【シャニマス】甜花「このままじゃ、ダメ……!」 (42)

甘奈「え?」

甜花「甜花……このままじゃ、ダメになる……」

甜花「なーちゃんがいないと、生きていけない……ダメ人間になっちゃう……!」

甘奈「そうかなぁ? あれだけ不安がってたアイドルのお仕事も、今は一生懸命がんばって楽しんでるし」

甘奈「いつの間にか、1人で何でもできるようになっちゃうと思うけどなー」

甜花「えっ……そう思う……?」

甘奈「うん! 甜花ちゃんはできる女の子だから!」ニコニコ

甜花「甜花はできる子……にへへ……」

甜花「じゃあ、まだなーちゃんに甘えててもいいよね……?」

甘奈「当たり前だよ! 歯磨きの続きしよ? はい、あーんして」

甜花「あーん……」


甜花「はっ……!? だ、ダメ……!」プイッ

甘奈「どうしたの?」

甜花「これ、いつものパターン……こうして甜花は、なーちゃんの優しさにハマっていく……」

甜花「堕落していく……危ないとこだった……」フゥ…

甘奈「もー、気にしすぎだよ甜花ちゃん。歯磨きを妹にしてもらうのなんて、万国共通で一般常識だからね」フフ

甜花「……」

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甜花「なーちゃん……」

甘奈「?」

甜花「甜花が、堕落の一途を辿ってる原因……なーちゃんにもあると思う……」

甘奈「え」

甜花「なーちゃんは、お掃除もお洗濯も、てきぱきこなして……お料理も作れる……ハイスペック……」

甜花「その上、甘えさせ上手……甜花のお世話、嬉しそうにしてくれるから……ついつい甘えちゃう……」

甜花「もちろん……一番悪いのは、甜花だけど……」

甘奈「ど、どっちが悪いとか、そういうことじゃないと思うな。甘奈は甜花ちゃんのお世話してて幸せだもん!」

甘奈「甜花ちゃんは、お世話されてどうだった? 喜んでくれてたよね?」

甜花「……」

甘奈「て……甜花ちゃん……?」

甜花「喜んでたのは確か……だけど……」

甜花「あのね、なーちゃん……。さっきなーちゃんは、甜花のこと……できる子だって言ってくれた……」

甜花「でも、正しくは……やればできる子だと思う……」

甘奈「うんっ! そうだよ! 甜花ちゃんはやれば何でも…」

甜花「だから、甜花……これから、やらなきゃいけない……」

甜花「やっぱり、なーちゃんに甘えないよう……がんばらなきゃいけない……!」グッ

甘奈「!!」

甜花「歯ブラシ、貸して……」スッ

甘奈「あっ」

甜花「これからは……歯磨き、自分でやる……」

甜花「これが、甜花自立の第一歩……!」シャコシャコ

甘奈「……甜花ちゃん……」

――――

千雪「そんなことがあったの」

甘奈「……」

千雪「で、いつもみたいに甘えて来てくれないから、しょんぼりしてるのね」フフ

甘奈「し、してないよ。甜花ちゃんの一世一代の決意だもん」

甘奈「甘奈は応援してあげなきゃ。自分の脚でしっかり立とうとしてる甜花ちゃんを」


甜花「うぅぅ……」グッタリ


千雪「レッスンでヘトヘトになって、違う意味で立てないみたい……」

甘奈「て、甜花ちゃん!?」スタタッ

甜花「来な、いで……!」

甘奈「!?」

甜花「大丈夫……甜花、まだ余裕……っ」プルプル

甜花「ここで、なーちゃんに頼ったら……ぜんぶ水の泡、だから……!」

甘奈「甜花ちゃん……!」ウルウル

甘奈「分かった、じゃあ全力で応援するね! がんばれ!」

甜花「ふうっ……くっ……!」プルプル

甘奈「がんばれ! 甜花ちゃんなら立てる!」

甜花「うゅーーっ……!」プルプル

千雪(生まれたての子鹿さんみたい)

