祝 艦隊これくしょん10周年 (29)

「ちょっと30分だけ」
そんなつもりで始めたゲームで徹夜してしまったことはないだろうか

「あと5分、少し休むだけ」
と言いながらうっかり爆睡。気が付いたら昼だった
そんな経験はあるだろうか

「2時間もあれば終わるだろう」
と、思った課題が2日かかる。ありがちなことだ

世の中すべてが予定通りに動くわけもなく、計算外のことが発生してしまうのは
やむおえないことで、しかしながらペナルティは必然で

徹夜には疲労
寝坊には遅刻
課題には締め切りの踏み倒しおよび落第がセット商品
タイム イズ マネー 
何事にも延滞料金は付き物なのだ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1541314447


呂500「次も連続出撃?」
呂500「はい、兵は神速を貴ぶ 速攻で攻め落とす意向ですね」
呂500「承知いたしました 迅速に取り組みます」

提督「…ろーちゃんも日本語上手になったなぁ」

呂500「もう十年もいますから」

提督「十年かぁ」
提督「早いねぇ…」



当初1年程度で終息すると見込まれていた深海棲艦との闘いは開始から丸十年が経過した
艦娘部隊の尽力で侵攻こそ食い止めたものの
こちらが反撃に出ると深海へと逃げ込む
こちらが引き返すとまた出てくる

敵のゲリラ戦術に対する有効策はなく、戦況は一進一退
あっちで勝ってこっちで負けてどっちはそっち?
ずるずると長引くこと10年を数えている

…呂500は10年前からはいなかった気もするがまぁいいだろう

どちらにせよ長い年月を過ごしたことには変わりなく
彼女の外見も当時の幼さを過分に残した姿から、すっかり美しい女性へと成長した。

呂500「そ、そのことで…あの」

提督「ん?」

呂500「そろそろスク水は恥ずかしいです…って」

内腿の食い込みを指で引きながら少女……いや、成人女性が答える
声は羞恥で震えており。肌はうっすらと上気していた

提督「指定制服を勝手に変えるわけには…すまない」

呂500「いえ、いいんです…では」
何度も告げた同じ回答
彼女はこちらに背を向け退出した。

そんな彼女の後姿
決して肥満しているわけではないが、布で締め付けられた臀部からは肉が溢れんばかりであり
もう固いばかりの未成熟さは存在しない ただただ熟れ始めた肉体とのアンバランスさが
ダンケダンケ

戦争の長期化により発生した問題
その一つは成長への対応である。
従来の兵士とは異なり成長期年代の少女が多い艦娘部隊はその成長に対応が追い付かず
食事の量
ベッドのサイズ
そして服装などあらゆるところに変更の遅れが目立つ

まったく官僚組織は動きが遅い
島風なんてエグいじゃなくてエロいことになってるぞえらいこっちゃ



だがそんなことはもう一つの問題と比較すると大したことではない
本当に深刻な問題
それは

ガチャ
伊勢「提督、お疲れ様です。出撃を終え帰投しました」

提督「ああ、お疲れ様」

思考を遮る次の艦娘
ろーちゃんが退出するのを待機していたらしく
入室するや否やあたりをキョロキョロ
誰も居ないことを確認すると後ろ手でドアを閉め、こちらを見て
少し顔を赤らめながら言った


伊勢「それで その 考えてくれたかな?」

伊勢「こないだのお婿さんの話」

提督「いやだから無理だって」

伊勢「…そこをなんとか」

提督「NO」

伊勢「お願いだから」

提督「我慢してくれ」

伊勢「退官させてよぉ」

退職願いを握り潰すこと5度
最近は執務室にまで乗り込んでくることが増えた

伊勢「あたしもういいかげん実家に帰ってお見合いしてお婿さん探さないと」

伊勢「家…先祖代々続いてるとこなの一人娘なの」

伊勢「そんでもって…」

伊勢「そんでもって…」

伊勢「3〇才ってもうギリギリなの」

伊勢「子供産まないと家が絶えるううううううう!!」

提督「……でも無理なんだよ」


提督「入隊の時契約したろ」

『守秘義務契約 第一条
 艦娘部隊は、正義と秩序を基調とする平和を誠実に希求し
 その能力を紛争を解決する手段としてのみ使用するものとする。
 前段の目的を達するため、戦時体制下の退役はこれを認めない。
 また、職業選択の自由は、これを適用しない。』

