【モバマス】凛「エッチしないと出られない部屋」 (82)

凛「前に話題になった、エッチしないと出られない部屋」

凛「晶葉に頼んでようやく作ってもらったよ」

凛「ふーん、なかなかいい部屋だね。エッチするためだけじゃなく普通に住めそう」キョロキョロ

凛「あとはここにプロデューサーを呼べば……ふふふ……」


まゆ「ちょっと待ってください」

凛「!?」

まゆ「最近こそこそ何をやっているのかと思ったら、こんなものを作ってたんですねぇ」スタスタ

凛「まゆ!? どうしてここが!」

まゆ「こっそり跡をつけたんですよ。凛ちゃんの企みを暴くために」

まゆ「エッチしないと出られない部屋だなんて……脳内がピンク色にもほどがありますよ」

凛「ほっといてよ、まゆには関係ないんだし」

まゆ「大ありです。プロデューサーさんと凛ちゃんをくっつくるわけにはいかないですからね」

まゆ「第一、他のアイドルが何も知らず入っちゃったらどうするんですか」

凛「それを防ぐために、人通りのない346の地下に作ったんだよ」

まゆ「違法じゃないんですか?」

なぜかRの方にスレが立ちましたが
R18ではないです

凛「バレなきゃ平気」

まゆ「全く、呆れます。脳内ピンクだけじゃなくブラックにも…」


ウィーン ガチャン


凛・まゆ「え?」

『二人以上ノ入室ヲ確認シマシタ。ゴユックリドウゾ』

凛・まゆ「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……まさか、この部屋……もう機能してるんですか……?」

凛「……」

まゆ「嘘ですよねぇ? ねぇ?」

凛「だ、大丈夫。こんな事もあろうかと」

凛「晶葉からカードキーをもらったんだ。これを入口の機械に差し込めば」スッ

まゆ「ツタヤのカードで開けられるんですか」

凛「!」

凛「……間違って持ってきたみたい……」

まゆ「……」

凛「だ、大丈夫。スマホで晶葉に連絡すればいいんだよ」

凛「私のは事務所に置いてあるから無理だけど、まゆのスマホで…」

まゆ「事務所で充電中です」

凛「……」

まゆ「……」

凛「どうしよう」

まゆ「誰かー! ここから出してください! 誰かー!」バンバンバン

凛「無駄だよ……さっき言ったでしょ? 人通りのない地下だって」

まゆ「じゃあどうするんですか!? 凛ちゃんのドジで持ってきたポイントカードじゃ開けられないんですよ!」

凛「わ、私だってそういうミスするよ! 人間だもの!」

まゆ「その上スマホという連絡手段も手放してるなんてありえないですし!」

凛「まゆだって手放してるじゃん!」

まゆ「凛ちゃんと違って、まゆのは充電してたから仕方ないんです」

凛「むぐ……!」

凛「っていうかさ、そもそもまゆがここに入って来たのが悪くない?」

まゆ「いいえ。凛ちゃんが部屋を作らなければよかったんですよ」

凛「まゆが悪いよ」

まゆ「凛ちゃんのせいです」

>>5 ミスったのでもう一度

凛「だ、大丈夫。スマホで晶葉に連絡すればいいんだよ」

凛「私のは事務所に置いてあるから無理だけど、まゆのスマホで…」

まゆ「事務所で充電中です」

凛「……」

まゆ「……」

凛「どうしよう」

まゆ「誰かー! ここから出してください! 誰かー!」バンバンバン

凛「無駄だよ……さっき言ったでしょ? 人通りのない地下だって」

まゆ「じゃあどうするんですか!? 凛ちゃんのドジで持ってきたツタヤのカードじゃ開けられないんですよ!」

凛「わ、私だってそういうミスするよ! 人間だもの!」

まゆ「その上スマホという連絡手段も手放してるなんてありえないですし!」

凛「まゆだって手放してるじゃん!」

まゆ「凛ちゃんと違って、まゆのは充電してたから仕方ないんです」

凛「むぐ……!」

凛「っていうかさ、そもそもまゆがここに入って来たのが悪くない?」

まゆ「いいえ。凛ちゃんが部屋を作らなければよかったんですよ」

凛「まゆが悪いよ」

まゆ「凛ちゃんのせいです」

凛「まゆが悪い!」

まゆ「凛ちゃんのせいです!」

凛「まゆが悪い!!」

まゆ「凛ちゃんのせいです!!」

(数分後)

