【安価】戦士「今日の依頼は……げっ……! 討伐アンカークエスト、だ……!」 (45)

短くなると思いますが、やっていこうと思います!



受付嬢「はい。今日はこの討伐アンカークエストを受けていただくことになります……」

戦士「これ、断れないんだよね?」

受付嬢「申し訳ないのですが……。ご存知の通り、冒険者ランクがA以上の方は、かならず順番にアンカークエストを請ける決まりでして」

戦士(ついにこの日が来たか……嫌だなあ……。けど、仕事をくれるギルドを抜けたら冒険者なんて半分無職みたいなものだし……)

戦士「わかった。今日はそれで行くよ」

受付嬢「ありがとうございます!」


 ――アンカークエスト

 それは、この世界の人間に啓示を与える神、『アンカー』から、人間に直々に下されるクエストである……。
 このクエストの内容、難易度、場所、必要な時間は多種多様。

 下級の魔物退治や薬草拾いといったごく一般的なもの。
 伝説の剣を探し出し強大な怪物を打ち倒す、新しく都市を築き反映させる、といった生涯をかけて挑む必要があるもの。
 変わったものでは、ドブさらいやトイレ掃除などのごく日常的なものまで。

 ただ……確実なのは、下されるクエストを達成できなければ、必ず重大な危機が訪れるということだ。


戦士「だから、どんな冒険にも対応できるとされてる、Aランク以上の冒険者がやらされるわけだけど……」

戦士「内容が全く予想できない上に、これからの人生を決定づけられてしまうようなものも多いからな……怖い」

戦士「幸い、今回は第一の啓示で討伐と決まってるから……あんまり強くない相手だったら楽ができるはずだ」

 戦士はアンカークエスト専門の受付へと向かった。にぎやかな通常依頼の受付所と違い、ここは妙に静かだ。
 アンカークエスト受付へと向かう戦士の背後にそそがれる視線は、Aランク以上の冒険者に対する尊敬の目……。
 しかし、数少ない同格以上の冒険者の視線には、どこか同情や哀れみのようなものが混ざっている。

戦士「すいません……討伐アンカークエストを受けたんですけど」

受付嬢B「……はい。こちらです」

 戦士は神秘的な雰囲気をまとう受付嬢Bから、ひとつの封筒を手渡された。中には何枚ものカードが入っている。
 神は啓示を預言者に与える。啓示を受けた何人もの預言者たちは、その言葉や文章をカードに書きこみ、ギルドに渡す。
 このカードの内容は、クエストを請けたもの以外には認識できない。書いた預言者すら、内容は即座に忘れてしまうのだ。

 そうして保管されたカードは、クエスト開始の啓示が降りた際に、内容はもちろん枚数もランダムなまま封筒に入れられ、冒険者に渡される。
 冒険者が封筒からカードを取り出したその時……初めて、啓示のカードはその内容を明らかにするのだ。

受付嬢B「では、お気をつけて……。ギルドの支援が必要な場合は、またこちらへ……」

戦士「ああ、ありがとう」

戦士(受付嬢B……彼女もまた、預言者の一人だという話だ)

戦士(しかも、彼女は『運命を変える預言』の力を持っている……)

戦士(もしかしたら、その力を借りることになるかもしれない……)

 戦士はそう考えながら、封筒の口を開く。中には何枚かのカードが入っている……。

戦士(よしっ……! まずは一枚目……第二の啓示、討伐すべき魔物のカードを……!)



安価↓ 討伐すべき魔物(魔物以外だったら、さらに↓)

あっ、Rに立ってしまいましたね……じゃあRでやります
エロはあるかないかわかりませんが……

 魔物(や、その他解釈が分かれる安価)の解釈は、検索して上のほうにあるやつを元ネタにして、世界観にあわせていきます(今回はpixiv百科辞典が出てきたのでこれで)。



 アルラウネ……。それは、植物が魔力を吸収し、人間の女性の姿となった魔物である。
 なぜ人間、それも女性の姿を取るのかはハッキリとはわかっていないが、一説によると、人間の男性を誘惑するためであると言われている。
 事実、アルラウネの被害報告は、森を歩く男性が多いとされている。

 植物の魔物の多くがそうであるように、人間に有毒な成分を使いこなす能力を持つ。
 また、個体によって能力が細かく違うため、対策を取りづらいという特徴もある。

戦士(……しかし、Aランクの自分なら、それほど恐れる相手でもない)

戦士(毒の対策をする方法はいくつもあるし、それほど力があるわけじゃないから、鎧をしっかり着ていけばダメージもそんなに受けないはずだ)

戦士(……なんだけど。これはアンカークエストだからな……)

 アンカークエストにはルールがある。その一つは、最低でも三つの啓示を受けなければならない、ということだ。
 討伐アンカークエストの場合は、まず討伐であるという啓示が下されている。
 次の啓示は、倒すべき魔物の種類。
 そして最後の啓示は……この討伐に課せられる条件だ。

戦士(この条件次第では、とんでもなく難しい討伐になる可能性がある……。たとえば、遠い浮遊大陸のアルラウネでないとダメとか、毒をわざと喰らわないといけないとか……)

戦士(逆に言えば……この条件さえ緩ければ、アルラウネを倒すだけの楽な仕事になるはずだ!)

戦士(そうだ! 神はいつも人間を見守ってくださっている! きっとそんなに厳しい条件を下したりはしないはずだ!)

戦士「よしっ……次のカードは!」


安価↓ この討伐に課せられる条件

了解です
エロは書けなくもないので、安価であれば頑張ろうと思います
続きはまたのちほど

『ノーダメ勝利』

 ノーダメ。それは、『戦いの中で無傷である』ことを示す神の言葉である。ノーダメ勝利とは、アルラウネとの戦いで無傷で勝利を収めよ、という啓示であった。

戦士「おっ……これは!」

戦士(簡単すぎるってわけじゃないが、ランクAがアルラウネを相手にするなら、そこまで難しくない条件だ!)

