高峯のあ「若い子のカラダのが良かった?」 (16)

●3行あらすじ

モバP、加蓮と肉体関係を持っていたのが明るみになり、プロデューサーを首に(※)

モバP、自棄酒で酔いつぶれているところを、のあさんに拾ってもらう

そのまま一夜をともにする


(※)の部分は下記で書いているので割愛します。
北条加蓮「アイドル『の』オモチャにするクスリ?」
北条加蓮「アイドル『の』オモチャにするクスリ?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1530414890/)


以下本文




あなたを『プロデューサー』と呼べなくなる日がくるなんて、思いもしなかった。




彼がプロダクションの芸能部から籍を除かれた、との連絡を聞いた時、私は耳を疑った。
彼は、私のような20代からローティーンまで、幅広い年齢のアイドルを担当していて、
それぞれで結果をあげている芸能部のエースであったのに。

「冷たい雰囲気」に縛られてくすぶっていた私に、アイドルの道を示してくれたのも彼だった。

そんな彼が、プロデューサーの立場を追われるとは、にわかに信じがたかった。

けれど、繁華街に青い顔でうずくまっていた張本人から、
失脚が本当だと聞かされて――もう、信じるしかなかった。

彼は、嗅いだことがないほどひどく酒臭かった。悪い飲み方をしたのだろうか。
私が肩を貸して、ようやく立ち上がれるといった有様だった。

なぜプロデューサーを辞めることになったのか訊いた。
彼は、すぐには答えなかった。そのまま二人、喧騒の中でしばらく立ち尽くした。

彼は、私の肩から離れられなかった。一人ではもう歩けないらしい。
しばらく経ってから、あなたもそれを悟って、きまり悪そうに口を開いた。

失脚の理由は、担当アイドル・北条加蓮との肉体関係が露見したこと――
当人ならずとも、プロダクションの関係者であれば口が重くなるものだった――まして張本人では。
それで自棄酒をあおって立てなくなるほど――皆まで言われずとも察せられた。

「……ひとまず、私のところに来なさい」

前後もわきまえず言ってみると、彼は頭(かぶり)を振った。

「未成年の担当アイドルに手を出したあなたが、いまさら世間体を気にするのか」

と嫌味を言うと、脱力して肩によりかかってきた。
身長差が小さかったので、私は彼をなんとか引きずって帰宅できた。



「ひどい顔色よ。シャワーを浴びなさい」

と、彼を浴室へ押し込む。

水音が聞こえてきたのを確認してから、冷蔵庫を開く。
まともに食べられるものが、半人前ほどあまったハンバーグのタネしかない。
それをフライパンに放り込んで焼く。少し迷って、めんつゆに三杯酢を少し混ぜる。

「食べなさい。どうせその様子じゃ、お腹に何も入れていないのでしょう」

彼は、もそもそと挽肉を咀嚼する。
どうせならもっと美味しそうに食べてもらいたかったが、致し方ない。

空腹が癒えたからか、ポツリポツリと、北条加蓮との関係について口にし始めた。
一夜の過ちというわけではなく、かなり常習的にセックスに及んでいた――と聞いて、
それに今日まで私はまったく気づけなかった――妙に口惜しい。