凛・まゆ「はぁ……はぁ……」

凛「言い争いはやめよう、無益だから」

まゆ「そうですね……ここから出る方法を考えるのが先決です」

グー

まゆ「う……」

凛「お腹減ってるの?」

まゆ「はい……この件が終わったらお昼を食べようと思ってたので……」

凛「食糧ならあるよ、食べなよ」

まゆ「本当ですか?」

――――

まゆ「……」モグモグ

凛「……」パクパク

凛「どうしようね」

まゆ「冷静になって考えたんですけど」

まゆ「まゆたちがこのまま長時間いなくなったら騒ぎになって」

まゆ「晶葉ちゃんの耳にも届きますよね?」

凛「あ、そっか。スマホが事務所にあるんだから、まだ346プロにいるって思うよね」

凛「じゃあここで過ごしてればそのうち助かるか」

まゆ「きっとそうですよ! せっかくのオフが潰れちゃいますけど」

凛「……そうだね、まゆのせいでね」

まゆ「ポンコツ凛ちゃんのせいですけどね」

凛・まゆ「……」ムカッ

凛「ポンコツはまゆの専売特許でしょ」

まゆ「さすがにカードを間違えて持ってきたりはしませんよぉ」

凛「どうかな。この前、何も無いところで転んだまゆならやりかねないよ」

まゆ「み、見てたんですか。ああいうのは誰にでも1回はあるものです」

凛「噛みまくってコミュニケーションって言えず苦戦してたまゆならやりかねない」

まゆ「たまたまですよっ! 誰だって噛むことはあります!」

まゆ「というか、それってポンコツって言うほどじゃありませんし」

凛「あ」

まゆ「え?」

凛「今物音が聞こえた」

普通のブラウザで立てるとバグでRの方に立つらしいから、可能なら専ブラ導入してみ

まゆ「物音?」

凛「誰かが助けに来てくれたのかも」

まゆ「本当ですか!? すみませーん! 閉じ込められたんです! 助けてくださーい!」

凛「声が聞こえますか! 誰か! 聞こえたら返事をしてください!」

まゆ「ヘルプミー!」

凛「ここです! ここにいます!」

まゆ「助けてー!」

凛「誰かー!」


凛・まゆ「…………」


まゆ「何も反応がありませんね」

凛「声が届かなかったのかな」

まゆ「気のせいだったんじゃないですか?」

凛「かもしれない」

まゆ「はぁ……上げて落とされました」

凛「でも、本当に誰か通ったのかもしれないよ? 今の叫びが無駄にならないかも」

まゆ「そうだといいんですけど」

>>10
バグでしたか
入れてみます、ありがとうございます


――――

まゆ「すごい、このベッドくるくる回りますよ」クルクル

凛「何の意味があるんだろうね」

まゆ「この引き出しには何が入ってるんですか?」

凛「さあ。晶葉には『エッチしないと出られない部屋作って』って伝えただけだから」

まゆ「これを1番最初に言うべきでしたけど、14歳の女の子になんてものを作らせてるんですか」

まゆ「鍵はかかってないみたいですね」ガラッ

まゆ「……」

凛「何が入ってるの?」

まゆ「……」パタン

まゆ「からっぽでした」

凛「どうして顔赤いの」

まゆ「元からこんな色です」

凛「ちょっと私も見てみる」スタスタ

まゆ「あ、やめた方がいいですよ!」

凛「からっぽならいいじゃん別に」ガラッ

凛「……」

まゆ「……」

凛「何これ」

まゆ「見ての通りです」

凛「……道具、だよね……」

まゆ「はい……エッチな道具、だと思います……」モジモジ

凛「うわあ、すごい。実物見たの初めてだよ」スッ

まゆ「ちょっ、何触ってるんですか!?」

凛「い、いいじゃん別に。こんな機会めったに無いし……」

凛「晶葉こんなものまで用意したんだ。作ったのかな」

まゆ「そんな知識あると思えませんけど」

凛「だよね。どうやって用意したのか、あとで聞いてみよう」

まゆ「その『あと』が、いつになるか分かりませんけどね」

凛「うわー……すごい……このスイッチなんだろ?」カチッ

ブインブインブイン

凛・まゆ「!?」ビクッ


ポイッ

まゆ「きゃあっ!? こっちに投げないでくださいっ!」

凛「ごご、ごめん。びっくりしちゃって」

ブインブインブイン

まゆ「回ってる……」

凛「スイッチ止めるか電池切れないと回り続けるよ」

まゆ「止めてくださいよ!」

凛「う、うん」

カチッ

まゆ「うう、すごいの見ちゃいました……」

凛「まあいつか見る時が来るかもしれないし」

まゆ「確実に今ではないです」

凛「そう? プロデューサーが使いたいなら私は受け入れるけど」

まゆ「プロデューサーさんのことですから、絶対に私たちに手を出しませんよ」

凛「だからこそこの部屋を作ったんだよ」

まゆ「ああ、そういえばそうでした」

まゆ「……それ」

凛「?」

まゆ「どうするんでしょうか」

凛「どうするって……い、入れるんじゃないの? たぶん」

まゆ「そ、そうですよね」

まゆ「入れてから、回すんですか?」

凛「知らないよ」

まゆ「痛いですよね絶対」

凛「さあね。もうこの話はいいでしょ、やめよう」

まゆ「……」ジー

凛「なに」

まゆ「凛ちゃんって、プロデューサーさんと交わるためにこの部屋を作ったのに」

まゆ「案外そういうことに消極的っていうか……純粋なんですね」

凛「は?」

まゆ「顔真っ赤じゃないですか。恥ずかしいんですよね?」

凛「当たり前でしょ。これでも性経験のない真っ白な女子高生なんだし」

凛「私はエッチがしたいんじゃなくて、プロデューサーと1つになりたいだけだからね」

凛「まゆみたいな性欲の塊じゃないんだよ」

まゆ「なっ!? ま、まゆだって同じですよ! さっきこれを見たとき、顔真っ赤にしてるの確認したでしょう!」

まゆ「今もおそらく赤いですし! 顔が熱いので!」

凛「あ」

まゆ「え?」

凛「今、外から物音がしたような」

まゆ「本当ですか!?」

凛「しなかったような」

まゆ「どっちですか!」

凛「ごめん、気のせいだと思う」

まゆ「はぁ……なんだか、一気に肩の力が抜けましたよ」

凛「……これしまっとくね」

まゆ「はい……」

――――

凛「……」

まゆ「……」

凛「……暇だね」

まゆ「暇ですね」

凛「あ」

まゆ「また物音ですか?」

凛「ううん、違う。このリモコンなんだろ」スッ

まゆ「無暗に触らない方がいいですよ」

凛「そう? もしかしたら出口が開くかも」

まゆ「ここはエッチしないと出られない部屋なんですよ。出口が開くとしたら……」

凛「エッチしないと、か」

凛・まゆ「……」

まゆ「お、押してみましょうか。そのボタン」

凛「だね。暇つぶしにちょうどいいと思う」

凛「まずはこの大きなボタンを」ピッ

ウィーン

まゆ「わ、すごい! 床から大きなモニターが出てきました!」

凛「なるほど。これってテレビのリモコンなんだ」

