【安価】異世界に来たので、折角だから何かする【オリジナル】 (363)


あなたはここで旅をしてもいいし、一つの町に定住してもいい。

特別な力を持っているかもしれないし、何も持っていないかもしれない。

多くの人と関わる中で生涯の友と出会えるかもしれないし、宿命の敵を見つけるかもしれない。

正しき者として振る舞ってもいいし、悪しきに手を染めてもいい。

これは、『目的』を見つける物語。





オリジナルの異世界的な世界観で、ゲームブック風なTRPGっぽい奴で遊ぼうぜという趣旨のスレです。
人が居らっしゃれば早速始めます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1530711101


書き込み失敗しましたと言われたんですけど大丈夫ですかね…?(久々のスレ立てでめっちゃ不安)


良かった…!
人が来て下さったので早速始めます!!




『あなた』は?


1、男
2、女

安価↓1


選択:1、男




貴方は目を覚ます。
そこは、見覚えの無い場所。
少なくとも、人が寝て目を覚ます場所はベッドの上だという確信がある貴方は、自分が木々が生い茂る場所に寝転がっている自分に違和感を覚えます。

そこであなたは、昨日までの状況を思い出そうとしました。



貴方は―――


コンマ判定

00~20 全く思い出せない
21~50 名前くらいは思い出せる
51~90 前日の事まで明確に思い出せる
91~99 全てを理解した

直下コンマ


コンマ判定:13


自分の事を思い出そうとして、貴方はハッと気づきます。
『何も思い出せない』ということに。

言葉を理解し、思考を理解し、常識すらもキチンと記憶に備わっているにも拘らず、自身に関する記憶が何も思い出せません。
家族や友人はおろか、自分の名前すらも思い出せないのです。


そんな、あまりに異常な状態に混乱してしまっている貴方の下へ、何かが近づいてきているようです。
草を踏みしめる音が、真っ直ぐ此方へと向かって来ます。

徐々に近づいてくる足音の主は、どうやら一人ではないようで、話し声のようなモノが聞こえてきます。

「ねえナキ、さっきの妙な光って、こっちからだったよね?」

「そのようなだな」

「今まで見たことも無かったから気になって来てみてるけど、おじいちゃんは何か心当たりある?」

「……いや、まだ分からんな。一応警戒だけはしておけよ」

「はいはーい」

和解快活な女性の声と、しわがれた威圧感のある老人の声だ。

その二人組は、ここに貴方が居るということに確信をもって近づいてきているのだろうと、そう察せられます。



貴方は――


1、何もしない
2、隠れる
3、自分から近付く

安価↓


選択:3、自分から近付いていく


近づいてくる二人組から悪意や敵意のようなモノを感じなかった貴方は、自分から二人組に近づくことにしました。
状況も自分の事も分からない以上、情報が少しでも欲しいと思っての行動でした。

軽く体の汚れを払い、立ち上がって声のする方に歩きます。

「…ッ!こっちに来る!」

「いつでも剣を抜く準備はしておけ…!」

突然動き出してしまったことにより、どうやら警戒をさせてしまったらしい。
その誤解を解くためにも、貴方は2人の前に慌てて姿を見せました。

両手をあげて二人の前に姿を現した貴方に、目の前に居た人物は目を丸くさせ驚いています。
しかし、驚いたのは貴方も同じでした。

なんと、二人組だと思っていたはずの二つの声の場所には一人の若い女性が立っているだけでした。
黒く長い髪をポニーテールに結っているその女性は、軽装の鎧のようなモノを着こみ、その背には赤いマントを携えています。
いわば、ファンタジー世界の女騎士のような容貌の女性でした。

しかし、一つ大きな違和感をあげるとすれば、その女性は首に『白い蛇』を巻きつかせていたのです。


そして、更に驚いたことが起こります。

「ぷはぁ……な~んだ、ただの人間じゃん。迷子か悪戯かな?」

「主よ、そう簡単に警戒を解くな」

「大丈夫だってナキ。多分この人はそんな悪い人じゃないよ」

さも当然のように白い蛇と女性が会話をしているのです。
どうやらこの場所は、自分の常識とは大きく外れたところにある。そんな確信を得ました。

女性は腰に提げた剣から手を離し、両手を広げ友好的に話しかけてきます。


「ええ~っと、一先ず事情聴取しないとね。私は見れば分かるとーり『図書館騎士』よ。よって、不審人物を取り調べる義務があります」

「私の質問には一切の虚偽も許されてません。貴方が嘘を言った瞬間、厳粛なる『罰』が与えられることになるでしょう」

「我々は『正直者』を善しとします。まあ、この国の人なら知ってるだろうけどね」

「取り敢えず、住所と氏名。仕事を教えてもらえる?」


何やら聞き慣れない単語が混ざっていたが、相手は剣を持っている以上あまり下手な行動はとるべきじゃない。貴方はそう判断し、素直に答えることにしました。



選択

1、俺は……
2、僕は……
3、私は……

安価↓1


選択:3、私は……



「私は………その、自分が何者なのかを説明できないのです」

「はい?」

「えっと…私自身混乱していて、上手く言えないのですが……記憶喪失と言えば伝わるでしょうか?」

「…………つまり、自分が誰か分からないから質問に答えられないって事?」

「はい」

「……それが、『図書館騎士』である私の質問への答えなの?」

「…はい」

貴方は、思わず生唾を飲み込みます。
まだ年若い目の前の少女が放つ威圧感に、一気に血の気が引いていく感覚が分かります。


暫くの沈黙の後

「ふーむ、困ったさんだねぇ…これは。ねえねえナキ、こういう場合ってどういう処遇が正解なんだっけ?」

「ふむ、頭でも打ったのなら病院にでも連れて行くか?」

「なるほど。ねえ貴方、怪我とかはしてない?頭が痛むとか、頭から血を流してるとか、実は頭がおかしいとか」

その質問に、貴方は首を振ります。
頭がおかしくないといえば全くそうではないという自信はなかったが、少なくとも怪我はしてない。
あんな場所で無防備に寝ていた割に、何も外傷は負っていません。

