戒斗「世界を変える準備はいいか?」 歌鈴「お願いしまひゅっ!」 (15)


※アイドルマスターシンデレラガールズと仮面ライダー(主にバロン)のクロスSSです。

※仮面ライダーバロンこと駆紋戒斗がプロデューサーになります。

※他ライダーシリーズからも出演予定ですが鎧武要素強めです。

よろしくお願いします。


六人の勇者が魔王と対峙していた。

すでに雌雄は決し、魔王の計画は完全に潰えた。

しかし、魔王は最後の悪あがきを始める。


「私とこの世界諸共滅びるがいい。イヤッハッハッハッハ!」


魔王の高笑いが響き、背後の空間にぽっかりと漆黒の穴が開く。

その穴は周囲の景色を粉砕し、闇の中に吸い込んでいく。

世界の崩壊が始まったのだ。


「おい!やめろっ!!」

「おっと」


それを阻止すべく、一人の若き勇者が魔王に向かって行こうするが、もう一人の勇者に制止され、殴り飛ばされる。


「なんでっ!?」

「お前たち……」


いきなり殴られた若き勇者はわけがわからず叫んだ。

もう一人の仲間、剣の勇者は残りの四人がこれからしようとしていることをいち早く理解した。


「悪ぃ悪ぃ、でもここは自分らの出番っしょ」

「この世界が消える前に、こいつを消す。そうすればお前たちだけでも帰れるかもしれん」

「お前たちを元の世界に戻す。それこそが今の俺たちの希望だ」

「せめて、あなたたち生きている者だけでも助かりなさい」


それぞれが別れの言葉を告げ、勇者たちは魔王へと向き直る。


「みんな…ダメだ……」


若き勇者もようやく四人の意志を理解した。

だが、それを受け入れるには彼はまだ若すぎた。

なんとか別の方法を探せば。

そんな甘い期待は、時間という絶対的に公平な『神』の前では無力なことなのに。

雄叫びを上げ、魔王に向かって駆け出す四人。


「ダメだ!やめろ!」


こんな結末は認めたくない。

みんなで帰るんだ。

とにかくみんなを止めなければ。

あるいは自分も一緒に戦えば、まだ道はあるかもしれない。


「待て!」

「止めるな!こんな……ダメだって!」


若き勇者を剣の勇者が必死に止める。

彼らの意志を無駄にしてはならない。

彼らの希望を失ってはならない。

彼らに託された未来を守らなければならない。

彼らと自分たちを分かつのは死者と生者の境界線だ。


「じゃあなぁーーーーっ!!」


四人と魔王の姿は漆黒の中に消え、その後、閃光が辺りを包み込んだ。


▽世界を変える準備はいいか?



仮面ライダー鎧武外伝
THE iDOLM@STER BARONGIRLS

―第1話 始まりの巫女―




―神社―



歌鈴「はぁ……。さすがに、こんなドジは……。神様のチカラでも、どうにもならないかぁ~」


境内の掃除をしながら巫女の少女、道明寺歌鈴はため息をつく。


歌鈴「元気を出すのよ、歌鈴! 美味しい柿でもつまみ食いすれば、笑顔になれるからっ。「食べるなー!」って怒られるけど」


ふと、この神社にそそり立つ御神木に目を向ける。

樹齢数百年と言われても不思議でないほど立派な巨木であるが、両親の話では自分が生ま

れる数年前、つまり今から二十年程前にいきなり生えていたらしい。

信じがたい現象に当時はそれなりに話題になったと聞いている。

生まれた時からすでに御神木が存在していた歌鈴にとっては、いまいちピンと来ない話である。


歌鈴「なんだろうこの木の実? 見たことないけど……。すごく美味しそう」


御神木の根元付近から小さな木が生えており、そこに拳くらいの大きさの木の実が生っていた。

こんなの昨日はなかったはずだ。

不思議に思いつつ、歌鈴は果実をもぎ取り、口にしようと―


???「食べるな!」

歌鈴「ひゃああああっ!」


声に驚いた歌鈴は思わず果実を放りだす。

いつから居たのか、正面から鋭い目つきをした男が近づいてくる。


歌鈴「あ、あの、どなたですか? ま、まさか、化かしにきたタヌキですか?」

???「何バカなこと言ってる? ここはどこだ?」

歌鈴「どこって……。 ああ、お兄さん迷子なんですね?」

???「……ここはどこだ?と聞いている」


迷子という言い回しが気に障ったのか、男の顔に険しさが増す。


歌鈴「ひいいいぃ! す、すみません、そんな睨まないでくださいっ。ここはうちの神社の境内で……」


???「ほう、何といい面構えだ。ピーンと来た! 君のような人材を求めていたんだ!」


今度はやたらテンションの高い初老の紳士がどこからか駆け寄ってきた。


???「なんだ貴様は?」

高木「わたしは芸能プロダクションの社長をしている高木だ。君、我が社でアイドルのプロデューサーをやってみないか?」

???「アイドルのプロデューサー? 興味ないな」

高木「そんなこと言わずに! アイドル戦国時代を勝ち抜くには君のような強い男の力が必要だ!」

???「戦国時代……。 勝ち抜く……」

高木「あ、そこの君、これ返すね。 美味しそうだけど」

歌鈴「あ、はい? どうも」

???「おい、その実はとっとと捨てろ」

歌鈴「はい?」

高木「ところでこの辺りの鹿は立つのかい?」

鹿?「グルルルルルッ」

歌鈴「え、ええええええっ!?」


鹿のように立派な角を持つ異形―シカインベスがいつの間にか彼女たちのすぐそばに出現していた。


???「インベス……!」

歌鈴「い、いんべす……?」

???「奴はその実を狙っている! 早く捨てろ!」

歌鈴「は、は、は、はいぃ!」


遠くに放り投げようと振りかぶる。

しかし歌鈴の意思に反し、果実はすっぽ抜けて男の後頭部に直撃した。


???「貴様……! 一体なんの真似だ!?」

歌鈴「ご、ごめんなさいっ! ち、ち、ちがうんですっ! わざとでは、決してわざとでは……」


男に睨みつけられた歌鈴は腰を抜かす。


高木「突っ込んでくる! 逃げなければ……」

歌鈴「こ、腰が抜けちゃいました……」

高木「ええっ!?」


シカインベスは真っ直ぐに三人に向かって突進してくる。

人を超えた速度で迫る異形の怪物。

もはや逃げようがない。

高木は歌鈴をかばうように背中に隠す。


???「そこでじっとしてろ」


迫るシカインベスに対して、男はカウンター気味に飛び蹴りを浴びせた。

顔面に強烈な一撃を喰らったシカインベスは数メートルほど後方に吹き飛ぶ。

男はその隙にどこからともなく取り出した奇妙なベルトを装着。

バナナの装飾が施された拳大の装置を起動させる。


『バナナ!』


???「変身……」


掌で装置を一回転させ、腰に巻かれたベルトに取り付け―


『ロックオン!』


ファンファーレが鳴り響き、男の真上にまるでファスナーが開いたかのように『クラック』が出現。

そこから光り輝く鋼の果実が男に降下する。


歌鈴「バ、バ、バ、バナナ~!?」


バナナを見ると緊張せずにいられない少女は全身を強ばらせて叫んだ。


???「バロンだ……!」


『バナナアームズ! ナイト・オブ・スピアー!!』


男は閃光に包まれ、赤い仮面の騎士へと変身した。

その者の名は仮面ライダーバロン。


右手に白き槍―バナスピアーを携え、バロンはシカインベスに躍りかかる。

突き、叩き、切り伏せる。

バロンの圧倒的な力の前にまともに反撃もできず後退。

振り下ろされた重い一撃にシカインベスはたまらず転げまわる。


バロン「トドメだ……」


最後の一撃を放つべく、バックル部分に付属するカッティングブレードに手をかけるバロン。


歌鈴「さ、さっきの実……!」


シカインベスはどさくさに紛れて手にしていた果実を、額に出現させた口で貪り喰う。

一瞬苦しみだしたかと思いきや、突如怪しげな光に包まれたその身体は数メートルを超える大きさとなり、より獰猛な姿に変化した。


歌鈴「お、お、おお、大きくなった~!?」

高木「で、でかい……」

歌鈴「あ、あ、あんなの勝てっこないですよ……」


強化されたシカインベスは巨体に似合わぬフットワークの軽さでバロンに襲いかかる。

その豪腕は成人男性の胴体くらいの太さはある。

あんなもので殴りつけられたら、全身の骨をバラバラに砕かれてしまう。


バロン「雑魚がどう変化しようが結果は同じことだ……」


外野の様子とは正反対に慌てず、騒がず、冷静にバックルのカッティングブレードを2回下ろす。


『カモン! バナナオーレ!!』


その大きさは相手の身の丈の倍はあろうバナナを模した光の鉄槌が出現。

巨獣と化したシカインベスに叩きつける。

派手な爆発と共に巨大な異形は跡形もなくこの地上から消滅した。


『ロックオフ』


バナナの装飾がされた装置―バナナロックシードをベルトから取り外し、赤い仮面の騎士は元の男の姿に戻る。


高木「いや~君、すごかったね。あんな怪物を相手にして涼しい顔をしている」

???「なぜ逃げなかった?」

高木「なんだって?」

???「あの女を見捨てれば、あんた一人でなら逃げられたはずだ。なぜそうしなかった?」

高木「私は社長だよ。 部下が戦っているのに逃げ出せるわけないだろう?」

???「あんたの部下になった覚えはない」

高木「そうだったかな? ではこれから共に戦う君に、か弱い女の子を見捨てて、一人で逃げ出すような弱い男だと見損なわれたくなかった、ということでどうだろう?」

???「命懸けの勧誘だな……」

高木「あいにく今はそれくらいしか君に示せる力がなかったものでね」

???「……」

高木「お気に召さなかったかね?」

???「あんたは俺に自分の力を示した……。認めよう、あんたの強さを」

高木「それでは……?」

???「なってやる、アイドルのプロデューサーに」

高木「いい目だ……。これからよろしく頼むよ、えーっと……。そういえば君の名を聞いていなかったね」

すみません。
書き込む板を間違えてました。
お茶飲めるほうに書き直すので、こちらは落とします。

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