戦士(自分が弓やジャヴェリンで遠距離から攻撃してもいいし、魔術師に遠くから魔法を撃ってもらってもいい。アルラウネはそこまで耐久力は高くないから、それほど苦戦はしないはずだ)

戦士(……いや、しかし、『無傷』でないとダメだということは、たとえば、これから出会うアルラウネが致死性の猛毒を持っている……。そういうこともありえる……)

戦士(なんにせよ油断はできない……! ここは、たかがアルラウネと油断せず、仲間と一緒に戦ったほうがいい!)

戦士(問題は、これがアンカークエストだということだ……。同等のS、A、Bランク以上だと、ほとんどが神の啓示に巻き込まれるのを避けたがる。逆に、アンカークエストを体験していないC、D、Eランクならいくらでも集まるが……)

戦士(何も知らない後輩を巻き込むのもかわいそうだし……。高ランクにせよ、低ランクにせよ、『仲間は一人』にとどめておいたほうがいいな)

戦士「さて、誰を誘うかな」

 戦士が、共に戦う仲間を求めて向かった先は……!


1 高ランク(S、A、B)の冒険者の家
2 低ランク(C、D、E)の冒険者が集まる酒場
3 謎の冒険者に声をかけられる
4 仲間が空から落ちてくる

書き忘れてたので一応……
↓です 数字以外だったらまた↓で

 戦士が仲間を求めて歩き出そうとしたその時……誰かに声をかけられる。

謎の冒険者「あなた……仲間を探しているんじゃない? よかったら、私が力になるわよ」

 そう言って姿を現したのは、全身をボロボロのマントとローブで隠し、顔すら見えない謎の冒険者であった。
 かろうじて、声から女性だとわかるが、それ以外は全くの謎だ。

戦士(うっ……! 来た来た来た来た……!)

戦士(アンカークエストの最中は、普段ではありえないことがいくらでも起こる! 全く正体がわからない冒険者に声をかけられる……これもその一つだ!)

戦士(今は自分と同じ程度の身長で、妙に頼りになりそうな雰囲気で言葉をかけてきたが……しかし、これも啓示カードと同じく、神の帳をかけられている状態!)

戦士(中身は俺より遥かに身長が高いSランクの超戦士にも、Eランクの田舎から出てきたばかりの半ば素人な子供にもなりうる!)

戦士「あー、確かに仲間を探しているんだか……心当たりがあるんで、それでは」

 踵を返した戦士の前に、すさまじい速度で謎の冒険者が回りこむ。その動きだけを見ればSランクと全く遜色ないが……しかし、その中身は謎なのだ!

謎「そうはいかないわ。私と一緒にクエストを達成してもらう。何が何でも、よ」

戦士「うう……理不尽だ。わかった。わかったから、正体を見せてくれ」

謎「ありがとう。私は……」

 謎の冒険者はその身を隠していたボロ布を取り払う。
 そこには……!


コンマを使ったランダムキャラメイクです

↓1 冒険者ランク
S・99 A・98~90 B・89~70 C・70~20 D・20~11 E・10~01 E・00

↓2 クラス
魔法使い・99~60 僧侶・59~20 戦士・19~10 妖術師・10~06 自由安価・05~01 聖戦士・00

↓3 種族
人間・99~50 エルフ・49~20 ドワーフ・19~10 自由安価・09~00

Bランク・僧侶・人間

 謎の冒険者が身を隠していた布を取り払い、現われたのは僧侶の女性だった。
 その物腰から、恐らくはBランク程度の実力者であろう……そう戦士は判断する。

――Bランク
 Bランク……一般的に、冒険者の中でも上位とされるランクだ。このランクへとたどり着けるのは、およそ300人の冒険者につき、たったの一人とされている。
 冒険者ランクの評価基準は様々だが、最も重要なのは戦闘能力である。
 大雑把な基準で言えば、Bランクに認定されるためには、最低でも一人で魔物の群れを相手取れる程度の能力が必要となる。
 ほとんどの魔物が一般的な人間に勝る力を持つ存在であることを考えると、その能力は一騎当千、『怪物』的な能力を持つ存在と言えるだろう。

――僧侶
 僧侶は、『巨大な何かから力を引き出す』ことができるクラスである。
 それはたとえば神であることもあるし、己の心や運命、あるいは自然そのもの、この世の理そのもの……ということもある。
 そして当然ながら、僧侶の人生は『自分が力を引き出す巨大な何か』に仕えるものとなる。それを信仰と呼ぶこともできるだろう。
 
 冒険者となるのは、神に仕える僧侶がほとんど。稀にその他の僧侶が存在するという程度だ。

――人間
 人間はエルフやドワーフよりも寿命が短く、生まれついての特殊な力も持たず、身体能力も劣る部分が多い。
 その上で成長速度は他の種族とはと比べ物にならないほど早く、才能の差が激しい。
 ひどく貧弱なものも、恐ろしく強大な力を持つものも、人数比としては他種族よりも多い。極端に振れ易い種族とも言える。

 しかし、人間の戦士にとって最も重要なのは、相手が同じ人間であるということだろう。
 人間には人間の理屈が通じるのだ。

戦士(Bランクの僧侶……しかも人間が仲間になってくれるとは、かなり心強いな! 仕える神の属性にもよるが)

戦士(しかし、なぜそんな優秀な冒険者が、アンカークエストに挑む戦士なんかに声をかけたんだ……?)

