詩菜「当麻さん、オティヌスちゃん、インデックスちゃん。ご飯ですよー」 (28)


チュンチュン チュンチュン

上条「ん…………朝か……」フワァ

上条「……あれ? ……なんか、布団が重いような……? それになんだか妙にいい、にお、い、が……?」

オティヌス「よう。遅いお目覚めだな、人間」ヒョコ

上条「」

オティヌス「おい、フリーズするんじゃない。私を誰だと思っている?」

上条「めのまえにいるのはとってもぐらまらすなきんぱつのおねえちゃんです……………………うん夢だな。オヤスミナサイ」

オティヌス「神の前で二度寝するとはいい度胸だな。多少体格差があるとはいえ、十五センチのお人形サイズとかじゃないんだ。関節を責めるにせよ急所を打つにせよいくらでもやりようは……」

上条「ハイハイ起きました起きました――――っ!! つーか右手に間接技かけようとするとそれはそれで色んな柔らかいのが当たるんだけ――」

上条「いだだだだっ! なんか今度は手首オンリーだから何も嬉しくないっ!! ただひたすらに痛いだけ!」グヌヌヌヌヌ

オティヌス「ふんっ」パッ

上条「うぎゃ……っ。あ、危なかった……本気で折れるかと思った……。…………ていうか、なんで俺は寝起き早々間接技決められてるの」

オティヌス「はっ……この『姉』が、かいがいしく起こしに来てやったというのに無視するからだ」

上条「『弟』のベッドに入り込んで唐突に暴力振るう『姉』の癖して! そもそも関節技のどこらへんにかいがいしさがあったのか、是非とも問い質したい!!」

オティヌス「まあ待て人間。これには戦いと詐術の神を気取った猜疑心の塊のような主神さえ納得する深い事情がある」

上条「それお前のことじゃん! 正確にはお前がロールプレイしてる北欧神話のおっさん!!」

オティヌス「だからこの身は純然たる神のそれだと……まあいい」


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オティヌス「今朝はてつ――珍しく早起きをしてな。みなが起きるまで一人で居るのも暇だし、『弟』の一人でも叩き起こせば暇潰しくらいにはなるかと思ったんだが」

上条「暇潰しでヒトの安眠妨害してどこの大王様だお前は」

オティヌス「神だ。――とにかく。そうしてお前の部屋に入った訳だが、私にも少々誤算があってな。昨日は術式の調整に多忙し、睡眠時間がほんの数時間だった」

上条「ふむふむ」

オティヌス「それに加えてお前が私のために温めていたベッドが目の前にある。導き足される答えは自ずと一つに絞り込まれるはずだ。違うか人間?」

上条「成程つまりお前が大バカ野郎だってファイナルアンサーか」

オティヌス「確かお前が先月受けた定期試験、去年の私はあの惨状の倍はゆうに得点していたぞ」

上条「頭のいいバカはこれだから! ……ていうかなんで隠蔽したはずの試験成績をオティヌスが知っている???」

オティヌス「我がプリズスキャルブの監視からは何者も逃れることは出来ん……と言いたい所だが、いくらなんでもゴミ箱に突っ込んだ程度で証拠隠滅のつもりとは杜撰が過ぎるぞ人間」

オティヌス「あとは……そうだな。やたらカピカピになったティッシュも大量に捨てられていたがアレは一体…………?」

上条「―――――――――はいッッ!!!! 俺が悪かったのでこの話は終わりにしようじゃないかオティヌス!」

オティヌス「きゅ、急に肩を掴むなっ」

上条「というかほら! 本題に戻りましょうよ『姉上』! 説明してもらおうではありませんか、なにゆえオティヌスが俺のベッドに入り込んでいたのかを――――!?」

オティヌス「……正直、久しぶりにお前と寝たかった」

上条「このタイミングで顔赤らめるんじゃねえっ、破壊力やばいからッッッ!!」


上条「大体、久々って言ったって割とちょくちょく潜り込まれてるような……」

インデックス『とうまー! 天に召します我らの神と詩菜から賜った朝ご飯が冷めちゃうんだよー!』ヘヤノソトカラ

上条(ギク……ッ! こ、この状況がバレたらまずい……!)