まゆ「大がかりな仕掛けですねぇ……晶葉ちゃん、とんでもないです」

まゆ「電源入れてくださいよ。バラエティ番組とか見ましょう」

凛「うん。えっと、これかな」ピッ


『佐伯くん……来て』

『ミヤちゃん!』


凛・まゆ「!?」

まゆ「こ、これは……」カァァ


『あんっ』

『はぁ、はぁ、ミヤちゃん!』

まゆ「え、エエ、エッチな番組じゃないですかー!!」ブンブン

凛「み、みたいだね」

まゆ「何でこんなものが……とにかく消しましょう!」

凛「いや、他の番組も見てみよう。このチャンネルだけかもしれないし」

まゆ「他があるんですか」

凛「ボタンあるもん」ピッ


『オゥイエース! ファッ〇ミー!!』


まゆ「外人さんのエッチな番組っ!?」カァァ

凛「あわわわ……すごく激しい……」カァァ

まゆ「見入ってる場合じゃないです! 早く消してください!」

凛「ま、まだチャンネルがあるんだよ。一通り確認してみよう」ピッ


『堪忍! 堪忍してー!』

ピッ

『ほら、これが気持ちいいんでしょ!?』グリグリ

『ありがとうございます!』

ピッ

『ダメ、夫が帰ってくるから……!』

ピッ


まゆ「エッチな映像オンリーじゃないですか!!」

凛「あれかな。エッチが盛り上がるためにこういうの流してるのかな」

まゆ「知らないですよ! さあ、もう確認しましたし消しましょう!」

凛「了解」ピッ

まゆ「うー……ムチで男の人を叩いてた映像が、なぜか頭から離れません……」

凛「そういう趣味があるんじゃない?」

まゆ「いえ、どちらかというとMなので……まあプロデューサーさん次第で自由自在ですけど」

凛「分かる。プロデューサーが求めることをしてあげたいよね」

凛「っていうか、プロデューサーってSかMかどっちだろう」

まゆ「エッチな本やデータは全て見事に隠されてますからねぇ。分からないです」

凛「まゆでも分からないんだ……エロに関する防衛対策がすごいね」

まゆ「ええ、本当に」

――――

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……あの」

凛「なに」

まゆ「もう6時間くらい経ってますよね。助けが来ないんですけど」

凛「そうだね。何でだろうね」

続きは明日にします

まゆ「なんでそんなに平然としてるんですか」

凛「心は不安でいっぱいだよ。もしかして、みんな私たちのスマホをスルーしちゃったのかも」

まゆ「一大事じゃないですか! ま、まあ、まだプロデューサーさんやちひろさんがいますし」

まゆ「仮に事務所の人に見つからなかったとしても、家族に連絡がいって……」

凛「プロデューサーの耳にも入るよね。そこから晶葉に繋がれば、必ず見つけてもらえる」

まゆ「警察騒ぎになる可能性ってありますよね」

凛「うん、ありえる。さらにニュースになったりして。一応私たち人気アイドルだし」

まゆ「人気アイドル2人が、エッチしないと出られない部屋に閉じ込められてた、って報道されるんでしょうか」

凛「まさか。事務所が対策をとってくれるよ」

まゆ「で、ですよね」

グー

まゆ「うう……お腹が……」

凛「もう夕食の時間だしね。なにか食べよう」

――――

まゆ「ごちそうさまでした」ペコリ

まゆ「ふー……お腹もいっぱいだし、そろそろお風呂に入りたいところですけど」

まゆ「ここってバスルームあるんですか?」

凛「もちろん。トイレの向かい側のドアだよ」

まゆ「ありがとうございます」

凛「私も入ろうかな」

まゆ「え?」

凛「ん?」

まゆ「一緒に入るんですか?」

凛「なに言ってんの。まゆが出たあとで入るつもりだよ」

凛「まさか、一緒に入りたいとか?」

まゆ「違いますっ! 凛ちゃんが紛らわしい言い方をするから……!」

まゆ「行ってきます」スタスタ

凛「行ってらっしゃい」

――――

チャプン

まゆ(お湯が出るタイプだったからすぐ入れた)

まゆ(気持ちいい。お風呂は疲れを癒してくれるから大好き♪)チャプチャプ

まゆ(……あと何時間すればここから出られるんだろう)

まゆ(明日はお昼からラジオの収録があるから、それまでには助けが来てほしいけど)

まゆ「はぁー」

まゆ(本当に、こんなことになるとは夢にも思わなかったな。どこかの脳内エッチアイドルさんのせいで、全く)

まゆ「……」

まゆ(まあ……よーく考えてみたら、不用意にこの部屋に入ったまゆも悪いけど……)

まゆ(ううん。ここがそんな部屋だって知らなかったし、やっぱり凛ちゃんのせい!)

まゆ(上がったら、ちゃんと謝ってもらわないと)プンスカ


――――

凛「……」

凛(何でこうなったんだろう)

凛(って、まゆがズカズカとこの部屋に入ってきたからだよね)

凛(まゆが人をストーキングして、この部屋に入って来なければ、今頃私はプロデューサーと……)

凛(……違う)

凛(分かってるんだ。冷静に考えたら、悪いのは完全に私)

凛(まゆが責めてくるから、つい対抗して怒っちゃったけど)

凛(お風呂から出てきたら、ちゃんと謝ろう……)

(30分後)

まゆ「ふー、いいお湯でした」スタスタ

凛「なにその恰好」

まゆ「バスローブです。置いてあったので借りました」

まゆ「しかも乾燥機能つきの洗濯機までありますよ。あとで服を洗いましょう」

凛「うん……」

まゆ「何でもありますよねぇ、生活に不自由しなさそうです。食糧や水は有限ですけどね」

凛「……」

凛(しっかり向き合って謝ろう。まゆに『ごめん』って言わないと)

凛「あのさ、まゆ」

まゆ「はい」

凛「話があるんだよ」

まゆ「話? あ、まゆも凛ちゃんに話があるんですよ!」

凛「え」

まゆ「お風呂に入ってずっと考えてたんですけど、やっぱりこうなったのは凛ちゃんのせいです」

まゆ「まゆは一切! これっっぽっちも! 微っっっ塵も悪くないですからね!」プンスカ

凛「……」

まゆ「謝ってもらえますか? 深々と頭を下げて」

凛「……」

まゆ「さあさあ早く! そうしないと気が済まないんです!」

まゆ「どうしたんですかぁ? まさか自分のしたことを自覚してないんですかぁ?」


凛「し、してないよ」

まゆ「!」

凛「だって悪いのはまゆだし」プイッ

まゆ「なあっ!? この期に及んで、まだそんなことを……!」

凛「お風呂入ってくる」スッ

まゆ「待ってください! まだ話は終わってません!」

凛「もしかして一緒にお風呂入るつもり?」

まゆ「入りませんよっ!」

凛「じゃあついて来ないでよ。もし覗いたら、これからはエッチまゆって呼ぶからね」

まゆ「覗きもしませんっ!」プンプン

まゆ「むむ……出てきたら絶対に頭を下げさせる……!」

――――

(1時間後)

