サシャ・クリスタ「「たまごクラブ」」(187)

 
―――訓練兵団・兵舎食堂


アルミン「クリスタとサシャの様子がおかしい?」



ミーナ「そうなの。しょっちゅう二人だけでいなくなるし、なんだか眠そうな顔してるし……」

ライナー「それは、珍しい組み合わせ……でもないか」

エレン「恩人がどうとかで、けっこう一緒にいるもんな」

ユミル「恩人ってなら私もなのによ、私にも秘密でコソコソしてやがんだよ」


アルミン「えーと、それで」

ユミル「アルミン、お前ならなんとか上手いこと聞き出せるだろ」

アルミン「えー……」

 
ミーナ「お願いアルミン、やっぱり、心配じゃない」

アルミン「……やってはみるけど、あまり期待はしないでね」

ユミル「頼むぜ軍師様」




アルミン(えーと二人は……あ、いた)

アルミン(本当だ。二人して屈みこんで、確かに変だ)


アルミン「ねぇ、二人とも、何してるの?」

ビクッ

クリスタ「きゃっ…! ……あ、アルミン。良かったぁ、びっくりしちゃった」

アルミン(天使)

サシャ「何ですか。何か用ですか」ジト

アルミン(芋)

 
アルミン「いや、二人で隅っこにいるからさ。どうしたのかな、と思って」


クリスタ「うぅんごめんね、何でもないの」

アルミン(……あれ)

アルミン「何だか、顔色もあまり良くないよ。本当に、大丈夫? 何か悩みがあるなら、相談に乗るよ」

サシャ「余計なお世話です! 私たちの権利を奪いとるつもりですか!?」ガルル

クリスタ「サシャ!」

 
―――


ライナー「権利?」コソ

コニー「おお……サシャのクセに頭良さそうだ…!」

ユミル「静かにしろバカ」

ミカサ「エレン。そろそろ自主トレーニングの時間」

エレン「いけね、もうそんな時間か。でもアルミンが…」

ミカサ「アルミンはきっと喜ばない。自分のためにエレンの訓練時間が無くなるのは」

エレン「……それもそうか」

ライナー(話は気にならないのかよ)

 

クリスタ「そうだ、ねぇ、アルミンなら……」コショ

サシャ「それは……けど……」


コソコソ

サシャ・クリスタ「「………」」

チラ

アルミン「………」


アルミン「何か分からないけど、僕が力になれることなら協力するよ。もちろん、その権利っていうのも、僕は要らない」


サシャ「………まぁ、それなら…」

クリスタ「決まりだね」

 



クリスタ「アルミン、卵が生きてるかどうか、なんて、わかる?」


アルミン「………たまご?」

 
サシャ「カラスが卵をくわえてて」

クリスタ「サシャが石を投げて」

サシャ「クリスタが落ちてきた卵を優しく受け止めたんですよ」

クリスタ「それから、その卵を育ててみようって話になってね」

サシャ「故郷で、鳥の卵を人が育てるのを見たことがあるんですよ」フフン

クリスタ「冷やしちゃダメだって言うし、時々ひっくり返してあげなきゃいけないから手放せなくて。交替で温めてるの」


―――

ユミル「………ふーん」


コニー「んだよ。隠すようなことじゃないじゃんか」

ハンナ「なになに?」

フランツ「何集まってるの?」

ベルトルト「お、押さないで…」

ライナー「野次馬が増えてきたな」

 

クリスタ「ね、ちゃんと育ってるかなんて調べられないかな」


アルミン「……多分だけど、分かると思う」




【現在公開可能な情報】


1、手製検卵器

アルミン製検卵器。小型の卓上ランプに筒を被せただけのもの。
曰く、検卵に使えば検卵器。
暗所での使用により卵を光で透かし、発育を観察することができる。
使用の際は細心の注意を払わなければ悲惨な結果を招くと思われる。

 
アルミン「うん、大丈夫。ここまではちゃんと育ってると思う。なんの卵かは分からないけど……血管らしきものが見える」

サシャ「おおっ」

クリスタ「ほんと!? 良かったぁ」

パァ




ライナー「……いい……」

ユミル「おいお前ちょっと表出ろ」

ベルトルト「暴れないで……」

コニー「いてっ足ふむな!」

ミーナ「わっ、わ…」



一同「「「うわあああああ」」」

ドッ

 
サシャ「何ですかあなたたち!!」フーッ

ミーナ「あ……はは…見つかっちゃった」

ライナー「重い…」


クリスタ「み、みんな……聞いてたの?」

ハンナ「ごめん、でも、何も隠すことないじゃない」

フランツ「そうだよ、卵を孵すなんて楽しそうだし」

マルコ「鳥のヒナなら、刷り込みがあるんじゃない?」

トーマス「刷り込みって、最初に見たものを親だと思い込むってあれか?」

ミーナ「いいな~~~~! 生まれたばっかりのヒナがついてまわるの、すっごくかわいいだろうな~」

 

サシャ「絶対渡しませんよ!!!」


サムエル「盗らねーよ…お前じゃあるまいし」

フランツ「みんな、むしろ応援するよ」


クリスタ「よかった……」

ミーナ「生まれてくるの、楽しみだね」


サシャ「ええ! 早く大きくなって欲しいです」

 

アルミン「……一抹の不安を感じるのは気のせいかな」コソ

ライナー「このまま放置したら悲劇が起きる予感がするな」

ベルトルト「……早いうちにはっきりさせてあげるのが優しさかもね」

ライナー「そうだな、よし、頼む」

ベルトルト「!?」


マルコ「まぁ言いにくいよな……」アハハ

 

コニー「ふーん……。……なぁ、ソレ育ててどうすんだ?」


アルミン(コニーがいった…!)

ライナー(さすが、こういう時は頼りになるぜ)



サシャ・クリスタ「「それはもちろん――」」



サシャ・クリスタ「食べるんですよ」「飼えないかなって」



サシャ・クリスタ「「えっ!?」」

 
サシャ「だ、だって、考えてみて下さいよ!? 最後にお肉を食べたの、いつになります?」


コニー「えーっと……」

ライナー「まあ、しばらく食ってないことは確かだな」

サシャ「私、クリスタなら、半分こにしてもいいって…!」

クリスタ「そんな……! そんなのかわいそうだよ!」

ユミル「かわいそう?」


ユミル「おい、おい、芋女のほうがまだ現実的じゃねえか」

クリスタ「ユミル…!」

ユミル「かわいそうとか言ったが……無責任に生まれさせて、そいつは幸せになれるのか?」


クリスタ「っ、私は…………」

 
ユミル「どんなモンが生まれるかも分からないのにとりあえず育ててみるって?」

ユミル「睡眠時間も削って、教官に隠れてコソコソ育てて……がんばる自分はいい親だってか?」


クリスタ「そんなつもりじゃあ…」

ユミル「教官にばれたらどうなる? お前が途中でぶっ倒れたら? 卵っから巨人が生まれてくるかもしれないぜ……」

コニー「マジか! 巨人って卵で産まれてくんのか!?」

アルミン「ちょっと黙っててくれないかな」

 
ユミル「どうして生まれさせたんだ、って……お前を恨むようになるかもしんないぜ…」

クリスタ「っ………」


クリスタ「それ、でも……」


クリスタ「自分で決められないうちに勝手になんて、できないよ」

クリスタ「ううん、私が、生きて欲しい」

ユミル「……」



ミーナ「私も、手伝うよ」

クリスタ「! ミーナ」

ハンナ「私も。みんなで交替で温めれば、負担も減るでしょ?」

ミーナ「クリスタが倒れたら、私達が全力でフォローすればいいんだよ」

モブ女子s「「「私達、仲間でしょ!」」」


クリスタ「みんな……!」

 
ミーナ(それはさておき、たまたま自分があっためてる時に生まれちゃったら、私の後を着いて回るようになっても仕方ないよね!)