「だってさ、ナキ」

「だってさ…ではない。一々ワシに振らずに自分で考えてみればよいではないか」

「う~ん……どうしよっか?町でも歩かせたら何か思い出すかな?いっそ王様に見せに行く?あの謎の光の事も報告しとくべきだろうし」

「或いは『司書殿』に話を聞いてみてもいいやもしれんな」

「こういう事例初めてだからな~…なにしていいか全然分かんないや……」


二人(一人と一匹?)は貴方の処遇の事でうんうんと頭を悩ませている。
どうやら貴方が記憶喪失だということは信じて貰えたらしく、貴方は胸を撫で下ろす。


「ねえ貴方、貴方は何か記憶の手掛かりになりそうなことある?」


その質問に貴方は……

1、街に行ってみたい
2、王様とは誰か?
3、『司書殿』とは?
4、その蛇は…?
5、自由安価

安価↓1


選択:3、『司書殿』とは?


貴方は、二人の会話の中で気になったことを聞いてみた。

「とは?って………司書様は司書様だよ?私のような『図書館騎士』が守ってる『図書館』の管理人さん」

女性から何故知らないんだと不思議そうな顔で、そう説明される。
貴方にも、確かに『司書』という仕事については何となくの知識がある。図書館の管理人というのもイメージ通りだ。
しかし、どうにも貴方のイメージと女性の説明では、大きくイメージがかけ離れているような気がしてならなかった。

貴方はもう一つどうしても気になっていたことを問いただした。

「あの、先程から気になっていたのですが『図書館騎士』とは何なのでしょうか?」

「ええっ!?図書館騎士も知らないの!?知らないのは自分の事だけじゃなくて、この世界の常識も全然知らないの!?」

「『図書館騎士』とは、それ程一般的なご職業なのでしょうか?」

「い、一般的っていうか……知らないなんて……余程俗世からかけ離れた場所で生活してたのかな?」

まるで未知の生物を見るかのような目で、女性は貴方を見ている。
どうやら、この世界では『図書館騎士』はそれほどまでに高名な職業らしい。
改めてあなたの常識と重ねてみても、全くの異国…いや異世界であると言っていいと、貴方は確信する。


コンマ一桁判定
5以上で………

直下コンマ

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コンマ判定:7 成功


「ふむ、分かったぞ主様よ」

「え?今ので何か分かったの?」

二人は貴方に背を向け、何かを話し始める。
どうやら貴方には聞かせたくないらしく、ぼんやりとした言葉しか貴方には聞き取れない。

「ああ。彼奴は恐らく『―――』から――だろう」

「…!成程ね。それなら諸々説明がつきそうだけど、―――――――じゃない?」

何とか聞き取れた会話の内容は、こんな感じのモノだった。




二人だけで会話をしている間、手持無沙汰になった貴方は、自分の正体の手掛かりはないかと自分の体を弄ってみる。
すると――――


所持品安価(一つだけ、かつ懐などに入っていて不自然ではないもの)
安価↓1

※つい最近嘘喰いを読んだ私になんとタイムリーな代物

選択:サイコロ


財布でもあれば、身分証が入っていないだろうかと貴方は自分の懐を探っていると、何か堅いものが手に触れたことに気付きます。
手の平で容易に包み込める程度の大きさのそれを握り、何かを確認してみると、それは『サイコロ』でした。
それも一般的によく見る6面ダイスではなく、0から9の数字が描かれている『十面ダイス』と呼ばれるもの。

何故こんなものを持っているんだろう?

思い出そうと首を捻っていたところで、話し合いを終えたのか、二人が貴方に再び話しかけてきます。


「あーっと取り敢えず、今から私たちは司書様に会いに行くことにしたから。ついて来ること、いいね?」

特に拒否する理由もない貴方は、頭を縦に振ります。

「それとは別に、ついでに町を案内してあげるから、思い出したことがあったり気になったことがあれば教えなさい」

再び貴方は承諾の意思を見せます。
それを見て満足げに女性は頷くと、マントを翻しそのマントに描かれた紋章のようなモノを見せてきました。

「まだ名乗ってなかったわね。私は『リメロン・アスバール』図書館守護の命を聖下より賜りし図書館騎士よ。それでこっちが…」

「ワシは『ナキ』。まあ、主様の付属品とでも思っておけ。ワシから汝らへ干渉することはそうない。そういう『契約』故な」

「とまあ、分からないことばっかりで混乱してるかもしれないけど、一先ず私にドーンと任せなさい!この生命の樹のマントに誓って、貴方を助けてあげるわ」


貴方は、言われるがままにリメロンと名乗る女性について歩く。
その間に、この国の事を軽く教えてもらった。

世界最大の魔法国家『ルーラー』それがこの国の名前だという。
魔法国家という名前の通り、魔法によって国を大きく発展させてきたのだという。
貴方が倒れていたのはリメロンの屋敷のすぐ近くの森林。見たことも無い謎の光の調査に森に足を踏み入れた先で、光の発生源付近に貴方が居たのだと言う。

貴方は、リメロンの話の節々から『図書館』という場所は、自分の知っているような大衆に解放された場所ではなく、ごく一部の知識層のみが利用する重要な施設であることを察することができた。
それと同時に、『本』という物が重要な意味を持つ資源であるらしいということも感じられた。

