き伏せていた。

※今回はここまでです。前回の投下時に、次回は女型涙目と、そう言ったな。

 『僕は悪くない』

 『嘘は言ってないんだから』

 『だから』

 『僕は悪くない』

 アニ・レオンハート、リタイア。女型戦なんてなかったんや!

 次回、巨人フルボッコにされるの巻。

 なお、今回の内容で「えっ、壁外行くっていっても問題があるやん……」と疑問を持った方もいるでしょうが、

 一応そこらへんの解決策は考えてますので、ツッコミがあれば次回以降にお願いします。

※壁上を行くための問題は以下です。

 1.馬
 2.資材
 3.行軍日数

 一緒くたに解決する方法が一応あるので、お待ちをば。
 もう仕事したくないっす。一日中キルラキルのOP見ながらSS書いてたい。ごめん、泣き言です。

アニww

確かに嘘は言ってないな。

涙目ってかマジ泣きですやん

このアニは乙女可愛い。はっきりわかんだね。

アニに夢中で書き忘れてた。
乙!超おもしろいっす。
次回にも期待!

うまい具合にアニをフェードアウトさせて平和に暮らしてもらおう(提案)

アニは泣いていい
あっ、もう泣いてるか

ノブノブは魔王。それも鬼畜な魔王

この発想にはやられたわ
巨人が南から入ってくる関係上、他の方角は難易度が低くなるのか
兵士の体力ならご飯さえあればたどり着けるだろうしね

アニは三日間くらい泣いて、無断欠勤で絞られてまた泣くといいよ

なんでや!
軍隊で無断欠勤なんて逃亡兵やないかい!
あかん!こらあかんわ!UCHIKUBIやで!

保守

久しぶりに覗いてみたら壁内が薩摩になってた

このエレンは豊久に感化されて強くなりそうだ

ベルトルトは機動力と硬さが足りないから調査兵団のモブに囲まれたら詰むし、残るはライナーだが・・・
万全のリヴァイ、リヴァイ班、ミカサ、エレン、その他アニに削られてない調査兵団のみなさん
それだけでも死亡フラグなのに追加で信長、豊久、与一、エルフのみなさんか
・・・さよなライナー

ドリフは敵に回したらアカン

保守ん

hosyu

保守

ほーしゅ

ほしゅーん

保守する気あんのかお前らsage取れ

圧倒的保守

保守

下げてたら保守の意味無いなんてガセどこで聞いたんだよ

向こうのSSの更新も止まっているってどないなっとんねん工藤!?

ほーしゅ


>>1 もうこのスレはお終いか?

終わりはしないさ。終わらせるものか。
もう全部プロット考えてあるんだ。クソ熱いのを。
PC直ったので不定期的に投下していきます。
連日終電帰りがザラな>>1ですので、ゆっくり待っててください

待っている。

遅くまで乙です!待ってます!

お仕事お疲れ様 待ってる

今日の夜頃かな更新は wktk

※さて、お仕事完了。

 うん、休み? ああ、休暇のことですね?


 そんなもの……ウチにはないよ……。


 昨日も今日も仕事だったよ。おまけに風邪ひいたよ。インフルかもしれない。

 明日は代休取ったけど病院行って検査して寝て過ごすよ。

 というわけで、本日は書き溜めてあったのを投下します。 

 風呂入ってきます。



………
……


 行軍開始からすでに三時間が経過した。

 調査兵団の思惑に気づき、混乱していたライナーとベルトルトは、落ち着きを取り戻していた。

 アニとの合流はすでに期待できない。すでに東突出区までの行軍ルートは、とっくに中間地点を超えている。

 このまま巨人が現れなければ、後に時間足らずでウォールマリア東突出区へと到着してしまうだろう。

 しかし、ライナーとベルトルトは落ち着いていた。

 冷静にどうすればよいかを、互いに考えていたのだ。

 そして、今後調査兵団がとるべき算段についても――――。


ライナー(ッ………この行軍ルート、ウォールマリア東突出区へ向かっているのか)

ベルトルト(成程。とにかく東突出区へ辿り着き、壁内で休息を取り、物資を確保、整理・運搬して壁上を徒歩で行く………そんな算段か)

ライナー(やや遅いこの行軍速度にも納得がいく………徒歩で壁上を行くには大量の物資がいるからな。荷馬車に速度を合わせているのか)

ベルトルト(しかし、一向に巨人は現れない。このままじゃあ順調に東側突出区へ辿り着いてしまう。辿り着かせてしまう)

ライナー(アニがこちらに合流できるか? 無理だろうな。例え気づいたとしても、既に東突出区への行程は半分を過ぎた。いくらあいつの巨人化が健脚でも追いつけない)

ベルトルト(悔しいが………アニ抜きだ。今考えるべきは)

ライナー(今後の戦略! 作戦は大幅に変える必要がある! ベルトルトも俺と同じことを考えているだろう)

ベルトルト(作戦変更? それがどうした。やるべきことは一つ。そして狙うべき機も一つ)

ライナー(――――東側突出区内へ入った後に扉を降ろし、調査兵団員全員が安堵したその瞬間だ)

ベルトルト(壁内に到着し、誰もが壁から距離を置いた瞬間に巨人化する)

ライナー(人間が最も安堵した瞬間こそが弱い。ここまでの行軍で疲れ果て、やっと休みを入れられる。そんな中で巨人が現れれば、彼らの士気も地に落ちる)

ベルトルト(巨人化した僕は内地側の壁を蹴り壊し、外側の門はライナーが破壊する)

ライナー(その後はトロスト区防衛戦の時と同じだ。入り込んだ巨人たちに紛れつつ、エレンを探して確保)

ベルトルト(他の兵団員は皆殺しにして、エレンを連れて故郷に帰る。………アニは、後で必ず迎えに行く。絶対だ。約束するよ………)

ライナー(壁を破壊し、エレンを確保した後は即座に離脱。人類側はそこで全滅だろう)

ベルトルト(後二時間。その間に巨人が現れて全滅するならばそれでも良い。エレンが巨人化すれば位置がつかめる。その時に確保してもいい)

ライナー(以前、人類側の劣勢は変わらない。奴らは詰んでいる――――)




信長(――――って感じのことを考えてんだろ、間諜。バァカ、やらせねえよ)



信長(甘い甘い。そんななまっちょろい策なんぞ使うかよ。そもそも壁の上を馬が走れないなんて、どこのうつけが決めたか)

信長(この俺がいる軍で、好き放題やろうってこと事態が悪手だってことを、骨の髄まで刻み込んでくれる)

信長(第六天魔王の策略ってやつを、見せてやるぜ)






……
………


………
……


二週間前 カラネス区~調査兵団詰所・会議室~


信長「ここ『うぉーるろーぜ』から『うぉーるまりあ』までの距離は?」

エルヴィン「ローゼ・マリア間は約百キロだ」

信長「は? きろ?」

オルミーヌ「あ、戦国時代の換算で言えば、百キロっていうのはおおよそ二十五里といったところです」ヒソヒソ

信長「成程、尺度が違うのか。ごくろう。しかし二十五里か………荷馬車を率いての行軍となれば、馬の速度も落ちよう」

リヴァイ「荷馬車の速度がおよそ時速二十キロ………マリアまで早くても五時間はかかるな」

豊久「五時間、とはなんぞ?」

オルミーヌ「それもこっちの尺度です。(不思議なことに、オルテの尺度と同じだけど……)五時間は、戦国時代で言えばおおよそ二刻半です」

豊久「おお、すまんの」

ミケ「問題はそこからだ………壁の上を伝ってシガンシナに向かうのだろう?」

信長「うむ。何が問題なんじゃ」


ハンジ「………馬だよ。馬を壁上にあげるための手段がない…………今計算したら、東側突出区からシガンシナ区までの壁上ルートを通った場合、我々は800キロの距離を走破しなくてはならないみたいだよ……徒歩でね」


エルヴィン「ッ…………到底無理だな。徒歩では一日当たり軽装でも50キロが限界。食料や資材を運ぶとなれば、更に行軍速度は落ちる」

オルミーヌ「ええっと………フル装備で徒歩の場合、およそ一日当たり20キロぐらいだとしたら、シガンシナ区に辿り着くまで………よ、40日!? 無理です、無理! 餓死しちゃいますよ!!」

信長「違うぞ、オルパイヌ。俺らは40日で済むだろうが、こやつらは往復だ。最低その倍かかる。シガンシナに保存食があることをアテにできんのだからな」

オルミーヌ「あ………」

エルヴィン「とても現実的ではない。馬さえいれば、無理をすれば一日当たり250キロは行けるだろう。おおよそ3日と少しで辿り着ける。往復でも七日程度だ」

ミケ「それはシガンシナに到着後に、すぐに戻る場合だろう? シガンシナ区到着後、俺たちは区内の巨人を討伐し、壁をふさぎ、更にエレンの生家を調査しなくてはならない」

エルヴィン「無論だよ、ミケ。故に最低でも…………そうだな。君たちドリフターズ200余名の食糧5日分に、我々調査兵団員300余名分の食糧を10日分は用意せねばならないだろう」

リヴァイ「壁をふさぐための資材は………シガンシナに手ごろな岩があればエレンに運んで塞がせることもできるが、そうそう都合よくはいかねえだろうしな」


信長「やはり、馬は必須だ。なんとかして馬を壁上にあげる手段を考えねばならない」


エルヴィン「………壁の上を行く、か。今までにはなかった発想だ」

信長「なんだ、今になって反対するのか?」

エルヴィン「いいや。とても魅力的な作戦だが………それを実現させるためには、解決せねばならないな。馬をどうやって壁上まで運ぶのかを」


リヴァイ「確かにな…………壁の上には馬を持ち込めない。重い資材もだ」

ハンジ「うん。仮に首尾よく資材を壁上に運べたとしても、馬がいなければそれらは人力で運ばなくちゃならない」

ミケ「だがそうなれば、行軍日数が増え、より多くの食糧が必要となる。かといって更に多くの食糧を運べば、更に行軍日数が増える」

与一「積み荷が増えれば、東側への行軍速度すら下がりまする。我々がこれから考えねばならないことは、東突出区に辿り着くまでと、そこからのことですな」

信長「ウム。特に後者が問題だ。何せ首尾よく東突出区へ辿り着けたとしても――――」

リヴァイ「………壁上に上がる手段が、立体機動装置しかない」


 引き継ぐように言ったリヴァイの言は正鵠を得ており、信長の懸念していたことはまさしくそれだった。


信長「応よ。俺らは立体機動装置で壁上に上れる………しかし、馬はそうもいかん」

ハンジ「アンカーを何人かで使って引き上げるとしても、相当な時間がかかるよ」

エルヴィン「何せ壁は五十メートルだからな………重たい資材は縄で括り付けて持ち上げることも可能だろうが、生きた馬となるとかなり難儀するだろう」

信長「ふむ、それは問題だが…………問題は食糧だな。念のため聞いておくが、輜重隊(※兵站業務を専門とする兵士。資材や食料を運ぶ部隊のこと)なんぞ無理だろ?」

エルヴィン「無理だ。それができれば我々は苦労しない」

信長「で、あるな………」



 信長が特に危惧しているのは、食料の問題だ。

 何せ運び込める資材・食糧は有限だ。

 荷馬車を増やして大量に物資を運ぶとなれば、東突出区へ辿り着くまでの進軍速度に遅れが出る。

 かといって少量では、東側突出区に辿り着いた後は手詰まりとなる。辿り着く前に壁上で餓死などという笑い話にもならない事態になる可能性が高い。

 いかに士気が高かろうと、人は餓えれば死ぬということを、信長は経験上よく知っている。


信長「案を出せい。どんなものでも構わん」


リヴァイ「東側突出区に辿り着き次第――――馬を食糧として食いつぶす」

エルヴィン「却下だ。それではカラネス区への帰還方法を失う。シガンシナ区へ辿り着き、成果を上げたとしても、我々がその成果を届けられなくなるのでは本末転倒だ」


ハンジ「馬を大量に確保して遠征。東側突出区に辿り着いた後は部隊を二つに分ける。半数は馬を食いつぶして東側突出区で待機。残る半数はマリア外周をなぞってシガンシナ区へと向かう。馬は半分のみ食いつぶす」

ミケ「却下だ。エルフどもと信長・豊久・与一・オルミーヌがシガンシナ区に辿り着けなければ、この協力関係も無意味だ。こいつらは元の世界に戻りたいのだからな」


エルヴィン「壁上を徒歩で向かうルートをとり、道中は立体機動装置の使用により、壁上の行軍日数の短縮を図る」

ハンジ「却下だ。短縮できる日数もたかが知れている。何よりも予備を含め、ガス切れを起こせば、シガンシナ区内の巨人の排除に支障をきたしてしまう」



ミケ「東側突出区内に逗留し、拠点を築く」

リヴァイ「却下だ。一時的にはそれで凌げても、『鎧』と『超大型』がいる。奴らは必ず現れるだろう」

エルヴィン「調査兵団内に巨人側のスパイがいる可能性が示唆されている現状、そんな真似を奴らが黙って許すはずがない。最悪の場合巨人化されて全滅だ」



信長「結論は――――食糧不足も進軍速度も物ともせず、壁上を馬を用いて走破し、最短日数で調査兵団全員をシガンシナ区へと辿り着かせる。そんな方法だ」



エルヴィン「無理難題だな」

信長「で、あるか………ふぅむ」


 しかし、その無理を何とかして道理で引っこませる必要があった。

 ウォールマリア・東突出区へ辿り着いたとしても、そこから徒歩(かち)でシガンシナ区へ向かうには日数がかかりすぎる。

 東側突出区内に、都合よく保存食などが残っているなどといった希望的な観測には期待できない。

 なんとかして馬を壁上に運搬して、短期間でシガンシナ区へと辿り着く必要がある。


信長「立体機動は平地じゃあまり役に立たんと言っていたが、しがんしな区にさえ入っちまえば、家々があるんじゃろ? 使いたい放題じゃ」

リヴァイ「いや…………このままでは机上の空論だ。食糧に、替えのガス。馬も乗り潰すわけにはいかねえ」

ハンジ「うーん………壁上を行くにしろ、陸路を行くにしろ、貴重な馬を切り捨てるわけにはいかないね。どうにかならないだろうか」

エルヴィン「問題はその方法だな………ガス、食糧、そしてノブナガの説いた戦術を実現するために、様々な資材が要る」

リヴァイ「何か策はないか、エルヴィン」

エルヴィン「ぬ………」

信長「うーむ………」


信長(そうか………攻城戦とは違い、侵略先の資材を奪えばよいという訳ではない)

信長(シガンシナ区へ辿り着いた後、食糧や資材が揃っているかも分からん。少なくとも巨人はわらわらおるだろうが………)

信長(ッええい、このままでは本当にホラ吹きになるではないか………)


ハンニバル「おい、小僧」

信長「?」


 ハンニバルが、掌を他に向かって振り下ろし、続いて掌を地面と垂直・平行にジグザグと交互に動かした。


 ―――まるで、階段を作るかのように。


信長「―――――!!!」

エルヴィン「ッ………!!!!!」


 その手の動きを見て、目を見開いたのが信長とエルヴィンだった。

 そして確信する―――――ならば、馬で壁上を行けるかもしれぬ、と。


信長「おい、ズラヴィン。事情が変わった………馬や資材、まとめて壁の上に持ち込めるやもしれん」

エルヴィン「確かに………与一やエルフ達の弓術があれば、行けるかもしれない」

信長「お主も気づいたか」

エルヴィン「ああ」



信長「爺さん、あんた………」

ハンニバル「木いちごー、もっと木いちごー」

エルフ「しょうがないなぁ、ちょっと待ってて! あのう、おねいさん! じーちゃんが木いちご欲しいって」

ペトラ「ええええ? わ、分かった。後で買ってあげるけど、今は会議中だから、もうちょっと待っててね?」

ハンニバル「早くー、早く木いちご。木いちごくれないと壁内ほろぶ」

ペトラ「なんて恐ろしいことを………!」

オルオ「チッ、しゃーねーな。ホレ、金やっから買ってこい」ホレ

エルフ「わーい! ありがとーおっちゃん!!」

オルオ「おっちゃ………ふざけんなオレはまだにじゅうd!?ガリッ」

オルオ「ッ~~~~~~~~~!?」ガブッ



信長「おい、オルミーヌ。水晶貸せ」

オルミーヌ「えっ? あ、あッ、はいッ!」

信長「おい、聞こえるかはるあき。はるあきやーい」

晴明『なんでしょう』

信長「時間が惜しい。単刀直入に聞くが、オルミーヌは石壁の符を自作できるか。できれば通信用の水晶球もだ」

オルミーヌ「えっ?」

信長「できぬというのであれば、作り方を教えよ。この作戦の要となる」

晴明『後者は私が口頭で教えましょう。ただし二週間という制約があるのであれば、数は相当に限られますが不可能ではありません。素材が揃っていても、作り出せる通信用水晶球は十個かそこらでしょう』

信長「石壁の符は? 他の者も作れるか? こちらは可能な限り大量に必要となる」

晴明『………魔術に適正さえあれば、可能でしょう。そちらはオルミーヌに探していただくことになるかと』

信長「あいわかった。忝い………つーわけだオルミーヌ、おまえ調査兵団の連中から『まじゅつてきせい』とやらがある奴を選別しておけ。明日の昼には手伝わせる手筈をつけてやる」

オルミーヌ「えっ、ええええっ?」

信長「お主はこれから二週間、ひたすらに石壁の符を作れ。あと水晶球は最低十個作れ」

オルミーヌ「ええええええええええ!!?」


信長「できぬと? できぬのであれば、あやつをけしかけるぞ」チラッ

オルミーヌ「あ、あやつ?」

信長「島津豊久。特技は首をずんばら斬り殺すこと。捨てがまりで狙った相手は絶対殺す。ド田舎妖怪・首おいてけ」


オルミーヌ「ぎゃああああああああああああッ! わかりましたわかりましたやりますやりますから殺さないでーーーーーーッ!!」


信長「ではやれ、オッパイメガネーヌ」

リヴァイ「あのエルフとかいう長耳連中は? はっきり言って即戦力として使えそうだが? 何か問題はあるか?」

ハンジ「っていうか、凄いね君ら。フツー立体機動装置を十全に使えるようになるには、相当な訓練を積まなきゃならないんだよ?」

シャラ「俺たち元々弓が得意ですからね」

ミケ「瞬時に目標を選定して、アンカーを目標に撃ち込むのはともかく、姿勢制御にはコツがいるんだがな……」

リヴァイ「持久力がないのと、どいつもこいつも斬撃がお粗末なのは難点だが………ヨイチほどではないにしろ、弓の腕もいい」

信長「問題は馬術じゃな。コイツらそろいもそろって馬に乗れんのだ。そっちを重点的に鍛えてやってくれ」

ハンジ「了解したよ」

………
……

※短くてすいません。今後も不定期投下です。

 仕事とは恐ろしい、これだから。

 土曜の日曜もない。本当なら土曜は狂ったようにペダル回して百キロサイクリングを楽しもうと思っていたのにィ。

 来週こそは休めれば……いいなぁ。

更新乙。御身体労わってください。

超高速飛行の出来る偵察機を使おう

んでエレン家に十字架みたいにぶっ刺す

更新キタ━━ヽ(´ω`)ノ゙━━!!
仕事頑張ってください 支援

>>236

はン。これだからSS作者は。そんなだから衰退するのだ。

(足立区の方言で、あまり無理をなさらないで下さい。更新乙でしたという意味)

すごい ワクワクする…楽しいっす
お仕事お疲れ様

乙です
あの方法かぁ

>>238
SR-71…うわ誰だお前何するやめろ

追いついた!

支援

おもしろい源氏バンザイ

アニに優しい奇行種のおっちゃん達

待てばよかろうなのだ!

追いついた!
なんだこの安心感
続き超期待

保守

支援

>>1 率直に聞く このスレはもうおしまいか?

※率直に言おう。今帰ってきたところだ。タイムリー。

 書き溜めがないから、今からゆっくり投下します。

やった。待ってる。


………
……


~出立より四時間経過(東突出区到着まで残り一時間程度)~


モブ班長A『こちら8列・3より。南西より奇行種1体が接近中』

ミケ『了解。1列・2も煙弾を確認した。本隊へ通達。進路を修正されたし』

エルヴィン「――――了解。総員、これより進軍速度を上げ、北東へ進路を変更する。奇行種との距離を離した後、再び東へと進路を修正』

『『『了解』』』


 ブツッ


エルヴィン「……………改めて思うが、すごいものだな、この水晶球は。一部の信用のおける者に持たせたが、伝達が即だ。見ろ、今頃になって南西から黒の信煙弾が上がっている」

信長『で、あるな。戦の概念を根本から覆しかねん存在だ。作った本人はそれを全く自覚しておらぬ』


 手の中で水晶球を転がしながら、あきれたように信長がつぶやいた。これほどの代物をただの研究報告にのみ使っていたなどと、宝の持ち腐れにもほどがある。

 通信用水晶球は晴明の指導の下、オルミーヌによって新たに十個が製作され、エルヴィン、リヴァイ、ミケ、ハンジ、信長、豊久、与一、オルミーヌがそれぞれ一つを手にしており、残りはエルヴィンが調べをつけた信用のおける者へと密かに配布されていた。

 水晶球を持った人員は陣形の各要所に配置され、東西南北のどこに巨人が出現しようと、即座に報告できるようになっている。


 ほどなくして右翼後方から伝達が入り、無事に奇行種を撒いたとの報告が入り、エルヴィンは進軍経路を再び東へと戻す。

 全てが順調に進んでいた。

 しかし――――エルヴィンの表情からは、どこか憂いを帯びた緊の硬さが抜けずにいる。


エルヴィン「…………しかしノブナガ、どう思う?」

信長『どうとは?』

エルヴィン「カラネス区を出てから、既に四時間余り。今のところ、出立直後の壁付近での戦闘を除けば、先の巨人が遭遇一体目だ」

信長『ふむ? どうじゃ、ハンジ。お主はこの状況、どう見る』

ハンジ『え、私に振る?』

信長『やはり聞いておったか。巨人についてはお主が一番詳しいのだろう? 所見を聞かせい』

ハンジ『うーん………正直、こんなことは私も初体験でね。私らに取っちゃ順調なのは嬉しい限りなんだけど、正直不気味だよ。巨人が全然出てこないだなんて』

信長『ほう? お主はそう思うのか』

ハンジ『ノブは違うの?』

信長『ああ、違う。俺ら(ドリフターズ)は巨人のことをロクに知らぬ。故にこそ思うところがある―――――』

エルヴィン「聞かせてもらえるだろうか」


信長『巨人は知性なき獣だという。しかし一方で知性を持つ巨人がおるのならば、それらを操ることのできる存在がいる、というのはどうじゃ?』

エルヴィン「―――――待ち伏せ、と? 本来、我々が通る予定だった進軍ルートに、知性巨人が待ち伏せを行っていたと?』

信長『呑み込みが早いな。根拠はねえが、そう考えると妙に辻褄が合う。俺らが本来通っていた進軍経路の方向である、南西からやってきたってのも妙に臭い。ま、可能性の一つに入れとけ』

エルヴィン「………それが事実なら、やはり調査兵団の人員に、裏切り者がいるということになるな」

信長『可能性の話だっつってんだろ。そりゃ以前、俺が諜報なら待ち伏せぐれー行うかもなーとは言うたがな、ただ単に本ッ当に運が良かっただけという可能性もある。あまり深く考えるでない。今は目の前のことに集中せい』

エルヴィン「しかし……」

信長『思い悩めとは言うたがな。杞憂ってこともあろう。可能性を考えればきりというものがない。例えば俺らの作戦が全部巨人側にバレてて、東突出区前で巨人どもが大挙して待ち伏せ、なんてこともあるやもしれぬ」

エルヴィン「―――――!」

信長『焦っとる顔が目に浮かぶようじゃな。心配はするだけ無駄じゃ。考えるなら、『そうなった』時に、『どうすべきか』を考えよ』

エルヴィン「………ああ、わかった。敵の陰謀にしろ、運の良し悪しにしろ、気は抜かな――――!!! 見たか、ノブナガ!?」

信長『ああ。面倒だな、おい――――!!』


 通信を挟んで、しかし両者の視線は示し合わせたかのように、東の空へと向いていた。

 北東、東、南東の三方向から、黒の信煙弾が上がっている。

 数瞬後、二人の水晶球に、焦りを帯びたミケの声が響いた。


ミケ『まずいぞ、エルヴィン。北東、東、南東の三方向より、奇行種が接近! それぞれ10・6・8体だ! 東はおよそ一分ほどで接敵する!』

エルヴィン「!!」

ミケ『進軍ルートを変更するか?! どちらにする! 南か! 北か!』


 エルヴィンの脳裏で瞬時に『どうすべきか』の判断が浮かび上がる。

 壁外調査において、巨人との戦闘は可能な限り避けるのが定石である。

 そのセオリーに従うのならば、ここは無理をしてでも北か南へと方向転換し、この一時をやり過ごす。

 指揮官ならばそう考えるのが普通だ。

 しかしそれは――――それまでのエルヴィンならば、という前提がつく。


エルヴィン「方向は変更しない。このまま前進だ。東の巨人と戦闘に入る」

ミケ『!? 本気か、エルヴィン!?』

エルヴィン「冗談を言っているように聞こえるのならば、繰り返す。前進だ」

ミケ『しかし――――!!』

信長『別にいーじゃねーか。問題なし、進めい』

ミケ『ノブナガ!? 分かっているのか!? 三方向だ! このまま接敵すれば、間違いなくこちらにも被害が!!』


信長『黙れチョボ髭野郎。ひょっとしてこんなことを考えておるのか? 誰一人欠けぬまま東区に到着できるかもしれないのに、なぜ危険を冒す必要があるのか、と?』

ミケ『そ、それは』

信長『日和ってんじゃねーよ。ちぃっとばかし順調に行軍できてたから欲が出たか? それでも一軍を任された将のつもりか、うつけ』

ミケ『…………ッ、ぐ』

エルヴィン「落ち着け、ミケ。信長も、あまり私の部下を苛めないでやってくれないか」

ミケ『エルヴィン………?』

信長『なーんーだーよー。もうちっと弄らせろ』

ミケ『ど、どういうことだ?』


 狐につままれたような表情で呆けた声を出すミケに対し、エルヴィンは悪戯が成功した悪餓鬼のような表情を浮かべ、


エルヴィン「忘れたのか、エルヴィン。巨人と最初に接敵する可能性が最も高いだろう先陣に、今回誰を配置していたのかを」

ミケ『―――――!!』


 水晶ごしにも、ミケが息を呑む気配が伝わったのか、信長もまたクッと喉を鳴らして笑みを浮かべた。


信長『そういうこった。今先陣には、あやつがおる。エルヴィン、指示を出してやれい』

エルヴィン「ああ、そうだな。と言っても、聞いているんだろう?」


 水晶の向こうから返答はない。だが『そこにいる』ことは明らかなほどに濃密な殺意が、東の大地から伝わってくるのを、エルヴィンは感じ取っていた。

 その研ぎ澄まされた矢じりの先端のように鋭き殺意を放つ者に向かって、エルヴィンは命を下す。




エルヴィン「…………聞いての通り、君の出番だ、ヨイチ。思うままに埒を開けてくれ」



与一『―――――御意』



 鈴の音の如く透き通った声が、水晶球より響いた。




……
………


………
……


与一「那須資隆与一。推して参る」キリッ

モブリット「って、ええええええええええええええええ!? このまま迎え撃つ気ですかあああああああああああっ!?」

与一「そーですよ。というわけでー、エルフの諸君ー。前方に見えるは巨人の集団です。ハイ、第一陣、第二陣、第三陣、戦闘準備して前へー」

 ハーイ!

モブリット「え、ええっ?! な、何をするんですか!?」

与一「なぁに、積み荷の出番ってコトですよ。カラッポになった馬車は捨て置いてー、御者は馬だけ回収して乗り換えろー!」

 ハーイ!

モブリット「あ、あれは………か、火薬? 火薬と弓で、何が―――――」

与一「黙って聞きましょーネー。打ち首にされちゃいますよ? はい皆の衆良くお聞き。第六天魔王様の悪知恵より拝借しました、エルフと私、那須与一が猿でもできる巨人殺し講座を実践して見せましょう」

モブリット「し、しかしですね………」


与一「――――良く見て理解しないと死にます」


モブリット「」ゾクッ


与一「第一陣! 与一隊、弓構え!!」


信長『巨人っつーのはデカくて力が強くてうなじを削がないと死なない怖いナマモノですが、実は全然怖くありません。景気よくドドドッと走ってきますがー』


与一「狙いは眼球。矢を番えよ! 合図の後に一斉射、用意!!」


信長『あ奴らはオツムがとても残念です。巨人同士で連携したりは全くなく、ただ沢山の人間に向かって真っすぐに突き進むだけとか、もー超怖くない』


与一「まだだ! まだひきつけて!!」


信長『調子よくズンズン突き進んできますがー、こっちの作戦通りということに全く気付いておりません。気づくオツムが存在しないからです』


 ドズーン、ドズーン


与一「放て!!」


 与一が叫ぶとほぼ同時に、与一を筆頭としたエルフ達弓兵が一斉に矢を放つ。

 通常の矢であれば、命中したところで巨人を死に至らしめるには不足に過ぎる。

 眼球に突き刺さったところで、しばしの足止めが精いっぱいだろう。


 事実として矢が巨人の顔や喉、足などに次々と突き刺さるも、巨人は足を止めずにそのまま前進を続けた。

 しかしそれはあくまでも『通常の矢』であった場合の話だ。

 矢が着弾した数瞬後、爆音と閃光が東の大地を包み込んだ。


与一「あは、すげい」

モブリット「?! なっ、なっ、なっ、ななに、何がッ?!」


 愕然とつぶやくモブリットの視線の先では、もうもうとした黒い煙が上がっている。

 それが晴れたとき、モブリットの視界に飛び込んできた光景は――――。


モブリット「きょ、巨人が…………こ、こけてる?」


 致死には至らなかったものの、盛大に転倒している六体の巨人の姿があった。



……
………


………
……


エルヴィン「うまくいっているようだな」

信長『で、あるな』

エルヴィン「敵が強くて怖いなら、攻撃させなければ良い。向こうに並の攻撃が通じんのならば、並ではない一撃を見舞ってやれば良い…………か。最初に貴方がそう言ったとき、心底頭にきたよ。それができれば苦労はしないと」

信長『今も頭にきているか?』

エルヴィン「来てるさ。自分自身の頭に対してだが」

信長『ふん。当たらぬ大砲より、当たる小筒よ。巨人めらを殺しきるだけの威力が備わらずとも、使い方次第じゃ。戦わぬのが最善なら、足を止めてしまえばよい』

エルヴィン「それをあっさりと思いついて実行させてしまうのが、君の恐ろしいところだよ、ノブナガ」


ミケ『で、伝令! 東側からの巨人六体、全て転倒…………い、いや! 一体はうなじが吹き飛ばされて死んでるだと!? 一体討伐だ! 与一が、与一がやった!!』


信長『で、あろうな。与一の腕なら、あんなデカブツのうなじに火薬包み付きの矢をブチ込むのは訳ない』

ミケ『正面から向かってくる巨人のうなじを吹き飛ばすのが、訳ない!?』

信長『貫通させたんじゃね? ホラ、言わなかったっけ? 豊久も恐ろしいが、俺は与一も怖いと』

ミケ『聞いてないぞ!?』


信長『ぶっちゃけあいつが元の浮世んときにうちの軍にいたらなーって思う。敵将を労せずして射殺せるからのう』イクサガチョーラクニナル

ミケ(やだドリフ超怖い)ブルブル

エルヴィン「弓術が不得手な者でも、足や頭に射掛ければ、火薬の爆風で巨人の体勢を崩すことができる。実に有効な戦術だ」

信長『まー、火薬にも限りはあるから、そうそう連発はできん。となればただの矢で攻撃するしかねえ――――が』

エルヴィン「聞く限りでは、与一に限ればそれでも十分だろうな」



……
………


………
……



巨人「ヴ、ヴヴヴヴ………」ググググッ

モブリット「あ、あっ、ああっ!? も、もう立ち上がろうとしてるヤツがいます!!」

与一「シッ!!」ギュパッ


 ドスドスッ

 ギャアアアアアアアアアアアアッ!!!?


モブリット「ッ?! きょ、巨人の目玉に、矢を!?(こ、この距離で………なんて腕前だ)」

与一「大命中ー。『とうばつほさ』はこれで2、ですね」

モブリット「と、討伐補佐?」

与一「ええ――――――第二陣、調査兵団の精鋭らによる追撃。ハイ、削いで削いでー」

モブリット「ええええっ!?」


 与一の合図の後、すぐさまガスを蒸き鳴らして与一の頭上を飛び越え、空を翔ける影があった。


モブリット「へ、平地での立体機動を………!? な、なんだ、あれ!? アンカーが刺さったところから………い、『石壁』が?!」

与一「パイオツーヌ殿の石壁の符ですよ。あんかぁの先に貼り付けて放てば、即席の足場になりますので―――――立体機動の成功率も跳ね上がります」ウフフ

モブリット(なんなのこいつらの脳味噌どうなってんの………)


リーネ(! す、すごい! 平地なのに、森や市街地での戦闘と同じぐらい、高度を保てる………!!)ギュオオオンッ

ヘニング(巡航が楽だ………それに、先行しているリーネの石壁を足場にすれば、符を消費せずとも更に距離が伸ばせる!)バシュゥウウウッ


与一「………と、あの通り接近は容易。そして巨人らは誰も彼も倒れてしまっています。斬るのも造作もありません。ハイ、トドメをお願いします」


ナナバ「―――――ッは!!」ビュオッ

ゲルガー「おらあああっ!!」ヒュバッ



 ザシュッ、ザシュウッ、ズバッ、ズバンッ!!



モブリット「ッ、こ、こんな………こんな方法がッ………!!」


与一「えー、信長殿からの伝言でーす。『だから貴様らはうつけだと言うたのだ。あいつらにも目ン玉はある。視界はある! まず抉るべきなのは足の腱などではなく、目ン玉だ』」

モブリット「」

与一「『一部の精鋭共は目ン玉切り裂くだけの技量は持ってるようだがニャア、もっと飛び道具使えよタコ』」

モブリット「し、しかし、どうやって当てるんです? 誰も彼もが、ヨイチのように弓を扱えるわけじゃないんだ!」

与一「あ、それを言ったときにはこう言えと………『距離保ったまま顔面狙って騎射すりゃいーだろが。数撃ちゃ当たる寸法よ。足狙いでも十分イケる。火薬包みの矢を足に命中させて転ばせることだってできるだろーが』」

モブリット「」

与一「加えてもう一つ―――――『巨人戦では、逃げるのがまず肝要なんじゃろう? 何も問題ないではないか』」

モブリット「ッ………!!」

与一「まぁ、折角いい立体機動装置(あし)があるにもかかわらず、それを十全に生かせないのは、確かにうつけですねぇ」ウフフ

モブリット「ぐぬぬ………」

与一「あー、後列の第三陣は運悪くあおむけに倒れてうなじが狙えなかった巨人に、もう何発か棒火矢を食らわせてやってください。あとは放置します」


 リョウカイ!!


与一「後はテキトーに足止めしつつ馬で距離を稼ぐのを繰り返せば引き離せます。講義終了!」


………
……



ミケ『………ほ、報告だ。東方向の巨人、ぜ、全滅………こちらの被害は、ぜ、ゼロだ。北東、南東から向かってくる巨人は、そのまま先行してる与一隊に向かっている』

信長『同じ方法でブッ殺せ。できるな、与一』

与一『あい』

エルヴィン「頼んだぞ」

与一『お任せあれー』ブツッ

ミケ(すさまじい………口だけでは………匂いだけでも、なかった。こいつら、こいつらは、本物だ! 本当に、人類の希望に………!!)

信長『で、チョビ髭野郎。どんな気持ち? ねえ? 間違いなく被害が出ると思っていたのに被害は一人も出ていない結果になったけれど、今どんな気持ち?』プークスクスプー

ミケ『』イラッ

エルヴィン「あまり苛めるなと言っているだろう。その辺にしておいてくれ。ミケとて団員に被害が出るんじゃないかと心配しているんだ」

信長『お優しいことだな。戦場では意味もなく造作もなく人は死ぬというに』


信長『……………ああ、そうじゃな』

エルヴィン「今頃、彼は――――」

信長『ああ、あ奴はきっと――――』


エルヴィン&信長「ものすごく、イラついている」




……
………


………
……



豊久「」イライライライライライラ


コニー(お、おい、誰か………トヨヒサがすげえキレてるぞ………おいブス、話しかけろよ)ヒソヒソ

ユミル(テメーがやれチビ。私は自殺願望者じゃねえ)ヒソヒソ


豊久(なぜ俺が先陣ば切れぬのじゃ納得いかぬありえぬ冗談ではない首掻き取りたい首切りたい置いてけ置いてけうなじ置いてけ手土産手柄手柄手柄親ッ父に手土産が顔向けが首が手柄首がとにかく首じゃ首首首首………)ムカムカムカムカ


サシャ(わ、悪いことは言いません。トヨヒサさんに今話しかけちゃダメです。絶対死にます。冬眠明けの餓えたクマにハチミツ塗りたくった体で近づくようなものです……)ビクビク

ミカサ(すごい殺気…………駆逐状態のエレン十人分ぐらいだろうか。凄まじい)コワイ

コニー(何考えてるか分かるってのもなぁ………真似できねーよ。なんでああも戦いたがるんだ。怖がってたこっちがアホみてえだぜ)ヒソヒソ

ユミル(死に急ぎ野郎と同じなんだろ………おまえはそのまんま程よくバカでいろよ、チビ)ヒソヒソ

コニー「ああ?! どういう意味――――」

豊久「あ゛?」ギヌロッ

コニー「」タマヒュンッ


コニー「あ、ああ、あ、い、いや、そ、その………」ガクガクブルブル

豊久「」ギョロリ

コニー(あ、俺死んだ)

豊久「きょじん…………」

コニー「へ?」ヒョ?

豊久「こにぃ。後ろを見やれ」

コニー「んあ?」クルッ



巨人「ンアー」アグアグ



コニー「」ジョバーーーー


ミカサ「! 奇行種が、どうして中列に!?」ジャキッ

ユミル「ッ?! 索敵漏れか?! 索敵班は何してやがったッ、クソがッ!!」ジャキッ

豊久「索敵漏れ、じゃと…………?」ゴゴゴゴゴゴゴ

サシャ「あ、あばばばばばば(怖い。トヨヒサさんが)」コワイ

コニー「う、うばばばばばば(怖え。トヨヒサが)」コワイ



豊久「で か し た ! ! (どこを見ておったこんぼげえ!!)」



ユミル「オイ、本音出てんぞアンタ」

ミカサ(巨人を見て喜ぶ人がハンジさん以外にいるとは思わなかった)

豊久「こやつは俺がやる。お主らは先ば行けい」ジャキッ


サシャ「え、ええっ!? い、いえ! 私も戦います! 立派な兵士として!」キリッ

コニー「お、俺もだ! やってやる!! 故郷の家族は俺が守るんだ!」キリッ


豊久「さ き に ゆ け(意訳:俺の獲物を横取りするならお主らの首も手柄に加える)」


サシャ「はい」ヒュン

コニー「はい」ヒュン

ミカサ(弱い(確信))パカラッパカラッ

ユミル(さっさとここから離れよう………)パカラッパカラッ


巨人「アウガー?」アグアグ


豊久「前ん時から思うておったが、面白か面構えばしとるのう。何が可笑しい?」ジャキッ


巨人「ウガアアアアアアアアア!!」ズシンズシンズシン


豊久「―――――はン」バシュッ


 豊久の問いには答えず、巨人は一直線に距離を詰める。

 それに対し豊久は鼻で笑い、無造作に立体機動装置のトリガーを引いた。

 アンカーの射出先は巨人の前方十メートル程度の地面。着弾と同時に石壁の符が作動し、即席の足場を作り出すと同時、


巨人「ウガッ!?」ガッ


 硬い石壁は巨人の足を引っ掛ける、即席の罠と化した。


ミカサ「!!!! (上手い!)」

ユミル(巨人の歩幅から、軸足の着地点を見極めて、正確にアンカーを撃ち込んだと!?)


 前方へと無様に倒れ伏す巨人の視界が、地面に覆いつくされる。

 その巨人の視界が、再び空を仰ぎ見ることは終ぞなかった。

 何故ならば、初撃のアンカーを放った次の瞬間には、


豊久「―――――日ノ本ん言葉喋れねえなら、死ねよ」ヒュオッ


 豊久は、止めの動作を完了させていた。


 ワイヤーから伝わる運動エネルギーをほぼ上空の方向へと変換し、豊久の肉体が中空を踊る。

 一方でもう片方のアンカーを倒れ伏した巨人の首筋へと射出。

 さながら流星の如く豊久の体は巨人のうなじへ向かって落下し、


豊久「ッチィィィエリャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 己が全てを込めて振り下ろした双刀は、15メートル級巨人のうなじを首ごと削ぎ落した。


ミカサ「………!」

ユミル「――――」

サシャ「」

コニー「」


 巨人があらかじめ倒れる場所を推測していなければ不可能な戦闘判断に、傍で見ていた新人四名は息を呑んだ。

 なまじ成績優秀者ばかりが揃う彼らには、その異次元の戦法の意味が理解できず、怖気すら感じた。

 豊久の取った戦法は――――失敗すれば、死ぬ戦い方だ。


豊久「獲ったぞ!!」


 もしも巨人が石壁に躓かなかったら?

 躓いたとしても、よろけるだけだったら?

 転んだとしても、予想した場所へ倒れなかったら?


 その一つの前提が崩れただけで、この結末は逆転していた。

 ただただ凄まじく、恐ろしい。

 獰猛な笑みを浮かべ、誇らしげに勝鬨を上げる豊久にあこがれに似た高揚を抱きつつも、四者四様、考えることは共通していた。

 ――――あの一撃は自分たちには真似できない。外れれば死ぬ。

 決して真似できぬ戦い方だと、四名は肌で感じた。


エレン「おーーーーい! トヨヒサ! ミカサ!! コニー!!!」パカラッパカラッパカラッ

アルミン「ミカサー!! みんなー!!」フリフリ

クリスタ「ユミルー!! サシャーーー!!」フリフリ

リヴァイ「――――索敵漏れがいたのか」

豊久「うむ? おお、えれんに、りばいではないか」

ミカサ「エ、エレン! アルミン!」

ユミル「私らの後方にいたのかよ………クリスタ」

コニー「おお、エレン! 俺らのすぐ後ろにいたのかよ! アルミンとクリスタも…………って、なんで二人は馬車乗ってんだ?」

サシャ「馬が足りなかったんですか? あれ? 二人とも、なんだか凄く、その…………お疲れです? 目にクマが………」

アルミン「あ、あはは………いろいろ、あってね。うん、そう………この二週間、いろいろね………」アハハ

クリスタ「うん………知ってる? 徹夜ってね、三日を超えると、意識が途切れ途切れになってね?」ウフフ

コニー「は?」

サシャ「ク、クリスタ? お、落ち着いてください」

ユミル「お、おい、どうしたクリスタ? 二週間前からずっと詰所に行ったっきり帰ってこなかったことに関係あるのか?!」



リヴァイ「後にしろ。今は進め」

ペトラ「ほら、トヨヒサさんも馬に乗って!」

豊久「うむ」

リヴァイ「ちょうどいい、豊久。巨人ブッ殺して少しはウサも晴れただろう。こいつらのお守を手伝え。もう壁も近いしな………作戦の最終確認も兼ねて、少し話したいこともある」

豊久「構わんど」スッキリツヤツヤ



……
………

※といったところで今回の投下は終わり。

 次回は壁に到達予定。

 おかしいな。PC死んでプロット死んだから組みなおしたら倍ぐらいに増えたよ。

 仕事も先月に比べて倍以上になったよ。

 クソッ、クソックソッ! だがまだだ。正月がある。正月に期待だ。

 休みが欲しいです。

乙。面白い。

流石豊久だ。やることが違う

投下、お仕事、お疲れ様。最近クソ寒いからお体御自愛くだされ

続き来てた!乙!


