梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」 (50)

① 放課後、教室
 
千歌「じゃあ今日は練習もないし一緒にポケ○ンやらない? 梨子ちゃん」
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」
 
千歌「そっか。ごめんね、無理言って」シュン 
 
梨子「そういうことだから、じゃあまた今度ね」スタッ

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廊下
 
梨子「さて、と」つスマホ
 
梨子(監視カメラ、及び盗聴器オン!)ポチポチ
 
千歌(教室)『ねぇ、曜ちゃん?』シュン
 
曜(教室)『どうしたの、千歌ちゃん? そんな今にもこの世が終わりを迎えるかのような顔で』
 
千歌『わたし……梨子ちゃんに嫌われちゃったのかな?』ウルッ
 
曜『そんな大袈裟な。梨子ちゃんにだって自分の時間が欲しいって時はあるんだし』
 
千歌『でもっ……だけどっ……』グスッ
 
梨子「はぁはぁ、そそるわぁ~千歌ちゃんっ♡」
 
善子「リリー? 梨子ー? 梨子さーん?」

梨子「ふふっ、ゾクゾクしちゃ──」
 
ビシッ☆
 
梨子「あいたっ!? ってよっちゃんっ!?」
 
善子「何やってるのよ、『用事がある』って嘘までついて」
 
梨子「『あの日』ね、気付いちゃったの」
 
善子「『あの日』って閉校祭の二日目よね。気付いたって何によ?」
 
梨子「千歌ちゃんの曇り顔を見てると胸の奥がキュン♡ ってしちゃうことに」ハァハァ
 
こんな顔
https://i.imgur.com/XVw9993.jpg
 
善子「うわぁ、趣味悪いわよリリー」ヒキッ
 
梨子「ふふっ、泣きそうな目の君(千歌ちゃん)が好きよ。無防備に生きる不器用さもね♡」
 
善子「そこでコワレヤスキ引用しないで」

千歌『梨子ちゃんはもう──』グスッ
 
ダキッ
 
千歌『曜、ちゃんっ//』カァーッ
 
曜『大丈夫だよ、千歌ちゃん。私は千歌ちゃんを置いていなくなったりしないからね。いつだって千歌ちゃんの味方でいてあげるからね』ナデナデ
 
千歌『う、うん// ありがとね、よーちゃん♡』ニコッ
 
曜『どういたしまして』ニコッ

監視カメラに向けて満面のドヤ顔 (*`• ω •´*)ゞ
 
メイ*;° Д °リ ……
 
善子「リ、リリー!?」
 
梨子「ムッキー! おのれー曜ちゃーん!」プンスコ
 
善子「どこぞの薔薇のハナ垂れ死神じゃないんだから」
 
梨子「傷心の千歌ちゃんを手籠めにしようだなんて、卑怯よっ!」プンスコ
 
善子「いや、これは完全にリリーの自業自得でしょ!」

② 千歌ちゃんルーム
 
千歌「じゃあ午後からは何して遊ぼっか?」
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」
 
千歌「またぁ?」ハァ
 
梨子「だから私はもう──」
 
ガラッ
 
善子「その必要はないわ!」ヨハァ!
 
梨子「ってよっちゃんから来たの!?」
 
善子「どうせまた千歌さんを曇らせてハァハァするつもりだったんでしょ?」
 
梨子「ギクッ!?」

千歌「よくわかんないけど、いらっしゃい善子ちゃん」
 
善子「ヨハネよっ!」クワッ
 
千歌「ポテチと生温いお茶しかないけどいいかな?」
 
善子「ええ、いただくわ」
 
梨子「でもよっちゃん、今日はギルキスの衣装作りを──」
 
千歌「へぇー、善子ちゃんもお裁縫得意なんだねー」
 
善子「ヨハネっ。専門店で買ったら高いからね、自前で作ってるうちに上手くなったのよ」
 
千歌「そうなんだ。じゃあ今度から曜ちゃんやルビィちゃんの手伝いも──」
 
善子「まあ音響とか照明の手が空いたらね」
 
梨子(あれっ、私が蚊帳の外になってない?)