「泊まっていきなさい。どうせ、しばらくその酔いは醒めないでしょう」

とはいったものの、寝られそうなところといえば、ベッドが一つのみ。
泊まり込むような友人や恋人が、私にはいなかったから。

遠慮する彼をベッドに投げ入れる。
私も寝衣に着替え、彼と背中合わせに寝転がる。
電灯を消す。彼の溜息が聞こえる。それが安堵だと信じたかった。

しばらくして、クッ、クッと抑えた声がした。
彼は泣いていた。

泣くほど後悔するなら、なぜ北条加蓮を抱いたのか。
男の性(さが)と言えば、それまでなのだが……。

私は寝返りを打った。

「眠れないわ。泣くのをやめてちょうだい」
「すまない、迷惑かけて」
「私のでよければ、胸を貸してあげるわ」

私は、胸の間に彼の頭を抱きしめていた。

「いい匂いだ……温かい……柔らかい……」

男性独特の頭髪の匂いが、流しきれずに残っていて、私の鼻腔をくすぐった。




私は、女子高生の担当アイドルと淫行に及んだ悪徳プロデューサーを、泊めてしまった。

まぁ、それはいい。
私個人として言わせてもらえば、アイドルとして導いてくれた彼に恩義がある。

それで、夜中に泣いている彼を、つい抱きしめてしまった。

「ありがとう、のあ……こんなに安心したことって、ない……」

とうめいて、私の胸の膨らみに顔を埋めている。
脚を絡めてみると、腿に硬いものがあたった。彼は勃起していた。

安心したそばからこれか。
北条加蓮も、このペニスでカラダを貫かれたのだろうか。

呆れより好奇心が勝った。
手をのばして触れる。

「これで北条加蓮をキズモノにしたの?」

熱く、大きい。
びくり、とそこだけが別の生き物のように脈打つ。

「責めてはいないわ。興味本位よ……意外かしら?」

私も彼の担当アイドルだった。
一つボタンを掛け違えていたら、私がこれの餌食になっていたかもしれない。

……なぜ、私ではなかったのだろう。

「勃起している……私にも、欲情しているでしょう」

逆に、北条加蓮が彼を誑(たら)し込んだのか。
私には無い、何かで?

「俺は、情けないな……」
「そうね。でも私は、安心もしているわ」

私たちアイドルには、男を誑し込む技芸を競う、そんな一面がある。
アイドルのプロデューサーとなれば、その技芸に一番目の肥えた男、といってもいい。

だからこそ――と言うと言い過ぎかもしれないが――私は彼の目に留まったことを、
そして彼の口から「そのままでいい」と初対面の際に聞いたことを、自信の源としていた。

「これで勃起していなかったら、北条加蓮に負けたようで、癪に障るわ」
「いや、俺が節操無しなだけだ。俺がどうあれ、のあは魅力的な女性で――」
「口ではなんとでも言える」

