みほ「エリア88?」 (400)

ガールズ&パンツァーとエリア88のコラボSSです

本来風間真のポジションにみほがいます

真はこのSSでは契約書にはサインしてません

みほの性格が若干違いますがなってますがそれは戦場にいるからだとでも思ってください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372371583

砂漠———
群れを成し進軍する反政府軍の戦車大隊の前に一台の戦車が立ちはだかる

みほ「こちら00セクション西住!こちら00セクション西住!」

応答はない…電波が悪いのだろうか基地との通信が繋がらない、だが彼女は慌てずに続ける

みほ「え〜と…私の獲物に手を出さないでください!」

いまいち緊張感のない言葉が戦場を走るが彼女の実力は本物だった

瞬く間に敵軍の戦車大隊をたった一台の戦車で撃破し全滅させたのだった

彼女の名は西住みほ…出自は戦車道西住流の家元でありかつて黒森峰女学院で副隊長だったが今はここアスラン王国政府軍の外人部隊エリア88に所属する戦車乗りである

エリア88———

エリア88に帰投したみほの前に一人の老人が待ち構えていた

マッコイ爺さん「ようみほ随分と稼いできたじゃないか、それじゃさっそく商売といこうか」

みほ「マッコイお爺さん…」

マッコイ「いい弾が手に入ったんだが5000でどうじゃろ?」

みほ「ちょっと高いな…3000で」

マッコイ「悪いがこっちも商売でな4000に負けてやる」

みほ「じゃあ3500」

マッコイ「ふんまあいいわい、みほはお得意さんじゃしのうそれで手を打とう」

みほ「ありがとうマッコイお爺さん、それじゃついでに整備代も入れて
私のターゲットチップから引き下ろしておいてください」

マッコイ「はいよ毎度あり♪」

そんな二人のやりとりを一人の男が一部始終覗いていた

ミッキー「ようあんたがエリア88の撃墜王みほ西住かい?俺はミッキーサイモン戦闘機乗りだ、
今日からここで世話にならぁ!よろしくな」

みほ「は…初めまして西住みほです」(ミッキーてあの千葉の鼠さんじゃないよね?)

ミッキー「ここに来たからにはたんまり稼いで余生を遊んで暮らしたいもんでね」

みほ「まぁ目標金額は知りませんけど3年間の兵役内で頑張って稼いでください…」

ミッキー「連れないねぇ…あんた見たところハイスクールの学生みたいだけど
もっと人生楽しんだ方がいいんじゃないのかい?」

みほ「私たちは外人部隊… 紙キレよりも薄い己の命… 燃えつきるのにわずか数秒…」

そう言い残しみほは自分の部屋に言ってしまった

ミッキー「あの娘、顔は笑ってたが目に光がなかったな…あれがJAPANでいうレイプ目ってやつか?」

マッコイ「新入りや、みほに手を出すならやめときな
ここには奴さんの隠れファンが多くてな手を出したら即袋叩きよ」

ミッキー「いや俺ロリコンじゃないから…」

マッコイ「それともう一つ忠告だがこのマッコイ商会から代金を踏み倒そうだなんて思わんでおくれ、
以前ここに神崎って男がいたんだがそいつがとんだケチな男でなわしの商売にいちゃもんつけて
代金踏み倒したから燃料の代わりに水を入れてやったら墜落して死んだよ…
ここはエリア88、金で命を買えれば安いものはないさ」

ミッキー「違いねえや…」

マッコイ(そういえばあの男いつも『俺は契約書なんか知らない!気が付いたらここにいたんだ!
真に騙されたんだよ!?』とか愚痴を抜かしておったが何の事じゃったのかな?
おっといかんいかんここはエリア88他人の過去に触れてはならん場所じゃった)

とりあえずここまで
昨夜上げるはずだったのに寝落ちしてまいました
とりあえずみほがエリア88の世界に放り込まれたと思ってもらえれば今のとこ充分です
エリア88の方も原作の話全部取り上げる事も出来ないのでかなり端折りますがその辺ご理解ください

部屋に戻ったみほはカレンダーに印をつけながら眺めていた

みほ「あと2年と3か月…嫌だもう耐えられない!人殺しなんてたくさんだよ!
早く日本に帰りたい!!」

突然泣き崩れるみほはあの日の出来事を思い出す
戦車道全国大会決勝戦で黒森峰対プラウダの試合のあった夜の事を…

その日みほは一人敗北した責任を感じ落ち込んでいたが同じくチームメンバーの逸見エリカに誘われ夜のバーに飲みに来ていた

みほ「あのエリカさん私たち未成年だけど…」

エリカ「副隊長ったら固い事言わないでください!こういう時はパーッと飲むのが一番なんだからさぁ!」

みほ「じゃあちょっとだけ」グビッ

10分後———

みほ「だからねぇ私はあの人命救助が間違ってないと思ったからやったろぉ!」

エリカ「ハイハイ」(フラッグ車のアンタが味方放り出してんだから悪いに決まってるでしょ!)

みほ「それなのにお母さんったら『勝つ事が西住流』とか言ってさぁアンタ頭おかしいよ!」

エリカ「ハイハイ」(勝つ以外に何があるっていうのよ…)

みほ「お姉ちゃんもさお母さんの隣でうんうん頷いてるだけでアンタはお母さんのYESマンかっての!」

エリカ「ハイハイ」(ブチッ隊長の悪口は許さん!…落ち着けエリカここで短気を起しちゃ駄目!)

みほ「う〜ん!いっぱい叫んだら気が晴れたよありがとエリカさんzzz」

エリカ「ちょっと副隊長起きてください!起きてこの『外泊証明書』にサインするんです!」

みほ「何でそんなの書くの〜?」

エリカ「だって今夜はオールナイトでしょ?」

みほ「わかった書くよ(カリカリ…じゃあお休みムニャムニャzzz」

エリカ「ええお休みなさい、そしてさよなら…元副隊長さん」

その直後バーから出ていくエリカと入れ替わりに謎の黒服の男が現れみほを何処かへ連れて行ってしまった

??———

みほは見覚えのない場所で目を覚ますと一人の男がそこにいた
男はそこいらの女よりも長い長髪でおでこには十字傷があった

??「起きたまえ、みほ西住」

みほ「はぃ?お早うございます…ってここ何処ですか?」

??「ここは中東のアスラン王国、その地獄の最前線エリア88だ」

みほ「アスラン?エリア88?黒森峰じゃなくて?」

サキ「私の名はサキ、このエリア88で司令官をやっている。
みほ西住、キミは本日からこのエリア88の外人部隊に配属された」

みほ「何を馬鹿な事言ってるんですか?ふざけるのもいい加減にして下さい!」

サキ「悪いが冗談ではない、キミはこの契約書にサインをしたはずだ」

そういってサキは昨夜みほがエリカに言われてサインした『外泊証明書』を出す
だがよく見るとそれは『外泊証明書』などではなかった

その書類は傭兵契約の契約書で向う3年はアスラン政府軍に従事しなければならず
もし自己都合除隊したければ違約金150万ドル払えというとんでもない内容だった

みほ「そんな…じゃあ…ここは本当に日本じゃないの…」

顔から血の気が引いて驚愕するみほにお構いなくサキは話を続ける

サキ「キミは日本の黒森峰という戦車部隊で副隊長だったそうだがその経験を生かしこれからさっそく実戦に出てもらう」

みほ「あの…私は間違いでここに…」

サキ「知っての通り我がアスラン王国は現在反政府軍と内戦中でキミの任務はこの反政府軍の壊滅だ
何か必要なものがあればマッコイに頼め、ミサイルからトイレットペーパーまで何でも揃えてくれるはずだ」

みほ「いや知らないから…ていうか話を聞いてください!」

サキ「最後に言っておくがもし逃亡すれば銃殺刑だ」

こうしてみほは戦闘機編成が中心のエリア88でただ一人戦車乗りになりわずか9ケ月でエリア88のNo.1とまで謳われた

全てはこのイカれた戦場から出て行くために必要な違約金150万ドルを稼ぐために必要な事だった

乙?

ヤダーこれじゃ名前の読み方が違うだけでこうも人生が違うのかって台詞が言えないじゃないですかー

>>6
ちょっと間違えました
みほがエリア88の世界に放り込まれたじゃなく
もしもみほが大洗に転校ではなくエリア88の外人部隊に配属されたらと解釈してと
そう言い直します
>>13
微妙かと思われますが本当ご理解ください
>>14
確かアニメネタ?
ちなみに両作品ともサブキャラで同じ名前のキャラがいますが今のとこネタにしづらいです…

作戦室———

サキ「今夜反政府軍の地対空ミサイル基地攻撃を破壊する」

みほ「サキさん私は今回作戦から外れます」

サキ「みほ、命令違反は罰金5000ドルだぞ」

ミッキー「おいおいみほ!エリア88の撃墜王が何怖気づいてんだよ?」

みほ「私の戦車は旧大戦からの�号戦車だからまともに戦闘機と相手してたら命が幾つあっても足りませんよ…」

ミッキー「まぁいいや…悪いがみほ俺はこの作戦に参加さするよ、ギャラもよさそうだしな」

誰もが作戦参加に意欲を唱える中みほと同じく作戦に参加しない男が一人いた

ボウマン「へへ…悪いがサキ俺もパスさせてもらうわ、機体の調子が悪くてさ」

サキ「ボウマン…キミのターゲットチップは2000だぞ、罰金5000ドルにはあと3000ドル足りないが?」

ボウマン「そんな…ちょっと待ってくれ誰か金貸してくれ!」

シーン

ジェフ「しょうがねえ…俺が貸してや…」

みほ「いえボウマンさん私があと3000ドル貸してあげますよ」

ジェフ「おいいいのかみほ?ボウマンは貸した金は絶対に返さない男だぜ」

みほ「ありがとジェフさん…けど大丈夫心配しないで」

ボウマン「ヒャッハー!地獄に女神様とはこの事よ!ありがとなみほ愛してるぜ♪」

「あ”ぁ!?」

その瞬間エリア88の外人部隊全員からの殺意がボウマンに一点集中した

グレッグ「俺の娘のみほに手出したらタダじゃおかねえ!ブルドーザーで轢き殺してやるよ!」

バクシー「お前の娘じゃねえ!?俺の妹だ!!」

フーバー「俺はドイツ人でみほはドイツ製の�号戦車に乗っている…つまり俺とみほは同じドイツの同胞だ!!」

ウォーレン「俺この作戦が終わったらみほにフォークギターを聞かせてやりたいんだ」

ケン「馬鹿やめろ!それはジャパニーズ死亡フラグだ!」

グエン「まぁお前ら落ち着け、いざとなれば俺が20mm弾ブッ放して蜂の巣にしてやるよ」

キャンベル「いや俺が奴さんの四肢を捥ぎ取って義手にしてやるぜ!」

ボリス「誰も俺の部屋の電灯を消さないでくれ」

ボウマン(今すごい殺気を感じたような…)

サキ「話を戻して作戦は10分後だ、ハイエナどもよ!金が欲しければさっさと準備をしろ!」

ヒューン、ヒューン、ヒューン

エリア88から一斉に戦闘機が飛び立ち辺りはガランと静まり返った

ボウマン「どうやら今基地にいるのは俺たちだけになっちまったようだな、
どうだいみほ?今夜は二人っきりでベッドに…」

ヴィー
ヴィー
ヴィー

ボウマン「何で警報が鳴ってんだ!?」

みほ「無防備になったこの基地に敵が攻めてきたからに決まってるじゃないですか」

ボウマン「おいみほお前何を言って…って何で�号で出撃してんだよ!?」

みほ「だって同じ危険な任務なら稼ぎのいい方取るのは当然でしょ?」

ボウマン「まさかお前押し寄せてきた敵を独り占めしようって腹か!?
この腹黒い女狐めこうしちゃいらんねえや!俺も出撃するぜ!!」

みほ「敵は戦闘機約20機か…ボウマンさんは…」

ボウマン「悪いなみほ!獲物は全部俺が頂く!お前は地べたで羨ましそうに拝んでなヒャッハー!」

だがボウマンは自身の機体が不調だった事を忘れていて敵の格好の的になってしまった 

ボウマン「おいみほ助けてくれ!これじゃ死んじまう!?」

みほ「死んでください」

ボウマン「何だって!?…何言ってんだよ助けてくれ俺たち仲間じゃねーか」

みほ「あなた調子の良い事言ってジェフさんの事盾にしようとしたでしょ…
そんなあなたの事信じられますか?」

ボウマン「まさか3000ドル肩代わりしたのは…」

みほ「3000ドルであなたの命を買ったんですよ」

ボウマン「ちくしょー!!!!!!!!!!!!」

みほ「それが嫌なら借りたお金ちゃんと返してくれるって約束しましょうね」

ボウマン「え?」

ボウマン機が囮になってくれたおかげで敵機に対し集中砲火を浴びせるみほ
まもなく敵は全滅した

みほ「わかりましたか?」

ボウマン「はぃ…」(神だ…神がいる!)

数時間後攻撃隊がエリア88に帰投した

サキ「みほ…たった一人で基地を守ってくれたそうだね、いつもの倍の報酬を払おう」

みほ「ありがとうございます、えへへ儲かっちゃった♪」

ジェフ「ところでボウマンの糞野郎はどうしたんだ?」

サキ「あのクズめ性根を叩き直されたのか皆からの借金を返そうとしてるぞ…何があったんだ?」

ミッキー「みほ…お前さんボウマンの野郎を助けたんだってな、あんな嫌なヤツに何でそんな真似をするんだい?」

みほ「人に裏切られるのも人を裏切るのもたくさんだからです…」

そしてみほは�号に目を向けた、この戦場で唯一信じられるものに

第1話完———

日本
黒森峰学園艦———

副隊長西住みほが謎の失踪という事態になり一時はチームが騒然となったが
逸見エリカが副隊長に就任し事態はようやく収まった
今日は聖グロリアーナ女学院との練習試合があった

しほ「逸見エリカ、今日はあなたの副隊長としての実力を試させてもらいます
黒森峰の…いえ西住流の名に泥を塗らない戦いをなさい!」

エリカ「ハッ!」

A子「逸見副隊長張り切ってるね」

B子「そりゃ練習試合とはいえ逸見先輩が副隊長に就任してから初の他校との戦闘だから
いいとこ見せようと張り切ってるんじゃないの」

C子「それに引き替え西住隊長は…」

まほ「ハァ…みほ…今は何処に…」

D子「すっかり塞ぎ込んでるね、みほさんの失踪以来いつも心が上の空だし…」

E子「噂じゃバーで密会した黒ずくめの男と駆け落ちしたとか」

みほへの勝手な憶測が流れてる中いよいよ相手選手との対戦が始まる

ダージリン「ごきげんよう黒森峰の皆様」

エリカ「来たわねグロリアーナのイギリス被れさん!今日はやられに来てくれてどうもありがとう」

オレンジペコ「安い挑発ですね」

ダージリン「構いませんわ、私たちはどんな相手にも…」(チラッ

まほ「みほ…何処行ったの?お姉ちゃんがすぐ行ってあげるからね…」(ウッウッグスッ

ダージリン「えー…どんな相手にも全力を尽くしましてよ!」

エリカ「ちょっとA子!隊長は戦車の中に隠しとけって言ったでしょ!
何で表に出してんのよ!?」

A子「すんません!けどあんな泣きべそ掛かれたら近寄りがたくて…」

ダージリン「あの…よろしくて?サンダースやプラウダのような下品な…」

エリカ「うっさい!今取り込んでんだから黙って茶でも飲んでろ!!」

ダージリン「シュン…何もそんな怒らなくたって…」(ウルウル

ペコ「ハイハイダージリンさまお茶ですよ、あっちは恐いですから近付かない様にしましょうね」

ダージリン(せっかくカッコよく決めようと台詞考えてきたのに…)

一方エリア88———

こちらではマッコイ爺さんがみほにミサイルを叩き売りしていた

みほ「まったくマッコイお爺さんたらこんなに私たちからむしり取ってると死んだら地獄行きだよ」

マッコイ「ここは地獄の一丁目エリア88じゃよ、これ以上何処に堕ちろと言うじゃ?」

みほ「それもそうだね、でいくらなの?」

マッコイ「そうこなくっちゃ!50発で1000ドルじゃ!」

みほ「安すぎだよ…不良品じゃないの?」

マッコイ「おいおいみほよわしが一回でも飛ばないミサイルを売りつけた事が…」

ボリス「飛んでも爆発しないのがあったな」

みほ「ボリスさん…ごめんお爺さんこの話無かった事にして」

マッコイ「ちょっ…みほ…商売に水を刺さんでくれボリス!」

ボリス「俺たちはいつも命の駆け引きをやってるんだ、不良品は命取りになるんでな」

部屋に戻るボリスを見るみほとマッコイ

マッコイ「おいみほ、ボリスが電灯付けたまま寝るってのは本当かい?」

みほ「前に聞いたけど暗くすると二度と闇から出てこれなくなって恐いんだって」

マッコイ「ヒッヒヒw鬼のようなツラして恐いとはなぁw」

ミッキー「おいマッコイ爺さんコッチコッチ!」(コイコイ

マッコイ「うん?何じゃ?」

マッコイ「毎度あり♪ミッキーは話の分かる男で安心したよ」(こいつはいいカモになりそうじゃのフヒヒ)

ミッキー「ところで爺さんよぉ、みほにミサイル売りつけてたけどあいつの戦車ってドイツの�号戦車だろ
ミサイルなんか搭載出来ないんじゃねえのか?」

マッコイ「何じゃいお前さん知らんかったのか?みほの�号は火力増強のために外付けで
ミサイルや火炎放射器を取り付けられるようにカスタム化されとるんじゃよ」

ミッキー「なるほどそれがエリア88撃墜王の秘訣ってわけか?しかし何だってまあそんな稼ぐわけよ?」

マッコイ「まぁ他人の事情なんて知らん方がいいと思うが…
ここだけの話みほは違約金の150万ドルを稼ごうと必死になってるらしいぞ」

ミッキー「はぁ?自分から戦場に来てわざわざ違約金の150万ドル稼ぐってどういう事だよ?」

マッコイ「なんでもみほのヤツ自分からエリア88に志願したわけじゃないらしいとか…まあ詳しい事はわからんがな」

ミッキー「本当この基地は色んな事情を抱えてるヤツがいるんだな」

作戦室———

サキ「次の攻撃目標を伝える、ポイント2-Cの反政府軍の秘密基地だ」

グレッグ「悪魔の口に飛び込むのか?」

バクシー「あそこはそばを通っただけでミサイルがうじゃうじゃ飛んでくるところだぜ!」

サキ「明日午後アスラン国空軍が作戦を展開する、そのためにこの基地を叩き空軍の被害を最小限にする必要がある」

ジェフ「ヘッ俺たちは正規軍の犠牲になるってわけかよ」

ケン「やべえ仕事ばかり俺たちに回ってくるな」

サキ「キミたちは我がアスラン王国が金で雇った外人部隊だ、その事を忘れるな」

みほ「だからって…」

サキ「希望者は名乗り出てくれ、報酬はいつもの倍出そう2万だ」

この瞬間全員の目つきが変わり即座に出撃準備に入った
中でも一番早くに飛び出したのはみほだった

ウゥゥゥゥゥゥ!

反政府軍の秘密基地に警報が響く

兵士A「来たかエリア88のハイエナどもめ!だがこの基地は簡単にはやらせはせんぞ牙を出せ!」

ボウマン「ヘッ!一番乗りはこの俺だ…何だ地上から…ギャー!!」

突如地上から出てきた巨大バリケードが戦闘機の行く道を塞いだのだ

兵士A「フハハハハ!どうだ外人部隊!!」

兵士B「大変です敵の戦車がバリケードを強行突入…いえ上空からも戦闘機が2機侵入!?」

兵士A「馬鹿な空軍編成のエリア88に何で戦車が…まさかその戦車はエリア88の撃墜王みほ西住!?…ギャー!!!!」

ドカーンドカーン

みほたちの侵入を許したと同時に敵基地は瞬く間に破壊され爆発に巻き込まれない様
エリア88の外人部隊はすぐにその場を撤退した

ボリス「さすがだなみほ、まさか戦車で突撃して強引にあの鉄の牙を突破するとは…
おまけに墜落したボウマンも助けるなんて大したヤツだよまったく」

みほ「ボリスさんこそ翼を畳んで鉄の牙を潜りぬけるなんて神業ですよ」

ボリス「しかし何で敵の戦闘機がいなかったんだ?」

ミッキー「そいつは俺が上空で蠅叩きしてたからよ!」

みほ「ミッキーさん!?」

ミッキー「そういう訳で賞金は3人で山分けだな!」

ボウマン「あの俺の分は…?」

だがボリスは違った

ボリス「いや賞金は二人で山分けだ」

みほ&ミッキー「「なに!?」」

ボウマン「俺と二人で?」

みほ「ボリスさん!ミッキーさんの援護が無ければ私たちは今頃…」

ミッキー「もういいよみほ、どうせこいつはこういう男だったのさ
俺はそんなはした金お断りだね!」

みほ「だったら私もお断りです!ボリスさんそんなお金はあなたに全部上げます!」

ボウマン「なら俺が…」

ボリス「フフ…フハハハハハハ!この早とちりの馬鹿野郎どもめ、俺が二人でと言ったのは…グフッ
お前たちで分けろという意味だ」

吐血するボリス、よく見るとボリスの機体は敵の砲撃により既にボロボロであった

みほ「ボリスさん!?」

ボリス「友だちってなあいいもんだ…特に…生死をともにした友だちってのは…
一生のうちにそうザラに出来るもんじゃない…
そんな…友だちでも…いつかはどちらかが先に死んじまうのが戦争だ
せつないよなあ…自分一人生き残るなんて…だから…友だちは作りたくなかったんだ…
一人だけ生き残る寂しさは…もうたくさんだ…
”よう、ボリス…元気か!?”って…。
でも…もうそれもおしまいだな…やっと、ゆっくり眠れそうだ…」

みほ「ボリスさん諦めないで!」

ボリス「みほ…かえったらおれの部屋の電気…消しといてくれよな…」

みほ「そんなの自分でやってください、ミッキーさんボリスさんを助けますよ!」

ミッキー「おうよ任せとけ!」

ミッキーはボリス機に自機を近づけで既に引火してるボリス機の燃料タンクとコクピットを分断させる荒業をやってのけた
更に続けてみほが�号の75�砲で地上の砂地に着地場を作りボリスをなんとか救出する事に成功した

ボリスの部屋———
ボリスは一命は取り留めたものの結局かなりの重傷を負ってしまった

ボリス「どうやら俺はまた死に損なったようだ…」

ミッキー「まぁまぁ…だがこれで約束通り賞金は『3人』で山分けだな!」

サキ「出撃数16機、未帰還機2機…だが死亡者は0とはさすがだなみほ
次の作戦まで休んでてくれ」

そういってボリスの部屋から出ていくサキ

ミッキー「なんでぇ愛想が無いヤツだな…まあ俺たちもそろそろ退散しようかみほ」

ボリス「その前にみほ…ひとつお願いがあるんだが…」

みほ「どうしたのボリスさん?」

ボリス「やはり…俺の部屋の電灯消しておいてくれないか?」

みほ「うん!」

ミッキー「さぁ行くぜみほ」

みほ「お休みボリスさん」(カチッ

ボリスの部屋の電灯は消された

第2話完———

日向ぼっこを楽しむマッコイ爺さん、そこへミッキーが整備を依頼しにきた

ミッキー「なぁマッコイ爺さんパイロンにサイドワインダーを付けといてくれ」

マッコイ「あいよ、なぁミッキーそういえば聞いたかい?
あと2万ドルでみほのカードが150万ドル貯まるってよ」

ミッキー「へぇー!あいつもうそんなに貯めたんかよ!」

ドドドドドド
そんな二人の前を横切りみほの�号が出撃する

マッコイ「噂をすれば奴さんだ、どうやら出撃らしいぞ」

ミッキー「おいみほは昨夜も作戦に参加してたぞ」

マッコイ「大したタマだよありゃ、よっぽど戦争が好きなんだろうさ」

ミッキー「そんなわけねえだろ」

マッコイ「ヤツが大したヤツなのはそれだけじゃない
通常戦車ってヤツは操縦手、砲撃手、装填手、通信手、そして車長と計5人は必要だが
みほはそれを一人でこなしてる、あいつは正真正銘の化け物さ」

ミッキー「マジかよ!一体何者なんだあいつは?」

グレッグ「おいミッキー見てみろよ新人が編隊組んでやってきたぞ」

マッコイ「ありゃBACライトニングじゃないか、また古い機体で戦争しにきたもんだ」

機体から降りるパイロットたち
3人とも黒人の人種でありいかにもな風貌であった

フーバー「聞いたかヤツら正規軍が送り込んだ脱走兵殺し(エスケープ・キラー)だって噂だぜ」

ミッキー「サキの野郎汚ねえ真似しやがる…そうだサキといえば…おいサキ!」

サキ「どうしたミッキー?」

ミッキー「何でみほを止めない!?これじゃ過重労働だぜ!」

サキ「どの作戦に参加しようが個人の勝手だ、私の口出すところではない」

ミッキー「でもよぉあいつはまだガキなんだぜ」

サキ「このエリア88から出ていくには3年間の期日を生き残るか150万ドルの罰金を払うか
…脱走するかだ」

その時エスケープ・キラーの一人がピクリと反応したがミッキーを含め誰もその事には気づかなかった

日本———
相変わらずまほはみほの不在に嘆き落ち込んでいた
ついにはみほが可愛がっていた凹られ熊のボコをみほの代わりに可愛がっていた

まほ「うふふみほ…お姉ちゃんの事大好き〜?」

裏声『うんみほはお姉ちゃんの事大好き〜♡』

まほ「じゃあこれから一緒にご飯食べようか〜?何がい〜い?」

裏声『カツが食べたい』

まほ「みほは食いしん坊さんだなけど可愛いから許しちゃうぞ〜♡」

菊代「御労しやまほお嬢様…みほお嬢様が蒸発してしまったばかりに…」

心配した菊代はまほに気分転換に旅行に出かけようと提案する

菊代「ほらお嬢様…ヨーロッパに旅行に行きましょう
今のお嬢様に必要なのは療養なんですから!」

単なる思いつきで出たヨーロッパ旅行だがこれが思わぬ事態を呼ぶとはまだ誰も知らない…

エリア88———

無事作戦を終え帰投してきたみほだが�号はボロボロで既に車内では家事が発生していた

マッコイ「大変じゃみほの�号が燃えとる!このままじゃみほが焼け死ぬぞ!?」

ミッキー「こうしちゃいられねえ!野郎ども行くぞみほを助けるんだ!!」

グレッグ「おうよ!俺の愛娘を死なせてたまるか!」

バクシー「だからお前の娘じゃなく俺の妹だって!」

フーバー「若きドイツの同胞が戦車を棺桶に死なせなどさせんぞ!」

ウォーレン「みほ死ぬな!俺はまだお前にフォークギターを聞かせてないんだぞ!」

ケン「だからジャパニーズ死亡フラグを立てるのはやめろ!?」

キャンベル「みほよ…もし腕を切断する事になったら御揃いの義手に…」

グエン「20�弾喰らわされたくなきゃそれ以上口にすんじゃねえ」

ボウマン「みほよ死ぬなよ!お前が死んだら3000ドル踏み倒しちまうぞコラ!?」

ボリス「みほよ…お前が死んだら誰が俺の部屋の電灯を消してくれるんだ!」

サキ「馬鹿どもが落着け、みほは自力で出てきたぞ」

ミッキー「みほ!無事だったか!?」

みほ「心配してくれてゴメンなさい…けど私の�号は…」

マッコイ「駄目じゃこりゃ、スクラップになっちまったよ」

みほ「マッコイお爺さん…なんとか修理出来ないの?」

マッコイ「悪い事は言わん…買い換えた方が早いな」

みほ「そんな…2万ドル焦った結果がこの有様だなんて…」

ジェフ「気を落とすな、命があっただけでもよかったとすべきだぞ」

みほ「また…また人殺しをしなきゃいけないだなんて…」

みほはそう呟きながら深く落ち込み自分の部屋に戻ってしまった

ミッキー「みほのヤツここんとこ見せなかったがまたレイプ目になって大分落ち込んでたな…
ありゃひょっとするとやばいかもしれねえぞ」

その夜誰もが寝静まった基地でみほはエリア88からの脱走を決行しようとした

みほ「もう人殺しなんてたくさん…私は日本へ帰るんだ!」

だがそんなみほを待ち構えている男たちがいた

みほ「エスケープ・キラー!?」

エスケープ・キラー(A)「ミス西住、こんな時間に散歩かね?」

(B)「それとも脱走かな?」

(A)「事情は大体わかってる、だが脱走しちゃいけない」

(B)「第一逃げ切れるもんじゃない」

(C)「今まで俺たちの囲みを突破できたヤツはいないよ」

(A)「まぁ助けを呼びたくてもこれから脱走しようとするアンタを助ける物好きがいるとは思えんがね」

????「いるさっここに一人な!!」

(A)「この女の子が酷い目に合う展開にいかにもな待ったをかける男は!」

(B)「間違いないあの男こそ!」

(C)「宇宙海賊コブラ!?」

みほ「ヒューッ!!」

ミッキー「いやあの…期待させて悪いんだけどミッキーサイモンだよ…」

(A)「チッ!」

(B)「チッ!」

(C)「チッ!」

ミッキー「ゴメン舌打ちやめて…本当やめて傷つくから…」

みほ「え〜と…気を取り直してミッキーさん!」

ミッキー「待たせたなみほ!さてお前らみほと俺、エリア88のNo.1とNo.2を相手にするんだ
お前さんたちも二人は確実にあの世行きだぜ」

みほ(私喧嘩は不得意なんだけどな…しかもちゃっかり自分がNo.2って言ってるし…)

グレッグ「いいや一人も生きては帰れんさ、ワシらもやらせてもらうぞ」

駆けつけたのはミッキーだけでなくグレッグ、そしてエリア88の傭兵たちだった

バクシー「エスケープ・キラーなんぞに俺の妹の命は殺らせんぞ!」

フーバー「若きドイツの同胞よ、私よりも早く死ぬなよ」

ウォーレン「みほ、ようやくお前に送る局が出来上がったんだ聞いてくれ!」

ケン「ウォーレン…今は空気読もうな…」

ボウマン「みほは殺させねえよ!まだ借金払い終えてないんでな」

ジェフ「みほの借金が払い終えたら次は俺の番だからな…まったく懲りずに借金しやがってよ」

キャンベル「エスケープ・キラーの兄さんたちよ、脱走してないヤツを脱走兵と決めつけたんだ
その落とし前どう付けてくれるんだあ”ぁ!?」

グエン「面倒臭え、お前らどいてろ…俺の20�弾でこいつらハチの巣どころか液体にしてやるからよ」

エスケープ・キラー「ヒィィィィィィィ!?」

サキ「それくらいにしてやれ」

(A)「サキ司令!助かったこいつら全員反逆罪で射殺してくれ!」

サキ「いや彼らは私の命令でみほたちに加勢したのだ…反逆罪というならまず私を殺せ!」

(B)「何言ってる!?アンタはこの国の王子だそんな事出来るわけが…」

みほ(王子?サキさんが!?)

