モバP「ロックな少女と過ごす日々」 (47)

P「今日も今日とてお仕事お仕事」カタカタ

P「可愛いアイドルのためならえんやこら、っと」カタカタ…

がちゃっ

李衣菜「おはよーございまーす!」

P「おー、おはよう李衣菜」

李衣菜「あれ、プロデューサー。こんな早くからお仕事ですか?」

P「んー、まぁな。いつもこんな感じだぞ? そういう李衣菜は朝から元気だな」

李衣菜「えへへ、そりゃもう! なんたって今日は、私にとって大事な日ですから!」

P「大事な日? なんかあったっけ」

李衣菜「あらっ」ガクッ

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李衣菜「ちょ、ちょっとぉ! 忘れちゃったんですか!?」

P「うーん……大事な日、大事な日ねぇ」

李衣菜「うぅ、昨日あんなにお話ししたのにぃ」

P「…………あ!」

李衣菜「思い出しましたか?」

P「そうそう、李衣菜にモデルの仕事がきたんだよ」

P「カッコいい衣装もたくさんだぞ、よかったな李衣菜!」

李衣菜「えっ、ホントですか? やったぁ♪」ピョンッ

李衣菜「って」

李衣菜「そうじゃなくてぇ!」ビシッ

P「鋭いノリツッコミいただきましたー」

李衣菜「ボケないでくださいよ、もうっ。……えへへ」

P「はは、よくわかってるじゃないか、李衣菜」

李衣菜「プロデューサーの意地悪は、今に始まったことじゃないですもんねー」

P「そんなに意地悪かな、俺」

李衣菜「そうですよ。それでも許してあげるのは、私くらいのものですけどね」

P「へへー、ありがたき幸せー」

李衣菜「あはは、なんですかそれー」

P「それじゃ、改めて」

李衣菜「はい、お願いしますっ」




P「李衣菜、誕生日おめでとう!」

李衣菜「……えへ。ありがとうございます、プロデューサー♪」



———

P「さて、さっそくですが李衣菜にプレゼントがあります」ゴソゴソ

李衣菜「わ、昨日から楽しみにしてたんですよっ」

P「驚いて腰抜かすなよ? ほら、これだ」

李衣菜「へへ、どもです——」

P「っと、その前に」ヒョイ

李衣菜「うわわ、ちょ、なんですか?」

P「すまんすまん。いい機会だし、ちょっと話でもと思ってさ」

李衣菜「話? 構いませんけど……」

P「まぁ座れ」ポンポン

李衣菜「はい。んしょ」ポフ

P「んー、そうだな。なにから話そうか」

李衣菜「えー。なんにも決めてないんですか?」

P「うん」

李衣菜「うんって……ふふ、まぁいいです」

P「いやぁ、改まって話すとなるとな。それだけたくさん話したいことがあるんだよ」

李衣菜「……私も。プロデューサーと話したいこと、いっぱいあります」

P「李衣菜もか?」

李衣菜「はい。今までのこととか、これからのこととか」

P「うん、そっか」

李衣菜「はい」

P「…………」

李衣菜「…………」

P「李衣菜」

李衣菜「はい?」

P「李衣菜は、立派になったな」

李衣菜「そう、ですか? へへ、ロックなアイドル、やれて——」

P「ロックかどうかは分からないけど」

李衣菜「即答すぎません?」

P「まぁまぁ」

李衣菜「むぅ」

P「ただ、最高にカッコいいと思うよ」

李衣菜「え……」

李衣菜「あ、あはは、またまたぁ。どうせからかって……」

P「からかってなんかない、本当にそう思ってる」

P「李衣菜の頑張ってる姿を、ずっとずっと隣で見てきたんだからな」

李衣菜「……プロデューサー……」

P「広いステージの上で、心が弾むようなダンスを魅せてくれて」

P「会場の外まで響くような、熱い歌声を聞かせてくれて」

P「それで……終わったあと、ファンに向かって拳を突き上げて」

P「息を切らせながら、とびきりの笑顔を浮かべながら……」



『ありがとーーーっ!!』



P「って、叫ぶんだ」

李衣菜「…………」

P「ライブのたびに俺、ドキドキしちゃってさ」

李衣菜「……プロデューサーは、私のライブでドキドキしてくれたんですか?」

P「あぁ、そうだよ。スポットライトを一身に浴びてる李衣菜が輝いて見えた」

P「こんなにキラキラしてる女の子をプロデュースできたんだって、誇りに思ってるんだ」

李衣菜「そんな……」

P「李衣菜と一緒に頑張ってきて、本当によかったよ」

P「ありがとう、李衣菜」

李衣菜「——っ!」



ぎゅっ

P「っと、李衣菜? どうしたんだ急に……」

李衣菜「…………嬉しい」ギュゥゥ

P「え?」

李衣菜「嬉しいです。プロデューサーにそう言ってもらえて」

李衣菜「私、ずっと感謝してます」

李衣菜「やりたいこと、やっと見つけられたんです」

李衣菜「なんの取り柄もなくて、ただ音楽を聴くのが好きだっただけの私に……」

李衣菜「プロデューサーが、新しい可能性を見つけてくれた」

P「…………」ギュ

李衣菜「初めてお仕事したとき、緊張するなって声をかけてくれました」

P「うん」

李衣菜「結果がついて来なかったときは、今度は頑張ろう、って励ましてくれて」

P「そんなときもあったな」

李衣菜「ファンレター貰ったときなんか、プロデューサー、嬉し泣きしてましたよね」

P「そうだな。…………いや待て、泣いてないぞ俺は。お前だろそれ」

李衣菜「…………」

P「目を逸らすなこら」

李衣菜「と、とにかくですね。今の私があるのはプロデューサーのお陰なんです」

P「……ん、ありがとな」ナデナデ

李衣菜「えへへ。こちらこそですっ」

李衣菜「これからもよろしくお願いします、プロデューサー!」ニコッ

P「あぁ。李衣菜の無限の可能性、俺に見せてくれよ!」

李衣菜「はいっ♪…………あ、なんか無限の可能性ってカッコいいなぁ。ロックです!」

P「いやそうでもないけど」

李衣菜「あれー?」

———

P「……なぁ、李衣菜」ナデナデ

李衣菜「んー♪」スリスリ

李衣菜「あ、はい。なんですかプロデューサー?」ギュー

P「ふと思い出した。俺プロデューサー、李衣菜アイドル」

李衣菜「はい、そうですね?」

P「二人きりの部屋で抱き合うとかアウトじゃないか?」

李衣菜「…………ま、いいじゃないですか♪」ムギュゥ

P「いやいやいや、よくないって。まずいまずい、すごくまずい」

李衣菜「えー、プロデューサーは私とハグするのいやなんですか?」

P「あ、いやそうじゃなくて。立場的にって意味で」

李衣菜「うーん、それもそうですけど」

李衣菜「なんだか反体制っぽくてロックですよねー♪」コシコシ

P「あー……うん、まぁそうかな」ワシャワシャー

李衣菜「んふふー」

P「……ちょっと真面目に言うとな」

李衣菜「…………」ギュッ

P「李衣菜には、これからもアイドルを続けてもらいたい」

李衣菜「……はい」

P「李衣菜の可能性は……日本にいるだけじゃ量れない」

P「世界にだって通用すると思う」

李衣菜「!」

P「李衣菜ならやれるって、信じてる」

李衣菜「私が……世界に?」

P「あぁ。ずっと李衣菜の成長を見てきた俺が言うんだ、間違いないよ」

