【ミリマス】P「琴葉、おかえり」【アイドルヒーローズ】 (17)

アイドルヒーローズネタです。何番煎じなのやら。

「もし撮影後にPが実際に戦っている世界に紛れ込んでしまったら?」という仮定で話を進める予定です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1531124207

1、クランクアップ――――

スタッフ&P「おつかれさまでしたー!」

撮影スタッフがみんなに花束を配りながら労っている光景は、何度見てもいいものだ。
正義と悪とに分かれて演じる――不満や不安がありながらも、みんなで解決してようやく撮影が終了した。

P「よく頑張ったな、翼」

真っ先に駆け寄ってきたのは翼だった。

翼「Pさん♪ 見ててくれました~? 『キネティック・スラーッシュ!』」

P「ああ、すごく目立ってたぞー」

翼「ぶー、Pさんのうそつきー。海美さんの方が目立ってたよ! 傷ついたー。おわびに今度パフェおごって?」

そういいつつ翼がネクタイをつかんで上目遣いでまくしたてる。

P「わかったわかった。今度な」

翼「やったー♪ Pさん、約束だからねー!」

撮影の疲れを感じさせない足取りで、翼は走り去っていった。

P「琴葉も、おつかれさま」

琴葉「Pさん、ありがとうございます」

先ほどまで囲まれていて近寄れなかったが、波が引いたようだ。
一人佇んでいる琴葉に声をかけるとお辞儀を返してくれた。

P「琴葉が〈デストルドーの支配者〉とは意外性があったというか、大変だったろう」

琴葉「初めは私にできるかどうか不安でしたけど、エミリーちゃんが悩んでいた分、私がしっかりしないといけないなって」

P「気負いすぎるきらいがあるからな。それにしても、よくやりきったよ!」

琴葉「皆さんの協力がありましたから」

P「そうだな。ところで、琴葉はどのシーンが印象に残ってる?」

琴葉「最終決戦、と言いたいところですけど、環ちゃんが技を繰り出すシーン、ですね」

P「ああ、『ジェットウルフ』の」

P・琴葉「「超はやいパーンチ!」」

P「あれはつい笑っちゃってNG食らっていたな」

琴葉「環ちゃんが真面目に言ってるから、かえって笑っちゃうんですよね」

環「おやぶーん、呼んだー?」

P「おう、環もおつかれさま」

環「たまき、ヒーローになれて楽しかったぞ!」

P「琴葉と好きな場面を話してたんだよ」

環「ほんとか!? たまきがいちばん?」

P「ああ、みんなが楽しめるいいシーンだった」

環「くふふ、おばあちゃんに自慢しないとなー!」

琴葉「そろそろ暗くなるから、環ちゃん、帰ろうか」

環「うん、おやぶん、ばいばーい!」

P「おぅ、気をつけて帰るんだぞー!」

全員に挨拶しようと思ったが、スタッフが片づけを始める時間になってしまった。

P「明日、劇場に着いたら声をかけて回るか!」

そうと決まれば早く寝て早起きしなくては。
いつもより早く布団に入り、眠りに就いた―――はずだった。

今日はここまでになります。

次からは異世界編となります。筆が遅いため更新は時間がかかりそうです。

ところで、ミリシタでヒーローズイベがあったら、振り分けはどうなるのか。
デストルドーに歌織さん、紬がヒーローズ側になるのか。気になりす。

2、夢の向こう側

P「うわぁぁぁぁあああああああ」

空を飛んでいた。海美の腕を掴んだままで。
否、Pは必死にしがみついている、といった方が正しい。

海美「ちょっと! 静かにしてもらえない!?」

風でうるさいはずなのだが、それよりも叫び声が癇に障ったようだ。

P「降ろしてくれ――――!」

一体どうしてこんなことになったのか。

回想――――

朝起きて、劇場へ行くべく家を出て、劇場に着いたと思ったら、別の場所だった。
スマホで場所を確認しようと思ったが、忘れてきたようで確認できなかった。

P「帰るにしても、出口が見当たらない」

そうしてウロウロしていたら、あずささんと海美が入口から出てきた。

P「海美、あずささん、おはようございます。撮影の格好のままなんですね」

呼びかけた途端、二人は驚いたようにこちらを見た。

海美「あずささん、もしかして、デストル…」

あずさ「海美ちゃん、朋花ちゃんを呼んできて! 時間は私が稼ぐわ!」

海美「はいっ!」

P「あのー、あずささん。どうかしました?」

どうも雰囲気がいつもと違う。

あずさ「私たちの名前だけでなく、本拠地まで知られてしまうなんて…」

P「あのー、あずささん?」」

あずさ「逃がすわけにはいかないわっ!」

P「」

あずささんが抱き着いてきたので、動けなくなってしまった。
朋花を呼ばれた時点で、なんとなくこれからの自分の運命が見えた。

P「俺はお前たちのプロデューサーなんだ! 信じてくれ」

バンドウィップでぐるぐる巻きにされたまま、尋問室と書いてあった部屋で質問責めに遭っていた。
朋花たち三人の視線が痛いほどだった。

海美「よくよく考えてみたら、私たちがアイドルだから、名前を知ってるくらいはおかしくないけど」

朋花「子豚ちゃんにしては内情に詳しいですねぇ」

あずさ「そうだ。そろそろお昼にしません? 私、カツ丼を頼みますね」

P「あずささんはここでもマイペース…。ところで百合子は今どこに?」

海美「それを知ってどうする気なんだい?」

苛立ちを隠せない様子の海美が、ネクタイに手をかけてきた。

P「思い出したんだ。琴葉から負けて、今はデストルドーにいるのかな、って」

そういったところで、カツ丼を四人分持った百合子が都合よく入ってきた。

百合子「どうしたんですか? その男の方に詰め寄って」

P「百合子は、まだマイティセーラーのままだったか」

お腹が空いていたのでカツ丼を平らげた。とても美味しかった。
尋問室を出て司令室と書かれた部屋に移動したところ、このみさんや莉緒がモニターを見ながら苦い顔をしていた。

このみ「デストルドー、かなり手ごわいわね。ここまで防戦一方になるなんて」

百合子「…紗代子を倒したときは、これで終わると思ったんですけど」

莉緒「あら、百合子ちゃん、早かったわね。って、みんなでどうしたの?」

百合子「この方、プロデューサーさんが話があるそうで」

とりあえず状況確認を行い、自分の世界における「アイドルヒーローズ」の話の流れを伝えた。

○まだミサイルを載せた戦闘機も第三艦隊も来ていないこと(レーダーに捕捉できていないだけか)。

○志保がどう動くのか予測できないこと

○百合子が敵に回るかどうかで状況が変わること

このみ「まさか百合子ちゃんが負けちゃうなんて…」

海美「それだけ志保って子が強いんだろうね」

莉緒「でも、戦闘機と艦隊が襲来するのが判明したし、かなり優位に立てるわ! お手柄よ、Pくん♪」

P「ありがとう。…念のため翼とこのみさんはひなたも連れて第三艦隊に行ってくれ。エミリーは手強い」

海美「じゃあ私は戦闘機を堕としに行ってこようかな!」

P「わかった。それなら、俺はここで指示を出す司令役だな!」

海美「プロデューサーには特別な席を用意するよ。私の隣でアドバイスする、っていう」

P「え。俺、死んじゃう死んじゃう」

海美「大丈夫だよ! この歌〈インヴィンシブル・ジャスティス〉があれば、ね!」

―――――――回想終了

翼と海美が歌うことでキネティック・パワーがブーストして守護すると障壁となる。
それがこの〈インヴィンシブル・ジャスティス〉だ!

P「でも後から爪楊枝を強く押し付けられた程度の痛みが来るから、攻撃は受けたくないぞ…」

海美「誰に言ってるの?」

P「お試し感覚で翼から攻撃された身にもなってくれ。っと、そろそろ到着だ」

みるみるうちに戦闘機が近くなり、上に降り立った。

P「いたた。何だ!?」

いきなり痛みが走った。攻撃を受けたのだ。視線の先には志保が立っていた。

志保「先制したと思ったのに! どうしてここがわかった」

海美「さあね。残念ながらミサイルは打たせないよ!」

志保「ここでアナタを倒せば、琴葉様の野望は一気に進む! 押し通る!」

琴葉・志保「「うぉぉおおおお」」

拳と拳が交わしあって戦っているのを脇で見ていても役に立たなさそうだ。
とりあえず戦闘機のパイロット席へ移動して操縦桿を握る。
オートパイロットで動いているようで、解除して海に真っ逆さまコースだ。

P「ポチっとな」

操縦桿を固定してから席を立って外に出ると、海美が苦戦していた。

海美「ここで負けるわけには…いかないッ!」

窮地に立たされてこそ強くなる! それがヒーローだ!

志保「こんな力をまだ残していたなんて!」

海美「キネティック・・・パーンチ!」

キネティック・パワーによって強化された拳が、志保の胴を打ち抜いた。

志保「ぐああああああああ」

志保は戦闘機の端に吹っ飛ばされ、起き上がる様子はない。

P「やったな! 海美!」

息を荒げながらも、海美はこちらに振り向くと満面の笑みをこぼした。

海美「うん! それにしても、ここまで強いなんて想定以上だったよ」

P「話は後にしよう。海に激突する前に脱出だ!」

墜落する戦闘機からミサイルを回収して、志保を抱えて海美は飛んだ。(俺は来た時同様に海美にしがみついた)
このみさんと合流してミサイルを破壊してもらい、志保の身柄を渡した。最終決戦が迫っていた。

一旦拠点に戻り、百合子たちと作戦を練ることにした。

P「これであとは琴葉だけ、か」

海美「それなら、あとはデストルドーの基地を叩きに行くだけだね!」

琴葉「その必要はない」

百合子「! デストルドーがこんなところに!」

琴葉「もう他力は必要ない。私はこのパワーで支配する」

海美「マイティセーラーズは、屈しないよっ!」

琴葉「減らず口を。ダークキネティック・パワー、開放!」

デストレイピアがダークオーラを纏っていく。

琴葉「マイティセーラーズよ、塵となるがいい!」

ただの一突きの動作で、あらゆるものをなぎ倒す黒い風が生まれた。

海美・百合子「「きゃあああああっ!?」」

海美と百合子はなんとか耐えたものの、一撃でかなりのダメージを負ってしまった。

P「なんて強さだ!」

撮影でエフェクト混じりで見ていたものと訳が違う。
これが純粋な暴力。圧倒的な力による破壊か!

琴葉「この程度か。初めからこうすればよかった」

海美「いったい、どうすればいいの? 勝ち目が見えない…」

百合子「このままでは、負けてしまいます」

弱気になった二人に、あずささんと莉緒が近寄って行った。

あずさ「海美ちゃん、あきらめてはだめよ」

莉緒「百合子ちゃんも、顔を上げて」

あずさ「アイドルヒーローズは一人じゃない、でしょう?」

翼「キネティック・スラーッシュ!」

暗闇を切り裂く光が、琴葉の後方からやってきた。
ダーク・パワーの前に阻まれはしたが、マイティセーラーズ二人の顔に笑顔が戻った。

翼「おっまたせー! 間に合った―!」

海美「反撃開始だねッ!」

翼「そーゆーことっ! 海美さん、これを使って!」

翼は海美に向かってあるものを投げつけた。

海美「これは、アミュレット…」

P「百合子が負けた時の保険、と話していたのを聞いていたのか」(机に突っ伏していたから眠っていたのかと思いきや)

海美「キネティックパワー、アクセラレート!…オーバーブーストッ!!」

二つのアミュレットが呼応しあうように輝きだし、海美の拳が光を纏っていく!

琴葉「二人分の力…デストルドー総帥の私が、全力で応じます!」

琴葉「受けてみなさい…! デストレイピア…ファイナルトルネード!!」

海美「負けるもんか…! 私はみんなの思いを背負ってるんだ! くらえ! キネティックパンチ・ビクトリィィィー―!」

両者の力が膨れ上がったかと思いきや、けたたましい音を立ててデストレイピアがはじけ飛んだ。

琴葉「私の技が…破られる、なんて!」

海美「思い知ったかデストルドー! これが、絆の力なんだッ!」

琴葉「絆なんて認めない…世界は力で支配される…たとえデストルドーが敗れても第二第三の…」

ふらふらとした足取りで琴葉は倒れこんだ。


翼「やったー! 勝ったよー!」

百合子「よかった。翼ちゃんが来てくれたおかげで勝てたんだよ」

翼「もっとほめてー☆」

P「おいおい、海美が疲れて倒れているだろう。運んであげなさい」

百合子に抱きついて喜んだせいか、海美には気づかなかったようだ。

翼「うわー! ごめん、海美さーんっ!」

慌てて百合子と翼が海美の所へ駆けていくのを見てから、俺は琴葉の許へ歩いて行った。

P「琴葉、お疲れさま。クランクアップだ」

眠っているとコスチュームを着たいつもの琴葉と変わらないように見える。
もちろん、戦闘によってボロボロになっているのだが。

膝枕をしてほつれた髪を撫でて整えていると、この世界で生きていくのも悪くないかと思えてきた。

P「おかえり、琴葉。起きたらまた、アイドルとして」

――――

3、エピローグ

目が覚めた。

正直、一区切りつけば元の世界に戻ることになるだろう、と考えていたが、そんなこともなかった。

起きて拠点に行く途中でコンビニに寄ると、海美が降ってきた。

P「いたたた」

海美「ごめん、プロデューサー! 下敷きにしちゃった」

P「それはいいんだけど、早くどいてくれ。重い」

海美は一瞬赤くなったかと思えば、「失礼だよ!」と、こちらの頭をこつんと叩いて起き上がった。

P「体の調子はいいのか?」

海美「気を抜くとダメなくらいで、他はいつもの通りかな。プロデューサーを見つけたから」

あっ、と何かに気づいたようにまた赤くなり、今度は下を向いてしまった。

P「海美? どうした?」

海美「…そういや、さ。プロデューサーって、いつも下の名前で呼ぶじゃない?」

P「ああ」

海美「元居た世界、だっけ? そっちではどんな関係だったのかな、って」

P「何だ、興味が湧いてきたのか? 一緒に行く途中で教えるよ」

プロデューサーは意味をなさない肩書になったけれど、ファンとして支えていければいいか。

もう知っていたことはなくなり、予断を許さないけれど、この世界で日常を生きていこう。

アイドルヒーローズと一緒に。

あとがき


前日にデストルドーのノベマスに触発されて書こうかと思い立ちましたので、お察しの通り、といったところでしょうか。

ノベマスはタミ○ルPの頃から見ているので、私の中では、アイマスとノベマス含めたニコマスとは切っても切れないものですね。

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