>>269>>270の間抜けてません?

>>285
 Oh……抜けてます。

エルヴィン「ところで、中列に配置した豊久のことだが………彼の性格を考えると、そろそろマズイんじゃないのか?」

 的な会話が挟まります。ご指摘ありがとう。会社行ってきます。

保守せねば

ほーしゅ

支援

保守

今年もいよいよ明日で最後ですね。源氏バンザイ

進撃も紅白出場ですね源氏バンザイ

更新待ってますよ!源氏バンザイ

>>292

大隊総員傾注!対睡眠防止装備!集結!


~年末愉快SS 黒王様御乱心~



黒王「今年も残すところあと数時間! よいこのみんなあちまれぇ~~~~! あとがき愉快SS黒王様ご乱心の時間だよー」

アニ「はい、黒王様、お願いがあります」ズパッ

黒王「ハイ。そこのやたら目力強い数人食ってそうなホラーフェイス、なんでも聞いてみんしゃい」

アニ「」イラッ

黒王「同期の子から『アニちゃん目こわッ!』とか言われたりしない?」

アニ「」ピキピキ

黒王「おお、怖い怖い。で? お願い事? っていうのは?」

アニ「その前に聞きたいんだけど、本編は? このSSの続きは?」

黒王「新年です。ごめんなさい。フツーに実家の大掃除やらあいさつ回りやらで>>1は地獄を見ています」

アニ「そうなの。では改めてお願いがあります」

黒王「ウム。なんでも言ってみんしゃい」ズパッ


アニ「エレンとっ捕まえて故郷に帰るための方法を教えてください」

黒王「ウム、今のところなさそうだね。それ無理☆」シレッ

アニ「えっ」エッ

黒王「君、原作だと水晶の中じゃん。しかもシーナの。どうやって脱出するの?」ン?

アニ「え、えっと………そ、そうだ、ライナーとベルトルトが助けに来てくれたり」アセアセ

黒王「アイツらが巨人だってことはもうバレててさー。いくら原作の人類側上層部がクソでも、人相書き回して指名手配くらいするでしょ。シガンシナからこっちどうやって助けに行くの?」

アニ「ぐ……そ、それは」オロオロ

黒王「もしアナタが首尾よく水晶から脱出してシーナから逃げきれても、今度こそ捕獲されて凌辱系エロ同人みたいな展開に? なるんじゃね?」

アニ「え、えろ同人って………」カァァ

黒王「巨人の秘密についてー、吐いてもらおうかー、言えないかー、では体に聞くまでだフハハー、みたいな? 感じに? なるんじゃね?」マジデ

アニ「な、な…………わ、私は戦士だ。そんなことされたって屈したりなんかしないよ」

黒王「そうかな? アルミンくんやハンジさん辺りが、君からあっさりメスの顔を引き出す魔法の言葉を放つと思うんだけどね」

アニ「えっ!?」


黒王「こんな感じに」



ゲスミン『故郷に………帰りたいんだろう? 素直に僕の言うことを聞くなら………僕は君にとって『いい人』になれるかもよ……?』ニタァ

ハンジ・ゲス『ライナーとベルトルトが……どうなってもいいのかい? 君が従順になるなら、あの二人は解放してあげてもいい………』ククク



アニ「ゲスミンとハンジ・ゲスじゃねーか!」ガビーン

黒王「そんでもって後はなし崩し的にヌッチャヌチャのグッチョグッチョにされちゃうわけですよ。君は「お父さん、ごめんなさい………私帰れない……」とかなんとか言って快楽堕ちエンドね。ハラボテになってベルトルトとのNTR再会エンドみたいなのもステキにクレイジーだね」

アニ「エロ同人誌の読みすぎだからそれ!!」ガビーン

黒王「でもありそうだよね」

アニ(…………やばい、否定できない。今年のコミケどうなってんだろう。実際こういう同人誌出てそうだ)ズーン


アニ「さておき、このSSって私の出番がロクにないよね」

黒王「せやね」ホジホジ

アニ「このSS書きはエレアニストじゃなかったの? なんか普通にミカサとくっつきそうなんだけど」

黒王「うん、死にたいの?」

アニ「えっ」

黒王「出番あったら確実に死んでると思うけど。アナタ理解してる? 島津だよ? 島津。あの戦闘民族薩摩隼人だよ?」

アニ「で、でも私は知性巨人だし、ライナーやベルトルトと連携したら、勝利とは言わなくてもそこそこ戦えてたと思うけど」

黒王「主人公補正舐めんじゃねえ」

アニ「えー………」

黒王「じゃあ聞くけど、君、あのメンツ相手にどうやって勝つつもりだったの?」

アニ「えっ」

黒王「死に急ぎ野郎はヒロインとしても、人類最強へーちょにミカサ、そこに妖怪首おいてけに第六天魔王、源氏の英雄まで揃ってどうやって勝つつもりなの?」

黒王「逆に聞きたいぐらいなんですけどねワタシ」

アニ「そ、それは………」


黒王「島津が相手とか死亡フラグに突っ込むようなもんじゃん、あいつらヘタに関わると死ぬし、関わらなくても目ェつけられて関わってこられたら死ぬし」

アニ「島津はコ○ンくんだったの!?」

黒王「もっと恐ろしくおぞましい何か? じゃね?」

アニ「」コワイ

黒王「ところで話は変わりますが」

アニ「な、なに?」


黒王「アニのアとニの間に「ナ」って入れたら「アナニー」じゃん? チョー淫乱っぽいから来年までに改名してこい。生まれ変わった名前で新年を迎えなさい」



アニ「」


黒王「ついでにレオンハートなんつー苗字も改めれば? 直訳で『獅子の心臓』って何よ、どこが乙女なのよ中二臭い」

アニ「ひどすぎる!?」ガーン

黒王「どうせならオンスロートとかにしなさいよ、オンスロート。意味は『猛襲』。ホラ、壁壊してんだしチミタチってば」

アニ「指でわっかを作って抜き差しするな!!」

黒王「アナニー・オンスロート………プッ」クスクスプー

アニ「」イラッ

黒王「一体どこに猛襲かけようとしているの? 穴でしょ!」ビシッ

アニ「」プッツン


 カッ!!


女型「きぃぃいやああああああああああ!!」ギシャーーーッ


黒王「ぶおーーーっ、ぎゃーーーーっ、ブオーーーー!!」ブチッ



~完~

コミックスのおまけだあ!嬉しい!

>>1です。なんやかんやでSS書き始めてから半年が過ぎました。

 来年もよろしくお願いします。ドリフやら種付けやら終わったらそのうち弱虫ペダルのSSも書きたいです。キチSS系の。

 ウンコ出して加速したりすんの。福チャンがそのゴッドハンドでフィストファックして金城を足止めしたりすんの。

 東堂が「オレの排便は音がない! スリーピング・脱糞!」とかドヤ顔で言ったりするの。
 

          ハヽ/::::ヽ.ヘ===ァ
           {::{/≧===≦V:/
          >:´:::::::::::::::::::::::::`ヽ、   モッピー知ってるよ
       γ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     _//::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
.    | ll ! :::::::l::::::/|ハ::::::::∧::::i :::::::i   クッソ汚いホモとスカトロ要素があると

     、ヾ|:::::::::|:::/`ト-:::::/ _,X:j:::/:::l
      ヾ:::::::::|≧z !V z≦ /::::/     SSの人気が出るってこと
       ∧::::ト “        “ ノ:::/!
       /::::(\   ー'   / ̄)  |
         | ``ー――‐''|  ヽ、.|
         ゝ ノ     ヽ  ノ |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

笑った。アニさん楽屋裏で思いっきりエレンといちゃいちゃして憂さ晴らししてください。よいお年を。乙。


………
……


~出立より四時間半経過(東突出区到着まで残り三十分程度)~


豊久「して、話したいこととはなんじゃ」

リヴァイ「まぁ、いろいろあるんだが………少し、前へ出るぞ」

豊久「ぬ? 聞かれたら拙い話か?」

リヴァイ「そういうわけではないんだが―――――」チラッ



ペトラ「…………」チラチラ

オルオ「…………」ジーッ

グンタ「…………」チラチラ

エルド「…………」ジーッ


リヴァイ「こうもガン見されてるとウザすぎて話もしづらい」イラッ

豊久「お主は見た目によらず案外神経質じゃのう」


リヴァイ「てめえが図太すぎるだけだ。いいから来い」

豊久「応、分かった」

リヴァイ「ペトラ、オルオ、エルド、グンタ。てめえらはこのままの速度を維持。変事があればすぐに伝えろ」

ペトラ「りょ、了解しました!」


 言うと、豊久とリヴァイは馬の速度を上げ、前方へ疾走していく。

 充分に距離を置いて話をしだした二人を横目に、ペトラは大きくため息をつき、


ペトラ「………ねぇみんな。さっきのトヨヒサさんの一連の動き見た? あの判断能力に、反応速度。ひょっとして兵長に匹敵してたんじゃない?」


 豊久とリヴァイの背を追いながら、ペトラが感嘆したような声を上げる。


オルオ「ば、馬鹿言えペトラ! あ、あの程度の動きなら、兵長だって余裕で………よ、余裕で………」ボソボソ

エルド「兵長に会った時のことを思い出したよ。何度か壁外遠征を経験して、少し天狗になってた頃だった。兵長の立体機動を間近で見せつけられて、プライドってやつが粉々に打ち砕かれた時のこと………」ズーン

グンタ「俺もだ。残ったプライドの欠片すらすり潰される音を聞いたぜ………あれで立体機動歴が二週間とかな。もう笑いしか出てこねえ」ハハハハ

エレン「……………」

ペトラ「エレン? どうしたの、難しい顔して」


エレン「ペトラさん………俺、そんな顔してましたか?」

オルオ「なんだぁ? 一丁前に劣等感でも感じたか?」

エレン「劣等感…………ですか」


 ますます苦虫を噛み潰したような表情が深まり、眉間に深い皺が寄った。


アルミン「エレン? ホントにどうしたの? 具合でも悪い?」

ミカサ「エレン、どうかしたの。顔色が良くない」

エレン「い、いや。なんでもねえよ………なんでも、ねえんだ」

ミカサ「…………」


 なおも不審げに己を見つめてくる二人を適当にあしらいながら―――――先のオルオの言葉を思い出していた。

 劣等感を感じているのか、と。

 その通りかもしれないと、エレンは思った。己はきっと、豊久に劣等感を抱いている。

 この二週間の訓練の中でも、エレンは豊久の異常なまでの強さを実感していた。

 そして寝物語に聞かされる、彼の半生の凄まじさを聞かされ、圧倒させられた。

 己とさして変わらぬ年頃で初陣を経て、侍大将の手柄首を上げた。

 ―――自分は違う。

 その後、父の死後には一城の主となって、各地を転戦しては功績を積んできた。

 ―――自分は違う。

 その武勇伝を聞くたびに興奮する傍ら、暗く燃える嫉妬に似た感情は否定できなかった。

 エレンはまだ――――巨人を討伐したことがない。巨人という異能の能力を以って駆逐した数ならば二十にも上るが、到底自分の功績であるとは思えなかった。

 ありあまる巨躯と、それに比例する攻撃力、そして反則的な再生能力というアドバンテージを持つ巨人に対し、エレンという存在はそれらを上回る反則である。

 未だ不慣れとはいえ、人間の理性を備え、冷徹な対人格闘術を備えた『巨人の力』。

 ―――なんという『ずる』だ。そんな存在が巨人の十体や二十体程度、殺せない方が難しいとエレンは思っている。

 ミカサやアルミンは、豊久と己がどこか似ていると言ったが、エレンにとってそれは皮肉のように聞こえた。

 先の演説もそうだ。調査兵団を蔑む民草を相手取って堂々と檄を飛ばし、侮辱の声を歓声へと塗り替えた。

更新きた。


 翻って、自分自身はどうだろう?

 子供の頃、調査兵団を馬鹿にした男を感情任せに小突いた。何も変わりはしなかった。

 トロスト区防衛戦の時、アルミンを除く己の班員を全滅させた。何も変わりはしなかった。

 そして現在、巨人化能力を備えた人類の希望などと持ち上げられ―――――何一つ、変わらない。


 みじめだ、と思った。

 悔しい、と感じた。


 自らの才能のなさは分かっていた筈なのに、歯がゆく思うのだ。

 いつだって己の不足を嘆き、どうして自分はああではないんだという不毛な思考が頭をよぎる。

 そのたびにエレンは己の体を苛めるように鍛錬を積んできた。

 しかし、どれだけ我武者羅になっても、ミカサやライナー、ベルトルトやアニといった、己よりも成績上位の四名との距離が埋まった実感は湧かなかった。

 ましてや豊久には届かない。

 もしかしたら、このまま永遠に―――――。


豊久「どうした、えれん」

エレン「え…………」


 より深く暗い思考に埋没しそうになった時、気づけば己の横に豊久が並走していることに気づいた。


豊久「前ば見よ。下には何も落ちておらぬ」

エレン「ト、トヨヒサ………兵長との話は? みんなは?」

豊久「じゃから前を見やれ」

エレン「え…………」


 前方三十メートルほど先に、荷馬車を含めたリヴァイ班の背が見えた。

 どうやら気づかぬうちに馬の速度が落ち、距離が離れていたらしい。


豊久「とっくにりばいとの話ば終わっておる。いくら声をかけてもお主が反応せなんだから、俺が拾いに来た」

エレン「ご、ごめん。す、すぐに合流する――――」


 馬を加速させようと手綱を握ったその手を、しかし豊久が強く握って制した。


エレン「と、トヨヒサ? 何を――――」

豊久「えれん。お主、何を思い悩んどる」
 
エレン「ッ………!」


 エレンの内心の葛藤や焦りを見透かしたように、豊久はエレンの目を見る。

 エレンは、何も言えなかった。言いたくなかった。

 言ったところで、何が変わるとも思えなかった。


エレン「…………」

豊久「言えぬか。言いたくないか。それでも良い」

エレン「…………ごめん」

豊久「よか。じゃっどん、そがいな不景気な面では士気にかかわる。しばし、俺の話ば聞いてゆけい………そこん二人もじゃ」

エレン「え………!? み、ミカサッ!? アルミン!?」

ミカサ「エレン、大丈夫?」

アルミン「あ、あはは。サシャに馬借りて、来ちゃった」


豊久「えれんよ。俺は言うたな。人は死ぬ。さくりと死ぬるものじゃと」


 豊久の口調は、いつものような強いものではない。どこか諭すような柔らかさがあった。


エレン「すぐに死ぬから、死ぬ気でやれってか? けどな、そんなのは、そんなのができるのは、結局才能のある奴なんだろ?」

豊久「違う。例外などない。才能など知らぬ。どんな奴であろうとも、死ぬときには死ぬ」

エレン「え………?」

豊久「俺は闘法や技術などを説いておらん。心根の、心胆の話じゃ。すぐに死ぬからこそ、生き抜く気概を持てという、魂の話じゃ」

ミカサ「………よく、分からない。あなたは、人はすぐに死ぬといった。なのに生きようとする。それは無駄ではないの?」

豊久「そうじゃ、人はさぱっと死ぬ。だからこそよ。だからこそ、必死に生きるのだ。死ぬべき時に死ぬために、生にしがみつくのだ」

アルミン「それは………それこそ、難しい話じゃないかな」




豊久「その通り。言うは易し、行うは難し。じゃっどん、えれんよ。お主が先ほど啖呵を切ったじゃろう。お主が死ぬは今日ではなく、遥か先の明日じゃと」



エレン「――――!」


豊久「よくぞ言うたと、俺は言うたな。お主の吐いたあの言葉、まっこと正しい。美事な口上であった」

豊久「じゃっどん、なんじゃお主のその面魂は。覇気がない。この俺に啖呵を切った時のような力が微塵にもなか」

エレン「う…………」

豊久「お主が何を思い悩んでおるのか、無理に聞き出すつもりは毛頭なか。故にこそ、聞け―――――兵子とは何かを、教えてやる」


エレン「兵士とは、何か?」

ミカサ「兵士」

アルミン「兵士としての、心構え、でしょうか?」


豊久「兵子とは、幾千幾万の明日の果てに死ぬために、その日に必ず死ぬために、今日という命を惜しまず生きるのだ」

豊久「さりとて道半ばにして朽ちるものはおる。故にこそ、まっすぐに生きるのだ。己の父祖に、子孫に、誇れる己を貫くのだ」

豊久「昨日の己ば誇れるものであったと、子や親が明日に胸を張るために。明日の己が、今日の父や子を誉(ほまれ)とできるようにじゃ」

エレン「昨日の自分を、誇れるように………明日の自分が、今日を誉とできるような生き方を………」


 噛みしめるようにつぶやいたエレンに、豊久は笑顔で頷いた。


豊久「それが兵子というものよ。お家を守る武士といういきものよ。男の生き様よ」


アルミン「男の、生き方………」

ミカサ「トヨヒサ、私は女」

豊久「ぬ、そうであったな。許せ」


 からからと笑う豊久だったが、すぐに笑みを止め、再びエレンに向き直り、言った。


豊久「俺はそうしておるだけよ。島津が家に生まれたる者の思い切ったる所作として、子や父に誇れる生き方をする」

豊久「斯様に生きれば、死ぬときはさぱっと死ねようぞ。死力を尽くして生きたのならば、悔いもなか」

アルミン「死力を、尽くして、か」

豊久「生きている間は、常に全力じゃ。刀に全てを込めて振るうのみじゃ」

豊久「後悔は死んだ後にできる。生きるのは生きている間しかできんからのう」

ミカサ「後悔は………死んでからできる」


 道理だ、とエレンは感じた。


 全力を尽くしての死であれば、そこに後悔など割り込む余地もない。

 しかし口で言うには易いそれを実行するには、なんと難しいことか。

 ――――豊久は、すごい男だ。

 だからこそ、自分の弱さが、不足が、ありありと見えてくる。

 豊久はきっと夢を叶えるだろう。まっすぐに突っ走って、いずれ故郷へと帰っていくのだろう。

 自分はどうだろう。弱くてみじめな自分は、志半ばで死ぬのだろうか。誰かに託せない夢を抱いたまま、みじめに死ぬのだろうか。

 そんな陰鬱としたドロドロの思いが、訳も分からないままエレンの口から吐き出されそうになった時、


豊久「さりとて負けることがあるのならば、それは俺の不足じゃ。敗走する時は死ぬる時よ」


エレン「…………え?」


 豊久の一言が、それを制止した。


豊久「兵子を戦へ駆り立てるのが将としての役目ならば、主らの役目はなんじゃと思う?」


ミカサ「道を切り開く」

アルミン「策を立てて、戦局を有利に推し進める」

豊久「えれん。お主はどう思う?」

エレン「お、俺は…………俺は、どうすれば、いい?」


豊久「つい先日まで武器を持ったことすらなかった民草が、いっぱしのもののふ顔負けの覇気ば身に着ける―――それが戦場じゃ」


豊久「手柄首ば求めて魁に逸るは兵子の常。じゃっどん、そうした者ほど早死にするも戦の常よ」

エレン「け、けど、豊久は手柄首を上げたんだろ? 俺らとそう変わらないくらいの歳に! どうやって!!」

豊久「言うたじゃろう。恐れとはなんであるか。己が死ぬことか? 違う。よいかえれん。本当に恐ろしいこととはな、己の心が折れることを言う」

豊久「絶対に死なぬという覚悟の傍らに、いつでん死ぬ覚悟を置く。じゃっどん俺はまっすぐ突っ走るしかない。寝ても覚めてもそればかりよ」

豊久「さりとて俺は敵将の首ば刈り取ってきた。どうしてじゃと思う? どうしてそれができたと思う」

エレン「それは、お前が強かったから………」

豊久「否じゃ。俺がいかに強かろうと、限界はある。じゃっどん、その限界以上の力が出せるときがある」

エレン「え………」

豊久「俺の傍らには、常に俺に付き従う兵子がおったからじゃ。命ば預けてくれた者たちがおったからじゃ。俺の背ば預けるに足る兵子がおったからじゃ」


豊久「敵将の首を狩るんは、武士の誉れぞ。滾る。さりとて思うばかりでは足りぬ。そん時、俺の傍らにあったのは先日まで民百姓であった兵子どもじゃった」

ミカサ「うん………それも、聞いた」

豊久「いつでん兵子どもは突っ走る俺の背中を押してくれた。その思いが、俺を強くする」

アルミン「付き従う兵士たちの思いが、将であるトヨヒサさんの背中を押す?」

豊久「そうじゃ。だからこそ、故にこそ、俺は多くの対象首ば刈り取ってきた」


 豊久がエレン、ミカサ、アルミンの三名に、言葉を紡ぐ。


豊久「えれん、みかさ、あるみん。お主らが窮地に立たされたとき、死を意識したとき、それを思い出せ」

エレン「!」

豊久「お主らは独りではなか。例え死すれども、その思いは主らを守るじゃろう」

ミカサ「うん!」バッ

豊久「いつでん、俺が、お主らん仲間が、お主らん背ば支えようぞ。じゃからお主らも、仲間が辛いときには支えてやれい。人はたやすく死んでしまうものじゃからのう」

アルミン「はい!」バッ

豊久「不足ば補うのが兵士の役目じゃ。主らの役目じゃ。俺とて及ばぬことはままあんど。そんな時に、俺の背ば預けられるのは、エレン! あれだけの啖呵を切ったお主だけじゃ! あとりばいもな!」


 そう言って、どこか肉食獣を思わせる獰猛な笑みを浮かべると、豊久は馬の速度を上げて、荷馬車に向かって走り去っていった。


エレン「トヨヒサ………」

アルミン「強い人だ」

ミカサ「………ええ」

エレン「俺は多分、生まれて初めて、人を尊敬した……初めてだ、こんな気分は。心の底から敬意を払いたいって気分になった」

ミカサ「エレン………」

エレン「前へ。前へ。前へ。ただひたすらに突っ走る。ただそれだけ」

ミカサ「だけど、それしかない。それしかできない。それ以外に目もむけずに走り続けることは、きっとすごく難しいんだろう」

アルミン「僕らが、仲間がいるから、か。あの人が言うと、重みが違うね。そこいらの兵士が言っても、単なる甘えにしか聞こえなかっただろう」


島津豊久は先陣を切ってきた。誰よりも強く戦いを求め、勝利を重ねてきた。

兵士たちの視線の先には、常に彼の背中があった。

将という立場にありながらも、誰よりも危険な場に立ち、死地へと進んで飛び込んでいった。

最も過酷にして危険な最前線に立ち続けてきた者だからこそ、その言葉は重く、エレンらの心に強く響いていた。


エレン「なぁ、ミカサ、アルミン。あいつが元の世界で率いた兵士たちも、こんな気持ちだったのかな」

ミカサ「え?」

エレン「見ろよ、あの背中をさ――――あの背中を見て、トヨヒサを死なせたくねえって、一緒に戦いたいって、戦えることが誇らしいって、そういう気持ちになったのかなって」

アルミン「………うん、そうだね。きっと、そうだよ」

エレン「きっとあいつが振り返らないのは、そこに支えてくれる仲間がいるからなんだな。だから振り向かない。あいつらはそこで、俺を支えてくれると信じているから、振り返る必要がない」


エレン(これが、これが異世界の戦士。これが―――――これが、武士(もののふ)!)



 新兵三名を背に、豊久が独り言ちる。


豊久「俺が初陣を飾ったのも、えれんぐらいの歳であったか―――――」


 子をもうけていたら、あのぐらいの歳ごろになっていたのだろうか、と。

 柄にもなく、豊久はいもしない息子や娘のことを思うのだった。



……
………

~今日のおまけ~
【荷馬車の上のアルミンとクリスタとオルミーヌ】

オルミーヌ「こ、この二週間、ずっと水晶造りと石壁の符を作ること以外してない………一日当たり一人六百枚作製がノルマなんて………」

アルミン「僕も………疲れたよぉ。僕たち三人で、調査兵団の全員に五十枚以上行き届くようにするだなんて、ムチャだよぉ……」

クリスタ「も、もう疲れたよぉ………なのに、まだ書くのぉ……? 手が、手がぁああああ! 手が痛い」

オルミーヌ「他の人たちにも使えるように改良するの、本当に大変だったんですからぁ………眠い、眠いよぉ………」

晴明『手が止まっているぞ。まだまだ符は要るのだから、ドンドン書け』

オルミーヌ「ひぃいいいいい!! なんでこんなところまで来て符を作らなきゃいけないのぉおおおお!!」

晴明『グダグダ抜かしてないで、さっさと書け』

アルミン「うわああああああ!! 荷馬車の揺れで、字が歪んだ! 書き直し!? もういやだ!! 手が! 手が疲労骨折する!!」

クリスタ「もう手首がぱんぱんに張って、感覚がないよぉおおおお!!」

晴明『仕方ないだろう、見たところ、符を作れるほどに魔術適正が高そうなのは、君たちだけだったんだから』


オルミーヌ「悪鬼ッ! 妖怪爺ッ!」

アルミン「外道ッ! 地獄の番人ッ!!」

クリスタ「悪魔っ! ひとでなしっ! 壁教徒も真っ青なブラック企業!」


晴明『懐かしいな。それらは全て私が調伏してきた奴輩だ』

晴明『ところでオルミーヌ、どうしてハンコを作らなかった? それなら製作も容易だろうに」


オルミーヌ「」

アルミン「」

クリスタ「」



晴明『うん。すまないことを言った。思いつかなかったんだな………』

オルミーヌ「うわあああああああああん!!」




 締め切り直前の漫画家の現場のようであった。

>>1です。ロードバイクに乗りたいです。オフシーズンでも関係ねえ。外走りたい。
 次こそ壁到達です。とっとエレンくんら新兵に豊久が檄入れるだけのお話でした。
 あんまり話自体は進まなかったですが、今度こそ壁。

 明日明後日あたりに投下できたらいいなぁ

乙!待ってました源氏バンザイ

良いこと言うな豊久

流石はノブに王の器と言わしめただけはことはあるな、豊久







ちょっと残念な子だけども

保守

保守

支援

保守

続き楽しみ。面白い。

支援

あとどのくらいになりますか!?><

支援

木苺摘みにいったのか…

※お久しぶり、>>1です

>>334
いいえ、先週末から急な出張だったンすよ。

しかも中国の大連。ファックにも程がある。

俺中国語話せねーっつってんのに、英語話せるならいけるだろーとか、英語だって日常会話レベルだっつーの。

TOEICでも650程度のゴミムシ点数しか取れねーってのに、いいから行けって、毎日が宴会だから楽しいって、俺脂ぎったモンばっか毎日食えねえっつってんのに。

俺は週末の昼間はロードバイク乗って荒川沿い爆走して、たまにウメーメシ食って、夜にタバコ吸いながら楽しく本読んだりSS書いていられりゃ幸せだっつーの。


もうちょっとで完結ですが、ガチで疲れて続きを書く気力が本日ありません。

もうちょっとだけお待ちください。マジですいません。

>>1よ、英語はビジネス会話より日常会話の方が難しくないか…?
何はともあれお疲れ様。
ゆっくり休んでくれ

待つ。

>>335

お疲れさまです…無理しないでゆっくりでいいです。ご自愛下さい

※私事ですが………中国でね。接待をね、フフ……受けたんですよ。
要約すると私は現地社員(中国人)の「キレイどころがいっぱいいるアル」的なお話から期待に胸を膨らませていたわけですな。
で。だ。うん、キレイどころいっぱいだったんですよ。


――――曹操あたりが存命だった頃に美人と呼ばれていたであろう、豚足娘々がいっぱい。


               __‐`'´''"'マ          ____\   ー‐┐    |一
                Z.    __`ゝ          \      ノ´   ⊂冖

 ∧      /|   ゙仆斗┘リート=┬-、_      \    ー‐┐   ,/
/   ∨\/   |    `L,.っ,ノ u }ノ ノ   \      ,>   ノ´   \
         |__    兀.!_// i |     l、     く.   ー‐┐ ー|ー
ー‐┐ ー|一ヽヽ /  u' \ヽ‐'´  !|     ト、     \   ,ノ´   ̄匚ノ
 ノ´   ノ こ  /_____,  }j  ハ、  ヽ ヽ,___/    /  ー‐┐  ┼‐ヽヽ
ー‐┐  ニ|ニ.     / ___ノ /\_,≧/ u 人.   /     ,ノ´   ノ こ
 ノ´   ⊂冖   く  {上rン´  ,厶../ / ヽヽ   \    ||  ニ|ニ
ー‐┐  |     /    ̄   ノ{こ, /,〃   !|    \   ・・   ⊂冖
 ノ´   l.__ノ   \     ,.イ !l`T´ | /     |:|     /       |
ー‐┐ ー‐;:‐    \   //    l  |     |_|   ∠.、       l.__ノ
 ノ´   (_,     /   ヒ_ー--、_|ー、____,ノj┘    /        ┼‐
ー‐┐   /     /     \ ̄\ー`トー-<    /          ノ こ
 ノ´   \     \      \  ヽ  \  ヽ    ̄ ̄|
 | |   」z.___    >       \. ヽ.  ヽ   l      |/l   /|  ∧  /\
 ・・   /| (_,  /           ) lヽ   ',  l、      |/   | /   V
       ┼‐   \       , イ、_,上ハ   }  小          |/
      ノ こ     \     (乙≧='''"´ ,∠,__ノ/
      ┼‐ヽ    /           厶乙iフ/
      ノ ⊂ト  く               `¨¨¨´
                \

ドンマイとしか言えない。

その怒りは巨人で晴らそう(提案)

後日、豚足娘たちに手込めにされる>>1の姿が!(ハニィートラァップ!



Coming Soon...

というか只でさえ絶賛P.M.Revolution継続中の中国に出張とかそれなんて罰ゲーム?((((;゚Д゚)))))))

P.M.Revolutionwww
ハニーじゃなくてブヒートラップか…

キレイ所もニセモノとは流石チャイナクオリティー


………
……


~壁外遠征から5時間経過~


ミケ『ッ――――いよいよだぞ、エルヴィン!!』

エルヴィン「ああ、こちらにも見えている―――――東突出区の壁だ!!」

ハンジ『ッ!! このタイミングでっ………後方より巨人接近!! 数は八!」

エルヴィン「総員、最高速度だ!! ここが正念場と心得ろ! 背後の巨人を振り切り、一息に東側突出区へと入る!!」

『『『『了解ッ!!!!』』』』


 エルヴィンの命が下され、水晶球からいくつもの力強い返答が波濤の如く返る。

 見る見るうちに騎馬は速度を上げ、巨人を振り切れる最高速度へと達した。

 高揚し、雄たけびを上げながら馬を駆る兵士たちの中、一人苦虫をかみつぶしたような表情で俯く兵士がいた。


ライナー(ッ、クソ………アニがいないことが本当に祟る。あいつなら調査兵団の馬の最高速にだって追いつけるってのに!)


 内心で吐き捨てながらも、しかしライナーの瞳は怪しげな暗い光を宿していた。


ライナー(だが―――――機はここだ! やるとすれば、この次のタイミング! 俺達が全員東突出区の門の中に入った時!)

ライナー(巨人化するとすれば、そのタイミングがベストだろう。ベルトルトも同じことを考えているはずだ)


 言葉を交わす距離にいなくとも、同じ『戦士』としての思考回路がそれを確信させる。

 ライナーの信頼は正しく、ベルトルトもまた同様の作戦を考えていた。


ベルトルト(僕が突出区内の中心で超大型巨人に変身。注意をひきつけている間に、鎧の巨人が内門を破壊。背後に迫っている巨人ごと東突出区内に突入する)

ライナー(後はエレンを見つけ出して捕える。ここにいる連中は、かわいそうだが皆殺しだ)


 超大型巨人が壁付近以外で出現することの意味。それは絶対に倒せないということだ。

 彼のうなじを削ぎ落すには、彼の体を立体機動で登らなければならない。

 火薬付の矢に関しても、蒸気を吹きだすことで完封できる。相手側の自滅すら狙うことも可能だ。

 鎧の巨人に関しては絶対はないとはいえ、その機動力は女型に劣るものの素早く、硬い。十発程度の火薬矢ならば、彼の鎧はやすやすと防ぎきるだろう。

 ライナーたちが狙うのは、東側突出区という隘路に兵士たちを全て閉じ込め、そこに巨人たちを放り込んでの乱戦だ。

 いかなエルフの弓が卓越しているとはいえ、火薬には量的限界があり、人間には体力的限界がある。

 エレンが巨人化して、ライナーの方に向かってくれれば、後はすべての状況が整う。

 戦場が混乱した最中で、ベルトルトが超大型巨人をあえて崩壊させ、蒸気の大噴射による広域攻撃を行う。

 一般兵はそれで一時的に昏倒する。運よく蒸気から逃れた者も、無傷とはいかないだろう。

 頑強な鎧に守られたライナーは悠々とエレンを回収した後、ベルトルトが確保。兵士たちを皆殺しにし、一先ずはライナーだけがカラネス区へと帰還する。

 ――――他の隊員は全滅し、生き残りは自分一人だったと報告する。

 頃合いを見てアニと合流し、カラネス区から密かに抜け出し、ベルトルトの待つ東側突出区へ向かい――――。


ライベル(後は、三人で――――エレンを連れて、故郷に帰るだけだ!!) 


 彼らにはそのビジョンがありありと見えていたのだろう。

 巨人の謎を盾に取った完璧な作戦だ。

 だが、そこには確実に穴があった。

 ライナーたちが冷静ならば、気づいてしかるべきことである。

 東側突出区の門は固く閉じられている。その中に馬ごと突入するのであれば、先行して門を開ける人員が必要不可欠である。

 だが、その兵士はいない。

 先行する兵士が一人もいない。

 彼らが冷静に周囲を見ていたのならば、その事実に気づいただろう。

 そしてその事実が、何を意味するのかまでも。
 


信長「―――――――温ィんだよ、うつけが。門なんざ開ける必要はねえ。これっぽっちもねえ」

信長「何故ならば、そんなもんを使うことなく、俺達は壁の上に上がれるからだ―――馬とともにな」



 稀代の英雄、第六天魔王の策略を見切れなかったことを意味していた。


壁まで残り数百メートル。

最前線の兵士達を率いるは、那須資隆与一。


与一「――――弓隊、構え!! 各自、作戦前に通達していた射撃箇所は頭に入っていますか!」

エルフ「は、はいっ!!」


 与一とエルフ達が矢をつがえ、弓を引く。

 しかし、その矢じりに結ばれていたのは、火薬筒ではなく。

 ――――石壁の符。


与一「放てぇええええっ!!」

 与一の号令の下、一斉に引き絞られた弓から、散弾の如き勢いで矢が発射される。

 それらは一直線に壁へと向かい、突き刺さり、そして―――――。


リヴァイ「ッ―――――!! 話には聞いていたが、やはりやるな、エルフども!!」

エレン「あ、あれって………壁から、更に石壁を生やして!」

アルミン「段々状に、壁の上に向かって……まさか、あれは!!!」


ミカサ「か、階段? おおきな、階段を作ったの?!」

ペトラ「す、すごい………あのおじいちゃん、木苺ばっかり食べてるおじいちゃんだと思ってた」

オルオ「ただの木いちごじーちゃんじゃなかったのか……」チラッ

ハンニバル「うまいのう、うまいのう。木いちごはいっぺんにたくさん頬張るとなおうまいのうー。ションベンちびりそうじゃー」ジョボジョボ

エルフ「わー、わーーーっ! おじいちゃん、ちびってる! ちびってるよぉ!!」


 馬を壁上に運ぶにあたって問題となった争点がここだった。

 馬は重い。立体機動のワイヤーで一頭ずつ引き上げることは不可能ではないが効率性に乏しく、何よりも膨大な時間とガスを消費する。

 それを一挙に解決するのが、馬自身の力で壁に登るという逆転の発想――――石壁の符と矢を用いることで、階段を作り出すという荒業。

 荒唐無稽な、しかし効果的なその運用方法をひねり出したのが、カルタゴの名将・ハンニバル・バルカ。その発想は、世界をまたいでなおその異彩を輝かせる。


豊久「美事!! 御美事!!!」


 咆哮し、我先にと馬を石壁の階段を駆け上がらせる豊久。その豊久の姿を見て、急造の階段には充分な強度があることを確認した兵士たちは、豊久の背を追うように、彼へと続く。

 その間もエルフ達は次々に矢を射掛け、階段の数を着々と増やしていく。

 出来上がった階段を、他の兵士たちが駆け上がる。馬車の物は資材を確保した後、荷車を破棄し、更にそれに続いた。


 これに面喰ったのは、無論ライナーとベルトルトの二人だ。

 門を開かない。このまま壁の上に登るとなれば――――彼らの作戦は前提からして崩れ去る。

 同じ平地での勝負であるからこそ、人対巨人は巨人が圧倒的に優勢なのだ。

 高所の戦いは、巨人にとって圧倒的に不利。――――否、あのエルフ達がいる現状においては、死地。


ライナー(ッ、だめだ。登らせたら―――――!!)

ベルトルト(ッしまった………もう、遅い!! もう―――――)


 視線の先には、半数以上の調査兵団員が階段を上りきる姿があった。

 彼らが変身すべきだったのは、壁までの距離が一キロを切った瞬間だった。

 壁の上に登らせてしまっては、勝ち目がゼロになる。

 鎧はともかく、超大型はその巨体故に十全な戦力を発揮できない。

 まして自壊による蒸気爆発で巻き込める人間がごっそりと減ってしまうのだ。

 半数以上のエルフが残ってしまった場合、巨人化を解いたベルトルトは無防備となり、あっさりと射殺されることになるだろう。

ライナー(ッ………死ぬのは、いい。だが、犬死だけは駄目だ)


 血がにじむほどに歯を食いしばり、しかしライナーは諦めた。


ライナー(今は諦める。次の機を……待つ。今やれば、良くて共倒れ………最悪犬死だ)

ベルトルト(ここで僕らが死ねば、身元を調査される………同郷のアニが疑われる。それだけは避けなければならない。絶対に!!)


 激情を抑えながら、二人もまた馬を駆り、階段を昇って行った。


 ――――そして思い知る。

 ――――次の機など、ないということに。

※ハイ、皆さん予想通り、那須与一の本領発揮、壁ドンです。

 ライナー・ベルトルトは涙目ですが、これからもっと泣いてもらいます。

 泣きながらだぢげでぐでぇーと糞尿漏らして逃げ惑う二人を見たくないという方はブラウザバック推奨。

 本日投下は短いですがここまでです。

 来週末は投下できる見込みです。また中国とかはないです。あっても断るんで。マジで。

 本当にお待たせしてますが、絶対書き切るのでごゆるりとお待ちいただければ幸いです。

更新乙。ライナーとベルドルトは、アニのための犠牲になるのか。

原作11巻の戦闘ですらライナー達の辛勝でしたからねえ
リヴァイ班、ミケ、ナナバ、ケルガー、そしてアニに殺された皆さん追加
そしてドリフ組+エルフ
壁の上じゃ万が一にも勝ち目はないな

あとはシガンシナ到着後、ドリフ帰還後がチャンスなんでしょうけどどうするのかな

乙 待った甲斐があったな

もしかしてだけども、とある空飛ぶジャイアニズムさんやアラーキーさんは訪れたりしちゃったりは…しませんかね(チラッチラッ

~おまけ劇場~

【そのころのアニちゃん。そのいち】


アニ「あのう」


ロリカード「あん?」

アニ「ちょっと廃棄物(エンズ)扱いでこっちの世界来て巨人側に味方してくれませんか」

ロリカード「ムリ。私出たらチートっていうかバグ扱いだし」

アニ「そこをなんとか。というかこの戦況ひっくりかえせそうな単騎戦力がほとんどいない。英雄王でも呼べってのかい」

ロリカード「ムリったらムリだっつーの。ぶっちゃけ人類滅ぼしたら私の食糧どーなるんだって話だっつーの」

アニ「そ、そんなこと言わずに! 進撃世界で死の河を展開してよ! 壁内人類食い尽くしていいから!」

ロリカード「そこまで言うならやってもいいけど、いいの? おまえらも死ぬけど」

アニ「えっ」


ロリカード「拘束制御術式・零号解放。通称〝死の河〟。アレね、言うなれば無差別攻撃。制御不能なのよ、ワカる? できるのは出すか引っこめるかしかねーの」

アニ「えっ」

ロリカード「わかりやすくスタンドで例えるとノトーリアスBIG」

アニ「なにそれ」

ロリカード「動いてるものとりあえず追い回して喰う。残機に限りはあるけど、どんどん捕食して強くなるので、実質ずっとオレのターン状態」

アニ「」

ロリカード「老若男女どころか人類巨人区別なしですからネー」

アニ(改めて考えてみると、なんて酷いバグ性能だ………)


ロリカード「味方が多ければ多いほど使い勝手悪いんだよねアレ。原作だとロンドン市民ほぼ全滅してたし、ヘルシング側の生き残りがインテグラとセラスだけで、高所に陣取ってたから気兼ねなく展開できたけど」

アニ「……つまり?」

ロリカード「壁内にいる時点で詰んでる。人類どころか全生物の滅亡待ったなし。うん、それはそれはムゴたらしく死ぬだろうさ」

アニ「うわぁ……」

ロリカード「更に言えば」

アニ「い、言わなくていい………いえ、いいです。やめて。なんか想像できるからやめて」

ロリカード「特におまえら中途半端な再生能力のある巨人化能力者は、フツーの人間より悲惨に死ぬだろうな」

アニ「やめろ……」

ロリカード「早々死なん肉体であることが逆に苦痛を長引かせてしまうわけだ。さながら旧劇場版エヴァの弐号機の如く捕食されつくされるだろーネー。あるいはBETAに取りつかれた戦じゅt」

アニ「やめろォ!! 聞きたくない!!」



ロリカード「10メートル以上の巨人は手こずるだろーけど、こっちにゃワンコ(バスカヴィル)もいるし、魔弾やトランプもいるし、物量が違うからネー。2~5メートル級の巨人ならラクショーだろーネー。捕食される巨人とかマジウケる」

アニ「うわぁ………」

ロリカード「そして続々と死の河のメンバーに加わる巨人ゾンビ。被害は加速度的に広がって私の人類(ごはん)がマッハで枯渇」

アニ「地獄だ……」

ロリカード「ん? そういえば数百年生きてるけど、巨人の血は飲んだことなかったな」ギラリ


アニ(あっ……(察し))


ロリカード「ヤッベ、俄然興味が出てきた」


アニ(この流れ、ヤバくね?)アセアセ


ロリカード「そういえば―――――腹が減った」ペロリ


アニ「」ゾクッ



 シュゥウウウウウウ……



アーカード「なぁ巨人のお嬢ちゃん………処女か?」ニィィイイ


アニ(あ、やっぱこれアカンやつや)



 ハァアアアアアア………
 ギャーーーーーー


………
……



ロリカード「ごっそさん。あとバァさんと婦警呼んでるから帰る。後は頑張んなさいネー」ズズズズズ

アニ(吸血鬼)「ひっく、ひっく、ちくしょう、ちくしょう………」エグッエグッ



【~完~】

吸血鬼になっちゃったよ。ジュマンジにリンクしてるのか。そのいちということは、2も期待。

~おまけ劇場~

【そのころのアニちゃん。そのに】


アニ「あのう」


ウォルター(ショタ)「なにー?」ダラダラ

アニ「そのシャレんならないチート糸で、人類をことごとく切断してみる気はない?」

ウォルター(ショタ)「え、やだめんどい」

アニ「そ、そんなこと言わないで」

ウォルター(ショタ)「僕、アーカードをブッ殺すことだけが望みだったしぃー。そのために全て捨ててぇー、それでも勝てなかったしぃー、もーどーでもいーんだよねー」ポケー

アニ(なんというやる気のなさ………)


ウォルター(ショタ)「つーか僕が味方するとイコール裏切りフラグ立って君らの命もマッハでヤバいけど、そこんとこ理解してる?」

アニ(あれ、なんかまたこれヤバいやつじゃない?)

