夏海「兄ちゃん……このみちゃんとベッドで何してたの……?」【沖縄旅行編】 (20)


このみ(……あれ? ここどこ? 私の部屋じゃない……。あぁ、そうか。沖縄旅行へ来たんだった)

このみ(抱き枕もあるし……。自分のベッドで寝てる感覚だったよ……)

このみ(…………えっ? 抱き枕!? 何でそんなものが……。……なんか硬い。全体的になんだか硬いっ!)

このみ(えっ!? なに? なにっ!?)

卓「…………」

このみ「眼鏡君っ!? なんで!?」

卓「―――。―――」

このみ「もしかして、えっ!? 嘘っ!!」

卓「――、――! ――!」

このみ「あ…れ? ここ、眼鏡君の部屋だ……」

このみ「あぁ……そっか。昨日ひかげちゃんが私のベッドを占領して来て、そこから逃げてきたんだった……」


――回想――

【一穂・楓・このみ・ひかげ(床)の三人部屋】


ひかげ「何で私だけ床なんだよ!!」

ひかげ「何で私だけ床で寝なきゃいけないんだよ!!」

このみ「ひかげちゃん、うるさい……。もう半分寝かかってたのに……」

ひかげ「私もベッドで寝たいっ!!」

ひかげ「このみ、端に寄って」

このみ「えぇ……。やだよ」

ひかげ「いいから。いいから」

このみ「二人でこのベッドは狭いよー」

ひかげ「私もベッドで寝たいのっ!」

このみ「しょうがないなー」


………………
…………
……



このみ「…………」zzz

ひかげ「…………」zzz

ドスッ

このみ「ふぎゃっ」

このみ「痛たた……。なに? 殴られた?」

ひかげ「よっしゃ……。エイドリアンより私のほうが強い……むにゃむにゃ」

このみ「ひかげちゃんが寝ぼけて殴ったの……?」

このみ「こんなことで起こされちゃたまんないよぉ……」

このみ「もういいや。もう一回寝直そ」

ドスッ

このみ「ふきゅっ」

このみ「ちょっと! ひかげちゃんいい加減にしてっ!」

ひかげ「……zzz。エイドリアン強えぇ……。やべぇ……マジやべぇ……」

このみ「(イラッ)」

このみ「もういいや。こうなったら、ひかげちゃんをベッドから落とそう」

このみ「よいしょ。よいしょ」

ボコッ

このみ「ぐはっ……」

ひかげ「やっぱり私がチャンピオンだーっ! KATUO!KATUPO!KATHUPO! ハイ、ロッキー!!!! むにゃむにゃ……」

このみ「鳩尾に……ぐっ……」


このみ「もう、ベッドは諦めよう……」

このみ「あっ、そういえば、眼鏡君の部屋に一つベッド空いてるじゃない」

このみ「床で寝るくらいなら、眼鏡君の部屋のベッドでいいや」

このみ「さすがにこの時間なら、眼鏡君も寝てるだろうし」


【深夜 卓(兄ちゃん)だけの二人部屋】

※沖縄旅行の部屋割りは、
四人部屋 小鞠・夏海・蛍・れんげ
三人部屋 一穂(先生)・楓(駄菓子屋)・このみ・ひかげ(床)
二人部屋 卓
という分け方をしている。


このみ「うわっ。真っ暗だ」

このみ「そっか。眼鏡君、真っ暗にして寝るタイプかぁ」

このみ「えっと……。あっちのベッドが膨らんでるから、空いてるベッドはこっちだね」

このみ「ふぅ……。ひかげちゃんと一緒のベッドじゃケガしちゃうよー」

このみ「これで安心して眠れるよ……。……………。……すぅ……すぅ」


……
…………
………………


このみ「眼鏡君ベッドの上に荷物置いてたのかー。てっきりあっちのベッドで寝てると思ってたよ」

このみ「ということは、私は深夜にこっそり眼鏡君のベッドに侵入して、眼鏡君を抱き枕代わりにしてたってことになるね……」

このみ「うん。完全に私に落ち度があるね。ごめんね!」

卓「…………」

このみ「いやー、最近抱き枕を抱いて寝てたから、抱いた姿勢じゃないとしっくりこなくて」

このみ「……で、その……。聞きにくいんだけど、私が寝てるときに変なとこ当てたり、当たったしなかった?」

卓「――……?」

このみ「変なとこっていうのは、その……。あー、なにもなかったなら、なかったでいいや。ごめんね、変な話して」

卓「……――――?」

このみ「や、だからその……」

このみ(……どうしよう。この話題以外の話題にしないと……)

このみ「あー、でも、眼鏡君私より先に目覚めてたよね? 起きたとき目が合ったし」

卓「!!」

このみ「目が覚めてたのにじっとしてたんだー」

卓「――!? □※□っ△□△!!」

このみ(おぉー。眼鏡君がこんなに狼狽するの初めて見た。おもしろーい)


