ヒッパー「あんたがアズールレーンの指揮官ね?」 指揮官「っ……いかにも」 (104)

アズレンSS、二次・三次創作、エログロ、駄文、注意です

良ければ読んでいってください

どうぞよろしくお願いします

ヒッパー「よくも今まで私たちの手を煩わせてくれたわね!!」

指揮官「人類の一員としてセイレーンの技術に手を出すレッドアクシズの連中は看過できなくてね」

ヒッパー「これだから頭の固いアズールレーンのバカは嫌いなのよ!!いい?唯一生き残るのは変化できる者よ!!」

ヒッパー「アレルギーみたいにセイレーンの技術はダメだって言っているようなあんたたちは滅びる運命だわ!!これからはレッドアクシズの時代になる!!」

指揮官「セイレーンの技術が安全だとどうして分かる?使えるからとよくわからないものに手を出す危険性がなぜわからないんだ」

ヒッパー「ふん!!マヌケにはどういって聞かせても無駄ね!!いいわ、死になさい!!これ以上私の視線に映るなっての!!」チャキッ

指揮官(改めて対話での解決は無理だと互いに確信した。ヒッパーは心底見下した表情で俺を睨んでくる。そしてそのまま砲を俺に向けてきた)

指揮官(勝ち目はない。だが、決してあきらめてやるものか。最期まで抗ってやる!!楽に殺されはしないぞ!!)

指揮官「いいだろう……かかって来い、アドミラル・ヒッパー!!相手になってやる!!」

ヒッパー「人間ごときが相手になるか!!っ!?何よ!?今忙しい……なんですって!?オイゲンが!?ちっ……」

指揮官「!!」

指揮官(どうやら無線で何事か連絡があったようだ。忌々し気な表情をさらに不快感と怒りに歪めて舌打ちするヒッパー)

ヒッパー「ああもう!!命拾いしたわねこのカス!!すぐに戻ってきて殺してやるからそれまで祈りでも捧げていなさい!!」

指揮官「悪いがまだ死んでやるわけにはいかないな!!……ふぅ。もうだめかと思ったが……オイゲン……そうか、君が助けに来てくれたのか……」



ドンドンドン ドガァン ダダダダダ

オイゲン「ふふ……量産型や殻ごときがいくら束になろうとも無駄よ。今の私は機嫌が悪いの……壊されたくないのなら消え去りなさい」

ヒッパー「待ちなさいオイゲン!!あんたどうしてここにいるのよ!?出撃中のはずでしょ!?」

オイゲン「あら、ヒッパー。あなたがこの艦隊の旗艦?私たちの留守中に殴り込みとは御挨拶ね」

ヒッパー「そんなことどうでもいいでしょ!!いいから質問に答えなさい!!」

オイゲン「答える必要はないわ。……けど、あんたが指揮官を手にかけようとするなら容赦しないとだけ忠告しておいてあげる」

ヒッパー「は!!やってみなさいよアズールレーンの犬め!!あんたなんかにこの私が沈められるとでも思っているの!?」

オイゲン(ヒッパーは獰猛な笑みを浮かべて私を睨みつける。当然のことだけど、仕掛けてくるつもりね)

ヒッパー「姉より優れた妹なんて存在しないのよ!!このバカドジアホマヌケ妹!!死んじゃえ!!海に沈んじゃえ!!」

オイゲン「ふふふふ……いいわ、ヒッパー。それがお前の選んだ運命なら、私は全力でお前を殺す。悪く思わないでね?」

オイゲン(連戦で弾薬が心許ない。それに損傷も軽くない。けど、ここで引いたら指揮官が……)

オイゲン(だから私には撤退なんてありえない。戦闘で消耗しているのはヒッパーだって同じなはずよ。勝ち目はある)

ドガァン ドンドンドン ドン ドン

オイゲン「ふふ……面白いわね……」タラリ

オイゲン(血が顎を伝って滴っている……頭部から出血しているか……っ……まだ戦える。でも……)

ヒッパー「あはははは!!良い様ねオイゲン?泣いて謝るのなら許してあげてもいいけど?」ニタァ

オイゲン(勝利を確信した尊大な笑みを浮かべるヒッパー。悔しいけど私よりもヒッパーの方が火力がある。このまままともに戦ってもジリ貧ね……ならば……)

オイゲン「さすがね、ヒッパー。どうやらこのままじゃ私の負けみたい」

ヒッパー「あら?負けを認めるの?なら投降しなさい!!命の保証はしてあげるわ!!」

オイゲン「ところでヒッパー。お前の装備、私のよりも優秀ね。試作203mmSKC三連装砲と533mm五連装磁気魚雷。羨ましいわ」

ヒッパー「はぁ!?まさか装備のせいで負けるとか言い訳するわけ!?だとしたら見損なったわオイゲン!!」

オイゲン「いいえ、言い訳することになるのはお前の方。私は装備のおかげで勝てるわ。指揮官に感謝しなくてはね」ニタァ

ヒッパー「っ……は、はん!!強がりね!!あんたの試作型203mm三号連装砲は私のよりも劣っているわ!!勝っているのはせいぜい連射速……度……」ザワッ

オイゲン(気圧されないよう無理やり強気な笑みを浮かべたヒッパーは、しかしそれに気が付いたのか表情を凍り付く)

オイゲン「そう、全弾発射が発動しやすい。そして私の610mm四連装魚雷は瞬間威力だけはお前のよりも勝っている。あえて言うけど私は改良型缶も装備しているわ」

ヒッパー「ま、まさか……!!」サァッ

オイゲン「殴り合いましょうか、ヒッパー。お前と私、どっちが先に沈むのかしらね?さあ、試してみましょう」

オイゲン(接近して、回避を考えずにただひたすら撃ち合ってやる。勝利かヴァルハラか。本当、最高の賭けになるわね……興奮しちゃう……!!)

ヒッパー「わ、私のそばに近寄るなぁーっ!!」ゾワワッ ドンドンドン

オイゲン「ぐぅっ……ふふふ……この程度じゃ足りないわ。もっと、もっとだ……!!」ギリッ ニタァ ドンドンドン

ドンドンドン ドン ゴォッバッシャーン ドンドンドン

ヒッパー「ぅ……っ……」グッタリ

オイゲン(傷だらけで艤装も大破しているヒッパーは辛うじて浮いていられる状態だった。意識も朦朧としている)

オイゲン「はぁ……はぁ……私の勝ちね。さようなら、ヒッパー。ヴァルハラで会いましょう」スチャッ

ドガァン

オイゲン「っ!?何事……っ!!あ、あれは……セイレーン……!?どうしてここに……っ!!」ハッ

オイゲン(大きな爆発。目を向けるとセイレーンが指揮官のいるはずの司令部へと向かっているのが見えた)

オイゲン(どういう目的か知らないけど指揮官が危ないわ……!!ヒッパーにかまっていられる状況じゃない。弾薬もこれ以上消費しないようにしなくては)

オイゲン「命拾いしたわね、ヒッパー……指揮官!!」バッ



指揮官「っ……セイレーン……!!」

「初めまして、指揮官さん。けど今日はあなたを訪ねてきたわけじゃないの。もうすぐだから少し待っていてね」ググッ

指揮官「ぐっ……」ミシミシ

指揮官(セイレーンが信じられないぐらいの怪力で俺の首をつかみ、体を持ち上げていた……だが殺されはしない……こいつの目的は一体……!?)

オイゲン「指揮官!!っ!?セイレーン……!!」ハッ ギロリ

指揮官(聞きなれた声、俺のことを呼びながら部屋へ飛び込んできたのはオイゲンだった!!しかし、一人でセイレーンに勝てるとは思えない……)

指揮官「オイゲン……逃げろ……!!」

「プリンツ・オイゲン!!あなたに用があったのよ!!」ニタァ

指揮官(ありったけの怒りと殺意を込めたようなまなざしでセイレーンを睨みつけるオイゲンに、セイレーンは邪悪な笑みを浮かべて話しかけた)

オイゲン「はぁ……?どちらにせよ、今すぐ指揮官を解放しなさい。さもないと後悔するわよ?」

「今の消耗しきったあなたが勝てるの?それに、あなたが一撃加えるよりも早くこの男の首を折れる」

オイゲン「っ……何が目的なの?指揮官をすぐに殺さないということは話し合いの余地があるのでしょう?」

「そうね。あなたはこの男の命を助けたいのでしょう?」

オイゲン「ええ、そうよ」

「なら取引よ。この男の命は助けてあげる。その代わり貴女はここで死になさい」

オイゲン「っ……」

指揮官「っ!!だ、ダメだそんなこと……!!オイゲン……!!俺はもういい……!!逃げるんだ……!!」ギリッ

指揮官(首が絞められているせいでうまく声がでない。それでもオイゲンは聞こえたはずだ。しかし、オイゲンは俺の望みと逆のことをする)

オイゲン「……保証がないわ。私が死んだら指揮官を助けてくれるという保証が」ジッ

「そういわれても保証のしようがないわ。貴女に残された選択肢は二つ。信じて死ぬか、信じないでこの男の最期を見届けるか。さて、どうする?」ジッ

指揮官「オイゲン……!!逃げろ……!!頼むから逃げてくれ……!!」

オイゲン「っ……そうでしょうね。指揮官ならそういうのでしょうね。分かっているわ。けど、指揮官も私がどうするのか分かるでしょう?」

オイゲン「貴方と会えて……本当によかった。貴方のおかげで灰色だった私の世界は鮮やかに色づいたわ。ありがとう、指揮官」ニコッ

指揮官(こんな状況だというのに思わず見とれてしまうような優しい笑顔で俺を見つめるオイゲン。分かっている……君がそうすると……だが、それでも!!)

指揮官「ダメだ……止めてくれ……!!オイゲン……!!」

オイゲン「さようなら。幸せになってね?っ……ふぐっ……でも、できればその心の片隅に私の場所を残しておいてくれると嬉しいわ」ポロポロ

指揮官(こらえきれず嗚咽し、涙を流すオイゲン……俺は……大切な人が今、殺されようとしているのに何もできない……狂いそうだった)

指揮官「っ……頼む……君が生きてくれ……!!」ギリッ ブチッ タラリ

オイゲン「やりなさい、セイレーン。ただし言ったことは守りなさい。もし違えようものならヴァルハラからお前を殺しに戻ってくるわ」ギロリ

「安心なさい。誓って言ったことは必ず守るわ。この男は助ける」

オイゲン「……やって」

指揮官(圧倒的なプレッシャーを放ちながらセイレーンを睨みつけたプリンツは、返答を聞くとそう呟いて目を閉じた。透明な表情だった)

指揮官「や……やめろ!!」

「さようなら、プリンツ・オイゲン」ドガァン

指揮官「やめろぉおおおお!!……っ!!」ハッ

オイゲン「っ……?」ビクッ キョトン

「……死の間際、それは最も純粋になれる瞬間。プリンツ・オイゲンのお前への思いはまぎれもなく本心からのもの」

オイゲン「……!!わざと外したわね……どういうつもりかしら……?私を辱めたいの……?」ギリッ フルフルフル

「いいえ、これは実験よ」ジッ スッ

オイゲン「っ!!」ビクッ

「お前を解放するわ」ポイッ

指揮官「うっ……っ……オイゲン!!」ドサッ ググググ ヨロヨロ

指揮官(床に投げ捨てられる。が、痛みも何もどうでもよかった。何とか起き上がり、オイゲンのもとへ向かう。オイゲンが生きている!!それだけで十分だ)

オイゲン「はぁ……?馴れ馴れしいわね、お前。目の前から消えてもらえる?目障りなんだけど」ギロリ

指揮官「ぇ……!?お、オイゲン……?」ビクッ

指揮官(一瞬、何と言われたのか分からなかった。オイゲンは冷ややかな目で俺を睨んでいる。その眼差しには親愛とは反対の感情しかないようだった)

オイゲン「気安く私の名前を呼ぶな。殺すわよ?」イラッ

指揮官(不快感もあらわに目を細めてそう言ってくるオイゲン。意味が分からなかった。頭が真っ白になる)

指揮官「ど、どうしたんだ……?」

オイゲン「……さっきから一体何なの、お前は?とち狂ってお友達にでもなりに来たの?お前のような偽善的で女々しく卑怯な人間はごめんよ」

指揮官「!!」ズキン

指揮官(その言葉が心に突き刺さる。ほかの誰でもないオイゲンから言われたということが衝撃だった)

オイゲン「なにその顔?まさか自覚がないの?だとしたら傑作ね。この際だから教えてあげるわ」

オイゲン「『私たちのような少女に危険な前線で戦わせて、自分は後方の安全な場所で指揮を執るだけ。』だったかしら?」

指揮官「っ」

指揮官(バカにしたような表情でかつて俺が吐いた弱音を繰り返して見せるオイゲン。軽蔑の視線が突き刺さる)

オイゲン「そんな考える必要のないことでくよくよと悩むような奴がどうして指揮を執る立場なのか疑問だわ。私はそんな上官はごめんね」

オイゲン「男ならばすべての責任を、十字架を背負ってでも堂々と私たちを指揮する甲斐性ぐらい持ったらどうなの?」

指揮官「……」

オイゲン「それにね、一番気持ち悪いのはそれを心の中に秘めているのではなく私たちにそれを言うことよ」

オイゲン「何?理解してほしかった?それとも悩んでいることを知っていてほしかった?私たちの赦しが欲しかった?そんなのはただの甘え」

指揮官「……!!」

オイゲン『いい夜にいいワインね。だから、そんな顔しないで。どうしたの?何かあったの?』

指揮官『オイゲン……俺は……自分が情けない……』

オイゲン『情けない?どうしてそう思うの?』

指揮官『っ……』

オイゲン『……一人で抱え込むより話してみた方がきっと楽になるわよ?話してみなさい。私が聞いてあげる』

指揮官『俺は……君たちのような少女に危険な前線で戦わせて自分は後方の安全な場所で指揮を執るだけだ……』

指揮官『本来なら俺のような大人の男が戦うべきなのに……俺は……それがたまらなく情けない……』

オイゲン『……指揮官、気にしないで。指揮官のやさしさは皆よくわかっているわ。それに、人にはできることとできないことがある』

オイゲン『私たちは戦えるけど導けない。指揮官は戦えないかもしれないけど、導ける。私たちには指揮官が必要なの』

オイゲン『指揮官が導いてくれるからこそ、私たちはこうして戦って、生きていけるのよ』ギュッ

指揮官『オイゲン……ありがとう……』

指揮官(……あの夜の出来事は、俺の心の支えとなっていた。オイゲンのあの言葉があったからこそ、俺は……だが……)

指揮官「……ずっとそう思っていたのか?」フルフルフル

オイゲン「そうよ。それに今まで気が付かないなんて、話にならないわね」

指揮官(……知らない方がよかった。裏切られた。俺だけだったんだ、いい関係を築けていると思っていたのは……)

指揮官(オイゲンは苦悩する俺を見て、表向きには優しい言葉をかけてくれたが心の中では俺を嘲笑っていたのか……)

指揮官「……そうか、わかった。君の本心はそうだったんだな」

「ふふっ興味深い結果ね。さて、こうするとどうなるか」ジッ スッ

指揮官「っ」

指揮官(セイレーンが口を開く。あまりの衝撃に呆然としていたが、現在の状況を思い出す。セイレーンを確認するが、特に動く様子はない)

オイゲン「ぅ……ぇ……っ……!!わ、私……今、何を……」クラッ サァッ

指揮官「っ……」ジッ

指揮官(オイゲンに視線を戻す。立ち眩みでも起こしたかのように俯いて少しよろめくオイゲン。そして再び顔をあげる)

指揮官(もはや俺にとってオイゲンは裏切り者、敵だった。俺は、信じていたのに……なのに君は……お前は……!!)

指揮官「……!!」ギロリ

オイゲン「い、嫌……ま、待って指揮官!!そんな目で私を見ないで!!ち、違うの!!今のは……違うの……!!」フルフル カタカタカタ

指揮官(しかしオイゲンの様子はおかしかった。先程とは打って変わって縋るような視線を向けてくる)

指揮官「……?プリンツ・オイゲン……?」

オイゲン「っ!!そんな……いつもみたいにオイゲンって呼んで頂戴……!!」ジワァ

指揮官(心から傷ついたように悲し気な表情を浮かべ、震える声音でそう懇願するオイゲン。ようやく気が付いた)

指揮官(あまりの衝撃につい頭からとんでいたが、オイゲンは俺を守るために殺されようとしていたじゃないか!!)

指揮官(それがいきなり俺を罵り始めたかと思えば、今、オイゲンは悲し気な表情で俺に言い訳し、オイゲンと呼んでと懇願している)

指揮官(さっきは名前を読んだら殺すとまで言っていたのに!!明らかに何かがおかしい。オイゲンの様子は普通じゃない)

指揮官「こ、これは……どうなっているんだ……!?」

「なるほどね。本当に、非常に興味深いわ」

オイゲン「っ!!お前!!私に何をした!!」

指揮官(セイレーンが再び口を開く。ぞっとするような顔でセイレーンを睨みつけるオイゲン。吠えるようにセイレーンを詰問する)

「貴女の指揮官への好感度を操作しただけよ」

オイゲン「!?」

指揮官「こ、好感度を……操作……!?」

「お前たちはメンタルキューブから作られた駒でしかない。素体と違って操作することも不可能ではないのよ」

オイゲン「……!!」

指揮官「ば、バカな……!!」

「これはただのレーダーやアンテナなんかではないわ。駒の心がむき出しになったとき、それに干渉ができる特殊な装備」フリフリ

指揮官「そ、それでは……!!」

指揮官(何らかの装備を振って見せるセイレーン。にわかには信じ難いことだが、オイゲンはセイレーンに精神操作を受けたとしか思えない)

指揮官(素体や駒について知ってはいるが、権限がないため詳しくは知らない。が、重要なことは精神操作を受けたという事実だ)

指揮官(それはつまり、ほかの部下たちもまたセイレーンに操られる可能性があるということだ……!!背筋がゾッとした)

「もっとも、とても貴重なもので世に二つとないものだけどね。だから安心していいわ、人類」

「そもそも心をむき出しにしなくてはならない時点で使い勝手が悪すぎるし、こうした実験の時以外では使いようがないもの」

指揮官「……っ!!」

指揮官(不敵な笑みを浮かべたセイレーンはそんな俺の不安を見透かしたようにそう告げる。無条件に信用するのは危険だ)

指揮官(しかし、今までセイレーンによって誰かが操られたということは聞いたことがなかった)

指揮官(そんなことが簡単にできるのなら出し惜しみする理由などない。とりあえずのところはセイレーンの言うことは信用できるだろう)

オイゲン「わ、私は……なら……私の心は……?っ……なんでこんなことをする!?」キッ

指揮官(体を震わせ、何事か呟きながら頭を抱えていたオイゲンが苦しそうにセイレーンへ問いかける)

指揮官(その様子は見ているだけでひどく痛々しく哀れだった。いつもの蠱惑的で余裕のあるオイゲンからは考えられないほどに)

「人と同じ精神構造をしているお前たちは人への理解を高めてくれる。そう、さっきのアレのように」

「お前はその男に愛を囁いた。それはお前の本心。けれども、さっきのお前の罵倒もまた紛れもないお前の本心」

オイゲン「違う!!私は」キッ

「違う?本当に?わかっているはず、プリンツ・オイゲン。お前自身のことだ。あの言葉が嘘偽りでないことはお前が一番理解している」

オイゲン「っ……ち、違う……私は……」ビクッ

「その男が女々しいと思っている。くよくよとしているのが気持ち悪いと思っている。愛を囁く相手へ同時に不満を抱えているし、軽蔑もしている」

オイゲン「ち、違う!!だってそれは指揮官が優しいから!!だからそうやって言い訳して自分の心が弱いことに言い訳しているのが無様」ジロリ

指揮官「っ」

指揮官(再び洗脳を受けたのだろうか。必死でセイレーンの言うことを否定していたオイゲンはいきなり俺を睨みつけると辛辣に侮辱してくる)

オイゲン「戦地に私たちを送ることにそうして自分で免罪符を作っているのでしょう?自分は仕方なくやっていると」

オイゲン「だから悪くないと。お前がそう苦悶しているのはすべて自分を納得させて赦すため。自己防衛のため」

指揮官「……」

指揮官(……耳が痛かった。核心を突かれている。そう感じてしまった。オイゲンの言うことは……その通りだ……俺は……)

オイゲン「だからっいやぁああああああ!!やめろ!!やめろ!!やめろ!!私に入ってくるな!!私を侵すな!!」ブンブンブン ガタガタガタ

指揮官(再び洗脳が解かれたのか、いきなり頭を振って悲鳴を上げるとセイレーンを威嚇するように怒鳴るオイゲン。だが、オイゲンは俯き、その肩はひどく震えていた)

「侵してなんていないわ。それはプリンツ・オイゲンの中にもともとあったもの。背反する二つの想い」

「矛盾する二つの想いが同時に存在することのなんて興味深いことかしら!!好奇心が抑えられない!!」

オイゲン「うるさい黙れ!!殺してやるセイレーン!!よくも私を……!!私と指揮官の仲を……!!絶対に赦さない!!」ギロリ

指揮官(顔をあげて改めてセイレーンを睨みつけるオイゲン。壮絶な表情だった。ひどく恐ろしく、そして痛ましい)

指揮官「っ……プリンツ・オイゲン……」

オイゲン「っ!!指揮官……お願い……オイゲンって呼んで……!!いつもみたいに私を呼んで……!!」ジワァ

指揮官(俺の他人行儀な呼びかけに対して、オイゲンは今にも泣きそうな縋るようなまなざしで俺を見るとそう懇願してくる)

指揮官「……オイゲン」

オイゲン「っ!!……何度言えば分かるの?それともわざとなのかしら?なれなれしく私の名前を呼ぶな……!!」パァッ ギロリ

指揮官「っ……」

指揮官(それに応えていつものようにオイゲンと呼ぶ。始め、オイゲンは本当に嬉しそうに救われたような笑顔を浮かべた)

指揮官(しかしすぐにその表情は怒りを込めた不快げなものに変わってしまった。敵を込めて睨み付けられ、気圧されてしまう)

オイゲン「っ……!!うぅ……うぅうううう……!!助けて……助けて指揮官……!!私……私……どうすれば……」ポロポロ

指揮官(そして今度はもう限界だというようにくしゃりと顔を歪め、涙を流して俺に助けを懇願してくる。これ以上はもうオイゲンの心が耐えられない……!!)

指揮官「くっ……どうすれば……っ!!」ハッ

指揮官(そうだ!!セイレーンがオイゲンを操っているあの装備を壊せればこれ以上の洗脳攻撃を防げるかもしれない!!)

セイレーン「ふふふ……これが気になる?さっきも言ったけどこれは貴重品なの。悪いけど渡しも壊させもしないわ」フリフリ

指揮官(俺の視線で何を考えているのか察したのか、セイレーンは手に持っている洗脳装置を再び振ってみせる)

指揮官「人を操る……そんな冒涜的なモノが存在していいはずがない!!この世から消し去ってやる!!オイゲン!!あれを撃て!!」

オイゲン「指揮官……!!」

「えい」チャキ パン

指揮官「ぅ……!?」ドサッ

指揮官(焼けるような痛み。気が付いたらうつ伏せに倒れていた。抑えた手が血に染まる。セイレーンが取り出した拳銃で俺を撃ったのだと少し遅れて気が付いた)

「ふーん……これでも死ぬのね。お前たちの脆さは致命的な弱点よ。はい、お前たちの武器だから、お前たちに返すわ」ポイッ

指揮官「くっ……はぁ……!!」

「楽しい実験になりそうね?さようなら。さあ、帰還するわよ、オイゲン」

オイゲン「まだ死んでない。止め」

「はいらないわ。ほら、早くしなさい」

オイゲン「……その詰めの甘さがいつか身を亡ぼすわよ」

「詰めが甘い?いいえ。必要な事よ、これは」

オイゲン「そう……お前たちの考えることは理解しがたいわね」

指揮官(遠ざかる足音。セイレーンとオイゲンが去っていくのだとだけ理解できた。痛みでそれどころではないが)

指揮官「こ……ここまでなのか……」

指揮官(気が遠くなるほど長い間耐えていたように感じる。が、痛みを感じなくなってきた。ただひたすら寒くて、けどそれすらも感じなくなってきて、眠い)

「指揮官!!居ないの!?居ないのね!?……っ!?し、指揮官……?」

指揮官「……」

指揮官(だ、誰だ……?わからない……知っていると思うが……誰だったか……だめだ……眠い……)

「う、嘘……嘘でしょ……そんな……そんなぁ……指揮官……何死んでいるのよ……このバカぁ……」

指揮官(誰かがすぐ近くに……抱え起こされた……視界が暗くて……見えない……ただ……暖かい……)

「っ!!い、生きてる……!!っ!!しっかりしなさい指揮官!!あんたこんなところで死んでいる場合じゃないでしょ!?このバカ!!」

指揮官(このぬくもりにずっと包まれていたい……とても気持ちよくて安心する……とても……安らかだ……)


アズレンSSとか珍しいな
期待



指揮官「っ……ここは……」パチッ

指揮官(気が付いたらベッドの上だった。何か甘い良い匂いがする。体を起こそうとすると激痛が走った。とりあえず寝そべったまま周囲を確認する)

ヒッパー「すぅ……すぅ……」

指揮官「……っ!?うぐぅわぁっ!?」ビクン ズキン

指揮官(すると椅子に座ったアドミラル・ヒッパーが俺の枕元に突っ伏して寝ているのに気が付く。思わず飛び起きると共に激痛に悲鳴がでてしまう)

ヒッパー「っ!?し、指揮官!?ぁ……!!」バッ

指揮官「っ!!」

指揮官(そのせいでヒッパーが飛び起きる。目が合った。終わった……奴は俺を殺そうとしている。こんな状況では抵抗のしようがない)

ヒッパー「指揮官……!!指揮官!!指揮官!!」ガタッ バッ ダキッ

指揮官「つぅっ!!」

指揮官(椅子から跳ぶように立ち上がったヒッパーが俺に抱きついてきた。激痛にうめき声が漏れてしまう。思わずヒッパーを押し返した)

ヒッパー「ぁ……ご、ごめん……傷、痛むわよね……大丈夫……?」

指揮官「っ!?あ、ああ……」

指揮官(ヒッパーの様子がおかしい。まるで……いや、明らかに俺を心配していた。ヒッパーのこんな心配そうな表情は初めて見た。しかも、俺に向けているだと?)