千歌「ところで善子ちゃんはどうしてウチまで?」
 
善子「ヨハネだっての! 千歌さんに渡したいものがあってね」つ服
 
千歌「この黒い服って……」
 
梨子「ちょっとよっちゃん、それはっ//」
 
善子「リリーが一人で作ったのよ、『千歌ちゃんに』ってね」
 
千歌「梨子ちゃん……ありがとねっ♡」ニコッ
 
梨子「ど、どういたしまして//」カァーッ
 
千歌「にしても、ところどころにピンクのラインが入ってるのって梨子ちゃんの趣味?」
 
梨子「ま、まあそんなところ──」

善子「ちなみにこっちがリリーのね」つ服
 
梨子「いやーっ! よっちゃんやめてー!」アセアセ
 
千歌「こっちはオレンジのラインにヒマワリのブローチ? まさか//」カァーッ
 
善子「『千歌ちゃんと対になるように』ってさ。ほんっとおノロケ聞かされる身にもなってよね!」
 
梨子「よっちゃんだって花丸ちゃんとのノロケ話ばっかりのクセに!」
 
善子「ヨッハー!」
梨子「ムッキー!」
 
千歌「あはは……喧嘩するほど仲がいいってヤツかな?」
 
よしりこ「「そういうのじゃないから!」」
 
千歌「うわぁ、息ピッタリ。……わたしも寂しいから仲間に入れろーっ! チッカー!」
 
梨子「いや、何その叫び方?」

③ 放課後、教室
 
千歌「じゃあ梨子ちゃん、今日こそ一緒に帰ってポ○モンを──」
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」
 
千歌「またまたぁ?」
 
梨子「ってな訳でいつも通り私はこれにて──」
 
サッ
 
千歌「行かせないよっ!」
 
梨子「千歌ちゃんっ!?」
 
千歌「わたし、梨子ちゃんと離れたくないもんっ!」
 
梨子「でもよっちゃんとは昨日から約束してて──」
 
千歌「そんなの百も承知だよっ! わたしのワガママだってのもっ!」

梨子「だったら力ずくで止めてみせることね、この桜内梨子をっ!」ニヤリ
 
千歌「今日こそはわたしのエゴを押し通させてもらうよ、梨子ちゃんっ!」
 
梨子「ふふっ、止められるのかしら? これまで6戦6敗の千歌ちゃんに」
 
千歌「この高海千歌を昨日までの高海千歌だと思わないことだね、梨子ちゃんっ!」ニヤリ
 
梨子「あーっ! みかんが空を飛んでるっ!」ユビサシ
 
千歌「……」
 
梨子「……ってあれっ!?」
 
千歌「いや、それ3回目で使ったよね? そんなこと、ある訳ないじゃん」ハァ
 
梨子「だったら! サイレント──」ガバッ
 
スカッ
 
梨子「んなっ!?」
 
千歌「それだって5回目にやったよね? 相手の頭を狙う技なら、しゃがんで回避すればいいだけのことっ!」
 
梨子「ぐっ……この技の弱点を見抜くなんてっ!」

千歌「そして空振りで隙ができたところに立ち上がればっ!」
 
ドカッ☆
 
梨子「ぐはあっ!?」バタッ
 
千歌「どうだっ! 今日こそは日が暮れるまでわたしと──」
 
梨子「」チーン
 
千歌「あらっ?」
 
ガラッ
 
善子「って千歌さん、リリーに何やってるの!?」
 
千歌「ヘッドバッドだけど。どうやら打ち所が悪かったみたいで」
 
善子「っていうか一部始終見てたけど、なんなのあのバトルはっ!?」
 
曜「『リコヲ ヨシコノモトニ イカセルナ作戦』、だけど?」
 
善子「何よ、そのド直球な作戦名は! もっとセンス磨きなさいよっ!」
 
曜「……まず突っ込むのそこなんだ」

④ 放課後、教室
 
千歌「梨子ちゃんっ! 今日こそはわたしと一緒に○ケモンを──」
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」
 