驚くみほだったがサキは話を続ける

サキ「ならば軍本部に帰って伝えるがいい、『エリア88に脱走するヤツは一人もいない』とな!」

(A)「わかったよサキ司令…野郎ども引き上げだ!」

グレッグ「おい皆で境界線まで見送ってやるか!」

エスケープ・キラーに追い打ちをかける様にグレッグたちは戦闘機で見送りに行った
だが一人ミッキーは残りサキを問い詰めた

ミッキー「おいサキ汚ねえじゃねーかよ!あんたがエスケープ・キラーを雇うとは思わなかったぜ!?」

サキ「私も見くびられたものだ…エスケープ・キラーを私が呼んだと思われるとは」

ミッキー「それじゃヤツらは本当に軍本部が寄こした…」

みほ「あの二人とも…ゴメンなさい…私…実は…」

ミッキー「言うなみほ!」

ミッキーはみほに口止めした
もしサキの目の前でみほの口から『脱走』なんて言葉が出れば今度こそ本当に脱走罪で処刑されるかもしれないからだ

サキ「私も聞きたくないね…まぁくよくよせずともみほ、キミの腕ならすぐにでも取り返せるだろう
そうすれば日本に帰るのも難しい事じゃない」

みほ「サキさん…ありがとう…」

みほは今日この時ほど仲間の存在を大切に想った事はなかっただろう
それは黒森峰女学校園では感じられなかった想いなのだから

第3話完———

とりあえずここまで
寝ます

ちょっと修正
>それは黒森峰女学校園では感じられなかった想いなのだから ×
>それは黒森峰女学園では感じられなかった想いなのだから
さっき見直してみたら2でも黒森峰女学園を女学院とミスが多くて嫌になります…
ちなみに次回からちょこっと真が出てきます

アスラン国首都———

みほは大破した�号に代わる戦車を調達するためミッキー、マッコイ、サキたちと共に
ここアスラン首都の空港に来ていた

サキ「ではみほ、マッコイ、私はこれからスイスに用事があるのでここでお別れだ
何か困った事があればすぐに連絡してくれ、それといくらここがエリア88ではないとはいえ脱走なんて考えない様に」

そう皮肉を付けたしサキは民間の航空機でスイスに旅立った

マッコイ「兵器の受け渡しはワシとみほで充分なのに何でミッキーがここにおるんじゃ?」

ミッキー「いいじゃねえかよ、あんなむさ苦しい野郎どものいる基地じゃ息が詰まるしたまには気分転換って事で」

みほ「そうだよマッコイお爺さん、基地に引き籠ってたら身体に悪いって」

ミッキー「いやーみほはわかってくれるな!やっぱ傭兵の気持ちがわかるのは傭兵だけだようんうん!」

マッコイ(引き籠るってお前らいつも出撃しとるじゃろが…)

そんなマッコイの嫌味を余所に輸送機が到着し中からお待ちかねの品が出てきた

ギリシャ空港———

ここギリシャでは傷心のまほを癒すべく西住家の家政婦菊代がまほを連れヨーロッパへ海外旅行へ来ていた

菊代「さぁまほお嬢様、次はスイスですよ、ギリシャも楽しかったですがスイスも楽しみですね」

なんとかまほを励まそうとする菊代であったが…

まほ「そっか菊代さん次はスイスか…みほ次はスイスだぞ」

裏声『お姉ちゃん知らない国に行くなんてみほ恐〜い』

まほ「ハハハみほは恐がりさんだなぁ…心配しなくてもお姉ちゃんが付いてあげるから安心しなさい」

裏声『やったー☆お姉ちゃんは頼りになるなぁ!』

まほは相変わらず凹られ熊のボコをみほだと思って可愛がっていた
傍から見たらただの精神疾患者だと思われるだろう、まあ実際その通りだが


まほ「さぁみほ…お姉ちゃんと一緒にゲート通ろうか…大丈夫恐くないぞお姉ちゃんが一緒だからな」

そういってまほはギリシャ行のゲートを通ろうとしたがそこでみほ(ボコ)と
お喋りしていた所為で反対方向から来た人間とぶつかってしまった

まほ「キャッ!?みほ大丈夫か?」

裏声『うん大丈夫心配してくれてありがとお姉ちゃん!』

?「すみません…ぶつかってしまって」

菊代「お嬢様大丈夫でしたか?あぁそちらの方にご迷惑をかけてしまって…」

見たところ男は航空機のパイロットの服装をしていた

真「いぇぶつかってしまった私が悪いんですよ、あ…私は大和航空の風間真と言います
このギリシャ行の機長をしてるものです」

菊代「まぁ機長さんでしたの?」

真「まぁ機長といっても少し前に昇格したばかりの新米機長なんですがね
ところで…そちらのお連れさんは…妹さんですか?」

真は先ほどぶつかりそのままみほ(ボコ)と会話を楽しむまほに目を向けた

菊代「いぇ私がお世話になってる家のお嬢様です…ちょっと傷心気味ですが…」

真「失礼そうでしたか…それではお大事に…」

そう言って真は機内の方へ向かった

一方その頃アスラン空港ではみほがマッコイから取り寄せた品の確認をしていた

ミッキー「おいおいみほよ!こいつは�号じゃねーか!?
何でまた同じ戦車乗るんだよ?今のお前さんならTK-Xでも買えるだろうが!!」

みほ「�号は私のお気に入りだから」

マッコイ「それにこいつはタダの�号じゃない、砲身を長砲身に変更させF2型仕様にさせてある」

みほは新しい�号にそっと手を寄せその重圧感を確認していた
それは新しい相棒に寄せる信頼の証でもあったに違いない

みほ「これが私の新しい�号…うんいい!」

マッコイ「今度は焦らずにやるんだな…短気は禁物だぞ」

ミッキー「いいねぇ…俺も新型欲しいな」

マッコイ「ならお前さんも新型に乗り換えるかい?なぁに金さえ出せばクレムリンだって引っ張ってくるよ」

本気なのか冗談なのかどちらとも取れる発言をするマッコイに呆れるミッキー

ミッキー「ハハ…」(この爺さんなら本当にやりかねないから恐いよ…)

一方大和航空ギリシャ行の機内ではまほと菊代が席を探していた

菊代「お嬢様こちらですよ…すみません急な予約だったものでエコノミー席で」

まほ「大丈夫ですよ菊代さん…みほはお姉ちゃんの御膝のだからな」

裏声『うわぁみほの特等席だ!みほ嬉しい♪』

菊代「ハイハイ…お嬢様他のお客様の迷惑になりますから静かにしましょうね」

そこに同席の男がやってきた

サキ「失礼マドモアゼル、隣の席なものでして」

菊代「いえこちらこそ…」(お嬢様やしほさまと同じ硝煙の臭い?軍人さんかしら?)

サキ(うん?隣で人形遊びをしてる娘…みほと同世代か…それにしてもやみほに似てるような…しかも硝煙の臭いがする
もしや戦争で心を病んでしまったのだろうか?御気の毒に…)

まさか偶然にも出会った異国の二人の人間に共通の接点があろうとはこの時誰が予想できたであろうか…
そして航空機はギリシャへと出発した

期待

読点や句点をもうちょい使った方が、読んでる方が息継ぎできていいと思う

大和航空ギリシャ行が高度1万mまで上昇した頃無線で連絡が入った

副機長「風間機長!ギリシャの管制から連絡が…」

真「一体何だろ?…何!?あぁわかった…追って指示を待つ」

副機長「一体何があったんですか?」

真「大至急この機の乗客であるサキ・ヴァシュタールという男を呼んでくれ…急げ事は一刻を争うんだ!」

5分後アナウンスで呼ばれたサキが機内の操縦室までやってきた

サキ「私がサキだが何故私を呼び出した?」

真「アンタがサキ・ヴァシュタールか…よく聞いてくれアンタの所為でこの機に爆弾が仕掛けられた!」

サキ「なんだと!?」

驚くサキに真は説明を続けた

真「犯人は逮捕されたらしいが爆弾は全部で2個、左右の翼の付け根に取り付けてあるらしい
高度5000mで信管の作動スイッチが入り1万mで時限信管も作動する仕組みだそうだ」

サキ「それではギリシャの空港に引き返す事も出来ないのか」

真「爆弾のタイムリミットはあと3時間だぞ、それまでになんとかしなきゃ乗客500名近くが全員死ぬ」

サキ「犯人の要求は?」

真「サキ・ヴァシュタールの命が欲しいんだとさ、教えてくれ!
何故アンタ一人の命を狙う為にこんな事態が起きるんだ!?」

サキ「それは私が…いやその前にアスラン空港と連絡が取りたいんだが」

>>57
ご意見ありがとうございます
なんとか努力します

アスラン空港管制室———
こちらではみほが管制室でサキからの緊急通信を聞いていた

みほ「爆弾!?」

サキ『そうだ、あと3時間しかない!すぐにこちらへ来てくれ!』

みほ「来てくれと言われても私のは戦車だし高度1万mじゃどうしようも…」

マッコイ「ワシのC-130を使え、そうすれば戦車でも高度1万mだろうが使えるじゃろ」

みほ「ありがとうマッコイお爺さん!けどこの作戦失敗したら全員一貫の終わりだよ…
サキさん何で私を選んでくれたの?」

サキ「人の殺し方が上手いヤツなら生かし方も心得てるはず…
伊達にエリア88の撃墜王を名乗ってるわけではあるまい?」

みほ「それにしても何でサキさん一人を狙うのにこんな大勢の人を巻き込む必要があるの!?」

サキ「それはこの私が外人部隊の司令官…いやアスラン国の王子だからだろう」

みほ「王子さま!?」

ミッキー「王子さまねぇ…」

その時ミッキーは黄金の王冠に赤いマントを羽織り派手なかぼちゃパンツを履いたサキを想像した

ミッキー「フヒヒw似合わねえやwww」

サキ「誰かそこにいる耳障りな不届き者を黙らせろ!」

みほ「けどその王子さまが何で最前線で戦争なんかしてるんですか?」

サキ「フフフ、笑える話だが反政府軍のリーダーが私の親父だからだよ」

サキは自分の身の上話を始めた、祖父の元国王が父親ではなく父の弟に王位を譲り
その事を妬んだ父親が反政府軍を率い叛乱を起こしている事を

みほ「そんな経緯があったんですか…けど何でそんな大事な事を私に話してくれたんですか?」

サキ「もしかしたらこれが最期かもしれないのでな…せめてキミにくらいは伝えておこうかと思っただけさ」

みほ「最期になんかさせませんよ…乗客の人たちも全員助けてみせます!」

サキ「その意気だみほ、コンタクトポイントはRL-22C、今から30分で飛んでこい!」

30分後みほの�号を載せたC-130が大和航空の旅客機に接近してきた

ミッキー「畜生…何でF-14のパイロットであるこの俺がマッコイの輸送機なんか操縦しなきゃいけねえんだ…」

マッコイ「文句言うでない、サキというスポンサーが死んだら困るのはお互いさまじゃろ」

ミッキー「けどよぅ…あーまったくアスラン空港に戦闘機がありゃ俺が活躍出来たのによお!?」

マッコイ「アスラン空港は民間機しかないからのぅ、まあ次回頑張れや」

みほ「大和航空の旅客機が見えてきました!お爺さん後部ハッチ開けてください!」

マッコイ「あいよ!」

マッコイはみほの指示通りC-130の後部ハッチを開けたが場所は高度1万m、機内に突然激しい突風が押し寄せてきた

マッコイ「酷い風じゃわぃ、予め�号以外の荷物を積み込まなかったのは正解じゃな…
もし積んでたらこの風の所為で外に流されるところじゃった」

真「なんだ輸送機が近づいたと思ったら戦車が…
まさかサキ!アンタの部下は戦車の機銃でこの機に付いてる爆弾を削げ落とす気か!?」

サキ「そうだ、それしか今のとこ方法がない」

真「馬鹿な真似はやめろ!失敗したら乗客全員死ぬんだぞ!?」

サキ「だがこのまま何もしなければどの道乗客全員死ぬ…ならば少しでも可能性に賭けてみようじゃないか」

万に一つの可能性に賭けるサキであったが現実はそう上手くはいかなかった
旅客機の後ろから撃とうとしたみほであったが…

みほ「駄目!照準を取ろうにもエンジンポッドが邪魔で撃てない!?」

ミッキー「じゃあ前からやるか!」

マッコイ「馬鹿言うな、こんなデカブツ同士を空中で正面衝突させる気か!?」

みほ「そうだ!ミッキーさん機体を背面にした状態でやれば!ミッキーさんいいですか…」

ミッキー「何!?このC-130を宙返りした状態で旅客機の腹の底を潜り抜けだと!?
無茶言ってくれるよまったく…」

みほ「それじゃお願いします!」

ミッキー「よーし!やっとろうじゃないの!みほ、爺さん、しっかり捕まってろよ!!」

そう言いながらミッキーはC130を宙返りした状態で旅客機に近づけた、恐らくミッキーでなければ
このような神業飛行は無理だったろう

真「おい正気なのか!?あの輸送機背面飛行で後ろから近付いてくるぞ!!!!」

副機長「風間機長…我々はどうすれば…」

真「操縦桿をしっかり握ってろ!こうなればあの輸送機と戦車のパイロットに全てを託すしかない!!」

サキ「頼むぞ、みほ!」

ミッキー「あの旅客機のパイロット良い腕してるぜ!こんな不安定な空域で見事に機体を安定させてやがんだからよ
もし同じ傭兵だったら俺の背中を守ってほしかったもんだぜ!!」

みほ「爆弾が見えました、ミッキーさん暫くの間この位置を固定出来ますか!?」

ミッキー「任せてけ!聞こえるか旅客機のパイロット!アンタ死んでも操縦桿固定しろよ!!」

真「言われなくてもそうしてる!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

互いの操縦桿が共に揺れててまともに維持するだけでも精一杯な状態が続いた
2機とも並のパイロットの腕なら爆弾が爆発しなくても両機ともに墜落してしまっていただろう

みほ「見えた爆弾だ!こちらみほ、今からターゲットを撃ちます!まずは一発!」

バキューン

みほ「続けて二発目!」

バキューン

ドカーン

爆弾は2個とも外れ雲の下で爆発した

みほ「やりました!爆弾は全部取り除きました!
ミッキーさん急いで機体を元の状態に戻してください」

ミッキー「了解、ふぅ…死ぬかと思ったぜ…」

マッコイ「ワシは心臓が何度か止まったぞ…いやマジで…」

一方客室ではこの騒ぎで席が大揺れの状態を起こし辺りは騒然となっていた

菊代「お嬢様大丈夫ですか!怪我はありませんか?」

まほ「私は大丈夫…みほ大丈夫か?」

裏声「うん大丈夫私はへい…」

ボコが言い続けようとした時まほの視線は窓に映ったみほたちの乗ったC-130に向かっていた

菊代「どうしましたお嬢様?おや軍の輸送機ですね
それにあれは�号戦車でしょうか…確かお屋敷にもありましたけど…」

まほ「みほ!あの戦車にみほが乗ってる!?」

菊代「そんなわけないでしょお嬢様…気を確かに、落ち着いてください!」

まほ「私にはわかる…こんな高度1万mで戦車を操れるのは私やお母さまの他にはみほしかいないはず!?
すぐに操縦室に行ってあの輸送機と接触させて!急いで!離れちゃうわ!」

菊代「お嬢様落ち着いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

サキ「客室が騒がしいな、まぁこんな騒ぎの後だ、仕方あるまい…」

真「ミスターサキ、先ほどはありがとう!おかげで助かりました」

サキ「いや元々厄介事を持ち込んだのはこの私だ、礼を言われる筋合いはない」

真「何か礼がしたいのですけど…私に出来る事があるならなんでも言ってください」

間違いなく真は好意的に言ったのだろうがサキは敢えて皮肉を言った

サキ「それでは人殺しができるか!?なら…私の力になるのは無理だ…
私が今必要とするのは人殺しのできるパイロットだ!!」

真「人殺し…無理だそんなの…出来る訳がない…」

サキ「それもそうだろう、酷い事を言ってすまない…これで失礼する」

そう言い残しサキは客室に帰って行った

一人その場に残った真はある事を思い出していた

真「サキが言ってた『エリア88』、『外人部隊』、『傭兵』、どれも全部心当たりがある
俺はかつてともに同じ施設で育った親友の神崎をエリア88とかいう外人部隊に売っちまった
勿論好きでやった事じゃない…あいつは俺たちが大恩ある大和航空を乗っ取り、俺が愛する社長令嬢の涼子を
手籠めにしようとしたからだ!俺はいち早くその事に気づいたが、最早どうしようもなかった…
仕方なく俺は社長秘書の安田さんに話して、彼女と結託して神崎を訓練中のパリから外人部隊に送り込んでやった
後で知った事だが、あいつは俺の事もいずれは殺そうとしていたらしい
神崎よ、何故お前は俺たちを裏切ろうとしたんだ!?俺とお前は親友じゃなかったのか!?
そしたら…なにもあんな真似しなくてすんだんだ… 」

誰もいない場所で一人懺悔する真
最早後悔しか残らない懺悔であるが、もしボタンの掛け違いで真が外人部隊に行ってれば
神崎という男による犠牲者が、更に増えていた運命があったかもしれない事実は、神様以外知る由もなかったろう
そしてその神崎は既にこの世から消えた、真はある意味で人知れず世界の平和を守ったのかもしれない…

第4話完———

ちなみに…

まほ「話して菊代さん!みほが私を…私を待ってるのよ!」

菊代「お嬢様ここは高度1万mです!そんな無茶な事が出来るわけないでしょ!?」

サキ(席に戻ってきたものの隣が煩くて敵わん…乗務員に頼んで他の席にしてもらうか)

もしこの時まほが静かにしていればサキからみほの現在を手っ取り早く聞く事が出来たかもしれないが
これもまた運命なのかもしれない…

とりあえずここまで
書いてて思ったんですけどC-130で後部ハッチ開けたまま宙返りなんかできるんですかね?


さすがに輸送機であるC-130で宙返りは機体強度的に無理だろうな
空自のC-1は90度バンクができるとか聞いたことはあるけど

再開します
>>71
参考になりました、このSSのミッキーがC-130を宙返りできたのは
マッコイ商会の特別製だとでも頭の片隅に入れといてください

日本———
ここは大洗学園艦
大洗女子高校のとある教室

まほは先日のヨーロッパ旅行で旅客機の爆弾騒ぎの一件以来例の戦車の操縦手を探していた
旅客機の機長である風間真を問い詰めたところ、
あの戦車に乗っている人間がエリア88という外人部隊だという事がわかり
八方手を尽くして、エリア88について調べていた
そしてようやくエリア88について、詳しく知る人物と接触できる機会を得たのだ

まほ「私の名は西住まほ、あなたがエリア88に詳しいという人ね」

優花里「初めまして秋山優花里であります!お目に掛かれて光栄であります!」

まほ(まったく訪ねて来てみればこんな茨城のド田舎で…おまけにこの子犬臭いわ)

優花里「いやぁ!あの黒森峰女学園の隊長西住まほ殿と対談出来るとは…私一生の幸せです♪」

まほ「お世辞はいい、私の質問にだけ答えて!エリア88は何処にあるの!?」

優花里「エリア88?何故西住殿がそんな場所を?」

まほ「私の質問にのみ答えろと言ってるのよ、あなたの質問はどうでもいい!」

一刻も早く妹のみほの情報を得るためにまほはもう形振り構ってはいられなかった
だがこの焦りが面倒なトラブルを生んでしまった

沙織「ちょっとあんた!うちのゆかりんに何喧嘩売ってんのよ!?」

華「先ほどから拝見してましたがあなたの態度はちょっと問題あるかと…」

麻子「文句があるなら教室から出て行け、部外者はお引き取り願う」

まほの怒鳴り声を聞き優花里の友達が駆けつけてくれたのだ

まほ(こんなところでトラブルを起こしてる場合じゃない…落着くのよまほ!こんな時は…)

そういってまほは鞄からぬいぐるみのボコを取り出した

裏声『もうお姉ちゃんの悪い子!駄目でしょ知らない人虐めちゃ』(ペチッ

まほ「ゴメンねみほ!お姉ちゃん悪い子だったよ…許してくれる?」

裏声『うん許してあげる!だって私の大好きなお姉ちゃんだもん☆』

まほ「嬉しいよみほ!」

その一部始終を冷ややかな視線で見る一同

沙織「ちょっと何この人?頭イカれてんの?」

華「優花里さん…この方には黄色い救急車をお呼びした方がいいのでは…」

優花里「いえきっと西住殿は日頃の責務の重圧感から解放されるためにこの様な事をなさってるんだと…
取りあえずこの場は私にお任せください」

麻子「何かあったらこれを使え」

優花里を危惧する麻子は防犯ブザーを渡した

一旦ここで中断します
それでは

まほ「話を中断させたわね、それでエリア88について知ってる事を全部話しなさい。」

優花里「はい…エリア88とは恐らく中東のアスラン王国にある外人部隊の基地の事ですね
つまり傭兵です。」

まほ「外人部隊!?…傭兵!?…何でそんなとこにみほが!?」

とんでもなく物騒な単語が出てきて今にもまほは卒倒しそうになった

優花里「あの…話を続けますけど、アスランという国は現在政府軍と反政府軍に別れて内乱状態なんです。
なんでも現国王とその兄の諍いが原因だとかで…」

まほ「何で戦争してるのかなんてどうでもいいわ!それでエリア88とはどんな基地なの!?」

優花里「は…はい!エリア88はアスラン政府軍の空軍基地で戦闘機の編成が主だと言われてます。」

まほ「空軍?戦闘機?フフ…そんなとこに戦車なんかあるわけが…」

まほが諦めかけた時優花里が少々あやふやな情報を言った

優花里「戦車といえばこれはソースの不確かな情報ですが、半年くらい前に凄腕の戦車乗りがエリア88に現れたという
噂が…」グェー!

