提督「女性恐怖症になった」 (22)

提督「一部艦娘によって繰り返される『提督のことを好き/嫌いになる薬』のループ」

提督「媚薬入りカレーが次の日には毒入りカレーになり」

提督「夜襲をかけてきた艦娘が次の日には夜這いをかけてくる」

提督「地獄」

提督「まさに地獄」

提督「気づいたら女性恐怖症になっていた」

叢雲「司令官?入るわよ」

提督「オゲボボボボボボボボボボボボボボボボッッッ!」

叢雲「ちょっ」

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……

叢雲「……で?朝一番に秘書艦にゲロぶっかけた挙句、その掃除までさせた言い訳を聞くわ」

提督「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい許してください許してください許してください許してください殺さないで」

叢雲「怒ってるんじゃなくて理由を聞いてるの。本当に悪いと思ってるならさっさと言う!」

提督「ヒィッ!?やめろっやめろォ!こっちに来るなぁあああああああああああああ!」

叢雲「……ちょっと、本当にどうしたのよ?そんなバケモノ見たみたいな反応して」

提督「う、ううううるせえ!そうだっヤられる前にこっちから――!」

叢雲「えいっ」

提督だったもの「」ビチャッ

叢雲「えーと、女神女神……」

叢雲「あった。これで貼り付けて……よし」

叢雲「……さて、どうしたものかしらね」

鳳翔『あら……いらしたんですか、提督』

鳳翔『ふふ、大丈夫ですよ。まだ開店時間にはちょっと早いですけど、提督には特別です』

鳳翔『私がこうして料理を作っているのは、提督に美味しいって褒められたいからなんですよ?』

鳳翔『……ふふ。冗談です』



鳳翔『……ゴミ掃除は念入りにしたはずなのに。汚らわしいですね』

鳳翔『とはいえあなたのような汚物でもお客様です。不本意ですが』

鳳翔『どうぞ。……これが何か?蟲ですよ。餌ですから』

鳳翔『せいぜい鎮守府を回すための家畜……いいえ部品として美味しく頂いてください、提督様』



提督「蟲サラダ……蟲スープ……蟲ごはん……蟲、蟲蟲……!」

提督「体の内側に……はい、はいはい入ってててきてきてきてるきてるううううううう……!」

提督「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

提督「……はっ」

叢雲「おはよう。二度寝の気分はどう?」

提督「ひっ……そ、その声、むら、叢雲……」

提督「……え?」

叢雲「何よその顔。ちゃんと叢雲よ。失礼ね」

提督「いや、いや、いやいやいや……お前、それ……」

提督「…………………………腕と、足は?」

叢雲(達磨)「切り落としたわよ。これなら怖くないでしょ?」

叢雲「アンタと話すのに邪魔になるような手足なんて、こっちから願い下げ」

提督「何やってるんだよ!?馬鹿じゃないのか!?」

叢雲「ちゃんと焼いたしあとで入渠したら治るわよ。多分」

提督「多分って……!」

叢雲「そんなことより。一体どうしたのよ?いきなりあんな取り乱すなんて」

提督「そ、それは……」

叢雲「なに?私にも話せないようなことかしら?アンタのためにこんな体になったのに」

提督「そんなことはない!……むしろ、そこまでさせてしまって……」

叢雲「そういうのいいから。ほら、話してみなさい」

提督「……ああ、分かった。その、実はだな……」

……

叢雲「女性恐怖症、ねえ……」

提督「……情けないのは重々承知だ。笑ってくれ」

叢雲「まさか、笑わないわよ。そんな目にあって、それでも逃げないでここにいるんだから」

叢雲「褒めてあげるわ。そうね、頭を……って手がないんだったわね。叢雲ちゃんうっかり」

提督「叢雲……」

提督「……」

提督「……決めた。俺は、きっとこの病を克服してみせる」

叢雲「あら、無理しないでいいのに」

提督「いいや。このままでいいはずないもんな」

提督「それに、俺が普通に話せるようになったら、お前だって」

叢雲「そ。ならせいぜい頑張りなさい。応援してるわ」

提督「ああ!」

……

提督「とはいえ。とはいえだ」

提督「変に艦娘に出くわしたら錯乱ときどきゲボのち気絶」

提督「せめて誰に会うかさえ事前に分かれば、心の準備が出来るんだが……」

提督「……それはそれとして腹が減ったな」

提督「うん!リハビリがてら間宮に行くとしよう!きっと大丈夫だ!」



吹雪「はい、あーん」

叢雲「あーん」

吹雪「あ、そうだ。叢雲聞いた?」

叢雲「ごくん。なに?」