千歌「問答無用っ!」ガバッ
 
梨子「ちょっと口上なしでいきなりっ!?」サッ
 
千歌「先にわたしとの対話を拒絶したのは梨子ちゃんでしょうがぁっ!」
 
むつ「さあさあ本日も始まりました『リコヲ ヨシコノモトニ イカセルナ作戦』、これまでの戦績は桜内選手の6勝1分となっておりますが」
 
いつき「そうですね。先日は今まで使ってきた戦法が全て読まれた結果、初の痛み分けとなってしまった訳ですが」
 
よしみ「桜内選手もずっと格下と見なしていた高海選手に一杯食わされましたからね、今後はもう油断することなく──」
 
梨子「ってなに実況してるのっ!」
 
むつ「いや、面白いから」
 
梨子「だから私達のことを面白半分で──」

千歌「隙アリっ!」つ枕
 
梨子「甘いわよっ!」サッ
 
千歌「囮だよ、それはっ!」つ投げ縄
 
梨子「道具使うなんて卑怯でしょ!」サッ
 
千歌「実戦にルールなど無いのだ!」つ網
 
よしみ「おおーっと、これは網ですねー」
 
いつき「そうですね、運動会の障害物競走で使うアレですねー」
 
梨子「ちょっ!? そんな物までっ!?」サッ
 
千歌「この前みたく気絶させたら本末転倒だからね」
 
むつ「かわしましたねー」
 
いつき「大振りになりますからねー」

梨子「よしっ! このままドアまで──」シュタッ
 
千歌「これで終わるわたし『達』じゃないよっ!」
 
梨子「『達』っ!?」
 
千歌「曜ちゃんっ!」
 
サッ
 
梨子「どうしてっ!?」
 
曜「梨子ちゃんには悪いけど、これ以上千歌ちゃんを曇らせたくないからね」
 
梨子「さすがに二人がかりはズルいって! ちょっと審判!」
 
曜「いやいや、梨子ちゃんも試合形式なの認めてるじゃん」
 
むつ「問題ありません、傷害沙汰にならない限りは」
 
梨子「ええーっ」

曜「そして梨子ちゃんは一つ勘違いしてるよ」
 
梨子「勘違いって何を?」
 
曜「敵が私と千歌ちゃんだけだとでも?」ニヤリ
 
梨子「ま、まさか……」
 
クラスメート一同「梨子を取り押さえろーっ!!」ガバッ
 
梨子「ちょっ、クラス全員相手は無理だっての! よっちゃーん、助けてー!!」
 
廊下
 
善子「リリー、この試練を乗り越えてみせなさい! 戦いの中で真の上級リトルデーモンとしての力に目覚めれば、有象無象など一撃で屠れるはずよっ!」

花丸「曜さんにもマル達の事情を伝えたらいいのに」
 
善子「告げ口しないとも限らないでしょ? 千歌さんに甘い曜さんなら」
 
花丸「……確かにそうだけど」
 
善子「これは極秘ミッションなの! 情報の漏洩は許されないの!」
 
花丸「でもこれが原因で、千歌ちゃんと梨子さんが別れることになったら本末転倒ずら」
 
善子「そこなのよね。リリー抜きの私達だけで探しても問題ないのにね」ハァ
 
花丸「だけど梨子さんは『自力で見つけたい』って意固地になっているし」
 
よしまる「「困ったものね(ずら)」」ハァ

⑤ 放課後、教室
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」
 
千歌「……まだ誘ってすらいないのに」
 
梨子「でもどうせ今日も『一緒にポケモ○やろ』って誘うつもりだったんでしょ?」
 
千歌「いや、別に」
 
梨子「あれっ? じゃあ今日はどう○つの森?」
 
千歌「でもないよ」
 
梨子「だったら何なの?」
 
曜「いやいや、なんで梨子ちゃんの方がかまってちゃんになってるのさ」

千歌「いいよ、どこでも勝手に行きなよ」
 
梨子「えっ!? 何か冷たくない?」
 
千歌「わたしもそろそろ切り上げようと考えてたから」
 
梨子「千歌ちゃんはこれからどうするの?」
 
千歌「いちいち梨子ちゃんに答える必要あるの?」
 
梨子「いや、ないけどさ」
 
千歌「だったら何でもいいじゃん」ムスッ
 
梨子「ねえ曜ちゃん、千歌ちゃんはどうしちゃったの?」
 
曜「ここしばらく、梨子ちゃんが冷たい態度取ってきたからじゃない?」
 
梨子「……別にそんなつもりじゃなかったのに」シュン
 
曜「その気はなくても、千歌ちゃんはそう受け取ったんだよ」
 
千歌「じゃあねー、曜ちゃーん!」ノシ
 
曜「うん、楽しんできてねー」ノシ
 
千歌「ついでに梨子ちゃんもね」ノシ
 
梨子「ついでって……う、うん。また明日」ノシ

梨子「はぁ、そろそろよっちゃんのところに行きますか」
 
曜「ああ……やっぱり梨子ちゃんも善子ちゃんの下に」
 
梨子「曜ちゃん」ギギギ
 
曜「どうしたの?」ヒキッ
 
梨子「今、梨子ちゃん『も』って言ったよね?」
 
曜「うん、言ったけど……しまった!?」
 
梨子「まさか……」

よっちゃんルーム
 
ちかりこ「「酷いわっ! わたし(私)というものがありながらっ!」」パシーン!
 
善子「ぶべらっ!?」
 
ちかりこ「「わたし(私)達を弄んでっ! この女たらしっ!!」」パシーン!
 
