アニ「私がちょろいって風潮」 (90)

エレン「俺が鈍感だという風潮」
エレン「俺が鈍感だという風潮」 - SSまとめ速報
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クリスタ「私が女神って風潮?」
クリスタ「私が女神って風潮?」 - SSまとめ速報
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ジャン「俺が死に急ぎ野郎の引き立て役という風潮だと?」
ジャン「俺が死に急ぎ野郎の引き立て役という風潮だと?」 - SSまとめ速報
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キース「私が、実は訓練兵に優しいという風潮、か……」
キース「私が、実は訓練兵に優しいという風潮、か……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371309562/l50)
の続きです

あらすじ
エレンがコニー、サシャと仲良くなった
クリスタとユミルの仲が少し深まった
ジャンじゃん
キースとコニーとポーンの頭

注意点
なぜか毎回説教臭い
ネタバレ注意

では投下


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372469561

エレン「第一回、アニを褒めちぎろうの会!」

コニー・サシャ「わー!」

エレン「やる事は簡単だ。とにかくアニを褒めろ」

コニー「やっちゃいけねぇ事は?」

エレン「特に考えてねぇけど、悪口にならなきゃいいんじゃないか?」

サシャ「では私から!」

エレン「言ってやれ、サシャ」

サシャ「はい!」

アニ(どうしてこうなった……)

時遡り、日中(対人格闘訓練)


エレン「相変わらずサボってるな、アニ」

アニ「エレンか。あんたには関係ないよ」

エレン「関係はねぇけどさ、勿体ないだろ? 折角、凄い技術持ってんのに」

アニ「凄くなんてないよ」

エレン「持ってるやつは、持ってる物の大きさを理解出来ねぇもんだよ」

アニ「そうかもね。で、あんたがふらついてるのはどうして?」

エレン「ほら、あそこ」

アニ「……隅でコニーとサシャが倒れてるね。あれ、あんたがやったの?」

エレン「ちょっと力加減をミスってな。今は相手がいないんだ」

アニ「それで私に声をかけたわけ?」

エレン「そういう事。最近、組んでなかったしな」

アニ「……悪いけど、他を当たって。今は教える気分じゃない」

エレン「気分じゃないって、体調でも悪いのか?」

アニ「考え方次第じゃ、体調不良かもね」

エレン「考え方次第? どういう事だ?」

アニ「……隠す事でもない、か」

エレン「?」

アニ「ここ最近、私の周りにいる連中が鬱陶しくてね」

エレン「……なにか言われたのか?」

アニ「目つきが怖くなってるよ」

エレン「当たり前だろうが! 誰だ? 誰になんて言われたんだ? 俺がぶん殴って来てやる!」

アニ「興奮しないでいいよ。大した事じゃないから」

エレン「じゃあ、なんで鬱陶しいんだよ」

アニ「鬱陶しくもなるよ。あれだけ褒められてたら」

エレン「……褒められる?」

アニ「そう」

エレン「なんだ。そうだったのか。安心した」

アニ「心配してくれた?」

エレン「当たり前だろ」

アニ「……ありがと」

エレン「なんで褒められてるのに鬱陶しいんだ? 素直に喜べよ」

アニ「逆に聞くけど、あんたはミカサに歩き方を褒められて嬉しい?」

エレン「馬鹿にされてるような気がするな」

アニ「私もそんな感じ。ご飯を食べてたら、スプーンの持ち方が綺麗だとか、食べ方が上品とか」

エレン「スプーンの持ち方? 食べ方?」

アニ「ぼんやり歩いてたら、姿勢が凛としてるとかなんとかって」

エレン「反応に困るな、それ」

アニ「そんなのが続いてて、機嫌が悪い」

エレン「一人のやつがそう言ってるのか?」

アニ「色んなやつ。共通点と言えば、全部男ってくらい」

エレン「そいつら、なに考えてんだろうな」

アニ「私が知りたいよ」

エレン(うーん、アルミンに相談したら、すぐ解決してくれるだろうけど……)

エレン「……」

アニ「そういうわけで、今はあんたに構ってあげられる気分じゃない」

エレン「……よし、わかった」

アニ「わかってくれた? なら、私は行くよ」

エレン「俺が解決してやる!」

アニ「……」

エレン「その前に、体を動かしてストレスを発散しないとな。どっちがならず者をやる?」

アニ「人の話、聞いてるの?」

エレン「聞いてる聞いてる。それで、どっちがいい?」

アニ「……あんたがならず者。手加減はしないから」

エレン「おっし。行くぞ!」

アニ「はぁ……」

夕食後


コニー「なぁ、なんでこんな狭い部屋に俺らは集まったんだ?」

エレン「あまり人が来ない場所を選んだら、ここだったんだよ」

サシャ「この大樽、この部屋にありましたっけ?」

エレン「それはあとで話すから」

アニ「……」

エレン「じゃあ、始めるか。第一回、アニを褒めちぎろうの会!」

コニー「アニを褒めちぎる?」

サシャ「どうしてですか?」

エレン「ちょっとわけがあってな」

サシャ「理由は話せないんですか?」

エレン「アニ、話していいか?」

アニ「その前に、あんたと二人で話がある。ついて来て」

エレン「わかった。コニーとサシャはちょっと待っててくれ」

コニー「早く戻って来いよ」

サシャ「大人しく待ってます」

エレン「おう」

エレン「部屋から出たけど、なんだ?」

アニ「……あんたは何をするつもり?」

エレン「みんなでアニを褒めようとしてる」

アニ「悪いけど、頭の理解が追いつかない。いや、私の話のせいでこうなったのは想像出来るけど」

エレン「訓練中、俺なりに考えてみた結果、褒められる事に慣れたらいいって結論に達した」

アニ「あんたの頭は凄いよ」

エレン「褒めるなよ」

アニ「皮肉だから」

エレン「ダメか?」

アニ(……根本的な解決になってない。けど、エレンが私の事で一生懸命考えてくれた)

