久美子「百合雑誌!」 (51)

※咲SS

久美子「別冊WEEKLY麻雀TODAYで百合特集!」の続きです
久美子「別冊WEEKLY麻雀TODAYで百合特集!」 - SSまとめ速報
(http://www.logsoku.com/r/news4vip/1376218716/)


http://i.imgur.com/hRKi1Ot.jpg

右……西田 順子

左……久美子

<出版社>

久美子「鶴田さん、記事出来てる?」

姫子「はい!チェックお願いします!」

久美子「ふむ……この写真はまずいわね」

姫子「いかんやか」(ダメですか)

久美子「ええ。三尋木プロと針生アナのコンビは最高なんだけど、完全にキスしてるでしょ?一応そのあたりは映さないようにしないと」

姫子「そんなら……キスしてる部分に、きんいろんモザイクば入れたらどげん?」

久美子「ダメよ。余計に綾しく見えてしまうわ」

姫子「この写真……ちかっぱカレンっちゃけどな……」(すごくカレンだけどな)

久美子「もちろん私もそう思うわ。でも雑誌に掲載されることを考えるとね……悔しいでしょうけど、ここは勇まずに耐え忍ぶのよ」

姫子「あり(がとうございま)す!」

久美子「いいの。いつも仕事が早いし、鶴田さんには期待してるわ。未来は明るい、視界り陽子うね」ニコリ

姫子「はい!仕事に戻ります」

久美子「うん、よろしく」

久美子(……真面目で本当にいい子)フフッ

ドンッ!

久美子「痛!誰?」

洋榎「あ、すんません。急いどったもんで」

久美子「後ろ狭いから気を付けてね?それで、何を急いでるの?」

洋榎「いや、ちょっと探しもんがあるんです。うちの靴しりませんか?」

久美子「靴?知らないわ。サンダル履く時に脱いだんでしょ?そこにないの?」

洋榎「ないんです。いつもの場所に置いたはずなんやけどなあ……もうちょっと探してきます」テクテク

久美子「わかった。時間かかるようなら後回しにするのよ?」

洋榎「はーい」

久美子(……それにしても、靴がなくなるなんてねぇ……そういえば、洋榎ちゃんってどんな靴履いてたっけ?確か絹恵ちゃんと同じ靴……ということは…)

ドンッ!

久美子「あいた!また!?」

洋榎「あ、すんません」

久美子「もう…少女が急くと危ないわよ?気を付けて」

洋榎「はい」

久美子「あ、そうそう。靴の件なんだけど、絹恵ちゃんと洋榎ちゃんって同じ靴よね?で、絹恵ちゃんもサンダルを履く」

洋榎「はい」

久美子「絹恵ちゃんは脱いだ靴をロッカーにしまうけど、洋榎ちゃんは脱いだ靴は机の傍に置く。そして洋榎ちゃんと絹恵ちゃんの机は隣同士」

洋榎「あ……もしかして」

久美子「うん」

洋榎「……今日の絹は、たまたまボーっとしとって、外に行く時にうちの靴を履いてってもうた?」

久美子「だと思う。きっと絹恵ちゃんが黒だ」bb

洋榎「おおっ!さすが久美子先輩や!うちは全然気付かんかったわ!よく気付きましたね!?」

久美子「自分の靴がなくなったら焦っちゃうだろうし、無理ないわ。私は落ち着いてたからたまたまわかった、ってところかな?」

洋榎「めもります!冷静さが大事なんやな」メモメモ..

久美子「と言っても、まだ確証は……」

絹恵「お姉ちゃんごめん!お姉ちゃんの靴間違って履いてもうた~!!」タタタッ!