善子「あいたっ!?」
 
梨子「とまあ冗談は」
 
千歌「善子ちゃんとして」
 
善子「ヨハネよっ! っていうか冗談でひっぱたかれたの!?」
 
ちかりこ「「ご、ごめんなさい」」ペコッ

梨子「ポケ○ンスタジアム2?」
 
https://i.imgur.com/Sc6v6r6.jpg

千歌「うわぁ、懐かしー」ニカァ
 
梨子「いや、これ出た時私達まだ産まれてないよね?」
 
※1998年8月1日発売です(何気に千歌ちゃんの誕生日と同じ日ですね)
なおアニメ版を2016~2017年の出来事と仮定したとしてです
 
善子「それのミニゲームをやりたくなって中古で買ったのよ。一応CP相手でもできるけど、せっかくなら誰か誘ってやりたいじゃない?」
 
梨子「まあ、気持ちはわかるけど。だったら千歌ちゃんもそう言ってくれればいいのに」ムッスー
 
千歌「わたしなりの仕返しだよーだっ!」プンスコ
 
梨子「ごめん、千歌ちゃん。これには一応理由があって」
 
千歌「理由って何さっ! 恋人のわたしをほっぽって、いつも善子ちゃんを優先する理由なんてっ!」グスッ
 
善子「ヨハネっ!」
 
梨子「それは……ちょっと今は言えないの」

善子「ほらね、私が忠告した通りになったじゃない。たまには『休み』でいいって」
 
花丸「そうずら」
 
善子「ってずら丸!? いつの間に!?」
 
花丸「善子ちゃんのお母さんが上げてくれたんだよ」
 
善子「ヨハネっ! 何にせよ、これで四人揃ったわね」
 
千歌「じゃあさっそくやろっか!」
 
りこまる「「うんっ!」」
 
善子「って何で千歌さんが仕切ってるのよっ!」

花丸「マルはこのベ○リンガのお寿司が気になるずらぁ~」
 
https://i.imgur.com/Oaf3GJN.jpg

梨子「それってゲーム初心者には難しいんじゃないかな?」
 
千歌「かたくなるがっせんはどうだろ? アレならタイミングよくボタン押すだけだし」
 
梨子「それはそれで簡単過ぎるんじゃ」
 
善子「順番に全部やってけばいいじゃないの」
 
梨子「まあ、それもそうね」
 
花丸「……善子ちゃん」
 
善子「ヨハネっ! どうしたのよ、ずら丸」

花丸「梨子さんが探している『アレ』、鞠莉さんなら手配できるかもって」ヒソヒソ
 
善子「まあマリーの財力に物を言わせればね。でもリリーは『自分で見つけたい』って言ってるし」ヒソヒソ
 
花丸「わかったずら。鞠莉さんにはそう伝えておくね」ヒソヒソ
 
善子「でも当日までに『アレ』、見つけられるのかしらね?」ヒソヒソ
 
梨子「よっちゃんと花丸ちゃんは何ヒソヒソ話してるの?」
 
花丸「『アレ』の進捗状況ずら」ヒソヒソ
 
梨子「って何で渡したい人がいるところで話すのさっ!」
 
善子「ってリリー、声がおっきいわよ」ヒソヒソ
 
梨子「……ごめんなさい」
 
花丸「でも当の千歌ちゃんは気にしてないみたいだね」ヒソヒソ
 
千歌「うわぁ、ソフトなしでもレンタルで対戦できるんだねぇ! すっごーい!」
 
善子「まあ、千歌さんは筋金入りの任○堂オタクだものね」

⑥ 放課後、教室
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」
 
千歌「うん、『私ち用あ』ね。わかった」
 
梨子「いや、何さその略し方?」
 
千歌「今日は曜ちゃんとポケモ○カードやるから」
 
曜「この間押し入れの整理してたら、昔のが出てきたんだ」
 
梨子「ポケモ○はポケモ○でもカードなのね」
 
千歌「うん。それからダイヤさんとルビィちゃんの四人でスマ○ラやるんだ」
 
曜「今日こそは負けないよ、千歌ちゃん! そのためにaqours最強のメンツを揃えたんだからね!」
 
梨子「意外とダイヤさんって上手いんだね、ス○ブラ」

千歌「くっくっくっ、このわたしを倒すだと? 冗談も休み休みにしたまえ!」
 
梨子「未だに千歌ちゃんに黒星付けれてないのね、3対1で」
 
曜「……残念ながら。あとは次の夏祭りで使う衣装のデザイン決めて、それからみんなでバーベキューするんだ」
 
梨子「へぇー、バーベキューかぁ。私、そういうのやったことなかったなぁ」
 
曜「まあ、都会のど真ん中に暮らしてたなら仕方ないよ」
 
千歌「また機会があればやろうね、梨子ちゃん」
 
梨子「うん。その時はよろしくね」

梨子「……」

沼津駅前
 
梨子「今日も無駄足だったかぁ……」ハァ
 
善子「来といてそれ言う訳っ!?」
 
花丸「確かにね。マルもルビィちゃん達と一緒が良かったなぁ」ハァ
 
善子「ずら丸まで……だったら今日くらい千歌さんと──」
 
梨子「だけどもう日にちが迫ってきてるし」
 
善子「というより、やっぱりもう静岡県内には残ってないんじゃないの? 素直にマリーに助力を仰いで──」
 
梨子「嫌だ。私が自力で見つけたいの!」ムスッ
 
花丸「梨子さんがここまで頑固だったなんて」

⑦ 放課後、教室
 
千歌「梨子ちゃん! 明後日が何の日かわかる?」ソワソワ
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」
 
千歌「ええっ!? そうなのっ!?」ガーン 从c*´• _ •§
 
梨子「いや、明後日のことじゃなくてね」アセアセ
 
 曜「っていうか梨子ちゃん最近さ、もうそれ言っとけばいいやって思ってない? 千歌ちゃんに対して」
 
梨子「うん、多少は」(大好きな千歌ちゃんをそんな雑に見てるつもりはないよ)
 
曜「いやいや、本音と建前が逆になってるから」
 
梨子「代わりにこの娘を置いてくから、ちょっとそれで我慢して」
 
千歌「この娘って?」

梨子「来なさいっ! メカリリーっ!!」
 
ガチャッ
 
メイ*㊤ 皿 ㊤リ ウィーン、ガシャン
 
曜「なんか掃除用具入れから出てきたんだけど」
 
千歌「梨子ちゃんが二人っ!? ……ってよく見たら関節がボールみたいになってるし」
 
梨子「この娘はね、オハラグループが介護用に開発しているアンドロイド【MAーX02 メカリリー】なんだって」
※MAはMachine Aqoursの略称、Xは試作機を示す
 