アニ(それを無下にするのも悪い、か。嬉しくないと言えば、嘘になるし)

アニ「……今回だけね」

エレン「ありがとうな。それで、あいつらに事情を話して平気か?」

アニ「隠す事でもない。そう言ったでしょ?」

エレン「了解。じゃあ、戻るか」

アニ「いいよ」

説明後


エレン「——って、わけで、アニを褒めるだけ褒めて、慣れて貰おうってのが今回の趣旨だ」

サシャ「羨ましい悩みですね。私なんか、怒られるか、芋女って呼ばれるだけですのに」

コニー「本当だよな。俺も事ある毎に馬鹿って言われてる」

アニ「なら、代わってあげるよ」

コニー・サシャ「遠慮します」

エレン「とにかくだ。集まった理由は理解したな?」

コニー・サシャ「はーい」

エレン「改めて、第一回、アニを褒めちぎろうの会!」

コニー・サシャ「わー!」

エレン「やる事は簡単だ。とにかくアニを褒めろ」

コニー「やっちゃいけねぇ事は?」

エレン「特に考えてねぇけど、悪口にならなきゃいいんじゃないか?」

サシャ「では私から!」

エレン「言ってやれ、サシャ」

サシャ「はい!」

コニー「……その前に、さっきから気になってるんだけどよ。あの樽、ガタガタ動いてねぇか?」

サシャ「ネズミですかね?」

エレン「……忘れてた。ちょっと中断して、あの樽に注目」

サシャ「いいですけど」

コニー「エレンがなにか入れたのか?」

エレン「勝手にあいつが入ったんだけど。それはいいとして、顧問役を招いてる」

コニー「肛門?」

エレン「顧問。教官みたいなもんだ」

サシャ「……」

アニ「……」

コニー「ごめんなさい。俺が馬鹿でした。聞き間違えただけなんです。だから、そんな目で見ないで」

アニ「……もしかして、ミーナ?」

ミーナ「エレンが教える前に気付かないでよ! あだっ!」

エレン「自分で跳ねあげた樽の蓋が、頭に落ちたぞ、あいつ」

サシャ「体張った芸ですねぇ」

コニー「俺でも真似したいとは思わねぇな」

ミーナ「芸じゃないから! 全く……よいしょ——うわっ、ぶぎゅ!」

エレン「樽が倒れて、顔面から地面に落ちたぞ、あいつ」

サシャ「体張った芸ですねぇ」

コニー「俺でも真似したいとは思わねぇな」

ミーナ「芸じゃないもん! ウケ狙ったわけじゃないもん!」

アニ「……エレン、なんでこんなのも呼んだの?」

ミーナ「こんなのって呼ばないでよ! 私たち友達でしょ!」

エレン「鼻血出てるぞ、ミーナ。ちょっと大人しくしてろ。拭いてやるから」

ミーナ「うん……」

エレン「……よし、これで綺麗になった」

ミーナ「手慣れてるね」

エレン「ミカサによくやられて、自然と覚えたんだよ」

ミーナ「ありがとう」

エレン「どういたしまして。ミーナを呼んだ理由だけど、アニと仲が良さそうだったからだ」

エレン「俺たちの褒め言葉に間違いあったら、指摘して貰おうと思ってな」

アニ「たった今絶交した」

ミーナ「泣くよ? 泣いちゃうよ? なんで私、そんなにひどい扱いなの?」

コニー「絶交はともかく、自爆の件は自業自得だろ?」

サシャ「一部始終を見聞きした限りだと、アニを驚かせようとして樽に入ってたみたいですしね」

ミーナ「まさかこの二人に、正論で異議を唱えられなくさせられるなんて……エレン、みんなが苛めるよぉ」

エレン「続きを始めるぞ。サシャ、アニのいいところはなんだ?」

ミーナ「無視しないでよ! お願いだから無視はしないで! 一番傷つくから!」

エレン「はいはい、机をバンバン叩かない。あとで幾らでも慰めてやるから」

ミーナ「……前の休暇の時、街で見つけたお菓子を奢ってくれる?」

エレン「もうそれでいいよ」

ミーナ「やった! 約束だからね? 言質取ったからね?」

エレン「わかったわかった。はぁ、やっと再開出来る。サシャ、言ってくれ」

サシャ「言いたい事、忘れました」