李衣菜「……へへ。そんなふうに言われたら、やっちゃいますよ私っ」

李衣菜「世界中の人に、私のパフォーマンスを魅せてやります!」

P「うん、一緒にやろう、李衣菜」

李衣菜「はい、一緒に!」

P「……それならこうやって過ごすのは、ちょっと控えめにしないとなぁ」ポフポフ

李衣菜「あはは、そうですねっ」

P「つらくて長い道のりになるぞ」

李衣菜「……ううん。つらくなんてないです。なんにも心配してませんよ」

李衣菜「私の大好きなプロデューサーが、一緒にいてくれるから!」

P「……そっか」

李衣菜「えへへっ」

P「じゃあ、そうだな……」

P「李衣菜がいつか、世界に名立たるトップアイドルになったら——」



P「李衣菜は俺がもらおうかな?」



李衣菜「………………ほえ?」

P「あー……そういうことだ、察してくれ」

李衣菜「え、ちょちょ、待って待って待って。え? も、もう一回お願いします」

P「やだよ恥ずかしい」

李衣菜「もら、えっもらうって、えええええええええ!?」カァァァァァッ

P「うわ、顔真っ赤だぞ李衣菜!」

李衣菜「わああああ、うわあああああああああああ!!」ジタバタ

P「あああ、こら暴れるな李衣菜! おいってば——!」

———
——

P「……落ち着いたか?」

李衣菜「うぅー、プロデューサーのせいですよぅ……まだ顔が熱いです」

P「ごめんごめん……でも、本気だからな?」

李衣菜「わ、分かりましたから! もう言わないでいいです!」

P「お、おう……悪い」

李衣菜「で、でも……そういうことなら、なおさらトップアイドルにならなきゃ!」

李衣菜「世界の次は、プロデューサーだけのアイドルになりますね! えへへへ!」

P「……お前も大概、恥ずかしいこと言うよな」

李衣菜「プロデューサーよりはマシだと思いますけど?」

P「そうかなぁ……」

李衣菜「私たち、似たもの同士ですね!」

P「あはは、そうかもな」

李衣菜「ふふふっ♪」

———

P「あ」

李衣菜「どうしました?」

P「そういえばプレゼント、すっかり忘れてた」

李衣菜「あっ!」

プレゼント(おうこら、イチャイチャしよってからに)

P「悪い、話に夢中になっちゃったな」

李衣菜「ううん、いいですよ。私も楽しかったですし」

P「それならよかった。よし、それじゃ李衣菜」

李衣菜「はい!」

P「今度こそ誕生日プレゼントだ。受け取ってくれ」

李衣菜「えへへ。ありがと、プロデューサー♪」

李衣菜「で、中身は指輪ですか?」

P「な、なに言ってんだっ、そんなでかい箱に入れるか!」

李衣菜「もー、じょーだんですよじょーだん。なーに照れてるんですっ?」ツンツン

P「照れてない、つつくなよ!」

李衣菜「へへへー、ホントかなぁ?」

P「いいからほら、開けろって!」

李衣菜「はーい! それではオープンっ」

ぱかっ

李衣菜「お」

李衣菜「おお!」

李衣菜「おおおおおっ! こ、これは……!」プルプル

ヘッドホン(やぁ)

P「どうだ? 前から李衣菜が欲しがってたやつだ」

李衣菜「あ……あ……!」

P「ん?」

李衣菜「ありがとおおおおおおぷろでゅーさあああああ!!」ピョーン!

だきっ!

P「おわあ!?」

李衣菜「これ、これホントにいいの!? もらっちゃっていいのー!?」ギューッ

P「く、苦し……あぁ、いいんだよ。李衣菜のためなんだからさ」

李衣菜「ウッヒョー! プロデューサー最高ですロックですっ、大好きですーっ!!」ムギュゥゥゥゥゥ!