洋榎「絹のしたことはなんでも許す!それがうちのしまいずむや!」

絹恵「お姉ちゃん……///」

久美子「…………」

久美子(素敵な姉妹ね。見ていて微笑ましいわ)

哩「久美子先輩」

久美子「はい、何かしら?」

哩「先方様へ送る荷物についてなんですが」

久美子「あ、そうだった!そうね、黒八木さんにはまどれーぬを送っておいて。あと飴色の美味しい紅茶を手に入れたから、それも一緒に」

哩「はい。住所のデータは?」

久美子「ええと、横浜市保土ケ谷区星川銀座四丁目のBUTTERFLY69の108号室で」

哩「包装紙はどうしますか?オレンジ?イエロー?」

久美子「白水さんに任せるわ」ニコッ

哩「はい、わかりました。送っておきます」テクテク

久美子「ありがとう。お願い」

久美子(白水さん……デキる女って感じよね。必ず締切前に記事を仕上げるし気も利く。鶴田さんが好きになるのも当然ね)

竜華「……あの、久美子先輩」

久美子「あ……清水谷さん、何?」

竜華「お昼休みに相談に乗ってもらってもいいでしょうか?」

久美子「ん、わかったわ」

竜華「ありがとうございます!」ペコリ

久美子「ううん、可愛い部下の悩みを聞くのも大切だからね。それじゃ、お昼に」

竜華「はい!」

昼休み

<屋上>

竜華「屋上ですいません。あまり人に聞かれたない話でして……」

久美子「ううん、大丈夫。あ、これどうぞ。うちの親戚の会社が作ってる水なの」

竜華「ありがとうございます。純水アドレッセンス……?」

久美子「思春期特有の甘酸っぱいパッケージがいいでしょ?この眼鏡と白衣がまたアクセントになっててさ」

竜華「はい……辛いことと楽しいことのリンケージ(連鎖)が表現されてる思います」

久美子「…………」

竜華「……………」

久美子「…………それで、相談って何?」

竜華「うち、最近どうも仕事が上手くいかんくて……」

久美子「…………」

竜華「今、姉妹百合の記事を担当してるやないですか?あれの出来が今一つで、落ち込んでるんです」

久美子「まだ途中じゃないの。それに、そう悪くなかったと思うわよ?」

竜華「いえ、洋榎や絹恵ちゃんの記事とは完成度がちゃうの、自分でわかってますから……」

久美子「…………」

竜華「あの人ら、ほんまに凄い……悔しいけど……姉妹百合に関しては勝てる気がせえへん…」グス..

久美子「…………」

竜華「……うちはいつまで経っても、甘百合と同級生百合しか取り柄がないんでしょうか……」

久美子「清水谷さん」

竜華「……はい」グシュ

久美子「あなたは優秀よ?」

竜華「そんなん……嘘です」

久美子「嘘じゃないわ。甘百合と同級生百合に関しては、すでにつぼみではなく開花している。それだけでも十分な武器だわ」

竜華「でも……姉妹百合が上手いこと書けないんです。ほなら結局うちは……」

久美子「うーん……例えば、どれほど凄いレンアイマンガを描く漫画家さんでも、最初はまんがの作り方すら知らなかったはず…」

竜華「え」

久美子「清水谷さんは、まだ姉妹百合を書くのに慣れてないんだから、いきなり愛宕さんたち以上の記事を書こうとするのは無理よ。もちろん、その向上心は素晴らしいけどね」

竜華「久美子先輩……」

久美子「大事なのはA’sを目指すことよりも、仕事とどう向き合って過ごすかなのよ」

竜華「どう向き合うか……」

久美子「確かに今は清水谷さんより愛宕さんたちの方が優れた姉妹百合記事を書ける。でもそれは負けとイコールじゃない」

竜華「?」

久美子「同い年だし、ライバルのように思うのはわかるけど、敵じゃなくて仲間なのよ?」

竜華「あ……」

久美子「清水谷さん、洋榎ちゃんと絹恵ちゃん、白水さんと鶴田さん、私、西田先輩……乙女ノ五重奏を中心に、うちの雑誌は完成するんだから」

竜華「はい……」

久美子「……もし、清水谷さんが嫌じゃなければ、愛宕さんたちにアドバイスを貰ってみるのもいいかもしれないわよ?」

竜華「え?」

久美子「愛宕さんたちも、あなたの甘百合を認めてる。お互い、切磋琢磨して成長できると思うから」

竜華「………洋榎がうちを認めて……」

久美子「うん」

竜華「………………」グッ!