エレン「……まぁ、変な騒ぎがあったからな」

ミーナ「私のせい!? エレンが私の存在忘れてたせいでしょ!」

エレン「ごめんごめん。全部俺が悪かったよ」

サシャ「今思った事を言いますね。アニは物静かでカッコいいです!」

アニ「他人とのお喋りが苦手なだけだよ」

サシャ「それでも、私には真似出来そうもありませんから、憧れます」

ミーナ「アニはクールな美人さんだよね。サシャの気持ち、よくわかるなぁ」

エレン「二人は芋と樽だしな」

コニー「女として終わってるよな」

サシャ「芋の件は忘れて下さい!」

ミーナ「樽は今回だけでしょ!」

サシャ「私が芋盗みの常習犯みたいな言い方しないで下さいよ、ミーナ……」

エレン「コニー、なにかアニのいいところはあるか?」

コニー「そうだなぁ」

ミーナ「また、無視された……」

サシャ「どうせ、私は芋です……」

コニー「ちっちゃいところ」

アニ「ちっちゃくて悪かったね」

コニー「褒めてるんだぞ?」

エレン「立体機動は小さい方が有利だしな。体格で差が出る対人格闘や斬撃も、アニなら文句ねぇし」

ミーナ「女の子は小さな方が可愛いって意味なら同意」

ミーナ「カッコよさと可愛さを併せ持つアニって、女の子として、相当レベル高いよね」

コニー「そもそも、俺より大きい女は、女とは思わねぇし」

サシャ「女の子です! 私は女の子です!」

ミーナ「勝手に大きくなっただけだもん! 私、悪くないもん!」

エレン「なんでだ? コニー」

コニー「だって、ちゅーする時に男が背伸びするって、いやじゃね?」

エレン「気にする事ねぇと思うけどな。ちゅーするくらい好きなら、どうでもいいだろそんな事」

ミーナ「いい事言った! エレンは凄くいい事を言った!」

コニー「なに必死になってんだ? まさか、ミーナは俺に気があるのか? いやぁ、モテる男はつらいぜ」

ミーナ「ち・が・う・の! 女の子として、少しは扱って欲しいだけなの!」

サシャ・アニ(酷く同意)

エレン「ミーナはコニーが好きだったのか……。二人が上手く行くように協力するぞ?」

ミーナ「……エレンの純粋なところ、私は好きだよ。けどね、勘違いも程々にしないと、痛い目を見るよ?」

エレン「……ごめんなさい。俺の勘違いです。その目は止めて下さい。全身に穴が開きます」

ミーナ「ん。いい子いい子」

アニ(私、帰っていいかな?)

エレン「さ、さて! 気を取り直して、今度は俺が言うな」

エレン「アニは父親思いの良いやつだ」

アニ「……」

ミーナ「えっ? なにそれ? 私、知らないよ?」

エレン「ミーナは知らないのか? アニの格闘術って、親父さん仕込みなんだってよ」

サシャ「そうだったんですか?」

アニ「そうだけど、どうでもいいでしょ」

エレン「って、アニは言うけど、格闘術を披露する時は生き生きしててな」

エレン「対人格闘の時に組むと、すごく親父さんを大事にしてるんだな、ってのが伝わって来るんだ」

アニ「……」

ミーナ「あれれ〜? 耳が赤くなっちゃってるよ、アニ。そっぽ向いててもわか——あたっ!」

アニ「……」

ミーナ「もう見ないから机の下で蹴らないで!」

暫くした後


エレン「結構いい時間になったな」

コニー「かなり褒めただろ?」

ミーナ「何度も余計な事で盛り上がったけどね」

エレン(ホントにな)

サシャ「アニ、これで褒められる事にも慣れましたか?」

アニ「どうだろうね」

エレン「明日一日様子を見てみるか」

ミーナ「なら、今日は解散だね」

コニー「じゃあ、また明日な、アニ、芋、樽」

サシャ「……コニーとは、お休みなさいの前に拳で話す必要がありますね」

ミーナ「協力するね、サシャ」

エレン(みんな二文字になって、俺は呼び易いと思ったけどなぁ)

アニ「……はぁ、馬鹿ばっかり」

翌日(訓練後)


エレン「お疲れ、アニ」

アニ「ん。お疲れ様。コニーとサシャは一緒じゃないの?」

エレン「腹が減ったから先に食堂に行ってるって」

アニ「あんたも食堂に行ったら?」

エレン「その前に、アニに聞いておこうと思ってな。昨日の成果はどうだ?」

アニ「相変わらず、鬱陶しくて胡散臭いね」

エレン「ダメだったか……」

アニ「……」

エレン「……」

アニ「……一つ、気になっていたけど、どうしてアルミンに話さなかったの?」

エレン「アルミン?」

アニ「あんたは悩むと、よくアルミンに相談していた気がしてね」

エレン「あぁ、それだけど、実は——」

ミカサ「……エレン」

エレン「お疲れ、ミカサ。それにアルミンも」

アルミン「お疲れ様」

ミカサ「ねぇエレン。エレンはアニとなにを話していたの?」

エレン「なんでもいいだろ」

ミカサ「なにを話していたの?」

エレン「……」

ミカサ「私には、言えない事?」

エレン「ミカサには別にいいけど……」

アルミン「僕?」

エレン「その……俺さ、なんだかんだで、いつもアルミンを頼ってるだろ?」

エレン「だから、なるべく自分だけで考えてみようと思って」

アルミン「エレンはなにか困ってるの?」

ミカサ「それで、アニが協力しているって事?」

アニ「逆。私が困ってるから、エレンに助けて貰ってる」

エレン「ア、アニ! なんで言うんだよ!」

アニ「エレン。あんたにとって、この二人はなに?」

エレン「ミカサは家族で、アルミンは親友だ」

アニ「なら、ミカサかアルミンのどちらか、もしくは両方が困った状況の時、あんたはどうするの?」

エレン「力になってやるに決まってるだろ」

アニ「逆もそうだと、私は思うよ」

アルミン「うん。隠し事はなしにして欲しいな。僕だって、エレンに何度も助けられてるんだから」

ミカサ「エレン、私はいつでもあなたの味方。どんな時でも力になろう」

アニ「そういう事」

エレン「……わかったよ。けど、これは貸しだからな! 絶対に返すからな! ちゃんと受け取れよ!」

アルミン「うん」

ミカサ「エレンからのお礼を拒否するわけがない」

エレン「じゃあ、説明するけど——」

説明後


エレン「——と言う事を俺は試してみた感じだ」

アルミン(……アニ、お疲れ様。本当に)

ミカサ「エレン。エレンはどうしてそんな回りくどい方法を選んだの?」

エレン「回りくどい?」

ミカサ「もっと簡単な方法がある。アニに対して変な事を口走る連中を、全て追い払えばいい」

アルミン「それは極論だけどね」

ミカサ「自覚している。実行する気は、私にない。けど、エレンはどうしてそうしなかったの?」

エレン「そいつらは、別に悪い事してるわけじゃねぇからな。無理やり解決するのは嫌だったんだよ」

エレン「アニだって同じだろ? アニも力でなんとか出来るだけの実力はあるんだからな」

アニ「迷惑とは思っているけど、頷いておくよ」

ミカサ「エレンが成長してくれて、私は嬉しい」

エレン「お前の中の俺は、どんだけ暴力馬鹿なんだよ……」

アルミン「じゃあ、ここからは僕たちも協力するね」

ミカサ「うん」

エレン「悪い。頼むよ」

ミカサ「お礼は、抱っこでいい」

エレン「……今回だけな」

ミカサ「約束。絶対。指切り、そう指切りをしよう」

エレン「お、おう……」

アルミン(ミカサが見た事もないほど明るい笑顔を浮かべてる……)

アルミン「話を纏めると、最近になって、なぜかアニは色んな男子から褒められ始めた」

アニ「ん」

アルミン「その原因は不明」

アニ「ん」

アルミン「……で、エレンに相談」

アニ「ん」

アルミン(返事が面倒なのかはわからないけど、反応が、ん、だけって悲しい……)

エレン「もう解決策が浮かんだのか?」

アルミン「解決策はまだだけど、原因には心当たりがあるよ」

エレン「本当か? 流石だな、アルミン」

アニ「原因ってなに?」

アルミン「前に、ちょっとした噂を耳にしたんだ。アニはちょろいって」

アニ「……」

エレン「ちょろい? なにがだ?」

ミカサ「少し褒めれば簡単にアニと恋仲になれる、という意味だと思う」

アルミン「はっきりと言っちゃえばね」

エレン「へぇー。……ん? って事は、アニを褒めてたやつ、全員アニが好きなのか?」

ミカサ「全員とは思えない。アニは可愛いから、下心しかない連中もいるはず。むしろ、そっちの方が多いと思う」

アニ「あんたに可愛いと言って貰えるなんてね」

ミカサ「客観的に他人を見る事は出来る」

アニ「主観的に見れば?」

ミカサ「……ちっさい?」

アニ「首かしげながら言わないで。可愛く見えて怒れない」

ミカサ「ありがとう」

アルミン「下心がある人もいるのは事実だろうね。けど、本気でアニが好きな人もいるはずだよ」

エレン「そもそも、なんでそんな噂が流れたんだろうな」

アルミン「さあ? そこまでは聞いてないからわからないなぁ」

エレン「そっか」

ミカサ「エレンには関係ないから、その点は気にしなくていい」

エレン「そうだろうけど……」

アニ(……アルミン。あんたは知ってるの?)

アルミン(なにをかな?)

アニ(噂が流れた原因)

アルミン(言った通り、わからないよ)

アニ(私は、エレンが私の格闘術を褒めてから、一緒に組むようになった事が原因だと、話を聞いて思ったけど)

アルミン(……きっと違うよ。だから、エレンには言わないでね)

アニ(あんたも過保護だね。きっとあんたの子供は、ダメな子に育つよ)

アルミン(子育てする時があれば、気をつけるよ。その言葉を思い出しながらね)

エレン「? なんでボソボソ話してんだ?」

アルミン「なんでもないよ。それで、エレンは本当にアニの事が好きな人たちをどうするつもり?」

エレン「んー……アニに気があるなら、直接告白させて、付き合わせるとか?」

アニ「ありえないね」

エレン「ほんの少しでも、考慮の余地は?」

アニ「ない」

エレン「……」

アニ「……」

アルミン「いきなり付き合うとかは、順番を飛ばし過ぎてると思うな」

エレン「じゃあ、友達から」

アニ「遠回りに愛情表現するような根性なしとは、友達にもなる気はないよ」

エレン「根性があればいいのか……よし、閃いた!」

アルミン「どうするの?」

エレン「対人格闘で、アニから一本取れば、友達になる権利をプレゼント」

アルミン「うん、良い考えだね」

アニ(どこが?)

ミカサ(アルミン、いいの?)

アルミン(大丈夫だよ)

アルミン「でもね、悪い言い方をするけど、友達って両者が選んで初めて成り立つものだと僕は思うんだ」

エレン「そりゃ、嫌いなやつと友達にはなりたくないな」

アルミン「うん、そうだよね。アニに聞きたいけど、褒めてた人たちをどう思ってる?」

アニ「気持ち悪い」

エレン「友達からでもきついのか。なら一時間、アニと二人っきりにして会話をさせるとかは?」

アルミン「うん、すごくいいと思うよ」

アルミン「少しアニには我慢して貰うようになるけど、ちゃんと話せば気が合うって事もあるからね」

エレン「じゃあ、アニから一本取った人は、時間限定でアニと会話する権利を得るって事で」

エレン「アニ、それでいいか?」

アニ「その前に確認」

エレン「ん?」

アニ「私が負けて、一時間、誰かと二人にさせられたとする。その間、私は無言でもいいの?」

エレン「話がつまらなかったら仕方ねぇけど、興味が湧いたら反応してやってくれないか?」

アニ「もう一つ。その空間で私が襲われたらどうするの? 私はか弱い乙女なんだけど」

エレン(か弱い乙女?)

エレン「まぁ、その時は、俺がすぐ飛び込む。最初から適当な場所に待機しててな。もちろん、話は聞こえないようにするけど」

アニ「……いいよ。乗った」

エレン「ありがとう!」

アニ「でも、条件を二つ出す。一つ、私の相手は、全員ならず者役」

アニ「二つ、私が勝つのは、木剣を奪った時じゃなく、相手が足の裏以外を地面に付けた時」

エレン「そのくらいならいいと思うぞ」

アニ「認めて貰えるのなら、これ以上、私から言う事はないよ」

エレン「じゃあ、俺は早速、アニに気があるやつを調べて来るな!」

アルミン「僕も行くよ」

エレン「おう!」

アニ「……あんたの幼馴染も大変だね。自分が考えた答えに近付けるよう、エレンの思考を誘導させるなんて」

ミカサ「エレンは今回、自分の力で解決しようとした。アルミンはそれを無下にしたくなかっただけ」

アニ「前から思ってたけど、アンタたちの関係って面白い。嫌み抜きで」

ミカサ「羨ましい?」

アニ「ちょっと、ね」

ミカサ「入る?」

アニ「入れてくれるの?」

ミカサ「いや」

アニ「……」

ミカサ「……」

アニ「ふふっ、あんたらしくて清々しい答えだね」

アニ「さて、いつ、何人を相手にするかわからないけど、体力をつけるために食事をしに行こうかな」

ミカサ「私のパン、分けてあげる」

アニ「遠慮せずに貰うよ」

ミカサ「なら、食堂に行こう。一緒に」

アニ「ん」

一週間後(早朝)


アルミン(あれから、訓練兵の男子の中で、アニに好意を持ってる人を集めた)

アルミン(少し時間はかかったけど、取り残さず調べられたと思う)

アルミン(そして、現在進行形で、エレンが考えたイベント真っ最中)

アルミン(もうすぐ終わるけど……)

訓練兵16「グッ!」

アニ「……これで私の全勝」

アルミン(見て下さいこの光景。小さな女の子一人によって、一年以上訓練を積んだ男子訓練兵は全滅です)

アルミン(誰一人として、ローキック一発に耐える事が出来ませんでした。みんな芋虫状態)

アルミン(……蹴られて恍惚な表情を浮かべてる人ばかりだから、同情はしないけど)

クリスタ「アニって本当に凄いよね。あっ、もうちょっとで包帯巻き終わるから、動いたらダメだよ」

アルミン(クリスタに包帯を巻いて貰って、頬を緩ませてるそこの君。絶対に許さない)

ユミル「愛情の籠った女の蹴りを一発も耐えれないような男じゃ、アニと釣り合わうわけねぇよな」

ユミル「あと、鼻の下伸ばしてんじゃねぇよ、てめぇ!」

クリスタ「け、蹴ったら駄目だよ! しかも、アニに蹴られた部分を的確に」

アルミン(いいぞ、ユミル! もうそんなモブぶっ壊せ!)

マルコ「……なんでアルミンは両拳を突き上げてるんだろ?」

ジャン「知らねぇよ」

マルコ「ジャンなら耐えられる? アニのあの蹴りに」

ジャン「耐える以前に、喰らいたくない。あれはダメージを蓄積させるんじゃなくて、一撃で粉砕する蹴りだ」

マルコ「大丈夫。ジャンならきっとなんとかなるよ。一回やってみよう」

ジャン「お前、無茶振りは止めろよ。頼むから」

マルコ「残念だな。エレンとの一件以来、真面目に対人格闘に取り組んでるから、いい線行くと思ったけど」

ジャン「冗談だろ?」

マルコ「結構本気で」

ジャン「そう言われて悪い気はしねぇけど、やっぱり無理だ」

マルコ「それなら仕方ないね」

アニ「エレン、これでいいでしょ?」

エレン「まだだ」

アニ「まだ誰かいるの?」

エレン「今度は俺の番だ!」

アニ「は? なに? あんたも蹴られたいの?」

エレン「蹴られたくはねぇよ。痛いし……。けど、アニとは友達になりたいからな」

アニ「いや、あんたはもう——」

コニー「待てよ、エレン。教官とのチェス対決は一番を譲ったんだから、今回は最後な」

エレン「仕方ねぇな。わかったよ」

サシャ「チェス対決の時、この中では最後だった私が、最初にアニとお喋りして友達になります」

サシャ「アニ、行きますよ!」

アニ「……あと三人、付き合ってあげるよ」

一分後


ミカサ「サシャ、流石にその姿はダメ。女の子として、色々ダメ。すぐ横にしてあげる」

クリスタ「私も手伝うよ、ミカサ。ユミルはコニーをお願い」

ユミル「はいはい」

ジャン「コニーとサシャも瞬殺だったな」

マルコ「アニが使った技は、いつだったか、エレンがジャンにした技と同じだったね」

アルミン「威力と精度は桁違いだけどね。まぁ、エレンもあの時よりずっと成長してるけど」

ジャン「男でも恥ずかしい格好だな、あれは。ケツを上にして気絶するって……」

ジャン(エレンが未熟でよかった……)

マルコ「でも、次はどうだろ? アニと組んだ回数の多いエレンは、どこまで耐えられるかな?」

ジャン「コニーやサシャと同じ目に遭って、ミカサに幻滅されてしまえ。ケケケ」

マルコ「うわぁ、悪い顔だなぁ」

エレン「今度こそ俺だな」

アニ「手加減はしないよ」

エレン「上等っ!」

アニ「シッ」

マルコ「おっと、エレンにはローキックから入ったね」

ジャン「これでエレンも……」

エレン「〜〜ッ! ラァ!」

ジャン(マジかよ、あいつ。耐えやがったよ、おい……)

アルミン「蹴られる直前、エレンは大きく踏み込んで、アニの脚の芯を微妙に外したね」

マルコ「それでも、かなり痛いと思うけど」

アニ「残念」

マルコ「ローキックを耐えて攻撃したエレンだけど、アニは簡単に避けたね」

マルコ「しかも、木剣を持ってる手首を掴んで、エレンの背後に回った」

アルミン「あれはコニーやサシャにしたのと同じ技だね」

ジャン「今度こそ駄目だな。腕を伸ばされながら顎を押し上げられて、エレンの体勢は崩れた」

ミカサ「これは大丈夫」

エレン「こなくそっ!」

アルミン「アニに蹴りで足を払われる前に、自分から跳んでかわしたね」

マルコ「バク宙しながら体勢を直そうとするなんて、エレンもすごいよ」

ミカサ「……でも、逃げ場がなくなってしまった」

アニ「狙い通りだよ。お疲れ様」

エレン「グベッ!」

アルミン「まだ着地してないエレンの背中に、綺麗な踵落としが決まっちゃった」

マルコ「そのまま地面に叩き落としたね。いや、踏み落としたって言った方が正確かな?」

ジャン(怖ぇ……アニ、マジで怖ぇ……。なんで冷静に見てられるんだよ、こいつら)

エレン「」

ユミル「あっ、エレンも気絶した」

クリスタ「エ、エレン! 大丈夫!? 今運んであげるからね!」

アニ「これで終わりだね」

ミカサ「まだ。今度は私が——」

ミーナ「ご、ごめん! 寝坊しちゃった!」

アルミン「ミーナ?」

ミーナ「うわっ、すごい惨状。あっ、やっぱり、エレンたちも挑戦したんだ。白目剥いてるけど」

ミカサ「今度は私がやる」

ミーナ「その前に、アニとやらなきゃいけない人がいるよ、ミカサ」

ミカサ「誰? って、聞いた方がいい?」

ミーナ「もちろん、この私! アニの一番の友達は誰にも譲らないからね!」

ミカサ「えっと、うん。その……どうぞ」

ミーナ「ありがとう。んっと、木剣は転がってたこれを使うね。ルールはちゃんと聞いてるから大丈夫だよ」

アニ「……本当にするの? 本気で蹴り飛ばすよ?」

ミーナ「覚悟してるよ。始めていい?」

アニ「はぁ……いつでもどうぞ」

ミーナ「じゃあ、やるね!」

マルコ「ミーナがぁ! 走り出してぇぇ! ミーナがぁ! アニの傍ぁぁっ! 木剣構えてぇっ! まだ踏み込むぅぅ! ミーナがぁっ! ……つっ近づいてぇっ! ミーナがぁ蹴られたぁぁーっ!」

アルミン「ミーナ、あっさり膝をついちゃった。完全に予定調和だったね」

ジャン「……なんでいきなり気合の入った実況を始めたんだよ、マルコ」

マルコ「なんとなく」

ジャン「にしてもアニのやつ、本気とか言いながら相当手加減してたな」

マルコ「さっきまで重くて鈍い音だったけど、今回は炸裂音みたいな軽い音だったね」

ミーナ「……痛い」

アニ「だから言ったのに……ほら、手を貸して」

ミーナ「うん、ありがと——きゃっ!」

アニ「お、押さないで——いたっ」

マルコ「ミーナがアニを押し倒したね」

ジャン「加減したんだろうが、足は痺れてるだろうしな。不可抗力だろ」

アルミン「アニに蹴られた人らが次々と、きましたわー、って言ってるのはなんでかな?」

マルコ「僕もわからないよ」

ジャン(わかる俺は普通じゃなかったのか……)

アニ「ミーナ、立てないからどいて」

ミーナ「……」

アニ「ミーナ?」

ミーナ「……ねぇ、アニ。このままキスしよ——ぐぼぉっ!」

マルコ「アニ、横になってても、体の捻りだけでミーナの脇腹を抉ったよ。膝で」

ジャン(あの体勢で、なんであんなに威力があるんだよ……)

ミカサ「ミーナ、ダメ。女の子として、その声はダメ」

ミーナ「冗談、だった、の、に……」

クリスタ「ミーナ、大丈夫? すぐ手当てしてあげるからね。ユミル、お仕事だよ」

ユミル「面倒臭いなぁ……」

アニ「ふん」

アルミン「ねぇミカサ、まだアニとやるつもり?」

ミカサ「……どうでもよくなった」

アルミン「うん、良かった」

アルミン(ミカサとアニが万が一本気でやりあったら、今いる面子じゃ止められないからね)

アルミン(少しは希望が持てるエレンとユミルだけど、エレンは気絶してるし、ユミルはむしろ煽るだろうし)

アルミン(ミーナ、身を犠牲にしてくれて、本当にありがとう)

アルミン(あとでなにかお礼をしないとね。なにがいいかなぁ?)

日中(対人格闘訓練)


ミーナ「う〜……まだお腹痛い。非の打ち所がない膝の進入角度だったよ……」

アニ「馬鹿な事しようとするからでしょ?」

ミーナ「軽いスキンシップじゃない。ほら、こんな感じで」

アニ「……重い。後ろから抱きつかないで」

ミーナ「んふふ。アニは抱きついてて気持ちいい。包み易いし、良い匂いがして気分最高だね」

アニ「こんなとこ、教官に見つかったら怒鳴られるよ」

ミーナ「なら、寝技ごっこでもする?」

アニ「不真面目にやってると、あいつも来るよ」

ミーナ「あいつ?」

アニ「そう、あいつ」

エレン「珍しくペアになってるのかと思えば、二人で遊んでるのかよ」

ミーナ「あっ、あいつが来たよ、アニ」

アニ「来たでしょ? あいつが」

エレン「あいつで悪かったな。アニ、今日も組んでくれないか?」

ミーナ(アニ、良かったね。エレンからのお誘いだよ)

アニ(私は別に……)

ミーナ(はいはい、照れ隠し照れ隠し)

ミーナ「私は他の人の所に混ぜて貰って来るね」

エレン「そんな面倒な事しなくても、ミーナも一緒にすればいいだろ?」

ミーナ「お邪魔虫になっちゃうのはいやだから。またあとでね、アニ、エレン」

エレン「今度は一緒にやろうな」

ミーナ「うん!」

アニ「またふらついてたみたいだけど、もうコニーとサシャを気絶させたの?」

エレン「気合を入れ過ぎたみたいでな。誰かさんに完敗しちゃって」

アニ「一日に何度も意識飛ばされて、その誰かさんも、流石に二人が不憫だと思ってるよ」

エレン「根性が足りないんだ。そんなんじゃ、誰かさんと友達になれねぇよ」

アニ「あんたも、その誰かさんにはまだ勝てないだろうけど」

エレン「それはどうだろうな。……っと、その前にだ。昼食の時とか、周りの様子はどうだった?」

アニ「そこまで時間が経っていないから、何とも言えない。けど、大分静かになったよ」

アニ(なぜかミーナと一緒にいる時に、変な視線を感じ始めたけど……)

エレン「一安心って所か。……そうだ。少し前みたいに、一緒に飯を食わないか?」

エレン「最近、アニは離れた席に座ってるし、近くにいれば再発した時、すぐ気付けるからな」

アニ(サシャに席を取られたから離れた、なんて言えるわけない……)

アニ(思えば、褒められ始めたのは、エレンたちから離れてすぐ。周りからは、エレンと特別な関係だと思われてたって事?)

アニ(……なんだ、私は一番簡単な方法を見落としていた。こういうのも、元鞘に収まるって言うのかな)

アニ(なんでもいいけど。……ふふっ)

アニ「……いいよ」

エレン「決まりだな。じゃあ、そろそろ訓練の方も始めるか。俺がならず者になるから」

アニ「お好きなタイミングでどうぞ」

エレン「おう!」

やったね、ベルちゃん!