ヒッパー「よかった……!!って何よその顔は?どうかしたの?」

指揮官「いや……君、アドミラル・ヒッパーだよな?」

ヒッパー「はぁ?っ!!ま、まさか記憶障害とかの後遺症が……!?そんな……!!」ジワァ

指揮官(まるでこの世の終わりというような悲痛な表情で目に涙を浮かべるヒッパー。心の底から悲しんでいるようだった)

指揮官「そういう訳じゃ……ないと思うんだが……すまない、状況を説明してくれるか?」

ヒッパー「分かったわ。今から二十四時間前、指揮官のいた拠点がセイレーンに襲撃されたのよ」

ヒッパー「その時出撃中だった私はすぐに引き返して指揮官のところに戻ろうと思ったんだけど……」

指揮官「!?」

指揮官(ど、どういうことだ……!?ヒッパーと俺は敵同士のはずだ……!!が、とりあえずまずはヒッパーの話を聞いてみよう……)

ヒッパー「その……なぜかセイレーンに協力していたバカ妹に負けて……大破して……何とか指揮官のとこにたどり着いたら……指揮官が……ぐすっ……」ジワァ

指揮官(俯き気味の上目遣いで俺を見つめつつ話していたヒッパーがいきなり手で口元を抑えて嗚咽を漏らし始める。驚いて声をかけた)

指揮官「あ、アドミラル・ヒッパー!?だ、大丈夫か……?」

ヒッパー「っ……ご、ごめん……あの時のこと思い出したら……大丈夫よ……燃える司令部の中……指揮官を探して歩きまわって……」

ヒッパー「やっと見つけたと思ったら……指揮官、倒れてて……すごい血が出てて……!!」ポロポロ

ヒッパー「指揮官が殺されちゃったって思った……でも、確認したらまだ生きてて!!本当に……うれしくて……」キュッ

指揮官(俺の手を握って額に当てるように前かがみになるヒッパ-。縋るように込められた力にヒッパーが心からそう思っていることが伝わってきた)

ヒッパー「けどすぐに治療しなくちゃ危なかったから……できる限りの応急処置をしてから無事な車両を確保して、近くのこの町の病院まで指揮官を運んだのよ」

指揮官「なるほど……分かった。ありがとう、アドミラル・ヒッパー。君は命の恩人だ。君がいなかったら、俺は死んでいただろう」

ヒッパー「Bitte schön. ……ねえ、指揮官。どうして私のことヒッパーって呼んでくれないの?」ジッ

指揮官「っ……」

指揮官(悲しそうに眉尻を下げて俺を見つめているヒッパー。握られた手に再び、しかし控えめに力が込められた。恐る恐るといった感じだ)

ヒッパー「私……何かしちゃったかしら……?もしそうなら謝るわ。ごめんなさい」

指揮官「そういう訳じゃないんだ。ただ……一つ聞いていいかな?」

ヒッパー「何?」

指揮官「俺と君の関係って……どんな関係なんだ?」

ヒッパー「っ!?は、はぁーっ!?い、いきなり何聞いてきてんのよこのバカぁ!!しかもこ、こんな時に!!っ!!」カァッ

指揮官(俺の質問に驚き、目を見開いて顔を真っ赤にしたヒッパーはすぐに目を吊り上げ食いしばった歯を見せるいつもの怒り顔になる)

指揮官「す、すまない!!」

ヒッパー「いえ……こんな時だからこそ……そういうこと、ちゃんとハッキリするべきなのかもね……」ブツブツ

指揮官(俺の謝罪にしかし、ヒッパーは目を閉じ眉間に皺を寄せて何か悩んでいるような仕草を見せる)

指揮官「……あ、アドミラル・ヒッパー?」

ヒッパー「ヒッパーって呼んでってば。ね、ねぇ、指揮官?指揮官は私たちの関係をどう思ってるの?」モジモジ

指揮官(ヒッパーが頬を染め、潤んだ瞳の上目遣いで俺を見つめる。……どう考えても俺に向けて好意をためらうことなく向けてきている)

指揮官「……俺か」

ヒッパー「うん……やっぱりこういうのって……普通男の人からなんじゃない……?私も……指揮官から言ってほしいわ……」ジッ

指揮官(ヒッパーの様子は明らかにおかしい。俺がおかしくなったのでなければ、きっとヒッパーもあのセイレーンの秘密兵器に……)

ヒッパー「そりゃ、いろいろ大変だとは思うけど……でもきっと指揮官と一緒なら全部乗り越えられるわ」キュッ

指揮官(おそらくオイゲンに負けて大破していたところをセイレーンに襲われたのだろう。本当は敵同士なのに、真逆の関係だと思い込まされている)

ヒッパー「まだ早いとは思うけど、いずれは子供も……な、なんて……何人くらいがいいかしら……?」ドキドキ

指揮官(本当のことを話すべきだろうか?それとも……いや、話すべきだ。いずれ洗脳が解けた時のためにも。そして何よりヒッパーのためにも)

ヒッパー「やっぱり男の子と女の子が一人ずつは欲しいわよね……?指揮官が望むならもっと産んであげても……ねえ、聞いてる?」

指揮官「っ!!す、すまない……何か言っていたか?」ハッ

ヒッパー「っ!!このっ……!!はぁ……まあいいわ。それで、どうなの、指揮官?私たちの関係って……何なのかしらね……?」ピキッ ジッ

指揮官「アドミラル・ヒッパー、落ち着いて聞いてくれ。俺たちは、敵同士なんだ」

ヒッパー「……えっ?」

指揮官「君は、おそらくセイレーンの洗脳攻撃を受けているんだ」

ヒッパー「……。……っ!!な、何よそれ……!!どういうこと……本気でそう言っているの……!?」

指揮官「君に俺が知ることを全部話す。いろいろ言いたいことがあると思う。だが、まず俺の話を全部聞いてみてくれ」

ヒッパー「……」コクリ

指揮官(ヒッパーが拠点を襲撃してきてからのここで目が覚めるまで一連の出来事を話す。ヒッパーは、かなりイライラしているようだった)

指揮官(まずヒッパーが俺を殺そうとしていたということを話したところで思いっきりサイドチェストに拳を振り下ろした)

指揮官(壊れなかったから加減はしているようだ。前髪で顔が見えないぐらいに俯きながらごめんなさいと一言だけ呟く)

指揮官(話を続けている間、たまに舌打ちしたり見てわかるぐらいに拳を握りしめたりと正直いつ怒りが爆発するか戦々恐々としていた)

ヒッパー「……指揮官。やっぱりあなた、疲れているのよ。死にかけたんだもんね。いろいろ混乱していて当然だわ」

指揮官(すべてを話し終えた後、ヒッパーの第一声はそれだった。平坦な声音だった。努めて感情を殺した声だ)

指揮官(しかし、かすかに震えている。ヒッパーの顔はうかがえないが、体も小刻みに震えていた)

指揮官「……アドミラル・ヒッパー。俺は正常だ。この首を絞められた跡が、何よりの証拠だろう」

ヒッパー「……そんなの、あんたが誰かに首を絞められていたってことの証拠にしかならないわ」

ヒッパー「っ!!そ、そうよ。洗脳攻撃を受けたのはあんたなんじゃないの?だって、あんたが言っていることは荒唐無稽だもの」

ヒッパー「言いたいことはいっぱいあるけど、まず言わせてもらうわ。私が指揮官を殺そうとするわけない」

指揮官「……」

ヒッパー「それにあんたは私をレッドアクシズ所属といったけど、私はあんたの部下よ。アズールレーンの所属よ」

ヒッパー「オイゲンの方がレッドアクシズ所属だもの。あのバカ妹……訳のわからないものに手を出して、いつか身を滅ぼすわ」

ヒッパー「私たちはずっと一緒に戦ってきたじゃない?お願い、思い出してよ……そんな簡単に忘れていいものじゃないでしょ……?」

指揮官(顔を伏せたまま、ヒッパーが俺の手を握る。震えが伝わってきた。今、ヒッパーがひどく傷つき、悲しみ、そして怯えていることが分かる)

指揮官(心が痛んだ。洗脳のせいとはいえ、ヒッパーは今本気で俺を想ってくれている。偽りの想いだとしても、それは尊いものだと感じた)

指揮官(だが、今の状況はセイレーンによって歪められてしまったものだ。元に戻さなくてはならない)

指揮官(あの時の、オイゲンの助けを求めた時の、縋るような表情が脳裏から離れない。オイゲンを取り戻さないとならない)

指揮官(それにヒッパーのことだって心配だ。このままアズールレーン側の拠点へ連れて行けば間違いなく拘束される)

指揮官(レッドアクシズ側からも脱走者、反逆者とされてしまう可能性もある。どういう事情にせよ、俺はヒッパーに大きな借りがある)

指揮官(命の恩人を相手に、恩を仇で返す訳にはいかない。よし、これから俺のすべきことが決まったぞ)

指揮官(俺はオイゲンを取り戻し、あのセイレーンを撃破する。そしてヒッパーを無事にレッドアクシズ側に帰してやる)

指揮官「……ヒッパー。本当にありがとう。もう一度言うが、君は俺の命の恩人だ。感謝してもしきれない」

指揮官「だからこそ、君が洗脳のせいで我々の捕虜になったり、レッドアクシズにとっての反逆者にしてしまう訳にはいかないんだ。だから」

ヒッパー「うるさい!!黙りなさい!!このバカ!!」

指揮官「っ!!」

ヒッパー「あんたにとって……私はその程度だったの!?あんたは私が敵である方がいいの!?そうなのね!?」

指揮官「あ、アドミラル・ヒッパー……違う……!!」

ヒッパー「何が違うのよ!?言ってみなさいよバカ!!今まであんたと一緒に生きてきて!!私は幸せだった!!」

ヒッパー「心が本当に……本当にわくわくした!!きゅんきゅんした!!人として生を受けた喜びを教えてもらった!!世界が輝いて見えた!!」

ヒッパー「あんたは私にとって一番大切な存在なのよ!!あんたがいなくちゃ私は生きていけないくらいに!!なのに!!」

ヒッパー「あんたにとって私はどうでもいい存在だったんでしょ……!?セイレーンに殺されかけたぐらいで全部忘れて……!!」

ヒッパー「敵同士だったとか意味わかんないことを信じちゃうくらいの存在だったんでしょ!?」

指揮官「っ……」

ヒッパー「っ……うぅ……ぐすっ……うわぁああああん!!あぁああああ!!どうしてこうなっちゃったのよぉ!!」

ヒッパー「こ、こんなことになるなら……こんな気持ち、し、知りたくなかった!!あんたなんかと……あ、会わなければよかった!!」

ヒッパー「人としての生なんてなければよかった!!全部全部なければよかった!!心なんて持たないままでいればよかった!!」

指揮官「ア……ヒッパー……」

ヒッパー「うるさいバカドジアホマヌケ!!死んじゃえ死んじゃえ!!あんたなんか海に沈んで死んじゃえ!!」

指揮官(ヒッパーは泣き乱れていた。深く深く傷ついて涙を流しながら俺に対して怒りを向けている)

指揮官「……」ギュッ

ヒッパー「っ!!」ビクッ

指揮官(傷に激痛が走る。だが、それに構わず体を動かす。ヒッパーを胸に抱いた。ヒッパーが硬直する。俺はただ、無言でヒッパーを抱きしめていた)

ヒッパー「うぅ……うぅうううううう!!」

指揮官「……」ナデナデ

指揮官(ヒッパーが落ち着くまでただひたすら無言で抱きしめ、頭を撫でていた。ヒッパーは俺の体に手をまわし、いたいほどに強く抱きしめてくる)

指揮官(顔が胸に押し付けられていた。くぐもった泣き声が二人きりの薄暗い病室に響いていた)



指揮官(どのくらいだろうか?落ち着いたヒッパーは一度席を外すとしばらくしてから戻ってきた)

指揮官(まだ目が赤かったが、さっきのことがなかったかのように振舞っていた。俺を真っすぐと見つめて口を開く)

ヒッパー「とりあえず、このことについてはまた後で話し合いましょう。話し合うにはお互いに情報が足りないわ」

指揮官「……ああ、そうだな。そうしよう」

指揮官(とりあえずのところ俺たちはこの問題を後回しにすることにした。正直混乱しているが、どちらにせよあのセイレーンを倒せばきっと解決するはずだ)

ヒッパー「ええ。それでこれからの方針なんだけど、あなたが動けるようになるのを待ってから一度私たちの拠点へ戻りましょう」

指揮官「それは……セイレーンに襲撃された所か?」

ヒッパー「ええ。今、再建のために部隊が派遣されているらしいわ。他の子たちはひとまず臨時に近隣の拠点に移動してるって」

指揮官「っ!?れ、連絡を取ったのか……!?」

ヒッパー「ええ、もちろん。当たり前でしょ?……分かっていると思うけど、アズールレーンとね。どう?私の言うこと信じる気になった?」

指揮官(どういうことだ……!?アズールレーンと連絡を取ったということは……まさか、本当に俺がおかしくなっていたのか……!?)

オイゲン『っ……!!うぅ……うぅうううう……!!助けて……助けて指揮官……!!私……私……どうすれば……』ポロポロ

指揮官(いや、そんなはずはない……!!しかし……だとするとこれは一体どういうことなのだろうか……?)

指揮官「……それについてはまた後で話そう」

ヒッパー「……そうだったわね」

指揮官「すまない……」

ヒッパー「……まったく、仕方がないわね。いいわ。赦してあげる。ところで指揮官、お腹減ってない?」

指揮官「ん、そういえば減っているな……いろいろありすぎて忘れてた」

ヒッパー「はぁ?あんたバカ?……って言いたいところだけど、まあ分かるわ。ほら、リンゴ向いてあげるからありがたく食べなさい」

指揮官「リンゴ?」

ヒッパー「そうよ。嫌いじゃないでしょ?消化器官は傷ついていないから問題ないって医者も言っていたわ」

指揮官「そうか。じゃあありがたく頂くよ」

指揮官(ヒッパーは枕元の椅子に座るとカバンから包丁とリンゴを取り出す。そして器用に皮をむき始めた)

ヒッパー「~♪んっ?何よじろじろ見て?」

指揮官「いや、上手いものだと思ってな」

ヒッパー「ふふん、このぐらいできて当たり前よ。そんなことでいちいち感動するんじゃないわ、このマヌケ」

指揮官「はは……」

ヒッパー「っ!!あ、いや……ごめんなさい……口が悪かったわね……別に本気でそう思っているわけじゃなくて……その……」

指揮官「いや、それが君の素なんだろ?気にしなくていいさ」

ヒッパー「……ホント?」

指揮官「相手は選ぶべきだろうが、俺は気にしないよ」

ヒッパー「も、もしかしてあんた……ドM?」

指揮官「そ、そういう訳じゃない!!」

ヒッパー「どうだかね……でもまあ、ありがとう……素の私を受け入れてくれて……なおさなくちゃと思っているんだけどね……」

指揮官「まあ、少しずつ頑張ればいいさ」

この人の文章でアズレンSSを読める日が来るなんて……謝謝茄子!

ヒッパー「そうね、そういってもらえると助かるわ。……よし、できた!!ほら、アーンしなさいよ」

指揮官「あ、アーン……!?」

ヒッパー「な、何よ?このぐらいで恥ずかしがってるんじゃないわよチキン!!いいから口を開けなさいよ!!ほら!!」カァッ グイッ

指揮官(顔を赤くして怒ったヒッパーがフォークに刺したひと口大のリンゴを差し出してくる。敵同士でなくてもよく怒り顔をするんだな)

指揮官「っ……わ、分かった……あー……ん」

ヒッパー「ふんっ!!最初からそうしていればいいのよ。……どう?おいしい?」

指揮官「ん、おいしいよ」

ヒッパー「……!!ま、まあ当たり前だけどね!!ありがたく味わいなさい!!」

指揮官「ああ。ありがとう、ヒッパー」

ヒッパー「……♪ええ、ひれ伏して感謝しなさい!!……やっぱりそう呼んでくれる方がいいわ、指揮官」

指揮官「!!」ハッ ジッ

ヒッパー「っ!!わ、私のことをそう呼んでいいってのは特別な事なんだからね!?光栄に思いなさいよ!!」

指揮官「そうだな。光栄に思うよ、ヒッパー」

ヒッパー「よろしい!!……えへ♪」フニャァ



ヒッパー「指揮官、お疲れ様。これが今日の報告書よ」

指揮官「ああ、ヒッパー。ありがとう」

指揮官(俺はヒッパーから報告書を受け取り中身を確認する。……病院で目が覚めてからひと月が経とうとしていた)

指揮官(初めの一週間で俺は普通に動けるまで回復し、今やほとんど完治している。それに、この世界についても分かってきた)

指揮官(結論から言うと、この世界はおそらくセイレーンが作り出した仮想世界だろう。理由はいくつかある)

指揮官(まず、ヒッパー以外の部下たちは全員が『殻』だった。詳しくは俺も知らないが殻はロボットのようなものだ)

指揮官(見た目は全く一緒だが、殻には人格がいない。簡単な会話はできるが個性がないのだ)

指揮官(そして艦船少女以外の人間は俺以外に居ない。ヒッパーは医者や拠点の人員などに会話で触れていたが、俺は彼らを見たことがなかった)

指揮官(清掃などはすべて知らない間に行われている。まるで魔法のようだった。おそらくセイレーンの力なのだろう)

指揮官(実質、俺とヒッパー以外がいないこの状況にヒッパーは何の違和感も覚えていないようだ。精神操作の影響だろう)

指揮官(状況を理解した俺は、偽物のレッドアクシズとの戦いを指揮しつつセイレーンの捜索を続けている)

指揮官(ヒッパーとはあれ以来この世界やセイレーンの精神操作についてのことは話し合っていない。ヒッパーからもその話はなかった)

指揮官(ヒッパーが出撃したり寝るとき以外はほとんど一緒に居るが、全くその話題に触れてこなかった)

指揮官(俺が執務をこなしていることで満足しているようだ。蒸し返すつもりはないのだろうな)

指揮官「さて、今日はこれで終わりだな」

ヒッパー「引継ぎはやっといてくれるって。私も今日はこれであがりね。この後どうしましょうか……」チラッ

指揮官(わざとらしく俺をちらりと見るヒッパー。最初のころはこれをスルーしてよく怒鳴られたものだ)

ヒッパー『はぁ!?あたしがこの後暇って言ってんのにまた明日ってどういう了見よ!?このマヌケ!!ほかに言うべきことがあるでしょうが!!』

指揮官『!?』

指揮官(さすがセイレーンの仮想世界というべきか、ヒッパーと俺は今まで毎日同じ時間に登営し、同じ時間に帰営していた)

指揮官(休暇まで一緒なのだ。それをひと月繰り返せばヒッパーが何を望んでいるのか分かるようになる)

指揮官「夕食に行こう、ヒッパー」

ヒッパー「はぁ?夕食?まったく仕方ないわね。しょうがないから一緒に行ってあげるわよ。いつものところでしょ?」

指揮官「そうだな」

指揮官(拠点近くのレストランへ行く。車の一台も人の一人も見かけない。もう慣れたが。もちろんレストランにも誰もいない)

指揮官(ただできたての料理がビュッフェスタイルで並んでいるだけだ。料金を払う必要もない)

指揮官(当然のように窓際の眺めがいい席へ歩いていき、席に着くヒッパー。俺はとりあえず適当に料理と飲み物を運ぶ)

ヒッパー「シュバイネハクセとビール!!分かってるじゃない?私、明日は休みなの。もしかしてまたあんたも?」

指揮官「ああ、そうだよ」

ヒッパー「そうなのね。それで?予定はあるわけ?」

指揮官「残念ながら特にないんだ」

ヒッパー「そう。まあ偶然私も特に予定はないわ。なんとなく空けといたの。何かあるんだったら付き合ってあげてもいいけど?」

指揮官「それは光栄だ。そうだな……ん?」

ヒッパー「何よ?どうしたの?」

指揮官(ふとメニュー立てに見慣れないチラシがあることに気が付いた。手に取って内容を確認する)

指揮官「遊園施設……?」

ヒッパー「遊園施設!!いいじゃない、ここに行きましょうよ」

指揮官(今までこんなものはなかった……どういうことだろうか?罠の可能性もあるが、情報を得る必要がある)

指揮官「そうだな、そうしようか」



ヒッパー「わぁ!!結構すごいじゃない!!」

指揮官「あ、ああ……正直、予想外だ……!!」

指揮官(ただ遊園施設とだけ表記されていたそこは今まで見たことがないような立派なテーマパークだった)

ヒッパー「あのお城、中に入れるのかしら?ねえ、行ってみたいわ!!あのジェットコースターも乗ってみたい!!」

指揮官「乗れるといいが……とりあえず行ってみよう」

指揮官(だからこそ、人が全くいないことが非常に不気味だった。アトラクションが動いているし音楽もどこからか流れている)

指揮官(わくわくするけれど、何かおどろおどろしい感じの音楽だが……グッズを売っているであろう店も明かりがともっており、中にも入れそうだ)

指揮官(しかし人がいない……セイレーンはどんな目的でこんなことをしているのだろうか……?)

ヒッパー「ちょっと、何やってんのよバカ!!早く行くわよ!!」

指揮官「っ!!分かった、すぐに行く」



ガタゴトガタゴトガタゴト

ヒッパー「指揮官、手つなぎなさいよ!!早く!!」

指揮官(ゆっくりとレールを登っていくジェットコースター。隣に座るヒッパーが手を伸ばして俺の腕をつかんでくる)

指揮官「ふっ……可愛い反応だな」

ヒッパー「いいから早く!!もう来ちゃう!!来ちゃうから!!」

指揮官「どうしようかな……」

ヒッパー「バカァ!!早くしろって言ってんのよこのノロマ!!あぁ、来る!!指揮官!!」

指揮官「しょうがないな」

指揮官(涙目でもはやレールの見えない前方を睨みつけながら俺の腕を強く握るヒッパー。手を差し出すとがっちりと握りこまれる)

指揮官「っ!?ひ、ヒッパー!?痛いんだが!?」

ガタゴト ゴォオオオオオオオオ

ヒッパー「ひっ!?いやぁああああああああ!!」

指揮官「いっつぁああああああああ!!」



ヒッパー「わ、私は悪くない!!あんたが焦らすのが悪いんじゃない!!」

指揮官「ああ、もう二度としないと反省したよ……」

指揮官(手が粉砕されるかと思うほどに強く握られた。まだ痛む手を擦りつつ施設内を歩いていく。さすが戦闘員だ)

ヒッパー「ふんっ!!……っ。っ!!あ、あれ!!あれに行くわよ!!」チラッ シュン ハッ

指揮官「お化け屋敷か」

ヒッパー「遊園地といえばジェットコースターとお化け屋敷でしょ?」



指揮官(お化け屋敷は本気で怖かった。廃れた洋館という時点でまず雰囲気が怖い。それに加えて……明らかに尋常じゃない館内の様子)

ヒッパー「ひどい匂い……死体の匂いだわ……本物じゃないわよね……っ!!ね、ねえ……あのしゃがんでるのって……誰……?」

指揮官「人……!?まさか……!!あの、すいません」

「ァァ……」

ヒッパー「ひっ!?」

指揮官「ぞ、ゾンビ!?」

ヒッパー「そ、そいつ……口が血だらけ……っ!!あ、足元!!」

指揮官「し、死体……!!人を食べていたのか!?」

「アァァァァ……」

ヒッパー「いやぁああああああああああ!!」

指揮官(それでも、仮に現実に全く同じお化け屋敷があったとしたら、ただ怖いだけで済んだ。だがここはセイレーンの世界だ)

「ヒッヒッヒェヒッ……ヴゥゥッ……」

ヒッパー「ぎゃぁああああああ!!何あれ何あれ何あれ!?いやぁああああああ!!」

指揮官「こ、これ本当に大丈夫なんだろうな!?」

指揮官(安全である保障はどこにもなかった。あいつらに捕まったらそれこそ映画やゲームのように食い殺されてしまうかもしれない)



バリンバリン

指揮官「うおっ!?」

ヒッパー「きゃぁああああっ!?」ドサッ

指揮官(ガラスの割れる音につい声が出る。追ってくるかもしれない奴らを警戒していたためにそちらを見ていなかった)

「グルルルル……」

指揮官(不気味な夜の森が見える外から窓を突き破って中へ入ってきたのは大きなドーベルマン……の腐乱死骸だった。元気に動いているが)

ヒッパー「ぁ……あぁ……!!」

指揮官「っ!!」

指揮官(ヒッパーはしりもちをついた体勢のまま後ずさる。咄嗟に体が動いていた。ヒッパーに向けて駆ける)

「バウッ!!」

指揮官「うおぉおおおおおお!!」

ヒッパー「っ……!!」

指揮官「オラァ!!」ドゴッ

「ギャイッ」ベキッ ドサッ

指揮官「っ……ふぅ……」

ヒッパー『っ!!し、指揮官……!!』

指揮官(ヒッパーにとびかかったそれに飛び蹴りを噛ましてやった。いい感じに鼻面を蹴っ飛ばせた。靴が腐った血で汚れてしまったが)

指揮官(骨が折れるような音と感覚だった。床に叩き落されたそいつの首はあり得ない方向へ曲がり、ぴくぴくと痙攣している)

指揮官「大丈夫か、ヒッパー!?」

ヒッパー「こ、腰……抜けちゃった……」

指揮官(真っ青な顔でそう呟くヒッパー。その瞬間、後方でドアが突き破られるような音が響く)

指揮官(そちらを見ると、ゾンビが大量に押し寄せてきていた。しかも、走ってだ。割と足が速い)

指揮官「走れんのかよ!?ゾンビのくせに……!!」

ヒッパー「……!!」

指揮官(ヒッパーが振り向いていた顔をこちらへ向ける。ヒッパーを抱えて逃げるのには奴らの足が速すぎることを察したようだった)

指揮官(絶望に目を見開き、口を開いて何かを言おうとしていたが、恐怖のあまり声が出ないようだった。ただ縋る様に俺を見ている)

指揮官「くっ……こんなところで死んでたまるか!!」グググググ ドシン

ヒッパー「っ……!!」

指揮官(大きなのっぽの古時計を倒して即席のバリケードを作る。向かいの壁に時計の上部がぶつかり、廊下を塞いだ)

指揮官(這いずれば簡単に下から通り抜けられるし、乗り越えるのも難しくはないだろう。が、多少の時間稼ぎにはなるはずだ)

指揮官「行くぞ!!掴まれ!!」

指揮官(俺はヒッパーを足と背中に手をまわして抱え上げると全力で走る。ドアまであと少し。だが後ろから聞こえる呻き声のような何かがだんだんと近づいてきた)

指揮官(ヒッパーの手が俺の首に回されて強く抱きしめられる。甘い匂いが漂ってきて、温かい体温が伝わってくる)

指揮官「っ……このぉおおおおおお!!」

指揮官(ヒッパーをかばいつつ肩からドアに体当たりするようにぶつかる。ヒッパーの背中に回していた手でドアノブをひねり、体全体で押し開いた)

指揮官「っ!?」

指揮官(そこは、外だった。遊園施設だ。青い空に輝く太陽。拭いている風に流れている音楽。いつの間にか外に出ていた)

指揮官(振り向くとお化け屋敷があった。扉は閉ざされている。腐臭も化け物もその痕跡一つなく消え去っていた。足についたはずの血痕も)

指揮官「……はぁ。ヒッパー、大丈夫だ。戻ってこれたみたいだ」

指揮官(深く息をついて、腕の中で震えるヒッパーに声をかける。ヒッパーはさらに強く俺に抱きついてきた)

ヒッパー「……しばらくこうさせて」



ヒッパー「……あれ。あれが食べたいわ」

指揮官(ヒッパーが近くのおしゃれな売店を指さす。未だに元気がないようだったが、だいぶ落ち着いてきたようだった)

指揮官「チュロスか、いいな。何味にする?」

ヒッパー「チョコレートがいい」

指揮官「了解。じゃあ俺はプレーンにするか」

指揮官(人がいない売店からチュロスを頂戴し、チョコレート味をヒッパーに渡す。……この異常事態にもだいぶ慣れてしまったな)

ヒッパー「ん……美味しい」

指揮官「……ああ、美味い。なんでこういうところで食べるモノはこんなにおいしく感じるんだろうな?」

ヒッパー「雰囲気があるからよ。それと……一緒に食べてる人が人だからかしらね?」

指揮官「!!」

指揮官(ちらりと窺うとヒッパーは少し恥ずかしそうにしながら俺をちらりと見る。顔が赤くなっていた。思わず俺も赤くなってしまった)

指揮官「っ……そ、そうだな……」

ヒッパー「……チョコレート味、おいしいわ。少し上げるから食べてみなさいよ」スッ

指揮官(おそるおそるといった感じで口元に差し出された茶色いチュロス。ヒッパーを見ると目を逸らされてしまった。だが手は引っ込めない)

指揮官「……ありがとう」

指揮官(一口噛り付く。おいしい……気がするがそれどころではなかった。引っ込められた手。ヒッパーがその先端のかじり取られた跡を見つめていた)

ヒッパー「か……間接キス……」ボソリ

指揮官「!?」

指揮官(責めるような目で俺を見つめるヒッパー。普段は色白だからこそよく分かる。顔が真っ赤だった)

指揮官「お、俺が悪いのか……!?」

ヒッパー「わ、悪いなんて言ってないじゃない!!っ……そ、そんなことより……あんたは人のだけ食べるつもり……?」

指揮官「あっ、すまない……プレーン味だがいいか?」

ヒッパー「何味でも関係ないわ、大事なのはそこじゃなっ!?……な、何でもない。……ほら、あーん」

指揮官(控えめに口を開き、顎をあげるヒッパー。なぜか目を閉じている。これではまるで……!!)

指揮官「っ……!!あーん……!!」

ヒッパー「あむっ」

指揮官「……っ!?」

ヒッパー「……」ジッ

指揮官(噛み切らない……!!ヒッパーは俺の差し出したチュロスを咥えたままの状態で止まってしまった)

指揮官(目を開き、潤んだエメラルド色の瞳で見つめてくる。変な想像をしてしまった俺を誰が責められようか?)

オイゲン『んっ……』

指揮官『く、口移し……!?』

オイゲン『……』ジッ

指揮官『っ……んっ、んー、おいしいな!!ありがとう、オイゲン!!』

オイゲン『んっ……ふふっ、別に唇が触れたって構わないのに』

指揮官『!?』

オイゲン『なんてね、冗談よ』

指揮官「っ……!!」

指揮官(かつてのオイゲンとの思い出がなぜか今、思い出された。胸がズキンと痛む。俺は……)

ヒッパー「……っ。んっ……プレーンも結構おいしいわね」

指揮官「っ!!そ、そうだろう……?」

ヒッパー「うん……っ……そ、そろそろ行きましょうか。歩きながらでも食べられるし」

指揮官「そ、そうだな。いろいろ見て回ろう」

指揮官(何事もなかったかのように振舞うヒッパー。しかし一瞬辛そうに歪んだ表情を俺は見てしまった)

指揮官(オイゲンのことを思い出しているのが顔に出てしまったのだろうか。しかし、それに対して怒るのではなくこんな反応をするとは……)

指揮官(先を行くヒッパーの後姿は、取り繕ってはいるが先程までとは違い気落ちしているようだった)

指揮官「……」

指揮官(その光景に言葉にできない不快感や焦燥感を覚える。再び胸が痛んだ。この感情の正体は……知るべきではないと直感した)



ヒッパー「♪」

指揮官(赤く染まった空。もうそろそろ黄昏時だ。俺たちはパレードを見ていた。俺たち以外に観客のいないパレード)

指揮官(あれからいろいろなアトラクションに乗っていたら、いつの間にか時間が過ぎていた。聞こえてくる音楽につられて来てみたら、パレードを発見したのだ)

指揮官(きらびやかな装飾を施されたファンシーな、しかし退廃的な感じのする車両やロボット、着ぐるみたちの行列)

指揮官(舞う紙吹雪や飛んでいく風船。いるだけで楽しくなるような空間がそこにあった。ヒッパーもご機嫌なようだ)

ヒッパー「あ、そういえばまだお城に行ってないわね」

指揮官「確かに。だがパレードの途中だぞ?」

ヒッパー「入れるのなら上から夕陽が見たいわ。パレードもまだ終わらないだろうし行くわよ」

指揮官「分かった。じゃあそうしようか」

指揮官(パレードを後にする。城の外観は荘厳で本格的だった。門は開いており、中へ入れるようになっている)

指揮官(赤い絨毯の敷かれた大広間の天井はとても高かった。内装もとても瀟洒だ。俺たちは入り口にあった内部の地図を頼りに上へと上がっていく)

ヒッパー「綺麗……」

指揮官「ああ……なんて綺麗なんだ……」

指揮官(一番高い塔のバルコニーからあたりを見渡す。茜色に染まる空、ちょうど夕陽が沈みゆくところだった)

指揮官(星や月が見える。下を見下ろすと今日一日かけて巡った遊園施設の建物やパレードの列が見えた)

指揮官(遠くには街や山脈、海までも見える。本当に綺麗な風景だった。……これが仮想世界だとは信じがたかった)

ヒッパー「……」キュッ

指揮官「!!」

指揮官(隣に立つヒッパーが俺の手を握ってくる。視線を感じてそちらを向いた。ヒッパーが俺を見つめている)

ヒッパー「……あんた、好きな人がいるの?」

指揮官「……ああ」

ヒッパー「……誰?」

指揮官「……君の知らない子だ」

ヒッパー「そう……全然知らなかった。……今も親しいの?」

指揮官「なんでそんなことを聞くんだ?」

ヒッパー「あんたと親しい私が全く知らないから」

指揮官「そうか……」

ヒッパー「……それで、どうなの?」

指揮官「……そう信じている。けど、いろいろあってな……いや、何でもない。今でも親しいと信じているよ」

ヒッパー「……なんでだろ。あんたのこと、よく知っているはずなのに何も知らない気がする」

指揮官「……」

ヒッパー「どんな子なの?その子。教えて」

指揮官「そうだな……フランクだがどこかミステリアスで、妖艶な雰囲気を纏っていたよ。……けど、ある時それが仮面だと気が付いた」

指揮官「本当の自分を見せない子だった。最初のころはあまり笑わなかったしな。心を閉ざしていたんだ」

指揮官「たまに見せてくれるようになった笑顔も作り笑いだと気が付いてしまった。何かとても大きな闇を抱えているようだった」

ヒッパー「……」

指揮官「そんなあの子を支えてあげたいと……本物の笑顔を見たいと思ったんだ。すると、だんだんと心を開いてくれた」

指揮官「見せてくれるようになった素顔の部分が嬉しくてな。本物の笑顔を見た時、気が付いたんだ。ああ、この子が好きなんだって」

ヒッパー「っ……」ダキッ ギュッ

指揮官(ヒッパーが辛そうに顔を歪めた。そして抱きついてくる。強く強く抱きしめられた。まるで捕まえるように)

ヒッパー「……今、あんたの隣にいるのは私よ。その子じゃない。私を見てよ。気が付いてないなら、気が付いてよ」

指揮官「っ!!」

指揮官(やるせない想いが込められた言葉だった。悲しみと怒りと焦燥とが混じり合った複雑な声音だった)

ヒッパー「あんたが全部私のモノにならないなら、私……っ!!……ごめん、なんでもないわ。忘れて」バッ

指揮官(はじかれた様に飛び退るヒッパー。俯き気味に顔を背けてしまった。太陽はもう沈んでしまっている)

指揮官(茜色の空が夜へと移りかわっていく最中だ。星が瞬き、満月が白く白く輝き始めている。ヒッパーの頬を一筋の光が垂れた)

指揮官「っ」ダキッ ギュッ

ヒッパー「!!」

指揮官(そうせずにはいられなかった。言葉にできない感情が俺の体を突き動かしていた。腕の中でヒッパーが硬直する)

ヒッパー「っ……!!」ダキッ ギュゥ

指揮官(そして腕を俺の体に回してきた。強く抱きしめ返される。ああ、もう自覚せざるを得ない)

指揮官(命を救われて、仮想世界で共に戦い、暮らして、ヒッパーのことを知って、偽物でも本物の好意を向けられて、俺はヒッパーのことが好きになっていたのだ)

指揮官(だが、それはオイゲンへの想いと背反する想いだ……しかしもう無視できない。目の前で涙を流すヒッパーを見て……)

指揮官(いけないと分かっていながらもこうして抱きしめずにはいられない。それほどにこの想いは大きくなっていた)

指揮官「ヒッパー……」

ヒッパー「指揮官……」

指揮官「……俺は」

ヒッパー「分かってる、言わないで」

指揮官「っ……」

ヒッパー「……負けないから」

ヒッパー「はい、指揮官。今日のお弁当はサンドイッチよ。ハムとレタスとオニオンのね。それとリンゴもあるわ」

指揮官「ありがとう、ヒッパー。とても美味しそうだ」

ヒッパー「当たり前でしょ?誰が作ったと思ってるのよ」

指揮官「確かにな」

指揮官(遊園施設に行って以来、ヒッパーは甲斐甲斐しくなった。必ず昼には弁当を作って持ってきてくれる)

指揮官(それに休憩にはコーヒーを淹れてくれるし、夜は手料理を振舞ってくれるのだ。しかもとてもおいしい)

ヒッパー「ほら、ありがたく召し上がりなさいよね。その間にリンゴ剥いちゃうから」

指揮官「ああ、いただきます。……んー、すっかり俺好みの味付けを知られてしまったな」

ヒッパー「はぁ?当たり前でしょそんなの。どんだけあんたの為に料理してあげてると思ってるのよマヌケ」

指揮官「ここ一週間ほどだろう?そんなに回数多いとは言えないと思うんだが」

ヒッパー「はあ!?私がこんだけ手料理を振舞うこと自体貴重なのよバカ!!ありがたく思いなさいよ!!」キッ

ヒッパー「それにあんたにおいしいって言ってもらえるように私は努力してんの!!分かったら……少しは私の評価をあげといてね」モジモジ チラッ

指揮官「っ!!あ、ああ……うむ……」

指揮官(そしてこれだ。いつもの苛烈なヒッパーが時折見せるようになった露骨なデレ。それが強烈な一撃となって襲ってくる)

指揮官(何というか……凶悪だった。あの日以来、ヒッパーは積極的なアピールをし始めるようになったのだ)

指揮官「……ご馳走様、ヒッパー。おいしかったよ」

ヒッパー「そう。それはよかったわ」

指揮官(休憩の残り時間をヒッパーとコーヒーを飲みながらゆっくり過ごす。リラックスできる時間だった。が、休憩の終わりがやってくる)

ヒッパー「そろそろ時間ね。今日は私、午後から出撃だから」

指揮官「ああ、気を付けてくれ」

ヒッパー「分かってる。……だから抱きしめてくれない?」

指揮官「っ、ああ、もちろんだ」

指揮官(ヒッパーを抱きしめる。俺の胸に顔をうずめたヒッパーは甘えるように頬ずりする。俺もヒッパーの頭を撫でた)

ヒッパー「……ん、これで戦えるわ。じゃあ行ってくる。夜ご飯はフリカデレにするわ。楽しみにしてなさい」

指揮官「本当に?待ちきれないよ」

ヒッパー「あとは焼くだけにしてあるから、もし私の帰還が遅れるようだったら自分で焼いて食べてもいいわ」

指揮官「いや、待つさ」

ヒッパー「なら……早く帰れるようにしなくちゃね。また夜に」

指揮官「頼んだ、ヒッパー」



指揮官(緊張感を失っていた。ここがセイレーンの世界だということを十分深刻に考えていなかった。それとも、あるいは……)

指揮官(心のどこかで俺は諦めかけていたのだろうか?このまま歪な世界でヒッパーと二人で生きていく覚悟をしていたのだろうか?)

指揮官(病院で話して以来、一度も話し合わなかったこの世界の真実に俺たちはちゃんと向き合うべきだった)

指揮官「頼む、狙いは俺の筈だ!!俺はもう抵抗しない!!だからヒッパーの命は助けてくれ!!」

「見苦しいのは好きじゃないわね。言わなきゃわからない訳じゃないでしょ?」

指揮官「っ……!!」

ヒッパー「はぁ……はぁ……」

オイゲン「んっ……うぅ……ふふ、鎧袖一触よ。その男を置いてさっさと逃げればよかったのに」

指揮官(そのツケを払うことになった。俺を庇うように立ちふさがるヒッパー。それと対峙するオイゲンとセイレーン)

指揮官(拠点が襲撃を受けた。ヒッパーはかつてのオイゲンのように俺を助けに来てくれた。いや、来てしまった)

指揮官(セイレーンとその配下の量産型に加え、洗脳されたオイゲンまでもが襲撃に参加していた)

指揮官(俺は殻たちを率いて戦ったが、戦力差はいかんともしがたく艦隊は壊滅。最期を覚悟しヒッパー率いる出撃中の艦隊へ近隣の味方拠点へ撤退するよう命令した)

指揮官(この仮想世界でその後どうなるのかはわからないが、ここへ来てしまったら間違いなく殺される。だからそう命令した)

指揮官(だが、ヒッパーは命令を無視して戻ってきた。出撃で消耗しているというのに付近を封鎖していた量産型の艦隊をたった一人で突破して)

指揮官(しかし、さらに消耗した状態でまだ十分余裕のあったオイゲンとセイレーンを相手にできるわけがなかった)

ヒッパー「誰が……逃げるか……!!」

指揮官(ヒッパーは大破してもなおオイゲンとセイレーンの前に立ちふさがっていた。未だに闘志を失っていない。しかし……)

オイゲン「ふぅん、そう。ご立派だけど、勇気と蛮勇をはき違えているわ。無謀の代償はお前の命で払うことになったわね」

ヒッパー「っ……!!Scheiße……!!」

指揮官「ヒッパー……どうして来たんだ……こんな事、望んでいなかった……!!」

ヒッパー「はぁ……!?あんたバカァ!?私は……あんたを失ってまで生きていたくないのよ!!」

ヒッパー「言ったでしょ!?あんたが全部私にモノにならないなら、私何もいらないって!!命だって……いらないのよ……!!」

指揮官「っ……すまない、ヒッパー……俺は」

「はい、無駄話はおしまいよ。オイゲン、あの男を先に殺しなさい」

指揮官(君を愛していると最期のに伝えようとした俺を遮るようにそう言い放つセイレーン。ヒッパーが震える声で懇願した)

ヒッパー「お願い、この人の命だけは助けて!!私は殺してくれて構わないから……この人だけは……!!」

オイゲン「……だ、そうだけど?」

「命令に変更はないわ。絶対にね」

オイゲン「だって。悪いわね、ヒッパー。安心して、すぐにヴァルハラで会えるわよ」

ヒッパー「っ……!!なら、せめて私を先に殺して!!お願い!!殺すのなら私を先にやりなさい!!」

オイゲン「ヒッパー、鉄血軍人なら最期まで堂々としてなさい。みっともなく喚き散らすな」

ドン

ヒッパー「うっ……ぐぅ……!!」

指揮官「ヒッパー!!」

指揮官(セイレーンが発砲する。ヒッパーは腹部に被弾し、その場に尻もちをつくように倒れこんだ)

指揮官(俺は駆け寄ってヒッパーを抱き起す。未だにヒッパーの艤装はヒッパーの命を辛うじて守っているようだ)

指揮官「よかった……!!」

ヒッパー「っ……うぅ……指揮官……」ポロポロ

オイゲン「……ふぅん」チラッ

「慈悲をかけたつもりだけど、失敗したわね。オイゲン、やりなさい。二人まとめてでいいわ」

指揮官「!!」 ハッ

指揮官(セイレーンの装備しているそれを俺は見逃さなかった。洗脳装置だ。あれさえ壊せればもしかしたら……!!)

指揮官「……」スッ

ヒッパー「指揮官……私……」

指揮官(まるで愛する男女がするように、俺は自然に腕の中のヒッパーの後頭部に口付けするようにして口元を隠す)

指揮官(そして万が一にもオイゲンとセイレーンに聞こえないように小さな声で囁くように命令する)

指揮官「セイレーンの装備しているアンテナかレーダーのようなものが見えるな?俺が気を引くからあれを撃て」

ヒッパー「……」

指揮官(俺の命令にヒッパーは沈黙を以て答えた。言いかけた言葉を飲み込み、相手に不信感を与えないように表情を変えずにただ黙りこくった)

指揮官「命令に変更はないのだろう、絶対に!?ならやりやすくしてやろう!!ほら、俺を撃つがいい!!」

指揮官(立ち上がり、ヒッパーの射線と視線を塞がないように気を付けながらオイゲンの前へと進んでいく)

指揮官(俺の体で今すぐにでも反応できるオイゲンからヒッパーを隠すのだ。しかも、怪しまれないように自然に)

オイゲン「近づくな」ドガッ

指揮官「ぐっ!?あぁ……!!」

ヒッパー「!!」ドクン

指揮官(吹き飛ばされる。プリンツに艤装で殴られた。頭を打ち、切ってしまったようでかなり出血している)

オイゲン「消えなさい。目障りなのよ」スチャッ

指揮官「つぅ……!!」

ヒッパー「っ……!!」キッ ドゴォン

「っ!?」ガギィン

指揮官(……完璧だった。ヒッパーが放った砲弾はセイレーンの洗脳装置を直撃し、破壊した。驚きに目を見開くセイレーン)

指揮官(負傷した甲斐があったというものだ。セイレーンは驚愕の面持ちで破壊された洗脳装置を見て、こちらに顔を向ける)

「……あはっ。あはははは!!やっぱりお前たちは必要な存在!!予想を超えて進化していく!!」

「与えられずとも勝ち取っていくのね!?ああ、最高の気分!!もっとその先を見せて!!連れて行って!!」

指揮官(セイレーンが狂喜しながら意味不明なことを喚いていた。が、そんなことどうでもいい。どうだ?洗脳は解けるか!?)

オイゲン「……ぇ。ぁ……あぁ……そんな……指揮官……私……!!」

指揮官(目の前で、俺に砲を向けたオイゲンから殺意が消えていく。武器を下ろし、目を見開いて顔を引きつらせる)

ヒッパー「……はっ?う……嘘……そんな……そんな事って……」

指揮官(そして背後で混乱しているように呆然と呟くヒッパー。声だけでその狼狽っぷりが手に取るように分かった。やった!!二人の洗脳が解けたのだ!!)

指揮官「撃て!!ヒッパー!!」

ヒッパー「っ……!!誰がヒッパーだ!!気軽く私の名前を……!!」ギロリ チャキ ドゴォン

「うぅっ!!っ……ふふっ……今は引いておくわ……もっともっと見せて頂戴……!!」ドガァン

指揮官「撤退!?っ……」

ヒッパー「っ!!逃げるなこの!!うっ……!?くっ……!!」クラリ ペタン

オイゲン「私……私が……指揮官を……?そんな……そんな……!!違う……違うわ……違うのよ……!!私は……あぁ……!!」

指揮官(逃げるセイレーンを追おうとしたヒッパーが立ち眩みを起こしたかのようにその場に四つん這いに倒れこむ)

指揮官(オイゲンの方もその場に座り込み。壮絶な表情で呟くように何事か言っていた。呆然自失といった感じだ。壊れた人形のように首を振っている)

指揮官「っ……大丈夫か、ヒッ……アドミラル・ヒッパー?」

ヒッパー「っ……!!っ……何なのよコレ……大丈夫に見えるの!?このバカ!!全然大丈夫じゃないわよ!!」

指揮官「そうか……ここ一か月半ほどの記憶はあるか?」

ヒッパー「うるさい!!あるに決まってんでしょ!?今ちょっと考えてるから黙ってなさい、このマヌケ!!」

指揮官(ヒッパーは今にも泣きそうに顔を引きつらせながら怒鳴る。記憶がある、か。よかった。これならこれからも協力しやすくなるだろう)

指揮官「……プリンツ・オイゲン」

指揮官(俺はオイゲンの方へ歩いていき、声をかける。オイゲンはぴたりと動きを止めると油の切れた機械のようなぎこちない動作で俺の方を見る)

オイゲン「し……きかん……!!」

指揮官「っ……久しぶりだな……」

オイゲン「っ!!うぅ……うぅうううう……!!ごめんなさい……ごめんなさい、指揮官……!!」ボロボロボロ

指揮官(オイゲンがその場に蹲って涙を流し始める。俺はそんなオイゲンの近くにしゃがみ込み、頭を撫でた)

指揮官「プリンツ・オイゲン……いや、オイゲン……君は悪くない……だから泣かないでくれ……」

オイゲン「ぐすっ……ひっく……でも私……あ、貴方を……傷つけて……殺しかけた……!!」

指揮官「セイレーンに精神操作を受けていたんだ。仕方がない。俺はあの日からずっと君が俺に助けを求めたのを忘れたことはなかったよ」

オイゲン「指揮官……!!」

指揮官「だが、こうも時間がかかってしまった……遅くなってすまない……」

オイゲン「……!!うぅ……!!」ダキッ ギュッ

指揮官「……!!もう大丈夫だ……っ……」ズキッ ナデナデ ジワァ

指揮官(オイゲンが抱きついてきて、俺の胸に顔を埋めた。そして子供のように泣いている。いや、まだ子供か)

指揮官(打った頭に鈍い鈍痛を感じるが、それに耐えてオイゲンを撫でた。懐かしいオイゲンの匂いと体温)

指揮官(あの日失ったオイゲンを取り戻せた。そう思うだけで目頭が熱く、心がたまらなく震えてしまう。くるものがあった)

ヒッパー「……!!何やってんのよ指揮官!!私のことは放置ってわけ!?誰があんたを命がけで守ってあのセイレーンを撃退したと思っているのよ!?」

「「!!」」

指揮官(顔を向けると、ヒッパーは今にも泣きそうな顔で俺たちを睨みつけていた。肩が震え、ぎゅっと強く手を握っている)

指揮官「アドミラル・ヒッパー……すまない。そんなつもりじゃ」

ヒッパー「いつもみたいにヒッパーって呼びなさいよ!!このバカドジアホマヌケ!!何!?私はもうお役御免ってこと!?」

指揮官「ち、違う!!君が気安く名前を呼ぶなって言ったんじゃないか!?……ヒッパー!?」

ヒッパー「言ってない!!全然言ってない!!いいからそんな奴より私を助けなさいよ!!どう考えても私の方が重傷よ!!」

指揮官(ヒッパーからはゆっくりと血だまりがひろがっていた。それにやっと気が付いた。ヒッパーは深刻な傷を負っている!!なぜさっき気が付かなかった!!)

