憧「しずの好きな人」 (35)

「はぁ……」

阿知賀女子学院一年○組の教室、休み時間。

自分の席に座っているしずは、頬杖をつきながら物憂げな表情でため息を吐く。今日だけで十回以上だ。

目線は窓を通り抜けて空へ向いている。その先にあるのは雲、もっと行くと徳島。

だけどしずが思いを馳せているのは雲でも徳島でもないし、さらに西にあるどの県でもない。

あたしにはわかる。しずは長野を見てるんだ。正確に言えば長野にいる1人の女の子……

そういえば、前もこんなことあったっけ。全国を目指そうと意気込むしずが、窓を開けて長野に向けて決意表明した。長野とは反対方向に向けてだったけど。

懐かしさとおかしさに思わず口角が上がり、苦笑する。けれど、次の瞬間にため息がその感情を流す。今度はあたしのため息だ。

自覚してるだけでも、しずより多くため息を吐いている。その度に、隣の席の子が心配そうな目を向けてきて申し訳ない気分。ごめんね。

原因はわかってる。しずが今まで見せなかった表情を見せていること。喜怒哀楽、起き抜けのボーっとした顔……他にも色々見てきたけど、ここ最近はずっと今みたいな表情をしてる。

まるで恋する乙女のような……

「っ……!」

まただ。胸がチクリと痛む。ここ最近はいつもこうだ。ため息で感情を流したあと、隙だらけの心へ棘が刺さる。

人間には痛覚があるからケガを自覚して正常な機能を保てる、とかなんとか聞いたような気がするけど、今のあたしにとっては厄介でしかなかった。

現実から逃げようとしても、胸の痛みが許さない。体の中からあたしを呼んで、こう言うんだ。

『あたしの初恋は、とっくに終わってる』

驚きも衝撃もない。この声はあたしだ。気付いていながらも、目を逸らした。しかし確かに存在している現実の塊。

嫌だから、気に入らないから、認めたくないから逃げ続けた。確信してしまった瞬間の記憶を薄めるように。

「ねえ、憧」

声をかけられて、思考を止める。いつの間にかしずが近付いて来ていた。

「明日だね。練習試合」

「……うん」

インハイが終わって初めての対外試合。しずが強く希望したことで、相手は清澄高校に決まった。

「……あのさ、憧にお願いがあるんだ」

痛い。また棘が刺さる。本能が察してるんだ。きっとこの先を聞くのはよくないと。

「…………」

でも無理。しずがあたしを必要としてくれてる。

「内容次第。出来ることなら手伝ってもいいけど」

「ありがとう」

例えそこになんの想いも込められていなかったとしても、無視することなんて出来ない。

「実は……明日さ、練習試合が終わったあとで和を体育館裏に呼び出してくれないかな?和と二人で話がしたいんだ」

「…………」

やっぱり……

しずが清澄との練習試合を望んだ時から、こんな展開になることはわかってた。

「本当は自分で誘わないとダメだってわかってるけど……焦って失敗しちゃいそうでさ」

わかってたはずなのに……震える。熱が指先から漏れているかのように体が冷えていく。

「憧しか頼める人いなくてさ、お願い!」

しずが頼れるのはあたしだけ、という都合のいい解釈ができる言葉を吐かれても、熱は戻りはしなかった。

あたしが熱を向ける相手はあたしを見ていない。もう手遅れ。きっとこれが最後通告。

「…………」

だけどまだ諦めたくなかった。震えていると気付かれないようにスカートを強く握る。

「……どうして?和となんの話をするの?」

聞いた瞬間に後悔した。

『実はこのお願いはあたしの気持ちを確かめるための作戦で、あたしが嫌がったら、しずはあたしに告白するつもりかもしれない』

そんな奇跡が存在するかもしれないと、その可能性に縋った自分がみじめに思えた。

「………告白、するんだ」