曜「おはらけの ちからって すげー!」ポカーン

メイ*㊤ 皿 ㊤リつ コレカラ ヨロシクネ チカチャン
 
千歌「うん、よろしくね。 ちなみに02ってことは01もいるの?」
 
梨子「うん、千歌ちゃん型の」
 
千歌「ってなんでわたしモチーフなのっ!?」
 
梨子「……一応aqoursをラブライブ優勝に導いたリーダーだから、って鞠莉さんが」
 
曜「へぇー、いいなぁ千歌ちゃん。私もパートナーアンドロイド欲しいなぁ」ムスッ
 
千歌「ならその1号機を今度連れて来てもらったら?」
 
梨子「ああ……それは無理なんだって」
 
曜「そっか、残念だなぁ。でもどうして?」

梨子「鞠莉さんが私的な目的(意味深)で使ってるんだって。……いいなぁ」ボソッ
 
曜「ま、まあ自分のところで作ったんだからね、仕方ないよ。……もう一機作れないのかなぁ」ボソッ
 
梨子「作れなくはないけど、まだ製造ラインが出来てないからしばらくかかるって」
 
曜「そっか、了解」
 
千歌「それにしても人型ロボットって凄いねぇ。花丸ちゃんが知ったら『未来ずらー』ってビックリしそう」
 
曜「確かにね。っていうか花丸ちゃんじゃなくても感動するから」
 
梨子「それじゃあ私はいつも通りよっちゃんの下にいくから、じゃあねー」ノシ
 
千歌「うん、また明日」ノシ
 
曜「桜内隊長の健闘を祈るであります!」ビシッゞ
 
千歌「……というか『いつも通り』とか普通に悪びれもせずに言っちゃってるし」ハァ
 
曜「千歌ちゃん……」

千歌「やっぱり梨子ちゃんはもうわたしのことなんて──」ウルッ
 
頭ナデナデ
 
メイ*㊤ 皿 ㊤リつ ナカナイデ チカチャン
 
千歌「メカ梨子ちゃん?」
 
メイ*㊤ 皿 ㊤リ チカチャンニハ エガオガ イチバン ニアッテルヨ
 
千歌「……うん、そうだよね。ありがとねっ」ニコッ
 
曜「人の感情を読み取る機能があるみたいだね」

千歌「どうしよう……わたし、こっちの梨子ちゃんに移り気しそう♡」ポッ

曜「いやいや、相手は機械なんだから」

津島家玄関
 
梨子「もう『アレ』は鞠莉さんに任せるとして、私達は当日のための演出を考えなくちゃね!」
 
ピンポーン♪
 
善子母『ああ、梨子ちゃんね。鍵なら開いてるから』
 
梨子「はい、お邪魔します」
 
よっちゃんルーム
 
梨子「という訳でよっちゃん! さっそく当日の……ってアレ?」
 
メイ*㊤ 皿 ㊤リ サスガ ヨッチャン スゴーイ♡
 
ノcリ,,㊤皿㊤,,ル コレナラ チカチャンモ ヨロコブズラー♡
 
梨子「それってメカリリーと──」
 
花丸「【MAーX07 メカズラマル】ずら」

善子「ああ、来てたのね。リリーもずら丸も」ハァ
 
梨子「ってなんか反応悪くない? というかため息まで出るの?」
 
善子「だってこっちのリリーは関節技掛けてこないし、ずら丸もチョップ叩き込んでこないし」
 
りこまる「「ぐぬぬぅ」」
 
善子「ってかずら丸はともかく、リリーは千歌さんと付き合ってるんだから別によくない? 彼女以外からどう思われようが」
 
梨子「いや、やっぱり誰だろうと悪くは思われたくないよ」
 
花丸「八方美人ずらね、梨子さんは」
 
梨子「でも花丸ちゃんだって嫌われるより好かれた方がいいって思うでしょ?」
 
花丸「それはもちろんずら。だけどあんまり色んな人に『勘違い』させちゃうのは、ねぇ?」ハァ
 
善子「そうよねぇ」ハァ
 
梨子「……その節はごめんなさい」ペコッ

⑧ 屋上、練習後
 