卓「--。--!」

このみ「そっか……。眼鏡君も今、目を覚ましたばっかりなんだー」

このみ「ふーん。そうなんだー」

卓「…………」

このみ「眼鏡君さー。いつも眼鏡を掛けながら寝てるの?」

卓「(ビクッ!)」

このみ「普通、外して寝るよねー」

卓「…………」

このみ「……わざわざ、谷間を見るために眼鏡を掛けたの?」

卓「――! ――……」

このみ「あぁ、そうなんだー」

卓「――――。……、――」

このみ「そっかー。残念。素直に興味があるって言えば見せてあげたのに」

卓「!!!!」


卓「…………。――――、――……」

このみ「あー、じゃあ、30秒だけ見せてあげよっか」

卓「!!」

このみ「30秒、襟元を緩めておくから、見ていいよ」

卓「!!!」

このみ「今から30秒ね。はい、スタート」

卓「!!」バッ

このみ「あ、本当に見るんだ」

卓「!!」


このみ「そっかー。眼鏡君もそういうお年頃になっちゃったかー」

このみ「そういえば、一緒に学校へ通っていた時なんて、眼鏡君まだ小学生だったもんねー」

このみ「あの時なんて、眼鏡君の前で着替えても全然平気だったけど、もう無理な時期になっちゃったねぇ」

このみ「もう思春期だもんねぇ。そっかー。眼鏡君も思春期になっちゃったかぁ」

このみ「なんだか寂しいような、複雑な気持ちになるねー」

このみ「お年頃になっちゃったかぁー」

卓「…………」

このみ「はい。30秒経ったね。おっしま~い」

卓「!!??」

このみ「えっ? だってスタート、って言ったでしょ?」

このみ「私が勝手に独り言をつぶやいていただけで、眼鏡君は見ていてよかったんだよ?」

卓「!!」


【四人部屋 小鞠・夏海・蛍・れんげ】


小鞠「ん……。ここ、どこ……?」

小鞠「えっ! どこ!? ここどこ!?」

夏海「ん~……。姉ちゃん、うるさぃ……」

小鞠「な、夏海! ここ……。あっ、沖縄だ……。そっか、沖縄に来てたんだった」


小鞠「まだ起きるには早い時間なんだけど、目覚めちゃった」

小鞠「どうしよう……。やることないし、散歩にもでも行こうかな……」

小鞠「散歩……。早朝に綺麗な浜辺で……散歩かぁ……」

小鞠「いいっ! すごくいい! おしゃれだー」

小鞠「すごく大人だぁ……」

小鞠「そうだ! この前買った白のワンピース着て散歩へ行こう」

小鞠「~~♪ ~~~♪♪♪」


ガサゴソ、ガサゴソ。

小鞠「あれ……? ワンピースがない……」

小鞠「……っていうか、私の服がなーいっ!」

小鞠「なんでっ!? なんで!? 絶対に入れたはずなのにっ! どうして私のカバンに夏海のものばっかり……」

小鞠「夏海のものばかり……?」

小鞠「なーつーみー!! 私のワンピースは!? まだ一回も着てないのにー!」

夏海「なんだよ、姉ちゃん……。うるさいって……」

小鞠「私のカバンに夏海のものが入ってるんだけど!? 私の服は!? ワンピースは!?」

夏海「姉ちゃんの服……? あぁ、兄ちゃんのカバンの中……」

小鞠「どうしてお兄ちゃんのカバンの中に私の服入れるのっ!!」