指揮官「ヒッパー!!なんてことだ……!!どうしたんだ!?」バッ

オイゲン「っ」ズキン

ヒッパー「っ……お腹が痛い……破片が刺さってたみたい……」

指揮官(ヒッパーに駆け寄り、腕に抱く。途端にヒッパーは吊り上げていた眉尻を心細そうに下げ、俺の腕を掴む)

指揮官「大丈夫だ、ヒッパー。助からない傷じゃないぞ。とりあえず病院へ行こう。痛むかもしれないが我慢してくれ」

ヒッパー「うん……」

指揮官(ヒッパーの血に濡れた生暖かい制服に手をまわし、両手で横抱きにする。そして辛そうにそんな俺を見つめていたオイゲンに声をかける)

指揮官「オイゲン、行こう。手伝ってくれ。君の助けが必要だ」

オイゲン「……わ、わかったわ」



指揮官(幸い、車は無事だった。オイゲンに運転を任せ、俺はヒッパーを抱えて後部座席に座る)

指揮官(オイゲンを誘導しながらヒッパーの傷を押さえる。が、刺さっているであろう破片に配慮すると不完全なものとなってしまう)

ヒッパー「っ……指揮官……」

指揮官(痛みに耐えるように荒い息を吐いていたヒッパーが俺を呼ぶ。顔を見るとエメラルドの瞳と目が合った)

指揮官「どうした、ヒッパー?」

ヒッパー「私……死ぬの……?いや……こわい……こわいわ、指揮官……」ツゥー

指揮官「すぐに病院に着く。きっと何とかなる。だから頑張ってくれ。……死なないでくれ」ギュッ

ヒッパー「……指揮官は……私に……っ……死んでほしくない?」

指揮官「勿論だ!!」

ヒッパー「よかった……私……ついひどいこと言っちゃうから……きらわれてるかもって……」

指揮官「そんなわけあるか!!」

ヒッパー「お願い……私をはなさないで……」

指揮官「離すものか。絶対に」

指揮官(目を閉じるヒッパー。涙がこぼれた。俺は弱々しく握られる手をしっかりと握りしめた)

オイゲン「……」キュッ



オイゲン「っ……」ジワァ

明石「終わったにゃ」ガチャッ

オイゲン「っ!?司令官は大丈夫なの!?」ガタッ

明石「今のところ、命に別条はないにゃ。頭部の裂傷やその他の傷の処置は完璧にゃ」

オイゲン「よかった……!!本当によかった……!!」ツゥー

明石「けど頭部打撲については問題なさそうでもしばらく様子を見る必要があるにゃ。だからお前が指揮官につきっきりで様子を見るにゃ」

オイゲン「ええ、もちろんよ」

明石「文字通り一日中、寝てる間も一緒にいるにゃ。トイレは仕方ないにしてもお風呂は一緒にはいれにゃ」

オイゲン「!?」

明石「いついきなり容体が悪化するかわからないにゃ。寝ている間かもしれないし、湯船に浸かっている間かもしれないにゃ」

明石「それに指揮官は肩を負傷しているにゃ。おそらく手をあげると痛むはずにゃ。あれじゃ満足に頭や体を洗うことも難しいにゃ」

オイゲン「そう……ね……そうだわ……ええ、私がつきっきりで指揮官を見る」



指揮官(俺は医者ではないが軍人として最低限のことはできる。そして病院には処置に必要なものがそろっている)

指揮官(依然ここにいたのでよく知っていた。だからこそ俺はここに来た。自分でヒッパーの傷を手当てするために)

指揮官(しかし病院では殻たちが俺たちを迎えた。そしてなんと傷の治療をしてくれた。セイレーンは何をしたいのだろうか?)

指揮官(ここは仮想世界だ。医者などいない。放っておくこともできるのにこんな事をする理由が分からなかった)

オイゲン「指揮官……失礼するわね」

指揮官「オイゲン!!ヒッパーの様子は?」

オイゲン「……殻たちの話では命に別条なしとのことよ。今は眠っている。指揮官は大丈夫?」

指揮官「そうか、よかった……!!俺は大丈夫だ、オイゲン。変な頭痛も気分の悪さもない。ありがとうな」

オイゲン「よかった……!!私、指揮官に何かあったらどうしようかと……!!」ジワァ

指揮官(オイゲンは心から安心したように顔を綻ばせた。目には涙がいっぱいに溜まっている。本当に俺のことを想っていくれている)

指揮官「オイゲン……ありがとう」

指揮官(俺は処置の間座っていた椅子から立ち上がると、オイゲンに歩み寄り、抱きしめた。オイゲンもまた俺を抱きしめてくる)

指揮官(改めて再会を実感した。久しぶりの、本当に久しぶりのオイゲンの匂いと体温。俺も目頭が熱くなった)

指揮官(燃えるような空が紫色に代わっていき、部屋が暗くなっていくのも構わず互いの存在を確かめ合う。言葉はいらなかった)

指揮官(空が完全に茜色になるころようやく満足した。そこで気が付く。俺は血や汗、硝煙の匂いでひどいことになっていた。最悪だ……)

指揮官「……明石に風呂に入るように言われたんだ。入ってこようかな」

オイゲン「お風呂ね、分かったわ」



オイゲン「……痛くない?」

指揮官「あ、ああ、大丈夫だ」

指揮官(オイゲンが労わる様に優しく頭を洗ってくれている。傷にしみるがそれよりも心地が良かった)

指揮官(まさかこの年になって頭を洗ってもらうことになるとは思わなかった。だが、悪くないものだ)

オイゲン「よし、流すわね」

指揮官「頼む」

指揮官(ぬるま湯のシャワーが泡を洗い流していく。洗い終わり、オイゲンの手が離れてしまうのが少し残念だった)

オイゲン「ん、シャンプー終わり」

指揮官「ありがとう、オイゲン」

オイゲン「次は体ね。傷もあるし、手の方がいいわよね」

指揮官「!?」

指揮官(そう言いつつ手にボディーソープを出して泡立てるオイゲン。洗ってもらいたいという欲求をなんとか理性でねじ伏せる)

指揮官「オイゲン!?大丈夫だ!!体は自分で洗える!!」

オイゲン「遠慮しないで、指揮官。無理はよくないわ」

指揮官「む、無理なんかしてない!!」

オイゲン「してるわ。手をあげると痛むでしょ。いいから洗わせて」

指揮官「っ……!!」

指揮官(オイゲンが背中を洗い始める。腰に巻いたタオルは大丈夫そうだ。息子の方も、なんとか……)

オイゲン「っ……」ズキン

指揮官「っ!!」ハッ

指揮官(一気に熱が冷める。鏡越しに見たオイゲンの悲痛な表情。それは自責の念だ。俺の体の傷を辛そうに見つめている)

オイゲン「手、洗うわよ」

指揮官「ああ……」

指揮官(オイゲンのせいじゃない。だが、オイゲンにとってはそうではないのだろう。……変なことを考えていた自分が恥ずかしかった)

オイゲン「……じゃあ、次は前ね」

指揮官「ああ……って前!?前は大丈夫だ!!オイゲン、あとはもう大丈夫だから本当に!!ありがとう!!あとは自分でできる!!」

指揮官(といったシリアスな考えも雲散霧消してしまう。今前を洗われるのはまずい!!今じゃなくてもまずいことな気もするが!!)

オイゲン「そ、そう……?わかったわ」

指揮官(俺の必死の遠慮に戸惑いつつも何とかオイゲンにこれ以上体を洗われることを防ぐことができた)

指揮官(今、オイゲンは俺の体を洗うためにシャツと短パンという姿になっている。この状況であの大きな胸や生足を見せられたらと思うと……)

指揮官「……オイゲン?」

オイゲン「何?どうかしたの?」

指揮官「その……体を洗おうと思うのだが……」

オイゲン「ええ。っ!!……やっぱり洗った方がいい?」

指揮官「そうじゃなくて!!その……っ……見られていると洗いづらいと言いますか……」

オイゲン「っ!!そ、そうね……で、でも洗っている最中にいきなり倒れたりするかもしれないから……」

指揮官(ようやくオイゲンは後悔や自責から現状に意識が向いたようだった。が、顔を赤くしてもじもじとしながらも出ていかない)

指揮官「……!!」

オイゲン「その……心配なの……近くに居させて……?」

指揮官(不安に揺れる視線。か細くも本心からのその言葉に、『悪いが脱衣所に居てくれ、倒れればすぐわかるから』という言葉を飲み込まざるを得なかった)

指揮官「……」ザー

オイゲン「……///」ドキドキ

指揮官(同じ浴室内にはいたものの、オイゲンは俺に配慮して背中を向けてくれていてくれた。とはいっても羞恥プレイだった)

指揮官「終わったよ……」

オイゲン「わ、わかったわ」

指揮官「さて、上がろうか」

オイゲン「えっ?お風呂に入らないの?」

指揮官「えっ」

オイゲン「入りなさいよ。打ったところを温めるのはよくないから半身浴ぐらいしかお湯ためてないけど」

指揮官「いや、しかし……」

オイゲン「重楼の人は好きなんでしょ、お風呂。……お願い、遠慮しないで。大丈夫、私、ちゃんとむこう向いてるから」

指揮官(そう言って背中を向けるオイゲン。遠慮しないでといったときの声音は少し苦しそうで……俺は入ることにした)

指揮官「わかった。……ふぅ。いいお湯だ」

オイゲン「それはよかったわ。……なんで重楼の人はお湯につかるのが好きなのかしら」

指揮官「気持ちいいからだと思うぞ。心が洗われるというか……説明が難しいな。まあ、実際に入ってみればわかるさ」

オイゲン「ふーん……」

指揮官「……オイゲン、暑くないか?」

オイゲン「少しね。大丈夫よ」

指揮官「そうか……脱衣所は涼しいはずだ。そこで待っていた方がいいんじゃないか?もし何かあっても」

オイゲン「それは嫌。……指揮官から離れたくないわ」

指揮官「っ……そうか……迷惑かけてすまない」

オイゲン「そんな!!違うわ……っ!!そうね、なら私もシャワーを浴びればいいんだわ。指揮官の様子を見られて、体も洗える。一石二鳥じゃない」ハッ

指揮官「!?」

オイゲン「んっ……」シュルシュル

指揮官(とんでもないことを言い出したオイゲン。止める間もなくシャツを脱いで、短パンも脱いでしまう。イメージ通り、下着は黒かった)

指揮官(が、そこまでで俺はオイゲンから目を背ける。そして極めて平静を装ってオイゲンに注意した)

指揮官「お、オイゲン。俺も男だ。君は年頃の女性なんだから男の前でそう言うことをするのはよくないぞ」

オイゲン「指揮官以外の男の前でこんな事しないわよ。それに……指揮官になら見られてもいいわ」

指揮官「……!!」

指揮官(シャワーの音が響く。その水音やオイゲンの息遣いや身動き一つ一つが心を乱してくる。俺は必死で耐えた)



オイゲン「……よし」

指揮官「終わったのか?女の子はもっと時間がかかるものかと思ったが」

オイゲン「ふふっ、私は軍人よ、指揮官。それに今日は急いだの。指揮官がのぼせないようにね」

指揮官「そ、そうか……俺は本来長風呂だからな。気にしないでくれ。もう少し入ってるから先に上がっていいぞ」

オイゲン「そうなの?……じゃあ、私も入ってみようかな、お風呂」

指揮官「!?」

指揮官(ひたひたと近づいてくる足音。確かにここの風呂場は二人でも入れるぐらいの広さがあるが、あくまでただの風呂だ)

指揮官(温泉や銭湯の浴場とは違う。距離が近すぎる……肌が触れてしまうぞ……!!と考えていたら聞こえる水音)

オイゲン「失礼するわね。んっ……へぇ……悪くないわ……」チャポン

指揮官(俺の左隣にオイゲンが入ってきた。足からそろりと湯船に入って、そのまま腰を下ろす。今、一瞬視界の端に映ったのは腰か)

指揮官(思わずそちらを見てしまう。オイゲンの横顔はとても色っぽかった。髪を束ねて上げているためにうなじが見えるのも新鮮だ)

指揮官(頭にタオルを巻いていても美人は映えるのだなと変に感心した。染まった頬、伏せられた目が羞恥のほどを知らせてくる)

指揮官(そしてその体。俺の腹の上あたりまでの湯量はオイゲンの豊かな胸、ほくろが色っぽいそれの下乳ぐらいまでしかない。胸はお湯に浮くというのは本当のようだった)

指揮官(いや、それとも水の量的にただそう見えるだけだろうか。ともかく、左手でその両峰の先端は隠しているが、豊満な胸をすべて隠すことはできていない)

指揮官(白い綺麗な肌、柔らかそうなふくらみの八割ほどが丸見えになっていた。触れたらどんなに柔らかいだろうか……と思ったところで我に返る)

指揮官「っ……!!」

指揮官(視線を前に固定する。それでもゆらゆらと揺れる水面の下に、よく見えないとはいえ白く長い脚が映ってしまうことをどうしようもできない)

指揮官「……!!」

オイゲン「……」チャプッ

指揮官「っ」ピクッ

オイゲン「……」スッ ピトッ

指揮官「っ!!」ビクッ

指揮官(暫しの沈黙を経て、なんとオイゲンが肩を寄せてきた。そして寄りかかる様に俺の肩に頭を乗せてくる)

指揮官「……!!」

オイゲン「……また会えて、こうして触れられて、本当に良かった」

指揮官「っ!!」

指揮官(静かに小さな声でそう呟くオイゲン。その声音は少し震えていて……湯船の中で右手が俺に触れてくる)

指揮官「ああ、本当に良かった」

指揮官(俺は左手でオイゲンの手を握った。そして頭を傾けてオイゲンの頭に寄りかかる。心からそう思った)



指揮官「……そろそろ上がるか」

オイゲン「ええ」

指揮官(立ち上がり、軽くシャワーを浴びる。椅子に座る俺にオイゲンがシャワーをかけてくれた)

指揮官(そして上半身をタオルで拭いてくれる。オイゲンはタオルを巻いただけの姿だったために再び下半身に血が集まってしまう)

オイゲン「……痛くない?」

指揮官「あ、ああ」ギンギン

オイゲン「……///」チラッ ドキドキ

指揮官(結局はこれかと男の性が悲しくなったが、何とか乗り切って二人で脱衣所へ。背中合わせに服を着る)

指揮官(俺を先にしようとするオイゲンに自分を先にするように言う。オイゲンがドライヤーで髪を乾かし始めた)

指揮官(広い脱衣所ではない。女の……オイゲンの匂いが部屋に充満する。甘い匂いだ。どうして女というのはこうもいい匂いがするのだろうか)

オイゲン「ふぅ……お待たせ、指揮官」

指揮官「いや、全然。俺の髪は短いからな。待っている間に乾いたよ」

オイゲン「そう……ごめんなさい……」

指揮官「謝らないでくれ!!全然君は悪くない!!」

オイゲン「……ありがとう」

指揮官「ああ……それじゃあ、ヒッパーの様子を見に行こうか」



ヒッパー「……」

エンタープライズ「意識は戻らないが問題ない。命に別状はないし、処置もうまくいった。そのうち目を覚ますだろう」

指揮官「そうか……ありがとう、エンタープライズ」

エンタープライズ「どういたしまして、指揮官。では、私は失礼する」

指揮官(ベッドの上に横たわるヒッパーは安らかな寝息をたてていた。栄養剤の点滴を受けているものの、ひとまずは大丈夫そうだ)

指揮官「ヒッパー……ありがとう」ナデナデ

オイゲン「……」

指揮官(ヒッパーの頭を撫でる。命が助かってよかった。今すぐにでも話したいが、無理をさせるわけにはいかない)

指揮官(しばらくヒッパーの寝顔を見つめる。俺は、おそらくこの後またヒッパーを戦闘に送らなくてはならい。セイレーンを倒すために)

指揮官(心が痛む。……だが、それが指揮官として俺が背負わなくてはならないものだ。かつてオイゲンが言ったように)

指揮官「……オイゲン。お腹が減った。何か食べないか?」

オイゲン「っ!!ええ、そうね。夕食にしましょう」



オイゲン「はい、召し上がれ。足りるかしら?」

指揮官「十分だよ。美味しそうなサンドイッチだ。ありがとう、いただきます。ん……ピクルスが入っているのか!!」

オイゲン「ええ。……おいしくない?」

指揮官「いや、まさか!!正直なんで今までなかったのか不思議に思うくらいだ。すごくおいしいよ」

オイゲン「よかった……!!本当はもっと手の込んだものを作ろうと思ったんだけど、時間が遅かったから手軽にできるのにしたわ」

指揮官「そうなのか?鉄血では夜はkaltessenといって軽いもので済ませるらしいじゃないか」

オイゲン「よく知っているわね、kaltessenなんて。正直、びっくりしたわ。鉄血の文化を知っているのね」

指揮官「ああ、ヒッパーがそう言っていてな。食事を作ってくれていたんだが、夜にこれだけかと言ったら怒ってそう言っていたんだ」

オイゲン「……そう」

指揮官(窓の外を眺めてながら思い出す。一週間ほど前のことだというのにずいぶん前のことのように感じた)

指揮官(そう言えばここでもヒッパーと一緒に食事をとったことがあった。この仮想世界に来たばっかりの頃、ひと月半程前のことだ)

指揮官(まだ入院……と言えるのかは分からないが、病院で暮らしていた頃に。ヒッパーはよく俺を介助してくれていた)

指揮官(懐かしい。……記憶が戻った今、もうああいう風に一緒に過ごすことはできないのかもしれない)

指揮官「……ん、おいしかった。ごちそうさま」

オイゲン「お粗末様……」

指揮官(サンドイッチを食べ終え、オイゲンに礼を述べる。そこで目をオイゲンに向けたことで気が付いた。オイゲンはとても辛そうにしていた)

指揮官「オイゲン?どうしたんだ……?」

オイゲン「えっ?っ!!いえ……なんでもないわ、指揮官。後片付けするから少し待っててもらえる?」ニコッ

指揮官「あ、ああ……」

指揮官(取り繕って笑顔を浮かべるオイゲン。長い付き合いの俺には分かる。久しぶりに見た、作り物の笑顔だった)




オイゲン「……」

指揮官「……!!」

指揮官(すぐ近くに感じる体温。息遣いは勿論ほんの少しの身じろぎですら分かる。鼻はまだオイゲンの匂いに慣れてくれていなかった)

指揮官(俺は今、オイゲンと同じベッドで寝ていた。オイゲンに背を向けてはいるが、背中が触れてしまいそうだ)

指揮官(セミダブルのベッドは一人で寝るのには十分だが、二人で寝るのには小さかった。眠れそうにない)

指揮官(事の始まりは俺の様子を見守るためということでオイゲンは俺と寝ると言い出したことだ)

指揮官(理由が理由なだけにさすがに遠慮しづらかった。が、ベッドを譲り椅子で寝ようとした俺にオイゲンが異を唱えた)

オイゲン『私は人からベッドを奪ったりしないわ。そもそも、指揮官は負傷しているのよ?ちゃんとベッドで寝なさい』

指揮官『俺も女の子を椅子で寝かせて自分はベッドで寝たりしないんだ。大丈夫、机で寝るのには慣れてる』

オイゲン『……なら、一緒に寝る?』

指揮官『!?』

指揮官(さすがにどうかと思ったが、俯き気味の上目遣いで悲し気に『私と寝るのは嫌……?』などと聞かれて断れるわけがなかった)

指揮官「……っ」

オイゲン「……指揮官、起きてる?」

指揮官「っ!?あ、ああ」

オイゲン「……覚えてる?今日、私が正気に戻った時のこと」

指揮官「っ!!……ああ」

オイゲン「私はあの時、頭が真っ白になった。指揮官をこの手で傷つけた。殺しかけた。それだけ私は……っ……」ウルッ

指揮官「オイゲン、君は悪くない。セイレーンに精神操作されていたんだ。奴の洗脳装置はヒッパーが破壊した。もう心配ない」

オイゲン「……でも、私は自分で自分を赦せないわ。あの時……一か月半前、私はあなたに酷いことを言って、見殺しにしようとした」

オイゲン「そして今回、とうとう私は自分の手で指揮官を……殺そうとした……!!それは変わらない事実よ……!!」

指揮官「っ……どうすれば、君は自分を赦せる?」

オイゲン「赦せないわ……絶対に……私……こんなはずじゃなかったのに……全部滅茶苦茶にされて、壊されてしまった……大事にしてたのに……!!」

指揮官「オイゲン」ゴソゴソ ダキッ

オイゲン「っ……!!」ビクッ

指揮官(今にも壊れてしまいそうな儚い声に、俺はその場でオイゲンに向き直り、震える背中を抱きしめた)

指揮官「……頼む、オイゲン。自分を赦してやってくれ。俺はオイゲンが……大切な人がそんな風に苦しむ姿、見たくない」

オイゲン「大切……?私が……?指揮官は私のこと、大切だと思ってくれてるの……?」

指揮官「もちろんだ」

オイゲン「あんな酷いこと言ったのに……?殺そうとしてしまったのに……?」

指揮官「オイゲン、余計なことを考えるのはもうやめろ。今、君は俺の隣にいて、俺が君を大切に思っている。それでいいじゃないか」

オイゲン「指揮官……!!」

指揮官「君と一緒に過ごした時間は、育んできた関係は、セイレーンなんかに簡単に壊されるような儚いものじゃない。そうだろう?」

オイゲン「っ……うぅ……!!」モゾモゾ ダキッ ギュッ

指揮官(後ろから抱きしめる俺の腕を強く握っていたオイゲンは、俺の腕の中でもぞもぞとこちらへ向き直る)

指揮官(そして俺の胸に顔を埋めて押し殺すように泣いた。俺はオイゲンを抱きしめ、頭を撫でていた)



指揮官「……っ」

オイゲン「Guten Morgen, 指揮官。コーヒーでも飲むかしら?」

指揮官(聞こえてくるオイゲンの声。窓の外は明るい。もう朝になっていた。もう少し横になっていたい欲求に逆らって体を起こす)

指揮官「オイゲン……?ああ、ありがとう……いつの間にか寝てしまっていたか」

オイゲン「ええ。とってもかわいい寝顔だったわ」

指揮官「っ……忘れてくれ」

オイゲン「いやよ。大切な思い出にする」クスッ

指揮官(いたずらっぽくはにかむオイゲン。思わず見惚れてしまうようなその笑顔はもう作り物ではなかった)



ヒッパー「……」

指揮官「……」

指揮官(翌日の朝になってもヒッパーは目を覚まさなかった。大丈夫だと分かっていてもこんなにも不安になるなんてな……)

オイゲン「……指揮官、朝ご飯できたわ」

指揮官「分かった、ありがとう。ではまた後で、ヒッパー」



指揮官(朝食はトーストと煮たヴルスト。それにサラダだった。ヒッパーとはヴルストの味付けが違う)

オイゲン「美味しい?」

指揮官「ああ、もちろん。この味付けは俺好みだよ」

オイゲン「だと思ったわ」

指揮官(そう言って微笑むオイゲンは、俺が食べるのを見てとても幸せそうだった。見られていると食べづらいとは言わないでおこう)



指揮官「殻たちが言うには拠点は明日にでも再建が完了するそうだ。被害が少なかったらしくてな」

指揮官「現在、殻たちに周辺の警戒とセイレーンの捜索をしてもらっている。今のところ成果はあがっていないが」

オイゲン「了解。これからの目標はこの仮想世界を脱出して元の世界に戻ることかしら?」

指揮官「ああ。そのためにはおそらくあのセイレーンを倒すしかない。奴の目的は不明だが、また何かしらか仕掛けてくるはずだ」

指揮官「返り討ちにしてやろう。……その時までにヒッパーが回復してくれればいいのだが」

オイゲン「ヒッパーは強いわ。すぐに良くなってまたうるさく騒ぎ立て始めるでしょうね」

指揮官「確かにな。さて、ではできることから始めていくとしよう。オイゲン、頼りにしているぞ」

オイゲン「任せて頂戴。……懐かしいわね、こうして秘書艦をするの」

指揮官「ああ、そうだな。君がいてくれるだけでこうも心強い」

オイゲン「ふふっ」



オイゲン「はい、お弁当」

指揮官「ありがとう、オイゲン。さて、何かな……これは!!重楼料理か!?」

オイゲン「そうよ。美味しくできてるといいのだけど」

指揮官「久しぶりの米というだけでありがたいさ。どれどれ……ああ、君の味付けだ。君の料理だ」

オイゲン「重楼の味付けとは違うかしら……?」

指揮官「少しな。だが、君の味の方が俺は好きだ」

オイゲン「本当?」

指揮官「もちろんだとも」

オイゲン「そう言ってくれてうれしいわ、指揮官」



オイゲン「到着。今日一日お疲れ様、指揮官」

指揮官「君もな、オイゲン」

オイゲン「夕食にする?それとも先にお風呂?」

指揮官「そうだな……先に食事がいいな。だがその前にヒッパーの様子を見に行こう」

オイゲン「そうね」



ヒッパー「……」

指揮官「……俺の時は丸一日寝ていたらしい。君の方がねぼすけだな、ヒッパー」

オイゲン「……明日にはきっと目を覚ますわよ」

指揮官「ああ、そうだな……」



指揮官「ご馳走様。おいしかったよ、オイゲン」

オイゲン「お粗末様。少し休んでからお風呂かしら?」

指揮官「ああ。少しヒッパーのところに行ってくる」

オイゲン「そう。じゃあお風呂の用意してくるわ。一緒にさっぱりするわよね?まだ腕、上がらないでしょ」

指揮官「っ!?」

オイゲン「……」ジッ

指揮官(オイゲンに真っすぐ見つめられる。想像しただけで下半身に血が集まってきてしまった)

指揮官「……!!」

指揮官(結局、俺はオイゲンに背中を流してもらってしまった。クセになってしまいそうだ)

オイゲン「~♪」

指揮官(湯船に浸かっている間にも、オイゲンが鼻歌を歌いながらシャワーを浴びている音が俺の心を乱していた)



指揮官「……」

オイゲン「すぅ……すぅ……」

指揮官(夜、オイゲンは当たり前のように俺のベッドで一緒に寝ていた。あまりにも自然だったのでつい声をかけられなかった程だ)

指揮官(オイゲンの匂いと体温が俺の一部になりつつある。このままではオイゲンなしではダメになってしまうだろう)

指揮官(そうなってしまってもいい。ずっとそんな日を夢見ていた。むしろ望むところだとも思う)

指揮官(しかしどうにもそうできなかった。俺の心の中にいるもう一人の少女……ヒッパーのことを考えると躊躇ってしまう)

指揮官「俺は……最低だな……」



ヒッパー「っ……んっ……知らない天井……」

ヒッパー(……どこここ?私……っ!!そうよ、私、指揮官を守るためにセイレーンとオイゲンと戦って……!!)

ヒッパー(でも、指揮官はアズールレーンで……私の……レッドアクシズの敵で……私は……私は……!!)