そして今練り歩いている町は、国家最大級の大都市らしく、人通りも多く市場も活気づいている。

初めてリメロン以外の人や町の姿を見て、貴方は特に―――


1、行きかう人々の様子が目に止まった
2、一際大きな大樹に目がいった
3、市場の商品に目が奪われた

安価↓1


選択:2


街のどこからでも姿が見える、あまりにも巨大な大樹に、どうしても目がいってしまう。
気になり、貴方はリメロンにアレは何かと聞いてみた。

「ああアレ?あの大樹は今私たちが目指している場所。図書館ね」

貴方は驚き、目を丸くする。
まさかあれが建造物であるとも、図書館であるとも想像していなかった。

「ほら、私のマントにも描かれてるでしょ?『生命の樹』って言ってね、あの場所には国中の叡智が集まってるの」

「そんな大切な場所の守護を任されたのが、この私図書館騎士ってわけ」

ドヤ顔で、リメロンはそう説明している。
その流れで、もう一つ貴方は気になったことを聞いてみる。


会話安価↓1


選択:一緒にいる蛇について


やはり、一度自己紹介をされただけではどうしても納得しきれない。
百歩譲って蛇を飼うのが一般的だとして、それを首に巻いて連れ歩いていても、周りから一切奇異の目を向けられていないのはやはりおかしい。
そして何より、やはり喋る蛇というのは貴方の常識から大きくかけ離れ過ぎている。
こうして町を歩いてみても、他に喋る蛇なんて見かけないのであれば、貴方が気になることも仕方ないだろう。

改めて、その蛇は何なのかとリメロンに訊いてみる。

「え?紹介したでしょ?ナキだよ。ナキおじいちゃん」

「おじいちゃん、というのはリメロンさんの祖父ということなんでしょうか?」

「いやいやいや!私はどう見ても人間じゃん!」

「ふふっ…ワシを主様の祖父と勘違いされるのは初めてだな。奇天烈なこと考えるのだな」

「では、どういう関係なのでしょうか?」

「ん~……まあそこらへん含めて司書様に説明してもらうつもりだから、直ぐに分かるよ」

「噛み砕いていうのなら、ワシは主様の仕事道具だな。これが一番語弊が無い」

図書館騎士とは、どうやら蛇を扱う仕事らしい。
改めて、この世界の謎は深まるばかりだ。


程なくして、貴方は大樹……図書館にたどり着く。
図書館の根元には、大きな扉があり、そこで漸くここが人工的な建造物なのだと納得できた。

「図書館騎士リメロン・アスバール!ただいま戻りました!」

そう扉の前で言うと、扉が自動的に開いていく。
恐らく、これも彼女が少しだけ語っていた『魔法』と呼ばれる物なのだろうと貴方は勝手に解釈する。

リメロンに続いて中に入ると、その大樹の中は360℃あらゆる場所が本棚と本で埋め尽くされていた。
大樹の中をくり抜いたような円状の室内は、見上げても見上げても、何処までも同じ光景が続いている。

そんな中で、いくつかある扉のうち一つをリメロンはノックする。

「入ります」

そう言うと、リメロンは返事も待たずにその中に足を踏み入れる。
それに続いて貴方も室内に入ると、そこには一人の少年が居た。
どう見てもリメロンよりも年若い、幼いと言ってもいいような容姿の少年が、まるで魔法使いのような黒いローブを身に纏っている。


本を読んでいたその少年は、リメロンの来訪に特に動揺することも無く、本を閉じて此方に向き直る。

「戻りましたか、リメロンさ…………あの、その見慣れぬ男はどなたでしょう?」

「拾って来ました」

「……貴女、謎の光の調査に赴いたのではなかったのですか?」

「はい。そこで拾って来ました」

「………詳しく、説明をお願いします」

辛そうに眉間を揉みながら、少年はリメロンさんから、今まであったことの説明を受けていた。
そこで漸く、貴方はこの目の前に居る少年こそが『司書様』なのだと気付いた。
喋る蛇が普通に受け入れられている以上、この少年が重要なお役目だとしてもあまり驚きはない。きっとそういう世界なんだろうと勝手に納得する。


「……ふむ、不明瞭な点はあれど、ある程度状況の理解は出来ました」

少年はじっくりと値踏みをするような目で、貴方を見る。
その視線からは、あの時のリメロンさんのような奇妙な威圧感を覚える。

「リメロンさん。まずは貴女の見解をお聞きしましょう」

「はい。ここに居る彼は『漂流者』ではないかと考えます」

「……『契約者』や『はぐれ』ではないと?」

「はい」

「その根拠は?」

「彼の周囲には彼以外の生命の気配がありませんでした。それに、あまりにもこの世界に無知すぎます」

「『はぐれ』の可能性もあるでしょう?」

「それもありません。もし彼が『導師』を殺したのだとすれば、その匂いを私が見逃す筈がありません」

聞き慣れない単語ばかりだが、『殺す』という言葉に貴方は嫌な汗をかく。
何となくではあるが、文脈的に自分は犯罪者かどうか疑われているらしいということを察する。
そして、リメロンが貴方を弁護してくれているのも、何となくではあるが伝わった。


「その言葉、我ら『生命の樹』に誓えますか?我々は正直者を善しとします」

「誓いましょう。私は彼を『漂流者』であると主張します」

再び、少年の目が貴方に向きます。
先程よりもずっと長く、顔に穴が開きそうなほどに貴方を見つめてくる。


永遠にも感じられた沈黙の末

「ふむ、分かりました。リメロンさん、貴方の判断を信じましょう。曲がりなりにも、貴方は図書館騎士ですからね」

「曲がりなりにもは余計です~」

いーっと口を開いて威嚇のような事をしているリメロン。
貴方は薄々と感じていたが、彼女は見た目以上に子供っぽいところがあるらしい。
一方、見た目以上に大人っぽい少年――司書は貴方と初めて正面から向き合う。