千歌「梨子ちゃんっ! お願いっ、今日こそは──」
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」
 
千歌「でもっ、せめて今日くらいはっ……」ウルッ
 
梨子「……本当にごめんなさいっ!」シュタッ
 
千歌「ああっ、待ってぇ!」グスッ
 
曜「いやいや、何さこの茶番劇」
 
千歌「わたしにとっては茶番劇じゃないのに。……仕方ない。曜ちゃん! わたしと一緒に──」
 
曜「ああ……ごめんね、千歌ちゃん。私もちょっと用事があるんだ」シュタッ
 
千歌「①の時の『私は千歌ちゃんを置いていなくなったりしない』って言葉は嘘だったのー」ウエーン

善子「千歌さん……」
 
千歌「何さ、最近何かにつけて梨子ちゃんと一緒の善子ちゃん」ムスッ
 
善子「ヨハネよっ! リリーは千歌さんのために動いてて……しまった!?」
 
千歌「えっ!? それってどういう──」
 
善子「ああ……悪いわね。このヨハネは少々堕天するのに忙しくてね」シュタッ
 
千歌「って善子ちゃんまでっ!? ……でもなんだろう? わたしのためにって」

花丸「ルビィちゃんもありがとうずら」ニコッ
 
ルビィ「千歌ちゃんには色々助けられてばっかりだもんっ。だから今日くらいはねっ」
 
千歌「花丸ちゃんにルビィちゃん♪ そこで何を話してるの?」
 
花丸「ずらっ!? ああ……ごめんなさいずら。マルは少し用事があるずら」シュタッ
 
ルビィ「ピギッ!? ああ……ごめんなさい。ルビィもちょっと、用事があって」シュタッ
 
千歌「ってそんなぁー。明らかに『ゲゲッ!?』って顔までされたしぃー」ガーン
 

ダイヤ「すみませんね、鞠莉さん。お家の力を借りることになって」
 
鞠莉「別にノープログレムよ。マリー達の可愛い後輩のためだしねっ♪」
 
千歌「ダイヤさーん、鞠莉ちゃーん! わたしと一緒にぃ──」
 
ダイヤ「ああ……すみません。わたくしは少々用事がありますので、失礼しますわ」シュタッ
 
鞠莉「オゥ……ソーリー。マリーもちょっとプランがあってね」シュタッ
 
千歌「うそーん!? 何かわたしに隠し事でもしてるのかな? みんなしてさっ!」ムッスー

果南「どうしたんだい、千歌?」
 
千歌「あっ、果南ちゃん!」
 
果南「そんな世界から見捨てられたような顔までしてさ」
 
千歌「果南ちゃぁーんっ!」ダキッ
 
果南「よしよし」ナデナデ
 
千歌「やっぱり一番の幼なじみであり、わたしの一番の理解者は果南ちゃんだよぅー」グスッ
 
果南「そういうこと言わないの。みんな千歌のために──」
 
千歌「わたしのために?」
 
果南「あっ……悪いね。私もちょっと用事があったんだ」シュタッ
 
千歌「って果南ちゃんまでっ!?」

帰りのバス内
 
千歌「何だよみんなして! 梨子ちゃんの持ちネタをパクってまで!」プンスコ
 
千歌(わたし、閉鎖環境特有のMURA☆HACHIBU! にでもされちゃったのかなぁ……)グスンッ
 
 
十千万前
 
しいたけ「わふっ!」尻尾フリフリ
 
千歌「おおっ、よしよし~♡ しいたけぇー、お前だけがわたしの味方だよぅ~」ナデナデ
 
しいたけ「わおんっ?」
 
千歌「しいたけはこれからもずっとわたしの傍に──」
 
しいたけ「おぉん……わふわっふ。わっふ、わおわおくぅーん」シュタッ
 
千歌「そんなぁー!? しいたけ、お前もかっ!」ガーン
 
千歌「ってわたしより先に敷居を跨ぐなっての!」シュタッ

玄関
 
パパパパーン!!
 