ヒッパー「うっ……あぁ……っ……指揮官……指揮官……どこ……?」ズキン グッ ブチッ ヨロヨロ



オイゲン「~♪」

オイゲン(まるで結婚したみたいだった。好きな人の隣で目が覚めて、こうして朝食の用意をして、おはようと言う)

オイゲン(昼には作ったお弁当を一緒に食べて、夜ご飯を作って、お風呂で背中を流して、そして指揮官の隣で眠りにつく)

オイゲン(ずっと夢見ていた生活だった。分かっている。これが望んでいたもののまがい物だと)

オイゲン(でも、幸せだった。不謹慎だと自分でも思う。それでも、そう願わざるを得ない。このままこの生活が終わらなければいいのにと)

オイゲン「これが夢なら、覚めなければいいのに……」

ヒッパー「指揮官……?」

オイゲン「っ!?」ビクッ

ヒッパー「っ……!!オイゲン……!!」

オイゲン「ヒッパー……目が覚めたのね」

ヒッパー「……指揮官はどこ?」

オイゲン「……私たちは貴方の敵だと思ったけど」ジッ

ヒッパー「っ……いいから、指揮官はどこにいるのか教えなさい……!!」キッ

オイゲン「……倒れられても困るし、ここで座って待っていなさい。呼んでくるわ」

ヒッパー「信じられるか……!!いいからどこにいるのか教えなさいよ……!!」

オイゲン「そう……なら、どうするのかしらね?私を拷問して吐かせてみる?できるのかしら」

ヒッパー「っ……!!」

オイゲン「殺そうと思えばいつでも殺せたわ。少しくらい信用してくれても罰はあたらないと思うけどね」

ヒッパー「……」



指揮官「ヒッパー!!」

ヒッパー「指揮官……!!」

指揮官(目の前にヒッパーがいた。敵意と好意が入り混じったような複雑で困惑したような表情を浮かべて俺を見つめている)

指揮官「目が覚めたんだな!?体は大丈夫か!?」

ヒッパー「ええ、大丈夫みたい……」

指揮官(歩み寄る俺にヒッパーは少し警戒したように眼差しを鋭くして椅子から立ち上がる。が、俺は構わずヒッパーを抱きしめた)

ヒッパー「っ!!」

指揮官「よかった……本当によかった……目が覚めなかったらどうしようかと思っていたんだ……!!」ダキッ ギュッ

ヒッパー「……はぁ?何バカな事考えてんのよ。私が死ぬわけないじゃない、このバカ……」ダキッ ギュッ

オイゲン「……」



指揮官(ヒッパーが目覚めてから三日が経った。すでにヒッパーは十分に回復しているようだった)

指揮官(もう戦闘が可能な程だ。セイレーンが襲撃してきても迎撃に参加できるだろう。驚異的な治癒力だ)

指揮官(まあ、世の中には軍医があきらめるほどの重傷を負っても翌日には歩けるまでに快復するような人間もいるからな)

指揮官「さて……もしこっちの状況が分かるのであれば、セイレーンが何かアクションを起こすとしたら今だと思うが……」



オイゲン「……」

ヒッパー「……」

ヒッパー『はっ……?一緒にお風呂に入った……?しかも同じベッドで寝た……!?』

オイゲン『何か問題でもあるのかしら?』

ヒッパー『っ……!!嘘よ……!!』

オイゲン『嘘を吐く理由はないわ。私たちはずっと一緒に戦ってきたのよ?深い関係でも何らおかしいことはないでしょ』

ヒッパー『くっ……わ、私だってここひと月半ずっと指揮官と一緒に過ごしてた……!!食事にだって連れて行ってくれた!!』

ヒッパー『遊園地にだって一緒に行ったし、ロマンティックな時間だって一緒に過ごした!!手料理だってたくさん作ってあげたわ!!』

オイゲン『そう……それで、それが何?』

ヒッパー『っ!!っ……ぅ……ふんっ!!私はそれをここひと月半でしたわ。ひと月半でそこまで関係を深めた』ジワァ キッ ニタァ

オイゲン『……』ピクッ

ヒッパー『あんたはそこまで関係を深めるのに何年かけたのかしら?あんた同じベッドで寝たって言ったけど、シたの?シてないでしょ!!』

オイゲン『……それが何よ』

ヒッパー『あはっ!!なんで指揮官はあんたを抱かなかったの!?どうして指揮官はあの日、城の塔から沈む夕日を眺めている時に私を抱きしめたの!?』

オイゲン『っ!!』 ゾワッ

ヒッパー『せいぜい今のうちに夢を見ていなさいよ、このバカ!!すぐに私が指揮官を奪い取ってやるわ!!』

オイゲン『……どう言い訳しようかしら、あんたが居なくなったこと』ギロリ

ヒッパー『ふん!!かかってきなさい!!返り討ちにしてやる!!』キッ

エンタープライズ『ふふっ……あははははっ』

『『!?』』

エンタープライズ『いや、すまない。思わず笑ってしまった』

オイゲン『お前……ただの殻じゃないわね……?』

ヒッパー『何者よ!?正体を現しなさい!!』

エンタープライズ『あの男が大事なのだな。女の愛憎劇はこうも興味をそそるものか。人がドラマや映画を見るわけだ』

ヒッパー『っ!!どうでもいいことをべらべらべらべらとうるさいのよ!!』

オイゲン『沈めるわよ?死にたくなかったら質問に答えなさい』

エンタープライズ『別に構わないさ。これはただの殻。失ってもどうということはない。むしろお前たちの首を絞めることになる』

ヒッパー『っ……!!』

オイゲン『……何の用かしら?』

エンタープライズ『何、少しアドバイスをあげようと思ってな。お前たちはお互いしか眼中にないようだ』

エンタープライズ『だが、そもそもどうしてお前たちのどちらかがあの男に伴侶として選ばれると疑いなく思える?』

『『!!』』

エンタープライズ『元の世界に戻ったとして、そこには他の女もたくさんいる。お前たちのような元フネではなく純粋なヒトの女が』

エンタープライズ『ヒトというのは排他的な生き物だ。国、民族、宗教、思想……そして、人種。それらを理由とした争いで何人死んだのか』

エンタープライズ『純粋なヒトであっても肌の色が黒いというだけで動物のように扱われた人種がある』

エンタープライズ『前の世界大戦で彼らは戦った。その間は英雄ともてはやされていたが、戦争が終わった後、尊敬と感謝は再び軽蔑と嫌悪にかわった』

『『……』』

エンタープライズ『元フネのヒトに人はどう反応するのだろうな?セイレーンと戦える武力を持つ我々は、人の目にどう映る?』

オイゲン『……指揮官は違う。指揮官はそんな人じゃないわ』

ヒッパー『そ、そうよ……!!絶対に違う!!』

エンタープライズ『そうか、信じるというのは美しいな。だが現実に蔓延るのは信頼ではなく裏切りだ』

エンタープライズ『裏切られて死んだ者は数えきれないほどいる。カエサル、ジャンヌ・ダルク、キリストでさえもがその最期は裏切りによる死だ』

エンタープライズ『ましてやその信頼が愛というものだったら、裏切りは掃いて捨てるほどにありふれている』

『『……』』

エンタープライズ『愛に殉じる物語に人が惹かれるのは、それこそ人が持っていないものだからだ。人は自分が持っていないものを求める』

エンタープライズ『そのこと、よくよく考えておくのだな。将来、後悔しないように。その時いくら悔いてももう遅いのだから』

オイゲン「っ……」

ヒッパー「ああ、もう……!!」

指揮官「二人とも、来てくれ!!セイレーンが動いた!!最後の決戦になるぞ……!!」

オイゲン「っ!!了解」

ヒッパー「っ!!言われなくても分かってるわよ……!!」

アズレン全く知らない人のために横から超簡単なアズレン用語解説をば……

『殻』姿形はオリジナルのと同じだがほぼ戦いのみしか出来ないお人形たち

『駒』メンタルキューブっていうオリジナルのデータをアーカイブした青い正六面体から作られるコピー艦。独自の感情があり認識覚醒によってオリジナルに近づくことができる

『素体』オリジナル。第二次世界大戦の記憶持ち

『重桜』日本のこと。幼稚園児がいる。空母のヤンデレ率が高め

『鉄血』ドイツのこと。チョビ髭の時代よりも前のドイツの意匠がモチーフ。全てを憎んでいるエンジョイ勢とガチ勢がいる

『アズールレーンとレッドアクシズ』もともとはアズールレーンだけだったがセイレーンの技術を積極的に転用する鉄血や独自の思想を持つ重桜がレッドアクシズを結成。アズールレーン側は所謂アメリカ・イギリス連合と言ったところ

『セイレーン』並行世界を移動してやってきた人類の敵。前にいた世界を滅ぼし尽くしたのでこちらにやってきた。目的は「戦って進化すること」この世界でも既に全人類の91%がジェノサイドされている。倒されても「意識」さえ無事なら何度でも復活出来る

以上失礼しました……!

もしかしてヒッパーは指揮官の注意をひくために自分で自分を刺したのか?

指揮官「敵の戦力は圧倒的だ。しかし、セイレーンさえ討ってしまえば決着がつくだろう。少なくとも統率が崩れて量産型は烏合の衆となる」

指揮官「よって、俺を囮にあえてセイレーンを誘い込み、君たち両名に奴を沈めてもらう。その間、俺が殻たちを指揮して量産型を足止めする」

指揮官「全てが君たちにかかっている。君たちが最高の重巡洋艦であることを証明して見せてくれ」

「「了解」」

指揮官「作戦開始予定時刻は今から一時間後だ。それまで自由にしていてくれ。ではまた後で」

「「……指揮官」」

指揮官(オイゲンとプリンツに呼ばれる。見ると二人はハモったことに驚いたようで互いに見つめ合っていた)

指揮官(しばらく視線を交わしていたが、俺に向き直ると真剣な眼差しで俺をじっと見つめる。そしてゆっくりと口を開いた)

オイゲン「好きよ、指揮官」 ヒッパー「好きだから、あんたのこと」

指揮官「!?」

指揮官(二人同時に告白してきた。突然の愛の告白に思わず息を呑む。このタイミングは予想していなかった……)

オイゲン「返事は、今はいいわ」

ヒッパー「勝った後に聞かせて」

指揮官(そう言って踵を返して歩いていく二人に、俺はついに声をかけることができなかった)



ドンドン ドンドンドン ドン

「ふふふ!!敵同士なのにそうして協力して戦うのはどうして!?嗚呼、興味深い!!お前たちのその揺らぎはどこから来るの!?」ニタァ

ヒッパー「うるさいわね!!少しは自分で考えたらどうなの!?ガキみたいにいちいち聞いてくるんじゃないわよ!!」キッ

オイゲン「好奇心は猫を殺す。ロイヤルの諺だけど、お前にピッタリだわ。といっても、ゆめゆめ省みないことね。手遅れだから」ギロリ

指揮官(オイゲンとヒッパーがセイレーンと激しい戦闘を繰り広げていた。その一方、俺は殻たちを指揮して敵の攻撃を防ぐ)

指揮官「航空隊の第二波を突撃させろ!!巡洋艦及び駆逐艦部隊はそれに合わせて敵へ肉薄!!戦艦はその支援を!!」

指揮官(駒であれば任せても問題ない。だが、殻はロボットのようなものだ。指揮を執らなくては臨機応変に対応できない)

指揮官「こっちは任せろ……だから頼んだぞ、オイゲン、ヒッパー……!!」



ドガァン

「くぅ……!!」

ヒッパー「やった!!ははっ!!ざまあみなさい、セイレーン!!お前みたいなザコにこの私が負けるかっての!!指揮官の為に今度こそ沈めてやるわ!!」

オイゲン「お前程度、私が万全の態勢で本気を出せば鎧袖一触よ。私の心を弄んだ罪……そして何より指揮官を手にかけようとした罪、死をもって償いなさい」

指揮官(決着がついたようだった。ちらりと様子を窺うとセイレーンが大破していた。こちらも油断はできないが敵の量産型の攻撃は何とか防げている)

「指揮官、ね……ふふっ……あなたたちは本当に哀れな存在……生み出した存在とはいえ、本当に哀れで悲しい存在……」ニタァ

オイゲン「はぁ……?狂ったのかしら?意味が分からないわね。そんなことどうでもいいわ。それを勝手に哀れまれて不愉快なんだけど」

ヒッパー「いちいち癇に障るやつねお前は!!生み出されたとか関係ないわ!!私は私!!殺してやるからありがたく死になさい!!」

「お前たちは、ヒトと同じ。そういうもの。けど人はお前たちを自分たちと同じとは決して認めないわ」

オイゲン「っ!?その言い草……やはりあの時の殻は……!!」

ヒッパー「あんただったのね……!!あの時喋っていたのは……!!」

「フネからヒトへ……メンタルキューブによってお前たちは確かにヒトに……だけど人は結果が同じでも過程が違うだけで異物扱いする……そう!!」

「あなた達が想いを寄せる指揮官でさえ心の底ではお前たちを異物と思っている!!その男はお前たちを迫害したりはしないかもしれないわ!!」

「友好的に接することができるかも!!けど、あくまでその男にとってお前たちは異物のまま!!お前たちが望むような関係にはなれない!!」

「「っ!!」」ビクッ

指揮官(しかし、最後のあがきなのかセイレーンが二人に対して言葉による精神攻撃を加え始めた。どうやら俺の知らないところで何かあったらしい)

指揮官(だが問題ない。そんなものに惑わされたりする二人ではないはずだ。それよりも今は指揮に集中しなくては)

「仮に勝利したとして、その後はどうするのかしら?元の世界に戻れるわ。おめでとう!!」

「……で、そして?お前たちの愛する指揮官がほかのまっとうな人と幸せになるのを見届ける?」

オイゲン「……っ。……そんな戯言で今更この私が狼狽えるとでも?」

ヒッパー「そ、そうよ!!見苦しい悪あがきは止めておとなしく沈みなさい!!」

「ふふふふふ……じゃあなんでお前たちの指揮官は何も言わないのかしら?聞こえているはずなのに否定しないのかしら?」

「「!!」」ゾワッ

「認めましょう。その男は確かに誠実で良い人だわ。だからこそ、私の言葉を否定できない!!なぜなら、それが本当だから!!その男はお前たちを異物と思っている!!」

ヒッパー「う、嘘よ!!そんなの信じない!!お前は出鱈目を言っているわ!!そうでしょ、指揮官!?」キッ バッ

オイゲン「し、指揮官……そんな訳……ないわよね……?そんな風に思っているわけないでしょう……?」カタカタカタ

指揮官「っ!?」チラッ

指揮官(怒鳴るようなヒッパーの声と、震えるか細いオイゲンの声。まさか……!!そちらを見ると二人が動揺した様子で俺を見ている)

指揮官(信じられなかった。あの二人がセイレーンの口車に乗せられるなんて!!いったい何があったんだ……)

指揮官(しかし、もうこうなっては俺は二人に何らかのアクションを取らなくてはならない。殻たちに自律戦闘を命じ、二人に向き直る。俺は……)

これRでやる意味ある?

ここからそういうシーンがあるんでしょ
>>1に書いてあるじゃん「エログロ」って

つまりここから猜疑と絶望、憎悪に満ちたドロドロのスプラッタシーンが始まると

指揮官「勿論だ!!そんなことあり得ない!!俺が君たちのことをそんな風に思っているとでも思ったか!?」

オイゲン「指揮官……!!」

ヒッパー「ふんっ!!思ってないわよ!!ただ確認しただけ!!」

「ふふっ♪じゃあ聞くわ、指揮官!!答えて頂戴。お前はこの子たちをお前の一生の伴侶にするのかしら?」

「「っ!!」」

指揮官「なっ!?」

「そういうことじゃないの?お前は確かに言った。そんなことあり得ないと。それはつまり、お前はその二人を異物とは思っていない」

「そしてその二人が望むような、一生の伴侶になるということでしょう?自らのつがいにするということでしょう?」

指揮官「……!!」

指揮官(まくしたてるように一方的に言いたいことを言うセイレーン。二人を異物と思っているということに対しての反論をデリケートな話題にこじつけてきやがった!!)

「即答できないのね!!それはなぜ!?考えてみなさい、二人とも!!なぜ彼は即答しないの!?それはそんなこと考えてすらいなかったからよ!!」

「「!?」」ゾワッ

指揮官「っ!?違う!!そうじゃない!!」

指揮官(その上、絶句している間にさらに一手打たれてしまう。セイレーンの言葉に慌てて反論した)

指揮官(しかしオイゲンとヒッパーはショックを受けたように目を見開いて俺を見つめている)

「違う?そうじゃない?じゃあどういうことかしら?ねえ?教えてくれる、指揮官?この子たちを妻にするの?」

指揮官(このままじゃ不味い。完全にセイレーンのペースに飲まれかけている。冷静に考えればセイレーンの言っていることが無茶苦茶だと分かるはずだ)

指揮官「ふざけるな!!それは今関係ないことだ!!そもそも、お前の言っていることは」

「逃げるな!!答えろ!!それでも男かしら!?否定か肯定、どちらかの簡単な質問でしょう!!」

「「……」」ジッ

指揮官(そこを指摘しようとする俺の言葉を大声で怒鳴りながら遮るセイレーン。そして俺の方を窺うヒッパーとオイゲン。……二人とも心を乱されすぎているようだ)

指揮官(セイレーンの言っていることが勢いだけの無茶苦茶だということに思い至っていない。それどころか俺の返答を待っていた)

指揮官「くっ……!!それはとても大事なことだ……今ここで、しかもお前のような奴がいるのに話すようなことではない……」

「ふふふ……聞いたかしら?今ここで話すようなことではないらしいわよ。あなた達にとってこれほどの運命の分岐路はそうそうないというのにね?」

指揮官「っ!?」

ヒッパー「ど、どういうことよ……!?」

オイゲン「……」

「お前たちが私を倒せば、元のあるべき場所へ戻れる。それはつまり、他のまっとうな人が……女がいる世界へ」

「「……」」

「何度でも言ってあげる。まっとうな女と比べてあなた達のような得体のしれないフネが選ばれると本気で思っているのかしら?」

指揮官「俺は、オイゲンとヒッパーを得体のしれないフネだなんて思っていない!!大切な存在だ!!」

「けどその大切な存在とやらはこの子たちの望むものかしら?想像してみなさい、哀れな雌よ。その男がほかの女のモノになることを」

「ほかの女に愛を囁き、腕に抱き、唇を重ね、性を交わすことを!!そのときお前たちに何が残る!?満たされない苦しみだけでしょう!!」

「望んだ愛は手に入らず!!決して胸に抱かれることも、舌を絡ますことも、大切なところにその男を迎え入れることもできない!!」

「いくら望んでもお前たちの腹はその男の子を孕むこともできず!!女の幸せを知ることもない!!その時後悔してももう遅い!!」

ヒッパー「っ!!そ、そんなの……!!」ギリッ

オイゲン「……何が言いたいの」ジッ

「ふふ……今なら確実にその男をお前たちのつがいにすることができるわ。ここでその男を襲ってしまいなさい」

「「!!」」ピクッ

提督「!?」

「罪悪感があるでしょう、だから二人で仲良くね。一人では耐えられなくても二人でなら耐えられるわ」

「快楽で篭絡して、献身で絆して、孕んでその男に自覚させなさい。その男をお前たちのものにしてしまいなさい」

「「……」」

指揮官「ふざけるな!!この子たちがそんなことするわけないだろう!?」

「どの口でそんなことが言えるのかしらね!?お前は女の気持ちがわからない!!その二人がどんなにお前を想っているのか!!」

「本物の死の恐怖を……そして殺す恐怖を……魂が穢れていくことの恐怖をお前は知らない。お前にとってそれは想像を絶するもの」

「それに苛まれながらもお前の為に命を賭して戦うその二人の想いに対して、お前は果たして報いているのかしら?」

指揮官「っ」

指揮官(……痛いところを突かれた。俺は、報いることができていない……セイレーンの言うとおりだった)

「いないでしょう?だから、報いてあげるべきね。二人の望むモノを……お前自身をあげなさい」

ヒッパー「し、指揮官……」

オイゲン「指揮官……」

指揮官(俺の名を呼ぶその声には、期待と不安、葛藤が入り混じった揺らぎに満ちていた。そこに戦意は見当たらない)

指揮官「ひ、ヒッパー……オイゲン……」

指揮官(このままでは不味い……!!だが、どうすればいいのか……追い詰められ、混乱していると自覚する。考える時間が必要だった)

「……心はとうに決まっているでしょうに。ヒトというの面倒なのね。いいわ、背中を押してあげる」スッ

「「っ!!」」

指揮官「っ!!それはもう壊れているはずだ!!」

「いいえ、壊れていないわ。さあ、二人とも。自分に素直になりなさい。そして為すべきをなしなさい」

ガシャンガシャン

指揮官(壊れたはずの精神操作用の装備を二人に向けて掲げるセイレーン。そして聞こえる大きな音……二人が、装備を落とした音だ)

オイゲン「ご、ごめんなさい……ごめんなさい、指揮官……でも……でも抗えないの……私……セイレーンに操られているみたい……」

指揮官「お、オイゲン……!!そんな……」

ヒッパー「そうよ……こ、これは……セイレーンの……セイレーンのせいなの……だから……仕方ないわよね……?」

指揮官「ヒッパー……!!どうして……」

指揮官(ふらふらとこちらへ歩み寄ってくる二人。そしてそれを邪悪な笑みで見ているセイレーン)

指揮官(二人とも何事かを決心したような真剣な、そして興奮したような表情をしている。瞳に妖しい光が燈っていた)

指揮官(あの洗脳装置は壊したはずだ……二人は洗脳されていない……つまり、二人はセイレーンに唆されてしまったのだ!!)

指揮官「目を覚ましっんむぅ!?」

オイゲン「ん……んふっ……んちゅぅ……」

ヒッパー「あむ……はむはむ……んふぅ……」

指揮官(まるで獲物を狩る肉食獣のような身のこなしで俺に抱きつき、押し倒してくるオイゲンとヒッパー)

指揮官(いつの間にか俺たちの後ろには大きなベッドがあった。仮想世界はセイレーンの想い通りという訳かと考えている間にも唇を唇でふさがれる)

指揮官(二人に啄まれていた。二枚の熱い舌が顔や咥内を舐り、俺の舌を絡めとる。唇で俺の口を貪るように食む。捕食だった)

指揮官(オイゲンとヒッパーの柔らかいほっぺたが俺のほほに押し付けられている。甘い少女の匂いはしかし、二人とも全然違う)

指揮官(共通しているのはいい匂いだということだけだった。男を狂わせる魔性の匂いだ。それが溶け合って、脳を溶かす。押し付けられるからだもまた、全く違った)

指揮官(豊満な胸を惜しげもなく押し付けてくるオイゲン。押しつぶされてつぶれる胸は極上の柔らかさと抵抗を俺の体に伝えてきた)

指揮官(ヒッパーもささやかな胸を必死に主張している。貧乳だ。だがしかし、確かにある柔らかなふくらみ)

指揮官(外見が中学生ぐらいのヒッパーがそんなことをするという背徳的な快感が背筋を奔る。2人の手が俺の下腹部へとのびた)

指揮官「っ!!だ、ダメだ!!」ドンッ

プリンツ「んぁ……っ……」

ヒッパー「んきゃっ!?っ……!!」

指揮官(何とか二人を押し戻す。傷ついた表情で俺を見つめる二人に心が痛んだ。俺だってこんなことしたくない。しかし……)

指揮官「こんな風になんて……んぐっ!?」

オイゲン「お願い、指揮官……何にも言わないで……ただ、私たちを受け入れて……ヒッパー!!」バッ グググ

ヒッパー「分かってるわよ!!指揮官、安心しなさいよ!!全部私たちが何とかしてあげるから!!」ゴソゴソゴソ シュルシュル

指揮官(オイゲンに口を塞がれる。縋るような震え声。ヒッパーは焦りを含んだ怒鳴り声をあげてジャケットを脱いだ)

指揮官「んん~!!」

ヒッパー「おとなしくしなさいって!!っ……よし!!縛った!!オイゲン、あんたもその痴女服脱いで口塞ぎなさいよ!!」

オイゲン「痴女……?今は聞かなかったことにしておいてあげるわ、ヒッパー。口塞いでなさい」

指揮官(両手をおそらくヒッパーの服で縛られる。そして俺の口を押えるのがヒッパーに代わった)

指揮官(見上げるヒッパーの顔は上下逆さだ。寝そべる俺の頭側から俺を見下ろしているからだ)

指揮官(きれいな白い肌に、ヒッパーらしい格調高い上品なブラ。そんなものを見せつけられて、男として反応してしまう)

指揮官(しかし理性で何とか本能を押さえつける。ヒッパーはすっかり発情してしまった好色な眼差しをしていた)

指揮官「んん~!!」

ヒッパー「暴れんなっての!!抵抗しても無駄よ!!天国見せてやるからおとなしくしてなさい!!」

オイゲン「んっ……っ……待たせたわね」

ヒッパー「っ!?な、なんでストッキングとガーターベルトだけになってるのよ!?この痴女!!」

指揮官「!?」カァッ

指揮官(声につられてみてしまった。理性に直撃弾をもらった。女を抱きたいという本能にさらなる燃料が投下される)

指揮官(ヒッパーの言う通り、オイゲンはほとんど全裸だった。雪のような白い肌に豊満な胸、桜色に色づいたその先端まで丸見えだ)

指揮官(右胸の黒子は妖艶な色気を醸し出している。引き締まった腹部に、女性らしい丸みを帯びた腰回り)

指揮官(カモシカのような太もも、その間には一筋の綺麗なスジが……パイパンの秘所が惜し気もなく晒されていた)

オイゲン「これからセックスしようって時に何言ってるの?ああ、ガキには刺激が強すぎるかしらね」

ヒッパー「ガキィ!?妹のくせに!!」

オイゲン「いいから黙っていなさいな」

指揮官「んん……!!」

指揮官(声にならない俺の声にヒッパーに冷めた視線を送っていたオイゲンが俺を見る。吸い込まれそうな琥珀の瞳と暫し視線を交わした。オイゲンが微笑む)

オイゲン「指揮官」ニコッ グイッ

指揮官「むぐぅっ!?」ズポッ

オイゲン「ごめんなさい……あなたの答え……もう待てないの……そして、私が望む答え以外はもう……受け入れられない……」

指揮官(その黒い布は滑らかな舌触りだった。そして濃厚な女の味と匂いが染みついている。オイゲンが俺の口に詰めたのは明らかにオイゲンのショーツだった)

オイゲン「あなたが私を変えた……いえ、狂わせたのよ、指揮官?だから……セキニン、とってね……?」ニタァ

指揮官(恐怖と、そして余りの蠱惑的な美しさにぞっとする。オイゲンが自らの服を俺の口に巻き付かせ、縛った)

オイゲン「Gut, では始めましょうか。安心して、指揮官。そういう経験はないけど予習は完璧よ……気持ちよくしてア・ゲ・ル」

指揮官(耳元でささやかられる。オイゲンもまた、すっかりスイッチが入ってしまっているようだった)

指揮官「っ……!!」

ヒッパー「脱がすわよ、指揮官。……っは♪細いけどホントいい体してるわよね。んっ……ちゅぅ……」

指揮官「んぅ!?」

オイゲン「はむぅ……んっ……たくましい胸板……はぁ……女なら誰でもこんな胸に力強く抱かれたいと思うでしょうね……」

指揮官「んん!!」

指揮官(ヒッパーとオイゲンが露になった俺の胸に抱きつき、愛おしく手で撫で、甘えるように頬ずりし、熱い吐息を吹きかけ、ねっとりと唾液に濡れた舌を這わせてくる)

ヒッパー「男の人もここがよくなるんでしょ?んっ……ぺろぺろぺろ……知ってるんだから……はむはむ……」

オイゲン「ちゅぅうう……っは……指揮官の全部、私が開発してあげるから……シて欲しいこと何でもしてあげる」

指揮官(くすぐったさに身を捩る。二人が俺の乳首を舐めたり甘噛みしたり、挙句の果てに吸ってきたのだ)

指揮官(しかしそのくすぐったさの奥にある何かに気が付いてしまった。それは知ってはいけないものだと男としてのプライドが警告している)

ヒッパー「私に身をゆだねなさいよ。言ったでしょ、天国見せてあげるって。初実戦だけど私なら完璧にこなして見せるわ。他の女じゃ満足できない体にしてあげる」

オイゲン「快楽を受け入れるのよ、指揮官。大丈夫、私の前ならどんな面を見せてくれてもいいわ。絶対に失望したりしない。いいえ、むしろ見せて頂戴」

指揮官(容赦ない乳首責め。自分の体が開発されているのが分かった。オイゲンとヒッパーのモノにされていく)

「「っ!!」」ピトッ ピクッ

指揮官(こんな風に襲われ、極上の雌から愛撫されて、体を擦り付けられて、甘くささやかれて、耐えられるわけがなかった)

指揮官(俺の雄の象徴は固く怒張してしまっていた。それに手を伸ばし、触れたオイゲンとヒッパーが息を吞む)

オイゲン「あはっ……こんな大きくしてくれたのね?それに硬い。私たちをちゃんとそういう対象として見てくれてるのね」

ヒッパー「わ、私がこんなことするのはあんただけなんだからね!!光栄に思いなさいよ!?」

指揮官(興味津々といった様子で撫でたり擦ったりしてくる。ベルトが外され、ズボンがずり下げられた)

オイゲン「熱っ……」

ヒッパー「こ、こんな大きいのが……入るの……!?」

指揮官(冷たい指がモノに触れる。まるでどのようなものなのか確かめるように撫でまわされた)

指揮官(その時点でも甘い快楽が伝わってくる。オイゲンとヒッパーのような美少女が俺のモノを……それだけで興奮した)

オイゲン「っ!!これは……いつの間に……使えってことかしらね……」

ヒッパー「なんか見透かされてるみたいで気分悪いけど……まあ、いいわ。使ってやろうじゃない」

指揮官「……?っ!?」

指揮官(どこから取り出したのか、それともそこに配置されたのか……愛撫や手コキを止め、体を起こした二人を見る)

指揮官(目に入った光景は、無言で何かアイコンタクトをとると、それぞれローションと薄い医療用のゴム手袋を手にするオイゲンとヒッパーだった)

オイゲン「温かくなってる。ホント、至れり尽くせりね。指揮官、ぬるぬるして気持ちがいいでしょ?すぐもっと気持ちよくしてあげるわ」

指揮官(オイゲンが人肌に温められたローションを俺のモノに垂らす。そして俺のモノを握り、扱いてきた。喘ぎ声が漏れる)

指揮官「んんんん!!んんんん!!」ビクッビクッ

オイゲン「……♪」ニタァ

指揮官(強烈な快楽が襲ってくる。にちゃにちゃと下品な音が響いていた。オイゲンがサディスティックな微笑みを浮かべて俺を見下ろしている)

ヒッパー「指揮官。私は何事であれ、相手に主導権を握られるのは好きじゃないのよ。こういうことでもね」ピッ

指揮官「っ!?」

ヒッパー「だからちゃんと調べて、備えていたの。いつかこういう日が来たとき、主導権を握る方法を」

ヒッパー「実践するのは初めてだけど、安心しなさい。これは男にとって普通にするのよりはるかに気持ちのいいことらしいから」ニタァ

指揮官(手袋をしっかりとはめたヒッパーが妖しい笑みを浮かべる。そしてその手が……俺のそこに触れた)

指揮官「っ!!んん!!んん!!」

ヒッパー「安心しなさい、ローションたっぷり使ってるし、ゆっくり入れてあげるから痛くないわ。ほら……ね……!!」ヌププププ ゾクゾクゾク

指揮官「んっーーーー!!」ビクン

指揮官(ヒッパーの指がぬるりと入ってくる。異物感が半端なかった。そのままどんどん奥へ侵入してきた)

指揮官(そして指が中をゆっくりとかき回す様に動く。まるで何かを探す様に。瞬間、刺すような快楽が奔った。腰が突き出るように浮く)

指揮官「んんんん~~~~~~!!」ビクン ビュルルルルルルル

指揮官(それに加えてオイゲンの激しい手コキのせいで耐えることもできずに出してしまっていた。終わってから自分が悲鳴をあげていたことに気が付く)

オイゲン「んっ……これが射精……すごい勢いね。こんなたくさんザーメンが……」

ヒッパー「あはっ……!!見つけた。ここね?ここなのね?ふふっ……」ペロリ

指揮官(オイゲンがしげしげと俺の下腹部にぶちまけられた白濁液を見つめていた。ヒッパーは悪魔のような笑みを浮かべ、ちろりと舌で唇を舐める)

指揮官「っ……」

オイゲン「んっ……ぺろっ……ふーん。こんな味なのね」

ヒッパー「っ!?な、舐めるの!?」

指揮官「!?」

指揮官(精液を指で掬いためらうことに口にするオイゲン。しばらく咥内で味わってからごくんと飲み込んだ)

オイゲン「ええ、舐めるわよ。指揮官のだもの。私は全然平気。お前と違ってね、ヒッパー」

ヒッパー「はぁ!?私だって指揮官のなら全然平気だし!!んっ、じゅるるっ……。ほらね!?」

指揮官(そして対抗するように俺の下腹部に口付けし、精液を啜るヒッパー。それを飲み込むと涙目でオイゲンを睨む)

指揮官「……!!」

オイゲン「そう。さて、指揮官?まだ全然大丈夫よね?だって、ぜんぜん萎えていないもの。今度は手じゃなくて……口でしてあげる」

ヒッパー「待ちなさいよこの娼婦!!交代よ交代!!次は私でしょ!?おとなしく私に譲りなさい」

オイゲン「……私は、娼婦は娼婦でも指揮官専用の娼婦よ。はぁ……まあいいわ。なら私もこっちを口でしてあげる。勿論、綺麗にしてからだけどね?」ツンツン



オイゲン「さあ、準備万端ね。お待たせ、指揮官?」

ヒッパー「何よ、こんなにおっきくしちゃって本当は期待してるんじゃないの!!指揮官ってマゾだったってわけ!?」

オイゲン「ふぅん?安心して、指揮官。それなら私が指揮官のご主人様になってあげるから」

指揮官「んん……!!」

指揮官(屈辱的な洗浄を受けた俺はもはや人としての尊厳を失った。それでも、何とか抵抗しようとする)

ヒッパー「へぇ、違うって言いたいの?腰を引いて拒否してるつもり?けど残念、そんなことしたって無駄よ」

指揮官「んん!!」

指揮官(長座体前屈するような体勢をとってささやかな抵抗をしていた俺に、獰猛な笑みを浮かべたヒッパーは四つん這いになって雌豹のように這いよってくる)

指揮官(下はもう全部脱がされている。まるでファーストキスのように緊張と性愛が混ざり合った表情で俺の下腹部に顔を寄せた)

指揮官(ヒッパーの眩い金髪がすぐ目の前にある。肺いっぱいに吸い込みたくなる濃厚な甘い匂いが漂ってきた)

指揮官(さらに肩甲骨や背骨の浮き出た肉付きの少ない背中は引き締まっており、無駄の一切ないその肉体はまるで美しい彫刻のようだった)

ヒッパー「んっ……ちゅっ……ぱくっ」

指揮官「んふっ……!!」

指揮官(必死の抵抗も虚しくヒッパーにモノを咥えこまれてしまった。俺の股間に顔をうずめたヒッパーが喉を鳴らす)

指揮官(熱い舌がモノを舐めまわした。先端やカリの部分をまるで飴でも舐めるかのように舌でころがす)

指揮官(熱いヒッパーの咥内と蕩けるような快楽のせいで、まるでモノが消化されてしまうかのような錯覚を覚えた)

オイゲン「ヒッパー?沈められたくなかったら一度口を放しなさい。指揮官が横になってくれなきゃ私が奉公できないのよ」

ヒッパー「っ……いいところだったのに……ほら、これでいいでしょ?」

オイゲン「ええ、そうね。じゃあ指揮官、可愛がってあげるわ」

指揮官「んんんん!!」

指揮官(横向きにされた俺の尻にオイゲンの顔が押し付けられ、熱くぬめったものが伸びてきた)

指揮官(それが俺の肛門に侵入してくる。ヒッパー柔らかくされていたそこは侵入を拒めない。……以前からオイゲンの舌は長いと思っていた)

指揮官『オイゲン、ソフトクリームが解けて垂れているぞ』

オイゲン『ん、ぺろっ……ありがとう、指揮官』

指揮官『っ……あ、ああ』

指揮官(赤くテカる長い舌が色っぽいと思っていたが、今、その舌が俺の中に……探して蠢いている。ヒッパーが見つけてしまったそこを求めて)

指揮官(一方、前のモノには変わらずヒッパーが食らいついていた。性格も外見も似つかない姉妹だが、舌の長さは姉妹らしい)

指揮官(長い舌が容赦なくモノを舐っている。いやらしい水音がするのも構わず強く吸われた)

指揮官(長くはもたないことは明確だった。こんな状況でもしオイゲンの舌がそこを探し当ててしまったら……)

指揮官「っ!!」ビクン

オイゲン「!!」ピクッ

指揮官(体が跳ねてしまう。見つけられてしまった。そして、おそらくそこを刺激するのにも十分な程にオイゲンの舌は長かった)

オイゲン「……!!」ゾクゾク ニタァ

指揮官(オイゲンの舌がまるでもったいぶるかのようにソコを軽く舐める。もはやすべてがオイゲンの思うがままだった)

ヒッパー「……んっ」グッ

指揮官「っ!?」ピクッ

オイゲン「んっ」グイッ

指揮官「んっ!!んんんんんん!!」ビュルルルル ビクンビクン

指揮官(ヒッパーがいきなり舌を尿道に挿入しようとしたのだった。敏感なそこを強く刺激されたことで、隙ができてしまった)

指揮官(オイゲンがすかさず弱点を正確に狙い撃ちにしてくる。耐えられるわけがなかった。俺は気が付いたらヒッパーの口の中にぶちまけていた)

ヒッパー「んぐっ!?んっ……ごくっ……じゅるるるる……ごくん……っは……ご馳走様、指揮官」

指揮官「ふー……ふー……んん……」

オイゲン「っは……ふふっ……満足してくれたみたいでよかったわ、指揮官。……もうそろそろ前座は十分よね?」ペロリ

ヒッパー「覚悟決めなさいよ。女にここまでさせたんだから、あんたも男として私たちに応えなさい。私たちを女にしなさい」ジッ

指揮官「……!!」

指揮官(にじり寄ってくるオイゲンとヒッパー。二人ともすっかり発情しきっていた。拘束されている俺に、もはや抗うすべはなかった)



オイゲン「今日はパパとママたちはやることがあるから、二人で仲良くお部屋でおねんねしてるのよ。何かあったらベルを鳴らしなさい」

ヒッパー「ちゃんと寝ないと大きくなれないわよ?だから夜更かししないこと。いい子だからちゃんと寝られるわよね?」

「「はーい」」

オイゲン「あんたが言うと説得力があるわね、ヒッパー?」

ヒッパー「黙りなさい、オイゲン。さあ、行くわよ、パパ」

指揮官「ああ。いい子にしてるんだよ。お休み」

「「お休みなさい」」

指揮官(娘たちが天使のような笑顔を浮かべる。俺と、オイゲンとヒッパーの間に生まれた子たちだ。二人ともそれぞれ母親の生き写しだった)

指揮官(ハーフだとは思われないほどに。ただ、髪や目の色に俺の血の影響がある。間違いなくこの子たちと俺には血のつながりがあった)

オイゲン「お休み。……さて、これからは大人の時間ね、指揮官♪溺れるくらいに愛して蕩かして可愛がってあげるわ」ニタァ ペロリ

ヒッパー「お休み。……あの子たちも大きくなったし、そろそろ二人目ってのもいいかもしれないわね、指揮官?」ニタァ ナデナデ

指揮官「っ……!!」

指揮官(子供たちの寝室の扉を閉めた瞬間から、二人が本性を露にする。オイゲンは妖艶な笑みを浮かべて舌なめずりした)

指揮官(ヒッパーは嗜虐的な笑みを浮かべて俺のモノを撫でる。俺は連れられるがままに寝室へと連れ込まれた)

ヒッパー「へばってんじゃないわよ指揮官!!ほら!!こうやって振るのよ腰は!!このヘタクソ!!」パンパンパン

指揮官「ああああああ!!」ビクッビクッ パンパンパン

オイゲン「あぁん!!そんな、こと、ないわ、指揮官!!とってもすごいぃ!!こんなのダメ!!おかしくなっちゃう!!」キュンキュン

指揮官(ヒッパーにバックからペニバンで掘られながらオイゲンを正常位で抱いている。快楽で狂ってしまいそうだった)

指揮官(新しい世界の扉は二人に蹴り開けられてしまっていた。後ろを掘られることで俺はこの二人のモノなのだと認識させられる)

指揮官(オイゲンの中は激しく俺のモノを搾ってきており、ヒッパーは容赦なく俺を突いてきていた。俺はとうとう限界を迎えメスイキしながら射精する)

指揮官「っはぁああああああああ!!」ビクンビクン ビュルルルル

ヒッパー「あはっ!!イったわねこのヘンタイ!!ほら、射精も手伝ってあげるわ!!前立腺グリグリされて全部吐き出しちゃいなさい!!」グリグリ

オイゲン「あぁああああああっ!!出てる!!出てるわ指揮官!!指揮官のザーメンたくさん注がれてる!!」 ビクンビクン

指揮官(ヒッパーに精液がトコロテンのように押し出されていく。絶頂を迎えたオイゲンが俺を強く抱きしめた。気絶するほどの快楽だった)

指揮官「あぁ……ぁ……」

オイゲン「んっ……ふぅ……指揮官、大好きよ……愛しているわ……私がずっと守ってあげるから……」ダキッ ギュッ

ヒッパー「はぁ……はぁ……ふふっ……指揮官、あんたは私のモノよ……その印をつけてあげるわ。がぶっ……んっ……」

指揮官(脱力する俺をオイゲンが優しく愛を囁きながら抱きしめてくる。ヒッパーがディルドを引き抜き、満足げに優位を宣言しながら肩を甘噛みしてきた)

ヒッパー「……そろそろ回復してきたわね?それじゃあ二回戦始めましょうか。この私に種付けできるんだからありがたく思いなさい」ニタァ

オイゲン「今度は私が貴方を味わう番ね。大丈夫、いっぱいよくしてくれた指揮官にご褒美たくさんあげるから」ニタァ

指揮官「っ……!!」ゾクゾク ギンギン



オイゲン「私のおっぱいたくさん可愛がってくれたから、私も指揮官のココ可愛がってあげるわ」コリコリ

指揮官「あっ!!あっ!!あぁっ!!」ビクッビクッ ズッチュズッチュズッチュ

ヒッパー「んっ!!ふんっ!!認めてあげるわ指揮官!!あんたのコレ……最高だって!!っ……そろそろ……!!」

指揮官(背中にオイゲンの双峰を感じる。仰向けに寝そべるオイゲンは俺を後ろから抱きかかえるようにして勃起した乳首を愛撫し、弄んでいた)

指揮官(そしてその俺にヒッパーが騎乗位で跨り腰を振っている。そのたびにオイゲンのペニバンが中を刺激してきていた)

指揮官「うっぁああああああああ!!」ビクンビクン ビュルルルル

オイゲン「イったのね?ほら、ヒッパーに存分に種付けして思い知らせてやりなさい。手伝ってあげるから」グリグリ

ヒッパー「っ~~~~~~!!くひっ!!いぁっ!!あぁああああああ!!出てる!!出てるぅ!!指揮官の……いっぱい……!!」 ビクンビクン

指揮官(限界を迎えた瞬間、オイゲンに腰を突き上げられ、前立腺を押しつぶされる。俺の腰も飛びあがるように跳ね、ヒッパーの子宮口を突き上げイかしながら精液を大量に注ぎ込む)

指揮官「っ……ぅ……」

ヒッパー「あぁ……指揮官……キス……キスして……んっ……ちゅっ……んふっ……れろれろ……にゅるにゅる……」

オイゲン「ふふっ。頑張ったわね、指揮官。ご褒美に撫でてあげるわ。たくさん注いでもらって私たちも大満足よ」ナデナデ

指揮官(絶頂を迎えたヒッパーがしなだれかかってきてキスをねだり、舌を絡ませてくる。オイゲンが俺をねぎらいながら頭を撫でてきた)

指揮官(淫蕩な夜が終わり、三人で眠りに落ちた翌朝。オイゲンとヒッパーはシャワーを浴びると朝の支度を始める)

指揮官(そして何事もなかったかのように子供たちを起こすと微笑みかけるのだ。その横顔は確かに母親のものだった)

指揮官(俺は子供たちを幼稚園へと連れていく。両手に花だった。元気に歌いながら歩く娘たちが微笑ましかった)

指揮官(あの日、オイゲンとヒッパーに犯されてしまった俺は元の世界に戻った後も二人のモノとなっていた)

指揮官(俺を犯したことで二人は恋慕や愛情に加えて支配欲や占有欲を抱いたようだった。今や二人は俺を自分たちのモノと考えている)

指揮官(現実世界では俺たちはセイレーンの攻撃で行方不明となっていた。それをいいことにオイゲンもヒッパーも戦争に戻ろうとはしなかった)

指揮官(二人は俺を連れて誰も俺たちのことを知らないような辺境の地へと逃げた。すべてを捨ててひっそりと生きていくことを選択したのだ)

指揮官(今、俺は二人に飼われるようにして生きている。俺たちはきっと道を間違えた。こんなはずじゃなかった。だが、もう取り返しがつかない)

指揮官(あれから時間が経ちすぎた。遠く流れてくる戦争のニュースを確認することももう止めた。それに、俺たちには家庭が……守るべき子供たちができてしまった)

指揮官(後悔に苛まれる。しかし同時に幸せも感じていた。オイゲンやヒッパー、そして子供たちのことを心から愛している)

指揮官(今日もまた家族五人での生活を生きていく。そのうちさらに二人増えることになるだろう。俺は……)

END

乙です。短めだけど相変わらず面白かったー。またお願いします。ペニバンって痛そうですよね?



「認めましょう。その男は確かに誠実で良い人だわ。だからこそ、私の言葉を否定できない!!なぜなら、それが本当だから!!その男はお前たちを異物と思っている!!」

ヒッパー「う、嘘よ!!そんなの信じない!!お前は出鱈目を言っているわ!!そうでしょ、指揮官!?」キッ バッ

オイゲン「し、指揮官……そんな訳……ないわよね……?そんな風に思っているわけないでしょう……?」カタカタカタ

指揮官「っ!?」チラッ

指揮官(怒鳴るようなヒッパーの声と、震えるか細いオイゲンの声。まさか……!!そちらを見ると二人が動揺した様子で俺を見ている)

指揮官(信じられなかった。あの二人がセイレーンの口車に乗せられるなんて!!)

指揮官(しかし、もうこうなっては俺は二人に何らかのアクションを取らなくてはならない。殻たちに自律戦闘を命じ、二人に向き直る。俺は……)

指揮官「俺は、二人を信じている」

「「!!」」ハッ

指揮官(二人の目を真っすぐと見つめ、ただそれだけ伝える。そして殻たちの指揮に戻った。セイレーンが声を張り上げる)

「何を言うかと思えば!!聞いたかしら、二人とも?その男ははぐらかしているだけよ!!それこそが答えと言えるんじゃないかしら!?」

ドゴォンドゴォン

「うぎっ!?」ドガァンドガァン

オイゲン「……醜く喚き散らして無様よ」

ヒッパー「さっさと沈みなさいよ、カス!!」

「っ……ふふ……あははははは!!お前たちは愚かだわ!!だからこそ面白い!!いいわ、かかってきなさい!!沈められるものなら沈めてみろ!!」

オイゲン「なるほど、まだ余力を残していたのね。はぁ……目障りなんだけど」

ヒッパー「ふん!!無駄な足掻きよ!!これ以上私の視線に映るなっての!!」



「っ……これまでね……」

オイゲン「っ……鎧袖一触……とはいかなかったわね」

ヒッパー「ユトランド沖の半分くらいはやばかったわ……」

指揮官「オイゲン、ヒッパー、よくやってくれた」

指揮官(今度こそ決着がついたようだった。光の粒子へと変わっていくセイレーンとこの世界。ちゃんと戻れるのだろうか?いや、きっと戻れる)

「感情……想い……まったくもって理解不能……だからこそ面白い……それこそが、もしかしたら……」

「あともう一つだけ……実験を……ふふっ……もう操作はできない……でも……心のリミッターを解除するぐらいなら……」スッ

「「っ!!」」ドクン

「獲物を仕留めた後が一番油断する時……張りつめた緊張が解けた瞬間こそ最後の……見させて……もらう……」

指揮官(何事か呟いていたセイレーンが完全に消え去る。世界も白く変わっていく。もうすぐこの世界も溶けきって消えてしまうだろう)

指揮官「終わったな……っ!?」

オイゲン「……」ギロリ

ヒッパー「……」キッ

指揮官(オイゲンとヒッパーが向かい合う。殺気を放ちながらにらみ合っていた。いったいどうしたんだ!?)

指揮官「オイゲン、ヒッパー!?」

オイゲン「……指揮官、勝ったわ」ジッ

ヒッパー「約束よ。答えを聞かせて」ジッ

指揮官「!?」

指揮官(俺の呼びかけに、二人が俺の方に向き直った。そして真剣な表情で俺を見つめる。覚悟を感じた。思わず息をのんでしまう)

指揮官(選んでもらえるはずという期待と選ばれないかもしれないという不安が手に取るように分かった。しかし後悔だけは全くない)

指揮官(ここで答えを出さなくてはならなかった。それがこの勇敢で美しい少女たちに俺が払うべき敬意であり、見せるべき誠意だ。俺は……)

まさかのマルチエンド方式……!ありがとうございます!!

