ぼく「よっしゃ!倫理と哲学について語るで!」生徒「はい」 (70)

ぼく「おい、生徒よ」


生徒「はい」


ぼく「今日から、倫理・哲学を学んでいくで、よろしく頼むわ」


生徒「いきなり唐突過ぎませんか、先生」


ぼく「細かい事はええねん!センター試験とかでも科目として存在するし、皆も倫理学とか哲学って興味あるやろ?」


生徒「ただちょっと...難しそうですよね」


ぼく「そんなに難しい事はないんや、実際は学ばなきゃ損ってほど知識が詰まってるし何より面白いねん
ここで言う面白いっていうのは、学問としてというのもあるけれど娯楽的な感情でもやで」


生徒「倫理学が娯楽ですか?」


ぼく「せやで、頭のネジが2,3本飛んでる変な奴らが無茶苦茶な答えを出したり、マジもんの天才が常人には考えられないような行動をする。
そんなノンフィクションのヒューマンドラマが倫理学や。テレビのドラマやアニメでもなかなか無い展開をしてくるで」


ぼく「ちなみに関西弁で適当に喋ってるように見えるけれど、きちんと学問した筆者が真面目に書いてるで。
分かりやすく受け取ってほしいからラフな言い回しをしているだけで、これらはきちんとした知識として捉えてな。」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1563446205

---倫理学・哲学ってなんやねん---


生徒「タイトルにもありましたが倫理学や哲学って何なんですか?」


ぼく「それが一番の難題とも言えるんやけれど、大雑把に言えば『人間について』という学問や」


生徒「人間について...いきなり難しそうじゃないですか!」


ぼく「そうでもないんや。ほら、数学やったら実数やら幾何学やらが中学校で出てきて、
行列やら関数やら微分積分...って増えていくやん?倫理学に関しては、『人間について』という主題からブレることはまずないんや」


生徒「でも『人間について』ってどういうことですか?よくある哲学の、『生きるってどういうこと』みたいな感じでしょう?」


ぼく「もちろん『生命に関して』も考えるで。
でもな、倫理学でも数学でも国語でもやけれど、めっちゃ賢い昔の人が編み出した考え方とか知識を勉強することやろ?
仮に直角三角形における三辺の法則(ピタゴラスの定理)を今から発見しろ!って言われてもコーラ一気飲みするより難しいやん」


生徒「そりゃそうですけれど...」


ぼく「だから自分で考えることってそんなに無いんや。もちろん専門的に研究するとなると、とんでもなく莫大な知識が居る。
それこそ哲学ともなれば全学問の深い知識+倫理的な考え方や哲学を学ばなアカンから、めっちゃ難易度高いんや。」


ぼく「でも、いうてめっちゃ賢い人達が学んだことを「ほえーそうなんか」くらいで学ぶだけなら、めっちゃ楽しい教科やと思うで」


生徒「ちょっとやる気が出てきました」


ぼく「ええ感じや、マジで昼ドラ的なドロドロした展開も出てくるからテレビ見てる感じで学んで行こうな。
じゃあ早速、第一話の『人間の心理』についてやるで」

---人間の心理ってなんやねん---


生徒「さっそく難題ですね」


ぼく「まあな、ワイからしたらそんなん考えてもしゃーないわ!スマホポチポチするで!ってなるけどな」


生徒「...本当に倫理学の勉強したんですか?」


ぼく「ワイとは変わって超賢い人が『人間の心理』について研究したねん、それがこれや」


・ポリス的動物
アリストテレスによる定義。社会的に他の人達と共同して生きる点からポリス(都市国家)的動物と呼んだ。人間の本質は『共同生活』という点に見出した。

・ホモ・サピエンス
植物学者のリンネによる定義。「サピエンス」は知恵を持つという意味で、人間は知恵を持ち行動するからこう呼ばれた。人間の本質は『知性』という点に見出した。

・ホモ・ファーベル 
ベルグソンによる定義。動物を作ってそれを使い、自然を改変するという点からファーベル(巧みに物を作る)と呼んだ。人間の本質は『道具を使う』という点に見出した。

・ホモ・ルーデンス
歴史学者のホイジンガによる定義。「ルーデンス」は遊ぶという意味。遊びから学問や芸術が発展したと考えた。人間の本質は『遊ぶ』という点に見出した。

・ホモ・シンボリウス
哲学者カッシーラーによる定義。言語などの「シンボル(象徴)」を操り、それを介して多様に理解すると考えた。人間の本質は『象徴』という点に見出した。


生徒「ホモがいっぱい並んでいるようにしか見えません。」


ぼく「ワイもや!ただ全部見る必要はないで、上の二つだけを取り上げるから順番見て行ってな」

ぼく「よっしゃいくで~、まず最初に『ポリス的動物』についてや、
一番最初に書いてるだけあってこれが最初の考え方であって一番古いものやで」


生徒「ポリスって警察のことですか?」


ぼく「ちゃうねん、ポリスって社会的とか、都市国家って意味やねん。
ポリス的動物ってのは、その社会の中で共に協力して同じ人間達と生きる動物ってことや」


生徒「なんかめっちゃシンプルですね」


ぼく「そうや、実際にはアリとか、サルとかも集団行動をするという発見が研究が進んで見つけられているけれど、
この考えにたどり着いたアリストテレスってやつは何年前の人間やと思う?」


生徒「うーん....西暦900年とかですか?」


ぼく「今から約2100年以上も前や、つまり紀元前1世紀やな」


生徒「マジで!?」


ぼく「せやで、ちなアリストテレスはワイの900倍以上賢いで」


生徒「知ってた」


ぼく「アリストテレスは後からめっちゃ登場するから名前だけは憶えておきや。
ちなみにアリストテレスの言う『ポリス的動物』はともに協力し合う動物とか言う意味だけではなく、
損得勘定や、善や悪の判別の中で都市国家を生きる生物とも解釈されてるで。」

生徒「次は、リンネのホモ・サピエンスですね。これは聞いたことがあります!」


ぼく「せやな、まあこれは別にええわ、単に知恵を持つから~って感じで理解してくれ。
それよりも面白いのがリンネや。」


生徒「名付け人ですか?」


ぼく「せや、こいつは1707年に生まれた『植物学者』やで。生物学もちょっとやってたけどメインは植物なんや。
せやのに人間について考えたくなって色々あったんや。あと名前と反してゴリゴリ男やしめっちゃイケメンのハゲやで」


生徒「ふーん」


ぼく「ワイが言いたいのは、結果や思想を持ってる教科書に載ってる哲学者ってのは、哲学だけ学んでるわけやないんや。
色々な学問から倫理や哲学に飛び込んできてる。つまり学者にとっては哲学ってのはあらゆる学問に通じてるってことや。」


生徒「じゃあ数学者が哲学勉強するとか、言語学者が哲学を学ぶとかあるってことですか?」


ぼく「ピタゴラスの定理で有名なピタゴラスなんかバリバリの哲学・倫理学者やで。言語学やと日本人からの有名人多いねん。
中でも数学者から哲学を学ぶ人はかなりの数や」

生徒「次を教えてください!」


ぼく「ファーベルもルーデンスのシンボリクスも、リンネと同じ流れやと思ってくれていいで。この辺りはそんなに重要でもないし
テストに出てもそのまんま出てくるからな」


生徒「じゃあ『人間の心理』で一番大事な考え方は何なんですか?」


ぼく「今から言うフロイト(1856~1936)や。こいつはすごいで。
何がすごいって、フロイトで検索してみ。もうポケットに拳銃入れて闇の世界を渡り歩いてそうな面してるやろ?」


生徒「偉人に対して凄い失礼なこと言ってますね。否定はしませんけれど」


ぼく「この人めっちゃ悪い面構えしてるけど、精神医学者なんや。人に対してめっちゃ親切で送られて来た手紙は必ず返信してたらしいで」


生徒「信じられません...」


ぼく「生徒くんも失礼やんけ....それでこの人は何を発見したかというと人間の防衛機能についてや」


生徒「防衛機能?」

ぼく「人間は、つらくなったり、悲しい事や信じられない事があると、相手に対して暴力振ったりしてまうやろ?」


ぼく「子供の時のつらい記憶とかも大人になったら忘れてしまう。
そんな精神変化について研究したんや。そしてその結果をざっぱに書くと以下の通りになるで」


---

・人間の意識的な行動(手を伸ばす、何かを見る、泣く)というのは人間の自我のほんのちょっとの部分でしか無く
 大半は無意識の領域に突き動かされている。

・心の奥底にエスという謎めいた場所があって、そこから「ごはんたべる!」とか「かわいい!キスする!」
 みたいな欲望が自我に向かって飛んでくる。それを教育やしつけが防いでくれる仕組みになっている。
 ただ、欲望が大きすぎると抑えきれないし、抑えつけすぎても精神的に悪い。