ウォルター(青年)「そもそも私は化け物殲滅機関のゴミ処理係なのだが………その前に立つ貴様は何だ?」

アニ「そんな………声まで変わって………」

ウォルター(青年)「――――ゴミです。巨人は死ねば、ゴミになる。そうだろう? アニ・レオンハート」

アニ「あっ………(察し)」


 シュウウウウウウ……


ウォルター(老)「小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命乞いをする心の準備はOK?」ズパッ

アニ「」


 シュパパパパパパパ
 ギャーーーーー


【~完~】

~おまけ劇場~

【そのころのアニちゃん。そのさん】


アニ「うぅ………ひどい目にあったよ………」ボロボロ

アニ(ホントに神様にでも祈りたい気分だ………どうやったら私たちは故郷に帰れるんだろう)トボトボ

アニ(………あれ。こんなところに教会が)

アニ(………)ウーン




アニ(ガラじゃないけど、ホントに祈ってみようかな………祈るだけならタダだしね)テクテク

アニ「ご、ごめんください………」

???「おや、こんな夜更けに我が教会に訪れるとは、どういったご用件ですかな、お嬢さん」

アニ「(あ、神父様だ)あ、あのう………そ、その、ちょっとお祈りしたいことがあって」

???「何やら深刻な様子ですね? 神はすべての迷い子の行く道を照らしてくださります。良ければ詳しく聞かせてもらえますか?」ニコニコ

アニ「(あ、よ、よかった。今度こそ優しそうな人だ………)は、はい。実はそのう―――――」


 ~相談中~


アニ「………と言うわけで、私たちに味方してくれる、心強い味方はいないでしょうか」


???「……………」


アニ(あ、あれ? 笑顔が消えた………)


???「―――――舐めるなよ、売女(ベイベルン)」

アニ「えっ」

???「我々ローマは! ヴァチカンは!! 数千年にわたり異端を殺し、化け物どもを駆逐してきた!!」

アニ「あっ……(察し)」

???「そんな我らが、我らの神が! 貴様ら薄汚れた巨人(フリークス)なんぞに、慈悲を掛けてやるとでも思うかァアアアア!!」

アニ(これ、一番助け求めちゃアカン相手だったわ)



アンデルセン「我らは神の代理人………神罰の地上代行者。我らが使命は、我らが神に逆らう愚者を、一遍残らず絶滅すること」

アニ(もう神様なんて信じない)


 イェェエエエイメェエエエエエン
 ギャーーーーーーーーー


【~完~】

今日はおまけびよりだな。


~おまけ劇場~

【そのころのアニちゃん。ふぁいなる】


アニ「…………う、うう。くそう、どいつもこいつも………誰でもいいから、少しでもか弱い乙女を助けてやろうと思う奴はいないのかい…………」ボロボロ

アニ「ひっく、ひっく………帰りたい。故郷に帰りたいよぉ………お父さぁん………寂しいよぉ…………」ポロポロ

アニ「えぐっ………えぐっ………」トボトボ


??「そこの小柄でちょっと髪型がセイバー似の美少女、ウェイトアミニッツ」


アニ「えっ(ま、まさか本当に―――――)」




少佐「問おう―――――君が私のサーヴァントか」デブーン

アニ「」


少佐「力が欲しいか!? 力が欲しいのならばくれてやる。だからこのセイバーコスを身に着けて私をマスター、もしくはシロウと呼べ」

アニ「」

少佐「さすれば君はわれら最後の大隊という、百万と一人の軍集団を得るだろう」

アニ「あ、いや、その、結構です」

ドク「あーーーッ! ずるいですよ少佐! その子は私が目をつけてたんですよぉ!!」

アニ「!?」

少佐「うるせーーーーーーッ!! これは私の見つけたセイバーだ! テメェにはあの猫耳ショタくれてやるから隅っこの方でニャンニャンしてろ!」

ドク「いらねえよあんなバッタもん! 私が今、最も興味を示しているのはセイバーもとい、そこの若干闇堕ちしたっぽい目つきの金髪美少女だけです!」

少佐「セイバーは俺の嫁だっつってんだろぉぉおおおお!!」

ドク「いいえ、私の嫁ですよぉおおおお!!」

アニ「ひぃいっ………なんなの………なんなのこいつら………」ビクビク


ガラッ!!


アニ「ひっ?! こ、今度は何!?」


シュレディンガー「―――――この泥棒猫」キッ


アニ「猫はテメーだ! いちいちあざといんだよ猫耳ショタ野郎! 何なのもうほんとに!!」

リップヴァーン「有象無象の区別なく、私の弾丸は許しはしないわ」キリッ

アニ「今度はなんかユミルっぽいのが来た! 同人誌で散々にオカズにされてそうな人きた!」

ゾーリン「勃ってるち○こは、親でも使え」ザガッツ

アニ「ギャーーーー!? こっちくんなーーーー! おかされるーーー!!」


トバルカイン「ドーモ、アニ=サン、伊達男です」

アニ「テメーもこっちくんな! 格好から声から、何もかもがうっさんくせえ!!」

ヤン「泣いてるアニちゃんの顔は最高に勃起モンだぜ」

アニ「サテライトキャノンでも撃ってろ!」

ルーク「月光蝶である!」

アニ「狗のエサにでもなってろ!」

大尉「今日のわんこ」ガオーー

アニ「お前みたいなデカい犬がいるか!!」


【~完~】

※私さぁ、疲れてんだよ、きっと。(言い訳)

 久々に早く帰れた日に限ってこんなの書いてました。正直すまんかった。

 週末には本編を進めます。


ライベルの命のカウントダウンも動き出したか・・・


アニちゃんがんばれ、超がんばれ
話を聞かない薩人マシーンが来る前に

アニちゃんよ。そいつは気の毒だったな…だがそれは。未だ前兆に過ぎない…(マジキチスマイル

>>371

あとシュレの「この泥棒猫」の元ネタはもしかしてファンタのCM×HELLSING MAD (http://nicomoba.jp/watch/sm3213932?guid=ON&cp_webto=pc_jump) からかな?

保守

雪すげーな…保守

すっげ。ヘルシングオールスターw

※本日は推理パートですよー。
 ゆっくり投下していきますー

続ききたーーー。


~ウォール・マリア 東突出区・壁上~


豊久「うむ、絶景かな。こげん高い場所から、見渡す限りの大地を見やるのは、気持ちがええのう」

エレン「すげえ………いともあっさり。こんな、こんな簡単に」

ミカサ「ウォール・マリアに、辿り着けるなんて」

アルミン「ノブさんの作戦、すごい………すごいや………」ポロポロ

クリスタ「ホントにすごいよね………って、えええ?! アルミン、どうして泣いてるの………!?」

ミカサ「だ、大丈夫、アルミン? 頭、痛いの? 寝てないって言ってたし、風邪?」オロオロ

アルミン「えぐっ………ご、ごめん。違う、違うんだ」


アルミン「この壁を伝っていけば、もう、すぐそこなんだ。僕の、僕たちの故郷が………シガンシナが」


クリスタ「―――――!!」



アルミン「辛いこともいっぱいあった街だった。でも、それ以上に楽しいこともあった街だ。僕が生まれ育った街だ。エレンと、ミカサと、毎日遊んだ街なんだ」ポロポロ

ミカサ「アルミン………」ウルウル

クリスタ「そうか。そうだよねえ。辛い、よねぇっ………」ポロポロ

アルミン「ご、ごめん、情けないところ、見せて。で、でも、でもさぁ、帰れるって………かっ、帰れる、って、そう、お、おぼっ、だ、ら………涙が、止まらない。止まらないんだよぉ………」ポロポロ

エレン「アルミン………泣くな!!」

ミカサ「エレン?!」

クリスタ「エレン、そんな、言い方は………」

エレン「違う! アルミン、ミカサ! 涙は、シガンシナまで取っておこうぜ! そこで、目いっぱい泣こう! 俺も、ミカサも、いっぱいお前と一緒に泣くから! だから………」ウルウル

ミカサ「うん。帰ろう――――私たちの、家に」ウルウル

アルミン「うん………う゛んっ………」ニコッ


アルミン「ありがとう、ありがとう、おトヨさん………」

エレン「何言ってんだよ、アルミンとミカサと家に帰すのは俺だってーの!!」

豊久「きょじんの一匹のうなじも取っておらぬお主がか? 俺は討伐数一じゃが」プークスクス

エレン「それを言うかよ! それを! 見てろよ、俺だってすぐに巨人の十匹や百匹ぐらいなぁー!!」ギャースカ

豊久「おうおう、やってみい。その間に俺は巨人の千匹のうなじば掻きとってくれようぞ」フンガー


 ブォーギャーーブォーー ナンガドォヤンノカコラヤンノカコラ ウルセェボケェーシネェー


アルミン「あ、あはははっ。もー、あの二人は、まったく」ニコニコ

クリスタ「ふふっ、なんだか、似てるよね。あの二人」ニコニコ


ジャン「ふん………(ま、今日は見逃してやるか)」


ジャン「故郷、だもんな………母親喰われて、家族もいない。だけど、故郷なんだよな、あいつらの。そりゃあ………泣くぐらいするだろうぜ」

ジャン「おまえもそう思うだろ――――――ライナー」

ライナー「…………あ、ああ。そ、そうだ、な………」

ジャン「? 歯切れが悪いな。って、顔色悪いぞおまえ。大丈夫か?」

※ごめんなさい、一行抜けてました。

 最初はこれ


豊久「安心せい、あるみん。俺が、きっちりお主を家ば帰してやるでな」ニカッ


ベルトルト「ライナー、調子が悪いみたいだから、僕が連れていくよ」

ジャン「おお? ベルトルト、おまえも来てたのか。じゃあ、頼むぞ」

ベルトルト「うん…………ライナー、分かってるよね」

ライナー「もう、こうなったら………やることは、一つだ」

ベルトルト「ああ。運よく見つけた。それに、警備も手薄だ。やるとしたら、今だろう」

ライナー「待て、その前に、少し話がしたい………」





エレン「じゃあ、俺は資材をまとめる作業があるから、またな、トヨヒサ、ミカサ、アルミン」

ミカサ「うん。また」

アルミン「後でね、エレン」

豊久「はよ終わらせい」



ライナー(上手いこと、一人になってくれたことだしな………)


ライナー「…………エレン」


エレン「? おお、ライナー、それにベルトルト。どうしたんだ? 深刻な顔して」

クリスタ「本当。顔色が良くないよ? お薬持ってこようか………?」

ベルトルト「……………あ、ああ、うん。頼めるかい、クリスタ」

クリスタ「わかった。ちょっと待っててね!」タッタッタッタ

ライナー「エレン、少し、いいか? 話があるんだ…………」

エレン「俺に? 話?」




エレン(…………)




エレン「? 手短に頼むぜ? 資材をまとめる作業もサボるわけにはいかねえんだし」

ライナー「ああ、こっちの要件も――――手短で済む」ニヤァ


………
……


~壁外調査前日・調査兵団執務室~



信長「入るぞ………ぬ、エルヴィン、りばい、はんじか。丁度良い。お主ら三人にだけは話しておこうと思う」


 夕食の時間が近づいてきた夕刻に、信長は執務室を訪れ、開口一番、驚くべきことを言った。


信長「他言無用ぞ―――――内通者の正体が分かったやも知れぬ」

リヴァイ「――――何ッ!?」

エルヴィン「確かか?」

ハンジ「誰?」

信長「まあ、順を追って説明するから、そうがっつくでない。まず巨人めらの、奴らの狙いは、おそらく―――――えれんとかいう小僧の身柄」

エルヴィン「根拠は?」

信長「明確とは言い難い。だが、確信はある」


信長「まず、内通者はどこにいるのか。俺の推測を聞いてもらおうか」

エルヴィン「…………」

リヴァイ「…………」

ハンジ「…………」


信長「結論から言う――――104期訓練兵団の新兵どもが臭い。というより、あやつらしか考えられん。内通者は絶対にあ奴らの内の誰かじゃ」


信長「超大型巨人は、シガンシナを襲撃してから、何故五年の月日の間、沈黙していた?」

信長「彼奴等は学んでいたのだ。壁内の文化を、巨人殺しの技術を。訓練兵としてな! 知ることで、侵略のための戦術とするために」

信長「そして五年後なり、十二分に学び、培い、それらを実行する日が来た――――それがとろすと区防衛戦だ」

エルヴィン「―――――」

リヴァイ「――――」

ハンジ「………」


 信長の言葉に衝撃を受けるエルヴィンとリヴァイ、ハンジだったが、何も口にすることはなかった。

 ただ、信長の次の言葉を待つ。


信長「知性巨人めらの目的を、壁内人類の滅亡と仮定する。五年前のうぉーるまりあ陥落しかり、先日のとろすと区襲撃とやらもしかりじゃ。しかし、そうなると腑に落ちんことがある」

信長「どうして彼奴等は、陥落寸前だったとろすと区防衛戦において姿を現さなんだ? しがんしなの際には、『鎧』とやらが現れ、内門を破壊したのじゃろう?」

信長「俺はこう考えた。人類の抹殺以上の目的ができた―――――否、そうしなくても済む理由が現れたのではないか、と」

リヴァイ「―――――エレンか。あのガキ自身も知らなかった巨人化能力で、トロスト区内の非知性巨人どもを、二十体以上殺した」

信長「そう。そしてその姿は、他の多くの兵士たちも目撃したというではないか」

エルヴィン「奴らがあれ以上にトロスト区を攻めなかった理由は、エレンだと?」

信長「そうだ。とろすと区内だけを散々に破壊して、それでハイオシマイ。これはあまりにも半端じゃ。途中で目的が変わったとしか思えん」

信長「東西南北、いついかなる時代の兵法においても、斯様に半端な城攻め………否、壁攻めなどあるものか」

信長「奴らが目的を変えたとすれば、それはえれんだ。あ奴以外にはおらん――――推測じゃ。嗤うか?」


 嗤うことなど不可能だった。エルヴィンとリヴァイは示し合わせたかのように、同時に固い唾をのみこんだ。

 信長はその有能さを常に示してきた。

 巨人を相手にではない。思考する人間を相手に戦って戦って戦い抜いてきた、智将としての有能さを。

 人の心の間隙に滑り込むような作戦を立てた。

 その彼が言うのだ。よほどの確信があってのことだろう、と。


信長「少し、話を変える。とろすと区における防衛戦。そのきっかけとなった超大型によるとろすと区外門の破壊。これは明らかに計画的じゃ。彼奴が現れる直前に、お主ら調査兵団は壁外調査へと出ておる」

エルヴィン「そうだな」

リヴァイ「偶然、とは言い難いだろう。だが、」

信長「調査兵団の壁外調査の報は、一般市民にも広く周知されていた。これだけでは内通者がいずこにおるのかは分からぬ。じゃが――――超大型が襲撃したその前日に目を向けると、少しばかり気になる出来事があった」

エルヴィン「トロスト区が襲われた前日?」

リヴァイ「…………まさか、訓練兵団の解散式か?」

信長「その通り。訓練兵団は解散し、訓練兵どもはそれぞれの志望する兵団へ所属する」

信長「その多くは駐屯兵団への所属を希望するという。だが、解散式を経ることで、一部の訓練兵は別の選択肢を得る」


エルヴィン「成績上位十名――――――憲兵団か!?」

リヴァイ「…………!」


 信長の話の意味を、聡明な二人は理解してきたのだろう。

 両者の頬に、冷たい汗が流れる。

 ―――――二人の想像が正しいならば、信長の推測が正しいならば。

 その推測を、作戦として実行に移すことが出来、なおかつもっとも旨みを得る者は、



 ――――内通者の正体は、成績上位十名の中に限られる。


エルヴィン「解散式を経ることで、最終成績は決定する。万一でも駐屯兵団に入るわけにはいかない―――――ハンジ! すぐに104期のリストを持ってこい!!」

ハンジ「りょ、了解!!!」

信長「待て待て―――――ここにある。すでにある程度のめぼしはついておるわ」

リヴァイ「いや、まて………成績上位十名、だと………!? まさか………だとしたら、配属後を、待たなかった理由は、まさか………!!」

エルヴィン「配属されたら………憲兵団に配属されたら、内地へ行く。シーナに。つまり――――ローゼを落とせない、と?」

信長「…………さて、エルヴィン、りばい。お主らに問おう。お主らが訓練兵団に所属する内通者であるならば、どの時期に壁内侵略を狙う?」

信長「俺ならば、俺が内通者ならば、知性巨人ならば、こう考える。解散式を経た後、調査兵団不在という絶好の機会。とろすと区を陥落させ、うぉーるろーぜを陥落させる」

信長「とろすと区防衛戦を生き延びた後、配属式で憲兵団を希望する。問題なく配属されるであろう――――もはやシーナしかなくなった、内地へと」

信長「後は、内側で暴れるなり、壁を壊すなり…………思いのまま」

リヴァイ「ッ………ローゼが落ちれば、シーナの突出区は、最前線。駐屯兵団や調査兵団が、そこを根城とする。となれば、憲兵団は、王の膝元である、王都に………!!」

信長「保身のことしか頭にねー王や貴族は、まず憲兵団を確保するだろーよ。その中に巨人が潜んでいるなどとは考えることもせずにな」

エルヴィン「……………ッ!!!」


 背筋が粟立つ思いだった。

 もしそうなっていたら、人類の敗北は必至。

 そして、気づく。


エルヴィン「104期で………憲兵団を志望した人物は、ただ一名だった筈」

リヴァイ「ッ! 誰だ、そいつは!!」


 信長が、机上のリストに指を這わせ、ゆっくりと滑らせる。

 指先がある一点で、停止した。



信長「アニ・レオンハート」




……
………

>>1ですー。こういう謎解きパートって書いてると楽しくてアヘ顔ダブルピース。

 本日短めで申し訳ない。さて、アニが内通者(仮)とされたため、もはやライベルに未来はにぃ。

 ここから一気に物語が加速し始めます。次の更新をお待ちください。

 中国だけは許さねえ………アニそっくりの小柄でムッチムチした女の子あてがってくれるなら一年でも二年でもあっちに行くけれど。

乙。アニも水晶になる前に捕まえられるのかな。

イヨーッ 乙ー

ライベルが豚のような悲鳴をあげるのを待ってます(キチスマ

アニよさらば…

獣の巨人やユミルの出番はあるのかな。エレンが誰かを食べたかもというのも入るのだろうか。

マルコが死んでたりライベルが鞍替えしたせいで一人だけになってたな
マルコ生存&エレン非覚醒なら、サシャ、コニー、マルコ、ジャンも憲兵行きだったろうにねえ

マルコの影響のでかさたるや…

また、出張にだされたのかな。

ブヒートラップにひっかかったんだろ

目の前に扉が横並びになった開けた空間に出てなければいいが……

なぁにぃ?ほしゅ?
ほしゅってなんじゃあ!食えんのかそれ!

薩摩剣士隼人ってご当地ローカルヒーローがいるが、あれを見たらお豊はなんていうかな保守

保守 源氏バンザイ

ええ

ほしゅじゃー、ほしゅせんとカルタゴが滅ぶぞー

ごめんやで………出張続きで、癒しが足りないのです。
もうトン足ピッグボディな接待はいらん。削がれるんだ、心が。
来週あたりから再開するんで、しばしお待ちを。

それと保守してくださる皆様、いつも本当にありがとうございます。

無理すんなよー

豚足、死すべし

じゃけん気長に待ちますねー

豚足は射られて、どうぞ

食べる方ならまぁ割と美味いんだけどねえ

あっちのは汚染されてそうだからノーセンキューだな

中華料理は日本とか別の国で食うからうまいだろ常識的に考えて
続きたのむハリー

体にきをつけろよー源氏バンザイ

今月号のドリフお休みでした(´;ω;`)

ヒラコー今頃膝抱えて部屋の隅でいじけているんだろうなぁ…

>>1です(^p^)

 今晩はジュマンジの方に投下しています(^p^)

 もう(^p^) オレはアカンかもしれん(^p^)

 だけど(^p^) 負けない(^p^) 助けて(^p^)

(^U^)< 良い台詞だ 感動的だな

>>1頑張れ
俺は頑張らない

戦うとはこういうことか。

戦うとはこういうことか。


神は助けを乞う者を助けたりしない。慈悲を乞う者を救ったりしない。それは祈りではなく、神に陳情しているだけだ。
死ねばよい。戦いとは祈りそのものだ。呆れかえる程の祈りの果てに神は降りてくる、神の王国は降りてくる!百人のために一人が死ね、千人のために十人が死ね、万人のために百人が死ね。ならば億土の神の世界のために この私の小さな世界が燃え堕ちても、その果てに神は降りてくる、それは私の祈りの果ての神の王国だ。皆で戦え、裂けて砕けて割れて散る、戦いと戦いと戦いの果てに、みじめな私の元に、あわれな私達の元に、馬の群れのように、神は降りてくる!天上から!

書き込み時間狙ったとしても怖いわwwwwどんだけ4好きなんだよ

保守

続き待ってる。

>>1です。本日更新はなしです。ごめんなさい。

 だけど明日か明後日頃に真相編を投下します。

 っていうか別マガの『進撃の巨人』の本編内容と

 真相編の内容がある意味モロ被りで不思議なテンションになっています。

クリスタが女王、いや何でもない

もう一つの方のドリフ×進撃ss落ちたな

>>427
な、なんだってー!
もしや貴方様は担当バッ…いや何でもないです。
待ってます源氏バンザイ。

………
……



エルヴィン「ノブナガ、君は彼女が………アニ・レオンハートが、内通者と?」

信長「――――――って思うじゃん?」

リヴァイ「おい……勿体ぶるな。結論を言え」


 厭らしく笑みを浮かべる信長に、リヴァイはうざったそうに顔を顰めた。


信長「せっかちじゃのう。まあいい……結論から言えば、限りなく黒に近い灰色だ。まだ確定ではない」

リヴァイ「ここまで話を引っ張っておいてそれかてめえ」

信長「そう言われてもな、『これ』だけじゃあ断言できんのだ。このアニとかいう小娘、こやつは元々憲兵団志望じゃ」

ハンジ「うん。トロスト区防衛戦を経て、巨人の恐怖を知り、ますます内地入りの意志が固まり、当然のように憲兵団を選んだ……ということも考えられるワケだね」

エルヴィン「ならば、その可能性をつぶさねばならない。どうするつもりだノブナガ。まさか本人に『おまえは巨人か?』と問い詰める訳にもいくまい」

信長「うむ。そこでハンジよ。お主が持ってきたこの資料に、何か糸口が隠されているやもしれん」


ハンジ「え? これに?」

信長「五年前はさぞかしゴタついていたのであろう。ちょいと身元が怪しくても訓練兵団に入団できる状況であったことは火を見るより明らかぞ。そんな怪しいヤツがついでに上位成績まで稼いだりしたらどうじゃ。どう思う?」

ハンジ「怪しさプンプンですねわかります」

リヴァイ「そうか。つまりはこのアニっていうメスガキの周辺を洗い出していけば……」

エルヴィン「結果として彼女は白にも黒にもなりうる。しかし黒となった時、彼女とつながりのあるものは全て黒となる」

信長「そういうことじゃ―――――調べるぞ。お主らの得意分野であろう?」


 ニヤニヤとした笑みを浮かべる信長であったが、エルヴィンも、リヴァイも、ハンジも、笑わなかった。

 信長の瞳は、ここでない何かを見ている。細められた視線の先に何があるかは知る由もなかったが、三人は見られているそれを哀れに思った。

 信長の目は、殺意に満ち満ちていたのだから。



……
………


………
……


~ウォールマリア・壁上~


エレン「で、話ってなんだよ。そろそろ聞かせろよ」

ライナー「他の連中には聞かれたくない。もうちょっと離れてからだ」

エレン「内緒話にしたって、そこまで離れることはないだろ? 見ろよ、与一たちが壁にガッツンガッツン矢を射掛けて、どんどん石壁生やしてやがるんだ。大声出したって声なんざ届かねえよ」


 壁上を延々歩き続けるベルトルトとライナーの背に、焦れたようにエレンが声をかける。

 ライナーはちらりと肩口から視線だけ振り返り、エレンと他の兵士たちとの距離を測った。

 彼我の距離はおよそ30メートル。立体機動装置を用いても1秒強はかかる距離。

 さらにエレンが言うとおり、与一らとエルフはより精度の高い階段を作るために、バスバスと石壁の符付きの矢を放っていた。

 石壁が生える際の轟音があちこちから反響し、騒音をまき散らしている。

 ライナーとベルトルトは視線を合わせ、頷きあう――――充分だ、と。

 二人は振り返り、エレンを見下ろしながら語り始めた。


ライナー「俺達は五年前……壁を破壊して人類への攻撃を始めた」

ベルトルト「…………僕が壁を破壊した」


 ライナー、ベルトルトが選択したのは『説得』だった。

 この状況下において巨人化しての拉致は得策ではない。

 人類最強のリヴァイ兵長がおり、何よりも得体のしれぬドリフターズが何をしてくるのかも分からない。

 エレンを確保することは容易かろうと、そこから詰みに陥るのは明白だった。


エレン「…………はぁ?」

ライナー「俺が『鎧の巨人』で、こいつが『超大型巨人』ってやつだ」

ベルトルト「エレン。君が鍵だ。君さえ僕達と一緒に来てくれるのなら、もう壁を壊す必要なんてないし、人類を殺す必要もなくなるんだ」

エレン「はあ? わかんねえよ……それに一緒にって………どこにだ?」


 ただライナーとベルトルトには二つの誤算があった。

 一つはライナーとベルトルトが思っているよりも、エレンの『巨人』に対する理解度が低かったことだろう。


 『座標』たる彼は、その恩恵と力を未だ知らず、自覚していない。

 だが自覚していたのであれば、エレンは彼らに助力しただろうか。


 ――――否。断じて否だ。


 それが誤算のもう一つ。

 エレンは巨人を害獣としか認識していないし、これからその認識が変わることはないだろう。

 故に無意味な説得であった。


ライナー「そりゃ言えん。まあ言ってみれば、俺達の故郷ってやつだな」

ベルトルト「そ、そうだよ。エレン、君さえ来てくれるなら、僕たちは………」

ライナー「悪い話じゃあないだろう? 俺達と一緒に来てくれ。おまえなら、わかるだろ?」

エレン「だから、わかんねえって………俺ならってなんだよ。巨人化できるとなにか分かるようになるのが当たり前なのか?」


 ここに来て、ライナーとベルトルトは悟る。自分たちの誤解を。

 思いのほか、エレンはこの世界の仕組みについての理解がない。

 ここで説明して納得させることは可能だが、それは逆の危険性を孕む。

 『座標』であることを自覚した彼が、その力をどう揮うようになるか。

 敵か、味方か。

 その危険性を天秤にかけ、ライナーとベルトルトは――――


ライナー「悪いが、お喋りはここまでだ。こっちにこい。俺が巨人化して、そのまま離脱する。ベルトルト、おまえは足止めだ。いよいよとなったら『アレ』使えば、逃げられるだろう?」

ベルトルト「分かった」


 両者を包む空気が明らかに変化した。

 兵士から戦士へ。

 味方から敵へ。

 友愛は殺意へ。

 それを間近で、誰よりも確実に感じ取った筈のエレンは、



エレン「―――――なあ、ライナー、ベルトルト。いくつか聞きたいことがあるんだ」


 波紋ひとつ広がらない湖面の如き落ち着きようだった。

 いっそ不気味なほどに冷たく、静かで、それがあまりにもエレン・イェーガーに相応しくなく、恐ろしい。

 エレンを確保しようと近づいてきたライナーの足が、思わず止まってしまうほどにはだ。


エレン「俺は巨人が憎いって、そう言ったよな。ライナー、ベルトルト。同じ部屋で、話しただろう? 誰が俺の母さんを殺したのか知っているだろう」

ライナー「それは………仕方なかった。仕方なかったんだ」

ベルトルト「気の毒、だとは思う……だけど、僕たちはああするしかなかった」

エレン「仕方なく。気の毒。そうか、そうか」


 二人の言葉を噛みしめるように繰り返し繰り返し、エレンはつぶやいた。納得するように。

 しかし、



エレン「仕方なくで、お気の毒で、殺されたのか。俺の母さんは。そうか、そうか、そうか、そうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうか」ブツブツ



 今度はエレンの雰囲気が、目まぐるしく変化していく。

 水面の水が一瞬で蒸発するほどの爆熱を伴って、熱風が吹き荒れるかのよう。


 視線に質量があるならば、ライナーやベルトルトに命はなかっただろう。

 エレンは、怒り狂っていたが、よく感情を制御していた。

 ただ冷静に、狂っていた。

 『どうすればこいつらにとって最も苦しい殺し方ができるだろうか』

 それだけを考える、人殺しの目をしていた。


エレン「よく、分かったよ。おまえら、どうしようもねえクズだ。生きてる価値がないなんてもんじゃねえよ。マイナスだ。生きていられるだけで迷惑だ」

ライナー「ッ、なんとでも、言えよ……それでも俺は、俺達は、おまえを捕まえて、故郷に帰るんだ」

ベルトルト「許してくれとは言わない。だけど、目的は必ず達成させてもらうよ。エレン、君を連れて――――」

エレン「俺と、おまえと、ライナーと、後はどうした?」

ライナー「何?」


 燃えるような瞳のまま、口元をわずかにゆがめて、エレンが言う。



エレン「――――アニは連れて行かなくていいのか? 一人ぼっちじゃ可愛そうだろうが」


ライナー「ッ!?」

ベルトルト「な、あ………アニ!?」


 予想外の名前を聞かされて、両者の体が強張り固まった。

 アニ!? 何故!? どうしてそれを知っている?! アニがすでに捕まっている!? 自分たちのことを吐いた!?

 そして思考はかき乱され、冷静な判断能力と状況把握力を失う。

 その直後、エレンが呟いた。



エレン「―――――だ、そうだぜ。豊久、兵長」




豊久「応」

リヴァイ「ああ」


 エレンが立つ壁の横から、島津豊久とリヴァイが飛び出した。


 エレンが立つ壁の横から、島津豊久とリヴァイが飛び出した。


ベルトルト「っぅ、ぅわあああああああああああああ!!!!」


 更なる驚愕に塗りつぶされ、訳も分からずベルトルトは拳を繰り出す。


豊久「阿呆が。所詮は小童じゃな」


 罵倒する声に呆れが混ざる。漫然と繰り出された右の拳を首の動きだけで回避し、一歩を強く踏み込む。


豊久「反吐をブチ撒けい」


 踏み込んだ逆の脚に全体重を込めて、鳩尾に膝蹴りを突き刺す。

 どぅん、という重低音は、確実に内臓へと威力が伝わった証左だろう。

 ベルトルトはうめき声も無く意識を失い、ぐったりとしたまま膝を折り、壁に沈んだ。


ライナー「っ、が、あ…………」

リヴァイ「拳なんぞ繰り出す暇があるなら、巨人化でもしていればよかったものを……」


 ライナーは、何一つ抵抗できないまま、地面を噛んでいた。

 リヴァイの関節技が完全に極まり、左腕の関節が逆に締め上げられている。

 唯一動かせられる箇所は―――――右腕。


ライナー「ぐっ………!!」

豊久「遅い」


 慌てて手をかみ切ろうとしたライナーの動きに先んじて、ベルトルトを沈めた豊久が抜いた刀を振りかぶった。

 突き付けるのではない。振りかぶったのだ。天高く。


豊久「動けば首ば落とす。喋れば首ば落とす。怪しげな動きを見せれば首―――――置いて行ってもらうど」

ライナー「ッ………」

豊久「大人しゅうしとれ。お前らが何がやらかすよりも早く、俺はお前らの首ぃ刎ねることができっど」

ライナー「ッ………!? ッ!?」

エレン「なんで? どうして? そんな顔してるな。おまえらは知らなかったんだろうがな―――――トヨヒサたちの世界には、こういう便利なものがあるらしいぜ」


 そう言ってエレンが懐から取り出したのは、通信用の水晶球。


信長『まァ、そういうこった。お主らの自白、一言一句余すところなく聞かせてもらった』


ライナー(水晶から、こ、声、が………!?)

エルヴィン『104期の上位成績者十名のうち、八名も調査兵団に入ると聞いたときには喜んだものだが……真に残念だ、ライナー・ブラウン。そしてベルトルト・フーバー……』

ライナー(ハメられた………ま、またしても。エレンを単独で行動させていたのは、誘いだったのか)

信長『えるふと与一に壁を射掛けさせていた理由ももう分かったろ? 気づいたときには、ハイ手遅れってやつだ』

ライナー(立体機動のガス噴出音を、あのアホみたいな轟音でごまかしていたのか………近づいていることを悟らせないため……)

信長『ちなみにこの会話はな、ここにいる全調査兵団に届いている。今は違うが―――――ほう? ヤケになって他にも巨人化するアホが出てこないかと思ったが、おらんな?』

エルヴィン『つまり、君たちだけということでいいのかな? ああ、返事はしなくていい。その瞬間、もう何も聞き出せなくなってしまう』

豊久「首、獲ってはいかんのか?」

信長『ダメ』

エルヴィン『ダメ』

ハンジ『ダメ』

リヴァイ「やめろ」

豊久「ぐぬぬ」


エルヴィン『確定だな、信長。灰色は黒になった。白二つは黒二つとなった。ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー、そしてアニ・レオンハート、この三名が内通者――――巨人だ』

信長『うむ、ではとりあえず、りばいよ、やってしまえ』

リヴァイ「ああ」

ライナー「ッ、ぶ、ぐっ………!?」


 リヴァイは極めていた左腕を開放し、すぐさまライナーの首を捕えた。変則的なチョークスリーパー。

 数秒と待たず、ライナーの意識もまた暗闇に落ちていった。


豊久「眠っておれ。起きた時がお前らにとっての地獄の始まりじゃ」

エレン「それまでに考えておくよ………お前らがどうやったら苦しんで死んでくれるか。俺、頑張るからさ……」


 そう言って、豊久とエレンは暗い笑みを浮かべる。

 『鎧』、そして『超大型』

 人類の策に堕ちる―――――。



……
………

※おまけ~本日のユミルさん~


ユミル「セーーーーーーッフッ!! 私セーーーーーフゥッ!!」ゼェゼェハァハァ

クリスタ「バレたらとんでもない目に合ってたね」

ユミル「やめろ………私に乱暴する気なんだろう……? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!」ガクガクブルブル

クリスタ「大丈夫よ、ユミル。そんなことになっても、私だけはずっと貴女のそばにいる。貴女は私が守るから……」

ユミル「うん、あたちガンバる」エグッエグッ

クリスタ「よちよち」ナデナデ


 実際、ユミル捕まったら信長あたりに「女を拷問? そりゃレイプが一番。生娘ならなおさら」とか真顔で言いそうだし。

 マジでやりかねないから困るのが信長。

乙。面白い。ただ、エレンももしグリシャ、黒髪の少女を食べて人に戻っていたなら、
同じ存在ということだよな。

乙、待ってました
もっと警戒しようぜライベル、シガンシナの地下室の中身見てドリフ帰ってからでも遅くはなかったぜ

原作でも思ったが、エレンと3年も近くで過ごしながら
あの狂的なまでの巨人嫌いと駆逐精神を説得するのに正体自己紹介のみってむしろどうして成功すると思ったお前等

原作だとライナーがもう限界だったからな…

原作通り、巨人の正体人間だったら、人間も害獣とみなすのかな。エレンは。
続き気になるな。


捕まるの早かったな

エルフが息してない

続きが気になる。

次はいつの予定ですか?(´・ω・`)

次の投稿はは10年待つつもりでいろ

流石よく訓練されたヒラコー読者

このスレだけは落としちゃァいげねぇ

もう一つの方のドリフSSは落ちちゃったけど、こっちは落とさないでくれよ

※お久しぶりです、>>1です。保守ありがとうございます。マジで。

 嬉しくてちびりそうです。小さい方(リトルジョー)と大きい方(ビッグベン)を同時にひり出しそうです。こんもりと。

 ルビ振るとしたら「二大失禁(ダブルインパクト)」。中二病に侵された技名みたいだ。とろけるね。

 ごめんなさい、疲れてるみたいです。

 今日は気分転換に古いギャルゲでも引っ張りだして久々にプレイしてみようかな。名前変換できるヤツ。

 私、主人公の名前変更できるギャルゲ、好きなんですよ。

 「淫猥係長」とか「淫乱ロリ巨乳」とか「アヘ顔」とか「アクメ大乱交」とか名前つけてプレイすると、どんなクソゲーでも面白くなる不思議。マジでオススメ。

 「セックス」とつけるのはありきたりですけど定番ですよね。

 ヒロインが告白シーンで、「私、セックスが好きなの!」とか言ってくるんですよ。頭おかしいんじゃねえのコイツ。清楚なフリしてマジ雌豚。こいつ栗の花の匂いがするんだけどマジで。

 すいません、私、多分超疲れてる。


 さておき、明日明後日が休みという朗報。明日は久々に更新できそうです。

 そして来月から一週間また中国に行くという悲報(^p^)

 だれか………僕(の嫁)を見つけてくれ………。

お疲れシャス!