今夜ここで何があっても、世間はすべて彼のせいと見做す。

それなら。



「動かすわ……」

空いている片方の手の指先で、ペニスをくすぐる。
傷口がしみるような様子で、彼は私に呻きを浴びせる。

「私の部屋に運び込まれたときから、こうなることを期待していたのでしょう?」

彼は返す言葉もない風だった。
対照的に、ペニスの反応はびくびく震え、にちにちと先走りを漏らし――雄弁だった。

「私のような冷たい女でも、抱いてみたいと思うの?」

口で喋りながら、私はペニスに語りかけていた。
ペニスの根本が太く強情になってくる。
ぬるぬるとした先走りが指について、上下運動がスムーズになる。

「私ではなくて、北条加蓮のほうが魅力的だった?」

彼の嗚咽は、いつの間にか止まっていた。
性的興奮にとって替わられたのだろうか。

「若い子のカラダのが良かった?」

彼の指が、反撃か弁解か、私の下腹部を爪先で撫でてくる。

「……私が冷たいから?」

私の中に指を、入り口からそろそろと差し入れてくる。

「んっ……あなたの、指っ……」

普段は独り寝のベッドで、あなたと私の愛撫が交錯する。

「やめないで……ゆっくり、やって……」

彼は、私の臍(へそ)の下から脇腹のあたりを、手のひらでサラサラと擦ってくる。

「のあ……温かくて、柔らかい……でも、きゅっと引き締まってる……目で見なくても、綺麗だってわかる」

気づけば彼は顔を上げていた。
口臭――かすかに甘酸っぱい三杯酢の匂いがする。

「くすぐったいか」
「いえ……しても、いいわ」

くすぐったかった。
子宮や卵巣の外側を、皮膚越しに探られている気分だった。
けれど、許せた。

「気の済むように……私も、好きにさせてもらうから」

報復とばかりに、彼の睾丸を弄ぶ。
感じたのか、彼の曇った吐息が、私の鎖骨にかかる。

「痛くは、ないかしら」
「気持ちいい……このぐらいの力加減で、続けてくれ」

男と女の象徴を弄り合ううちに、興が乗ってくる。
私は彼の上から肌を重ねる。ペニスの先端が、手で撫でられていた臍あたりにこすられる。
胸と胸を押し付け合う――唇を貪る。肌が茹だってくる。鼻先で混ざり合う吐息が、ひゅうひゅうとうなる。

絶頂感がひたひたと近づいてくる。




「今度は、あなたが肩を貸してちょうだい」

私は、懇願しておきながら返事も聞かず、彼の肩に腕を回した。
ペニスのべとついてきた先端が、私の下っ腹にぐいと埋まる。
ペニスの根本が、私の陰核をよじらせる。

私は、彼の肉体を自慰の道具であるかのように、腕を絡めて腰を細かく前後させる。
彼はおとなしく、私の運動に身を委ねた。私が一方的に彼を犯しているような格好だ。

そのまま、ずりずりと往復を繰り返す。
痒みのようにあとを引く快感が、じわじわと肌の下に沁みて、私は動きを止められなくなる。

もし掛け布団を取り除けて誰かに覗かれたら、私の有様はさぞ浅ましく映るだろう。

「あ……っ、ん……んんっ……」

その想像が、私自身に拍車をかける。

肌と肌が擦れ続けるうちに、彼からも再び呻きが漏れ始める。

「のあ……気持ち、いいのか?」
「……ええ、まぁ」
「真っ暗なのが残念だ。のあの今の表情が、みたい」
「遠慮してちょうだい……」

彼は私の痴態を、きっと目で確かめたいだろう。
けれど私はなぜか、電気を点けてはいけないと思った。
電灯で照らされたら最後、この熱気が吹き消されてしまうと恐れた。

「のあのお腹も、おっぱいも、気持ちいい……」

女の部分を、肌越しにペニスに接触させ続けると、
ペニスの熱さがこちらの肉の内側まで伝染する――そんな錯覚がする。
松明で炙られているみたい――そんな想像をすると、本当に肌の下が燃える感触。
熱い。熱い――じっとしていられない。なのに、もっと私のカラダは狂おしく熱を求める。

「あっ……ふぁ……あなたの、ペニスが、熱いわ……っ」
「のあから、そんなセリフが聞けるなんて……」

そうだろう。
こんな言葉、独り言ですら言った記憶が無い。

「はぁ……あぁっ、あ……んぁ……っ」

私の汗滴が垂れ落ちて、彼の肌で、彼の汗とともに摩擦にすり潰される。
それが油のように、私の熱と欲情を盛んにさせる。



「のあ……のあっ……」

ペニスがさらに熱さと大きさを増したあたりで、彼はいきなり私の肩を強く抱きとめた。

「んんんっ……!」

肩甲骨とうなじへの不意打ちに、私はつい背筋をくねらせてしまう。

「うっ……すまない、つい、こすられるのが気持ちよくて、出しそうになって……」
「……それだけで射精するなんて、変態みたいね」
「のあが、あんなに一生懸命ずりずり動くから……」

別に、奉仕のために動いたつもりはないのだけど……。

「北条加蓮は、こういうことはしなかったの?」
「……まぁ、うん」

よくわからない。
私は、理屈なしについ彼の肌と、怒張した粘膜が欲しくなって、勝手に自慰の道具扱いした。
北条加蓮は、どうしていたのだろうか。彼に身を委ねるばかりだった――?