「『ルーラー』へようこそ、漂流者さん。私はこの図書館の司書『アルフォード』です。分からないことばかりで混乱しているでしょう、長い話になりますが、貴方の置かれている状況を説明します。一先ず座って下さい」

そう言いながら差し出された椅子に、貴方は言われるがままに座る。

「リメロンさん、お茶を淹れてください。私と彼の分を」

「はいはい、お茶三つですねー」

「何さり気なく自分も混ざろうとしてるんですか………」

何となく二人の力関係を察しながら、貴方はアルフォードから話を聞くことにした。


貴方はアルフォードの話の中で、小難しい話はイマイチ理解しきれなかったが、いくつか確かに分かったことがある。

まず、大前提としてこの世界には『異世界の門』というモノがあるらしい。
その名の通り、異世界と繋がる門であり、この世界とは違う世界との繋がりを得るためのモノらしい。
喋る白蛇の『ナキ』も異世界からやってきたのだという。だからこそ、貴方の正体にすぐに気づいたのだと説明を受けた。

そこで次に『契約者』と『導師』という存在の説明を受けた。
簡単に言えば異世界の門を開くことができる人物が『導師』であり、それによって呼び出されたモノが『契約者』という事らしい。
そして『導師』と『契約者』の間には『契約』というのが結ばれているらしいが、ここの辺りの説明は正直よく分からなかったが、とても大変で非常に危険らしいということくらいは、貴方にも理解できた。

そして最後に『漂流者』という存在についてだ。
なんでも極稀に、貴方のような前触れもなくこの世界と繋がってしまった異世界人、という事例が存在するらしい。
導師の居ない契約者。そんな存在の事を、『漂流者』と呼ぶようになったらしい。


「と、まあこんなところですかね。理解できましたか、漂流者さん」

貴方は自信なさげに頷いた。

「ふむ、しかし…漂流者が記憶喪失なんていう事例は今までありませんでしたから、本当に漂流者かどうかはグレーな部分ですけれどね」

「一先ず今は、呼ぶ名がありませんから漂流者さんとお呼びします。…それとも、この世界で使う名前くらい付けておきますか?名前があった方が、いろいろ便利でしょうからね」

「どうです?よろしければつけてあげますが?」


確かに、アルフォードの提案通り名前くらいはあった方が今後色々都合がいいかもしれない。
どうしようか?


1、つけてもらう
2、漂流者でいい
3、自分でつける

安価↓1


選択:1、名前を付けてもらう



というわけで、今回の更新は終わりです。
世界観説明に時間喰い過ぎた感ある。書くのも遅くって申し訳ないです。

多分明日も更新すると思いますので、いい感じの名前を考えておいてくださいね!



ではでは、遅くまでお付き合いいただきありがとうございました。

ではでは、そろそろ再開いたします!


貴方の名前

安価↓3までで一番コンマの大きいものを採用

アスラ


>>42選択:アスラ


貴方は、折角なのでアルフォードに名前を付けてもらうことにした。

「そうですか。では、アスラなんてどうでしょう?」

「何かこの変だと聞き慣れない感じの名前だね」

「ええ、さっき呼んでいた本からそのまま引用しただけですので。異世界の文献で、善悪の対立を描いた神話に出てくる善神の名前ですね」

「司書様も大分テキトーだね」

「漂流者さんはこの辺では馴染みのない服装ですのでね、名前もこの辺に馴染みのない方が良いだろうと思いまして」

何だか身の丈に余る名前を頂いてしまったようだと、貴方は苦笑いをする。
とはいえ、ゲン担ぎにはなるかもしれないと、貴方は前向きに考えることにした。



貴方の容姿の設定(体格とか身長とか服装とか)
安価↓3までをMIX

左腕がない


>>48-50選択



「……改めて見ても、アスラさんは大分人目を惹く姿ですね」

そうだろうか?と貴方が首を傾げると、アルフォードさんが鏡を持ってきてくれた。
そこに映っていた姿は、手入れのされていないぼさぼさの黒髪に浅黒い肌、身長180cmくらいはありそうだ。
しかしそんな部分より目に見えて異質な個所が一つ。それは、本来人に備わっていて当然の両腕、その片方が無かったのだ。

貴方はその事に、鏡を見てようやく気付いた。
しかし、体に違和感はなく、これがあるべき形であるようにも見える。
ともすれば、最初から左腕は無かったのかもしれない。と貴方は勝手に納得した。

「いやぁこんな人がいきなり正面から歩いて来るんだから、私も最初は身構えちゃったよね」

確かに、身構えるのも仕方ないのかもしれない。と貴方は苦笑する。


軽く談笑を交えている間、無意識のうちに何故か自らの額を撫でていた。
貴方は、はて?と首を捻る。
額には何もない。ごく普通の人の額だ。

しかし、どうしてだろうか?貴方はその『何も無い』事に奇妙な違和感を覚えていた。


「さて、アスラさん。貴方はこれからどうするおつもりですか?」

唐突な質問に、貴方は首を捻る。

「貴方はこの世界のいわばイレギュラーのような存在、暫くは他人の手助けなしでは満足に暮らすことは難しいでしょう」

成程、確かにそうかもしれない。と貴方は大きく頷いた。
自分の記憶が何もないうえに、唯一ある常識すらこの世界では通用しない。更には隻腕と来た。
頼れる身内も居ない。まさに八方塞がりとも言える状況だと、貴方は冷静に分析する。

自分にはどんな選択肢があるのだろう?と貴方はアルフォードに問いかける。

「それは、貴方が何をしたいかによって大きく答えが変わります」

「一先ず生活する場所が欲しいなら、数日程度なら私が面倒を見てあげてもいいですが、ずっととなると此方も都合が悪い。相応の仕事をしていただくことになるかと思います」

「自分が元居た世界に帰りたいと思うのなら、そうですね……国王様に頼ってみるのも一つの手かもしれません。王様は未知がお好きです。貴方のような漂流者は歓迎されることでしょう」

