【ラブライブ】りこテイパー (64)

化物語パロっぽい何か.

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私は高海千歌!高校2年生!

夢は輝くスクールアイドルになること!

そのために,親友の曜ちゃんとAqoursっていうスクールアイドルを結成したんだ!

2人で歌やダンスを練習したりして,毎日が楽しい!

そんなとき,浦の星女学院に桜内梨子ちゃんっていうすっごい美少女が転校してきたの!奇跡だよー!

これはもういくしかない!って思って梨子ちゃんをAqoursに勧誘したんだけど……

――――――――――――――

梨子「スクールアイドル?」

千歌「うん!スクールアイドル!一緒にやりませんか?!」

梨子「それって,どんなことをするの?」

千歌「歌って踊って,輝くの!」

梨子「……輝く?」

千歌「そう!これみて?μ'sっていうグループの動画なんだけど」

梨子「μ's……」

千歌「キラキラしてるでしょ?これを見て,私もこんなふうになれたらなって思ったんだ」

千歌「私には……何も無いから……」

梨子「……」

千歌「それで,どうかな?私たちと一緒にスクールアイドルやりませんか?」

梨子「……それはできないわ」

千歌「えー!梨子ちゃん絶対人気出るよ?可愛いし!」

梨子「そういうことではないの.とにかくごめんなさい」

千歌「むー……そっか.じゃあしょうがないね」

梨子「ごめんなさい.じゃあ私は帰るわね」

千歌「はーい,また明日ね!」

梨子「ええ,また明日」


ガララッ バタン

千歌「うーん……ダメだったかあ」

曜「やっほ,千歌ちゃん」

千歌「あ,曜ちゃん!」

曜「何してたの?」

千歌「梨子ちゃんを勧誘してたんだけどね,断られちゃった」


曜「……そっか,残念だね」

千歌「絶対似合うと思ったんだけどな~」

曜「まあ,本人が嫌がってるんならしょうがないんじゃない?」

千歌「そうだね……」

曜「とりあえずは私たちで頑張ろうよ」

千歌「……いや,諦めない!」

千歌「もうちょっと頑張って誘ってみるよ!」

曜「……うん」

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――――――


スクールアイドルか……

歌と踊り……音楽……

……

私は……もう……

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千歌「おっはよう梨子ちゃん!」

梨子「おはよう高海さん」

千歌「スクールアイドルやりませんか?」

梨子「いきなりその話……それはもう断ったでしょ?」

千歌「断られたけど,もう誘わないとは言ってないよ!」


梨子「はあ……」

千歌「ねえ~一緒にやろうよ~絶対楽しいって~」

梨子「揺らさないで.だからやらないって」

千歌「どうして~お願い~」

梨子「別に私じゃなくてもいいじゃない」

千歌「梨子ちゃんじゃなきゃダメなんだよ!」


梨子「……どうして?」

千歌「私の勘!」

梨子「……はあ」

千歌「ため息つかれた?!」

梨子「そりゃそうよ,よりにもよって勘だなんて」

千歌「私の勘は当たるんだよ?」


梨子「知りません」

千歌「一緒に夢を追いかけようよ~」

梨子「夢?」

千歌「昨日見せたでしょ?μ'sの動画.最初にあれを見たとき,すっごく衝撃を受けた」

千歌「私と変わらない歳の女の子たちが,あんなにも輝いてる」

千歌「もしかしたら私もああなれるかもしれない.私も輝きたい」

千歌「だから……スクールアイドルとして輝くのが私の夢なの」


梨子「……そう」

千歌「梨子ちゃんは何かないの?夢とか」

梨子「私は……ないわ」

千歌「そうなの?なんでもいいんだよ?こんな仕事に就きたいーとか」

梨子「……昔はあったんだけどね」

千歌「……今は無いの?」


梨子「ええ」

千歌「ダメだったとか?」

梨子「……食べさせちゃった」

千歌「食べ……させ……?」

梨子「ごめんなさい,なんでもないわ」

千歌「で,でも……」


梨子「あなたには関係ないことよ.忘れてちょうだい」

千歌「……」

梨子「さ,着いたし私は帰るわ」

千歌「家が隣なんて,もう運命だよね」

梨子「ただの偶然です.じゃあまた明日」

バタン


千歌「はあ……今日もダメだったかー」

曜「完全に警戒されちゃったかもね」

千歌「……でもあれ,どういうことなのかな?」

曜「あれって?」

千歌「夢の話.食べさせちゃったって」


曜「さあ,諦めたことの比喩とかじゃないの?」

千歌「そうなのかな……」

曜「そんなに気になる?」

千歌「うん……あれ?」

千歌「そういえば曜ちゃん,どうしてこっちまで来てるの?家こっちじゃないでしょ?」


曜「気にしないで.たまたまだから」

千歌「そっかーたまたまかー」

千歌「じゃあ私も帰るね!バイバイ曜ちゃん!」

曜「うん!また明日!」

曜「……」


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――――――


夢……私の夢……

……もしかして今なら……

……ダメだ……弾けない.

もう,ずっとこのままなのかな.