甜花「……え、いっ……!」スッ

甜花「や、やった……! ひとりで立てた……!」パァァ

甘奈「すごいっ! すごいよ甜花ちゃんっ!」スタタタッ

甜花「にへへ、なーちゃ……あっ」

甜花「ダメ……!」

甘奈「!!」ピタッ

甜花「こ、このくらい……甜花なら、できて当然……」キリッ

甜花「だから、褒めるのも、なでなでもいらない……」

甘奈「そ……そっか。そうだよね」

甜花「お水飲んでくる……」

スタスタ

甘奈「……」

千雪(またしょんぼりしちゃった)

千雪(それにしても、甜花ちゃんの意思は本物みたい。いつもならすぐ立たせてもらうのに)


――――

甜花「なーちゃん……」

甘奈「どうしたの!? ケーキ食べさせてほしいの!?」キラキラ

甜花「ち、違う……ひとりで、食べれる……」パクッ モグモグ

甘奈「そう……」

千雪(やっぱり甜花ちゃんのお世話ができなくて辛そうね)

千雪(こうなると、甘奈ちゃんも『脱・甜花ちゃん』を目指さなきゃ)

甜花「ケーキじゃなくて……これ、見て……」ピラッ

甘奈「?」

甜花「千雪さんも……」

千雪「私も?」スッ

千雪「これは……」

甜花「さっき考えた……甜花が自立するための、5ヶ条……」

甜花「これからは、これを意識して生活する……」

千雪「確かに、この5ヶ条が当たり前になれば自立したと言ってもいいと思うけど」

千雪「大丈夫? 一気にやらなくても、少しずつ…」

甜花「へーき……! 甜花は、やればできる子だから……!」フンス

千雪(すごいやる気。まるで別人を見てるみたい)

千雪(だけど……)

甘奈「いいんじゃないかな」

千雪「!」

甘奈「甜花ちゃんなら、きっとすぐに慣れちゃうよ!」

甘奈「応援するからね!」スッ

甜花「なーちゃん……ありがとう……」ギュッ

千雪(固い握手……)

千雪(そうよね。せっかくの決意なんだから、口は出さずにしばらく見守りましょう)

――――


『甜花自立への5ヶ条・その1』


甜花「規則正しい生活リズムを、身につける……!」デデン

甜花「朝、決まった時間に起きて……夜、決まった時間に寝る……」

甜花「お昼寝は1日30分……ゲームは1日2時間……」

甜花「お休みの日も……なるべく……同じ、リズムで……」ウトウト

甘奈「あ……! 甜花ちゃん、うとうとしてる……!」コソコソ

千雪「いつもならお昼寝の時間だから」コソコソ

甜花「……zzz」

千雪「あら、ソファーに座ったまま夢の中へ」

甘奈「ヤバい! もう30分のお昼寝は済んでるし、このままじゃ甜花ちゃん自立計画が危うい!」

甘奈「何とかしないと。何とか……」

千雪「甘奈ちゃん」ツンツン

甘奈「え?」

千雪「あれを見て」

甜花「うー……!」ブンブン

甘奈「あれ? 起きてる」

千雪「必死に頑張ってるわ。このまま眠らず過ごせるといいけど」

甜花「……zzz」

甜花「はっ……!? ね、寝てない……甜花、ぜんぜん寝てない、よ……」

甜花「うう……睡魔、強力……このままじゃ負ける……」

ポワンッ

悪魔甜花『ふっふっふ……』

甜花「!」

悪魔甜花『ちょっとくらい、大丈夫……1日だけなら、平気……』

悪魔甜花『眠っちゃえ……きっと気持ちいいよ……』

甜花(そ……そうだよね……追加で、30分くらいなら……)

