【レヴュースタァライトSS】まひる「私が耳かきしてあげる」(20)

キャラ崩壊注意



華恋「何か耳がむず痒い~……」

華恋「まひるちゃーん。耳かきって部屋のどこだっけー?」ゴソゴソ

まひる「私がもってるよ」サッ

華恋「ちょっと貸し」

まひる「おいで♪」ポンポン


ベッドの上で正座し、にこやかな顔で膝を叩くまひる。


まひる「私が耳かきしてあげる」

華恋「本当?じゃあお言葉に甘えて……」

ひかり「待って、華恋。耳かきなら私も持っているわ」シュバババ

華恋「あ、ひかりちゃん。いつからそこに?」

ひかり「……おいで」ポンポン

華恋「うーん。でも……」

まひる「先に約束したのは私だもんねー?華恋ちゃん」

華恋「うん。だから……」

ひかり「……嫌なの?」

華恋「いや、別に嫌なわけじゃなくて。っていうか、別にどっちでも」チラッ

まひる「華恋ちゃん?」ジッ

ひかり「……華恋?」ジッ

華恋「!?」ビクッ

華恋「えっと、じゃあ左耳はまひるちゃんに!右耳はひかりちゃんにお願いしよっかな!」

まひる「……」

ひかり「……」

まひる「じゃあ始めよっか?華恋ちゃん♪」ニコニコ

華恋「う、うん……」

まひる「行くよー……」スッ

華恋「んっ」ピクッ

まひる「どう?ここ、気持ちいい?」スッスッ

華恋「んっ、ちょっと、くすぐったい……っ」ピクピクッ

ひかり「……」ジーッ

華恋「どうしたの?ひかりちゃん?」

ひかり「……別に。気持ちよさそうだな。って」

華恋「そ、そっか。それならひかりちゃんも後でまひるちゃんに耳かきしてもらうといいよ!」

ひかり「別にいいわ」

華恋「……そっか」

ひかり「次は私の番ね」スチャッ

華恋「う、うん。よろしくね?」

ひかり「行くわよ」スッ

華恋「ん……」

ひかり「どう?華恋。どこか痒い所ない?」スッスッ

華恋「んん……そこぉ……」トローン

まひる「……」ジーッ

華恋「どうしたの?まひるちゃん?」

まひる「……別に。気持ちよさそうだな。って」

華恋「そ、そっか。それならまひるちゃんも後でひかりちゃんに耳かきしてもらうといいよ!」

まひる「別にいい」

華恋「……そっか」

華恋(何か今日の二人怖いよぉ!)

ひかり「……」スッスッ

華恋「あのー……ひかりちゃん?」

ひかり「何?華恋」

華恋「大分お耳の方もスッキリしてきたので……そろそろ終わりにしてもらっても……」

ひかり「駄目よ。まだ耳垢が残っているわ。ちゃんと全部綺麗にしてあげるから、華恋は黙って私の膝の上で寝ていればいいの」

華恋「いや……」

まひる「……」ジーッ

華恋「でも……その、ね?」

ひかり「何よ。百歩譲って……よしんば耳かきが既に終わっているとしてもよ?どうしてこの体勢をやめる必要があるの?あなたがここから立たなきゃならない緊急性なんて何もないじゃない」

