久「ふふっ、それじゃぁ怪談を始めましょうか」 (38)


まこ「急に何を言い出すんじゃ、部長は」

久「だってほら、そろそろ良い時間じゃない」

咲「た、確かにもうくらいですけど……」

久「そう。暗いわ。そして――夏なのよ!」

京太郎「なぜそこを強調してるんですか」

久「怪談=夏は様式美。季語といっても良いわ」

和「良くないと思います。第一、存在しないものの話なんて全部デタラメではありませんか」

久「あれ、和は信じてないの?」

和「信じてません。そんなオカルトありえませんので」

久「ん~……」

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久「じゃぁ心霊写真は?」

和「ただの思い込み、目の錯覚でしかありません」

京太郎「言い切っちゃうのか」

和「逆に聞くとみなさんは信じているんですか?」

咲「し、信じるとかそういうことじゃなくて単純に怖いだけ……かな」

まこ「わしも信じてはおらん。話のタネには有効だと思うがの」

久「えっ信じてないの? 誰も?」

和「部長は信じやすすぎるんじゃないでしょうか?」

まこ「……否定できん」

久「ひどい!」


京太郎「えっと……俺は一応信じてますよ」

久「……同情なんて要らないわ」

京太郎「えー」

咲「で、でも。夏場にやる怖いやつの写真はともかく、動画は?」

和「咲さん、怖がることはありません。あんなの編集に決まってるじゃありませんか」

まこ「言い切るのぉ……確かにそうかもしれんが夢がない気がするぞ」

久「……じゃあ!」

京太郎「ぅわっ!?」

咲「きゅ、急に大声はやめてください!」

まこ「おぬしも大概じゃがな……」

久「科学で説明できるとかなんとか言う人は怖い話のあとここに残ること! 良い!?」

和「……泊まり込みはダメでは?」

久「会長権限!」

京太郎「無茶するなぁ……」

お化けの京太郎


久「じゃぁ、まずは定番のゆきこさん。かしらね」

京太郎「七不思議ですか」

和「花子さん、ゆきこさん、みーちゃん……なん姉妹でしたっけ?」

久「……………」

まこ「とりあえず黙って聞いてあげるべきじゃ」

和「そうですね、続けてください」

久「……うん」

京太郎(すごく萎えてる……)

久「和の言うように、各県によって呼称が異なっているのだけど、」

久「決まってトイレが出現場所になっているのよ」

咲「……女子トイレの3番目の個室ですよね」


京太郎「確か、場所によっては2階の2番目とか、3階だとかで別なんでしたっけ?」

久「ええ。それはともかく、全てにおいて3が関わっているのよ」

和「3階、3回、3番目、3秒、3回転……ほかには?」

まこ「それだけだと思うがの。親戚云々は人数は不特定多数だから」

咲「え? でも京ちゃん。2階の2番目じゃないの?」

京太郎「2回の2番目を3回回ってみーちゃんだから、一応関わってるよ」

咲「そ、そうなんだ……そ、それで?」

久「だから、ゆきこさん、つまり原点である花子さんと3という数字は密接な関係があると思うのよ」

和(元が3番目の花子さんだからなだけでは……)

京太郎(無粋なツッコミは抑えて抑えて)


久「和の言いたいことはわかるわよ。3番目の花子さんだからね」

和「では言いますが、やはり原点から拡散する際に引き継がれただけだと思います」

久「本当にそうかしら? 原点の時点で3番目と決められていることには理由があるとは思わない?」

まこ「ふむ……幽霊は神出鬼没であるべきというなら、トイレの花子だけで良かったとは思うが」

久「でしょ? なのに『3番目』としたのには理由があるのよ」

咲「っ……」

京太郎「初めに見られたのがただ単に3番目だった。ということは?」

久「須賀くんも敵?」

京太郎「敵って……というか、なんか外れてません? これ」

まこ「……完全にオカルト研究会じゃな」


和「別にいいんじゃないですか? 謎解きでも」

京太郎(あくまで謎解きなのか)