ふと、頭に過ぎる――北条加蓮が、今の私たちの情事を上から見ている――いや、そんなはずはない。

はずはない――のだが。




「んんっ……んんっ、ふぅううっ……」

私は、意地になって、北条加蓮の背後霊を振り払おうと、
彼の腕を振りほどかんばかりの勢いで肌をずりずりと前後させた。

嘲笑われている気がした。見せつけてあげている気がした。
上下二人の欲望の狭間に、手足を取られてずぶずぶと沈み込んでいる気もした。

いや、違う。

「……プロデューサー……っ」

こんなものは、錯覚だ。

なのに、カラダが現実だと思いこむ。枉(ま)げようとする。



「プロデューサー……あの子に、こんな真似はできたかしら?」

私は、カラダをかがめて、胸の膨らみで怒張したペニスを覆い隠そうとした。
ペニスは既に急角度で勃起していて、上から覆いかぶさると、心臓をペニスで突かれている気になる。

「パイズリなんて、そんな」
「ぱいずり……下品な名前ね。下品な行為にお似合いだわ……」

私が北条加蓮に対して、アイドルとして絶対的に優位に立っている点――おそらくそれは、胸の質量だった。
男のギラついた視線を呼び込むその膨らみは、私のほうが一回り――いや二回り大きい。大きいのだ。

彼のペニスで割り開かれた谷間を、両腋側から胸で圧迫する――彼が息を飲む。
バストの脂肪と、上は鎖骨から、下は肋骨の一番上までずりずりと擦り付ける。
彼のペニスを先端から根本まで包み込むと、男としての彼を支配下に置いた――そんな満足感が溢れてくる。

滑りをよくするために唾液を垂らす。
肌と肌の間に立ち込める甘酸っぱい匂いが、ますます強くなる。
私たちの欲望の分泌が露わに塗り拡げられる。

じゅっ……じゅっ……ずりゅ……ずりゅっ。
慌てず、肌で舐めるようにペニスを転がす。

「どうかしら……高峯のあのバストを、オモチャにする心地は」

あなたは奥歯を噛み締めていた。
射精をこらえているのだろう。

「そんなに、気持ちいいかしら」

ずり、ずり、ぐいぐい……と、体重をかけて胸でしつこく摩擦し続ける。
ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ――力を込めたり抜いたりする。
やがて彼の太ももやお尻が突っ張る――突っ張る頻度が多くなる。

「限界……?」

ささやく。言葉を流し込む。
彼のペニスを興奮の果まで追い立てる行為に、私自身も昂ぶりを覚える。

まだ。もっと。丹念に。
ペニスの熱が私の肌に伝染して、私を溶かしてしまうほどに。

ぬっちゅ、ぬっちゅと音をかきたてる。
わざと空気にふれるようにする。先走りの匂いが立つ。
呼吸する。なるべく曇ったような溜息を返す。

塗りつける。彼の呻きを浴びる。
先端が――乳首が――しびれて、くる。彼の快感と、リンクしたように。

愉悦。
彼と、一つになっている――嬉しい、と思う。
それがたとえ、浅ましい欲望の発露であっても。

「出しても、いいわ……」

私が頬を緩めると、それが引き金であったかのように、ペニスは断末魔の痙攣を纏(まと)う。
鈴口がぱっくりと開いたかと思うと、白くべとつく精液が私の頬に叩きつけられ、潰れて垂れ落ちた。



精液を拭ってもらったあと、今度は私が仰向けに寝て、彼に女性器を晒した。
彼は私の両腿の間に肩を割り込ませて、
下腹――さきほど執拗にペニスを擦りつけてた残滓が残っていた――に頬ずりした。

「やっぱり、温かいな」

続いて口づけを落としてきた。
口腔をすぼめて刺される――キスマークをつけられてしまう。

「……明日、撮影があったらどうするつもり?」
「のあの、真っ白い肌に、俺が……それだけで興奮する」

もう彼は、私を貪ることに夢中らしい。

彼の――顎だろうか?――何か骨ばったモノが、陰毛をくすぐってくる。
整えてはいるし、彼には見えていないだろうに、
私のプライベートをそのままくすぐられているようで、思わず声を上げてしまう。

