あかり「何かにぶつかっちゃったよぉ」 (34)

その日人類は思い出した。

やつらに支配されていた恐怖を。

鳥かごの中に囚われていた屈辱を。

結衣「き・・・こ、きょ・・・、きょうこ・・・」

結衣「京子!」

京子「ん・・・」

結衣「起きて。もう帰らないと日が暮れる」

京子「?・・・結衣、なんだか髪、伸びてない?」

結衣「・・・・・・・はぁ」

結衣「そんなに寝ぼけるまで熟睡してたのか?」

京子「いやっ、なんだかすごい長い夢をみてたような気がするんだけど、なんだったかなー」

結衣「・・・京子?」

結衣「なんで泣いてるんだ?」

京子「え・・・?」



京子「言わないでよ、私が泣いてたなんて」

結衣「はいはい、言わないよ」

結衣「でも理由もなく涙が出るなんて、一度お医者さんに行ったほうが・・・」

京子「ええーお医者さんいくのいやだなー」

綾乃「な、何泣いてるのよ、歳納京子」

京子「綾乃!」

綾乃「また船見さんに迷惑かけて怒られたの?」

京子「な、泣いてなんかないよ、綾乃!」

京子「それより、仕事はどうしたんだよ!」

綾乃「今日は書類仕事でもう終わったわ」

京子「そんなんで、いざって時に戦えるの!?」

綾乃「いざって時って何よ?」

京子「何言ってるんだよ!決まってるだろ」

京子「のんけが街に入ってきた時だよ!」

綾乃「うぅ、そんなこと言っても書類仕事だって大事な仕事よ」

綾乃「それにのんけが壁をこわすことなんてこの100年ノンノンノートルダムよ」

京子「でもそうやって安心してる時が危ないって・・・」

京子「でもそうやって安心してる時が危ないって・・・」

綾乃「まぁたしかにそう言う意見もあるんだけど、
でもねぇ、生徒会に入れば外でうろつくのんけを見かけることがあるんだけど」

綾乃「やつらにこの壁をどうこうできるようには見えないわ」

京子「うぅ・・・それなら生徒会なんて名乗るのやめて書類整理会にしなよ!」

綾乃「名称なんてどうでもいいのだけど。
でもね私たち生徒会がただ飯ぐらいだって馬鹿にされてるときの方が皆は幸せに暮らせてるのよ」

綾乃「外に出る調査百合団も、なんでわざわざ・・・」

京子「・・・!!」

京子「たしかに、一生・・・壁の中から出られなくても生きていけるよ・・・
でもそんなのつまんないよ。みんながいるからレッツゴーだよ・・・」

京子「それじゃあね」

綾乃「もしかして歳納京子・・・調査百合団に入るつもりじゃ・・・」



結衣「京子」

結衣「調査百合団はやめたほうがいい」

京子「ゆ、結衣も調査百合団を馬鹿にすんの?」

結衣「馬鹿にするとかそういうのじゃ・・・」

カンカンカンカンカンカンカンカン

「調査百合団が返ってきたわ!」

「正面の門が開く!」

京子「英雄の凱旋だ!」

京子「行こう!結衣!」

ざわざわざわ

京子「この上から見えるぞ!」

そこには疲れ切った調査百合団の姿。

皆暗い顔をし、俯き、歩いている。

「帰ってきたのはこれだけ・・・」

「帰ってこないのは、みんなのんけにされたんだ」

「ひどいもんだ・・・。壁の中にさえいれば百合百合できるものを」

「まったく調査百合団なんて税の無駄よ」

京子「・・・・・・っ!」

ぐっ

結衣「やめとけ」

結衣「いこう」



京子「なんでとめたんだよ!」

結衣「調査百合団に入りたいって気持ちはかわった?」

京子「・・・・・・」

結衣「京子がのんけにされるのは嫌だ」

京子「・・・・・・」

結衣「・・・・・・京子」

京子「・・・・・・。帰ろう」

ドドォォォォォォォォオオオオオオオオン!!!!!!!