・欲望は、性的なものである。
(フロイトは本能的に飛んでくる欲望の起源は全部エッチしたい欲と食欲だけを指していたと言われている)

---


生徒「なんとなく僕にもわかります」


ぼく「せやろ?今の現代人なんてもうドンピシャに当てはまるはずや」


ぼく「さらにフロイトは人間の防衛本能として以下のものを発見したで!
ちなみにこの発見は精神医学の基盤となってるほどすっごいものや。数学界でいうピタゴラスの定理やで」


---無意識化の抑制機能

① 抑圧=嫌な記憶を忘れること
(例) サッカー選手になる夢を目指していたが、断念して無意識にボールから遠ざかる


② 合理化=失敗したことを、もっともらしく正当化してしまうこと
(例) 失恋時に、あんな奴と付き合わなくてよかったわ!と意識する。


③ 反動形成=実際の欲求と反対の行動をとってしまうこと
(例) 小学生が好きな子にいたずらする


④ 投射=自分の欲求や意識を、相手の中に読み取ること
(例) アイドルが自分の事を好きなんじゃないかと想像してしまうこと。
  ライブなどで「目が会った!こっちを見てくれている!」というのもこれ


⑤ 退行=欲求が実現できないときに防衛的に、精神が前の発達段階に戻ること
(例) お菓子かってよーとごねる子供


⑥ 昇華=社会的に価値の低い欲求から、価値の高いものに置き換えること
(例) 毎日喧嘩してたけど、ボクシングに目覚めるのがこれ

---


生徒「多すぎて覚えられません」


ぼく「まあそうやろな、と思って例文を挙げてみたで、自分に心当たりあるか?
ちなみにあって当然や、人間だれしも無意識化でこの行動をとってしまうんや、安心してや」

生徒「好きな子に嫌がらせするなんてもうドンピシャです...」


ぼく「落ち込むことはないで、誰にでもあることや。
ワイなんて、学生時代に『フロイトの防衛機能ってお前という存在を言葉で表しただけだよな』って言われてマジで泣きそうになったで」


生徒「ドンピシャじゃないですか」


ぼく「ただこの中でも本当に気をつけなアカンのは4の投射や」


生徒「どうしてですか?」


ぼく「さっき言ったフロイトの精神変化があるやんか、あの抑制システムが投射によって置き換えられてしまう可能性が
非常に高いねん。または、投射によって抑制しきれなくなる。
結果としてストーカーになったり、事件を起こしてしまう。だからマジで気をつけなアカン。」


生徒「でも...ライブで目が合うのとかって本当にあったりするし、
好きな相手に自分に気があるのかな?って思っちゃうのは誰にでもありますよ」


ぼく「その通りや、しかも本当に目が合ってたり、相手が自分の事を好きだった。という事だって普通にある。
ここからは心理学に近い話になってくるから割愛するけれども、対策としては、相手に確認することや。」


生徒「確認ですか?」


ぼく「せやで、その傾向があると自覚したらまず相手に好きな人を聞け。
その結果、ほかの防衛機能が働いたとしても相手に危害を与えるよりはマシや。
そして立場が違いすぎて聞けない場合は、相手に好意はまず無いねん。」


生徒「重々気を付けます」


ぼく「ちなみにワイもこの防衛機能を習うまではマジで欲望に浸っていたで」


生徒「勉強して対策出来たってことですか?」


ぼく「いや、欲望は減ってへんねん....」


生徒「ええ...」


ぼく「ただな、『自覚』出来るからこそ『合理化』出来るねん。
あー、また好きな相手にひどい事言っちゃった...ワイって最低や...って思った時にこの知識があれば、
人間の性なんやからしゃーないやん!よっしゃ気を取り直すで!ってなる」


生徒「それって反省してないんじゃ...」


ぼく「反省して抑制し過ぎるとどこかで防衛機能が崩壊して大変なことになったり、うつ病になるねん。
そういった患者は近年とても多くてニュースなんかでも殺人事件として取り上げられてるよな。
だから、反省することも大事やけれど、こうして知識を持っておくだけで最悪の事態は避けられる。」


生徒「今日、初めて先生が先生っぽく見えました。」


ぼく「これが人間の心理について学んだ成果や!どうや?」


生徒「なんか凄く得した気がします。」


ぼく「他の学問を批判する訳ではないんやけれど、倫理学は学んですぐ使えるものが多いねん。

数学や古典や歴史やら地理やらも、もちろん大事や。でもな、現代社会においては情報が多すぎて自身を
管理しきれない人が急増してるねん。そういう意味でも、昔の人の考え方とか倫理を学んでおくことで上手く生かしてな」


生徒「ちなみにこのフロイトの考えに反対した人はいなかったんですか?」


ぼく「むっちゃおるし、今でも疑問視されてるで」


生徒「やっぱり...」


ぼく「中でもフロイトの元弟子だったユングって人がおるんやけど、
人間の欲求は性的なものだけじゃねーよハゲ!って怒って弟子をやめたで」


生徒「そのユングって人の考え方を教えてください。」


ぼく「ワイもユング派なんやけれど、人間には個人的な欲望(さっき言った性的欲求)に加えて
集団的欲求ってのもあるんちゃうか。って考えられたねん。
例えば、神話って各国であるやん?でもあれって、何千年も前からあって各国で会話する手段がなかったのに
神様は違えど、どうやって『信仰と神様』って考えにたどり着いたんやと思う?」


生徒「農作物の恵みとかですか?...ちょっと難しいです」


ぼく「ユングもわからんかったらしいし、ワイなんて10秒考えて諦めたわ。
でもそういった無意識化の人間としての集団心理とか集団欲求って絶対あるはずや。
そういう考えが出てるってことは無いということはありえへんねん。」


生徒「なるほど、確かに不思議な感じはしますよね。」


ぼく「哲学や倫理学は答えというものが存在しない場合が多いんや!
でもこのフロイトやユングの考えは医学に大きな発展をもたらしているし考えることは無駄では無かったんやで」


ぼく「次回はいよいよ哲学をするで!いきなり古代ギリシア時代の哲学やけど、ここから何千年もかけてヒューマンドラマが始まっていくで!」

初めてSS書いたけれど読んでる人が居てるなら2話も書くで!
需要ないならここで終わるで!

---古代ギリシアの哲学ってなんやねん---

ぼく「さっそく次の話題に移るで!今回は古代ギリシア哲学や!」


生徒「古代ギリシア哲学って何ですか?」


ぼく「古代ギリシア時代の哲学や!!!」


生徒「絶対言うと思ってました、そんなの聞いてないです」


ぼく「辛辣やなぁ、でも実際古代ギシリア時代の哲学やからそう名付けられてるのもあるねん」


ぼく「ただ、哲学や倫理学の世界では大きく4つに分割されるんや」

① 古代ギリシア哲学

② 西洋近代思想

③ 近代哲学

④ 現代哲学

ぼく「こんな感じや!もちろん①の中にはギリシアだけでなくインドとかも含んでくるけど、ギリシアが重要やから
ギリシアってなってるんやで」

生徒「ほえー」

ぼく「ギリシャ神話って聞いたことあるか?」


生徒「ゼウスとかポセイドンとか出てくるアレですか?」


ぼく「せやで、まんまそれや。しかもその神話とか、神様って話が哲学ではめーーーっちゃ大事なんや」


生徒「哲学なのに神様の話が重要なんて、意外です。無縁のものかと思っていました。」


ぼく「逆や逆、哲学やからこそ神様という考え方がめっちゃ重要なんや。
どれくらい重要かって言うたら...涼宮ハルヒの憂鬱の長門有希の立ち位置くらい重要やで!」


生徒「すいません、わかんないです。」


ぼく「まあええわ、何で神話が重要かって言うたら。今も昔も人間について語るときには神という存在無しには語れないんや。
昔は、重要な決断をするときは神に問う文化やったし、神という存在さえ疑われていなかったんや。
それに今でも雨ごいをする地域もあれば、宗教として神を信仰するやろ?」


生徒「確かにそうですね、キリスト教とかもですよね。」


ぼく「キリスト教はちょっと違うで、まあ後々、宗教哲学もやるからそんとき言うさかい安心してくれ」


生徒「それで、何が言いたいんでしたっけ。」


ぼく「簡単にまとめたら、昔は神様を信仰してたんや。理化学の『り』の字も無いから
生物はもちろん、雨が降るのなんて神の恵み、または怒りやったんや。
ただ、そこから『なんかもうちょっと法則性ありそうじゃね?』って言う連中が出てきて、哲学というものが生まれたんや」

ぼく「そこから時代は流れて色々な考え方が生まれた。
中でも大事なのは、『この世界って何で作られてるんや...』って考え方が生まれたってことや。
ちなみにこれを『アルケー(万物の根源)』って言うで。
めっちゃ中二病みたいやけど倫理学勉強する上ではめっちゃ使うからな。覚えてな」


生徒「うわ...いきなりガチガチの哲学ですね。」


ぼく「せやで、ちなみに色々な天才が色々な結論を出してるから簡単に紹介するで。
上から順に古いけど、4つとも紀元前、つまり2000年以上も前の話やで」


・タレス
(水がアルケー)

・ピタゴラス
(数字がアルケー)

・ヘラクレイトス
(火がアルケー)

・エンペドクレス
(水・火・空気・土の四元素がアルケー)

・デモクリトス
(原子と空虚がアルケー)


ぼく「ちなみにエンペドクレスの考え方は、皆がソシャゲやゲームでやってる、属性表の元になった考え方やで
ゲーム制作者でも知らん人多いから覚えておくとええことあるで」

生徒「ピタゴラスが居ます!」


ぼく「せや、前にも言うたけれど数学者が哲学やってるのは珍しくない。
ちなみにピタゴラスはあんまり良いイメージないで。ここで悪口言うと怖い勢力に叩き潰されそうやから控えるで」


生徒「でも、世界って水だけで出来てたり、数字だけで出来てないですよね。
原子ってのも...なんか違う気がします」


ぼく「そう考えるのも良い事やで、でも彼ら哲学者が今の基盤や常識を作っていったんや。
今じゃそんなわけねーじゃんで済むけれど、それも彼らがあってこそやで。」


生徒「なるほど...当時は今みたいな情報なんてないですもんね」


ぼく「ちなワイもそれなりに世界の根源について考えたことはある」


生徒「あんまり期待はしていませんけれど何ですか?」


ぼく「エロや、エロは世界を救うんや!」


生徒「次の話題お願いします」

ぼく「こっから時代は大きく変わるんや、大きく変わりすぎて歴史を説明してたら60レスくらい使うから
重要な哲学部分と時代の流れだけ説明するで」


生徒「はい」


ぼく「ギリシアは民主政治の国やったんや。
特にアテネというギリシア最大の大都市では、政治が発展するで!
ちなみにそれまでは、神様に委ねたりくじ引きで一番偉い人を選んでたで!」


生徒「それヤバいですね」


ぼく「ここからは時代の流れなんやけれど、
政治家にはトーク力が求められてきた、今の政治体制に近いと思ってくれたらええわ。
ただ昔は、民衆の賛同があれば一発で一番偉い人間になれたと思ってくれ。」


生徒「なるほど」


ぼく「次第にお喋りが上手くなるために、政治家は教師を雇うようになる」


生徒「教師?勉学で実績を上げるとか信用を得るとかですか?」


ぼく「相手を納得させるための話し方を教える専門の教師や!」


生徒「なるほど」

ぼく「このお喋りテクニック先生達を『ソフィスト』と呼ぶで。
今しか使わないから忘れてもええけど、人物じゃなくて仕事名やからそれだけは憶えてな」


生徒「ソフィストを話題に上げると言う事は、重要な人が居たってことですか?」


ぼく(生徒くんワイより理解力あるやんけ...)


ぼく「せやで、名はプロタゴラス。こいつは初めて哲学の講義で金を取った人物や。
言うなれば人類初のプロとしての哲学者やな」


生徒「どんな考え方をしていたんですか?」


ぼく「名言があるねん。それが『人間は万物の尺度である』や」


生徒「めっちゃカッコいいですね。」


ぼく「ワイはこういうのめっちゃ好きやから倫理好きになったまである」


ぼく「ちなみに意味はちょっと複雑で、
①人によって物の価値観や捉え方は異なるから色んな人の考え方は大事にしろよ。
②人間が中心に世界は回ってる。って感じや!」


生徒「①と②で色々と飛びすぎてませんか?」

ぼく「天才の思考を凡人のワイが翻訳するのは中々難しいんやけど、
多分、価値観を決めるのは人間だから人間素晴らしい。っていう感じに近いと思うで。」


生徒「まあ、なんとなくわからんでもないです」


ぼく「あとは背景に民主主義ってのがあったから賛同を得るためのトークとして、
『人間は最低だ』なんて言ったら票なんて得られへんやろ?」


生徒「そう言われてみればそうですね。」


ぼく「こっからちょっと哲学が入るんやけどな。でも、ちょっとおかしいと思わへんか?」


生徒「何がですか?正論じゃないですか」


ぼく「さっき話した話題は、万物の根源(アルケー)についてや。
アルケーを求めるためにひたすら研究していたのに急に、『人によって考え方は違う』なんて意見が出てきた。
つまり絶対の心理はあるかもしれないけれど、それって人によって違うから。って意味やないか?」


生徒「時代の流れなんじゃないんですか?」


ぼく「確かにそういう風に時代は流れて行ったんやけれど、それは政治的な観点で哲学を利用していると言えるねん
例えば『君のその証明の仕方素晴らしいね!』『アルケーは君の考え方の断片かも!』なんて言いまわってるってことや」


生徒「なるほど...その観点だと確かに利用していると言えます。」


ぼく「まぁほとんどの一般民衆は別にええかー。くらいやったけれど、今まで真面目に研究していた『純哲学者』なんて
もう激おこよ」

ぼく「激おこになった哲学者の中に一人のスーパー哲学マンがいたんや。
こっからが今回の本題や、サブタイトル、名付けて
---最も偉大な哲学者ソクラテスのお話---や!」


---最も偉大な哲学者ソクラテスさんのお話---


生徒「古代ギリシアの哲学ってなんやねんじゃなかったんですか?」


ぼく「古代ギリシアはあまりに広いから3部作くらいで語るで」


ぼく「中でも世界一偉大な哲学者、ソクラテスについて語るで、
先に言うとくけれど、ワイが歴史上の偉人の中で最も尊敬する人物がソクラテスやで。
ちな2位はナイチンゲールや」


生徒「そんなに凄い人なんですね」


ぼく「いや、そんなに凄い訳ではないし、直接哲学を築いたわけではないし、
哲学者ってのは、自分の思想を本にして後世に伝えて行くもんなんやけれど、
ソクラテスは本すら書いてへん」


生徒「えっ」


ぼく「あんまり先に伝えても面白くないから語りながら説明していくで!」


生徒「珍しく気合入ってますね。お願いします」


ぼく「ソクラテスは、アテネで育った。さっき言うた民主制真っ盛りの時やな、その時が大体40~60歳くらいや。多分」


生徒「めっちゃ幅拾いですし、多分ってなんですか」


ぼく「本書いてないから伝えたのが弟子の子だけなんや。だからきちんとした情報はわかってへん。
ソクラテスはもちろん古代ギリシア人だったから神様を信仰してたんや。結構熱心な信仰家やった。
そして、当時のソクラテスの思想として有名なものが一つある。それが
『人間にとっての『徳』とは魂を善いもの似すること』や」


生徒「説明お願いします」


ぼく「ここでいう『徳』って言うのは『良い事』って意味もあるけれど『本質』って意味もあるねん。
例えば、時計の徳ってのは時間を測れることやし、包丁の徳ってのは物を切れることや。
その感じで人間の徳って言うのは、良い事をして生きろよって言うてるねん」

生徒「良い事って、人に尽くせとか、お年寄りに優しくしろとかですか?」


ぼく「ええところ突いてるけどちゃうねん。
ソクラテスは、『善』について勉強しろ、そうしたら自然と行いがいいことになるって言うてる」


生徒「意味がわからないんですが」


ぼく「例えば、さっき言うてくれたお年寄りに優しくする。っていうのも善やな。
でも、そうは思っていても中々譲るのに迷ってしまうことってあるやん?」


生徒「すごくあります...断られたらどうしようとか...恥ずかしいとか」


ぼく「ソクラテスが言うには、お年寄りに優しくする。という知識をもっと深く学べ。
例えば、『なぜ優しくするべきなのか?』『なぜ譲べきなのか?』を自問自答しろよ。って言うてるんや」


ぼく「そうすれば自然と口から「座ってください」って言葉が出てくるからな。そうすれば良い事をしたから
魂がええもんになるで。って言うてるんや」


生徒「なんか...わかるけれど納得は出来ないです。」


ぼく「ワイもや。でもソクラテスの価値観はこういうことやったんや。
彼の知識が深く、そして頭が良かったからそんな結論に至ったのかもしれへんな」


生徒「先生はこんな壮大な思想を持ったソクラテスを尊敬していたんですね....」


ぼく「いやまったく尊敬なんてしてへん」


生徒「えっ」

ぼく「ワイは昔から嘘はつけへん。だからハッキリ言うと、ソクラテスの思想は理解出来なかったんや。
多分当時は片手にオレンジジュース持ちながら「ふーん、で?」って言うてたはずや」


生徒「うわぁ....」


ぼく「ワイがソクラテスを尊敬しているのは彼の行動や身のふるまい、そして考え方にある。
それが哲学や倫理学で最も面白い所や。思想なんてテストの時に正しい答え書いて犬のエサにでもすればええねん。」


生徒「マジでクズですね」


ぼく「人生で200回以上言われてるからもう慣れたで!」


ぼく「こっから面白い話するで。ソクラテスは、当時からめっちゃ頭良かったんや。
そこでソクラテスの友人がこっそり、『神様にソクラテスの知能レベル問いてみるわ』言うて半分いたずらみたいな感じで
信託を得ようとしたんや」


生徒「ふーん」


ぼく「そしたら神様が『ソクラテスに勝る知者は居ない』って言うてきたんや。実質、当時の人類で
お前がナンバーワンだ宣言や。
ちなみに神様のお告げは絶対だと昔は考えられてたから誰もその事実を否定なんてせえへんで」

ぼく「ただ、唯一、疑ったのは告げられた本人、そうソクラテスや」


生徒「神様からそんなお告げ貰ったら嬉しいものなんじゃないですか?」


ぼく「当時から見ればもう、スーパー芸能人状態やで。
オリンピックで金メダル取って帰ってきた英雄って感じの扱いやったに違いない。
でもソクラテスは認めたくなかったんや。当時の状況を推測してSSにするで」


---
ソクラテス『え、マジ?』


友人『ワイも信じられへんけどマジやったわ...お前凄いやん』


ソクラテス(ワイはそんな天才やない...ワイより知識深い人なんて近所におるやん...なんでワイなんや。
でも疑ったら、神を否定した罪で処刑やし、神様が間違うはずなんてない。)


ソクラテス『ちょっと賢い人を訪問してマジでそうなんか確認してくるわ』


友人『はい』


ソクラテス『あなたは何に詳しいのですか?』


天才たち『~~が〇〇で△△なのさ』


ソクラテス『△△ってどういうことですか?』


天才たち『えー...つまり〇〇が△△やからそうなるねん!わからんのかお前、よくそれで天才って告げられたな!』


ソクラテス(色んな人と喋ったけれど、皆同じことを繰り返すだけで深くは知らへんのやな...)


ソクラテス(自分が賢いって思いこんでる天才たちと、ワイとの差はなんや...せや!『ワイは自分は無知であると自覚してる』)
---

ぼく「まあこんな感じで、ソクラテスは色んな人と対談したんやで」


ぼく「つまり他の天才達とソクラテスの差は、無知を自覚している。『無知の知』ってやつや」


生徒「なるほど、凄いですね」


ぼく「ただ、ソクラテスは良い奴過ぎたんや。彼の思想にある通り『善い行いをして魂を善くする』
から、天才達に、君たちが無能であることを自覚させようとした」


生徒「完全な嫌がらせじゃないですか」


ぼく「せや、でもソクラテスは一切の悪気も無く完全な善意で相手を論破しまくった。
その結果、『神々を冒涜した上に、民衆を堕落させた。』って裁判にかけられるねん。

ここで全てが繋がってくるねん。
当時の民主主義のソフィスト達が主張した
「人によって捉え方は違う、嫌な気持ちも良い行いも人によってちゃう」ってのをちゃんと理解していれば
こんな事はせえへんかったやろうな。」


生徒「あっ...」


ぼく「そうや、偶然とは思えへんほど道が繋がっとるねん。
ちなみにソクラテスは裁判にかけられても一切謝らなかった。
自分の行いは間違いではないと思っていたし、それを『きちんと説明し過ぎた』」


ぼく「正論って怖いねん。裁判官を論破してしまって、裁判官に完全に嫌われた結果、死刑にかけられることになった」



ぼく「もちろん不当な理由や、ソクラテスの弟子達は反発したし、マジで怒った。
でもソクラテスは受け入れたねん」


生徒「どうしてですか?無茶苦茶じゃないですか」


ぼく「ソクラテスはアテネで育った。アテネの法に守られて生きたって事や。
その法律に守られて今まで生きてきた自分が、たとえ不当な罪にかけられたとしても逃れるのは筋が通らない。
って主張したらしいで。」


生徒「そんな....」


ぼく「あまりの悲しさと無残な結果に、牢屋の看守はソクラテスの牢屋のカギを開けっ放しにして
いつでも脱走出来るようにしてたらしい、他の門番も同じ意見や。でもソクラテスはその意思から絶対に逃げなかったんや。」


生徒「ドラマみたいですね」


ぼく「これが現実に起こってるからな。ちなみにワイやったらその日のうちに走って逃げてるわ。
その時にソクラテスが弟子のプラトンに告げた言葉が
『大切なのは単に生きるのでは無く、善く生きることである』って言うたねん」

ぼく「自身の善さを貫いた結果、不当な死刑になって。
そんな言葉を言われたら感慨深いで」


生徒「泣きそうです」


ぼく「死刑の日には、集まった弟子達に哲学とは死の訓練であり、
自身が導いた結果を証明する時で、哲学者として導いた結果に誇りを持てって言うたんや」


生徒「かっこいいですね」


ぼく「この出来事も全部弟子が本にした事なんやけれどな。
ちなみにソクラテスが本を書かなかった理由も、一説としては存在して
『文字に起こすと、自身の考えが固定されるから』らしいぞ。
自分が無知であることを理解していたからこその意見やろな」


生徒「ソクラテスのファンになりました、もっと知りたいです。」


ぼく「これ以上は長くなるし、難しい話も出てくるから、知りたいんやったら
弟子のプラトンが出した本の『ソクラテスの弁明』を読むことをお勧めするで!
ちなみに、後先にもこんな聖人みたいな考えで哲学を行っていたのはソクラテスだけや!ワイ調べやけどな!」


ぼく「ソクラテス編は終わりやで!次回はその弟子のプラトン編をやるで!」

続きは明日の20:00からかくで!
読んでくれてる人はレスしてくれてありがとうな!モチベ高めて記述していくで!

ぼく「よっしゃ、じゃあプラトン編やるで!
名付けて『プラトンとその弟子のアリストテレス君』や!」


--プラトンとその弟子のアリストテレス君---


生徒「前回はソクラテス編でしたね。心に来るものがありました」


ぼく「今回はそのソクラテスの弟子のプラトンとプラトンの弟子のアリストテレスや」


生徒「その二人は何をした人なんですか?」


ぼく「流石のワイもその二人を一言で表すには恐れ多いからゆっくり語っていくで!」


生徒「あの無神経な先生が気遣ってる...」


ぼく「アテナイの学堂って絵があるやろ?あのオッサンが集まって喋ってる絵や。
わからんかったらググってな、絶対誰もが1回は見たことあるで」


生徒「その絵がどうしたんですか?」


ぼく「その絵のど真ん中に二人のオッサンがおる、その二人がプラトンとアリストテレスや
そのくらい偉大な二人ってことやで」

ぼく「ちなみにプラトンは、古代ギリシアを語る上で絶対に外せない人物なんや、なんでかわかるか?」


生徒「まだ習ってないのにわかるはずが無いじゃないですか...」


ぼく「実はもう教えたんやで、ソクラテスの言い伝えの9割方はプラトンの著書から伝えられてる。
プラトンが書いた本のほとんどがソクラテスが主人公の話なんや。」


生徒「ほえー」


ぼく「ちなみにプラトンは哲学史における決定的に重要な人物や。
そのプラトンの思想は、割とムズイねん。」


生徒「どんな考えだったんですか?」

ぼく「せやな、じゃあちょっと頭の中で犬を想像してくれるか?」


生徒「はい...想像しました」


ぼく「それって犬って言えるのか?」


生徒「はい?」


ぼく「だから、その想像したのは犬って言えるんか?」


生徒「犬ですよ、想像しろって言ったの先生じゃないですか。
とうとう頭がイカれましたか?」


ぼく(こいつだんだん辛辣になってくるやんけ....)


ぼく「じゃあ仮に、それが犬だったとするで、どんな犬を想像したんや?」


生徒「ドーベルマンです」


ぼく「なるほどな、ちなみにワイも頭の中で犬を想像したんやけれど、
ワイは柴犬を想像したで!」


生徒「何が言いたいんですか?どっちも正解でしょう?」


ぼく「ドーベルマンも柴犬もワイ達は『犬』と認識しているけれど、
姿も形も全く違うのに何で犬って判別できるんやろな?ってことや」

生徒「それは、ドーベルマンも柴犬もイヌ科の動物だからでしょう?
私たちは犬って知っているからそれらを想像したんです」


ぼく「それはちょっとおかしいで。犬という概念の中にドーベルマンが居るんやったらわかる。
でもワイ達は、ドーベルマンは犬だ。って学校で習ったか?誰かに教えてもらったか?」


生徒「たしかにそうですね、見たら犬ってわかります。」


ぼく「プラトンはそこに着目したんや。別の例を上げると目の前にスマホがあるな?
でもスマホなんて形も見た目も全然違うのにスマホって認識出来るねん。なんでやろな?
ちなみにプラトンの考えはこうや。」


① 人間の魂はもともと、完璧な世界に住んでいた。
そこには、『犬』という完璧なものが存在する世界だ。
『犬』だけじゃなく『三角形』などそれぞれが完璧の世界だ。

② その完璧な世界で人間の魂は、いろいろなものを認識していたから
今の不完全な世界でも、犬のようなものでも『犬』と認識出来るし、
三角形っぽいものでも『三角形』と認識出来る。


生徒「ちょっと難しいです。」


ぼく「めっちゃ乱雑に例えたら、ワイらの世界は不完全な世界で、全ての物は
本物の世界の偽物やねん。だから、ドーベルマンも柴犬も姿かたちも違うけれど、犬ってわかんねん。
なぜならワイらの魂は本物を見たことがあるからや!」


生徒「無茶苦茶な理論すぎません?これが哲学の基礎になったんですか?」


ぼく「せやで、大事なのは本物や偽物って考えじゃなくて、
物の見方についてや。このプラトンの理論では、
この世界の全ての物は、本物に照らし出された影でしかない。ってことや。」


生徒「まぁ、確かに犬を犬と認識出来ることに関しては疑問に思ってましたけれど
その理論が正しいとは思えないですね」


ぼく「ワイもそう思う!
ただ、重要なのがもう一つあってな。それらの『犬』とか『三角形』とかの概念
はある一つの起源から出来てるって言う考え方や」


生徒「前に言ってた世界は水で出来てるとか、数字で出来てるとかそういう考えですか?」


ぼく「ちょっとちゃうけれど、まあ実質そんな感じや。
ちなみにそれらの起源は『善』らしいで。善は不変であり全ての起源や。
プラトンはそういう結論に至ったってことや」

ぼく「つまらん思想はここまでで、こっからはプラトンの人生について見ていくで。
言うても、簡潔に述べれるんやけれどな」


生徒「師匠のソクラテスが死んだところを見たんですよね?」


ぼく「せやで、プラトンはもともと政治家を目指してたんやけれど
その事件があってプラトンはひどく悲しんだ。そして政治家や国を恨むようになったんや。」


生徒「...自分がプラトンの立場ならそう思います」


ぼく「プラトンは、学校(正確には学園)を建設して教育に励んだり、
師の伝えを後世に伝えたりしてたんやけれど、一方で政治についても口出ししてるねん。
まあそりゃクソみたいな裁判にかけられて恩師が死んだら口も出すよな」


ぼく「めっちゃ簡単にまとめたら、
① 国家を統治する者は哲学を学んでいない愚かな低能が政治を行うべきではない
② 哲学者として優秀な人間が王になる。もしくは国民全員が哲学の知識をつけるべきである。
って言うたねん。」


生徒「国民全員が哲学を学ぶって無理じゃないですか?」


ぼく「まあ無理やな、つまり遠回しに哲学も語れない奴は政治家になる資格なんてない。ってことやな。
プラトンは当時から偉大な人物として慕われてたから、スルーしてもらってるけれど
これ大々的に発表してるからマジで処刑されかねないレベルやねん。」

ぼく「プラトンはこの辺で終わるで!こっからはアリストテレスや。
プラトンが60歳の時にアリストテレスがプラトンの学校に入学して、そっから付き従うようになったで!」


生徒「アリストテレスってすごいんですか?」


ぼく「すごい、アリストテレスマジ半端ない。」


生徒「もうちょっと具体的に言ってください」


ぼく「哲学史や人類史の貢献度をドラゴンボールで例えるで!
ワイはよく見積もって戦闘力5や。
ソクラテスは約53万くらいやな。
プラトンはアリストテレスの師匠やからピッコロさんって感じや。
アリストテレスは40億くらいあるで。」


生徒「40億って桁間違ってませんか?」


ぼく「むしろもっと高いまである。
アリストテレスは、万学の祖と言われてる。
プラトンが哲学の基盤なのに、アリストテレスは全ての学問の祖先やで。
評価高すぎへん?ってワイも思ったことあるわ」

ぼく「アリストテレスの逸話は数え切れんほどあるから有名なものだけ挙げるで」

⓪ 倫理学を作った

① 三段論法を考えた

② 消去法を考えた

③ 2000年以上前に、宇宙は無限であって始まりも終わりも無いと導き出した

④ 政治の理想は民主主義と2000年以上前から導き出した


ぼく「ワイが今10秒で思いついただけやけどこんだけある。
まあ現代において宇宙の起源はあると考えられているんやが、昔やからな」


生徒「倫理学を作ったってどういうことですか?」


ぼく「倫理学という考え方を生み出したのがアリストテレスって言われてるで。
実際ほんまなんか?って言われたら何とも言えへん。もちろんプラトンだって考えてた。
ただ、なんでそう言われるかっていうたら考えが先を行き過ぎてたねん」


生徒「先を行き過ぎてた?すごく賢かったってこと?」


ぼく「せやで、倫理学を研究してたら途中で100年とか200年くらい時代がぶっ飛ぶ事あるねん。
その間は何の進展も無かったってことや。
その原因はアリストテレスの考え方が
書類として出てきてそれを見たときに、んほおおすごいいいってなったからや」


生徒「そういう表現いらないです。」



ぼく「アリストテレスの思想はここでは深く語らんで、
なんでかって言うたらセンター試験にも出ないくらい難しくて複雑なものがあるからや。」


生徒「万学の祖ですもんね」


ぼく「たまーーーーに選択肢として出てくるけど、今のワイでも結論が出せへんし、
出題者の意図として、消去法をさせないための物やからや。
その中でも試験に出てくる有名なやつだけ紹介するで」


①プラトン師匠の考え方は少し間違っていて。
本物の世界ってのは無い。柴犬という物の中に、『犬』という本物が入っている。

②全ての材質には属性が備わっており、始動要因と目的格によって用途が決まる


ぼく「ワイでも理解出来るのはこれだけや!」


生徒「②の意味がわかりません、説明お願いします」


ぼく「よっしゃ任せとけ、②も①も実質同じ意味なんや。
例えば、『木という材質』と『机という物』があるやろ?
木は机にしようと思ったら、机に作り替えれるわけや!
でも、木は机だけになるわけちゃうやん、イスにもなるし、家にもなる材質や」


生徒「まあ木=机ではないですからね、当たり前ですけれど木は材料ですし」


ぼく「せやで。でも、そこにアリストテレスは見出したんや。
木は、机になるという目的を持って、人間に加工されるわけや。」


生徒「そうですね」


ぼく「向かう先は目的格な訳や。
つまり、物質の全ては、目的に向かって進んでいる。
これが『アリストテレスの目的論』や!
もちろん木は犬にも人にもならないから、物によって備わってる属性はちゃうでってことや」


生徒「なるほど、当たり前の事を言ってるようですけれど。
プラトンの考え方よりはわかりやすいです。
要は、『木』というものの中に『机』や『椅子』って本質が入ってるけれど
『犬』は入ってない。『三角形』はなりうるから入ってるってことですね」


ぼく(こいつ天才やんけ...)


ぼく「まあそこまで理解出来たならぼちぼちやな!」

ぼく「アリストテレスのマジで凄い所は政治学や」


生徒「倫理学者なのに政治学ですか?」


ぼく「こいつは半端ないで、簡単に説明するで」


① 一人による支配 ⇔ 王制 ⇔ 独裁制(一人で好き勝手政治)

② 少数による支配 ⇔ 貴族制 ⇔ 寡頭制(少数で勝手に政治する)

③ 多数による支配 ⇔ 共和制 ⇔ 衆愚制(愚かな民達が政治する)


ぼく「左=政治形式で、真ん中=理想形態、右=最悪の場合
って感じで見てな!
以上の事からソクラテスは利益とリスクから考えたら
③の政治が最も理想的って結論が出たんや」


生徒「今の時代と当てはまってるような...」


ぼく「せやで、これを2000年以上前から解明してたし、注意喚起もしてたんや。
今現在も色々外交問題やらなんやらで騒がれているけれど、
どこの国とは言わへんけれどピッタリ当てはまるで、ちなみに残念ながら日本は今
衆愚制や、民主制とも言うで」


生徒「なんかすごい人なんですね。」


ぼく「ワイの一生とこいつの10日やったらこいつの10日の方が頭を使ってるまである。
ちなみに、このアリストテレスが家庭教師をした王様がおるんやけど、世界史やから省くで!
めっちゃ賢くて、大帝国を築いた王になったで。アレクサンドロス王でググってや!」


ぼく「今回はこれで終わりやで。プラトンとアリストテレスのことをちょっとだけでも理解してくれたら嬉しいで!」


生徒「結構面白かったです。特に偉人の考え方って独特ですね。」


ぼく「せやろ?こんな人たちがいっぱい出てくるから、その人たちの考え方を吸収して
自分の指標とするのがええと思うで。何回も言うけれどワイはソクラテスとナイチンゲールの信者やで!」


ぼく「次回は宗教関連をまとめてやるで!」

今回はこれで終わりやで。
読んでくれる人が居てる限り、最後の近代哲学まで続けるからよろしく頼むで!
次回は、明日か明後日や

--閑話休題--

ぼく「近頃、とある国立大学が文系を廃止すると公表したり理系主義の街になってるけれどどう思う?」


生徒「うーん...確かに現代社会では理系が社会に貢献しやすいって言うのはわかります。
あとは文系はチャラチャラしてるってイメージですかね」


ぼく「まー仕方ない所はあるけどな、この時代は理科、もしくはプログラミングが出来る奴が最強やからなぁ」


生徒「先生は社会科教師ですよね?」


ぼく「ちゃうねん、もともとは専卒プログラマーやってんで、倫理なんて全く勉強したことなかったわ」


生徒「マジですか!?」


ぼく「せやで、まあ色々あって教師目指してセンター勉強してる時に倫理に出会ったねん。そっからは文系目指したんやけれど
まー大変やったわ。理系から文系って頭おかしくなるでホンマ」


ぼく「ただ、このスレみたいな感じで倫理や哲学を学んで文系の大切さを学んで欲しいで。
特に科学が発展し過ぎて想定していた憲法や法律を乗り越えてきて、国として困ってるところやからな」


ぼく「よっしゃ、じゃあ宗教を語っていくで!」

ぼく「よっしゃ、今回は古代ギリシアから発展した宗教関連についてやるで。
名付けてヘブライズムへの転換や!」


--ヘブライズムへの転換--


生徒「ヘブライズムってどういう意味ですか?」

ぼく「簡単に言うたら人間は無力かつ、神の前ではみんな平等や。って意味やで。
古代ギリシア時代には民主主義が主流って言うた通り人間が中心やったんや。
ただ、人間って無力やわーってのが流行ったねん。もちろん時代の背景と共にやで」

生徒「なるほど、そこから宗教が浸透して行ったんですね。」
ぼく「せや、ただちょっと真面目な話を先にしておくで」

生徒「なんですか?」

ぼく「まず前提として、ワイは差別とか嫌いや。だから宗教批判とか人種差別なんて絶対せえへんで。
だからこそ、宗教への偏見や忖度無しで物事を語るで、だから『様』とか付けへん。
もし信者の方が見ていて嫌な気持ちになったら
この宗教部分は全部飛ばして欲しいんや。お互いに徳は無いからな。」

生徒「ちなみに先生は宗教に所属していたり信仰しているものはあるんですか?」

ぼく「完全な無信仰やで!
電車の中でうんこ漏れそうになってる時だけ神を信じて祈る事にしてる。
ちな神は存在しないと感じた事は3回くらいあった」

生徒「きたねえ」

ぼく「さっそく宗教関連について語るけれど、めっちゃ軽く流す程度にやるで。
細かくやると終わらへんからな。」

生徒「お願いします」


ぼく「まず倫理学で重要かつ主要な宗教はこんな感じや」

・ユダヤ教
・キリスト教
・イスラム教
・バラモン教とジャイナ教
・仏教

生徒「バラモン教とジャイナ教って初めて聞きました。」


ぼく「インドの宗教やったんやけれど、まー普通の人は知らんで、知ってたら相当な知識人や。
とりあえず上から順番に語っていくで!ちなみにユダヤ教ってどんなイメージを持っとる?」


生徒「正直、あんまり良いイメージは無いです。何が悪いとかはわからないですけれど」


ぼく「大半の日本人はそうかもしれへんな、ユダヤって言葉だけで何かヤバそうって思うかもしれへん。
でも実際はそうでもないんや。その歴史を簡単に説明していくで。」


ぼく「ユダヤ教はもともと過酷な砂漠の土地で生まれたんや。
食う物どころか水も限られてるし、周りは紛争地帯でホンマに大変なところやったんや。
そんな時にアブラハムって人が神のお告げが届いた!カナンって土地にいくで!って言うて向かったわけや」


生徒「よく宗教である神のお告げって本当にあるんですか?ソクラテスが居た古代ギリシアでもありましたよね。」


ぼく「あるかもしれへんし無いかもしれへん。ぶっちゃけワイはどっちでもええ。
でも現代的に考えたら、民の意思を統一するための手段として考えられてる事もあるで。」


生徒「にわかには信じがたいので僕は現代的に考えます。」


ぼく「それも人の自由や、気にしたらアカンけれど他人の宗教を批判することは
倫理学で固く禁じられているから倫理学学んでるなら絶対に宗教批判なんてしたらアカンで」


生徒「わかりました」


ぼく「んで、流れから言うたらユダヤ人はそこからも大変やったんや。エジプトで奴隷になったり、
カナンの地に王国を築いても宗教をきちんと守る人があまりに少なくて、ボロボロになったりした。」


生徒「じゃあユダヤ教は浸透してなかったってことですか?」


ぼく「逆やねん、めっちゃ浸透してた、それこそカナンにイスラエル王国を築けたのも
集団としてユダヤ教という一つの指標があったからや。でもみんな守らへんかったねん、まあええわの精神や」


生徒「戒律が厳しすぎたとか?なんか肉食べたらダメとかありますよね。」

ぼく「ユダヤ教はそんなに厳しくない、むしろめっちゃ優しい方と言ってええで。
当時の規則を簡単に挙げるで」


--絶対に守らなければならないもの
①他の神を信仰してはならない
②どんな銅像も作ってはいけない(偶像崇拝の禁止)
③主(信仰してるヤハウェ神)の名前は気軽に呼んではいけない
④一週間のうちに1日は絶対休め

--道徳的に守るべきもの
⑤両親は尊重しろ
⑥殺人禁止
⑦強姦や売春は禁止
⑧窃盗は禁止
⑨親しい人に嘘つくのはアカン
⑩親しい人の家に勝手に入ったり、盗んだり、ゴロゴロしたらアカン


生徒「全然厳しくないどころか、ほとんど常識じゃないですか」


ぼく「せやで、むしろ現代から見たら、日本のブラック企業の方がきつい戒律してるで...
でも、当時はもっと過酷な状況やったし皆生きるのに大変やったからしゃーないんかもしれへん。
ちなみに、それらの戒律をまとめたものがあの有名な『旧約聖書や』」


生徒「旧約聖書ってキリスト教のものかと思ってました」


ぼく「後からそうなる、けれど元になったのはユダヤ教の考え方でありそれが原本や」


生徒「④の1週間のうちに1日休むというのは現代の日曜日にあたるってことですよね?」


ぼく「せや、これが起源となって週1休みは絶対必要ってなったねん。
ちなみにこれらの戒律は破ったら殺されるし、罰を与えられるで」


生徒「殺されるんですか?」


ぼく「神は絶対や。どうやって判断するかって言うたら
預言者モーセっていう神の言葉を授かる人が居て、そいつが民に忠告するねん。
お前らいい加減にしろよ、そろそろヤバイぞ。って言うねん、けど守らんやつなんていっぱい居るから
神に背いたとして、罰を与えられるか、①~④の絶対遵守を破ったら死刑や」

生徒「それからどうなったんですか?」


ぼく「ぶっちゃけそっからは色々あったけれど、信者も預言者も望んでいた出来事があったねん。
それが『メシア』の登場や。神が正しいものとそうでないものを裁く日ってのがいずれ訪れる。
それを伝え、そして人々を裁くものがメシアや。」


生徒「現れたんですか?」


ぼく「それっぽい人が現れたねん。ドンピシャのタイミングで」


生徒「へー、なんて人ですか?」


ぼく「イエスや」


生徒「えっ」


ぼく「イエスが現れたねん。当時はイエスはメシアであると考えられていたねん。
これは宗教歴史を知らん人やったらみんなドン引きする出来事や。でも結果から言うとメシアではないんやけれどな。」


ぼく「こっからキリスト教の話に移ることになるで、ちなみにイエスが現れた時は
ユダヤ教の信者はウェーイってなってた。けれどキリストはこう言ったねん。
『私は、君たちの考えを刷新しに来た。10の戒律は間違いではないが、解釈の仕方が違う』
って言うたんや」


生徒「ユダヤ教のことは批判しなかったんですか?」


ぼく「一切してへん、ただ、『君たち解釈が極端すぎるよ』って言うたねん。
例えば、④の休日なんてわかりやすいねん。
両親が病気になったとする。それで介護するやん。でも、休日の日になったら一切の介護はしてはいけないんや。
休まなければいけないからな」


生徒「でもそれだと⑤の両親を尊重するに反しますよね。」


ぼく「そうやねん、ボンバーマンで爆弾に囲まれた感じや。もうどうしようもない。
何やっても罪になる。どうしよ。ってなってたねん」


生徒「なるほど、なんとなくわかります。」


ぼく「そこでキリストは、『いやいや、違うんだよ。もっと柔軟な捉え方でいいんだよ、頑張りすぎだよ』
って告げたねん。
そっからは、まー色々あった。有名なのは売春した女に向かって石投げてるやつとかやな。
『この中で罪を犯したことがない者だけが、まず最初にこの女に石を投げなさい』って言うたやつや」


生徒「それ、私も聞いたことあります。」


ぼく「まあ、神の子なんて呼ばれるだけあって心が清らかやったんや。
そんな中でもキリストの考えで大事なのは4つあるで」

①人間は罪を犯す動物である、だから反省しなさい。そうすれば神はきっと許してくれる
②神はそんな罪深い我々を愛してくれるから、我々も神を愛しなさい。
③私たちはそんな神の愛情を、隣人へも向け、同様に愛しなさい。
④敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい


生徒「めっちゃ綺麗な心してますね。先生とは大違いです。」


ぼく「ワイだってお年寄りに席譲ったりするで!
まあ、そんな中でも注目するのは④や」


生徒「アレですよね、右の頬を打たれたら左の頬も差し出しなさいっていう」


ぼく「まあ、それくらい色々な人に愛情を向けよってことなんやけれどイエスはこんな事を言うてるねん。
『自分を愛してくれる人に優しくしても、お前にどんな徳あるんや?既に優しくしてもらってるやんけ、
せやったら悪人にこそ優しくして世界をもっと良いようにしていこうや』ってことや」


生徒「やられたらやり返す、倍返しだって言ってる人とは大違いですね。」


ぼく「ワイは殴られたら相手が謝るまで殴るで!場合によっては謝っても殴るで!」


生徒「流石ですね」


ぼく「せやろ?
まあこんな感じでイエスは順調に知名度を上げて行ったんやけど、殺されてしまうねん」


生徒「確か、ユダヤ教の人にでしたっけ。」


ぼく「せやで、メシアやと思ってたのに全然ちゃうやんけ。反逆罪で訴えて死刑や!ってなったんや。
でもユダヤ教の一部が結託しただけで、全員そう思ってたわけではないからな。


ちなみに、イエスの仲間やったのに裏切った奴とかおったりしたねん。ユダとか有名やな」


生徒「ユダって名前よく聞きますね。」


ぼく「ユダは確かにイエスを売り飛ばしたけれど、後から罪悪感で自殺してるで。
イエスの教え通り、神にごめんなさいし続けたけれど、死んで詫びたんや。」


生徒「あー...そうなんですか。ただイエスは3日後に復活するんですよね?」


ぼく「復活したって言われてるけどホンマかどうかわからんし、何で3日後やねんってワイはいつも思ってる。
ただ、重要なのはイエスが復活したことじゃなくて、『パウロ』ってやつやねん」


生徒「パウロって誰ですか?」


ぼく「パウロはもともとは、イエス反対派の中心やったねん。めっちゃ批判して死に追いやった側や。
でもパウロはイエスが死んだ事に対して哲学をして、イエス派になったんや。これがめっちゃ大事」


生徒「哲学をして?」


ぼく「せやで、パウロはこう疑問に思った
「なんで神の子として言い崇められてた人がそんな簡単に死んだのか」ってことや。
なんでやと思う?」


生徒「そりゃあ捕まってしまって、殺されたからでしょ」


ぼく「でも神の子やで?曲りなりにも一応神に近い存在として言われてたんやから
グサッって刺されただけでは死なへんと思わんか?」


生徒「本当に神の子だったら、簡単に死なないですよね」


ぼく「パウロはこう解釈したねん。
『人間の全ての罪を受け入れて死んだ』と」


生徒「はい?」


ぼく「人間はもともと、原罪(知恵の実を食べたこと)を生まれながらにして持ってるねん。
ちょっとやそっとのごめんなさいじゃ消えへん罪や。それをイエスは全部受けて死んだって考えたねん」


生徒「正直、無茶苦茶な理論ですね。」


ぼく「確かにそうやな。ただ重要なのは、哲学として死を考えて反対派からイエス派になったということ。
そしてもう一つは、こいつがキリスト教を広めたと言っても過言ではないからや。
キリストって名付けたのはパウロやからな。」


生徒「ほえー」


ぼく「あとは、信仰義認説っていうのもあって、
人間は原罪に縛られているから、自分の意思じゃ善は無しえない。
どうやって善を行うかって言うたら神とイエスを崇めれば善になる。って言うてるねん。
この信仰義認説って、のちのちキリスト教でめっちゃ出てくるで。」


生徒「お年寄りに優しくしても善ではないってことですか?」


ぼく「せやで。もしくは、お年寄りに優しく出来たのは、神またはイエスのおかげって考えや。」


生徒「なるほど、他に重要な人とかいるんですか?」


ぼく「アウグスティヌスとトマス・アクィナスが重要やな。でもさらっとでいいから簡単に言うで
アウグスティヌスは『人間は悪行しか行えない、善を行えるのは神のおかげだ』
トマス・アクィナスは『アリストテレスまじすごいって考えと神学を合体させた人』
って感じでええで。」


生徒「アウグスティヌスも信仰義認説ってことですか?」


ぼく「エヴァンゲリオンとエバンゲリオンくらい違う。」


生徒「意味がわからないし、同じにしか見えないんですが...」


ぼく「信仰義認説では、自分の意思で行う事は悪しかないねん。
でもアウグスティヌスは、善を行う気持ちも悪を行う気持ちもあるけれど、結果として
悪にしかならねえって言うてるんや。」


生徒「なるほど、トマス・アクィナスって人はどういう考えなんですか?」


ぼく「アリストテレスの理に基づいた考え方と神学の神の考え方は一致せえへん...何でや...って
悩んでたんや。まあそりゃそうや。宇宙の法則が神によってじゃなくて理によって表現出来たアリストテレス
やからな。でもそれを合体させたねん」


生徒「どうやって?」


ぼく「信仰があって、次に理があると考えたねん。信仰が真理で、それを完成させわかりやすくするために理という
知識があるってな。ワイも具体的にまとめたんやけれど、無茶苦茶な理論やからサラッとでいいで。」


生徒「申し訳ないですが、いろいろと大変ですね。」


ぼく「当時は、神の考えが当たり前やったんや。逆に言えば知識がある人は辛い世の中やった。
手元に証明出来る原理があるのに、それを言ったら殺されるんやからな。だから仕方ないねん。
地動説と天動説って知ってるか?」


生徒「地球が動いてるのかってやつですか?」


ぼく「それは間違いやねん。実際の意味は、
『地球が中心にすべてのものが動いてる』のか『地球は宇宙の一部でしかない』のかや。
現代では地球は惑星であって周りに火星があって、なんて当たり前やけれど。
昔はそんなん言ったら殺されたからな。ガリレオ・ガリレイも殺されてしもた」


生徒「辛い世の中ですね。」


ぼく「せやな。次は役に立つイスラム教の話をしていくで!」


生徒「イスラム...」


ぼく「イスラム教って、めーーーっちゃ悪いイメージあるけどそれは間違いやからな!!
イスラムが前に色々問題を起こしたから悪いイメージがあるだけでイスラム教の人はふつーにおるで
5人に1人がイスラム教や。ちな5人に2人はキリスト教やからな。」


生徒「知らなかったです。」


ぼく「これから国際社会になっていくんやからイスラム教の事を知ることは必須と言ってもいい。
だって世界中の5人に1人がイスラム教やったら必然的に出会うからな」


ぼく「イスラム教の神はアッラーや。
あら^~ なんて言ったらマジで洒落にならんからな。」


生徒「何ですかそれ?」


ぼく「忘れてくれ。イスラム教は、神-天使-預言者-人間の順番に伝達を行っていくんやで。
だから実質は天使と預言者が喋ってそれをお互いに上と下のものに伝え合うって感じや。


ちなみにイスラム教の信仰者をムスリムって呼ぶからワイもそう呼んでいくで!」


生徒「戒律とかあるんですよね?」


ぼく「めっちゃある、ぶっちゃけワイもわからんし、イスラム教の人も全部わかる人なんて預言者くらいしかおらん」


生徒「ええ...」


ぼく「その中でも重要なものだけ挙げていくで!」

・アッラーを信じてるで~って証言すること。
・毎日5回、定刻にメッカ(預言者のムハンマドって人の生まれた地)に祈ること
・1か月間、断食する月がある。ただし、日の出から日没までの間だけ。夜は食べてよし!
・貧しいものに大して富を分け与える
・一生に一度はメッカに巡礼すること(出来れば来てね。って感じや)

生徒「断食って大変ですね。」


ぼく「せやで、だからもしムスリムの人と接点があるときは、気を使ってあげてな。
水すら飲まない人と、水は飲んでもいい人がいるから必ず聞いてあげてくれ。
イスラム教に関しては哲学にそんなに関係ないからこれで終わりや!」


生徒「いよいよバラモン教とジャイナ教ですね」


ぼく「せやな、ちなみにどっちもインドの宗教や。
バラモン教は完全に政治宗教で悪用しかしてへんし、かなりの批判者がおったらしいで。
紀元前15世紀のころやから、ソクラテスとプラトンが生まれる前のことやな。」


生徒「どんな考え方だったんですか?」


ぼく「預言者が最も偉いってのは変わらへんけれど、それが絶対権力やった。
あとは、死後の世界とかがなくて、人間は輪廻転生によって生まれ変わるって考えや。
前世で悪い事したら、虫とかに生まれ変わるよって言われてた。」


生徒「仏教に似てますね。」


ぼく「仏教もインド発案みたいなところがあるから、バラモン教もそういうことや。
大事なのは、輪廻転生から抜けるためには、宇宙の心理の中に自分の魂を見つけろって言われたんや。
夜に空を見上げたら、なんか壮大やな~。って感じるやろ?あれを極めたら悟れるって言われてたねん。」


生徒「なるほど」


ぼく「ただ、バラモン教の偉い人達は、その考えを絶対のものとして悪用しまくってた。
あーマジちょろいわーって感じやったねん。
ただ、時代と共に商工業が発達して、下位の者にも発言権が出てきてバラモン教は終わった。」


生徒「よくある結末ですね。」


ぼく「アリストレテスの考えを学ぶべきやで...」


ぼく「そっから、もっとちゃんとした修行あるで。って出てきたのが
『ヴァルダマーナ』と『ゴータマ・ブッダ』や」


生徒「前者は聞いたことないですが、ブッダは有名ですね。」


ぼく「ブッダは後から語るで。
ヴァルダマーナはジャイナ教を開祖した。戒律はこんな感じや。」
①地位とか名誉のカースト制禁止
②不殺生
③無所有(価値のあるものを持つから魂が汚れる)
④めっちゃ厳しい修行(絶食とか山登りとか、色々)


生徒「悟るためには大変な思いをしなきゃいけないんですね」


ぼく「そう考えたみたいやな。でもあまりに厳しすぎたからあんまり栄えなかったねん。
人間楽したいからな。ただブッダは違った。」


生徒「ブッダは楽して悟れると思ったんですか?」


ぼく「楽してってのは語弊があるねん、ブッダは...ってその前にやけれど
ブッダって『悟ったもの』って意味でキリストみたいなあだ名やからな。
でもブッダの方が言いやすいからそう呼ぶで」


生徒「はい」


ぼく「ブッダは『人は煩悩を無くせば悟れる』と伝えた。具体的に言うと」
①煩悩(貪欲な心、怒りの心、無知の心)
②我執(自分は凄いんや!って慢心や執着)
③渇愛(自己を苦しめる欲望、恋愛とか)


生徒「理に適ってますね、確かにその三つを無くせば凄い人間になれそうです。」


ぼく「ブッダは具体的にどういう風にすればええか、ってのも書いてるねん。それがこれや」
①苦諦(人生は苦しみである)
②集諦(苦しみの原因は煩悩である)
③滅諦(苦しみを滅ぼせば悟りの境地に至れる)
④道諦(八正道を極める事によって③に至れる)
八正道:
・見方
・考え方
・言葉遣い
・行い
・生活
・努力
・精進
・瞑想
・心を保つ事


生徒「多すぎます!覚えきれません!」


ぼく「テストで使う学生とかじゃなかったら、覚える必要は無いで。
でも、これでもワイなりに試験レベルで活用出来るまでめっちゃ短くしたんや。
教科書見たら丸々1ページとかあるから、ワイのこれを覚える方が楽やで」


生徒「ありえん...」


ぼく「100点取らなくてもいいなら1~4だけ覚えてれば90点くらいは取れるから安心してな」


生徒「でもこれ覚えるだけじゃなくて実践するのも大変じゃないんですか?」


ぼく「そこやねん、僧侶とか出家した人やったらこれに専念出来るけれど、普通の生活して
この教えを守るのは不可能に近いわ。そのためにシャア専用ザクじゃないザクⅡを作ったねん」

①不殺生(殺すな)
②不偸盗(盗むな)
③不邪淫(みだらな行為をするな)
④不妄語(嘘をつくな)
⑤不飲酒(酒を飲むな)


ぼく「これでもなかなかキツいけれど、悟るためやったら頑張る人多かったんやで」


生徒「ふーん、ブッダの影響力って凄かったんですね。名言とかないんですか?」


ぼく「ブッダはめーーーっちゃ本とか巻物を書いてる。だから名言はいっぱいあるけれど
それをまとめた、これだけでブッダがわかる四法印!ってのがあるねん。」

①一切皆苦(人生は苦しいものである)
②諸行無常(あらゆるものは変化する)
③諸法無我(永遠不変のものなんて存在しない)
④涅槃寂静(悟りの世界は安らかでいいところだよ)


生徒「②と③が同じにしか見えないんですが」


ぼく「②は人は老いるし、花は朽ちる。って感じや。
③は万物の法則みたいな宇宙の心理なんてない。って意味やな。」


ぼく「ちなみにブッダが死んでからは、派閥が分かれたねん。
自分のために修行をするチームと、人を救う(悟らせる)ために修行するチームや。
めっちゃ大ゲンカして、今の時代でもお互いに嫌ってると思ってくれたらええで。」


生徒「具体的には?」


ぼく「長いから説明せえへんで、あとそんなに面白い話でもないからな。」


生徒「ええ...」


ぼく「興味持ってくれるのは嬉しいで!でも、事細かく説明してたら
哲学や倫理学がつまらなく見えてくるから、面白い所だけを上げて気になったら検索して欲しいで!」


ぼく「ちなみに今回はこんな感じで終わりや。
宗教って色々あるんやけれど、背景には何かに救ってもらいたいって気持ちから生まれたものが多いで。
だから宗教にハマる人ってのは救済を求めてる人が多いんや。」


生徒「宗教に対してちょっと見方が変わりました」


ぼく「たまに宗教勧誘してくる人たちっておるやん?」


生徒「はい」


ぼく「ああいう人って本気の悪意を持って勧誘してきてる人は中々おらんねん。
心の底から宗教に入って救われて欲しいとか、イエスの教えを曲解して、善意を押し付けてるとか。
あとは先輩からノルマ化せられてるとかや。本人達に悪意はないケースが多い。」


生徒「でも、しつこく来る人にどう接していいかわからないです...」


ぼく「そんな時は、他の宗教に所属してるって言う事や。
どの宗教団体でも、他の神を信仰する事は禁止されてる。

押し付けて来る人には〇〇神を信仰しておりますので、異なる宗教を信仰すると罰せられます。
申し訳ありません、頑張ってください。って言えばほぼ100%次から来なくなるで。」


生徒「こっち来てよ~とか言わないんですか?」


ぼく「こっち来てよ~って言う人は、ノルマか、悪意かどっちかや。
ほぼ全ての宗教は異教徒に自身の宗教を押し付けることは絶対禁止とされているからな。」


生徒「先生は何宗教って言うんですか?」


ぼく「おねしょた教やで。」


生徒「なんですかそれ?」


ぼく「戒律は、
①ショタはお姉ちゃんに性的優位を取ってはならない
②寝取られはNG
やで!」

ぼく「次回は古代中国の哲学をしていくで!現代日本にもかかわってくるから割と重要なところや!」

明日はお休みやで!
また読んでな!

パルメニデスは哲学史ではどのような位置付けですか

>>67
位置づけって考え方が難しいんやけれど、
高校倫理の範囲外やで。
ただ、大学ではまず最初に学ぶ古代哲学者であり、ピタゴラスやヘラクレイトスに影響を与えた人物として確固たる地位を持ってるで。
戦闘力で言えばギニュー隊長くらいやと思うで

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