久美子「……どう?少しは元気出た?」

竜華「はい。めっちゃやる気出ました」ニコッ

久美子「よかった」フフッ

竜華「そうですよね。最初からなんでも上手くいくわけないし、これから頑張ればええんですよね!」

久美子「うん」

竜華「ありがとうございました!洋榎と絹恵ちゃんに色々聞いてきます!」タタタッ!

久美子「ん、頑張って」

ガチャ バタン

久美子「………………」

久美子(ホント、いい子ね……園城寺さんが羨ましいくらい)

久美子「さて……私も戻…」

カコン!

久美子(物音?………私たち以外に誰かいたのかな?)テクテク

久美子「…………あ」

絹恵「あー……」

洋榎「…………」

久美子「ふ、2人とも……いたの?ひょっとして今の、聞いてた?」

絹恵「え、ええと……」

洋榎「…………」

久美子「洋榎ちゃん?どうして俯いて……」

洋榎(´P3P`)

久美子「えっ……な、泣いてるの?」

洋榎「き、聞いてへん!うちらはここで弁当食べてただけや!」

洋榎(´P3P`)「ぐす……ハムとゆかりご飯美味かったわ~……」

絹恵「……お姉ちゃん、清水谷先輩に認められてたのが嬉しいみたいです。お姉ちゃんも清水谷先輩の甘百合とか、凄いって認めてましたから」ヒソヒソ

久美子「………ふふっ、そっか」

絹恵「それでは、私たち戻りますね。行こ、お姉ちゃん」

洋榎「せ、せやな。清水谷がうちらを探してるかもしれんし……」

絹恵「ほな、一足お先に失礼します」

久美子「あ、うん」バイバイ..

ガチャ バタン

久美子「…………」

久美子(ホント、いい子ばかりだわ。みんな真面目で優しい。相手を思いやる心を持ってる)

久美子(恋人がいるのも関係してるだろうなー)

久美子「…………」

久美子(洋榎ちゃんと絹恵ちゃん……清水谷さんと園城寺さん……白水さんと鶴田さん……)

久美子(みんな……それぞれ好き合ってるんだよね……)

久美子「…………」

久美子「…………はぁ」

久美子「屋上は結構暑いわね……夏はすぐそこかな?」

久美子(夏かぁ……夏といったらインハイ…………インハイか~)

久美子(私の人生の転機だったなー……入社したばかりなのに、小冊子の特集を任されて……)

久美子「………………」

数年前―――

<東京>

久美子「~♪」テクテク

久美子(1人でインタビューするのは不安だったけど、順調順調。みんないい子でよかった。清澄、阿知賀、千里山、新道寺が完了っと)

久美子(白水さんと鶴田さんという有望株をスカウトできたし……よし、次も頑張ろう!)

『喫茶 妄想HONEY CRUSH』

久美子「よし、約束の時間まで10分あるけど、遅れたら悪いし先に…………あ」

白望「」

久美子(もう来てる!?っていうか、席とって座ってる!まずい!)カランカラン..イラッシャイマセー

久美子(時間前とはいえ、高校生を1人で待たせるのはダメ!知らない土地で不安だろうし!)タタタッ!

久美子「ご、ごめんなさい!遅れました!」ペコリ!

白望「…………」

久美子(……あれ?無視?やばい……凄く怒ってるんじゃ……)チラ

白望「ZZZZ……CANAAN……」

久美子「スリーピングビューティー!!」

白望「んぁ?」パチリ

久美子「あ……どうも、こんにちは」

白望「…………ども」

久美子「ええと、予定では鹿倉さんも一緒だと…」

胡桃「ア!オーイ!シロー!」タタタ..