このあとのことはあまり覚えてない。覚えているのは、とてつもなく大きな何かを失った気がしたこと。

それが恋心なのか、しずとの楽しい思い出なのか、阿知賀に通う意義なのかはわからない。

――――――――――――

――――――――

――――しずがは和が好き。

インハイ会場での再会もあっさりとしたものだったし、準決勝後のしずに変化は見られなかった。

だけど、決勝戦に備えてみんなでチェックしていた清澄の映像に和が映った瞬間……しずはあたしが見たことのない魅力的な表情を浮かべた。

今思い出しても悔しくなる。あたしと一緒にいる時のしずよりもはるかに輝いていたから。

でも同時にホッとした。

しずが和に恋をしてしまったのは辛いし苦しいけど、しずが女性を好きになったという事実がその辛さを薄めてくれた。

女性同士という厚い壁に穴が空き、一筋の光が見えた気がした。

和は長野だから、会おうと思っても気軽に会えない。

今は和への恋心が燃えているかもしれないけど、時が経てば転校した時と同じように疎遠になっていくはず。

そうなれば、近くにいるあたしにチャンスは巡ってくる。

でも、あたしの予想とは裏腹に、しずの和への気持ちは止まらなかった。

ハルエが集めた長野県予選のDVDを自宅へ持ち帰り、和のシーンを繰り返し見ているらしい。

メールを頻繁にやり取りしてるようだし、あたしが夜に電話しても、繋がらない日が多くなった。そんな時は決まって和と長電話だ。

あまりにも電話料金が掛かりすぎたせいで母親に怒られて料金プランを変更した、とはにかみながら笑顔で話すしずの顔は忘れられない。

いつかあたしの隣で……あたしを想って同じように笑ってほしい。

だけど……

あたしの願いを叶えるためには、しずが失恋する必要がある。

和にフラれるか、気持ちが自然に消滅するか。いや、しずに限って後者はないか。とにかく、あたしを受け入れる隙間が空けてもらわないといけない。

結局あたしは……本心では、しずが失恋するのを望んでいるんだ。

なんてひどい女だろう。祝福なんてする気もなく、『あたしが』『あたしを』『あたしに』……

『あたし』ばかりを積み重ねる自分勝手な女。

………………

でも……そんな自分に嫌気がさしても、今すぐしずに気持ちを伝える勇気はない。

頭の中で自己否定と自己肯定を戦わせ、結局は現状維持に落ち着くんだ。あたしは……ずるい。





そんな夢を見た。

事実を……現実を確認するだけの夢。何度目かはわからない―――

「………………」

清澄との練習試合当日、通学路を歩く。

昨日は遅くまで眠れなかった。そのくせ朝早く目覚めてしまい、再びしずについて答えの出ない思考を巡らせた。

結果、足は重いし、気も重い。

手鏡でチェックしてみると、疲れがにじみ出ている顔が映った。目の下にはクマが出来ているし、ひどく冴えない顔だ。

それもそのはず、最悪な夢見だった。

しずが和に惹かれていく様を見せつけられるようですごく嫌だ。

「…………はぁ」

夢の中でくらい幸せになってもいいと思うけど、しずに告白して成功する想像がまったく出来ない以上、当然とも言えるか。

普段のあたし、結構強気なんだけどな……絶対失敗したくないという思いがあたしをどんどん臆病にしていった。

「………それも今日まで、か」

しずが和に告白して、和が返事をする。その結果によってあたしの今後は大きく変わる。

「っていうか、もう昨日の時点で変わってるって」

はは、と乾いた笑いが響く。

しずはあたしじゃなくて和を選んだんだ。いや、選ぶも何も、しずからしたらあたしがエントリーしてることすら知らないだろね。

しずに可愛いって言ってほしくて、髪とかネイルとかメイクとかファッションとか、女の子らしさを磨いてきたつもりだった。