>>1はもっと休めてもいいと思うの

同意する。

俺は「巨乳看護婦」とか「ち○こ」とかつけてたわ

あとなぜか「ザビエル」
当時妙にツボだったんだよな


~ウォールマリア・東突出区・地下室~


リヴァイ「チッ………埃っぽいところだな。気分が悪い」

ミケ「我慢してくれ、リヴァイ」

リヴァイ「分かっている。地下室はあのデカブツ二人を隔離できる場所だ。万一巨人化されてもすぐに捕えることができる」

ハンジ「リヴァイは潔癖症すぎるんだよ。ほら、ここだ。お願いだから尋問の最中に掃除とか始めないでよ?」

リヴァイ「するか、クソメガネ」


 ガチャッ


信長「ぬ、来たか」

エルヴィン「待っていたよ、リヴァイ、ミケ、ハンジ――――それに、エレン、アルミン、ミカサも。エレン、君は少しは冷静に―――――」

エレン「…………ろす、殺す、殺す、殺す」ブツブツ

エルヴィン「―――――なっていないようだな。ミカサ、リヴァイ。いざという時は二人で押さえつけてくれ。こんなところで巨人化されたら敵わない」

リヴァイ「分かってる」

ミカサ「エレン。落ち着いて。これから尋問して、いろいろと聞かなきゃいけないことがある」


エレン「それが、それが終わったら、いいんだよな? 殺しても、こ、こっ、殺して、いいんだよ、な……?」

ミカサ「え、エレン?」

エレン「敵、仇、そうだ、仇だ……母さんを、シガンシナの皆を、殺した、あいつらなんか、あいつらなんか……」

豊久「阿呆」ゴツンッ


 殺意をまき散らすエレンの脳天に向かって、豊久は刀の柄尻を思い切り振り下ろした。


エレン「ってえええええええ!! 何しやがるてめえ!!!」

豊久「阿呆と言うた。お前こそ何ばしょうつもりじゃ。戦場にて首ば狩り獲るは武者の誉ぞ。ばってん、降り首ば獲るんは恥じゃ」

エレン「ッ、けど、豊久! あいつら、あいつらはっ、俺の家族を、母さんを………」

アルミン「よすんだ、エレン」

エレン「知ってるだろ、おまえも!! あいつが蹴った壁の破片が家に当たって、家が崩れて、母さんはその下敷きになって――――何もできずに、巨人に喰われて死んだんだ!!」

エレン「俺はそれを、見てることしかできなかった。力がなかったから!! だけど、だけど今は違う! 殺せる! 殺せるんだ、あいつらを!!」

豊久「然れども、えれん。身動き一つ取れぬ者を一方的に嬲るは、武士の行いではなか。侍ではなか! 恥じゃ! えれん、弁えよ。斯様な真似ぞしたならば、お前はお前の母者ば喰ろうた巨人と変わらぬ」

エレン「ぐっ…………」

豊久「お前は強か志の持ち主であろう。優しか。強か、良か男(にせ)じゃあ。そげん殺気だっておっだら、みかさが怯えようぞ」


エレン「ミカサ……?」

ミカサ「エレン、落ち着いて………私だって、怒っている。怒っているけれど、今は、そうやって感情をまき散らすような場面じゃない」

エレン「………そっか。そうだよな。ごめん、ミカサ。頭冷えたよ………」

ミカサ「うん」

豊久「うむ。はやり夫婦はかくあらねばならぬ。夫が過つならば、妻が正す。良か、良か夫婦じゃ」

エレン「っば………だ、だから、俺とミカサは、め、めめめ、夫婦とか、そ、そういうんじゃねえ!! か、家族だって」

豊久「姉弟か? そうは見えぬ。お前らは恋仲ではなかか?」

ミカサ「こ、恋仲とか、そういうのではなく………か、家族です」

豊久「嘘をつけい。こげん睦まじか男女(なんにょ)が恋仲でなくてなんだというんじゃ」


 戦国脳の豊久であるが、男女の機微にはそれなりに通じている。朴念仁ではあるが、エレンほどに唐変木というほどでもない。

 戦国の世にあっては14,5で婚約することはさして珍しい話でもなく、豊久からすればこの二人はとうに恋仲であるように見えていた。

 だが、エレンとミカサは違う、という。頬を朱に染めて、互いの顔をちらちらと窺うように見ては逸らす。その様子に、豊久は首を傾げた。


豊久「まどろっこしいのう。えれん、お前はまだみかさとまぐわっておらんのか?」


エレン「ま、まぐわ………///」カァァッ

ミカサ「そ、そ、そん、そんなこと、して、ない」カァァアアア

豊久「ほうか。まだ童貞に未通女(おぼこ)か。うむ、えれんよ。後で俺の宿所ば来やれ。閨での作法ば教えてやる。覚えたらみかさと結ばれい」

エレン「さ、作法ッ!?」

豊久「応。閨での営みば、男子の作法あってのものじゃ。おなごにそげんこつさせるは、男の名折れぞ。しかと導いてやらねばいかぬ」

ミカサ「み、導く………え、エレンに………ッ////」ボンッ

エレン「っ、ば、だ、だから、ミカサッ、おまえが、そ、そんな顔、赤くしてっから、こういう誤解を、だな………////」アセアセ

ミカサ「ご、誤解じゃ、ないと言ったら、エレンは信じてくれるの、だろうか………?////」カァアア

エレン「なっ、なに、言って………そ、それって、おま、いや、でも、お、俺は、ミカサのこと、その………」ドッドッドッ

ミカサ「……………」ドキドキ

ハンジ「ニヤニヤ」

アルミン「爆発しろ」

ミケ「臭い。ここだけ甘ったるい匂いがする」

リヴァイ「よそでやれ」

エルヴィン「後でやってくれ」


信長「金柑頭殴りてえわー。なんとはなしに金柑殴りてーわー。あーもー、戻ったら真っ先に金柑頭殺そう」

ハンニバル「か、かるたごー、かるたごー。妻よー、妻ー」ブツブツ

与一「いいですねえ。初々しい。幼馴染で恋仲ですか。ふふ、なんだかとても微笑ましい」フフフ

豊久「うむ。やはり若い者が結ばれるのは良か」

エルヴィン「そのあたりにしてくれ。エレンも落ち着いたようだしな」

エレン「ッ! し、失礼いたしましたッ!!」バッ

ミカサ「も、申し訳ありません!」バッ

エルヴィン「君たちの仲が良いのは分かったが、今後は時と場所を考えるように。いいね?」

エレン「は、はい。ッ~~~~~~~」カァアアア

ミカサ「ッ~~~~~~~はいッ」カァアアッ

アルミン(僕が何をどうしても進展しなかったこの二人が、あっさりお互いを意識し始めた………やっぱりおトヨさんはすごい)


エルヴィン「さて、本題に入るぞ」

リヴァイ「二人は?」

モブリット「隣の部屋で拘束しています。こちらです」


 扉を開けた先には、拘束された大男が二人いた。

 両手両足を鉄の輪で拘束され、大の字に寝転がされている。

 口元には猿轡だ。自害を防止するためのものではあるが、これは『自傷』を防ぐための意味が大きい。


エレン「ッ………」


 エレンの瞳が僅かに険を帯びる。握りしめた拳からは血が滴っていた。

 だが、豊久の茶化すような説得が功を奏したのか、エレンはがなり立てることも暴れることもなく、よく己の感情を抑えているように見えた。

 それを確認したエルヴィンが、モブリットに指示を出す。


モブリット「今から猿轡をとるけれど、自傷行使は慎むように。やったとしたら、殺さざるを得なくなるかね?」


 そう警告しながら、モブリットはライナーの猿轡を外し、次いでベルトルトのも外した。


リヴァイ「さて、ではおまえらには聞きたいことが山ほどある。拒否権はない。死んでも吐いてもらうぞ、人類の敵が」

ライナー「…………俺たちは敵じゃあない」


 開口一番、ライナーがそう告げるや否や、リヴァイがブレードを抜き放ちつつ、駆け出した。


 誰も、豊久ですら止める暇もなく―――――リヴァイはライナーの顔の真横に、ブレードを突き立てた。


ライナー「ッ………ぅ、あ」

リヴァイ「素直に話すのは構わんが、少し言葉を選べ。壁外に出た時はいつもこうだ―――――どうにも興奮のせいか、手が滑りやすい」

ベルトルト「ら、ライナー………」

リヴァイ「もう一度同じことをほざいてみろ………次はもう少し下の方に手が滑るかもしれん。おまえらは二人いるから、一人までは問題ないだろうしな………試してみても構わんぞ? ン? どっちがいい?」

ライナー「ッ………」ゾクッ

ベルトルト「ひ………」ビクッ


信長(脅し文句としては極上の類だな。ブチ切れた演技もなかなかだ。こやつ腹芸もなかなか達者ではないか)

豊久「ぬ? えれんよ、何を震えておる」

エレン「な、なんでもねえ………」ガクガクブルブル

アルミン(ああ………トラウマか)ムリモナイ

ミカサ「エレン、落ち着いて。大丈夫、私がついてる。私が守る」ギュッ

エレン「だ、だだ大丈夫だよ………こ、こりゃ、あれだ、そ、そう、トヨヒサが言ってたヤツだ、ムシャブルイってヤツだ」カチカチ

豊久「おお、その意気や良し。お前は男子じゃな。よかにせじゃ」ハッハッハ


エルヴィン「リヴァイ、下れ。そう脅しつけるな」

リヴァイ「チッ………了解だ、エルヴィン」

信長「では儂から質問させてもらうぞ? お主らの目的はなんじゃ?」

ライナー「聞いていたんだろう? 俺たちは五年前、この壁内の人類を皆殺しにするためにウォールマリアシガンシナ区の壁を破壊した」

信長「ああ、壁を破ってから五年間、兵士としての訓練を受け、壁内の様子を窺っていたことは分かる。だがとろすと区防衛戦からのお主らの行動には一貫性がない」

ライナー「それは―――――」

エルヴィン「エレン、か。君たち以外にも巨人化できる存在が現れたことが、君たちの行動方針の変更を余儀なくさせた」

ライナー「そこまで分かっているのなら、話は早い。エレンをこちらに渡してくれ。早くしないと手遅れになる」

エレン「ふざけるな!!! 誰がてめえらなんぞと!! どういう神経してんだ!! 俺の家族を、母さんを殺したてめえらが!!」

ハンジ「落ち着きなさい、エレン!」

ミカサ「待って、エレン……ライナー。貴方にはいろいろと思うところがあるけれど………エレンが巨人化できるのは、貴方たちの目的に深く関わることなの?」


 ミカサの言葉に、ライナーとベルトルトは揃って目を丸くし、示し合わせたように、次いでエレンを見た。


エレン「………なんだよ」

ライナー「―――――そうか。エレン、おまえは覚えてないのか」

※あかん。続きは明日、明後日あたりです。

 久々にまとまった休みをとったせいか、体が休み方を忘れてます。

 日中ひっさびさに運動してクタクタなのもありますが、申し訳ない。

 ロードバイク楽しいよ、ロードバイク。

おうお疲れ。エレンとミカサの進展がすごく嬉しいわ まったりスローペースで大丈夫だから、体大切にな

続きが気になる。乙。


r18はアリ?

>>1です。久々のコメント返しです。

>>470
 ありがとうございます。ちゃんと完結まで書くのでゆっくり待っていてください。

>>472
 ごめんなさい、この流れでR-18エレミカ挟む余地はないです。

 エレミカのエロ書こうとしたことはあるんだ。

 あるんだけど、なぜかアレなんだ、ちょっと気を抜くとバキのSAGAっぽいノリになってね。

 自分で書いた文章で自分が「ッッッ~~~~~!?」って悶絶するという自虐状態に陥ったので、書くのを諦めました。

 それとこっちが本題なんですが、やっぱり明日明後日に続き、云々は無理がありました。

 今しばし、ゆるりとお待ちください。

おう。何ヶ月といわず年単位で待てるからな 大丈夫だ

がんばれ>>1
ほら、嫁だよ つアニたん

生存報告だけはしてな

うん。百年くらい待てば次の投稿来るだろ

百年とかなにそれやべえ
おひいたまに不老の薬でも煎じてもらうか

???「やめろ人間…化物になるな…私のような」

保守

ミカサ不憫な。これで、アニに寝取られたら、笑うしかない。

ハンニバルのじい様はいいキャラしてますわ

ハンニバルのじい様はいいキャラしてますわ

保守ー

ああ~ 待ち遠しいですわ!待ち遠しいですわ!1は一体何時出る のかしら♪この私を何時まで待たせるのでしょう!

星のルーデル・・・?

保守


エレン「俺が憶えていない? 何を憶えてないってんだ」

ライナー「………お前が忘れているのは」

ベルトルト「ライナー!! それは!!」

ライナー「ここまでだ、ベルトルト。お前の言いたいことも分かる………」

ベルトルト「何故だ! まだ、まだ僕たちは負けちゃいない!! アニがいる!!」

ライナー「忘れたか、ベルトルト。壁上で、エレンは確かにアニの名を出した。既にアニは疑われてる。そして――――あの用意周到な眼帯男が、そんな疑わしいヤツをノコノコ泳がせておくと思うか?」

ベルトルト「ッ…………!!」


 苦々しげに言葉を吐き出すと、ライナーは忌々しいものを見るような目で、信長を見つめた。

 信長は鼻で笑って首肯した。


信長「ああ。当然、あのアニとかいうのには監視をつけた。監視役には通信用水晶球を持たせてある」

ライナー「厄介なもんだな、その水晶球は。それ以上に、あんたが」

信長「最高の褒め言葉じゃな。そうそう、先ほど捕縛したと連絡が入ったぞ」

ベルトルト「ッ……アニに、手を出すな!!」

信長「注文出せる立場か? 精々従順にこちらの言葉に従えば、考えてやらんでもないぞデカいの。そっちの金髪のゴツいのは、分かってるようだがな」ククククククク


ライナー「…………」ギリッ

ベルトルト「く、くそ…………」ガックリ


信長(まあ―――――実際は捕縛なんぞしとらんし、つーか監視役が『しーな』で見失ったという体たらくじゃが、黙っておくか)

信長(おそらくは巨人化して、虚報の行軍経路で一人待ち伏せでもしておるのだろう)

信長(来るはずのない俺らを待ってな…………ク、ククク、考えただけで笑える)プークスクス

豊久(本当に嫌な奴じゃのう)

リヴァイ(ロクな死に方しねえな、絶対)


エレン「………で、俺が何を憶えていないって言うんだ」

エルヴィン「待て、エレン。それは後で聞く。ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー。君たちに立場を理解して貰ったところで………そろそろ尋問を開始したい。言うまでもないが、君たちに拒否権はない」

ライナー「ッ………分かっている」

ライナー(こうなった以上、こちらに協力してもらうしかねえ………となると、厄介なのはやはりエレンだ。あんにゃろう、全然人の話を聞きやしねえ。難儀だが、どうにかしてこちらに協力して貰わなければ)

ベルトルト(アニが捕まったなら………もう、これしかない。どうにかしてエレンを説得する。何が何でも)


ライナー「………どこから話すべきかな。まあ、言ったところでおよそ信用してくれるとは思わんが……」

エルヴィン「それはこちらで決めることだ」

ライナー「では、何から話す? 俺達の目的か? 俺達の敵か?」

エルヴィン「もちろん聞かせてもらうが、それは後回しだ。今聞くことはただ一つ」


エルヴィン「―――――巨人とは、なんだ?」

ライナー「……核心ついてきてるな。流石は団長」


 苦笑交じりの溜息をつきながらも、ライナーは心底で安堵した。

 ―――――その質問を先にしてくれるのならば、説得はやりやすい。


ライナー「なら、順を追って話す必要がありそうだな。まず団長、その問いについてだが………こっちからもいくつか質問しなければ答えられない類のものだ。許可をいただけるか?」

エルヴィン「…………いいだろう」

ライナー「助かる。こうなっちまった以上、こちらとしてもあんたらに正しく物事を理解して貰わないと困るんでな」

ベルトルト(後は、君たちの良心に賭けるだけだが………)


ライナー「エレン。おまえはどうやって『戻った』のか、覚えているか」

エレン「あ?」

ライナー「ああ、残酷なことを聞いているのは分かってる。おまえ、誰を『食った』?」

エレン「は? どういう意味だそりゃ。生憎と俺は人を食う趣味も生態も持ち合わせちゃいねえよ」

ライナー「やはりか」

ベルトルト「覚えていないんだね。無理もないよ………僕たちの時も『そう』だった」

エレン「何を、言ってんだ………? 何が言いたいんだよ、てめえら」


 苛立たしさを隠そうともせずに問うエレンに対し、ライナーは対照的に冷めた態度で、その事実を告げた。



ライナー「何を言いたいか? おまえがいつ『巨人』から『人間』に戻ったか、という話をしているつもりだが」



 その瞬間、時が停止したように、誰もが息を呑んだ。

 言葉を発したライナーと、それを見守るベルトルトだけが、どこか冷やかな視線を彼らに向けていた。


リヴァイ「な………に?」


エルヴィン「ッ!!」

ライナー「その反応から察するに………エルヴィン団長、聡明なアンタのことだ。『巨人』がもともと『人間』だってことぐらいは想定してるんだろう」

エルヴィン「…………ああ。ハンジ、そしておそらくはノブナガ、君もだろう?」

信長「ま、ありえん話ではないな」

ハンジ「…………まあ、ね」

エレン「ッ!? そ、そんな馬鹿なこと………馬鹿な………」

アルミン「………ッ」

ベルトルト「………アルミン。君もか」

エレン「あ、アルミン?! お、おまえまで、こんな馬鹿な話を信じるのかよ!?」

アルミン「……………巨人はうなじを削がれたら死ぬ。そしてエレン。君は『うなじ』の中に入っていた。巨人の本体として」

エルヴィン「可能性としては、考えられることだった。巨人の体は非常に高温だ。うなじを切り飛ばした後、本体である人間はその高熱で溶けて消える、そんな仮説も考えた」

ベルトルト(半分正解ってところかな)

ハンジ「ソニーとビーンを殺したのは、君たちか。その事実を知られては困ると、そう思ったのかな」

ライナー「出来れば俺かベルトルトが殺っちまいたいところだったんだがな…………やったのはアニだ」

アルミン(ッ………じゃあ、やっぱりあの立体機動装置は、アニじゃなくてマルコの………!!)


ライナー「話を戻すぞ。巨人とは何か、という問いだが―――――言葉の通りだ。巨人とは『巨大』な『人』。人が巨大化して、理性を失った存在。それが『巨人』だ」

エレン「ッ、なんだ、そりゃ………!! それが、俺が人を食うことと、どうつながるってんだ!!」

ライナー「順を追って説明すると言っただろう。そうだな………誰か、そこに二人。横に並んでくれるか」

ベルトルト「その二人の間に、エレンが立ってくれるかい」

リヴァイ「エレン。言うとおりにしろ」

エレン「へ、兵長! しかし!!」

リヴァイ「命令だ。やれ」

エレン「ッ………わかりました」


 不満たらたらといった表情で、エレンはリヴァイとエルヴィンの間に立った。


ライナー「まずは左の………リヴァイ兵長。あんたがただの人間の立ち位置だ。巨人化能力を持たない、ただの人間」

リヴァイ「…………」

ライナー「次の段階が、エレンだ。巨人化能力を備えた人間。強い目的意識を持って自傷することで、巨人に変身することができる存在」

エレン「ッ………」

ライナー「そして右………エルヴィン団長。巨人化能力を制御できなくなり、巨人化したまま理性を失った存在………無知性巨人があんただ」


エルヴィン「巨人化能力を、制御できなくなった? ………ッ、そうか! トロスト区防衛戦でのエレンの暴走は!!」

ライナー「御想像の通りだ。あの時は焦ったぞ………巨人化についてはズブのド素人であるエレンをいきなり実戦に投入し、挙句に暴走するなんてな」

ベルトルト「巨人化能力は諸刃の剣だ。恩恵には代償が必要になる。巨人化は人を人たらしめる強い自我と理性、膨大な体力を消耗する。少しでも気を抜けば『取り込まれて』そのままずっと巨人から戻れなくなってしまう」

アルミン「待って………巨人はどうして人を襲う? 人だけを襲うの? ただ理性を失うだけならば、やみくもに周囲のものを破壊したりするんじゃあ」

ライナー「本能、と言っちまえばそれまでなんだが………簡単なことだ。人を食って、人に戻るためだ」

与一「んー………分かりませんねぇ。巨人には『しょうかきかん』とやらがなくて、食べてもすぐに戻してしまうと聞きましたが?」

ベルトルト「言いたいことは分かるよ。ただの人間を食っても、巨人は人には戻れない。だが、その人間が『巨人化能力者』なら話は別だ」

ライナー「巨人が巨人化能力者を食うことで、その巨人は『巨人化能力』を備えた人間に戻る。理性を取り戻すということだ」

エレン「じゃ、じゃあ…………お、俺が、覚えてないってのは」


ライナー「そういうことだ。だから聞いたんだ――――おまえは、誰を食ったのか、と」

エレン「お、おれは、俺は、誰かを、く、食ったの、か………?」ブルブル

ミカサ「エレン!! しっかりして!!」

エレン「ち、ちが………違う、ミカサ。俺は、違うんだ。そんなこと…………分からねえ。なんでだ、なんで、俺の記憶は、こんなに曖昧なんだよ………」ガタガタ


ライナー「記憶があいまいなのは仕方ないことだ。俺たちの時も――――俺たちが人間に戻った時も、そうだったんだ。誰を食ったのかも覚えちゃいない」

ベルトルト「あまり、気に病むことはない………」

ハンジ「そうか。だから他の巨人はエレンを攻撃するのか。本能的にエレンが人間だってことが分かるのかな? うーん、だとすると………」ブツブツ

ライナー(エレン、おまえは誰を食った…………マルセルを食ったのは、別の巨人だ。エレンの巨人体とは姿形、大きさもまるで似通うところがない)

ベルトルト(僕たちが気になったのはそこだ。ひょっとしたら、エレンは『人』ではなく、『アレ』を口にしたのかもしれない)

信長(………少しだけ読めて来た、が………まだ足りんな)チラッ

エルヴィン(………)コクリ

エルヴィン「つまり、君たちがエレンを狙うのは………これは想像だが、例えば君たちの仲間に、理性を失った巨人がいて、そいつにエレンを食わせて正気を取り戻させるためだと?」

ライナー(ッ、来たか、その質問が………)

ベルトルト(正念場だ………ここからはうまく誤魔化さなければならない)

リヴァイ「どうした。考え中か? さっさと答えろ」

ライナー「………それは、違う。俺は、俺達は、エレンが持っているかもしれない能力に期待している」

信長「ン? そういや、『エレンが来たら、壁内の人類を皆殺しにする必要がなくなる』とか言うておったか」

ベルトルト「そ、そうだ。そのことで、エレンに協力を求めたいんだ」

エレン「………ッ、おまえらが何を俺に求めてんのか知らねえが、俺がそれに協力すると思うか?」


ベルトルト「………思うよ。楽観しての発言じゃあない。どの道、このままじゃあ遅かれ早かれ人類側は詰む。その時、君は真っ先に人類にとって敵という立場に立つだろう」

エレン「俺が人類の敵だと?」

ライナー「そうだ。おまえも同じ巨人化能力者ならわかるだろう? いや、まだ自覚症状が出ていないか?」

エレン「何の話だ!!」

ライナー「理性だよ。巨人化能力は万能じゃあない。巨人化能力者を食って、人間に戻って、それで終わりというわけじゃない」

ベルトルト「巨人化能力を使い続けると、いずれ巨人に戻る」

エレン「――――――は?」

ライナー「分かり辛かったか? 簡単に言えばだ―――――おまえも俺もベルトルトもアニも、このままじゃあいずれは他の無知性巨人になっちまうって話だ」

ミカサ「ッ、そんな………!!」

アルミン「エレンが………そ、そんなの、嘘だ!! エレンに無理やり協力を取り付けるために、君たちが嘘をついてる可能性だって!!」

ライナー「証明できる手段はない。だが、覚えておけ。これからエレンが巨人化するたびに思い出せ。そのたびに、エレンは人から巨人へと近づいていく」

エレン「そ、そんな………嘘だ………嘘だ………」ガクッ

エルヴィン「ッ………ハンジ。リヴァイ。エレンを退室させてやってくれ」

リヴァイ「分かった。こい、エレン」グイッ

エレン「嫌だ……そんな、俺は、この力で、世界を………シガンシナを………」ブツブツ


ハンジ(錯乱してる………無理もない)スッ

ミカサ「え、エレンは、私が連れていきます!! お願いします、団長!!」

アルミン「ぼ、僕も!! どうか、私にもその役目を!!」

エルヴィン「…………分かった。許可する。エレンを別室で休ませてくれ。彼は今、酷く疲れているだろう」

ミカサ「はっ! エレン………肩を」スッ

アルミン「しっかりして、エレン。大丈夫だよ。僕と、ミカサがついてるから………」

エレン「あ………あ………嫌だ、嫌だ」ポロポロ


 ミカサとアルミンに引きずられるように退出したエレンを見送った後、エルヴィンはライナーとベルトルトに向き直った。


エルヴィン「――――このままでは、人類側は詰むと言ったな。どういうことだ」

ライナー「言葉の通りだ。俺たちが壁を破壊しようがすまいが、どのみち壁内は地獄になる」

リヴァイ「その根拠を言えと言っている」

ベルトルト「…………『猿』です」

ハンジ「はい? 『さる』?」

信長「ん? 『猿』がどうかしたか」


リヴァイ「なんだ、その『さる』というのは?」

ライナー「壁外にいる哺乳動物だ。賢く、人と大差ない外見をしてる。毛むくじゃらだがな――――その『猿』に見た目が酷似した『獣の巨人』が、いずれ壁内にやってくる」

ベルトルト「猿は巨人化したままでも理性を保ち続け、人の言葉を話し、そして――――普通の人間を、巨人に変えてしまう『座標』を持っている」

ベルトルト「彼によって巨人になった者は、昼夜を問わずに活動できる。お構いなしだ。何より、猿には壁の恩恵が意味をなさない――――登って乗り越えてしまうだろう」

ミケ「な、にぃ………!?」

ライナー「遠くない未来、やつはやってくる。そうなれば、壁内は巨人で溢れかえり、人類はなすすべもなく抹殺されるだろう」

ベルトルト(………彼についていけば、故郷に帰れることは、伏せておこう)チラッ

ライナー(ああ。言ってもこっちに不利になるからな)コクリ


信長「―――――そこで、エレンに繋がるのか。エレンはどんな能力を持っておるのじゃ?」


ライナー「ああ、あいつの手に渡った『座標』は恐らく――――――『巨人に対する絶対命令権』だ」

エルヴィン「巨人に対する、絶対命令権?」

ベルトルト「そうだ。巨人を律し、従わせ、操る。それをうまく使えば―――――すべての巨人を人間に戻すことができるかもしれないんだ」

※さて、今日はここまで。
来週は結構ヒマできそう。

今回の真相パートでは>>1の推測や妄想がてんこ盛りでしたが、楽しんでいただけたでしょうか。

ここからは怒涛の展開。バトル。エロス(用意できたらいいな。アレだよ、傷心のエレンをミカサが慰めるんだよ。体で)

次の更新をまったり待って行ってね……。

乙。面白すぎやばい
ジュマンジの頃から思ってたけど、この>>1は普段はほのぼのとかキチとかギャグにエロ書くけど、こういう考察でもすっげー光るもん持ってるよな

更新きた。楽しんで読めた。エレンが苦しんでいるのをもっとやってほしい。ミカサ遂にエロにでれるのか。乙。

>>507
 ありがとうございます。マジでこれが励み……。

>>508
 エロ展開には持っていけそうにないと言ったな。アレは嘘だ。
 エレンは物語の奴隷、って話を聞いて、結局流されるままできることをやるしかないんじゃないかなと。
 心身ともに疲れ果てたエレンが帰る場所って言ったら、やっぱりミカサになるのかな。
 エロ欲しい? エロ欲しいか! エレミカ欲しいのか? ン? どういうの欲しいんだ。
 ガチエロ! ガチエロ欲しいのか!? ガチエロ書いてほしいのか、イヤしんぼめ!

ガチエロ出なくても大丈夫。エレンが苦しむほうが見たい。

エロの必要性が今のところ感じられない

俺はエロあると嬉しいが

このストーリーにエロは別にいらないかなぁ…
エレンが安っぽく見えちゃうし
とにもかくにも>>1

エロに持って行けそうにないというのは嘘(書くとは言ってない)

謎考察はなかなか楽しめた。乙っした

下着を脱いで待機していよう!

パンツ脱げばいいのか?

ミカサ「私が体で慰めよう」スッポンポーン
とかされてイラッとするエレンを想像してしまったww

徹底的にエレンを苦しめて、謙虚さを身につけて成長させてほしい。


工口がほしくないわけないだろ!!
まじめ君のままでいいわけがないだろ!!

無理にエロ入れる必要性がわからんね
そんなもん無くとも十二分に面白いし

ほしゆ

保守だぜー

ほしのあきらのでかちんこ

お前は文字が読めないのか

ワロタwwww

阻止

平家バンザイ

源氏バンザイ

源氏バンザイ


ハリーハリーハリーハリー!

何だ、荒らし共か

首おいてけされるぞお前ら

超大型「にょわー☆」

>>555
死ね

>>1はあれか、またブヒートラップか

率直に聞く このスレはもうお終いか?

過労死とかしてないよな?

※お久しぶりです、>>1です。
 過労死はしてませんが、このままだと過労死するので、上司を交えて人事部と休職についてお話し中です。

 いつも保守ありがとうございます。
 休みがてらちょこちょこ別のSS書いてたりしてます。
 ドリフもちゃんと書き上げるのでもう少々お待ちください。

のんびり待ってる

休職したらたくさん書けるね!やったねたえちゃん!!

↑いいのかそれ。
待ってる乙

保守 お疲れ お大事にね

年収より身体や健康第一だよ、と自分の経験からマジレス

ほしゅ

保守

志村けんはいつ出てくるやら

主は未だに来ないか…大丈夫なのか?


 女型の巨人は、アニ・レオンハートは考えていた。


女型の巨人「……………」


女型の巨人(何度考えても―――――持ちうる情報で得られる答えは二つに絞られる。調査兵団が不測の事態により撤退した、あるいはトロスト区から出られない状況にある。もう一つは、私たちが調査兵団に出し抜かれたということ)

女型の巨人(前者の可能性の方が断然高い。物資の調達漏れがあったから出立が遅れているとか、出立早々に巨人の集団に襲われて撤退を余儀なくされたとか、いくらでも説明がつく)

女型の巨人(だが――――ライナーとベルトルトが危険を省みずに送ってきたドリフターズに関する資料。あれがどうにもひっかかる)

女型の巨人(百メートル近く離れた的を射ぬく矢の名手がいるとか、悪魔のような頭脳を持った隻眼がいるとか、執拗に首を狩り取ることを生きがいにする妖怪がいるとか……)

女型の巨人(挙句に耳の長い美形の男どもがぞろぞろいるとか………ふざけた報告書だった。異世界から来たとか、怪しげな魔術を使うとか、本当にふざけている。正気を疑う報告内容だったけれど)

女型の巨人(それが事実だとすれば、ドリフターズとは、もはや私たちの固定概念が通用しない、想像力すら飛び越えた存在ということになる。私の考えすぎ?)


 混濁する思考を、首を振って否定しつつ、アニは今一度情報の洗い出しと精査を行った。


女型の巨人(………待て。思い返してみれば、シーナで振り切ったあの尾行………ぬるま湯につかった憲兵とは思えなかった)

女型の巨人(かなりの手練れ………王政の中央憲兵? 諜報員? いや、それにしてはお粗末だ。調査兵団員と考えたらどうだろう? 糸一本分ではあるけれど、後者の結論へと繋がる)

女型の巨人(調査兵団が私に尾行をつけたとすれば、ライナーとベルトルトの正体を調査兵団がカンづいていることは明白。この一連の事態が、それに起因しているとすれば――――)

女型の巨人(私の戦闘定石だ。いつもと変わらない。考えろ。私たちが、巨人が、最も『やられたら嫌なこと』はなんだ? 私たちが彼らであれば、どうするのが正解だ?)


女型の巨人(今回の遠征では、彼らも、ドリフターズも同伴するという。何のために? 何故? 利害が一致した? 調査兵団にとっての利は? 目的は? 彼らはどこへ行きたい?)


 アニの思考はかつてないほどにクリアになり、より多くの要素を取り込んだ思考回路は確実に一つの答えに向かって回転を続けていた。


女型の巨人(もはや『どうやって』とか『不可能』だとか、そんな甘えた考えは捨てなければならない。シンプルに行こう――――ドリフターズには、それが『できる』のだと)



女型の巨人(―――――決まっている。シガンシナだ)




 アニはそう確信した。

 彼らはそこに辿り着くための術を得たのだ。

 そしてその術を実行している。

 実行したからこそ、迂回路を取っている。

 女型の巨人と遭遇しなかったのは単なる偶然だが、こと此処に至り、アニは己の失策を嘆く。


 ――――私が奇行種どもをひきつけて待ち伏せするつもりが、結果的にあいつらの行軍経路から巨人を除外して、進軍の手助けをしてしまった形になる。


 後悔の念を思考の隅に追いやり、再びアニは思考の海へと埋没する。

女型の巨人(―――――もう昼を回った。迷っている暇はない。私はどちらだ………)

女型の巨人(ストヘス区へと帰還するか。それとも行くか。行くならどちらだ―――――東か、南か)

女型の巨人(行くも地獄、退くも地獄か。必要なのは決断だ)

 アニは聡明だった。調査兵団がトロスト区を出たのであれば、行軍ルートを確実に変更していることを察していた。

 待ち伏せを警戒して、本来の行軍ルートよりも更に大きく迂回路を取っているのならば、このまま南のシガンシナ区へ向かうのが正解。

 調査兵団がなんらかの手段で『壁の上を行く』方法を見出したとすれば、東の突出区だ。

 即決が必要だと、アニは感じていた。背筋をチリチリと焼きながら這い上がっていく感覚は、焦りに似ている。

 根拠の乏しい『女の勘』とでもいうべき感覚であったが、アニはこの感覚に全幅の信頼を置いている。


女型の巨人(確実性を取るならば南。賭けに出るなら東………)


 そして、アニは一歩を踏み出した。

 直観の赴くままに。

続ききた。

そんなもん見れば分かるだろ
知恵遅れか?

お前もいちいち言わんでいい

ブーメランですなぁ

そうだなすまん

続ききてたー(^o^) おかえりヒラコー!

乙!まってた

>>586
知恵遅れ乙

>>592
どうせお前ID:Icp5LDnwだろ
この場合>>586のほうがまともだと思うが

喧嘩すんな見苦しい。よそで、どうぞ

おかえり、1

保守

>>594
お前もいちいち言わんでいい。スルーしとけ

新刊はいつですかね


見通しが正しければ八月ぐらいじゃないかな

8月か…待つとしよう

いつの八月かはわからんがな

まぁ、待つよ


8月に発売(今年の八月とは言っていない)
ソースはHELLSINGを
もし延期したら罪なので罰としてチソコをもごう(提案)

新刊くれなきゃカルタゴほろぶ

ほしゅ

次巻(四巻)の発売日は2014年8月22日な模様 やったぜ
延期したら捨てがまりぞ

続きが気になる。

延期したらヒラコーの髑髏でカンパーイ

ドリフターズって今やってるの?休載中?
富樫も働き始めたのに…

少なくとも今月でた八月号には載ってた

ヒラコー遅筆だからなーしかたない

保守!

>>1は忘れてしまっているのだろうか…

>>1はヒラコーだからな、ベタ塗りに忙しいんだよ
じゃなきゃ愉快なおまけ漫画描いてる

>>1です。短いけど、続き投下してまいります。

~ウォールマリア・東突出区・地下室~

信長「ふん、『猿』とやらを聞いて、大体察しはついたわ………お主ら巨人側の勢力も、一枚岩ではないということか」

ライナー「………ああ、その通りだ」

エルヴィン「つまり、その『さる』は君たちにとっては味方ではない、と」

信長「ということは、こんな感じか。お主らを知性巨人側、猿を猿側という勢力で呼称するとして――――互いに争っている。しかし猿側とは違い、お主らの方には巨人を増やす術がない。つまり物量による劣勢に立たされている」

ライナー「………そうだ。壁外にいるほとんどの巨人は猿側の巨人だ。当然、俺たちが巨人化しても襲ってくる」

信長「故に壁内人類を皆殺しにすることで、奴らが巨人を作る大本である人類を断つ。それによって戦局を有利に進めようとした。そういうことか?」

ベルトルト「概ね、そういうことだ。だけど、そこでイレギュラーが発生した。それがエレンだ」

ハンジ「成程ね。エレンの『巨人を統率する』という力が本当にあれば、敵が多くても関係ない。むしろ多ければ多いほど同士討ちを誘えるし、戦略兵器として用いればこれ以上のものはないだろうね」

ライナー「そういうことだ――――あいつに壁の中にいる巨人を統率して貰えば、そして猿側の巨人を滅ぼすことができれば、もう争う必要もなくなるんだ」

リヴァイ「――――まて。おいデカブツ、てめえ今、聞き捨てならねえことを言ったな。壁の中に巨人がどうとか……」

ライナー「察しぐらいついてたんだろう? それとも、分かっていて目をそらしていたか。そうだ――――壁は巨人の硬化能力によって造りだされたものだ。巨人たちは今も壁の中で眠っている」

ハンジ「ちょ、ちょっと待って!! そ、それって、そうか、壁が巨人でできていて………じゃあ、じゃあ人類がこの大陸に移民してきたとき、壁は最初からあったっていう伝承は、まさか、まさか……!?」

リヴァイ「どうした、クソメガネ。落ち着け」


 巨人が壁を造った。その言葉に真っ先に反応したのはリヴァイだったが、続いて反応したハンジは、爆発する勢いでライナーにかみついた。


ハンジ「壁は巨人が、作った……元々用意していた? 何のために? 人類を、囲うために……? ちょ、ちょっと待って……ライナー・ブラウン、壁を作ったのは、どっち側だい? 君たちか、それとも猿か?」

ライナー「猿側だ」

ハンジ「そ、そんな……そんなこと、って……」


 ハンジは放心した顔で膝をついた。見れば、顔から唇まで真っ青になって震えている。寒さにも似た恐怖を堪えるように、必死の形相で胸をかき抱いていた。


リヴァイ「どういうことだ。クソメガネ、分かるように説明しろ」


 リヴァイは舌打ちしながら、崩れ落ちるハンジを無理やりに立たせ、席に座らせる。


ハンジ「こ、ここは、壁内に栄えた、人類は…………で、でも、そんな、そんなの、って」


 ハンジは震えていた。言葉をつむごうとしても、続きが出てこない。
 業を煮やしたリヴァイが文句の一つでも言おうと口を開いた、その時だった。



信長「猿が巨人を増やすための――――人間という資材の繁殖場。そういうことだろ。成程、辻褄が合うわ」



 冷徹な信長の言葉に、一堂は絶句した。


信長「閉じた文化圏とはいえ、国は国。一定以上の繁栄は約束される。繁栄しきって人が増えたところで、猿どもは『収穫』を行うつもりだったのだろうよ。だが、その繁栄に待ったを掛ける輩が、確か壁内にはいたよな、エルヴィン」

エルヴィン「――――王政、か!」

信長「そうだな。王政はこの秘密を握っていたんだろうよ。うぉーる教とかいう宗教はこの秘密を知っていたのだろうて。そりゃあ秘密にもするだろう。文明を過度に発展させるための研究を禁制にするのは、それが理由だな。彼奴等は彼奴等なりに、壁内を守ろうとしていたのかもしれん。一定以上の人口が増えないように、猿がやってこないようにとな。だがあるいはその逆もある――――」


 その或いはが臭い――――と信長は考える。

 王政は猿側の巨人と通じており、巨人をも殺しかねない兵器の発展を恐れ、抑制しているという可能性もある。というより、こちらが高い。

 そうなると最悪だ。調査兵団は調査兵団のみで、一揆を―――クーデターを成し遂げなければ、王政と猿を打倒できないということになる。


ミケ「だ、だが、だったら何故、壁のことを俺達には秘密にしていたんだ?!」

信長「チョボヒゲ、少し考えてみろ。どこの施政者が民草に言える―――――お主らは家畜だと。んなこと口走ったその日に、壁内全域で一揆が起こるわ」

ミケ「ッ…………そう、か、そういうことか」

信長「憲兵やうぉーる教は、執拗にエレンを殺したがっていたらしいが、それはやはり壁の秘密が公となる可能性を持つものは、全て殺したかった、ということか?」

エルヴィン「………君たちが、壁内の人類を有無を言わさず滅ぼそうとしたのは、それが理由か」

ライナー「……そうだ。言えるわけがない。壁の中でのうのうと生きて来たお前らが、自分が家畜だということを認められるか? 暴動が起こるだけだ。かといって王政を説得するか? 無理だな。権威に凝り固まった保守派の連中は、真っ先に俺たちを排斥しようとするだろう。何せバレたら自分たちは立場を追いやられるんだ」

ベルトルト「そんな連中を信用して、危ない橋は渡れなかった。殺すしかなかった………誰かが、やらなきゃならないことだった。そしてそれを、僕たちがやった……これは、それだけの、本当にそれだけの話だ」

ライナー「そうだ。遅かれ早かれ、この壁内は地獄になる。猿が滅ぼすか、俺たちが滅ぼすか、お前たちが勝手に死ぬか、その三択だ」


信長「だが、エレンがいれば――――第四の選択ができるということじゃな?」

ベルトルト「そうだよ………アニは、奇行種をある程度統率する力を持っているが、同士討ちさせることはできない。足りないんだ、手が。だけど、エレンが入れば、このジリ貧の状況を盛り返すことができる」

ライナー「エレンの能力で猿の巨人たちを皆殺しにしたうえで、巨人化した無知性巨人を人間へと戻す。それしかもう、方法はない」

信長「…………概ね、分かった。エルヴィンよ、どうする? このまま尋問を続けてもいいが、ひとまずはシガンシナへ向かうか? まだ日も高い。行けるところまで行くべきではないか?」

エルヴィン「彼らの扱いをどうするかによるな。聞いた話が真実ならば、もはや王政や憲兵団に彼らを引き渡すことはできない。法に則って裁きを下すならば死刑が妥当。だが――――殺されては、王政のやり方を弾劾する物証を失うことになる」

信長「保留、がいいところであろうな。少なくとも、お主らから見ても、調査兵団だけは味方につけることができる可能性は高いじゃろ?」

ライナー「ああ。王政は無論、その犬の憲兵団は下の下、更にその統率下にある駐屯兵団も問題外だ。交渉次第で、こっち側に立つ奴もいるだろうが」

ベルトルト「今のところは調査兵団だけだ。300余名の、心細い味方だけどね。僕たちは恨まれてもいる」

信長「自分の立場を理解できているなら結構。エルヴィン、こいつらもシガンシナへ連れていくぞ。ただし拘束したまま、馬車に乗せてだ」

エルヴィン「ああ、それが最善だな………ここに放置するのも一つだが、軍を分けるのは避けたい。かの『猿』や、アニ・レオンハートが今後襲撃してくる可能性を考えれば、我々と行動してもらうのが安全だろう」


 そして彼らは――――ウォール・マリアの壁上を行き、シガンシナへと向かうことを次の目的と定めた。

 ―――ライナー、ベルトルトの思惑通りに。

 後は彼らは、『機』を待つばかりだった。

続き待ってた甲斐があるな。乙。

イヨーッ、主乙ー。

次は一ヶ月後ですねつらい(´・ω・`)

辻褄合うね
この説は思いつかなかったので
読んでて鳥肌立った

相変わらずよく練られてるなあ…お疲れ様

すげー。ヒラコーじゃなくていさやまてんてーが書いてるんじゃ

合作なんだろ

進撃の廃棄物の影響だという説に一票

保守

保守

保守

保守である

保守、保守といって1ヶ月だ!1ヶ月だぞ!まーったく主は何時になったら帰ってくるんだ!

貴様ら御自慢の書き手!!首ィ落として、くびり殺してやったぞ?

>>640
ありがとうございます神父様


>>640

首を落とした?それだけか!

保守
ドリフターズの新刊もいつになったら発売するんですかね・・・

>>643

10月22日らしいぞ(あくまでも予想)
はじめは8月22日とか言っていたのに(´;ω;`)

※それまでにゃこっちも終わらせられるようにガンバリます。(フラグではない)

 いつも保守すまんこってす。おれ、ドリフ書き終わったら念願のエレン「種付け?」の後日談書くんだ……。

気長に待ってる、てかこういう界隈じゃ数ヶ月待ちなんてザラだし

続きハヨハヨ

気長に待つさー

今四巻発売予想予定日確認してみたら未定になってた…嘘だろヒラコー(´;ω;`)


※独り言。ちょっと時間がかかりそう。というのもミーナがいないのが悪い。このSSを書いたうえで悔いが残っているとすれば、ミーナだ……。

 彼女はもう時系列的に死んでいる。つまり登場させられない。弄れない。あんまりだ。英語で言えばANNMARIDA。

 ミーナってゅうのゎ……ミーナ・カロライナってゅう女の子……ゎたしはミーナが大好きなんだョ……。

 英語で「mina carolina」……並び替えると……「cali ni mara on」……カリにマーラがオンしてるの……すっごく香ばしいょね………諌山先生。

 名前通りで……髪型が独創的で……マヂでちんちんみたぃな形をしてる……。

 だからマーラ・カリデカイナってゅう名前にして……ゎたし、ぃっぱぃ弄った……ジュマンジ書いてた頃から……がんばったョ………みんながょろこんでくれると思ったから……。

 なのにゎたしのSSを読んでくれる人は……『もぉゃめてぁげなょ』とゅう………。

 どぅみてもちんちんなのに……ぃみゎかんなぃ……。

 もぅマヂ無理……マララギダインしょ……。


ミーナ「やめてよ!! もうやめてよぉ!! いつになったら私がヒロインのSS書いてくれるんだよ!!」


 永遠にねーよ。この亀頭に似たフォルムの女め。いや、むしろ亀頭こそが貴様に似ているのだ。君の頭はカリに似ている。君のマラはミーナに似ている。全米が驚愕、マーラ・カリデカイナ誕生秘話。

 もういっそドリフ世界側の廃棄物扱いで亀頭の巨根出そうか本気で悩んだけど、あんなの黒王様に見つかったら一発で性病の呪いかけられるに決まってるでゲス。

 ゲッゲッゲ、そう、そうなんでゲスよ。流石に不憫になったのでやめたんでゲス。私ってホント優しい人でゲスね。ゲゲルゲルゲ。

>>650
もういい…!!もう休め…!!!

