男「僕は今から、君に告白する」(27)

後輩「…はあ、そうですか」

男「反応薄いよ!そこはもっと驚くところだと思うんだけど」

後輩「だって先輩、週1回は告白してくるじゃないですか」

男「君への愛が溢れだしてとまらないんだ」

後輩「栓でもしといて下さいよ」

男「それは無理だね」

後輩「………」

男「ともかく、僕は君に告白する。下校時刻までに君が僕を好きになったら僕の勝ち。好きにならなかったら僕は君のお願いを1つ聞こう」

後輩「ええー…」

男「いいじゃないか、今日は生徒会の仕事もなくて暇だし」

後輩「…それもそうですね、良いですよ」

男「やけにあっさりしてるね」

後輩「そういう時もあるんです。あ、でも本を読みながらでもいいですか?続きが気になるので」

男「…まあいいか。じゃあ、いくよ」

後輩「望むところです」








男「後輩さん、結婚を前提に僕とお付き合いして下さい!」バッ


後輩「………」ペシッ

男「ああ!?手がはじかれた!」

後輩「そりゃそうですよ…何回目ですかこのパターン」

男「初めだし駄目でもともとで…」

後輩「それに重たいんですよ。結婚を前提にって何ですか?私は先輩のために高校でも大学でも社会に出ても他の男性になびいちゃだめなんですか?」

男「うん」

後輩「重たい男性って、ちょっとなあ…」ボソ

男「今の告白取り消しで!」

後輩「自分の発言に責任をもたない軽い人も嫌です 」

男「…今の告白を踏まえた上で次にいくよ」







男「これから死ぬまで僕に味噌汁を作ってくれ」


後輩「…それ、プロポーズですよ?お味噌汁好きなんですか?」

男「あっ、そっか。味噌汁は普通に好きだけど」

後輩「ちなみに私は料理が苦手です。練習中ですが」

男「ふーん、何の料理を練習してるんだい?」

後輩「明日からはお味噌汁を作る練習をしようと思っています」

男「ちょうど良いじゃないか」

後輩「先輩はお味噌汁の実は何がお好きですか?」

男「豆腐かなあ」

後輩「では今日の帰りお豆腐屋さんに寄りましょう」

男「…?どういうことだい?」

後輩「気にしないで下さい」

男「まあいいや、次行こうか」

後輩「どうぞ」







男「君、どこかで会ったことない?」


後輩「はあ?」

男「今のは結構自信あるんだけど」

後輩「それはナンパですよ…結婚と出会いの台詞の中間は無いのですか?」

男「中間が1番難しいんだよ」

後輩「はあ…私はてっきり先輩が記憶喪失になったのかと」

男「それは素敵だね」

後輩「素敵とは?」

男「だって君と初めて出会った時からやり直せるからね」

後輩「やり直してどうするのですか?」

男「んー…特に何もしないけど、君の可愛い所を1から探し出せるんだよ?とっても素敵じゃないか」

後輩「…なっ」



男「…急に本に顔を埋めてどうしたんだい?」

後輩「…すいません、急に近視に」

男「不思議だね」

後輩「ええ、次行って下さい」

男「うん」スッ

後輩「? 携帯を取り出してどうされたのですか?」

男「……………」カコカコ

後輩「あ、メール」


『FROM:先輩
タイトル:無し
本文:突然すみません。でも、どうしても伝えたくて…ずっと気になってました。付き合って下さい』


男「………」ドヤッ

後輩「その顔やめて下さい。で、なんでメールなんですか?」

男「現代の子は皆そうだって聞いたから…ナウなヤングだからね、僕は」

後輩「その発言がナウくないですよ…」カコカコ

男「ん?またメールかい?」

後輩「いえ、保存……………なんでもないです」

男「? じゃあ次行くね」







男「君の吸い込まれる様な瞳を初めて見た時から僕はこの胸の高まりを感じていた。それは日に日に大きくなっていき、僕は気づいた。これは…」


後輩「ちょっと待って下さい、何ですかそれ」

男「小説風」

後輩「もはや意味が分からないです」

男「君、小説好きだから良いかなと思ったんだけど」

後輩「それとこれとは明らかに別問題ですよ」

男「これも駄目とは…なんと手強い」

後輩「…はあ。次、どうぞ」



男「そういえば後輩って好きな動物っているのかい?」

後輩「? ええ、動物は基本的には嫌いですけどカンガルーとかは好きですよ」

男「ふうん」

後輩「先輩は?」

男「僕はカンガルーが好きな後輩が好きかな」

後輩「…………へっ?」

男「どうかな?さりげなく言ってみるというのは」

後輩「………」

男「後輩?」

後輩「…教室に忘れ物しちゃったので、とってきます」

男「そうなの?行ってらっしゃい」

後輩「…はい」

ガチャ、バタン

廊下



後輩「……………」スタスタ

先生「おっ、後輩!次の委員会の事で相談があるんだが」

後輩「はい、なんですか?」

先生「ん?顔真っ赤だけど熱中症か?」

後輩「……気にしないで下さい」

先生「水分はちゃんととれよー」

生徒会室

男「後輩遅いなあ」

男「…後輩ってどんな本読んでるんだろう」パラ

男「あれ、これ…上下逆じゃないか」

男「後輩はどういう読み方してるんだ?」

ガラッ

男「お帰り、後輩」バッ

後輩「ただいまです」

男「遅かったね。帰ったのかと思った」

後輩「私が先輩をおいて帰るわけないでしょう」

男「ははっ、そうか」

?下校の時間です。学校に残ってる生徒は…

後輩「あ…鳴っちゃった」

男「どう?好きになった?」

後輩「いえ『今日』、好きにはなりませんでした」

男「後輩は厳しいなあ」

後輩「そうですか?」

男「うん、普通告白を受けながら本なんて読まないしね」

後輩「本がないと顔を隠せないじゃないですか」

男「隠す必要はあるのかい?」

後輩「ええ、それに先輩は遠回りしすぎです。面と向かって一言好きと言っていただければ…」

男「え?なんだって?」

後輩「…先輩はラノベの難聴系主人公か何かですか?それにしては回りに女性がいないようですが」

男「僕は君がいれば満足だからね、ハーレムなんていらないよ」

後輩「…ふふっ」

男「? あ、お願いはどうする?」

後輩「んー…そのお願いはいつでもいいんですか?」

男「いいよ」

後輩「じゃあ取っておきます、いつかの為に」

男「『いつか』っていつ?」

後輩「さあ?明日かもしれませんし10年後かもしれません」

男「10年後も君と僕は一緒にいるのかなあ」

後輩「きっと居ますよ」

男「そうだね!また明日頑張るぞー!」

後輩「ちょっ…叫ばないでください」

男「僕はいつでも君への愛が爆発しそうで、叫ばずにはいられないんだ」

後輩「……本当に先輩は馬鹿ですね」

男「馬鹿でも良いよ、君と一緒に居られるのなら」

後輩「まあ先輩のそういう所が大好きなんですけどね」

男「…えっ?」

後輩「さっ、お豆腐屋さんに寄って帰りましょう」

男「えー!?」

後輩「うるさいですよ、先輩」



男「…まったく、後輩には敵わないよ

終わり

ヤマもオチも無い物を読んで下さった方、ありがとうございました

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