少女「ポンコツロボと旅をする」(211) 【現行スレ】

【水】

少女「あー、今日も暑いなあ」

ロボ「そうデスね」

少女「そうですね、って、あんたは別に暑くないでしょ」

ロボ「気温30度、湿度74%、アスファルト付近48度、デス」

少女「……」

ロボ「熱中症の危険がありマスので、十分な休息と水分補給をお勧めしマス」

少女「水分ね……」

少女「水分は貴重、貴重……」


少女「Heyポンコ、ここから最も近い水分補給地点」

ロボ「ここから、ゼロ、メートル地点デス」

少女「は? ゼロ?」

ロボ「ご主人の背負っているリュックサックから、水の気配を感じマス」

少女「それ水筒じゃん! こないだ補給したやつじゃん!」

少女「ていうか『気配を感じます』ってなに!? あんたロボじゃん! 第6感ないだろ!」

ロボ「レーダーが反応していることを『気配』と表現してみマシタ」

少女「そんな人間らしくしなくていいから!」


少女「あーもう、じゃあポンコ、ここから二番目に近い水分補給地点」

ロボ「ここからまっすぐ約4キロメートル地点、給水塔がありマス」

少女「それは素人が入っても水が出せる施設?」

ロボ「……データが不足していマス」

少女「行ってみないとわからない、ってこと?」

ロボ「そうデス」

少女「水は貴重、貴重、補給しとくか」

少女「まあ、4キロ程度なら1時間で行けるでしょ」


ロボ「一般的な人間だと、4キロメートルを歩くのに約1時間かかりマス」

ロボ「ご主人の足の長さだと4キロメートルを歩くのに約1時間8分かかる計算デス」

少女「は!? なに!? わたしの足が短いって!?」

ロボ「一般的な人間の体格と比較した場合……」

少女「こらぁ! さっきの暴言は看過できないわよ!」

ロボ「女性ですので体力面でも……」

少女「言い訳すんな! 誰の足が短いって!?」コンコンコン


……

ロボ「見えマシタ。給水塔、目的地周辺デス」

少女「あれかー、大きいね」

ロボ「音声案内を終了しマス」

ロボ「ふぅ……」

少女「今溜息つかなかった!?」

ロボ「ハテ」

少女「その聞き返し方も人間っぽい!!」

ロボ「失礼な。ワタシはロボットデス」

少女「いちいち嘘くさいのよ!!」


ロボ「鍵がかかっていマスね」

少女「旧式の南京錠じゃん。これくらいなら……」

ジジッ

カラン

少女「ほら、焼き切れた」

ロボ「バーナーなんて持っていたんデスね、ご主人」

少女「燃料が少ないからあんまり使えないけどね」

ロボ「ワタシもできマスよ、そのくらい」

ジジッ

少女「対抗すんな」


ゴウンゴウン

ロボ「これで、近隣の水道から水が出るはずデス」

少女「簡単ね」

ロボ「ただ、水質が飲料水として問題ないかどうかがわかりません」

少女「あ、そっか。古いかもしれないのか」

ロボ「調べてみましょう」

少女「ほいほい」


少女「んん……この蛇口固い……」

ロボ「代わりましょう」

ロボ「ふんっ」ゴキッ

ロボ「外れましたね」ジョボジョボ

少女「ロボットもかけ声とか出すんだ……」

ロボ「ああ、見てクダサイこのきれいな水! 冷たい水!」

少女「問題は飲めるかどうかでしょう?」

ロボ「水質に問題ありません! ほらほら! 好きなだけ飲んで好きなだけ水筒に入れてクダサイ!」

少女「なんでロボットがテンション上げてんのよ……」


ロボ「これでしばらく安心デスね」

少女「そうね」

ロボ「熱中症対策には塩分補給も重要デスよ」

少女「塩分ね……そろそろどっかの食品庫を拠点にしたいわね」

少女「ポンコ、ここから一番近い塩分補給地点」

ロボ「ここから、ゼロ、メートル地点デス」

少女「おい」

ロボ「ご主人の背負っているリュックサックから、塩の気配を感じマス」

少女「それわたしの塩分補給タブレットだっつーの!!」

ゆるい終末系です
ではまた明日に ノシ

ロボのエネルギー源と整備はどうなってるんだ

>>11

エネルギー源については今後の小話でちょっと触れる予定です
基本的に都市機能はダウンしているけれど、予備電力が生きているところもある、みたいな感じです


【宿泊地】

少女「今日はどこで寝ようかしらねえ」

少女「たまには毛布じゃなくて、柔らかいベッドで寝たいぞ、と」

ロボ「ポーン」

少女「おお、どうしたの」

ロボ「付近のホテル情報をダウンロードしマシタ」

少女「へえ、便利な機能」

ロボ「ここから徒歩10分、ホテルプラスチック」

少女「プラスチック?」

ロボ「豊富なアメニティで、一泊なんと7900円!」

少女「おい」


少女「今やお金とか機械以外に使えないから」

少女「ホテルで誰が受け取るのよ料金を」

ロボ「候補その2、駅近、ホテルニュー七瀬」

ロボ「駅からのアクセスが便利! 徒歩1分!」

少女「おい」

少女「誰が電車を動かすのよ誰が」

ロボ「候補その3!」

少女「聞いてよ」


ロボ「夕焼けサンサンホテル」

少女「名前っ」

ロボ「スタッフの対応がクソ」

少女「クソなんかい!」

ロボ「しかしそれを補って余りある豪勢な朝食バイキングは圧巻!」

少女「誰が出すねん!! コックもおらんわ!!」

少女「……おっといけない、つい汚い言葉が」


ロボ「候補その4!」

少女「まだあるんかい」

ロボ「ホテルぷりぷりプリンセス」

少女「また名前ふざけてる!」

ロボ「夜景がきれい」

少女「知らないわよ!」

ロボ「受付が美人」

少女「そのレビュー私情入りすぎ!!」

ロボ「隣室の喘ぎ声がうるさかったので☆1つデス」

少女「ただの苦情やんけ!!」


ロボ「……」

少女「駄目ね、興奮すると関西弁が出るクセ、直さないと」

ロボ「関西に住んでいたのデスか?」

少女「小さいころね」

ロボ「関西弁にも対応して応答できマスよ?」

少女「いいのよ、落ち着いて話せば関西弁は出ないから」

ロボ「ではなぜ今日は……」

少女「あんたがボケ倒すからでしょーが!」


ロボ「で、どのホテルにしマスか?」

少女「ベッドが柔らかいところ!!」

ロボ「なるほど……検索しマス……」

ロボ「さっきの中だと、ベッドの評価が高いのは『ぷりプリ』デスね」

少女「略すな!! なんかいかがわしい!!」

ロボ「で、どうしマスか?」

少女「もういいわよそこで!」

ロボ「では『ぷりプリ』までご案内しマース」

少女「え、あれ、もしかしてそういうホテルなの、それ……」

こんな感じです ノシ


【ネタバレ】

ロボ「そこで男はこう言ったそうデス」

ロボ「ここを通りたきゃ俺に倒されてからにしな、と」

少女「倒されたら通れないじゃん……」

ロボ「よくあるセリフのパロディデスね」

少女「なるほど、面白かったわ」

少女「便利ね、たくさんの情報にアクセスできるってのは」

ロボ「この世の情報はすべてワタシからアクセスできマスからね」

ロボ「知らないことはないのデス」

少女「はは、全知だ」


ロボ「こんな話もありマスよ。かの有名なスターウォーズep12からの引用デスが……」

少女「え、待って待って! 12まだわたし見てないから!」

ロボ「主人公の年金・未払いウォーカーが……」

少女「いないからそんなキャラ! ファンタジーで年金の話すんな!」

ロボ「ご主人はネタバレは嫌いなタイプデスか」

少女「うん、だめ」

ロボ「では大事なところだけ伏せて話しましょう」

ロボ「腰痛を患ったヨーダが……」

少女「いやいやいや! 見てない映画のストーリーまだ聞きたくないから!」

少女「1ミリたりとも話すな!」

少女「ていうかヨーダ出てんの!? ep12で!? は!?」


ロボ「ではご主人がすでに知っている物語の話なら問題ないデスね」

少女「そうね、昔話とかなら今更ネタバレも気にならないし」

ロボ「そういえば桃太郎のep7の結末デスが……」

少女「待って待って!! 桃太郎なんてep1しか知らないけど!?」

ロボ「おや、2から7は見てないデスか」

少女「存在してたことも知らないよ!」