凛「いつまで怒ってるの? 疲れない?」

まゆ「ええ、凛ちゃんが謝ってくれるまでずっと言い続けますよ!」

凛「はぁ……分かったよ、ごめん」

まゆ「心がこもってないです! もう一度!」

凛「ごめん」

まゆ「全然変わってないじゃないですかぁ!」

(2時間後)

まゆ「もう……! ショートケーキのイチゴをくれたぐらいじゃ許しませんからねっ」モグモグ

凛「ケーキの方も一口どう?」

まゆ「わあ、もらいます……って危ない! 危うく買収されるとこでした!」

凛「ちっ、気づいたか」

(3時間後)

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「ねえ……もう怒ってこないの……?」

まゆ「疲れましたから」

凛「……そうだね」

(6時間後)

凛「……」ウトウト

まゆ「眠いですね」

凛「もうとっくに0時過ぎてるしね……」

まゆ「はい……。時計があってよかったです、時間を確認できますし」

凛「うん……」

凛「……助け、来ないね……」

まゆ「きっともう警察騒ぎになってますよね」

まゆ「家族に心配をかけて……プロデューサーさんや、アイドルのみなさんにも……」

まゆ「すごく迷惑をかけちゃいました……」

凛「……」

まゆ「それだけじゃありません。ニュースになれば、ファンの方たちだって不安になると思います」

まゆ「ここから出たら謝罪をしないと、ですね」

凛「……」

まゆ「でも、なんでこの場所が見つからないんでしょう。晶葉ちゃんにも、まゆたちのこと知られてるはずですよね?」

凛「……」

まゆ「346プロも隅々まで調べられるでしょうし、この部屋もいつかは見つかるはずなのに……」

凛「……」

まゆ「まあ、さすがにここで数日数週間過ごす、なんてことはないですよね」フフ

凛「……」

まゆ「……凛ちゃん?」

凛「……」

まゆ「ひょっとして、寝ちゃいましたか?」

まゆ「眠いのは分かりますけど、よくこんな状況で夢の中へ行けますね……」

まゆ「はぁ……世話が焼けるとはこの事です。凛ちゃーん」ユサユサ

まゆ「起きてくださーい。寝るならベッドに…」

凛「起きてるよ」

まゆ「あ、そうだったんですか」

凛「まゆ」

まゆ「?」


凛「ごめん」

まゆ「……!」


凛「ごめんね……本当に、ごめんなさい……」

凛「全部私が悪いよ……こんな部屋を要望したせいで……閉じ込め、られちゃって……」

凛「まゆは、被害者なのに……」グスッ

まゆ「な……泣いてるんですか?」

凛「私、なんてバカなんだろうね……」

凛「こんな部屋を作って、無理やりプロデューサーとくっつこうなんて……卑怯者だしさ……っ」ズズッ

まゆ「な、なにも泣くことないじゃないですか」

凛「か……勝手に出てくるんだもん……!」

凛「事の重大さを、やっと自覚して……ひっく……」

凛「ごめんなさい……! ごめんなさい……!」

まゆ「ああ、も、もういいですよっ! 許しますから!」

まゆ「というか、まゆも悪かったんです。知らないとはいえ、この部屋に勝手に入ったまゆも」

凛「普通、エッチしないと出られない部屋だなんて、思わないでしょ……しょうがないよ……」

まゆ「うう、卑屈にならないでくださいよ……ただでさえ不安でいっぱいなのに……」

まゆ「凛ちゃんはいつもみたいに、まゆと張り合っていればいいんです! そうしてくれた方が嬉しいです!」

凛「無理だよ……すべては私の責任だし……」

凛「まゆをこんな目に遭わせちゃった、私の……ぐすっ……」

まゆ「とりあえず、涙拭きましょう? 泣くのも疲れるでしょう」

凛「いいよ、ほっといて。まゆはベッドでゆっくり眠って……私は床で寝るから……」

まゆ「そんなこと言わずに! はい、顔を上げて」グイッ

凛「……」ダラダラ

まゆ「うわっ。顔が涙と鼻水ですごいことになってますよ」

まゆ「ティッシュで拭きますね」スッ

凛「じ、自分でやれるよ……」

まゆ「いいですから、任せてください! こんな顔、アイドルがしちゃいけないですよ」フキフキ

凛「ありがとう」

まゆ「どういたしまして。あとさっき『うわっ』とか言っちゃってごめんなさい」

凛「き……気にしてないから……」

フキフキ

まゆ(驚いた。凛ちゃんがこんなに泣くなんて)

まゆ(まあ、事が大きくなっちゃったのは確かだし。その原因だから……)

まゆ(晶葉ちゃん、早く気づいて……でないとまゆたち、このままここで生活することに……)


――――

――――――

――――――――


ピピピピ ピピピピ

まゆ「……うゅ……」カチッ

まゆ(あれ……目覚まし……? なんで……まゆ、いつの間に眠ったんだろう……)

まゆ(ああ、そっか……凛ちゃんをベッドで寝かせて、それからセットしたんだっけ……)

まゆ(ん……いい匂いが……)クンクン

凛「あ、起きたんだ」

まゆ「……凛ちゃん……」

凛「おはよう。朝ごはんできてるよ」

まゆ「おはようございます……え……?」

凛「朝ごはんだよ。コンビニのお弁当やお惣菜だけじゃ栄養が偏るからさ」

凛「キッチンを使って自炊したんだ。食材もたくさんあったし」

まゆ「……」

凛「寝ぼけてるの? 顔洗ってきなよ」クスッ

まゆ「は、はい……」

まゆ(凛ちゃん、元気そう。一晩眠って調子を取り戻したのかな)