上条「お……おう! 『お兄ちゃん』すぐに起きるからちょーっと待ってろ」

インデックス『しいなのご飯が冷めるのは大変もったいないことなのでもう食べちゃったんだよとうまの分』

上条「事後報告もたいがいにしろよテメェ!! 『妹』だからってなんでも許されると思ったら大間違いだぞ! ちょっとこっち来――――」

オティヌス「?」

上条「――――――なくていいや!! うんッ!! 存分に俺の分まで味わっていると良いぞインデックス! 冷蔵庫にはプリンもあるからな!」

インデックス『えぇ~、数秒前と発言がくい違っててとっても怪しいムシャんだよムシャムシャ』

上条「……ふっ。プリンの犠牲は大きかったが、なんとかやり過ごしたか」

オティヌス「何をそんなに慌てているんだ人間? いまさら禁書目録の情操教育なんぞ心配しても遅いぞ」

上条「だまらっしゃい! 大体なんもかんもお前のせいだよ(自称)神様!!」

オティヌス「おい、何か前に変な称号をつけてないか。私は魔術の深奥を暴き、自らの片目を泉に捧げて最後に首を吊ることで魔神に至った正真正銘の神であってだな……」

上条「つーか片目を泉に捧げてとか言ってるけど、だったらこの眼帯の下の綺麗なオメメはだれのものなんですかねえ~!」グイグイ

オティヌス「引っ張るな人間! 縫うの大変だったんだぞこれ!」

上条「涙ぐましい努力でびっくりだよ! あとちょっと『お姉ちゃん』が裁縫スキル持ちというのを知って『弟』としてはちょっと胸が熱くなってます……! そうさ管理人のお姉さんにはお料理イベントだけじゃない、不意に外れたボタン着けイベントなんかも秘められているんだ……ッ!!」

オティヌス「だから! 眼帯から手を離せと言っている!」バシバシ


オティヌス「まったく……年頃だから仕方ないとはいえ、お前の妄想に付き合ってる暇は無いぞ。いい加減起きないと『母』が心配して見にくる」モゾモゾ

上条「本日の『お前が言うな大賞』の受賞おめでとうオティヌス……って、ちょっ! 待て動くな! なんか色々当たってる――――ッッッ!」ガバッ

オティヌス「あ」

上条「…………ん? ――んんっ?」

上条「…………………………………つかぬことをお聞きしますが神?」

オティヌス「なんだ?」

上条「……どうして上条さんの下半身はパンツ一丁になってるんでせうか?」

オティヌス「うーん」

オティヌス「まあ、なんだ。熱そうだったから脱がせた。熱中症からお前を守った神の加護に感謝するんだな」

上条「うっ、…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………うぅ!」

オティヌス「おいどうした!? なんで突然顔を覆ってメソメソなんだ人間!?」

上条「ついにやってしまった……。そりゃ確かに何も感じてなかったと言われたら嘘になるけどさ……『兄妹』だから、『姉弟』だからで今日まで騙し騙しやってきたのに……っ!」

上条「何もこんな悲劇的な結末じゃなくたっていいはずだろお! そいつを守るために戦ったっていいはずじゃなかったのかっ!? ……いやよぉおおお! 桃源郷の景色も見れないまま汚名や罪状だけ背負わされてるなんてあんまりよォォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

オティヌス「ち、ちがう! ほんとうに寝苦しそうだから脱がせただけだ! うそじゃない!」

上条「きっと今日にでもクラスで『シスコン変態ヤロウ』のレッテルが張られちゃうんだわあ! アタシは無実よぉお!!」

オティヌス「落ち着け人間! シスコンはもう言われてる!」


上条「うっ……ひぐ……っ」

オティヌス「おいっ、泣くなよ。というか、たかだか衣服の一つや二つ脱がされただけで騒ぎ立てるようなことか……?」

上条「気にするわ! そりゃあ年がら年中そのバカ水着で家ん中うろつく露出魔には分からないだろうけど!」

オティヌス「だから何度言ったらは分かる。これは水着ではなく主神の力を最大限高める、いや、正確には阻害することなく力のコントロールを補助するための衣だ。あんな盛りのついた猿共を欲情させるためのアイテムとは比べるのもおこがましい」

上条「どちらにせよ大事な部分以外は隠れてなくて、おへそどころかお尻までほぼ丸出しなことに変わりはないじゃない!! 仮にも女の子なんだからもっと恥じらいをもちましょう!」

