女魔族「ククク…四天王の他三人がやられたか…」 (32)

~魔王城~



女魔族「勇者め……よもや魔王城までたどりつくとは。さすがに伝説の勇者の実力は伊達ではないな」


女魔族「しかし我ら魔軍は勇者の力を甘く見てはおらん。すでに四天王のうち三人がヤツの征伐に向かっている」


女魔族「朗報が耳に届くのも時間の問題よ。ククク……」


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ドタドタドタドタドタ


女魔族「!! 来たかっ」パアァ


伝令「お、女魔族様っ!!」


女魔族「おお、伝令ご苦労! して、首尾はどうだっ?」


伝令「そ、それが……」


女魔族「うむ!」キラキラキラ


伝令(言いづらい……)


伝令「……四天王のうち三将が出向かれた勇者征伐ですが」


女魔族「ふふふ、言わずともよいぞ。さしもの勇者もあの三人に勝てるはずが……」


伝令「……お三方ともに打ち破られ、敗走致しました……」


女魔族「……え?」

女魔族「ま……けた? 負けたと申したのか?」


伝令「は、はっ。その通りでございます」


女魔族「バカな……魔軍の最高戦力を三人だぞ……」


女魔族「筆頭の竜将はドラゴン族の王、鋭い爪や牙はミスリルですら容易く切り裂き、吐く息は全てを焦土に変える……」


女魔族「二の将の魔将はサキュバスクイーン、男が彼女に打ち克つことはあまりに困難……その上、単純な戦闘力においてもかなりの高みにある……」


女魔族「三の将の妖将は精霊の王……あまねく自然を身に纏う彼はこの地上の全てが味方だ……」


女魔族「そ、そんな彼らが負けたというのか……!? たった一人に……」

伝令「信じがたいことですが、事実でございます……」


女魔族「う、む……」


女魔族「そっ、そうだ! 三人は? 三人は無事なのか!?」


伝令「はっ、大きな傷を負いながらも、辛くも逃げ延びたと聞いております」


女魔族「命は無事なのだな? よかったぁ……」ホッ

伝令「それと、勇者のその後の動向ですが……」


女魔族「うむ、申せ」


伝令「現在わき目もふらずにこの魔王城に向かっているとのことです」


女魔族「……そうか」


女魔族「伝令ご苦労だったな。下がって良いぞ」


伝令「……ハッ。失礼いたします。……どうか、ご武運を」

バタン


女魔族「…………」


女魔族(いやいやご武運もなにもあるかーーーーーー!!!!)


女魔族(筆頭、二の将、三の将がやられたんだぞ!! 末席の私が太刀打ちできるわけないだろ!!)


女魔族(一人一人を打ち破るだけでも伝説級の英雄なのに、三人同時ってもうバグの領域だろう!!)


女魔族「うう……」


女魔族「……勇者はまっすぐこちらに向かっている、か」


女魔族「……決断を下さねばな」

勇者(Lv99)「ふぅ……ようやく魔王城の門前か……」


勇者「途中の中ボス三人には結構苦戦したけど……事前に死ぬほど修行してきた甲斐があったな」


勇者「あとは魔王を討つだけだ……それで世界は救われる。よしっ!」パチン


勇者「たのもーーーー!!!」



ギィィィイイイ



勇者「ん……やたら寒いな……」


『クックックックッ……』


勇者「!! 誰だッ!!」

『四天王の他三将がやられたか。だがヤツらは四天王の中でも最弱……』


勇者「あれで最弱……だと……!?」


勇者(……あれ? 三人が最弱ってなんかおかし)


『所詮四天王など飾り……魔王様の敵を討つには私一人が居れば……事足りるっ!!』


勇者「!! 霧が……」


女魔族「さあ来い勇者!! 四天王最強の私が引導を渡してやる!!」ババーン

勇者「…………」


女魔族「どうした!! 怖気付いたのか? 怖気付いたならここを立ち去るがよい!! ふはははは!!」


勇者「……魔族のお嬢ちゃん、四天王ごっこか?」


女魔族「ななっ!?」


勇者「安心してくれ、俺はむやみやたらに魔族の人たちを傷つけるつもりはない。ただ魔王の元へ案内してくれれば……」


女魔族「ちょ、ちょっと、待て待て待て待て!!」

女魔族「なぜそういう話になる!! 私は四天王まっ……最強の吸血鬼だぞ!!」シャー


勇者(かわいい……)