「下の毛、気持ちいいか」
「……神経は通っていないはずよ」
「触覚の有無じゃないんだよ」

私のカラダなのに、知った風な口を――しかし、反論できなかった。

そのまま彼は、私の入り口の粘膜と、さきほどペニスを擦りつけていた陰核を、
丹念に指先で撫で、舌先でつつき、唇を押し付けてきた――見たわけではないが、
同じような感触が繰り返されるうちに、彼の動きがわかるようになった。
彼は暗闇で探り探りなせいか、決まったローテーションで愛撫をしてくる。

ローテーションがわかると、次にどのくらいの刺激が来るのか予想できる。
予想から、期待してしまう――腰が、腿が浮いてしまう。

「のあは、これが好みか?」
「……知らないわ」

半分は不貞腐れで、半分は事実だった。
期待すると、それをされたときの感覚が上に乗ってくる。
繰り返されると、彼の愛撫がリフレインのようにどんどん重なって上積みされていく。

私のカラダが、どんどん、彼の痕跡で埋められていく。
ただでさえ、自分では為しようもない口唇の刺激に、こちらは翻弄されてるのに。



彼は粘膜の濡れ具合、温まり具合が十分と判断したのか、私の中へ指を差し入れてきた。
浅いところから、指の腹でじっとりと揉んでくる。

「んんっ、うぅ、んんんっ……んんんっ!」

高い声をあげてしまう。
嬌声なんて、私が一生で出すとは思っていなかったのに、よりによって彼に。

「焦らし、てるの……?」

暗闇で蠢く彼に問いかける。

「焦れてるのは、俺の方だ……入れたい……」

と言いつつ、彼は指で弄るのも捨てがたいようで、
関節をクニクニとうねらせながら、私の粘膜の折り重なりをほぐしていく。

「キツそうだから、ほぐしておかないと、な」

彼は、指と下の往来を続ける。
ふつふつと、体温の高ぶりを弄ばれ、煽られる。



「あぁ――ふぁっ、んぁああっ……っ!」

彼の攻めの焦点は、私の陰核に移った。
私の体液を、包皮や根本に何層にも塗りつけて、爪先で周りの粘膜を押したり引いたり、
舌の味蕾のざらざらで引っ掻いたり、愛撫を集中させてくる。

ここで、達させるつもり――指先が語りかけてくる。



腰の骨を、がっと両手で掴まれ、女性器にくちづけられる。
私が快感のあまり足腰をよじっても、逃さないつもりだ――その予告が、既に私を痺れさせる。
彼の荒くなった鼻息が、私の陰毛をなびかせる。
一挙手一投足から、彼の快楽への意思が伝わる――肌や筋肉や粘膜を通して、私の中に流し込まれる。

「あぁぅ……あっ、は、んんんっ!」

私は彼に身を委ねた。委ねるだけでよかった。
腰が快楽で浮いてしまう――押さえつけられる。押さえていてくれる。

その安心感で、また粘膜がくつくつと笑う。ほころびていく。
溶かされていく。ずくずくと響く。

彼の、舌が――柔らかいのに力強いざらざらが――私の、クリトリスの、裏側に迫る。
ぐい、と引き攣れる。根本に押し入ってくる。腰がほどける。

「くぁ……っ! プロデューサーっ、そこ、は……っ!」

彼は勢いづく。確信を持ってそこを攻めかかってくる。
撫で付ける。吸い立てる。私のカラダに、絶頂までの道筋がギリギリと印される。
道筋がだんだん深くなって私はそこに転げ落ちていく。
腰が跳ね――押さえつけられる。彼の手で押さえつけられる程度にしか、抵抗できない。