オティヌス「ふん……」

オティヌス「そもそも神の体に恥ずべきところなどない」キリッ

上条「だから目の毒だってんだろうがバカ『姉』」


――――――上条家・ダイニング

上条「おはよー母さん」ガチャリ

詩菜「おはようございます当麻さん。あら。あらあら、オティヌスちゃんも一緒ですか。朝から仲がいいのねー」

上条「ま……まぁな……」

オティヌス「おい人間。補充したフライドポテトはどこだ、よもや買い忘れてはいないだろうな」

上条「ああ、それならもう冷蔵庫ん中――って、おはようぐらい言いなさいお行儀悪い!」

詩菜「あらあら、なんだか当麻さんがお母さんみたいね」


上条「……ていうか本当に米ひとつぶも残ってねえのな。――うわ! しかも炊飯器の中まで空っぽじゃん!」

詩菜「インデックスちゃんが『冷める前に全部食べないと我らが主に申し訳が立たないんだよジュルリ』って……」

上条「炊飯器の保温機能が何のためについてるのか知らねえのかあのアナクロ娘!!」

上条「……いやでも、食べて良いって言ったのは俺だしな。諦めてパンでも焼きますかー……――ん?」

スフィンクス「うみゃあ」ムシャムシャ

上条「………………………………流石にスフィンクスのごはんにまで手を出していないと安堵すべきか、ここ最近人間様より好待遇気味な三毛猫を糾弾するべきか」

オティヌス「どのみち『人間』の持つべき悩みではないな」

ガチャリ

刀夜「おお。当麻にオティヌスちゃんじゃないか」

上条「あっ、父さん……昨日の夜に帰ってきてたんだっけ。まだ寝てなくて大丈夫なのか?」

刀夜「ははは、社会人がそう休んでもいられないさ。今日は昼からまた本社に行かなくちゃならないしな」

刀夜「それより当麻。出張先でたくさんお土産を買ってきたんだ。今度のはアイスランドの『ミミルのなんとか』というヤツでな」

上条「またかよ父さん……毎度毎度出張行くたびにお土産なんか買ってくるけど、俺の不幸体質がよくなったことなんて一度もn」

オティヌス「――『父』よ。よく見せろ」ガタッ

上条「オティヌス!?」


オティヌス『……ふん、なるほど。大量生産の廉価品だけあって作りは甘いが、重要な譜号や象徴は外していない。悪くはないな』

刀夜『おお、流石はオティヌスちゃんだ。こっちはルーン文字を彫ったペンダントと聞いたんだが、どうだろう?』

オティヌス『ひどい。こいつはダメだな、共通ルーンと北欧特有のヤツがごっちゃになってる。よくある観光客狙いの詐欺だな、これは。売っていたのも現地の人間じゃないんじゃないか?』

刀夜『そうか……見た目が綺麗だったから思わず買ってしまったよ。しかしそうなると、あの店で買った物は全部だめかな』

オティヌス『まあ紀元前の頃からいる連中だからな。見た目がやけに凝ってるのもよくある手口……――って、おい! コレは凄いぞ! 馬鹿め、連中目利きがないからコレの価値を全く理解できていない!』

上条「……オティヌスが『こう』なったのって絶対父さんの影響だよなあ」

バタバタバタッ

ドンッ!

インデックス「大変なんだよ大変なんだよ!」

詩菜「あらあら、携帯を両手で持ってどうしましたかインデックスちゃん?」

上条「まーたプリン密室消失事件でも起きたのか。残念ながら犯人はお前だ」

インデックス「違うかも! だいたいあれはスフィンクスが場所を入れ替えてたから、私のがどれだか分からなくなっちゃっただけだもん!」

上条「最終的に『だったらどちらも食べればいいじゃない』と結論づけて上条さんのプリンまで食いやがって! 真犯人もドン引きだわ暴食シスターさんめ!」

インデックス「だってそもそもとうまが―――って、こんなこと言ってる場合じゃないかも!」

インデックス「ケイタイーに変なメールが来たんだけど、どうしたらいいのかな!」

上条「あん? メールってどんな……」

インデックス「――これ!」


「From:dai6inosyoutaiha@aopi.uso
 Subject:あなたも藍花悦になりませんか?

