【モバマス】p「加蓮と過ごす夏祭り」 (19)

夏祭りに行けないのでむしゃくしゃして書きました。
後悔はしてません。
加蓮と夏祭りに行くssです

↓前作になります。読んでも読まなくても楽しめると思います。

【モバマス】加蓮「7月、いつもの事務所」
【モバマス】加蓮「7月、いつもの事務所」 - SSまとめ速報
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8月、事務所ーーー


「ーー今日の降水確率は50%、花火大会に影響が出るかもしれません」


事務所につけてあるテレビからはそんな声が聞こえてくる。

折りたたみ傘を持ち歩いてるから万が一でも心配はないが。


ーーにしても今日、花火大会だったか。

仕事柄曜日感覚がどうしても失われがちだし花火大会!と言われても行くことは無いと思うが。


「pさんは花火大会とかには興味ないですか?」


「昔はクラスメイトと行ったりしましたけどね。最近はめっきりですけど」


「スカウトついでに行ってみたりとか」


「イヤですよ。彼氏とかいたらどうするんですか。ボコボコにされますって」


「確かに。でも中継とか見ると結構楽しいですけどねぇ」


「ビールと枝豆つまみながら涼しい所で見るのがやっぱり一番ですよ。花火大会は」 


唐翌揚げとビール、それに枝豆でなんて完璧な夏じゃないか。ダメな大人の典型例な気もしなくもないが。

「おっはよーございます」


「おっ、加蓮か、おはよう」


「なになに?何の話してたの?」


「ん?大人になると花火大会行かなくなるよなーって」  


「別に私は行かないとは言ってないですけどね」


「花火大会?…ああ、今日あるんだ」


「お?凜や奈緒とでも行くのか?それなら今日は少し早上がりにしようか」


「それもいいかもねー、でも」


そう言って加蓮は俺を見つめる


「今日はpさんと花火、見たいな?」


ーーー

流石に男と花火大会はまずくないか…?
「あのなぁ加蓮ーー」

 

「あら。いいじゃないですか。折角の花火大会なんだし久々に楽しんだらどうです?」


「下手したら週刊誌モノですよ!?それでいいんですか!?」


「規模的に人がごった返してて騒がれないと思いますよ。結構他の有名人も来るみたいですし」


「そうだよそうだよ。私も変装して行くから、ね?」


どう考えても理論に無理があるような気がするが、多数決で決められてしまってはどうしようもない。こうなると加蓮もちひろさんも意地でも動かないだろうし。


「…きっちり変装してから行くんだぞ?」


「大丈夫だって。貴方が育てたアイドルだよ?」


うん。雲行きが怪しくなってきたな。


「ですけど、楽しい時間はしっかり仕事してからですからね?」


「「はーい」」



ーーー


花火大会かぁ…実際何年ぶりなんだろうか。

昔の仲間とは仕事が忙しくなるにつれ段々行かなくなったっけ。

バカ騒ぎしながら花火見て、微妙に高い屋台の焼きそばなんかつまんだりして。


そう思うと別に花火大会、嫌いな訳ではないんだよな。なぜか行こうとはしなかったが。


「ふぅー、とりあえず事務作業はこれでおしまいかなぁ…」


「あら。早いですね。今日はもう上がっていいですよ」


「ホントいつも申し訳ないです。今度何か奢りますんで…」


「そうですね、銀座あたりですかねぇ」


冗談でもやめて欲しい。破産する。


「にしても、ちひろさんも珍しいですね、こういうことには結構気を遣うと思ったのですが」


「加蓮ちゃんもアイドル以前に一人の人ですし。頑張っているんですからたまにはいいんじゃないですか?」


確かにその通りかもしれない。最近頑張っていたし。


「では、お疲れさまでした」


ちひろさんに挨拶をし、オフィスを後にして加蓮のいる所に向かう。

今日のレッスンはもう終わっている時間のはずだろうし。


「あっ、pさんおつかれー。もうそっちは大丈夫なの?」


「おう。んで、どうするんだ?始まるまでまだ時間はあるが直接向かうか?」


「んー、ちょっとレッスンで汗流しちゃったし一旦家に帰ることにするよ」


「そうか、集合はどうする?」


「うーん、18:00くらいに△△像前でどうかな?」


「ん、了解。」


一旦別れて再集合の流れとなった。


ーーー


さて、どんな髪型をすればpさんは喜んでくれるかな。

いつもなら下ろしちゃうんだけど今日の服装なら上げちゃった方がいいかな。うん。決定。

それじゃあ次は…


「出番ですよっと」


と言って今日の主役を箪笥から取り出す。


こういうときの為に紗枝ちゃんに色々教えて貰って良かったと思うよ。

これを最初に披露するのがpさんになるのはうれしい誤算だけどね。


待ち合わせまであと少し。急がないと。



ーーー

△△像前


まだpさんの姿は見えないみたい。

…少し早く着きすぎちゃったかな?
まぁあの人も何だかんだ時間より早く来るタイプだからそんなに待つことも無さそうだけど。


にしても本当に人が多い。

やっぱり屈指の規模の花火大会ってことはあると思う。


「お、姉ちゃんキレイだねー!一人?」


ーーとなるとこういう輩はいるわけで。

いつも思うけどこういう人たちはどういう神経しているんだろう?
…でもpさんとの初対面もこんな感じだったような?
まぁ関係ないか。この人はpさんじゃないし。


「すいません。彼氏待ってるんで」


「またまたー。そういって誤魔化してるんでしょ?オトナの付き合いとか興味ないの?」


うーん、pさんの方が10倍くらいオトナかなぁ。

悪いけど他を当たってくれないかなぁ。


「取り敢えずついてきなよ。悪いようにはしないからさ?」


ーーさて、どうしたものか。

か弱い女の子の私が抵抗しても儚く負けてしまいそうな感じだけど。

なんて考えること数秒、


「おーい、加蓮?…あれ?どうしたの?」 


ちょっと遅すぎじゃないかなぁ。

私に何かあったらどうするつもりだったの?
…いやそしたらpさんは修羅になるだろうなぁ。あの人のことだし。


「チッ…本当に彼氏かよ…お幸せにな!」


なんて事を言いながら去っていく。本当に助かった。

…なんか悪い人じゃ無さそうだったけど。


「もう、待ったんだから!女の子を待たせるなんて!!」


「いや、集合時間前ーーでも良かったよ。気づけて。ごめんな」


「そ・れ・よ・り!!何か言うことないの!?」


そんなことよりこれに気づいて貰わないと私としては困るんだけど。


「あぁ。浴衣、似合ってるぞ」


うん。合格。

ちゃんと気づいてくれたみたいだ。

…pさんも浴衣着れば良かったのに。似合うと思うんだけどなぁ。


「ふふ。じゃあ、向かおっか!」


「ああ。屋台見てくか?」


「めっちゃ見る。奢って?」


「しょうがないな…」


ーーー


花火大会なのにスーツは変だし今日は私服にしていくか。

残念ながら甚平は手元に無いし。


荷物の準備も済んだし、まだ少し時間はあるから待ち合わせ時間よりは早く着くことが出来るだろう。


ーーにしても本当に久しぶりだ。

もしかしたら昔の友人に会えるかもしれないな。


どうやら、久しぶりの祭りを前にして意外にテンションが上がっていたみたいだ。

改めてちひろさんと加蓮に感謝しないとな。


ーーー

△△像前


待ち合わせの時間の前に集合場所には無事着いたが…加蓮はどこにいるのだろうか。


「取りあえずついてきなよ。悪いようにはしないからさ?」


加蓮を探して辺りを見回すと浴衣の女性に声を掛けている男が目に止まった。

花火大会となると少しネジが緩んで普段しないような事にも手を出す輩が一定数いるのは事実が証明してはいるが…。


…その浴衣の女性が物凄く見知った顔であるのは見間違いではないのだろう。

さて、どうしたものか。

人が大勢いる手前、手荒な事はしたくないが。

となると穏便に済ませる方向で行くとしよう。

「おーい、加蓮?…あれ?どうしたの?」 


穏便に済ませられる上に知人アピールもできる有効手ではないだろうか。

効果は覿面だったようで、ナンパ男はこちらに舌打ちをして去っていく。

物わかりが良くて本当に良かった。


「もう、待ったんだから!女の子を待たせるなんて!!」


「いや、集合時間前ーーでも良かったよ。気づけて。ごめんな」


加蓮には時計が見えてないのだろうか。

現時点でも集合10分以上前なのだがーー。


「そ・れ・よ・り!!何か言うことないの!?」


「あぁ。浴衣、似合ってるぞ」


俺が甚平でも着てこなかったせいで釣り合ってないくらいには。

さて、加蓮先生からはマルを貰えるのか。

浴衣をこれ見よがしにと見せつけているので多分間違っていないはずだが。


「ふふ。じゃあ、向かおっか!」


どうやらマルだったようだ。


「ああ。屋台見てくか?」


「めっちゃ見る。奢って?」


「しょうがないなぁ…」


待たせてしまったし多少は奮発してもバチは当たらないだろう。多分。


ーー

屋台通りーー


お祭りに来るのって本当に久しぶりかもしれない。

夏って暑いし、あんまり外に出たくなかったからね。

そんな私がこうやって夏祭りを楽しんでるんだから人生何があるか分からないよね。


「加蓮、何か食べたいものはあるかー?」


ベタなところだと焼きそば、たこ焼きあたりかな?
ちょっと変わり種のケバブ、シャンピンとかも面白いかも。

そんな私の目を特に引いたのは「ポテト」の三文字。

やっぱりこれだね。


「pさん、あのロングポテトっての食べたいんだけど」


「お祭りになっても普段と変わらないのなそこは…」


でも買ってくれるあたりpさんはpさんだ。

何だかんだ私に甘い気がする。

悪い事じゃないけど。


あ、これ、もちもちしてておいしい。

やっぱりフライドポテトは私を裏切ることがないね。

…って買って貰ったのに私ばっかり食べてちゃ申し訳ないよね。

 