そんなんいいから続きハヨハヨ

1さんや、あんた休みはあるの?
ブラックなの?

続きじゃなかったのか(´・ω・`)

過労死とかしゃれにならんぞ

これだけの長文が書けるなら、まだまだ大丈夫。続きハヨ


ヒラコー第三法則

1、仕事の話をすると休載する(延期する)

2、はじめに打ち出した予定日に発売することは絶対にない。

3、チソコが大好き


以上を踏まえて、>>1作者=ヒラコーということが示された

Q.E.D.

ミーナ出しても問題ない。

>>658
大丈夫じゃない。問題だ。
おまえはミーナという原作ブレイカーの恐ろしさを知らんのだ。。。

アルミン「巨人……い、いや、違う! あれは―――!!」
http://ssmatomesokuho.com/thread/read?id=33337

そういやこんなのも書いてたな

あげ

※やあ






 投下開始だ


・ウォールマリア壁上


 尋問をあらかた済ませた後、ドリフターズを有する調査兵団は一路シガンシナへ向け、ウォールマリア壁上を行軍していた。

 ライナー・ベルトルトの両名は縄を打たれた上で、厳重な監視の中、荷馬車に転がされていた。


与一「…………」ニコリ

ライナー「」

ベルトルト「」


 よりにもよって、与一の監視付きである。曰く、『泣いたり笑ったり巨人化しようとしたりしたら即座に脳天を射抜く』そうである。

 まさにゲンジバンザイ状態である。

 壁上を馬で駆ける調査兵たちの表情は明るい。

 『超大型』と『鎧』の両名を捕縛したのだ。これまで全くと言っていいほど戦果を挙げることができなかった調査兵団の、初にして最大最高の手柄である。

 壁上を行く彼らは、巨人に襲われる憂いもなく、後はシガンシナでエレンの生家地下室を調査すれば良い。

 その調査に関しても、ドリフターズ達が壁を塞ぐ手段を持つというため、さほどの気負いもなかった。

 そうなれば残る問題は調査後の帰り道と、壁内の無知性巨人たちの掃討のみである。


 そんな中、愁いを帯びた表情を滲ませる者たちもいた。

 第104期訓練兵団の卒団生―――今期の新兵たちである。

 同期の男子兵士の中で最も信頼されていたあのライナー・ブラウンが、鎧の巨人だった。その友人であるベルトルト・フーバーでさえも。

 特にライナーに憧れていた節もあったコニー・スプリンガーは、酷く取り乱していた。信じられないという表情で、唇を噛みしめ震えている。

 そんなコニーを気丈にも励まそうと話しかけるのは、サシャ・ブラウス。逆に落ち込んだコニーの気を奮わせるように悪言をまき散らすユミルに、それを窘めるクリスタ・レンズ。

 ぶつぶつと一人、悪態をつくジャン・キルシュタイン。


ハンジ「……………無理もないか」


 それを遠見に、どこか憐れむように見つめるハンジ・ゾエ。

 軍において同期というものは、特別な意味を持つ。卒団まもない彼らにとって、同期は寝食を共にした第二の家族に等しいほど強い絆で結ばれている。

 その中に裏切り者がいた。よりにもよって、最も信頼厚い者が裏切り者だった。そのショックは計り知れないものがあるだろう。


ハンジ(………しかし、こっちの方が問題かもしれない)


 第104期訓練兵団の卒団生から視線を切ると、ハンジは一台の荷馬車に視線を向けた。

 その荷馬車の荷台では一人、エレン・イェーガーがうなだれていた。


エレン「…………」


 生気の無い瞳で、膝を抱えて座り込み、口は何事かを絶え間なく呟いている。

 それもまた無理もない、とハンジは思う。

 彼とて裏切り者が出たことは、他の同期同様ショックであったろう。しかしその上、『いずれ無知性の巨人と成り果てる』と言われたその心境は、余人には窺い知れないほどに乱れに乱れきっているに違いない。

 ましてや、『あの』エレン・イェーガーである。訓練兵団への入団当初から調査兵団を志望し、誰よりも巨人を憎み、巨人を殺すことを目的とした彼である。

 真の意味で『巨人になる』ということは、どれだけの絶望だろうか。


エレン(俺は…………誰を食ったんだろう。これから誰を食ってしまうんだろう。調査兵団の先輩方だろうか。壁内の住人達だろうか。同期だろうか、それとも―――――)


 その考えに思い至った瞬間、ぶるり、とエレンの肩が震えた。

 脳裏に浮かんだのは、親友と家族。

 最悪の想定だった。


エレン(その前にリヴァイ兵長に殺されるんだろうか………それともオルオさんか。ペトラさんだろうか。精鋭たちなら俺を殺してくれるだろうか。ジャンに殺されるのは嫌だなあ。それとも―――――)


 また、脳裏に親友と家族の姿がちらつき、エレンは目頭が熱くなった。


エレン(こんな、こんなことって、あるか……俺は、俺は、巨人を殺すんだ。殺して、壁の外を冒険して、そして、それからなのに……俺が、巨人になっちまうのかよ。俺が、人類に仇なす者になるってのかよ。母さんを食い殺したヤツと、同じものになっちまうのかよ……)


 そう思ってしまったら、もう耐えられなかった。ぽろぽろと涙が零れた。みっともなく喉奥から嗚咽が漏れ、より深く膝を抱えた。

 屈辱だった。恥辱だった。これに比べればどんな拷問だろうと耐えられるとエレンは思った。

 そんなものになってしまうのならば、


エレン(だったら、いっそ………)


 エレンの瞳が、荷馬車の隅に詰まれた資材の一つの、超硬化ブレードを捉える。

 これで首を掻き切ったら、今よりもずっとずっとマシになるのだろうか。

 のろのろと、エレンの手がブレードに向かって伸びていく。

 その指先が、ブレードの取っ手に触れたとき、


 ―――――エレン。


 自分の名前を呼ぶ声に、エレンははっと振り向くと、いつの間にか荷馬車に接近していた者がいた。

 ミカサ・アッカーマンと、アルミン・アルレルトである。


アルミン「エレン。バカなことはやめるんだ」


 毅然と、アルミン・アルレルトはまっすぐにエレンの虚ろな瞳を見つめて言った。

 それがあまりに眩しくて、エレンはみじめだった。視線を逸らして、再び俯く。


エレン「……じゃあ、俺はどうしたらいい? どうすればいいんだ、アルミン。頭のいいお前なら、教えてくれるのか?」

アルミン「…………」

エレン「なあ、教えてくれよ。俺は、どうしたらいい? もう、何もかも分からなくなっちまった。ライナーとベルトルトが敵で、だけど敵を殺すだけじゃあ何も解決しないと分かって、挙句に俺はいずれただの巨人になって、人間に戻れないと来た」

アルミン「…………」

エレン「ただ、巨人を殺せばいいと思った。殺して、殺して、殺して、殺して、殺しつくせば、いずれいなくなるんだって、そう思ってた。でも、そうじゃないんだろ。ハンジさんから聞いたよ。王も、貴族も、敵になるかもしれないんだろ? なあ。どうすりゃいいんだ、俺は、俺は………!!」


 悲鳴にも似た声だった。恥も外聞もなく、涙と鼻水で汚れた顔を晒して、エレンは己の心を吐露した。

 ここでアルミンが死ねというなら死ぬだろう。生きろというなら生きるだろう。

 それほどまでに、今のエレンは参っていた。心がじわじわと内側から腐っていくような心地に、エレンはいっそ狂ってしまいたいとすら思った。

 そんなエレンに―――――アルミンは微笑んだ。


アルミン「エレン―――――おトヨさんが言ったことを覚えているかい。僕たちは支え合うものだと」


エレン「…………」

アルミン「君が悲しいのなら、僕も悲しもう。君が辛いのならば、僕がそれを半分請け負おう。僕とミカサが、君の苦しみも悲しみも、一緒に抱えたい。支えたいんだ、エレン」


 アルミンは、笑った。


アルミン「おトヨさんの言ったこと、僕は尤もだと思う。一人ですべての物事を成し遂げられる人なんていないよ。僕たちは羽の一枚一枚だ。それが連なって、僕らは調査兵団の翼になるんだ。なんとかなる。絶対に何とかする。それが駄目でも、安心して」

エレン「何を、何を、安心しろって、言うんだよ………」

アルミン「気休めに聞こえるかもしれない。だけどなんとかする。なんとかならなくても、なんとかするんだ。僕が言えるのは、君が何を考え、何であろうと、僕は君の親友だ。やることは変わらない。何も変わらない。僕は君が大好きだ。僕は君を信じてる。心の底から、君を尊敬している」

エレン「お、俺は、そのうち、人を食うようになって、おまえや、ミカサも――――」

アルミン「君が何であろうと、どうであろうと、何に成り果てようと――――僕とミカサは、君の味方だ。そうでありたいと思う。そうして死んでいけたら誇らしいと思う。人生に意味はあったと思える。それだけは、覚えておいてほしい」

エレン「あ、アルミン……」


 言うだけ言い切ると、アルミンは微笑み、馬首を切って荷馬車から離れていった。

 呆然とするエレンの前に、次はミカサが立つ。

 いつの間にやら馬から飛び移り、荷台へ降り立っていた。

 ミカサは膝をついて、エレンと視線を合わせる。手に持った布巾でエレンの顔をゆっくりと優しい手つきで、拭っていった。


 ミカサは膝をついて、エレンと視線を合わせる。手に持った布巾でエレンの顔をゆっくりと優しい手つきで、拭っていった。

 いつもならば悪態をついて突き放しているはずが、エレンは何もできなかった。ただされるがままに、頬を伝うぬくもりに身を委ねるしかなかった。


エレン「ミカサ…………」

ミカサ「エレン。私は、エレンの家族。エレンが何であろうと、どうであろうと、私にとって、エレンはエレン。何も変わらない」


 ひとしきり拭きおわった後、ミカサはエレンの手を取り、抱きしめるように両手で包んだ。


エレン「………ミカサ?」

ミカサ「エレンは、私にマフラーを巻いてくれた。寂しくて寒くてつらくて、悲しくて……私は、泣くこともできなかった。どこにも帰れなかった私に、マフラーを巻いてくれた。今でも鮮明に覚えてる。本当に嬉しくて、暖かくて、涙が止まらなかった」


 失ったことを思った。喪ったことを思った。なのに涙は一滴も流れ出てくることはなくて、ただ虚しさだけがあった。

 心臓が動いているだけだった。心が凍りついてしまいそうだった。


ミカサ「お父さんとお母さんを失って、空っぽになってしまった私を、エレンは満たしてくれた。死んでいた私が息を吹き返したのは、エレンの優しさがあったから。大げさなんかじゃない。私はあの時、一度死んでいた」


 あのまま誰かに引き取られていたとしても、ミカサはゆっくりと死んでいったのだろう。

 満たされるものがないまま、もう二度と満たされることのないまま、家族という安心と幸せを奪われたまま、何もかもに絶望して、死んでいたのだろう。


ミカサ「死んでいた私を生き返らせてくれたのは、助けてくれたのは、手を差し伸べてくれたのは……エレン、貴方だった」

エレン「だから、か? だから、おまえはいつも俺を、助けようと…………」

ミカサ「今度こそ家族を守る。そう思ったから。そう、思ってた。それだけだと、思っていたが……」

エレン「が?」

ミカサ「……今は、少し違う」


 ミカサはマフラーをほどき、エレンに手渡す。


ミカサ「これは、私とエレンが家族になった証。私が生まれ変わった証。私が、わ、私、が…………こ、この、マフラーは、こ、これは」


 ミカサの頬が真っ赤に染まった。視線は泳ぎ、額には汗も浮かんでいる。


ミカサ「私が貴方を…………す、好きになった、証」

エレン「――――」


 不意打ちだった。

 盛大な闇討ちに等しい襲撃に、エレンは目を丸くして固まった。鈍感な彼ではあるが、ミカサが言っていることの意味を、正しく理解した。


ミカサ「ミ、ミカサ・アッカーマンは、エレン・イェーガーを、お、お、お…………お慕いして、いる。か、か、か、家族として、そ、傍に、これからもずっと、ずっと、一緒にいたい」

エレン「え、あ、う」


 訳の分からない音が、自然とエレンの喉から漏れた。先ほどまで暖かかった頬が、焼けるような熱を帯びた。汗まで出てくる。

 釣り野伏に釣られた武将の心境はきっとこれに似た感じなのだろうかと、エレンの脳内は絶賛混乱の極みにあった。

 その様子に気づかず、ミカサはまくし立てる。


ミカサ「け、け、結婚、結婚を前提とした、お、お付き合いを、しょ、所望する。お、夫が不在の間、お家を守るのがつ、つ、つつ妻としての責務だと、トヨヒサは言っていた。の、ので、つ、強い女がいい。そうだ、エレンの伴侶は強い女こそ相応しい」

エレン「ミ、ミカサ?」

ミカサ「つまり、わ、わ…………あ、あ、あ」


 戸惑うようなエレンの様子にようやく気づいたのか、ミカサは耳まで真っ赤に染めて俯いた。

 今しがた口走ったことを後悔するように、肩を震わせる。


エレン「ミ、ミカサ、落ち着け。俺は落ち着く。落ち着こうとしているから、ちょっと待て。ちょっとだけ待て――――!」


 まるであべこべだった。慰める側が慰められるような立場に立っている。


 エレンは知らなかった。武辺一辺倒の彼に、こんな時の作法や心得などない。こんな戦況は想定にないのだ。

 兵法学においての兵士の心構えに、常に冷静沈着にて事に当たるべしとある。そのために想定される最悪を、頭の出来が悪いなりに全て叩き込んでいたつもりだった。


エレン「…………ミ、カサ?」

ミカサ「……………」


 ――――だが、これはない。


 吸い込まれそうな黒い瞳に、すっと通った鼻梁。己の家族として見ていた少女がとんでもなく美しいことを、エレンは初めて知った。

 艶やかに濡れた唇は、紅を引いたかのように赤い。己の内の何かが刺激されるのを感じた。

 星屑を纏った闇夜のようにきらめく黒髪から覗く、艶めいた白い肌。思わず、ごくりと喉がなった。


 ――――こんなことは学んでいない。


 きっとアルミンだって想定していないと、エレンは思った。何故アルミンが離れていったのかを考えもせずに。


ミカサ「私じゃ、駄目、だろうか………」

エレン「――――」


 追撃の一撃は更なる苛烈であり、実際のところ止めであった。うなじをズッパリと刈り取られた巨人の如しである。詰みである。

 今にも泣き出しそうな潤んだ瞳で上目遣い、更に蚊の鳴くような細い声でまるで手弱女のように健気なことを、ミカサは呟いた。

 古今東西、男はこれに弱い。

 エレンはミカサの背後に、魔王を自称するどこかのうつけの姿を幻視した。


エレン「あ、う、え、っと…………お、おう」

ミカサ「エレン?」

エレン「あー、えっと、その、まあ、なんだ…………おう」

ミカサ「おう、では分からない」

エレン「う、ぐ…………ん、そう、だな、えっと…………うん」

ミカサ「うん、でも分からない。やっぱり、私じゃ………」

エレン「ああ、もう分かったよ!! 俺も好きだよ!! 文句あるか!!」

ミカサ「……………ん」


 ミカサは、はにかむように微笑んだ。

 その花咲くような笑顔に、エレンは思わず見惚れる一方で―――――初めてミカサの笑顔を見た気がした。




……
………


……… 
……


 その後、二人はいろんなことを話した。

 くだらない世間話や、訓練兵時代の思い出、これからのことや、そしてそれからのことも――――。


エレン「俺は………一人で、深く考えすぎてたのかな。俺は、人間なのか、化け物なのかって……自分でも分からなくてさ。ライナーとベルトルトの話を聞いたら、ますますワケがわからなくなって」


 照れ臭そうに、エレンは語った。ぽつりぽつりと、一つずつ丁寧に、述懐するように。


エレン「でもさ、俺の味方は、いつだって近くにいたんだよな。アルミンとミカサだけじゃない。同期や、リヴァイ兵長たちも、みんな」

エレン「俺は、それでもミカサだけには頼りたくなかった………そんな顔すんなよ。そういう意味じゃない。弟や息子みたいな扱いで、あれこれ世話を焼かれるのが、嫌だったんだ」

エレン「ミカサは、ミカサは女の子なのに、俺なんかよりずっと強くて、だから、それに嫉妬した」

エレン「ガキみたいに喚いて、必死に蓋をしてたんだ、俺……いつだって、ミカサはミカサのままで、俺のことを心配してくれてたのにな」

エレン「変わっちまったのは、俺の方だ。そこから必死に目ェ逸らして、聞こえないふりして、つまらねえ嫉妬でミカサを傷つけて……」

ミカサ「エレンは、変わってない」


 エレンの述懐に、ミカサの言葉が差し込まれる。互いに、互いを語っていく。


ミカサ「意地っ張りで、嘘をつくと耳が赤くなって……私にとって、太陽のような人。いつだって、私の心を温かくしてくれる、私に居場所を与えてくれる。私に、幸せを教えてくれる」

エレン「好きって感情を押し込んでた。無理やり家族って型にはめ込んで、俺は、いつだって、傍にいてくれるおまえの存在が心地よかったのに、疎ましいと思い込んでた」

ミカサ「だから、私はエレンの傍にいたいと思った。傍にいるには強くなる必要があった。エレンを守りたいから、強くなった」

エレン「知ってるよ。知ってたさ、おまえが、俺のために強くなってるってことぐらい。だから俺だって強くなりたかった。ミカサにそんな思いをさせてまで、守られたくなかった。俺がミカサを守りたかったんだ」

ミカサ「私は、貴方が大好き。エレンのことが、すき。ずっと言わないでおこうと、そう思ったのに……」

エレン「俺は、ミカサが好きだ。ずっと言わないでおこうと、そう思ってたけどな……」

ミカサ「だから、私はずっとずっと、貴方のそばにいたい。振り向いてくれなくってもいい。だけど……」

エレン「俺は弱いから、すぐに死ぬかもしれないから。おまえだけは遠ざけたかった」

ミカサ「おいて、いかないで。一人ぼっちは、もう嫌だ……嫌だ。エレン……寂しいのは、家族がいないのは、もう、嫌なの……」

エレン「……………」


 先に押し黙ったのは、エレンだった。

 鈍感なエレンにも、ようやくミカサが自分にまとわりついてきたことの真意を理解した。

 エレンに度々お節介を焼いていたのは、エレンを弟や息子のように見ていたからではない。

 それは不器用なミカサなりの甘えであり、エレンに対する依存だった。


 本当は気づいていたはずだった。だけど、エレンは必死に蓋をした。

 ミカサより強くありたい。ミカサに頼りたくない。ミカサに弟や息子のような扱いをされたくない。

 口から出てくるのは、ミカサを突き離すような発言ばかり。
 
 それは彼女の強さに対する嫉妬だろうか? それもある。

 自らを弟や息子のように扱う彼女が煩わしいと思ったからか? それもある。

 だが、一番許せなかったのは、自分自身だ。

 大好きな女の子一人、守ることもできない。自分自身の弱さが、エレンは悔しかった。

 ――――ミカサに、一人の男として、認められたい。ただの家族は、もう嫌なのだ。ミカサと堂々と比肩できる、背中で守れる、そんな男になりたいのだ。

 ミカサが、そんなことを望んでいないということを理解しながらも、どうしようもなくエレンは強くなりたいと望んでしまった。

 だけど、エレンはそれすら見ないことにした。

 ミカサを突き離すのは、自分が男の子だからだ。俺とミカサは家族だからだ。ミカサは女の子だから、男の俺が強くなりたい――――そんな言い訳で、見ないふりをしていた。

 それが、このありさまだ。

 ミカサが、泣いている。

 そばにいたい、と。おいていかないで、と。縋るように、涙を溢して、懇願している。

 それは、エレンが本当に望んだ、ミカサとの関係だっただろうか。


 こごえそうな寒さに震えながら、ミカサは自らの身を掻き抱いた。


ミカサ「だか、ら…………また、私にマフラーを、巻いて、ほしい……」

エレン「巻いてやるよ、こんなの、いつだって巻いてやる」


 エレンはミカサの首にマフラーを巻き付け、軽く引っ張った。

 ミカサの体勢が崩れ、距離が近まる。互いに互いしか認識できないほどに近く。

 エレンは静かに、ミカサに口付けた。ミカサの瞳が驚きに見開かれ――――しかし、すぐに閉じられる。

 初めて交わした口づけは、涙で塩っ辛かったけど、互いの唇は柔らかく、そして甘かった。


ミカサ「あの時は言えなかった……」

エレン「ん?」

ミカサ「……私にマフラーを巻いてくれて、ありがとう」

エレン「…………ああ」


エレン「けど、な。俺はいずれ巨人になるかも分からねえ」

ミカサ「それは…………きっとアルミンが、いいことを思いついてくれる」

エレン「そこまで万能じゃないだろアルミンは……」

ミカサ「…………」ジワッ

エレン「ああもう、泣くな。なんだ、まるでウチに来たばっかの頃のミカサだな」

ミカサ「だって………」

エレン「あー、だからな。その、えっと、トヨヒサが言ってたろ。その、お家を守るんなら、そ、その」

ミカサ「え……あっ」

エレン「こ、ここっ、こ、こ、子供を、だな………」






信長「――――――で、あるか」ニョキッ

エレン「」

ミカサ「」


信長「ん? どうした? 続きは? ホレ、はよ。やれよ。聞いてるから」

ミカサ「」

エレン「…………ノブナガ」

信長「なんじゃ、えれん」

エレン「どこから聞いてた?」

信長「は? 馬鹿じゃねえの? 馬鹿じゃねえの? うつけじゃねえの?」プークスクス

エレン「ノブナガ」シャガッ

信長「分かった。やめい。その目をやめい。思えばあの金柑頭も最後に会うた時にそんな目をしていた。やめよ」

エレン「言え」

信長「良かろう。ではなんだ、あれだ、『ひんと』という奴をやろう―――――己の胸に聞いてみよ」

エレン「自分の胸って、おい、はぐらか…………!!!」


 その時、エレンの体に電流走る。

 次いでエレンの顔が真紅に染まり、蒼へと変わる。エレンは隊服の内ポケットをまさぐる。


 ―――ポケットの中には通信用水晶球がぴつたり入つてゐた。


エレン「……………ひょっとして、あれか。全部?」

信長「お主が自害する可能性もあったので、全員が耳を傾けておったな。うむ、全部」

エレン「ホントに最初から最後まで全部?」

信長「くどい」

エレン「……………」

ミカサ「……………」















エレン「」

ミカサ「」

エルヴィン『…………まあ、なんだ。若いな。いいことだ』アタリサワリノナイセリフ

与一『いいですねえ、初々しい』ウフフ

オルミーヌ『いやー、いい話ですね。ちょっとウルッと来ちゃいましたよ私』クスン

ハンジ『やーやー、おめでぶへぇえええwwwwwwうへええええええwwwww』ブフーッ

モブリット『ハンジさん、貴女に人の心はありますか!?』

ミケ『水晶球ごしでも臭いわ。塩に漬かりたいわ』フンッ

豊久『うむ。よか。実によか。みかさ、良き子ば孕め。えれん、励め。後で作法ば教えてやっがら』ウム

リヴァイ『オイ、終わったか。途中から馬鹿馬鹿しくなったんでおまえの同期にコレ投げ渡したんだが。オイ、返事をしろ。聞こえてるか?』アァン?

コニー『ぶわははははははは!!!』

ユミル『がはははははははは!!!』

クリスタ『ちょっ、二人とも笑っちゃだめだよ! ミ、ミカサ? お、お幸せにね!! よかったね!!』

サシャ『大変です! ジャンが! ジャンが笑みを浮かべたまま呼吸が! 止まっています!!』

ジャン『』

アルミン『…………ごめんね、二人とも。やっぱり様子が気になって、一緒に聞いちゃった』アハハ


 エレンとミカサは赤面した。

※今日はここまで。うん、ちょっとスランプ気味ですわ。

 アレだね、久々にシリアスもの書いたので脳が拒否反応示してる。

 あと私はつくづく魂が穢れているのか、純愛もの書くと顔が自然と般若のようになるわ。リア充死ね。

 今回ドリフの出番少な目だったのでちと微妙ですが、次回はいろいろ活躍するよ。

 少し仕事が落ち着いたので、ドリフを優先的に書いていけそうです。ではまた。

おつー

※あと今日のIDが『もっとエロく』と要求されているかの如きIDだった。

 うん、エロ書きたいね。久々に。ドリフでは書かないけど。だってドリフでやる必要ないじゃない。

 ちなみに種付けの後日談は鋭意製作中。ミカサとサシャとミーナはいつでも投下可能。全員分書き溜まったら投下予定。

 宣伝?

 宣伝だよ。(アルカイックスマイル)

ちょっと泣いた

エンダアアアイヤアアアアアアア!!!(乙)

乙!
リア充とかハゼレバイイノニ(やったね!ハッピーエンドだ!)


それで。お豊久先生監修の作法の実践シーンは当然あるんだよね?(ガンギマリ)

エレミカの死亡フラグでないことを祈るわ

age

ほしゅ

age

保守

なんという良スレ
ヒラコーツイッターもほどほどに仕事しろ

お豊さん、ドヤ顔で「閨の作法ば教えてやる」なんて言ってるけど
子供が一人もできなかったあんたに教えられても正直……ねえ……?

>>695
経験者>(超えられない壁)>童貞なのは当たり前のことですしおすし

やばい、初めて読んだけど面白い!!

ドリフターズに引っ張られてるけれど幹部組にも頑張ってほしい
ハンジさん好きだー

age

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/subject.cgi/comic/6888/

>>695
ここは子供を20人以上作ったノブノブに教わるべきかと。

>>700
あかんやろ。
この信長は悪魔やぞ。作法と称して何やらせるかわかったもんじゃない。
おとよのがまし。

312 : ◆0dUQJag7fY:2013/11/07(木) 17:11:00 ID:DUfwuDFQ

男「>>1は続きを書かない理由として、『過去ログに落ちたから』という弁をしばしば使う」

男「これは逆に捉えれば、落ちない限りは自分に書く義務が残されている、とも解釈できる」

男「よって>>1に言い訳を許さず続きを書かせるには、俺たちがこうやって支援ageし続けるしかないんだ」

女「へ~」

男「>>1ッッ!! 俺たちは絶対にお前を逃がしはしない……ッ!!」カチャルカチャル

命捨てがまる保守

保守
ドリフターズの新刊は10月中にも出ないと聞いたんだがマジ?

何で毎週保守してんの?

アンチが荒らして欲しくて上げてる
今とか、ロンパスレの上げ荒らしが来たタイミングだし、
埋めてほしいスレ上げておくと荒れる

※場しのぎ的投下ですまぬ

『ドリフターズの人々』

エルヴィン「超いまさらながら、本スレに登場してるドリフターズの紹介」

ハンジ「だよ」

リヴァイ「以下、独断と偏見も混ざっているがほぼ史実らしいぞ」



島津豊久

釣りが大好き戦の申し子。釣りは養父や叔父さんたちも大好き。釣られた獲物は死ぬ。

14歳の時に初めて首をもぎ取った。14歳である。大事なことだから二回言いました。親ッ父ー、首とったどー!!(中学二年生)

多感な中二の時期にこの子ったら首なんてもぎ取っちゃってまぁ。しかし父親は笑顔で褒め称えたそうな。こうして豊久は見事な妖怪・首おいてけとしてすくすく成長しました。

史実では御存じ天下分け目の関ヶ原からの退却戦において、兵を率いて捨てがまりを連発。徳川四天王の井伊直政に後の死因となる鉄砲疵を与えておっ死んだとされる。

「マイナー武将」とか「うわっ、こいつのステータス中途半端マジ使いづれえ」とか「島津豊久? 誰それ、農民?」は禁句。キレて本気で首を獲りにくる。

ド田舎モンではあるが、史実によると礼儀作法に通じ、馬上から挨拶なんぞした日には怒鳴り返されたそうな。馬面のジャンの命がヤバい。

実は徳川も光成も嫌いというウワサ。



織田信長

言わずと知れた戦国三英傑の一人。鳴かぬなら殺してしまえばいいじゃない。ただし光秀、テメーは鳴いても駄目だ斬首。

クズエピソードが多すぎて何から手に付ければいいやら分からない。戦国DQN四天王の森長可(※1)を重用したりとかもう意味不明。(※1:戦国におけるサウザー。退きません媚びへつらいません反省しません。そして殺す。女子供? 駄目だ殺す)

当時朝廷と懇意にあり、犯すべからざる聖域とされた比叡山を焼き討ちにして女子供皆殺し。

義弟である浅井との約定を破って朝倉攻め。最終的に浅井はぬっ殺され、それはもう見事な髑髏の杯になりました。(ほっこり)

本能寺の変はいろいろ陰謀説もあり真実は定かではないものの、コイツが殺される理由は多すぎて特定できないという説に加賀百万石。

もう全員黒幕でいいじゃん。光秀も家康も秀吉も朝廷も足利義昭もみんな信長キライでいいじゃん。それでいいじゃん。

つーかいまどき男の信長なんざ流行んねーんだよ。ナニ取れよ。信奈になれよ。そんで若返れよ。

光秀の首を持って行けば、エラいと褒められ百万年無税。


那須与一

言わずと知れた源氏の大英雄。射撃の名手。汚い暗殺者。和製シモ・ヘイヘ。

兄が十人おり、一名が罪人、九名が平家についたので家督を継ぐことになった苦労人。美形かどうかは知らん。

扇を落とした伝承から分かるように、弓矢使わせたら右に出るものなし。呂布かお前は。

全員が頚動脈、気道、食道を傷つけずに、首を貫通させる技を持ってるらしい。

足場が不安定な場所での狙撃が得意。馬だろーが水上だろーが空中だろうが狙撃可能。

FFT獅子戦争におけるバルフレアの如きバランスブレイカー。乱れうち。大将は死ぬ。

余談だが与一の晩年の伝承はちょっとあやふやであり、いつ亡くなったか正確には不明。


ハンニバル・バルカ

木いちご大好きカルタゴの将軍。バルカとは「雷光」を意味する、中二心をくすぐるカッケー名前の爺さんだが、名前に劣らぬ伝説の大将軍である。

幼いころから父親に『ローマは敵、ローマ滅ぼせ』と言われ続けてきた結果、ローマ人とみるや重労働を課し、そして殺す。ナチも震え上がる立派な差別主義者としても有名。

得意技は地形無視して移動後、敵を包囲して『滅べ! ローマ人だ! ローマ人だろう!? なあ、ローマ人だろおまえ!』と叫んでマップ兵器を使用する。ローマ人は死ぬ。別名『大妖怪ローマ滅ぼす』。

ローマを滅ぼすためならカルタゴ人でも殺す。人類皆兄弟、ただしローマ人を除く。ローマ人には実際ムゴイ。

不可能を可能にする男の代名詞であり、当時人も物も金も全てにおいて最強帝国だったローマを震え上がらせた存在。

アレクサンドロス(イスカンダル)大好き。おまえ絶対『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』にいただろ。

戦略においては史実上の公式チート、そのおぞましいほどの軍才とイクサぶりを前に、ローマはしめやかに失禁せざるを得ない。

アルプス越えようぜ。冬だから無理? 大丈夫、なんとかなる。なんとかしないとカルタゴほろぶ。炭酸水うめえ。そしてなんとかなりました。ローマは絶許。みなごろし。

カンナエの戦いとかローマ側からしたら悪夢以外の何物でもなく、カルタゴ五万に対しローマ七万でおっぱじめたところ、ローマ側は六万死んで一万人が捕虜とかいう神の介入を疑うレベルのスコアを残した。もう戦争ってか虐殺レベル。

ワーこのお爺ちゃんスゴーイ、人間じゃなくね? そりゃ信長を『小僧』呼ばわりしても許されます。

そんな爺ちゃんの失敗はそう、カンナエでスキピオ・アフリカヌスをぬっ殺せなかったこと。後にザマの戦いにおいてカンナエの戦いを丸々パクられて敗北。スキピオはころす。ぜったいにだ。

結局のところカルタゴは滅んでしまうのだが、滅びた後もローマ史上最大の敵として後世まで語り伝えられていた。


ミカサ「どいつもこいつもキチ○イじみてる」

エレン「ハッキリ言いすぎだミカサ」

コニー「このメンツの中だとトヨヒサって意外と影がうす………もがっ!」

ユミル「黙ってろ死ぬ気かバカ」

ジャン(トヨヒサですら影が薄くなるというドリフのメンツが異常すぎる。こええ。やっぱこいつらおっかねえ)

サシャ「ヨイチさんすごいですねえ。船の上から狙撃なんて」

与一「あの腐れ判官ってば私に無茶振りしかしねーんですもの」ゲンナリ

クリスタ「お爺ちゃんすごい人だったんだね」

ハンニバル「マゴーネー、マハルバルー、起きろー! 戦の時間じゃー! ローマ滅ぼすぞーい!」


アルミン「これは酷い。特にノブさんとお爺ちゃんが酷い」

豊久「うつけん名に相応しい。ノブは絶対長生きせんわな」

信長「……………島津忠恒(※2)」ボソッ

豊久「ッ!? テ、テメー、よりにもよっであんクズの話ば出す気か……」


島津忠恒

島津の卑劣様とはヤツのことを言う。とにかく陰湿で卑劣で人としての軸がぶれている。汚いなさすが忠恒きたない。俺はこれで島津きらいになったな。あもりにもひきょう過ぎるでしょう?

島津の名を貶める存在。義弘が鬼島津ならこっちは鬼畜島津。マジでDQN。詳しくはググると良し。吐き気がしても責任は持てない。

卑劣な島津だ………。


エレン「亡くなった奥さんに『おめー死んでも悲しくねえからゲハハ』とかなんだこいつ………しかも墓も建てねえとか」

ミカサ「汚い。この島津汚い」

与一「ゲスミンとかハンジ・ゲスが可愛く見える腐れ外道ですなあ」

信長「アンサイクロペディアは勿論としても、ウィキペですら読んでてDQN臭さが漂うこのおぞましさ」

豊久「ぐぬぬ」

『完』

信長のやろう、自身に対する評価では豊久に勝てねーからって島津家の中でも最大のDQNで対抗してきやがったwww
なんてヤツだwww

戦国DQN四天王の一角、悪い方の家久

場しのぎを書く暇があれば本編を早よ

10月27日に四巻が発売されるそうだし、それまでには終わるよね?

新刊出るまでには一区切りつけてほしいな

新刊保守

新刊上げ

新刊支援

新幹線

新感覚

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/subject.cgi/comic/6689/

新郎新婦

何だこいつら(戦慄)

ああ、やっと新刊でるのか
長かったな

新刊保守

>>718-724
上げ荒らし自演乙

と思ったけど>>722は釣られた馬鹿っぽいな

妄想乙。それぞれ空気読んで流れに乗っただけだろ

すまん、上げてしまった

続きハヨハヨ

新刊保守

>>723
久し振りに見たらスゲェ勢いで落ちぶれててワロタw
もう進撃まともに書ける場所なんてないのかな

>>734

二期が始まったらまた伸びるんじゃね?

上げ

あげ

新刊保守

上げ

age

4巻発売したぞ!主も頑張れよ(ニッコリ

ジャップこえー

>>1は新刊読み込み中

続きー!ツヅキ!ツヅキー!続き置い゛でげづづぎー!(薩摩弁で保守します、頑張って下さいの意味)

保守

上げ

続きー!ツヅキ!ツヅキー!続き置い゛でげづづぎー!(薩摩弁で保守します、頑張って下さいの意味)

続きー!ツヅキ!ツヅキー!続き置い゛でげづづぎー!(薩摩弁で保守します、頑張って下さいの意味)

ヒラコーは頭おかしい(絶賛)

続きー!ツヅキ!ツヅキー!続き置い゛でげづづぎー!(薩摩弁で保守します、頑張って下さいの意味)

続きー!ツヅキ!ツヅキー!続き置い゛でげづづぎー!(薩摩弁で保守します、頑張って下さいの意味)

age

主が続き書くとしたら今月末かな。先月分は休載(?)なだけだと信じたい…

溢れ出るヒラコーリスペクト


ジャン「ジャンとー」

マルコ「マルコのー」


ジャン&マルコ「「人情紙芝居ドントストップミーナウのコーナー」」


マルコ「あーまーはいはいはーい、そういうワケでこの『エレン「ドリフターズ?」』もじきに完結なワケですよ」

ジャン「そうか。続きは? はよ」

マルコ「明日から怒涛の更新予定」

ジャン「今日やれ、今日。どうせまた約束破るんだろ? あの作者のように」

マルコ「あの作者のように? ヒラコー? ヒラコーのことなの?」

ジャン「で、実際どうなの?」

マルコ「実は転職活動してましてね。ようやく内定が取れたそうですよ。んで、明日からちょいと時間が余ると」

ジャン「なるほど。じゃあ明日から連続更新ですね?」

マルコ「まあそんなことは置いておきましょう。そんなことより」

ジャン「そんなことより?」


マルコ「みんな『七つの大罪』見た? 超面白いんですけどアレ」

ジャン「こ・こ・わーーーッ! 進撃の巨人スレですーーーーーッ!! 全くカンケーねえ話はやめろーーーーーッ!!」


マルコ「は? イヤイヤ、まったく関係ないってことはないでしょ。週刊でも別冊でもマガジンはマガジンだし。どっちも巨人出てるじゃなァい」

ジャン「あー、ディアンヌかー」

マルコ「アニメじゃ主人公のボイスがなんかどこかで聞いたことある人だし、おまえエンディングテーマ歌ってるし」

ジャン「中の人の話はやめろ」

マルコ「さておきディアンヌですよ。エロいよねー」

ジャン「異論はねえ。マジエロいわー。そもそも鈴木央センセーの絵って超エロいわー。異論は認めない」

マルコ「超ナイスバディなのにボクっ娘でピチピチレオタードみてーなレザースーツ姿、挙句にツインテールで一途なやきもち焼きの健康的エロス娘とかマジ狙いすぎてね? とか思ってたらでもやっぱりあんのじょう、ガッチリと俺の股間を掴んではなさねえ」オレモハナスキモネエ

ジャン「あーエロいわディアンヌ超エロい。ありゃ太ももでコスってレオタードにブッかけられるために生まれてきたような女だ」コドモセンセイダシ

マルコ「進撃世界の巨人もみんなディアンヌたんみたいだったらいいのに」

ジャン「いやダメだろ人類側詰むわ。壁なんか意味ねえし。ディアンヌたんって鎧とか超大型とかメじゃねーぐらい強ェーし」

マルコ「なんにしても冬コミが楽しみで仕方ないよワタシは。12月いっぱいは有休使い果たした上で辞めるし、今年は行ける。今からワクテカが止まらない」


ジャン「さて、そろそろ本題に入りましょう。っていうか、オレなんも聞いてねーんだけど、今日のお題は?」

マルコ「本日はゲストをお呼びしてるんですよね」

ジャン「ウッソー、誰ー? 誰誰ー? イケメン? それともゲロマブのカワイコちゃん? まさかディアンヌ? やっべ、超おっきしてきた」

マルコ「到着が遅れているようですが、このお二人の予定です」

ジャン「何々………ミーナ・カロライナと、廃棄物のグリゴリー・ラスプーチン?」

マルコ「ですよ」

ジャン「こりゃまたなんの関連性もねえ二人だな。何話せっつーんだよ――――――ッ! 待てよ」ハッ!?