吹雪「司令官が食堂でゲロ吐いて倒れたんだって」

叢雲「あぁ……」

提督「うぐゥ……うがあああ……!」

暁「ちょ、ちょっと司令官!?どうしたの!?」

暁『ほら、ゆっくり犯すからちゃんと覚えててよね!しれーかん!』

響「何か悪いものでも……いや、そもそも何か食べる前だった。原因は……?」

響『свинья……不潔だ、といったんだよ司令官。умереть』

雷「だ、大丈夫!?医務室行く!?」

雷『しれーかん、子作りしましょっ。大丈夫、認知はしないでいいからね?」

電「は、はわわ……大変、大変なのです……!」

電『司令官さん、辛いでしょう?せっかく海が近くにあるんですから、いつでも沈んでいいのですよ?そしたらちゃんと救ってあげますから。はい、嘘なのです![ピーーー]っ!』

提督「……ぅっっ」

提督「なんっ……でも、ないィイ……!」ガクガク

提督「みんっみんなは……朝ごはん、か?」

響「うん、そうだよ。いつもの総員起こしがなくて、いつもより少し遅い朝食だけどね」

電「そういえばなんでなのです?いきなり休暇だなんて」

提督「ん、あ……えーと……たまにはいいかなって」

暁「そういうことならちゃんと一ヶ月くらい前に言ってよね!予定入れられないでしょ!」

雷「いいじゃない!みんなでゆっくりしましょ」

雷「そうだ、司令官も――」

提督「ひィ!?」パシッ

雷「……え……?」

ここまで

叢雲「ちょっと四肢切断して傷口焼いてくれない?あと血の片付けもよろしく」
他の艦娘「OK」

キチ過ぎだろ

提督「っごめん雷!今のはそんなつもりじゃ――」

雷「ひどい……わ、私、ただ一緒にって誘おうとしただけなのに……」グスッ

響「司令官。今のは酷いよ」

暁「雷が何したって言うのよ!謝りなさい、早く!」

提督「う、うう……」

提督(謝らないと、早く謝らないと……!)

電「大丈夫ですか?雷ちゃん」

雷「」グスグス

提督(早く!)

提督「お、俺がどうかしていた……本当にすまない。許してくれっ何だってするから!」

雷「へぇ」ピタッ

響「そうかい」ガシッ

暁「じゃあ」ガシッ

電「行きましょうか」デス

提督「えっ」ズリズリ

提督「……えっ?」

暁「電、鍵閉めて」

電「なのです!」ガチャ

雷「司令官はそこに座っててね」

響「お茶を入れるかい?ああ、今日は何も混ぜないから安心していいよ」

提督「え、なに、なにが」

暁「司令官、私たちが怖いんでしょ?」

提督「な、なんでそれを……!?」

暁「叢雲に教えてもらったのよ。それを治したいって思ってることも、ね」

提督(い、いつの間に!?)

響「だからね、手伝ってあげようと思ったんだ。私たちのやり方で」

雷「今の司令官なら絶対に私たちを拒絶してくれると思ったの」

電「根が優しい司令官さんなら、きっとこういうのです――」

「「「「何でもするから許してくれって」」」」

提督「お、おまえら、俺に何をする気だ……!」

暁「さて、どうしましょっか。私たち自身司令官のことをどう思ってるか、ちょっとよく分かってないのよね」

響「大好きだよ。でも同じくらい大嫌いなんだ」

雷「頭の中がすごくぐちゃぐちゃ。本当の自分がどうだったかなんてもう分からないわ」

電「これが今の電たちなのです。戻ろうと思ってももう戻れません」

電「――だから、そんな今の電たちのことをたくさん知って貰えばいいのです!」

提督「は……?」

暁「司令官が私たちが怖いのは、私たちのことがよく分からないから。そうよね?」

響「だったら知って貰えばいい。私たちが司令官にすることを、したいことを」

雷「それがどんなことでも、慣れちゃえばもう怖くないわよね?」

電「だからですね、司令官さん」

電「痛いことと気持ちいいこと、どっちが好きですか?」ニコッ

『ほんと気持ち悪い…』『しれーかんだいすきっ』『臭うと思ったらこの糞袋が』『なんで無視するの?』『クラミジア野郎が』『この写真、憲兵に撒かれたくなかったら』『信じて司令官』『ハッ、馬鹿じゃない』『ゴキブリの卵みたい』『司令官さんのせいで私の手首こんなに傷だらけ』『どうして怖がるの』『私が死んだらしれーかんのせいだからね?』

提督「あ、あああああああああ……!」

暁「……提督?早く答えてよ」

電「その口は飾りなのですか?そんなことないですよねっ」

暁「ほら、答えてよ。ほら、ほら。……ほらッ!!」

提督「ひっ!?」

提督(あ、死)


『不知火、黒潮。撃ち込みなさい』

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