まほ「何なのそれ!?詳しく教えなさい!!」

まほは優花里の首を窒息寸前まで絞め先ほど麻子から貰った防犯ブザーを押しなんとか一命を取り留めた

1時間後沙織たちに取り押さえられようやく平静を取り戻したまほは
先ほどの謝罪とその凄腕の戦車乗りの情報を教えてくれるよう土下座して頼んでいた

まほ「お願いします!その凄腕の戦車乗りについてなんでもいいから情報をください!!」

沙織「アンタゆかりんを殺そうとしたくせにまだ何かする気!?いい加減にしてよ!」

優花里「いぇ…ゲホゴホ…大丈夫ですから…まあわかりました、私も以前から
エリア88の戦車乗りについて興味ありましたし」

華「けどこの方…また優花里さんに酷い事なさるかも…」

麻子「なら私たちも一緒に付いていればいい」

まほ「それでエリア88の戦車乗りについてどう調べる気?」

優花里「実は以前一人だけ、エリア88について取材した戦場ジャーナリストの方がいまして
その方六木剛さんというんですが、先ほど連絡を取ったところその…
戦車乗りの写真を撮ってあるとの事ですが…」

まほ「何か問題でもあるの?」

優花里「大事なネタを見ず知らずの人間に見せられないとの事で…」

麻子「当然だな、記者の飯のタネを赤の他人に教えるわけにはいかないだろ」

まほ「お金が欲しいならいくらでも出すと言いなさい!」

優花里「あの六木さん…いえこの業界ではロッキーというらしいですが、
ロッキーさんがいうには何で戦車乗りを探しているのかそれさえ言ってくれれば
写真を見せてあげてもいいとの事です」

まほ「わかったわ、その戦車乗りは私の妹西住みほであるかもしれないからよ」

全員「「なんだってー!?」」

沙織「何でアンタの妹さん戦場になんか行ってるのよ!?」

まほ「だからそれを確かめるためにこうやって調べてるのよ」

優花里「確かに妹君の西住みほ殿は、去年の戦車道決勝戦後突然謎の失踪をしたとの事ですが、
まさかエリア88の外人部隊にいるなんて…そんな事が…」

そして優花里はロッキーに事情を説明し画像を携帯に送ってもらった

まほ「画像が来たわね、どれどれ…みほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!!!!!!」

沙織「ちょっと何大声上げてるのよ?」

まほ「間違いないわ、この子は私の妹のみほよ!」

優花里「確かに私も何度か映像で拝見しましたが西住みほ殿に違いありませんね、
あぁこんな戦地におられるとは御労しや…」

沙織「うわぁ…この子私たち同い年くらいでしょ…こんな子が戦場で戦ってんだ…」

麻子「もっと酷いトコだと小学生くらいの子供が歩兵やってる戦場もあるそうだぞ」

華「まぁ悲惨ですわね」

まほ「こうしてはいられないわ…急いでみほを助けに行く準備をしないと!
秋山さん!この画像コピーしてもらうからよろしく!」

沙織「あぁ行っちゃった…助けるって言ったけどどうする気なんだろ?」

優花里「エリア88で生き残るには3年間の期日を生き残るか150万ドルの罰金を払うか、
そのどちらかでないと…」(もしくは脱走するかですが)

沙織「ねぇ麻子…150万ドルっていくら?」

麻子「日本円で3億」

沙織「マジで!?」

黒森峰学園艦———

黒森峰に戻ったまほはさっそくさっそく外務省経由でエリア88について問い合わせていた
だがそこに全ての元凶であるエリカがまほの部屋を訪ねていたのだ

エリカ「隊長ったら何処からか戻ってきていきなり元気になったわね、何があったのかしら?」

その時エリカは先ほどまほが優花里から得たエリア88でのみほの画像があったのだ

エリカ「これは(元)副隊長西住みほ!?あの女まだ生きていたのね…」

この日エリカは誰にも知られず日本を出てイタリアのマフィア・ファリーナグループの総帥
ジュゼッペ・ファリーナに会いに行った

ジュゼッペ「初めましてミス逸見、商談の前に飲み物は如何かな?
ワイン、スコッチ、ウィスキーどれがいい?」

エリカ「結構よ、遥々こんなとこまで酒を飲みに来たわけじゃないから」

ジュゼッペ「なるほどお堅い方だ…そんなあなたが何故殺しの依頼を?」

エリカ「理由はあるわ…そいつが私の手の届かないエリア88という場所にいるからよ」

ジュゼッペ「エリア88か…なるほど…結構、それでターゲットは?」

ジュゼッペはエリカが言ったエリア88に反応を示した

エリカ「名前は西住みほ、エリア88に所属する外人部隊の傭兵よ」

ジュゼッペ「フフフ…よかろう引き受けよう、ちょうど打ってつけの男がいるのでな」

エリカ「それでは商談成立ね」

ジュゼッペ「それにしてもその年齢で私に殺しの依頼を頼むとは大したものだ、
出来れば私の養子にしたいものだね」

エリカ「まぁ機会があればまた会いましょう、それじゃ…」

エリカが立ち去った後ジュゼッペはある男に連絡を取った

ジュゼッペ「やぁ私だ、さっそくで悪いが殺しの依頼を引き受けてくれんかね?
あぁそうだ…ターゲットはキミの古巣エリア88にいる」

こうしてみほの知らないところで物語は誰も予想できない方向に加速していくのであった

エリア88———

グレッグ「おい大変だ!不死鳥のチャーリーが戻ってきたぞ!?」

バクシー「何!あいつ足を洗ったんじゃなかったのか?」

みほ「不死鳥のチャーリー?」

基地内が騒がしい中みほは誰の事だかさっぱりわからなかった
しかしそんな二人を尻目にエリア88にチャーリーを乗せたF-4が着陸していた

マッコイ「あいつめ、また死にに来たか。」

ミッキー「ようチャーリー!久しぶりだな!」

チャーリー「ようミッキー、それに皆、生きてたか」

グレッグ「娑婆じゃ生きた心地がしなかったろ!」

チャーリー「そうさなぁ、火薬の匂いが体の芯まで染み込んじまうと中々な、
かといってここで命を張ってると…」

キャンベル「また娑婆が恋しくなる」

チャーリー「そういう事、行きつ戻りつ落ち着く先はどちらも地獄よ」

全員「ハハハ!歓迎するぜ!よく帰ってきてれたな♪♪」

ミッキー「ようみほ!紹介するぜこいつは不死鳥のチャーリーだ」

みほ「どうも…西住みほです」

チャーリー(この小娘が…)「よろしくチャーリーだ、噂は聞いてるよエリア88の撃墜王さん」

みほ「いえ…それは…皆が勝手に言ってるだけでして…」

ミッキー「ちなみに俺とチャーリーはベトナム時代の戦友でな、二人でベトナムの空を駆けて行ったもんよ!」

チャーリー「しかしお前らもこんな小娘にエリア88のNo.1の座を明け渡すとは落ちぶれたもんだな」

ミッキー「ここに来た新米は皆そういうがなみほの実力は相当だぜ、舐めてかかるととんだしっぺ返しを受けるぞ」

サキ「お前たち!いい加減くだらない雑談を終わらせ作戦室にこい!金が欲しくないのか!?」

作戦室———

サキ「エリア81が壊滅寸前の被害を受けた、どうやら反政府軍もプロの傭兵を雇ったらしい」

ミッキー「まぁ当然といえば当然か…むしろ今まで何で傭兵を雇わなかったのが不思議なくらいだ」

グレッグ「この戦争もう何でもアリだな、次は敵さん核攻撃でもしてくるんじゃねえか?」

ヴィー
ヴィー
ヴィー

その時エリア88の基地内に警報が鳴り響いた

管制官「コントロールよりサキ司令!南西地区敵編隊接近中!機数15!」

サキ「おいでなすったか、やつらの攻撃目標はエリア88だ!
傭兵対傭兵、こちらも編隊を組んで攻撃だ!編隊長は私が務める!!」

急ぎ出撃準備に掛かるエリア88の傭兵たち
そんな出撃準備中みほの�号に無線でチャーリーから連絡があった

チャーリー「みほ…あんたの腕前、特等席で拝見させてもらうぜ」

みほ「…」

反政府軍傭兵部隊「ウルフ・パック」———

キルビック大佐「中東の空で同じ外人部隊の一戦だ、野郎ども丁重にお出迎えしろ!!」

敵傭兵たち「ハッ!!」

サキ「来たぞ、散開!」

サキの号令の直後両軍とも激しい撃ち合いが行われた

その中でも突出すべきはみほの�号だろう
新装備の長砲身の75�砲によりロングレンジの攻撃も可能になったからである

ボウマン「ヒャッハー!さすがはみほだ!もう敵の大半を堕としやがった!!」

ミッキー「やるなみほ!俺も負けてらんねえぜ!」

チャーリー「ありゃどう見ても戦車のスペック超えてる動きしてるんだが…」
(ファリーナさんよぉ、本当にあんな化け物殺さなきゃ駄目なのか?)

その時敵の隊長機がみほの�号を一点集中で攻撃してきた

キルビック「こうなればエリア88の撃墜王だけでも倒し名誉挽回してやる!」

みほ「敵隊長機!?こっちに突っ込んでくるの!?」

チャーリー「ミッキー!みほの援護は任せろ、お前らは残りの敵機をやれ!」

ミッキー「あいよ!!」

チャーリー(さぁて、味方は遠ざけた…後はどうしたもんだか…)

キルビック「さぁ死ね!エリア88の撃墜王!」

チャーリー「五月蠅い前座は消えな」

キルビック「な、何!?…ギャー!!」

キルビック機を撃墜するチャーリー

みほ「ありがとうチャーリーさん!」

チャーリー「いや…礼には及ばないよ、なんたってお前さんはこれから俺に殺されるんだからな!」

ドーン

F-4のミサイルを飛ばすチャーリー、しかしみほはそれを機銃で撃破した
まるで予め撃つのを知ってたかのように

チャーリー「さすがだな、まるで撃つのがわかってたみたいだが…」

みほ「これでもエリア88の撃墜王ですから、初対面であれだけ敵意剥き出しなら嫌でも警戒しますよ」

チャーリー「おっと…久しぶりの得物だったので頭に血が上ってたかな?」

みほ「聞きたい事があります、誰に頼まれたんですか?」

チャーリー「言えねえよ、これはビジネスなんでね」

みほ「もう一つ聞きたい事があります、何でさっき背後から撃たなかったんですか?
あなたの腕ならそれで楽にやれたはずなのに…」

チャーリー「甘さだな…本当は闇うちでもよかったんだが、おまえにはこうしたほうがいいと思ってな…
これが…おれの甘さだ…」

みほ「チャーリーさん…」

チャーリー「あばよみほ!!」

そう言いながらチャーリーはF-4の銃弾を�号に浴びせた
だがみほもF-4に75mm砲を喰らわせていた

両者相打ちだった

その頃サキたちの本隊は敵傭兵部隊を撃破し帰投する最中だった

サキ「出撃数15機、未帰還機10機もあるとは…その中にチャーリー、みほ西住もいる」

ミッキー「不死鳥のチャーリー、みほ西住、二人とも不死身だと思ってたんだがな…」

5機の戦闘機は仲間の死を当然のものとしすぐにエリア88に帰投した
それがいつもの事なのだから…

それから1時間が経過した———

チャーリー(まさかこの不死鳥のチャーリーが死ぬとはな、フフフはした金欲しさに古巣に戻ってみればこの様か
88の連中は何人残ったろうか?ふん、この俺が他人の心配をするとは…まぁいいもう死んじまったからな
やけに静かだ、これがあの世ってところか?)

『オイシッカリシロ』…『ダメダイキシテネエゾ』…『ジンコウコキュウヲ』…『ダレガヤルンダ』…『ワタシガ』

チャーリー(なんだろう…やけに騒がしくなってきたな、どうやら地獄の閻魔様でもお迎えに来たのかな?)

そういってチャーリーが目を開けたら何故か顔を寄せてくるグレッグの顔があった

チャーリー「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

バクシー「おいみんなチャーリーが気が付いたようだぜ」

フーバー「よぅチャーリー気が付いたかい?」

ジェフ「どうやら寝起きにグレッグの顔がいい気付けになったようだぜ」

みほ「おはよう、チャーリーさん」

チャーリー「テメェグレッグ!お前そんな趣味があったのか!?」(ペッペッ

グレッグ「いやな、最初はみほが人工呼吸するって言ったんだが聞いてみたら、
ファーストキスはまだだって言うもんで、ならここはこのグレッグさまが張り切ったろうと思ってな!ガハハ」

チャーリー(何でそこで張り切るんだお前は…)

フーバー「というか我がドイツの大事な箱入り娘のみほの貞操をお前に渡すわけがねえだろ」

チャーリー「ハァ…それでお前ら何で生きてんだ?」

ボウマン「俺ら悪運だけは強いからなヒャッハー!」

キャンベル「いやぁ義手じゃなかったら死んでたよ」

チャーリー「みほ…何故俺を助けた?…俺はお前を…」

みほは最後まで言わせなかった、もし言えばチャーリーは
この場でリンチされるだろうというみほの配慮だったのかもしれない

みほ「だってチャーリーさん私の事助けてくれたじゃないですか
これで御相子ですよ」

チャーリー(悪いなファリーナさん…もう殺しの依頼は果たせなくなっちまったよ)

バクシー「そんでここにいるのは全部で何人だ?」

そして残りの全員が集合しこの場にいたのは
みほ、グレッグ、チャーリー、フーバー、バクシー、ウォーレン、ケン、ジェフ、ボリス、ボウマン、の計10名だった

みほ「よかったみんな生きててくれて♪」

チャーリー「たくっ、不死身のバーゲンセールだなまったく」

グレッグ「もう不死身はお前の専売特許じゃねえって事だなガハハ!」

ボリス「だがこれからどうする?サバイバルキットの中身はわずかの食料と水しかないんだぞ、
このままここに居たら干からびてしまう」

そう…ボリスが心配するのも無理はない
ここはエリア88から何十キロも離れた砂漠のど真ん中なのだから

みほ「エリア88の人たちが助けに来てくれる可能性は?」

ケン「低いだろうな、さっきの戦闘で10機も撃墜されたんだ、
救助に割ける人も機体もないだろう…」

ウォーレン「おまけに今の俺たちで自力でエリア88で帰れる程、
ここの砂漠は甘くはない…」

ウォーレンが言うようにこの辺りの砂漠は中東でも火炎地獄と言われる場所で
こんなとこを砂漠越えするのはまさに自殺行為と言えるだろう

ボウマン「ちくしょー!俺の機体まだ新型なんだぞ!?借金してやっと買えたのによぉ…」

チャーリー「フフフ、こりゃ死んだ方がマシだったかもしれんな…
神様も酷な事しやがるぜ」

さすがのエリア88の猛者たちも自然の脅威には勝てない
嘆く者、諦める者、と最早怒る気力も失っていた
たった一人を除いて…

みほ「皆どうしたの?元気出しましょう!」

グレッグ「無茶言うなよみほ…いくら頑張りたくてもこう現実を突き付けられたらな…」

あのグレッグでさえ気力を失っていた
それほどこの状態は過酷なのだ

みほ「こうなったら…」

そういってみほはある踊りを始めた
それは以前エリア88に取材に来てた、戦場カメラママンのロッキーから教わった踊りであった
ちなみにロッキーはその踊りを知り合いで茨城の大洗にいる戦争ヲタの女子高生から聞いたとの事だった

あっああん あっああん あんあんあん
あの子 会いたや あの海越えて
頭の中には 愛のあかし
燃やして 焦がして ゆーらゆら
燃やして 焦がして ゆーらゆら

先ほどまで意気消沈してた傭兵たちもみほのあんこう踊りを見てそれぞれ反応を示した

ジェフ「みほ…一体どうした?」

フーバー「まさかこの暑さで頭がイカれちまったのか…
おぉ神よ!あなたは何故ドイツの同胞にこんなむごい真似をなさるのですか!?」

ボウマン「落ち着け!ありゃみほなりに俺らを励ましてくれてんだよ」

グレッグ「なんだか知らんが面白そうだな!皆みほに続け!」

そしてこの炎天下の中傭兵のおっさん連中と可愛い女の子のあんこう踊りが始まった
もしこの不気味な光景を見てた者がいたら、どう反応してたかは定かではないが
それでも彼らの志気を高めるには十分だった

それから数分さすがにこの炎天下の砂漠であんこう踊りは全員きつかったが
それでも先ほどの鬱屈した気分を覚ますには十分な効果があった

グレッグ「いやぁ踊った踊った!こんなに気持ちよく踊ったのは久しぶりだぜ♪」

チャーリー「まったくだ、たまにはこんなのもいいかもな」

バクシー「ハハハ、あの不死鳥のチャーリーが笑ってらぁ…うん待てよ?不死鳥??」

その時バクシーはある事を思いついた

バクシー「おい皆ちょっと聞いてくれ!一つ閃いた事があるんだがよぉ、
実は昔『飛べフェニックス』って映画を観てな…」

バクシーの案は墜落した戦闘機や戦車の資材を掻き集めニコイチで小型の空挺を作るという案だった
そんな映画の話をと普通なら思うだろうがこの時誰もが藁をも縋る思いで使える資材を集めた
そして完成したのが… 

みほ「出来ました!�号に戦闘機の部品で寄せ集めて作ったエンジンを搭載して作ったニコイチ戦車です!」

バクシー「あれ?俺の思案だと小型の航空機が出来るはずだったのに…」

チャーリー「仕方ないだろう、この人数で小型の航空機で砂漠を渡るのは無謀すぎるからな」

ボリス「その点戦車なら大の男10人乗せようが余裕だ、より確実性を選んだまでさ」

グレッグ「まぁこの際航空機だろうが戦車だろうが動きゃなんでもいいぜ!」

ボウマン「よっしゃ!俺が一番乗りだ」

ジェフ「馬鹿野郎!一番は操縦手のみほに決まってるだろ!お前戦車の操縦出来ないだろ!?」

みほ「それじゃ発進しますよ、皆さんちゃんと座っててくださ〜い」

全員「「おー!」」

ブロロロロロロロロロ

こうして一行はエリア88を目指した、それから数時間後…

グレッグ「もう夜になっちまったな」

バクシー「なぁ皆、俺頭がイカれちまったのかな?地面から星が見えるんだが…」

ウォーレン「そりゃ星じゃねえ!滑走路の光…エリア88の滑走路の光じゃねーか!?」

ケン「やったー!俺たち生きて帰れたんだ!」

ボリス「フフ、今日ほどこの悪魔の基地が楽園に見えた日はないだろうな」

みほ「あれ?基地の外にいるのはミッキーさん?何してるんだろ?」

同時刻、エリア88で一人ある物を持って一人外で黄昏るミッキーがいた
いつまでも帰らない仲間をいつまでも待っているのだろう

ミッキー「みほ…チャーリー…そしてその他大勢の馬鹿野郎どもめ
お前らが早く帰ってこないとビール全部飲んじまうぞ…」

グレッグ「よぅよぅ出迎えご苦労じゃねえかミッキー!」

ミッキー「グレッグ!?」

バクシー「誰がその他大勢の馬鹿野郎だって?」

ウォーレン「ちゃんと名前で呼んでほしいもんだぜ」

ミッキー「バクシー!ウォーレン!皆生きてたのか!?」

チャーリー「よぅミッキー!不死鳥のチャーリー帰還したぜ」

ミッキー「チャーリーお前までよく生きててくれた…グスツ」

チャーリー「俺たちなんかよりももっと心配すべきヤツがいるだろ、ほれ」

みほ「ミッキーさんただいま」

ミッキー「おぉみほ!俺の終生の相棒!!!!」

ミッキー「だがお前ら一体どうやって帰ってこれたんだ?サキは救助は出せなかったはずだぜ?」

バクシー「それがよぉ」

バクシーは事の詳細を詳しく説明してミッキーを激しく呆れさせた

ミッキー「たく…ニコイチで戦車作るとは凄いの通り越して呆れるよ…
そんでその戦車どうなったんだ?」

みほ「私たちが基地に付いたと同時に壊れちゃった、よくあのエンジンで持った方だよ、奇跡だね」

ミッキー「たくお前らにゃきっと悪魔が付いてるんだろうさ」

チャーリー(いやあの時助けてくれたのは悪魔じゃない…みほという女神が俺たちに生きろ!と言ってくれたのさ)

第5話完———

エリア88———

外人部隊の狼たちは今日も得物を追い求め空での銃撃戦に勤しんでいた

ミッキー「よぅみほ!どうだい新しい�号の調子は!?」

みほ「大丈夫、絶好調です!さすがに大金つぎ込んだ甲斐がありました!」

みほは先日のチャーリーの一件で大破した�号F2型仕様からH型仕様に乗り換えていた
そして今日も撃墜王の名に恥じぬ戦いぶりを見せていた

グレッグ「ヒューッ!さすがはみほだぜ、もう敵さん虫の息だぞ」

ミッキー「いや…グエンの野郎も今日は調子がいいらしい、あいつここんとこ精が出るが
みほに対抗心でもあんのか?」

ボウマン「他人の心配してる場合かミッキー?得物が全部無くなっちまう前に、
稼がねえとお飯食いっぱぐれるぞ!?」

ミッキー「おっといけねえ…お仕事、お仕事っと!」

敵機は既に壊滅状態、そしてミッキーが最後の1機を仕留めた
しかし敵のパイロットは墜落寸前に脱出した

ミッキー「パイロットは脱出したか、まぁいいさ、こちとら機体さえ撃破すればな…
よし!さぁお仕事終了だ、みんなさっさと帰ろうぜ!」

グエン「いや、まだ終わってねえぞ」

そう言うなりグエンは20mm弾で先ほど脱出した敵パイロットを撃ち殺した

ミッキー「グエン!てめぇ何も殺さなくてもいいじゃねえか!?」

グエン「甘いよミッキー、俺たちは傭兵だ殺せる時に殺さないでどうするってんだ?」

ミッキー「なんだとこの!?」

みほ「ミッキーさん今は喧嘩しないで…うん、あれは?
ジェスさんの機体だ、けど機体がフラフラしてる?」

みほがミッキーとグエンの諍いを止めてる間に、同じく仲間の傭兵の
ジェスが敵からの攻撃を受けて目を負傷していた

みほ「ジェスさんしっかりしてください!」

ジェス「その声はみほか?頼む助けてくれ!目が…目が見えねえんだよ!?」

ミッキー「なんてこった…あの野郎目をやられるとは…
パイロットにとって目が見えなくなったなんて、あっちゃ死んだも同然だぜ…」

グレッグ「おい大変だ!まだ撃ち漏らした敵がそっちに行ったぞ!」

ジェス「うわぁ!誰かが俺を攻撃してきやがった!?助けてくれぇぇぇぇぇ!!」

ジェスは最早半狂乱になり敵味方関係なく周囲を攻撃し始めた

ミッキー「あの野郎…駄目だこれじゃ俺たちまでやられちまうぞ!」

みほ「兎に角まずは敵を倒して…えぃ!」

ドカーン

みほは敵戦闘機を撃破したがその音がジェスをさらに混乱に貶めた

ジェス「何だ今の音は?まさか攻撃を喰らったのか?うわぁぁぁぁ!嫌だ死にたくない!?」

みほ「落ち着いてジェスさん!敵はもういません!こうなったらパラシュートを開いて!」

ジェス「駄目だ…パラシュートはこの前壊れてまだ修理してねえんだ!?」

ミッキー「馬鹿野郎が、つまんねえケチしてんじゃねよ!」

みほ「私たちがあなたを基地まで誘導します、どうか落ち着いて!」

ジェス「わからねえんだよ…どっちが上だ?どっちが下だ?俺はどういう状態で飛んでるんだ!?」

みほ「ジェスさん…」

ジェス「今わかってるのは滅多やたらに恐いって事だけだ!!」

グレッグ「奴さん、もう聞く耳持っちゃいねえな」

ボウマン「誰かなんとかしろ!これじゃ敵を倒しても撃墜されちまう!?」

『なんとかしろ』…この状況でその言葉に反応を示した男がいる

グエン「なんとかすればいいんだな、いいだろう…任せな」

グエンだ、先ほど生身の人間相手に20mm弾を撃った男はジェスの機体に
狙いを定めていた

グエン「悪く思うな…お前さん運がなかったんだよ…」

みほ「待って!皆さんは下がってください、私がなんとか呼びかけます」

ミッキー「大丈夫なのかみほ!?」

みほ「はい、だから皆さんはジェスさんの攻撃に当たらない様この場から離脱してください!」

ミッキー「わかった、皆みほの言う通りこの場は下がるんだ」

ミッキーの号令の元その場にはみほとジェスの機体のみとなった

すみません sageてしまった

ジェス「なんだ急に静かになったぞ!?どうなったんだ!?駄目だ恐いもう死んじまう!!!!!!」

みほ(すぅーっ!)

みほは深く呼吸をした、そして無線機の音量を最大にし今までの人生で一番の大声を出した

みほ「「落ち着けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」」

ジェス「うぎゃぁぁぁぁぁ!…ハァハァなんだ今の大声は?」

みほ「ジェスさん落ち着きましたか?」

ジェス「あ…あぁ、その声はみほか?みほなんだな!?」

みほ「もうこの場には私たちしかいません、ジェスさん落ち着いて私の誘導に従ってください」

その後みほの誘導によりジェスの機体はなんとか着陸し
みほの�号でジェスはエリア88の医務室へと運ばれていった

ミッキー「みほ!お前さん大したもんだぜ!もう皆匙を投げ出してたのに
最後までジェスを呼びかけてたんだからな!」

グレッグ「まったくだ、下手したらジェスに殺されてたかもしれねえんだぞ」

エリア88の傭兵たちが歓喜の声を上げてた時、グエンだけが不満げにその光景を眺めていた

ミッキー「グエン…そうだこの野郎!さっきは何で脱出したパイロットを撃ち殺した!?
ヤツにはもう戦う意思なんかなかったはずだぞ!」

グレッグ「甘ちゃんの坊やが、あぁしなきゃ敵さんはまた襲ってくるんだぜ?」

ミッキー「お前にはパイロットとしてのプライドがないのかよ!?」

>>110
すいません、グエンの名前をグレッグと間違えてしまった
すまんグエン…

グエン「そしてみほ、お前もだ」

グエンは突然みほにまで突っ掛ってきた

グエン「お前さんさっきジェスを助けたが、あの場はパニックを起こした野郎を殺しても
誰も文句は言わなかったはずだ、なのにお前はヤツを助けた…何故だ?」

みほ「私はこの基地の人たちを誰も失いたくないから…」

グエン「甘いね、その甘さがいつか俺たちを殺すかもしれねえぞ…
悪い事は言わねえ、お前さんみたいな小娘は違約金の150万ドル払って
家帰って苺ジャムでも食ってる事だな」

そう吐き捨てグエンはその場から去って行った

ミッキー「たくムカつく野郎だぜ!みほや俺を目の仇にしてやがる!」

みほ「私は兎も角何でミッキーさんまで…」

チャーリー「そいつは簡単さ、ベトナム戦争で俺とミッキーは米軍だったが当時ヤツはベトナム軍でな…
まぁ今まで殺し合いしてたヤツラがいきなり仲良くなれって事が土台無理な話よ」

みほ(ベトナム戦争ってもう40年も前の話だよね?みんな何歳なの??)

