アルミン「平和だな」 (36)

アルミンの一人称で語られるお話しを考えました(^_^)

21歳になったアルミンの今なお続く「気苦労」がテーマです。

ifなのでこんなのアルミンじゃない!と言われたらもう謝るしかないです(T_T)


申し訳程度にペトラさんだしましたwwwどうぞ!




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この赤煉瓦作りのちょっと派手な建物が僕の職場なんだ。

ここは以前、内地と呼ばれていた一画に位置している。



そこで暮らしている品の良さそうで穏やかな物腰の人達も
僕がここに入ろうとすると決まって僕の方を見る。



悪い気はしないけど少し恥ずかしいかな。



ゆるい傾斜の階段の登り職場に入った。上着を脱いでハンガーに袖を通しておく。


オルオさんのスカーフの色から察するに今日は木曜日に違いない。



昨日か一昨日に買ってきた[労働で磨く男の品格]を今日までにもう半分も読み進めていた。


「オルオさん、おはようございます」


オルオ「ん。」


決まって僕は勤務が始まる30分前に職場の机に腰を下ろす。オルオさんは1時間かそれ以上。



僕は自分でお茶を淹れてそれを飲みながら封筒いっぱいの書類に目を通す。



封筒の中身。
これが今日の仕事であり、明日の仕事であり、来月までにクリアすべき僕のノルマだ。

なになに…………。

地方辺境農村部への畜産業の斡旋計画………アドバイザー派遣で…僕を派遣員の一人に抜擢か。


確か海に近いところだっけ。
新鮮な魚料理が食べられるかもしれないね。


僕がどこだか知らない村に行ってそこの偉い人かなんかに

「今こういうことをやりたいから、是非協力して欲しい。」と言う。


その人がOKだというと、次の月からそこに木材と屈強な建築士がたくさん届き、すぐさま豚舎が出来るんだ。


僕はまとめといた豚の飼育要項を一から順を追って説明する。


餌、水、衛生管理、あやし方、
交配に適した時期。

そして豚を送る。

僕の属する組織では
多くの村に豚を送ったし、
新しい形の鋤や鍬なんかもたくさん作ったんだ。


それで暮らしが楽になった人が

僕にお礼の一つやなんかをしてくれた時、僕はこの仕事に熱意とやりがいを感じるんだ。


(喜んでくれてありがとう)だ。





だから今度も頑張らなくちゃね。
今日からまえもって豚を飼育することの魅力を伝える練習や、
飼育のノウハウを上手く教えれるようにシュミレーションを始めよう。

パートナーのオルオさんとも綿密に打ち合わせをしとかなくちゃな。




そう思い、書類の上下と端をトントンと揃えて机の端にやった。



カバンから一冊の本を出す。

ハンジさんに借りた
[ソフラの夢]だ。



病に侵され臨終の床についた女の子のソフラがある日
自分の身体中の機能が口を聞き始めた、と取り乱したところから物語が始まる。




「私はソフラの黒ずんだ右足の小指です」

「私はソフラの怒り狂った結腸です」

「私はソフラが愛してやまなかった横隔膜の悪戯です」

お世辞にも趣味がいい本とは言えないが、こないだ読まされた


[図説・寄生虫大網全集]よりは読んでていくらか楽だった。



さっさと返してしまおう。