華恋「いや、うん。緊急性ね。ないといえば、ないんだけどね……?」

ひかり「じゃあ、ここでこうしてなさい」

華恋「う~ん……」

まひる「あーっ!」

華恋「!?」ビクッ

華恋「な、何!まひるちゃん何!?」

まひる「華恋ちゃんの左耳に、大っきな取り残しがあるの忘れてたぁ♪華恋ちゃん。もっかい耳かきしてあげるから、こっち来て?」ポンポン

華恋「え……!?」

ひかり「動いちゃ駄目よ、華恋。まだこっちが終わってないんだから」

まひる「でも、本当に大きいんだよ?このままにしてたら病気になっちゃうかも」

ひかり「私が今手掛けている物だって相当大きい物よ」

華恋「耳かきに手掛けているって言い方ある?」

まひる「あっ、見えてる!華恋ちゃんのが大きすぎて耳から見えてるよ!すぐに取らなくちゃ!」

華恋「見えてる!?見えてるって何!?」

ひかり「それならこっちはもう耳から生えてるわよ」

華恋「生えてるって何!?」

華恋「うわあああっ!」ダッ

まひる「あっ、逃げた!」ダッ

ひかり「逃がすものですか!」ダッ

華恋「うわあああん!誰か助けてー!」ドタバタ



純那「……何かしら。廊下が騒がしいわね。この声は……華恋達?」

なな「何か耳かきがどうとか聞こえたね」

純那「何があったのかしら……」

なな「どっちが華恋ちゃんの耳かきをするか、取り合いっこになったとか?」

純那「確証はないけど、それと同じくらい下らない理由なのは間違いなさそうね……」

なな「うふふっ、ねぇ。私達もやってみない?」

純那「やってみない?って、耳かきを?」

なな「うん。いいでしょ?」

純那「……まぁ、いいけど」スッ

なな「やったっ♪じゃあ……」スッ

純那「おいで」ポンポン

なな「おいで♪」ポンポン

純那「……いや、私が耳かきしてあげる方じゃないの?言い出したのあなたでしょ?」

なな「だって私、別に耳痒くないし」

純那「私だって痒くないわよ」

なな「あと、私は頭のバナナのせいで横向きに寝れないし」

純那「髪下ろせばいいじゃない!……とにかく、私が耳かきされる方なら、この話は却下よ」

なな「え~。何で?」

純那「だって、そんなの、恥ずかしいじゃない……」

なな「……ふふっ」

純那「な、何笑ってるのよ!」

なな「何か、ますます耳かきしてあげたくなっちゃったなぁ」

純那「されてあげないからね。絶対」

なな「えいっ」グイッ

純那「力ずくは駄目でしょ力ずくは!」ポスッ

なな「どう?私の膝枕」

純那「うぅ……高校生にもなって膝枕されるなんて……しかも同級生に……」カァァ

なな「まぁまぁ、私くらいにはいいじゃない」

純那「……まぁ、あんたが一番マシだけど……」

なな「よしよし♪」ナデナデ

純那「撫でるなぁ……」

なな「さぁ。耳かき始めるよー……」

純那「もうさっさと終わらせて……」

なな「……全然耳垢ないんだけど。どこを掃除すればいいの?これ」

純那「だから言ったじゃない!……もう終わりでいいでしょ?起き上がるから抜いて」

なな「んー。耳かきとか関係なく、もう少し、こうしてよう?」

純那「むー……何それ……」

なな「あれ?純那ちゃん眠い?」

純那「バカ……そんな……こと……」

なな「いいよ。このまま寝ても」ナデナデ

純那「ん……」

なな「……えへへ。いつも委員長お疲れ様。純那ちゃん」

双葉「……何だったんだぁ?今の」

香子「さぁ……。何か、追いかけてる二人が耳かき持ってはったけど」

双葉「耳かきぃ?ますます意味分かんねーな……」

双葉(……何か、耳かきって単語を聞いたら、耳がムズムズしてきたな)

