【ガルパン】アンチョビ「人生は航海」 (29)

初投稿
処女作なので投稿やキャラ設定、物語の構成等おかしな点が多々あると思います。至らぬ点があればお叱りください。
書き溜めありますが、PCのスペックが低いので投稿に滞りが生じる可能性があります。
お許しください。
この物語はある曲をモチーフにしているので、よろしければ当ててみてください。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1532708386

最近読み始めた本に書かれていたこの言葉は、学園艦に乗り込み、水上で生活していた私にとって相応しい言葉であり、とても気に入っている。

総帥として活躍したアンツィオを卒業し、戦車道特待生として大学という新たな海原へと帆を立てた。

大学での戦車道では、かつて争いあった西住姉と共に1回生のホープとして注目されている。つまり、明日から始まる新人戦での優勝だ!教官や先輩達にアピールする絶好の機会!!

そのために寝ないとならないのだが、頭が冴えてよく眠れない…

そんな時には目をつぶり、アンツィオ高校のことを考える。

ちゃんとお金を貯めているか?
キチンと練習出来ているか?
食事…はまぁ大丈夫か…

なんて事を考える内、眠りに落ちていく…。

まほ「・・・ざい!・・・安斎!!」

朝日と共に西住姉が起床の言葉をかけ、こちらを覗きむ。

アンチョビ「・・・ぅん?寝坊!!??・・・ってまだ朝の6時じゃないか…」

まほ「いやなに、作戦の練度を高めようとミーティングを1時間ほど早めてゆっくり会わせてやろうと思って。」

アンチョビ「おぉ!西住ぃ!!素晴らしい心がけじゃないか…!!って、それなら昨日の夜に言え!!昨日の夜に!!」

まほ「先ほど思いついたのだ。」

アンチョビ「それで?西住は何か名案でも思いついたのか?」

まほ「いや、昨日話した通り安斎率いる小隊が敵を引き付け、分断をして1輌ずつ撃破でいこうと思う。」

アンチョビ「まぁそれで良いんじゃないか?後はノリと勢いでどうとでもなるしな!」

まほ「一応私が暫定的に隊長を務めるが、私が撃破されたときや分断に成功した時には安斎が指揮を採ってくれ。」

アンチョビ「ん、わかった。」

アンチョビ「もし私が先にやられたらうちの子達を頼む!みんな仲間の為に走り回れる良い子達なんだ!」

まほ「承知した。」

まほ「初戦は圧倒してその先の試合で相手の積極性を削ぐことを目的にする。良いな?」

アンチョビ「あぁ問題ない。」

まほ「ではこれでミーティングを終える。また後で会おう。」

それでは、これより戦車道全国大会新人戦を始める!!
選手宣誓黒森峰大学隊長西住まほ!!

まほ「我々選手一同は戦車道の精神に則り、正々堂々と戦うことを誓います。黒森峰大学隊長西住まほ」


西住姉の宣誓が終わり、いよいよ始まる。

2つのグループに別れてリーグ戦を行い上位2校がトーナメントに進める方式だそうだ!!さぁ!帆を立て旅に出よう!!
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それでは戦車道新人戦第一試合を始める!!

まほ「昨日のミーティングの通り私と安斎の小隊に別れる。王者のプライドを見せつけるぞ。」

まほ「パンツァー・フォー」

まさに圧倒的だった。作戦はこの上なくうまく行き、こちらの撃破された数はたったの3輌。30輌の中でだぞ!?

これでは次に当たる相手もかなり戦意を削がれているだろう!絶対王者今年も健在だとマスコミも騒いでいる!次の試合も行けるぞ!これは!

アンチョビ「あづい~~!!!」

まほ「常夏の場所での開催地を引いてしまったんだ仕方ないこれも戦車道だ。」

アンチョビ「それにしたって常夏の場でやることないじゃないか~~…」

まほ「折角ここまで来たんだ。次の試合が終えればみんなでバカンスでも取ろうじゃないか。」

アンチョビ「ほんとか!?よーし!次も勝っていっぱい遊ぶぞ!!」

このまま勝ちを目指して歩み続けるぞ!!
いや、私たちは、歩き続けなければならないのかな…

まほ「では、今回も前回同様二部隊に別れて殲滅を目指す。パンツァー・フォー」

今回も圧勝できる!!
…と思っていたが流石大学生現実はそう甘くないようだ。私の部隊も西住の部隊も地の利を取られて苦戦している。

優秀な指揮官がいるのか?こちらの挑発にも応じず待ちの一手を決めている。我々の小隊の特徴は機動力を活かした戦いだ。このままジリジリと睨み合いを続けていても仕方がない。
腹は決まった。

アンチョビ「お前ら!全員で外を包囲するぞ!アヴァンティ!!」

痺れを切らせた我々の策だったが、うちの子達の頑張りにより戦局は動いた。
私の戦車と相手の戦車の一騎討ちだ!西住の部隊の方も残り1輌ずつだそうだ。
数の有利を取った方が勝つ!その為に…

アンチョビ「操縦手!あの丘に向かって走れ!我々の機動力ならば追い付けないハズだ!!」

アンチョビ「下りに入ってすぐに停車!そのまま突っ込んできた敵の後ろを取るぞ!!」

作戦を言い渡すとすぐにエンジンが唸りを上げる。
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丘を乗り越えた!!今だ!!

