モバP「誕生日ありがとう」 (22)

P「マストレさん」

マ「うん?」

マ「やあ。珍しいな。誰もいない時間にトレーニングルームを覗きに来るなんて」

P「お疲れさまです」

P「まあ。…ほら、マストレさんがいるじゃないですか」

マ「む」

マ「…なにか、それこそ、珍しい言い回しだな。喜多見のことか?」

P「…えっと、ええ。まあ」

マ「それなら」

マ「順調だよ。バースデーライブにはバッチリ仕上がる」

P「はい。それは、柚の様子を見ていれば」

マ「そうか。では何を」

P「あの…その」

P「誕生日プレゼント、何がいいと思います?」

マ「は?」


※マはマスタートレーナーさん略称

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P「すいません、こんな仕事の関係ないような」

マ「いや、まあ、…貴方の場合、関係ないこともないかと思うが…」

マ「なぜ私に」

P「その、ここしばらく柚と一番一緒にいたのはマストレさんかなと」

P「それで、なにか欲しいとか、やりたいとか、心当たりがないかと思いまして」

マ「ふむ…」

マ「…………」

P「あ、いや、とくになければ大丈夫なんですが」

マ「プロデューサー殿」

P「はい」

マ「走るか」

P「はい?」

マ「いやまあこの場で済むものにするか。じゃあスクワット。姿勢」

P「え、あの」

マ「姿勢を取れ!」

P「いたい」

P「は、はい」

マ「はじめっ」

P「なんですかこれ」

マ「数を数えるッ」

P「…いち、に…ぐふ」

マ「独り言だから数えているように。あのなあ」

P「…ご、…ろく、なな…」

マ「細かい気遣いは立派だよ。プロデューサー殿の感心するところだ。アイドルたちに慕われているのも納得がいく」

P「…じゅういち、じゅうに…」

マ「が、それはないだろう。私が喜多見と一番一緒にいた、は」

マ「もっと自信を持て。喜多見のことを一番知っていて、一番見て来たのは誰だ?」

P「…じゅうはち…」

P「……それは、分かって、分かっているつもり、なんですけど。じゅうきゅう」

マ「うむ」

P「ただ…。マストレさんから、柚は…喜多見柚というアイドルは、どういう風に見えますか?」

マ「…………そうだな」

マ「強いアイドルだ」

マ「ひたむきとも、がむしゃらともつかない。楽しむことを楽しむことだけ考えていて、」

マ「そして輝く。ある意味、無敵のアイドルだと思っている」

P「同感です」

P「でもそれって、俺たち周りのスタッフにもそうなんですよね」

マ「うん?」

P「アイドル喜多見柚にはなかなか隙がないんですよ。普段は、まあ、隙だらけなんですけど」

P「…なんというか、その…、ときどき、不安になるといいますか…」

マ「…ああ、なるほどな。そういうことか」

マ「…………」

マ「…とりあえず100回やるか」

P「あれっいま何気なくやめられたと思ったのに」

マ「その手は喜多見がもう使っているから通用せんぞ」

P「そんな」

マ「ははは」

マ「……。まあ、なんだ」

マ「プロデューサー殿の言い分も分かるがな。分かるが」

マ「その上で私が言えるのは、自分で考えろってことだ」

P「う……それは、まあ…」

マ「ふふ。しっかりするんだな。ほら、今日は一緒に100回やってやろう」

P「ど、どうも?」

マ「いちッにッさんッしッ」

P「はやいですはやいです」

マ「はははっ」

・・・・・

P「ぐふ…足が」

P(自分で考えろ、か…おっしゃるとおり)

P(だけど、なにか…プレゼントを渡して、お祝いを伝えて、…喜んでくれて)

P(それで本当にいいのかな…なんだろう)