香子「!」ピコーンッ

香子「なぁなぁ、双葉はん。うちが耳かきしたろか?」スッ

双葉「は?何でだよ」

香子「なんや、たまにはうちが双葉はんのお世話したろーかなーって」

双葉「何だよ、珍しいな。明日は雪でも降るんじゃねぇか?」

香子「むっ。せっかくうちが双葉はんのこと労ってあげてんのにぃ。ほら、早よ寝っ転がりぃな」ポンポン

双葉「へーへー。分かったよ」ゴロン

香子「……うちの貴重な膝枕なんやから、もっとありがたそうにしてや」

双葉「ったく、注文が多いなぁ。本当に私を労うつもりあんのかぁ?」

香子「なんやの。さっきから文句ばっかり言うて」

双葉「だからそれはお前だろうが」

香子「もうええ、もう本気出す。うちの耳かきが気持ちよすぎて腰抜かしたらあかんでぇ?」

双葉「はっ、やれるもんならやってみろよ」

香子「行くで~……。おっ、ぎょーさん耳垢が溜まってはるなぁ」

双葉「いちいち言うなよ。失礼な奴だな」

香子「えいっ」ゴリュッ

双葉「いだぁっ!?」

香子「あれ?」

双葉「ス、ストップ!一旦耳かき抜けお前!」

香子「いやぁ~ごめんなぁ。実は人様の耳を掃除するの初めてやねん。何となくで行けるやろって思ったんやけど……」

双葉「このっ……お前ちょっとここに頭乗せろ!あたしが手本を見せてやる!」スッ

香子「ほなよろしゅう」ゴロンッ

双葉「いいか?まず、浅い所から徐々にだな……」スッスッ

香子「あぁ~ええわぁ~。そこ、そこそこそこ……」

双葉「……結局、私がお前の世話してるじゃねーか」

香子「いつも通りが一番ってことどすなぁ」

双葉「お前なぁ……」

双葉「……喰らえっ」フゥゥッ

香子「あひゃんっ!?」ビクッ

双葉「はははっ!何て声出してんだよ」

香子「きゅ、急に何しはるの!」ドキドキ

双葉「さっきのお返しだよ!ほら、耳塞ぐなって!」

香子「あっ、ちょっ、やめっ、双葉はんの意地悪~!」

晩御飯



なな「ねぇねぇ。さっき何か廊下から華恋ちゃん達の声が聞こえたんだけど、あれって何だったの?」

ひかり「私とまひる。どっちが華恋の耳かきをするか、追いかけっこをしていたの」

純那「良かったね、なな。推理通りじゃない」

香子「それで、どうやって決着がついたん?」

まひる「二人とも、華恋ちゃんに耳かきしてもらうことになりました!ねーっ♪」

ひかり「ねー……♪」

華恋「皆仲良し!ノープロブレムだよ!」

純那「はいはい。もう廊下は走らないようにね」

なな「あっ、純那ちゃん、もう委員長モードだ。さっきまでは私の膝の上でよだ……」

純那「ちょっ、なな!?言わないでよ!」

華恋「何々?じゅんじゅんとばななも耳かきしたの?気になる気になる!」

双葉「おっ、それならあたしが香子の話してやるよ。まず香子が……」

香子「ふ、双葉はん!」


ワイワイガヤガヤ


真矢「ふふっ、皆さん仲がよろしいのですね」

クロディーヌ「……」

 夕食を終え、入浴も済ませ、寮生活は自由時間を迎えていた。
 華恋は今頃、二人との約束を果たしているのだろうか。ななは、今度は純那に耳かきされているかもしれない。双葉と香子は、またじゃれあっているのだろう。。
 クロディーヌはそんなことを考えながら、眠っているフリをして、本を読んでいる真矢を見つめていた。
 その真矢が、おもむろに振り返る。クロディーヌは目が合わないよう、慌てて瞼を降ろした。
 そしてそのまま数秒が経ち、もう真矢は視線を本に戻しただろうと、クロディーヌはもう一度瞼を開いてみた。するとしかし、真矢はさっきと同じ角度のままこちらを向いていて、しかと目が合ってしまった。
「すみません。起こしてしまいましたか?もう光を消しましょうか」
 そう言って、机の上で柔らかな光を放つスタンドに、手をかけようとする真矢を、クロディーヌは制止した。
「その必要はないわ」
「では、どうして」
 こちらを見ていたのですか?真矢はクロディーヌにそう尋ねた。
 そう尋ねつつも、真矢はその理由を理解していた。長い付き合いだ。
 またクロディーヌも、自分の胸の内が理解されていることを、理解していた。ただ、だからと言ってどうして軽々に打ち明けられようか。
(私も他の皆のように、耳かきして欲しいだなんて……)
 顔を少し赤らめるばかりで、答えられないでいるクロディーヌを見て、真矢は微笑んでこう言った。
「もしかして、晩に皆さんが言っていた……耳かきのことですか?」
 もしかして。などという言葉に、舞台少女らしからぬ白々しさを感じ、クロディーヌはいささか憤った。そんな茶番を演じてまで、私に恥をかかせたいのか。
「本当に嫌な女……」
 そう言いつつも、クロディーヌはそこに居直した。つまりはそういうことであると察し、真矢は机から離れ、クロディーヌの下へ近づいた。
 そして自然な流れでクロディーヌの膝に自分の頭を乗せた。クロディーヌは心地よい重みを感じた。
「私が耳かきされる側じゃないの!?」