ハンジさんと打ち解けるには、ハンジさんの世界に少しだけ身を投じる必要がある。


ハンジさんが好む本を読んで気の利いた感想を言えれば上出来だ。


僕はこの目的における前向きな選択として、寄生虫大網を借りて読む事を選んだ。



川で泳ぐとお尻から入り直腸を食い荒らす虫について書かれたページが興味深かったと伝えると
その晩食事に誘われた。




【僕はアルミンの成功の喜びに目頭を熱くする鼻腔の毛の一つです】


茶を飲み終え、
そうこうしてるうちに
ハンジさんとペトラさんが職場に入ってきた。


ペトラさんは付き合いが良すぎるもんだからいつもハンジさんに連れまわされて飲まされてる。


今朝もどこか疲れた感じだな。


「ハンジさん、ペトラさん、おはようございます。」

「コーヒーはいかがですか?」




ペトラ「おはようアルミン。ありがとう、いただくわ。」


ハンジ「おぉー気が利くね!私も貰おうか!」


ペトラさんは砂糖を二つだけ。それと濃く作ると喜んで貰える。


ペトラ「ありがとう」

ハンジさんは冷やして酸化させてミルクを少しだけ。


飲んで帰った次の朝の口の中みたいな味が好みなんだ。

色々なところでちょっとずつ変わってるよね。


「すみません。ハンジさんの分はもう少しかかりそうです。出来上がったらお持ちするんで」



ハンジ「いつも悪いねー!」


オルオ「俺にはねぇのか?アリーちゃん?」


アリーはオルオさんだけが使う僕への愛称だ。


人によってアルなんて呼んだりするが、アリーはオルオさんだけ。



オルオさんは時折内地の上流階級の人間の鼻にかかった話し方を真似するようになった。



語尾をいやらしく巻いてみたり
話し相手を畳み込もうとするような大きな声でアクセントをつけたりする。


真似の出来の程度は
ペトラさんがうんざりしている様子から察しがつく。




この、調査兵団でも指折りのエリートである三人が固まったのは
ハンジさんによる直々の指名の結果だ。


兵団解体直後にみんなここに就いたから僕らはここでは同期だ。

だから一緒に食事したり、
週末には劇場に出向いたりしている。


この甘ったるこしいコーヒー
はオルオさんの分だ。
ハンジさんの分もそろそろだろう。


【僕はアルミンの炎を巻き上げる胃粘膜の欠如です】


これがいつもの僕らの朝。

ーーーーーーーー。



今朝のオルオさんのスカーフの色から察するに今日は火曜日だ。



オルオさんは退屈そうにダーツで遊んでいた。

「おはようございます」


オルオ「ペトラがつれないんだ」


「そうですか」



ペトラが
ペトラが
ペトラが
ペトラが


【僕はうんざりしながらも流れ落ちるしかない、アルミンの右ももの静脈流です】



「オルオさん、コーヒーはいかがですか?」

オルオ「ん、結構。」


ダーツの的から矢を引き抜く。



オルオ「お前もやるか?」



ん、結構。


「いえ、遊ぶことにはほんと疎いんです。お恥ずかしいので遠慮しておきます…………」


ん、結構。



オルオ「けっ。アリー坊ちゃんはつまらねぇ男だな」


「あはは」




"アルミン!
世の中には"九官鳥"って鳥がいてな!面白いことに人の声を真似して話せるんだ!"