アンチョビ「戦車停止!!」

するとすぐに、敵車両が我々の戦車の頭上を越える!!

アンチョビ「後ろに着けろ!」

アンチョビ「撃て!!」

ズドォン!!!!

聞きなれた白旗を出す音が聞こえた!!

アンチョビ「よし!隊長車を援護しに行くぞ!!」

アンチョビ「アヴァンティ!!!」

……って、あれ??

戦車が一向に進まない。体を外に乗り上げているから聞こえ無かったかな?

アンチョビ「おぉ~い。援護しに行くぞ~?」

ハッチの中を覗くと操縦手がぐったりとし、砲手が呆然としていた。

アンチョビ「っておい!どうした!?」

アンチョビ「腕の痙攣…体温も高い…おまけに、こんなに熱い全く汗をかいてないじゃないか!!」

アンチョビ「熱中症あるいは熱射病か…」

アンチョビ「砲手!手を貸せ!あそこの日陰に操縦手を運ぶぞ!!」

すると、こだまする。
黒森峰大学!全車行動不能!!よって○○大学の勝利!!

…….えっ??いや待て!それより救護班を…!!

……
…………
………………
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うちの子を外に運び出している間に、どうやら西住がやられてしまい、戦車内を空にしてしまったことで戦車道規定により行動不能と判断され、敗北してしまったらしい。

お陰様と言っては何だが重度の熱中症には至らず、あの子も次の試合では復帰できるそうだ!良かった!

翌日
「あなたが最後に投了をした副隊長ですか!?」
「黒森峰大学始まって以来最も恥ずべき敗けかたをしたことについて、コメント頂けますか!?」
「高校時代は弱小校だったそうですが、副隊長の荷は重すぎたんじゃないんですか!?」

大学の正門で複数のメディアが多量の質問とフラッシュが焚かれて思わずあたふたする。

アンチョビ「え?…いや 、ちょっ…」

まほ「昨日の試合の件は後日改めて会見を開かせて頂きます。」

西住が横から出て来て私の手を引く。

まほ「安斎、こちらへ。」

アンチョビ「いったいどうなってるんだ!?何だ?あのマスコミは!?」

まほ「昨日の試合の件で押し寄せたのだ。」

アンチョビ「それは知ってる!!私が聞きたいのは何であんなに騒がれているかだ!!」

まほ「敗けかた、だな。」

アンチョビ「敗けかた?」

まほ「知っての通り我が大学は常勝無敗を誇りにしている。敗けただけでも十分記事に出来る程だ。」

アンチョビ「まぁ、それはその通りだが…」

まほ「しかし昨日の試合は時系列で言えば私がやられた後に安斎が降りてしまった。そこを格好の的にされたのだろう。」

アンチョビ「いや、でも、それは…」

まほ「分かっている。だから一度立て直して改めて会見を開こう。今から教官に直談判しに行くつもりだ。」

アンチョビ「わかった!一緒に連れていってくれ!」

まほ「うむ、では行こう。」

コンコンコン

まほ「失礼します。」

教官「ここに来た理由は分かっているわ。昨日の試合の経緯を仔細説明してちょうだい。」

ここで、私と西住は事細かに説明をした。相手の戦車に力負けしたこと。暑さの為に、操縦手が熱中症になってしまい直ちに避暑させたこと…
今朝の騒ぎの顛末をこと細かに伝えた。

教官「大体の流れは分かったわ。でもね、安斎さん、車長として乗組員の管理を怠った部分があるんじゃない?」

アンチョビ「それは!!その…うぅ…」

まほ「安斎一人に責任を押し付けるのは止めて下さい。責任でいうなら敵に力負けしてしまった私にも非があります。」

教官「西住さん、あなたの言うことも一理あるわ。でもね、マスコミに会見を開くと宣言した時点でもうダメなのよ。」

まほ「ダメ…とは、どういった意味ですか?」

教官「会見を開くということは記事になるの、ましてや黒森峰大学の敗北会見だもの、1面に乗ることすら覚悟をしておかなければならない。」

教官「そんな場で自分たち全員悪かったです。だなんて通用すると思う?」

教官「記者が求めているのは書けるネタ、なのよ。悲しいことにね。」

教官「だから我々も出来る限りは尽くしたいけれども、恐らくそれは厳しい。」

教官「だから一人、ハッキリとした戦犯を差し出す。これは大人の事情よ。大学はその方針で行くことにおおよその道筋を立てるはず。」

教官「今朝の騒ぎが大学側にも伝わったみたい。今から今後どの様な対応を取るかの緊急会議が開かれると連絡があったわ。会議前にあなた達の話を聞けて良かった。なるべく頑張ってみせるわね。」