――――

まゆ「わ……! これ、全部凛ちゃんが?」

凛「うん」

まゆ「アジの開きにホウレンソウのおひたし。野菜サラダにお味噌汁」

まゆ「そして、ほかほかのご飯」ゴクリ

凛「味は保障できないけどね。よかったら食べて」

まゆ「せっかく作ってくれたんですから、いただきますよ」スッ

まゆ「まずはお魚を……はむっ」

まゆ「……」モグモグ

凛「どうかな」

まゆ「美味しいです。身がホクホクしてて、抜群の焼き加減ですよ」

まゆ「ご飯が進みます」パクッ

凛「よかった」

まゆ(なんで急にご飯なんか……罪滅ぼしなのかな)モグモグ

まゆ(そんなことしなくていいのにな)

凛「気になるよね」

まゆ「え?」

凛「目、腫れてるでしょ……昨日あんなに泣いちゃったし」ハハ

まゆ「あ、ああ……」

凛「改めて言うけど、本当にごめんなさい。私のせいでまゆをここに閉じ込めちゃった」ペコリ

まゆ「そんな! いいんですよ、気にしてないので!」アタフタ

凛「気にするでしょ。一夜明けて、今は午前8時だけど」

凛「まだ助けが来ないんだよ?」

まゆ「そういえば……」

凛「おかしいよね。私たちがいなくなった情報は、とっくに晶葉の耳にも届いてるはずだし」

凛「心当たりがある場所を考えたら、この部屋に行きつくと思うんだよ」

まゆ「はい、まゆもそう思います」

凛「捜索もしてくれてるはずだしね。いい加減ここが見つかってもいい頃なんだけど」

まゆ「もしかしたら、すでにドアの前にいるかもしれませんよ。開けようとしてる最中だったり」

凛「なら物音の1つくらいすると思わない?」

まゆ「ここが完璧なくらいの防音設備なのかも」

凛「なるほど。じゃあ昨日聞いた物音は、外じゃなくて中からだったとか?」

まゆ「分からないですけど……何にしても、そのうち救助が来ますよ! 気長に待ちましょう!」

凛「まゆ、やたら明るいね」

まゆ「不安をやわらげるためです」

凛「ご、ごめん……」

まゆ「あっ、いえ! 責めてるわけじゃ……!」

まゆ「えっと……ごはん冷めちゃいますよ!? 早く食べましょう!」

凛「うん」

――――

凛「ごめんね、洗い物を手伝ってもらっちゃって」

まゆ「作ってもらったんですからこのくらいは。凛ちゃんは休んでていいんですよ?」

凛「ううん、やらせて」

まゆ「……あの」

まゆ「思いつめなくていいですからね。凛ちゃんはいつもみたいにしてくれた方が…」

凛「私はいつも通りだよ」

まゆ「いいえ。いつもなら、何かとプロデューサーさんに結びつけて文句を言ってきます」

まゆ「例えば今だと『まゆ、お皿洗うのヘタだね。そんなんじゃ正妻になれないよ』とか」

凛「そんなこと言わないよ」

まゆ「言いますね」

凛「言わないって」

まゆ「言います!」

凛「言わない!」

まゆ「ふふっ、そうそう♪ その感じですよ」

まゆ「凛ちゃんは、そうしてた方がずっといいですよ」ニコニコ

凛「む……なんか腑に落ちない……」

続きは明日、というより今日終わりまで書きます


(2時間後)

凛・まゆ「……」

凛「来ないね」

まゆ「来ませんねぇ」

まゆ「試しにドアに顔をつけて、耳を澄ませてみましたけど」

凛「なんにも聞こえなかったね」

まゆ「この部屋、見つからなかったんでしょうか? それともまさか」

まゆ「晶葉ちゃんのことだから、ドアが閉まったら周りの景色と同化するような仕組みを……」

凛「もしそうだとしても、晶葉が心当たりを探っていけばここに行きつくよ」

まゆ「そうですよねぇ。じゃあ、ここに入ったら存在を忘れられてしまうような仕組みだとか」

凛「怖すぎるでしょ。さすがに晶葉といえど、そんなドラえもんの道具みたいな機能を作り出すのは無理だよ」

まゆ「でもこの不可解な状況を説明するには、そういった特別な仕組みを施したと考えるしかないですよ」

凛「……まあね。なら一旦、どんなバカなことでもいいから考察してみようか?」

まゆ「してみましょう」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

凛「……ははっ、まさかね」

まゆ「え?」

凛「ううん、気にしないで」

まゆ「何ですか? 教えてください」

凛「間違いなくありえない話だから。聞いたら笑っちゃうよ?」

まゆ「分からないじゃないですか。凛ちゃんの考察が大正解かもしれませんし」

まゆ「絶対に笑いませんから話してください」

凛「じゃあ、話すけど」

凛「もしかしたら……物理的な問題じゃないんじゃないかな」

まゆ「?」

凛「んーと、だからさ」

凛「ドアが見つからないとか、晶葉が気づくか気づかないかじゃなくて」

凛「そもそも外にいるみんなは、私たちのことを気にせず、平然と過ごしてるんじゃないかなって」

まゆ「どういうことですか?」

凛「つまりね。この部屋の空間は、外の空間と切り離されてて」

凛「中と外で流れる時間は全然違うの」

まゆ「……」

凛「例えば、外が1分経過したとすると、この中では1時間も経ってるっていう」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「ま、まさか……そんなすごいこと、できるわけ……ないでしょう」