久美子「え?あ、鹿倉さん」

久美子(お店の外から走ってきた。あぁ……鹿倉さんって小山内感じで可愛い)

胡桃「勝手な行動禁止!」タタッ

白望「ごめん……暑かったから」

胡桃「それはわかるけど、時間まで買い物するっていったのに!黙って動かれたら困る!」

白望「んー……悪い」

久美子「え、えーと……?」

胡桃「遅れてごめんなさい!インタビューですよね」

久美子「はい。お願いします」

胡桃「わかりました。シロ、充電させて」ヨイショ

白望「ダル……」

久美子(おおっ!女の子合わせ!?これはいい!)

久美子「さ、早速いいかしら?まず、お2人は付き合っているの?」

胡桃「付き合ってはない!」

久美子「あ……そ、そうなんですか」

胡桃「ただ、みんなシロが好き!みんなシロとラブラブ!」

久美子「野ばらっ!それはいいですね!ラブラブになるきっかけはなんだったんですか?」

胡桃「えーと、みんなの昔のあだ名の話になった時……シロがマヨヒガ、トヨネが山女、私がカクラサマっていう、可愛くないあだ名だったから3人で愚痴ってて……」

久美子(宮守女子のみんなみたいに可愛い子たちだったら、もののけみたいなあだ名でも、ときめくのは間違いないけどねっ!)

胡桃「そしたら塞が私たち3人に新しいあだ名をつけたらどうかって言い出して、みんなで考えようって話になったんだ
けど、シロのあだ名を決めようとすると意見が全然まとまらなくてグダグダになったから『もうやめやめ!好きな人のことは好きなように呼ぶのが一番!』ってつい怒鳴っちゃったんです」

久美子「はー……いい言葉ですねぇ。鹿倉さんは私が想像していたよりももっと!委員長っぽくて説得力ありますし」

胡桃「……みんなもそういう風に捉えてくれたみたいで、好きに呼ぶようになったんです。でもそれだけじゃなくて、だんだん好きな人……つまりシロへの好意を隠さなくなっていって……気が付いたら……みんなでラブラブになってました」

久美子「共鳴するエコーというやつですね……」

胡桃「そう!」

久美子「なるほど……では今日のインタビューは宮守の皆さん全員に来てもらった方がよかったですね……気が利かなくてごめんなさい」

胡桃「平気!みんなラブラブ!」

久美子「………鹿倉さん……ありがとうございます。小瀬川さんも……」

白望「Zzzzz……Sweet Little Devil……」

久美子「スリーピングビューティー!!」リッチィ!

<繁華街>

久美子「ふぅ……」

久美子(これで残るは……白糸台ね)

久美子(白糸台といったら宮永さん、弘世さん、渋谷さん、亦野さん……そして、こんなに可愛い子だらけのチームに入ったラッキースターこと大星さんだね!って、大星さんも可愛いけど~♪)

久美子(それで、インタビューは宮永さん)

久美子(うん、今までのインタビュー記事とか記者会見の様子を見るに、結構話しやすそう!)

久美子(宮永さんは誰が好きなんだろう?一緒に記者会見した弘世さんかな?あれ、結婚記者会見っぽくてよかったなぁ~!)

久美子(それとも甘えんぼっぽい大星さん?)

久美子(でも渋谷さんとまったりお茶デートも似合いそう)

久美子(いや、亦野さんも悪くない!一緒に釣りを楽しんでると思うとワクワクする)

久美子(ふふふ……宮永さんに会うのが楽しみだ!)

<白糸台高校 宿泊ホテル ロビー>

照「…………」

久美子「あ、こんにちは」

照「こんにちは……」

久美子(あれ?宮永さんって、対局中は静かだけど普段はもっと愛想いい人だったはずじゃ……)

照「…………よろしくお願いします」

久美子「あ、いいえ、こちらこそよろしくお願いします」

照「…………」

久美子「あの……インタビューをさせてもらってもいいでしょうか?」

照「はい」

久美子「えっと……宮永さんは今好きな女性っていらっしゃいますか?」

照「…………」

久美子「……そ、その……好きなタイプでも構いません。教えてもらえませんか?」

照「……放課後にカノンを弾くような女の子」

久美子「!?」

久美子(この感じ……本当の答えじゃない。ということは……)