提督「終戦まで共に頑張ると誓ったじゃないか」

提督「当時は同意したろ な?」

伊勢「…」
伊勢「だって」
伊勢「こんな長引くなんて思わなかったんだもん」

シクシクシク
あの気丈な伊勢が泣いている
三十路半ばのマジ泣きである
もはや悲壮感を通り越して笑うしかないが笑えないけど笑ってごまかさないと
現状は受け入れられない 

それほどまでに事態は深刻
問題は加齢
多くの艦娘が婚期を逃そうとしているのに戦争が終わってくれないのだ



伊勢「ひどいよ」

伊勢「あんまりだよ」

伊勢「35歳を超えた独身が結婚できる率は3% 女性に限るとなんと2%」

伊勢「あんまり高望みとかするほうじゃないけどこのままだと」

伊勢「日向なんてひどいんだよ」」

伊勢「あいつ『この年で独身…まぁそうなるな』 『で、老後はどこに住みたい?』とか聞いてくるんだよ諦めてるんだよ」

提督「…仲良くしろ」

伊勢「やだよぉ おばさん同士二人暮らしとか」


伊勢を慰め、逃げ…定期巡回へと旅立つ
10年経過し、多少ガタが出てきた鎮守府内をうろうろうろうろ
あ、ここ壁にヒビ入ってる

陸奥「あらあら提督 こんにちわ♪」

あ、厚塗りにちょっとヒビ入ってる



さて、壁のヒビを塗りなおさなければいかんなぁ
確か倉庫に左官道具があったはず

ヌリヌリヌリヌリ
ううん、綺麗に塗れたけど今度は塗りなおした部分と日焼けした部分の差が目立つなぁ
やっぱり新品同様とはいかないか

提督が左官をしているのが珍しいのか何人かがこちらを見ながらひそひそひそ

「うふふふふっ提督さんは転職したみたいね」
「相変わらず仕事しない…」
「失礼な! 頑張って頂いているのに!」
「…ペコリ」

妖艶で色気に溢れる荒潮、高貴なお嬢様風となった満潮
正統派ミス日本系統美女朝潮に一人だけ背が伸びなかった2代目RJ大潮

20代の新鮮な美を見るとすこしほっとした気分となる
本人に責はなくとも色々と考えてしまい悲壮感を漂わせている相手との会話は息が詰まるものだ

隼鷹「ヒャハハハハハハ」デブリ

那智「あははははははは」ポッコリ

隼鷹「最近太っちまったよ畜生」グビグビ

那智「アルコールのカロリーは馬鹿にならないからな」シタバラー

ポーラ「ポーラは最近痩せました~ なんかみるみる体重落ちて」カオイロワルイ

ちょっとは先のことを考えろというやつもいる

プリンツ「私たちいつになったら国に帰れるんでしょうねビスマルク姉さま」

プリンツ「ところで酒は冷? 熱燗?」

ビスマルク「燗で頼むわね ぬる燗」

プリンツ「ああ 今頃国では ラマ・ダーンが」

ビスマルク「まだ私が知っているドイツはあるのかしら」

先のことを考えても仕方ないか

増えてしまった取り扱いに苦慮する人材

独身三十路中盤はおおむね4つに分類される
①伊勢 パターン 現実に直面してただただ焦る いい人がなりがち
②陸奥 パターン まだまだ若さも美も捨てていない 頑張る 自分に自信がある人がなりがち
③のんべパターン わが道を行く 人生遠投

そして④飢えているパターン 

金剛「Hey、提督ぅー! 見つけましたヨー!!」

げっ

金剛「さぁ ベッドに行くネ oh yes cominng!」

提督「時と場所をわきまえなよ」

金剛「10年待たせて時も場所もねぇヨ」 


最近ほうれい線が目立つようになってきた金剛は押しが強い

金剛「10年間皆が離れていく中貫き通したこのShining love」

金剛「もういいダロ 妥協しろよ」

提督「この先運命の艦娘が着任するかもしれない、第一唯一の男が誰か選んだら喧嘩になんだろ」

金剛「お前髪薄いんだよもう新たな出会いないよ」

提督「提督LOVE勢が最後の一人になったら考えなくも」

金剛「どんなゲテモノでもメニューが1種類しかなかったら大抵ソレ頼む」

提督「お前絶対俺のこと好きじゃないだろ」

金剛「Congratulations!! 結婚したいとは思ってるヨ」



毛髪と共に自分の外見的魅力が乏しくなって以降
大体の4番提督love勢は「とりあえず結婚したいが他に相手がいないから」という30代がほとんどを占めている


昔、好きと言ってくれた子たちもこの通り


皐月「私の年齢ではまだそこまで妥協したくないと思っています」(23歳)