でもこれは,私が選んだことだから……

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千歌「バク?」

ダイヤ「ええ,おそらくバクでしょう」

ダイヤ「もちろん確証があるわけではありません.曜さんが言うように,単に諦めたことを言い換えただけなのかもしれません」

ダイヤ「ただもし,その方の”夢を食べさせた”という表現がそのままの意味であるのなら,それはバク以外にはありえません」


曜「そのバクってどっちのバク?夢を食べるバクって確か,想像上の生き物だよね?」

ダイヤ「そのバクでもあり,動物のバクでもあります.どちらでもないという言い方もできますが」

千歌「どういうこと?」

ダイヤ「怪異というものは,その多くが人間の感情から生まれます」

ダイヤ「実際のバクは夢を食べるわけではありませんが,夢を食べるバクと聞くと多くの人間が動物の姿でそれを思い浮かべることでしょう」

ダイヤ「なのでそこから生まれた怪異としてのバク……正式には”夢喰い獏”というのですが,それも動物の姿をしているのです」


千歌「ふーん……よくわかんない」

千歌「それより,助ける方法だよ!何か無いんですか?」

ダイヤ「助ける?誰をですか?」

千歌「梨子ちゃんですよ.夢を取り戻させてあげないと」

ダイヤ「どうして?」

千歌「どうしてって……」


ダイヤ「先ほども言いましたが,怪異は人間の感情から生まれます」

ダイヤ「もし桜内さんが夢を食べさせたというのなら,それはきっと桜内さんが望んだことのはず」

ダイヤ「夢なんかもういらないと,そう思わせるほどの苦しい何かがあったはずなのです」

ダイヤ「その夢を取り戻すということは,同時にその苦しみも取り戻すということ」

ダイヤ「それでも,あなたは彼女に夢を取り戻せというのですか?」

千歌「そ,それは……」


ダイヤ「もちろん,桜内さん自身が本気で取り戻したいというのなら,私はその手助けをします」

千歌「……」

ダイヤ「千歌さん,あなたは夢を見つけて世界が輝いて見えるようになったのでしょう.それはとても素晴らしいことです」

ダイヤ「ですが,全ての夢が例外なく素晴らしいなんて思わないように」

ダイヤ「夢を追うという行為は,場合によってはその人を茨の道に縛り付けることになるのです」


……そのことを,努々お忘れなきように――――――


―――――――――――――


千歌「うがーーーーどーーーーしよーーーーー!」

曜「……でも,ダイヤさんの言ってたことはその通りだと思う」

千歌「それはそうだけど……でも……でもー!」

曜「千歌ちゃんは,そんなに梨子ちゃんをAqoursに入れたいの?」

千歌「それもあるけど……きっと梨子ちゃん,スクールアイドルに興味があると思うんだ」


曜「そうなの?」

千歌「うん.μ'sの動画を見せたとき,梨子ちゃんの目が少し変わった気がしたの」

千歌「スクールアイドルそのものかはわからないけど,それに関係する何かが梨子ちゃんに引っかかったんだと思う」

曜「そしてそれは,梨子ちゃんの夢にも関係していると」

千歌「たぶんだけど……」


曜「そればっかりは,本人に聞いてみるしかないよね」

千歌「でも……」

曜「何か不安なの?」

千歌「私いつも突っ走っちゃうから……それで梨子ちゃんに迷惑かけちゃうかもしれないし……」

曜「……ふふっ」

千歌「どうしたの?」


曜「いや,確かにそうだな~と思って」

千歌「むー.そこは,そんなことないよーとか言ってくれるところじゃないの?」

曜「大丈夫,褒めてるから」

千歌「うそだー」

曜「ほんとほんと」


曜「確かに千歌ちゃんはたまに考えるより先に行動しちゃうことがあるけど,それは千歌ちゃんの良いところだよ」