 最近、心配事が多くありませんか?
 忙し過ぎて五秒しか休みが取れなかったり、突然出てきた『どこにでもいる平凡な高校生』とのコミュニケーションが上手く行かなくて悩んでませんか?
 家のこと、学校のこと、留年のことや、JK化したラスボスのこと。人によって悩みは様々でしょう。
 苦しんで苦しんで、人格を否定され、存在を否定され、無間地獄を味合わされた挙句に生きるのが嫌になってしまうこともあるかも知れません。
 しかしそれは決して、あなたのせいでも、社会のせいでも、ましてやハイテンションじじいのせいでもありません。
 ただ、世界の構造。ヒトの歩んできた『ある営み』にこそ問題があるのです。
 例を挙げてみましょう。
 とある方は、「木原」だなんだと名乗ることでマッドサイエンティストの傍証にしたり。
 またある神は「オーディン(odin)」だの「ウォーダン」だの「オティヌス」だのいっぱい呼び名がありすぎてHOに出てきた時は途中まで気付かなかったぞファッk――だったり。
 そう、名前です。
 人が太古より繰り返してきた『名前を付ける』という営みそのものが、ヒトの世に混乱を生んでいるのです。
 民族紛争も国家間戦争も『科学』と『魔術』の軋轢も焼きリンゴ派と生リンゴ派の抗争でさえも、だいたい全部『名前』が原因なのです。
 実際思いませんか? サローニャとサンドリヨンが同じ巻に出てきたときはちょっと混乱したよ、とか。え、バードウェイって苗字だったの? 名前はレイヴィニアって……なにそれ可愛い、とか。
 ですので。私たちの目的は、名前を統一するという一点に集約されます。
 名前さえ統一すれば、神浄の討魔という中二ネームをウエスタンスタイルの痴女につけられることもないでしょう。また、テノールボイスの友人の本名がいつまで経っても分からなくてやきもきする必要もなくなります。
 さあ、どうでしょう。ほんの少しの間、鎌池和馬作品が刊行されてまた次の鎌池作品が出るくらいのわずかな時間でも構いません。一度だけ『藍花悦』になってみませんか?
 名前というしがらみを捨てて『藍花悦』になれば、きっと新しいあなたが見つかります。表面上の言葉に左右されない、本当のあなたが。
 私たち『藍花悦』はいつでも、いつまでもあなたを待っています――

 PS:最近、私たちを真似た活動を行う集団が増えています。『サンジェルマン』や『唯一無私』を名乗る集団にお気を付けください。                           」


上条「…………………………はい、消去」

インデックス「あっ! とうま勝手に消しちゃったの!?」

上条「勝手も何も、どう見ても怪しげな宗教勧誘メールじゃねえか! こんなもんまともに目を通す前に消せ消せ!」

インデックス「でもでも、古今東西多くの神話や魔術体系において名前や真名は重要視されてるのは事実なんだよ」

インデックス「一件ダジャレみたいな新説も、後追いで調べていくとぴったり符号が合致したりすることも珍しくないって、とうまは知らないでしょ!」

上条「だーっ! そういうのはパッと見ちゃんとしてるっぽいもんなの! 一部だけ筋が通ってたって、それで文章全体を覆う闇が払拭できるわけじゃないでしょうよ!」

上条「仏教だって『殺生はいけません』とか言って一見優しそうに見えるけど、肉食全否定って時点で人の体構造とかそれまであった文化とか無視してるあたり超横暴じゃん!」

インデックス「それは違うよとうま。あれはインド全体で蔓延していた考えが途中で融合しちゃっただけであって、釈迦本来が始めた『仏教』そのものに肉食を禁じる戒律はないんだよ」

インデックス「神などの超越存在を認めない仏教は食に対するタブーに対しても合理性を求めるから、本当はむしろ食には寛容な教えなの」

インデックス「お酒を飲んではいけないのは、精神集中が乱れるから。臭いの強いものを食べてはいけないのは、人と人とのコミュニケーションを阻害しかねないから――っていう具合にね。もちろん過剰でなければ肉食は最初から禁じられていないかも」

上条「えっと、あのうインデックスさーん。それついてはよく分かったんでそろそろお止めいただけると……」

インデックス「大体ね、現在の仏教がなんで肉食を禁じているかっていうと、それは単なる教えの齟齬というよりは、食事を制限することによって自分自身を律しているんだよ」

インデックス「肉を食べることが駄目、なんじゃなくて、肉を食べずに我慢するから偉い、なの。だから禅宗のお寺なんかにいくと門前に『葷酒山門に入らず』なんて書いてあるのは、仏僧以外の肉食は禁じられていないことを逆説的に示していて……」