ハンナ(フランツとの将来の予行演習……なんちゃってなんちゃって!)



ライナー「さて、それじゃ、俺達も協――」

ユミル「おい、おいおいおい」


ユミル「まさかおたくら、女子がみんなで交替であっためるもんを、自分達の懐へ持ってきたいなんて言わないよな?」


マルコ「ま、まさか…」

ライナー「……。言うかよ…」ハハハ

 
サシャ「ちょっと、私抜きで話を進めないでください!」


サシャ「私たちが奪い取った卵ですよ! 少なくとも半分は私が食べていいはずです!」

サシャ「関係ない人たちはすっこんでてください!」


ミーナ「サシャひどーい」

ハンナ「おに! あくま! いも!」


ブーブー


サシャ「………」




サシャ「はぁ?」



シーン

 
ベルトルト「す、すごい……黙らせた」

コニー「まぁ、今回はサシャの気持ちも分かるぜ」


クリスタ「サシャ……考え直して、くれないかな」

サシャ「それはこっちのセリフです」


ピリッ…



マルコ「ま、まあまあ。二人とも落ち着いて」

アルミン「このままじゃ収まらないのは分かる。けど、ケンカして卵がつぶれちゃったりしたら最悪でしょ?」


ユミル「そうだな、こういうのはどうだ」

用事入っちゃった。
続きは多分後で書きます

再開

書き溜め尽きてるのでゆっくり




あと、この話には進撃の巨人以外に元ネタがあります。

片方は作者の意向でここでは明かしません。当てに来ないでください
片方は最後に明かします

 
【風船割対決】

ルール:

審判の持つ紙に名前と陣営を書いて参戦

訓練・就寝以外の時間、風船を頭の上に乗せ固定

敵陣営の攻撃や事故で風船が割られたら脱落。
以後相手の邪魔も卵を温めるのも禁止
ただし、不参加104期生が風船を割っても無効

ルール違反者は審判の手で痛い目にあってもらう

審判はミカサ

エレン勧誘禁止

 
ユミル「急ごしらえで穴は多いが、分かりやすいだろ。メンバーが全滅したほうの負けだ」

ミーナ「ミカサが協力してくれるかな」

ユミル「くれるさ。審判ったって常に見てろって訳じゃなし、エレンを揉め事に混ぜたくないって点では私達と目的が一致するからな」


サシャ「いいですよ、乗りましょう! どうですコニー、私の仲間で参加してくれれば、勝った時は分け前あげますよ」

コニー「マジかよ、いいのか? っしゃ、肉が食える!」




ライナー「ユミルのやつ……こんなもん普通に人数の多い方が勝つに決まってるだろう。それに気づかないサシャとコニーもだが」

マルコ「サシャの組に、他に誰か参加すると思う?」

アルミン「いや……」

フランツ「集まった女の子の数からして、クリスタ組はかなり多そうだね」


こうして、卵を巡って訓練兵内の抗争が勃発した。

卵を守るという大義名分を得たクリスタ組には多くの女子訓練兵が参加し、数の上で圧倒的有利を獲得。


男たちはクリスタに付きたい心情と既に着いた圧倒的戦力差を鑑み、静観を決め込んだ。





――

―――


ミーナ「アニの名前も書いてきたよ」

アニ「誰かそんなこと頼んだ?」

ミーナ「別に無理して参加しなくたっていいよ。でも後からじゃ入れないかも知れないし、とりあえず、ね」

アニ「………」ハァ

 
ハンナ「フランツは特別に参加していいって」

フランツ「がんばって、いっしょにあの子を守ろうね」

ハンナ「あの子って、クリスタ…?」

フランツ「ちっ、違うよ! 分かってるだろ?!」

ハンナ「ふふっ、冗談」

フランツ「このぉ」



ライナー「なぁ……“フランツ”と“ライナー”……似てると思わないか」

ベルトルト「……ライナー…」



クリスタ「ユミル、参加しないの?」

ユミル「あん? 助けて欲しいのか? 代わりに何してくれるんだ?」

クリスタ「もう! いいよ、こんなに人数に差も付いちゃったし、ユミルがいなくても勝てるもん」

 
戦力差20対1


圧倒的な数の差の前に、クリスタチームの勝利は揺るがないように見えた


しかし……



ライナー「三割損耗!? たった一日でか?」

マルコ「40人近く参加してなかった?」

ハンナ「私もやられちゃった。サシャが石を投げてきて……」

ミリウス「仲間うちのゲームで石投げるかフツー」

フランツ「他にも、寮の前に落とし穴が掘ってあったり……」

ミリウス「あああれもか。ジャンが落っこちてキレてたぞ」

 
ハンナ「大勢でかかったんだけど、ひっかきまわされて、各個撃破されちゃって」

ライナー「兵法の成績は悪いクセして、実戦には強いんだからな」

マルコ「クリスタ、戦術が素直すぎるんだよな……」


ナック「お、あそこ見ろよ。コニーと女子だ」



キャー

クルナー

コニー「わりぃな、それっ」パン


モブ女「こっちから逃げよう!」

サシャ「残念! 行き止まりです!」

パン!



マルコ「身体能力も圧倒的だね」

ライナー「女子であれに対抗できるのは、アニとユミルくらいか」

 

トーマス「このままじゃ……」

ライナー「何か助言を授けてやったらどうだ、アルミ――ン?」

ベルトルト「いないよ」

ライナー「む、てっきりアルミンはライバル……というかクリスタのことを気にしてると思ったんだがな」

ナック「クリスタのことを気にしてない男がいるかよ」

フランツ「あ、1人いたよ」

ライナー「ん? ……おお、なるほどな」

スタスタ

エレン「んだよ、人の顔見て妙な顔すんなよ」

ハンナ「アルミン知らない?」

エレン「アルミンなら、座学の後用事があるとかでどっか行っちゃったぞ」

マルコ「そっか、うーん…」

スンマセン再開します


すぐに落ちないって緩むなぁ

 
エレン「探してこようか? 何の話だ?」

ライナー「……いや、何でもないな」

エレン「なんだよ、感じわりぃな」


エレン「……みんな、なんか、遊んでんのか? 楽しそうだよな」

マルコ「いや、あんまり気にしないほうがいいよエレン」

ミカサ「そう。私達には関係のないこと。遊んでいる暇はない。でしょ?」

エレン「お……おぉ」シュン


マルコ(ごめんエレン)

ライナー(お前がどっちかの仲間になるって言いだすと、審判参加でパワーバランスが崩れるからな)

ベルトルト(言い出したら止められないし…)

 
――――


モブ女「ごめーんクリスタ、私もやられちゃった」

モブ女2「聞いてよ、サシャったらホントひどくてー」

クリスタ「そ、そっか………ねぇ、やっぱり班を分けてちゃんとした作戦行動をとれるようにしない?」

モブ女3「えー。そこまでしなくても良くない? ちょっと減ったってまだまだこっちのほうが多いんだし」

クリスタ「だけど…」

モブ女3「それより、卵当番、今日私がやったげよっか」

モブ女「いいなー、私なんか一回も触らないうちにリタイアだよー」




クリスタ(どうしよう、私たちは人数は多いけどこのままじゃ……)