曜「それに千歌ちゃんは,梨子ちゃんのためにもそうした方が良いと思ってるんでしょ?」

千歌「それはもちろん!」

曜「なら,やってみたらいいと思う.その気持ちはきっと梨子ちゃんにも届くよ」

曜(私もそうだったから……)

千歌「曜ちゃん……うん,そうだね」

千歌「私,ちゃんと梨子ちゃんと話してみるよ」


曜「うんうん,頑張って」

千歌「曜ちゃんも一緒に話してくれないの?」

曜「それは千歌ちゃんの役目だよ.ほら,家も隣だし」

千歌「それもそうかー……不安だなー」

曜「大丈夫,私はいつも千歌ちゃんの側にいるよ」


千歌「……へへっ,心強いや」

千歌「じゃあ,私はこっちだから」

曜「うん,また明日ね」

千歌「うん!ありがとね!曜ちゃん!」 タッタッ

曜「応援してるよー」

曜「……」

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―――――――――
――――――

スッ

ポーン

……

ポーン

……


わからない.以前の私はどうやってこれを弾いていたのだろう.

手が動かない.何も浮かばない.

これじゃあ私は……あんなふうに輝けない.

あれを見せられたとき,羨ましいと思った.

私もこんなふうになれたら良いなと思ってしまった.

そして,それに向かって真っすぐに進もうとしているあの人に……嫉妬した.


その瞳はとても輝いていたから.

私もそんな目をしたい.でもそれは叶わない.

その輝きを私は,自ら手放してしまった.

あのとき目の前に現れた……バクに……


……

ポーン

梨子「……はあ」

リコチャーン

梨子「私はどうしたら……ん?」

リーコーチャーン!

梨子「この声は……」


ガララッ

梨子「高海さん?」

千歌「梨子ちゃん!やっと出てきてくれた!」

梨子「どうしたの?こんな時間に.というか部屋も向かいだったのね」

千歌「今ピアノ弾いてたよね!?ピアノ弾けるの?」


梨子「……弾けないわ」

梨子「今だって弾いてなんていない.ただ……押していただけ」

千歌「……梨子ちゃんの夢って,そのピアノに関係があったんじゃない?」

梨子「……どうしてそう思うの?」

千歌「今の梨子ちゃん,すごく辛そうだから」

梨子「……」


梨子「……高海さん,私どうしたらいいのかしら」

梨子「夢なんて,捨てたはずだったのに……今はまた,高海さんと同じ夢を見たいと思ってしまっている私がいる」

梨子「でもできない.夢の見方を忘れてしまった」

梨子「こんな私じゃ……あなたと一緒にスクールアイドルをやる資格なんてない」


千歌「取り戻せば良いんじゃないかな!」

梨子「え?」

千歌「取り戻せばいいんだよ!梨子ちゃんの夢を!」

梨子「……無理よ」

千歌「できるよ!」

梨子「嫌よ!」

梨子「そんなことをしたら私……今度こそ潰れてしまう……」


梨子「苦しかった思い出はなくなってしまった……でも,すごく辛かったことだけはわかる」

梨子「そんなのきっと……もう耐えられない……」

千歌「私がいる!」

梨子「え?」

千歌「私が一緒に苦しんであげる!」

千歌「辛いことも嬉しいことも一緒に抱えてあげる!嫌なことは半分こして,良いことは倍にするの!」

千歌「そしたらきっと大丈夫だよ!」


梨子「……いいのかな,私」

梨子「また夢を見ても……いいのかな」

千歌「いいんだよ!だから!」

千歌「夢を取り戻して……そして……」

千歌「一緒にスクールアイドル,やりませんか?」 スッ

梨子「高海さん……」 スッ

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――――――


私,桜内梨子は幼少期からピアノと共に育ってきた.