ライナー「アニはとうとう俺らから離れたか。夕食の時も、エレンたちと一緒だったしな、チェック」

ベルトルト「そうみたいだね。でも、遅かれ早かれの問題だったと思うよ。うーん、これでどう?」

ライナー「なるほど、その手があったか……。しかし、わかっていても寂しくなる」

ベルトルト「僕らにとって、アニは妹みたいなものだからね。祝福してあげようよ」

ライナー「そうだな」

コニー「おっ、本当にこんなところでチェスやってたぞ」

エレン「なんだよ、水臭い。チェスやってるなら俺らのところに混ざれよ」

サシャ「全くです」

ライナー「どうしてお前らがここに?」

エレン「アニに教えて貰ってな、誘いに来たんだよ」

コニー「俺と勝負しようぜ!」

サシャ「食堂にはみんなもいますよ」

ライナー「それは嬉しい誘いだ。けどな……」

エレン「? なんか不都合でもあるのか?」

ライナー「俺は別にいいんだが、ベルトルト、お前はどうだ?」

ベルトルト「気にせず行って来なよ。僕は兵舎に戻ってるから」

ライナー「そんなわけだ。俺はこいつを一人っきりにさせられない」

ベルトルト「エレンに対するミカサみたいな事言ってるよ」

ライナー「お前がいないとつまらないからな」

ベルトルト「心配症だね」

ライナー「どうだろうな。悪い、三人とも。誘ってくれた事には礼を言おう」

エレン「それならそれでいいんだけど……あのさ、ベルトルトにちょっと聞きたいんだ」

ベルトルト「なにかな?」

エレン「俺、なにか悪い事でもしたか?」

ベルトルト「どうしたの? 急に」

エレン「ここ最近、余所余所しくなったというか。少し前までは、俺やアルミンに話しかけてくれただろ?」

エレン「アニやライナーとはちょくちょく話してるけど、ベルトルトとはこうして顔を合わせる事自体、なくなってると思って」

ベルトルト「……」

コニー「そうだったのか?」

エレン「あぁ」

サシャ「私の記憶が正しければ、私とコニーがエレンたちと一緒に行動するようになってから、ですよね?」

エレン「二人には悪いけど、時期的にはそうだな」

コニー「……ベルトルト。お前は俺やサシャが嫌いなのか?」

ベルトルト「そんな事はないよ」

サシャ「本当ですか? もし私たちが嫌いで、エレンたちと疎遠になるようでしたら……」

ベルトルト「本当に二人が嫌いなわけじゃない。だから、その先を口にしたら駄目だよ」

ベルトルト「僕は、君たちの関係が壊れる事を望んでないんだ」

サシャ「……ごめんなさい」

ベルトルト「謝る必要なんてないよ。むしろ、僕の方こそごめん。みんなに気を遣わせてしまったみたいだね」

ベルトルト「少し距離を置いてたのは、みんなの邪魔になると思ってなんだ。僕は面白い人間じゃないから」

エレン「嘘じゃないよな?」

ベルトルト「嘘じゃないよ」

コニー「そんな事気にすんなよ。俺なんか、真剣に話してんのに笑われるから困ってるっての」

エレン「そりゃ、コニーが的外れな事言ってるからだろ」

サシャ「全くです」

コニー「エレンやサシャだって、俺と大差ねぇくせに」

ライナー「コニーの言う通りだな」

サシャ「私を一緒にしないで下さいよ、失礼な」

エレン「俺は多少ずれてる自覚はあるぞ、サシャと違って」

サシャ「う、裏切りですか!?」

エレン「そうじゃねぇよ。俺はただ、人よりずれてて、鈍感で、頑固で、しかも我儘なんだ」

サシャ「?」

エレン「だからさ。行くぞ、ベルトルト」

ベルトルト「わっ! ちょ、ちょっと! いきなり手を引っ張らないで!」

エレン「……いやだったら振り解いてくれ、お前の意思で。その時は……もう掴まない」

ベルトルト「……」

エレン「……」

ベルトルト「……ずるいね。君ほど卑怯な人を、僕は知らないよ」

エレン「俺を友達として選んでくれたやつの言葉だと、褒められてるようにしか聞こえねぇな」

ベルトルト「……エレンたちを避けちゃって、本当にごめん」

エレン「覚えてねぇよ、そんな事。だから、ベルトルトも忘れろ」

ベルトルト「……うん」

コニー「ライナーはどうするんだ?」

ライナー「ベルトルトが行くんだ。俺が不参加の理由はないだろ」

サシャ「では、みんなで行きましょう!」

コニー「もちろんだぜ!」

ライナー「おう!」

ベルトルト(……ライナー、ごめん)

ライナー(なにに対して謝ってるんだ?)

ベルトルト(万が一……万が一、僕が戦士になり損なったら——)

ライナー(その時はその時だ。エレンの母親の事も含め、問題は山積みだが、一緒に悩もう)

ライナー(お前やアニがどちらを選んでもいいよう、俺は兵士でも、戦士でもあり続けてやるから)

ベルトルト(ライナーはそれでいいのかい?)

ライナー(俺たちは友達だろ? エレンたちの絆にも決して劣らない)

ベルトルト(……うん。ありがとう)

ライナー(なんて事ない)

ベルトルト(それでも、ありがとう……)

終わり

俺、次のSS書き終わったら、結婚しよ、って諫山創さんに手紙を出すんだ……
どうでもいいけど、ミーナが可愛い過ぎて、ルイズのコピペ貼ろうか悩んだ
お疲れ様でした

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