「記憶を取り戻したいと思うのならば、より多くの見聞を広めていくことが必要でしょう。貴方が異世界の人と決まったわけでもありませんから、色々な場所を巡るうち、貴方を知る人と出会えるやもしれません」

「安全に生きたいのでしたら、『教会』の庇護下に入るのが一番でしょう。貴方のような身寄りのない人々の為に、彼らはあるのですから」

「……それと、貴方が酔狂な方ではないと信じて忠告しますが、自分は漂流者であることをそう軽々しく吹聴しないように。異世界の力を欲しがる輩は,それこそ掃いて捨てるほどいるのですから。貴方のような同士が傍に居ない契約者なんて、それこそいい鴨です」



「さてアスラさん、貴方はどうしたいですか?」

貴方は沈黙する。
知りたいことはいくつもある、だが全てを知るには足りないモノがいくつもある。
どうすることが最善なのだろうか?
貴方は、大いに頭を悩ませる。

「あ~っと、アスラさん!一応だけど、私の屋敷に来るっていうの手かもしれないよ!まぁ…貧乏貴族だし、大したもてなしはできないけど」

「無責任な事言うな主よ。……アスラよ、そう難しく考え過ぎるな。汝の思うままに歩くといい。善なる道が苦無き道とは限らぬのだからな」


だ、そうだ。
さて、貴方はどうしたいだろう?



1、一先ずの行動方針を決める
2、その前に質問がある

安価↓1


選択:2


何かを決める前に、自分はあまりにも無知すぎる。
貴方はそう思い、思いつく限りの質問を二人に聞くことにした。


質問安価
安価↓4まで採用

失礼しました
改めて、今この町に自分以外の漂流者はいるのだろうか

図書館や教会以外にどんな施設があるか

『教会』について詳しく聞いてみる

図書館での仕事はどのようなものか

図書館騎士は大仰な名のついたただの警備員なのか、それとも明確な敵がいるのか


>>57

「今この町に他の漂流者…ですか?そうですね………可能性は高いです。どうしても必要であれば、私が後で調べて差し上げましょう」


>>58

「図書館や教会以外の施設ですか?当然列挙するのも面倒なほどにありますけど、主だった施設といえば王の住まう『宮廷』や導師や魔法使いの育成のための『学校』、身寄りのない者の吹き溜まり『スラム街』ですかね」
「後は……恐らく門前払いを受けるでしょうが、我々命の樹に連なる者達が居る『叡智の殿堂』があります」


>>59

「教会…『ソピラ』の方々の事ですね。我々生命の樹とはあまりいい関係ではありませんから、あまり話したくはありませんが、『白き人』という眉唾物の現人神を奉っている少々心の弱い方々です」

「個人的にはハッキリ言って嫌いですが、無辜の民…特に『無知なる人』にはお優しいです。特にあなたのような右も左も分からぬ異邦人は、よく勧誘されていらっしゃいます」

「もし教会をご利用になるのでしたら気を付けてください。『善なる』をこよなく愛する方々ですので、彼らの前で無法を働けば無事で居られる保証はありません」

「………やや私的な意見が入り混じった解説ですが、まあ悪い方々ではありませんよ。我々の蔵書を世間に公開しろという世迷い事をほざきさえしなければ」


>>60

「図書館での仕事ですか?そうですね……私はこの場所から一歩も外に出ることができませんから、主にお遣いをして貰うことになりますね」

「知識だけは無限に手に入るこの場所ですが、世間とはあまりにもかけ離れた場所ですので、自由に使える足があれば便利なんですよ」


>>61

「う、う~ん…警備員って呼ばれ方は好きじゃないんだけど……基本的な仕事はそんなに変わらないから強く違うとは言えないのが辛いところ…」

「でもでも、私はこう見えてもこの国で6人しかいない図書館騎士の一人何だから、実はスーパーエリート貴族なんだ~」

「敵?う~ん……この図書館を害する人全てが敵かな。だから、明確な敵っていうのは………居なくもないか…」

「この国ではまだ起きた事ないんだけど、遠くの国では『ギルド』っていう図書館だけを狙った盗賊が居るらしいから、大分問題視されてるね」

「明確な敵といえば、そのくらいかな?『ソピラ』の人たちは思想対立してるけど、敵とはちょっと違うかな~」



取り敢えず、思いついた質問を全てぶつけ終えた貴方は改めて考え込む。
自分がしたい事、興味がある事、心惹かれる場所……それは何だろうか?


目的安価
↓3まででコンマの最大値の安価が当面の目的

各地を周り自分の記憶を取り戻す


>>67選択


色々と思う所はあるが、やはり一番初めにやるべきことは『記憶を取り戻す』ことだろう。

何故、自分は記憶喪失なのか?
何故、自分はこの世界に来たのか?
何故、自分には片腕が無いのか。

自分は何者なのか?

どうしても、それを知りたいと貴方は思った。


「私は、自分の記憶を取り戻したいです。その為にも、各地を回ってみたいと思います」

「…そうですか。ええ、いいと思いますよ」

アルフォードは柔らかく微笑みながら、そう言った。
そういえば、アルフォードが笑っている姿を始めてみるかもしれない。と貴方は感心する。


「では、私にできることはもう無いようですね」

そう言うと、アルフォードは貴方に背を向け、読みかけだった本を改めて読み始める。

「まずは、町を巡ってみるといいですよ。この町だけでも、今の貴方には広すぎるくらいでしょうから」

「この国を出るのは、それからでもいいと思います。もっとも、貴方がこの国から出るというのなら、止めはしませんが」

「じゃあ私も、図書館騎士の仕事があるから!といっても、仕事中はこの図書館の中に居るから、用があるならいつでも呼んでね?」

「ではな、異界の旅人よ。道に迷ったのなら、主様を訪ねるといい。どうしようもないお節介焼き故な、飯には困らぬだろうよ」


そうして、二人は各々の仕事に戻ったようだった。
貴方は、ここで初めてこの世界に来て一人になった。

さて、取り敢えず外に出ようか?