千歌「んなっ!?」
 
梨子「千歌ちゃん」
 
aqoursメンバー一同「お誕生日おめでとう!!」
 
千歌「えっ!? これってどういう──」
 
梨子「ごめんね、千歌ちゃんっ!」ダキッ
 
千歌「梨子ちゃんっ//」カァーッ
 
梨子「はぁ~っ♡ 久しぶりに千歌ちゃん成分を補給できるぅ~っ♡」ホッペスリスリ
 
千歌「わたしもだよぅ~♡ りこちゃぁ~ん♡」ホッペスリスリ
 
曜「あはは……二人ともラブラブだねぇ~」

千歌「うんっ♡ ところでここ最近梨子ちゃんが『用事がある』ってわたしの誘いを断ってたのと何か関係あるの?」
 
梨子「あっ、そうだった。はい、これプレゼント」つ小箱
 
千歌「ここで開けてもいい?」
 
梨子「うん」
 
千歌「じゃあさっそく」ベリベリ
 
梨子「なかなか豪快に破くのね」
 
千歌「嘘……これって……」

https://i.imgur.com/yKw3oXb.jpg
https://i.imgur.com/xUQcmS6.jpg

梨子「うん。千歌ちゃんが前々から欲しがってたポチのamiiboだよ」
 
しいたけ「わふっ♡」
 
千歌「これってもう通販サイトでもプレミア付いてたはず。どうやって手に入れたの?」
 
善子「県内のおもちゃ屋さんを片っ端からハシゴしたのよ。リリーったら『どうしても自分で見つける』って聞かなくて」
 
花丸「それでも結局見つからなくて……最終的には鞠莉さんにお願いしたずら」
 
千歌「そうだったんだね。梨子ちゃん、それに善子ちゃんに花丸ちゃんもありがとねっ」ニコッ
 
鞠莉「えっと……マリーには?」
 
千歌「鞠莉ちゃんもありがとっ」ニコッ
 
鞠莉「どういたしまして」ニコッ

曜「私もギリギリまでこのサプライズパーティーをやるって知らなかったんだよ」
 
ダイヤ「わたくしは反対したのですわよ。いくら何でも千歌さんには相当酷なのでは、と」
 
ルビィ「結局乗ることにしたんだけどねっ。曜さんもお姉ちゃんも」
 
千歌「なんだ、みんな仕掛け人だったんだね」
 
果南「大丈夫だよ。私達が千歌を嫌う理由なんてないんだから」
 
千歌「果南ちゃん……みんな、ありがとねっ……ううっ」グスッ

梨子「じゃあここで立ち話し続けるのもアレだし」

aqours一同「レッツ、パーティー!!」イエーイ!


 
千歌(その後は志満ねえや美渡ねえも加わって、みんながわたしの誕生日をお祝いしてくれた)
 
千歌(……お外でバーベキューしつつ特大の手作りケーキをいただいたり、交代でスマ○ラやス○ラトゥーンで遊んだりもした)
 
ダイヤ「そろそろ遅くなってきましたし、最後はみんなで花火でもしませんか?」
 
果南「ってダイヤ、お徳用の花火セットいくつ買ってきたのさ」
 
ダイヤ「11セットですが? 一人1セットとして」
 
果南「いや、さすがにそれは多過ぎるっての」
 
千歌「じゃあ梨子ちゃん、二人で一緒に線香花火でも見ない?」
 
梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」

千歌「えっ!? どうして?」

ルビィ「こんな時にまで何か忙しいの?」ジー
 
善子「ってルビィ、私だって聞いてないわよ! リリーの家の都合じゃないの?」
 
梨子「ううん、家族のことじゃないよ。ママもパパも今はいないし」
 
花丸「じゃあ何の用事?」
 
梨子「……ちょっと千歌ちゃんと二人きりでないとできない『秘密の用事』なの//」
 
ようよしまるかなまり「あっ(察し)」
 
ルビィ「えっ? 何の用事なの?」キョトン
 
ダイヤ「ルビィはまだ知らなくてもいいことですわ」ニコッ
 
千歌「いや、ルビィちゃんだけじゃなくてわたしもさっぱりなんだけど?」

曜「行けばわかるから」トンッ
 
千歌「うわわっ!?」
 
ダキッ
 
千歌「おうっふ//」ポッ
 
梨子「それじゃあ千歌ちゃんとちょっと用事、済ませてくるからねっ♡」フリフリ
 
曜「うん、頑張ってね」ノシ
 
善子「祝福するわよ。リトルデーモン、リリー! それと千歌さん」ノシ
 
花丸「大人の階段登るずらよ、梨子さんに千歌ちゃん」ノシ
 
果南「これからも千歌のこと頼むね、梨子」ノシ
 
鞠莉「もうリリーったら、私達なんて気にしないでさっさと部屋に連れ込んでエッ──」
 
ダイヤ「ぶっぶーですわ! ルビィがおりますのよ!」クワッ
 
ルビィ「うゆっ?」キョトン
 
ダイヤ「ルビィはまだ知らなくてもいいことですわよー♡」ナデナデ
 
鞠莉「ほんっと過保護なんだから、このシスコンったら。まあいいわ、グッドラックよリリー」ノシ

梨子「それじゃ、行ってきますね」ニコッ
 
aqours一同「いってらっしゃーい」フリフリ
 
千歌「って結局『秘密の用事』ってなんなのさぁーっ!!」

梨子「さぁ行きましょっ、千歌ちゃん♡ 私達の愛の巣へっ♡」ニコッ

この後めちゃくちゃ「ちょっと用事」を果たした♡

終わりです
 

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