マルコ「どうしたんだ、ジャン」

ジャン「分かったぞ…………この二人にはある一つの共通点がある」

マルコ「ではお答えをどうぞ」







ジャン「…………ちんこだ」

マルコ「!?」


マルコ「ハァ? ちょっと待てよ親友。そんなワケねーだろ………公共の場でちんことかいうなち○こって言え」

ジャン「いや、そうは言うけどな親友。だって、ホラ、ミーナとラスプーチンだぞ? ミーナとかけてラスプーチンと説くんだよ? そのこころは?」

マルコ「…………」

ジャン「…………」



















マルコ「…………ちんこ、だな」

ジャン「だろ?」


マルコ「ラスプーチンといえば巨根で有名な度し難い変態だ。名前にもチンがついてて、まっことちんこだ」

ジャン「せやろ?」

マルコ「そしてミーナといえば十人中十人がマーラと答える。頭にもちんこがのっかってて、まっことちんこだ」

ジャン「せやろせやろ?」

マルコ「えー……じゃあなに? 僕らここでちんこの話すんの? あの二人と?」

ジャン「冗談じゃねえな。何の罰ゲームだオイ。デカマラ二人を前にしてちんこトークとか自虐的すぎるわ」

マルコ「二人揃って卑猥の戦士マラキュアってか」マッラキュッアー♪


ジャン「卑猥っていうか汚猥ですね。進撃とドリフの二大ちんこの超スペクタクル大合戦。2015年夏・映画化決定」

マルコ「まじで!?」

ジャン「しかも全年齢」

マルコ「まじか!? 映倫も思い切ったな!」

ジャン「全米が悲鳴と絶叫に包まれた」

マルコ「大ヒット間違いなしだな。興行収益百兆円とか行くんじゃね」

ジャン「収益? 損害の間違いじゃなくて?」

マルコ「ですよね」

『完』


『おまけ』

ラスプーチン「えっ、私の出番は?」

ミーナ「はァ? あるわけないでしょう、何言ってんのこのヒト」ホジホジ

ラスプーチン「えっ」

ミーナ「まあ、すぐなれますよ。こういう芸風のスレなんで。私なんかヤツの初SSのときからちんこ扱いです」

ラスプーチン「何それヒドイ」

ミーナ「ナカーマ」ニヤニヤ

ラスプーチン「やめろ!! 同族の誕生を祝福するかのような目で私を見るな!! 呪うぞ小娘!」

ミーナ「いかな貴様の30センチ砲でも、私のネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の完成度には勝てんよ」ビクンビクン

ラスプーチン「ウワー、マジご立派ー。完成度高ェなオイ」

ミーナ「」チーン

ラスプーチン「」コ

『完』(姦)


※おかしいなー。私、そんなちんこ好きじゃないのになー。
 まあ、明日あたりからぼちぼち投下するんでヨロシク。お茶濁しでごめんよ。

チンコばっか

おつ

待ってたけどお前バカじゃねーの?w
なんつーことをwww
転職おめ
更新待機

明日から楽しみ


 二日後、太陽が中天に輝く頃、彼らは目的の地へと辿り着いた。


エルヴィン「ここが………ここが、シガンシナ区か?」


 かつてまだエルヴィンが調査兵団の一兵団員に過ぎなかった頃、彼はこの地区を訪れたことがある。

 五年以上も前の話だ。

 そう。

 超大型巨人がウォールマリアを陥落させてから、もう五年もの月日が過ぎていた。

 長らく人の手も入らず風雨に晒されてきた木製の建物の板壁はどこも腐りかけ、いつ屋根が落ちても不思議ではなかった。

 ガラスを失った木製の窓枠は、各所でぐずぐずに腐り、鉄製の扉は赤茶けた錆が浮かび、石の壁は緑に苔むしている。

 かつては多くの人で賑わいを見せていたであろう大通りの石畳は雑草で埋め尽くされている。

 そうした道のところどころに、白い物体が落ちている。

 人骨だ。巨人に踏みつぶされたか、食い殺された後に吐き出され、そのまま野ざらしになっていたもののなれの果てだろう。


 ウォールマリア・シガンシナ区。


 無惨な戦場跡を思わせる光景は、ドリフターズやエルフの面々にとって見慣れたものであったが、調査兵団にとってはまさしく地獄と言えた。


ジャン(………言葉もねえとは、このことか。こんな、こんな地獄から、エレンは、ミカサは、アルミンは、逃げて来たってのか)

コニー(なんだよ、なんだよこれ………)

クリスタ「酷い………こんな、こんなの、酷いよ」

ユミル「…………」


 荒涼としてまったく人気を感じさせない街並みに、調査兵団の誰もがうすら寒いものを覚えた。

 幾度か壁外調査の中継地点として訪れただけのエルヴィンにとってすら目を疑う光景である。

 五年前に起きた惨劇が、どれほどまでに凄まじいものであったかを、まざまざと見せつけられた気分だった。

 同時に、誰もが思う。

 このシガンシナの惨劇を直接目の当たりにした、エレン、アルミン、ミカサの心に染み広がるのは、どのような思いだろうかと。


エレン「…………シガンシナ、だ」


ミカサ「エレン?」


 その声は震えていた。


エレン「壊れてようと、廃墟だろうと、関係ねえよ! ここはシガンシナだ! 俺たちの故郷だ!」


 誰が聞いても、強がりだと思っただろう。

 エレン自身が、それを誰よりも理解していた。

 今でも夢に見る。

 ―――――母が、咀嚼されていく悪夢を。

 大好きだったおかあさんが。

 死んでいく光景を。殺されていく悲痛を。

 その時の黒く塗りつぶされるような絶望と無力感を、覚えている。

 母が噛み潰されていくその音が、耳にこびりついて離れない。


カルラ『エレン!! 生き延びるのよ!!』


 母が残した言葉は、最後まで息子の未来を案じたもので。

 夢に見るたびエレンの胸中を、母に対する愛しさと、失った悲しみと、奪ったものへの憎悪が混ざり合った混沌とした思いが渦巻いた。


 ミカサも、同じ思いを抱いた。同じ痛みを知っている。その後悔を覚えている。


 ――――それは、どちらも一瞬の事でした。


 ほんの一瞬の事でした。


 帰る家がなくなったのです。

 帰りを待つ人がいなくなったのです。


 大切なものが一瞬にしてなくなったのです。


 帰るところを奪ったのは、同じ人間でした。

 帰るところのために戦う………同じ人間でした。


 しかしその痛ましくすらある虚勢を張るエレンの背を支えるものが、今は確かにあった。

 ミカサにとってエレンが救いであったように。

 生きる動力が復讐心のみであったこれまでとは違い、今のエレンには、命に代えても守りたいものがあった。


エレン「トロスト区なんかより、ずっといい!! 故郷だ! ………帰ってきたんだ。俺たちは、帰ってきたんだ!! ここが、これからが、俺たちの始まりだ!!」


 ここからだ、と。

 人間、死ぬことは決まっている。何を成し遂げるか、何を残せるのか。

 エレンは廃墟となった故郷を目の当たりにし、その第一歩こそがここなのだと、一つの決意を抱いた。眼下に広がる廃墟を掻き抱くように両手を広げ、叫ぶ。

 豊久のように雄々しく。信長のように不敵に。与一のように飄々と。

 その顔に笑みを浮かべ、英雄たちの背中を追いかけていく。


ミカサ「………………ええ。やっと、やっと、帰ってこれた」

アルミン「……………ああ、そうだね。そうだとも。カルラおばさんのお墓も、造ってあげられる。マリアを取り戻して、壁内の残存巨人を全滅させて、それからだ」


 その背を見て、幼馴染の二人も何か感じ入るものがあったのだろう。

 伏した視線を上げ、真っ直ぐに前を見つめる瞳に、もう迷いはなかった。


リヴァイ(…………ほう。悪くない。強がりとはいえ、悪くないことを言えるようになった)

オルオ「ふ、ふん。し、新兵の分際で、いいこと言うじゃあねえか………えぐっ、ひぐっ」ポロポロ

ペトラ「鼻水垂らして何言ってんの。はい、ちり紙」ホレ


 その様子を見守っていたリヴァイ班の精鋭もまた、エレン達の虚勢を好意的に受け取っていた。

 決して諦めない。最後の最後まで絶望しない。前へ。ただひたすらに前へ。

 その気骨こそが調査兵団の兵に求められる最たるものである。


エルヴィン「…………その通りだ、エレン。ここからだ。ここから始まった。そしてまた、ここから始まるのだ。我々の、人類の進撃はこれより始まる」


 静かに、しかし力強い語調で、エルヴィンが言葉を発する。


エルヴィン「各班に通達、シガンシナ区内に残存する巨人の索敵および殲滅を行え。立体機動装置の使用を許可する。木製の建築物は劣化が激しいため、アンカーの射出点はくれぐれも吟味すること」

「「「「はっ」」」」


 エルヴィンの号令の下、さしあたっての安全性確保のため、残存巨人殲滅の作業が開始される。

 幸いというべきか、奇行種を除く多くの巨人は、より多くの人間が集まるウォールローゼ側へと抜けていったのだろう。シガンシナ区内には僅かに数体の奇行種が残るばかりで、討伐は容易であった。

エルヴィン「では、壁の閉塞作業に入る。オッパ……オルミーヌさん、よろしく」

オルミーヌ「今オッパイって言おうとしたなこのヅラ野郎。なに? その呼び方流行ってんの? やめてくんない? 本当にやめてくんない?」

エルヴィン「す、すまない。ノブナガや部下の多くが君のことをそう呼ぶものだからついうっかり………」

エルド「オッパイー、オッパイー。俺の彼女にもご利益がありますように」オガミオガミ

グンタ「おまえチクられたくなかったら今度酒オゴりな。しかしスゴいオッパイだー。ありがたやありがたや」ナムナム

オルオ「ああ、あんないいオッパイそうそうねえよ。まるで格好は痴女だけど、いいオッパイだー」ナムナム

ペトラ(!? へ、兵長は………まさか、まさかですよね? 兵長はオッパイなんかに屈したりしませんよね?)ジッ

リヴァイ「……………」キリッ

ペトラ(ホッ………良かった、兵長はいつも通りだ)フゥ


 食糧難の壁内において、イヤらしく肥大化した脂肪の塊は今や絶滅危惧種であり、重要なセックスアピールポイントである。

 また、ゆったりとしたトップにロングスカートという組み合わせが流行りの壁内文明において、オルミーヌの生足を露出したニーソックスはある種の革命であった。

 それは男たちの視線を釘づけにし、女たちに新たなオシャレの可能性の片鱗を見せつけた。


リヴァイ(…………でけえのも悪くない)キリッ


 それは人類最強の男とて例外ではない。


オルミーヌ「こ、こいつら………なんかここ数週間、こっちのヤローどもにやたら親切にされたのはそういうことか!? なんかやたらお茶やら食事やら気を配ってくれたの紳士的だなぁって思った私のトキメキを返せ!!」ギャース

与一「あれ? ひょっとしてオルパイヌ殿はご存じない? 巷ではアナタってば「生足オッパイメガネちゃん」と呼ばれてますよ」マジデ

オルミーヌ「一刻も早くこの世界から逃げ出してえ」ウワァ

信長「呼び方なんかどうでもいいだろうが、オラッ、早く符を出せオルミーオッパイ。なんなら出すのはオッパイでもいいぞ。兵どもの士気も上がる」

ハンニバル「オッパイ? そんなものいいから木いちごだー、木いちごを出せー。さもなくばローマ滅ぼす」

豊久「乳がら出すんか? 乳ば出すんか? とっとと出せい、オルミー乳」

エルフA「出せよー、オッパイ出せよー」

エルフB「出せー、早く出せーオッパイー」

オルミーヌ「畜生、いつか見てろよ………あっ、クリスタちゃん、手伝って!」

クリスタ「あっ、は、はい!(おっきいなぁ………いいなぁ………)」


 ブツブツと文句を言いながらも、オルミーヌはこの数週間で作り溜めた石壁の符を大量に取り出した。

 信長の提案はシンプルなもので、破砕されたウォールマリアの壁を、大量の石壁の符によって塞ぐというものだった。

 壁の高さは五十メートルに及ぶものであるが、壊された内門の高さは精々が十七メートル前後で、石壁の強度もギリギリで耐えられる。

 一枚一枚の石壁は薄いが、それも積み重ねて展開すれば通常の無知性巨人の突進程度には耐えられるものになる。


 全ては順調に行われているように見えた。


ライナー「…………」

ベルトルト「…………」


 全てはここから。エレン・イェーガーはそう言った。

 そうだ。全てはここから始まり、ここで終わるのだ。

 何もかもが順調に、全ては予定調和として、そうして運命の道は決する。



アニ「――――――――――――」

 

 帳尻を合わせるために。


 最初にその異変に気付いたのは、ミケ・ザカリアスであった。

 彼の鋭敏な嗅覚は、数キロ先の巨人をも察知する。

 その感覚がシガンシナ南方の方角より、巨人の存在を訴えた。強烈なまでに。


ミケ「…………?」


 今、壁外へつながるシガンシナ正門では、ハンジが主導する壁の補修作業班が、慎重に石壁の符を破砕箇所へと設置している。

 同伴するオルミーヌは、おっかなびっくりその指導を行っていた。

 エルヴィンや信長をはじめ、調査兵団の兵とドリフターズの多くが、それを壁上から見守る形だ。

 リヴァイ班はライナーとベルトルトにつき、彼らを監視している。

 故に、その異変に気付いたのは、ミケ・ザカリアスだけであった。


ミケ「―――――――――――――!?」


 それは南の空から飛んできた。

 巨岩。


ミケ「退避しろォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 怒号めいたミケの声に即座に反応できたものは、僅かに数名。

 一人は野生の猫よりも危機察知に優れたミカサ・アッカーマン。すぐさまエレンとアルミンを押し倒すように、『壁内』へ向かって飛び降りる。

 もう一人はサシャ・ブラウス。元より勘に鋭い彼女は、背筋を這い上がってくる得体のしれない嫌な予感に、警戒を強めていたことが上げられる。すぐさま近くにいた同期のメンバーを促し、直近の着弾点からやや逸れるであろう『壁外』へと退避した。 

 そしてドリフターズ、那須与一。弓兵として培われた優れた視力がそれを捉えた瞬間、彼は『壁外』へと跳んだ。

 それぞれの選択・判断に誤りはない。誤りがあるとすれば―――――。

 数瞬の遅れと共に、エルヴィンが状況を理解し、即座に通信球を通じてハンジらの班へと退避を促す。

 着弾は、三秒後だった。

 文字通り地を穿つ轟音と共に、巨大な岩がシガンシナ正門へと衝突する。

 咄嗟にオルミーヌを抱えて退避を命じたハンジであったが、十数名の班員は逃げ遅れ、巨岩の下敷きとなって果てた。

 外壁の上部へと跳び退ったハンジの相貌には驚愕と、滲み出る怒りがある。

 破片によってひび割れた眼鏡の奥、その視線の先には―――――。


 まるで獣の様相を思わせる、

 毛むくじゃらな巨人の姿があった。


 そして第二、第三の投石による災害の雨が降り注ぐ。

 マリアの壁上部を僅かに擦るように、その直上の人間を根こそぎ抉り取るような容赦の無い破砕の流星。

 次いで、リヴァイもまた南の空より迫る巨岩と、その原因たる巨人の存在に気づき、視線を向ける。

 捕虜を有しているが故、直接作業を行う正門直上の壁からはやや離れた位置に陣取っていたことが、この時は災いした。


リヴァイ「――――――――ッ」


 リヴァイをはじめ、精鋭の意識が捕虜二名から逸れる。

 それも致し方のないほどの衝撃であり、事情があった。

 もとよりライナー・ベルトルトの両名は綿密な身体検査の上、強固なワイヤーロープによって捕縛され、猿轡を噛まされている。

 僅かに気を逸らした程度で、どうこうできるほどの策は、彼らには残っていないはずだった。

 彼ら『には』。

 故にこそ、流石のリヴァイも、対処が僅かに一手だけ遅れる。


アニ「一手は一手。けれど、こちらは鬼札(ジョーカー)。」


 誰もが壁の外、あろうことか巨岩を投じてくる巨人に注視する中、その冷たい声は、壁の内側――――よりにもよって、リヴァイの背後から響いた。


リヴァイ「ッ!?」


 完全に埒外の状況に、リヴァイは己の死をも覚悟した。

 その後に取ったリヴァイの行動は最適解であった。

 振り返る間をも惜しんだか、即座に抜刀と共に前方宙返り。背後から迫ってくるであろう敵に備え、刃を十字に構える。防御の構(カマエ)。

 古武道の柔にも通じる柔軟な動作は、ここまでわずか一秒。信長や豊久が見れば驚嘆するほどであっただろう。

 だが、その行動が、結果として悪手であった。


 アニ・レオンハートは、全ての賭けに勝利した。


 ――――『調査兵団とドリフターズは、シガンシナ区へと辿り着く』。

 ――――『ライナーとベルトルトは、何らかの罠にはまり捕縛され、シガンシナ区へと同行する』。


 そして。


 『ウドガルド城にて駐留する『獣の巨人』と合流し、行動を共にする』


 そちらに全ての手札をベットした。

ジュマンジの人か
頑張れ


 アニは冷静に状況を分析していた。シガンシナ区内の民家に潜み、捕虜となった二人を解放する隙を窺う。ここまでは良い。

 問題は捕虜二人の監視を行う、リヴァイ班の精鋭達だ。

 リヴァイが引き連れる者たちはいずれも精鋭。人間のまま立ち回るにも二人殺せるかどうか。

 かといって壁上に陣取られては、巨人化したところで逃げ切られる。

 ならば、注意を逸らした隙を、どのように使うか。


アニ「こちらは鬼札(ジョーカー)を切った。後は運否天賦に任せるだけだ。賭けというのは元々そういうものでしょう? ねえ、リヴァイ兵長」

リヴァイ「――――――ッ!? リヴァイ班、『壁内』に退避だッ!!」


 アニの冷たい流し目に、リヴァイは己の失策を悟る。

 防御ではなく、攻撃をするべきであった。あるいは、ライナー・ベルトルトの両名を殺害すべきであった、と。

 アニ・レオンハートの狙いはリヴァイの殺害に非ず。

 アニの両手には、それぞれ一本の手投げナイフ。既に投擲姿勢に入っており、その先には――――ライナーとベルトルト。


 投じられたナイフの尖鋭は、過つことなくライナーとベルトルトの体に突き刺さる。

 神経が痛みを脳へと伝えるその前に、ライナーとベルトルトは胸に一つの『決意』を抱く。

 直前、リヴァイ班は全員が壁内へと退避していた。


アニ「一手…………遅かったね…………!!」ガブッ


 アニは壁外へと身を投げながら、同じく『決意』を込めて、己が手を噛み締め、


 三条の紫電を思わせる閃光が弾ける。


 熱波が巻き起こり、壁上に粉塵を巻き上げた。

 煙が晴れた先には、


 超大型巨人。

 鎧の巨人。

 女型の巨人。


 三種三様の、知性巨人が姿を現していた――――。

※ここまで。中二成分を盛りだくさんにしてみた結果がこれだよ。

 「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドなんか許すわけないだろ常識的に考えて………。

 明日・明後日はちと忙しくなるので、多分金曜当たりになると思います。

※誤字 ×:「ウドガルド城」 ○:「ウトガルド城」

http://i.imgur.com/UM1h8GT.jpg

キノコかと

チンコの人か
頑張れー

きのこというより冨樫かと思ったどっちも仕事しろ


ちんこの人って語感は嫌いじゃない

チンコの人ってか亀頭の人じゃね?

マーラの人

間を取って男性器の人とか?

むしろどうして今までちんこの人と呼ばれなかったのが不思議だ

ミーナの人と呼ばれないのも不思議だ

やめてあげてよー!
1のライフはもうゼロよ!

呼ばないだけで「亀頭の人」と認識してたが、チンコの人のが語感が良いなw

何でチンコの人なの?

チソコの人、転職活動お疲れ様 内定よかったねー

>>796

>>1の書く進撃SS内では、しばしばミーナがちんこ扱いを受けて実際ムゴイ目に遭う
これが最たる理由であろう

エレン「ジュマンジ……?」←当初はちょっぴり髪の形状が亀頭に似ているだけ痴女だったが、しだいに亀頭扱いとなる。別名『ズル剥け黒光り』『デスペニス』。
アルミン「巨人……い、いや、違う! あれは―――!!」←考えうる限り最悪の主人公入れ替え。マーラ扱いが確定する
エレン「種付け?」←マーラ・ハイラナイナ
エレン「俺が同期の女をレイプしてアヘ顔ダブルピースさせる話」←ある意味一番マトモな扱いを受けてる
アニ「私はアニ・レオンハート。10さい。乙女なの」←汎用自律マラ型決戦肉バイブ。大丈夫だ、人工肛門がある!

そんな>>1の趣味はきっとちんこいじり
そりゃちんこの人ですわ
それと内定おめでとう。ちんこをいじる仕事ですか?

なんだこの馴れ合いスレ……気持ち悪ぃ

ハハハ、こやつめ!

ちんこめ! ははは!

ちんこー!ちんこー!


 ※おっと、ちんこの悪口はそこまでだ

 >>1がちんこの人? 僕の趣味がちんこいじりですって? まったくヒドい名誉毀損だ

 歴史的見地から検証すると、ちんこいじりは趣味というより哲学です。誰がなんと言おうとちんこいじりは哲学なのです

 何故ならばちんこいじりは思春期に発症したが最後永遠に続くはしかのようなものであって、男にとって永遠のテーマである哲学なので趣味ではないからです

 あまりにも崇高な哲学なので覚えたての素人が生半可な覚悟でちんこいじると死にます

 僕ほどの熟練者になると一分ほどでヴォルカニックヴァイパーです

 あとどっちかというと僕はちんこいじるよりいじられるほうが嬉しいです

 具体的にはお年頃な人類の雌にいじられると嬉しいです

 ちんこいじったことのない美少女が顔を真っ赤にしつつ恥じらいながらもどこか嬉しそうにちんこいじってくれたらきっと凄く嬉しくて覇王翔吼拳を使わざるを得ない

 これは真理だと言えるでしょう

 ちなみに僕がちんこいじってほしい人はいつも画面の向こう側で無垢な笑顔を僕に見せてくれます

 ふふっ、恥ずかしがってなかなかいじってくれないんですよ、まったくシャイなんだから(アルカイックスマイル)

 だからつまるところ僕はちんこの人ではないのです


 \ 完 全 論 破 /

ちんこの人が長文で何か言ってる( ´艸`)


エルヴィン「ノブナガ。ライナーとベルトルトが地下室で供述した内容は――――」

信長「一度白紙だな」

エルヴィン「結果論だが、あれはエレンを動揺させ、巨人化を躊躇させるための布石だったと見るべきか」

信長「で、あるな。まァ、それなりに効果はあったが今はホレ――――御覧の通り、あのガキは元気いっぱいだ」

エルヴィン「愛する者がいる、というのはそれだけで力となるものなのだな」

信長「くさい」

エルヴィン「やかましい」

信長「案外余裕があるじゃねえかハゲ。だが、そろそろ下知を下してやらんとマズい。下の連中が混乱してやがる」

エルヴィン「分かってる。ノブ、君はトヨヒサとヨイチの方に連絡を頼む」

信長「おう。といっても―――――豊久の性格上、向かっていくのは十中八九」



豊久「首置いてけ!! 大将首だ!! 大将首だろう!? なあ大将首だろうおまえ!!!」



 信長が言い切る前に、シガンシナ区全域に、豊久の猿叫が如き大声が響き渡る。


 未だ土煙が舞い上がる壁上に立ち、その相貌が睨みつける先に、超大型巨人がいた。


豊久「どでかいのう! だいだらぼっち!! 他ん巨人(やつ)よりいっとうデカか!! 掻き取りがいがありそうじゃ!!」

超大型「ッガアアアアアアアアア!!(シマヅ……トヨヒサ……!!)」


エルヴィン「だろうな。ではヨイチにはあの獣の巨人を任せたい。ミケの班をつける」

信長「で、あるか………聞いているな、与一。みけの隊とえるふ共を何名か連れて、あの獣を討ち果たせい」

与一『生け捕りは?』

信長「できるならってトコだな。ぶっちゃけ鎧や超大型と違って未知だ。殺せる機があれば、迷わず殺せ」

与一「あい」

ミケ「了解した。よろしく頼む、ヨイチ」

与一「ええ、よしなに、ミケ殿」


 ミケにせよ与一にせよ、感覚で生きる者。どこか通じ合うものがあったのだろう。

 互いに薄く笑みを見せ、次の瞬間には殺意に満ちた両目で、獲物を見据えていた。


ミケ「幸い、馬は無事だ。石壁の階段を一気に駆け下り、先行する与一の援護だ!! 部下たち、エルフたち、オレに続け!!」

ナナバ「了解です!!」

クリスタ「は、はいっ!!」

ユミル「―――――了解」

サシャ「はいっ!!」

ジャン「ッ、くそがッ! やってやろうじゃねえか!!」

コニー「ああっ!! 手柄上げて、英雄になって帰ってやろうぜ!!」

エルフC「ヨイチさんを援護だゲンジバンザイ」

エルフD「射程距離になったら一気に射掛けろゲンジバンザイ」


 馬を駆り、弓を背負い、獣の巨人に向かって駆け出す。

 そんな彼らを押しとどめんとする動きを見せる者がいた。


 ――――壁外に飛び出した『女型の巨人』である。


 先行を許してしまった与一については無視するとしても、弓兵を有する存在を獣の巨人に近づけるのは得策ではない。

 獣の巨人は遠距離砲台だ。遠くから岩を投げるだけで牽制し、他の巨人たちの援護を行うことができる。

 故に女型の巨人は獣の巨人に接近しようとする一団の殲滅のため、その駿足でもって立ちふさがろうとした。

 だが、それに待ったをかける者がいる。

 立体機動装置を駆使し、女型へと近づく者の数はわずかに五人。

 問題なくワイヤーを掴んで、振り落してやろうとした。

 だが、ワイヤーを掴むはずの手は空を切り。

 左足の感覚が消え、無様に地に付す。


女型の巨人「!? !!!?」


 何が起こったかも理解できない。

 何が己の行く手を遮ったのか――――振り返って、空を仰げば、


リヴァイ「よう――――さっきぶりだな、クソアマ」


 人類最強の男が、刃を振り上げて迫っていた。



……
………

~数分前~

エルヴィン「リヴァイ。君は――――」

リヴァイ「俺はあの女の巨人をやる」


 エルヴィンの言葉を両断するように、リヴァイの鋭い声が響いた。

 声に込められた感情は、まぎれもなく怒りであった。


エルヴィン「………ああ。おまえの班を率いて、女型の相手をしてくれ。超大型や鎧とは違い、完全に未知数の敵だ、十分注意を」

リヴァイ「言われるまでもねえ…………あのアマ―――――俺を、俺達を嘲りやがった。このツケは支払わせる。必ず、必ずだ」

エルヴィン「可能であれば捕えろ。絶対とは言わないがな」

リヴァイ「了解した………聞いたな、おまえら。遅れずついてこい」

ペトラ「はいっ!!」

エルヴィン「私は他の団員を率い、周囲の巨人の掃討に当たる」


ハンジ「エルヴィン、私は!? 指示を」

エルヴィン「君はノブナガ、モブリットと共に壁の上に陣取り、全体の戦局を把握。逐一水晶球で伝令を送ってくれ」

ハンジ「そんな!? 私も戦うよ!!」

信長「阿呆、必要な役割だ。オメーや俺はその適任だ。受け入れろ」

ハンジ「っ………ああもう、分かったよ! 武運を、エルヴィン」

エルヴィン「頼んだ。モブリット、君にも水晶球を渡しておこう」

モブリット「了解しました!」

リヴァイ「鎧のクソはエレンに任せりゃいいが、援護に何名か回しておけ。じゃあ、俺たちは行くぞ――――」

信長「待て、りばい」

リヴァイ「なんだ、ノブ」

信長「持ってけ。念のためじゃ」

リヴァイ「これは………」

信長「鎧っつーわかりやすい例がある。ヤツもそうであると用心するは当然よ。おまえならば使いこなせよう?」

リヴァイ「………一理ある。貰っておこう」


………
……


 切断された左足の腱をすぐさま再生させた女型の巨人は迫るリヴァイ班に対し背を向ける形で、ウォールマリア外南東の方角へ向かって疾走していた。

 少しでもリヴァイ班を獣の巨人へと近づけないためであろう。

 その背後をリヴァイ班が追う。


リヴァイ「エルド・グンタは女型の左右前方から距離を保ちつつ、ヤツの注意を逸らせ」

エルド・グンタ「はっ!」

リヴァイ「オルオ・ペトラは左右後方から牽制。隙を見て、俺が手足いずれかの腱を断ち切る。しかる後に追撃を加えろ」ジャキッ

オルオ・ペトラ「はいっ!」

リヴァイ「作戦前にも伝えたが………改めて言っておく。ヤツは俺たちが今まで殺してきた巨人とは違う。巨人大の人間だ。つまり戦術を用いてくる。人間のできることは全てできると思え。これまでの規定概念を捨てろ」


 怒りの滲む感情を抑え、リヴァイは冷静に部下たちに指示を下す。


リヴァイ「ヤツは他の巨人と比較しても敏捷性が段違いだ。いいか、ヤツがそれらしい隙を見せようとも、全て誘いだと思え。俺がゴーサインを出すまでは、決して深追いするなよ―――――行け」

四人「「「「はっ!!!」」」」

※今日は短めー

 あとちんこって言うなペニスって言え

ちんこが短め?

ちんこの人のペニスが短いわけないだろ!

なんかもう色々と乙

おつ!

俺も今度から、ちんこの人って呼ぶわwww

いや、ここは1の希望通りぺニスの人が正解だろ
取り合えず乙
そしてシリアスがシリアルな内容に見えてくる不思議
ミケが生きてるって素敵

ペニスの人って違和感あるな~
英語なら英語で、ザ・ペニスマンで良いのでは?

え?ちんこマン?(難聴)

ペニスマンってWeb漫画面白かったな~

東京グールの人のやつだっけ?

ばペニス

すまん誤爆

ペニスについて語るスレとなりつつあるな

ちんこの人が書いてるスレだから仕方ない

忍殺の人というイメージ

あげ

今月末、つまり今年で完結すると信じている

いやペニスマンはヒラコーリスペクトだから安心できぬ

ペニスマンがシコシコSS書いてると思うと笑えるw

上げ

ペニスマン

趣味:ちんこいじりと嫌がらせ

次回の更新はいつだい

そろそろ続き期待

ほしゅ

あげ

すまん、あげるスレ間違えた

更新はまだか、作者!

賢者タイム長すぎよ

まとまったお金が欲しい人はこちらへ

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頑張れペニスマン!

まつ

もうすぐ黒王様の誕生日だからちんこまんは僕らに続きというプレゼントをくれるはずだ!恵まれないどうて…ゲフンゲフン、非リアのちんこぱわーで完結までもっていくって信じてる

チンコマンどこいった

ちんこまんwww

あんまりお前らがいじめるから

今日がクリスマスな訳だが

ちんこまんまだ?

もしかして去勢されたのか

もし年末までに帰ってこなかったら罪なので罰としてちんこをもぐ


※明日更新するよ。ちんこもがないでください。

 しっかしどいつもこいつも俺のちんこ大好きだな。ちんこに興味津々か。甘酸っぱいお年頃ってかけしからん。まったくイヤしいやつらめ! 履歴書のアピール欄に「ちんこいじり」と書く権利をやろう。

 どうせならもっと恥じらいを込めて「ぺ、ぺ、ぺに…………そんなこと言えないわよ、ばかっ////」って言えよ。君たちにはガッカリですよ。

 期待してないが、君たちの中に処女の美少女はいらっしゃいませんか? 先着一名様に童貞をプレゼント! 今ならなんと非処女になれる特典付!

 僕と契約して妊婦になってよ! 冬のせいにして温め合おうよ! 認知? 馬鹿野郎セックスってことは子作りってことだろうが愛って何だ? 愛ってなんだ? 振り向かないことさ!(意訳:認知しません)

 何がクリスマスだよ、クリトリスでイけバーカ!! 死ね!

 ところでクリスタって特殊偏光クリスタルのボディーを持つ凄腕のサイボーグにして至高のオナニーを追い求める求道者クリスタルボーイ、略してクリスタじゃね? って昔妄想してた。

 クリスタ「そんなことよりオナニーだ!」クチュクチュ

 不覚にも噴いた。でもヒストリアって名前だと知った時の僕の冷めっぷりったらなかったねアッチャーこりゃエロ展開なさそうだわー萎えるわーまったくおじさんはクリスタにはガッカリだよ!!

 クリスタの妾! 妾! 妾の子! やることなすことビッチ臭い! でもビッチって好きだよ。お堅い石女よりビッチの方が好きだよ。だからヒッチも好きだよ。えー処女? キモーイ! 処女が許されるのは美少女か美女だけだよねー!


 さておき、来年こそ最高に高めたオレのフィールで最強の嫁を手に入れてやるぜ!!

 実は進撃の巨人の登場人物で、ビジュアル的にはサシャが一番好みドストライクなんだよね。ポニー大好きさ。あとサシャの方が幼馴染属性が美味しいと思うんだ。

 食べ物ねだってくる幼馴染っていいじゃん。アホの子でさ。かわいいよ。一緒に美味しいものとか食べ歩きしたい系女子だよ。

 んで原作だと駆逐できるもの見つけると即バーサク入る限界フルスロットルマジキチなエレンをなんやかんやぽややんと受け入れたりしてさ。股間が滾るよ! やったねサッちゃん!


※ああ処女と言えば私事でごめんやけど、今日親戚一同会して忘年会やってたんですよ。

 んでね、なんか私の親戚の女子高生の従妹(デブス)に彼氏が出来たんだってさ。デブスね。控えめに言って朝青竜みたいな顔と体型してるの。

 うん、ホントどうでもいいよね。デブスの繁殖状況とか激しくどうでもいいわ。本日催された親戚の忘年会の席でわざわざ言われた私も心底どうでも良かったよ。

 「子供の頃はとっても>>1に懐いていて「お嫁さんになるー」とか甘酸っぱいイベントとかあったんだけどね?」って叔父上が嬉々として語ってやんの。

 やめてくれる? 視界に入れると頭痛がする位階に達したデブスとかマジノーサンキューだから。そんなフラグいらねえから。


>>1「ハハッワロス。遠まわしに聞くけど、おまえの彼氏って豚に性的興奮を覚えんの? おっちゃめー☆ ああ言わんでも分かるよ、同じ豚なんだろ? 黒豚か? 国産か? アメ豚? イベリコとか兄ちゃん大歓迎だなー? ところで謝肉祭いつ?」


 って言ったら叔父上に割と力いっぱい殴られたよ。解せぬ。ダディにもぶたれたことないのに。


>>1「酒の席でのちょっと御茶目なブラックジョークなのに。ロスじゃ日常茶飯事なんだよ?」


 って抗議したら叔父上ったら超大人げなく包丁持ちだしてきてやんの。うわー、ロサンゼルスみたーい。新聞の三面あたりを私が飾っちゃいそー。

 デブスの処女とか誰が得するんだよって思ったけどデブスの非処女の方が色々ダメージでかかったよ。私の左頬の物理ダメージ的に考えて。

 殺されるかと思いました。殺されるかと思ったので、明日続きを投下します。

コピペかミ?

アニは嫌いになったのかな。作者は。

※アニは大好きです。だからってこのSSでは敵なので扱い良くするとか大間違い。

 ミカサも好きです。このSSはエレミカなので少し優遇されます。

 サシャも好きです。このSSはエレミカなので扱い良くするとか大間違い。

ブログとツイッター両方持ってる奴ってさ、本来ブログでやるべき体張った本気ネタをツイッタの方でやるんだよな
中川翔子とか。今の>>1はそれに近い

認知はな、裁判されたらあれだ、強制だからな
気を付けろよ

更新まってるよペニスの人

部屋暖めすぎて熱が脳を荒らしてんじゃないかな
あとてめぇの童貞は廃品回収に出しとけ


………
……




与一「うは、速い速い。ホント佳き馬ですこと。かの呂布の赤兎馬とはこのようなものでありましょうか」パカラッパカラッ


 先行し、単独で獣の巨人へと突撃する与一。

 出し惜しみすることなく、乗馬の脚を使い切る心算で最高速を駆ける。


与一「あー、与一より後続の新生源氏のつわもの達へ告ぐー。我これより単騎にてあれなる獣に一手馳走する所存なり。みけ殿はじめ、皆奮って後に続くように。それと口を開く前と後ろに源氏バンザイとつけろ」

ミケ『了解した。総員、飛んでくる岩に留意しつつ距離を詰めろ!! 与一に続く!!』

サシャ『了解しましたゲンジバンザイ!』

コニー『やってやるぜゲンジバンザイ!』

クリスタ『みんながんばろう! ゲンジバンザイ!』

ジャン『言わなきゃいけない流れかゲンジバンザイ?』

ユミル『勝手に言ってろ』


与一「では宣言通り、まずは―――― 一手、馳走………!!」ギュパッ


 射法八節に則り引き絞られた矢は、虎の子の棒火矢。殺せるときに殺す与一の流儀は健在で、出し惜しみなしの本気を示していた。

 挨拶代わりに放たれた棒火矢は寸分違わず獣の巨人へと直撃し、爆散するかに見えた。だが投擲体勢に入っていた獣の巨人は飛来する閃光を黙視するや否や、軽やかに身を躱す。


与一(―――――棒火矢を避けた………!! 彼奴も『知性巨人』とやらですか。それもかなり素早い。まさしく『猿』か)


 冷静に敵戦力を評価しつつ、与一は距離を詰めつつ更に三本の矢をつがえる。いずれも棒火矢。そして――――。


与一「もとより様子見の一射よ! いかに素早かろうと、この距離ならば避けきれまい!!」ヒュバッ


 狙いは人体における水月、心臓、眉間に値する急所。いずれか一撃でも当たれば仰向けに倒れるのは必至の三連射である。

 先ほどの一射にて測った獣の巨人の身体能力、反射神経、どれをとっても回避不能と思われる『詰み』の攻勢である。

 だが、その『詰み』を、


与一「なんと!?」


 ―――獣の巨人は持ち上げた岩を縦に薙ぎ、与一の三連射をことごとく打ち払うことで、『詰み』をひっくり返した。


 とてつもない膂力と、常軌を逸した咄嗟の判断力。巨人という超常の存在であるが故の対処法であった。

 それにはさしものの那須与一といえど瞠目すべき膂力ではあったが、


与一「あはは――――下らねー」


 与一はそれを一笑に臥す。所詮は猿の浅知恵と。

 那須与一の弓の本領は、針の穴を射抜く精密射撃のみに非ず。

 皆中は前提に過ぎず、速射をはじめ、曲射(斜め上に射ることで着弾のタイミングをずらす技法。芸達者は相手の頭上へ矢を降らせたりもできる)にも通じる。

 まして、与一と獣の巨人はお行儀よく一対一で対峙しているわけでもない。

 矢の恐ろしさとは、その数にあるのだ。

 笑みを浮かべ、与一は馬首を切り、獣の巨人を中心に円を描くような軌道を取る。


与一「私が背後に回り込みます。前後に挟んで鴨撃ちと参りましょう」

ミケ『エルフ隊は棒火矢構え!! 敵は未知数だ! とっておきの棒火矢だが、惜しまずありったけを食らわせるぞ!! 一気に『獣の巨人』を押し潰す!!」

エルフC「はいッ!」シュッ

エルフD「了解!!」スチャッ


 今度こそ、これで詰み。

 エルフの弓術が与一のそれに幾段か劣るものであろうと、織り込み済みの策だ。数の暴力こそが弓矢の真骨頂である。

 雨あられと降り注ぐ矢の暴風は、いかな腕力を誇ろうとも防ぐこと能わず、『獣の巨人』を蜂の巣の如き穴だらけの肉塊に変えるだろう。

 この時、与一に油断はなかった。だが、見誤っていたのであろう。

 正しく『獣の巨人』が、彼らにとって未知の存在であることを、失念していた。



獣の巨人「キィィイイイイアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

与一「うわっ!?」


 突然、獣の巨人が雄たけびを上げた。

 まさしく猿叫。大気を奮わせるほどの音響に、さしもの調査兵団の馬も驚き嘶いた。



ミケ「ッ、なんて声を出す…………」


 興奮した馬をなだめつつ、ミケはその叫びの意味を考える。

 単なるこけおどしか、なにか重要な意図があるのか。


 判断に迷うミケだったが、首を振って全ての考えを棄却する。その迷いこそが獣の巨人の狙いであると結論付け、


ミケ「総員、命令に変更はない!! このまま獣の巨人を囲い、棒火矢で殺しつくす!!」

与一「否! ―――――みけ殿。作戦変更。その場で待機、弓兵を前へ、剣兵はその後背へ!」

ミケ『ッ!? どうしたヨイチ!? 何があった!?』

与一「あの猿………他の知性の無い巨人どもを、操っている。こちらへ来る。向かってきている!」

ミケ『……ああ、こちらも捕えた。糞ッ、この匂い………二十、三十、いや、もっと………!!』

与一「ッ~~~~~~~~!! 岩の投擲に留意しつつ、突撃してくる巨人どもへは、行軍時と同様の対処を。恐らく消耗戦となります」

ミケ『わかった!! 総員、待機だッ!! 三十を超える奇行種がこちらに接近中! およそ数分で接敵だ! エルフ達弓兵は前へ出ろ!!』

ジャン「ハハハ、オイ、三十以上だってよ――――ああクッソ。こっちは貧乏くじだったかよ」

ユミル「イヤなら帰ってママのオッパイでも吸ってるかジャン坊」

ジャン「抜かせ。どうせ吸うならババァの乳よかデカイ乳だろ。オルミーオッパイ吸うわ」

コニー「おれ、帰ったらオッパイーヌのオッパイ吸うんだ。あとゲンジバンザイ」

サシャ「コニー、それ結構言ったらヤバい類の台詞です。ゲンジバンザイ」

クリスタ「みんなまじめにやってよ!! それとゲンジバンザイ!!」


………
……



与一『――――与一より、豊久殿へ。豊久殿、聞こえておりますか、豊久殿』

豊久「応。聞こえとるど」

与一『申し訳ありませぬ。手早く終わらせ、そちらへ向かう所存でしたが………少しばかり手間を取っております故――――私の援護はご期待なさらぬよう』

豊久「よか。そんだけ歯ごたえばある手柄首っちゅうことじゃ。誉れぞ。逃さず掻き獲って来い」

与一『必ずや。では豊久殿も、八幡大菩薩のご加護がありますよう』ブツッ

豊久「うむ―――――という訳じゃ。お前もつくづく運がない」


 壁上に仁王立ちし、嘲笑する豊久の前方、超大型巨人が白い蒸気を上げて佇んでいる。


豊久「偽りの投降なんぞせなんだら。逃げなんだら。捕虜のままなんだら。俺にそん首、掻き獲られずに済んだのにのう? べるとるとよ」ズラァアアアアッ


 超硬化ブレードを抜き放ちながら、嘲るように豊久は言った。

 挑発、ではない。嘘偽りのない豊久の本心であろう。


豊久「降り首ば獲るんは恥じゃ。されどお前は裏切り者じゃ。お前ん胎の内など知らぬし、お前にいかなる道理があろうとも、お前は裏切った。兵を! 同胞を! 友を!」

超大型巨人「ッ…………!!」

豊久「裏切り者ん末路は、斬首と相場が決まっておる。さくりと死ね。
                                             ・・
   お前は兵子ではない。まして将でも軍師でもなか。薄汚い外道じゃ―――――さぞかしお前の郷里の親父も母堂も、お前に負けぬ『人でなし』であろうよ」

超大型巨人「―――――――――――――――――――ッ、ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 その言葉は、ベルトルトの逆鱗に触れたのだろう。緩慢な、しかし迷いのない動きで、超大型巨人はその拳を振り上げた。

 ―――――お前に何が分かる。お前に何が分かる。外道畜生の誹りを受けようと、使命に殉じるしかなかった自分たちを、よりにもよって異世界の住人の貴様が! 貴様が!!

 怒りの感情を乗せた拳が、壁上へと振り下ろされた。砂礫を巻き上げ、粉塵が舞い上がるが、豊久は曲芸の如く立体機動装置を駆使し、その被害から逃れる。


豊久「は!! とろい野郎じゃ。人でなしが人でなしと言われると、一丁前に腹を立てよるか!!」


 更に挑発を繰り返しつつ、シガンシナ区外周から西へ西へと走る。


超大型巨人「ッグギャ゙アアアアアアアアアアアアア!!」


 怒りに我を忘れた超大型巨人は、他の全てが見えなくなったかのように、豊久を追いかける。全てが豊久の掌上での謀であるとは、想像もせずに。

※んじゃ明日続き書く。二日酔いDA。頭痛い。

おつ


いい挑発だ

おつおつ

???「豊さんそのつもりないかもしんないけど 相手を怒らす天才だわ」

………
……



エレン「ッガァアアアアアアアアア!!!」

鎧の巨人「ルォオオオオオオオオッ!!」


 乱打に次ぐ乱打。撃ち込まれる互いの拳に込められた威力は悉くが必殺であったが、互いに一歩も引かぬ。

 紙一重でそれを捌き、躱し、受け流す。


ミカサ「くそ………近づけないッ」

シャラ「どうにかエレンの援護は出来ないか!?」

アルミン「ダメだシャラさん! あの鎧は大砲すら跳ね返した! 棒火矢じゃ効くか分からないし、明らかに防御で劣るエレンが巻き込まれる!」


 いかなミカサとはいえ、竜巻のように暴風荒れ狂う両者の間に飛び込むことはできず、戦局の行方を見守っていた。

 与一隊と二手に分かれたシャラ率いるエルフたちといえど同様である。援護としての棒火矢を命中させること自体は容易。

 されど、あれだけの超近接戦を行う両者の間に棒火矢を撃ち込めば、エレンの巨人体へも被害が及ぶ。

 まして相手は大砲すら跳ね返す、圧倒的な防御力を誇る『鎧の巨人』だ。足元を狙ってバランスを崩させるにしても、エレンの巨人体との距離が近すぎて狙いを外す可能性も高かった。


 両者の巨躯から繰り出される拳は、振るわれるたびに暴風さながらの余波を周囲に齎す。

 手数は互角。否、僅かながらエレンの巨人体が瞬発力において上回っている。

 だが、優勢は鎧の巨人にあった。

 『鎧の巨人』にエレンの巨人体ほどの瞬発力はないが、純粋な膂力において勝っている。何よりも全身の至る所を覆い尽くす『鎧』が、エレンの打撃をことごとく無効化していた。

 右のフックが鎧の左頬を完全に捉えるも、僅かに鎧の首を揺るがしただけで、撃ち負けたのはエレンの拳だ。手首までが吹き飛んでいる。


エレン(ッ、クソが………撃ち込んだこっちの拳が壊れやがる。どんな耐久力してやがんだ!)