ほんとかい!?エレン

僕はまだ見ぬ九官鳥くんがオルオさんの会話相手に飛んできてくれないかなと考える。


ペトラ「おはよ、アルミン」


ペトラさんはオルオさんと目を合わせながら僕だけに朝のあいさつをした。


コーヒーは砂糖を二つ、濃いめだ。



オルオさんが舌打ちをするかしないかのところで舌を上あごに力一杯張り付けているのが分かった。



ペトラさんはオルオさんを見えなくする時がある。ペトラさんの得意な手品だ。


僕はこの手の手品に対するギャラリーをもう六年も続けている。






【僕は疎外感に同情するアルミンの良心です】

ハンジさん「おっはよー諸君!」


「おはようございます、ハンジさん」

僕はコーヒーを既に冷まして酸化させてある。ハンジさんがいらないと言えば捨てるだけの話だ。



ハンジ「突然だけどこれを見てくれぇ!」






「それは?」



ハンジ「豚の件で村に行くまえにもう一つ仕事を任されちゃったのだー!!」



ペトラ「嘘っ!?」


ハンジ「嘘なんかつかないよ!!今度はねぇ…………なんと、」

三日後だ。


僕らは早速近所の牛舎で牛たちが互いに腰をぶつけ合うのを見るはめになった。


臭い牛舎の糞と干し草だらけの通路に二人で突っ立っている。





ハンジ「中央の畜産研究会の牛の交配実験に立ち会ってもらいたい!ペトラ!アルミン!君らに任せたよ!」



一組目のカップルのオスの方はすぐに果てた。ペトラさんが赤くなっている。



ペトラさんが見て、
僕が用紙にチェックをする。



【僕はアルミンの歯を食いしばっていきり勃った陰茎の血管です】



隣の二組目の部屋に移動する。


二頭は柵で仕切られているが、ペトラさんの声で柵があがり、コトに及ぶ。


農夫のおじさんが聞く。


「いいかい?こっちは準備できてるぜねぇちゃん?」


ペトラ「私は構いませんよ?始めましょう」



【僕はアルミンが最初の性交で何億個も減らした脳細胞の逆襲です】



なんだか、すごく興奮したんだ。


でももう大丈夫、真面目に働くよ。

三頭目以降はペトラさんから新鮮なリアクションを見ることができなかった。

完全に仕事だと割り切ったようだ。

僕と同じにね。
本当だよ。



人間の薬で長い長い発情期に入った惨めな牛たちは飽きることもなく腰を打ち合わせ続ける。





仕事を終えて、一旦二人で職場に戻る。

「帰りました」


オルオ「おら、フリンジ!下手くそだな!一本貸せよ!」


僕はおもちゃにされている後輩と、している先輩には見向きもしない」


ハンジ「ご苦労。二人とも、もうあがりな!」

帰路につく途中でペトラさんに呼び止められた。


ペトラ「アルミン!その……一杯付き合わない?」

「ペトラさん!喜んでお供しますよ」


小綺麗な酒場に入る。
ペトラさんは一杯目から強いマティーニを頼んだ。


僕はリキュールをジュースで割ったやつだ。


背丈はかなり伸びたが、まだお子様だと思われてるのか星形にカットされたオレンジが飲み口に刺さっていた。


ペトラ「じゃあ、乾杯!」


ペトラさんは一口飲むとツヤツヤした唇で串に刺さったオリーブを少しだけかじった。



ペトラ「最近仕事がさ、しんどいんだよね。」

この一言以降、
僕はずっと聞き役に徹した。

オルオがさ
オルオがさ
オルオがさ
ハンジさんも
ハンジさんも

「大変ですよね」

そしてリピート。

オルオがさ。


ペトラ「本当に困っちゃって。悪いやつじゃないんだよ?本当に戦友で身近にいたからよく知ってるし、それに仕事仲間として昔からずっと信頼もしてる」


「ペトラさんは綺麗ですからね。先輩方も同期の友達もみんなそう言っています」


ペトラ「まともに恋人と呼べる人なんて………」




ペトラさんはこうして押し黙ってしまった。

思いもよらぬカミングアウトに周りの男がソワソワし始めたのがわかる。


「これは僕の考えなんですが、
ペトラさんは綺麗だから近寄り難いんだと思います」



「世の中にペトラさんと恋仲になりたい男なんかごまんといると思うんです。けど、自分に自信がないから行動できない」


これは僕の話だ。


「だから、何も気を落とすことなんてないと思います。いつかきっと必ず、素敵な方と出会えて幸せになりますから!約束します」

ペトラ「ごめんね、気を使わせちゃって。」



ペトラさんは綺麗だ。



僕たちの後ろで汚いだみ声が響く。

『かっこいいじゃん兄ちゃん。こんないい女はべらせて』




内地にもこんな男はいるもんだ。


『こんなキスもできなさそうなプラトニックな鼻垂れほっといてこっち来いよ』


僕と男とは
さほど年も変わらなさうなんだけど
彼は高そうな羽織りを着ていたし身体も大きかった。

ペトラさん、行きましょう」

足りないなんてことのないよう、かなり多めにお代を払った気がする。
無論、二人分。


細くて柔らかい手を引く。



男が僕らを追いかける。
取り巻きも一緒だ。



僕は逃げる最中に混み混みしたところにさしかかった隙をついて
ペトラさんをレストランの中に押し込んだ。


「ここで少しだけ待っててください、ここなら安全です」


【僕はアルミンが見たラブロマンスを描き出す脳の製本装置です】




逃げる。もはや間抜けな男たちはペトラさんがどこかのタイミングで逃げたことなど気にしていない。

生意気な僕の顔や体を一通り傷つけたいんだ。



ガッ!