上条「――悪かったよ! 完全記憶能力でどっかの大学図書館のオカルト書籍まるたま暗記しちゃったお前に知識勝負した俺が馬鹿でしたごめんなさいッッ!! だからもう呪文にしか聞こえない難しい話は勘弁してっ!」

オティヌス「相手が理解を投げるほどのを知識を滝のように聞かせて戦意を折る……名づけて『魔滅の声(シェオールフィア)』、か」

上条「オティヌスもなんかかっこいい中二ネームつけてないで助けてよ! 上条さんオカルトはさっぱりなのっ! 精々が七つの大罪全部言えたら拍手喝采クラスなんだってばあ!」

オティヌス「あん? たしか昨日お前のベッドの下にあった映像媒体のパッケージには『ワルキュリエ九人姉妹と触手プレイ』なるタイトルが……」

上条「や、めろォォォぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!!」


上条「……か、上条さんのベッドの下は清廉潔白の無味無臭でございますことよ」

オティヌス「なんでそんなびくびくしてるんだ人間」

上条「お前が男子高校生の宝物庫を暴いたあげくに全世界に公表したからだよ墓荒らし。インデックスはあれだがいつもニコニコ笑顔の母さんの目がさっきから笑ってないの。わかる??」

上条「父さんに至っては『分かるぞ当麻、男にはそんな時期もある』ってうんうん頷いてんじゃねえぞちくしょう!」

上条「そもそもアレは青ピの趣味であって俺の趣味じゃないんだ! 軟弱な異世界転生やら貧乳妹モノなどでこの管理人のお姉さん一筋15年のオトコ上条当麻が満足できるとでも本気で思ってるのかよ父さん……っ!?」 

インデックス「話の内容はよく解らないんだけど、そこはかとなくカチンと来た」

詩菜「あらあら刀夜さんったらいつの間に当麻さんにこんな『悪い教育』をしてしまったのかしら」

刀夜「イヤイヤ母さん。こういうものは勝手に覚えるものであって父親が歯止めをかけられるようなものではないんだ。分かってやってくれ」

オティヌス「『母』よ、昨日の深夜に先んじて『父』の土産の品を漁っていたらアタッシュケースに手錠くっ付けたコスプレ娘のブロマイドが出てきたぞ。『連絡待ってます』だそうだ」

詩菜「あら、あらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあら」

刀夜「お、オティヌスちゃんっ!? ち、違うんだ母さんこれには深い事情がだなあ……!」

インデックス「大体なんで北欧神話のワルキュリエに触手が絡むのかな! 北欧神話は巨人の伝説とかが多くてそういうクトゥルフみたいな異形の怪物はほとんどいないハズなんだよ!!」

上条「うるせぇー! ドワーフさんの十徳ナイフはなんでもできるステキ設定なんだよ! 職人の技術は偉大なの!」

オティヌス「あいつら腕はいいが反抗的で気に喰わん。多少脅したくらいで呪いなんざ付与してきやがって」

上条「お前はお前でツッコミ待ちでいいんだな蛮族神! 美術部のマリアンから苦情が入ったことは忘れないっつーかあいつ普通なら苦情言われる側なんだけどなッ!」


上条「あーもー! つーかいい加減遅刻するっての! オティヌスは早く『制服』に着替えろよ」

オティヌス「うんしょ、と」

上条「ここで脱ぐヤツがあるかァ! 自分のお部屋で着替えてきなさいお願いだから!」

インデックス「とうまとうま。私は完全に準備万端なんだよ」

上条「いつもながらお前だけ修道服なのは違和感あるな……いやインデックス『は』本職のシスターだから仕方ないんだけど」

オティヌス「含みを持たせた言い方するなよ、踏みつけるぞ」

上条「だからなんで下着のまま出てくるんですかねーえっ! せめてシャツ一枚羽織ってくれてりゃいいのにニーソックスから先に履くとか変なフェチズムの匂いしかしないんだが……!?」