ポワンッ

天使甜花『ダメだよ……』

甜花「!」

天使甜花『妥協しちゃ、ダメ……自分で決めたことだから……』

天使甜花『最後まで、やり通さなきゃ……』

甜花「……」

甜花「うん、その通り……。甜花、がんばる……!」

甜花「あぅ……でも、睡魔がホントに強い……眠すぎる……」ウトウト

甜花「ようし……事務所の中、歩く……」スッ

スタスタ

甜花「こ……こうしてれば、眠気に負けない……」

甜花「……zzz」ガクッ

甜花「はっ……!? こ、この……!」ペチ

甘奈「甜花ちゃん、ほっぺを叩いて眠気を堪えてる……!?」

甘奈「並外れた根性だよ……! さすが甘奈のお姉ちゃん……!」ウルウル

千雪「甘奈ちゃん、あまり身を乗り出すとバレちゃいますよ」

――――


『甜花自立への5ヶ条・その2』


甜花「お菓子の摂取量を、最小限に抑える……!」デデン

甜花「これまでは……際限なく、お菓子を食べてた……」

甜花「ポテチ、チョコレート、アイス……アメ、グミ、なーちゃん特製スイーツ、などなど……」

甜花「色々あるけど……どれか1つだけで、1日を乗り切る……」

甜花「……もうケーキ食べちゃったから……がまん……」

千雪「甜花ちゃんそんなに食べるの?」

甘奈「ううん。最低2つ、多くて3つだよ」

甘奈「近頃はアイドルのお仕事が忙しいから、反動で3つくらい食べちゃうかな」


智代子「あっ、甜花ちゃんだ!」

甜花「!!」ササッ

智代子「え? な、なんで身構えるの?」

甜花「智代子ちゃん……通称チョコちゃん……」

甜花「いつも甜花に、美味しいチョコレートくれる……優しい人……」

智代子「えへへ、だって美味しいものはみんなで食べた方がいいし」

智代子「そうだ! 実はさっき有名店の限定チョコをゲットしたんだけど、よかったら食べる?」

甜花「はう……!?」

甜花「げ、限定チョコ……うう……ほしい……」

智代子「あげるよ。はいどうぞっ」スッ

甜花「……美味しそう……」ゴクリ

甘奈「ダメだよ甜花ちゃん……! アイス食べたんだから我慢しなきゃ……!」

千雪「あ、手が伸びてる」

甘奈「甜花ちゃーん……!!」

甜花「にへへ……1日だけ、2つ食べたって……」

ポワンッ

天使甜花『ダメ……せっかく、自立しようと頑張ってるのに……』

甜花「!」

天使甜花『ここで負けちゃ、ダメ……頑張って……!』

甜花「そ、その通り……ちょっとの油断が、命とりになるかもしれないし……」

ポワンッ

悪魔甜花『ふっふっふ……』

甜花「!?」

悪魔甜花『1つくらい、余分に食べても……大したことない……』

悪魔甜花『きっと美味しいよ……限定チョコ……。1つ、食べちゃえ……!』

甜花「お……美味しいチョコ……」

甜花「限定の……」

智代子「うん、限定のチョコ! 口に入れたらとろけちゃうんだー」

甜花「……」ダラー

甘奈「甜花ちゃんのヨダレがすごいことに」

千雪「我慢できるかしら……」

甜花「……」


甜花「ご……ごめんなさい……!」ペコリ

甘奈・千雪「!!」


甜花「甜花、今……すといっくな生活を、目指してる……」

甜花「気持ちは嬉しい、けど……チョコは、遠慮します……」ペコリ

智代子「あっ、そうなんだ。ごめんね? そんな時に誘惑しちゃって」

甜花「ううん……で、でも……」

甜花「明日なら、食べられるから……」チラッ チラッ

智代子「そうなの? なら事務所の冷凍庫で冷やしておくから食べてよ!」

甜花「いいの……?」

智代子「メモも添えておくよ。『これは甜花ちゃんの』って」ニコッ

甜花「あ、ありがとう……!」パァァ

甘奈「甜花ちゃん……よく耐えたね……偉いよ……!」グスッ

千雪「だ、だから甘奈ちゃん。そんなに身を乗り出すと見つかっちゃうから」アセアセ