ロボ「ep4でダークサイドに堕ちた桃太郎を犬が叱咤するシーンは感涙ものデスのに」

少女「なんか混ざってないそれ!? スターウォーズに引っ張られてない!?」


ロボ「『あなたは必ず騙される』という謳い文句を見ると絶対騙されたくなくなりマスよね」

少女「わかる」

ロボ「『二度読みたくなる』という小説も、意地でも一度しか読みたくないデスよね」

少女「わかる」

ロボ「『衝撃のラスト15分!』と言われると、直前でいったん止めて展開を予想しまくりマスよね」

少女「劇場でその手は使えないから!」

少女「……ていうかあんた本当にロボット?」


ロボ「しかし世の中にはネタバレを是とする人もいるのデスよ」

ロボ「びっくりしたくないから先に結末から読んでおく、といったような」

少女「え、そんな人もいるの?」

ロボ「推理小説では犯人を指摘するくだりを先に読んでおいてから事件編を読むそうデスよ」

少女「えー、わたしには考えられないなー」

ロボ「ワタシも理解できません」

少女「あんた、ロボットよね?」

ロボ「ええ、実は人間でした、なんてオチはありませんのでご安心クダサイ」


ロボ「特に衝撃のオチもどんでん返しもブラックな結末もありません」

少女「はあ」

ロボ「ワタシが人間に対し反逆を起こしたり、ご主人を嬲り殺したりするシーンもありません」

少女「はあ?」

ロボ「ご主人がワタシを破壊して高笑いするシーンもございません」

少女「え?」

ロボ「『二人の旅はこれからも続きマス』といった感じの終わり方をしマス」

少女「あ、なに、この話してんの?」

少女「わたしメタいの嫌いなんだけど!」

ロボ「では、今日はこの辺で失礼しマス」

少女「わたしメタいの嫌いなんですけどー!!」

また明日デス ノシ


【じゃんけん】

少女「じゃーんけーん、ぽん!」グー

ロボ「……」パー

少女「んがー! 勝てない!」

ロボ「これでも反射神経は人間の数倍デスので」

少女「くそー、悔しい!」

少女「…………………………」

少女「じゃんけんぽんっ!!」チョキ

ロボ「……」グー

少女「んがー!」

ロボ「不意打ちにも対応しマス」


少女「あ、そうだ、大阪じゃんけんしよ、大阪じゃんけん」

ロボ「はい?」

少女「負けたら勝ちね! はい! じゃんけんぽんっ!!」パー

ロボ「!」チョキ

少女「はいわたしの勝ちー! やったー!」

ロボ「ワタシが勝ったから、ご主人の勝ち、ということデスか」

少女「そうそう! 不本意だけどこれでわたしの勝ち!」


ロボ「しかしご主人が勝った、ということは、必然的にワタシの負けデスね」

少女「ええ、そうね」

ロボ「ということは、ワタシの勝ちということでは?」

少女「!?」

ロボ「しかしそうなると、今度はご主人が負けなので、またご主人が勝ちということに……」

少女「やめてやめて、わけわかんなくなるから!」

ロボ「ワタシたちは永久に勝ち負けが行ったり来たりし続けるのでは?」

少女「そんなややこしいルールじゃないから!」


ロボ「やはりじゃんけんは普通のルールが一番わかりやすくていいデスね」

少女「……そうね」

ロボ「ではあらためて」

少女「……」

少女「じゃん、けん、ぽんっ!」グー

ロボ「……」パー

少女「……」

ロボ「では次の休憩地点まで荷物をお持ちクダサイ」

少女「……わかったわよー!! くそー!!」

短いっ
しばらくお休みして来週半ばに再開しマス ノシ


【犬】

ロボ「むむっ、前方約200メートル付近に生体反応がありマス!」

少女「!? え、そういうのすごいSFっぽい!!」

ロボ「近づいて来マス!」

少女「え、怖い怖い! ゾンビとかじゃないでしょうね!」

ロボ「生体反応なので、ちゃんと生きた生命体のはずデス」

少女「宇宙人とかじゃないでしょうね!」

ロボ「タイトルに答えが」

少女「メタいのやめんか!」


犬「くんくん」

ロボ「犬デスね」

少女「予想通りすぎる!」

犬「わっふ」

ロボ「よく生き延びていましたね、この世界で」

少女「エサとかどうしてるんだろ」

犬「くぅん……」スリスリ

少女「可愛すぎる」

ロボ「エサをあげたくなりマスねえ」


少女「エサって言っても、今は味の濃い缶詰しかないのよねえ」

ロボ「さすがに塩分がきつ過ぎるかと思いマス」

犬「くんくん」ペロペロ

少女「おーよしよし、すごい人馴れしてる犬ねえ」

ロボ「首輪をしているから飼い犬だったんでしょうね」

少女「飼い主はいなくなっちゃったのかなあ」

ロボ「こんな世の中デスしね」

少女「ねー」


少女「あ、一緒に旅する?」

少女「そうしたらエサを見つけられるかもよ? 長持ちするパンとか固形フードとか」

ロボ「それは無理でしょう」

少女「なんで?」

ロボ「この犬は、飼い主を待っているようデス」

少女「あ……」

犬「わふん」

ロボ「この近辺でしか生活をしていないようデス」

少女「そっか……そうだよね……」


少女「水とかエサは大丈夫かな……」

ロボ「あまり衰弱している感じではありませんし、自力でなんとかしているのでしょう」

少女「そっか……」

少女「じゃあ、せっかくの出会いだし、ちょっとだけお土産を貰っていこう」

ジャキン

ロボ「!? ご主人、そのハサミをどうするのデスか!?」

少女「ふふふ……」

ロボ「そ、そんな猟奇的なシーンを入れるのデスか!? こんなほのぼのしたところで!?」

少女「なに言ってんのよあんたは」

チョキン


ロボ「夏毛……」

少女「そ、暑そうだし、ちょっとトリミングをね」

少女「で、この毛をちょちょいとまとめて……」

ロボ「筆デスね」

少女「違うわよ! ストラップにしてお守りにするのよ!」

ロボ「狩った獲物の一部を持ち歩くサイコキラーにも見えマスね」

少女「発想が怖い!!」

ロボ「ドクロでネックレスを作るような感じデスね」

少女「一緒にすんな!!」

犬「くぅうん……」


ロボ「野生動物ではなく、明らかに飼われていた動物は初めて見ましたね」

少女「そうね……強く生きてほしいわね……」

ロボ「飼い主を健気に待っている忠犬でしたね」

少女「うーん」

ロボ「どうしました?」

少女「わかってる気がするんだよね、あの犬」

少女「わかってて、それでも待ってる、そんな気がする」

ロボ「それは……ワタシのようなロボットには理解しがたい感情デスね」

少女「そうかも」

また明日デス ノシ


【球場】

ロボ「このまま進むと広大な球場に突き当たりマスね」

少女「球場?」

ロボ「野球などをするためのスタジアムデス」

少女「あー野球かあ、あんまりよく知らないけど」

ロボ「行ってみマスか?」

少女「うーん、野生動物の住みかになってない?」

ロボ「大丈夫デス。生体反応は付近を飛ぶ鳥くらいのものデス」

少女「じゃあ、まあ、行ってみよっか」


ロボ「広いデスね、なんでもできそうデス」

少女「わー、誰もいなーい」

ロボ「収容人数10500人、この辺りではかなり大きい部類に入るのではいかと思いマス」

少女「1万人も入るんだ……満員で野球やったら気持ちいいだろうなあ……」

ロボ「やりましょうか、野球」

少女「え」

ロボ「ワタシの腕は150キロの速球と120キロのカーブが投げられるよう設計されていマス」

少女「む、無駄に高スペック……」


少女「150キロって、プロ級だよね?」

ロボ「そうデスね、プロでも投げられる人は少ないデス」

少女「え、わたし完全なる素人だけど、パーフェクト・シロートだけど、150キロを打たせるの?」

ロボ「ご主人は意外と運動神経がいいので、練習すれば可能かと思いマス」

少女「意外って言うな」

ロボ「間違っても頭には当てませんのでご安心クダサイ」

少女「頭『には』!? 体には当たるの!?」


ビュン!

少女「ひぃー!!」

ロボ「腰が引けていマスよご主人!!」

ビュン!

少女「ぎえー!!」

ロボ「目をつぶっていては打てるものも打てませんよご主人!!」

ビュン!