 大砲を無力化するほどの防御力は五年前から知ってはいたが、大砲を上回る威力の巨人の拳ですら歯が立たない事態など、エレンの想定外であった。

 そしてエレンは別の理由で、鎧との格闘戦に違和を感じていた。それはかつて訓練兵であった頃の記憶。

 鎧の巨人としてではなく、ライナー・ブラウンとの対人格闘訓練の記憶だ。十や二十では利かぬほどの戦績を重ね、エレンが勝ち越していた。

 その記憶に基づくライナー・ブラウンの戦闘能力から推測される、巨人体へ変じた後の戦闘能力が合致しない。エレンの感じる違和の原因はそれだった。


 ―――鎧が繰り出す技を読み違える。

 ―――確実に極まるはずの打撃をすり抜けられる。

 ―――充分に余裕をもって回避したはずの打撃が頬をかすめる。


 最初はたまたまだと思った。偶然に過ぎないと。

 二度目はまさかと思った。手の内を読まれるのはエレンの側で、片やエレンは『鎧』の動きを読み損なう。

 数を重ねるごとに、疑惑は確信へと近づき、次いでエレンの心中に湧きあがったのは深刻なまでの敗北感と屈辱である。


エレン(ッのクソ野郎………訓練の時は手ェ抜いてやがったな?)


 あまりの屈辱に、内心で毒づく。

 三年間の訓練兵としての日々が、エレンの中にささやかながら己の武に対する誇りを抱かせていた。ライナーのそれは、エレンの誇りを土足で踏みにじるが如き行為である。


エレン(上等だてめえ。吠え面かかせてやる!)


 闘志を燃やしつつも、頭の中を冷たく。手の内が読まれているのならば読まれているで構わない。

 それならばそれで――――やりようはある。

 一秒ごとに『鎧の巨人』への憎悪と戦気を高めつつ、エレンは巨人体へと命を下す。超近接での打撃戦から逃れるように背後へと跳び、距離を取る。


鎧の巨人「―――――――ッ」


 エレンの挙動に、鎧の巨人の動きが止まる。


 エレンの巨人体が打撃主体の構えを解き、両足のスタンスを広く、重心を低く構え直したのだ。

 その意図するところは即ち、


ライナー(………打撃から関節技に切り替えたか。押し倒せばどうとでもなると考えているな)


 戦術を切り替えたと判断する。

 鎧の防御を抜くほどの威力は、巨人の力をもってしても難しい。

 しかしそれは打撃技においてのことでり、関節技であれば話が変わる。

 鎧とて万能ではない。一定以上の機動力を有するために関節部位は鎧に覆われておらず、並の巨人と同等程度の防御力である。

 何よりも動きを封じられることが問題だ。その時点で『詰み』となる。

 エレンが鎧の巨人を押さえ込んでいる間に、他の調査兵団員によって、『火薬』による攻撃が敢行されるのは明らかだ。

 いかに堅固な鎧であろうと、あの威力は脅威である。ヘタをすれば鎧ごと中身を吹き飛ばされる可能性があった。

 だが、とライナーは心中でエレンを嘲る。


ライナー(状況判断を誤ったな。おまえの関節技は、アニに教わったものだろう? 当然、対処法は俺も心得ている)


 狙いが分かっていれば対処は容易。エレンの巨人体の重心の低さは、明らかに下半身の関節を狙いすましたものだ。


 ならば、と鎧の巨人は、腰溜めに構えていた右拳を上げ、顔の横に構え直した。左手は腰の高さのままである。


ライナー(恐らくひざ裏を狙ったタックル。諸手で俺を仰向けに倒した後に、足の関節を極める肚か。突進の瞬間にローキックを顔面に叩き込み、肘で押し潰す。その後は即座にエレンを確保し、離脱を図る……)


 仮にエレンのタックルが腰を狙ってきたとしても、その際は腰だめに残した左肘を振り切って顔を狙い打てる。

 これで詰み、とライナーは確信する。


エレン「………ガァッ!!」

鎧の巨人「!!!(来た!!)」


 そして、エレンの巨人体が動いた。軌道は低い。狙いはひざ裏。


ライナー(狙い通り! 終わりだ!!)


 確信を持って放たれた右のローキックは、満を持してエレンの巨人体へ着弾する。

 ――――頭部を覆うように堅牢なガードを固めた、巨人体へと。


ライナー(!?)


エレン(ッ、打撃は効果が薄い。んなもん分かりきってるよ。確かに効果は薄いだろうが――――)


 激烈な重さを誇る右の蹴りであったが、エレンの巨人体は全身のバネを総動員することでなんとか受け止めた。

 ライナーにとって、エレンの行動は不可解極まりないものだった。まるで最初から鎧の一撃を受け止めようとしていたような動き。

 想定外のエレンの行動に、鎧の動きが硬直する。その隙を突き、エレンは鎧の巨人との距離を更に詰めた。


ライナー(!? 馬鹿な、また接近戦!?)

エレン(――――こういうのはどうだ?)


 懐に潜り込み、中腰に溜めた左拳からのアッパーカット。

 そのテレフォンな挙動をエレンの焦りと見た『鎧』の注意が左拳へと向いた瞬間、


鎧の巨人「ッ―――――――――!」


 再び、ライナーの背筋に怖気が走った。

 意識を左へと向ければ、鎧にとって死角となる、深い弧の軌道を描く右フックが繰り出されている。


ライナー(!!! そうか、こいつの狙いは………!!)


 氷塊が滑り落ちたような寒気が、ライナーの総身を包む。

 エレンの狙いは『うなじへの打撃』だ。さしもの鎧に守られていたところで、うなじへの直接的な衝撃は中のライナーにとってはこの上ないダメージとなる。

 不意を突いた完璧なタイミングだ。全てを薙ぎ払うかのような強烈な一撃は、すぐそこへ迫っていた。


ライナー(う、動け!! 動けぇええええええええええええええっ!!)


 焦るも、カウンターを合わせようと前進していた鎧の巨人の体は、思うように働かない。

 だが、その焦りが逆に功を奏した。


エレン(ッ!!)

ライナー(うっ!?)


 鎧の巨人の足元、シガンシナ区内の荒廃した石畳の路面に刻まれた亀裂が、身じろいだ拍子に、その体を崩させた。

 間一髪のタイミングで、鎧はエレンの一撃をのけぞるように回避する。

 運といえばそれまでであろう。だが、


鎧の巨人「ッ、ガアア!?」


 その運を加味したうえで、エレンはライナーの更に上を行った。

 エレンにとっては、躱そうと直撃しようと、どちらでも問題はなかったことを、数秒後にライナーは気づく。


エレン(捕まえた)

ライナー(!? これも誘い!? 否、保険? どっちでもいい! なら奴の本命は? この体勢! まさか!! アレを狙っているのか!? それはマズい!!)


 乱雑な思考が、経験則から強引に情報を引き出す。なかば本能的に身をよじらせ、エレンから離れようと試みるが、荒れた路面が今度はライナーを祟った。

 両足が滑り、思うように巨人体の平衡を維持できない。

 右フックが空振りに終わった瞬間、エレンは右拳を開き、鉤状に曲げた肘を首に絡みつかせ、左腕は『鎧』の側頭部を掴む。

 典型的な首相撲の形を取ったエレンの狙い、それは、


鎧の巨人「ッ!!!!!」


 ようやく地に足をつけた『鎧』は慌てて振りほどこうともがくが、既に遅い。


エレン(懐に引き込んで膝蹴りを食らわせる際には、力で引き寄せるんじゃあなくて、首に引っ掛けてねじり、巻き込むように引き込む!!)


 膂力で勝る屈強な『鎧』の上半身が、技によって落ちる。


 無防備となった顔面に向かって繰り出されたその技は、皮肉にも敵である戦士の持ち技の一つ――――アニ・レオンハートをして必殺と言わしめた蹴り技、


ミカサ「!! エレン! その作戦でいい!! 行って!! 行ける!! 倒せる!!」

アルミン「いいぞエレン!! そのまま行けぇ!!」

ライナー(『膝蹴り』ッ!!! 想定外、どころじゃ、ないッ………マジで、やべえッ………!!)

エレン(『裏側』からだろうと、衝撃は伝わる!! てめえの鎧がいかに硬かろうと、これだけの威力なら殺せねえだろう………!!)


 ――――膝蹴り。熟練者ならば一撃で人間を殺害せしめることも可能な危険な技である。そしてエレンは三年間、こうした格闘術の研鑽を重ねて来た。その威力は押して知るべきであろう。

 まして熟練者の蹴りの威力は、拳の三倍と言われている。

 それが一発、二発、三発、四発、五発。


鎧の巨人「ッ!? ッ、ッッ~~~~~~~~~~~~!!!」

エレン(こっちの膝がブッ壊れるのが先か! てめえが中でスクランブルエッグになるのが先か!! 我慢比べ? いいや違うね、このまま蹴りつぶしてやるッ!!)


 生身の人間であろうと絶命必至の必殺の膝蹴りを喉元に連発する。

 まして巨人の膂力によって繰り出されるそれは、筆舌に尽くしがたい。


ライナー(き、効く………ぐっ、三半規管が、揺れる。吐き気が止まらん………衝撃が、内臓を、揺らす。まずい、まずい、意識、が、き、切れ………)

エレン「ゥォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!」

ライナー(だ、ダメ、だ。こ、この体は、き、『切り捨てる』………う、うなじから、り、離脱を、逃げ……!!?)


 ライナーにとっての不運はもう一つあった。

 エレンの取った戦法が『膝蹴り』であったこと。膝蹴りを行う側は、両手で相手の首元を――――うなじを押さえつける。


ライナー(く、首元、をっ………うなじをっ、押さえられて、いる。駄目だ、に、逃げられ、ない………!!)


 そして三十二発目の蹴りが『鎧の巨人』の喉元に突き刺さった時、『鎧』の表面に亀裂が入った。

 そこが、エレンの巨人体の限界でもあった。右膝が割れ、肉がひしゃげ、足が千切れる。

 重心を支えきれなくなった鎧の巨人と、エレンの巨人体が、もつれ合うようにして倒れ伏す。


ミカサ「た、倒した………ッ!? エレン!! エレン!!」


 焦燥に駆られた表情でエレンの巨人体へ向かって飛翔するミカサ。

 それを視界に捉えたのか、エレンは巨人体に命じ、倒れたまま片手を持ち上げ、手を振り、




                                                         ・・・・・・
ミカサ「――――――違うッッ!! エレン!! まだだ!! まだその鎧の巨人の体は『崩れていない』ッ!!!」

エレン(え――――――――?)




 振り向いたエレンの眼前には、高速で迫る巨大な拳があり、


エレン(あ………)


 エレンの意識は、そこで一度途絶えた。


 エレンに誤算があったとすれば、それは二つ―――――。


 一つは路面の荒れ――――膝蹴りに威力が最大限に乗らなかったこと。

 そしてもう一つは――――『鎧』の耐久力が………ライナーの精神力が、想像の遥か上であったこと。

※今日はここまで。おかしいな、エレンがなんか主人公っぽいぞ。ふっしぎー。

更新乙

エレンは、ピンチで苦しむ姿が似合うな。

乙 。 次はいつ頃になりますか?(小声)

あげ

作者氏は結構な歴史マニアなのかな。色々あるけど、吉乃が出てくるとは思わなかった。

いかにも創作物で使える背景のキャラなのに吉乃はレアキャラすぎる。牛一さんですら戦国無双に出てくるのに
武功夜話については好意的に見ても後付け感がぱねぇが

最高の進撃愛とドリフターズ愛を感じる

頑張れペニスマン

上げる

※ぅゎ、書き溜まらなかった。

 転職後は結構バタバタしてて投下が遅れてます。保守すまんのう。

 もうちょっとだけかかるんじゃ。今月中には続き投下するけん、もうちょっと待っててな

それは亀仙人とペニスマンのどちらがより変態か議論しろと言ってるんだな?

期待

まだかな

age

また転職先がブラックだったか?
続きはよ

1月終了まで、残り8日

age


………
……



与一「―――――――――いかぬ」


 『獣の巨人』の抑えに回る与一は、端正な顔立ちを苦虫を噛み潰したように歪めていた。

 与一は『獣の巨人』の戦闘能力を概ね把握した。

 さながら『猿』の如き敏捷性に、大岩を振り回し、投擲するほどの膂力。

 体中を覆う体毛の防御力は、『鎧』には及ばぬもののなかなか高い。練度の高い調査兵団の兵たちの中でも上位のものでなければ、あの体毛を切り裂いてうなじを抉ることは難しいだろう。

 なるほど、脅威だ。

 しかしそれらの脅威を踏まえても、与一の敵ではない。与一の狙撃能力の精密性と速射性、そして棒火矢の威力、それらの前では的も同然。

 その筈だった。

 敵ではない、筈だった。

 だが、『奇行種』を呼び寄せる能力、これが彼我の実力差を帳消しにするだけの『戦術』級の効果を発揮していた。


与一(戦場における基本。それは『数の多い方が勝つ』ということだ)


 まして相手は超常の存在たる『巨人』である。いかに知性がないとはいえ、生身の人間との実力差は歴然だ。

 それが、およそ五十体。既に与一を抜いて、彼の後背にて待機するエルフ達やミケ達の隊へと迫っていた。

 現状はエルフ達の棒火矢がそれらを跳ね返してはいるものの、最悪なことに、『獣』は更に増援を呼び寄せんと、高らかに叫びを上げている。させまいと与一が牽制の矢を放つも、まるで糠に釘だ。


与一(糞。彼奴め、私をまともに相手どるつもりがない。防御に徹し、物量にモノを言わせた『奇行種』どもが背後の軍を食いつぶすまで、時間を稼ごうと言う腹か)


 『獣』もまた与一の脅威を悟っていたのだろう。極力距離を詰めようとはせず、与一の射程圏内から距離を取り、決して自ら攻めようとはしない。

 かといって与一が後背の軍へ加勢に向かおうとすれば、再び岩の投擲を始めるだろう。

 ――――与一は、『獣』に釘づけにさせられていた。せざるを得ない状況へと追い込まれていた。

 戦略としては正解だろう。だが、


与一(この私を、那須与一を、既に無き者として見るかの如きその態度―――――断じて許せん)


 怜悧な風貌に見合わぬ暴虐な空気が、与一の総身を覆いつくさんとしていた。


 武人としての誇り、矜持、それらを全て否定されたかのような屈辱感が、与一の闘志を燃やす。


与一(信長殿、はんじ殿、何か一手を。一手を投じてくだされ。さすればこの与一は―――――彼奴めに一泡吹かせて御覧に入れる)


 源氏の大英雄は、静かに機を待つ。刻一刻と高まり続ける殺意を、その身に満たしながら。





……
………


………
……


 ミケ率いる部隊の戦況は芳しくなかった。

 エルフたちの棒火矢による応戦によって、今のところ被害を出してはいないものの、迫る巨人の数は一向に増え続けるばかりだった。

 未だ待機する新兵達―――――元・第104期訓練兵団の兵たちは、戦場から忍び寄る静かな絶望感に、焦りと恐れを抱き始めていた。


サシャ「う、うう………やだよぉ、死にたくないぃ………」

ジャン「クソッタレ………マジで貧乏くじだ。どんだけ増えるんだ。このままじゃジリ貧だぞ」

ユミル「棒火矢もいずれは尽きる。そうなりゃ……」

クリスタ「ッ………う、く。み、みんな! 弱気になっちゃだめだよ! きっと、きっとノブナガさんやハンジさんたちが、なんとかして………」

ユミル「は、そいつは随分楽観的な意見だぁな。あのオッサンは確かにすげえが、そりゃ人間としちゃって話だろう。あんだけの数をどうこうできるとは思えない」

クリスタ「で、でも………」

サシャ「ああ………もっと美味しいもの、食べたかったなぁ………」

ジャン「こんなことならミカサにきちんと思いを………」


ゲルガー「くッそがァ! 討伐数が増えんのはいいが、これ次の考課で給料上がるかわかんねぇなァオイ!! とっとと帰っていい酒呑みてぇ!!」

ナナバ「だったら口じゃなくて手を動かして。生きて帰らなきゃ、酒も呑めないよ」

リーネ「あとどれだけ倒せばいいの!? 今はまだガスもブレードもあるけど、このままじゃ………!」

ヘニング「ッ、ここが踏ん張りどころだろ! 弱音を吐くんじゃあない!」


 絶望が広がっていく。

 諦観が心を包む。

 希望を見出せぬ状況に、新兵はおろか古参の兵たちの心までが余裕をなくしていく。


コニー「なあ、サシャ。不思議だなあ」


 そんな中―――――雲霞の如く襲い来る巨人を前に、コニーは呟くように言った。


コニー「すんげえ数の巨人に囲まれてよ、死にそうな状況だってのによ……おれさ、不思議と怖くねえんだ。出撃前はあんなにビビッてたのによ」


 その声は奇声を上げて迫る巨人たちが跋扈する戦場においても、不思議と響く声だった。

 サシャだけではなく、ジャン、ユミル、クリスタといった同期達、古参の兵たちも、コニーの声に耳を傾けた。


コニー「おれはウォールローゼのラガコ村っていうしょっぱい田舎の生まれでよ。ホントにチンケなところでな。なーんにもねえんだ。そんなところにおれは生まれた。

    おれんちは兄弟が多くてさ、父ちゃんも母ちゃんも毎日働いてて、生活はお世辞にも楽じゃなかった」

ユミル「おいバカ、何の話を――――」

クリスタ「待って、ユミル」


 懐かしむように語るコニーに、ユミルが噛みつこうとするが、それをクリスタが制した。


コニー「おれはあんな村嫌いだ。どいつもこいつもおれをバカにする。頭が悪い、覚えが悪いチビだって。だけど、おれの家族は違ったよ。父ちゃんも母ちゃんも、おれに優しかった。兄弟たちもおれを慕ってくれた。

    おれはみんなの兄ちゃんだったからさ、家族に楽させてやりてえって思ったよ。けど、おれはあんまし頭は良くねえから、お医者先生とか商人とか、頭を使う仕事はちょっと無理そうだった」

ジャン「………それがどうしたってんだ」

コニー「だけど体を動かすのは得意だったから、そいつを活かして兵士になろうって、憲兵になろうって思ったぜ。立体機動が上手けりゃおれみたいな馬鹿でも憲兵になれるって思った。

    憲兵になりゃいっぱい金が貰える。金があれば、家族を、母ちゃんを、サニーを、マーティンを、楽させてやれるって、そう思ってた。あんなちっぽけな村なんて捨てて、内地で贅沢させてやれるって、それがおれにできることだって、そう思ってた」

サシャ「じゃ、じゃあ、なんで調査兵団に…………?」

コニー「そいつがな、さっきまでよく分かんなかった。憲兵になってりゃ今頃、内地で家族にいい思いさせられてたって、そう思う。けどよ、そうじゃない。そうじゃなかったんだよな。違うよな、もっと家族にしてやれること、あるよな」

ジャン「コニー………おまえ」


 コニーの表情は、いつになく真剣だった。

 覚悟を決めた男の表情だった。ジャンらが怯むほどに、コニーは前を見つめていた。

 ジャンは、彼らはその目に覚えがあった。

 自分たち同期の間で『死に急ぎ野郎』と揶揄された彼と、同じ瞳をしていた。


コニー「ここでおれらが踏んばらねえと―――――いっぱい人が死ぬんだよな。

   トロスト区南にあった安くてウマいメシ出してくれる食堂のおっちゃんも、口うるせえスポンサーのお偉いさんも、名前も知らねえ誰かも。

   今はまだ破られてないローゼの壁内にいるおれの家族も、おまえらの家族も、他の兵団に行った同期も、先輩も、後輩連中も、おっかねえキース教官だって………みんなみんな死んじまうよな」

ゲルガー「!」

ナナバ「――――」

コニー「それを考えると、ただただムカムカしやがる。大嫌いだったラガコ村が、すげえ大事なもんだって、そう思った」

リーネ「………」

ヘニング「…………」


 もはや言葉もない。誰もがコニーの言葉に耳を傾けていた。ただ静かに闘志が燃える彼の瞳を見つめていた。


コニー「あいつは、あいつらは、巨人どもは、おれたちを、おれたちの家族を、仲間を、殺そうとしていやがる。おれたちの大切なモンを、好きな連中も嫌いな連中も知らねえ連中も、一切合財奪おうとしていやがる」

   そいつがおれには、どうにも我慢ならねえ。きっとエレンもずっとこんな気持ちだったんだろう。母ちゃん食われちまったあいつはきっと、もっと怒ってるんだと思う」

 その闘志が怒りへと変貌していく。

 人一倍、誰かに馬鹿にされてきたコニーだからこそ、それを支えてくれる家族の存在が在るコニーだからこそ、その心境に共感できるのだろう。


コニー「だからよ、サシャ、ジャン、ユミル、クリスタ。戦おうぜ。あいつら全員ぶっとばしてやろうぜ。そんで胸張って帰ろう。おれたちこそ兵士の中の兵士なんだって、立派に戦ったんだって、調査兵団に入って良かったって、憲兵なんか糞喰らえだって、そう言って笑ってやろうぜ」

クリスタ「――――!」

ユミル「………」


 実直だった。愚直だった。ただただ前へ。ひたすらに前へ。

 単純故に、それは人の心を揺さぶった。いつしか兵たちの心の迷いや恐れは霧散していた。


コニー「おれは馬鹿だからよ。難しいことはわかんねえ。だからやれることをやるぜ。頭使うのは頭の良いノブナガとか、ハンジさんとかに任せた。きっとなんとかしてくれるって、そう思うことにした。

   ――――戦おうぜ、みんな。きっと、おれたちは、ここで戦うために生まれてきたんだ」


 トヨヒサに引っ張られたのは、エレンだけではない。彼もまた一人の『兵士』として、『男』として、成長を遂げていた。

 ユミルも、ジャンも、刮目して彼を見る。もはや彼は自分たちが知る馬鹿のコニーではない、と。


クリスタ「そうだね……―――――うん。そうだよ、コニー」

ユミル「ッハ……バカなりに、たまにゃあイイこと言うじゃあねえか……」

ジャン「まったくだ。トヨヒサが言ってたよなあ。巨人なんてものは単なる獣だって。本当に怖いことってのは、負けるってのは、諦めることだって………諦めるには、ちっと早いよな」

サシャ「…………そう、そうですね。ええ、壁の中で縮こまって生きる家畜のような生き方しかできないなんて、ごめんですよね………」


 意志の通る言葉には、血の通う言葉には、力が宿る。

 
サシャ「! 私、弓を借りてきます! ヨイチさんほどじゃないですけど、そっちなら私だってきっと力になれるはずです!」

ジャン「トヨヒサは、たった一人であの一番バカでけぇのを引きつけてんだ。オレたちが先に諦める訳にゃあ、いかねえよな」

クリスタ「私たちが頑張って、みんなを家畜じゃなくしてあげれば、みんなみんな、笑って生きられるようになる。そうだ。死ななくても、私でも、誰かの力に、助けになれる。戦えば、戦えば!」

ユミル(そう、だよな。ああ、そうだ…………ホント、まさかてめえに諭されるたぁ思わなかったよ、コニー)


 みるみる闘志を取り戻していく新兵に、古参の兵たちもまた心を震わされていた。


ヘニング「いい顔してやがる。兵士の顔だ。やはり実践を経てなお調査兵団に入ったコイツらは、モノが違う」

ナナバ「ああ、強いね。いい子たちだ。次代の調査兵団を担うに相応しい」

リーネ「死なせたくないね。彼らはきっと、これからもっともっと大きくなる」

ゲルガー「ハッ、次代だ? そこまで歳食った覚えはねえよ。まだまだオレらが引っ張ってやらにゃあな」


 新兵にここまで言われて怖気づくような小胆の持ち主は、そもそも調査兵団にはいない。

 絶望に抗う彼らの心に、小さな、しかし確実に火が灯った。

 今は小さな風で消えてしまう灯火に過ぎぬそれは、単なる鼬の最後っ屁か、戦況を変える大火となるか、それは―――――。



……
………

※まるでコニーが主人公じゃねえかっていうツッコミした奴はゲンジバンザイと言え。

 コニーかわいいよコニー。次は多分木曜日あたり? 代休取れたらな。取れたらな。(取れるとは言ってない)

マーラバンザイ

コニー死亡フラグ?
ゲンジバンザイ

主人公毎回変わってんじゃねえか
ゲンジバンザイ

ちくしょう、ちくしょう、引きがうますぎるんだよ。
続き早くして下さい。

すばらしいコニーゲンジバンザイ
ドリフターズ2巻までしか読めてないのが残念
34早く買お

みんなぐうかっこいいゲンジバンザイ

お豊のえっち講座を全裸待機ゲンジバンザイ

こんなにカコイイクロスSSかける主に僕の処女をあげたいゲンジバンザイ

( * )

今日が木曜日だな…

木曜日もあと僅かだぞ、ちんこまん…

※代休を申し立てたら土曜日に夜勤を命じられたでござる。解せぬ。

 まあ休日手当に夜勤プラスでオイシイっちゃオイシイし、金曜の夜は夜勤に体合わせるから夜更かし予定、つまりSSが書けるワケだ。

 が、何か間違っている気がする。一体何が間違っているのだろう?(迫真)

追いついた ゲンジバンザイ

もうスレなくなっちゃうよゲンジバンザイ

今頃>>1はつづきをかいてるのかな
たのしみだなぁ
体壊さないでねゲンジバンザイ

もうスレがないけど>>1頑張ってゲンジバンザイ

>>926なら>>1がハゲる
ゲンジバンザイ

>>1は夜勤かー大変だなぁ

あげ

日曜日も終わりそうだよゲンジバンザイ

※どういうワケか二徹だったよ……今帰ったんだよ。

 星がきれいだなあ。北斗七星が見えるよ。その傍らで赤く光る綺麗な星までクッキリ見える。

 今日は休みだ。ゆっくり寝て起きたらSS投下しよう……。

いやいや無理はしなくていいから
今日は寝てろ

まじに無理すんなよゲンジバンザイ

………
……



 豊久が超大型に掛かり切りとなり、与一、そしてエレンらが劣勢を強いられ、他の巨人達の掃討に苦戦する中――――リヴァイ班だけは優勢であった。

 アニ・レオンハートは己の見通しの甘さを痛感する。

 実力至上主義の調査兵団においてなお精鋭と呼ばれるリヴァイ班、そしてリヴァイ自身の実力を見縊っていた。

 精鋭中の精鋭と音に聞いてはいた。しかし調査兵団は結果が伴わぬ無駄飯喰らいの赤貧兵団だ―――――壁内ではそう認識されている。

 遠征の度に被害ばかりを出し、一度も成果を上げたことがない。ただの一度もだ。

 そんな兵団において精鋭? エリート? 生え抜き?

 どうせスポンサーからの資金調達のための宣伝文句で演出されたものに過ぎないと高を括っていた。

 その認識が誤りだったと悟ったのは、戦い始めてすぐのことだ―――――他の調査兵団の兵士がどうであるかは定かではないが、どうやらリヴァイ班に対しての評価は、その噂に掛け値が一切ない。

 エルフ達による棒火矢の支援なくして、女型の巨人と互角以上に渡り合っている―――――どころか、巨人体となったアニが、手も足も出ない。

 班は五人で一隊。五人で一体。

 女型の両足の腱を、腕を、肩を、両目を、顎を、人体においてバランスを司る様々な筋線維をブレードを振るう度に切り刻み、断ち切り、沈める。

 女型に一切の反撃を許さない。ハンドサイン一つどころか、視線一つ交わさずに繰り出される連携。彼らは文字通りに『兵士』としての理想を体現していた。

 リヴァイ班は、彼らは強い。アニはその身をもって理解した。


女型「ッ………(私が一方的に刻まれている。私の見通しが甘かったか………流石はリヴァイ班。流石は人類最強。流石はリヴァイ兵士長)」


 そして思い出した。三兵団の中で最も異色を放つ、調査兵団独自の任務、それは―――――。


オルオ「甘いんだよメスガキ。こちとら寝ても醒めても、考えてることは巨人をブッ殺すことだけなんだぜ?」

ペトラ「ちょいと三年かそこら訓練所で汗水流した程度で、立体機動の全てを理解したと思われるのは心外よ」

エルド「羨ましいぐらいだ。お前らがチンタラ訓練やってる間、オレ達ゃ壁外調査で地獄見てきてんだよ」

グンタ「少しばかり図体がデカくなっただけでオレ達をどうにかできると思ったか? ブチ殺すぞ女型が!」


 ――――壁外を調査する。そのために巨人を殺す、巨人から生き延びる、巨人から逃げる。そんなことを何年も続けてきた。

 自然と残るのは強者のみ。彼らは総じて生き汚く、往生際が悪く、泥を啜ってでも生き延びる覚悟がある。生物としての質が高いものだけが厳選され、弱い者は自然と淘汰されていく。

 精鋭が残るのは道理だ。ただ唯一の、巨人に対する反撃の嚆矢。それこそが調査兵団の特異性だ。

 まず、女型の巨人は彼女が視認できない速度で両目を潰された。それが斬撃によるものかすらわからない。気が付けば視界が黒く染まっていた。

 そこからは一方的だった。気が付けば両足に力が入らなくなり、次いで腕が上がらなくなる。ガスを蒸かす音とブレードの風切り音、そして肉を引き裂く音だけが耳朶に響く。

 あっという間に膝をつき、うつぶせに倒れ伏して、アニは己の認識がどれだけ甘かったかを痛感していた。

 リヴァイ班は、精鋭中の精鋭たる者だけが集う班である。身体能力、判断能力、危機察知、五感から第六感に至るまでが常人のそれを凌駕する、文字通りの『巨人殺し』のスペシャリストだ。


 巨人を殺すことも、巨人から逃げることも、全てにおいてが対巨人戦闘に特化している。


リヴァイ「――――いいぞグンタ。そのタイミングがいい。右足をそぎ落とせば―――――オルオ! そこの位置だ! タイミングはお前に合わせる!! 行け!」

オルオ「了解ッ!! いくぜテメェエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」


 ましてやそんな彼らを率いるのは、『あの』リヴァイだ。

 彼の『人類最強』の二つ名にこそ、まさしく一切の掛け値が存在しない。


アニ(―――――理解した。瞬殺とまでは行かないと、理解したよ)


 リヴァイとオルオが女型のうなじへと迫る。

 しかしアニに焦りはなかった。

 何故ならば。


リヴァイ「チッ………硬ぇ」バキンッ

オルオ「ッ………何故だ。刃が、通らねえ………」ボロッ


 両者の渾身を込めた双剣の連撃はまさに必殺の威力を備えていたが、女型のうなじに触れた途端にブレードが砕け散った。


 いかに速かろうと、腕が立とうと、調査兵団では、否、兵士では『女型』を殺せぬ理由がある。

 彼らのブレードは、己のうなじを削ぎ落す威力を持たないことを、アニは確信していた。巨人の体内で静かにほくそ笑む。

 これで三度目。既にリヴァイとオルオは、並の巨人ならば絶命を確信するであろう一撃を、合計三回も女型のうなじに叩き込んでいる。

 だがその尽くが失敗に終わった。うなじを切り裂くはずのブレードが破砕し、うなじには毛筋ほどの傷すらつけられない。


アニ(これであんたらは手詰まりだ。『叫び』で奇行種を誘因して止めを刺してもいいが………音から察するに、今は『猿』が呼び寄せている。ヘタにこちらに呼び寄せて『猿』が劣勢になるのは避けたい。リヴァイ班のガス切れを待ち―――――殺す)


 アニは静かに、リヴァイ班の殲滅を決意した。

 ガス切れを待ち、その後は放置して『獣』の援護に向かうという選択もあったが、リヴァイ班は捨て置くには強すぎる戦力だ。

 『鎧』や『女型』にとっては恐れるに足りぬと言えど、無知性巨人にとってリヴァイ班は確かな脅威。僅かに五名とはいえ、無知性巨人では二十体いても敵わぬだろう。ここで殺すのが正しい判断と言えた。

 
ペトラ「グンタ、エルド。見た? ヤツのうなじに変化が見られたわ」

グンタ「ああ、こっちも確認した。ブレードを叩き込む直前に、何か魚の鱗みてえなものがうなじを守っていたな」

エルド「そいつがヤツの能力ってわけか。面倒だな………回数制限があるのか確かめたいところだが」

リヴァイ「―――――………そんなヒマも余裕もねえ」


 一方リヴァイ班の面々は、ブレードでうなじが切り裂けぬ事態に直面してなお狼狽えなかった。三度の失敗は無駄でも無意味でもなく、確かな情報として次に生かす。


 ブレードを叩きこもうとする一瞬前に、魚の鱗にも似た硬質の小片状の組織がうなじを覆い尽くし、それがあらゆる強烈な衝撃を打ち消してしまう―――――女型の巨人の『硬質化』能力である。

 リヴァイ班は精鋭中の精鋭。生きるために何をすべきか、巨人を速やかに殺すためには何を得るべきか、さながら呼吸をするように実行する。

 ましてリヴァイが直接率いる彼らの戦意は高く、今のリヴァイ班は完全であった。

 肉体的、精神的に絶頂を迎えた状態にある、完璧な仕上がりであった。

 リヴァイの命令を忠実にこなす。そこに一切の油断も慢心もなく、驕りなど欠片もない。

 誰よりも臆病であるが故に慎重であり、死を忌避する故に迅速な行動を備えた選りすぐりのエリートである。

 そんなエリートたちが全幅の信頼を置くリヴァイ兵士長の実力は、推して知るべきことだった。


グンタ「鎧の巨人と同じ硬質化した外皮………そいつを任意で展開できるってわけかよ。確かに回数制限があるのか確かめてみたいが」

エルド「そうも言ってられんだろ。消耗戦になればこちらのガスが持たん。手足の腱をブッた斬って大人しくさせちゃあいるが、ブレードだって有限だ」

リヴァイ「それだけじゃあなさそうだ…………再生にかかる時間も、通常の巨人どもと比べて、速い。任意の負傷部位の再生速度もコントロールできるのか………ペトラ、エルド、念を入れて今後は女型の目は二十秒のスパンで刻むようにしろ」

ペトラ「了解です。こんなことなら、エレンの巨人化実験、もっと念入りにやっとくべきでしたね」

リヴァイ「ほう、何か分かるまでエレンの巨人体を切り刻んだほうが良かったってか。いい趣味してるじゃねえか」

ペトラ「!?」

オルオ「おっかねえこと考えるなーオマエ」


エルド「今後はCPSP(クレイジーサイコスライサーペトラ)と呼ぼう」

グンタ「特技は肉を削ぐことで、趣味も肉を削ぐことか。まあ好きこそものの上手なれってヤツだろ? いいんじゃね? けど嫁の貰い手は諦めろ。あと今後俺たちの後ろに立つなよ。ワリとマジで」

ペトラ「ち、違ッ!?」


 軽口を叩きあうも、その立体機動に一切のブレはなく、油断など微塵もない。

 程よく緊張感を保ちつつも冗談を言えるだけの『余裕』が彼らにはあった。慎重に慎重を期し、しかし判断は即決即行。


アニ(こっちの誘いに乗ってこない――――やっかいな部隊だ。我武者羅に攻めてくれば早々に決められるものを………私が勝つことは決定事項としても、突き崩すには隙が無い。弱点がない。欠点と言える人員が一人もいない。誰かが死ねば動揺も生まれるんだが)


 アニは巨人体の眼球の再生速度を優先的に高めている。眼球が再生したところであからさまな隙を見せ、そうして不用意に飛び込んでくる迂闊な兵士が出てくる機を待っていた。

 リヴァイ班の誰かが迂闊に飛び込んで来れば握りつぶすなり蹴り殺すなりいくらでも殺し方はある。一人殺せば班内に動揺が広がり、手数も減り、早期に彼らを片付けることができる――――そんな算段だった。

 だが、一人として独断専行を行う者はいない。班員全てが「すべての隙は誘いと思え。行くときは俺が直接命じる」というリヴァイの命令を忠実に守っているのだ。

 アニとしては早々に彼らを始末し、『獣』やライナー、ベルトルトたちの援護に向かいたい。逆にアニが焦れ始めていた。


アニ(落ち着け。どのみちこいつらに私を殺す手段はない。時間はかかるが、ここは『籠城』だ。耐えて堪えて、その後に奴らの命運を絶えてやる)


 熱くなり始めた思考を、アニは再び冷却する。


 この状況を乗り切れば、リヴァイ班の末路はガス切れ。補給のために一度退くことを考えるだろう。

 退けばそれはそれでよし、その間に『女型』は『獣』に苦戦する与一に引導を渡しに行く。

 退かぬのならばそれでよし、リヴァイ班を全滅させたのち、ゆるりと与一を始末する。

 ドリフターズの中でも抜群の射撃能力を備えた『那須与一』は、アニの中で最も優先順位の高い殺害対象だった。

 アニが巨人体の中で、再び己の行動方針を固め終ったころ―――――リヴァイの声が、アニの耳に届いた。


リヴァイ「――――――ッ、ノブか。どうした」

アニ「………?(なんだ? ノブ? 確かドリフターズの………ここに来ているのか?)」


 巨人体の両目を潰されたアニには、水晶球でリヴァイが会話していることなど知る由もなかった。


リヴァイ「………ああ、見てたんなら分かるだろ………そうだ。残念だが、どうにも時間をかけていられる状況でもないか」


 そうして、リヴァイは何かを諦めたような溜息をつき、


リヴァイ「―――――仕方ねえ。使うぞ」


 一つの覚悟を決めた。


リヴァイ「オルオ、ペトラ、余ったブレードを一本ずつ寄越せ」

オルオ「はっ!」

リヴァイ「よし。おまえらは少しここから離れろ――――待機だ」

「「「「はっ!!!」」」」

アニ(!? 何? 補給? 一時撤退? だが、それは――――)


 悪手である、とアニは判断する。

 だが、精鋭たるリヴァイ班の兵士四名は、迷わず返答し、女型から距離を取った。

 リヴァイがどのような意図でその命令を下したかは彼らにも分からない。

 だが、リヴァイが無意味なことをさせるわけがない―――――リヴァイ班のリヴァイに対する絶対の信頼感の表れである。


リヴァイ「よう、聞こえてるか、アニ・レオンハート」

アニ(ッ………コイツとは初対面の筈。なのに私の名前を、迷いもせず言い当てた。やはり、ライナーやベルトルトの正体はバレていたのかい)


 両手両足の腱を切られ、瞳も切り裂かれ、身動きの取れぬ女型の頭頂を足場に、リヴァイは言った。


リヴァイ「大方、この状況を維持したまま、ガス切れを待った後で俺たちを始末し、その後は悠々と『獣の巨人』を援護しようってハラだろう?

     遠距離から巨人らの視界を奪うヨイチの狙撃はてめえらからすりゃ厄介だ。早々に始末しておきたい相手だろう」

アニ(―――――)


 図星であった。だがアニの心に焦りはない。


アニ(だが読めたからなんだっていうんだい? あんたらに私の『硬質化』を突破する術はない。みすみす私を押さえられる兵たちを引かせて、一人で何をするっていうんだ?)


 もうじき両目は修復が完了する。

 次いで右肩、右腕、左肩、左足、そして両足の順で再生は完了する。そうなれば折角動きを殺した女型の巨人が完全な状態で復活する。

 アニはリヴァイ班が撤退するのも良しと考えていた。いかな精鋭と言えど、あくまでも人間の枠における精鋭だ。

 うなじを切り落とさねば死なない巨人にとって、ブレードによる斬撃は大した脅威ではない。

 そう、ブレードによる斬撃では、だ。

 アニは知らない。知る由もない。

 彼らが本作戦においてから使い始めた新兵装の存在を、未だ知らないのだ。


リヴァイ「だからどうした、とでも思ってるんだろうが、少々危機感が足りないんじゃあないか? おまえにとって残念なニュースだ―――――俺たちはてめえの生け捕りは諦めた。『生け捕り』はな」


アニ(…………?)


 アニは気づかない。リヴァイの声がいつもよりもなお不快気な低音で奏でられていることに気づかない。

 両目を切り裂かれたアニは気づかない。女型の頭上に立つリヴァイの表情に、今、どれだけの憤怒が走っているのか、気づいていない。

 それを遠目に見るリヴァイ班の精鋭たちが、怯えたような視線をリヴァイに向けていることに―――――気づかない。

 知らないだろう。

 一体どれだけの覚悟を、リヴァイが抱いているのか。

 一体どれだけの想いを、リヴァイが背負っているのか。

 アニ・レオンハートは、全てを見誤った。


リヴァイ「これからは………『てめえが死んでも構わない』………そういう攻撃に切り替えることにする。こちらとしても賭けでな。生憎と手加減できん」


 それは冷たい殺意だ。

 憎悪がある。怨恨がある。激怒がある。

 そんな感情を直接向けられたことのないアニには、それがなんなのか理解できなかった。

 ただ、高熱を発する巨人体の中にあってなお―――――寒い、と。そう感じた。


リヴァイ「目の見えない状態でも、声は聞こえるだろう? 音は届くだろう?」

アニ(………何を言っている?)