オティヌス「踏んでやるといったらこの興奮具合だ、我が『弟』ながらつくづく業が深い。神は安売りしないぞ一踏み500円」

上条「誰が払うかッッッ! 上条さんはノーマルもドノーマルなんですからッ、……いやでも一部の人にとっては500円って結構安いような――いやいや」

インデックス「むー。人をふみふみするだけで『ゥんまーい棒』が五十本も買える職業なんて聞いたことないかも。私もやりたい」

上条「落ち着けインデックス。そういうのは踏まれたガワの見たくもない顔を直視するストレスと等価交換なんだぞ。お前が思うほど楽な商売じゃあないんだ」

インデックス「でも普段とうやにするときは全然つらくないんだよ。喜んでもらえるし」

上条「あああん!? ヒトが理性と欲望の狭間で耐え忍んでるってのに親父あんた一体インデックスに何させてんだごらあああああああああああ!?!?」

刀夜「いやいや。腰が痛いとき、たまにやってもらっているんだよ。体重が丁度よくってねえ」

詩菜「あらあら。当麻さんは一体どんなことを想像したのかしら」

上条「………………………………………ぷ、ぷきー」プイッ

インデックス「ねえねえオティヌス。とうまは一体なにを言ってるのかな?」

オティヌス「さあな。『私はイベリコ豚です。イジメてくださってありがとうございます』あたりが適当か」

上条「…………そろそろ泣くぞ畜生」


詩菜「あら、もうこんな時間ですか。『家族』仲良くお話もいいですけど、三人とも早くしないと遅刻しますよ」

上条「うわっ、冷静に考えたらまだ着替えてもねえし。早くしてくれオティヌス」

オティヌス「ん? なんだ、一緒に着替えたいのか『弟』よ」

上条「そういうのいいから! あと五分以内に出ないと遅刻なの! これ以上出席日数削れるとマジでヤバいんだよ分かるかオティヌス、ア―ユーアンダスタン!?」

インデックス「……とうま。そこはAreじゃなくてDoかも」

オティヌス「……これは大人しく一年やり直した方が身のためか?」

詩菜「あらあら。当麻さん的には、高校生活は四年くらいあった方が良いと思ってるスクールレボリューション上等姿勢なのかしら」

刀夜「そう心配するな当麻。社会に出たらな、一年二年の歳の差なんて大して気にならなくなるさ」

上条さん「……もうやめてえッ!!」


――――――――3分後

上条「はいじゃあそれでは気張って学校行ってきます俺が無事進級するために! ――無事進級するために!!」

インデックス「……これが世に聞くふらぐーというものなんだね。世は無常なりなんだね」

オティヌス「まあ一回でも進級逃したらずるずる中退までリカバーできないのは目に見えてるからな。よもや人間がトラブルに見舞われる回数が減るとも思えんし」

上条「テメェらが一番物騒なフラグ立ててるからなこんにゃろう」



「――さて、三人とも」




「気をつけていってらっしゃい」

「「「行ってきまーすっ!」」」



……という訳で、本作は「とある魔術の禁書目録」を原作とした学パロ(※学園パロディ)ssです
よって設定から何まで原作改変どころの話ではないので広い心で見守ってください。いまさらですが原作ネタバレ注意

学生の街が舞台なのに学パロが必要な原作とは一体……と思わなくもないのですが、公式海賊版で卒業式ssとかやってる時点で今更ですね
ちなみに私は読んだことないです(白目)

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婚活事情ネタwwww


以下キャラクターの捕捉です


   上条当麻【高1】

・皆さんご存知ぼくらのヒーロー。もちろん本作でも主人公

・ツンツン頭がトレードマークで、ダストボックスから手に入れたパーカーの上に学ランを羽織るという前衛的ファッションセンスの持ち主
 原作でも上条さんの服装パターンは幾つかあるのですが、私は↑が一番好きなのでそういう風に脳内処理していただくと助かります。もちろん脳内でお好きな制服を着せるのも可

・本作は一応学パロということになっているので、超能力も魔術もなし。異能の要素は完全に排除されそこには不幸だけが残った。
 つまりいつもの上条さんです


   上条インデックス【中2】

・どう見ても血がつながっていないが上条の『妹』

・銀髪碧眼の美少女。白無地に金刺繍が施された高級ティーカップのような印象の修道服を着ている……
 って、おいおい学パロなら制服インデックスたんだろ分かってねえなというご意見は至極当然のことと思われますが、やはりインデックスと『歩く教会(今作ではオティヌスが命名)』は切っても切り離せないものと独断いたしました。よって本作でのインデックスは『本職のシスター兼中等部の二年生』という設定です。
 この辺のややこしいところは、実際に上条たちの通う『学校』が出てきてからまた改めて。ちなみに幻想殺しショック(脱衣)が起きていないので無数の安全ピンによるアイアンメイデン状態は回避されています