凛「だ、だよね」

まゆ「ふふ……」

凛「はは」

凛「あははははっ」
まゆ「うふふふふっ」

凛・まゆ「……」

凛「でも……」

まゆ「はい……まゆがさっき言ったことよりは信ぴょう性があります」

まゆ「エッチする部屋に『存在を忘れられる機能』なんて搭載しても、メリットが浮かびませんし」

凛「その点、時間操作の機能があれば、ここでゆっくりしてても外ではほんの数分って、かなり便利だよね」

まゆ「ええ。じっくりと愛を育めますね」

凛「……」

まゆ「……」

凛「あれ……? 私の推理……的中しちゃった……?」

まゆ「一気にそうとしか思えなくなりましたよ」

凛「ヤバいよね。時間経過に差があるならヤバいよね」

まゆ「ヤバいですね。差はどれだけあるんでしょうか」

凛「分かんないよ……晶葉のみぞ知る、だよ」

凛「外で1時間経つと、ここでは6時間かもしれない」

まゆ「外で1時間なら、ここだと24時間かもしれません」

凛「いや、ひょっとして外が1分なら、ここでは1時間とか……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「まゆ、このままここで過ごして、歳をとるんですか」

まゆ「結婚適齢も過ぎて、アイドルのみなさんよりも先に」

まゆ「おばあちゃんになるんですか……?」ポロポロ

凛「!?」

まゆ「というか、その前に食糧が尽きて……」

凛「お、落ち着いて! 外が1時間で、ここだと2時間とか」

凛「その程度の差かもしれないしさ!」

まゆ「もっと大きな差かもしれないじゃないですか」

まゆ「うぅ……どうしよう……! 発見してもらえるまで、一体どれだけの時間が……っ」

まゆ「ぐすっ……ふえぇぇぇんっ」ポロポロ

凛「ま、まゆ……」

ギュッ

まゆ「……?」

凛「大丈夫だよ。きっと大丈夫!」

凛「まだそうだと決まったわけじゃないんだし」

まゆ「で、でも……その可能性もあるじゃないですか……」

凛「そうだね。けどさ、よく考えてみて」

凛「万が一私たちが話したことが事実だったとして。『それだけ』じゃないと思うんだよ」

まゆ「ど、どういうことですか……」

凛「今回の私たちみたいに、事故で部屋に閉じ込められた人のために」

凛「脱出の方法も考えて、組み込んでるんじゃないかな?」

まゆ「!!」

凛「だから、これから部屋中を探してみよう。ボタンか隠し扉か、何でもいいから見つけよう」

まゆ「は、はい! 賛成です!」

まゆ「……あの……立ちたいので、手を離してもらえると……」

凛「あ、そうだね。ごめん」パッ

まゆ「い、いえ……」

まゆ「ありがとうございます。勇気づけてくれて」

凛「はは……いいよ、お礼なんて言われる立場じゃないし」

凛(私がまゆをここに引き込んだんだから、何としても出してあげないと)

凛(そのために全力で捜索するよ)

――――

凛「何かあった?」

まゆ「ありました」

凛「本当!?」

まゆ「ボンテージ服と、鞭にロウソクです」スッ

凛「SMグッズじゃん!」

まゆ「こんなのばっかですよ。エッチしないと出られない部屋ですからね」

まゆ「エッチのための道具や衣装しか見つかりません」

凛「クローゼットの奥に何か隠されてない? スイッチとか」

まゆ「隅から隅まで探しましたよ。そっちはどうですか?」

凛「あったよ、電気マッサージ機や精力増強剤が」

まゆ「やっぱりそういうのですよねぇ」

凛「もっと探してみよう。ベッドも動かしたり、食糧庫の中も漁ったり」

まゆ「了解です」


――――

(5時間後)

凛・まゆ「……」モグモグ

まゆ「何もなかったですね」

凛「うん」

まゆ「この牢獄に閉じ込められて、普通より早いスピードで歳をとっていって」

まゆ「不安で不安で、食べ物の味がしません」

凛「言ったじゃん。まだそうと決まったわけじゃないって」

まゆ「じゃあ何で未だに助けが来ないんですか?」

凛「それは……」

まゆ「ごちそうさまでした」

凛「まだ残ってるけど」

まゆ「喉を通らないんです……あとで片づけるので」スッ

凛「どこ行くの?」

まゆ「ベッドに寝ころんでます」スタスタ

凛「……」

凛(すっかり落ち込んでる。当たり前だよね)

凛(救助が来なければ、何で来ないかも分からないし。晶葉がどんな仕掛けをこの部屋に組み込んだのかも謎)

凛(不安で胸が張り裂けそうだよ)

凛(何度謝ったか分からないけど……まゆ、ごめんね……)


――――

(2時間後)

凛「まゆ」

まゆ「……」

凛「オヤツ食べない? 美味しそうなワッフルがあるよ」

まゆ「いりません……」

凛「そう」

凛(口数も少なくなってきた。元気になって欲しいけど、どうしようもできない)