久「ううん、ダメよ。怖い話だから怪談なんだから」

咲「べ、別に良いのに……」

まこ「学校の七不思議なら直に見に行くほうがスリルがあると思うがのう」

久「それだわ!」

咲「な、なんで余計なこと言うんですか!?」

まこ「ニヤッ」

咲「染谷先輩の馬鹿!」

京太郎「まぁまぁ、和がいるんだし平気だろ」

久「何言ってるの? 1人よ」

咲「私帰ります」

久「もう真っ暗なのに?」

咲「京ちゃん!」

京太郎「面白そうだし最後までやろうぜ」

咲「」


和「さ、咲さん!?」

久「気絶しちゃったわね」

まこ「やりすぎたかのう?」

久「まだ何もしてないのに……あ、そうね」

京太郎「?」

久「気絶してるとおいていくわよー一人で」

咲「っ!? お、置いていかないでください!」

久「嘘だけど」

京太郎(ひどい、ひどすぎる)

久「さて、咲も起きたことだし2人で行くことにしましょ」

京太郎「行くことは変わらないんですね」

久「当たり前じゃない」

とりあえずここまで

特に怖くはならないというかそれ以前にギャグ路線になるかと思う――あくまで予定

乙ー
怪談物かきたいなって言ってた人?
とりあえず期待

乙ー!
今の季節にピッタリっすね
続き楽しみにしてます

のどっちが一番ビビりだろうに強気だな

そういうところが可愛いんじゃないか

ここまでの台詞が全部見栄っ張りだとしたら可愛すぎるんですがそれは

普通の和なんて久しぶりだじぇ


久「というわけで。行ってらっしゃい。和」

和「な、なんで私が」

久「だって存在を否定するなら怖くないでしょ?」

和「それは……」

まこ「オカルトはありえないっていう自分を通すなら行くべきじゃけぇ」

咲「染谷先輩まで……」

京太郎(これはなにか仕掛けてそうだ。優希もいないし)

和「……ええ、いいでしょう」

久「もうひとりは当然、須賀くんよ」

京太郎「異議あり!」


久「えー」

京太郎「いやいや、なんで俺なんですか?」

久「ふふっ怖いのね?」

京太郎「怖くはないですけど」

京太郎(心霊現象は。だけど)

久「じゃぁイイじゃない」

まこ(完全に話逸らしとるのぉ。必要なかろうに)

京太郎「俺が行かなくちゃいけない理由を教えてくれませんか?」

咲「たぶん、こういうのだと男の子が犠牲になるからだと思う……主に庇って」

久「ね?」

京太郎(嫌な予感しかしないんだけど、和だしなぁ……)

和「?」

京太郎「分かりましたよ、行きます」


京太郎(そんなわけで、俺と和はビデオカメラ片手に女子トイレへと向かうことになった)

和「本来であれば、須賀くんが女子トイレに入るのは咎めるべきです」

京太郎「それは……まぁそうだろうなぁ。外で待ってるか?」

京太郎(旧校舎のとはいえ女子トイレは女子トイレだし)

和「い、いえ!」

京太郎「? 和?」

和「旧校舎の使用不可なので平気です!」

京太郎(声が裏返るほど……。もしかして)

京太郎「怖いのか?」

和「そ、そんなことはありません!」


京太郎(怖いのがバレバレ……だけど)

京太郎「そっか、じゃぁ俺は外で待つよ」

和「え……」

京太郎「だって、怖くないなら俺いらないだろ?」

和「……………」

京太郎(いつもパシられてる分を和に返すのもアレだけど)

京太郎(やれるときにやってみたいっていうか――)

和「……です」

京太郎「え?」

和「それはダメです、須賀くんは撮影係なんですから」

和(……オカルトは信じていない。でも、)

和(怖いか怖くないかといえば……それは)

京太郎「別に一人でも出来ると思うぞ? ほら、番組でも芸人が一人でやってるし……」

和「あれはほかのカメラが見てくれているからでっ」

京太郎「和も見たことあるんだな」

和「以前住んでいたところでは結構流行っていたので」


京太郎「そっか……」

京太郎(震えながら見てる和……有りだと思う)

和「……ですから、その。一緒に来ていただけると助かります」

京太郎(和が普通に頼んできた……なら)

京太郎「わかった、俺も行くよ」

和「初めからその予定だったんですよ? それを須賀くんが」

京太郎「あはは……ごめん」

京太郎(ちょっと怒らせちゃったか……)