目が覚めたらピアノを弾き,ご飯を食べてピアノを弾き,学校から帰ってピアノを弾き,寝る前にはピアノを弾いた.

その努力に比例して実力もグングン伸び,周りからは天才だともて囃された.

コンクールで何度も優勝し,親も先生も褒めてくれた.それが私は嬉しかった.

自然と私の夢は,ピアニストになることになっていた.


……だが,それは長くは続かなかった.

小学校の高学年あたりから実力が伸び悩み,コンクールでも優勝できない日々が続いた.

ときには入賞すらできないこともあった.

周りは「次はきっと大丈夫」と言ってくれるけど,その思いやりが辛かった.

私は気づいていた.自分は天才なんかじゃない.ただ,人より少し始めるのが早かっただけだ.


周りの期待が重かった.私を見る目が苦しかった.

やめて.そんなふうに言わないで.私は……私は……!

できる子なんかじゃないっ……!

……

……そのとき,そいつは私の前に現れた.

私は願った.もう嫌だ.ピアノなんか弾きたくない.

ピアニストになんてなりたくない.こんなに苦しいなら……夢なんて要らない.


次の日から私は……ピアノが弾けなくなった――――――

――――――――――――
―――――――――
――――――


ダイヤ「本当によろしいのですか?」

梨子「はい」

ダイヤ「再び苦しみを抱える覚悟があると?」

梨子「私は……もう1人じゃないですから」

千歌「えっへん」フンス


ダイヤ「……わかりました」

梨子「でも,どうやって夢を取り戻すんですか?」

千歌「たしかに,バクさんがどこにいるかなんてわからないのに」

ダイヤ「……お二人は,伝えた通りにしてきましたか?」

梨子「はい.お風呂に入って,可能な限り清廉な恰好をしてきました」

ダイヤ「お化粧は?」

梨子「しないほうがいいかと思って」

千歌「私も!」


ダイヤ「よろしい」

ダイヤ「ではこちらへ」 コツコツ

テクテク スーッ

梨子「こ,ここは……」

千歌「うわーなんじゃこれ」

ダイヤ「神聖な場です.無礼の無いように」

ダイヤ「先ほど,夢喰い獏がどこにいるかわからないと言いましたが,それは違います」


千歌「そうなんですか?」

ダイヤ「はい.桜内さん,最近夢を見た覚えはありますか?寝ているときに見るほうの夢です」

梨子「いえ……忘れているだけかもしれませんが」

ダイヤ「夢喰いバクというのは,そちらの夢も食べるのです」

ダイヤ「夢に苦しむ人は,寝ているときも悪夢に苦しめられることが多い」

ダイヤ「バクはそれも食べて,睡眠時も苦しみから解放してくれるのです」

ダイヤ「そして夢は毎日見る可能性があるもの.それを全く見ていないということは……」


梨子「……今も食べてくれている」

ダイヤ「その通り」

梨子「ということは……今も側にいるということ……ですか?」

ダイヤ「はい」

千歌「でも,何も見えないよ?」

ダイヤ「それはただ見えていないだけ.私にも見えません」

ダイヤ「ですが桜内さん,あなたにはきっと見えるはず」

ダイヤ「1度巡り逢っているあなたなら」


梨子「で,でも……私にも何も……」

ダイヤ「目を閉じてください」

梨子「目を?」

ダイヤ「はい.そして,私の質問に答えてください」

梨子「は,はい」 スッ

ダイヤ「では」


ダイヤ「あなたの名前は?」

梨子「桜内梨子」

ダイヤ「歳は?」

梨子「17歳」

ダイヤ「どこに住んでいる?」

梨子「内浦」

ダイヤ「前はどこに住んでいた?」

梨子「東京」

ダイヤ「習い事は何を?」

梨子「……ピアノを」


ダイヤ「いつまで?」

梨子「……13歳」