 
ユミル「………」

クリスタ「っ、ユミル……」

ユミル「どうしたクリスタ? 私に助けて欲しいか?」

クリスタ「う…」

ユミル「クリスタが私に×××××を捧げてくれるってんなら考えても――」

クリスタ「なっ、何言ってるの!?」

ユミル「あっはっはっは」

クリスタ「ユミルのバカ!」



クリスタ「アニ、は、参加は……」

アニ「……悪いけどね。そんなつもりはないよ。ミーナが勝手に名前を書いただけだ」

クリスタ「うん……だよね……」


 
ミーナ「ごめんね、けっこう声かけたんだけど……遊び半分なコが多いみたいで」

クリスタ「うぅん、ミーナのせいじゃないよ」

ミーナ「最悪、男の子に声かけちゃいなよ」

クリスタ「え、でも、ユミルが……」

ミーナ「背に腹はかえられないよ」

クリスタ「そう…だよね」

ミーナ「とにかく、クリスタはやられないように気を付けて。この子の命運は、クリスタにかかってるんだから」

クリスタ「う……うん」



クリスタ「………」


ユミル「………」



【現在公開可能な情報】

2、目標風船

元々は一部の訓練に使われていた紙風船。
コストの問題で訓練に使用されなくなり在庫が倉庫の片隅で眠っていた。

時折訓練兵が持出し遊びに使っていたが廃棄処分予定のため教官も見て見ぬふりをしていたもの。
今回の騒動でほとんどがなくなった。

―――数日後



―――男子兵舎


ミリウス「今どうなってんだ?」

フランツ「うーん……クリスタも頑張ってはいるんだけど……」

ダズ「暫定10位以内が相手だ、勝てるもんか…」

トーマス「しっ」


エレン「お、なあなあ、最近コニーとかあんま会わないけどー」

フランツ「あっ、ゴメンエレン、今急いでて……」

エレン「あー…トーマス」

トーマス「あー、おいナック! 早くアレ返せよ」

ナック「お、う。部屋来いよ」

 

エレン「……ジャン」

ジャン「あ? なんか用かよ」

エレン「…………なんでもねえ」

ジャン「」ピキッ




エレン「ま………しょうがねえよな。普段から、巨人のことばっかりで遊びに行くのも断ってばっかだし」

エレン「………別に、いいさ」

 

―――女子兵舎・寝室


ミーナ「う~ん……」



ミーナ「うぅ……やっぱり素肌に腹巻は暑い、よぅ」フゥ


ミーナ「汗だくになっちゃった……」

ミーナ「がまんがまん。この子がおっきくなるためだもんね」


ウトウト

ミーナ「だ、ダメダメ、寝たらつぶしちゃうかも」


ツネ

ミーナ「う~~~~~~」

アニ(うるさい)

 
ミカサ「……大変そうね」

ミーナ「ミカサ! ごめん、起こしちゃった?」

ミカサ「問題ない。寝ようと思えばいつでも寝れる」

ミーナ「さすがミカサ……」

ミカサ「卵の世話は大変と聞いた。数時間で嫌になる者が多いと」

ミーナ「うん……卵に何か動きがあるわけじゃないし、暑いし、眠いし……これをみんなに気付かせないでやってたんだから、クリスタはすごいよ」

ミカサ「そう」

ミーナ「でもね……ちょっと、分かるんだ」

ミカサ「なにが」

ミーナ「こうして、常に肌身離さず世話してあげないと……ちょっとでも気を抜いたりしたら、この子の命は壊れちゃう」


ミーナ「ずっと、そばで守ってあげなきゃって気持ちになるんだ」

 
ミカサ「それならば分かる。私も、同じようなことをしている」

ミーナ「ぷっ……それ、エレンが聞いたら怒るよ?」

ミカサ「エレンは聞いても分からない、多分」

アハハハハハ…



アニ(うるさいっての)


アニ(………)

 
―――翌日・訓練終了後



モブ女3「きゃあっ」パン

モブ女4「奇襲よ、サシャのやつ、こっちの人数が減って大胆になってる!」

ミーナ「いかせない!」


ガシッ


グググ


サシャ「おっ、ミーナ、がんばりますね」

ミーナ「そう簡単に、諦めたりしないんだから!」

 
サシャ「まったく、盗人猛々しいとはこのことです」フー

ミーナ「サシャ……あなたも、あの子をあたためたんでしょう? 何も思わなかったの!?」

サシャ「……そうですね。心苦しかったです」


サシャ「食べちゃダメだ、食べちゃダメだ、まだ食べちゃダメだ…」


ミーナ「ばか!」

サシャ「隙ありです」

ミーナ「きゃあっ」ドサッ

 

クリスタ「ミーナ!」

ミーナ「ダメ、クリスタは、逃げて! 絶対サシャとコニーにやられちゃ」

サシャ「残念です。この世界は……残酷なんですよ」

パン

ミーナ「……あぁああ」

クリスタ「ミーナ…!」ダッ


サシャ「コニー、逃がさないでください!」

コニー「言われなくても!」

 
クリスタ「はぁ、はぁ………」



ナック「大分疲れた顔してるな…」

ミリウス「サシャとコニーから逃げ回らなきゃならない上、卵にも気を配らなきゃならないんだもんな」

ライナー「もうクリスタの組はほとんど残ってない。いかんせん、多少追い詰めても相手が並の女性兵士じゃあいつらに突破されちまう」


ライナー「こうなっちまったら、仕方あるまい」

トーマス「おお! 俺らだって不本意だけど、卵を温めなきゃ困るしな!」



サムエル(クリスタのあっためてる卵!)

ライナー(クリスタの肌の温もりが沁み込んだ卵!)

 
 
ライナー「クリスタ……俺たちでよければ、手伝うぜ」

クリスタ「っ……ごめんなさい……」


クリスタ「……助けて」



男子一同「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」


ハンナ「男子参加しすぎ…」

ミーナ「クリスタ恐るべし」

 
コニー「お、おいおい、何だよ。男みんなあっちつくのかぁ?」

サシャ「むむ……ひーふーみー…今まで倒した数の倍はいきそうですね」


コニー「……なあ、もうやめにしねえ?」

サシャ「何言い出すんですかコニー!」

コニー「だってよぉ、勝ち目ないだろ。ライナーとベルトルトまで書いてんぞ」

コニー「俺、お前ほど食うことに執着ないし」

サシャ「……! なら勝手に抜けたらいいじゃないですか」

コニー「なっ……んな言い方するこたねぇだろ!」

サシャ「臆病者は足手まといなんですよ」

コニー「何だと!」

 
サシャ「事実でしょう」

コニー「ああそうかよ。お前なんかもう知らん!」

スタスタ

サシャ「……ふん。取り分が減らずにすみました」

サシャ「コニーなんてはじめから…」


サシャ「い~だ」

 

オレモサンカ!

オレモダ!

クリスタ!クリスタ!


ユミル「やれやれ。ここまで来たら、私も参戦するかね」

ライナー「おいおい、ここまで引っ張って勝ち馬に乗ろうとはちとせこくないか」

ユミル「ミカサ、貸してくれ」

ミカサ「はい」

カキカキ

 
ライナー「いずれにせよ形勢は決まったな。おーい! 降参したらどうだ、サシャ!」

パン



ライナー「………は?」

クリスタ「え…」

ベルトルト「ライナーの風船を……なんで」

ユミル「何、勘違いしてんだ……?」




ユミル「私は、芋女側だぞ……」

ライナー「ユミルウウウウウウウウウウウ!」

 
ユミル「呆けてる間に失礼」

パン! パン!

ベルトルト「っと」サッ

ミーナ「ちょっとユミル!」

ユミル「おっと、囲まれる前にすたこらさっさだ」ダッ


トーマス「――! お、追うぞ!」

ナック「おお!」



クリスタ「ユミル……」

 
【現在公開可能な情報】

3、風船割対決補足

与えられた風船は各自で管理。
休憩時間以外の時間は空気を抜いて保管して良い。
訓練と訓練の間にも休憩時間があるが教官の目が多いため風船装着はあまり厳密に行われていない。

一日の訓練が終了したあとは、数多くの者が頭に風船を乗せる異様な光景が繰り広げられている。

少数派のサシャ組は訓練後風船を付けると同時に逃げ出す日々である。



ミカサは参加者リストの管理をするのみで積極的に関わっていないが、それでもルールを守らせる抑止力としての効果は遺憾なく発揮している。

 

クリスタ「見つけたらまずは報告をお願い! すぐに倒そうとしないで、まずは情報を集めよう」


モブ男「東棟第三教室にてサシャ発見! 現在2名で追跡中です」


クリスタ「2班、フォローお願い! 無理に攻めないで、逃がさないように追いかけて!」





ユミル「んー…? 攻めて来ないな」

ユミル「なるほどなるほど。囲んで引っ掻き回されたから、今度はきちんと行動パターンを掴んだうえで波状攻撃で疲れさせようってか」

ユミル「残念クリスタ。私が入った以上そんな簡単にゃ済ませねーよ」

 

ミリウス「サシャのヤツ、あれで変装したつもりか。あんな怪しげな格好するヤツが他にいるかよ」

ナック「あっちは行き止まりだ、逃げ場はないぜ」

ミリウス「どうする…? 追い詰めちまったら、戦闘は避けられないぞ」


ナック・ミリウス「「………」」


ナック「よし、俺が行く。フォロー頼む」



ジリ……

 
バッ

ミリウス「なっ……いない?」

ナック「何だって?」



ヒュゥゥゥゥゥ…


ナック「バカな……一体どこへ」



サムエル「見失っただって!? なにやってんだ」

ミリウス「消えたんだ! 脱出口なんてなかったのに」



エレン「………なんか、大変そうだな」

 
―――書庫


エレン「よお、アルミン」

アルミン「……。やぁ……えっ!?」


アルミン「エレン、どうしてここが」

エレン「アルミンが見つからなかったら本のあるとこを探せ、ってな」

アルミン「ま、まいったな…」


エレン「なんか久々な気がするよ、最近付き合い悪いんだもんなアルミン」

アルミン「あー…それは……」

エレン「いいよ、話さなくて。なんか事情があんだろ」

アルミン「エレン……ゴメン」

エレン「でもみんなでなんかやってるんだろ? アルミンは手伝わなくていいのか?」

アルミン「僕は別に、することが……」

 
アルミン「いや、しないかな……。するべきなような、しないほうがいいような」

アルミン「迷ってるんだ……やっても多分無駄で、もしかしたら余計な……でも」


エレン「……ああ、じゃあやったほうがいい」

アルミン「えっ?」


エレン「どうせアルミンがそういうふうに考える時って、やることになるよ」

アルミン「な、なんでそう思うのさ」

エレン「だっていつもそうだぜ。アルミンがそうなるのって、正しいと思ってるけど大変なことをやろうとする時だ」

エレン「で、結局止めてもやるんだよな」


アルミン「……そうか。ありがとうエレン」

 
エレン「アルミン、頑固だからな」

アルミン「が、頑固!? 頑固って…」

エレン「ミカサも言ってたぜ。こっちはお前が言うなって思うけどな」ハハ


アルミン「――……」


エレン「何もしてやれねぇけど、がんばってな」

アルミン「エレンもね。ありがとう」



――――兵舎食堂


ミーナ「どう? サシャは見つかった?」

クリスタ「……」フルフル

ナック「女子寮へ戻って来るときの動きを追ってルートを特定できないか?」

ハンナ「それが……女子寮に戻って来ないのよ。どこで休んでるのかも分からないの」

ライナー「大した警戒ぶりだな。まるで野生の獣だ」

サムエル「訓練は常にユミルと組んで、終わったらすぐにいなくなるし……」

ミリウス「見つけて追いかけたんだけど、追い詰めたと思ったら、急にいなくなっちまって」

 

トーマス「ユミルも厄介だぞ」

ベルトルト「…今の所そうそう見失いはしないんだけど、動きが怖いんだ……」

ベルトルト「あえて逃げ場のないとこに行ったり、罠なんじゃないかって……」

ライナー「実際、ユミルを追いかけていったらどっかからサシャの石投げくらってリタイアした連中もいる」


ハンナ「すごいよね、いつも以上のふてぶてしさで……普通に帰ってくるし話もするんだもん」

ミーナ「肝心なところで逃げるのがうまいのよね」

トーマス「どうしたもんかな……こんな時、アルミンやマルコがいればな」


一同「「「………」」」



ライナー「なに、弱音を吐くにはまだ早いぞ。マルコの言う通り、戦力的にはまだこっちが圧倒的に有利なんだ」


ミリウス「まっさきにやられたヤツがなんか言ってるぞ」

ナック「こんな時男子主席がいればなぁ」



クリスタ「……やめよう、仲間内で言い合ってもしょうがないよ。がんばってやれることからやっていこう」

ライナー(……なんてこった、クリスタ、まさか俺の事を…)




トーマス「……そうだ、コニーは?」

サムエル「そうだ、コニーなら!」




――

―――


モブ男「いたぞコニーだ!」

モブ男2「逃がすな! 女神に生贄の血を捧げろ!」

コニー「うわっちっち、待て、待てよぉ」

コニー「俺はもうやめるんだ! ぬけっから!」

モブ男2「問答無用!!!」

モブ男3「駆逐してやる!」



コニー「くそっ、くそぉ、割に合わねえよ」

コニー「やめてやる、もう風船なんか割ってやる~~~~」

http://www.nicovideo.jp/my/history

間違って関係ないアドレスのせちった




――

―――


モブ男「いたぞコニーだ!」

モブ男2「逃がすな! 女神に生贄の血を捧げろ!」

コニー「うわっちっち、待て、待てよぉ」

コニー「俺はもうやめるんだ! ぬけっから!」

モブ男2「問答無用!!!」

モブ男3「駆逐してやる!」



コニー「くそっ、くそぉ、割に合わねえよ」

コニー「やめてやる、もう風船なんか割ってやる~~~~」


―――


ダズ「ジャン、どこに賭ける?」

ジャン「あ? 何の話だ?」

ダズ「聞いてないのか、今クリスタやコニーたちが何してるか」

ジャン「あー? なんか騒いでんなとは思ってたが……」

カクカクシカジカマルマルウマ

コロスゾ

スマン



ジャン「そんなことやってんのかよ……」

ダズ「ああ。どっちの組が勝つか、生まれるか、生まれないか、何が生まれるか、誰が割っちまうか……」

ダズ「不参加訓練兵の間じゃ、賭けで盛り上がってる」



ジャン「……死に急ぎ野郎はどっちの組だ?」

ダズ「参加してない」

ジャン「てことはミカサも入ってないな……」


ジャン「おいダズ、途中で教官に見つかって卵没収、に賭けときゃオイシイ思いができるぜ」

ダズ「え……おいジャン、まさか」

ジャン「こいつぁいい話を聞いたぜ」



マルコ「おい、ジャン!」

ジャン「よおマルコ、お前も人が悪いな、こんなの黙ってるなんてよ。だが知っちまったからには遠慮しないぜ」

ジャン「食うにせよなんにせよ、勝手に動物を飼うなんて規則違反だ。違うかマルコ」

マルコ「本気か? ジャン……」



ジャン「当然だろ。俺は憲兵志望で規律を守るのが憲兵団の仕事。お前は違うのか?

マルコ「僕は……」

ジャン「証拠が手放せないとくりゃ、ちっとまあ自分達の立場を思い出して貰わんとな」ニヤァ

―――


サムエル「やっと見つけた、今度こそもう逃げ場はないぞ」

ミリウス「この人数相手にどこまでやれるかな、やる気も実力も女子連中とは話が違うぜ!」

サムエル「口頭伝達! 1班及び4班、サシャ包囲完了、攻撃を開始する」

ナック「了解!」



サムエル「これで終わりだ! かかれ!」バッ


サシャ「ちっ」

シュパッ



一同「「「なっ――」」」

 
サムエル「バカな………」

ミリウス「立体機動装置……だって…!?」

モブA「あんなきちんと管理されてるもん……盗み出してきたってことか?」

モブB「あれで逃げ回ってたなら、見つからないハズだ」

モブC「でも……」

サムエル「ああ……必ずバレるぞ。下手したら開拓地行きだ」

モブC「そこまでして勝ちたいっていうの…!?」


サムエル「いいや……多分違う」



サムエル「何も考えてないんだ……」



ミリウス「……バ、カ……って…」



サシャ「秘密がバレた以上、もう遠慮はなしです!」

シュッ

パン!

モブB「まずい、上を取られちゃ不利だ」


パン

サムエル「クソッ、やられた!」

 
ミリウス「サシャがいっちまうぞ」

モブA「追いつけるかよあんなの!」



サムエル「おーいサシャ!」

サムエル「教官には黙っとくけどな、洒落になんないぞそれは!」


サシャ「どうもー! 借りにしときまーす!」バシュゥ


サムエル「………」

ミリウス「絶対分かってないぞあいつ……」

 
【現在公開可能な情報】

4、孵卵腹巻

クリスタ製手編み腹巻き。保温性の高い素材で編まれている。
著しく体型が異なっていても使用できるよう後に改良が加えられた。

立体機動訓練の際は装着できないため、交替で病欠をして卵を温めている。

当然ながら、装着していると、暑い。


三着ありユミルがこまめに洗濯していることを大概の男子は知らなくて幸せ。

中断。再開は三時間後くらい。
無駄に時間かけちゃってるけど今日こそは完成させます



マルコ「お、おい待てよジャン」

ジャン「いい加減腹決めろマルコォ」


キース「何を騒いでいる……」



ジャン「……! 教官、お伺いしたいのですが」


キース「なんだ、キルシュタイン」


ジャン「訓練兵が……この兵舎のなかでペットを飼うというのは、許される可能性は……」

キース「ペット? ダメに決まっている」

キース「貴様らは心臓を公に捧げている身だ。貴様らに与えられるものはすべて壁内住民の血税で賄われている。一滴たりとも無駄にしていいものではない」

 
マルコ「その、例えば訓練兵の士気向上に役立つような場合では」


キース「くどいぞボット。そのような腑抜けた兵士など兵団にいられると思うか」

キース「第一、そやつらが巨人の餌になった後だれが世話をするというのだ?」

マルコ「……それは…」

ジャン「は……はは……そう、ですよね。失礼しました」

ジャン(そうだ……俺達は兵士だ。数年後に俺達のうち何人が生きてられる?)

ジャン(………わりぃが、他人に安全地帯を譲ってやれるほどお人好しにはなれん)


キース「誰か……ペットを飼っている訓練兵がいるのか……?」ゴゴゴゴ

ジャン「それは――」

 
マルコ「……」ゴク


キース「それは……?」


ジャン「いえ、おりません」

マルコ「!」


ジャン「そのような話題が出ていたので、アイデアの段階で否定しやめさせました。今のは、念のための確認であります!」


キース「……そうか。なら良い」


ホッ



マルコ「ジャン」

ジャン「……へ、うまいことやったろ。恨みをかってもめんどくせえからな。俺の評価もあげて、誰も困らん。万々歳だ」

マルコ「ああ、うまくやった」

 


マルコ「でも、あの卵がバレたらジャンがついた嘘もばれちゃうよ?」

ジャン「っ、バレなきゃいいんだよバレなきゃ!」

マルコ「……ああ、そうだな」


ナニ




マルコ「でも、あの卵がバレたらジャンがついた嘘もばれちゃうよ?」

ジャン「っ、バレなきゃいいんだよバレなきゃ!」

マルコ「……ああ、そうだな」




ナニワラッテヤガル


ナンデモナイ

 

―――数日後



ナック「いよいよ人数が少なくなってきた。このままじゃ女子の二の舞だ」

トーマス「あいつらの動きに対抗するにはこっちのチームワークが今一つなんだよ。同士討ちも出てる」

ミリウス「こっちで一対一であいつらを倒せるのはベルトルトくらいだ」

ナック「頼むぜベルトルト」

ベルトルト「あ……その……。うん……」


モブD「ユミルを見つけた!」

モブE「四班がサシャを足止め、三班がコニーを追ってる」


ナック「よし、俺らで逃げ場をふさぐ。頼むぞ、ユミルを仕留めてくれ」



モブF「増援が来るまで持ちこたえるぞ!」

ユミル「……なめんじゃねぇよ」ヒュッ

パン

モブF「ぐっ、ここまでか」

パン

モブ男3「畜生! あれで女かよ!」




ナック「あれだ!」

トーマス「よし、なんとか回り込めた」


ユミル「とっと、怖い人がきちまったかな」

ベルトルト「……ユミル、いくよ……」

 
バッ

ユミル「ひっ、こええ」

ダン!

ナック「うおっ、壁を蹴って!?」

トーマス「立体起動もなしに何て動きだ」

ユミル「ほらよっ!」

ベルトルト「くっ」ミシ

ブォン

サッ



ユミル「……?」

ベルトルト「……」

 
ユミル「どうした、攻めてこないのか」

ベルトルト「……僕は、あまり自分から攻めるタイプじゃないよ」

ユミル「ふーん……」

ベルトルト「なんて」

ダン!

ユミル「くらうかよ」


ユミル「あのなぁベルトルさん、いくらあんたがデキるからってそんな上の空じゃやられてやれねえぞ」

ベルトルト「な……」

 
ユミル「大方ライナーや周りに流されて参加してんだろうが……」

ユミル「これは今お前に本当に必要なことか?」


ベルトルト「……君こそ、何のために、サシャに味方するんだ」

ユミル「見くびんなよ。私は私の為に、いつだって全力でやりたいことをやる。後悔しないようにな」

ユミル「私の邪魔をするんなら、それなりの覚悟でしてくんなきゃあ困る……ぜ!」バッ

ベルトルト「っ」

ググッ

ユミル(返し技!? つかまれた、まじいっ)



ナック「よし! あの体格差だ、いくらユミルでもあそこから逆転は無理だ!」

モブF(あ、フラグ)



ベルトルト「………」



サッ

ユミル「……どうした、今、やろうと思えばやれたんじゃないか?」

ベルトルト「……君の言うとおりだ。貫き通す意志はなくても……まったく何もない訳じゃないんだね…」

ナック「お、おい、ベルトルト?」



ベルトルト「ごめん、僕は降りるよ」

…!

ベルトルト「ユミルを倒すなら多少なり疲れてる今がチャンスだ。それで……」

ユミル「待たねえぞ!」ダッ


ナック「くそっ、覚えてろよ」

トーマス「いいさ、十分だ。いこう」ダッ



ベルトルト「………」


ベルトルト「がんばれ、みんな」

パン

 
―――夜


ミーナ「ナックもトーマスも、ベルトルトもリタイア……?」

クリスタ「うん……」

ミーナ「クリスタ、どうするの……?」

クリスタ「……分からないけど、やれるだけのことはやろうと思う」


ユミル「もう諦めなクリスタ」

クリスタ「ユミル……!」

ユミル「残ってるのは、もうモb……パッとしないのばっかじゃねぇか」

クリスタ「そんなこと」

ユミル「あるよ。腕がないのは勿論気合も目的意識もない連中ばっかだ」



ユミル「そもそもだ……」グイ

クリスタ「な」

ユミル「お前……ホントに守る気あんのか……?」ボソ

クリスタ「何でっ」

ユミル「やれるだけ、なんて言葉が出るようじゃあだめだ、期待が持てねぇよ」

ユミル「嘘を吐いてるとは言わねー……が、自分で迷ってるようじゃ、人を動かす以前の問題だろ」



ミーナ(相変わらず近いなー)

 
クリスタ「……守るよ。私は、見捨てるなんて」

ユミル「思考停止するのは、見捨てるって言わないのか?」

クリスタ「……っ」

ユミル「ま……よく考えるこった。もう時間はないぜ」



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5、『サシャ、どこで寝てたの?』


サシャ『え、どこでって……あちこちですよ』

サシャ『どこにそんな場所がって』

サシャ『中庭の木の上とか、寮の天井裏とか……』

サシャ『いくらでもあるでしょう』

サシャ『え?』

サシャ『ここは虫も少ないですし気温もちょうどいいですし、何も問題ないですけど』

サシャ『立体起動装置を隠すためのコートがちょっと目立つので、それだけ大変でした』



―――書庫



クリスタ「ダメ……どの戦術も通じる気がしない……」

パタン



クリスタ「サシャとユミルが敵で………」



クリスタ「ライナーやベルトルトも、いなくなっちゃった」

 
クリスタ「迷ってる、か……」



『……無責任に生まれさせて、そいつは幸せになれるのか?』



クリスタ(私、私なんかが、この子を育ててていいのかな……)


クリスタ(もし負けたら……)

クリスタ(おっきくなって、体を切られてなんて……きっと、すごくつらいだろうな)


クリスタ(…………今、今なら………)

クリスタ(多分、何も分からないうちに………………)

 
エレン「お、クリスタ、アルミン見なかったか?」

クリスタ「ひっ」ビク

エレン「何だよ、そんな驚くことないだろ」

クリスタ「あ、ごめん……。アルミンなら、見てないよ」

エレン「……そうか。もしかして外出許可貰ったのかな……」


エレン「悪い、ジャマしたな」

クリスタ「あ……」

エレン「……ん?」


クリスタ「ねぇ……エレン」


クリスタ「エレンのお母さんって、どんな人だった?」

エレン「ああ? お袋? 何でそんなこと聞くんだよ」


クリスタ「ぁ………そう、だよね。ごめんね、変なこと聞」

エレン「優しかったよ。そんで、強い人だった」

クリスタ「!」

エレン「親父もオレも、しょっちゅう怒られてたな」ハハ


クリスタ「…………」


クリスタ「嫌な事………聞いてもいい……かな」

エレン「なんだよ」



クリスタ「エレンは、調査兵団に入りたいんだよね」

エレン「……ああ」

クリスタ「巨人と、戦うんだよね」

エレン「……ああ…!」

クリスタ「お母さん、優しい人だったなら……きっと」

クリスタ「エレンにつらい思いをして欲しくないって、思うん、じゃ、ないかな」



エレン「……まぁ…」


エレン「お袋はきっと、喜ばないだろうな……。実際、調査兵団に入りたいっての知られたときは猛反対されたし」

クリスタ「ミカサやアルミンは……応援して…?」

エレン「いいや。二人には二人の理由がある。むしろ心配かけちまってるかな」

 

クリスタ「相手は、強くて、こわくって……」

クリスタ「がんばっても、誰も喜んでくれなくて、悲しませるだけかも知れなくて」


クリスタ「それでも、戦うの……?」



エレン「………」

クリスタ「……」



エレン「まったくよ……」ガジガジ

エレン「勝手ばっかりしちまって……死んだ後天国とか地獄があるなら、俺は地獄に落ちるだろうな」

 
エレン「それでも――」


エレン「お袋や、ミカサ、アルミン………いろんな人が戦ったから、こうしてここにいられる」



エレン「戦う前に諦めて、大事なものが奪われるのを黙って見送るだけ……そんなのは…ゴメンだ」



クリスタ「………うん」

 




クリスタ「私も………………できない」


ソ



クリスタ「ありがとう、エレン」


エレン「おお? 何が?」

クリスタ「なんでもないっ」





―――兵舎・クリスタ達の部屋



クリスタ「っ………はぁ」


クリスタ「ふぅ……」パタパタ


クリスタ(この暑さも、だいぶ慣れたな)


ソッ


クリスタ(………あったかい………)


クリスタ「弱い親で、迷ってばかりで、ごめんね」


クリスタ「きっと――あれ?」

 




コツコツ


コツコツ





クリスタ「…………この音……」


クリスタ「そっか、あなたも、戦ってるんだ」

エレンはお母さんのこと母さんって言わなかったっけ、あと父さんって

>>122
ちょうど中学生時だし女の子の前でちょっとかっこつけちゃった的な…

 


クリスタ「モブE! 西の扉にバリケードを。モブ女4、この子をお願い」


クリスタ「もう私達が戦えるのは、ここしかない。立体起動も飛び道具も役に立たない狭い通路で…」


ミーナ「クリスタ、言われた通り、ここで決着をつけるって話を流したけど」

マルコ「僕ら含めて、野次馬だらけになっちゃったよ?」



クリスタ「いいの。そうでなきゃ、逃げられたら私達じゃもう止めきれない」

 

アニ「あんた……頑張るね」

クリスタ「アニ…」

アニ「どうせ報われないよ。諦めたって、誰も困らないと思うけどね」


フルフル



クリスタ「もう、決めたから」

クリスタ「誰も味方してくれなくても、みんなが敵になっちゃうとしても」


クリスタ「私は――」


アニ「…………そう」




サシャ「みーつけた」

パン!

パン!


サシャ「もう終わりにしましょう、クリスタ」

クリスタ「……負けない」

サシャ「無駄ですよ。もうあなた一人じゃないですか」


ザッ

サシャ「!」



サシャ「……やる気、ですか」

 
アニ「……まぁね」
 
クリスタ「アニ! 何で…」


アニ「………別に」

アニ「名前はあるんだ。参加したっていいだろ」





ミーナ「んもう!デレ 遅いよアニ! 大好き!」

アニ「……(やる気がちょっと失せたよ)」

 
ユミル「んじゃ、私の相手はクリスタか」

クリスタ「………」

スゥ

クリスタ「負けない!」





ザッ

クリスタ「……ミカサ?」

サシャ「ま、まさかミカサも?」

ユミル「なんだ突然」



ミカサ「見届けに来た」

  

ミカサ「私は、今まであまりこのことに真剣ではなかった」

ミカサ「でももう違う」

ミカサ「ある人に言われて心を入れ替えた」



クリスタ(……もしかしなくて)

ミーナ(エレンね)

ユミル(エレンだな)

ジャン(エレン死ね)



……



エレン『最近、クリスタたちがなんかやってんの……あれお前も関わってるよな』

ミカサ『何のことか分からない』 

エレン『まあそれはそれでいいけどよ…』

エレン『……お前、真剣にやれよ?』

エレン『なんだか知らねぇけど、かなり真剣みたいだしさ』



……

 


ミカサ「ここからは全力で審判をする」

ミカサ「とても真面目に。手は抜かない」



ミカサ「ので」



ミカサ「安心して戦ってくれていい」





一同((((……不安だ……))))

 

ヒュッ

アニ「しっ」

サシャ「なにくそっ」

バッ




ベルトルト「……すごい……」


サムエル「食べ物がかかった時のサシャは本当に半端ないな」

ライナー「対人格闘で本気のアニに張り合えるとはな」

 

クリスタ「このっ!」ブン

ユミル「おーがんばるがんばる」

クリスタ「えーいっ!」

ユミル「おほっ」タッ



フランツ「すごいなぁあの二人も」

ジャン「クリスタのやつ、あんな動けたっけか?」

マルコ「マジメにやってきてるし、運動能力も決して低くはないからね」



タン

トッ

クリスタ「!」

アニ「! ……背中借りるよ」

クリスタ「こちらこそ!」



ライナー「アレいいなぁ。アレやりたい」

ベルトルト「……背中貸そうか?」

ライナー「クリスタとやりたいんだ」

ベルトルト「………」

 
ナック「どうしたサシャ、早くせめろー!」

ミリウス「挟み撃ちにしといてびびってんなよ!」



ユミル「ちっ、どアウェイだな。人ごみに紛れて逃げんのは得意なんだがこれは……」

サシャ「日頃の行いの差が出てますね」

ユミル「自覚あんじゃねーか」



クリスタ「背中合わせで戦うって、なんか新鮮」

アニ「……巨人相手なら、対多数で囲まれてるなんて状況、もう死んでるようなもんだからね」

クリスタ「もう出来ないかな」

アニ「……二度とね。……勝つよ」

クリスタ「うん!」

 