天津風「風になびく髪がある人が好き」(24歳)

睦月「人の気持ちや考えは変わるものにゃしぃ」(女子)

酒匂「司令は阿賀野ちゃんを貰ってあげて 酒匂はまだ大丈夫だから…」(28歳)

多くには見捨てられてしまった

だがまだまだ4番は幾人もおり、現段階で一人を選ぶと争いになってしまうだろう
未だ、敵との闘いは熾烈を極めており、主力層に多い30代4番を同士撃ちさせるわけにはいかない

だからこうして
4番の皆が話しかけてきてもバランスを取って対応して

蒼龍「提督。うん!我が二航戦は準備OKよ。いつでもどうぞ!」(33歳)

大和「いえいえ、大和の居住性が一番です。ホテルでもいいです もういいです」(34歳)

由良「提督さん…由良も宜しくお願いしますね? ね? ねぇ?」(31歳)

香取「はいはい そんなに提督を困らせないの あらやだ、これじゃ子供たちを窘める夫婦みたい ね?」(××歳)

榛名『榛名は大丈夫ですいつまでも待っています大丈夫です大丈夫です待っています大丈夫です ね?」(34歳)

怖い怖い怖い

若くして提督になったエリート高級取りど真ん中ストレートだったころは当然と思っていたが
ハゲ中年になった今、女性に迫られるのはかなり怖い
どうして打ってもファールにしにかならない変化球を打ちに来るの?必死なの?
十年間が彼女たちのカウントを0-0から3-2にしたことは理解できるが


あ、臭い球カットしにきてんのか
キープか

だけどまぁその心理
わかるよなんか嫌いじゃない

純粋に愛だの恋だの言う人より信頼できる
フランス料理よりコンビニ弁当のほうが食べたい気分的なのそういうの

提督「そういう愛もあってもいいのかもね?」

と、通りかかった大井に同意を求めてみたら

「私、北上さんにも同じこと言われました」
「大井っちは愛とか恋じゃなくて落ち着く相手なんだよ。って」
「知ってました? 北上さん今彼女4人いるんですよ?」
駆逐艦の若い子ばっかり
この世界に落としたの私なのに 今では私キープ扱い キープ扱い ははは」

「でも好き!!!!」
あまり触れないほうがよい話題だったようだ

当初はあんなに愛し合っていた二人の関係も
擦りきれボロきれ煮しめた色の儚いものになっていたらしい


そっか
10年一緒にいたんだもんな
情熱なんてものは10年も継続しない
いつのまにか 皆との関係はおふくろの味になっていたんだ

でも続いているのは凄く尊くて
それを鑑みるとやっぱり結婚するんであれば

提督「できればろーちゃんみたいな若い子がいい」
呂500「 慎重に検討を重ねさせて頂きましたが、
誠に遺憾ながらご希望に沿えない結果となりました。 今後の婚活をお祈りいたします」
提督「日本語上手になったなぁ」

呂500はニコッと笑うと「メルシー」って言って舌を出した
やだ、外人のてへぺろ可愛い
そのまま舌にしゃぶりついて嬲り回したい
ついでにその発育に合っていないスク水を破いて…いかんいかん

煩悩を振り払い執務室を出る
いやぁいい体に育ったものだ
できれば もう 2年くらいして肉体の絶頂期を迎えた時にあの 服装だとベスト





ふと気がついた

もしかしてこのまま戦争さらに5年…いや10年20年続いたら…
どうなるか

最年少の択捉ちゃんですら30代後半となり、多くは更年期を迎え
一部は還暦を意識する年齢となったおばさん軍団の中で自分の立場は老後は人生は?
背筋が凍り付いた




そして決意した
総員を呼び出し声を張り上げる
提督「全員に告げろ 今から…全戦力を持って敵本拠地に突撃する」

呂500「ええっ?」
呂500「弱馬道を急ぐ 功を焦ってはいけません」

伊勢「…いや、行こうすぐ行こう今行こう」
金剛「根気は大切ヨー?
伊勢「そうだ 婚期が大切だ」

呂500「無謀ですって 待って やめ」

提督「一気呵成に敵を粉砕する」


皆の嫁入りのため俺の人生のため
絶対に諦めない心と信じられる仲間がいれば できないことなんてきっとない

提督「行けぇえええええええええええええ!!」

「「「おう!!!」」

おわり

テーマ レミング

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年11月28日 (水) 15:04:58   ID: 0pxE43yR

人権問題

適時、交代で憑依する人間を入れ替えれば良い。

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