やったぜ。
今度こそハッピーエンドを…

ハッピーエンドになればいいな……

指揮官「……俺は、ヒッパー、君が好きだ」

ヒッパー「っ!!」パァッ

オイゲン「……!!」ガーン

指揮官(俺の言葉にヒッパーが歓喜の笑みを浮かべる。……そして、オイゲンが信じられないというように目を見開いて顔を歪めた)

指揮官「あの日、君はセイレーンに撃たれた俺の命を救ってくれた。その上、精神操作を受けた状態なのに俺に協力してくれた」

指揮官「君からしてみれば俺は気が狂ったように見えたはずなのに。それがどれだけ嬉しく、救いになったか言葉にできない」

ヒッパー「指揮官……!!」

オイゲン「っ……」サッ

指揮官(ひとたび言葉にしてしまえばもう止まらなかった。……顔を伏せてしまったオイゲンのことは、今は努めて考えないようにする)

指揮官「確かに、君と俺はアズールレーンとレッドアクシズ……本来敵同士だ。ここでの出来事は、いわば夢幻なのかもしれない」

指揮官「だが、それでも……それでも俺にとってそれは実際に起こったことだ。夢幻じゃなく現実なんだ」

指揮官「ヒッパー、君は強がりで、恥ずかしがりで、けっこう短気で、不機嫌になることも多い」

オイゲン「!!」ピクッ

ヒッパー「えっ、はぁ!?何いきなり罵倒してんのよこのバカァ!!何!?何なの!?あんた私をからかってんの!?」ガーン

指揮官(俺の悪口ともとれる言葉にヒッパーは大きなショックを受けたようだった。ひどく動揺し、声が震えている)

指揮官「そんなわけあるか!!聞いてくれ!!っ……君には欠点も少なくないと思う。けど、それでも君が好きなんだ!!」

オイゲン「……」

ヒッパー「っ……!!」ドキッ

指揮官「実は仲間想いだし、面倒見が良くて、頼りがいがあるんだよな。なんだかんだでよく気がついて気にかけてくれる」

指揮官「欠点なんか気にならないくらい君には良いところもたくさんある!!俺は、そういった全部をひっくるめて君が好きなんだ!!好きになってしまったんだ!!」

指揮官「だからヒッパー!!……俺と一緒に生きてくれないか?他の全てより俺を選んでくれないか?どうか俺と結婚してくれないか?」

ヒッパー「っ……このっ……!!あんたバカなんじゃないの……!?私みたいな面倒な奴を選んで……!!」ウルッ

指揮官(俺のプロポーズにヒッパーは感極まったようだった。涙目になり、か細い声で俺を罵りながら自分を卑下している)

指揮官「バカかもしれないが、それでも一番大事なことは分かる。俺はもう君がいないと生きていけないということだ」

ヒッパー「っ……あんた私にそんだけ言うんだから、もちろん自分もそうする覚悟はあるんでしょうね……!?他の全てより私を選ぶ覚悟はできてるんでしょうね……!?」

指揮官「ああ、もちろんだ」

指揮官(ヒッパーの問いに堂々と答える。それを聞いたヒッパーは両手で顔を覆ってしまった。そしてくぐもった声で答える)

ヒッパー「っ!!ぐすっ……たわよ」ポロポロ

指揮官「……ヒッパー?」

ヒッパー「分かったわよ……!!」

指揮官「……!!それはつまり……?」

ヒッパー「っ!!察しなさいよバカ!!あんたに私の全部あげるって言ってんのよ!!心も体も!!全部もうあんたのモノよ!!」キッ

指揮官(聞き返す俺にヒッパーは顔を覆っていた手をどかすと怒ったように俺を睨みつけながら怒鳴る)

指揮官(しかしその声はとても嬉しそうで、顔がにやけてしまうのを不機嫌そうに眉間に皺をよせ、歯をむくことで抑えようとしていた)

指揮官「ヒッパー……!!」

ヒッパー「その代わりあんたの全ては私のモノだからね!?私にあんた以外の全てを捨てさせたんだから責任取って死ぬまで私を愛しなさいよ!?」

指揮官「たとえ死が俺たちを分かつとも心は永遠に共にある」

ヒッパー「あぁ、もぅ……!!」フニャ

指揮官(俺の言葉にもはやヒッパーは顔が綻ぶのを抑えきれていなかった。とてもうれしそうに花のような笑顔を浮かべながらこちらへ一歩踏み出す)

オイゲン「っ……!!っ!!」ギリッ キッ ダン

ヒッパー「うっ」バシュッ

指揮官「……ぇ?」

指揮官(あと数歩だった。あと数歩でヒッパーは間違いなく俺の胸に飛び込んできていたはずだった)

指揮官(そこで響く銃声。ヒッパーの胸から紅い花が咲いた。そのまま崩れるように前のめりに倒れる)

ヒッパー「……」ドサリ

指揮官(うつ伏せで地面に倒れたヒッパーを呆然と見つめていた。広がった金髪。俺の方に差し出されたように伸びている手)

指揮官(しかしもうヒッパーは微動だにしていなかった。広がる紅い血だまりが俺を現実へ引き戻した)

指揮官「……!!ヒッパー!!」ゾワワ ダッ

ヒッパー「」グッタリ ドクドク

まぁそりゃそうなるわな

指揮官(抱き起こしたヒッパーは力なくぐったりとしている。抱えながら仰向けにさせた。制服が真っ赤に染まっていく)

指揮官(白く細い喉元が丸見えになっていた。頭が重力に引かれるままに仰け反ってしまっているのだ)

指揮官(開かれた口からも、鼻からも呼吸を感じられなかった。半分閉ざされているエメラルドのような双眸には光がない)

指揮官(瞳孔が開ききっていた。とめどなく溢れてくる血も、体もまだ温かいのに、ヒッパーはもう息絶えていた)

オイゲン「ふふ……ふふふふ……あはははははははは!!」ツゥー

指揮官(涙を流しながら狂ったように嗤うオイゲン。目を見開いて狂気の形相を浮かべている。その目は暗く濁っていた)

指揮官(琥珀の瞳はまるで蜂蜜の底なし沼のようにねっとりとしており、捉えたものを決して逃がさず溺死させようとしているようだ)

指揮官(かつて好きだった彼女に、しかし今、俺は殺意に近い憤怒を抱いている。俺はヒッパーの遺体をそっと横たえ、オイゲンに詰め寄りながら声の限り叫ぶ)

指揮官「なぜ殺した!?オイゲン!!なぜだ!!」キッ

オイゲン「何故!?もちろんそれが敵だからよ!!そうでしょう、指揮官!?私たちはアズールレーン!!それはレッドアクシズ!!目を覚ましなさいよ指揮官!!」キッ グッ ドガッ

指揮官(だがオイゲンは、愛するものを殺されて激昂する俺に劣らないほどの激情を込めて怒声をあげた。引き絞った拳、俺はオイゲンに殴り飛ばされる)

指揮官「うぐっ!?つぅ……!!」ドサッ

オイゲン「はぁ……はぁ……っ……全部悪い夢だったのよ、指揮官。少し休みなさい。そうすればきっと私たち元に戻れるわ」ジッ

指揮官「ぐぅっ……」

指揮官(聞こえたオイゲンの声はぞっとするような冷たい声だった。暗転していく視界。涙を流しながらじっと俺を見下ろすオイゲン)

オイゲン「だって……邪魔者も泥棒ネコももういないもの!!最高の気分だわ!!うふふ……あはははははははは!!」

指揮官「オイ……ゲン……」ガクリ

指揮官(気が遠くなっていく中、最後に聞こえたのはオイゲンの狂気の、しかしどこか物悲しげな笑い声だった)

END

ハッピーエンドじゃないなんて……こんなの……許せないよねっ!!

あえて「それはないだろ…」と思う選択肢もきっちり選ぶゲーマーの鑑

これって実は鏡面海域で起こってる現象で映画バニラ・スカイみたいに指揮官は延々と悪夢を見てるだけってのはないですよね……?

指揮官「……俺は、オイゲン、君が好きだ」

オイゲン「指揮官……!!」ポロポロポロ

ヒッパー「っ!!」ズキン

指揮官(俺の言葉にオイゲンが両手で口を押える。涙が零れた。ヒッパーは歯を食いしばり目を伏せる。手が強く握られていた)

指揮官「初めて会ったとき、君は怖いぐらいに美しかった。妖艶で、余裕があって、けどどこか愁いを帯びていて」

指揮官「異次元の存在のように感じられた。あまり笑わないって聞いたら、君は言ったよな?笑わせられるか試してみるかって」

オイゲン「……ええ、そうだったわね」

ヒッパー「……初めて会ったとき」ボソリ

指揮官(ずっと心に秘めていた想いを言葉にする。ヒッパーが押し殺した声でそう呟いた。肩が震えている)

指揮官「あの時、君は少し微笑んでいた。けどそれは作り笑いだって俺にも分かった。俺はどうにか君の本当の笑顔を見たくなったんだ」

指揮官「そのために頑張った。君も、だんだん俺に心を開いてくれた。ふとした瞬間に君が異次元の存在じゃないと感じられるようになっていった」

指揮官「それが嬉しくて……気が付いたら、俺は君を好きになっていたんだ。それまでの畏れ敬うような感情が、変わっていた」

オイゲン「っ……」キュン

ヒッパー「っ……」ギリッ

指揮官(俺の告白をオイゲンは頬を染めて聞いていた。嬉しそうにはにかみ、俺を見つめる。愛が込められていた)

指揮官「いつしか隣を見れば君がいて、綺麗に微笑んでいて、甘くささやいてくれるようになっていた。君が俺を想ってくれていると感じられた」

指揮官「だが俺は完璧ではないが居心地のいい関係に甘んじてしまっていた。万が一を恐れて……でも、一度セイレーンに君を奪われて、それで気が付いた」

オイゲン「……何に、気が付いたの?」

ヒッパー「……」

指揮官「俺は君がいなくては生きていけないってことだ。もう二度とあんな事ごめんだ。だから……オイゲン、結婚してくれ」

オイゲン「指揮官……いいの……?私は指揮官に……ひどいことを言ったわ……それに……あなたが殺されそうだったとき、私は……」キュッ

指揮官(俺のプロポーズに、しかしオイゲンは目を伏せる。辛そうに表情を歪めた。そして縋るような上目遣いで俺を見つめ、弱音を吐く)

指揮官「オイゲン、もう全部忘れろ。あれはセイレーンが見せた悪い夢だったんだ。そんなことは重要じゃない。重要なのは君の気持ちだよ」

オイゲン「……い、いいの?」

指揮官「勿論だ。オイゲン、俺は、君に俺を愛してほしい。共に生きてほしい。ずっと一緒に居てほしい」

オイゲン「で、でも私……面倒くさい女よ……?変にかっこつけちゃうし、すごい嫉妬しちゃうし、斜に構えちゃうし」

指揮官(本当は受け入れたいと全身全霊で俺に訴えかけてきている。しかしあの時心に刺さった棘がオイゲンを躊躇わせていた)

指揮官「オイゲン、そんなのとっくに知っているよ。君の良いところも悪いところも全部まとめて好きなんだ」

指揮官「だから君にも俺の良いところも悪いところも全部まとめて受け入れてほしい。愛してほしい」

指揮官(オイゲンの心に刺さっていた棘を強引に引き抜き、畳み掛ける。もはやオイゲンは自分の想いを抑えられていなかった)

オイゲン「っ……!!喜んで、指揮官……!!」

指揮官(今までで一番の笑顔を浮かべて俺のプロポーズを受け入れてくれる。最高の気分だ!!今すぐにでもオイゲンを抱きしめ、キスしてやる!!)

ヒッパー「っ!!」スチャ ダン

指揮官「ぐっ……」バシュッ ドサッ

オイゲン「……?」

指揮官(気が付いたら仰向けに地面に倒れていた。何が起きたのか分からない。体も動かない。一体どうしたんだ?)

ヒッパー「そうよ……あんたの言う通り……これは全部セイレーンが見せた悪い夢……全部、まやかしよ……!!」カタカタカタ

オイゲン「……し、きかん?」

指揮官(震えるヒッパーの声が聞こえる……何と頭を動かすと、何が起きたのかわからないという感じのオイゲンが見えた)

ヒッパー「私たちは本来敵同士だもの……!!だから……この気持ちも全部全部嘘なのよ!!私があんたを好きなのも悪い夢なのよ!!」キッ ポロポロポロ

指揮官(そして涙を流しながら怒りと悲しみの混ざり合ったやるせない表情を浮かべて俺を睨むヒッパー。震える手には拳銃が握られていた)

指揮官「……っ」ガクリ

オイゲン「……ぁ。あぁ……!!いやぁああああああああああ!!」ゾクン ポロポロポロ

指揮官(何が起きたのかを理解した。オイゲンの悲痛な絶叫が聞こえる。だが、俺はもうオイゲンに触れることはおろか声をかけることもできない)

ヒッパー「っ……うぅ……うぅうううう……!!どうして……どうして私……こんな……っ……もういやぁ……!!」カラン

指揮官(ヒッパーの呻くような言葉には激情が込められていた。それは怒りであり、悲しみであり、そしてもしかしたら後悔だ)

オイゲン「あぁ……いやぁ……っ……よくも……よくも……!!よくもやってくれたわねヒッパー……!!絶対に赦さない……!!」ギロリ

指揮官(そして聞こえるオイゲンの……今まで聞いたことがないような恐ろしい声。憎しみと殺意に満ちた底冷えするような声だった)

ヒッパー「っ!?ひっ!?」ビクッ

オイゲン「殺す!!殺す!!殺す!!殺してやる!!」バッ

ヒッパー「こっち来んな!!」ジリッ

オイゲン「あぁああああああ!!」ドン

ヒッパー「っぁ!!や、やめっ」ドサッ

オイゲン「死ねヒッパー!!苦しんで!!のたうちまわって!!死んでしまえ!!」ドゴッ ドゴッ ドゴッ

ヒッパー「うっ!!ぐぅ!!いやぁああっ!!あぐぅ!!やめて!!やめてぇ!!」

オイゲン「足りない!!足りない!!この程度じゃ!!全然!!足りない!!もっと!!もっとだ!!」ジャキン ドスッ ビチャッ ドスッ ドスッ ドスッ

ヒッパー「うぐっ!!ぐふっ!!うぁ……あぁ……ぁ……っ……」ビクン ビクッ ビクッ ガクッ ピクッ ピクッ

オイゲン「っ……はぁ……はぁ……っ……ふふっ……あはははははは!!……指揮官……っ……指揮官……!!うぅ……うわぁああああああ!!」ポロポロポロ

指揮官(だんだんと弱々しくなり消えていくヒッパーの断末魔、オイゲンの狂気の歓声。そして最期に聞こえたのはオイゲンが俺を呼ぶ悲痛な声と慟哭だった)

END

ハムマン・雪風「救いはないのだ?!」

憎んでいる、ハッピーエンドにならない結末を(震え)

オマエにハッピーエンドは許さない

一番最初はハッピーエンドだったじゃん(白目)

えっ
もしかしてこれで終わり?

ヒッパー「あぁ、もぅ……!!」

指揮官(顔がにやけてしまうのを不機嫌そうに眉間に皺をよせ、歯をむくことで抑えながらヒッパーがこちらへ一歩踏み出す)

オイゲン「っ……!!……」ギリッ ガクリ

ヒッパー「バカ!!バカ!!このバカ!!気障すぎるのよ!!Ich liebe dich!!Ich liebe dich sehr!! Für immer!!」バッ ダキッ ギュッ

指揮官「ヒッパー……!!愛している!!絶対に幸せにすると誓おう!!」

指揮官(ヒッパーと抱き合う。ヒッパーの華奢な体を強く強く胸に抱けば抱くほどにこんな体でずっと戦っていたなんて信じられなかった)

指揮官(一方のヒッパーも痛いほどに強く俺の体を抱きしめていた。俺の胸に顔を擦り付け、ひたすら甘く愛を伝えてくる)

オイゲン「……離れなさい、指揮官」スッ

「「っ!!」」

指揮官(ぞっとするほど冷たい声音。オイゲンがこちらに銃を向けていた。激情を理性でねじ伏せているようだ)

指揮官(そう分かるような、努めて作った無表情の仮面をつけていた。しかしまなざしは射貫くように鋭い)

ヒッパー「指揮官……!!」バッ

指揮官「ヒッパー!?ダメだ、俺が」

ヒッパー「頭冷やしなさいよマヌケ!!あんたより私の方が強いし慣れてる!!」

指揮官「っ……」

指揮官(俺の前にまるでオイゲンから俺をかばうように両手を広げて立ちふさがるヒッパー。武器を構えないのは刺激しないためだろうか)

指揮官(それを見て泣きそうな顔をするオイゲン。だが、すぐに無表情の仮面をつけるとゆっくりと静かに話し始める)

オイゲン「ヒッパー……お前とはセイレーンを倒すために一時的に協力していただけよ。それが終わった今、私たちは敵同士に戻る」

ヒッパー「はっ!!そうね、冷血女!!これで遠慮なくあんたに砲弾叩きこめると思ったら嬉しくて涙が出るわ!!」

オイゲン「悪いけど、鉛玉ありったけ叩き込んでぐちゃぐちゃのミンチにしたいって気分なら私の方が上だわ……!!」ジッ

ヒッパー「っ……!!」ゾワッ

指揮官(ヒッパーはオイゲンに気圧されていた。肩が震えている。オイゲンはヒッパーに純粋な殺意を向けていた)

指揮官(それは……俺のせいだろう。俺がヒッパーを選んだから……だからだ。オイゲンからしてみれば、ひどい裏切りだろう)

指揮官(お互い明確にしなかったが、セイレーンに襲撃されるまで俺たちは相思相愛だったはずだ)

指揮官(それなのに、俺はヒッパーを選んだ。俺は裏切り者で、ヒッパーは憎い略奪者だろう。この殺意の強さが、俺への想いの強さだったのだ)

オイゲン「指揮官も、分かっているでしょう?私たちはアズールレーン。ヒッパーはレッドアクシズ」

オイゲン「決して相容れない敵同士なのよ。……お願い、目を覚まして。全部悪い夢だったのよ」ジッ ウルッ

指揮官「オイゲン……」

指揮官(俺を見つめるオイゲンの目は涙がいっぱいに溜まっていた。縋るような視線と声音だった。オイゲンとの思い出が胸中に渦巻く。だが……)

指揮官「……それでも、俺はヒッパーを愛しているんだ」

オイゲン「……!!」ツゥー

ヒッパー「指揮官……!!」

指揮官(俺の返答にオイゲンは顔を歪めて悲痛な表情を浮かべた。そのせいで涙がとうとう溢れる。対照的なヒッパーの喜びに満ちた声)

オイゲン「……すべてを捨てて、私のことも捨てて、その子を選ぶの?」

指揮官「……すまない」

オイゲン「……」

指揮官「……」

ヒッパー「……」

指揮官(長い沈黙だった。心が痛かった。だが、これが俺の決断なんだ。そう思いを込めてオイゲンを見つめる)

オイゲン「……こんなはずじゃなかったわ。こんなはずじゃ……Ich liebe dich……ヒッパーよりもずっと……!!」

ヒッパー「っ……」ピクッ

指揮官(震えるか細い声。オイゲンの言葉にヒッパーはピクリと反応した。が、自制したのか黙ったままだ)

オイゲン「なのに指揮官、あんたは私を選ばずヒッパーを……!!なんだったの……私とあなたの関係は……こんなに儚いものだったの……?」ジッ

指揮官「っ……」

指揮官(心が痛い。違う、そうじゃない。そう思ってももう何も言う資格はない。俺は何も言えなかった)

オイゲン「うぅ……あのセイレーンさえいなければ……!!っ……!!殺しても殺したりない……!!あれのせいで……!!」ツゥー

オイゲン「ヒッパー、この泥棒ネコ、最低最悪の魔女、卑しい売女……!!さぞ痛快でしょうね……?私から最高の男を寝取った気分は!!」キッ

指揮官(オイゲンの目からはとめどなく涙が流れていた。セイレーンに対する怨嗟の言葉。そしてヒッパーを睨みつけ、悲鳴のような怒声をあげる)

ヒッパー「っ……寝取ってないわ……指揮官、フリーだったじゃないの」

オイゲン「黙れバカ女!!私の方がずっと前からお前よりもずっとずっとずぅっと指揮官のことを想ってた!!」

ヒッパー「っ」

オイゲン「ただ長く一緒に居すぎて……ちょっと……ちょっとあと一歩を踏み出すのを怖がってただけなのよ!!なのに……!!あんたさえいなければ……!!」

ヒッパー「……」

指揮官(もうオイゲンは完全に感情を抑えることができていなかった。涙を流し嘆き悲しみ、ヒッパーを怨みのこもった眼差しで睨みつける)

オイゲン「指揮官の裏切り者!!そんなツンデレまな板女なんかに誘惑されて寝取られちゃうなんて……信じてたのに!!」

指揮官「……」

指揮官(そして震える声で俺を糾弾する。オイゲンの魂の叫びだった。泣きそうだ。オイゲンを抱きしめて慰めたい)

指揮官(決して嫌いなわけじゃないのだ!!だが、俺はヒッパーを選んだ……狂いそうだった。俺は、オイゲンにもう何もしてあげられない)

オイゲン「こんな……ひどい……憎い……全てが……!!世界よ滅びろ!!こんな世界、ない方がマシだわ……」

指揮官「オイゲン……」

ヒッパー「!!」

オイゲン「黙れ!!消えろ!!目障りなのよ!!これがあんたの答えでしょう!?私を……捨てるんでしょう!?」

指揮官「っ」

指揮官(耐えられなかった。思わずかけてしまった声。しかしオイゲンの反応は強い拒絶だった)

オイゲン「あんたたち二人はもう戦えない!!すべてを捨てて永遠に二人で逃げ続ける人生を送ればいい!!ほら!!早く行きなさいよ!!行け!!」

指揮官「っ……俺は……」

ヒッパー「指揮官!!行くわよ!!」グイッ

指揮官「ひ、ヒッパー……しかし……」

指揮官(オイゲンの絶叫が響く。そしてヒッパーが俺の袖を引っ張ってきた。だが俺は……躊躇ってしまう)

ヒッパー「ほら、早く!!来て!!指揮官!!」グイッ グイッ ジッ

指揮官(動こうとしない俺に、ヒッパーは縋るような視線で訴えかけてくる。決断の時だった)

指揮官「っ……分かった」

指揮官(俺はヒッパーともに駆けだす。オイゲンに背を向けて。さようなら、オイゲン……大切な人……さようなら……)



指揮官(白い世界をヒッパーと共に走っていたら、いつの間にか知っている場所へたどり着いていた)

指揮官(元の世界へ戻れたのだ。情報収集の結果、俺とヒッパーはセイレーンの攻撃で行方不明ということになっているようだった)

指揮官(俺たちは二人で逃げることにした。変装し、遠い果ての地まで移動する。不安だらけだ。だが、ヒッパーと一緒なら耐えられる)

ヒッパー「……指揮官。起きてる?」

指揮官「ああ。どうした?」

指揮官(隣で寝ているヒッパーが俺を呼んだ。その日、ヒッパーと逃げてから初めて宿に泊まっていた)

指揮官(だいぶ遠くまで来たため可能と判断したのだ。勿論、正体がばれないよう変装してだが)

指揮官(戻って以来、野宿や移動中の列車や車、馬車の上で交代で眠るという逃亡生活を続けていた)

指揮官(安い宿で、部屋もそれなりだ。だがこうしてベッドの上で寝られるのはありがたい。本当に久しぶりだった)

ヒッパー「指揮官に謝りたいことがあって……」

指揮官「謝りたいこと……?」

指揮官(ヒッパーの声には元気がなく、恐れや不安を孕んでいた。少しの沈黙、そしてゆっくりと続きを話し始める)

ヒッパー「そうよ。ごめんなさい、指揮官……指揮官をこんな過酷なことに巻き込んでしまうぐらいなら、あの時指揮官の手をとって逃げなければよかったわ……」

指揮官「何を言うんだ、ヒッパー。そんなこと絶対ない」

ヒッパー「だって……指揮官……とても疲れた顔して……やつれちゃって……私のせいだわ……私が……!!」

指揮官「違う。これは俺が自分で選んだんだ。後悔なんかしてない。俺は君と一緒に居たいんだ。それが俺の幸せだ」

指揮官(震える涙声でそう想いを吐露するヒッパー。俺はヒッパーを抱きしめ、本心からの想いを告げる)

ヒッパー「……ねえ、指揮官。あの時、オイゲンを気にかけていたあなたを引っ張っていったのは……怖かったからなの……」

指揮官「怖かった?」

ヒッパー「ええ……あそこであんたとオイゲンが話したら、指揮官がオイゲンにとられちゃう気がして……」

指揮官「そうか……大丈夫だ。俺が選んだのは君だ。そんなことあり得ないよ」

ヒッパー「指揮官……私と一緒に居て本当に幸せ?私を選んだこと、後悔していない?」

指揮官(そう聞いてくるヒッパーは俺の腕の中で震えていた。ヒッパーの心は不安に蝕まれているようだった)

指揮官「っ……」チュッ

ヒッパー「んっ……!!ふっ……」ギュッ

指揮官(言葉の代わりに俺はヒッパーの唇を奪った。一瞬、ヒッパーの体が緊張する。が、すぐにリラックスすると俺を強く抱きしめる)

指揮官(濃厚な口付けを交わした。今まで、俺たちはそういうことをする余裕がなかった。だから我慢していた)

指揮官(だが、本当はずっとしたかったんだ。そして、それはヒッパーも同じだったと確信する。ヒッパーは積極的に舌を絡ませてきていた)

指揮官「っ……俺がどう思っているか分かってくれたよな?」

ヒッパー「うん。指揮官、大好き。愛しているわ」

指揮官「俺の方が愛してるさ」

ヒッパー「バカ、本気で言ってるの?私の方が愛してるわ」

指揮官「いいや、俺の方が愛してるね」

ヒッパー「へぇ……んっ……ちゅっ」

指揮官「っ!!」

指揮官(ヒッパーが自ら唇を重ねてくる。再び貪るようなキスを交わした。……もう我慢できそうになかった)

ヒッパー「……ほらね、私の方が愛してる」

指揮官(ヒッパーのような非凡な美少女にこんな事されて耐えられるわけがない。俺はヒッパーの耳元でささやく)

指揮官「もうダメだ、ヒッパー。君が欲しい。抱きたい。Hしたい。我慢できない。自制しようとしていたんだぞ……ちゃんと休めるときに休んでおかないとって思って」

ヒッパー「はぁ?あんたバカ?私たち軍人でしょ。そんな柔じゃないわ。……でもよかった。したいって思ってるの、私だけじゃなかったんだ」ジッ

指揮官「ヒッパー……!!」

ヒッパー「指揮官……」

指揮官(俺はヒッパーの頭を撫でる。そして頬に触れ、唇を指でなぞった。口の中に指を入れようとすると抵抗なく口が開かれる)

指揮官(色っぽい吐息を吐くヒッパー。目が潤んでいる。俺はヒッパーの舌を指で弄ぶと口から指を引き抜いた)

指揮官「脱がすぞ」

ヒッパー「うん」

指揮官(ヒッパーの寝巻のボタンをはずしていく。どんどんと素肌が露になった。ささやかな胸が丸見えだ。先端の突起が固く自己主張している)

ヒッパー「あん」

指揮官(触れるとしっとりと汗ばんでいた。滑らかな肌触り。そして何よりとても柔らかい。小さくても女の子の胸だ)

指揮官(恐る恐る揉む。ヒッパーが艶めかしい喘ぎ声を出す。感動した。先端をつまむとぴくんと体が反応する)

指揮官「んっ……ちゅっ……れろれろれろ……はむはむはむ……」

ヒッパー「あぁ!!んっ……ふぅ……指揮官……」

指揮官(胸に顔を埋め、口付けする。柔らかいふくらみに舌を這わせ、唇で食んだ。ほんのりとしょっぱい汗の味)

指揮官(俺はいったん口を離すと先端の突起に口をつける。ヒッパーが声を漏らした。俺の頭にヒッパーが手を添える)

指揮官(そこを舐めまわす。舌で転がし、弄んだ。ヒッパーの体がびくびくと反応する。抵抗するように手に力が込められた)

ヒッパー「あぁ!!」ビクン

指揮官(吸ってみると、とうとうヒッパーが嬌声をあげる。下品な音がたつのも気にせず強く吸った。ヒッパーが体を捩る)

ヒッパー「バカ……!!まだ出ないわよ……!!んふっ……ふあぁああ……!!」ビクッ ビクッ

指揮官(ようやく俺が満足するころにはヒッパーは息を荒くしていた。胸が上下する様がとても官能的だった)

指揮官(胸に手を触れ、引き締まったお腹を撫でるようにしてとうとうヒッパーの下の寝巻に手をかける)

指揮官「ごくっ……」

指揮官(ゆっくりと脱がせる。際どいローライズの赤いショーツが露になった。ヒッパーが恥ずかしそうに足を閉じる)

指揮官(毛ははえていないようだ。少しズリ下ろすだけで大切なところが丸見えになってしまうだろう)

指揮官(ヒッパーはいつもこんな下着を穿いて戦っていたのだろうか?あんな短いスカートで……興奮してしまう)