ユミル「いちゃいちゃしてんなよ!」ガッ

アニ「嫉妬かい」グ

ビュオ

ユミル「おまっ」


ユミル「女の出す蹴りじゃねーし女に出す蹴りじゃねーぞ…」

アニ「無駄にでかいから男かと思ったよ」

ユミル「かっちーん」


…ジリ…

アニ(……挑発に乗ってはこないか)

ユミル(……奇襲が通じる気がしねぇなぁ)

 

クリスタ「サシャ、食べ物なら他にあるじゃない! どうして分かってくれないの」

サシャ「……! クリスタこそ、どうして、どうして……」

ヒュッ

クリスタ「っ」


サシャ「クリスタだって食べたかったハズです!!!」ググ


クリスタ「他に言うことなにかあるでしょ?!」グググ



モブ男「うわじょしつょぃ」

モブ女「勝てる訳なかったねー」



アニ「決めるよ」バッ

ユミル「ごめんだねっ」

クリスタ「……っ」ヨロ

サシャ「おっと」



トーマス「また入れ替わったぞ!」

ジャン「ユミルがアニから逃げたな」

マルコ「でもクリスタもサシャにやられるとこだった」

 

ユミル「ひゅーあぶねえあぶねぇ。やっぱ私はクリスタと遊んでたほうがいいわ」

クリスタ「っ、バカにして!」



アニ「ちょこまか厄介だね」

サシャ「森のどの獣より、アニのがおっかないです」

アニ「………傷付くよ」

ブオッ

サシャ「くっ」ダン

アニ「わるいね」


フランツ「抑え込んだ!」

ハンナ「でもあの体勢じゃ風船は……」

 

クリスタ「みんな、今だよ!」

サシャ「なんです?! 罠!?」

ユミル「へぇ、良い子ちゃんはどうしたクリスタ?」



ザッ


コニー「………」



サシャ・クリスタ「「コニー…?!」」

 

コニー「隠れてた奴らは全滅だぜ。さすがに天才の俺が相手じゃ役不足だったみたいだな」

モブs「「「ごめん、クリスタ……」」」


ヤクシャ,ネ



クリスタ「そんな…」

サシャ「どうして!? 抜けたんじゃ……」


コニー「そのつもりだったけどよぉ…」ポリポリ


コニー「べつにお前のためじゃねえぞ。ただ見捨てるみたいになんのは、かっこわりぃだろ」



コニー「わりぃな。サシャに助太刀するぜ!」

サシャ「ふ、ふん。今更来たって、分け前は少しですからね!」

アニ「っ」





ベルトルト「まずい、このままじゃ……!」;

ライナー「…………」スッ


ベルトルト「ライナー…!? まさか……」

ライナー「俺だってな……痛いのは嫌だ。怖いのは嫌だ。悲しいのは嫌だ」


ライナー「それでも、しょうがねぇだろ」

ライナー「やらなきゃならねぇだろ。この世に生まれちまったからには…避けては通れねえこともある」

 

ライナー「うおおおおお!」


コニー「なにっ!?」

ドカッ

ライナー「今だ!」

アニ「しっ」パン


コニー「ライナー! おまえそりゃ反則だろ!」


ライナー「ああ、そうだ。だが……俺は風船を割ってない。事故で風船が割れても、アウト、だろ?」


コニー「お……お前、それじゃ、お前……」

 



ミカサ「真面目に審判をする。痛い目にあってもらう」





コニー「ま、待てよミカサ、べつにライナーだって――」





ズルズル……

 

ズッ

メキ

ビキィ

ドゴッ

ドスッ




ベルトルト「あぁ? うあぁぁああああ」

コニー「らいなあああああああああああああ」



ライナー「」

 

アニ「あいつ……」

サシャ「また二対二に戻りましたね」




ユミル「さぁて……いよいよ頃合いだな。決着をつけようか」


シュッ


パン!


ミカサ「え………」


サシャ「……!」

クリスタ「ユミル………」


ジャン「……は?」

 
サシャ「わりぃな芋女」

マルコ「ユミルが、サシャの風船を……」

パン



ミーナ「…………これって?」

ハンナ「私たちのチームは、クリスタとアニとモブ女4が残ってる」

トーマス「サシャチームは全滅!」


ミカサ「これで終わり。クリスタたちの勝ち」




クリスタ親衛隊「「「やったあああああああああ!!!」」」


観衆「「「なんだそりゃあ!」」」

 

トム「儲けたああああああああああああ」

ダズ「俺の来週の飯ぃぃぃぃぃぃぃぃ」ガクッ



コニー「なぁ、俺とライナー損しかしてなくねぇ?」

ベルトルト「……なんというか……お疲れ」



クリスタ「分かってた」

ユミル「…ばぁか。あんたの願望と私の気まぐれがたまたま一致しただけだ」


サシャ「…………」


フゥー

サシャ「……それもいいやろ」


ユミル「……芋女……お前、まさか…?」

サシャ「なんのことです?」

ユミル「ちっ」


サシャ「私……」

ユミル「あ?」

サシャ「クリスタが私にパンをくれたのは…クリスタが神様だからって半分本気で思ってました」

ユミル「呆れた、お前本物の馬鹿だな」

サシャ「でも今は少し、違うかもって思いますよ」

ユミル「……やっぱお前、本物の馬鹿だわ」

 


モブ女4「やったねクリスタ、この子は返すよ」

クリスタ「あ……! ヒビ……!?」

モブ女4「ウソッ!?」


クリスタ「あ……多分、大丈夫」

マルコ「……ああ、生まれようと、してるんだ」




キース「おい貴様ら……何を騒いでいる」

ナック「きょ、教官!」

ジャン(まじぃ! かたまれ!)

ドッ

 

キース「ええい、どかんか!!!」



キース「それは何だ……卵、か?」

クリスタ「……ぁ…」サッ

キース「……無駄なことはするなレンズ」


ユミル(……私としたことが、油断した…どうする…?)


ジャン(くそっ……!)

 

アルミン「待ってください! 説明致します!」

ズザァ



ミカサ「アルミン!?」


キース「アルレルト……いいだろう。説明してもらおうか」

アルミン「はっ! 動物と意志疎通をはかる訓練が実施されるとの情報を耳にし、訓練の準備をすべく、パートナーとなる動物を模索していたところであります!」



コニー「……ん? んん?!」

ジャン(なんだそりゃ、聞いたことないぞ)

 
キース「……む、耳が早いな……いや……さては」

アルミン「………」

キース「ふん。まあいい。確かに、近々動物との意思疎通実験が行われるため特別に兵舎内での動物の飼育が許可される。レンズ以外に志願する者は申し出ること。以上」



一同「「「「はっ」」」」




クリスタ「アルミン……!?」

ミカサ「どういうこと?」


アルミン「クリスタなら、きっと卵を育て上げると思ったんだ。でも、騒ぎを起こさずに隠し通すのは難しいだろ」

アルミン「公然と飼えるようになれば……なんて思って、ダメ元で、打診してみたんだけどこんなにうまくいくとは思わなかったよ」

マルコ「打診って……前に僕らが教官と話した時は、取り付く島もないって感じだったけど」

 
アルミン「それはそうだよ。教官だからって、訓練兵のルールをそうそう変える訳にはいかないだろ?」

アルミン「だから、ルールを変える権限と理由を持ってる人に直接訴えたんだ。エルヴィン・スミス調査兵団長さ」

アルミン「革新的な人だって聞いていたし、壁外調査に備えてトロスト区によく出入りしていたから、伝えるチャンスはあった」

アルミン「巨人は人類以外の生物には一切の関心を示さない。この特徴を活かして、馬以外の生物も訓練できれば巨人討伐の役に立てられないかって」

アルミン「この地区の司令まで、乗り気になってくれたらしい」


クリスタ「じゃあ……」

ジャン「つまり、そいつが育つのに、もう何の障害もないってわけだ」

コクッ

アルミン「結果的に、だけどね」

 
クリスタ「アルミン!」ギュッ

ユミル「うぎぎ」

ミカサ「私は分かっていた。アルミンはすごい」


マルコ「すごいね、思いついてもなかなかやれないよ」

トーマス「訓練兵の意見を採用するその団長もスゴイな。さすが調査兵団ってとこか」


サシャ「良かったですね」

コニー「お前そんな物分り良いやつだっけ?」

サシャ「教官に取り上げられてもいいことないですし」


ギィ

キース「ちなみにサシャ・ブラウス……この後私の部屋に来い」

バタン

 
サシャ「………」



サシャ「もしかして、代わりにお肉くれるんでしょうか!?」


コニー「……俺バカだけどよ、それだけはねぇって分かるぞ」

サムエル「サシャ……がんばれ」

ユミル「……あーその、なんだ。あの教官なら追い出されはしねぇだろ。私も付き合うわ」

 
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6、キース・シャーディスの手記


○月×日


以前キルシュタインが聞きに来て以来、隠れてペットを飼っている者がいるのではないかと疑っていたが、果たして今日、孵化寸前の鳥の卵を隠し持っているところを発見した。

その件とは関係ないと誤魔化していたが、おそらく知っていたのだろう。証拠がないため罰則は下せないが、あっても私が罰則を与えたかは疑問が残る。訓練兵の成長は、嬉しいものである。


しかし、今日はそれより遥かに怖ろしい一件が発覚した。


立体機動装置の不正使用である。

また、ヤツだ。

冗談でけしかけたというもう一名ともども、一週間の飯抜き、反省文、一ヶ月の追加訓練を与えた。


しかし本来はそんなもので代替できるはずもない。開拓地送りどころか兵法会議に送られかねない重罪だ。
ヤツには飯抜きのほうが応えるだろうが


特別に訓練に使用する許可を与え、その時間を超過したことにしておく。
104期生には、寿命を縮まされてばかりである……。

×訓練

○自主訓練

中断。もう少しで終わり

 

―――兵舎・アニたちの寝室



アニ「………妙な気分だね」


サス


アニ「……妙な気分だ」


アニ「もうすぐ、こっから生まれてくるわけか」


アニ「あんた……どうなるだろうね。この世界は、楽じゃないよ」


アニ「………」

 

アニ「まぁ少なくとも、ここにはあんたの味方が山ほどいる」


アニ「それだけは――って、我ながら何を言ってんだか…」


アニ(言葉以前に、音はもう聞こえてんのかね)


アニ(鳥なら耳はいいはずだけど…。)


アニ「………」


アニ「~~~♪」






ミーナ「でねでね、アニってばすごいキレイな声で歌ってたんだよ」

ハンナ「へぇぇ、意外ー」

 
ミーナ「もう、かわいいの。完全にお母さんって感じで――」

アニ「ミーナ」

ミーナ「!」ビクッ


アニ「対人格闘訓練……組もうか。」

ミーナ「ま、待って、ゴメン、許して、アニ」

アニ「遠慮なんかしなくていいよ」





「」ナーミ



ライナー「……ほぅ、なかなか」エロイナ

ジャン「言ってる場合か、医療班ー!」



―――兵舎食堂



コニー「おお、生まれそうだな」

アニ「見えないよ。少しどきな」

ベルトルト「ご、ごめん」

サシャ「私もお祝いして、いいんでしょうかね?」

クリスタ「もちろん。大歓迎だよ」

マルコ「いよいよだね」

アルミン「休日のタイミングで良かったね」

ミーナ「もうちょっと……」

ユミル「もう姿もほとんど見えてるじゃんか」ヒョコ

 

ライナー「さぁ、クリスタ。一番に顔を見せてやれよ」

ハンナ「この子のお母さんは、やっぱりクリスタだよ」

クリスタ「うぅん、この子が成長できたのは、みんなのおかげだよ。みんなが、この子のお父さん、お母さん」

アニ「じゃ、じゃあ……誰が真っ先に顔を合わすっていうのさ」

クリスタ「なにか、公平な方法がないかな」


ジャン「ジャンケンででも決めりゃいいだろ」

一同「「「それだ」」」

 

ジャンケンポン! ジャンケンポン! ジャンケンポン!

ジャンケンポン! ちょ、今パーが勝ってない!? いやモブEチョキ

モブの分際で……

ひでぇ


アルミン「少ないもの勝ちすれば?」

一同「「「それだ!」」」


一同「「「少ないものがーち」」」


123……

 
ピッタリ!?

フランツ「奇数に分けるかい?」

マルコ「いや関係ないよ繰り返そ」



カーチ! カーチ!

ジャンケンポン! アイコデショ!

ッショ! ッショ! ッショ!

 

エレン「……」スタスタ

エレン「ん、なんだこれ? この卵割れてんぞ?」

エレン「おおっ、ヒヨコか」

エレン「はは、元気に鳴いてら」

エレン「うわっ、なんだこいつ! ついてくる!」

エレン「やめろよ! 踏みつぶしちゃうだろ!?」




クリスタ「…………」

サシャ「…………」



アルミン「………」ハァ

 



一同「「「「ええええれえええええんんんんんん!!!」」」」

エレン「!?」ビクッ

 
~エピローグ~






キース「……………」

エレン「………?」



キース「わからないなエレン・イェーガー……なぜ貴様は…」



キース「……頭にヒヨコを乗せている…?」

 
エレン「はっ、動物との意思疎通を計る訓練のため、レンズ訓練兵より譲り受けました!」

キース「……これから立体機動の訓練を行う」

エレン「はい!」

キース「もう一度聞くぞ。なぜ頭にヒヨコがいる?」

エレン「え……」

ハッ



ドン!


エレン「私は! 今はヒヨコでも、必ずや自由の翼の一員となり――」


エレン「巨人をこの世から駆逐してみせます!!!」


ピヨッ!

 


キース「……そ、そうか………」



キース「………励むといい……」

エレン「ハイ!」

 



――

―――

シュバッ

ジャン「あ、あいつ……ヒヨコを乗せながら立体機動してんぞ」

シュッ

コニー「エレンがすげーのか……ヒヨコがすげーのか……」



ミカサ(かわいい)





ちゃんちゃん

 

終わりです。
ちょっとした思いつきに時間かけすぎた


コメントありがとうございました

 

ぱくり元:

諫山創『進撃の巨人』1~11巻
佐々木倫子『動物のお医者さん』10巻第94回



勘付かれるとは思ったけど速攻で動物のお医者さんコメント付いた時はちょっと焦った



ほか細かいネタ元等は自ブログ掲載予定

このSSまとめへのコメント

1 :  ✨リヴァイ✨   2014年12月27日 (土) 21:14:01   ID: ZUxKw3Ue

面白い!!エレン頭にヒヨコ乗せてるとか想像しただけでかわいい☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ でもクリスタ可哀想(⌒-⌒; )そしてサシャが少し嫌いになった(♯`∧´)また動物シリーズ書いてください!!猫とか!!

2 :  SS好きの774さん   2015年12月10日 (木) 16:37:16   ID: 3QzrO8u4

↑お前絶対クリスタだろ

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