「はぁああぅうっ、うあぁ、あっあっ、ああっ……!」

されるがまま、追及される。急き立てられる。押し流される。
快楽が立ち上ってきて私の脳髄をじりじり炙る。飛び火する。目眩が散る。

「そこ……い、いいっ、あなたの、気持ち、いいわ……っ」

落ちていく。彼の、手と、口腔の、中に――

「んああぁっ、あ、うぁ――んんんっ!」

カラダ、開いてしまう。明け透けにしてしまう。

「あ――は、ァ、あ、あッ――」

達する、身も蓋もなく、呼吸さえつまらせて。

い、イク――イかされ――



朦朧としているなかで、彼にお尻を転がされた――気がした。
布団にうっぷしたまま、腿を開かれ、とても硬くて熱いモノを、
押し入れられ――陰核絶頂の余韻で、意識がぼやけていた。

挿入されたのだ――と気づくのに、いくらかかかった。

「あっ、あっ、ん――っ」

彼は私の骨盤を、私の足側からホールドしながら、ペニスでずりゅずりゅと貫いてくる。
彼のそれは、手や乳房で触ったときよりずっと巨大に思えた。

「のあ、のあっ」

私の名前を口走りながら、彼は腰を打ち付けてくる。
ヒップの肌をパンパン鳴らされる。わいせつな動きが、男らしい。
彼がプロデューサーだった頃は、男性と意識しなかったのに。

痛みと快楽と痺れが、私の中でもつれる。
彼のペニスでかき回され、渦を巻いている。

私のカラダが、彼の男としての快楽に捧げられている。
それはどこかステージでの満足感に似ているようで、
しかしカラダにずんずんと突き刺される感覚が違っていた。

声は出せなかった。口も開けられなかった。
私はペニスによってカラダを揺さぶられて、舌を噛みそうだったから。



クンニリングスされていたときと比べると、思考が戻ってきた。
子宮にずしんずしんとくるペニスは、確かに私の意識を揺るがせはしたが、
私の膣内に没頭している彼を微笑ましく思うぐらいには、余裕が出てきた。

刺して燃えるような快楽とは、異なった満足感だった。
きっと彼の抽送は、私の女の部分に捧げられた頌歌。

軋むカラダと裏腹に、精神は浮かれていく。
私だって彼から理性や意地を剥ぎ取って男の欲望を引きずり出せる。

「もっと、強く、して欲しいわ……」

彼を煽る。
彼が強く乱暴に欲望を打ち付けてくれるほど、
私は快楽から遠ざかるが――おそらく、それゆえに別のモノで満たされる。

私を見出してくれた――あの頃の私を受け入れてくれた彼を、籠絡した。
弱みに漬け込んだという意識はなかった。

「あなたの、好きなだけ、して……」

彼はどこまで付き合ってくれるだろう。
ずりゅっ、ずるっ、ぱんっ、ぱんっ――行ったり来たり。

「のあ、のあ」

名前を呼ばれる。
声音が熱に震えている。
私はますます浮かれる。

いつも独り寝のこのベッドで、私をスカウトした彼に組み敷かれている。
現実感が希薄で――彼のピストンの衝撃をよすがに、それを取り戻す。
奥底を叩かれるたびに、腰から背筋に、頭にずしんとくる。それが頼もしい。

なんて、彼の動きに陶酔していると。



「のあ、もしかして――」
「なに、かしら?」
「こっちのほうが、好みなのか?」

彼は不意に、私の太腿を抱えて押し開き、また陰核に――ん、あっ――

声が、出るっ――



「そちらは……いいわ。さきほど、堪能させてもらったもの……」
「……のあの、さっきみたいな声、聞きたい」

あれは、出そうとして出せるものではなかった。
彼以外の前では、出したことがない。

「なら……触ってちょうだい」

彼は、私が黙っているものだから、抽送に感じていないと思ったらしい。
実際、肉体的な快楽はさほどでもなかった――満足は、していたのだけれど。

「声……出させて……あなたの、手で……」

どうしよう。
これで声が枯れてしまったら、プロダクションの皆に邪推されるだろうか。
一瞬だけ、そんな心配が頭を過った。

まぁいいだろう。
ぜんぶ彼のせいにしてしまおう。
彼にこの身を任せてあげるのだから、この程度の責任転嫁ぐらい許してほしい。

「……のあ」

彼は、私の恩人なのだ。
私がセックスしてはいけない理由などないだろう。

アイドルでは、あるけれど――

私の背後の北条加蓮が、背中を押してくる。

そうだ。
やはり私が彼としたってなんの問題もない。



「あっ、あっ――んん――っ」

彼は後ろから挿入したまま、私の腰を横に傾け、
片手の掌底で陰核をぐりぐりといたぶってくる。
疼きがぶり返す。

彼の指が伸ばされ、下腹に――肌を押される。
中と外から、女性器を歪められ、彼のカタチにされていく。
彼の手付きを覚え込まされていく。

「のあ――やっぱり、こっちのほうが、締まる――っ」

私だけでなく、彼も再び余裕をなくしている。
愛撫されてるのか、射精を促す肉孔としてしごかれているのか、曖昧になっていく。

ぐちゅっ、ずちゅっ、ぐりゅっ――音が、ベッドの上に散らばる。

隠しようもない――私は、濡らしている。
彼のペニスのさらなる行き来を求めて雌液を垂れ流している。

「はぁああぅうっ、うあぁ、あっあっ、ああっ……!」

さっきの陰核絶頂がぶり返す――中の、奥まで飛び火する。



――夢を、見ていた。

過去の夢だ。



星は……いつも変わらない。
星の本質が変わることは、決してない。

夜空を見上げていて、声をかけてきたのが彼だった。

『君は?』

あの頃の私は、ただの映画のエキストラだった。

『エキストラには見えないが……』

よく言われる。
独特の存在感がある、と。

でも同時に……冷たく見える、とも。

だから、こうして……たいして目立たない位置にいた。
……事務所も、私を使いあぐねていた。

『君は……?』

再び彼から問われた。

可能性があるようで、可能性のまま消えていく……。

なにかになりたいと願い、なににもなれずに消えていく、
数えるまでもない弱い光のひとつ……



『アイドルとして輝かないか?』

彼は、アイドル事務所の……。

でも、環境を変えても、徒労に終わる――と思っていた。

外的要因で、私の本質が変わることは――



『そのままでいい』

……そのまま、で? 私、が。

『星を探していた』

彼は、そういった。



なのに、私は――



――目が、覚めた。
彼は、まだ寝ていた。

私は泣いていた。



後悔、しているのだろうか。



いや。

きっと私は、仮に今の記憶を持ったまま彼との出会いの瞬間まで戻ったとしても、
また彼との道を選んで、また涙を流す――それでいいと、思っている。



泣いていた彼の気持ちが、少しだけ分かってしまった。


(了)


すみませんが>>11のあとに以下が抜けておりました



「あ……くっ――お、くっ――感じ、てっ……」

ぐりぐりって、私の、奥、こじ開けられる。
下腹まで、貫かれる。
外から、攻められる。

二重の快楽に、私は狂い出す。
彼に、変えられてしまう――私の、本質まで。

「うくぅぁっ……! お゛、おぉぉぉぉ……」

底――これ以上無いところまで、踏みにじられて、潰される。
私から熱が溢れ出す。体中の神経に、彼の律動が波紋となって広がる。

それに、陰核の痺れが絡みつく。
逃げられない。縫い留められている。

「あっ、お゛、お゛……くひ、いっ、お゛、おぉぉぉぉ……」

彼に、男に、裏の裏まで、踏み込まれて、何もかも、引きずり出されている。



「のあっ、もう――出るっ――」

その宣言を聞いても、私はただ、砕けた嬌声の成れの果てをこぼすしかできない。
イクのか――すでに、イッているのか、わからない、
境目に落ちていく、彼以外のすべてが意識から洗い流されてしまって。

そのうち、彼の男肉の衝撃も蕩けて崩れていく。

また――また、彼に、

「い――イッ、く、ぐっ、う、ぁあううっ、うぅっ……」

い、イク――イかされ――

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