P「なんだろうなあ」

比奈「なにブツブツ言ってんスか?」

P「かくかくしかじか」

比奈「ふむふむ。それでライブにゲスト登場予定のアタシたちの」

仁奈「サプライズお祝いでごぜーますね!」

楓「その打合せと、個人的なプレゼントのご相談。ということですね」

P「ですです」

比奈「いやそりゃまあプレゼントは」

楓「自分で考えろ」ニコ

仁奈「でごぜーますね」コクコク

P「あれっみんなつめたい」

比奈「あのっスねえ」

比奈「柚はなにをあげても、どうお祝いしても、きっと喜んでくれまス」

P「うん、そうなんだよ。だからこうやって相談して」

楓「プロデューサー」

楓「プレゼントって、欲しいものが欲しいわけではないんですよ」

P「??それは…」

仁奈「ごさんこーばかりに仁奈があげるのはですね」ゴソモフ

比奈「仁奈ちゃんそれもうはみ出て見えてるっス」ユズノモフモフ

仁奈「はっ」

楓「なぞなぞです」

楓「第二問」

P「あれっまだ答え」

楓「たぶん、プロデューサーは」

楓「サプライズで登場した私たちが、柚ちゃんのお祝いをしたときの反応が想像できますよね?」

P「…まあ」

楓「そのときの柚ちゃんはどんな気持ちでしょう?」

P「…それは、」

仁奈「はい!きっとうれしー」

比奈「はい仁奈ちゃんストップっスよー」

仁奈「もごもふ」

楓「…」ニコ

楓「プロデューサーはこのかんたんななぞなぞを解けないのと同じです」

P「……あの、えっと」

楓「以上です」

P「おわった」

比奈「お疲れさまでしたー。仁奈ちゃん晩ごはんなにがいいっスか?」

仁奈「好きなのでいいでごぜーますか!わーい」

P「あれー…みんなつめたい…」

・・・・・

P「…」

P(…マストレさんも、みんなも、言うとおり)

P「お疲れさま」

柚「どさーっ。うーんっ疲れたっ楽しかった!」

比奈「お疲れさまでス」

楓「おーつかーれーさーまー」

仁奈「楓おねーさん。おうたがもれちまってるでごぜーます」

楓「はっ」

柚「ケーキだ!」

比奈「ふふ。ステージで出したのとは別っスよ!みんなの手作りっスよ!」

柚「テヅクリ!」スゴイ

P(うれしそうだ)

柚「ふー」

仁奈「わー」パチパチ

楓「わー」

柚「へへっ。みんなアリガトー」

比奈「プレゼントもあるっスよ。はい。これはアタシから」

柚「えっ。なにかなっなにかなー♪」ガサゴソ

P「……」

・・・・・


柚「Pサン?」

P「はっ」

柚「わ。びっくりした」

P「あ、ごめん」

柚「いいえっ」

柚「もうみんな先に行っちゃったよ。ほら、アタシたちも行こう?」

P「あ…。そっか」

P「…、ごめん、ライブで疲れてるのは柚の方なのに」

柚「??うん。疲れた」

柚「けど楽しかったよ!最高!」

柚「人生で一番の誕生日だったカモ!だった!」ニパッ

P「…。…」

P「…はは…。かも、だった、って…あはは」

柚「すごい笑うね!」

P「可笑しいからな」

柚「おかしいかな?」ハテ

P「あ、分かった」

柚「ン?」

P「柚」

P「誕生日おめでとう」

柚「ン」

柚「えへへ。アリガト」

P「これ。プレゼント。それから」

柚「わあなんだろ。うんっそれから」

P「ありがとう」

P「…って、言いたかったんだ。俺」

柚「…………」

柚「…アリガト。えっと、どういたしまして。こちらこそ」

柚「へへ、へへへ。それはその、照れるカナ」

P「うん。俺も」

柚「や」

柚「一緒だ。よかった」

P「うん」

柚「開けていい?」

P「うん」

柚「…キーホルダーだ。柚子マーク。かわいい」

P「初めて柚と会った場所の近くで買ったんだ」

柚「おー」

柚「大事にする」

P「ありがとう」

柚「えへへっ。どういたしましてっ」

柚「じゃあ、行こっか。みんな待ってるよ!」

P「そうだな」

柚「…」

柚「ねえPサン」

P「うん?」

柚「…」ヘヘ

柚「嬉しかった。ありがとう」

柚「カモじゃなくて、最高の誕生日になった!」ニパー

P「ん…うん。よかった」

柚「うんっ。へへ」

仁奈「あ」

仁奈「Pと柚おねーさん!もーふ、待ちくたびれやがりましたよ!」

P「もーふて。もーだろ」

柚「ごめんね仁奈チャン。おまたせー」

P「じゃあ、みんな送るよ。いま車回してくるから」

楓「はい」

楓「…プロデューサー、そのキーホルダー…おニューですね。ニュッキですね」

P「ええ、まあ。ニュッキ?」

楓「ニュッキ」

柚「あ、ホントだ。…わあ」

比奈「柚ファン仕様っスか」

P「まあな」

柚「てれ」

楓「…」

比奈「…」

楓・比奈「ふふ」

P「なんですか」

楓・比奈「なんでもー」

柚「てれてれ」

比奈「じゃあ事務所に戻ってもういっかいお祝いしまス?」

P「じゃあってなんだよ」

楓「じゃあ、いいですね」

P「じゃあってなんですか?」

柚「やりたいやりたい!」

仁奈「やりたいです!」

P「…」

P「…じゃあ、しょうがないな」

柚「わーい」

楓「わーい」

比奈「ケーキ、追加で買って行きましょうか」

P「そうだな」

P「よし。柚、好きなのなんでも買ってもいいぞ」

楓「本当ですか?」

P「楓さんちがいます」

柚「本当!?わーい。アリガトー」

P「こちらこそ」


・・・・おしまい

おわりん
喜多見さん誕生日おめでとうそして生まれてきてくれてありがとう

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