死神「これは名前を書くとその者を泥酔させることができる“泥酔ノート”だ」 (21)

男「……ん」グビグビ

男「なんだぁ~? 変な奴が目の前にいるぞぉ~?」ゴシゴシ

死神「変な奴とは失敬な、私は死神だ」

男「死神ぃ~?」

死神「私の姿が見えるとは、貴様とは波長が合うようだ」

死神「貴様にはこのノートを授けよう」

男「なんだそりゃ?」

死神「これは名前を書くとその者を泥酔させることができる“泥酔ノート”だ」

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男「名前を書くとぉ?」

死神「正確には顔も知っていなければならないがな」

男「へぇ~、おもしれえ」

男「だけど、なんの役に立つんだぁ? そんなもん」

死神「使い道なら色々あるぞ」ニヤ…

死神「たとえば、貴様とライバルがある試験を受けるとしよう」

男「ふんふん」

死神「その時、ライバルの名前をノートに書いておけば……」



ライバル『あれ……急に考える力がなくなってきたぁ~……』

男『ふふふ……これでライバルは落第点だ』



死神「貴様は労せずして、ライバルに勝利できる」

男「ほぉ~」

死神「他にも、ある女性を恋敵と奪い合いになった時」

死神「そいつがその女性といる時を狙って、泥酔させれば……」



恋敵『ほげほげほげぇ~! 急に脱ぎたくなってきたぞ~!』ヌギヌギ

女『やだ! あなたなんて大嫌い!』



死神「恋敵の好感度を最低レベルまで下げることができる」

男「なるほどぉ~」

死神「もっと直接危害を加える方法もあるぞ?」

男「へえ?」

死神「ムカつく奴が車を運転してるであろう時間に、そいつの名前を書けば……」



ムカつく奴『な、なんだ? 急に酔っ払ったような気分に……』

ムカつく奴『う、うわぁ~っ!!!』

キキーッ! ドカーンッ!



死神「大怪我させたり、殺したりすることも可能……!」

男「デスノートみたいなこともできるってわけかぁ」

死神「うまく使えば、もっと大きな被害を生み出すことも可能だ」



機長『あ~……なんか今日はいい気分だな……急降下だーっ!』

副機長『機長、なにやってるんですか!? 墜落しちゃいますよぉ!』



死神「電車や飛行機の運転者を酔っ払わせることでな……」

男「恐ろしいねえ……」

死神「国を動かすことだってできる」

死神「気に食わない政治家が選挙演説でもやってる時に泥酔させれば……」



政治家『ウ~イ……』

政治家『いいか、愚民ども! 俺は偉いんだ! もっと税金納めやがれぇぇぇぇぇい!』



男「気に食わない奴は失脚させられるってかぁ~」

死神「そういうことだ」

死神「どこぞの大統領でも酔っ払わせれば……」



大統領『うへへ~いい気分だぁ~』

大統領『核スイッチ押しちゃおっ!』ポチッ



死神「世界大戦をも引き起こせるかもしれない」

男「ハハハ、それも面白いかもな!」

死神「……というわけだ」

死神「この“泥酔ノート”……貴様の好きなように使うがいい」

男「ああ、好きなように使わせてもらうぜ!」

死神(さっそくペンを握ったか……ククク、気の早い奴だ……)

死神(さぁ、泥酔ノートで思う存分世の中を混乱させるがよい!)

男「よぉ~し……」カリカリ…

死神(欲望に身を委ね、人々に死と混沌をもたらし、この私を楽しませてくれえええ!!!)

……

……

男「うへへへへ……」カリカリカリカリ…

死神「……また自分の名前書いてるの?」

男「うん!」

男「だって、金も使わず泥酔できるなんてサイコーじゃん! どんどん泥酔するぞぉ! うへへへぇ……」カリカリ…

死神(あーあ、とんだ飲んだくれにノート渡しちゃったよ……トホホ)







おわり

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