何かに足を取られて勢いよく前のめりに倒れこんだ。


『観念しな、坊主』


こいつらにどれだけ痛めつけられるのかを先に勘定しておく。


どんな保険が適用されて、何日間の療養休暇を取れるのか。


襟を掴まれた瞬間、後ろからやってきた公安警察が男たちを取り抑さえた。


一攫千金で内地に来た
有名な成金のゴロツキだそうだ。




よかった。



レストランに戻ると酔いから戻ったペトラさん心配そうな面持ちでが抱きついてきた。



ハグではなく抱擁って感じだ。


白いファーの逆立った、ふわふわした上着の毛が僕の鼻腔に入ってくしゃみがでそうになった。


僕から腕を回すような真似はしない。

ペトラ「かっこつけなくても、私も元兵士だから平気なのに」


あはは。

【僕はアルミンの高翌揚が生んだ後腐れの一部始終です】


「ごめんなさい。なんかムキになっちゃって」


やっちゃったね。


ペトラ「いいよ、ありがとう。私を守ろうと頑張るアルミン可愛かったな」


童顔はこういう時パンチに欠けるんだ。


ペトラ「…………私たち付き合っちゃおうか」



「はい。」

ペトラ「いいの?」


「僕も好きでしたから。多分、ずっと前から」


ペトラ「えへへ///そっかー実は私もなんだ。よろしくね、アルミン」
ペトラさんの目はよく動く。



「はい。」



ペトラ「ところでさ、次のお店でもう一度飲み直そうよ!」




「はい。喜んでご一緒させていただきます」

ペトラ「やったー!でもちょっと他人行儀だなー。固いよ?もっとラフでいいのに」


難しいな。


「いこう、ペトラさん」



ペトラ「うーん。悪くないけど……まぁ及第点ってとこかな。それじゃあ出発!」



楽しそうに笑うペトラさんに手を引かれて賑わう夜の街に繰り出す。


僕の気苦労の総決算だ。



僕は今、そこそこ幸せだ。


でも一つ気がかりな事があるとすれば、明日の晩も104期の仲間と宴会をする事になっていることだ。


まぁ、それは別の話だよね。


ペトラさんは三件目で椅子から立とうとし損なって尻餅をついた時にかなりチビってしまったみたいで

びいびい泣き始めた。僕は抱きしめて慰めるしかなかった。



そこで泣きながら謝るペトラさんを家まで送ってペトラさんの家で少し休んだ。

ペトラさんは手早くシャワーを浴びる。



怒ってない?
そんな、怒ったりしませんよ。

嫌いになった?
なるわけないじゃないですか。



私のこと好き?
大好きです。


ペトラさん?
何?


僕のこと好きですか?
大好きよ、アルミン?

そう言われた後、
ごくごく自然な流れとしての大人のスキンシップが始まった。


僕はこの時点で既に童貞じゃなかった。ペトラさんを除いて二人の女の子と付き合ったことがある。



どうだ!
と誇れる程のものでもないけど、そこまで貧相な経歴というワケでもないよね。




次の朝、ペトラさんにシャワーを借りて二人で出勤した。



二人ともひどい顔だったけど
お互い気にしてないって感じだった。



おしっこ漏らした女の子と夜を共にしたなんて
もしこれがジャン辺りの口から飛び出したら誰しもが笑い話だと思うだろうな。

緩やかな傾斜の階段を登る。



普段ならなんてことないが今は妙に応える。



職場に着く。



オルオさんのスカーフの色から察するに今日は火曜日だろう。




長い一日が始まる。







ーおしまいー

ありがとおおおおお(T_T)

忘れてましたwww

どこかの間の時間でやり終えたか
まだまだもう少し先の話だったということにでもしておいてくださいwww


あれのことですよね?
あの豚のくだりの………
アドバイザーがどうたらのとこの


それともペトラさんと恋仲になったことを職場のみんなに、ですか?( ^ω^ )

ぴゃー( ^ω^ )
最近始めたがSS投稿ですが結構本格的にはまってきました笑
大学もバイトも盆で休みだし彼女もいないので笑


みんなが親切にコメントしてくれるのがすごく嬉しい!


とりあえずジャンに始まりコニーアルミンで僕が書きたかったキャラは一通り書き終わったことになります( ^ω^ )


なので恐れ多いのですが僕なんかのアレでよければ何か書いて欲しいキャラのリクエストなどをしていただければ幸いです!


こんな「平和だな」とかいう行き当たりばったりの駄シリーズ以外にもなんでも書きます!もちろんこのシリーズででも!www



不躾ですが是非よろしくお願いしますm(_ _)mあとみんなありがとう!!





おし!じゃあケツだせ!(迫真)



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