ヒッパー「や、ダメ……指揮官……!!」ビクッ

指揮官(ショーツ越しにそこに触れる。薄布越しにはっきりとそこの形が分かった。ぷっくりとした膨らみに触れるとヒッパーが声をあげる)

指揮官(割れ目に指を這わすとそこがじんわりと湿った。何度も何度もなぞる。下着が間違いなく濡れ始めていた)

ヒッパー「んはぁ!!」

指揮官(下着の下に指を挿入し、直接そこに触れる。熱く、ぬめぬめしている。濃厚な女の匂いが鼻腔を満たした)

指揮官(ピッチリと閉じたそこに強引に指を挿入する。今まで異物を受け入れたことないそこは俺の指さえも拒絶するように締め付けてきた)

指揮官(間違いなく処女だ。俺のモノはもうはち切れんばかりに張りつめている。中を慣らすようにかき回し、性感帯を探る)

指揮官(処女らしい未開拓のそこはまだ反応に乏しい。しかし間違いなく反応が変わるところがあった。俺がそこを開発していくのだ)

指揮官(ぞくぞくする。しかし、それにはまだ時間がかかるだろうな。俺は指を引き抜くと充血し勃起しているクリトリスをつまんだ)

ヒッパー「っぁああああ!!」ビクン

指揮官(そこは生まれながらの敏感な性感帯だ。嬌声が響く。ヒッパーが腰を浮かせて体を張った。少しいじくるだけで面白いぐらいに反応する)

指揮官「声を抑えろ、ヒッパー。安宿だ。聞こえてるかもしれないぞ」

ヒッパー「っ!!で、でも……あぁ!!だめ、指揮官!!それ以上はだめ!!」

指揮官(そう訴えるヒッパーを気にせずそこを責める。ヒッパーの呼吸が荒くなり、愛液がどんどん溢れてくる)

指揮官(ヒッパーが涙目で自分の指を噛む。声を抑えようとしているのだ。それがまたいじらしく俺を高ぶらせる)

ヒッパー「んっ!!んん……!!っ~~~~~~~~~!!」ビクンビクン

指揮官(そしてとうとう絶頂を迎えるヒッパー。体をピンと張り、腰を突き出すように浮かせる。押し殺した嬌声は俺には十分すぎるほどに聞こえた)

指揮官(ぐったりと脱力するヒッパー。俺はショーツに手をかけるとゆっくりとズリ下ろす。ぐっしょりと湿っていたそれは糸をひいた)

ヒッパー「っ……」

指揮官(そしてとうとう露になるヒッパーのそこ。触った時に気が付いていたが、パイパンだ。愛液に濡れてテカっている)

指揮官「……」ジッ

ヒッパー「ちょっと……何してんの……!?恥ずかしいからやめなさいよ……」グッ

指揮官(俺はまじまじとそこを観察する。ヒッパーが嫌がる様に足を閉じようとしたが、しかしそうはさせない)

ヒッパー「ああもう……ヘンタイ……!!」

指揮官(足を掴んで開かせる。恥ずかしがるように顔を手で覆うヒッパー。俺はおもむろにヒップを揉むように掴むと、そこに顔を埋めた)

ヒッパー「えっ!?ちょっ!?っ~~~~~~!!」ビクン

指揮官(そこに口をつけ、愛液を啜る。舌を挿入し、中を舐めまわす。そしてクリトリスを飴玉のように舌で転がした)

指揮官(ヒッパーのヒップを揉みしだき、柔らかさを堪能しつつクンニする。ヒッパーの声にならない嬌声)

指揮官(太腿で頭を挟まれる。天国のような柔らかさだった。なおも責め続け、とうとうヒッパーが絶頂を迎える。体が痙攣した)

ヒッパー「んん~~~~~~~~~!!んん!!んん~~~!!」ビクンビクン

指揮官「っ……ふぅ……」

ヒッパー「っは……はぁ……はぁ……はぁ……」ビクッ ビクッ

指揮官(もう十分濡れているだろう。俺はしばらくヒッパーを抱きしめ、愛撫することで回復を待つ)

指揮官(少しするとヒッパーも落ち着いたようだった。俺の体に手をまわし、抱きしめてくる)

ヒッパー「こんなの……初めてよ……経験あるの……?」ジッ

指揮官「恥ずかしながら、実は無いんだ……出会いがなくてな……でも、そのおかげで最高の初体験を迎えられそうだ」スッ

ヒッパー「ぁ……!!」ドキドキ

指揮官(ヒッパーに覆い被さる。足を開かせ、正常位の体勢になった。俺のモノはかつてないほどに猛り、張りつめている)

ヒッパー「い、痛いのかしら……?」

指揮官「そうならないように君を何度もイかせたんだ。十分濡れている……はずだ」

ヒッパー「そっか……そうよね……」

指揮官「もう我慢できない。いくぞ……!!」ゴクリ

ヒッパー「うん……きて……」

指揮官(先端をそこに添える。避妊してないことにそこで気が付いた。だが、止まれるわけない)

指揮官(亀頭が愛液に濡れる。そのまま腰をゆっくり突き出した。先端がヒッパーの秘所を押し開き、埋もれていく)

指揮官「……!!」

指揮官(強い抵抗、処女膜がヒッパーの貞操を守るために俺のモノを拒んでいた。が、それはむしろ俺を興奮させる)

指揮官「くっ……はぁ……!!」ググググ ブツン

ヒッパー「うっ!!っ……あぁ……!!」ヌププププ

指揮官(何かを貫くような感覚、抵抗がなくなった。処女膜を貫いた。そう確信する。俺が、俺のモノがヒッパーを女にしたのだ……!!)

指揮官(ゆっくりとそこを押し開いていく。とうとう根元まで入った。先端がコリっとしたものを強く突いている。子宮口だ)

指揮官「入った……!!大丈夫か……?」

ヒッパー「っ……大丈夫……思ったより痛くなかったわ……すごい入ってる感じがするけど、もう全然大丈夫よ」 ニコッ

指揮官(ヒッパーははにかんでそう言う。俺を見つめるヒッパーの眼差しは、体の関係となった相手を見る信頼と愛情のこもった特別なものだった)

指揮官「そうか……動くぞ……」

ヒッパー「うん……」

指揮官(ヒッパーは俺のモノだ。この子をもう誰にも渡しはしない。この子は俺が守る。この子は俺が孕ます)

指揮官(男の本能が燃え上がっていた。快楽のままに腰を振り始める。ヒッパーが喘ぎ声を漏らした)

指揮官(ベッドが軋み、肉と肉がぶつかる音と淫らな水音が部屋に響く。モノがヒッパーの中で扱かれている)

指揮官(きゅんきゅんと締まるそこは、媚肉が俺のモノに絡みつき快楽を与えてくる。精を絞ろうとしているんだ。腰が砕けそうだった)

指揮官「はぁ……はぁ……ヒッパー……!!」パンパンパン

ヒッパー「指揮官……愛してるわ……」キュンキュン

指揮官(ヒッパーが俺を見つめながら想いを伝えてくる。止まらない。テクも何も考える余裕がない。そのまま俺は我慢することなく射精を迎えた)

指揮官「うっ……あぁ……はぁ……!!」バチュン ビュルルルルルルル

ヒッパー「んふっ……ふぁ……で、でてる……よね……」ゾクゾク

指揮官(呻き声が洩れる。自慰ではありえない程に精液が出ている。満足感が違った。今、俺の精液はヒッパーに注がれているんだ……!!)

指揮官「っ……ふぅ……」

ヒッパー「指揮官……大丈夫……?」スッ ナデナデ

指揮官「ああ、もちろん。動くぞ」

ヒッパー「無理しないでね……」

指揮官(俺を思いやるように少し心配そうに俺を見つめるヒッパー。だが大丈夫だ。ぜんぜん萎えなかった。結局、俺はその後三回ぶっ続けでヒッパーに中出しした)

指揮官(勿論、抜かずに。抜かずの三発とは本当だったんだな。事後、俺たちはお互いに抱き合い、愛を確かめ合いながら眠りについたのだった)



ヒッパー「おかえりなさい、あなた」

指揮官「ただいま、ヒッパー」

指揮官(家に帰るとヒッパーが笑顔で迎えてくれる。あれから一年。俺たちはとある地方都市に居を構えていた)

指揮官(セイレーンもアズールレーンもレッドアクシズも全く関係ない内陸の中立国にある都市だ。ド田舎だがそこそこ発展している)

指揮官(職も見つかり、安定した生活を手に入れることができた。俺たちは幸せを手に入れることができたのだ)

ヒッパー「ご飯にする?お風呂にする?それとも……?」

指揮官「もちろん君にするよ」

ヒッパー「ふふ、バカ。一番いいのは一番最後に取っておきなさい。すぐご飯の用意するわ。その間にお風呂に入る?」

指揮官「いや、食事が終わってから一緒に入ろう」

ヒッパー「はぁ?まったく、しょうがないわね♪でもちゃんとベッドまで我慢しなさいよ?」

指揮官「努力するよ」

指揮官(俺の返答にヒッパー『もう……』と嘆息する。しかしその頬は赤く染まり期待に胸を躍らせているのがまるわかりだった)

指揮官(俺は机を拭いて食事の準備をすると椅子に座ってヒッパーを待つ。その間、ニュースでも見ようとテレビをつけた)

指揮官(政治や経済。特に変わったことはない。俺はここでも放送されているアズールレーン側の国のニュース番組にチャンネルを変えた)

『……この度、その活躍に対して名誉ある勲章が贈られることになったプリンツ・オイゲン嬢です。おめでとうございます』

オイゲン『ありがとう。光栄だわ』

指揮官「!!」

指揮官(ニュースにはオイゲンが出演していた。衝撃が走る。テレビの画面越しとはいえオイゲンを見るのは久しぶりだった)

指揮官(……あの日、消えゆく仮想世界で、ヒッパーと二人でオイゲンに背を向けて逃げた時以来だ。言葉にできない混沌とした感情が胸中に渦巻く)

ヒッパー「お待たせ、あなた。っ!!」ハッ

指揮官(ちょうどヒッパーが料理を運んできた。ヒッパーもまたテレビに映るオイゲンに気が付くと、驚愕の表情で凝視する)

『世間では貴女は笑顔を見せず、いつも物憂げな雰囲気を纏っていてミステリアスな魅力があると話題です。貴方はなぜ笑わないのですか?』

オイゲン『そう……そんな事、興味ないわ。私を笑わせることができるのは世界で一人だけよ。けど、きっともう二度と私が笑うことは無い』

指揮官(冷たい瞳に冷たい声音。オイゲンは初めて会ったときのように……いや、それよりももっと酷い。完全に心を閉ざしきっていた)

指揮官(作り笑いすらできない程に……心が痛む。泣きそうになった。オイゲンをこんなにしてしまったのは俺なのだ。俺のせいで……)

ヒッパー「……」キュッ

指揮官「!!」

指揮官(ふと、ヒッパーが辛そうに顔を歪めて俺を見ていることに気が付いた。視線が合うと目を伏せてしまう)

指揮官(やってしまった……自分がどういう顔をしていたのか分からないが、少なくともヒッパーがそうしてしまうような顔をしていたのだろう)

指揮官「お腹ペコペコだ。もう待ちきれない。早く食べよう」ニコッ

ヒッパー「ええ、そうね」ニコッ

指揮官(俺はテレビを消してヒッパーにそう微笑みかける。ヒッパーは悲しそうに微笑むと料理を机に並べ始めた)



指揮官(食事の間、俺は雰囲気を変えようといつも以上にヒッパーと話した。ヒッパーの方もそれを感じ取ってくれたのだろう)

指揮官(一緒に風呂に入る頃にはいつも通りに戻ってくれていた。風呂場で互いに体を洗うという名目で愛撫し合う)

指揮官「っ……うっ……」ギンギン ビクッ ビクッ

ヒッパー「ふふっ、まったく指揮官ったら。ただ洗っているだけなのに何こんなにおっきくしてるのよ?気持ちよくなっちゃった?」モミモミ シコシコ

指揮官(ヒッパーが手で俺のモノを激しく扱きながら玉をもんでくる。カリにヒッパーの指が引っ掛かり、裏筋を指の腹で撫でられていた)

指揮官(痺れるような快楽だ。ヒッパーは完全に俺の好きなところを把握している。しかし、射精に至る直前でヒッパーは手を止めてしまった)

指揮官「はぁ……はぁ……ヒッパー……!!」

ヒッパー「その顔、いいわ……!!ザーメンびゅるびゅる出したいのね?でもダメよ。無駄打ちするなんて赦さないわ。全部私に捧げなさい」ゾクゾク

指揮官「っ……Sめ……!!」キロリ

指揮官(サディスティックな笑みを浮かべてそう囁くとヒッパーはそのまま足を洗い始める。俺にできるのは恨めし気にヒッパーを睨んでそう呻くことぐらいだった)



指揮官「おかしいな、ヒッパー。どうして君のココはこんなに硬くなっているんだ?俺はだた体を洗っているだけなのに」

ヒッパー「っ……うるさい……バカ……んっ……」ピクン ピクン

指揮官(俺はヒッパーのクリトリスに一瞬触れる。ヒッパーの肩が跳ねた。荒い息を吐いて蕩けた顔をしている)

指揮官「まさかとは思うが……感じているのか?ただ体を洗っているだけなのに?変態だな、君は」

ヒッパー「あんたのせいでしょ……!!あんたの手つきがいやらしいから……!!だからよ……!!」

指揮官「さっきの君ほど露骨ではないつもりだがな。ほら、見ろヒッパーこんなにあふれてきているぞ」

ヒッパー「あんっ……!!だって……あんたがぁ……!!」カァッ

指揮官(俺はヒッパーの秘所に指を這わせ、あふれ出る愛液を指に絡めとった。そして見せつけるように糸をひかせると、恥丘に塗り込む)

指揮官「俺は優しい。君が正直にちゃんと言っておねだりすればここでイかせてやるぞ?どうする?」

ヒッパー「っ……誰が……!!あぁん!!」ビクン

指揮官(反抗的な目で俺を睨むヒッパーだったが、軽くクリトリスを抓ってやると嬌声をあげて体を跳ねさせた)

指揮官「んっ?なんだって?」グリグリ

指揮官(そしてヒッパーの下腹部を強く押しながら円を描くように撫でる。ヒッパーの子宮を外から刺激した)

ヒッパー「あぁ……はぁ……!!っ……はぁ……はぁ……っ……わかった……」ピクンピクン

指揮官「ほう?」

ヒッパー「お願い……イかせて、あなた……もう我慢できない……おかしくなっちゃう……」

指揮官(ヒッパーが悔しそうに顔を伏せながら押し殺した声でそう呟く。強引に顔をあげさせ、目を覗き込んだ)

ヒッパー「っ……!!」キッ ドキドキ

指揮官(ヒッパーが俺を睨みつけた。しかし表情は快楽で蕩けかけている。そのエメラルドの瞳にはまるでハートが浮かんでいるようだった)

指揮官「感じたんだな?」

ヒッパー「そうよ……!!感じてるわよ……!!だって指揮官にこんな事されたら反応しちゃうんだもの……!!」

指揮官「体洗われて感じるとは変態だな、ヒッパー?」

ヒッパー「あんたのせいでしょ、このバカ……!!あんたが私を変態にしたんだわ……!!」

指揮官「イかせて欲しいんだな?」

ヒッパー「そう言ってるでしょ!!いいから早くしてよ……」

指揮官「俺を愛しているかい?」

ヒッパー「言わなきゃわからないの、このバカ!!」

指揮官「言ってほしいんだ。分かるだろ?」

ヒッパー「っ……愛してるわよ……!!大好き!!」

指揮官「俺も愛している。世界で一番大好きだ。っ……」 チュッ

ヒッパー「んふっ……んっ!!んぅ!!」

指揮官(ヒッパーの唇を奪い、舌を挿入して絡ませる。そして指をヒッパーの中に挿入した。きゅんと締まる。イかせにかかった)

指揮官(ヒッパーがビクビクと体を震わせる。腰が引けていくが、逃さない。壁に押し付け、押さえつける)

指揮官(ヒッパーが俺を完全に把握しているように、俺もヒッパーの良いところをすべて分かっていた)

指揮官(ヒッパーを女にして体を開発したのは俺なのだ。当たり前だった。媚肉をかき分けてGスポットを刺激する)

ヒッパー「んん~~~~!!んんんん!!」ダキッ ギュッ

指揮官(ヒッパーが俺の体を強く強く抱きしめてきた。上り詰めているのが分かる。ヒッパーの後頭部に添えた手で頭を撫でつつ、咥内を貪る)

ヒッパー「んんんんんんんんんんんん!!んっ……んふぅ……」ビクンビクン

指揮官(ヒッパーが絶頂した。中が締まり、腰が突きだされる。舌をぴんと伸ばして体が痙攣していた)

指揮官(ヒッパーは荒い息を吐きながら脱力して俺にもたれかかる。俺が抱きしめるとヒッパーも俺の体に手をまわした。しばらくそうして抱き合う)

指揮官「愛してる。ヒッパー」

ヒッパー「私も、指揮官。誰よりも愛してるわ」

指揮官(至近距離で見つめ合う。むき出しの心は瞳を通してヒッパーの愛と、そして不安を伝えてきていた)

指揮官(この目は一緒に逃げだし、この街に落ち着いて少し経つくらいまでよく見た目だった。未だにヒッパーの中にはオイゲンがいる)

指揮官(今日のニュースでそのころの気持ちを思い出してしまったようだった。俺がオイゲンのもとへ去ってしまうことを恐れている。そんな事、あり得ないのに)

指揮官「あがろうか。もう我慢できない」

ヒッパー「うん、そうしましょう」

指揮官「大洪水だな。見ろ、君の内股を愛液が伝っているぞ」

指揮官(俺の指摘にヒッパーが無言で俺の頭をはたいた。そしてシャワーを手に取ると俺の体を流してくれ、次いで自分の体を流すのだった)



ヒッパー「んっ……んちゅっ……れろれろ……じゅるっ……にゅるにゅる……」

指揮官「っ……」

指揮官(ベッドの上、ヒッパーが四つん這いになって俺の股間に顔を埋め、その綺麗な口に俺のモノを咥えこんでしゃぶっていた)

指揮官(仕込んだテクを存分に発揮してきている。このままヒッパーの咥内にぶちまけたい欲を抑えつつヒッパーの頭を撫でる)

指揮官「ヒッパー、そろそろ入れたい」

ヒッパー「んふっ……わかった」

指揮官(ヒッパーが口を離すとベッドサイドチェストに手を伸ばす。そこにはゴムが入っているのだ。だが俺はヒッパーを抱きしめることで阻止する)

ヒッパー「あなた?」

指揮官「……君との子供が欲しい」

ヒッパー「!!」

指揮官(ヒッパーが息をのんで硬直する。大きな衝撃を受けているようだった。分かっていたが、それほど大事な事なのだ)

指揮官「産んでくれないか?」

ヒッパー「っ……私でいいの?」

指揮官(……その言葉が全てを表していた。ヒッパーの想いを。俺はたまらなく苦しくなり、やるせない気持ちになった)

ヒッパー「ニュース見たでしょ?あの子、今でもあなたを待って……っ!?」

指揮官(俺はヒッパーを押し倒すと至近距離からヒッパーを見つめた。驚きに目を見開くヒッパー)

指揮官「本気で言っているのか?なら、分からせてやる。覚悟しろよ、ヒッパー。お前を孕ましてやる」

ヒッパー「……!!っ……ごめんね、指揮官……もう二度と言わないわ……」ポロポロ

指揮官(俺の宣言にヒッパーは感極まったように顔をくしゃっとさせると涙を流し始めた。そして俺を迎え入れるように両手を伸ばす)

ヒッパー「うん……お願い……私を孕まして?私にあなたの子供、産ませて」

指揮官(俺はモノをすでに蕩けて準備万端になっているヒッパーの秘所に宛がうと、躊躇うことなく突き立てた。そこを押し開いて奥へと挿入していく)

指揮官「っ……うわぁ……!!」ズプッ

指揮官(久しぶりの生の感覚は素晴らしかった。熱い体温、絡みついていくる愛液、搾ってくる媚肉を直で感じる)

指揮官(何度も肌を重ねた仲だからこそゴムありとなしの違いが明確に分かった。これを知ってしまったらもうゴムありに戻れない……!)

ヒッパー「あぁ……!!すごいぃ……!!熱くて……形がはっきりわかっちゃう……!!いつもと全然違う……!!」ヌププププ ビクッ ビクッ

指揮官(それはヒッパーも同じのようだった。体をびくびくと震わせ、俺の背中に回した手に快楽に耐えるように力を込めてくる)

指揮官「動くぞ、ヒッパー……!!」

ヒッパー「す、少し待って……!!今ちょっと……!!」

指揮官「悪いが、無理だ……!!」ズッ バチュン

ヒッパー「はぁ!?何言ってっぁああああ!?」ビクン

指揮官(一突きでヒッパーが嬌声をあげる。そのまま俺は腰を振り始めた。下半身が溶けていくようだった)

指揮官(ヒッパーの媚肉は容赦なく俺の敏感なところを刺激する。薄いゴム一枚でこうも変わっていたのか……!!)

指揮官(先端がヒッパーの子宮口を突く。ヒッパーの体はすでに妊娠する気しかないようだった)

指揮官(子宮が俺の精液を求めて降りてきているのだ。容赦ない俺の腰ふりにヒッパーは絶頂を迎え、もはや悲鳴のような嬌声をあげていた)

指揮官(しかしそれは俺にとっても同じことだ。絶頂を迎えたことでさらに締まるヒッパーの中。媚肉が激しく俺のモノを扱き、急速に精液が込み上げてくる)

指揮官「ヒッパー……!!出すぞ……!!」パンパンパン

ヒッパー「うん!!うん!!ちょうだい!!あなたのザーメンいっぱいちょうだい!!いっぱい注いで孕ませて!!」ゾクゾクゾク

指揮官(俺の言葉にヒッパーが密着するように強く抱きつき、足を組み付かせてくる。そして射精をねだった)

指揮官「っ……ヒッパー!!」バチュン ビュルルルルルルル

ヒッパー「ああああああああああああああ!!あぁ!!ああああああ!!」ビクンビクン

指揮官(限界を迎え、俺はヒッパーを押しつぶすかのように腰を打ち付け、ぐりぐりと押し付けた。ヒッパーが絶頂を迎え、蕩けた絶叫をあげる)

指揮官(素晴らしい放出感だった。モノを押しつぶさんばかりに中が締まったおかげで尿道を通って精液が大量に送り出されるのがはっきりと感じられる)

指揮官「っ……ふぅ……」

ヒッパー「あぁ……はぁ……はぁ……」

指揮官(射精を終え、脱力する。ヒッパーは意識朦朧としていた。荒い息を吐くたびにささやかな胸が誘うように上下している)

指揮官「……ヒッパー」

ヒッパー「はぁ……はぁ……はぁ……何よ……」

指揮官「……全然収まらない」

ヒッパー「はぁ……!?」

指揮官「抜かずに続けるぞ」

ヒッパー「ま、待って!!死んじゃう!!死んじゃうからぁ!!」

指揮官(そんなヒッパーに構わず俺はピストンを再開する。ヒッパーの口から再び嬌声が洩れた)



指揮官「ふぅ……」

ヒッパー「……」ドロリ

指揮官(最後はバックで決めた。もはや四つん這いになれずベッドの上に潰れてしまったヒッパーを容赦なく突き、注いでやったのだ)

指揮官(何度注いだのか分からない。うつ伏せでベッドに突っ伏すヒッパーはぐったりとしている)

指揮官(その秘所からは愛液や精液が混ざり合った白濁液が垂れてきている。この上ない達成感を感じた)

指揮官「さすがに俺も打ち止めだ……寝ようか、ヒッパー」

ヒッパー「……」コクリ

指揮官(黙って頷くヒッパー。俺はヒッパーの隣に横たわる仰向けにさせて腕枕をした。ヒッパーが恨めし気に俺を見る)

指揮官「愛してるよ、ヒッパー。誰よりも」

ヒッパー「……私も愛してる。誰よりもね」

指揮官(しかし俺の言葉に顔を綻ばせるとそう言い、甘えるように俺に擦り寄ってくる。そしてそのまま眠りに落ちた)



ヒッパー「まったく、グズグズ泣かないの!!たかが学校へ行くだけでしょう?」

「やだー……怖い……!!」ポロポロ

指揮官「ど、どうしようか……」オロオロ

ヒッパー「いい?聞きなさい。何も怖いことは無いわ。あなたは私たちの子供なんだから。何にも負けない強い子よ」

「ぐすっ……」

ヒッパー「学校では新しいことがたくさんあるわ。きっと楽しめる。もし怖くなったら思い出しなさい。貴方にはパパとママがついているわ」

指揮官「そ、そうだぞ。何かあったらすぐに助けてやる」

「……。うん……」

ヒッパー「いい子ね。じゃあもうお休みなさい。明日は入学式。寝坊したら大変よ」

「うん……お休み、ママ、パパ」

指揮官「お休み。よく寝るんだよ」

ヒッパー「んちゅ……お休み、私たちの宝物」

指揮官(こういう時、父親は母親に敵わないなと強く思う。我が子の額にキスをして頭を愛おしそうに撫でるヒッパーはもう立派な母親だった)

指揮官(しばらくすると安らかな寝息をたて始める。俺たちは部屋の明かりを落とすと自分たちの寝室へ向かった)

ヒッパー「あの子ももう小学生なのね」

指揮官「早いものだな」

ヒッパー「本当にね。よかった、すくすくと育ってくれて」

指揮官「ああ」

指揮官(ヒッパーが甘えるようにもたれかかってくる。俺はヒッパーの頭を優しく撫でた。気持ちよさそうに目を細める)

ヒッパー「私、本当に信じられないくらい幸せだわ」

指揮官「俺もだよ。君とこうして一緒になれてよかった」

指揮官(俺たちは見つめ合うとお互いに微笑んで軽くキスをする。明かりを消すと、俺はヒッパーを胸に抱いて眠りについた)

END

オイゲンが救われないな…
二人が救われるには逆レイプendしかないのか

切ないぜ……

オイゲンルートまだですか……?
あの子の幸せな姿も見たいです……

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom