にこ「ケーキを作ってきたんだけど」 (23)

希「おーさすがにこっち」スッ

にこ「触るな。あんたのじゃなくて穂乃果のよ」

絵里「冷蔵庫に入れないと。暑いからダメになっちゃうわよ」

にこ「そう思って家庭科室の冷蔵庫に借りようと思ったら壊れちゃってて」

絵里「あら」

希「そういえば業者の人来てたなぁ」

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にこ「どうしようか困ってるの」

絵里「うーん……」

希「ドライアイス貰ってきたら?」

にこ「どこから?」

希「ケーキ屋でケーキ買ってきて」

にこ「私のケーキの意味が消えるから却下」

絵里「もう食べちゃうとか」

にこ「練習の後パーティするでしょ?今食べるのはねぇ……」

希「ロウソクさえ立てればそれっぽくなるからいいんやない?」

絵里「何も無いところにロウソクって、サバトみたいね」

にこ「っていうかあんた今食べたいだけでしょ。我慢しなさいよ」

希「練習後のウチがにこっちのケーキ食べたいとは限らんやん」

にこ「知らないわよ」

真姫「で、なんで私の所来るのよ」

絵里「真姫ならなんとか出来るかなって」

真姫「できないわよ。私をなんだと思ってるの?」

希「クソ金持ち」

真姫「口が悪い」

花陽「(食事中)」モムモムモム

凛「見せて見せて」

にこ「ええい、触るな」

希「ほら、指鳴らしたら黒スーツの人達が用意してくれたりしないん?」

真姫「しない。そんなベタなお金持ち像持ってたのあなた」

希「あー真姫ちゃん指パッチンできないんや~」

真姫「何でそうなるのよ。出来るわよそれくらい」

希「やってみて」

真姫「ふん……」ペチ

真姫「……」

絵里「可愛いと思うわよ、真姫」

真姫「こっち見ないで不愉快」

凛「指パッチンできない人はこのケーキ食べられないんだよ。ドンマイ真姫ちゃん」

にこ「涙目になってるからやめてあげなさい」

花陽「(食事中)」モムモムモム

希「そっかぁ、できないかぁ」

真姫「分かったならさっさと出ていって」

希「肝心な時に役に立つのはお金じゃないんやね」

にこ「何急に悟ってんの」

花陽「(食事中)」モムモムモム

絵里「花陽、ご飯粒ついてるわよ」

凛「にっこにっこにーってやれば空気冷えるから大丈夫だよ」

にこ「ハッ倒すわよ」

花陽「(食事中)」モムモムモム

絵里「花陽、こっちにもついてる」

真姫「理科室にでも行って液体窒素にぶち込めば?」

希「笑って悪かったから怒らんといて真姫ちゃん」

真姫「別に起こってにゃい……」

真姫「……」

希「……」

真姫「……」

希「……ここに猫耳があるんやけど」

真姫「いらないわよ!!」

希「ええやん、将来の医者だって噛むことくらいあるって。病名だけは噛まんように気をつけてな」

真姫「もうあっち行って!」

希「そんなに胸押さんといてよ~。あ、触診?」

真姫「もぎ取るわ」

希「痛い痛い!」

絵里「もう、真姫怒っちゃったじゃない」

希「そうよにこっち」

にこ「あんたのせいでしょーが」

凛「そうにゃそうにゃ」

にこ「なんで付いてきてるの」

凛「てれれれってれー」

凛「りん が なかまになった !」

にこ「はぁ……?」

凛「どこ行くのー?」

希「どこやろうなぁ」

絵里「ケーキを保管してくれそうな場所よ。凛も考えてみて」

凛「お腹の中」

にこ「いちごみるくでも飲んでなさい」

凛「んむっ……甘い」チュー

絵里「職員室に行って先生に聞いてみましょうか」

希「そうやねぇ」

にこ「いやいや行かなくていいわよ。わざわざそこまでする必要は無いわ」

凛「そーだよ先生に迷惑だよ。急にケーキ持ってこられた人の気持ちになって考えてみて?」

絵里「ええ……?何よ急に」

希「……そういえばにこっち、この前の課題は終わったん?」

にこ「何よ急にそんな話今してないでしょ」

希「なんで急に早口なん?」

にこ「オタクだからよ」

絵里「凛」

凛「そんなに見ても凛の口からチョコレートは出ないよ」

絵里「昨日花陽が期末テストの結果を教えてくれたんだけど」

凛「かよちん熱中症でやられちゃったのかな、救急車呼ばないと」

絵里「さっきモリモリご飯食べてたけど」

希「ワシワシ」

にこ「よく考えて。私が課題終わってないこととあんたの人生って関係ある?」

希「そんなくだらないこと言う子は服脱がして校庭に放り出すよ」

にこ「待ってまだ死にたくない」

希「じゃあ課題やろうか」

にこ「明日にしましょう。今日ほらパーティだから」

希「それで手を打とう」

凛「り、凛も明日勉強する」

絵里「ダメ。今日するわよ」

凛「なんてこったパンナコッタおそロシア」

絵里「怒るわよ」

海未「何をしているのですか」

ことり「練習始まっちゃうよ?」

にこ「助けてことり」

ことり「え~どうしようかな~」

にこ「なにか奢るから」

ことり「コーラ飲みたい。ZERO」

にこ「おっけー」

ことり「どうしたの?」

海未「交渉の順番が逆な気がしますけど」

にこ「ケーキの置き場所がかくかくしかじか」

ことり「あらら」

希「このままやと穂乃果ちゃんの顔面に投げつけるしかないんよ」

絵里「そんなことはないけど、何かいい案がないかと思って」

ことり「あ、じゃあいいところがあるよ」

にこ「ほんと?」

ことり「うん、付いてきて~」

海未「……なぜ理事長室に?」

ことり「んふふっ」トントン


『はーい』


ことり「失礼しまぁす」

ことりママ「ことり?……あらみんなも、どうしたの?」

ことり「お母さん、ちょっと借りるね」

ことりママ「借りるって……あ、ちょっとなにしてるの」

絵里「何してるのことり?」

ことり「よいしょ」ガチャ

ことりママ「ま、待って」

にこ「え、なにこれ……冷蔵庫?」

ことり「あ、プリンある。食べていい?」

希「ちょっと待って。何それ」

ことりママ「あ、いやこれは」

ことり「お母さんが仕事中にこっそり食べるためのスイーツをいれておく冷蔵庫だよ」

絵里「何故こんなものが?」

ことりママ「いや、その」

ことり「にこちゃん、ケーキここに入れといたらいいよ」

にこ「あ、え、うん……」

ことり「プリン貰っていくね。じゃあね~」

ことりママ「私の……午後の楽しみが……」

凛「理事長の秘密が暴かれた……この学校の運命はいかに……」

海未「明日から理事長のおやつが無くなりますね」

穂乃果「失礼しまーっす!」

にこ「げっ」

穂乃果「およっ、皆何してるの?」

海未「絵里が廊下で急にバレエを踊りながら服を脱ぎ散らかしたので理事長室に連れてきたのです」

絵里「もうちょっとマシな言い訳あったでしょう」

希「にこっちが遂に凛ちゃんの胸にまで嫉妬しだしてね……」

にこ「乳もぐわよ」

穂乃果「あれ、ことりちゃん何して……おーなにそれ冷蔵庫?」

ことりママ「ほ、穂乃果ちゃんは何の用かしら?」

穂乃果「校内をパイだらけにするのでその許可を取りに」

凛「パイ投げバースデーにするの?」

穂乃果「うん!夢だったんだ!」

希「可愛い夢やねぇ」

絵里「可愛い……?」

ことりママ「よく分からないけど、それは流石に許可できないわね」

穂乃果「そんなぁ!」

海未「当たり前でしょう。部室でパーティしてあげるので大人しくしなさい」

穂乃果「やだよもっと刺激が欲しい!」

ことり「大丈夫だよ。この冷蔵庫を職員室の先生にバラすよって言えば」

ことりママ「掃除をちゃんとするなら許可するわ」

穂乃果「おーことりちゃん凄い!」

にこ「ただの脅しじゃない……」

穂乃果「よしじゃあ中庭を見て!」

海未「な、なんですかアレは」

穂乃果「パイ投げのパイだよ!」

絵里「どんだけあるのよ……!」

ことり「どこから持ってきたの……?」

穂乃果「よっしゃやるぞーーー!!」

凛「いえーーーーい!」

希「穂乃果ちゃんハピバーーーー!!!」


ダダダダダダダ……

にこ「……ケーキの意味は?」

絵里「とりあえずクリームだらけになってから考えればいいんじゃないかしら」

にこ「ええ……じゃあすみません、お願いします」

ことりママ「え、あ、ええ。怪我しないようにね」

海未「では、失礼します」

ことり「じゃあね~」


バタン


ことりママ「……」

ことりママ「……美味しそうね」

終わり
穂乃果ちゃんの誕生日に投下するつもりだった

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