ここで区切ります
続きは明日に

>>10
甘奈のセリフがアイスになってますがケーキでした
>>11
智代子のセリフ、冷凍庫でなく冷蔵庫です

甘奈「見つかってもいいと思う! すぐ近くで応援したい!」

千雪「そうすると、甘奈ちゃんに頼るっていう、甜花ちゃんへの誘惑が1つ増えちゃうから……」

甘奈「あっ、そうだった……。甘奈も甜花ちゃんへの甘やかし欲を無くさないと」

千雪「応援したいって気持ちは、甘やかしでも何でもないと思いますよ。こっそりと見守ってあげましょう」

甘奈「うん!」

――――


『甜花自立への5ヶ条・その3』


甜花「なるべく、外に出る……!」デデン

甜花「甜花、学校とお仕事の時以外は……ほぼ自宅警備してる……」

甜花「それはマズい……ゲームやお昼寝の時間を、制限しちゃえば……外出の時間も増えるし……」

甜花「お散歩でもして、健康的になろう……!」グッ

甜花「さっそく行動する……。今日はもう、やることないから……じっくり外で過ごせる……!」

スタスタ

甘奈「甜花ちゃんが1人で外に出ようとするなんて」

千雪「半端な覚悟じゃないってことね。改めて、甜花ちゃんの覚悟が伝わってくる」

甘奈「大丈夫かな? 人酔いしないかな?」

千雪「この辺はそんなに多くの人が通らないから、大丈夫だと思うけど……」

千雪「もしものことがあったら、助け舟を出しましょうか」

甘奈「うん、そうしよう」


――――

甜花「……」スタスタ

甜花(甜花……なーちゃんや、千雪さん……プロデューサーさんがいなくても……歩けてる……)

甜花(1人で、お散歩してる……)

甜花(ふふ……ウォーキング……今の甜花は、意識が高い……)キラーン

千雪「今のところ、順調ね」

甘奈「だね。歩き方も普通だし、顔も自信が満ち溢れてる」

甘奈「甜花ちゃんのドヤ顔、可愛いなぁ」ニコニコ

千雪「うふふ、そうね」

甘奈「あ! 人が来た!」


「でさー」 「マジで?」


甜花「……」スタスタ

甘奈「おお! 難なくすれ違った! 甜花ちゃん、成長したね……!」

千雪「ええ」


「はい、お世話になっております」 「あははは!」


甜花「……」スタスタ

甘奈「また普通にすれ違った!」

千雪「……いいえ、よく見て」

甘奈「?」

甜花「……」プルプル

甘奈「あっ、ちょっと震えてる」

千雪「苦手意識はまだあるみたい」

甘奈「多少は仕方ないよ。このままいけば、いずれは1人で都心を歩けちゃいそう!」

千雪「そうなるといいですね」フフ

甜花(……ふー……間違いない……)

甜花(甜花、成長してる……!)

甜花(完璧とまではいかないけど……知らない人、大丈夫になってきた……)

甜花(サイン会、握手会で……ファンの人と、お話ししてるおかげかな……にへへ……)

スタスタ

甜花(……ちょっぴり、疲れてきたかも……体力的にじゃなくて、精神的に……)

甜花(お散歩、気持ちいいけど……事務所に帰りたくなってきた……)

ポワンッ

悪魔甜花『帰ろう……』

甜花「!」

甜花(また出た……甜花の、悪の心……!)

悪魔甜花『お散歩なんて、つまんない……事務所に帰れば、お昼寝もできるし、限定チョコも食べれる……』

悪魔甜花『まだ、眠いでしょ……? 甘いもの、食べたいでしょ……?』

甜花(ううっ……)

悪魔甜花『それとも、お家に帰る……? ゲームができるし……どの場所よりも、リラックスできる……』

悪魔甜花『さあ……自分に正直になって……』

甜花(く……屈しない……甜花、屈しない……!)

甜花(せっかくここまで、頑張れてるから……やり遂げなきゃ……)


ポワンッ

天使甜花『その通り……ここまでよく頑張ってる……』

天使甜花『今までの甜花からは、考えられない……すごいこと……』

甜花(うん……)