コンマを使ったランダムキャラメイクの続きです(今回で完成です)

↓1 司る神の属性 コンマ1桁
生命・9~7 自然・6~4 戦闘・3~1 死・0

↓2 戦士に声をかけた理由 コンマ1桁
9・手っ取り早く名を上げたい。
 アンカークエストの攻略は間違いなく名誉となる。その名誉こそが目的だ。
8・早くランクを上げる必要がある。
 アンカークエストの攻略は冒険者ギルドからは、非常に高い評価を受ける。
7・お金が欲しい。
 アンカークエストは内容にもよるが、うまくいけば膨大な報酬を受け取ることができる。
6・経験を積みたい。
 名高いアンカークエストに挑めば、自分は更に成長できるはずだ。
5・正しいことがしたい。
 啓示神アンカーの啓示は、誰かを幸せにするものだ。それに貢献したいのだ。
4・自分も啓示を受けた。
 啓示神アンカーの啓示は、従わなければ自分か周囲に必ず不幸が訪れる(正確には、それを避けるための啓示なのだ)。従わなければならない。
3・啓示を受けたがそれを喜ばしいことと思っている。
 神の啓示を受けることは、まさに福音である。
2・戦士に興味がある。
 Aランクは市井の人々からすれば、神にも等しい存在だ。そんな戦士と共に戦いたい。
1・戦士に恋愛的な意味で興味がある。
 実はずっと影から見ていたのだ。彼は気づいていないけれど……。
0・なんとなく。
 なんとなくだ。詳しく説明できる理由はない。

ゾロ目だとなにか来るのかな?

>>16
ゾロ目は特に何も考えていませんでした。
思いつかないのでいまのところなしで。
設定や安価の内容は必要なものを考えながら書いていますので、あまり気にしないでください。


>生命・手っ取り早く名を上げたい。

 ゆったりとした服に、動物のような印が刺繍されている。恐らくは神を示す印……聖印だろう。
 しかし、戦士はその聖印に見覚えがなく、首をかしげた。
 これでも多くの冒険の中、聖なるもの、悪しきものを含め、様々な神の聖印を目にしてきたつもりなのだが……。

戦士「あー、僧侶さん。……気を悪くしないでほしいんだが、俺は君の聖印に見覚えがないんだ……。よかったら、その神の属性と名前を教えてくれないか。なんとなく、生命とかその辺っぽい気はするんだが」

女僧侶「いえ、無理もありません。これはあまねく生命の女神・ゾイナスの聖印です」

戦士「ゾイナス? 生命の女神って、リフェウス神じゃなかったっけ?」

女僧侶「そう。生命の女神といえばリフェウス神。それが、私が貴方にお声をかけさせていただいた一番の理由なのです……」

 女僧侶が、力強く一歩前に踏み出す。戦士が思わず身を引いてしまう勢いがあった。

女僧侶「ゾイナス神はかつて、ここ西の大陸から遥か遠く、東の大陸で広く崇められた神でした。……しかし、今は東の大陸にもリフェウス神の教会が広まり、ゾイナス神の名は忘却されつつあります」

戦士「そうなのか? 東の大陸には行ったことがないが、そんなことになってたとはな……。しかし、なんでゾイナス神は忘れられたんだ? 自然に変化したんじゃなく、他の神の教会に取って代わられるとは……」

女僧侶「……その理由は、140年前、あるリフェウス神の僧侶が冒険者となったことです」

戦士「ん? ……あ! そういうことか! “命の光を掲げるもの”!」

女僧侶「その通りです」


――“命の光を掲げるもの”
 それは、西の大陸と東の大陸を覆った大災害、“悪夢雲”を退けた冒険英雄の一人である。
 女僧侶であった彼女は、仲間たちを何度も死の寸前で生へと引き戻し、自らも手にした武器(諸説ある)で、魔物たちの命を砕いた。
 “命光掲”が輝く右腕を掲げれば、その光に照らされた荒野にはリフェウス神の加護により、一面の花々と草木が溢れたという。
 戦いの果てに“悪夢雲”を退けただけでなく、その被害にあった難民たちが住む土地をいくつも作り上げ、多くの人々を救った。彼女が拓いた街や村は今も発展を続けている。
 没後も彼女の二つ名の輝きは衰えるどころが、さらに増し続けた。多くの教会ではリフェウス神そのものと同一視され、リフェウス神教会に彼女の姿を象った像が置かれている……。

 今で言えば、Sランクの最上位、あるいはそれ以上の実力があったと言われている。


戦士「なるほどな……。実際に“命光掲”に救われたなら、信徒になって当然か。そうでなくとも、わかりやすい現世利益を見せられたわけだしな……」

女僧侶「はい。私はゾイナス神の信徒としてその復権のため、冒険者となったのです」

戦士「つまり、Aランクの俺とアンカークエストのクリアで、ゾイナス神の名前を宣伝したいってわけね」

女僧侶「そういうことになります……。貴方の名と、啓示神の試練を利用させていただくようで申し訳ないのですが」

戦士「いやいや、いいっていいって。俺も東の大陸の連中と同じく、ご利益には聡いほうでね。名前を貸すだけで助けてもらえるってんなら大助かりだ。よろしく頼むぜ」

女僧侶「ありがとうございます……!」

戦士「……ただな、Bランクなら、参加はしてなくとも噂は聞いているだろう。アンカークエストは甘くないぜ。次に何が起こるかは全くわからない……。『死に戻る』可能性だってある」

女僧侶「はい。覚悟の上です」

 戦士の真剣な目と声色にも、女僧侶は全くひるんだ様子を見せなかった。
 覚悟が決まっていれば、あの理不尽を受け入れられる……というわけではない。それは自分でもよくわかっている。

戦士(しかし、未知の恐ろしさを知り、それでもなお未知に踏み込む勇気を持っていなければ、何も始まらないのが冒険者の世界だ)