少女「お助けぇえー!!」スタコラ

ロボ「あ! そのボックスから出たら反則デスよご主人!!」

少女「知らんわ!!」


少女「あのね、わたし、初心者。アイアム・ルーキー」

少女「ばりばりの素人、完璧な素人、パーフェクト・シロートなの」

少女「バットなんか初めて握ったし」

ロボ「おや、他のモノなら握ったことがあるかのような言い方デスね」

少女「茶化すなー!」

ロボ「わかりました、では150キロは無理なようなので、120キロのカーブを」

少女「それ曲がるやつでしょ!? 打てるか!!」

ロボ「大丈夫デス、さっきより30キロも遅くなりマスよ」

少女「わたしにとってはどっちもスポーツカーだっつの!!」


少女「ていっ」シュン

ロボ「おお、なかなか筋がいい」パシッ

ギュンッ!

少女「ぎえー!」

ロボ「しかしキャッチングはまだまだデスね」

少女「手ぇちぎれるわ!」

ロボ「キャッチボールの機能を搭載しておいてもらえればよかったのデスが……」

少女「もう! 融通の利かないハイスペックね!」


ロボ「人数が必要なスポーツというものは、もはや失われた文明と呼べそうデスね」

少女「伝えていく人がいなければ、なくなってしまうでしょうね……」

ロボ「ワタシはいつでも情報にアクセスできマスが」

少女「でもわたしが死んだら、あんたは誰に伝えるのよ」

ロボ「……」

少女「襲来した宇宙人とキャッチボールでもする?」

ロボ「150キロの速球でギタギタにしてやりマスよ」

少女「宇宙人も逃げてくかもね」


少女「また球場を見かけたら、遊びましょ」

ロボ「了解デス」

少女「あんたはゆるいボールを投げられるようにしときなさいよ」

ロボ「精進しマス」

ロボ「ご主人も150キロを打ち返せるように」

少女「ならないわよ!」

また明日デス ノシ


【充電】

ロボ「ご主人、ここから先、予備電力が生きている地域が少ないようデス」

少女「……そっか」

少女「十分充電してから進もっか」

ロボ「ええ、そうしていただけるとありがたいデス」

少女「Heyポンコ、ここから最も近い充電できる施設は?」

ロボ「……」

ロボ「後方500メートル、大型商業施設デス」

少女「昨日泊まったとこか……」

少女「仕方ない、戻ろう」


ロボ「ご面倒おかけしマス」

少女「いいのよ、わたしも話し相手がいないとつまんないしね」

ロボ「フル充電まで、11時間、デス」

少女「出発は明日にするかあ」

ロボ「すみません」

少女「謝んなくていいってば」

少女「さて、と」

少女「あんたが充電している間、なにしてよっかなあ」

ロボ「なにか今後の生活に便利なもの、ないデスかね」

少女「探しに行ってみるか」


ロボ「動物などには十分ご注意クダサイ」

少女「わーかってるってば」

少女「バーナーもあるし、ナイフとかもあるし」

ロボ「いざというときは大声をあげてクダサイね。コードを引っこ抜いてでも駆けつけマスから」

少女「あはは、ありがと」

ロボ「ていうか昨日ご主人が寝ている間に充電しておきべきでしたよね」

少女「ほんまそれ」


少女「さーてと、食料は今のところ十分あるし、サバイバル用品とかかなー」

少女「これより軽くていっぱい入るリュックとかあったら便利なんだけど」

少女「あ、それより服か」

少女「身軽で丈夫で可愛い服探してみよ」

少女「♪」

少女「……ん?」

少女「!?」

少女「きゃ、ぎゃああああああああああああああ!!!!」


ロボ「む、あれはご主人の叫び声!?」

ロボ「すぐ駆けつけなくては!!」

グイグイ

ロボ「む、コードに手が……届かない……」

ロボ「む、むむ」

グイグイ

ロボ「む、これ以上は腕が取れマス……」

グイグイ


……

ロボ「ご、ご主人、無事デスか……」ゼエゼエ

少女「遅いわ!!」

ロボ「なにがあったんデスか……」

少女「なにがあったかはこの際どうでもいいでしょ!!」

ロボ「そういう訳には……」

クマ「……」

ロボ「!?」

少女「……」モジモジ

ロボ「なるほど、このクマの剥製にビビって叫び声をあげたのデスね」

少女「言わなくていいし!!」


ロボ「で、なにか収穫はありましたか?」

少女「あ、そうそう。どうこれ、ポケットいっぱい、身軽、しかも可愛い」

ロボ「おお、新しい服デスね」

ロボ「よくお似合いデス」

少女「あれ、そういうおべっかも言えるんだ」

ロボ「はい、プログラムされていマス」

少女「ぐぬぬ、それはそれでちょっと悔しいな」

ロボ「よく、お似合い、デス」

少女「繰り返すな! 嬉しくなくなった!」


カチャカチャ

ロボ「これは?」

少女「あんたのためのカバン」

少女「これもポケットが多くていいでしょう?」

少女「ほら、こうやってカラビナで固定すれば……」

カチャン

ロボ「おお、ワタシもカバンが持てる、と」

少女「そ」


ロボ「……つまりワタシも重い物が持てる、と」

少女「そ、わたし一人で水とか缶詰全部持つのは、やっぱり重いからね」

ロボ「……なるほど」

少女「さ、今日は休養!」

少女「明日は勢いよく出発するからね! しっかりフル充電しなさいよ!」

ロボ「了解デス」

デスデス ノシ


【CDプレイヤー】

少女「あの店はなあに?」

ロボ「あれデスか」

ロボ「あれはCDショップデスね」

少女「CD?」

ロボ「音楽を記録する媒体デス」

ロボ「今はもうほとんど見ることはありませんが、今もああいった店が残っているのデスね」


少女「わー、いろんな種類があるのね」

少女「これが全部音楽?」

ロボ「そうデスね、なかなか素晴らしい品揃えかと思いマス」

少女「あ、これなんか見たことあるかも」

ロボ「有名なロックバンドのデビューアルバムデスね」

少女「あ、こっちのも」

ロボ「世界的有名なポップアーティストのものデス」

少女「これ全部聴いていいの!?」

ロボ「時間が足りないかと」


少女「ね、音楽っていうならさ、これどうやって聴けばいいの?」

ロボ「そうデスね、こういった店なら再生する装置があると思いマスが……」

少女「どんなの? 探そう!」

ロボ「そうデスね、これくらいの小さな端末と、あとはスピーカーかイヤホンがあれば……」

少女「なるほど」

ガサガサ

ロボ「ワタシも探しましょうかね」

少女「レーダー機能は?」

ロボ「小さな機械ひとつを見つけるといった作業には不向きデス」

少女「そっか」


ロボ「ワレ発見セリ!」

少女「おお、早い! ていうかなにそのかけ声」

ロボ「こちらにCDを入れてクダサイ」

少女「どれでもいいの?」

ロボ「今一番聴きたいのをどうぞ」

少女「じゃあー、これ!」

カチャン

パタン

ロボ「で、こちらのボタンを押してクダサイ」

少女「これね」ピッ


~♪

少女「わ、大きな音」

ロボ「このスピーカーは小さいけれど、とてもいいものデス」

~♪

少女「あ……」ポロッ

ロボ「どうしました?」

少女「……わかんない」

ロボ「……」

少女「なんで泣いてるんだろ、わたし」

ロボ「……音楽には、人を感動させるなにかがあるのデスね、きっと」


少女「これを歌った人がいて、これを作った人がいるんだ」