天使甜花『なーちゃんや、千雪さんも……背中を押してくれてるはず……』

天使甜花『甜花のすごいとこ、もっと見せよう……』

甜花「……うん……!」

甜花「ありがとう、善の心……やる気出てきた……。ちょっと先の公園まで、出発……!」

スタスタ

甘奈・千雪「……」

甘奈「千雪さん」

千雪「なに、甘奈ちゃん?」

甘奈「甜花ちゃん、本当によく頑張ってるね」

千雪「ええ」

甘奈「実はね? 甘奈、良くないこと考えてたんだ」

甘奈「『甜花ちゃんのことだから、すぐ甘奈を頼ってくれる』って。自分が甜花ちゃんを甘やかしたいからって、そんなことを」

甘奈「でも、あの顔を……甜花ちゃんの『やるぞ!』って顔見てたら……」

甘奈「自立計画、心の底から応援したくなった」ニコッ

千雪「そうね。あんなに必死だもの」

甘奈「いい加減に甘奈も、甜花ちゃんを気にかけるの卒業しないとね」エヘヘ

千雪「ううん、姉妹だから気にかけて当然よ」

千雪「ただ歯磨きとか、ご飯を食べさせたりするのは……」

甘奈「あはは……ほどほどにしないと、だね」


――――


『甜花自立への5ヶ条・その4』


甜花「知らない人と、お話する……!」デデン

甜花「外出できたから、次の段階に移る……名前も、顔も知らない人とお話して……人見知りを、克服していく……」

甜花「最初はあいさつだけでもいい……話しかけよう……」

甘奈「あの甜花ちゃんが知らない人とお喋りなんて」

千雪「驚きの連続ね」

甘奈「これこそ不安だよ……大丈夫なのかな? パニックで固まっちゃうかも」

千雪「ファンの方との交流で、ある程度は喋れるようになってると思うけど」

甜花(うー……ハードル、高すぎたかな……)

甜花(そ、そんなことない……! 甜花は、やればできる子……自信を持って……)

甜花(えっと……誰にしよう……)キョロキョロ

甜花(あ……向こうの、ベンチに座ってるおばあさん……優しそう……)

甜花「すー……はー……」

甜花(よし……)スッ

スタスタ

甜花「……」スタスタ

スタスタ

甜花「……」スタスタ

甘奈「おばあさんの周りをウロウロしてる」

千雪「なかなか勇気が出ないのね」

甘奈「こうなったら、ここから念を送ろう。頑張れーって」

千雪「いい考え! 私も参加するわ」フフ

甜花(あぅ……一歩が、踏み出せない……)

甜花(甜花はやればできる子……甜花はやればできる子……)

甜花「……あ……」


甜花「あのっ」

おばあさん「?」


甜花「こっ……こんにち、は……」

おばあさん「こんにちは」ペコリ

甜花「い、いい……お天気、ですね……」

おばあさん「そうですねぇ。こんな日は、外に出ないともったいないわ」

甜花「て、甜花も、そう思いましゅ!」

甜花(あぅ……噛んだ)

おばあさん「あなた、とっても可愛いわね。モデルさんかしら?」

甜花「ふぇ? あ、えっと……アイドル、です……」

おばあさん「まあ、アイドル! すごいわねぇ」


甘奈「やったね千雪さん♪」

千雪「ええ、よかった」フフ

千雪(思いが通じたのかも。いいえ、甜花ちゃんの頑張りね)

最後まで書けなかった
ここで区切って、明日続きを書いていきます


――――

おばあさん「アイドルって、歌を歌ったり、踊ったりするの?」

甜花「は、はい……」

おばあさん「素敵なお仕事だわ」

甜花「甜……わ、わたしも、そう思います……」

おばあさん「テレビにも出てるのかしら」

甜花「ちょっとだけ……」

おばあさん「そうなの」

甜花「……」

甜花(10分くらい経ってるけど……これ、ちゃんとお話できてるの……かな……)

甜花(『はい』とか、『そうです』とか……相槌しかうってない……)

甜花(甜花も……おばあさんのこと、聞いた方がいいよね……?)

甜花(な、なにを質問すれば……)

ポワンッ

天使甜花『落ち着いて……頭、整理して……』

天使甜花『なーちゃんや、千雪さん……プロデューサーさんと、お話する時みたいに……』

甜花(そ、そっか……深呼吸して、いつものように話せば……)スー ハー

ポワンッ

悪魔甜花『無理しないで……知らない人と話すの、嫌でしょ……?』

悪魔甜花『挨拶できただけでも、充分……今日はもう、やめとこう……』

甜花(それは……そうだけど……)

天使甜花『……ずっと、思ってたけど……』

天使甜花『悪魔甜花……甜花を悪い道へ導くの、やめて……』

悪魔甜花『どこが悪いの……? 人間、無理しない生き方をした方が、ずっと楽だし……』

天使甜花『楽な道ばっか選んでたら……甜花のためにならない……!』

悪魔甜花『負担をかけちゃうと、甜花が可哀想……!』

天使甜花『なにを……!?』スッ

悪魔甜花『やるの……!?』スッ

ペチペチペチペチ

甜花(あわわわ……! て、甜花の中で、甜花が戦ってる……!?)

甜花(やめて……争わないで……!)


おばあさん「そうそう。アイドルといえば」

甜花「!」


おばあさん「私、孫がいるんだけど、アイドルの女の子が出る番組が大好きでね」

おばあさん「テレビの前でマネっこするらしいの」

甜花「マネっこ……可愛い……」

おばあさん「そう、可愛いのよ。大きくなったらアイドルになるんだって、口癖のように言ってて……」

おばあさん「あら? あなた、名前は確か」

甜花「て……甜花、です……大崎甜花……」

おばあさん「甜花ちゃん! もしかしたら」

甜花「?」

おばあさん「孫がね、目標にしてるアイドルがいるの」

おばあさん「『あるすとろめりあ』っていうユニットの、『てんかちゃん』みたいになりたいって」

甜花「!!」

甜花「それ……わたし……!」

おばあさん「やっぱり! こんな偶然あるのかしら!」

おばあさん「ごめんなさい、年甲斐もなく興奮しちゃった」フフ

甜花「い、いえ……」

おばあさん「そうなのね。あなたが甜花ちゃん……」

おばあさん「今度、あなたが出てる番組を孫に教えてもらうわ。どんなに素敵か、知りたくなっちゃった」

甜花「あう……お、おそれ多い、です……」

おばあさん「ふふ」

甜花「……あの……お、おばあさん……もしよければ……」

甜花「お孫さんに……甜花の、サインとか……」

おばあさん「サイン? いいの?」

甜花「て、甜花のでよければっ」

おばあさん「嬉しいわ! きっと大喜びする」

甜花「にへへ……あと、写真なんかも……」

おばあさん「写真まで。ありがとうございます」ペコリ

甜花「あ、頭、上げてください……!」アセアセ


甘奈・千雪「……ふふ♪」ニコニコ

甘奈「甜花ちゃん、人気者だねっ」

千雪「そうですね。メディア露出も着実に増えてきてるし、色んな人に知ってもらえてると思う」

甘奈「知らない人とお話するのもクリアしちゃったし!」

甘奈「ヤバいよ、ただでさえ可愛い甜花ちゃんが、完璧なコミュニケーション能力を得たら……」

甘奈「トップアイドルへのハードルが無くなっちゃう! 顔パス状態だよ!」

千雪(ちょっと想像できない……って言ったら酷いわね)アハハ…

千雪(でもソロ活動の時に必ず役立つし、アイドルとして成長できることには違いないわ)

おばあさん「あら、そろそろ帰らなきゃ」

おばあさん「もう少しお話したかったんだけど……」

甜花「時間なら、仕方ない、です……」

おばあさん「サインに写真まで。ありがとうございます」ペコリ

甜花「いえ……! お孫さん、絶対アイドルになれるから……!」

おばあさん「ありがとうございます。伝えておきます」ニコッ

――――


『甜花自立への5ヶ条・その5』


甜花「家事をこなす……!」デデン

甜花「ということで、公園から事務所……事務所から、家に帰ってきた甜花が、今からすることは……」

甜花「なーちゃんと甜花の、夕食を作る……!」フンス

甜花「ママとパパは、お出かけしてるから……2食分……できるかな……」

甜花「うん……やれる……甜花なら、絶対に……!」フンス

甘奈(鼻息ふんすしまくってる。おばあさんとのお話で、やる気が最高潮に達してるみたいだね)コソコソ

甘奈(千雪さんにはラインで逐一報告するとして……大丈夫かな。なにを作るんだろう)タプタプ

甜花「料理未経験だし……難しいものに挑戦したら、失敗する……」

甜花「だからここは、簡単にできるメニューを……!」キリッ

甘奈(冷静だ! いいよいいよ甜花ちゃん!)