 彼女の瞳には、確かに勇気が宿っている、と戦士は感じた。

戦士「なら……よろしく頼む」

 戦士は、精悍な笑みを浮かべて手を差し出す。

女僧侶「はい。貴方と命をつなげます」

 女僧侶は、強い決意と共に手を差し出す。

 二人は互いに差し出した手をあわせ、握手をかわす。こうして神の導きにより、二人のパーティーが結成され、その試練に挑むのだった……。

 こうして盛り上がっているが、啓示次第ではあっさり終わる可能性があるのもアンカークエストなのだった。

全然短くなる気配がない
次回につづきます

・ルール解説
 今回からはアンカーポイントという要素が加わります。
 これはいわゆる自由安価をするためのポイントです。
 アンカーポイントは5ポイントあります。これを全て消費するまでお話は続きます。

・アンカーポイントでできること
 1ポイント 啓示を下す
 戦士と女僧侶に、「好きな行動をさせられます」。
 これは作品中のルールでは、「どんな内容でも、しないと不幸になり、すると幸福になる行動」啓示です。
 なので、よっぽどの内容でない限りは「二人はそれを実行しようとします」。そして、行った結果「よいほうに物語が転がります」。

 2ポイント 奇跡を起こす
 「作中に、何らかの現象を起こすことができます」。
 これはいわゆる安価の何でもアリのやつです。二人の前に困難をぶつけるもよし、いいことを起こすもよし。
 これも結果として、「何らかの現象が起こった結果、よいほうに物語が転がる」ことになります。

 これらとは別に、普通の選択肢安価もあります。これらは基本的にはアンカーポイントを消費しません。
 ただし、啓示や奇跡という形でアンカーポイントを消費する選択肢もあります。


戦士「というわけで、アルラウネ退治のためにどの森へ行くかだが」

女僧侶「はい」

戦士「啓示がない限りは、近場の遺跡の森でいいと思うんだよな」

女僧侶「遺跡の森ですか? でも、あそこは……」


――遺跡の森
 冒険者の仕事場である、遺跡迷宮の入り口が多く存在するため、遺跡の森と呼ばれる森。
 非常に動物が多く、自然豊かな森。遺跡にかかった何らかの魔法が作用しているのではないか、とも言われる。

 地上は魔力が薄いため強力な魔物の生活には適さず、むしろ動物のほうが多い。アルラウネは少ない。


女僧侶「アルラウネを探すなら、魔の森や妖樹の森に向かうべきではないでしょうか」

戦士「いや、わざわざ危険な森に行く必要はない。俺なら遺跡の森でだって、アルラウネを見つけられる。なにせアンカークエストだ。用心したほうがいい」

女僧侶「でも、私たちなら……」

戦士「そうだな。AランクとBランクだもんな。危険な場所で戦って功績を積み上げたい気持ちはわかる。俺だって普段ならそうする」

戦士「ただ、これはアンカークエストだ。どこにいってもろくでもない冒険になる可能性は高い……。できるだけ安全な場所に行きたい」

女僧侶「ううん、なるほど……」




↓結局どこの森へ行くのかは安価で決まります 残アンカーポイント(以下AP)・5

1・遺跡の森(危険度・低)
2・魔の森(危険度・中)
3・妖樹の森(危険度・中)
4・魔界の森(危険度・高 要AP・1)
5・竜の森(危険度・高 要AP・1)
6・二人が話していると、向こうからアルラウネが歩いてくる。さあ戦いだ。(要AP・2)
7・二人が話していると、突然地面が陥没して二人は地の底へと落ちていく。(要AP・2)

8・啓示 AP・1
9・奇跡 AP・2

1・遺跡の森

女僧侶「……わかりました。そこまで仰るなら、遺跡の森に行きましょう」

戦士「よし、決まりだな。準備をして出発しよう」

 二人は5日分の食料と旅具を用意して、遺跡の森へと向かった。
 街から半日ほどの距離に遺跡の森はある。最大で3日ほど探索を行い、万が一、アルラウネが見つからなかった場合は一度街に戻る計画だ。
 
戦士(よっぽど運が悪くなければ……あるいは、神の気まぐれがなければ見つかるはずだが)


つづきます

戦士「というわけで遺跡の森へとやってきたわけだが……さすがにもう暗いな」

女僧侶「ひとまず夜を過ごして、朝から探索を始めましょうか?」

戦士「今日のうちにサッと済ませてしまってもいいな」

女僧侶「確かに、この森でしたらそれほどの危険はないでしょう」

戦士「さて、どうするかな……」

戦士(森の外で野営をすれば、奇襲を受ける可能性は減る。しかし、見晴らしのいい場所で火を点けるから、遠くからも存在を察知されるだろうな)

戦士(まあ、察知されたからと言って、どうってこともないハズなんだが……)

戦士(森の周囲で探索をするという手もある。目的のアルラウネは見つかりづらくはなるだろうが、危険は避けられるだろう)


遺跡の森周辺で何をする?(残りAP5)
↓1

1 森の外で野営をする
2 森の中で野営をする
3 森に入って探索を行う
4 森の周囲で探索を行う
5 ここまで来ておいて街に帰る(要AP1)
6 森からアルラウネが全速力で走って襲い掛かってくる。戦いだ!(要AP2)
7 空に流れ星。……こっちに落ちてきている気がする。(要AP2)

8 啓示(要AP1)
9 奇跡(要AP2)

戦士「森の周囲を探索してみようか」

女僧侶「え? ……正直に言いますと、安全策としても、急ぐことを優先するとしても、微妙に中途半端な方策に思いますが……」

戦士「言い出しておいて何だが、俺もそう思うな……。まあ、遺跡の森の安全度と、アンカークエストに対する警戒に折り合いをつけたと考えてくれ」

女僧侶「そういうものですか……。わかりました。では、森の外縁を歩いていきましょう。明かりは私が用意します」

 女僧侶はそう言うと、右手の人差し指を立てた。短く何かをつぶやくとその先端に光が点る。
 輝く指先で自分の持つ武器の先端に触れる。すると、その輝きが触れた部分へと移る。
 闇に神の与える光をもたらす、僧侶の技の一つである。

戦士「おお、さすが僧侶さんだ。助かるよ」

女僧侶「いえ。闇の中に道を示すのもゾイナス神の信徒だる私の役目です」

戦士(この光は、彼女の手に触れるものにある限り、彼女の意思で明るさを調節できるはずだ。いざとなれば暗くすることも、強い光を放つこともできる……)

戦士(野の夜闇の中で光を持っていれば目立つが、二人とも人間で闇を見通す目は持っていないからな……仕方ない)

戦士「それじゃ、俺が森側を歩くから、僧侶さんは野原のほうを歩いてくれ。何か飛び出してくるとしたら森の中からだろうしな」

女僧侶「はい、わかりました」

戦士「さて……何か見つかるといいんだが」


コンマで決まるランダムエンカウント表 APを消費することで安価として指定もできます(残りAP5)
↓1

00~30 何も見つからなかったので、休むことにした(AP1で指定可能)
31~45 アルラウネが見つかった(AP1で指定可能)
45~75 動物が【コンマ一桁】匹出てきた。出てきた動物【コンマ十桁】だ。(AP1で指定可能。数・種類共に決めてOK)
 動物表 4・狼 5・兎 6・鹿 7・熊
76~85 ゴブリンが【コンマ一桁】匹見つかった(AP1で指定可能。数も決めてOK)
86~90 オーガが見つかった(AP1で指定可能)
91~95 ヤバい相手が見つかった。コンマ一桁が偶数・奇数で分岐(AP2で指定可能)
96~99 晴れ渡っていた星空が不自然な速度で曇り、大雨が降りだす。近くの小屋に避難しよう。(AP2で指定可能)

1 啓示「何かを指定して二人にさせる」(AP1)
2 奇跡「何かを指定して起こす」(AP2)

すいません、1だけだと何をすればいいのかわからないので、もう一度コンマ、もしくは安価をお願いします
啓示、奇跡は内容も指定してください
↓1

啓示

コンマですね
>>28を採用させていただきます

22・00~30 何も見つからなかったので、休むことにした(AP1で指定可能)

戦士「…………ダメそうだな……」

女僧侶「……そうですね」

戦士(3時間ほど歩いたが、動物も魔物も出てこなかったな。ちょっと消極的すぎたか?)

戦士(動物ならいざという時の食料になるし、魔物なら金や道具の素材になる。冒険者としては余裕がある今のうちに遭遇しておきたいところだったが……)

戦士「……休もうか」

女僧侶「そうですね……」

戦士「……まあ、食べられる野草と薬草はいくらか集まったし、食事にしよう。僧侶さん、野外の料理は得意かい?」

女僧侶「一応の心得はあります」

戦士「よし。俺は寝床の準備をする。ついでに見張りをしていよう。俺なら作業と同時に周囲を警戒できる。火と料理を頼む」

女僧侶「わかりました」

 それからしばらくの時が経ち……。赤く燃える焚き火の側に、二人は座っていた。
 乾いた枝のはぜる音と、火にかけられた鍋の蓋が鳴る音だけが響いている……。

戦士「ふう……お疲れさん」

女僧侶「いえ、私はただ座って作業をしていただけですから……。戦士さんこそ、すごいですね。こんなものを作ってしまうなんて……」

 女僧侶の視線の先にあるのは、草と枝を組み合わせて作られた小屋だった。
 二人が入ればいっぱいになるごく小さな物だ。
 一見粗末だがその実は見た目以上に頑強で、雨風を通さず衝撃にも耐える。
 小屋の壁のあちこちには草枝で象られた魔術陣がある。これらが小屋に頑丈さを与えている。

戦士「ああ……俺は魔法は使えないが、この程度の術は知ってるんだ。色々な冒険をしてきたからな」

女僧侶「そう……ですよね。戦士さんはAランクですし」

戦士「おいおい、やめてくれって。僧侶さんだってBランクだろ? そんなに変わらないよ」

女僧侶「……ランクが変われば次元が変わる、と言いますよね」

戦士「ジゲンて」

女僧侶「Aランクこそ人の極み。人武の練達の果てと言います。そして、Sランクはその先……神域に至るものたちだと」

戦士「シンイキねえ」

戦士(『あいつら』がなあ……。実力じゃなくて、性格の方が善神に至ってくれたらなあー)

戦士「まあ、生きて修行を続けてれば、僧侶さんもAランクにもなれるよ、うん」

女僧侶「そうでしょうか……?」

戦士「そうそう。『生きて修行を続ける』、それが一番難しいってのはわかるだろ」

女僧侶「それは……その通りですね」

戦士(……せっかくだし、色々と聞いてみるか?)


次の話題は……?
↓1

1 女僧侶に出身と生まれ育ちを聞く(コンマの十桁と一桁で決まります。両方をAP1で指定可)
2 戦士が出身と生まれ育ちを聞かれる(コンマの十桁と一桁で決まります。両方をAP1で指定可)

出身表・コンマ十桁(AP1で指定可)
0 冒険者の街
1 出身国の王都
2 北の雪国
3 芸術都市
4 商業都市
5 貧民街
6 宗教都
7 海沿いの都市
8 山奥の村
9 森深くの秘密の村

生まれ育ち表・コンマ一桁(AP1で指定可)
0 貴族
1 孤児
2 農民
3 船乗り
4 犯罪者
5 兵士
6 冒険者
7 都市市民
8 僧侶
9 商人


3 啓示「何かを指定して二人にさせる」(AP1)
4 奇跡「何かを指定して起こす」(AP2)

1 女僧侶に出身と生まれ育ちを聞く
65 宗教都市の兵士

戦士「……そういや、僧侶さんが俺のアンカークエストに同行したのは、生命の神であるゾイナス神の布教のためだったよな」

女僧侶「はい」

戦士「冒険者になったのもそういう理由?」

女僧侶「そうですね。おおむねは」

戦士「ふうん?」

女僧侶「おかしなことのように思いますか?」

戦士「いや、そういうわけじゃない。名を上げたいヤツはいくらでもいるしな。それが神様のためだって別におかしかない。ただな」

女僧侶「ただ……?」

戦士「ま、大したことじゃないが……僧侶さんの身のこなしが少し気になったんだ。武器を持って歩く姿が、僧侶としてはスキがない」

女僧侶「……わかりますか」

戦士「まあ、これでもAランクだから色々なヤツを見てきたよ。……で、戦ならともかく、生命の神様に信仰深い僧侶さんが、武器の扱いに慣れてるってのが少し不思議でね」

女僧侶「さすがですね」

戦士「はははは。ま、ちょっと気になったってだけの話だよ」

女僧侶「……仰るとおり、私は武器の扱いを専門として学んでいます。……実は、私は元は聖兵だったんです」

戦士「聖兵? 生命の神様の?」

女僧侶「いえ。戦の神オードルの、です」

戦士「へえ、オードル? ……オードル!? オードルゥ!!?? オードルってまさか、あのオードルかよ!?」

女僧侶「はい。そのオードル神です」


――聖兵
 神に仕える信徒たちによって運営される教会。その一部は武装した戦士をその構成員とすることがある。
 それが聖兵である。
 多くの聖兵は治安の悪い地区での自衛、都市から離れた村の守護、滞在する重要人物や教会自体に隠された何らかの秘密を守るための警護……といった防衛を目的として置かれる。

 しかし、教会が崇拝する神によってはそういった目的に留まらない、より「積極的」な運用を行われる聖兵も存在する。


 たとえば、そう。


――戦の神 オードル
 オードルは『人間と人間』による、『命を懸けた戦い』を司る神である。
 その権能は国家同士の戦争に留まらず、犯罪者同士の抗争、個人同士の決闘、果ては酒場のケンカのエスカレートまで、あらゆる殺し合いに及ぶ。
 ゆえに、オードルの信徒は殺人を尊ぶ。それもただの殺人ではなく、相手も自分を殺しうる戦いの末の殺人である。
 一方的な殺人は神に捧げるにはふさわしくない。自分の血と相手の血の両方が流れ出て、それが混ざり合う戦いこそを求めるのだ。

 そうした教義を持つオードルの聖兵は、ほとんどが殺人の機会を求めて戦う教会戦士だ。
 表に姿を現しているオードルの教会は、多くが重犯罪者や犯罪組織との戦いによって、治安維持を行っている。
 影に隠れたオードル教会ならば、傭兵組織や闇闘技場を運営していることが多い。

 いずれにせよオードルの聖兵といえば、己と他者の血で世界を朱に染めようとする、凶悪な戦士という認識が一般的である。


戦士(……と、いう女には見えないな)

女僧侶「私も実のところ、敬虔なオードルの信徒であったわけではありません。ただ、両親がオードルの聖兵だったのです」

戦士「へ、へえ……?」

戦士(オードル信徒同士が結婚をするってのは珍しいな……。信徒同士の殺し合いも珍しくない神だ)

戦士(オードル信徒同士が治安側と犯罪者側に分かれて、一つの街で激しく合い争ったってこともあったと聞いたことがある)

女僧侶「両親も最初は互いをライバルのように思っていたそうですが……幾度もぶつかりあえど互いを死に至らしめることはできず。やがて、愛が芽生えた……と」

戦士「……らしい話だ」

女僧侶「私の故郷は元々、多くの神の教会が集まる都市だったのです。ですから、オードル神の敵にも事欠かなかった。二人も共に敵対する神の信徒と戦っていたと」

戦士「宗教都市か。なるほどな……」


――宗教都市
 己の司る権能に基づく力を持つ 様々な神がいる。人は神を讃え敬うことで、神の与える恵みを得た。恵みを得た人々は自分たちの信仰に基づき様々な宗教を作り上げ、それを実践する神の信徒となる。
 そうした人々を集め、信仰と生活を提供し恵みを得るために作られた都市。それが宗教都市だ。

 一般的な都市と比較して、神の信徒を税や建築において優遇する政策が取られ、それによって多くの宗教者を集め、多くの神を讃える教会が建てられる。
 集められた宗教者たちはその信仰によって神の与える恵みを都市に還元し、それを求めた人々が都市へと移住する。
 このサイクルによって発展するのが宗教都市の在り方である。
 宗教都市は、神の恵みこそを産業とする都市なのだ。


女僧侶「オードル神教会は街の治安維持と防衛に携わる教会の一つでした。私は幼い頃から教会で武器の手ほどきを受けていたのです」

戦士「そりゃ怖い街だ……。しかし、オードル神の戦士がなんでゾイナス神の僧侶になったんだい」

女僧侶「それは……」


女僧侶が生命の神・ゾイナス神の僧侶になったきっかけとは 残AP・5
↓1

1・ゾイナス神の信徒に命を救われた
2・死にかけた際にゾイナス神の声を聞いた
3・ゾイナス神の信徒に恋をした
4・オードル神の教義にうんざりした
5・なんとなく

6・眠くなってきたので、そろそろ寝る

7・襲撃だ! コンマで>>25のエンカウント表(AP1消費)(内容指定でAP追加消費)

8・啓示
9・奇跡

・システムメッセージ
女僧侶に「宗教知識」「武器習熟」「対人(型)熟練」の設定が付与されました

中黒があったりなかったりするのは普通に表記ゆれです
もうしわけない

2・死にかけた際にゾイナス神の声を聞いた

女僧侶「……街には、私たち以外にもオードル信徒がいました。彼らは闇に潜み、他の組織に傭兵として手を貸して生計を立てていたんです」

戦士「えっ、あれ? ひょっとして、俺が昔聞いたオードル信徒同士が戦っていた街っていうのは……」

女僧侶「私たちのことかもしれません」

戦士「そうだったのか。世間は狭いな」

女僧侶「私たちはお互いを街から消し去ろうと、何度もぶつかりました。そうしてぶつかること、それ自体がお互いの目的でもあったのですが……」

戦士「ははあ。凄まじい話だ……」

女僧侶「……一進一退の状態が続いていました。彼らは状況を打破するため、ソリイン信徒と手を組んだんです」

戦士「ソリイン……! 苦痛と悲嘆の収集者と言われる邪神!」

戦士(宗教都市は邪神犯罪の最前線でもある……。神の力が大量に降り注ぐことで、神界とこの世界の「壁」が薄くなっているからだ)

戦士(その結果、宗教都市では神の恩恵を他の場所よりもずっと受けとりやすくなる。それは善に限らず、悪しき神の力もまた同じ)

戦士(光強まれば影もまた濃くなる。宗教都市はその構造的に、あらゆる神の信徒にとって、魅力的な街になっちまう)

女僧侶「昼の往来でソリイン信徒が突如、武器を取り出し人々を殺し始めました。私たちも対抗しようとしたのですが……」

戦士「ソリインどもは周囲の被害を気にするどころか、むしろ拡大しようとする。影のオードルもそれを気にすることはない、か……」

女僧侶「はい。そして、人々に紛れた殺人鬼の刃に、私も胸を貫かれました」

戦士「胸!? まさか、『死んだ』のか!?」

女僧侶「いえ、かろうじて……私はまだ『死に戻った』ことはありません」

戦士「そ、そうか……。なら、すぐに誰かに助けられたのか?」

女僧侶「……そうですね。私は確かにその時、助けられたのです。我が神に」



『なすべきことを与えよう』



『正しく生きる必要はない』



『生とは想いの追求である』

女僧侶「そんな声が聞こえて……。気がつけば、私は地の上に倒れていた。胸の傷はなくなっていました」

戦士「…………」

女僧侶「周囲ではまだ戦いが続いていました。私はすぐに立ち上がり、神の力を借りて加勢に入った」

戦士「ふんふん」

女僧侶「犠牲はありましたが、私たちはその場にいた敵を全員倒すことができました。そして……属する教会と異なる神の声を聞いた私は、その場で別れを告げたのです」

戦士「え、その場で?」

女僧侶「はい。私はすでにゾイナス神の僧侶でしたから」

戦士「しかし、オードル教会には僧侶さんの両親だっていたんだろ?」

女僧侶「……黙って行くのは少し辛かったですけどね」

戦士「なんでそこまで……」

女僧侶「ゾイナス神がなぜ私に声をかけたのかはわかりません。ただ、確かなのは、私が命を助けられたことです。だからこそ、私は神のために何かをしようと思いました。だから、こうして冒険者になったのです」

戦士「そうか…それは、立派だな」

女僧侶「え」

戦士「神に与えてもらおうとする人間は多いが、借りを返そうとするやつはなかなかいない。僧侶さんは義を知っているな」

女僧侶「そう、でしょうか……?」

戦士「いい話を聞かせてもらった」

女僧侶「いえ、そんな……」

 戦士は笑って立ち上がり、座っていて固まった身体をほぐすように伸ばした。

戦士「……さてと。だいぶ夜もふけてきた。一方的に聞いただけで悪いが、今日は寝るとしようか」

女僧侶「は、はい」

戦士「明日はまた探索だ。ゆっくり休むとしよう」

女僧侶「わかりました」

 女僧侶が戦士の作った寝床小屋に入り、身を横たえる。
 戦士はそれを確認して、寝床小屋の壁に背をあずけて座った。

女僧侶「え? あの」

戦士「俺はここでいい。……気にしないでくれ。明日の昼には中で眠らせてもらうさ」

女僧侶「私がゾイナス神の加護をお借りして、警戒の結界を張ることも……」

戦士「大丈夫だって。僧侶さんは温存しておいてくれ。俺はそう使い減りしないが、僧侶さんは違うからな」

女僧侶「でも……」

戦士「まあなんだ、いばるわけじゃないが俺もAランクの端くれだ。このくらいはなんでもないんだ」

女僧侶「そこまで仰るなら。わかりました。……明日も、よろしくお願いします」

戦士「おう」

 女僧侶は目を閉じ、そしてすぐに眠りに入った。それを呼吸音で確認した戦士は、軽く目を閉じる。
 人里離れたこの森の夜闇に目は役立たない。周囲の環境に集中しつつ、自分の身体を休める技を身につけていた。

戦士(ま、今晩は何もないと思うが)

 戦士の勘の通り、それ以上に何事もなく夜が明ける。
 朝の挨拶と軽い食事を済ませた二人は、再び探索を開始する。

戦士「じゃ、行くか」

女僧侶「はい」

・システムメッセージ
女僧侶に「蘇生経験」の設定が付与されました

二人は森の探索(午前)を開始した……。
コンマでランダムエンカウント。APを指定することで安価として指定可能。
↓1

00~10 何も見つからなかったので、昼休みになる(AP1で指定可能)
11~50 アルラウネが見つかった(AP1で指定可能)
51~70 動物が【コンマ一桁】匹出てきた。出てきた動物は【コンマ十桁】だ。(AP1で指定可能。数・種類共に決めてOK)
 動物表 5・兎 6・鹿 7・熊(コンマ三分の一匹)
76~85 ゴブリンが【コンマ一桁】匹見つかった(AP1で指定可能。数も決めてOK)
86~90 オーガが見つかった(AP1で指定可能)
91~95 ヤバい相手が見つかった。コンマ一桁が偶数・奇数で分岐(AP2で指定可能)
96~99 晴れ渡っていた青空が不自然な速度で曇り、大雨が降りだす。近くの小屋に避難しよう。(AP2で指定可能)

1 啓示「何かを指定して二人にさせる」(AP1)
2 奇跡「何かを指定して起こす」(AP2)

えーっ、5%なら出ないと思ってたのに……
次回に続きます

あけましておめでとうございます かろうじて平成のうちに間に合った…
安価指定までいきませんでしたが(間に合ってない)、投稿をさせていただきます

 二人は森の中を歩いている。木の密度はさほどでもなく歩きやすい。木漏れ日も充分にさしこみ明るく、ごく普通の森という印象だった。

戦士「この辺は魔物もそこまで出ないし、それほどの危険はないよ」

女僧侶「そうなのですね」

戦士「ああ。まあ出ても一番ヤバいのはせいぜいがオーガが一体くらいかな。AランクとBランクなら問題はないはずだ」

女僧侶「ご期待にそえるよう、頑張ります」

戦士「ハハハ、期待してるぜ。……まあ、とはいってもごく稀にとんでもない相手がいることもある、って報告を数回知ってる。10年に1度あるかないかだが、一応話しておこう」

女僧侶「はい。わかりました」

戦士「それはな……」

 その時だった。巨大な影が、空中から飛来したのは。
 二人はすばやくその場から飛びのく。巨大な影は二人がいた場所にすさまじい勢いで落下し、あたりの木々をへし折り、ゆらして倒した。

戦士「……こいつだ! マシンゴーレムだ!」

女僧侶「これが!?」

 女僧侶は落下したものへと武器をかまえるが、落下の衝撃で土煙がもうもうと舞い上がり、その姿は見えない。状況を把握し攻撃にそなえるため、必死で目をこらす。
 ふと、その土煙の奥で何かが光ったような気がした。

戦士「危ない!」

女僧侶「えっ!?」

 戦士は女僧侶にとびかかり、その身体を抱きしめてさらにもう一度跳んだ。
 その瞬間、赤い光線が女僧侶のいた空間を貫いた。光はまっすぐに走り、その周辺の木を焼き払い、蒸発させて消し去った。光線は長く維持されることなく、すぐに自らも消える。後には丸く貫通され、燃える木々だけが残る。
 戦士はすでに女僧侶を抱きかかえたまま走り出し、その場を離れている。

戦士「連発はできないはずだが、いちど離れるぞ!」

女僧侶「は、はい……!」

 戦士の本音としては、一方的に光線で撃たれかねない距離に行きたくはなかった。が、女僧侶は光線の威力に身をすくませている。このままでは自分はともかく彼女が危険だ。
 戦士は女僧侶を抱いたまま、風のごとく走り去る。

『…………』

 残された土煙の中から、重い足音を立てながら影が姿を現した。
 四角い鋼鉄のかたまりに、小さくずんぐりした太い足と、巨大な両腕を持った人型の物体。頭にあたる場所には角の生え、まるいガラス窓のついた円筒がある。そして、胸には赤く大きな宝石がはめこまれ、帯びた熱で陽炎をまとっていた。ここから光線を発射したのだ。

『…………』

 鋼鉄の怪物は、二人が逃げ去った方に頭のガラス窓を向ける。それが彼の『眼』なのだった。

『…………』

 巨大な怪物は、しかし、その見た目とは裏腹の俊敏な動作で走り始めた……。

戦士「ふう……よし、ここまで来れば少しくらいは時間が稼げるだろう」

女僧侶「……あ、あの。もう大丈夫です。下ろしてください」

戦士「おっと、悪い」

 戦士はいちど森の外へと向かって走り、その途中で森の奥側へと外縁に対して弧を描くように移動していた。
 できるだけ見通しが悪く、みつかりにくい場所へと向かっていたのだ。

戦士「やつは感覚が異様に鋭いからな……。俺達を追ってくるだろう」

女僧侶「あの……あれは、一体」

戦士「ああ。あれは、マシンゴーレムだ。A中級の魔物、ってところだな」


――マシンゴーレム
 遺跡の森に点在する遺跡の奥底で、貴重な宝物などを守る機械人形。古代文明の技術で作られており、非常に頑丈かつ強力。近づけば巨大な腕による打撃、離れれば胸からの光線、逃げれば高速で追跡と、スキがない。その能力のどこかを正面突破できるか、相手を無力化できる搦め手に長けていなければ生き延びることはむずかしい。
 本来は侵入者を攻撃するための道具であり、地上に出てくることはない。


戦士「……しかし、時たまにああして地上に出てくるヤツがいる。悪いことに、出てきたやつは人間を殺すのが大好きになってやがる」

女僧侶「命じられたとおりに動く機械が、どうして……」

戦士「多分、この森の魔力のせいだな。魔力対策はされているはずだが、長い年月のうちにそれも緩んでくる。で、頭を魔力に侵されちまうことがあるのさ。そうなりゃ、魔力から生まれる他の魔物と変わらないわけだ」

女僧侶「……では、放って逃げる、というわけにもいかないのですね」

戦士「いいね、覚悟は決まってるわけだ。ま、逃がしてはくれないだろうしな」


戦士(ざっと見積もって、相手が一匹ならAランク以上が二人、もしくはA1、B2ならかなり高い確率でやれる相手だが……)

戦士(AとBの二人だけだと、少し荷が重いな。負けはしなくとも、どっちかがやられたり大怪我をする可能性がある)

戦士(逆に俺一人なら色々やりようもある。が、あいつは先に僧侶さんを狙った。実力が低い方を見抜いて攻撃してくるわけだ。これが厄介だな)

戦士(仮に僧侶さん一人を逃がしても、その後を追われたり、あの光線で撃たれる可能性が高い)

戦士(二人でやるしかないな)

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