リヴァイ「さっきから遠くでドカンドカン喧しい音がしてただろう。アレは何の音だと思う? 『超大型』や『鎧』とロクに打ち合わせもせずに巨人化したことを後悔させてやるよ。コイツだ」パチリッ

アニ(? 何か、ポーチを開く音? 何かを取り出した? 何を―――――)

リヴァイ「ッ―――――!!」ヒュオッ

アニ「!」


 ずぶり、とアニのうなじ近辺に『何か』が突き刺さる。

 アニはそれをブレードによる斬撃と判断したが、『硬質化』は行わない。する必要がないのだ。

 女型のうなじのやや上方に突き立った何かは、精々が10センチ程度だけを肉にめり込ませ、そのまま動かなくなった。

 立体機動による加速度を得ない斬撃は、腕や背筋の力のみで行われる、『死んだ斬撃』だ。鎧は無論、並の巨人の首すらまともに落とすこともできないだろう。できても精々が2メートル級巨人までだ。

 仮に彼女の相手がライナーらの報告にあった『脅威』たるドリフターズ・島津豊久であれば迷わず硬質化を行っただろう。生木を抉り倒すほどの膂力の持ち主だ。報告書を読んだアニは、女型の硬質化とて万が一があると踏み、誰よりも島津豊久を脅威と見ていた。

 しかし、今の彼女の相手はリヴァイ兵長だ。島津豊久ではない。

 だから、問題は、ない。

 そんな驕った決めつけが、どこかにあったのだろう。アニは己が油断していることに、気づいていなかった。


 そんな己の判断が致命的な誤りであったことを、アニは数秒後に悟ることになる。


 リヴァイ・アッカーマンが―――――誇張も水増しもなしに『人類最強』の二つ名を背負っていることの意味を知る。


 ジジジジジ、と、どこかで聞いた音が、アニの耳朶を打った。


リヴァイ「何の音か分かるか?」ジジジジジジジッ

アニ「!?(なんだこの音………どこかで、確か………)」

リヴァイ「おまえの『家』のドアをノックする音だ。少々荒っぽいが、こじ開けて押し入らせて貰う――――強盗のようにな。覚悟はできたか? できていまいとお構いなしだがな」

アニ「!!(何か、マズイ!! 『硬質化』を!!)」


 それは戦士としての勘か、女としての勘か、アニは咄嗟にうなじを『硬質化』させる。

 直後、鼓膜が破れるほどの轟音と、全身を叩きつけられるような衝撃がアニを襲った。


アニ「ギィイイイイッ!?(が、あ、あああッ…………あ、み、耳がッ?! ぐ、あ、な、に………!?)」

アニ(ば、ばくは、つ………ま、まさか、か、火薬、か!? が、あ、ゆ、揺れる………ま、マズイ、耳が、耳が聞こえな、い………な、何も、きこえ、ない。さ、再生、を)


 火薬の爆発の威力はすさまじく、内に籠るアニの鼓膜を破り、三半規管をしたたかに揺らす。


アニ(ッ、だ、だが、こんな爆発じゃ、あいつも、まきこまれ、て………)


 そうだ。爆発に巻き込まれ、リヴァイも肉片と化したはずだ。

 なのに―――――キィンとノイズが走るぼんやりとした聴覚に、人の声と思しきものが届く。


リヴァイ「咄嗟に硬質化しやがったか………いい子だ。だが愚かだ」

アニ(え? 火薬、ばくはつ、して。あ、だれ、の、こえ? 上、から、聞こえる? 遠い? 高い? 爆発で、あいつも、上に、吹っ飛ばされた、の?)


 爆発する直前、リヴァイは女型のうなじに両アンカーを撃ち込み、上空へ跳躍していた。

 爆発の衝撃を上空方向へと逃がしつつ高度を得る、絶人の域にまで高められた立体機動術。




リヴァイ「最初から最後まで徹頭徹尾ナメてかかってりゃ―――――硬質化しなけりゃ、楽に死ねたものをよ………」

アニ(――――――――)


 アニは、先ほどから自分の身体を襲っていた寒気がなんなのか、理解した。

 ああ、これは。


 生け捕りを諦めたということは。

 殺すつもりで来るということは。

 それは、もはや、手段を選ばないと言うことで。

 それはつまり―――――。


アニ(こ、怖、い、よ………)


 恐怖だ。

 これは、死の恐怖。全身から戦意が失われていく。見えない視線が、己の命を見据えている。それを奪わんと欲している。


リヴァイ「さあ――――――仕置きの時間だ」


 リヴァイの身体から上昇のための運動エネルギーが失われゼロになる。

 そしてリヴァイ独特の逆手に握られた立体機動装置のグリップが、左右の腰に装着されたブレードを挟み込む。



 ――――抜刀術の構(カマエ)。


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 プスプスと焦げ付いた肌を不機嫌そうな表情で歪ませながら、リヴァイはトリガーを引いた――――――行く。

 硬質化した皮膚が剥げ落ちた、剥き出しの女型のうなじへ一直線に。


アニ(!!!!!!! しょ、正気じゃ、ない。こ、コイツ………!!)


 目も見えず、耳も聞こえない。だが、アニはリヴァイが何をやっているのかが手に取るようにわかった。

 爆発の衝撃により、突き刺したアンカーの片方は千切れかけていたが、まだ生きている。ガスを蒸かせ、殺人的な加速でリヴァイがうなじに向かって迫る。

 高さは女型のうなじから更に二十メートルも上空。一般的な建造物の高さからいえば、ビルの十階に匹敵する高度から、頭頂を完全に地面に晒した天地真逆の姿勢で垂直落下。さらにガスによる加速がリヴァイの肉体を後押しする。

 ゼロスピードからの爆発的な加速力。限界までガスを蒸かせ、一瞬でトップスピードに。常人ならば即座に意識を失って墜落するほどの殺人的圧力がリヴァイの肉体を襲う。

 リヴァイの両目が真紅に染まり、端からは血の涙が流れる。


リヴァイ「ッ…………ルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 だが、リヴァイは行く。更にその先へ、先へ、先へ。肉体を放たれた矢の如く収斂させ、抜刀のタイミングに全神経を注ぎ込む。


アニ「!?!!!!?(あ、あ、く、来る、来るのか………!? ま、まずい、硬質化した、皮膜、が、は、剥がれ、て………さ、再展開、を………)」


 リヴァイ班の班員たちが瞠目する。

 見ている。

 ほぼ垂直の落下軌道を取る、あの恐ろしい機動術を、彼らは知っている。

 あの一撃に全てを込め、後先を考えぬ出鱈目な機動術は――――。


オルオ「あ、あの技は!」

ペトラ「嘘―――――さっきの、トヨヒサさんの!?」

エルド「い、いや。あれより高い。速い!!」

グンタ「兵長!! まさか、兵長もアレを!?」


 ……時は二週間ほど前に遡る。


リヴァイ『――――マルメ・クランド? そいつがなんだってんだ?』


 ――――丸目蔵人(まるめくらんど)、という剣客の名を、島津豊久の口から知った。


豊久『凄か剣客じゃ。俺の剣はその剣術――――タイ捨を用いておる。若い士じゃ示現が流行っておったがの。俺にはこっちが合う』


 ――――タイ捨流は丸目蔵人に出るといふ。流名も体捨なるべけれども、片仮名に書く事伝授也といふ。


 捨て身、つまりは体を棄てると書いて『体棄』。半身より斬り上げ、半身より斬り下ろすが故の『体斜』。待ちを捨てて攻めること即ち『待捨』。

 字義に囚われぬ幅広い意味を持ったこの流派は、剣術は無論、蹴り技、目潰し、あらゆる組手甲冑術を内包した実戦兵法であった。

 島津豊久の口から語られたそれに、リヴァイは興味を惹かれた。


豊久『お主らん兵法の、りったいきどうとやらには馴染む刀法じゃ。どうじゃ、学んでみっが?』

リヴァイ『…………』


 そしてリヴァイは―――――二週間という僅かな期間ではあるが、島津豊久よりその術理の手ほどきを受けた。


 タイ捨流には飛び掛り飛び廻って相手を撹乱して打つ技や、中国拳法の動きを取り入れた刀と蹴り技を組み合わせた剣技が多い。

 元々が人を宙へと飛ばし、巨人のうなじを削ぐことを目的とした立体機動術と、タイ捨の術理は恐ろしく相性が良かった。

 そして、既に常軌を逸した兵士の長は、更なる高みへと至ることになる。


リヴァイ(こういう時はなんと言うんだったか………ああ、そうだ。こうだったな)


 これよりリヴァイの両手から繰り出されるのは僅か二つの太刀。しかしその二刀の斬撃には、リヴァイの全てが乗っている。

 体を捨て、半体を捨て、掛かるを捨て、待を捨て、剣運に己の命脈を賭ける。


リヴァイ「兵法タイ捨流剣術、裏太刀………『嵐勢刀』が崩し」


 さながらそれは、獲物を捕獲する燕の宙返り。

 美しく、儚く、そして―――――自由への渇望を秘め、嵐の中を飛ぶ翼の羽撃きの如し。



リヴァイ「立体機動抜刀術―――――『飛燕』」



 火花と共に左右の白刃が鞘走る。もはや視認どころか認識すらできぬ神速の抜刀術。流星の速度で落下するリヴァイの両腕より、雷光の如き剣牙の暴虐が露わとなった。


 それは死狂いの剣であった。外れれば死ぬ。当たってもその後に墜落死するしれない。文字通りの必殺必死の絶剣である。

 陰流より生まれ、新陰流に発展し、タイ捨へと至ったその過程。極限にまで高められた『斬る』という概念が、立体機動術との邂逅を経て、二刀に圧縮されたその殺人刀太刀。


アニ(間に合え! こ、硬質化!!)パキキッ


 リヴァイのブレードがうなじに届く寸前、うなじの表面に硬質化した皮膚が展開される。

 されど。リヴァイ・アッカーマンの、巨人殺しの極地として昇華したその技は、



リヴァイ「―――――首おいてけ、クソ女型」



 まるであっけなく、溶けかけたバターを切るように女型のうなじを『首ごと』削ぎ落した。


アニ「が………………………!!」


 『巨人殺し(ジャイアント・キリング)』を成す、リヴァイ・アッカーマン最強の魔剣である。


……
………


………
……



 リヴァイ班の面々は、コマ送りのように女型の首が輪切りにされるのを、誰もが口をあんぐりと開けて眺めていた。


グンタ「ば、爆発で、うなじの『硬質化』をはがして………間髪入れず斬撃を叩き込んだ」

エルド「そ、そりゃ、理屈で言えばだがよ………言葉にすりゃ、簡単だ、けどよ」

ペトラ「う、うなじの『硬質化』………間に合ってたよね? な、なのに」

オルオ「あの滅茶苦茶固い皮膚を、ゼリーみてえに………」


 一瞬でも爆発のタイミングを見誤れば、爆発の威力に巻き込まれて、リヴァイも肉片と化していただろう。

 一瞬でも姿勢制御を誤れば、意識を失い地面に墜落死していただろう。

 一瞬でも抜刀のタイミングを誤れば、うなじに激突して死んでいただろう。

 刃筋を立てていなければ、ブレードは根元からへし折れていた。威力が不足していても同様だった。ワイヤーが途中で千切れていたら。他にも、他にも、他にも。

 それらの状況を把握し、対応する判断を瞬刻の猶予の中で正確に執り行った。

 その事実に、傍で見ていただけの四人の総毛が逆立った。


 先ほどの斬撃は人としての域を上回るものであった。抜群の戦闘能力と判断能力を必須条件として、尋常ならざる精神状態、いわば『狂気』が必要不可欠である。


 『魔剣』は存在する。されど正気を以って為すこと能わず。極めて冷徹な術理と、『狂気』を以ってそれは為る。


 抜群の戦闘センスと戦闘論理、そして信仰の域にまで高められた『狂気』、その内どれか一つが欠けた時点で実現不可能な、極めて論理だった理論に基づいた、超人の技。 

 生物として本能に刻まれた『死の恐怖』という最後のいちじくの葉を外した狂気の領域にまで精神を追い込んだ者のみが為しえる、リヴァイ・アッカーマンの『魔剣』であった。


オルオ「ほ、ほら、見ろよ。やっぱ、トヨヒサなんかより、ウチの兵長の方がずっとすげえぜ」ヒククッ

ペトラ「笑顔ひきつってるわよ、オルオ。けど、凄い。本当に凄いなぁ、リヴァイ兵長は………って、兵長!? だ、大丈夫ですか兵長ッ!!」

グンタ「ッ!? そ、そうだ! 兵長! 兵長!! ご無事ですかッ、リヴァイ兵長ッ!!」


 半ば放心していた四人が、気付いたように正気を取り戻す。

 女型のうなじを削いだ後、リヴァイはそのまま地面に落下していた。恐らく爆発の衝撃と、急激に巻きとられたワイヤーへの負荷により、立体機動装置が故障したのだろう。

 斬撃によって落下速度は減速したとはいえ、アンカーの巻取り機構が働かないままの約四十メートル強の自由落下だ。誰であろうと死んでいても自然である。いかな人外染みた身体能力を誇るリヴァイであっても、危険な高さからの落下だ。

 慌てふためきながら、班員たちはリヴァイが落下した地点へと急いだ。


……
………


………
……



リヴァイ「ぐッ………どこぞの妖怪の無茶苦茶ぶりに当てられたかよ………我ながら、無茶を、する………」


 頭を強く打ったのだろう。額から少なくない量の血を流し、攻撃の起点となった左からの斬撃を担った左腕が力なくぶらさがっている。

 急激なGがかかった影響か、両目からはとめどなく血の涙が流れている。

 だが、それでも、肩を押さえて力強く立ち上がる。


リヴァイ「俺が最初に引きずり出すのはエレンになるとばかり思ってたが―――――」


 よろよろと足を動かして向かう先には、己が削いだ女型のうなじの肉片―――――否、


リヴァイ「お前が先だったな、アニ・レオンハート。綺麗に両手両足だけをブッた斬れたのは重畳。調子はどうだ、オイ?」

アニ「ぐ、ぐぁ………つぅっ…………!」

リヴァイ「初めましてだ。今日限りの付き合いになるかじっくりと腰を据えた付き合いになるかは、おまえの行動次第だ。元々ブチ殺すつもりで攻撃したからな。死んだところで問題はなかった」


 両手両足を削ぎ落とされ、あおむけに倒れるアニが、恨めしげにリヴァイを見上げる。


 リヴァイは相変わらずの仏頂面で視線を受け止めながら、淡々と目から流れる血をハンカチで拭う。


リヴァイ「どうした? 巨人化しないのか? ちょっとばかり手足が千切れただけじゃあねえか。ン? なんだ、致命的な負傷を追うと巨人化できないのか?」

アニ(ッ…………!!! け、『結晶化』を………ッ!!? で、出来ない!? 駄目だ。傷が深すぎる!)

リヴァイ「図星か。あのデカブツ二匹と一緒で腹芸は苦手と見える」

リヴァイ「ほお。やはりエレンと同じで再生するのか………人間なら致命傷だろうが、手足まで新しく生え替わるらしい。気持ち悪い奴等だ」

アニ「ぐ、く………」


 アニの心中は敗北感に包まれていた。負けた。油断で負けた。注意を払っていれば、脅威と認識していれば、結果は逆だったかもしれない。

 しかし、全ては後の祭りである。立って敗者を見下しているのはリヴァイで、恨めしげに勝者を見上げるのがアニだ。


リヴァイ「…………チッ、アンカーは完全に終わったな。ワイヤーが焼き切れて巻取り機構が死んでやがる。あの技は今後使用禁止だな………一度使ったら立体機動装置がオシャカだ」

エルド「あんな自爆めいた博奕技をポンポン使わんで下さい」

グンタ「フツーの巨人相手に使ったらオーバーキルにも程があります」

リヴァイ「来たか、おまえら」


ペトラ「来たか、じゃないです!! ボロボロじゃないですか兵長!! 大丈夫ですか!?」

オルオ「あんなの二度と使わないで下さいよ!! 見てるこっちの寿命が縮みます!!」

リヴァイ「だから使用禁止にすると言ってる………チッ、ブレードも売り切れに、ガスも切れる寸前と来た。てめえらはどうだ?」

エルド「俺の方はブレードが心許ないですね」

グンタ「こっちはそこそこ余ってますが、壁を登れるほどでは」

オルオ「ガスもブレードもほぼ使い切りました」

ペトラ「私はまだどちらもそこそこ残っています。壁の上までなら十分に持つかと」

リヴァイ「そうか………ではペトラ。比較的消耗の少ないおまえは先にノブのところへ行き、補給後は指示を仰げ。恐らく別の部隊への援護を命じられるだろう」

ペトラ「え、えッ? でも、それならば、その………」

リヴァイ「言いたいことは分かる。本来ならお前の立体機動装置を借りて俺が行きたいところだが―――――まあ、無茶のツケが祟ったな。この腕じゃあ少し厳しい」

ペトラ「あッ………!!」


 ペトラが瞳を見開いて口元を押さえた。リヴァイの左肩が不自然に歪み、力なく揺れている。


オルオ「ッ、へ、兵長、そ、それ、まさか折れ………!?」

リヴァイ「脱臼してるだけだ。嵌めればこのとおり動く、が―――――全力でブレードを振るうには少々心許ない。視界も少々霞む。討伐支援ぐらいならできるだろうが………」ゴギッガギンッ


エルド(ッうわ………無理にはめ込んだ。痛くねえのかアレ)ゾッ

グンタ(顔色一つ変えねえよこの人………もうやだ、ホントに人間か?)ビクビク

ペトラ(使う度に肩外れる技とか絶対ヤダ)ゾッ

オルオ(へいちょすげー。でも絶対真似できねえ)ガクブル


リヴァイ「エルド、おまえはこの水晶球でノブに連絡取れ」シュッ

エルド「っ、と」パシッ

リヴァイ「俺たちの分のガス、ブレード、立体機動装置、それとこのメスガキをふん縛る鎖を、手すきの兵士に持ってこさせろ」

エルド「はっ!」

リヴァイ「何をしてるペトラ。おまえは馬を呼んでさっさと行け」

ペトラ「は、はっ!! では失礼します!!」ピューイッ


 慌ただしくペトラは指笛で馬を呼び出し、壁へ向かって駆けて行った。


リヴァイ「さて………」

アニ「ッ」ビクッ


 リヴァイが振り返り、アニを見下ろす。その目は、アニの瞳をまっすぐに見据えていた。

 どろどろとした感情が渦巻いた汚泥の底を思わせる瞳に、アニの背筋に氷柱を差し込んだような寒気が走る。


リヴァイ「なんとも幸運だったな。俺にとっては不運極まるが――――まあ、どっちにせよやることは変わらないな」

アニ「…………? な、何? 何を、言って…………がっ!?」


 アニの腹部に、リヴァイの蹴りがめり込む。


リヴァイ「こういえば分かるか? 女子供がいなくなったおかげで……俺は気兼ねなくおまえを痛めつけられる………死ぬ寸前までな」

アニ「ッ~~~~~~~~!?」

リヴァイ「恨むなら生け捕りを命じたエルヴィンと、てめえ自身の所業を呪え。俺をコケにしくさったこともそうだが、何よりてめえらは殺し過ぎた。この壁内に生きる全ての人類は、どの道てめえらを生かしておかん」


 言いながら、リヴァイはアニの無くなった左足の傷口を思い切り踏みつけた。ゴギリ、と骨が砕ける音が響く。


アニ「っ、ぎゃ、あ、あああああああああああああああ!!!?」


リヴァイ「精々、噛みしめろ………痛いか? これはおまえらのせいで死んだ、このシガンシナ区の住人達の分だ」

アニ「ふっ、ふーっ、ぐ、あ、あ、あああが、ぐ………ごぁがっ!?」


 次いで、踵落としがアニの胸に叩き込まれる。


リヴァイ「こいつはトロスト区防衛戦で死んだ住人達の分だ。痛いか? 肺に折れた骨が突き刺さったか。だがおまえを哀れとは思わんね。人様の留守中に下らねえマネをしやがった当然の報いだ。さて」

アニ「ッ………! ッ、ッ――――!!!」


 もはや、声も出ない。当然だ。アニの口に、リヴァイの靴のつま先が半ばまでめり込んでいる。


リヴァイ「お次はこの五年間で死んだ、俺たちの仲間の分だ。痛いだろ? 声も出ないか? 口の奥から割れた歯がカラカラとぶつかり合う音がするってのはたまらない恐怖だろう?」

アニ「ッ! ッ~~~~~~~!! ッ、ッ!?」

リヴァイ「なまじ再生能力なんか持っているせいで、地獄を見ることになる。死んだ方がマシか? 馬鹿言え………てめえらのせいで死んだ俺の仲間は、俺の部下は」


 つま先を引き抜きながら、リヴァイは冷たく、


リヴァイ「誰一人として、死にたくなんかなかった。誰も彼もが最後の最後まで、歯を食いしばって戦った。だからてめえも歯を食いしばれ。どうせすぐに生えてくるんだろう?」

アニ「あ、ぁ、あ、あああ、あ………」


リヴァイ「次も次も次も次も調査兵団の………死んだ俺の部下の分だ」

アニ「―――――ひっ!?」


 そうして、アニにとって地獄の時間が始まった。そうだ。まだ始まったばかりだった。


リヴァイ「てめえらにどんな事情があるかは知らん。知りたくもない。だが『覚悟』してたんだろ? していないとは言わせない。どんな理由があろうと、大義があろうと、てめえらは」


 振り下ろされる暴力に次ぐ暴力。


リヴァイ「――――大勢の人を殺したんだ。何万人が死んだと思う? 泣き喚くガキや絶望した民衆の顔を見たことがあるか? その時、てめえはどんな気分だった?」


 だが、リヴァイの表情は変わらない。


リヴァイ「「何のためだ」とか「それ以外に道はなかったのか」などとお行儀のいいことを聞くつもりはねえ。なんの力もない人間を一方的に虐殺するのは楽しかったか? 嫌々か? どうでも良かったか?」


 返り血にまみれても、眉ひとつ動かさない。


リヴァイ「死んだ方からすりゃ、どんな理由だろうとたまったもんじゃあないんだよ。死にたい奴なんていない。

     大義のため、家のため、誰かのため、夢のため、何かのために死ねる、トヨヒサのような、エレンのような奴はいるが、それを強要するのはお門違いだ。ン? 何を寝ていやがる。これからだぞ、俺の躾は」


 アニの顔を踏みつけながら、リヴァイは右手に握ったブレードで、アニの腹を掻きまわす。


アニ「ぎゃ、あ、や、や、べで…………」

リヴァイ「てめえの顔の踏み心地はなかなか悪くないな。おかげで俺はすこぶる気分がいいぞ。どうした? てめえは今どんな気分だ? 答える余裕もないか? なら―――――」


 リヴァイは嗤った。

 誰も見たことのない表情で、笑みを浮かべたのだ。



リヴァイ「せいぜい豚のように悲鳴を上げて――――――俺の溜飲が一刻も早く下がることを祈ってろ」



 そしてアニは、己の心が折れる音を聞いた。



……
………


………
……



リヴァイ「―――――こんなところか」

アニ「あ………が、ぶぇ………」

リヴァイ「チッ………返り血か。汚ねえ」


 アニが死ぬ寸前まで、リヴァイの殴打は続いた。


エルド「…………お、おお、お、お疲れ様でした、兵長(おっかねえええええええええ)」ガタガタ

グンタ「お疲れ様です、兵長(怖ェエエエエエエ)」ブルブル

オルオ「へ、兵長、どうぞハンカチを………か、返り血がぶへっ(痛ッてェエエエエエ)」ガブッ

リヴァイ「ああ…………それで、補給は?」フキフキ

エルド「じ、じきにやってくるかと………」

リヴァイ「そうか、ならいい」


アニ「」ピクッ、ビクンッ、ビクッ


オルオ(ペトラェ………おまえあっち行っててよかったぞマジで)ガクブル

グンタ(オゾましすぎる……女子供にはとても見せられないよ!!)ヒィイイイ

エルド(千年の恋も冷める手際だった。明らかに殴り慣れてる。い、生きてんのかコレ…………うおお、生きてる。マジで生きてる。キッチリ『死ぬ寸前』じゃねえかどんだけだよ)ビクビク


リヴァイ「エルド、水晶球よこせ」ホレ、サッサト

エルド「は、はっ! どうぞ!」スッ

リヴァイ「――――ノブ、ハンジ、聞こえるか。戦況はどうなってる?」

信長『…………』

ハンジ『…………』

リヴァイ「ノブ? ハンジ?」

信長『う、うわッ、うわーッ、怖ぇー……おっかねぇー……ごめんなーりばい、ごめんなーりばいー、もう二度とかりあげおチビとか言わねえよ。だからお願いします、謝るので殺さないでください』

ハンジ『ごめんねー、ごめんねぇー、もう二度とその人類の平均値を下げる体長のことをからかったりしないよー。だから命だけは、命だけは助けてね』

リヴァイ「見るも無惨に殺すぞてめえら」


リヴァイ「見えてるだろうが、『女型』は片づけた。そちらの戦況はどうなっている?」

信長『お、おう。遠目で見てたぞ。えっげつねー武を使うんだニャア、オメー。全く怖い奴よ』

ハンジ『ウワー、まるでおトヨが二人いるみたーい』

リヴァイ「うるせえ。いいからさっさとどうなってるか言え」

信長『おう。獣は与一が足止め中だ。あの猿野郎、奇行種どもを呼び寄せる力があるらしい。エルフ隊とチョボヒゲの部隊が応戦しとるが、今のところは目立った被害もない。今のところは、だが』

リヴァイ「………肝はエルフたちだな。棒火矢による援護が尽きれば、後は奇行種共の物量で潰れちまう、か。…………トヨヒサは?」

ハンジ『凄いよ! 絶好調だね。あの調子なら討伐は無理でも、しばらくの間は彼一人でこっちの戦場から超大型を引き離せる』

信長『はン。あんな図体だけのガキなどお豊の手玉よ。しばらくはあやつ一人で凌げるであろう』

エルヴィン『――――それは何よりだ』

リヴァイ「ッ、エルヴィンか。周囲の巨人どもの掃討は?」

エルヴィン『あらかた終了した。これより『獣』の呼び寄せた奇行種共の抑えに合流する。しかし、トヨヒサを信用しているんだな、ノブナガ』

信長『ヘッ、お主がりばいを信頼してるのと同じぐらいにはな。あ奴は馬鹿ではあるが、うつけではない。この戦場で己が今何を為すべきかを本能的に分かっている。豊久を単なる猪武者と思うてくれるな』

リヴァイ「何よりだ。では、エレンは――――鎧は」

ハンジ『――――結構ヤバいね。最初はエレンが優勢で取っ組み合ってたんだけど、まあ油断だね。エレンが頭部を破壊されて人間に戻っちゃった』

リヴァイ「ッチ…………肝心要でしくじりやがったか、あの馬鹿野郎」


エルヴィン『ミカサをはじめ何名かのエルフがなんとか足止めしてはいるが、これではジリ貧だ。おまえに援護に向かってほしいんだが』

リヴァイ「そうしたいところではあるが………俺は生憎左肩がイカレてブレードを万全に振れん。少しばかり視界もやられた。先にペトラを向かわせたから、てめえの裁量で好きに使え」

信長『ぺとら? おお、あの別嬪か。やるのか?』

リヴァイ「伊達や酔狂で俺の班には入れん。正真正銘の手練れだ。討伐補佐にかけては俺の班でも右に出る者はいない。上手く使え。遅れてオルオ、エルド、グンタも送る。誰であろうと鎧の継ぎ目である関節を狙った斬撃程度なら、余裕でこなすだろう」

信長『―――――であるか。ならば、やはり当面の問題は『獣』か』

ハンジ『ああ。正直言って『鎧』の能力と私たち調査兵団の戦術の相性は最悪だ。与一をはじめエルフたちが『鎧』に当たるべきだったかもしれない』

リヴァイ「だがヨイチら主力の弓兵隊を『鎧』にあてがえば、『獣』と奇行種共の脅威が野放しだ。大岩の投擲と、他の奇行種どもを呼び寄せるとかいう能力は厄介極まりない。ヘタすりゃ際限なく奇行種共が集まってくる」

エルヴィン『―――――あちらを立てればこちらが立たず、か。…………二手だな。二手が不足している。その二手の一ツ一ツが、届きそうで届かん』

信長『ふむ…………捕えた『女型』の中身を人質にでも立ててみるか? ひれ伏せー、ひれ伏さんととってもヒドいことするぞー、嫁に行けんようになるぞーっつって』

リヴァイ「ホントに性根が腐敗してんなおまえ」

ハンジ『どうやって国を治めてたんだよ』

信長『阿呆、戦国の世において人質、裏切り、脅迫、謀反、密約、暗殺、奇襲、朝駆け闇討ちは作法の一つじゃぞ? なぁに大義があればどうとでもなるものよ。なければないででっちあげるか言い掛かりつけりゃいい』コレガデキナキャハンニンマエ

エルヴィン『なんて嫌すぎる世界だ……』

リヴァイ「クズしかいねえのかおまえらの世界は」


信長『ダルマにした上でボッコボコにした悪鬼が何言ってやがる』

エルヴィン(確かに)

ハンジ『けど一考には値する手段だね』

リヴァイ「クソメガネ、おまえもなかなかノブに染まってきたな」

ハンジ『勝利のため、そして兵の命が一人でも多く助かるのであれば、私は悪鬼でも悪魔でもなんでもいいよ』

エルヴィン『そうだな。そのためならば私は相手が神だろうと踏みにじるし、魂を売り渡して悪魔にでもなろう』

信長『その心意気やよし。いっぱしの将のツラになってきたなヅラとメガネ』

リヴァイ「…………フン。まあ、やらねえんだろう?」

信長『ああ。まず通じんだろう。というより、此方にも彼方にも利点がない』

エルヴィン『だろうな。こちらの目的と巨人側の目的が平行線である以上、それでどうこうなるはずもない』

ハンジ『ッあーーーーーーッ!! もぉーーーーーーーーーーッ!! このまま現状維持はマズいんだって!! なんか考えないとホントにこのまま全滅もありうるよ!?』


 人質を盾に投降を促したところで聞きはしないだろう。既に調査兵団に顔が割れてしまっている以上、巨人たちは死にもの狂いでこちらを全滅させにかかるだろう。

 ただの一人でも撃ち漏らせば、そこからライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー、アニ・レオンハートが巨人であることが壁内全土に伝わるのだ。


 そんな時だ。


ハンニバル「―――――おい、小僧、ハゲ、メガネ」

信長『!』

エルヴィン『!』

ハンジ『え? お、おじいちゃん?』


 確かな理性の光を瞳に宿した老年の将が、動きを見せた。


ハンニバル「木いちごはな、目の前にあるから食えるんじゃ。ウマいんじゃ。遠くにあったら食えんのじゃ。そいつがどんなにウマくても」

エルヴィン『は?』

信長『はァ?』

ハンジ『また木いちご?』


ハンニバル「逆を言えばだ――――――ウマくて大事な木いちごを、誰かに食わせたくないなら、遠くにやっちまえばいいのだ。ウマい木いちごほど、誰もが食いたくなるもんじゃ」

エルヴィン『………!』

信長『ッ………そうか。やっぱすげえな、木いちごじいちゃん』

ハンジ『あっ、あーーーーーっ!!! そっか! そういうことか………! ホント何者だよこのおじいちゃん』

リヴァイ「? どうしたノブ、エルヴィン、ハンジ。そちらで何があった」

エルヴィン『作戦が決まった。リヴァイよ、そちらにいるオルオとエルド、グンタを借りられるか?』

リヴァイ「………? どういうことだ?」



 カルタゴの鬼才が動き出す。

 足りぬ二手のうち、一手を埋めるべく。



……
………


※Q.アニ厨「どぼじでおでのよめがリンチざれでるのぉおおお!? おがじいでじょおおおお!? >>1はエレアニストじゃながっだのぉおおおおおお!? ゆっぐりでぎないぃぃいいいいい!!」

 A.>>1「死兆星を見たので」


 などと意味不明な供述をしており、憲兵団では精神鑑定も含め動機の解明にあたる方針です。

 私の趣味は確かにちんこいじりですが、一体いつから私の趣味が一つだと錯覚していた? 何かお忘れじゃあないかい?

 そう………「嫌がらせ」だ。あとロードバイクな。

 あ、ちなみにアニはこのことが原因でPTSD発症確実なんでよろしく。チビで三十路のタラちゃんヘアーを見かけただけでうんこ漏らすぐらいビビること間違いなし。

 うわぁー、うわぁー……ヤ、ヤッベェー………おっかねえ。へいちょおっかねえ。コワいわー。

 私も早くリヴァイ班に入れて貰わなきゃ。ノルマは一出撃ごとに巨人10殺か10アシストとかじゃね? ブラック企業だな。

おつ
チンコマンこわいなーとづまりすとこ

※あと950越えたし、次スレ立てます。

 こっち埋まっちゃったらそっちに続き書く。

 次スレ:エレン「ドリフターズ?」 豊久「大将首二ツ目」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1422881120/)

リヴァイ班ヤッター!!
オツカレサマドスエ!

おつ
ゲンジバンザイ

徹底的だな。痛めつけるのも愛なのかな。乙。

後、バッキューンの親父も出番ありそうだな。

このスレでグッチョグチョのギッタンギッタンのリョナが見れるとは思いませんでした(小並感)

ジュマンジも今見てるよ!胸熱展開ありがとう
やったねお豊!手柄が増えるよ!

ところで次回はいつ頃になりそうですか?予定勃ちしだい教えてくださゲンジバンザイ

ゆ虐みたいでいいと思いました(KONAMI)

BGMが完全に悪鬼御用達の処刑用じゃねえかゲンジバンザイもっとやれ

ゲンジバンザイ
流石リヴァイ
コニー頑張れ
エレンはもっと頑張れ


※中途半端にスレ余ったのでおまけ投下


『もしもあの人もドリフターズとして進撃世界に呼ばれていたら』


菅野「あぁん!? なんだこりゃどこだよここバカヤロウまたかよどこなんだここはバカヤロウコノヤロウなっげえ壁だな万里の長城かよ」


 バルバルバルバルバル


エレン「な、なんだあれ………」ビクビク

アルミン「て、鉄の塊が! 鉄でできた鳥が飛んでるよ!! すごいよ!!」キラキラ

ミカサ「だ、誰か乗ってる…………う、うわぁー、例によって東洋人だー」

エルヴィン「君らの知り合いか、ノブナガ」

信長「知らん。だが―――――」

エルヴィン(空を飛ぶ、だと………立体機動のように跳ぶのではなく、文字通りに飛んでいる。アレを調査兵団で運用できれば、巨人との戦闘を避けつつより広範囲の索敵を行い、かつ壁外調査が捗る………)

信長(もはや言うまでもなく戦略的価値は大。極大。あんなんに火薬詰ませて飛ばしたら小田原だろーがなんだろうが即落とせる。イヤまてよ、軍にアレを複数用意できれば行軍日数までもが………山だろうが海だろうが越え放題!)

信長&エルヴィン((超欲しいんだけどコレ))

リヴァイ(考えてることが手に取るようにわかるなこの二人)


ジャン「うおお、すっげえなアレ。マジで飛んでやがるぞ」

ユミル「ドリフの世界にはあんなんまであるのかよ………反則すぎだろ」

クリスタ「あっ、手を振ってる。おーい! おおーい!」フリフリ

コニー「すっげぇーーーー! いいなぁ!! 乗ってみてえ!! どんな景色が見えんだろ!!」ワクワク

アルミン「僕も乗ってみたい!!」キラキラ

エレン「お、おっかなくねえか? すっげえ高いぞ………」

ハンジ「あっ、降りて来た!!」

ミカサ(まともな人でありますように)


 スタッ


菅野「ああ゛!? なんだバカヤロウコノヤロウ、外人ばっかじゃねえかコノヤロウ! どこん国の連中だテメーら! アメ公だったらブッ飛ばすぞコノヤロウ」

クリスタ「」ビクッ

コニー「」ガクガク

エレン(直接的な意味で超怖いんだがこの人)ガクブル

ミカサ(もうやめてほしい。東洋人のイメージがネガティブな方向へどんどん崩れていく)ズーン


豊久「なんの騒ぎじゃ………? ばるばると喧しい」

与一「うひゃー、黒金でできた鳥とは、これまた奇天烈な」

菅野「あっ! 日本人!」

信長「何者じゃお主」


菅野「一人総火の玉、七生報国、三百一飛「新撰組」隊長・菅野直とは俺のことだコノヤロウ!! てめえらこそ何だバカヤロウ」

信長「織田上総介信長(新撰『組』なのに『隊』長ってどういうこった。うつけか)」

与一「那須資隆与一(姿形を見る限り、かなり後の時代の日ノ本の住人でしょうか)」

豊久「島津豊久(なかなかの面構えだの。死線ば潜った武士の目じゃ)」

菅野「なんだとコノヤロウバカヤロウ、三英傑の一人に源氏の英雄だとコノヤロウ!」

信長「俺はそんな風に後世に伝わっておるのか。あんなに寺焼いたのにニャア」

与一「いやーテレますな」ハッハッハ

菅野「憧れてました握手してくれ」


 菅野直。麻酔なしで太腿から銃弾を抉りだすほどに性根が座った男であり、士官学校時代からあらゆる戦闘機を破壊しまくったため『デストロイヤー』の名を欲しいままにしていた彼であった。


 が、少年時代は軟派な男(趣味は読書とかのインドア的な意味)であり、実は文学少年という一面を持っている(※マジで)

 そしてシスコン。姉と添い寝しないと寝れない子だったらしい。


信長「お、おう」ガシッ

菅野「やったぜコノヤロウ」ブンブン

与一「いいですとも」ガシッ

菅野「感謝感激」ブンブン

豊久「まあよかろ」スッ

菅野「は?」

豊久「む?」


菅野「ワリ。誰? 島津? ああ、あの九州の端っこの超イナカモンの。関ヶ原まで影の薄い? ハイハイ知ってる。で? 義弘以外は知らねんだけど」

豊久「殺す!!」フギャーーーッ

菅野「あんだコラやんのかコノヤロウ誰だよてめえ誰なんだよブッ飛ばすぞコノヤロウ」ギャオーーーッ

豊久「てめえ首よごぜぇええええええ!!!」

菅野「うるせえよ芋でも食ってろ芋連合のイモ野郎そもそも薩摩の連中は気に入らねんだコノヤロウてめえらがいなければ徳川の天下はなあ!! 薩奸死すべし慈悲はねえ」ギャーブオーギャー

豊久「んだらてめえ東軍側かよ是非もねえブッ殺してやる首出せ晒し首じゃ」ギャーブワー

サシャ「お芋の連合と聞いて」シュバッ

ユミル「お呼びじゃねえ。すっこんでろ死ぬぞ」

クリスタ(この人たちなんていうかもう存在が怖い)プルプル


『完』


※豊久とデストロイヤーが会ったらこうなると思うの

 >>1個人としては、菅野直の逸話は超面白いので本買って読むのオススメ。後期の日本海軍航空隊きっての最後の撃墜王である。

 まともにアレとドッグファイトできそうな航空機乗りってドイツの某サーカス団長(※1)ぐれーじゃねーの? 多分。

 正確には戦闘機じゃないけど、他にも人外スツーカ閣下(※2)とか候補に上がる。


(※1)某サーカス団長:マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン男爵

 ガンダムに出てこなかったシャア。むしろガンダムとザビ家がいない世界におけるシャア。男爵っすよ男爵。バロンだよ。しかも名前に『フォン』入ってるよ。そうだよ貴族だよ。

 赤い悪魔とか赤い騎士とか赤い男爵とか変態機動のリヒトホーフェン・サーカスとか言われてる。

 性格はトレーズ閣下みたいなエレガントさにちょっとシャイ成分の入った腐女子が好きそうな感じ。逸話が何かとカッコイイ。実際ルックスもイケメンで俺たちの敵。爆ぜろ。


(※2)人外スツーカ:ハンス・ウルリッヒ・ルーデル

 言わずと知れた真正の怪物。本を読むかアンサイクロペディア見ると、その異常性がよく分かる。深く理解しようとすると頭がおかしくなって死ぬ。魔導書みたいな人生送ってるいらない方のネクロノミコン。

 彼がスツーカ(爆撃機)に乗るとソ連兵は死ぬ。存在がゲイボルグな人で、出撃=撃墜という成果を叩きだす。たまに撃墜されてもケロッと還ってくるので、敵からすれば悪夢のような男。

 足がない。チクショウ、しばらく出撃できない、ソ連兵ブッ殺せない! ぐやぢい!! とか言って泣くんですのよ。正気で狂ってますわこのヒト。これだからナチスは怖い。

次の出番はだれかなーたのしみだなぁゲンジバンザイ

※そうそう、次の更新?

 休みがね、しばらくないんだ。ガチで。多分1月14日ぐらいまで連勤。

 即戦力で雇われたし給料増えたのはいいんだけど、ガチで繁忙期にブッ込んじまったんだ。

 仕事が終わった矢先に追加の仕事が増える増える。ワカメちゃんかてめえは。お前のパンツなんかみても嬉しくねえんだよ。

 パンツ履いてない乙女を寄越せ。

 夜勤挟まった時に気力残ってたら更新する。すまないが保守頼んだ。

一月?2月14日までってことか?
うわぁたいへんだなぁ
無理はしないでくれ死なれちゃたまらん

一月…?
来年まで休み無しとはブラック超えて漆黒じゃねーか

菅野出たら終わっちゃうよなー撃墜王の心配だけしてりゃいいんだし
こっちでも空神あつかい決定だなこりゃ

※お、おう。2月14日だよ。1月じゃ流石の私も死ぬわ。

 ん? 待てよ? 2月14日?

 あ、バレンタインだ。撲滅しなきゃ。バレンタイン撲滅兵団の団員募集しなきゃー。

 こいつァ忙しくなるぞー。

保守するのは次のスレのほうがいい?ここだと多分入りきらないし

シモ・ヘイヘは進撃世界ではいらない子

舩坂弘が満面の笑みでそちらを見ている

エーリヒ・ハルトマンがアップを始めたぞ

戦闘機じゃないけどさドリフターズにアメリア・イアハート出たら絶対菅野とフラグたつよなぁベルナドット風に

>>1000なら今年度末までに完結する

>>1000なら>>1がゆっくりSSを書けるように、お休みがたくさんもらえるようになる!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月07日 (火) 13:04:12   ID: Np5O672T

この世界は残酷だ・・・・・

2 :  SS好きの774さん   2014年01月09日 (木) 18:46:00   ID: EpjoXPq_

ハンコでもええんかい・・・

3 :  SS好きの774さん   2014年01月10日 (金) 19:03:02   ID: QG_91cnm

まだかな~

4 :  SS好きの774さん   2014年02月12日 (水) 12:46:52   ID: Kq3gawNt

ゲンジバンザイ

5 :  SS好きの774さん   2014年06月20日 (金) 17:19:35   ID: cKHJG1K2

ゲンジバンザイ

6 :  SS好きの774さん   2014年09月19日 (金) 16:50:02   ID: YxAxpMyd

ゲンジバンザイ

7 :  SS好きの774さん   2014年10月13日 (月) 02:50:39   ID: rZLciWI0

ハンジバンザイ

8 :  SS好きの774さん   2014年10月19日 (日) 21:42:07   ID: KMAYFPZg

ドリフターズ4巻 10月27日(金)発売‼
みんな、予約はしたか⁈

ゲンジバンザイ

9 :  SS好きの774さん   2014年11月06日 (木) 16:41:58   ID: ctKjrnaD

ゲンジバンザイ

10 :  SS好きの774さん   2014年12月14日 (日) 19:29:54   ID: i49dGdj-

続きに期待ゲンジバンザイ

11 :  SS好きの774さん   2015年05月05日 (火) 11:37:36   ID: UhS_JZWm

もうすぐ終わるぞ。GW終わるころには完結しちょるな

12 :  SS好きの774さん   2016年01月03日 (日) 08:51:25   ID: 5tbblCOG

巨人ならドリフターズの世界にねいるんだが

13 :  SS好きの774さん   2016年04月12日 (火) 03:22:57   ID: b5cgWhaQ

未完かよ

14 :  SS好きの774さん   2016年08月27日 (土) 17:48:35   ID: 1WGTJeN7

完結したぞゲンジバンザイ!

15 :  SS好きの774さん   2016年09月03日 (土) 04:28:31   ID: 1jXVSsHt

面白いけどミカサウザい。

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