そう思い立ち、図書館から出て行こうとすると、アルフォードから声を掛けられる。

「ああ、町を巡るのでしたら案内人をつけましょうか?護衛代わりにもなるでしょう」

貴方は――


1、必要ない
2、案内人をつけてもらう

安価↓1


選択:2


この世界のマナーもよく分からない身だ、何か無礼があったらいけない。
そう思った貴方は、お言葉に甘えて案内人をつけてもらうことにした。

「ふむ。でしたらコレを」

そうしてアルフォードから、彼が身に着けていた懐中時計のようなモノを手渡される。

「時計です。その時計には私の契約者『キア』が宿っています。大抵の質問には答えられるはずですよ」

イマイチ判然としない説明に首を傾げていると

「始めまして、『キア』です。アルフォード様の命により、貴方の町先案内人に任命されました。今日一日、貴方をお世話させていただきます」

まるで機械音声のような淡々とした口調で、時計に話しかけられる。
喋る時計……喋る蛇が居る以上、そうおかしなことではないのかもしれない。と、勝手に納得する。


貴方はアルフォードに感謝を述べながら、図書館を出た。


さて、図書館を出てみたはいいものの…本当に右も左も分からない。
取り敢えず、市場への道だけは分かっている。


気になる建物もいくつかある。
さて、これからどこに行こうか?



1、適当に歩く(コンマイベント)
2、白い豪奢な建物に向かってみる
3、市場をうろつく
4、病院でも探してみようか?
5、自由安価

安価↓3まででコンマの最大値採用


>>76選択:3



一先ず市場をうろついてみることにした。
市場では、食べ物を売る露店が多く立ち並ぶほか、仮面を売るという珍しい店もあった。
他にも、見慣れない銀食器?のようなモノを売る店や、最早なんと形容するべきか分からない怪しい露店もあった。

貴方は改めて人の多い場所に出てみると、今まで気づいて居ないことにも気づけた。
それは、行きかう人々が必ず『人』とは限らないことだ。

獣のような耳が生えた人、不健康そうな緑色の体色の人、やけに耳の尖った色白の人。
犬の顔をした人のような者も見受けられる。

この中にも、自分と同じ漂流者や契約者が居るのだろうな。と貴方は思う。



イベント判定(1桁コンマ)

1-3  怪しげな口調の男
4-6  小太りの中年
7-9  自由安価
0     火の手が上がる

直下コンマ


コンマ判定:3


貴方が市場巡りを楽しんでいると

「ネネ、そこの褐色のおニーサン。ちょっとちょっと」

高い男の声に呼び止められる。
一瞬、何処から声が聞こえているのか分からずに周囲を見渡していると、少し喧騒から離れた暗い路地から糸目の男が貴方に手を振っていた。
吸い寄せられるように貴方はその男に近寄る。

男は身長はやや小さいが、恐らく大人だろうと何となく察せられた。
服装は町を行きかう人のそれとは少し違い、言うなれば…中華風とも言うべき不思議な出で立ちの男だった。

「アイヤーおニーサン、何やらお困りのようネ」

お困り……確かにそうかもしれない。
貴方は素直に頷いた。

「そうだと思ったヨー、おニーサンこの町歩くの初めてネ」

確かにそうだ。
何故わかるのだろう。やはり服装だろうか?