そんなみほのメタな疑問はさて置いて、マッコイ爺さんが領収書を持って現れた

マッコイ「ようみほ、新しい�号の請求書じゃよ」

みほ「ありがとうお爺さ…って50万!?高過ぎだよお爺さん!!?」

マッコイ「いや相場の値段じゃよ、それでもお得意様価格なんじゃがのぅ」

ミッキー「ハハハ、今度から大事に使えって教訓よ!」

マッコイ「あぁそうそう、ほれミッキーお前さんもこれ整備の請求書な」

ミッキー「5万!?整備で5万は高過ぎだろ!ぼったくりじゃねえのか!?」

マッコイ「F-14なんて金食い虫に乗ってるからじゃよ、
それが嫌ならもっと燃費のいい機体に乗る事をお勧めするよ、その時はいい値で売ってやるよ」

ミッキー「たく死の商人め!ろくな死に方しねえぞ!」

そんなミッキーの皮肉を余所にマッコイはみほにある話をした

マッコイ「そういえばみほ、お前さん昔日本の黒森峰ってとこにいたらしいな、
あそこやばいらしいぞ」

みほ「どういう事なのマッコイ爺さん!?」

みほは今の黒森峰の情報を聞き出そうとマッコイ爺さんを激しく揺さぶった

マッコイ「ひいぃぃぃ!やめとくれみほ!年寄りを殺す気か!?」

みほ「ご…ゴメン、けど黒森峰がどうかしたの?」

マッコイ「なんでも戦車道全国大会の1回戦で、アンツィオ高校ってとこにボロ負けしたらしいぞ」

みほ「アンツィオって勢いはあるけどただそれだけで黒森峰の相手じゃないはず…どうして!?」

マッコイ「試合は酷かったらしい、隊長は調べ事があるからって不在で副隊長の名前なんていったかな…
思い出せんのぅ…ほれ、へん…変身?変態?いや違う、なんだったかのう…」

みほ「逸見エリカ!?」

マッコイ「そうそれじゃ!その逸見エリカってのが指揮したらしいが人望がなかったらしく、
メンバー全員がなかったらしくてな、結局試合はボロ負けだったらしいぞ」

マッコイ「まぁしょうがないじゃろうな、チームが副隊長以外試合放棄していなくなりゃ
指揮官だけでなんとか出来るわけがなかろうて」

みほ「そんな…ボロ負けだなんて…」

みほは黒森峰での日々を思い出していた、つらく厳しい練習の日々
それでも母から言われた勝利の二文字のみを追求しろという信念を叩き込まれたのだから

マッコイ「まぁ逸見って副隊長は普段から酷かったらしいぞ、練習の度に前の副隊長…
つまりみほ、お前さんの事じゃが…まあお前さんが去年の試合で負けた事を一々失態だなんだと言って、
おまけにかなり高圧的な態度でメンバーに接していたらしいから、全員の不満も爆発したんじゃろな」

みほ「エリカさん…」

マッコイ「ちなみにあの糞試合を観た観客たちは『去年のプラウダ戦の黒森峰はよかった』とか
『あれは誇りある敗北だった!』と称えていたぞ、よかったのぅみほ♪」

マッコイはみほを慰めるように言ったがみほは今はまだ帰れない故郷を思い出していた

みほ「お姉ちゃん…皆…日本は今どうなっているんだろ…」

エリ8だから見たクチだけどガルパンって戦車一人乗りなんか

メタルマックス?

>>116
いえ…本編のアニメでは5人で戦車乗ってます
みほが一人で戦車乗ってるのはこのSSだけなんで…

日本———

黒森峰女学園の西住まほのデスク、妹のみほを助けるためまほは孤軍奮闘していた
優花里からエリア88の情報を得た彼女は、アスラン国の日本大使館を通じて
アスラン政府とコンタクトを取ったが、アスラン政府からの返答はみほが外人部隊を
辞めるには自己都合退職金に必要な、150万ドルを払わなければならないと言われ現在その
違約金150万ドルの工面に奔走していた

まほ「お母さまから150万ドル工面してもらおうとお願いしたら、『ふざけるな!?』と言われて
三日間反省房に入れられ、仕方なく銀行で借りようとしたら『未成年にそんな大金貸せるか!
10年後年収5億円になったら出直しなw』と鼻で笑われたわ…」

戦車と妹のみほ以外は、殆ど無知な世間知らずの10代の少女が150万ドル…日本円にして3億円も
払える金銭能力などあるわけがなかった

ちなみに現在彼女の手元にある現金は豚さん貯金箱に入ってる3万5千円のみである

まほ「こうなれば手段は唯一つよ!」

彼女が現金で3億円もの大金を作れる唯一の方法は、自校の戦車を購入する際の費用を
着服し現金3億円を作る…つまり横領である

まほ「悪い事だと自覚している…黒森峰の隊長としてやってはいけない事だとわかっている…
けど私にはこれしかみほを助ける手段がないのよ!」

まほは黒森峰の隊長である、学校側に申請し新型の戦車の購入金を得る事くらい
彼女の地位からすれば容易い事だろう
だがそんな事をすれば当然周囲にバレて、彼女は退学になるどころか
西住流を破門され、二度と表舞台に上がる事はないかもしれない

まほ「いいえ…みほさえ無事なら最早私の身なんてどうでもいいわ!」

だがその時彼女のデスクを訪ねてきた人間がいたのだ

エリカ「失礼します隊長、おやぁ?その申請書は一体何でしょうか?」

わざとらしく振る舞うエリカ
彼女はまほの内情を全て知っているのだ、みほを外人部隊に送り込み
更に黒森峰の副隊長の地位まで昇りつめた張本人なのだから

エリカ(まったく小型の監視カメラを仕掛けて、一部始終を把握してて正解だったわ)

エリカ「さて隊長、どういう事でしょうか?この申請書…いくつかおかしい点がありますよね?
まさか隊長ともあろう貴女が購入資金の横領だなんて事は…」

まほ「頼むエリカ!これはみほを救うためなの!お願い…黙ってて…」

必死に懇願するまほ、その姿を見て複雑な表情を浮かべるエリカ

エリカ(必死になってる隊長可愛い…けどここまで想われてる西住みほ…あんたはどこまで憎たらしいのよ!)

自分勝手な怒りをみほにぶつけるエリカ
エリカはまほを自分の物にしようと大胆な行動に出た

エリカ「いいですよ、その不正に手を貸してあげても…その代り…」

そしてエリカはある要求をまほにぶつけた

エリア88———

サキ「敵の燃料集積場だ、ここを破壊できればこのところ活発になってる反政府軍の
進行を、3ヶ月は麻痺させることが出来る」

キャンベル「なんでぇ簡単な仕事だぜ、空爆すりゃ一発じゃねえかw」

サキ「簡単…かね…?」

しかしグレッグの発言に対しサキは如何にこの集積場の破壊が難しいかを説明する
この集積場は険しい渓谷の奥にあり、その場所を戦闘機で行くのは極めて困難であり、
更に上空から爆撃しようにも地上には、対空レーダーが備わっていて上空から行けば
迎撃機の的になり防御は完璧である事を詳細に説明した

キャンベル「誰だ…簡単な仕事だとか抜かした馬鹿は?」

全員「「お前だ!」」

サキ「だが攻略する手もないわけではない」

そういうなりサキは渓谷の断面図を重ね合わせ戦闘機がギリギリ1機入れる入口が出来た

ミッキー「ハハ…冗談きついぜサキ…まさかこの穴に入れとか言わないよな」

サキ「ミッキーくん、今日はエイプリルフールだったかね?違うだろ」

グエン「しかしやってやれない事もねえ、高度と位置をしっかり確保すればな!
最も危険なタイトロープだな」

サキ「さて…みほ、キミにはこれ以上に危険な作戦をやってもらう
この写真を見てほしい、これはグランド・スラムという超大型ミサイルだ」

みほ「何…これ…!?」

さすがのみほも驚愕した
そのグランド・スラムという超大型ミサイルは巨大なドリルを装備している
つまりこれは通常のミサイルみたく、空から撃たれるものではなく地下を掘り進み目標の直下で爆発する自走爆弾なのだ

サキ「このグランド・スラムは300tの高性能爆薬を積んで、搭載炸薬とサイズは総重量1,000トンの
まぁつまりはとんでもない怪物というわけだよ」

グレッグ「なぁサキ…まさかこのドリルミサイルが…」

サキ「そうだ、〇〇時にエこのリア88に向かって撃たれるだろう」




誰もが静まり返った
だがようやくミッキーが発言してくれた

ミッキー「だったらよぉ、そんな渓谷の方は後回しにしてこのドリルをなんとかした方がいいに決まってるだろ!」

サキ「ミッキー、その集積場から撃たれるのだよ」

グエン「なるほど…俺たちが渓谷に行って集積場を爆撃しなきゃミサイルが放たれる
みほはその時このエリア88を守るための保険ってわけか」

サキ「そういう事だ、どちらも危険な任務に変わりはない
報酬も大きいぞ!いつもの3倍出そう」

ミッキー「3倍?冗談じゃねえ…10倍でも足りねえよ…」

サキ「作戦は今夜決行だ、なんとしてもこの作戦を成功せねば…我々は帰る場所を失う事忘れるな!」

出撃直前
みほが�号に乗り込もうとした時またもやグエンがちょっかいを出してきた

グエン「悪いがみほ、今日はお前さんの出番はないぞ
ガキはそのまま部屋に戻って寝ちまいな」

ミッキー「お前!いい加減みほにちょっかい出すのはやめねえか!」

みほ「二人とも出撃前に喧嘩はやめて!グエンさん何で私を目の仇にしてるのか答えて!?」

グエン「気に入らないのさ、女子供が戦場にいるのがな…」

そういってグエンは自分のF-105に乗り込んで行った

ミッキー「じゃあなみほ、俺たちの帰る場所を守ってくれ」

みほ「皆も…死なないで!」

そして作戦は開始された

エリア88から出撃した攻撃隊は渓谷を目掛けて一直線に飛んだ
先頭は編隊長であるサキが務めている

サキ「各自、渓谷の中に侵入後は出るまでは私の指示に従ってもらうぞ」

グレッグ「なるほど!あの渓谷の内部を一番頭に叩き込んでるアンタが先頭か!」

ミッキー「だがサキ、アンタが真っ先に墜落したら俺らもドミノ式にあの世逝きだぞ」

キャンベル「まさに地獄への水先案内人って訳か、こんな皮肉笑えねえや」

サキ「空中で玉突き事故を起こしたくなければ距離を開けるんだな、他人のヘマで死ぬのはゴメンだろ?」

ミッキー「だがそんなチンタラ飛んでたらエリア88に例のドリルが発射されちまう…
ここはサキ、アンタを信じるのみだ!」

サキ「嬉しい事を言ってくれるなミッキー、だがそんなお世辞を言っても報酬はこれ以上やらんぞ」

グエン「さぁ無駄口もこれまでにしようや、サキ司令見えてきたぜ!渓谷の入り口だ」

グエンの言った通り渓谷の入り口が見えてきた
それはまさしく傭兵たちにとって地獄の門であった

その頃みほは一人エリア88の作戦室で地図を眺めていた
そこにマッコイ爺さんが訪ねてきた

マッコイ「なんじゃぃみほ?お前さんグエンに言われた事本当に真に受けちまったんか?」

みほ「まさか、ここに来た頃なら兎も角もう随分鍛えられたからね
敵の銃撃に比べたら可愛いものだよ」

マッコイ「ハハ…強くなったな、最初の頃は泣きべそかいてワシのとこに
凹られ熊のボコとかいうぬいぐるみを、阿呆な程注文しとったのにのぅ…」

マッコイはみほが初めてこのエリア88にやってきた頃の事を思い出していた
戦闘技術は異常に高いが精神面は普通の高校生、出会った頃はすぐに死ぬだろうと思っていたが
それがまさか今ではエリア88の撃墜王として、傭兵たちから信頼される強者に成長するとは
誰が予想できただろうか?

マッコイ「そんで地図なんか眺めて何しとるんじゃ?」

みほ「さっき聞いたでしょ、集積場からグランド・スラムってミサイルが
こっちに向かうかもしれないって…
そのミサイルがどういうルートで来るのか気になって」

マッコイ「なるほど…集積場はここから北の位置じゃから、情報が確かなら
北からミサイルが来るんじゃろうな」

みほ「やっぱり…そういえばこの辺りって渓谷の近くだよね」

マッコイ「あぁ、前に輸送機であすこを渡ってたらでっかい大岩があったのぅ」

みほ「それなら…お爺さん!すぐに欲しい物があります、それと…」

マッコイ「ふむ…なるほど…よかろう、わしもこの基地が無くなったら
商売上がったりじゃしな!」

一方攻撃隊はというと

サキ「全機、高度0修正!さぁタイトロープを始めるぞ!!」

サキの号令の下、彼の指揮下に入っている戦闘機が全機渓谷の中に入っていった。
ちなみに今回の作戦はエリア88の傭兵たちだけでなくアスラン国の正規軍の戦闘機も
途中から作戦に参加していた。

サキは司令官でありながら、自ら先陣を切り何処に障害物があるのか全て的確に指示し
後方の連中に教えていたのだ。
こんな命懸けの作戦だ、指揮官が率先してやらねば恐らくこの作戦は
実行すらされなかったかもしれないのだから…

ミッキー「このタイトロープ…サキの指示がなけりゃ入口で既に死んでたかもしれねえ…
今程サキがエリア88の指揮官だった事を感謝したいよ…」

グレッグ「せっかく重装備で来たのにスピードが出やしねえ…
しょうがねえから俺は殿をやるぜ」

ボウマン「まったく俺は今すぐ帰りてえ気分だぜ」

ボリス「俺も部屋の電気消しにすぐに帰りたい…」

サキ「いい加減無駄口を閉じろ!第一ポイント接近、高度を0に保て!」

全員サキの指示に従い小さい穴場を潜り抜けた…と思ったが正規軍の1機が
真上の岩とぶつかり衝突してしまった

グエン「ドジが…」

だが誰も気に留めてはいなかった、そんな余裕はないのだ
次のポイントに接近した

サキ「第2ポイント接近、続いて第3ポイント!潜り抜けたら左展開、高度そのまま!」

サキ「続いて第4ポイント!…後ろの正規軍高度下げすぎだ!?」

正規軍パイロット「了解!」

グエン「馬鹿野郎…それじゃ上げすぎだ…」

ドカーン
また一人正規軍のパイロットが死んだ、高度を下げすぎだったので
サキに注意され上げたら落ちたとは、皮肉すぎる最期であった…

ドーン、ドカーン、ガガーン

その後もサキの指示にパイロットの腕が追い付かず、渓谷内に戦闘機の墜落音が響く
結局生き残ったのはエリア88の傭兵たちだけであった…

与えられた命令にだけ忠実に従う飼い犬の正規軍と、
幾つもの修羅場を潜りぬけた狼たちの差は大きかったのだ

サキ「よし全員渓谷を抜けたな、爆撃隊はそのまま突っ込み燃料集積場に爆弾を投下、
他はグランド・スラムの破壊、あとは銭勘定しながら勝手にやれ!!」

サキの号令によりようやく自由に行動を許された狼たちは我先に獲物を追い求めた

グエン「よし集積場の破壊は俺たちがやる!」

サキ「ミッキー、グエン、お前たちはグランド・スラムの破壊を…
うん…?何だ?しまった敵の待ち伏せだ!?」

サキの言う通り岩陰から敵の戦闘機ハリヤーが待ち伏せしていたのだ
恐らくエリア88にグランド・スラムを発射するまでの時間稼ぎをするのだろう

ミッキー「攻撃隊はそのまま集積場に向かえ!」

グエン「ここは俺たちが引き受けた!」

チャーリー「大丈夫なのかサキ?あの二人は…」

発進前喧嘩寸前だった二人が組むという
不安が無いといえば嘘になるが、ここは傭兵、プロとしての腕は信頼していた

サキ「日本の諺にこういう言葉があってな、『喧嘩するほど仲がいい』とさ」

その頃みほたちは———

みほ「お爺さんここです、それじゃ降ろしてください」

マッコイ「おうわかっとるわぃ、そう急かせんでくれ…」

みほはマッコイの輸送機で先ほどの渓谷付近に来ていた
地図を見て確認するみほとマッコイ

マッコイ「本当にあのドリルはこの下を通るんじゃな」

みほ「うん!だからその前にやっちゃわないと…」

そう言いながらみほは地面にミサイルを撃ち穴場を作りそこに
例の大岩を設置した

マッコイ「こんな丈夫な大岩じゃ、滅多な事じゃ壊れんだろうな」

みほ「でも万が一を考えて…お爺さんすぐにエリア88に戻ろう」

みほたちがグランド・スラムの対策に追われている頃、
ミッキーたち攻撃隊は敵の反撃に合っていたが次第に形勢逆転していった

ミッキー「上?いや…下だ!?喰らえ!!」

ドーン、ドカーン

ミッキー「コンピューターに頼ってたら命取りだぜ!
ここは実戦で鍛えたエトランゼの感だけが頼りよ!」

グエン「そういう事、TVゲームみてえなもんだ」

普段は諍いが絶えない二人だが戦場では抜群のプレイを連発していた

グエン「見てろよ…残らずあの世に送ってやるからな!」

狂気がグエンを駆り立てる、彼は根っからの戦争狂なのだろう

グエン「流せ…流せ…何処までも赤い血を!ドクドク流してキャノピーを真っ赤に染めやがれ!!」

ミッキー(野郎…本当にイカれてやがる…だがこうして冷静に引き金を引いてる俺も所詮は同類か…)

そして二人は遂にグランド・スラムの発射台まで辿り着いた

ミッキー「見えた!あれがグランド・スラムか!?
ヒャー、写真で見たのとは迫力が違うぜ!」

グエン「ありゃ本物の化け物だ…さっさとやっちまおう…何だ?
しまった!もう火が入ってるじゃねーか!?」

そう、グエンの言う通り既にグランド・スラムは点火されており発射数秒前のカウントがされていたのだ

ミッキー「グエン!さっさとあれを攻撃するぞ!」

そう言うなりミサイルを発射させグランド・スラムが在った一帯は炎上した

ドカーーーン

グエン「やったか!?」

ミッキー「よせグエン!その台詞は日本ではやれてないフラグだ!」

ドドドドドドドド

ミッキー「何だ?地盤が揺れてる?やはり発射されちまったのか!?」

グエン「急ぐぞミッキー!こうなりゃ先回りしてエリア88に辿り着く前に破壊するしかねえ!」

急ぎグランド・スラムを追う二機の戦闘機

グエン「フン、いくら化け物ミサイルといえど地中を這うモグラなんぞが
戦闘機のスピードに敵うはずがねぇ!」

ミッキー「だがどうする?もうミサイルは撃ち尽くしたし20mm弾なんぞじゃ
地中までは届かないぞ!」

グエン「なぁに、いざとなりゃ俺たちの戦闘機をヤツにぶつけりゃいい
意地でもみほの下へは行かせんぞ!」

ミッキー「お前…みほの事嫌いじゃないのか?」

グエン「言ったろ、女子供が戦場にいるのは気に入らないってよ…
戦場にいるのは戦争狂いの馬鹿な男たちだけで充分なのさ…」

ミッキー「グエン…お前は…よっしゃ!さっさとあのモグラを叩き潰すぞ!」

グエン「ちょっと待て?前方に見えるあの大岩は何だ?」

ミッキー「おいモグラがあの岩と激突するぞ!」

ドガーッン

ミッキー「やった!あの岩のおかげでもぐらの進行が止まったぞ!」

さらに岩場に設置されていた大量の爆薬が作動し大爆発を起こした

グエン「これは誰かが前もって設置してた罠だ…だが一体誰が…?」

ミッキー「そんなの決まってるじゃねーか、エリア88の撃墜王みほ西住だよ!!」

ドドドドドドドド

だが地下の振動はまだ止まらなかった

ミッキー「嘘だろおい…これだけの爆発でもまだ生きてるのか…」

グエン「野郎!正真正銘の化け物だぜ!!」

再び進行を始めたグランド・スラムを追うミッキーとグエン
ついにグランド・スラムはエリア88付近まで近づいてきた

ミッキー「ここが正念場だ、これで駄目ならエリア88は消滅する…」

エリア88付近まで見えてきた時なにやら物影が見えてきた
それはよく見覚えのある物だった

グエン「ちょっと待て!正面にいるのはみほの�号じゃねーか!?
すぐに逃げろ!そんなとこにいたら死んじまうぞ!!」

とりあえずここまで
ちと長過ぎましたね

再開

同じ頃でみほの�号にサキからの緊急無線が入る

サキ「みほ、状況は把握した…いざとなればエリア88は放棄…」

みほ「サキさん、エリア88…滑走路の半分は犠牲になるけどゴメンなさい!」

サキ「みほ…何を言って…ブツッ!」

そう言ってみほは無線を切った

みほ「充分引き付けなきゃ…早過ぎても駄目、けど遅すぎちゃもっと駄目…」

グランド・スラムとエリア88の距離がおよそ5kmになった時、
みほは地中に隠したある物を動かした

みほ「本当はちゃんと修理してあげたかったけどゴメンね…エリア88を守るために行って!!」

その時地中を2台の戦車が走った、それは以前みほが大破させた�号の車輌だった
2台の戦車を無人で走らせグランド・スラムに体当たりを仕掛けるのだ

マッコイ「みほは以前から暇さえあれば、スクラップになった�号を修理しておってのぅ
まぁワシも気晴らしがてらちょっと手伝ってあげてたんじゃよ」

グエン「馬鹿な!さっき俺たちがミサイルで撃ったり岩で激突させても、
こいつには全然歯が立たなかったんだ!今更戦車2台突っ込んだところで…」

みほ「大丈夫、たぶんあっちも既にボロボロのはず…ここで決着をつけます!!」

ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

エリア88の付近で大爆発が発生した、エリア88はなんとか消滅は避けられたものの
滑走路半分は失うという被害を被ってしまった

1時間後攻撃隊全員が帰投した

サキ「みほ…よくやってくれた、エリア88の代表として心から礼を言う」

みほ「いえ…私だけだったら恐らくあのグランド・スラムは防げなかったはずです…
ありがとう、ミッキーさん、それにグエンさん」

ミッキー「いやー、それほどでもなぁ♪」

グエン「フン」

サキ「あのグランド・スラム、核兵器でなかったのが幸いだったのか
一応この辺り一帯に放射能汚染の形跡はない、エリア88も滑走路を修復すればまた機能できるだろう」

ボウマン「じゃあ暫く休暇か!皆!娑婆に行けるぞヒャッハー!!」

グレッグ「そうだなぁ…久しぶりに戦場の垢を落としに行くか♪」

ミッキー「なぁみほ、今回の作戦名名付けるとしたら何にするかい?」

みほ「う〜ん、モグラを叩くからモグモグ作戦かな?」

全員「アッハハハハハ!!」

皆が意気揚々と騒いでいる中グエンは一人黄昏ていた
そこにみほが近づく

グエン「何だいみほ?まだ俺に用事でもあるのか?」

みほ「グエンさん、あなたがどう人を殺そうと勝手だけど
20mm弾を生身の人間に撃ってたら割に合わないよ…」

思わず出たみほの皮肉にさすがのグエンも唖然とした

グエン「フハハハ、違いねえや」(なんてこった、こいつは俺が心配せずとも十分強いじゃねえか)

全てが一段落しエリア88に一時の平和が訪れた

第6話完———

これ書いてて今更思うんですがガルパンとエリア88両方知ってる人どれだけいるんでしょうか?



エリア88はさわり程度かな?
ガルパンはアニメ全話を見た程度の知識

いなご…

乙ー

両方ともそれなりに知ってるのでこのssは俺得

少なくとも俺は88はまってたなぁ。

>>153
ガルパンの方知ってるならうちのまほお姉ちゃんは本編よりも
かなりヤンデレ入ってます、エリカも悪人度を本編よりも増しています
エリア88の原作面白いんで全巻見てはどうでしょうか?
>>154
もしかしてモーリスの話?
あの話自分も好きですが泣く泣くカットしています
本編全部書き終わったら番外編で書きたい
>>155
それはなにより
>>156
ガルパンも面白いんで機会があれば是非見てください

ガルパン、録りだめしていたのを今更見たんで俺的にタイムリーだった
エリア88はうろ覚えだけど、スレ読みながら「ああ、こんなキャラいたいた!」「このエピソードあったよな」と思い出しながら楽しんでる

>>158
ちなみにこのSSでは本来エリア88の原作では1話程度のサブキャラのボリスやボウマンも取り上げてるので
「誰こいつ?」と思ったらまずは原作見て確認してください

それでは再開

日本———
ここは逸見エリカの部屋、まほはエリカの部屋でシャワーを浴びていた
まほはエリカに資金の横領がバレてからの事を思い出していた

(回想)

エリカ「その代り私のこ…恋人になってください!!」

まほ「は?」

まほ「…まったく、この私がエリカに肉体を差し出すとは…とことん堕ちたモノだわ…
けどこれでみほが助かるなら…お姉ちゃん頑張るからねみほ!」

その時シャワー室のドアからノックが聞こえた
ドンドン

まほ「誰?エリカなの!?キャァッ!あなたは…!?」

エリカ「フフフ、ついに隊長を私の手籠めに出来るわ!あの西住みほもまぁ連絡がまだ来ないけど、恐らくファリーナファミリーが殺してくれたでしょうね…
これで私の計画は完璧だわ、アハハハハハハ!!!!」

しほ「いい加減になさい、逸見エリカ!」

エリカ「西住師範!?い…一体どういう事ですか??」

しほ「戦車道全国大会を初戦敗退させておいて、おまけにうちの娘を外国に売り渡した
事実はとっくに調べがついている!もう言い逃れは出来ないぞ!!」

エリカ「馬鹿な…私の計画は完璧だったはず」(初戦敗退は隊員たちがボイコットしただけでエリカ悪くないもん!)

エリカ「一体誰の仕業!?」

菊代「私が一晩で調べました」

まほ「菊代さん!」

エリカ「あなたは西住家の女中!?」

菊代「以前からあなたの事は怪しいと睨んでました、それに私もみほお嬢様の事が心配でしたので…」

まほ「よかった、みほ…私以外にもみほの事心配してくれてる人ちゃんといるんだよ…」

しほ「答えなさい!うちの娘は今どこにいるの!?」

エリカ「ククク…フフフ…アハハハハハ!じゃあ答えますけどね、あの子はエリア88の外人部隊に
売っ払いましたよ!おまけについ先日殺し屋に殺しの依頼もしときましたからね…
もうとっくに死んでますよ♪」

まほ「そんな…殺し屋…みほが…」

プゥルルルル

菊代「あの電話が鳴ってますけど…」

エリカ「あ、私のだ、ハイもしもし…え?暗殺失敗した!?おまけに殺し屋は
あの女…西住みほと仲良くなって裏切った??ちょっとどういう事よ!?もしもし!…ガチャッ」

まほ「切れた」

菊代「切れましたね」

しほ「というか切られたわね」

エリカ「おのれ…こうなれば私自らの手であの女を殺す!」

そしてエリカは部屋の窓をぶち破り、本来黒森峰が今大会の決勝戦で使用するはずであった、
戦車で学園艦から逃亡したのだった

まほ「エリカ…けどこれでみほを助けられるわ!待っててみほ!!」

ギリシャ———

ここはギリシャ、みほたちエリア88の外人部隊は先日の作戦で修復作業中の
エリア88が直るまでの間、ここギリシャで休息を取る事になったのだ
しかし…

ミッキー「サキの野郎!何が休息だ!?
要はこのギリシャにあるアスラン外人部隊の訓練所でヒヨっ子たちの面倒見ろって事じゃねーか!!」

みほ「まぁ…あのサキさんが私たちをタダで休ませるわけないもんね…」

グエン「まったくこんな鼻たれ小僧どもの面倒なんて俺の性分じゃねーや、
気晴らしに町で酒でも飲んでくらぁ」

グレッグ「おい待てよグエン、俺も連れてけ♪」

ボリス「誰か俺の部屋の電灯を消しといてくれ」

グエン、グレッグの後に続いてエリア88の傭兵連中のほとんどが教官役を投げ出した
所詮彼らは傭兵、誰かに物を教えられるほど器用な連中ではなかった
結局最後に残ったのはみほとミッキーだけだった

そこにこのアスラン訓練所の名物ともいえる鬼教官が現れた

ラウンデル「おのれ…あのゴロツキどもめ、酒場に逃げおって…全員脱走罪で銃殺刑に…
ほぅ、去年は泣きべそ掻いてた小娘が一人前の顔して戻ってきたじゃないか」

みほ「ラウンデル教官!?」

ミッキー「みほ…誰だあのおっさん?」

みほ「ラウンデル教官だよ、この訓練所の鬼教官さん」

ラウンデル「まったく鬼とは酷い言いようだな…」

ミッキー「あれ?確かみほはいきなり実戦に出されたって聞いたが…?」

ラウンデル「最初の頃軍隊で訓練も積んでない小娘が使い物になるわけがないと、
私がサキさまに直々に頼み込んでこの訓練所にむりやり連れてきたのだよ。
だがまさかたった半日でこの訓練所を卒業するとは思わなかったが…」

ミッキー(本当この娘は可愛いツラしてスペックが化け物だよな…)

みほ「ミッキーさん?何か言った?」

ミッキー「いやいやなんでもないですよ!?」

ミッキーが動揺してると都合よくサキが現れた
サキも恐らく粗方傭兵たちが大人しく教官役を買って出るとは思っていなかったらしく
諦めムードになっていた

サキ「やはり全員酒場にでも逃亡してしまったか、これでは話にならんな…
構わん、二人とも街に出て遊んで来い」

サキが言うなりミッキーはすぐにみほを連れギリシャの街中に出掛けた

二人がいなくなった直後、サキは現在のアスラン国の内情をラウンデルに問い質していた

サキ「先日のグランド・スラムの出所は外国の軍事組織…恐らく死の商人か」

ラウンデル「でしょうな、反政府軍が自力で手に入れたとは考えにくいかと…」

サキ「その死の商人が何処の誰か見当は付くか?」

ラウンデル「私の情報網で調べたところ、先日ヨーロッパのジュゼッペ・ファリーナが
サキさまのお父上と内々に交渉されてたという事です」

サキ「ジュゼッペ・ファリーナ?あのプロジェクト4の立案者で
イタリアのマフィア、ファリーナファミリーの総帥が親父と手を組んだだと!?
まったく笑えない話だ…」

ラウンデル「今はまだ形を潜めてますが…ヤツらが牙をむき出せば…」

サキ「この戦争の均衡は崩壊する、政府軍は負けるぞ…」

とりあえずここまで

ミッキー「たくこの観光地はアベックしかいねーのかって…何だあの馬鹿デカい空母は!?」

みほ「空母?あれはまさか日本の学園艦?もしかして黒森峰!?