ダイヤ「どうしてやめたのですか?」

梨子「……」

ダイヤ「どうしました?ほら,答えて」

梨子「……上達しなくなって……」

梨子「でも周りはどんどん上手くなって……周囲の期待が苦しくなって……それで……」


ダイヤ「それで?」

梨子「バクが……バクに……私の夢を……」

ダイヤ「そう……大変でしたね」

ダイヤ「もういいでしょう……目を開けて下さい」


梨子「はい……ひっ!」

「……」

ダイヤ「どうしました?何か見えているのですか?」

梨子「ば,バクが……!あのときと同じ……!」

ダイヤ「そうですか.私には見えませんが」

梨子「でもっ!そこに……!」


ダイヤ「あなたがそう言うのならそうなのでしょう.では,何か言うことがあるのではありませんか?」

梨子「い,言うこと?」

ダイヤ「あなたはお願いしたいことがあったのではありませんか?だからここに来たのでは?」

梨子「はあ,はあ……」

ダイヤ「大丈夫.バクは優しい生き物です.落ち着いて.ゆっくりと」


梨子「はあ……ふう」

梨子「……」

梨子「バクさん.ありがとうございました」

梨子「あのときは本当に辛くて,あなたのおかげで私は救われました」


「……」

梨子「でも,もういいんです」

梨子「あれは私の夢だから……私の苦しみだから……」 ポロポロ

梨子「全部ひっくるめて私だから……私が背負わなきゃダメなものだから……」 ポロポロ

梨子「もう大丈夫です……私はもう1人じゃないから……」 ボロボロ


梨子「だから私の夢を返してください……私にもう1度夢を見させてくださいっ……!」 ボロボロ

梨子「お願いしますっ……!お願いしますっ……!」 ボロボロ

「……」

スーッ

梨子「ううっ……」 ボロボロ

フワァッ


――――――――――――
―――――――――
――――――


後日談というか今回のオチ!


ダイヤ「”夢喰い獏”は”夢悔い獏”とも書き,夢に悔いている人間の前に現れます」

ダイヤ「どうしてこんな夢を持ってしまったのか……どうしてこんな夢を追うことを選んでしまったのか……そんな悔いを持っている人間の夢を喰らう」


ダイヤ「それでその人は救われます……しかし」

ダイヤ「悔いはもう1度訪れる」

ダイヤ「どうして夢を捨ててしまったのか……もう自分は夢を見ることができないのか……」

ダイヤ「たいていの人はそこでもう1度バクに会おうとはせず,自業自得だと諦めてしまいます」

ダイヤ「しかし桜内さんは違った.夢に悔いた彼女は,それを取り戻したいと願った」

ダイヤ「そんな彼女の想いに呼応して,バクは再び現れたのでしょう」


夢喰い獏はもともと,人を苦しみから解放してくれる優しい怪異なのですから――――――

――――――――――――――


~~♪ ~~~♪

ガララッ

千歌「梨子ちゃん!ピアノまた弾けるようになったんだね!」

梨子「かなりブランクがあるから,以前のようにとはいかないけどね」

千歌「でも梨子ちゃん,晴れやかな顔してる」

梨子「……そうかもね」


千歌「では改めて……」

梨子「?」

千歌「桜内梨子さん!私たちと一緒に,スクールアイドルやりませんか?」

梨子「……はい,私でよければ喜んで」 ニコッ

千歌「う~~~やったーーーー!」

梨子「ふふっ,喜びすぎじゃない?」


千歌「だって嬉しいんだもん!」

千歌「やったよ曜ちゃん!梨子ちゃん入ってくれるって!」 クルッ

千歌「……あれ,曜ちゃん?」





終わり

以上です.
読んで下さった方ありがとうございます.

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