貴方が素直に頷くと、男は人懐っこくニコニコと笑いながら話し続ける。


「おニーサン、ズバリ…お金に困ってるネ?」

確かに、困っていると言えば困っているかもしれない。
貴方は気になる物があっても何も買えない。交換できるような物も持ってない。
文字通りの無一文だ。

貴方は頷く。

「ここで働き口探すのは大変ネ。此処に居るのはゼーンブ地元の人。あぶれて仕事も無い奴は皆スラムに押し込まれてるヨ」

そうだったのか、と貴方は驚く。
適当にバイトでもできないだろうかと薄ら考えていたが、どうやら難しそうだ。

貴方は困った顔をしていると、男は笑顔を絶やさず言葉を続ける。

「私実は仲介屋ネ。おニーサンみたいな人が、食いっぱぐれ無いようにするのが仕事。トッテモ親切な仲介屋さんネー」

成程、つまり自分に仕事を紹介するために声を掛けてくれたようだ。

「そゆ事ヨー。おニーサンみたいなハンサムな人におススメの仕事があるんだけど、聞いてくアルか?」


貴方は―――


1、聞いていくことにした。
2、遠慮することにした。

安価↓1


>>81選択:2



貴方は遠慮することにした。


「まあまあ、おニーサン!そう言わずにネ!話だけでもネッ!」


貴方は―――


1、聞いていくことにした。
2、遠慮することにした。

安価↓1



選択:2


貴方は、それでも遠慮することにした。


「まあまあまあまあ!おニーサンッ!そう言わないでネッ!きっとお金に困るヨ~、お腹へるのは辛いヨ~、仕事が無いのは心が貧しくなるヨ~」

「ちょっと付き合ってもらうだけアルヨ~」


貴方は―――


1、聞いていくことにした。
2、遠慮することにした。

安価↓1


選択:2


もうここまで来たら意地だ。
何が何でも聞いてやらない。貴方はそんな気持ちになった。

「お、おニーサンも意地っ張りネ…」

目の前の男も、貴方の頑なな態度に少々疲れを見せている。

「しつこいのは貴方の方ですよ。私に構わず、別の困っている誰かを助けてあげてください」

「チッ……私がこんなに優しくしてやってんのによ……」

「今、舌打ちしませんでした?」

「し、してないヨ~?今のは投げキッスネ~」

どうやら、男もそう簡単には諦めてくれないらしい。
貴方はそこで、自分のポケットの中にサイコロがある事を不意に思い出した。


貴方は――


1、サイコロの出目で決めないかと提案した
2、折れて話を聞くことにした

安価↓1

1


>>88選択


「そういえば私、一つ面白いものを持ってるんですよ」

「ハ?」

貴方はポケットから取り出したサイコロを、親指で宙に弾く。
そして落下してくるサイコロを、人差し指と中指で器用にキャッチして見せる。

余りの突然の事に、糸目の男はポカンと間抜けに口を開けている。

「このサイコロ、0~9までの目が書かれてるんです。どうです?一つ勝負しませんか?」

「しょ、勝負?」

「ええ。もし負けたら、私は貴方の話を聞くとお約束しましょう」

「お、おニーサン何者ネ?」

「身よりも職も無い、ただの異邦人ですよ。で、どうします?」

貴方の突然の饒舌ぶりに糸目の男は呆気に取られていたが、このままでは埒が明かないとは思っていたようで、勝負を引き受けるようだ。


勝負の内容はどうしようか?

1、お互いがサイコロを振って、大きい出目が出た方が勝つ
2、貴方が、男の振った出目を当てる

安価↓1

2


>>91選択:2


「ほ、本当にその勝負内容でいいアルか?」

「構いませんよ」

その勝負内容は、貴方が男の振った出目を事前に予測するというもの。
明らかに貴方が不利な内容の勝負だった。

「その代わり、私が勝ったなら。一つ質問に答えてもらいます」

男は思わず生唾を飲む。
彼自身、理由は分からない。
何故か、ただならぬものを目の前の不敵に笑う貴方から感じ取っていた。

「では、貴方がサイコロを振る前に出目を宣言させてもらいます」


1桁コンマ判定
5以上で……

直下コンマ




コンマ判定:1 特殊判定失敗



「……予想は、1です」

その言葉を聞いた瞬間、男は今まで貴方から感じていた奇妙な威圧感が無くなっていることに気付く。
腑に落ちない奇妙な感覚のまま、男はサイコロを振った。


コンマ判定
『1』で貴方の勝利。それ以外で敗北

直下コンマ


コンマ判定:8


男が振ったサイコロの出目は『8』だった。
どうやら、貴方は負けてしまったようだ。

自分が仕掛けた勝負だ。貴方は潔く男の話を聞くことにした。

「エっ?あ、あー……いや…おニーサンにはヤメておくネ」

男は勝負に勝ったにも拘らず、貴方から身を引くようだ。
貴方は納得できない。と理由を聞く。

「あ~………おニーサン、不思議な人ネ。さっきまでは人を呑むような迫力だったのに、今ではフツーのとっぽいニーチャンアル」

「私、本当は親切な仲介屋じゃ無いネ。………本当は『ゴミ拾い』してたあるよ」

ゴミ拾い…やはりこの男の人は、割といい人なようだ。

「アイヤー…どうにも毒気抜かれちゃったアル……。今日は止めネ、仕事続ける気分じゃないアル」

男は、そう言うと貴方に背を向けて暗い路地の向こうへと向かって行った。

「……私の名前は『ファン・イン』ヨ。おニーサン、この町はおニーサンが思ってる以上に汚いヨ。私みたいな人に引っかからないよう気を付けて」

そう言い残すと、まるで暗がりに溶けるように姿を見失ってしまった。


糸目の男――ファンが去る後ろ姿を見て、貴方は奇妙な寂しさのような物を感じた。

改めて手の内にあるサイコロを見る。
黒い、ただのサイコロだ。
何か、仕掛けがあるようにも見えない。

しかし、このサイコロを握りしめた時、何故か自信のようなモノが湧き上がってきた感覚が確かにある。

やはり、自分の持ち物だけあって、何か自分と関係が深い物なのかもしれない。
貴方はそう思い、サイコロを大切に懐に仕舞いこんだ。


さて、多少道草を食ってしまったが、まだまだ日は高く上っている。
また市場を周ってもいいかもしれないが、別の場所を目指してもいいかもしれない。



行動安価
安価↓1

病院を探す


>>99選択:


よし、病院に行ってみよう。
記憶の事も何か分かるかもしれない。ついでに、左腕の事も相談できそうだ。

そう思い立った貴方は、『キア』に話しかける。


「キアさん。病院はどこですか?」

「『病院』は、この町にはありません」

「………?」

貴方は自分の耳を疑う。
もう一度同じ質問を投げかける。

「キアさん。病院はどこですか?」

「『病院』は、この町にはありません」

やはり聞き間違いではなかったと貴方は確信する。
流石に、病院という概念が無いということは考えられない。リメロンとナキが病院に連れて行くかどうか話していたことを、貴方は確かに覚えている。

『この町』という表現を使っているためか、恐らくこの町の外にはあるのかもしれないが、キアはこの町の案内人だ。それ以外の場所は恐らく管轄外だと貴方は予測する。

どうするべきか。と貴方は頭を悩ませていると……


イベント判定(コンマ1桁)

1-3  大量の仮面を買っていく少女
4-6  何かにぶつかられる
7-9  豪奢な馬車が通りかかる
0    自由安価

直下コンマ


コンマ判定:5  何かにぶつかられる


さらに判定

1-3  子供
4-6  上品な紳士
7-9  白い外套
0又はゾロ目で  ???