「はいpさん、あーん」


「おう、ありがとな」


あっさり食べられてしまった。

もっと狼狽してくれると個人的には面白いんだけど。


「…何か予想と反応違うんだけど」


「…それは申し訳ない」


…まぁ別にいいんだけど。

そうしたら他の手段で狼狽えさせればいいんだし。

いや。狼狽えさせる必要は必ずしも無いけど。



ーーー


「流石にポテトだけじゃ足りないよなー…焼きそばでも買っていくか?」


「ん。賛成」


「じゃあ早速並ぶか」


いかにも愛想の良さそうなおじさんのやっている焼きそば店の列を選ぶ。

特に根拠は無いがおじさんがやっていると少し美味しそうに見える。見えるだけだが…。


「あいよ!何人前だい!?」


「二人前でお願いします」


「おう!!お似合いのカップルさんだねぇ!!少し増やしておくよ!!ありがとな!!」


とツッコミ所満載の勢いに押し切られて増量されてしまった。

別に食べられる量だから問題ないのだが…。


「えへへ、カップルだってpさん」


「あ、ああ」


ーーアイドルとプロデューサーの関係だからと言えたらどんなに楽なことか。

かと言ってそうではないと否定することももう出来ない訳ではあるのだが…


「もう?何考えてるの?ほら、花火始まっちゃうよ?」


加蓮の言うとおりだ。難しいことは後々考えればいいか。


「そうだな。その前に他にも買っておくか」


「え?ホント?じゃがバターとか振るポテト買っていいの?」


「もう少し芋から離れような」


その芋に対する執着は何なんだ。前世は芋農家なのか。


ーーー


「…結構pさんって用意いいよね」


「そうか?花火見に行くならシートは必須だろう」


そういうものなのかな?
私はこの格好だし荷物を持てないからすごい助かるけど。

でも、いつも荷物を持って貰ってるのは流石に申し訳ない気がするような…。


「にしても案外ちゃんと座れる場所確保できるもんだね」


「まーなんだかんだここ広いからなぁ。場所を考えなければ普通に問題なく座れると思うぞ」


「荷物とかもあったし地べたに置くのもねぇ」


「加蓮のは荷物じゃなくて食べ物だろ」


まぁその通りなんだけど。

お互い調子に乗って結構な量の食べ物を買ってしまったのは少し反省かも。


「お、そろそろ始まるみたいだぞ」


開会を告げるアナウンスが響き各地から拍手が沸き起こる。


拍手もつかの間、夜空に一輪の花が咲いた。

近いところから眺めているというのもあって音も大きさも結構なものだ。


「これが花火かぁ…」


なんてつい口にしてしまった。


「なんだ、花火を見るのは初めてか?」


「いや、初めてってわけじゃないんだけどこうやって直接見るのは初めてかも」


「そりゃあよかった」


「pさんは?」


「昔のクラスメイトと来たっきりだな。最近はずっとテレビで済ませてた」


「pさんも祭りとか結構行くんだね」


「別に嫌いな訳じゃないぞ…?」


でも普段あまり口にしないし興味がないのかと思ったけど。

そういう訳ではないみたいだ。

「あ、スマイルマークだ」


「最近の花火は形とかにも凝ってるからなー…形が崩れて何がなんだか分からないのもあるが…」


「それは残念だね…」


「複雑なのほど崩れやすいからな…」


なんて言ってたら今度は崩れたスマイルマークが。


「…………」


「…………」


「確かに残念だね…」


「だな…」


これは確かに残念だ。また一つ学習したぞ。

誰が悪いって訳じゃないんだけど…。


なんて手元のトレイを片付けつつ花火を批評すること寸刻。


「お、そろそろ目玉の大花火らしいぞ」


刹那、空が火で埋め尽くされた。

今までも随分大きい花火は打ち上がってたけどさらにそれを上回るとは…。


「いやー、これは良い物を見たな。誘ってくれてありがとな」


「それほどでも。あ、そうだ」


それなら代金を頂くことにしよう。


「どうしーー」


数秒の静寂の後。


「ーーシロップの味がした」


「あはは。じゃあこれが代金ってことで」