「……違うのですか?」
 真矢はさも当然だと言わんばかりの表情で、膝元からクロディーヌを見上げた。この体勢こそが二人のあるべき姿だと確信している態度である。
 クロディーヌには、それが演技かどうか見分けがつかなかった。もし演技だったのだとすれば、まさしくトップスタァとして申し分ない演技力であると感嘆する。と同時に、私をからかうために得た能力ではないだろうと𠮟ってやりたくもなった。
「それでは、こうしましょう。まず、私があなたに耳かきをしてもらう。その後、私があなたの耳かきをする。これなら公平でしょう」
 どうやら、真矢は本気で私に耳かきをしてもらうつもりだと理解したクロディーヌは、観念したように耳かきを手に取った。
「それでいいわ。じゃあ、始めるわよ……」
「はい。お願いします……」
 不意に動いてしまわないように、手のひらで真矢の頭を抱えた後、優しく、耳かきで真矢の耳がなぞられていく。真矢は安らぎに瞳を閉じて、たまに熱っぽい、悩まし気な吐息を吐いた。
 端正な耳の輪郭と、その華やかな息遣いに、天堂真矢はどこを取っても天堂真矢なんだと、自分の中の憧れとの相違のなさに、クロディーヌは少し安心した。
 しかしそれと同時にクロディーヌは複雑な心境だった。
 憧れ、敬い、そして時には争いさえしたあの天堂真矢が、無防備にも私の膝に頭を預け、耳の中を私にいいようにされている。舞台の上から全てを射抜くような、毅然としたあの瞳が、今では赤子の様ではないか。
 その光景と事実に違和感を覚えると共に、愛おしさすら感じている。それもまた違和感。クロディーヌの胸の内では、様々な感情が渦巻いていた。
 彼女との関係が、自分の中の憧れである天堂真矢が、別の何かになってしまうのではないか。そんな不安もあった。
「……ねぇ、真矢」
「何ですか?クロディーヌ」
「私達の関係って、一体何なの?」

 クロディーヌは、そう尋ねた後、すぐに後悔した。こんな弱々しい台詞、彼女のからかいの格好の的ではないか。
 しかし、クロディーヌが深刻に考えている様を見て、真矢は実に真摯に答えたものだった。
「そうですね……最も客観的に確かなのは、ルームメイトであるということでしょう。それから仲間、同志……友達という言い方も、今では相応しいでしょう。そして……ライバル」
「ええ……そうね」
 ライバル。その言葉にクロディーヌは、今度こそ本当に安堵した。それは今までと変わらない。そしてクロディーヌ自身が望んでいた関係だったからだ。
 彼女に対する私の対抗心は、決して一方通行ではなかったのだ。そんな思いを新たに、クロディーヌは闘争心で胸を熱くした。
 だが、そんな思いと裏腹に、真矢は全く別の感情を胸で薫らせていた。
「けれど……私としては、あなたとはもう一つ、他の関係でありたいとも思っているんですよ?」
 真矢はクロディーヌを見上げながら、その頬に触れた。
「……へっ?」
 クロディーヌは突然のその行為に、唇を歪ませた。
 どこを掴まれているわけでもないのに、クロディーヌは真矢の視線から目を離せなかった。
 舞台の上でも、他の皆の前ですら見せない——おそらく、クロディーヌにしか向けない、その視線から、何故かどうしようもなく目を離したくなかったのだ。
 そして一つ瞬きを挟むと、真矢はするりとクロディーヌの膝から頭をどけていた。そして、礼儀正しい美しい正座を取って、膝を優しく叩くのだった。
 あの膝に頭を委ねれば、私の身に、もしくは精神に、あるいはその両方にきっと何かとてつもないことが起きる。クロディーヌの勘が、けたたましくそう告げていた。
「さぁ。約束通り、次はあなたの番ですよ……私のクロディーヌ」



  -終わり-

以上になります。

設定や一人称、三人称を間違えている箇所があったらすいません。

一応補足しておきますと、香子の「ぎょーさん耳垢が溜まってはるなぁ」という台詞は事実を語った物ではありません。
あくまで彼女なりの軽口であり、双葉はんは清潔です。
でも双葉はんは自分のことに無頓着だったり少しガサツだったりするといいよね。
そんで香子に「もっと自分に気ぃ遣いーや?」とか言われてんだきっとたまらないねもう。

というわけで、流行れ。少女☆歌劇レヴュースタァライトSS。

ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom