上白河綺久「いらっしゃいませ」 穂村尊「おう」(12)


とある喫茶店……

綺久「って、何だ尊か」

尊「何だとは何だよ。俺は一応客だぞ」

綺久「喫茶店に来る暇があったら、学校に来なさいよね」

尊「うるせえな。てか何勝手にコーヒー淹れてんだよ?」

綺久「あれ、注文違った?」

尊「いや、頼もうとしてたけども……」


綺久「ふんふ~ん♪」

尊「……コーヒー淹れるの上手くなったな」

綺久「もう大分経つからね、ここのバイト」

尊「そういえばマスターは?」

綺久「今ちょっと買い出しに行ってるよ」

尊「1人で大丈夫なのか?」

綺久「それはマスターもいい大人だし」

尊「お前がだよ」


綺久「大丈夫よ、この時間は人少ないから……あ、もしかして手伝ってくれるの?」

尊「いや、誰もそこまでは言ってねえけど」

綺久「なーんだ。まあ尊に手伝って貰ったら余計に大変そうだからいいけど」

尊「何だよ、それ」

綺久「ふふっ……あ、新作のケーキあるんだけど食べる?」

尊「……食う」


綺久「美味しい?」

尊「まあまあ」

綺久「張り合いないなー。結構自信作なのに」

尊「何? これもお前が作ったの?」

綺久「そだよー。マスターからもお墨付きー」

尊「何かお前、どんどんスキル身に着けて来てねえか?」

綺久「これからの時代、出来る事は1つでも大いに越した事はないのじゃよ、尊殿」

尊「さいですか」


尊「…………」

綺久「…………」

尊「……マジで人が来ねえな」

綺久「だから暇だって言ったじゃん」

尊「…………」

綺久「テレビでも点けます、お客さん?」

尊「おう」


TV『本日デン・シティではハロウィンイベントが開かれています』

綺久「うわー、凄い人ね。やっぱり都会は違うなー」

尊「ゴミゴミして煩わしいだけだよ、都会なんて」

綺久「また尊はそういう事を言う」

尊「そもそも祭りならここでもやるだろう? 夏祭りとか」

綺久「規模が全然違うよ。あれはあれで楽しいけどさ」


尊「お前は行きたいの? こういう所?」

綺久「そうだね。テレビから観る分には楽しそうに見えるね」

尊「…………」

綺久「尊が連れて行ってくれるなら何時でもいいよ」

尊「どうしてそうなる?」

綺久「どうしてかそうなるのです」

尊「意味分からねえ……」


綺久「でも実際、尊は何時かああいう都会に行っちゃうんだろうね」

尊「俺はあんな祭りは興味ねえって」

綺久「そうじゃなくて。何となくなんだけどね」

綺久「尊はずっとここには居ない気がするの。何時か遠くに行っちゃう気がするの」

尊「…………」


綺久「その時は、さ」

綺久「一緒に連れて行ってとか、流石にそんな事は言わないけど」

綺久「せめて一番に教えて欲しいかな。幼馴染の特権って事で」

尊「綺久……」

綺久「もっとも今の尊は都会に行く前にまずは学校に行けって話だけどね」

尊「結局その話に戻るのかよ……」


尊「まあ別に何処に行くとか全然考えてねえけど……覚えとくわ、一応」

綺久「うん……ありがと」

尊「さて、そろそろ帰るか。マスターによろしく」

綺久「もう寄り道せずに真っ直ぐ帰りなさいよ。後、車には気を付けてね」

尊「ガキか、俺は。じゃあ勘定頼む」

綺久「ありがとうございます。ケーキセット、1280円になります」

尊「……地味に高えな、ケーキ」

<おわり>


読んでくれた人、ありがとうございました。綺久ちゃん可愛いのでレギュラーになって欲しいです。

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