京子「うあっ!」

結衣「っ!!なんだ?」

京子「どうしたんだ?」

結衣「!!!・・・・・・・あ、ああ・・・」

京子「結衣!何が見えるの!」

京子「・・・・・・あ」

京子「こ、この壁は50mなのに・・・」

「のんけだ」

https://pbs.twimg.com/media/BRRliR3CIAAqYFc.jpg

その日人類は思い出した。

やつらに支配されていた恐怖を。

鳥かごの中に囚われていた屈辱を。

京子「こんなの百合調査兵団でもかないっこない・・・」

結衣「百合調査兵団は幾度の遠征でのんけにされて帰らずじまい」

京子「ま、まだ壁は壊されてない!ゆ、結衣!に、逃げないと!」

結衣「ちょ、ちょっと待って!あののんけ、なにか様子が変だ」



あかり「いたいよぉ、寝ぼけてふらふらしてたら何かにぶつかっちゃったよぉ」

あかり「あっ!壁があるよぉ」

あかり「わぁ中にはおっきなアリさん・・・かなぁ」

あかり「えへへぇあかりアリさん大好きだよぉ」

あかり「これでもアリさんを飼ってたことがあるんだよぉ」

あかり「ちょっぴり自慢だよぉ」

あかり「そうだ!ここにいるおっきなアリさんたちも飼ってあげようかなぁ」

あかり「ふふっあかりったらアリさん飼育のエキスパートさんだからねぇ」

赤座あかりは、自らが超大型のんけとして存在していることを

赤座あかり自身、自覚していない。

なぜなら赤座あかりは、自らの自我を発芽させてから

赤座あかりは赤座あかりそのものであり、それ以外の何物でもないという思考があったからだ。

大型であるとか、のんけであるとかいう相対的評価は、他者がくだせるかもしれないが、

赤座あかりにとってはそのような評価など心中になく、唯、自分自身、

赤座あかりとして存在し、そしてこれからも、赤座あかりとして存在していくだろうことしか考えていなかった。

それは一見満たされているようでありながら、自己以外に自己を認識する者がいないという、

砂漠のような空虚さも内在していた。

そのような折、赤座あかりは歪な円で囲う鳥かごのようなものを見つけることとなる。

あかり「手始めにこの動物さんをエサにあげてみようかなぁ」

あかり「うぅ、ちょっとかわいそうだけど、
アリさんも生きる為に食べ物が必要だもんね」

あかり「ごめんね鹿さん」

あかり「わわっ、あかりが手を出すとありさん逃げちゃう!」

あかり「ふふっ、でもあかりは慌てないよぉ。ゆっくりゆっくり。
怖がらせないように置くよ」

あかり「成功だよぉ。興味持ってくれるかなぁ」

あかり「あれ?全然興味がなさそう。むしろ逃げたまんまだよぉ」

あかり「んー新しい環境の変化に慣れてないのかな」

あかり「よーしそれなら、あかり、根気よくアリさん育てちゃうよ!」



京子「な、なんかちょこっとずつ動物入れてるぞ?な、なんでだ結衣」

結衣「私に聞くな。わかるはずないだろ」

京子「そ、そうだよな」

あかり「あ。あれ。あそこに袋小路に閉じ込められてるアリさん?がいるよぉ」

あかり「あかりが壁にぶつかった時に積んでた荷物が崩れたのかな」

あかり「悪いことしちゃったよぉ」

あかり「よぉーしあかりが取り除いてあげるよぉ」

京子「うわぁ!結衣ぃ!あの大型が手を伸ばしてきたぞぉ」

結衣「にげろ!・・・って、道がふさがれてる!」

京子「もうだめだぁ!結衣ぃぃぃぃぃいいい!!」

ひょい

あかり「ふぅこれで安心だよぉ」

京子「あ、あれ?」

結衣「な、なんだったんだ?」

京子「結衣、怪我は?」

結衣「ないぞ。京子は?」

京子「ない」

結衣「どうやら道をふさいでた荷物をとり除いてくれたみたいだ」

京子「そ、そんなことって・・・」

結衣「でももうこっちに手を伸ばしたりする気はないらしい」

京子「どういうことか全くわかんない・・・」

結衣「うん。でもなんだか敵意はない・・・と思う」

京子「そ、それは!!・・・うん、・・・そんな気は・・・・する」

結衣「もしかしたら良いのんけかも」

京子「そこまではわからないだろ!!」

結衣「うん。でも・・・もしかしたらあの大型のんけと百合は仲良くなれるかも。

今はまだわからない。わかりあえないかもしれない。

あのお団子みたいなので攻撃してくるかもしれないし透明になる特殊な能力があるかもしれない。

でも、なかよくなれたらそれはそれで素敵なことじゃないか?」

京子「もしそうなったら・・・わたしも仲良くすればいいのかな」

結衣「それは京子が決めることだよ」

京子「・・・・・・・・・」

京子「じゃあもし仲良くなれたら生徒会・調査百合団とは別に皆で遊ぶ団体をつくる」

京子「本当に仲良くできるかはまだわからないけど」

結衣「いいと思うよ。今はそれで。でものんけ側にいかないでよ」

京子「まかせろ!」

結衣「・・・・・・まったく・・・。
で、いきなり団体をつくるなんて、名前はどうするんだ?」

京子「その名もごらく部だ!」

結衣「京子らしいな」

京子「へへっそれほどでも」



あかり「わぁさっきお助けしたアリさん、なんだか仲良しだよぉ」

あかり「あかりにも仲良しってできるのかな」

あかり「生まれてからあかりはこのままだからわかんない・・・」

あかり「いつかこのアリさんたちみたいに仲良くできることがあるといいな」

あかり「わぁいアリさん!あかりアリさん?だぁいすき!」





色々すみません。あかりが目立ってる画像貼りたいがために作りました。

うまく練れてないんで設定パクって別に書いてくれても構いませんので。

ちなつさんは壁の中にいるということで

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