一方的にそう言い残し教官は立ち去っていった。

まほ「すまない。安斎。私が咄嗟にあんなことを言ってしまったために…」

アンチョビ「いや、気にするな!あの場でああ言ってくれなかったらきっと今頃慌てたまま変なこと言いそうだったし…」

アンチョビ「もし私が…」

まほ「どうした?」

アンチョビ「いや、何でもない。」
もし私がどうなろうと西住は歩き続けていけよと、なぜ言えないのだろう。

そこから数日はよく眠れなかった。戦車道始まって以来初めて大きな波に打ちのめされたような気分だ。言葉にならない悲しみが溢れてくる。

明日は会見。来なくても良いと言われたが…

一人きり月に照らされ、大きな決意を胸に背負いこむ。

教官「以上で前回の試合の説明を終えます。質問がある方はどうぞ、挙手をして下さい。」

記者「大学側は今回の一連の事件をどう捉えていますか?」

教官「勝ち負けに対しては色々な因子で変わるので責めるつもりはありません。」

記者「では、敗け方に関してはどう捉えているでしょうか?」

教官「敗けは敗けです。それ以上でもそれ以下でもありません。」

記者「そちらの副隊長に話は聞けないのですか?」

教官「魔女狩りの場にする気はございま…」

アンチョビ「ちょっと待ったー!!」

教官「!?」

記者「おい、あれ!!」ザワザワ

アンチョビ「私が副隊長を務めた者だ!質問があるなら直接してくれ!」

教官「ちょっと!安斎さん!」

アンチョビ「…すみません、ご迷惑をおかけします。」

記者「単刀直入に聞きます。前の敗戦の責任はあなたですね?」

アンチョビ「あぁ!その通りだ!私の管理能力の無さが原因だ!!」

記者「開き直りか?もう少ししおらしくしたらどうだ!!本当に責任を感じているのか!?」

アンチョビ「責任だなんて勿論のこと!誰が悪いかを決める会見だなんてどうでもいい!ここに退学届けを持ってきた!!」

アンチョビ「さぁ帰れ!記事にしろ!!私の新しい船出に相応しい記事を!!!」

教官「安斎さん…アレで良かったの?」

アンチョビ「特待生が責任を取るんです。あれくらいヒールになりきった方があの子達の罪悪感が和らぐと思って…」

教官「あなたは間違いなく人の上に立てる器よ。私が保証する。」

アンチョビ「そう言って頂けて光栄です。明日には貨物船に乗り込んで学園艦を去ります。」

教官「みんなが居ない日を狙ってのこと?」

アンチョビ「……失礼します。」

ここからは連れていけない。だから一人で旅立つ。学生生活も、西住と共に戦車道を出来たのも悪くなかった!ここで私の学生生活が終わる!が!新しい海原へ帆を立てよう!

数ヶ月後….
黒森峰大学はあれからの試合全てを圧倒して勝ち進み、遂には優勝を成し遂げた。
優勝校の隊長インタビューでは『我々の私的な鎮魂である。』と言っていた。
涙とともに勝手に離れたという罪の意識が流れて落ちた。
そうだな、そろそろ西住に返事でもくれてやろうと筆を走らせる。

まほ「ん?手紙か…」

西住へ
新人戦優勝おめでとう!元ではあるが、優勝チームに要れたことを誇りに思うぞ!
さて、私の近況を報告しておこうと思う。私はいま、アンツィオの学園艦でイタリア料理屋を開いているのだ!どうだ?驚いたろう?こちらの方がこの子達の心配をすること無いしな!
あの会見の後ペパロニから連絡があってイタリア料理屋店長兼アンツィオ高校の相談役をしている!戦車道からは身を引く予定だったが、まだ関われていることを幸運に思う!
そちらはどうだ?みんな元気にしているか?本当は今すぐにでも行ってやりたいのだが、なんせあの件からまだ日が浅いのでまた改めて行こうと考えている!その時には盛大に宴でも開いてくれ!!
最後に、隊長でありながら一つも責任を取らせなかったことには私も少しばかり胸につかえるものがあったが、もう大丈夫か?今日も料理をしながら気長に返事を待つとするよ!

P.S最近自家栽培で育てた花をおくったぞ!!葉の部分はハーブティーとして紅茶にでも使ってくれ!

ピンポーン
「宅配便でーす!!」

ちょうど今来たらしい。
荷物を受けとるとそこには淡い青色の星形の花弁が頭を下げて咲いている。

これは確か…
おもむろに花図鑑を取り出し調べる。
そうだ、ボリジだ、ボリジの花言葉は…

成る程…中々粋なことを…

一筋の涙が頬を伝う

……ありがとう、安斎。

人生は航海。また新たな海原へと旅に出よう。

Fine

一応完結しましたが、見てくれた方は居ましたでしょうか?
なにぶん書き上げ~校閲、投稿に至るまで一人でしたので、気になる点等がありましたらご指摘ください。

https://www.youtube.com/watch?v=NW_GjjArdZ0

MADではありますが、今回モチーフにした曲です。
HTML化の依頼をしてきます。
お目汚し失礼しました。

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