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……隣、座ってもいい?」

まゆ「……」

凛「……」スッ

まゆ「……」

凛「……」


凛「…………」


凛「……」

まゆ「……」

凛「……すー……」

まゆ「……」

凛「はー……」

まゆ「……」


凛「…………。ねえ、まゆ」


まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……聞いて欲しいことが……あるんだけど」

まゆ「……」

凛「返事ないけど、勝手に話すね」

まゆ「……」

凛「このままずっと過ごしてても、いつ助けが来るか分からないよね」

まゆ「……」

凛「部屋中を探したけど、脱出に関する手がかりも何もないし……」

まゆ「……」

凛「どうしていいか分からない。でも、何にもしないわけにもいかない」

凛「食糧と水は山ほどあるけど、いつかは底を尽きるし」

凛「そうなったら……人間だから、当然死んじゃうよね」

まゆ「……」

凛「何かしなきゃいけないんだよ。何か」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……ねえ、まゆ」

凛「助かる方法、1つだけあるよ」

まゆ「……!」ピクッ

まゆ「な、何ですか……?」スッ

凛「……」

まゆ「……」

凛「……その……さ……」

凛「ほら……分かるでしょ……」

まゆ「言ってくれないと分からないです」

凛「……」

凛「……こ」


凛「この部屋の名前……知ってるじゃん……?」

まゆ「……」


まゆ「……っ!?」ボフンッ

まゆ「ま……まま、まままっ……!」

まゆ「まさ、か……!?」カァァ

凛「うん……そういう、こと……」カァァ

まゆ「エ、エっ……あう……っ」

まゆ「う、ウソ……ですよね……?」

凛「なわけないじゃん……この部屋から出るためには」

凛「……するしかないじゃん……」

まゆ「でででもっ! いや、えっと……! そんな、こと……!」アセアセ

まゆ「た……確かに、そうですけど……でも……!」

凛「……」

まゆ「……」

凛「ごめん、嫌だっていうのは分かってるんだ」

まゆ「……」

凛「ここから出たら気が済むまで殴っていいよ。みんなにも詳しく説明する」

凛「悪いのは私だって」

まゆ「……」

凛「当然だけどさ。だから……」

まゆ「……」

凛「わ、私と……エ……」


凛「……エッチ、して……」

まゆ「……」


凛「私とエッチして」

まゆ「言い直さなくてもいいですっ! き、聞こえてますから……!」

まゆ「うう……」

凛「……」

まゆ「……っ」

凛「今じゃなくてもいいからね……心の準備が整ったらでいいから……」

まゆ「…………」

凛「……」

まゆ「……」モジモジ

凛「や……やっぱ食べない? ワッフル。気分転換にちょうどいいよ」

まゆ「……」モジモジ

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

凛「と、とってくるね。紅茶も淹れてくるから」スッ


ギュッ


凛「!」

まゆ「……」

凛「まゆ?」

まゆ「……」

まゆ「……わかりました……」ボソッ

凛「!!」

まゆ「し、しましょう……」

凛「……」

まゆ「それしか、方法はないんですから」

凛「う、うん……」

凛「どうする? 夜になってから…」

まゆ「ムードなんて気にする必要ありますか? いえ、プロデューサーさんとなら気にしますけど」

凛「それもそっか。時間も惜しいしね」

まゆ「……」

凛「じゃあ、えっと……」

凛「まず、これだけは言っておくけど」

まゆ「?」

凛「まゆも私も、女だからノーカウント」

まゆ「は、はい! それはもちろんです! 女同士ですしね!」

凛「うん、女同士だからね。ノーカウントだよ」

まゆ「ノーカウントですっ」

凛「……」

まゆ「……」

凛「んと……じゃ、始めよっか……」

まゆ「はい……」

まゆ「あ、あの……どっちが、どっちですか……?」

凛「え?」

まゆ「だから……何というか……」モジモジ

まゆ「普通は、男の人が攻めて、女の人が受け身じゃないですか……」モジモジ

凛「そうだね。特殊な例はあるけど」

まゆ「そ、そういう意味ですよ……どっちが男の人側をやるんです……?」

凛「……どうしようね……」

まゆ「……」

凛「よし、ジャンケンで決めよう」

まゆ「ジャンケンですか」

凛「不満? そういえばまゆ、どちらかと言えばMなんだよね」

まゆ「状況によっては自由自在ですけど」

凛「んー……まあ、まゆの好きにしていいよ」

凛「私はどっちでもいいからさ」

まゆ「そ、そういうのは卑怯じゃないですか……?」

凛「卑怯?」

まゆ「まゆもどっちでもいいですし……攻めか受け身かの選択権を委ねるなんて……」

凛「ならやっぱりジャンケンにしようよ」

まゆ「もともと不満ではなかったんですけどね……」

凛「いくよ。最初はグー、ジャンケン」

凛・まゆ「……」ポンッ

まゆ「凛ちゃんが勝ちですね」

凛「じゃ、こっちが攻めね。まゆが受け身」

まゆ「は……はい」

凛「……」

まゆ「……」

凛「どうすればいいのかな」

まゆ「え……?」

凛「したことないもん、エッチ。ましてや女の子相手なんてノウハウが……」

まゆ「まゆに聞かれても……」

凛「とりあえず、テキトーにやっていくね」

まゆ「ど、どうぞ」ドキドキ

スッ

まゆ(あぅ……髪の毛を……)

凛「……」サワサワ

まゆ「……っ」ドキドキ

凛「まゆの髪って、綺麗だよね」ナデナデ

まゆ「ふぇ!?」

凛「触ってて飽きないっていうかさ……」サワサワ

まゆ「ど……どうも……」

ギュッ

まゆ「!!」

まゆ(か、肩を抱きしめて……)

凛「……」ズイッ

まゆ(く、くるの……!? こんな急にキスを……!)ドキドキ

まゆ「……!」ドキドキ

凛「そんなに身構えられると、やりにくいんだけど」

まゆ「え……」

凛「目をぎゅーって瞑ってさ」ハハ

まゆ「ご、ごめんなさい……」


チュッ


まゆ「!?」

凛「……」スッ

まゆ(ふ……不意打ち……!)

凛「き、キスもね」

まゆ「?」

凛「今のキスもノーカウント。ファーストキスにはならない」

まゆ「は、はい」

凛「……」

凛(まゆの唇、やわらかかった。顔を近づけたらいい匂いもして……)ドキドキ

グイッ

まゆ「きゃっ……!?」

バフッ

凛「……」

まゆ(押し倒されちゃった……)ドキドキ

まゆ(こ、これから……どうなるの?)

凛「……」グイッ

チュッ

まゆ「んっ」

凛「……」ムニムニ

まゆ「んむっ……!?」

まゆ(む、胸……触られてる……)

凛(やわらかい。私のよりちょっと控えめだけど)

凛(手触りがいい)ムニムニ

まゆ「んんっ」ピクンッ

凛(可愛い反応……)

まゆ(こ……こんな……恥ずかしい……)

まゆ(凛ちゃんに、こんなことされるなんて……)

凛「……」スッ

スリスリ

まゆ「!」ピクッ

まゆ(ふ、太ももに手が……!)

凛(こんな感じかな)サワサワ

まゆ(手つきがすごくいやらしい……)

まゆ(胸と一緒にまさぐられてる……)

凛(シャンプーの匂いかな、これ)ムニムニ

凛(舌……を入れるのはやりすぎだよね)サワサワ

まゆ(り、凛ちゃん……微かに汗の匂いが……)

まゆ(でも、臭く感じない……なんでだろ……)

凛(やわらかい。何から何まで)

凛(……ちょっと、興奮してきたかも……)

サワサワ

まゆ(あ……! 手が、上がってきた……!)

まゆ(ぱ、パンツの方に……!)

凛「……」

まゆ(り、凛ちゃん、鼻息が荒くなってる……)

まゆ(興奮、してるの……?)

まゆ(まゆで……まゆの体で……)ドキドキ

ムニムニ サワサワ

まゆ(あっ……もう少しで、手が……)ドキドキ

凛(まゆ……ここ触ったら、どうなるんだろ……)ドキドキ

まゆ(あ、あとちょっとで……!)ドキドキ

凛「……」ドキドキ

まゆ(だ、だめっ……ああっ……!)ドキドキドキドキ








ウィーン ガチャン








P「凛!! まゆ!! 大丈夫か!?」スタタタッ

晶葉「やはり閉まっていたか!! 助けに来た……ぞ……」


凛・まゆ「……」ポカーン


P「……凛……まゆ……?」

晶葉「……」

P「お……お前ら……」ガタガタ

凛「ぷ、プロデューサー……」

まゆ「えっと……こ、これは……」

凛「みっ……」プルプル

まゆ「みっ……みっ……!」プルプル



凛・まゆ「見ないでっ!!」カァァ

本当に書いてくれるのか
楽しみにしてる


――――

――――――

――――――――

(1時間後)

P「まあそうなるだろうな」

P「俺だって今西部長とあの部屋に閉じ込められたら、血涙を流しながら歯を食いしばって行為をすると思う」

P「すまなかった。気持ちの準備はしていたんだが、いざ目撃すると動揺してしまったよ」ペコリ

P「さて、話をまとめると……結局あの部屋は、時間の流れがゆっくりになっていたんだっけか」

晶葉「ゆっくりというより、あそこだけ別の空間だったんだ」

晶葉「ここの1時間が向こうでは24時間になる。ただ安心してくれ、こっちに戻れば向こうで経過した時間はなかったことになるから」

P「訳が分からないぞ」

晶葉「要するに、あの部屋で過ごした分の歳はとらないということだ。この現実で過ごしてきた時間だけが、結果として残る」

P「まだよく分からないが……まあいいか」

P「それにしても、早めに気づいてよかったよ。凛に用があって探したけどいなくてさ」

P「アイドルのみんなに聞いても見つからないし。スマホが置いてあったから346にいるとは確信してたんだが」

晶葉「そこで運よく営業から帰ってきた私と出会い、まさかと思って地下に突撃したんだ」

晶葉「私も謝罪する、すまなかった。脱出用のプログラムはあったのに、キーワードを教えるのを忘れていた」

P「というか14歳があんな部屋を作るなよ」

晶葉「作ったのは私じゃないぞ。発明メカに任せて出来上がったのがあれだからな」

P「結局お前じゃないか! ってかそんなもんまで作ってるのかよ」

晶葉「入力したデータの寄せ集めを使い、くっつけて仕上げるものだがな。所詮人間の脳には敵わない」

P「聞いてないし」

P「ええっと……そうだ。凛には用事があったけど、その前に説教をしないとな」

P「『エッチしないと出られない部屋』なんてもんを要求して、まゆを巻き込んでしまったこと。謝ったのか?」

晶葉「助手。しばらく時間を置いた方がいいぞ」

>>64
いえ、寸前で…
すみません


凛・まゆ「……!」プルプル


晶葉「なにせ、羞恥心で話もまともに聞けない状態だ」

P「……そうだな」

P「説教は明日にしよう。2人とも、帰っていいぞ」

晶葉「凛への用事は?」

P「明日でも構わない。緊急じゃないんだよ」

凛・まゆ「……!」プルプル

――――

凛「……」

まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……」

凛「……ま、まゆ」

まゆ「!!」ビクッ

まゆ「は、はいっ!! 何ですか!?」

凛「……」

凛「あのさ……あの部屋で起きたこと、なんだけど」

まゆ「あ、ああ! あれですか! あの時は切羽詰ってましたからねぇ!」

まゆ「仕方ないですよっ! 仕方ない! プロデューサーさんも事情を分かってくれてたみたいですし!」

凛「う、うん……」

凛「お互いに、忘れよう」

まゆ「ええ、そうしましょう! これからはいつも通り、プロデューサーさんとの恋のライバルということで」

凛「うん」

凛・まゆ「……」

凛「じゃ、じゃあさ……」

凛「そろそろ、目を合わせない?」

まゆ「まゆは合わせようとしてますよ」

凛「ウソばっか。私が見たら逸らすじゃん」

まゆ「それは凛ちゃんじゃないですか」

凛「は? 私はちゃんと向き合おうとしてるけど」クルッ

まゆ「まゆだって!」クルッ

凛・まゆ「あ」バッチリ

凛「……」

まゆ「……」

凛「……忘れよう」

まゆ「はい。忘れましょう」

凛「じゃあ私はこっちだから。何度でも言うけど、巻き込んじゃってごめん」

まゆ「もう気にしてませんよ。歳をとってないらしいですし」

まゆ「それでは」ペコリ

凛「うん、また明日」

凛「……」スタスタ

凛(忘れるなんて言ったけど)

まゆ「……」スタスタ

まゆ(しばらくは無理です……)

まゆ(あんなことされちゃって……)

凛(あんなことしちゃって……)

凛(……まゆの反応、可愛かったな……)

凛(って何考えてるの!! 私どうかしてる!!)ブンブン

まゆ(凛ちゃん、強引でちょっとドキドキしました)

まゆ(っていやいやいや!! なんでドキドキするんですか!? ありえないですし!!)

凛「はぁ……」

まゆ「ふぅ……」


凛(明日、まともに目を見られるかな)
まゆ(明日、まともに目を見られるでしょうか)


その後、2人の仲は少し良くなったらしい。


おわり

書き終わって気づきましたが百合要素注意と書いてませんでした

間違って読んでしまった方、すみません

そしてここまで読んでくださった方、ありがとうございました

あと、エッチさせなくてすみませんでした

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