浴衣の女の子とデートなんていくら積んでもなかなか出来るモノじゃないと思うけどね。

pさん以外とはするつもりもないけど。


ーーー


「ーーこれにて第○○回××川花火大会を終了します。各自お忘れ物には注意してくださいーー」


フィナーレもつかの間、今年の花火大会は終わりを告げた。


「いやー、楽しかったな」


「ね、最後なんてすごい明るかったよ。私たちの立つステージより明るいんじゃないかってくらい」


「なんだ?野外で花火でも打ち上げるライブでもしたくなったか?」


…言っておいて何だが別に出来ないわけじゃないのがまた恐ろしい所ではあるんだが。


「んー、そういうのは輝子ちゃんとかの方が向いてそうだけど。悪くはないかも」


確かに。だが、今度一回検討してみる価値はありそうだ。


「にしても人が多すぎて帰るのも一苦労だなこりゃ」


ただでさえ大規模な花火大会なのだ。

人が一気に流れていくとなれば結果は明らかだろう。


「だねー…少し待ってから出ようか…」


「だな…これは予想外だ…」


と、人の流れが解消されていくのを待つこと数分。

空は曇り、ぱらぱらと会場の熱気を冷ますかの如く雨が降り始めた。


「うげっ雨降り始めた!」


「加蓮は傘は持ってーー無さそうだよな」


しょうがない、念のために持ってきた折りたたみ傘を使うとしようか。


「ほい、これ使え」


「ん。ありがと。pさんは?」


「まぁなんとかなるだろ。これは濡れても大丈夫だし」


「何それ。貴方の傘でしょ?ほら、入りなよ」


「じゃあ言葉に甘えて」


俺の傘だけど。

その後、小降りになるかと思われた雨は予想より強くなり、傘は差しているもののお互いそれなりに濡れてしまった。

しかも雨のせいで人の足も止まってしまい、帰路は地獄絵図と化していた。


「参ったなー…濡れるし時間は過ぎるし良いことがない」


「だねー…こっちもしっかり濡れちゃったよ…うへぇ、濡れると気持ち悪い…」


濡れた服って異様に気持ち悪いよな。わかる。

それにしても自宅方面の電車が予想より混雑している方もなかなかの問題ではあるのだが…。


「参ったな。電車も混雑していて帰るとなるとかなり時間かかりそうだな…」


「ホント…?」


「まぁ近くのネカフェあたりで泊まるから心配しなくていいぞ」


ネカフェで泊まるとなると寝れたもんじゃないが帰れないよりかはよっぽどマシだろう。


「………ならうちに泊まらない?」


「何言ってんだ。いくら何でも」


「今日、親いないからさーー」


ーーー

朝方ーー


「うぇ!?何でpさんがここに!?」


「おい」


酒が入ってもいないのに記憶が抜けるはずがないだろうに…。


「なんてね、冗談冗談。ふぁ~…眠い…」 


「…俺は一旦家に戻るけど加蓮は?」


「今日は午後から。寝てくる…」


「そうか…じゃあ、また事務所で。鍵だけ閉めておいてくれ。あと朝食作っておいてあるからな」


「めっちゃ助かる…結婚して…」


「あと6年な」


そんな言葉を残しつつ、加蓮宅を後にした。


ーーー  

事務所ーー


「あら、pさんおはようございます」


「あぁ、ちひろさんおはようございます」


「ふふ、昨晩はお楽しみでしたね?」


「もう少し言い方に気をつけて下さい」


「にしても昨日雨凄かったらしいですね。電車や交通に響いたとか」


「ホントですよ…参りました…帰るのが遅くなってしまいましたね…」


「それは災難でしたね。ところで祭りのお土産とかは…」


「ラムネのビー玉とかでいいっすか」


「減給しますよ?」


「ごめんなさい何も買ってないです許してください」


「…加蓮ちゃんの写真とかは」


「見ますか?似合ってますよ。今度浴衣の仕事入れましょう?」


「これは有能ですね…ええ…入れましょう…」

こうして悪い大人二人によって新しい仕事がまた増える運びとなりましたとさ。

以上になります。

流れとかもっと上手く組めるようになりたい…

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