P「あああもう暑いし痛い! 分かったから離れてくれー!」グイグイ

李衣菜「えへへえへへ、ぷろでゅぅさぁぷろでゅぅさぁ♪♪」スリスリ

P「はぁ……ダメだこりゃ。クールさのかけらもないな」

李衣菜「はっ!?」

李衣菜「いけないいけない。ここはクールにならないといけませんよね!」

P「お、一つ歳を重ねて成長したか?」

李衣菜「もちろんですよ。すー……はー……びーくーるびーくーる」

李衣菜「……ふっ。どうです?」キリッ

P「ただのドヤ顔だな」

李衣菜「そんな!」

P「あんまり意識しなくてもいいんだぞ、李衣菜はそのままでも十分だから」

李衣菜「むむむ、でもやっぱり私は……」

P「カッコいいアイドル、やれてるって言ったろ? 自信持てって」

李衣菜「そうですかね……」

P「李衣菜は李衣菜らしく、自分の道を自分のペースで進めばいいさ。な?」

李衣菜「自分の道を、自分のペースで……」

李衣菜「…………」

P「李衣菜?」

李衣菜「……プロデューサー。私、たぶんのんびりしてられないと思います」

李衣菜「自分のペースって言うなら、私は全速力で進みます」

李衣菜「世界を獲るのに、そんな悠長に歩いてられませんから!」

P「……言うじゃないか、李衣菜」

李衣菜「言いますよ。プロデューサー、ついて来られます?」

P「バカ言え、俺が引っ張ってくぞ」

李衣菜「なら手を繋いでいきましょう、いつでも隣にいられるように。ねっ!」

P「おう、そうだな!」

李衣菜「あ、そうだ!」

李衣菜「歌もダンスもですけど、やっぱりギターも弾けなきゃダメですよね?」

P「うん? うーん、そうだなぁ……」

P「ロックなアイドルになるなら、持ち歌くらいは弾けるようにならないとな」

李衣菜「はい、やってやりますよ! というわけで……」

P「ギター教えろって言うんだろ? 分かってるよ、また付き合ってやるさ」

李衣菜「てへへ。持つべきはプロデューサーですねっ」

P「なに言ってんだか……ったく」

李衣菜「あ、あの……それで、ですね」

P「なんだ、急に歯切れ悪くなって」

李衣菜「えっと、その……お願いがありまして」モジモジ

P「お願い? 言ってみな、李衣菜のお願いならなんでも聞くぞ」

李衣菜「え、えへへ。それじゃ——」



李衣菜「また……こうして、お泊りしに来てもいいですか?」

P「…………そうきたか……」

李衣菜「だ、ダメに決まってますよね。私アイドルですしっ」

P「……ま、いいんじゃないか?」

李衣菜「へっ?」

P「ばれなきゃいいんだ、ばれなきゃ。別に変なことするわけじゃなし」

李衣菜「へ、変なことって……」ポッ

P「なんで赤くなってんだ」

李衣菜「あ、いやいやなんでもないですっ」ブンブン

P「ギターの練習、するんだろ? みっちり叩き込んでやるからな!」

李衣菜「お、お手柔らかにお願いしますね?」

P「それは李衣菜次第だな。ちゃんとやれよ?」

李衣菜「あうぅ、早くも後悔しそう……」

P「自分で言い出したくせに。じゃ、こうしよう」

P「ご飯、次も美味いの作ってくれ。そしたらゆるーく頑張ろう」

李衣菜「ご飯、ですか?」

P「昨日の夕飯、オムライス美味かったからさ。また作ってくれないか?」

李衣菜「……へへへ、はいっ。プロデューサーのためなら、喜んで!」

P「よし、それじゃ日程決めちゃおうか。って言っても結構先になりそうだな……」

李衣菜「大丈夫です、それまでに少しでもギター上達しときますから!」

P「お、言ったな? 楽しみに——」

く〜……きゅるるるぅ

李衣菜「!?」バッ

P「な、なんだ今の……え、李衣菜もしかして」

李衣菜「あ、あははー! なんでしょーね今の! いやー変な音でしたねっ、ねっ!?」

P「……そういや朝ご飯食べてなかったな。うん、じゃあ行こうか李衣菜」ニコニコ

李衣菜「違うんですこれはお腹の音じゃなくて、そ、そうロックの音で!」

P「ははは、食パンとコンソメスープでいいか?」スタスタ ガチャッ

李衣菜「ぷ、プロデューサー! 待ってくださいってばぁー!」トテトテッ



ぱたんっ



おわり

というお話だったのさ
勢いだけでだりーなを愛でたらこうなるんだよ、だりーな誕生日おめでとう!

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