勇者「だって君、うちの妹と同じくらいの見た目だし……」


女魔族「き、貴様の妹の事なぞしらん!! 魔族の強さは見た目では測れんのだ!!」


勇者「それに、他の三人に比べて全然魔翌力を感じないし……」


女魔族「」グサッ


女魔族(これでも全力で魔翌力放出してるのに……)グス

魔翌翌翌力→魔翌力


女魔族「ふ、フン! それは私が真の実力をまだ見せていないからだ!」


勇者「な、なんだって!?」


女魔族「フフフ……私が本気を出せば貴様など二秒で干からびさせることが出来る……」


勇者「…………」


女魔族「恐怖を覚えたなら去れ! 私は容赦はしないぞ……!」


勇者「……命を捨てる覚悟などとうに出来ている」


女魔族「な、なに?」


勇者「例え俺が君に及ばなくとも! 俺は戦う義務がある!! 俺の勝利を待っている世界の人々のためにも!!」チャキ

勇者「傷つけるつもりは無かったけど、仕方ない……全力で行くぞっ!」ゴオオオオオ


女魔族「あ、あわ、あわわわわわ……」ガタガタガタガタ


勇者「……あれ?」


女魔族「か、かかかかかかってこい勇者……」ガタブルガタブル


勇者「…………」


女魔族「うー……・」


勇者「……」手パッチン


女魔族「ぴゃっ!」


勇者「…………」

勇者「……君、やっぱり強くないよね?」


女魔族「そ、そんなことはないぞ! 私は四天王で……」


勇者「うーん……」


女魔族「ど、どうしたのだ?」


勇者「……そういやその四天王の三人と戦ってるときになんか言ってたような……」

~魔王城付近 回想~


勇者「くっ……今までとはレベルが違う敵……さすが魔王城の近くだな……」


竜「かーっ、俺の爪も牙も軽ーく捌きやがる……どうなってんだこりゃ。尋常じゃねぇ強さだな……」


魔「アタシのチャームも一切効果なしって……なんかショックなんだけどぉ」


妖「……大地も彼の見方。……裏切られた」


勇者「強い……強い、けど、勝てない相手じゃない。だけど……」


勇者「すまないが、俺の話を聞いてくれないか!?」

竜「あ? なんだ、ガキ」


勇者「俺はただ魔王を討伐したいだけだ! あなたたちをむやみに傷つけるつもりは無い! ここはどうか退いてくれないか!?」


竜「……なーに甘ったれたこと言ってやがんだか」


魔「だけど……正直言っちゃうと……」


妖「……現状……どう贔屓目に見ても……勝ち目はない」


竜「……チッ、ここは一旦退いて、体勢を立て直してからぶつかる方がお利口ってことかよ……」


魔「…………」


妖「…………」


竜「……へっ、そうだな」

竜「生憎だがその申し出は却下だ!!」


勇者「くっ……どうして……」


竜「魔王城を前にして俺たちが背を向けて逃げてるんじゃ締まんねぇだろ?」


魔「私たちは魔王様をお守りするための存在。そのプライドに賭けても引けないわねぇ~」


妖「……うん」


魔「それに城には……あなたを通しちゃうとちょっと危うい子がいるのよねぇ」


竜「そういうわけだからよ……ここでいっちょ倒れてくれや! 色男っ!!」


勇者「……仕方ない、か……」


勇者「当代の勇者、参るっっ!!」チャキッ

あれ?翌なんて入れたっけ?と思って調べたらそういう仕組みになってるって言うのを知ったよ(´・ω・`)

ありがとうございます。

勇者「……ってことがあったんだけど」


女魔族「う……」


勇者「……魔将さんが言ってた子って君のことじゃないの?」


女魔族「し、知らないぞ。私は何も知らないぞ」


勇者(嘘つくのヘタだなぁ……)


女魔族「だいたい私は四天王で最強だとさっきから言っているだろう! あの三人を足しても私の実力には及ばないぞ」フフン


勇者「君はどんなことが出来るの?」


女魔族「ふふふ、吸血鬼の特性は霧化と吸血だ。ひとたび霧と化せば剣の達人の貴様とて私を捉えることはできないぞ」フフフン


勇者「実はこの剣ってさ」


女魔族「む?」


勇者「破魔の力が宿ってて、そういう特殊能力とか切ることで全部無効化できるんだけど……」


女魔族「ひゃあああああ」ブルブルブルブル

女魔族(あ、危なかった! 霧になれば大丈夫だと思ってた。戦いになったらすっごい霧になる気満々だった……)ガクガク


勇者(うーん……脅かしすぎちゃったかなぁ……)


女魔族「ふ、フン! 霧化などなくとも貴様程度に遅れは取らん!」


勇者「いや本当、君を傷つけるつもりはないんだよ……」


女魔族「……では私がここを通せば、どうなるというのだ」


勇者「魔王を倒す」


女魔族「っっ」


勇者「そうすればすべて終わるんだ。この果てしない戦いも、何もかも」

女魔族「……ダメだ」


勇者「どうしてっ」


女魔族「ダメなものはダメだ! やはりここは通さん! 私が貴様を倒し……魔王様の元へは辿りつかせはしない……!」


勇者「……傷つけば痛いのはみんな同じだ。魔族だって、人間だって」


勇者「だから、俺たちが争う必要なんてないじゃないか……」


女魔族「うるさい! 剣を構えろ、勇者っ!!」ダッ


勇者「くっ……!」チャキ

用事があるので、ここでいったん中断で。
早ければ今日の夜に戻ってきます。

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