夏海「えー、だって、うちのものを姉ちゃんのカバンに入れてた方が取り出しやすいじゃん」

小鞠「下着も入ってるんだけど!」

夏海「別にいーじゃん。兄妹なんだし……」

小鞠「よくないよっ!」


小鞠「とにかく。私の服はお兄ちゃんのカバンの中にあるんだよね?」

夏海「だから、そう言ってんじゃーん……。んん……」zzz

小鞠「(イラッ)」



【廊下 兄ちゃんの部屋の前】

小鞠「ホントに夏海はっ!」

小鞠「……。さすがにこの時間じゃまだ、お兄ちゃん寝てるよね。起こすかもしれないし、ノックはやめておこう」

ガチャ

小鞠「お兄ちゃん……」(小声)

バタバタ!!

小鞠「あ、起きてる?」

シーン

小鞠「やっぱり、寝てるのか」

小鞠(私の服を回収して、すぐに出て行こう)

小鞠(お兄ちゃんのカバンは……と。あっ、ベッドの上にあった)


このみ(なんで!? なんでこんな時間に小鞠ちゃんがっ!)

ぎゅううう

卓(!!)

このみ(お願い! 今は動かないでっ!)

小鞠「あれ?」

このみ(ビクッ!!)

小鞠「なんでこんなところに……」

このみ(ドキドキ……)

小鞠「ま、いっか……」

このみ(なに? なにを見つけたの?)

このみ(眼鏡君の布団の中に隠れてるから、状況が全然わかんなくて怖いよ……)


小鞠「あっ!」

このみ(ビクッ!!)

小鞠「これ、私のパンツじゃない」

卓(!!)

このみ(なんでこっち見るの!? 脱いでないよっ!)

小鞠「まったく、もぉ……ってあれ? 起こしちゃった?」

卓「……zzz……zzz」

このみ(ビクビクっ!)ぎゅうぅぅ

小鞠「なんだ、寝返りか」


小鞠「お兄ちゃんを起こしちゃう前に、服を回収しないと」

ガサゴソ、ガサゴソ。

小鞠「このみちゃん」

このみ(ビクッ!!)

小鞠「――にもらったこっちの服でもいいなぁ。夏っぽくて」

このみ(心臓にわるいよー……)


小鞠「よし。部屋に戻ろう」

このみ(はぁ……、危なかった。なんとかしのげたよ……)

小鞠「…………赤ちゃん」ボソッ

このみ(……!!)

バタン

このみ「なに? なんだったの? 最後に小鞠ちゃんが言った『赤ちゃん』ってどういう意味?」

卓「……???」


このみ「はぁ……。危うく、小鞠ちゃんに見つかるところだったねー」

このみ「ごめんねー。身を隠すためとはいえ、抱きついちゃって……あっ!」

卓「――! ――――!!」

このみ「あ、あぁ……。ま、仕方ないよ。男の子だもんね」

卓「…………。――」

このみ「ぜ、全然気にしてないよ。それに、眼鏡君ぐらいの年頃なら、その気のない女の人に触られてもそうなっちゃう、ってクラスの男子も言ってたし」

卓「――、――――」

このみ「そ、そっか……。なんていうか、今の、告白みたいだったよ」

卓「…………」

このみ「うぅ……」

卓「…………」

このみ「……――だけだよ」

このみ「少しだけならその……私にもそうなった責任がないわけではないし……。す、少しだけなら……いいよ」

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