みほはもしかしたら自分の母校の黒森峰の学園艦が、こギリシャまで来たのかと思い
急いで港まで確かめに行った

ミッキー「待てよみほ!学園艦って何なんだ!?」

急いでみほを追っていくミッキー、だがこの時彼は気付かなかった

トレイシー「今のミッキー?まさかね…」

夫「トレイシー、どうかしたのかい?」

トレイシー「なんでもないわ…行きましょう」

もしみほを追わねばミッキーはかつての婚約者と再会してしまっただろう
そんなつらい再会をしなかったのもまたみほのおかげなのかもしれない

一方ギリシャの港

学園艦の一団が下船してきたようでその中の、恐らくトップであろう人物が
全員に号令をかけていた

桃「全員注目!」

杏「いやーよかったね皆!この大洗が廃校にならずにすんで☆」

『いえーい!やったね!』『これで学校卒業できる♪』『転校せずにすんだ!!』

桃「やめー!」

すんませんsageてしまった…

この大洗女子学園は今年の初めに廃校を宣言されたが
日本の財政界のトップである海音寺八兵衛の力添えにより廃校処分を免れたのだ
ちなみに何故大洗女子が海音寺とコネがあったかは会長が八兵衛の隠し子ではないかという
噂が出回ったが結局デマとされた

ちなみに真相は

八兵衛「まぁ可愛い女の子の頼みとあっては聞かぬわけにはいかんしのぅ…」

美鈴「このロリコンが…」

…であった


杏「今日はそのお祝いも兼ねて、ギリシャに旅行に来たけど
くれぐれも怖い外人さんに付いてったり変な契約書にサインなんかしないようにね!
以上解散、じゃあ皆楽しんできて♪」

柚子「会長軽過ぎですよぅ」

みほ「日本の学園艦だけど黒森峰じゃない…それにしても大洗って何処だろ?」

ミッキー「どうかしたのか?それにしてもこの艦でっかいよな!
上に町でも建ってんじゃないのか?」

みほ「建ってるよ、あの子たちは日本の高校生でそれにこれは学園艦って云々…」

みほはミッキーに学園艦について説明していた

ミッキー「ハァ…なるほどこんなでっけぇ空母を子供たちだけでねぇ…」
(日本のハイスクールの学生凄すぎだろ…だからみほがこんなハイスペックなわけか)

ミッキーはようやくみほの強さの秘訣が分かった気がしていたが、彼女がそんな
女子高生でも西住流の家元の出だからという事を付け加えておこう

その時とある3人組がみほとミッキーの二人に話しかけてきた

??「ねぇ…あなたもしかして西住みほさん?」

みほ「どうして私の事を!?」

沙織「やっぱり…私は武部沙織、こっちは五十鈴華と冷泉麻子、
あなたの事はお姉さんから聞いてたの」

みほ「お姉ちゃんが?えーとどういう事なんですか?」

それからみほは沙織から以前まほが大洗を訪ね優花里に
エリア88の情報を得ていた事を話してもらい、
何よりまほが自分の事を探していた事を知り思わず涙を流した

みほ「お姉ちゃん…私の事探してくれていんだね…ありがとう…
けどお姉ちゃんがその秋山さんの首を絞めたなんて…
本当に酷い事してしまってゴメンなさい!…それで秋山さんは?」

華「それが先ほどまではご一緒だったのですが、
急に何処かへ行かれてしまって…」

麻子「初めての海外だというのに単独行動は危険過ぎる…」

ミッキー「なら探した方がいいぜ、もしかしたらやばい事態に遭遇するかもしれねえ!」

沙織「うわっ!外人さんだ!?は…はろぅ?」

ミッキー「あ、俺日本語喋れるから大丈夫だよ」

沙織「せっかく英語喋って出来る女子力アピりたかったのに…」

麻子「そんなヘッポコな語学力で大丈夫か?」

沙織「うぇ〜ん!華ぁー!麻子が虐めるよぅ!?」

華「よしよし」

ミッキー「じゃあさっさと探しに行こうぜ!俺は街中を探すから
みほたちは観光地を探してくれ!」

みほ「あ、行っちゃった…容姿もわからないのに探せるのかな?」

華「それでは私たちは観光地の方へ」

こうして二手に別れて優花里を探し始めた、道中みほは沙織たちと
仲良くなり沙織から『みぽりん』と呼ばれるほど親しまれた

沙織「ねぇねぇ!ここでちょっと皆で写真撮っていこうよ!」

華「まずは優花里さんを見つけてからでしょ」

沙織「ブーッ!わかってるよ…けど何処探しても見つからないしヤダモー!」

みほ「そういえばその秋山さんて人はどんな感じなの?」

沙織「一言でいうなら軍事ヲタかな?」

みほ「大洗で軍事ヲタ…そういえば以前エリア88へ取材に来た、
ロッキーさんが大洗で凄い軍ヲタの女子高生に会ったとか言ってたような…もしかして…」

この時みほはある悪い予感を感じて、ミッキーと合流しようとした
が…ミッキーは…

みほ「ミッキーさん、そっちは見つかりましたか…って…」

とりあえずミッキーと合流したみほであったが…

ミッキー「みほ!これは違うんだ!落ち着いてくれ!?」

とりあえずここまで

梓「ねぇねぇミッキーさん、次はどこ行きます?」

あや「ミッキーさんて名前が千葉の鼠みたいで可愛いよね♪」

あゆみ「お仕事はパイロットなんですよね!私憧れちゃう!」

優季「私の彼もパイロットだといいのになぁ…」

桂利奈「やっぱり怪獣とか倒すんですか〜?アイー!」

紗希「…」

ミッキーはみほたちと別れた直後大洗女子の1年グループに囲まれ
ハーレム状態で街中を探索していたらしいのだ

ミッキー「なぁみほ、聞いてくれ!?」

みほ「一応聞くけど何?」

みほはまるで路上のゴミを見るような目でミッキーを見た
まさか自分たちが優花里を探してる間ミッキーが女の子たちとハーレム状態で
デートしてるなんて想像しなかっただろうから…

ミッキー「過去も…未来も…微笑も…涙も… そして、愛すら投げ捨てたさ…
だが、たった一つだけ捨てきれなかった物がある。」

「それは、なんだ!!」

「男の尊厳だ…。
 この世に男として生を受けたなら、生きて…生き抜いて…
息の根が止まるまで男として生きる。たとえ…この体が灰になってもな…
男の尊厳とはそんなものだ…」

みほ「それで何が言いたいの?」

ミッキー「その…つまりはだな…すいませんでした!!」

ミッキーはその場でジャンピング土下座し土下座の本場である
日本人のみほたちもある意味感心するほどキレイな土下座だった

沙織「私さぁ…外人さんが土下座するとこ初めて見た…」

華「私もです…」

麻子「普通は見れないからな、よかったな二人とも、珍しいものが拝めて」

梓「キャー!ミッキーさん土下座してる!」

優希「可愛〜い♡」

ミッキー「あれ?受けた?なんならお兄さんもっとやっちゃうよ♪」

みほ「ほらいい加減行きますよ!」

ようやく大洗の1年グループたちから解放されたミッキー(残念そう)と合流し
みほはある予感が的中しないようにと思いながら先ほどの
アスラン外人部隊訓練所に戻ってきた

ミッキー「おいみほ…こんなとこに若い女の子がいるわけないだろ
もっと別のとこ探そうぜ…ってなんか訓練所が騒がしいな?
おぉ、訓練兵のヒヨっ子どもが行進してらぁ…でも何だこの歌?」

訓練兵たち「「I just feel my wind〜♪
I just feel my shine
空に raise and ride〜♪」」

ミッキー「酷え光景だ…本来なら可愛い姉ちゃんが歌ってこその歌だろうに…これじゃ騒音だ」

沙織「何故だろう…無性にあんなむさ苦しい男連中に歌ってほしくないよ」

その時みほの予感は的中した、そこには目下捜索中である秋山優花里が訓練していたのである

ラウンデル「おぉみほ、帰ってきたか!彼女は優花里秋山と言ってなお前と同じ日本人で、
先ほどこのアスラン外人部隊に入隊したんだよ」

みほ「…」

ラウンデル「いやぁ彼女は実に筋がいい、兵器の知識は豊富だし何処ぞのゴロツキどもと
違いやる気もあるし傭兵じゃなくアスランの正規兵として採用したいくらいだよ!」

唖然とするみほ…そんなみほに気付いたのか優花里から挨拶をされた

優花里「初めまして秋山優花里です、西住みほ殿でありますね!
お目に掛かれて光栄です!姉上殿のまほ殿から大体の事情はお聞きしています!」

みほ「あぁはい、こちらこそ…じゃなくてあなた…まさか…契約書にサインを…」

みほが恐る恐るとある確認をした、それはある契約書のサインの確認だった

優花里「ハイ!この訓練兵一日体験ツアーの契約書ですよね!勿論サインしました♪」

だが優花里から見せてもらった契約書は紙が二重になっており確かに表は
訓練兵一日体験ツアーの契約書と書いてあるが、裏の方は
かつてみほがエリカに騙されてサインされた、あの傭兵契約の契約書だった

ミッキー「おいみほ…これはつまりどういう事なんだ?」

沙織「そうよ…わかりやすく説明してちょうだい!」

みほ「その前に秋山さん…ちょっと聞かせて、この訓練兵一日体験ツアーの
契約書を誰から貰ったの?」

優花里「それは勿論!現地にいる黒服の観光案内の人が教えてくれたんですよ♪
あ、それと私の事は気軽に優花里と呼んでください!」

ラウンデル「さぁ秋山くん!訓練を続けるぞ!」

優花里「イエッサー♪」

そう言いながら優花里はウキウキと訓練に戻って行った
しかしそれとは反対にみほは酷く苦い顔をしていた

ミッキー「なぁみほ、どうしたんだよ恐い顔して…
何かわかってるなら俺たちにも教えてくれよ?」

麻子「その顔からして何かとんでもない一大事だと思うが…」

みほ「あの契約書…一日体験ツアーなんかじゃなく私がサインしたのと
同じ傭兵の契約書で…つまり優花里さんは私と同じく3年間傭兵をしなきゃいけないの…」

沙織「ちょ…ちょっと待って!だってゆかりんは観光案内の人から契約書を貰ったって…!?」

みほ「その観光業者はたぶんインチキだよ…
アスラン国の軍は今戦争中でただでさえ人手不足だから、あの手この手で人手を確保してるの…」

ミッキー「みほ…何でお前そんな事わかるんだよ?」

みほ「私がこの訓練所に居た時、ショウイチロー・イトーという日本人の新兵がいて
彼は今の優花里さんと同じ手口でここに連れてこられたって…」

華「ちなみにその方はどうなったんですか?」

みほ「彼…訓練中に人殺しが嫌だって言って逃亡して、でも結局失敗して
その後銃殺刑に…」

それを聞いた沙織たちはやっと事の重大さを認識した
だが自分たちだけではこの事態を対処できないのもわかっていた

ミッキー「なるほど…俺みたいな傭兵家業を専業でやってる連中は
こんなサイン屁でもねえが、何も知らない一般人をこんな汚ねえ手で騙して
連れて来るとは正直気に喰わねえな…」

麻子「それでなんとかならないのか?」

みほ「なりません…契約書にサインした時点でアスラン国の兵士なんですから…
けどサキさんなら…サキさんはこういう事嫌ってるんでなんとかお願いしてみれば…」

ミッキー「なるほど…こういう時こそ司令官殿を頼らなきゃな、サキのとこ行こうぜ!」

サキのオフィス———

サキ「なるほど、大体の事情は分かった…ラウンデルめ、こんな募集はもうやめろと
あれほど言ってるのに…」

みほ「じゃあなんとかなりますか!?」

沙織「ねぇねぇ華!あの長髪の軍人さんカッコいいよね!
やっぱ恋人にするなら軍人さんかな?」

華「沙織さん、不謹慎ですよ」

サキ「一応交渉してみるがあまり期待しないでくれ、今アスランは内戦中だ、
それなのに傭兵契約を一々破棄してたら、軍の指揮に関わるのでな…」

そういってサキは訓練所の上層部と掛け合いに行った

ミッキー「さすがは俺たちの司令官殿だ、けどサキのヤツよくすんなり引き受けたな…
何か裏がありそうな…まさか助けた女の子にエロい事する気じゃ!?」

みほ「さすがにそれは…ミッキーさんじゃあるまいし…」

麻子「恐らくだが、こんな詐欺紛いの事してると他国との外交で心象悪くなるからだろ」

沙織「ふむふむなるほど!麻子頭良い!!」

華「さすがは学年主席ですね♪」

2時間後戻ってきたサキはみほたちに申し訳なく言った

サキ「すまない…今が戦時下でなければなんとかなったかもしれんが…」

みほ「やっぱり…」

サキの力でもどうしようもないとわかり
落胆しながらオフィスを後にする一行

沙織「ちょっと!本当にゆかりん兵隊になっちゃうの!?」

麻子「最悪そうなるかもしれないな、だが10代の子供がそう簡単に
危険な戦地に送られるわけないと思うが…」

ミッキー「そうとも限らねえな…サキは黙ってるが実は俺たち傭兵の間じゃ、
もうじきアスランでデカい規模の戦争が起こるかもしれねえって噂がある…
そうなれば訓練兵だろうが新兵だろうがお構いなしに前線送りにされるかもしれねえぞ!」

みほ「だから助けるなら今しかないの!こうなったら違約金の150万ドル払ってでも…」

ミッキー「馬鹿よせみほ!それはお前が日本に帰るために貯めてる大事な金だろ!
いくらあの子が可哀想だからって赤の他人に使うのはどうかしてるぜ!?」

沙織「そうだよみぽりん、確かにゆかりんの事は大変だけどそのお金は
みぽりんがこれまで大事に貯めてたお金なんだから!」

華「大丈夫です、まだなんとかなります!とりあえずうちの生徒会からも掛け合ってもらいますから」

麻子「それが駄目なら日本政府を通じて助けてもらおう」

みほ「駄目、それじゃ遅すぎる…助け出すならもう今しか…」

みほの言う通りまともに交渉をしてたら恐らく戦争は始まってしまうだろう…
そうなれば優花里はミッキーの言う通り最前線送りにされてしまうだろう。
ろくに実戦経験のない人間を戦場に出せばそれは即ち死を意味するのだから

ミッキー「まあ落ち着けみほ、こういう時は酒でも飲んでだな…
って未成年は飲んじゃ駄目か、あれ?そういえばグレッグたち飲みに行ったきり
全然帰ってこねえな?」

グレッグ「よぅミッキー!呼んだかい?ガハハ!」

グレッグを先頭に先ほど酒場に行った連中が全員帰ってきた
既に全員が泥酔状態だった

沙織「うわっ!このおじさんお酒臭い!?」

ミッキー「お前ら今までずっと飲んでたのか!?」

グエン「ヒック、悪いかコラ?傭兵が暇な時は酒飲んで酔っ払うのが常識だろうが!ウィ〜」

麻子「何処の世界の常識だ?」

ボウマン「なんだこの嬢ちゃんたちは?みほのお友達か?
それともキャバ嬢か?ギャハハハハハ!」

みほ「皆こんなに酔っ払って…これじゃ教官役なんてもう…あれ教官役?」

ミッキー「みほ…俺の予感が正しければお前何か妙な事企んでないか…」

その直後みほはラウンデルに頼み込み、泥酔状態の傭兵たちに教官役をやらせた

1時間後、訓練所のグラウンドに訓練兵たちが集合していた
中には件の人物である秋山優花里もいた

ラウンデル「それではこれよりエリア88の傭兵たちに演習を…」

グエン「うぃ〜、おめえらおりたちのゆ〜ことちゃんときくんだじょぉ」

グレッグ「うりうり♡」

訓練兵A「やめて!髭で頬ジョリジョリするのやめて!」

ウォーレン「いいかお前ら!今から俺が弾く曲を腹の底から歌えギャーッハハ!行くぜ♪
Enter Enter MISSION 〜♪
早くここにおいで 一生懸命追いかけたいよ〜♪
だから一生 COME ON〜♪」

ミッキー「やめろ!その歌を野郎が歌うんじゃねえ!?」

華「何か汚された感じがしますね…」

ラウンデル「貴様らいい加減にしろ!?」

ボリス「なぁラウンデルさんよぉ、やっぱり俺は部屋が暗いの恐いんだよぉ!
やっぱ駄目なヤツなんだよ俺は!!」

ラウンデル「知るか!?ええいしがみ付くな!離せ!!」

もはやラウンデルですら事態の収拾が付かなかった
そしてその隙にみほたちは行動を起こした

みほ「よし、この隙に…優花里さんこっち来て!早く!」

優花里「あ…西住殿…?これは一体!?」

みほ「優花里さん!皆!今すぐ学園艦に逃げて!
そうすればアスラン政府も何も言ってこないはずだよ、元々詐欺みたいな方法で連れて
来られたんだし誰も文句言わないはずだから」

沙織「そっか!あの傭兵さんたちそれで皆協力してくれてるんだね…
ゴメン私勘違いしてた、男は見た目じゃないんだようん!!」

麻子「いや…連中は本当に酔っ払ってるだけだ…」

ミッキー「おい嬢ちゃんたち早くしてくれ!さっさとしないとラウンデルのおっさんに
気付かれちまうぞ!?」

優花里「あの西住殿…せっかくのお気遣いありがたいのですが私はここに残ります、
私は元々あの観光業者がアスランの傭兵集めをしていたのを知ってましたから…」

みほ「優花里さん…それどういう事なの?」

優花里「私は去年の黒森峰対プラウダの試合を観て西住殿に憧れていたんです!」

そして優花里は話した、あの試合を観てみほの戦いに感激しいつの日か会いたいと…
だがあのプラウダ戦以後みほは行方不明となり、ようやく所在が判明したと思えば
どういう訳かアスラン国で傭兵をやっていたという事を…
そしてアスランの傭兵を何処で募集してるかを調べこれまで行動していたのだ

優花里「だから私は大洗の学園艦がギリシャに行くと知った時決意したんです!
これで西住殿のお傍で戦えると!だから私は…」

みほ「いい加減にして!ここは戦場なの!それにもうすぐアスランは戦争になる…
戦車道なら死人は出ないけどここじゃそうはいかない、
私はここで生き残るために何人も人を殺した…あなたはまだ間に合う…だから行って!」

優花里「そんな…それこそ西住殿を置いていけません!
それに私だっていざとなれば人殺しくらい…」パンッ

思わずみほは優花里を叩いた、それは彼女がそんな理由で人殺しに参加しようとしたからだ

みほ「ゴメン叩いちゃって…けどひとつ聞いてくれるかな、私ここに来た時同じ日本人の
訓練兵と出会ってね、彼からこう言われたの…」

(回想)

ショウイチロー「人殺しはごめんさ!!」

みほ「なら何でこんなところに…」

ショウイチロー「俺も甘かったさ…外人部隊…どうせ人里離れた国境で警備でも
やるんだろうと軽く考えていたのさ…ところがどっこい最前線!!冗談じゃねえ…」

みほ「何で?自分が殺されちゃうんですよ!?
他人じゃなくあなたの命が!!」
ショウイチロー「そうさ…自分の命はどう使おうと自分のかってさ…
だがな…人を殺して自分の手を血で染めるくらいなら死んだほうがましさ…」

みほ「彼は私にそう言い残して死んだ…
けど優花里さん、あなたはまだ間に合う…自分の手を真っ赤に染めないで…」

優花里「けど西住殿は…」

みほ「大丈夫、私も生きて必ず日本に戻るから!」

サキ「さて話はすんだかね、車を用意してある、皆それに乗るといい」

ミッキー「サキ!まさかあんたも手伝う気か!?」

サキ「まぁ元々こちらに非があるわけだしな、それに別件も兼ねてるわけだが…」

みほ「別件?」

沙織「あ、さっきのイケメンさん!やっぱり男は顔だわ♡」

華「沙織さん…この場は空気を読みましょうね」

そして優花里と沙織たちはサキが用意した車に乗り込み訓練所の誰にも知られず
大洗艦に戻る事になった

去り際に優花里たちはみほにこう言った

優花里「西住殿!必ず日本に帰ってきてください!日本であなたと一緒に戦車道をしたいんです!!」

沙織「そうだよみぽりん!死んじゃ駄目だかんね…必ず生き延びて!」

華「今度お会いする時は一緒に美味しい物を食べましょう」

麻子「生きてまた再会しよう」

それぞれみほに別れの言葉を言いサキの車は大洗艦に向かった

去り際みほはこう呟いた

みほ「生き残れたら無事を祝って肩を抱き合おう…だからそれまでさようなら…」

ミッキー「お前さんなら絶対にこの戦場を生き残れるさ、なんたってエリア88の撃墜王なんだからよ」

第7話完———

以上ここまで
また長くなってしまいました…
皆さんも海外旅行行く時は知らない人の事あまり信用しない様に

乙。これは予想以上の展開…


さすがにこの秋山殿には「ふざけんなっ!」と一喝したくなるな
無事で良かったよ

>>203
普通ならここで大洗の子たちが参戦して熱い展開になるんでしょうが
このSSじゃ話の展開上そうなれないんで…
>>204
実は当初秋山殿はショウイチローのポジションで訓練中に脱走して
銃殺刑と考えてたんですが
それはさすがに酷いと思ってやめました

再開

少し時は遡りイタリア———

ここはイタリアのジュゼッペ・ファリーナの屋敷である

ジュゼッペ「では逸見エリカ、キミをこのジュゼッペ・ファリーナの養子として
我がファリーナファミリーの一員に迎え入れよう!」

エリカ「ありがとうございます、これはお礼ですが」

ジュゼッペ「フフフ酒か、せっかく新しい娘からのプレゼントだ、頂こう」(ゴクリッ

だが飲んだ瞬間ジュゼッペは突如苦しみだした
実はこの酒には即効性の毒薬が入っていたのだ

ジュゼッペ「バ…バカな…何故…?」(ドサッ

エリカ「何故ですって?アンタがしくじった所為で西住みほを殺せなくておまけに
私は黒森峰の副隊長の座を…まぁこれで鬱憤晴らしは出来たから良しとするわ」

そしてジュゼッペの死体はエリカの手下が内密に始末した
彼の死は交通事故として処理される事になった
そしてエリカの腹心であるジュリオラ・エッティがエリカにこう尋ねた

ジュリオラ「エリカ、それではこれからどうしましょうか?」

エリカ「決まってるじゃない!このままアスランに攻め込んであの女!
西住みほを今度こそ亡き者にしてくれるわ!!
フフフフフ、アーハハハハハハ!!!!!!!!!」

それはみほたちがギリシャに休息に行く直前の出来事であった

エリア88———

アスラン訓練所でラウンデルからしこたま怒られたエリア88の傭兵たちは
その日のうちにラウンデルに追い出されるが如くギリシャを後にした

ちなみに優花里の件は彼女が訓練中不慮の事故により死亡という扱いで書類上すまされた
工作のために一応みほが訓練兵の宿舎を訓練所に置いてある、
戦車の機関銃でぶっ放しておいた

ドガガガガガガ

ミッキー「みほ…いくらなんでもそれはやり過ぎだろ…」

みほ「ミッキーさんもやってみる?結構気持ちいいよ♪」

出会った頃はこんな子じゃなかったのにと嘆くミッキーであった

さてエリア88に戻ってきた一行だったがまだ滑走路の修復は終わってはいなかった

ミッキー「おいマッコイ爺さん!どういう事だよ?滑走路直ってないじゃないか!?」

マッコイ「馬鹿言うでないわ、あのドリミサイルの爆破から5日程度で
すぐに直るもんかえ!?それにお前さんたち帰ってくるのが早すぎじゃないのかい?」

みほ「アハハ…これには色々と複雑な事情が…(追い出されたなんて言えないよ)」

マッコイ「ふん、どうせ訓練所で何か騒動でも起こして追い出されたくらい想像がつくよ」

みほ(バレてるし…)

グレッグ「うぅ…頭がガンガンする…何で二日酔いしてんだ?」

ボウマン「気付いたらエリア88に戻ってやがった、まだギリシャに居たかったのに…」

ウォーレン「何で俺のギターぶっ壊れてんだろ?おまけに歯も痛いんだが…」

ケン「おぼろげな記憶だが確かお前…歯ギターやってその後地面にギターぶっ叩いてなかったか?」

ボリス「留守中俺の部屋の電灯は誰も消さなかったか?」

サキ「さて諸君!いい加減しゃっきりしてもらおうか、
この休暇は早めに切り上げたのは理由がある!」

グエン「せっかくの休暇を切り上げたんだ、ろくでもない理由なら
全員であんたをリンチにするぜ!」

サキ「反政府軍が侵攻を開始した!既にエリア81〜87の基地が一斉に攻撃されている、
すぐにここエリア88にも敵が攻め込んでくるはずだ!」

フーバー「馬鹿な!反政府軍が81〜87の基地を一斉攻撃だと!?
連中にそこまでの戦力はなかったはずだぞ!!」

ケン「それに俺たちは前回敵の燃料集積場を爆破してヤツらの行動を、
3ヵ月は麻痺出来たって!サキよ、アンタ自身が言ってたはずだぞ!?」

サキ「状況が変わったんだ、先日反政府軍にプロジェクト4という軍事組織が加担してな、
それでこの内戦での均衡が一気に崩れてしまったのだ…」

ミッキー「プロジェクト4…聞いた事があるぜ、ヨーロッパの死の商人どもの事だ!
ヤツらこのアスランにも商売しに来やがったか…」

みほ「欲しいのは中東での石油の利権…そのために反政府軍に加担するんだね…」

チャーリー「だがヤツらはここまで表立った強硬手段は取らなかったはずだ
(どうなっていやがる…俺は既にファミリーを裏切った身だが、これはジュゼッペさんの手口とはまるで違うぞ!?)」

サキ「これは噂だがプロジェクト4のボスが死んだらしくてな、今は彼の養子になった
日本人女性が指揮しているという話だ」

みほ「日本人女性?」

サキ「正体はわからんが、かなり強引な手口を使うとの評判だ」

ウイィィィィィィ

サキ「警報?ついにこの基地にも仕掛けてきたようだ、総員出撃だ!!」

出撃準備に入るエリア88の傭兵たち
その頃敵の攻撃隊が戦闘機でエリア88に近付いてきていた
攻撃隊長はプロジェクト4から派遣された外人部隊のゲイリー・マックバーンが
指揮を務めていた

ゲイリー「まったく今度のボスは随分と強硬手段を取るもんだ、俺たちハイエナは
日陰でコソコソと商売するのが性分だというのによ…」

ゲイリーはエリカのやり口に愚痴を吐きつつも職務を全うしていた
何故なら彼には大金が必要だからだ

ゲイリー「まぁこちらも所詮は雇われの身だ、仕事と割り切っているからいいんだがね…

そして出撃したエリア88の外人部隊と反政府軍が同時に攻撃を開始した

反政府軍正規兵「聞こえるかプロジェクト4!この戦闘は我々の聖戦なのだ!
今回貴様らが指揮をするというが我々は勝手にやらせてもらうぞ!!」

ブツッ
そう言って無線を切った、反政府の正規軍はゲイリーの指揮から離れてしまったのだ

ゲイリー「馬鹿が、恰好つけて…お前ら死ぬぜ」

ドン、ドカーン、ドオーン

戦場に爆音が響き渡る
最初は苦戦を覚悟してたエリア88の外人部隊であったが、反政府軍のパイロットたちが
素人のパイロットだという事がすぐにわかり戦局はあっという間に好転した

みほ「この動き!?皆さん敵は実戦での経験が乏しいようです!
思いっきりやっちゃいましょう!!」

グレッグ「若葉マークつけた素人が!俺たちとは潜り抜けた修羅場が違うんだよ!!」

グエン「あばよガキども、地獄で生き急いだ自分を呪いな」

次々と撃破されてく反政府軍の攻撃隊
残ったのはプロジュエクト4の傭兵たちだけだった

ゲイリー「勝負はついたか、よし引き上げるぞ!」

部下「ですがエリア88は…」

ゲイリー「この戦力差じゃ勝負にならん、お前死にたいのか?」

部下「しかしそれでは反政府軍との契約が…」

ゲイリー「向うから我々の支援を断ったんだ、心配せずともちゃんと言質も取ってある」

ゲイリーは先ほどの反政府軍のパイロットとの会話をレコーダーで保存しておいたのだ
そしてゲイリーの指示の下撤退していくプロジェクト4の傭兵たち

ミッキー「あの部隊撤退していきやがる、まぁ的確な判断だな」

ゲイリー「部下には撤退しろと言ったが、こんな舐められっ放しというのは
性分じゃなくてな、悪いが少しはやらせてもらう!」

そしてゲイリーはMiG-21、 1機でエリア88の外人部隊に挑んだ

グエン「たった1機で俺たちに挑むとは無謀なヤツめ!返り討ちにしてやるぜ!」

みほ「待ってグエンさん!その機はさっきの人たちとは違う!?」

みほの言う通りゲイリーのMiG-21は華麗なアクロバットを披露しグレッグたちの
攻撃をかわしてみせた

ミッキー「あの操縦テク…あれはまさか!?みほ!ここは俺だけにやらせてくれ、
他のヤツらは手出すんじゃねえぞ!?」

ゲイリー「ほぅ、この俺に一対一のサシで勝負を挑むとは…いいだろう、受けて立ってやる!」

それから両者は一進一退の互角の勝負を繰り返していた
そしてお互いの正体を確かめ合っていた

ミッキー「こんなアクロバット飛行が出来るのは俺が知る限りただ一人、
アクロバットチーム『ブルーエンジェルス』のゲイリー・マックバーンか!?」

ゲイリー「間違いない、この動きはかつてのベトナムの英雄『火の玉(ファイアボール)・ミッキー』ミッキー・サイモンだな!?」

二人は戦闘中にも関わらず無線で連絡した

ミッキー「応答しろ!お前はゲイリーなのか!?」

ゲイリー「やはりミッキーか、まさかこんな中東の空で再会するとはな…
お前とはよほどの縁で結ばれているようだぜ!」

ミッキー「何故だ?お前はベトナム後、ブルーエンジェルスの一員になって
キレイな奥さんと結婚して、子供に恵まれ幸せな生活を送ってたじゃないか!?」

ゲイリー「女房なんかとっくに死んじまったよ、今はその子供のために戦ってる…」

ミッキー「なんだと?どういう事だ!?」

ゲイリー「アクロでは食えん…」

ゲイリーは自分のこれまでの生い立ちを全てミッキーに告白した
自分は元々スラム街の生まれで、いつか大空を翔びたいと夢見ていた事、
念願叶いパイロットになれたものの、当時ベトナムで出会ったミッキーと比べ
陽の当たる場所を歩むミッキーと自らのおかれた境遇から、複雑な感情を抱いていた事を、

そして妻は夫の危険な仕事に心労を抱え、麻薬に溺れてしまい娘を出産後死亡してしまった。
おまけに麻薬に溺れた母親から生まれた娘は身体が病弱であり、
娘の高額な医療費を稼ぐためにゲイリーは傭兵になったのだ。

ミッキー「ゲイリー…お前は…」

ゲイリー「たとえ…地獄で稼いでも金は、金だ!!
俺は、あの子の為に…
この身体を火で焼いてもあの子の未来を買い続けるのさ…」

ゲイリーは期待を180度回転しその場を後にした
次に会う時は本当に殺し合う事になるだろうと覚悟して…

別れ際彼はこう言った

ゲイリー「俺の空は、
最初から地面にへばりついて見なけりゃならない空だったのさ…」

基地に帰投した傭兵たちはエリア88内が騒然となっていた事に疑問を感じていた
先ほどの戦いは圧勝だったはずなのにだ

サキ「全員聞いてくれ、81〜87の基地が壊滅した…
政府軍の残存兵力は最早このエリア88だけだ」

みほ「そんな、どうして…」

ミッキー「どうやらプロジェクト4の主力は他にいたようだな、道理でさっきの連中
弱かったはずだぜ!」

事務官「サキ司令!ラウンデル少佐が…」

サキ「ラウンデル…お前が来たという事は…」

ラウンデル「はい、アスラン首都に反政府軍が押し寄せてきて…首都は反政府軍により
占拠されてしまいました…
ザク国王はこちらの基地にお連れしておきました、今はクスリで…」

グエン「なんてこった…これじゃ立場が逆になっちまった」

ケン「俺たちもし反政府軍に捕まっちまったらどうなるんだ?」

キャンベル「決まってるだろ、その場で縛り首よ!」(ギラッ

ケン「おいこら!義手で首引っ掛けるのやめろ!」

この非常事態だというのにマイペースなエリア88の傭兵たち
だが次の瞬間凍りつくような出来事が起きた

管制塔「サキ司令、大変です!四方から敵軍が押し寄せてきます!」

サキ「なんだと!?」

一方こちらはプロジェクト4

エリカ「先ほどはご苦労だったわねゲイリー、まったく反政府軍のグズどもったら
使えないったらありゃしない!」

ゲイリー「それにしてもこのエリア88を叩くために全兵力を集中させるとは…
エリカ総帥、あんた何を考えてるですかい?」

エリカ「もうアスラン国の残存兵力はエリア88にいる連中だけよ、
おまけにあそこにはさっき首都から逃げ出した
国王のザク・ヴァシュタールがいるはず!それにあの女も…」

エリカ「いい!この基地から蟻の子一匹逃がすんじゃないわよ!!」

そして対空レーダーが敷かれエリア88には入る事も出る事も適わなくなった

そして対空レーダーが敷かれエリア88には入る事も出る事も適わなくなった

ボリス「いくらここが最後の基地だとしてもこの配備は明らかに異常過ぎる」

ウォーレン「敵さんは俺たちの中に殺したいほど憎んでるヤツでもいるのか?」

サキ「親父め、私や叔父上を殺すのにここまでやるのか…」

その時敵側から通告があった

エリカ「聞こえるかエリア88、私はプロジェクト4の指導者エリカ・ファリーナ!
そちらは完全に包囲された!最早諸君に逃げ場は無い!!」

驚いたエリア88の全員が外を見ると、
そこには黒森峰を脱出する際持ち出したVIII号戦車マウスの上に載って
通告するエリカの姿があった

グレッグ「何だあのでっけぇ戦車?
それに新しいボスってみほと同じくらいのガキじゃねえか!?」

みほ「エリカ・ファリーナ…ってあれエリカさん!逸見エリカさんだ!?」

エリカ「だが我々も悪魔ではない、こちらの要求さえ飲めば諸君の命だけは助けてやろう!」

エリカの通告に対しサキが応答した

サキ「こちらはエリア88、私は司令官のサキ中佐だ!貴君らの要求は何だ?」

エリカ「勿論先ほどそちらに逃げ込んだアスラン国王ザク・ヴァシュタールの身柄…」

サキ(やはりか…)

エリカ「そしてエリア88の撃墜王西住みほの身柄よ!!」

サキ「馬鹿な…叔父上の命はわかるが何故みほまで!?」

エリカ「最悪の場合は西住みほだけでもいいわよ、出来れば生きてこちらに
引き渡してほしいけどまぁ最悪の場合、生死は問わないから安心なさい♪」

ゲイリー「総帥!何を考えてるんですか!?ザク国王じゃなく
そんな一兵士の命を取ってどうする気なんです!?」

さすがのゲイリーも思わず動揺し総帥のエリカを静止しようと努めた
しかし…

エリカ「うるさいわね、私はあの女を殺すためにこんな埃っぽい砂漠に来てんのよ!
正直ザクとかいうおっさんなんかついでよ、つ・い・で」

ゲイリー「私怨はとりあえず置いといて、まずは依頼人からの仕事をやってください!
うちの信用問題に関わりますよ…」

エリカ「わかったわよ!こちらも鬼じゃないわ、期限は今から10時間!
それまでに返答がなければ集中砲火を浴びせる!!以上通信終わり!」(ガチャッ

ゲイリー「何で10時間も余裕を…?」

エリカ「あんたの言う通り傭兵たちが一兵士なんぞのために命張るわけないでしょw
きっと5分と時間も掛からず引き渡すはずよ!」

「それに時間を掛ければ傭兵連中が仲違い起こして西住みほを殺してくれて
私の手間も省くだろうしね♪」

ゲイリー「そうですかね…(性根が腐ってやがる)」

エリカ「それに10時間猶予を上げたのは『アレ』の準備もしとくためよ、
正直こんな勝ち戦で必要ないでしょうけど『アレ』を見たら連中すぐに戦意喪失するだろうしねぇ」

ゲイリー「いや…『アレ』って何だよ?知らねえから…」

こうしてプロジェクト4は囲みを万全のモノとしていた
だがしかしこの時ゲイリーだけは確信していた
エリア88の外人部隊は絶対にみほをこちらに引き渡さないだろうと…

夜、エリカが提示したタイムリミットまで残り5時間が迫っていた

みほはただ一人自室にいた

みほ「私一人の命で皆が助かるなら…恐らくエリカさんの事だから時間を掛けて
この基地で仲違いを起そうとしてるはず…それなら私が出て行けば…」

この時みほは日本にいるであろう姉のまほや家族の事を思い出していた

みほ「ゴメンねお姉ちゃん…私の事探してくれてるのに…私全然知らなかったよ…
でも…もう私の事は忘れて幸せになって…

お母さん…プラウダでの決勝戦負けてゴメン…
けど私あれで正しかったと今でもそう思ってるの…

菊代さん…いつも私の事優しくしてくれてありがとう…
これからもお姉ちゃんやお母さんの事をよろしく…

それに黒森峰の皆も元気で…」

そして最後にみほは先日ギリシャで会った大洗の子たちの事を思い出していた

みほ「沙織さん…みぽりんってあだ名付けてくれてありがとう…
私、今まであだ名付けられた事なかったんだよ…
だから嬉しくて…

華さん…今度美味しい物を食べに行こうって言ってくれたけど…
ごめん、私その約束果たせないよ

麻子さん…生きてまた会おうって言ってくれてありがとう、
けど私はもう…

優花里さん…私のために傭兵になろうだなんて無茶しちゃって
本当に危っかしいんだから…
あの時は怒っちゃったけど、本当は私のためにそこまでしてくれて嬉しかったんだよ…」

みほが走馬灯のようにこれまでの事を思い出してた時誰かが部屋をノックしてきた
コンコン

サキ「私だ、入るぞ」

みほ「サキさん…私を敵に引き渡す準備は終わりましたか?」

サキ「いや、その前にキミにひとつやってもらいたい仕事がある」

サキはみほを連れて�号のところに行くが既にそこにはラウンデルがいた
そしてもう一人の人影があった、その人物は何故か知らないが眠っていた

みほ「あのこれはどういう事ですか?」

サキ「まずは紹介しておこう、こちらはザク国王…私の叔父だ」

みほ「国王さま!?」

ラウンデル「私が王宮からお連れした、今はクスリで眠っておられる…
『自分は最後まで国に残る』と言う事を聞いてくれなくてな」

サキ「みほ、キミはこれから�号でこの包囲網を突破し叔父をここから連れ出してくれ」

そういってサキはみほに地図といくつかの書類の入った封筒を渡した
地図にはこの包囲網を突破するためのルートが書いてあった

そして封筒は…

みほ「あの…これは?」

サキ「叔父を他国に亡命させる、その封筒には必要な書類が全部入っている」

ラウンデル「みほ、時間は無い…すぐにでも出発してくれ!」

みほ「け、けど敵が言ってた時間まで私が戻らないと…」

サキ「そうだ…だから時間がないのだ、急げ!」

みほ「わかりました、行きます…」

みほはなにがなんだかわからず�号に乗り込みエリア88を後にした

そのサキたちのやり取りの直後、隠れていたミッキーたちが出てきた

ミッキー「みほは行ってくれたか」

グレッグ「これで良かったんだよな」

グエン「だが本当に大丈夫なのか?敵は対空レーダー配備で
この基地には蟻の子一匹出入り出来ないはずだろ?」

マッコイ「心配するな、あの�号には
サキからの特注でステルス機能を備えさせておいてやったわぃ」

サキ「それに地の利はこちらにある」

ミッキー「どういう事だよ?」

サキ「こんなご時世だ、隠し通路くらいは用意しているという事さ」

一方みほはエリア88から少し離れた場所に来ていた

みほ「サキさんから貰った地図…布で隠してあるけどこれトンネル…
やっぱり地下通路だ!
戦車一台なんとか入れるスペースになってる…けどこれどこに続くんだろ?」

それから5時間が経過した
エリカが提示した10時間の制限時間が過ぎたのだ

エリカは再度エリア88に通告した

ゲイリー「結局連中は早々には降伏しませんでしたな、
こちらも時間内に『アレ』とやらを用意出来ませんでしたし」

エリカ「まぁいいわ、元々この作戦に『アレ』は必要なかったし…
それに西住みほだってもう殺さてるかもしれないわよねぇ」

エリカ「10時間過ぎたわよ、返答は?もしかして西住みほを殺しちゃったの〜?」

エリカはエリア88にいやらしい口ぶりで返答を尋ねた
しかしエリア88からの返答はエリカの予想を裏切るものだった

サキ「こちらはエリア88、サキ中佐だ!くそくらえだ!!」

エリア88の傭兵たち「「ギャーッハハハハハハハハハ♪」」

エリカ「ちょっと…どういう事かしら?…もしかして幻聴?」

サキ「繰り返す!くそくらえだ!!」

ゲイリー「いや、私の耳にも確かに『くそくらえ』って聞こえましたよ」

エリカ「なんなの!?あんたら命が惜しくないの!?」

サキ「勿論我々とて命は惜しい、そうだ…みほ西住の命がな!」

グレッグ「全員がみほのおかげで命を助けてもらったんだぜ!
誰が死なせるか!」

バクシー「妹を守るのは兄貴の務めだもんな!」

フーバー「若きドイツの同胞の命を犠牲にしてまで生き延びる気はない!」

ボウマン「みほには借金があったからな、これでまぁチャラって事で♪」
ジェフ「ボウマン…来世でちゃんと返せよな」

ボリス「いい加減乳離れしたいんでね、一人で電灯を消せるようにな…」

ウォーレン「心残りはみほに新曲を聴かせられなかったことかな…いくぜ
やっと、変われるかな私も〜♪
だって、友達と出会えたから〜♪
今日も賑やかなマーチ、鳴り響いているよ!〜♪

やっぱり、なりたいんです普通の女の子にね〜♪
スイーツ探し、おしゃれもしてみたい〜♪」

ミッキー「だから野郎が歌うんじゃねえー!ケン黙らせろ!!」

ケン「俺もうツッコミ役嫌だよ…」

エリカ「何を馬鹿な事を…この包囲網よ!恐くないの!?」

グエン「まだ負けたと決まったわけじゃねえ、
お前らに勝てるチャンスなんていくらでもあらぁ!」

チャーリー「ファリーナさんには恩義はあったがアンタにはこれっぽっちも無いんでね、
遠慮なくやらせてもらおうか!」

サキ「エリカ…キミは先ほど『我々は悪魔ではない』と言ったな
悪いが我々はその『悪魔』なのだよ」

ミッキー「覚えておけ!エリア88には仲間の命を売るクソッタレはいねえ!!」

エリカ「なんなの…どうして…?」

ゲイリー「エリカさん…アンタ傭兵の事を甘く見過ぎたんですよ…
俺たち傭兵は確かに金さえ貰えればどんな相手でも殺すハイエナだ、
しかしそんな俺たちにも犯しちゃならないモノがある、仲間だ!
仲間を差し出す事だけは死んでもしちゃいけないのさ…」

エリカ「何を偉そうに語ってんのよ!?まぁいいわ、全員総攻撃の準備よ!!」

ゲイリー「その前にちょっといいですか…ミッキー、俺だ!聞こえるか!
決着をつけるぞ!!」

ミッキー「望むところよ!!」

この直後通信は途切れた

その頃みほが隠し通路から出るとそこには一面アスランの海があった

みほ「アスランの海?ここが待ち合わせの場所だけど…」

みほは明かりを点けて合図を出した
すると海から巨大な艦が近づいてきた

みほ「これはこの前ギリシャで見た大洗の学園艦!?」

その時艦から3人組が降りてみほの前に近付いてきた

桃「会長、どうやらこの者がそうです」

杏「いやぁ〜キミが西住ちゃん?サキさんから話は聞いてるから早く乗ってよね」

柚子「今まで大変だったわね、さぁ出発しましょう!」

みほ「あの…あなたたちは一体誰なんですか?」

杏「自己紹介してなかったね、私達は大洗女子の生徒会役員で
私は生徒会長の角谷杏、よろしくね」

柚子「副会長の小山柚子よ」

桃「広報の河嶋桃だ」

自己紹介を終え3人はさっさとみほと国王、�号を大洗艦に収容しアスランの海を後にする

みほ「あのこれはどういう事なんですか?私はザク国王を送るだけのはずじゃ!?」

杏「あれ?西住ちゃんはサキさんから何も聞かされてないの?」

柚子「実はこの前ね…」

(回想)

サキ「…というわけで優花里秋山の一件はこちらの責任だ、誠にすまない」

杏「まぁまぁ、こっちも悪いとこあったわけだし」

サキは優花里たちを大洗に送り届けた時、密かに大洗女子生徒会と
ある打ち合わせをしていたのだ

桃「柚ちゃん…傭兵さんなんて怖いよぉ〜!」(ガクガクブルブル

柚「よしよし」

サキ「それで、ついてはひとつ頼みがあるのだが…」

桃「何!国王を亡命させたいから手を貸せ!?」

サキ「そうだ」

杏「なるほど、国王を亡命させる代わりに秋山ちゃんの事は、
内々に処理してくれるわけだぁ…OK引き受けた」

柚「会長早過ぎますよぅ〜!」

サキ「上が物分りよくて助かる、うちの軍上層部に見習わせたいくらいだ」

柚「あの…国王さまの事で私たち…というか学校に害は及ばないのでしょうか〜?」

サキ「心配ないはずだ、反政府軍の連中にはスイス経由でフランスに亡命させると
偽情報を流すからな、まさか日本に亡命するとは反政府軍は夢にも思うまい」

そしてサキはもうひとつ彼女たちにお願いをする

サキ「さて実はもうひとつ、お願いしたい…こちらに入学…いやこの場合
転校と言えばいいのかな?させたい子供がいるんだが…」

杏「転校?うちに?」

サキ「名前はみほ西住、
うちの…つまり外人部隊の傭兵だが年齢は16歳だから
ハイスクールの学生に当る、こちらに転校させてほしい」

杏「うちは構わないけど…さっきの秋山ちゃんの一件を聞くと3年間の兵役はどうなるの?」

サキ「恐らくこの戦争は我々政府軍の負けだ、そうなれば3年の兵役なんてもう反故になるだろう」

杏「どうして…大勢の兵士がいる中でどうして西住ちゃんだけ助けるのかな?」

サキ「エリア88は女の死に場所じゃない…
みほは出来のいい娘だ、戦車乗りとして兵士としての技術は一人前だが…
心は優しい娘のままだ…
傭兵としては水準以下だ!
彼女は戦場に命を懸けるべきではない……」

———————

杏「だってさ、サキさんだけじゃなくエリア88の皆が西住ちゃんの事そう思ってるってよ」

みほ「そんな…私じゃなく…エリア88の皆が私の代わりに…
じゃあこの封筒は!?」

その封筒に入っていたのは確かにザク国王の日本への亡命するための書類が入ってたが、
その他にみほのパスポートと傭兵契約破棄の書類、それと大洗女子学園への
転校手続きの書類も入ってた

みほ「サキさん…皆…こんな大事な事…一言も言ってくれなかったじゃない…」

その時みほのところにある4人がやってきた、優花里たちだ

優花里「西住殿ー!話は会長から全部お聞きしました!また再会できてなによりです!!」

沙織「よかったねみぽりん♪これで日本へ帰れるんだよ!!」

華「さぁ日本へ帰って美味しい物食べに行きましょう!!」

麻子「早い再会になったが無事でよかった」

みほ「皆…うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

みほは思い切り泣いた
戦場で生死をともにした仲間が自分のために命を懸けて逃がしてくれた事を…

その頃エリア88———
エリカの条件を蹴って徹底抗戦の道を選んだサキは外人部隊を集合させていた

サキ「出撃する前に諸君らに言っておく事がある、各機敵と交戦後は一直線に突っ切れ、
敵と交戦に持ち込む必要はない、戦闘エリアを脱出したら
そのまま自国へ燃料が尽きるまで飛べ!」

ミッキー「サキ…つまりどういう事なんだ?」

サキ『只今をもって全員を解雇する!!』

グエン「あらまぁ、クビかよ…」

サキ「諸君らが出撃した後、このエリア88は白旗を上げ無条件降伏をするだろう、
これはアスラン政府最後の政府決定だ」

そう、恐らく今日にでも新政府が誕生するであろうからだ
サキは話を続けた

サキ「新政府になれば私は反逆罪で逮捕される、ここはアスラン空軍中佐としてではなく、
エリア88…外人部隊の司令官として部下の血路を見守ってやらねばなるまい」

最後にサキは皮肉を付け足した

サキ「それに…私の最期を見たい者がこの中にはうじゃうじゃいるからな」

ミッキー「へっ、違いねえ!オラッ!クビになった野郎ども行くぜ!!」

全員「「オォーッ!!!!!!!!!!」」

外人部隊の全員が戦闘機に乗り込み出撃した

エリカ「来たわねエリア88の傭兵たち!全機出撃!一人残らず撃破しなさい!!」

エリカの号令の下、反政府軍…そしてプロジェクト4が一斉に攻撃を仕掛けた

そしてエリア88の戦闘機が敵戦闘機の群れを突破した後、全機が反転した

サキ「馬鹿者!反転するな!?」

ミッキー「しょうがねえだろ、このままおさらばしたんじゃアンタの最期が見れねえもんな!」

サキ「今更付いてこられても払う給料は無いんだ」

グエン「へっいらねえよ!死に場所探してる男には墓立ててくれるヤツもいやしねえ…」

キャンベル「地獄に行くのに持参金持ってく馬鹿はいねえだろ!」

グレッグ「俺はまだ地獄へ行った事がなくてよ、サキ!道案内しっかり頼むぜ!」

ミッキー「みほは無事に逃がせたしもう心残りはねえ!さぁ行こうぜサキ!!」

サキは全員を逃がした後、自分一人で死のうと決め込んでいたが
既に全員がサキとともに死ぬ覚悟を決めていたのだ

サキ「よーし…銭勘定も出来ぬ阿呆ども!付いてこい!!」

第8話完———

ここまで、次回で最終回です…たぶん
>>239
ちなみにウォーレンが歌っているのはみほのキャラソンです
7話の歌はOPとED7になります

乙、って次回最終回か。真の場合は戻ってきたが果たして……


かっこいい野郎共だな

エリア88は大昔に父の実家で途中まで読んでおぼろ気ながらにしか憶えてないな。
学園艦、つまり空母が出てきたって事は……
とりあえず乙。

涙が止まらん、乙

>>255
真の場合は戦闘機だから戻ってこれたけど
みほは戦車ですのでもどれるかどうか…
>>256
ありがとうございます
昨今のアニメの男主人公もエリア88の傭兵たちくらいの男らしさがあればいいのにと思ってます
>>257
エリア88は本当に名作ですので機会があれば是非読んでください
>>258
感動してくださってありがとうございます
書いてて思いますが原作者の新谷先生は偉大過ぎる

実はまだハッピーエンドにするかバッドエンドにするか決めかねてます
よければご意見ください

そらハッピーよ

ハッピーエンド以外認めるものか!
SS読み手を舐めるなよ!

>>260
>>261
すんません…頑張ってアイディアひねり出してるんですが…出てくるのがバッドエンドのばかりで
ハッピーエンドが全然思い浮かばない…

再開

アスラン上空———

みほが大洗艦に着いた頃、
まほはようやくみほを助けるための手立てを整え菊代とともに飛行機でアスラン国へ
向かっている最中であった

まほ「これでみほを外人部隊なんて物騒なとこから救出する事ができるわ♪」

菊代「お嬢様よかったですね、ところでどうやって3億円なんてお金工面できたんです?」

まほ「3億円なんて用意できるわけないじゃない、
ティーガーでエリア88に乗り込んでみほを救出するのよ!」

菊代「お嬢様…もっと穏便に解決する手立てはないのですか?」

しかし…

アナウンス「お客様に申し上げます、この便はアスラン行でしたがアスランは、
現在内戦が勃発してしまいこの機をギリシャで離陸させます」

まほ「アスランが内戦!?みほはどうなったのよ!ちょっとアナウンス答えなさい!!?」

菊代「あの…アナウンスの方もさすがにみほお嬢様の近況はわからないかと…」

結局まほがいくら叫んでも飛行機の行先は変更できず、
そのままギリシャに向かう事になった

大洗艦———

みほが大洗艦に来てから1時間経過したが、みほはあれからずっと
エリア88の方角を眺めていた

みほ「皆…お願い…無事でいて…」

沙織「ねぇみぽりん、みぽりんは無理矢理傭兵にされちゃったんだよね?
それなのに何でそんな物思いに耽った顔をしてるの?」

みほ「皆いい人たちなの…
サキさん…最初に会った時は恐そうだったけど…本当は優しくて…
命令は正直どれも命懸けだったけど…私たち傭兵の事いつも心配してくれたんだ…
グレッグさん…まるでお父さんのようだった…
バクシーさん…いつもお兄さんのように接してくれたよ…
フーバーさん…私ドイツ人じゃないのにドイツの同胞だって言ってくれた…
ウォーレンさん…いつも変な曲作って聴かせてくれたかな…
それをケンさんがツッコミ入れてくれて…
ボウマンさん…お金…返さなくていいから…生きててくれればそれで…
ジェフさん…ボウマンさんからちゃんとお金返してもらえたかな?
ボリスさん…もう一人でちゃんと電灯消せるよね…
チャーリーさん…私の命を狙いに来たはずなのに…裏切っちゃって…
私だって命助けてもらったんだからお相子なんだよ…
グエンさん…あんなにきつく日本に帰れって行ってくれて…
本当は私の事心配してくれたんだね…素直じゃないんだから…
マッコイお爺さん…あんまりあくどい商売ばっかりしちゃ駄目だから…
けどいい物ばかり揃えてくれていつもありがとう…
そしてミッキーさん…今まで私の事よくしてくれてありがとう…

今まで何度も助けてくれて…
皆命の恩人だよ…それなのに私は…一人だけ…」

華「どんな出会いだったにせよ別れはつらいものですね」

優花里「西住殿…、どうか元気を出して…」

麻子「今報道でアスランについてやってるが反政府軍が新政府宣言したらしいぞ」

みほ「あぁ…皆…」

みほは無性にエリア88を恋しく思った
かつてはあれほど忌み嫌っていた場所なのに

エリア88———

サキ「最早この命惜しくもないが、
それでもお礼参りくらいはしておきたいものだ…
全機!攻撃目標をVIII号戦車マウスに集中させろ!!」

グエン「みほの命を狙ったクソガキか、任せろ!ミサイルの雨を降らせてやるぜ!」

ミッキー「あんなデカブツ…戦場じゃ敵のいい的じゃねえか、
あの嬢ちゃんまさか考え無しで乗ってるわけじゃねえよな?」

エリア88の戦闘機が他には目もくれず、エリカのマウスに一点集中して目がけた

エリカ「来たわね傭兵ども、このマウスは黒森峰が戦車道の決勝戦で切り札として
配備された車輌で…」

エリカが説明してる暇を与えずマウスに集中砲火を浴びせるエリア88の傭兵たち、
1分もしないうちにマウスはスクラップになった

エリカ「な…何で…このマウスは装甲の厚さ200mmで…
55口径12.8cmKwK44戦車砲を積んだ化け物戦車なのに…」

グエン「このガキただの馬鹿だな、戦車が戦闘機に敵う訳ねえだろうに…」

ミッキー「みほの真似でもしようとしたのか?
あいつが戦車で戦闘機と渡り合えたのは、あいつの腕も勿論だがそれ以上に
修羅場踏んだ場数が違うんだよ!!」

ゲイリー(なんてこった…このガキ…実戦経験積んでないのか?)

ゲイリーは当初、エリカが第二次大戦の兵器VIII号戦車マウスを持ち出して
何の冗談かと思ったが、あのエリア88の撃墜王西住みほと同等の腕前だと
いうから信用していたのだ
それがまさか実戦経験0の素人だったとは予想も付かなかった…

ゲイリー「だがあんなのでも雇い主だ…エリカさん!下がってください、
あとは私がやります!!」

エリカ「この私に引けと!?冗談じゃないわ!それにまだ西住みほだって
殺せてないのに引っ込めるわけないでしょ!!」

グレッグ「みほはもうここにはいねえよバーカw」

ミッキー「10時間も余裕くれちゃってあんがとな♪
おかげでみほが逃げるには十分の時間が稼げたよ!」

サキ「俺たちを殺すなら10時間も猶予を与えず、基地をそのまま爆撃すれば
いいものを…みほと叔父貴は今頃アスラン海を抜け出す頃合いだろうな」

エリカ「アンタたちー!?」

その時ジュリオラから『アレ』の準備が出来たという連絡が入った

ジュリオラ「すぐにこちらへお持ちしましょうか?」

エリカ「いいえ!私がそっちに行く!ここの指揮はゲイリー、
アンタがやりなさい!!」

そしてエリカはこの戦地から抜け出し『アレ』がある場所へ向かった

ゲイリー「まさかガキの駄々に付き合わされるとは…結局今回も負け戦か…」

そしてゲイリーはミッキーと対峙した

チャーリー「ミッキー!手を貸すぞ、ヤツはお前一人では…」

ミッキー「やめろ!こいつとはサシで蹴りをつける…」

ゲイリー「ミッキー、おかしな男だな…
ここはお前の国ではない…
ましてこの国の未来はお前のものではないのに…
なのに…この国アスランのために命をかけて飛ぼうというのか?」

ミッキー「マック…おれは生まれた国のために戦って…そして未来を失った…
だが…ここアスランで出会ったみほや大事な仲間たちという未来を…手に入れた…
今度は離さん…
守り通してみせる!」

ドーーーーーーーーーーーーーーン

凄まじい爆音が響いた
因縁の対決がついに決着がつく、勝ったのは…

その頃大洗艦では、日本政府がザク国王の亡命のために、
VIP用の小型旅客機を派遣していた

杏「ひゃー!さすがは一国の王様ともなると亡命する時も豪華なもんだね〜」

柚子「会長…国王様に聞こえちゃいますよ…」

そして飛行機のパイロットが降りてきてザク国王に挨拶をした

真「ザク国王初めまして、大和航空の風間真といいます
今回は日本政府の依頼であなたを日本へ送り届けに来ました」

今回の亡命はかなり急であったため日本政府も専用機が用意できず、
仕方なく民間の大和航空に依頼していた

ザク「サキ…ワシはお前たちとともに、この地で生き死にを一緒にしたかったのに…」

みほ「そんな事言わないでください!
サキさんは私たちを逃がすために命を懸けて…ウッグスッ…」

みほは泣きじゃくりながら国王を一喝した、だがこの時一人だけある反応をした

真「サキ…?サキってまさかエリア88のサキの事か!?」

みほ「そうですけど、それが何か?」

真「以前大和航空の旅客機に爆弾を付けられた事件があってね、その時に偶然
居合わせたのがサキという男なんだが…」

みほ「まさかあの時のパイロットさん!?」

真「そういうキミはあの戦車の!?」

お互いがまさかこんなところで再会するとは夢にも思わなかっただろう
もし運命があべこべであればこの出会いはなかったはずだから…

ドドドドドドドドドドドド

その時どこからともなく轟音が響き渡る
それは…

時は少し遡る———

エリカ「ご苦労だったわねジェリオラ、まさかこれが必要になるとは思わなかったわ…」

?????「あ…あぁ」

エリカ「何よ、こいつまで連れてきてたの?こんな薬中居ても邪魔なだけよ」

????「貴様!父上になんて振る舞いを…」

ジュリオラ「黙りなさい、最早あなたたちに発言権はありません」

エリカ「フフフ…これさえあればどんな兵器が来ようと無敵よ!核だって恐くないわ!
さぁこれで小煩いエリア88の蠅どもを…」 

ジュリオラ「エリカ、先ほどアスラン海近辺に空母が現れたとの情報が…」

エリカ「空母?まさかザク国王と西住みほはそれに…よし目標エリア変更!
その空母を目指しなさい!!」

———

そしてエリカが言っていた『アレ』が姿を現す
それこそプロジュクト4が総力を上げて開発した地上空母である

華「あれは学園艦ですか?」

沙織「ちがう…空母だよ…けど地上を走っている!?」

優花里「そんな馬鹿な!?地上を走れる空母なんて聞いた事もありませんよ!」

麻子「だが現にこうしてあるぞ」

みほ「ああ…神よ!!何て悪魔をこの地上に!!」

エリカ「ククク、驚いてるようね!あの学園艦に通告なさい!
今すぐザク国王と西住みほを引き渡さなければ攻撃するとね!」

桃「…との事です…柚ちゃん…恐いよぉ!」

柚「よしよし」

杏「まさか本当に撃ってきたりしないよね、一応こっちは中立なんだけど…」

みほ「いえ…あの人は本気で撃ってきますよ、でなきゃあんな化け物を
わざわざ持ち出したりはしないでしょうから…」

真「こうしてはいられん!ザク国王すぐにここを離れま…」

みほ「馬鹿言わないで!民間の航空機なんて飛び立つ前に撃たれるのがオチですよ!?」

ザク「こうなればワシが…」

みほ「私を降ろしてください!どの道エリカさんとは決着を付けなくちゃと
思ってたから…」

優花里「そんな駄目です!西住殿はやっとあの戦場を抜け出せたんですよ…それなのに!」

杏「わかったよ西住ちゃん…河嶋!西住ちゃんと�号をすぐに降ろして!」

沙織「会長!?」

杏「悪いけど私にはこの大洗艦を守らないと、
アスラン国の平和のために大洗の人たちの安全を無視する事は出来ないよ
たとえ鬼と言われようとそこだけは一歩の引くわけにはいかないんだよね…」

みほ「いえ…いいんです、元々私は厄介者だったんですから…
所詮悪魔には悪魔の死に方しかできないんです…何処へ逃げたってそれは同じ…」

言いかけようとしたら杏がみほを抱きしめた

杏「勝手なお願いだけどさ終わったら帰っておいで…
もうここは西住ちゃんの帰る場所だよ、それに転校手続きしちゃったからね♪」

みほ「ありがとう…行ってきます」

沙織「駄目みぽりん!行っちゃ駄目!?

華「そうです!今度こそ本当に死んでしまいますよ!」

麻子「相手側の通告なんて無視して日本へ帰ろう」

優花里「西住殿!せめて私も一緒に!」

だが優花里たちの言葉も聞かずみほは�号に乗り込んだ

�号に乗り込んだみほは、何故か居心地がよかった

?『よう、落ち着いたかい?』

声が聞こえた、だが�号の車内にはみほしかいない…

みほ「誰?」

しかし声は続いた

?『腹に響くエンジンの音、薄汚れたオイルの臭い、棺桶みたいな車内、
お前の渇きを癒してくれるのはそこだけだ』

みほ「ちがう…」

?『ヘッ、違う事はねえだろ…ここにきてハッキリわかったはずだ、
その手を血に染めたヤツはどう足掻いたってまともな人間には戻れねえのよ!
俺たちは人殺し…どう理由を付けたってこれに変わりはないぜ』

みほ「ちがう!!」

?『ちがわねえよ!なら何故ヤツらは来た!?
お前が戦いの渇きを癒すために呼んだんじゃねえのか!?』

みほ「ちがう!ちがうの!?」

みほは主のわからぬ声と言い争った

みほ「私にはわかったんだ、私のこだわりの元凶はエリア88にある!
だから私は戦場に戻るの!!」

大洗艦は�号を降ろした。
そしてみほは再びアスランの地に降り立った、誰に騙される事もなく
今度は自分自身の意志によって

エリカ「出てきたわね西住みほ!砲門開け!目標はあの小さな子鼠�号よ!!」

地上空母は凄まじい集中砲火を�号に浴びせた
しかし処女航海したばかりの空母で艦員は不慣れでありまた砂場で照準が、
うまく合わせられずまともに当らなかった

エリカ「何であんな小さな戦車一台まともに倒せないのよ!?」

艦員「申し訳ありません…まだ照準が未調整でして…」

エリカ「言い訳は聞きたくないわ、兎に角撃てば当たるはずだから
ドンドン撃ちなさい!!」

みほ「こんな弾、避けるのは容易いけどこっちの火力じゃあんな大きいの倒せないよ…」

みほの言う通り、相手は地上を走る原子力空母…
戦車一台の火力ではどうにもならない戦力差があった

その様子を大洗艦から優花里や沙織たちが心配そうに見ていた

優花里「駄目です…いくら攻撃を避けれても西住殿の�号戦車じゃあんな空母を
破壊するのは不可能です!」

沙織「みぽりん頑張って!」

エリカ「じわじわと痛ぶってやるわ、無人戦闘機を出しなさい!」

この地上空母は確かに戦闘機が搭載されている
しかしパイロットのいない無人戦闘機であった、機体はF/A-18を改造した物であり
人と違い疲れも罪悪感も感じない代物である

真「何だ!戦闘機が10機ほど空母から発進したぞ!?」

華「卑怯です!一人のみほさん相手に複数で攻撃するとは!」

エリカ「殺し合いに理屈はいらないのよ!!
真っ先にしとめて生き残ったほうが正義に決まってる!!」

さすがのみほもF/A-18、10機と地上空母の猛攻の前に歯が立たず防戦一方の状態が続いた
そして…

みほ「うぐっ!」

優花里「あぁ!�号の装甲版が!?」

沙織「もうやめて!ボロボロじゃないのよ!」

華「これ以上は…もう…」

麻子「もういい…降伏しろ…そうすれば相手だって命までは…」

エリカ「甘いわね、殺すまでやるに決まってるじゃない!」

ジュリオラ「それにしても無人戦闘機の性能は良好ですね、エリカ」

エリカ「フン、こんな便利な物があればもう無頼者の傭兵を雇う必要もないわね、
生意気な口を訊いてたゲイリーもこれで用済みよ!」

真「させるか!」

真は最早居ても立ってもいかなくなり
彼は自分が乗ってきた機体で�号に近付いた

みほ「あなた風間さん!?危険です離れて!!」

真「悪いがそうもいかないんでね…こちらにも事情がある!」

何故傭兵でもない民間の大和航空のパイロットが、こんな無謀な行動に出たのか
それは先日のサキに助けられた恩というより彼がかつて、
エリア88に神崎という親友を売り飛ばした後悔からの行動だったに違いない

真「この間の旅客機の爆弾騒動、そして今回の件、もしかしたら本当は
俺こそがエリア88の傭兵になるんじゃないのか…そう思っていた…
だが運命はそうならなかった!
しかし…もしかしたら俺は自分が幸せになれた代わりに
一人の少女を地獄に導いてしまったんじゃないのか!?
あの世で神崎がそう言ってるんだ、ならばその帳尻合わせを今こそするまでだ!!」

真はそう言って行動を起こしたのだ

真「西住くん!その戦車のワイヤーを旅客機に付けるんだ、飛ぶぞ!!」

真の小型旅客機がみほの�号を抱えて空を飛んだ

沙織「嘘!戦車が飛んでる!?」

優花里「けどやはり重くてそんなにスピードが出ません…
あの小型旅客機じゃさすがに�号を載せるのは無理じゃ…」

エリカ「馬鹿ねぇ、今更小型機が味方に加わったからなんだってのよ!
無人機のいい的だわ!全機撃…」

ドカーン

エリカ「今の攻撃は何!?」

ジュリオラ「別方向からの攻撃です!」

エリカ「馬鹿な…あの女の味方なんて誰が…?」

優花里「あれは戦闘機のクフィール?」

サキ「88 見参!!」

その時サキを先頭にエリア88の戦闘機が全機現れたのだ

みほ「サキさん!皆!生きてたんだね!?」

グレッグ「でけぇクジラみてえなだな!捕鯨でもやってみるか!」

グエン「みほだ!まだこんなとこにいやがる…」

ボウマン「クソが!あの空母みほを狙ってるのかよ!」

エリカ「馬鹿な…何でこの場所が…ゲイリーはどうしたの!?」

ミッキー「奴さんはやられたよ…」

みほ「ミッキーさん!…そんなF-14が…」

ミッキーはゲイリーとの激しい空中戦に勝利したものの彼の乗る
F-14は既に炎上を起していた
いやミッキーだけではない、他の機体も既に飛んでいるのが不思議なくらいな状態だ

サキ「さすがにどの機体も満身創痍の状態か、全員弾はあと何発残ってる?」

ミッキー「3〜4秒撃ち続けたらお終いよ!」

サキ「結構、皆!もう一戦行くか!」

全員「「オォーーーーーーーーー!!」」

サキの号令により傭兵たちは無人機に立ち向かっていった

エリカ「ちょっと!エリア88の討伐に行った連中をこっちに呼びなさい!」

ジュリオラ「それが先ほどから呼びかけているんですが応答がなくて…」

グエン「連中は全部俺たちが潰したよ」

ボウマン「何人か逃げ出したヤツラもいたがな!ギャハハ!」

サキ「どんな最新鋭の武装をした軍隊でも指揮官がいなくなれば烏合の衆だ、
エリカ・ファリーナ…キミはあの場を去るべきではなかった…
どうやらキミには指揮官としての才能はなかったようだぞ」

グレッグ「ガハハ!お嬢ちゃんもう一度訓練所からやり直しなwww」

エリカ「あの役立たずどもが…あんなヤツらクビよ!死んでも給料なんか払うものか!!」

ジュリオラ「落ち着いてエリカ、まだこの地上空母と無人機があります」

エリカ「そうね、それにこの二人も…まだ終わってないわ!」

確かにエリカの言う通りみほたちはエリア88のメンバーと合流は果たせたものの
それで形勢逆転になれたとはいえな状況であった

みほ「こうなれば中からあの空母を破壊するしか…」

真「だが連中の守りは完璧だ、この非武装の旅客機では近づく事も適わん…」

ミッキー「突破口を作ればいいんだな、任せとけ!!」

その時ミッキーのF-14が地上空母の内部ハッチ目掛けて特攻をしかけようとした

みほ「ミッキーさんやめて!そんなボロボロの機体じゃ!?」

ミッキー「ボロボロだからこそよ!F-14の最期の散り際見届けてくれ!!」

そしてミッキーは愛機に別れを告げる

ミッキー「長い間世話になったな相棒…だがよ、もう一人の相棒のために
突破口作ってやりてえのよ!最期のひと踏ん張りだ、行くぜ相棒!!」

ジュリオラ「エリカさま!戦闘機が1機突っ込んできます!?」

エリカ「そんな…死ぬ気!?」

ミッキー「見せてやる!これが火の玉(ファイヤー・ボール)ミッキーよ!!」

ミッキーのF-14は地上空母の戦闘機を収容するハッチに突撃し
そのハッチに大穴が空いた

真「あの男やってくれたのか…西住くんこちらも行くぞ!」

みほ「ハイ!!」

真は旅客機で地上空母に近付き先ほどミッキーが突撃したハッチに�号を着地させた

みほ「ありがとう風間さん下がってて!」

真「一人で大丈夫なのか!?」

みほ「私…これでもエリア88の撃墜王ですから!」

そういってみほは�号とともに地上空母の内部に入っていった

その頃外でも傭兵たちと無人機の戦闘が続いていた
だがそれも次第に決着がついてきた

ドガーン

サキ「これでも荒くれ者の外人部隊を率いていてな、機械相手では物足りんな」

サキが1機撃墜した

ドーン、ドオーン

グエン「初戦最後にモノを言うのはエトランゼの勘よ、
コンピューターに如きには永遠にわからんさ…」

グエンも1機撃墜させた

ボウマン「クソッ!もう弾なんざねえぞ!」

ジェフ「こっちもだ!」

ボリス「弾がなけりゃ機体を喰らわせてやれ!ミッキーに続け!!」

3人とも無人機に機体を特攻させ3機相打ちにさせた

ボウマン「ヒャッハーどうでぇ!くそったれが!!」

ウォーレン「残り5機か、どうする?」

ケン「お前のギターでも聴かせてやったらどうだよ」

バクシー「そりゃいいや、コンピューターがエラー起こすぜ!」

フーバー「もう弾も無いしな、3人とも囮になってくれ!
元NATO飛行隊長の腕前を今こそ披露しよう!」

フーバーはウォーレンたちを囮に見事なアクロバット飛行をやってのけた

こんな動きをプログラムされてない無人機たちはフーバーの動きに追いつけず
全機が地面に激突した

グレッグ「おぉーやったなぁ!…ってお前ら俺の獲物は!?」

エリカ「そんな…無人機が全滅…ありえない…これは何かの間違い…」

ドカーン

ジュリオラ「何事なの!?」

艦員「申し上げます、先ほど侵入した戦車が内部で暴れまわっています!このままでは…」

ドオーン

地上空母の内部で衝撃が走る
その振動で最早エリカたちはその場で満足に立つ事もできなかった

動揺するエリカに代わりジュリオラが指揮を執った

ジュリオラ「聞こえるかみほ西住!
これ以上破壊すれば地上空母に搭載されてる原子炉が爆発するかもしれんのだぞ!!」

みほ「こちら西住みほ!それならさっさと退艦してください!」

艦員「そうだ!退艦しないと…このままじゃ沈んじまう…」

エリカ「待ちなさい!持ち場を離れたら全員その場で銃殺刑よ!」

ジュリオラ「しかし内部から攻められてはさすがの地上空母も…」

エリカ「こちらにもまだ手立てはあるわ、私自らの手で引導を渡してやる!」

エリカはその場の指揮をジュリオラに任せみほの下へと向かった

一方みほは既に地上空母の原子炉付近に到着していた

みほ「ここを吹っ飛ばすと脅せばさすがのエリカさんも降参するはず…」

エリカ「甘いわ!」

その時エリカが背後から攻撃してきた

みほ「そんな!ここは自分の艦で、しかも原子炉付近で砲撃なんて…しかもその戦車は!?」

エリカが持ち出してきた戦車は最新鋭のTK-X10式戦に乗り込んでいた

エリカ「これは戦車道じゃなく戦争よ、
馬鹿正直に第二次大戦のオンボロ乗り回してどうするってのよ!」

みほ「エリカさんここで決着を付けましょう!」

エリカ「望むところよ」

そして2人の対決は始まり激しい攻防戦が繰り広げられた
原子炉は�号と10式の攻撃でいつ爆発してもおかしくない状況だった

エリカ「アンタが!アンタが憎かった!!」

みほ「そんな…どうして!?」

エリカ「アンタは何もせずとも隊長に愛されて…私はそれを影から見てるだけだった…
どんなに実力をつけても、実績を作っても隊長はアンタしか愛さなかった…」

みほ「そんな理由でアスランを…エリア88の人たちを殺そうとしたの!?」

エリカ「それが何よ!あいつらの命なんてはした金で買える安物じゃない!
アンタだってそんな傭兵の一人でしょ!!」

みほ「エリカさん!このゲスめ!!!」

その時�号の砲塔がエリカの10式に照準を当てた
しかし10式も�号に砲塔を当てていた

エリカ「撃たせるか!アンタに私を撃つ資格があるものか!?」

みほ「エリカさーーーーーーん!?」

ドゴオオオオオオオオオオオオン

2機の戦車は大爆発に巻き込まれた

その頃地上空母の艦員は既にジュリオラを含め全員が投降していた
サキは艦から投降してきた連中を確認していた

サキ「これで全員か?」

チャーリー「あのエリカって小娘がいねえぞ」

艦員「エリカ総帥なら確か�号を追って…」

次の瞬間地上空母の内部が爆発した

グレッグ「おいまだ艦内にはまだみほが…」

その頃みほは爆炎が渦巻く艦内に取り残されていた
みほは身動き一つ取れず動けなかった

みほ(身体が重い…もう駄目だ…動けない…)

『ミホダイジョウブカ』『シヌンジャネエ』『オマエハニホンニカエルンダロ』

みほ「う…うぅ〜ん…地獄からのお迎え…悪魔?」

ミッキー「残念だが悪魔じゃねえよ、ミッキー・サイモンよ!」

みほ「ミッキーさん、けどさっきF-14で特攻したんじゃ…」

ミッキー「特攻する直前脱出したんだよ、ほれ動けるか?脱出するぞ!」

急ぎみほは�号を緊急発進させた

グレッグ「おい地上空母から戦車が出てきたぞ!」

バクシー「あれはみほの�号戦車じゃねーか、生きてたんだなみほ!」

フーバー「ドイツの同胞よ!よくぞ無事で!」

ウォーレン「みほ!俺の歌を聴けー!」

ケン「あぁもう何でもいいから歌えー!」

ボウマン「みほ!よく無事で…あぁでもこれで金返さなきゃいけなくなったか…」

ジェフ「いいから早く返してやれよ!」

ボリス「これでようやく自分で電灯を消せるよ、よかったなみほ…」

チャーリー「俺は不死鳥だが…お前は女神だよ…俺たちの希望よ」

グエン「まったく…だから女子供は戦場に出るなってウッ…ヒグッ…」

グレッグ「グエン…お前まさか泣いて…」

グエン「馬鹿が…これは心の汗だ!」

ミッキー「おい…お前ら…俺の心配もしてくれよ…」

サキ「なぁに、どうせ生きてると思ってたから心配する必要もないと思ってね」

みほ「でも戦争はまだ終わってないよ…まだ反政府軍が…」

サキ「いや、どうやら今日でこの内戦は終結だ」

サキが突然の終戦を宣言した、驚くエリア88の傭兵たち
サキはそこに二人の男を連れてきた、一人は金髪の男でもう一人は心神喪失の状態だった

リシャール「兄上、お久しぶりです…」

アブダエル「う…あぁ…サ…キ…」

ザク「リシャール?それに兄上…これはどういう…」

リシャールの説明によるとアブダエルはプロジェクト4により麻薬を摂取され続け
監禁状態であったとの事だった
こんな状態では最早反政府軍の指揮は出来るわけがなかった


サキ「戦争は終結した、本日を持ってエリア88は解散する!!」

グレッグ「よっしゃー!戦争は終わったんだ♪」

ケン「これで国に帰れるぜー!」

グエン「参ったな、これでお飯が食い上げよ…またどこか別の仕事場を探さにゃならん…」

サキ「それならこのままアスランの正規軍に入隊しないか?
どうせこの戦争で人手不足だしな…」

一方エリカは…

エリカ「10式戦車…駄目全然動かない…何が最新鋭よこの役立たず!クッ…」

エリカはどうやら足を負傷したらしい、その場で尻もちついた

????「立てますかぃ?」

エリカ「アンタはゲイリー?生きてたのね…」

ゲイリー「88のミッキーにやられましたがどういう訳か奴さんに拾われてね、ヤツが
F-14で突撃した際に一緒に脱出したんですよ…」

エリカ「そう…まだ負けてないわけね、さぁ本国に戻って体勢を立て直す…」

その時ゲイリーはエリカの頭上に拳銃を向けた

エリカ「何これはどういう事?」

ゲイリー「アンタさっき言ってたろ、俺の事クビにしたって…」

エリカ「あれはモノの弾みで…本気じゃないのよ!?それにこんな事したら…」

ゲイリー「ちなみにこれは俺だけの判断じゃないですよ、
バンビーンさんと連絡が繋がってます、どうぞ」

彼はそう言って無線機をエリカに渡した
ちなみにバンビーンとはジュゼッペ・ファリーナとともにプロジェクト4を立ち上げた
もう一人の立案者だ
バンビーンからの要件は今回の失態を全てエリカの責任とし
プロジェクト4は解散するという意向を伝えた

エリカ「そんな…私の計画が…」

そんな落ち込むエリカにお構いなくゲイリーはある話を始めた

ゲイリー「実はね俺…ある賭けをしてましてね、そして勝ったんですよ」

エリカ「何の話よ?」

ゲイリー「アンタにクビだって言われた時ほっとしたんだ、俺は悪魔から見放された…
アンタは悪魔だ!」

ゲイリーは続けた

ゲイリー「最後の賭けに勝った。悪魔に見放されれば、
地獄に居場所はない…天国に行けるってね…」

エリカに拳銃を突きつけるゲイリー
最早エリカに抗う気力は残ってなかった
しかしその銃が撃たれる事はなかった

ゲイリー「だが…俺は娘のために…無理にでも生きねばならん…」

その後ゲイリーは落胆したエリカを抱え地上空母を脱出した

優花里「西住殿—!」

エリア88の傭兵たちが勝利を祝っていた場に優花里たちが現れた

沙織「話は聞いたよ!この戦争終わったんだってね!さぁ日本に帰ろう♪」

華「あぁよくぞご無事で!」

麻子「どうやら全ての決着がついたようだな」

杏「西住ちゃん…さっきは追い出すような真似してゴメンね…
その西住ちゃんさえよければうちに来てくれるかな?」

この時みほは迷った
彼女たちの好意に甘えたいが、今まで命を預けた仲間たちとこのまま別れていいのかと…
その時みほの気持ちを知ってかミッキーが行動に出た

ミッキー「みほ…ちょっといいか…」

ミッキーはそう言うなりいきなりみほを気絶させた

グレッグ「てめぇミッキー!何をするんだ!?」

ミッキー「皆…聞いてほしい事があるんだ…」

みほ「う、うぅ〜ん…ここは?」

華「気が付かれましたか?」

それからすぐにみほは目を覚ましたが
既にみほは大洗艦の中にいて艦はアスランの海を離れるところだった

みほ「そんな!どうして!?まだ皆とお別れも言ってないのに…」

沙織「ミッキーさんから伝言だよ、」

『ミッキー「みほ!ここであった自分の事、仲間の事…
その学園艦を上がってすぐに忘れろ!!二度と思い出すんじゃねェ!!
そしたら、必ず幸福(ハッピー)になれる!!」』

杏「ミッキーさん…元ベトナム帰りらしくってさ…あのまま別れを惜しんでたら西住ちゃん…
これからの人生もきっと戦場を求めちゃうんじゃないかって…
だからこんな別れ方でもして戦場から遠ざかった方がいいんだって言ってたよ」

みほ「そんな…」
アスランの海岸を見渡すみほ…そこには先ほどの地上空母の残骸だけで
人影はまったく見えなかった…

だがその時編隊を組んだ戦闘機が大洗艦を見送っていた
勿論それはエリア88の傭兵たちが乗る戦闘機だった

みほ「みんなー!さようならー!」

こうしてみほとエリア88の傭兵たちは二度と再会することはなかった

それから———

アスランは内戦を終了し人々は平穏な時を取り戻した

サキ・ヴァシュタール:反政府軍鎮圧の功績、またアスランを共和国性へ移行し初代首相になる

ミッキー・サイモン:サキの推薦でアスラン軍の正規軍大尉になり、
アスラン国で知り合ったセイレーン・バルナックと結婚する

グレッグ・ゲイツ&バクシー・マローン:外人部隊除隊後は、
二人とも故郷デンマークに帰国する事なく、ギリシャにて
釣りとヴァイオリンのレコードを楽しむ趣味を日課とした

ウォーレン・コールドマン&ケン・シュニッツ:外人部隊除隊後は
ウォーレンはミュージシャンとしてデビューするも、何故か日本のアニソンばかり弾いて
イマイチ人気は出ない、ケンはマネージャーとして日々同行している

フーバー・キッペンベルグ:外人部隊除隊後は
故郷ドイツに帰りドイツ軍の飛行部隊の教官になる、教え子にマリオ・バンディーニ
という小生意気な若造がおり、日々手を焼いているとの事

ボリス、ジェフ、ボウマン:3人ともミッキー同様アスラン空軍の正規兵に編入される
ボウマンは相変わらずジェフに借金の催促をしている…
ボリスはようやく一人で電灯を消せるようになった

不死鳥のチャーリー:外人部隊除隊後は
ヨーロッパの「秘密酒場」の死の商人たちの一人であるバンビーンの下で働く

グエン・ヴァン・チョム:外人部隊除隊後は
再び傭兵として戦場を求めて流離った、その後の彼の姿を見た者は誰もいない

逸見エリカ:プロジェクト4崩壊後ファリーナ・ファミリーの残党に、
お礼参りされるのが恐く、再び黒森峰に戻ってきた
現在は見習いから再スタートしている

ゲイリー・マックバーン:プロジェクト4崩壊後チャーリー同様
バンビーンの下で働いている
娘の体調も良くなり、ようやく退院できるとのこと

ラウンデル:アスラン軍にそのまま残り現在もサキの側近を務める
後に彼はこう言った

ラウンデル「これまで傭兵どもの体を雇った司令官は何人も見てきました。
しかし、心まで雇った人を見るのは初めてです。
サキさまの下にはエリア88の蒼穹の騎士たちと彼らを守る女神がいたのです。」

風間真:この後は妻である涼子の父である、津雲善三の後を継ぎ大和航空の社長に就任
妻の涼子との間に一児の息子が生まれ、名を『悟』と名付けた

そして西住みほは…
戦車道全国大会決勝戦———

勝ち抜いてきたのは去年の優勝校プラウダ高校と弱小校と揶揄されながらも
勝ち進んできた大洗女子学園との対決だった
試合は大洗女子の圧勝に終わった

カチューシャ「西住みほ…去年とは比べものにならないこの強さはなんなの!?
この借りはいずれ返すわ!覚えてなさい!行くわよノンナ」

ノンナ「ハイ、カチューシャ…」

みほ「カチューシャちゃん、覚えてろか…
捨てゼリフ…か…
いいね…また次に生きて会える可能性がある…
覚えてなさいか
あは…とてもいい言葉だ!」

普通の人なら何故みほが笑うのかすらわからないだろう
それはみほがこれまで敗北したら死ぬ世界で生きてきたからだ

沙織「やったよーみぽりん!」

華「勝ちました!」

優花里「西住殿ー!私たち勝ちましたね!」

麻子「うん…」

一方こちら観客席では…

しほ「みほ…」パチパチ

菊代「奥様…」(拍手だけじゃなく傍に行って一言お声をかけてもいいのに…)

まほ「よがったね…みほ…ウッウッヒッグ」

菊代「まほお嬢様…そんなに号泣なされて…さすがにちょっと引きます…」

西住みほ:外人部隊除隊後
日本の大洗女子学園に転校、現在は戦車道で大洗女子の隊長を務めている

マッコイ「よぅみほ、優勝おめでとさん」

みほ「マッコイお爺さん…あの時ちゃっかり大洗艦にいたなんて夢にも思わなかったよ…」

マッコイ「まぁ平和になったアスランにワシの居場所はないからのぅ
ワシの商売で一番長く続いて今までもっとも損をしたのがアスランじゃからな…」

マッコイ爺さんは地上空母爆破後、ドサクサ紛れで大洗艦に乗船し
現在では大洗女子学園の購買部で、一手に武器や部品関係の商売を行っていた
その商売はエリア88同様金さえ払えば、クレムリンだって持ってくるといった
相変わらずのやり口だ

沙織「ねぇねぇお爺ちゃん!見た見た?私の通信捌き!カッコよかったでしょ!
もう男子にモテモテだよね!?」

華「お爺さんの持ってきた砲塔…とてもいいですよね!一体どこから調達したんです?」

麻子「お爺…今度安眠枕を頼む」

優花里「私にはちょっと予算安目で戦車の履帯を!」

杏「爺ちゃん干し芋よろしくね!」

典子「バレー部のバレーボールを!」

エルヴィン「信長の野望を頼む!」

梓「皆で千葉の鼠さんランド行きたいからチケット用意してー!」

ナカジマ「エンジンオイルの補充を!」

ねこにゃー「課金キャラを購入したいんだけど…」

『あれもー!』 『これもー!』

マッコイ「隠居するのは当分先のようじゃな、こりゃエリア88の頃より忙しくなるわい…ハハ…」

みほは大空を見上げてふとエリア88の事を思い出す

みほ「ミッキーさん…エリア88の事なんか忘れちまえって言ってたけど
私は大切に覚えておくよ、だって掛け替えない仲間だから…」


end

終わりです
疲れた

無事に終わらせましたが
実はバッドエンドも考えていてみほが戦争の後遺症で再び戦地に戻り
みんなと一緒に戦死するってバッドエンドとかあったんですが…
ちなみにその名残が
>>286
の幻聴です
まだサンダースの子たち出してないのであと1話だけ番外編をやります



キム、セラ「……」

>>347
セラはミッキーと結婚させたのでそれで勘弁してください
キムは…どうしよう…イマイチ絡ませづらい…

>>346
ハッピーで終わったからこそ、そのバッドも読んでみたい


元ネタ一切わからないけどとてもおもしろかった

これまでみたSSの中で一番良かったよ!
まさか88とガルパンのクロスが見られる日が来るなんてね。
乙!でした!

>>350
やはりバッドエンドは無しという事で…ただでさえ原作はバッドエンドだったんで…
ご了承ください
>>352
元ネタ知らないのにこのSS見て面白いとはありがとうございます
今度是非原作も読んでください
>>353
ありがとうございます
それじゃ番外編始めます

大洗学園艦———

先日戦車道全国大会決勝戦を終え、全国大会優勝を果たした大洗女子
ダークホースであろう学校がいきなりの優勝を果たし、
それからの大洗女子はどこの学校からも練習試合の申し込みで、
引っ張りだこにされていた

そして今日も…

みほ「ハ…ハイ…(ミッキーさんといいアメリカの人って皆こんなノリなの?)」

沙織「大丈夫だよみぽりん、おケイさん…本当は日本人だから…」

優花里「それにしても私たちも有名になりましたね!」

華「そうですねぇ、練習試合の申し込みが今週だけで10件もありますし」

麻子「モテモテでつらいな、なぁ沙織?」

沙織「女子ばっかじゃん!?」

その時T-6でサンダースの名砲手ナオミとアリサが現れた

アリサ「隊長、遅くなりました」

ナオミ「T-6、問題ありませんでした」

ケイ「センキューね二人とも!」

優花里「おや?あれはT-6ですね、
主にパイロットの練習機として使用されてる機体ですが何故こんなところに?」

ケイ「さすがはオットボール三等軍曹ね!あなたウチに転校しなさいよ♪」

沙織「ちょっとウチのゆかりん取っちゃ駄目!!」

ケイ「ぶ〜、ほんのジョークなのに…」

みほ「それで何でT-6を?戦車道では使えませんよ?」

アリサ「うちの航空科の学生から処女飛行を試してくれと言われてね」

ナオミ「まぁここまでの道中、アリサと二人で飛行したまでさ」

麻子「機体に何か付いてるぞ、虫か?」

みほ「アハ、これバッタだよ!T-6…それにバッタか…」

みほはこの組み合わせを見てある事を思い出していた
それはエリア88に居た頃…

まだみほがエリア88に配属されて、まもなくの頃の事であった

その頃基地にはモーリスとカーライルという古株の傭兵がおり、
二人は3年間の兵役の終了期日を間近に控えていた

グレッグ「モーリス、カーライル…お前さんたちがいなくなると思うと悲しいぜ!
引退したらどうする気だ?」

モーリス「そうさな、どこか田舎に行って農薬散布の仕事でもしながら
のんびり余生を過ごそうと思っているよ…」

カーライル「とりあえず俺は、まずはワインを飲みたいね…
それもドイツワインのシュタインベルガーさ」

フーバー「ドイツワインか、さすがはカーライル!
ドイツ通に悪いヤツはいないんだぜ、これは世界の常識な」

そんな古参の傭兵たちの前を一人の少女が戦車で通ろうとしていた

ブロロロロロロロ

みほ「あのすいません…避けてもらえますか?」

モーリス「あぁ…って子供?何でこんなところに!?」

グレッグ「この前入ったばかりのみほ西住、日本人だとさ
まったく日本人は機械だけじゃなく、ついに兵隊まで輸出するようになったか」

カーライル「それにしてもあんな娘っ子がこんな戦地に売る飛ばされるとは…
日本の不景気も深刻だな」

フーバー「だが彼女の戦車はドイツの�号戦車だ、
ドイツ好きの人間に悪いヤツはいないよ」

グレッグ「腕はいいんだが愛想が悪くてな…
もうこの基地に来て3日くらい経つが誰とも話そうともしねえ」

グレッグの言う通りこの頃のみほは、エリカに騙されエリア88の外人部隊に
入隊させられたショックから抜け出せていなかった

みほ「うぅ…お姉ちゃん…菊代さん…お母さん…日本に帰りたい…」

マッコイ「お嬢ちゃんかぃ?新人の戦車乗りってのは?
わしはマッコイ、この基地の台所を取り仕切ってる者じゃよ」

みほ「マッコイさん…そういえばサキさんがこの基地でわからない事があれば
マッコイ爺さんに聞けって…」

マッコイ「そう、そのマッコイじゃ!
お前さんに教えておくがここは普通の軍隊と違って弾薬や整備代は自分持ちでな、
そしてこの基地にいる限りわしから買わねば手に入る事は出来ん仕組みなんじゃよ」

みほ(人殺しを強要させといて整備代は自分持ちっていくらなんでもケチ過ぎるよ…)

マッコイ「さてそれで商談なんじゃがの、お前さんの�号の整備じゃが5000でどうかの?
勿論これは相場の…」

モーリス「おいおいマッコイ、それはさすがにぼったくりだろ!
相場でも2500が妥当じゃないのか?」

マッコイ「なんじゃいモーリス、このお嬢ちゃんに社会勉強させようと
思っただけじゃよ…」

カーライル「嘘つけ!素人からぼったくる気満々だったじゃないか!?」

みほ「あの…あなたたちは?」

モーリス「ワシはモーリス、ここじゃ一番の古参だな」

カーライル「俺はカーライル、まぁ俺たちあと少しで除隊するんだがね」

みほ「え?それってつまり…」

モーリス「そう、3年間の兵役を終えるんだよ」

マッコイ「たく…ここを生きて抜け出すなんて不死鳥のチャーリー以来だよ」

カーライル「チャーリー…懐かしいな…あいつは今何やってるんだ?」

マッコイ「風の噂じゃイタリアのマフィアに入ったとか…
馬鹿な男だ、せっかく娑婆に戻れたのに物騒な連中とつるんで…」

モーリス「もしかしたらあの男戻ってくるかもしれんな、
なんとなくだがそんな予感がする…」

カーライル「ところで…みほと呼ばせてくれ…
ここは空軍編成の基地なのに何でわざわざ戦車に?
おまけにキミが乗ってる�号は第二次大戦時代のモノだぞ、
ここじゃ道具の選別を怠れば命取りになる」

みほ「それは…私が�号の事好きだから…」

モーリス&カーライル「「プッ…アハハハハハハハハ!」」

みほ(笑われた…もう嫌だ…)

モーリス「いやそれでいいのさ、俺の相棒を見てみな!
T-6だよ、俺と同様もう爺の機体よ」

カーライル「まったく大したヤツだよ、最新鋭の戦闘機がうじゃうじゃしてる中で
こんなオンボロ乗り回してこのエリア88で生き残るんだからな!」

サキ「だがこうして生き残っているキミも相当幸運の持ち主だと思うぞ、カーライル」

マッコイ「なんじゃぃサキか、どうかしたのかぃ?」

サキ「爺さんがみほに阿漕な商売してないか心配で見に来たまでさ」

マッコイ「まったく…どいつもこいつも余計なお世話じゃよ!」

サキ「さて…二人とも明日で任期満了おめでとう、
特にモーリス…キミはあの機体でよくぞ生き延びたよ」

サキは話を続ける

サキ「あれほどジェット機を勧めたのに、キミは頑なにT-6を乗り続けて…
生き残れたのは本当にカーライル同様幸運だった」

そういってサキはその場を去って行った

みほ「でもどうして最新機を使わなかったんですか?」

モーリス「恥ずかしい話だが…T-6に愛着があるのはまぁそうなんだが、本当のとこはな…
近頃はステルスだの推力偏向ノズルだの訳のわからないことが多くて
この老いた頭じゃまったくついていけねえ…
最早計器ランプ一つ増えただけで混乱するありさまだ…」

みほ「モーリスさん…」

確かにモーリスはみほの祖父くらいの年齢でそんな彼に最新鋭の戦闘機に
乗り換えろというのは酷な話に違いない

モーリス「正直俺はT-6と一生をともにする気でいたよ」

カーライル「だがあんたは生き残れた、もしかしたらT-6が守ってくれたのかもしれんな」

みほ「え…そんな事があるんですか!?」

マッコイ「ただの言担ぎじゃよ」

カーライル「こいつはパイロットにしてみたらお袋みたいなヤツよ…
そして皆お袋の下を巣立つわけさ」

みほ「お袋…お母さん?」

通常このT-6はパイロット候補生の演習機として使われる
このエリア88ではパイロット全員がT-6の世話になったはずだろう

カーライル「だからお袋さんがモーリス、アンタの事を守ってくれたんだろうぜ」

モーリス「お袋というよりも古女房って感じだがな!」

その時みほのところに一匹の虫が舞い込んできた

みほ「これは虫?」

モーリス「こいつはバッタだな、以前農薬散布の仕事してた時に
こいつらの駆除をしてたよ」

マッコイ「ちょっと待て、ここは辺り一面砂漠だぞ?何で虫がいる?」

マッコイが疑問を抱いたのと同じ頃にエリア88にある情報が流れた

管制塔「サキ司令!大変です!反政府軍がエリア88に核ミサイルを撃ちました!」

サキ「なんだと!?」

その時大量のバッタがエリア88に押し寄せてきた

フーバー「何だこのバッタは!?」

グレッグ「へっ!日本にはバッタの佃煮ってのがあるらしい
喰っちまおうぜ!」

サキ「馬鹿者!バッタなんか放っておけ!
それよりもこの基地に核ミサイルが発射された、迎撃しろ!!」

ジェンセン「任せろ!悪いな報酬は俺が独り占めだぜ!!」

だが彼の乗ったクフィールはあっという間にバッタの大群に押し寄せられ
墜落してしまった

サキ「そうか…このバッタは反政府軍の罠か…これでは戦闘機を発進させられんぞ…」

ルロイ「まさかこんな虫けらのせいで俺たち死ぬなんて…」

ライリー「ちくしょー!」

だがこの時一人の男が自機に乗り込んだ、モーリスだった

みほ「モーリスさん!戦闘機で出撃したらさっきみたく墜落しちゃうよ!」

モーリス「俺が滑走路を開ける!
心配するな、こいつはジェット機じゃなくレシプロ機よ、バッタなんぞに墜落されんさ!」

そしてT-6の複座にもう一人乗り込んだ男がいた、カーライルだ

カーライル「俺も手伝うぜモーリス!」

モーリス「馬鹿な!何故乗り込んだ!?降りろ!」

カーライル「なぁモーリス、アンタ娑婆に出て何かしたい事あるかい?」

モーリス「いや…正直なとこ何もないがね…だからここで…」

カーライル「俺もさ、このまま娑婆に出たところできっと今まで殺した連中への
罪悪感に押し潰されて、すぐに廃人になるだけかもしれん…
それなら若い連中のためにこの命、投げ出すのも悪くないかもと思ってな!」

モーリス「馬鹿なヤツだ、行くぞ!」

そしてT-6はバッタの群れに突撃しバッタたちはT-6が炎上した爆炎に包まれた

みほ「モーリスさん!カーライルさん!?こうなったら…!!」

グレッグ「モーリスのヤツ滑走路を開けてくれたぞ!今なら核ミサイルを迎撃できる!!」

フーバー「急げ!モーリスの犠牲を無駄にするな!?」

マッコイ「まったく殺虫剤でも売りつけようとしたんじゃが…
モーリス、カーライル、明日で娑婆に出て行けるというに運がなかっ…なんじゃ!?」

その時みほが�号戦車でT-6が炎上してるところに突っ込んだ

サキ「馬鹿なみほ!死ぬ気か!?」

ゴオオオオオオオオン

辺り一面が爆炎に包まれた、誰もがみほは思い至って自殺でもしたのかと思った

マッコイ「あの小娘…短い人生じゃったのぅ、ワシみたいな年寄りが生き残って、
若い者はみんな死んじまう…世の中嫌なもんじゃ…」

だが爆炎の中�号は無事に出てこれた

サキ「みほ!よく無事で…いや何でこんな危険な真似をした!?」

みほ「早く医務室へ!二人ともまだ生きてます!!」

みほはあの爆発の中、二人の男を戦車に収容していた、
モーリスとカーライルの二人は生きていたのだ

この後核ミサイルはグレッグとフーバーにより撃破され
モーリスとカーライルも軽症で済みこの一件で、
みほはエリア88の外人部隊たちから、厚い信頼を寄せられた

翌日———

モーリスとカーライルの二人を外人部隊全員が見送っていた

モーリス「じゃあなみんな、達者でな」

グレッグ「あばよモーリス!カーライル!二度とこんなところに来るなよ!」

カーライル「フーバー、それじゃ一足先にドイツワインを飲みに行くぜ!
お前さんが娑婆に帰ってきたら二人で飲もうや、いつでも連絡待ってるぞ」

フーバー「あぁ、こちらこそな」

マッコイ「まったくお得意さん二人もいなくなるのは痛手だね」

モーリス「マッコイ、あまり悪どい商売するなよ…地獄に堕ちてしまうからな」

マッコイ「ここは地獄の一丁目じゃよ、これ以上堕ち様がない」

カーライル「ハハハ、まったくだ」

そして二人はみほにお別れを言った

モーリス「みほ助けてくれてありがとうな、お前さんがいなきゃ俺たちは…」

みほ「いえ、私じゃなくT-6がお二人の事を守ってくれたんですよ」

カーライル「お袋が俺たちを守ってくれたか、面白い事を言うな」

モーリス「最後にお前さんに言っておく事がある、
ここでは強気で行け、『俺の獲物に手を出すな!』くらいの気迫でなければ
このエリア88では生き残れんぞ…」

カーライル「みほ、お前に幸運を!GOODLUCK!!」

みほ「ありがとう二人とも、私も生きてここから出るからね!」

サキ「二人とも時間だ、早く航空機に乗れ」

モーリス&カーライル「じゃあなみんな!」

そして二人はエリア88を…アスランを去った

イギリス、ヒースロー空港———

アスランを去った二人はここヒースロー空港へ降り立った

モーリス「これからどうする?」

カーライル「とりあえずドイツワインのシュタインベルガーを飲みに行こうか」

その時だった…

引ったくり「どけどけ!死にたいのか!?」

カーライル「なんだお前は!?」

??「そこの人たち危ない!!」



そして時は現在に戻る

大洗女子対サンダースの練習試合は大洗女子の勝利に終わった

ケイ「いやぁ、負けたわ…まったく相変わらずエキサイティングな
戦いぶりねMIHO!」

ナオミ「前の戦いでも思うが一体どうやったらそんな腕前が上がるんだ?」

みほ「え〜と外人部隊で傭兵やってたらかな?」

アリサ「つまんない冗談を…」

沙織「冗談じゃないんだなこれが…」

優花里「沙織殿!それは秘密ですよシーッ!」

サンダースのチームがみほたちの勝利を称えているとそこに、
大洗女子の戦車道教官蝶野亜美がやってきた

亜美「皆、どちらもベリーナイスな戦いっぷりだったわよ♪」

沙織「思うんだけどさ教官とケイさんってキャラ被ってるよね」

麻子「テンションとかそっくりだな」

華「もしかして親戚同士だったりして」

亜美「ところでケイさん、頼んでいたT-6の整備終わったかしら?」

ケイ「イエッサー、既にナオミたちが試乗してくれてノープロブレム!」

優花里「あれ?そのT-6はサンダースで運用するのではないのですか?」

亜美「いいえ、これは自衛隊の海外支援の一環でアフリカのルンガ国へ送られるのよ!
サンダースにはその整備を依頼していたの」

優花里「なるほど、大洗には航空科ないですからね…」

沙織「ねぇ麻子、ルンガ国ってどこ?」

麻子「南アフリカの小国で主に農産物が収入源とされているらしい、
確か第3王子のキム・アバ王子が率先して行ってるとか」

ケイ「このT-6はその農業のために送られるのよ、何でも農薬散布するためだとか
言ってたわね」

亜美「ちなみにこれ、この前送られてきた現地の写真なんだけど見てみる?」

その写真を見てみるとそこに映っていたのは3人の人間と、
大規模なトウモロコシ畑が映っていた
真ん中に黒人の少年と左右にはみほがエリア88で知り合った
あのモーリス、そしてカーライルが映っていた

みほ「モーリスさん!?それにカーライルさんも!?一体どうして…」

亜美「何でもこの二人はイギリスのヒースロー空港で引ったくりに殺されそうに
なったところをこの写真の真ん中に映ってるキム王子に助けてもらって
その恩に報いるためにルンガ国で農業をしてるんだって言ってたわ」

みほ「そっか、二人とも無事でいてくれたんだ…よかった…」

優花里「西住殿、このお二人とはお知り合いなのですか?」

みほ「うん…この二人はね…」

二人の近況を聞きほっとしたみほは、その時の事を話していた

そしてエリア88では———

ここエリア88は、かつて外人部隊であったが現在はアスラン正規軍の空軍基地として
機能している、
そしてサキに代わり指揮を執るのはアスラン空軍正規軍大尉となったミッキーである

ミッキー「オラー!新兵どもこの程度でへこたれるんじゃねえぞ!
俺はお前らよりも年下の女の子が戦場で戦ってるとこを見てんだぞ!!」

彼は現在新兵を率いて訓練の真っ最中であった

ミッキー「たく情けねえ…うん?何だ、この墓は?」

それはかつてこの基地の危機を救ったT-6を祀るために、
エリア88の傭兵たちがT -6の残骸で作ったT-6の墓標であった

母は子の巣立ちのために我が身を犠牲にして巣立たせた
これはそんな子供たちが母を想い建てた墓標である…


番外編完———

今度こそ本当に終わりです
ありがとうございました

感想ありがとうございます
今だから言いますけど最初の頃まったくレスもされないものだから
「このSS誰も見てないんじゃね?」と思ってましたが…
ちなみに心残りがあるとすればバンバラ編の
ボッシュやエラーたちを出してあげられなかった事ですかね
この連中は本当に出すタイミングが無かった…

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