ロボ「そうデスね」

少女「でももう、その人はきっといないんだ」

ロボ「……そうデスね」

少女「……これ、持って行きたいな」

少女「CD、いっぱい、持てるだけ」

ロボ「はい、何枚でも持って行きましょう」

ロボ「ここに埋もれさせておくのはもったいないデスからね」


少女「わたし、音楽って、ほとんど興味なかった」

少女「どこかで流れているのを、ただ漠然と耳にしていただけだった」

ロボ「……」

少女「だけど、違うんだね」

少女「人が作ったものなんだ」

少女「だから知らない歌でも、心が揺さぶられたんだね」

ロボ「そうデスね、音楽というのは大昔から人類の表現活動でしたから」

ロボ「人が人の心を動かすために作られてきたのデスから」


少女「あんたは音楽作ったりできないの?」

ロボ「ワタシが作ることのできる音楽は、誰かが作った音楽のリミックスデス」

少女「?」

ロボ「オリジナルは、作れない、ということデス」

少女「コピーってこと? アレンジ?」

ロボ「まあ、そういう感じデスね」

少女「わたしは音楽作れたりしないかな?」

ロボ「ギターを練習してみては?」

少女「あ、それいいかも」


少女「んん、んん、あーあーあーあーあー♪」

ロボ「全部外れていマス」

少女「マジで!?」

少女「ら、らーらーらーらーらー♪」

ロボ「ひどいデス」

少女「!?」

ロボ「ご主人がミュージシャンでなくて本当に良かったと思いマス」

少女「んがー!! 失礼な!!」

ロボが音楽を作るなんてのも、今実現しつつありマスよね ノシ

CDをロボに突っ込んでロボに歌わせるのかと思った

雨の日のアイリス

>>76
それもありでしたね

>>77
ちょっとこれ面白そう


【やきとり】

ロボ「ポーン」

ロボ「上空40メートル付近を鳥が飛んでいマス」

少女「珍しくもないでしょ」

ロボ「ご主人、『肉』を食べたくはないデスか」

少女「え」

ロボ「超久しぶりの動物の『肉』を食べたくはないデスか」

少女「たたた食べたい!! 食べたい!!」

ロボ「そうでしょうそうでしょう」


少女「た、食べられるの? ていうかあんなの捕まえられるの?」

ロボ「ご主人、そこにちょうどいい感じの『ワラ』がありマスね」

少女「え、ええ」

ロボ「それをワタシにかぶせてクダサイ」

少女「え、えっと」

ロボ「ほら! 鳥が逃げる前に早く!」

少女「わ、わかったわよ」


ロボ「はい、いい感じデス」

ロボ「それではご主人、少し離れて隠れていてクダサイ」

ロボ「鳥が警戒してはいけませんから」

少女「りょ、了解」コソコソ

……

ロボ「……」ジーッ

少女「……」

ロボ「……」ジーッ

少女「……」

鳥「チュンチュン」バササ

ロボ「!」

少女「!」


ロボ「……」ジーッ

鳥「……」バサバサ

少女「あれって、かかしのつもりかしら」

ロボ「……」ジーッ

少女「かかしってそもそも人を模して鳥が寄り付かなくするためのものじゃなかったかしら」

ロボ「……」ジーッ

少女「あれ、なんか本末転倒? ん?」

少女「かかしに化けたロボットに鳥が寄ってくるってどういう状況?」

ロボ「……」ジーッ

鳥「チュチュン」バサバサ

少女「の、乗った!! え、マジで!? あの鳥アホなの!?」


ロボ「バカめ!!」ジュッ

鳥「!!」コロリ

少女「びびびビーム出た!! 目からビーム出た!!」

少女「そんな必殺技持ってたの!?」

ロボ「ご主人、もう出てきてもいいデスよ」

少女「え、すごい! あんたすごい!」

ロボ「きっちり脳だけ狙いましたので、身体はきれいに残ってマスよ」

少女「なかなかにエグい狩り方!!」


ロボ「ではワタシが映像を映しつつ鳥のさばき方を教えマスので頑張ってさばいてください」

少女「う、うん」

ロボ「まず首を切って血を抜いてから、腸を抜きマス」

ロボ「鳥のおしりの毛をむしり、肛門まわりを切り取りマス」

少女「いきなりハードル高くない!?」

ロボ「生きるためには自我を殺すのデス! さあ! 可哀想などと思っていてはいけませんよ!」

少女「ひぃぃぃ」


……

ロボ「上出来デスね」

少女「手が疲れた……」ゼエゼエ

ロボ「どうしマス? すぐ食べマスか?」

少女「もちろん!」

ロボ「調理はどのように?」

少女「塩胡椒で焼く! それ以外ない! それ以上はない!」

少女「あ、バターも使っちゃう! 贅沢に!」

ロボ「ええ、最もシンプルで最も贅沢な食べ方デスね」


少女「命に感謝して……」

少女「いただきます!」パン

ロボ「……」

少女「あふっ! うま! え、なにこれうっま!」

ロボ「……」

少女「肉うまい! 最高! あはは! うっま!」

ロボ「考えてみれば、不思議な話デスよね」

少女「え?」

ロボ「人間だけが、他の動物を食べるときに『感謝』をしマス」


少女「他の動物はしないの?」

ロボ「必要以上に殺さなかったりはしマスが、命に感謝することはありませんね」

少女「ふうん、そっか」

少女「そういえば『いただきます』に該当する英語はないって、聞いたことあるけど」

ロボ「ええ、その文化も、他国からすると少し珍しいようデス」

少女「子どもの頃からそういうのが当たり前になってるからなあ……」

少女「たぶん何食べても『いただきます』って言うよ、わたし」

ロボ「ええ、いつも言っていましたね」

ロボ「でも今日はいつもよりも、より感謝しているように見えたものデスから」

少女「あはは、まあわかりやすく『命』だったからね」


ロボ「さ、食べ終わったら内臓の処理デスよご主人!」

少女「え」

ロボ「パテにしておけば少しは日持ちしマスから」

少女「わ、わたし内臓系はちょっと苦手なんだけどなあ、なんて……」

ロボ「なにを言っているのデス! 残さず食べてこそ『命への感謝』デスよ!」

少女「ううう」

ロボ「好き嫌いもお残しもダメデスよ!」

少女「お母さんかあんたは……」

ではまた ノシ
ペース遅くて申し訳ないデス ノシ

一期(?)しか見ていないのですが、ファイアボールは大好きですね
ロボ君は色々ハイスペックなんですけど基本は情報担当ですね


【オイル】

ロボ「なんだかのどかデスねえ」

少女「そうね、風も爽やかだし」

少女「ピクニック日和だわ」

ギシィ

ロボ「!?」

少女「て、敵襲!?」

ロボ「どこに敵なんかいるんデスか」

少女「索敵しなさいよ! レーダーで!!」

ロボ「いえ、周りになにも怪しげなものは……」

ギギギィィィイ

少女「ぎゃあああ!! なんの音!? 敵!?」


ロボ「ワタシの関節が錆びついた音でした」

少女「紛らわしいのよ!!」

ロボ「こんな音が鳴るんデスね、ワタシ」

ギシギシィイ

少女「いやっ! 耳障り!」

ロボ「油をささないといけませんね」

少女「そうね、でも油なんかあったっけ?」


ロボ「あの、ご主人、それは」

少女「ん? 油」

ロボ「いえそれ、ゴマ油デスよね? いつも持ち歩いている調味料セットの」

少女「油には違いないでしょ?」

ロボ「ワタシ、常に中華っぽい香ばしいにおいを漂わせることになりマスよ」

少女「ああそれ、ある意味、拷問かも」

ロボ「デスのでお勧めしませんが……」

少女「まあまあ、物は試しってことで」

ヌルリン


少女「どう?」

ロボ「なんだかムズムズしマス」

ゴリゴリ

少女「音も微妙」

ロボ「なんだか余計に噛み合わせが悪くなった気がしマス」

ギチギチチチ

少女「ちゃんとしたの、探すか」

ロボ「あの、その前にこのゴマ油をふき取ってクダサイ」

少女「ポンコ、この辺で車用品かロボット用品を調達できる場所を検索して」

ロボ「あの、その前にこのゴマ油を」


少女「中華が食べたくなったなあ」

ロボ「完全にゴマ油のせいデスね」

少女「缶詰適当に開けて、ゴマ油で炒めてみよっか」

ロボ「そうデスねえ、ご主人のお好きなように」

少女「なによ、返事が適当じゃない?」

ロボ「ワタシ、ゴマ油の匂いで悪酔いしてきました」

少女「え、ロボットって酔うの!?」

少女「いやその前にゴマ油の匂いで酔うことってあるの!?」

少女「え、ていうかあんた匂い感知機能あるの!?」

ロボ「全部YESデスね」

少女「ツッコミが追い付かんわ!!」


ガチャガチャ

少女「あ、これ、使えそうなオイル」

ロボ「いいデスね」

ロボ「これならしばらく持ちそうデスし」

少女「あと古いタオルとか手ぬぐいも欲しいよね」

ガサガサ

ロボ「新しい方が良いのでは?」

少女「古い方が、あんたの体の汚れをうまく取れるのよ」

ロボ「なるほど……」


キュッキュッ

少女「ふう」

ロボ「すみません、ご主人」

少女「なにが?」

ロボ「メンテナンスをしていただいて」

キュッキュッ

少女「いいのよ、楽しいから」

ロボ「申し訳ないので、今度ワタシがご主人の体を洗いマスよ」

少女「いやそれはいい」

ロボ「遠慮しなくていいデスよ」カチャカチャ

少女「あんたの腕、痛そうだからマジでいい」

100到達しましたね
どこまでいけるか ノシ

なるほど、グリス
すみませんロボットとか車の整備とかに明るくないもので


【病院】

ロボ「ポーン」

少女「ん……なに?」ムニャムニャ

ロボ「生体反応がありマス」

少女「ん……?」ネムネム

ロボ「同フロア、150メートルほど先デス」

少女「え? 動物!? 人!?」

ロボ「人型デス」


少女「昼間は誰もいなかったのに……」

ロボ「近づいては来ていません」

少女「寝込みを襲おうとか思ってるのかな?」

ロボ「なんだか佇んでいるだけのように見えマス」

少女「食料とか持ってたり、あ、いい補給場所を知ってたりしないかな?」

ロボ「近づいてみマスか?」

少女「んー、怖がらせても悪いし、ちょっと明るくして待ってようか」

ロボ「了解デス」


少女「……」

ロボ「少しずつ近づいてきていマス」

少女「平常心、平常心」

少女「驚かさないようにしたげないと、ね」

ロボ「近いデス」

少女「……」ドキドキ

ロボ「ポーン」

ロボ「……目の前に、いマス」

少女「え? なにが?」

ロボ「人型の、生体反応が」

少女「……」

少女「っぎゃあああああああああああああ!!!!」


少女「え!? なに!? なにもいないんだけど!? 怖いんだけど!?」

ロボ「目の前にいマスよ」

少女「やめろ!」

ロボ「じっと佇んでいマスよ」

少女「うわああああああ!! いないいない!! なにもいない!!」

ロボ「ご主人には見えないのデスか?」

少女「見えてたまるか!!」


ロボ「ポーン」

ロボ「生体反応が増えました」

少女「やめろぉ!!」

ロボ「近づいてきマス」

少女「来んなぁあ!!」ブンブン

ロボ「ポーンポーンポーン」

ロボ「あ、また増えましたね」

少女「もういや!! ミュート!! あんた黙って!!」

ロボ「ミュート命令を受け付けました」


少女「……」ビクビク

ロボ「……」

少女「……」ビクビク

ロボ「……」

少女「怖いんだけど!? 黙られると余計怖いんだけど!?」

ロボ「……」

少女「で、出よう。ここで泊まるのはもうやめとこう」

ロボ「……」

少女「ぽ、ポンコ、ついといで」

ロボ「……」ウィーン


少女「……野宿も怖いな……でもしかたないよね……」

ロボ「……」ウィーン

少女「で、できるだけ広いとこで……」

ロボ「……」

少女「明るくして寝よう……そうしよう……」

ロボ「……」

少女「いっそ寝ないほうが怖くないかも……」

ロボ「……」

少女「ポンコ、離れないでね」

ロボ「……」


……

少女「ふはっ!」ガバッ

ロボ「……」

少女「あ、朝か、何事もなかったかな?」

ロボ「……」

少女「あ、ポンコ、ありがとう。添い寝してくれてたんだね」

ロボ「……」

少女「そっか、ミュートしてたんだっけ」

少女「ミュート解除!」

ロボ「ミュート解除命令を受け付けました」


ロボ「ご主人が命令したからじゃないデスか!!」

少女「うおっ、ごめんて」

ロボ「え、ここが一番安全だと思いマスが……」

ロボ「え、そちらもたくさん人がいマスよ? 大丈夫デスか?」

少女「え、なになに、いきなりなに喋ってるの?」

ロボ「え、ここで寝るのデスか? 余計危ないデスよ?」

少女「もしかしてミュートしてた間の分、今喋ってるの!?」


ロボ「囲まれていマス」

少女「!?」

ロボ「囲まれていマス」

ロボ「囲まれていマス」

ロボ「囲まれていマス、危険デス」

少女「うわあああああああああああああ!!!!」ガタガタ

この話は個人的にお気に入りデス ノシ


【運動テスト】

ロボ「このまままっすぐ進むと学校がありマスね」

少女「小学校?」

ロボ「そうデス」

少女「運動場ある?」

ロボ「ありマスね」

少女「よっし、ちょっと運動してこっか」

少女「校舎で泊まるのも面白そうだし」

ロボ「病院で寝るのは無理で、夜の学校は怖くないんデスか?」

少女「……やっぱ泊まるのはやめとこう」


ロボ「どんな運動がしたいデスか?」

少女「んー、ちゃんとした運動なんて、野球以来だしなあ……」

少女「運動不足だし、なんでもいいや」

ロボ「では、せっかくなので色々運動テストをしましょうか」

少女「げ、テスト?」

ロボ「ご主人の体力を測ってあげマスよ」

少女「ううう、自信ないなあ」


ロボ「まずは50メートル走デス」

少女「んああああああっ!!」

ピッ

ロボ「8秒89デス」

少女「っはあ、はあ、それってどれくらい?」

ロボ「ド平均デスね」

少女「ド平均て」


ロボ「続いてハンドボール投げデス」

少女「これ、投げ、にくいっ!」

ビュン

ボムッ

ロボ「9メートル23デスね」

少女「ふふふ、これはなかなか……」

ロボ「平均値まで5メートルほど足りませんね」

少女「マジか!!」

ロボ「もっと上を目指して投げるといいデスよ」

少女「難しいなあ……」


ロボ「長座体前屈デス」

少女「むむむぅ」

グググ

ロボ「おお、これはなかなかの記録デス」

ロボ「52.8センチデス」

少女「それってどのくらい?」

ロボ「全国平均プラス5センチといったところデス」

少女「やった!」

ロボ「足の短さが有利に働きましたね、ご主人」

少女「壊したろかお前」


ロボ「反復横跳びデス」

少女「はあっはあっ」シュタシュタ

ロボ「あと少しデスよ!」

少女「ひぃ、しんどい……」シュタシュタ

ピッ

ロボ「41回デスね」

少女「ふう、ふう」

ロボ「平均値まであと7回ほどデスね」

少女「げげ、全然足らないじゃん」

ロボ「重心が低いから有利かと思われたのデスが……」

少女「ほんま壊すぞお前」


ロボ「まあ人類が滅んだ今、平均値なんて意味のない数値デスけどね」

少女「……まあね」

ロボ「むしろ今、ご主人の数値が全国平均と言っても過言ではないのでは!?」

少女「……確かに」

ロボ「データを書き換えておきましょうか」

少女「そんなこともできるの?」

ロボ「ほぼワタシしかアクセスしない情報デスが」

少女「意味ないじゃん、わたしの個人記録として残しといてよ」

ロボ「了解デス」


少女「そういえばあんたが言ってる『全国平均』ってなんの数値だったの?」

ロボ「人類が滅ぶ前の女子中学生平均デス」

少女「中学生全体?」

ロボ「いえ、中3、15歳女子の平均デス」

少女「わたし今年14歳なんだけど」

ロボ「……」

少女「前にもあんたに年教えた気がするんだけど」

ロボ「……」

ロボ「大健闘デスね、ご主人!!」

少女「こーのポンコツ!!」

自分が子どもの頃って、シャトルランなかった気がしマス
今の子どもは大変ね ノシ


【洗濯】

ロボ「このまま進むと、川デス」

少女「そうなの?」

ロボ「川幅は約40メートル」

ロボ「橋を渡るには少し迂回しないといけません」

少女「んー、そっかあ」

ロボ「迂回しマスか?」

少女「あ、ちょっと待って、ポンコ」

少女「河原はある? 川に降りられるような場所は」

ロボ「ありそうデスね」


少女「よっしゃ、じゃあそのまま進もう!」

ロボ「渡る気デスか、ご主人」

ロボ「ワタシは防水機能がありマスが、長時間の水泳は自信がありません」

少女「違うって、洗濯すんのよ洗濯!!」

少女「洗ってない服がたまってるからね」

ロボ「なるほど」

ロボ「確かに最近、少しくさいデスもんね、ご主人」

少女「オブラートに包め!!」


ロボ「ああ、これは広いデスね」

少女「おー! 最高の河原だね!」

少女「いわゆる賽の河原だね!」ダダダッ

ロボ「あ、いきなり走ると危な……」

少女「あーっ!!」コケッ

ロボ「……いデスよ……」

少女「……」

ロボ「だ、大丈夫デスか!?」


少女「……」

ロボ「すごいテンションが落ちましたね」

少女「……」

ロボ「さ、さあ、洗濯しましょう! 洗濯!」

少女「……する」

ロボ「まずはなにを洗いマスか!? 下着デスか!? タオルデスか!?」

少女「全部……」

ロボ「はい?」

少女「全部洗うっ!! くそー!!」


少女「おーりゃあああああああああ!!」

バシャーン

ロボ「なんと豪快な」

少女「洗剤! 投入! 水質汚染なんて知るもんかあー!!」

ザバザバァ

ロボ「いきなりテンションがMAXになりましたね」

少女「今着てるやつもいっちまえー!!」

スポポン

バシャーン

ロボ「……」


ロボ「ワタシは干すための枝などを拾ってきマス」

少女「よろしく!」ゴシゴシ

ロボ「ご主人、洗濯のあとなにを着るつもりなんでしょうかね」

ガサガサ

ロボ「人目がないとはいえ、ワタシが間近にいるのに……」

ガサガサ

ロボ「いい年してすっぽんぽんとは、恐れ入りマス」

ロボ「……」

ロボ「ワタシ、独り言なんて言うタイプだったかな……」

ロボ「あ、賽の河原に対するツッコミをする機会を失ってしまいました……」


……

少女「やばい、着るものがない」

ロボ「今頃気づいたのデスか」

少女「なんで止めてくれなかったの!?」

ロボ「ちょっと時間が足りませんでしたので」

少女「Heyポンコ、わたしに似合うシャレオツな服を出してちょうだい」

ロボ「ワタシの能力の限界を超えていマス」

ロボ「あとシャレオツは止めたほうがよろしいかと」

ロボ「あ、それから賽の……」

少女「え、なに、サイがなんて?」

ロボ「……なんでもないデス」


少女「ポンコ、暖かい布」

ロボ「ワタシのカバンに予備がございマス」

少女「わお、準備がいいわね」

ロボ「ご主人が入れたものデスよ」

ガサガサ

少女「……くさい」

ロボ「デスね」

少女「洗濯は二日に分けた方がいいわね」

ロボ「学習しましたね」

大きな川って洗濯楽しそうデスね ノシ


【容量】

少女「ねえポンコ、あんたロボットの割に『忘れる』ことが多くない?」

ロボ「そうでしょうか」

少女「人間らしさを持っていると言えば聞こえはいいけど……」

ロボ「そのように作られた覚えはありませんね」

少女「でしょ?」

少女「……『作られた覚えはない』ってのもロボットらしさがないけど……」


少女「あんたのスペックってどんな感じなの?」

少女「電気で動いてるのはわかってるんだけど……」

ロボ「胸のところを開けてみてクダサイ」

少女「え、ここ開くの!?」

バコン

少女「結構雑に開いたけど!? 大丈夫!? こんなに簡単に開いて」

ロボ「彫られている文字があるはずデス」

少女「えーっと」


少女「“うすのろカーティス”」

ロボ「悪口デスね」

ロボ「ていうか落書きデスね、それ」

少女「直接言えない人がここに書いたのかな?」

ロボ「他には?」

少女「“無能なお役人”」

ロボ「またそれも落書きデスね」


少女「“くたばれ、ビッチ、ニーナ”」

少女「“この給料ではパンツさえ買えない”」

少女「“隕石がこのビルに落ちてくれるのは一体いつだ”」

少女「“上司の家に強盗が入りますように”」

少女「技術者の苦悩が現れているわね」

ロボ「ワタシの中、そんなに落書きだらけなんデスか!?」


少女「あった、記憶チップ」

少女「容量は、えっと、え、1テラバイト!?」

ロボ「1テラバイト!?」

少女「これじゃあ1年くらいしか持たないんじゃない!?」

ロボ「い、い、い、1テラバイト!?」

少女「自分のことでなんでそんなに驚いてんのよ」

少女「まあ、『テラ』なんて久しぶりに聞いたけど」

ロボ「旧時代の容量デスね」

少女「そりゃ色々忘れるわけだ」


ロボ「もっとたくさん記憶できるチップを入れたいデスね」

少女「むう、どこを探すか」

ロボ「ワタシのいた工場の倉庫に、きっとあると思いマスが……」

少女「でもそこに今から戻るのは、ちょっとなあ」

ロボ「デスよね」

少女「よし、目的を果たした後、そこに戻ろう」

少女「それを1年以内に終わらせよう」

ロボ「……なるほど」

少女「それまで、あんまり古いデータを消さないようにしてよね」

ロボ「……善処しマス」


少女「落書き、消しといてあげるね」

ゴシゴシ

ロボ「ありがとうございマス……」

少女「この技術者たちがいなかったらあんたは生まれてこなかったと思うと、ちょっと心苦しいけど」

少女「あ、せっかくだから落書き足しとこう」

キュッキュッ

ロボ「あ! なに書いてるんデスか!?」

少女「なーいしょ」

ロボ「ご主人! ひどいデスよ!」

“最高の相棒 ポンコツのポンコ”