照「…………聴いたフィダンツァート(婚約者)がためいきを吐くほどの演奏だった。でも、彼女はカノンを弾きながらも自分の中にあるきもちのかたちをはっきり意識していない」

久美子(宮永さん……まさかあなたも……)

照「Seasonsが巡るもそれは変わらない。四ツ原のクローバーを探し、彼女は幸せを願う。でも、その胸に秘めた温かい感情に本人は気付いていない。だからその気持ちに名前はまだない」

久美子「っ!でもその子は漠然と思う。あなたがいてくれたコト。それだけで幸せだと!」

照「…………」

久美子「古風で構わない。文通をしましょう。さくらのように可憐なあなたを、私は瞳のフォトグラフに永遠に刻み込みます!」

照「…………」

久美子「そしていつか……蕃納葱(ばんのうねぎ)を使った鍋を食べましょう!」

照「………………」

久美子「…………」

照「………ぷっ」

久美子「!」

照「ふふふふ……最後にそれってめちゃくちゃ」

久美子「あ……」ドキン

久美子(宮永さんが笑った……記者会見で見せる笑顔より……遥かに魅力的……)

照「……やっぱり、記者さんも百合好きだったんですね」

久美子「宮永さんも……いきなり仕掛けてくるから驚きましたよ」

照「はい……でもなんとなく同じ匂いがしたといいますか……記者さん」

久美子「はい?」

照「………口に出すと結構気持ちいい英語は?」

久美子「え?」

照「せーの……」

久美子「っ!」

照・久美子「ファナティクス!」

照「……ほら」

久美子「確かに……」

照「私の周りにはいないから新鮮」クスッ

久美子「あ……あの」

照「?」

久美子「宮永さんって、それが素ですか?」

照「…………はい」

久美子「では、記者会見とかのあれは……営業スマイル……ですか?」

照「はい……」

久美子「………そ、そうなんですか……明るくハキハキ喋ってたのはキャラ作りでしたか……」

照「…………自分で考えたキャラじゃないから恥ずかしくないもん」

久美子「なるほど」クスッ

久美子(宮永さん凄い……白水さんたち以上かも!出来るなら是非スカウトしたいけど……)

照「…………話を戻します。好きなタイプの話ですよね」

久美子「あ、はい」

照「好きなタイプは…………ありません。今の私には麻雀しかありませんから」

久美子「え……っと、理由を聞いてもいいでしょうか?」

照「…………私には、2つ下のライバルがいます。その子が本気で麻雀に取り組みだしました」

久美子「………ライバル……」

久美子(そんな話聞いたことないけど……)

照「その子は強い。まるでロケットガール。すぐに私に追いつく…いえ、追いつくどころか、逆襲の赤ずきんちゃんと化すでしょう」

照「ずっとやる気を見せなかったのに、今年になって突然……まさに青天の影木 栄貴、じゃなかった。青天の霹靂です」

久美子「その言い間違い、わかります……辟易とか適齢期でも言っちゃいますから」

照「……私はその子に負けないために麻雀に専念します。ですから温泉に行ったりイルカと遊んだりもしません」

久美子(宮永さんほどの選手がそこまでしないといけないなんて……よほど凄い子なんだ……)ゴクリ..

照「もっとも、私が聞いた話では、その子は温泉に行ってリフレッシュしたりしてるみたいですけど」

久美子「あ、だったら宮永さんもたまにはプアプアーッて騒ぐのも…」

照「いえ、私は私で麻雀に懸けてますから」

久美子「あ……そ、そうですよね。ごめんなさい」

照「…………」

久美子「……………」

照「…………」

久美子「…………あの、ちょっといいですか?」

照「はい」

久美子「今の話、初めて聞いたんですけど……これって記事に載せてしまっていいんでしょうか?」

照「はい」

久美子「でも宮永さんの今までのインタビュー記事とイメージが違っちゃいますけど……」

照「私と同じ趣味を持ってる記者さんと話して、楽しかったから……構いません」クスッ

久美子「あ……//」ドクン..

久美子(こ、この熱さ……ドキドキ……初恋構造式にピッタリ当てはまる!私……宮永さんのことが……)

照「……そろそろ時間ですね」

久美子「あ……」

久美子(宮永さんが行っちゃう!でも……引きとめる材料はないし……どうしよう…………)

照「今日は楽しかったです。ありが…」

久美子「宮永さんっ!!」

照「?」

久美子「私、将来……出版社を立ち上げようと思ってます!」

照「…………」

久美子「そこで……ゆりんゆりんな記事がいっぱい載ってる雑誌を作ります!」

照「…………」クスッ

久美子「だから……えと……」

照「……私、色んな種類のカップリングが好きだけど……楽しめます?」

久美子「!は、はい!絶対楽しめます!ひとより×が多めの宮永さんでも楽しめる記事を書きます!だから……宮永さんも頑張ってください!!」

照「ありがとう。頑張ります。記者さんも頑張ってください。楽しみにしてますから」ニコリ

久美子「ぁ……///」

照「それでは………ファナティクス」

久美子「あ……ファナティクス!!」

照「」クスッ

久美子「………………」

久美子(よし……頑張ろう。頑張って、宮永さんが喜んでくれるような凄い雑誌を作る出版社を立ち上げるんだ!)


―――――――――

―――――――

―――――

―――

<屋上>

久美子「………………」

姫子「久美子先輩?どげんしとったんです?昼休みは終わりましたよ?」

久美子「え?あ……」

久美子(いっけない。いくら懐かしいからって、時間を忘れるまでボーっとしてたなんて……)

久美子「ごめんなさい。今すぐ戻るわ」

姫子「もうすぐひまわりさんの咲く季節やから、気ば付けちゃんないね。暑くて倒れちゃいますから」

久美子「ふふ、ありがとう。気を付ける」

<出版社>

久美子「遅れてごめんなさい」

西田「あ、久美子ちゃん。追加で荷物を発送しなきゃいけないんだけど、確認してもらえるかしら?」

久美子「はい、今確認します……ふむ」

西田「どう?」

久美子「犬神さんと猫山さんとエビスさんとホテイさんと南波と海鈴と安達としまむらと執事少女とお嬢様とことのはの巫女とことだまの魔女と神無月の巫女さんに送っておいてください」

西田「何を送る?」

久美子「甘いぱいんを」

西田「わかったわ」

竜華「久美子先輩!記事、チェックお願いします!」

久美子「あ、はーい」

久美子(宮永姉妹の記事……見出しは『てるてるシスターの愛』ね…………うん、2人がコンチェルト(意志を合わせること)ってるのが伝わってくるいい記事だわ)

久美子(……昼休みに弱音を吐いてたのが嘘みたいないい出来ね。細かいところまで修正されてる。愛宕さんにアドバイスしてもらったのかしら?それにしてもこの短時間で……やっぱり清水谷さんは優秀ね)

久美子「…………」

久美子(…………宮永 照…)

久美子(今では誰もが認めるトッププロとして数々の賞を獲得。かつてライバルと言っていた妹さんとも和解した)

久美子(そして弘世プロと交際、か……極秘事項だったのを教えてくれたのは信頼を感じて嬉しかったけど、あの時はへこんだなぁ……)

久美子(そりゃあね、趣味が合うだけで好きになってもらえるとは思ってなかったし、あのあと何度か会った時も宮永さんからあたしへの恋のカオリはしなかったけどさ……)

久美子(………でも…………うん、辛いこともあったけど……いい思い出だった)

久美子(私が夢を叶えられたのは、宮永さんのためにも頑張ろうという想いが大きかったし、宮永さんを想って過ごして日々は、すごく楽しかった)

久美子(だから……また辛い想いをするかもしれないとしても私は……それでもやっぱり恋をする!)

竜華「……あの、久美子先輩?確認してくれてます?」

久美子「え?ああ!ごめんごめん、終わりました。完璧!」

竜華「ホンマですか!?ありがとうございます!洋榎、絹恵ちゃん、アドバイスしてくれてありがとう!」

絹恵「さすが清水谷さんやな!お姉ちゃんの言うてた通りや!」

洋榎「い、言うてへんわ!」フン!

久美子「ホント、さすが清水谷さんね」

竜華「そ、そんな……//」

怜ちゃん『せやろ~?アタシノ彼女、ええやろ~?』

竜華「怜ちゃんまで……///」

姫子「洋榎先輩がアドバイスやか。優しかんやね……」

哩「友達のブルーだっち辛かちゃろうからな」(友達がブルーだと辛いだろうからな)

洋榎「べ、別に友達ちゃうし!軽口叩きなや!ちゃんと仕事しとるか!?」

哩「しとる。いまりふとか声ば出しゃなかでくれ、頭に響く」(してる。あまり大きな声を出さないでくれ、頭に響く)

洋榎「ぬうぅ……」

哩「……これから夏になる。去年も言ったの、エアコンん設定温度ばいまり下げられんけん、静かにしてほしか。うちは静かいな夏のすいとー。略して静なつのすいとー」
(これから夏になる。去年も言ったが、エアコンの設定温度をあまり下げられないから、静かにしてほしい。私は静かな夏が好きだ。略して静なつが好きだ)

洋榎「悪かったのぉ!ふん!」

絹恵「そない怒らんと、ね?今晩、美味しい唐揚げ作ったるから。お姉ちゃんが大好きな、王将の魔法の粉も作ったるでー?」

洋榎「ええっ!?うちの大好きな唐揚げを構築する塵のような何か。って……王将の粉やったんか!」

哩「しゃあらしかっち言ったぼんくらりなんに……」クスッ(静かにしろと言ったばかりなのに)

西田「あ、白水さん。大型企画を担当してもらってるところ悪いんだけど、もう1つ特集を組んでもらいたいの。女の子同士で飲みたいドリンクってやつ。写真多めだから白水さんならなんとかなるわよね?」

哩「大丈夫です」

西田「ありがとう。お願いね」

姫子「あんましこまめちゃんせんでちゃくれんね」(あんまり無理しないでくださいね)

哩「ばってん姫子っち旅行したいから、早めに終わらして休暇ば取りたいな」(でも姫子と旅行したいから、早めに終わらせて休暇を取りたいな)

姫子「千歌……哩さん……///」

哩「だから……無茶させてもらう!」カッ!

哩「締切2週間前……リザベーション!2WEEK!!」ジャラジャラァッ!

姫子「!!!!!!!!!」ビビビビビビビビ

姫子(2週間は……ちょい無茶ですよぉっ……///)ビビビビビビクン!

久美子「………………」ニコニコ

西田「久美子ちゃん、どうしたの?ずいぶん楽しそうだけど」

久美子「あ、いえ……幸せだなって思ったんです」

西田「え?」

久美子「こうしてみんなに囲まれて、好きな仕事をしていられることが……」

西田「……そうね」

久美子「西田先輩も。私についてきてくださって、ありがとうございます」

西田「ううん、私は来たかったから来ただけよ」

久美子「そう言いますけど……私、本当に感謝してるんですから。ものすごく心細かったし……」

西田「うん……」

久美子「…………」

西田「……………」

久美子「ふぅ……あとは恋だけだなー」

西田「恋?」

久美子「はい。今は仕事が凄く充実してます。それに加えて恋が出来ればもう無敵じゃないですか!……でも、なかなか相手がいないんですよね」アハハ

西田「…………」

久美子「西田先輩?」

西田「じゃあさ……こ、今度……温泉でも行かない?」

久美子「へ?」

西田「ゆ、湯けむりの中のサンクチュアリでさ、仕事の話とか…………それ以外の話とかしたいし」

久美子「……西田先輩……」

西田「と、とにかく、考えといてね」ササッ

久美子「………………」

久美子「…………ふふっ」

久美子(なんだか……これからもっと楽しくなる予感がする……)

哩「久美子先輩、喋っちなかで仕事してください!」ジャラァ!

姫子「ひぅ!!」ビビクン!

久美子「は、はい!頑張ります!!」


fin.

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