・完全記憶能力はアリ。大図書館のオカルト系書籍を全て読みつくした為、それらの知識については原作同様折り紙付きです。ただし本作では『イギリス清教の魔導書図書館』も『十万三千冊の魔導書』もただのオティヌスの妄言なのでご注意を


   上条オティヌス【高2】

・どう見ても血がつながっていないが上条の『姉』
・金髪碧眼の美少女。本作ではガチの隻眼ではなくファッション眼帯です。そして例のおっぱいもおしりも零れそうな黒装束はいくらなんでも過激すぎるので部屋着にコンバート
 制服は上条さんとこの黒セーラーも考えたのですが、個人的には枝垂桜学園の制服(参照URL:ttp://r-s.sakura.ne.jp/w/n/ni_r25.jpg)がオティヌスの体型的に一番しっくりきたのでそのように。が、もちろん脳内で(ry

・本編でも強調しているように今作での立場は『自分を魔術と詐術と戦術を極めた北欧の魔神オティヌスだと思っているおつむが可哀想な娘』です。
 オティヌスに限らず本作では中二病キャラが大量発生すると思われますが、その辺はもうキャラ再現のご都合ということでお許しください

・美術部所属


   上条刀夜

・上条・インデックス・オティヌスの『父』

・無精ヒゲのどこにでもいそうなおっさん。ただし外資系企業でバリバリに働くエリートであり、かなり頻繁に海外出張を繰り返している。上条の不幸体質を何とかしようと怪しげな『お土産』を買ってくる悪癖がある
 ……と、まあぶっちゃけ原作とほぼ設定変わりません。強いてこのssで特筆することがあるとすれば、彼は断じて『浮気も不倫もしていない』ということでしょうか


   上条詩菜

・上条・インデックス・オティヌスの『母』

・実年齢より若く見え、深窓の令嬢のような雰囲気を漂わせている……と記述されているが、実のところ原作本文でこれといった具体的な容姿への言及はない。原作イラストやアニメでは茶髪のふんわりしたセミロングの美女として描かれている
 刀夜と同じくこちらも原作と設定はほぼ変わらず。インデックス・オティヌスの二人の『娘』とは非情に良好な関係を築いており、男二人をほっといて女性陣だけで出かけることもしばしばある

>>15
ありがとうございます。気付いてくれたか……! という嬉しさでいっぱいです
他にもちょこちょこ他作品ネタつっ込んでますが、長編の中だとインテリだけノータッチなのが反省点

……あと反省と言えば、思った以上にキャラ捕捉が見辛いですね。蛇足感ありますし次以降はない方がよさそう

が、学パロですよー(震え声)


――――――通学路。

ねこ(ニャアニャア

美琴「ほーらちっちっち。こっちよこっちー」

ねこ(ニャァ-! フシュゥーッ 

美琴「あっ、いや、そんなに怒らないで……!」

ねこ(ステテコテテコ オシリ ペンペン

美琴「――っておいマテなんか明らかに馬鹿にしてるよなコラ」

御坂妹「お姉様の小動物嫌われ体質は筋金入りなのですから早く諦めた方がいいのでは、とミサカは提案します」

美琴「いやあれは関係ないでしょ! ていうか未だにお尻こっちに向けて叩いてんだけど! どんだけ器用なのあの猫!?」

御坂妹「ああ、あれは最近この辺に越してきたウ-トガルザルロキさんの飼い猫です、とミサカは懇切丁寧に説明します。名前は……確かヨルムンガントとかいう

美琴「いやそっちも大概だが、あんたのそのノリの方がよっぽどどうかと思うぞ私は……最近じゃ『末っ子』も変な影響受け始めてるし、中二病なんて早めに解決しておくのが身のためよ。あとで恥かくのは自分なんだからね」

御坂妹「あっ言いやがったなこのまな板、とミサカはお姉様の空気を読まない発言に辟易します」

美琴「おうコラやんのかドッペルゲンガー」

御坂妹「体系はほぼ変わりませんが、こう見えてミサカはお姉様の一つ年下。つまり発育の速度はお姉様より遙かに上だ、とミサカは若人の持つ可能性を存分に強調し……」


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