それでも、しずがあたし自身に興味を持つことはなかった。理由は簡単、しずは異性愛者だから。そう自分を納得させてきた。それなのに今になって……

「…………はぁ」

ため息を吐く。もう考えるのはやめよう。

しずの気持ちはあたしの頭の中にはない。いくら探してもあたしの中にはあたしの気持ちしかないから。

「よしっ!」

あたしは走り出す。

別に遅れそうなわけじゃない。今日は休みだし、予定まで時間はある。

でもあたし自身には余裕がない。だからせめて……

恋敵の前では、キレイなあたしでいたい。みっともない姿は見せたくない。

一番乗りで学校に着いたあたしは、トイレに駆け込み、メイクを完璧にこなした――――

「それじゃあ対局開始!」

「よろしくお願いします」

ハルエの号令と共に対局開始。あたしの卓には宥姉と和、清澄の部長。

「チー」

「ツモ。1000-2000です」

鳴きからの速攻。親を流されちゃった。

「……はい」

和は相変わらずだった。外見は可愛いし、スタイルも抜群、性格もいいし、麻雀も強い。

なんか、改めて長所を挙げてみると勝ち目がないよね。頭……だって和の方がいいかもだし。

しずが好きになるのも当然か。

「ロン」

あ、振り込んじゃった。集中しないと……

「―――本日はありがとうございました」

練習試合が終わった。総合成績は宮永さんと和のワンツーフィニッシュ。

しずは五位。和との直接対決では、緊張していたせいかボロボロだったけど、調子自体は悪くなかった。

あたしは最後まで集中できずに最下位。情けない……

「憧、お疲れさまです」

和が話しかけてきた。しずのことがあるせいか、ちょっと緊張してしまう。和とも幼馴染なのにな……

「お疲れ。調子良かったね」

「ありがとうございます」

横目でしずを見てみると、目が合った。どうやら、あたしがちゃんと和を誘うかが気になってるみたい。

そりゃそうか。今日を逃したら次に告白出来るのはいつになるかわからないもんね。

本当は嫌だけど、頼まれた以上、約束は果たさないといけない。

「………ねえ、和」

「はい?」

他の人に聞かれないよう、声を潜めて言う。

「このあとさ、大事な話があるんだけど……」

「はい……」

あたしはしずに言われた通り、和に体育館裏へ向かってもらうようにお願いした。

「……………」

和が部室を出てから五分……部室には和としず以外全員が残っている。

玄と宥姉が竹井さんと話してるけど、馬が合うのかな?意外と盛り上がってるようだ。

他にも灼さんと染谷さん、片岡さんと須賀君、それぞれが会話を楽しんでいるみたい。

あたしはというと、しずと和のことが気になって会話どころじゃない。

心ここにあらずとはまさにこのことだろう。どこを見ていても神経は体育館裏へ向いている。

気になる。様子を見に行きたい。でもしずは二人きりで話したいって言ってたし……

「あの……」

あたしの葛藤を止めたのは宮永さんの声。

「新子さん、和ちゃんがどこに行ったか知ってますか?」

その言葉を聞いた瞬間、

「今から探してきますので待っててください!」

体育館裏へ行く大義名分を無理矢理作ったあたしは部室を飛び出していた。

「…………」

体育館へ向かって歩いて行く。

和が部室を出てから十分近く経ってるから、もう話は終わってるかもしれないけど……

宮永さんが探してたし、様子を見るだけだから大丈夫よね。

「あははは」

体育館の正面入り口から裏へ回ろうとすると、笑い声が聞こえた。

今のは……しずだ。間違いない。

しずが笑ってるということは……告白が成功した?

途端に体が重くなり、汗が出てきた。

やっぱり部室で待っていればよかった、と自分勝手な思考が浮かぶ。

「あの……穏乃?大事な話とはなんですか?」

あれ?まだ本題に入ってなかった?