和「指定された女子トイレはここですね」

京太郎「旧校舎なだけあって古いなぁ」

和「それだけでなく、老朽化で使用不可になっていますよ」

京太郎「そうだった」

ここまで

台本形式の練習とは言え乏しい
地の文を入れないとやっぱり描写に欠けるかな

次から入れるかもしれません

乙です
これからの季節にもあってるし期待してます

乙 のどっちきゃわわ

次回も期待

乙。続き楽しみ

のどかわいい


旧校舎とはいえ、

ある程度の補強がされてはいるのだが、

この女子トイレは完全に放置されてるらしく、

ほかと比べて薄汚い

しかも、床のタイルは割れたり剥がれたり変色したり

いかにもという感じだ

和「ゆ、床が抜けたりしそうなので止めましょう」

京太郎「そんなことはないと思うけど……」

抜けはしないが、

踏んだ場所によっては脆くなったタイルがバキッを割れてしまうようで、

和「っ!?」

和はもうすっかり怯えているようだった


和「では……」

3階ではないが、

雰囲気の合う旧校舎の使われていない古い女子トイレ

その3番目の個室の前に立ち、

和はふぅっと息をついた

京太郎(俺がやったほうが良いか?)

目で見ても判るほどには震えていた

京太郎「和」

和「いえ……や、やります」

和(怖い。でも、そんなものはいないのだから何も問題はない)

京太郎「……わかった」


場所によっていろいろあるが、

長野に置いて定められた法は、

【女子トイレの3番目の個室をノックし、ゆきこさん。と呼ぶ】

というものだ

和の握られた拳が静かに上がっていき、

木製の扉をコンッコンッと叩いた

無駄に響く音

そして、和は手よりも震える声で繋げた

和「ゅ、ゆきこさーん……」

そこに声は帰ってくる……というのが怪談上の設定

京太郎(もし部長が仕掛けてるなら――)

「はーい」

和「えっ」

京太郎(どう聞いてもタコスの声だ)

明らかに優希の声なのに、

和はビクッと体を震わせて後ずさった


そして、扉がゆっくりと開く

京太郎(大方ドッキリ成功とでも――?)

京太郎の想像とは違えて、

だんだんと開いていく扉から優希が飛び出すことはなく、

ましてや、プラカードが出てくることもない

その代わりに、

扉の淵をトイレの中から伸びてきた手が掴んだ

和「す、須賀くん!」

京太郎「え、あ、一旦出よう!」

和の必死な表情に押され、

京太郎はそれを促した――けれど、逃げることはできない


扉を掴む手とは逆に、

もう片方の手が和の腕を掴んでいたから……

「どうして逃げるの?」

和「ぁ……」

それはまるでトイレの中へ引きずり込もうとしているかのようで、

和は完全に引き寄せられてしまい、

京太郎はフリーズした頭を放置してトイレから伸びる腕を掴んだ

京太郎「優希! やりすぎだ!」

和「……え?」

扉を強引に開き、

その姿を完全に晒すと、

困った表情を浮かべた優希が佇んでいた

優希「っ、つい本気出しちゃったんだじぇ……」

和「優希? 今の、優希だったのですか?」


優希「そうだじょ。良い演技――」

和「さ、最低です!」

優希「え……?」

和の声がトイレ全体に響き、

どこかから水の落ちる音がした

和「優希は、優希は私が苦手だと知っているはずです!」

優希「のどちゃん……」

和「なのに、なのに……」

和はそこから言葉を無くし、

俯いて黙り込んでしまった


優希「本当に悪いと思ってるじぇ……」

京太郎「仕掛けがあると解ってても冷や汗ものだったぞ、優希」

優希「うぅ……」

和「……………」

和は黙り込んだまま、

優希も落ち込んでしまっているようで、

京太郎は2人の肩をぽんっと叩くと女子トイレを出るように促した

京太郎「とりあえずみんなのところに戻ろうぜ」

優希「……うん」

和「………そう、ですね」

相当怖かったのか、和は部室に戻るまでずっと腕を手で抑えていた


ここまで

>>31
和がもらしたのかと思ったのにぃ

乙ですよー

今までの会話に優希が居ないことに今気づいた

終了なの?

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