今気づいた、バディものだこれ
バディいいデスよねーバディ
全然違う二人組とか大好きデス ノシ


【世界の終わり】

少女「ねえ、世界には、わたしたち以外の人もいるのかな?」

ロボ「いると思われマス」

少女「でも、まだ誰にも会えてないよね?」

ロボ「ワタシのサーチ範囲に入ってもらえれば、きっと感知してみせマスのに……」

少女「病院でのバグを除けば、わたし以外の人を感知することはなかったのよね?」

ロボ「あれはバグではないと思うのデスが……」

少女「あれはバグなの! そういうことにしておくの!!」


少女「でも、どのみちこんなに人類が減ったのなら、それはもう『人類滅亡』よね?」

ロボ「……その言葉の定義をするのは難しいデスね」

少女「ゼロでなくても、限りなくゼロに近いじゃない?」

少女「今宇宙人が襲来したら、滅亡後だと結論付けるでしょう?」

少女「まさかそこらの野生生物がこの文明を築いたとは思わないでしょう?」

ロボ「ワタシたちロボットの星だと思うかもしれませんよ」

少女「あ、そっか、動いてるロボットもいるか」


ロボ「しかしワタシたちは、基本的には人間の命令を必要としマスからね」

ロボ「エネルギーがあっても、その場でじっとしていることが多いかと思いマス」

少女「それはそれで怖いな」

ロボ「話しかけた宇宙人を主人だと認識するかもしれません」

少女「子ガモか!」

ロボ「今まで見かけた中にも、実は意識のあったロボットがいたかもしれませんね」

少女「それは……気づかなかったな」


ロボ「ワタシはご主人に起動してもらえて幸せデスよ」

少女「……そう」

ロボ「倉庫で眠り続けるだけの鉄屑になっていたかもしれないのデスから」

少女「……ほかにも何体かいたよね……」

ロボ「ええ」

少女「彼らも起こしてあげたらよかったのかな……」

ロボ「しかしワタシみたいなモノを何体もゾロゾロ連れて歩くわけにはいかないでしょう?」

少女「どんな大名行列だ」

ロボ「宇宙人が来ても蹴散らせそうデスけどね」

少女「こんな世界で宇宙戦争をする気はないよ!?」

ロボ「ま、大丈夫デス、彼らは目覚めなければ、目覚めていないことにすら気づけないのデスから」

少女「……それって悲しいね」


ロボ「あのとき、どうしてワタシを起こしてくれたのデス?」

少女「……自分一人で、心細かったから」

少女「……それに、なんだか、優しそうなフォルムだったから」

ロボ「……製作者に感謝デスね」

少女「あのときの判断、間違ってなかったなーって思うよ」

少女「あんたときどきポンコツだけど、あんたがいなかったら、わたしなんてとっくに野垂れ死んでる」

ロボ「そんなことは……」

少女「ない? ほんとに?」

ロボ「……あるかもしれないデスね」

少女「でしょ」


ロボ「しかし、ワタシたちがこうして生きている限り、『世界の終わり』は来ないのデスよ」

少女「え? どうして? すでに終わりすぎるほど終わっちゃってない?」

ロボ「ご主人の世界がまだしっかり残っているじゃないデスか」

ロボ「人は少ないかもしれないデスが、ご主人がいるじゃないデスか」

ロボ「『世界』を構成するために、それで十分デスよ」

少女「……そっか」

ロボ「デスので、できるだけ長生きしてクダサイね、ご主人」

少女「……がんばろ」


少女「でもわたしが死んじゃったら、ポンコはどうなるの?」

ロボ「そんな未来の話は、ご主人が死んでからでいいじゃないデスか」

少女「死んだら話せるか!」

ロボ「そうデスね、きっとご主人の墓前で動かなくなるまで墓守をしマス」

少女「……そっか」

ロボ「デスからご主人は、心置きなくご自分の人生を、ご自分の『世界』を全うしてクダサイ」

少女「……ありがと」

ロボ「まあ、あっさり心変わりして声をかけてくれた宇宙人にホイホイついていくかもしれませんが」

少女「子ガモか!」

このシリーズは書いていてとても楽しいデス ノシ


【誕生日】

ロボ「ご主人、誕生日がもうすぐデスよね」

少女「あ、そういえばそうだったな」

ロボ「ケーキは難しいデスが、なにかお祝いしましょう」

少女「んー、って言ってもなあ」

少女「祝ってる場合じゃない、というか」

ロボ「まあ、そうなんデスけど……」


少女「あ、そういやさ、あんたの誕生日は?」

少女「誕生日というか製造日というか、なんというか」

ロボ「ワタシの誕生日と言えるのは、ご主人に起動してもらった日がそうデス」

ロボ「なのでまだ0歳デス」

少女「あはは、なるほど」

少女「つまりまだあんたは赤ちゃんなわけか」

ロボ「ええ、日々成長中デス」

少女「ロボットって成長すんのか……」


ロボ「しかし日本には、生まれた日を1歳と数える風習もありました」

少女「え、そうだっけ」

ロボ「生まれて1歳、そして新年を迎えるたびに年を取る」

少女「はー、なるほど、なんか聞いたことある気がするぞ」

ロボ「そのシステムを利用すると、ワタシはすでに1歳デスね」

ロボ「そしてご主人はすでに15歳デス」

少女「うわあ、なんか変な感覚」


ロボ「ご主人、誕生日に欲しいものはないデスか?」

少女「え、世界平和とか?」

ロボ「即答の割に回答が重い!」

少女「充電不要で動く相棒ロボット!」

ロボ「心が痛い! 心はインプットされていませんけど!」

少女「ヘリと免許!」

ロボ「ワタシが運転した方がマシそうデス!」

少女「イケメンの彼氏!」

ロボ「それをプレゼントしてしまうとワタシがお邪魔虫に!」


少女「うそうそ、あんたがいればそれでいーの」

少女「それよりあんたこそ、1歳になったらお祝いしたげるからね」

ロボ「あ、ありがとうございマス」

少女「新しい名前とか、あげようか?」

ロボ「ワタシはポンコで満足していマスよ?」

少女「ポンコツが由来なのに?」

ロボ「ええ、ご主人に最初に頂いたものデスから」


少女「あ、じゃあ前に言ってた、容量の大きい記憶チップにしよう」

ロボ「ああ、それは嬉しいデスね」

少女「まあ、もともと探すつもりではあったけど」

ロボ「いえいえ、嬉しいデスよ」

ロボ「そのためにも、この旅を順調に終わらせたいデスね」

少女「うん、がんばろ!」


……

ロボ「ご主人、そういえば今日はご主人の14歳の誕生日デスね」

少女「あ、そっか、今日か」

少女「すっかり忘れてたな」

ロボ「あちらのビルをご覧クダサイ」

少女「え?」

ロボ「ささやかながら、ワタシからのプレゼントデス」

『H A P P Y B I R T H D A Y』

少女「わ、すご、窓の明かりが……!?」

少女「ポンコ、これあんたがやったの?」


~HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪~

~HAPPY BIRTHDAY TO YOU♪~

少女「え、この音楽はどこから?」

ロボ「この近辺のスピーカーのうち、生きているものを厳選しまして」

少女「いつの間にこんな準備を?」

ロボ「ご主人の目を盗みながら」

少女「あ、それで今日あっちこっち探索してたの?」

ロボ「ええ」


ロボ「お誕生日おめでとうございマス、ご主人」

ロボ「よい1年にしてクダサイ」

少女「あ、ありがとう、ポンコ、こんなサプライズ」

ロボ「こんな世の中デスから、あまり良いものは用意できませんが……」

少女「ううん、全然、すごい嬉しいよ」

ロボ「ちなみにこれの準備でエネルギーを大量に使ったので、早急に充電の必要がありマス」

少女「おバカ! うふふ」

こんなドジなら許しましょう
最近ペース遅くて申し訳ないデス ノシ


【お風呂】

ロボ「ご主人、最近少しくさいデス」

少女「オブラートに包め!」

ロボ「ここしばらく野営が続いていマスからね」

少女「う、まあ、身体洗えてないから、ね」

ロボ「ワタシが調べましたところ、ガスも電気も不要のお風呂があるとか」

少女「え、ほんとに!?」


ロボ「まずドラム缶を用意しましょう」

少女「ドラム缶!? 気軽に用意できるもんじゃないよ!?」

ロボ「おそらく、この先の工業用廃棄場で入手できマス」

少女「それ油まみれじゃない!?」

ロボ「あとはコンクリートブロックと」

少女「こ、この先の工業用廃棄場で入手できそう!」

ロボ「すのこ用木材、燃料用木材」

少女「それも入手できそう!」


……

ロボ「揃うものデスね」

少女「で、えっと、どうすればいいの?」

ロボ「空気が通りやすいようにブロックを並べて、その上にドラム缶を乗せマス」

少女「え、腕力足りる?」

ロボ「インスタント・ユニットを装着しマス」

ガチャコン

少女「腕増えた!?」

ロボ「これで重い物もなんのその!」

ウイーン


ロボ「それから、すのこを丸く切りマス」

少女「あ、それならわたしでもできそう」

ギコギコ

ロボ「ワタシはその間に燃やすための木材を探してきマス」

少女「ふう、ふう」

ギコギコ

少女「あはは、なんか楽しい、こういうの」

ギコギコ

少女「あ、これ、切り落とした部分も燃やせるな」

ギコギコ

少女「あれ、『すのこ』ってそもそもなんだ?」

ギコギコ


ロボ「では次は水を汲みましょう」

少女「それ結構大変そうだね」

少女「ていうか、この近場で水出るとこある?」

ロボ「リサーチ済みでございマス」

少女「お、さすが!」

ロボ「すでにホースの準備も万端デス」

少女「おおお、さすが!」


ロボ「熱くなりすぎたときのために冷ます用の水も用意しておきましょう」

少女「お風呂の温度って、どれくらいがいいの?」

ロボ「40度から41度くらいが適温デスかね」