なるほど。空気作りのための雑談だったんだ。

あたしは二人の声が聞こえる位置まで近づき、身を潜めた。

「え、えっとさ…………和は驚くかもしれないけど……いいかな?」

しずの声が震えてる……

当然か。幼馴染とはいえ、しばらく疎遠だった相手。しかも同性でありながら恋をしてしまったと告げるんだもん。どれほどの勇気が必要か。

あたしなんて、しずが同性愛者だってわかってても告白出来ないんだから……

「……驚かないという約束はできませんが、頑張ります。話してください」

「ありがとう。あの……あのね……」

しずの姿を盗み見る。そこにいたのは、いつもの元気いっぱいなしずではなく、緊張に耐えながら告白しようとする儚げな少女だった。

その姿を見たあたしは、不思議な感情に襲われた。

しずが離れていくことに対しての戸惑いや恐怖ではない。期待でも不安でもない、今まであたしの心を覆っていた雲が晴れたような、穏やかな気持ち。

理屈じゃなく、打算抜きで『頑張れ!』と叫びたくなった。

何事にも一生懸命で、物怖じしないしずがこれだけ勇気を振り絞っているんだ。

あたしが応援しないでどうする、と。純粋にそう思えた。

もしかしたら……今、この瞬間に、あたしの中で諦めがついたのかもしれない。

しずが和と恋人同士になる結末を、清々しい気持ちで受け入れられるような気がした。

「私……」

頑張れ、しず。

「私ね……っ」

頑張れ!

「……………エトペンのことが好き!エトペンと付き合いたい!!」

……………………

時が止まった。

和も、あたしも。

動いているのは、告白を終えて大きく息を吐くしずだけ。

今、なんて言った?聞き逃しちゃった。少なくとも、和が好きとは言ってなかった気がするけど……

「ど、どうかな?」

しずの言葉に和は反応しない。

「え?どう……と言われても……あの、もう一回言ってもらってもいいでしょうか?」

よかった。和も聞き逃してたんだ。今度はちゃんと聞こう。

「だから……私はエトペンが好き。だからエトペンと付き合いたい」

えとぺん?

エトペンと言えば、和が大切にしているペンギンのぬいぐるみだ。

インハイでは対局室にまで持ち込んで、抱きながら麻雀を打っている。それはわかるけど……エトペンと付き合う?

「……それは……エトペンがほしい、という意味でしょうか?」

「ほ、ほしいって……そんな直接的な……でも……うん、ほしい」

顔を真っ赤に染めるしず。あんな表情も見たことない。

「でしたら、通販を利用したらどうですか?在庫はあると思います」

あ、そうか。ぬいぐるみがほしいって相談だったんだ。なるほど。でもその割に、告白するみたいな真剣さだったけど……

「ううん……私がほしいのは『エトピリカになりたかったペンギン』っていうぬいぐるみじゃない。エトペンが好きだから、エトペンの愛がほしい……エトペンと付き合いたいんだ」

ん?ぬいぐるみそのものじゃなくて、和が名前を付けて持ってるエトペンがほしい?どういうこと?

「私のエトペンがほしい、ということですか?」

「……エトペンと和は家族みたいなものだよね?だから和と一緒のままでいい。ただ、交際を認めてほしいのと、たまにデートとかさせてほしい」

「い、意味がよく……わかりません」

和の動揺がよくわかる。あたしも同意見。

「……私はね、今まで恋をしたことがなかったんだ。でも特別困ることもなかったし、それでいいと思ってた」

しずの言葉に胸が痛んだけど、そのまま耳を傾ける。

「でも……決勝の前に清澄のDVDを見てさ、そこに映ってたエトペンを見て、ものすごい衝撃を受けたんだ」

「…………」

家でDVDを観てたのは、和が目当てじゃなくて、エトペンだったってこと!?

「その日から、エトペンを思い出すと胸が苦しくて……何をしててもエトペンの顔が浮かんで……エトペンを抱きしめたり、キスしたりするのを想像すると、お腹のあたりがキュンってなる」

「…………」

「……ぬいぐるみに恋するなんておかしいって、すっごく悩んだ。毎日のように、どうしてだろう?って考えた。そしたら、わかったんだよ」

「わ、わかった?何がですか?」

「私……何気なくやっちゃうポーズがあるんだ。両手首を腰の辺りでピーンって反らす、通称ペンギンポーズ」

確かに。あたしの記憶でも何回か見たことある。

「これって、私の心がペンギンだからだと思う」

「ちょ、ちょっと待って下さい。穏乃は人間です。ペンギンの心なんて……」

「それだけじゃない。私のジャージ、サイズとかノースリーブとかの違いはあるけど、昔からずっと同じデザインなんだ。お母さんが言うには、子供の頃からこれを着るとすごく落ち着くんだって」

「ええ……それが?」

「このジャージのデザインは、紺に黄色のライン……わからない?」

あ……ひょっとして……

「紺色は翼、黄色はクチバシ……これってペンギンだよね」

「た、確かにそうですが……」

「ね?それに、私って木の上とか高いところから飛び降りるの好きでしょ?これも、皇帝ペンギンの『皇帝』と『高低』がかかってるんだと思う」

「…………」

「こんな感じで、エトペンと私の間にある繋がりに気付いてから、より一層エトペンが好きになっちゃって……運命だとすら思ってる。この感情は抑えられない」

「では、最近メールでエトペンの様子について聞いてきたのは……」

「エトペンのことを知りたかったから」

「夜に電話でエトペンと私の過ごし方を聞いてきたのも……」

「もし付き合えることになったら、エトペンが和にしてもらったようにしてあげたいから」

「…………」

和が絶句する。想像してなかった展開に頭が混乱してるんだろうね。うん、あたしも似たようなもんだ。

えーと、整理すると……しずは和が好きなんじゃなくて、和が持ってるぬいぐるみのエトペンが好き。

だから持ち主である和を呼び出して、エトペンと交際を認めてもらおうとした、と。

つまり、あたしの恋敵は和じゃなくて、エトペンである。あたしの数年越しの恋は、ペンギンのぬいぐるみに敗れ去ったと。

なるほど。

ふむ。

…………………………

…………………………

…………………………ぷちっ。

今、何かが切れた。日常生活を送る上で大事な線が確実に切れた。

その証拠に、あたしは自分でも気付かないうちにしずと和の前に歩を進め……

「しず!」

大声を出していた。

「あ、憧!?どうして……」

「ごめん、全部聞いてた!しずが好きな人?のことも、その理由も!」

「ええっ!?」

「盗み聞きしてたのはあたしが100パー悪い。これは認める。でもね、しずの好きな相手が和ならともかく、ペンギンなんて……ふざけんな!」

「ふ、ふざけてないよ!」

「……っていうか、はっきり言う。やっぱりしずが和を好きでも諦めるのはやだ!あたしを好きになってほしい!」

思考が溢れてこぼれる。

「え、憧……何を言ってるの?」

「それはこっちのセリフよ!エトペンが好きって何よ!和が好きじゃないなら、しずが同性愛者だっていう頼みの綱すらなくなっちゃったじゃない!」

言うべきか言わざるべきか、その選択すらせずに言葉を垂れ流す。

「ど、同性愛!?そ、それは……変だよ」

「同性愛を否定するの!?それならしずだって変よ!ぬいぐるみに恋してるんだから!」

今までため込んだ感情の濁りを洗い流すかのように。

「う、でも……私のエトペンへの気持ちは本物だから!」

「あたしだって!しずへの気持ちは本物だよ!心から愛してる!あたしと付き合ってよ!」

心からの願いを、想いを吐き出していく。

「それは出来ないよ!私はエトペンが好きなんだから!」

「絶対嫌!あたしは諦めない!」

今までは、フラれることを怖れて、告白する想像すら出来なかったのに……

「しずの気持ちがエトペンに囚われているというなら、その気持ちをあたしに向けさせてみせる!覚悟しなさいよっ!!」

「ええっ!?」

思えば――――

『阿知賀女子で全国に行く!』

あたしが大きく動き出すのは、いつもしずがきっかけだった。

なんだかんだ理屈をこねても、結局しずから離れられない。

だったら……勢い任せでいい。計算も捨てて、全力でぶつかろう。

だって、しずが好きだから。




「あの……穏乃、憧?もう私は帰っていいでしょうか?」

おわり

やっぱ地の文無理だ
支援感謝

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