甜花「冷蔵庫を確認……」ガチャ

甜花「……ふむふむ……」

パタン

甜花「決めた……オムライスを、作ろう……!」

――――

甜花「あう……卵の殻、ボウルに入っちゃった……」

甜花「取り出すの、難しい……」

甘奈(うー、やってあげたい)

甜花「ふぅ……なんとか摘出できた……」

甜花「次は、ケチャップライスを作る……!」

甜花「玉ねぎ、にんじん、豚バラ肉を細かく刻んで……」トントントン

甘奈(あああああっ! 猫の手だよ甜花ちゃんっ! 指切っちゃうよぉっ!)

甜花「……う……ひっく……目に染みる……」ウルウル

甜花「玉ねぎ、強敵……でも刻まないと……」トントントン

甘奈(玉ねぎより猫の手にして、お願いだからっ! どうする!? 出て行っちゃう!?)

甜花「あ……そうだ、猫の手……」

甘奈(ほっ)

甜花「包丁で、食材を切る時は、猫の手にする……危なかった……」トントントン

甘奈(ひとまず安心だけど、幸先不安だよ。怪我だけしないように気をつけてね……)

すぐ終わると思ったらもう少し続きそうです
明日、というか今日書きます


(30分後)

甜花「できた……! あとは、ケチャップで……ハートマークを書いて……」

甜花「なーちゃん、呼びに行こう……」

甘奈(ヤバっ。すぐ近くで見守ってたことを知られるわけにはいかない)

甘奈「あれ? いい匂いがするー」スッ

甜花「あ、なーちゃん……ちょうどよかった」

甜花「甜花、ごはん作った……よかったら、食べてほしいな……」

甘奈「え!? 甜花ちゃんが甘奈のために!?」

甜花「うん……これも、自立計画のうちの、1つ……」

甘奈「そうなんだ! わあ、オムライスだー♪ ありがとう甜花ちゃん!」

甜花「にへへ……」

甘奈「さっそく食べていい? お腹ぺこぺこなんだー」

甜花「もちろん……先に、食べてて……」スタスタ

甘奈「どこ行くの?」

甜花「なーちゃんが干してくれた、洗濯物……取り込んでくる……」

甘奈「甘奈も手伝うよ!」

甜花「ダメ……甜花1人でやらなきゃ、意味ないから……」

甜花「てきぱきと済ませて……戻ってくるね……!」

スタタタッ

甘奈(ふふ、元気いっぱい。やる気が衰え知らずだね)

甘奈「さてと。いただきまーす」パクッ

モグモグ

甘奈(形は不格好だけど、愛情がこもってて。すっごく美味しいよ甜花ちゃん♪)ニコニコ


――――

カチャカチャ

甜花「なーちゃん……お皿、甜花が洗うよ……」

甘奈「任せっきりはよくないもん! 甘奈にも手伝わせて?」

甜花「だけど……」

甘奈「これは大崎家のお仕事だし、なにも1人でやることないよ」

甘奈「自立計画のことなら、甜花ちゃんがお皿洗いに参加してるってことが大事だと思うな」

甜花「そ、そうかな……」

甘奈「そうだよ! ね? 一緒にやろ?」

甜花「……うんっ……」ニコッ

甘奈「お皿洗ったら何をするの?」

甜花「えっと……お風呂を沸かして……甜花の部屋の掃除、ちょこっとやる……」

甜花「そのあと、お風呂入って、歯を磨いて……寝る……」

甘奈「寝るの? テレビ観ないんだ」

甜花「今日は、早めに寝たい……」

甘奈(やっぱり疲れたのかな。急に色んなこと始めたから)

甜花「明日は、7時に起きないと……なーちゃんに、起こしてもらう前に……」

甘奈「早寝早起きだね。がんばって!」

甜花「うん……!」

――――

甘奈「っていう感じだよ」

千雪『お家でも一生懸命ね。今は何をしてるの?』

甘奈「お風呂に入ってる」

千雪『そう……』

千雪(いつかガス欠を起こすんじゃないかって不安だったんだけど、心配はなさそうね)

甘奈「千雪さん? どうしたの?」

千雪『ううん、何でもない。そろそろお休みしましょうか』

甘奈「そだね! また明日事務所で!」

千雪『ええ。おやすみなさい』

甘奈「おやすみなさい!」


甜花「へくちっ」

甜花「んぅ……誰か……甜花の噂、してる……?」


――――


(翌日・事務所)


千雪「ふー……」

P「千雪、お疲れ様」

千雪「プロデューサーさん、お疲れ様ですっ」

P「今日はやけに気合入ってるな。何かあったのか?」

千雪「はい。身近な人がとても頑張ってるんです。だから、私も感化されちゃって」

千雪「いつもより気を引き締めてレッスンができた気がします」

P「見ていて伝わってきたよ。その身近な人って誰だ?」

千雪「プロデューサーさんも知ってる人ですよ」

P「俺も?」

ガチャ

甘奈「こんにちはー!」

千雪(あら、噂をすれば)

P「甜花と甘奈が来たみたいだ」

千雪「そうですね」

千雪「……あら?」


甘奈「ほら、甜花ちゃん。事務所着いたよー」グイグイ

甜花「あうー……」グデー

甘奈「ソファーまで行こう? あとちょっとだから」

甜花「うん……」ダラーン


千雪「……」

P「どうしたんだ甜花!? 具合が悪いのか!?」

甘奈「ううん、病気とかじゃないの。甜花ちゃん、もうちょっとだからね!」

甜花「うう……」

甘奈「あんよがじょーず、あんよがじょーず」

ボフッ

甘奈「はい到着!」

甜花「ありがと、なーちゃん……」ゴロンッ

千雪(ソファーに着いた途端、寝ころんで丸まっちゃった)

P「説明してくれ甘奈。甜花に何が起きた?」

甘奈「んーと……とりあえず大事ではないよ。明日にはいつもの甜花ちゃんに戻ってると思う」

P「???」

甘奈「あはは、あまり気にしないで。幸い今日はレッスンないよね?」

甜花「プロデューサーさん、平気だよ……甜花、余裕だから……」

P「そ、そうか……ならいいけど」

千雪「甘奈ちゃん」コソコソ

甘奈「あ、千雪さん」

千雪「甜花ちゃん、どうしたの?」

甘奈「朝ベッドまで起こしに行った時から、こんな感じなんだ」

甘奈「倦怠感がすごいらしいよ。たぶん、昨日の頑張りの反動だと思う」

千雪「……」

千雪(やっぱり。予感が的中しちゃったわ)

千雪「こういうことになるなら、もう無理はさせられないわね……」

甘奈「うん。でも、まだ意識を改善する気持ちが強いみたいだし、少しずつこなしていくのがいいね」

千雪「そう思うわ。本人に無理のないように」

甜花「あ……そういえば冷蔵庫に、智代子ちゃんからもらった、限定チョコが…」

甘奈「甘奈がとってくるよっ! 待っててね甜花ちゃんっ!」ピューンッ

千雪(甘奈ちゃん活き活きとしてる……この娘も反動がきてるみたい)ハハ…

甜花「……千雪さん……」

千雪「!」


甜花「甜花……学んだ……一度に、たくさんのこと変えるの、難しい……」

千雪「そうね」

甜花「だから……これからは、ちょっとずつ頑張る……」

甜花「……応援……してくれる……?」

千雪「もちろんよ」ニコッ

甜花「にへへ……」

甘奈「とって来たよ、甜花ちゃん!」スタタタッ

甜花「わ、ありがとう……」

甜花「ようし……甜花、このチョコを食べて……」


甜花「明日から、頑張る……!」モグモグ

甜花「……おいしい……」ニヘヘ


おわり

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます
まだ全種類のカードをプロデュースできてませんが、全キャラ魅力的というのだけは分かりました
大崎姉妹可愛い

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