少女「そんな狭いの?」

ロボ「ワタシの指でしっかり測れマスから、大丈夫デスよ」

少女「へえ、便利」

ロボ「今ならなんと四本腕デスから、四か所同時に測れマス!」

少女「その機能いるかな……」


ロボ「さあ、火を焚きマスよ!」

少女「おう!」

ゴォォォ

ロボ「さあ、この竹筒を吹くのデス!」

少女「おう!」

少女「ふーっ! ふーっ!」

ゴォォォォオオオ

少女「わ、すごい燃えるね!」

ロボ「その調子デスご主人!」


少女「どう? 温度」

ロボ「ばっちりデス」

少女「よ、よし、じゃあさっそく……」

少女「あれ、これ、どうやって入るの?」

ロボ「……」

少女「どこ触っても熱そうなんだけど」

ロボ「……」

少女「ポンコ?」

ロボ「入り方まで考えていませんでした」

少女「おい!」


ロボ「ワタシを踏み台にしてクダサイ」

少女「う、うん……」フミッ

ロボ「ふちは意外と熱くないので、そこを持って入ってクダサイ」

少女「あ、ほんとだ、お、おっとっと……」

ザブン

少女「うあー」

ロボ「どうデス?」

少女「さ、さいこおー」


ロボ「ドラム缶風呂の他に、『五右衛門風呂』という文化も昔はあったようデス」

ロボ「そちらは、ドラム缶ではなく木の桶のような形だそうデスが」

少女「五右衛門? なんか人の名前みたい」

ロボ「そうデス、五右衛門という人を処刑する釜茹での刑から名前が付いたそうデス」

少女「こわっ!!」

少女「え、これ処刑なの!?」

ロボ「お湯加減はいかがデスか?」

少女「こ、心なしか熱く感じるような……」

ロボ「もっと上げマスか?」

ゴォォォオオオオ

少女「や、やめて!」

一度はやってみたい五右衛門風呂(ドラム缶風呂)
ふちは意外と熱くないそうデス ノシ


【じゃがいも】

ロボ「おや珍しい、畑がありマスよ、ご主人」

少女「わ、広い畑!」

ロボ「人が世話をしなくても、それなりに育っていマスね」

少女「時々雨が降ってるからかな?」

ロボ「あの葉のかたちは、おそらくじゃがいもデスね」

少女「え、好き! じゃがいも好き!」


ロボ「この葉のかたちは、98%の確率でじゃがいも!」

ズボボボボッ

少女「お見事! ってかでか! 多!」

ロボ「ずいぶんここの土は栄養があったんデスかね」

少女「へえー、じゃがいもって、こんな風にできるんだ」

ロボ「見たことはなかったのデスか?」

少女「うん、畑の姿は知らなかったなー」

ロボ「さあ、せっかくですから食べましょう」

少女「おう!」


ロボ「まず半分に切りマス」

少女「ふむふむ」スパッ

ロボ「10センチほど土を掘り、半身を埋めマス」

少女「ふむふむ」ゴソゴソ

少女「ん?」

ロボ「あとは間引きをしながら、水をやれば半年後には立派な」

少女「気が長いわ! 今食べようよこれ!」

ロボ「失礼、これは栽培の方法でした」

少女「しっかりしろ!」


ロボ「では、ジャーマンポテトなどいかがでしょう」

少女「ほう、うまそうな名前」

ロボ「缶詰のソーセージを使うとパーフェクトな味ができマスが」

少女「うむむ、贅沢だけど久しぶりに使っちゃうか!」

ロボ「塩胡椒も必要デス」

少女「よしよし、久しぶりにちゃんとした料理だあ!」


ロボ「ちなみに『ジャーマン』は『ドイツ風』という意味デス」

少女「へえ、ドイツ料理なんだ?」

ロボ「しかしドイツには『ジャーマンポテト』は存在しません」

少女「……!?」

ロボ「他国が勝手に『ドイツ風肉じゃが』といった感じで名前を付けただけデスからね」

少女「あ、そっかそっか」

少女「『広島風お好み焼き』みたいなものか」

ロボ「その話題は戦争になりマスよ!」

少女「明石焼きを『出汁で食べるたこ焼き』と呼ぶような」

ロボ「その話題も危険デスよ!」


……

少女「うあー、美味しかった!」

少女「ごちそうさま!」

ロボ「ご主人、なかなか料理のセンスがありますね」

少女「ポンコの教え方が上手いのよ、きっと」

少女「さて、この残ったじゃがいも、どうしよう」

少女「まだまだたくさんあるけど、腐らせちゃうのもなあ」

ロボ「ご安心を! ご主人!」

ロボ「じゃがいもは実は、とても長持ちするのデス!」

少女「え、そうなの?」


ロボ「まずは紙で包みマス」

少女「ふむふむ」ガサガサ

ロボ「そして黒い袋で包みマス」

少女「ふむふむ」ゴソゴソ

ロボ「そして私の頭で保管しマス」

パカッ

少女「え、そこ開くの!?」

ロボ「そうすればかなり持ちマスので、またそのうち調理しましょう」

少女「あんた頭の中空っぽだったの!? じゃがいもホルダーなの!?」

ポンちゃんの新たなスキル開花デス ノシ


【情報の錯綜】

ロボ「ご主人、問題が発生しました」

少女「お、どうしたの?」

ロボ「ワタシがアクセスしている情報にバグが見つかったようデス」

少女「バグ?」

ロボ「ワタシではない誰かがアクセスしたことで、様々な問題が発生していマス」

少女「え、じゃあ、生きている誰かがいるってこと!?」

ロボ「まあ、そういう意味では良いニュースと言えるのデスが……」


少女「え、情報を操作して楽しんでいる人ってこと?」

ロボ「いえ、人為的なバグではなく、アクセスが雑だったために、過剰防衛反応をしてしまっているような感じデス」

少女「変なウイルスが入ったからめっちゃ熱出ちゃった、みたいな?」

ロボ「ええ、まあ、そういう感じデスね」

少女「じゃあ情報がおかしくなっちゃってるの?」

ロボ「ええ、現に今ワタシたちが歩いているこの場所は、『海』ということになっていマス」

少女「海!?」


ロボ「このまま歩くと遭難しマス」

少女「んー、まあ、大丈夫でしょ」

少女「ポンコのナビがなくても、まあなんとかなりそう」

ロボ「それはそれでちょっとショックデスが……」

少女「待ってて直るとも限らないんでしょ?」

ロボ「かかる時間はわかりませんが、元通りになるプログラムは必ず用意されているはずデスから、いずれは直ると思いマス」

少女「あ、そうなの」

少女「じゃあやみくもに進まず、適当にこの辺で時間をつぶしましょうか」


ビビーッ ビビーッ!!

ロボ「!?」

少女「!?」

ロボ「キンキュウ ジシンソクホウ デス!」

ロボ「スグニ ツクエノシタニ モグリコンデクダサイ!」

少女「机なんてないけど!?」

ロボ「ツヨイユレ ヲ カンソクシマシタ!」

少女「揺れてないけど!?」

ロボ「ザブトン デ アタマヲ マモリマショウ!!」

少女「座布団なんて持ってないけど!?」


ロボ「失礼、今のもバグのようデス」

少女「あんたが壊れたのかと思ったよ……」

ロボ「申し訳ないデス」

少女「まあ、そんな不具合はいつでも起こりうることだしさ」

少女「気軽に行こうよ」

ロボ「デスが、やはりこの状態でうろうろするのは……」

少女「大丈夫大丈夫、気にすんなー」


少女「あれ、向こうの方になんかいるぞ」

少女「サルかな?」

少女「結構群れを成してる感じだけど……危ないかな?」

ロボ「ワタシのサーチによると、あれらは20%の確率で『サル』デスね」

少女「ひっく! 残りの80%はなんの確率だ!」

ロボ「ワタシのアクセスした情報によると、『サル』の映像はこんな感じデス」

ピピッ

少女「え、なんか変な映像が混じってるぞ」

ピピッ

少女「これお笑い芸人の人じゃん、確かにサルっぽいけどさあ」

ピピッ

少女「これ戦国武将じゃん、サルの割合めっちゃ低いじゃん」


ロボ「という訳であれらは20%の確率で『サル』デスね」

少女「ほぼ100%だ! あれはサル! わたしはわかるぞ!」

ロボ「仮にサルだとすると、近づくのは危険デス」

少女「仮にってのが気になるけど、うん、やっぱそうだよね」

ロボ「死んだふりでやり過ごすのが効果的デス」

少女「それデマじゃん! ていうかクマ対策じゃん!」

ロボ「黒い服を着て暴れると逆効果デス」

ロボ「白い服を着てゆっくりと後ずさりをするのが効果的デス」

少女「それはハチ対策!!」


ロボ「とりあえずご主人は、どう進みたいデスか?」

少女「え、そりゃあまあ、ここまっすぐ行きたいけど……」

少女「向こうに大きな建物があるし、なにか旅に必要なものがある気がするから……」

ロボ「ではまっすぐ進みましょう」

ジュワッ!!

少女「ぎゃ!」

サル「キキーッ!! キキーッ!!」スタコラ

ロボ「強行突破デス、サルなど蹴散らしマス」

少女「ビーム出すなら先に言って!!」


ロボ「サル対策には、実は目からビームが一番効果的デス」

少女「大体なんでもそれで倒せそう……」

ロボ「ご主人の行く先を阻むものは、なんであろうと焼き尽くすのみデス」

少女「ポンコが危険な兵器っぽくなってる……」

少女「自我を持っちゃだめなタイプのロボットっぽい……」

ロボ「さあご主人、ワタシの自我が保たれているうちに進みましょう」

少女「いずれわたしも焼かれるっぽい……」


ロボ「おや、この辺りはマグマだまりデスね」

少女「あんたの地図どうなってんの!?」

ロボ「情報が混乱したままデス、このままだと非常に危険デス」

少女「うん、まあ、ポンコツ具合に拍車がかかってるから、ほんと早く直ってほしい」

ロボ「ご迷惑をおかけしマス」

少女「お? あの建物、なんちゃらロボティクスって書いてない?」

ロボ「あの建物は35%の確率でピラミッドデスね」

少女「なんでサルより確率高いねん!」

少女「とりあえず、あそこ目指すぞ!」

ロボ「了解デス」

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