日高舞「ひとつ屋根の下に君がいるだけで」 (12)

賑やかなワイドショーが過去の私を忘れさせてくれる

取り上げられる話題一つ一つに悪意を感じるが、向こうも数字を取るのに必死なのだろう



『今話題のアイドル!熱愛発覚か!?』

『有名アイドルプロダクションが妨害工作!?』

『男の子?女の子?今話題の人物とは!?』



舞「あ〜…暇ね…」



普段は役割を果たしていないソファーの背もたれに背を当て、私は腕を天井へ向けて伸びをした

あ…買い物行かなきゃ…

私は立ち上がる事をせずに、テーブルに置かれたスーパーのチラシを手に取った

上の項目からゆっくりと目を通していく

卵にお肉に野菜に魚

洗剤にトイレットペーパーにお酒

……ライムセールは三時からか

チラシから視線を壁掛け時計に移し、今の時刻を確認する

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372156987

今は一時

スーパーまでは歩いて十分

…まだまだ余裕があるわね

そのままソファーで横になる

目の前にはわざとらしい笑い声を響かせるテレビ

部屋の中にはその不快な音が広がっていく

私は寝転びながらリモコンを手に取り、テレビの電源を落とした

そうすると聞こえて来る自然の音と、人間が作り上げた不自然な音

私はこのハーモニーが好きだ

自然と不自然の狭間で生きている事を改めて確認できるから

鳥の囀りに、車のエンジンが吐き出す音

近所の奥様方の笑い声に、風が窓を叩く音

いいわね…

耳を通り脳に流れ込んだ音は、私に癒しをくれた

そのまま…私は眠ってしまった

今は一時

スーパーまでは歩いて十分

…まだまだ余裕があるわね

そのままソファーで横になる

目の前にはわざとらしい笑い声を響かせるテレビ

部屋の中にはその不快な音が広がっていく

私は寝転びながらリモコンを手に取り、テレビの電源を落とした

そうすると聞こえて来る自然の音と、人間が作り上げた不自然な音

私はこのハーモニーが好きだ

自然と不自然の狭間で生きている事を改めて確認できるから

鳥の囀りに、車のエンジンが吐き出す音

近所の奥様方の笑い声に、風が窓を叩く音

いいわね…

耳を通り脳に流れ込んだ音は、私に癒しをくれた

そのまま…私は眠ってしまった

エラーよ…

.


舞「………はっ! 今何時!!?」



さっきまで窓から入り込んでいた陽気な陽射しは、何時の間にか赤みがかった日差しへと変わっていた

薄暗くなり始めた部屋の中

私は目を凝らしながら壁掛け時計を見る



「まずいわね……タイムセール始まってる……」



時計の針は四時を示していた

慌てて立ち上がり身支度を整える

わたわた動き回る私



ピンポーン



そんな私の動きを止めるインターフォンの音

焦りと思い通りにいかなかった自分にたいしてのイライラから、私は乱暴に玄関の扉を開けた

.


舞「完璧ね!」

まなみ「…で、私は何をすれば?」

舞「下ごしらえはこっちでやるから適当に時間潰してて」

まなみ「ケーキとかはどうするんですか?」

舞「もう完成して冷蔵庫に入ってるわ」

まなみ「…じゃあプレゼントは?」

舞「クローゼットの中に入ってるわ」

まなみ「因みに何を買ったんですか?」

舞「特大アクアリウムセット」

まなみ「……値段は…聞かないでおきます」

舞「そんなに高くないわよ、たしか二十万くらい」

まなみ「………ちょっとテーブルとか拭いておきますね」

舞「お願いね〜」



少し狂った予定を取り戻すために、素早く仕込みを終わらせていく

普段より手をかけて

普段より贅沢に

普段より美味しく仕上げるために

気が付いたら時計の針は七時を指していた

テーブルに並べられたご馳走の数々

我ながらよくやったわ



ガチャ



テレビも消された薄暗い部屋に、誰かが玄関を開ける音だけが響いた

息を殺して隠れる私とまなみ



「ただいまでーす!!!!!!」

「お邪魔します…?」

「し、失礼します!」



賑やかな声がリビングに近付いて来るのが聞こえた

おかえりなさいと、返事をしそうになるのを必死に耐える私



「あれ? なんかリビングの電気消えてる…」

「どうしたのかしら?」

「ふ、不思議だね〜」



リビングと廊下を仕切る扉の前まで賑やかな声は近付いてきた

それにしても…一人演技が下手な娘がいるわね…大丈夫かしら…



ガチャ



ゆっくりと扉が開く

恐る恐る中を覗く小さな影

……そろそろね

.


パーン!



「うわぁあああああああ!!!!」



鳴らされたクラッカーより大きな声がリビングに響く

そうしている間に点けられる部屋の明かり

その光に照らし出された女の子三人

絵理ちゃん

涼ちゃ…君

そして……私の娘…愛



舞「……せ〜の!」





「「誕生日おめでとう!!!愛(ちゃん)!!」」

——————
———
——







舞「……こんな感じかしら?」

愛「うん! ありがとうママ!」

舞「けど、こんな事まで書かなきゃならないの?」

愛「そうだよ! 自伝って細かく書かなきゃならないって社長が言ってたし!」

舞「う〜ん……もっと深く書く別の事あると思うんだけど…」

愛「私嬉しかったんだよ! こんなサプライズパーティー開いてくれたのこの時だけだったし!」

舞「…けどなんで小説形式なの?」

愛「それはママが勝手に書いたんでしょ?」

舞「う…」

愛「ありがとねママ! じゃあ次は、明日結婚式が終わってからの事も書いてね!」

舞「え!? まだ書くの!!?」

愛「お願いねママ♪」

舞「自分で書きなさいよ…自分の自伝なんだから…」

愛「他のは私が書くから〜」

舞「……分かったわよ……まったく…何時まで経っても手の掛かる娘なんだから…」

愛「えへっ♪」

舞「……あ、もう十二時過ぎたのね」

愛「もうこんな時間か〜…眠い…」

舞「ほら、もう寝なさい。 明日の朝には旦那さんが迎えに来るんでしょ?」

愛「うん! それじゃお休み!」

舞「あ、ちょっと待って愛」

舞「ん? なに?」

舞「え〜っと…あ、あったあった………ほら」

愛「これって…ママのエプロン?」

舞「えぇ、そろそろ立派なお母さんになるんだからこれを着なさい」

愛「…ありがとう! 大事にするね!」

舞「ふふ♪ …それと〜…」

愛「ん? まだなにかあるの?」

舞「いえ、大事な事言ってなかったと思ってね」

愛「大事な事?」

舞「えぇ……誕生日おめでとう、愛」

愛「へへ……ありがとうママ…大好きだよ♪」






おわりおわり

すっげぇ短いし山梨落ち無しだけど愛ちゃん祝いたかったの

キャラ的にもあまりやりこんでないからこんなので勘弁

じゃあの

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