直下コンマ


コンマ判定:ゾロ目


ナニカが貴方の肩にぶつかる。
貴方は目を瞑って考え事をしていたためか、どうやらその接近物に気付かなかったようだ。

貴方は顔を起こす。
人であったのならば、謝るべきだと思ったからだ。

何気なく、そのナニカがぶつかった個所に手を当てる。


ニチャッ……


嫌な感触だった。
ぬめりがあって、生暖かく、外気に触れていると指先に何かが張り付くような感覚。
そして、噎せ返るような生臭さ。

頭が警告を鳴らす。
本能が貴方に危険を告げていた。
同時に、キアの声が貴方の耳に入る。

「警告。全速前進を推奨します。決して振り返ってはいけません」

貴方は――――



1、振り返った
2、振り返らずに走り去った

安価↓1


選択:2


即座に体が反応する。
弾き出された様に貴方は前へと走り出す。

血だ。
これは血だ。
〝人の血″だ。

心臓が警鐘を鳴らすかのように異常な速度で波打っている。

貴方は決して後ろを振り返らず、全速力で走り去った。



――――貴方の後ろから、何かの気配がする。



コンマ判定
6以下で………

直下コンマ


コンマ判定:6


突如、燃えるような激痛が貴方の背中を襲う。
貴方はその痛みに足をもつれさせ、盛大に転んでしまう。

大の大人が全速力での転倒。
それだけでなく、貴方は隻腕だ。
全身の激痛と、グシャグシャの三半規管の酔いで、まともに立ち上がることも出来ない。

助けを呼ぼうと周りに目を向けるが、そこは人一人いない暗い路地裏。
どうやら貴方は、逃げているようでそこに誘い込まれてしまったようだ。

後ろから声が聞こえる。


「ったく。いきなり逃げんなよ。ビビっちまうだろ?」

「まあでも、逃げたっつーことは何か『見ちまった』んだろ?」

「ごめんなぁ。本当は殺しなんてしたくねーんだけどよ。俺の後始末が下手なばっかりに、本当にごめんな」


優し気な男の声だった。
しかし、発する言葉の内容からは、一切の慈悲をも感じられない。


貴方は――――


コンマ判定
4以上で……

直下コンマ


コンマ判定:2



熱い。
背中が熱い。
体が、思うように動かない。

徐々に、徐々に、体の熱が引いていく。

徐々に、徐々に、意識が霞んでいく。

徐々に、徐々に、瞼が落ちていく。


意識を手放すその刹那、貴方は最後に声を耳にする。



「……コイツ…まさか……冗談だろ?この入れ墨…!」



それが、貴方が最後に訊いた言葉だった。



Dead END


というわけで、今回の更新はここまでです。
次回は、再開場所を安価で決めて再開します。


ではでは、遅くまでお付き合いいただきありがとうございました。


選べば即死のデストラップとかは滅多に無いつもりですが、コンマが振るわなければ今回のようにポックリ逝くことも多いです。
とはいえ、危険な目に合うのが必ずしも失敗というわけではなく、リスクに見合うようなイベントや救済処置は用意してます。
今回は、キアが居る分コンマに補正つけるべきだったかなと私も反省してます。

病院に行くの選択肢は、この町には病院が無い。⇒ではこの町の傷病者はどうしてるんだろう?という世界観を考察して貰う為の選択肢でした。
今回はコンマが面白い方向に転んで、その部分に着目する暇がありませんでしたが。


選択肢に何が正解とかは無いつもりなので、ガンガン色々なことに首を突っ込んで良いと思いますよ!!
死んでも死に戻りするだけですので。


とまあ、そんな感じです。
今日は更新ありません。明日またお付き合いいただければ嬉しいです。


そろそろ再開です!


再開する場所(最大で>>98 まで)

安価↓3まででコンマの最大値


再開する場所

1、>>98
2、>>100
3、>>105
4、>>109

安価↓1

>>98以降だったか
2


>>132
そのつもりでした。分かり難くてすみません。


選択:2


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


よし、病院に行ってみよう。
記憶の事も何か分かるかもしれない。ついでに、左腕の事も相談できそうだ。

そう思い立った貴方は、『キア』に話しかける。


「キアさん。病院はどこですか?」

「『病院』は、この町にはありません」

「………?」

貴方は自分の耳を疑う。
もう一度同じ質問を投げかける。

「キアさん。病院はどこですか?」

「『病院』は、この町にはありません」

やはり聞き間違いではなかったと貴方は確信する。
流石に、病院という概念が無いということは考えられない。リメロンとナキが病院に連れて行くかどうか話していたことを、貴方は確かに覚えている。

『この町』という表現を使っているためか、恐らくこの町の外にはあるのかもしれないが、キアはこの町の案内人だ。それ以外の場所は恐らく管轄外だと貴方は予測する。

どうするべきか。と貴方は頭を悩ませていると……


イベント判定(コンマ1桁)

1-3  大量の仮面を買っていく少女
4-6  何かにぶつかられる
7-9  豪奢な馬車が通りかかる
0    自由安価

直下コンマ


コンマ判定:2



しかし、この町に病院が無いとなると、この町の傷病者はどうするのだろう?
ここは自分の情隙が通用しない場所。病院以外の医療施設があるのかもしれない。

貴方はそんな事を考えていると、気になる姿が目に止まる。

一人の少女が、露店から仮面を買っている姿だった。
それだけならば、それほど異様な光景ではないかもしれない。だが、その少女は露店の仮面を全て買い占めていった。

大きな風呂敷のような袋に無造作に仮面を仕舞い、背負って歩く少女。
大の大人ですらそれを羽織部のに苦労しそうな大荷物を、少女は涼しい顔で運んでいる。

貴方は、そんな姿に不思議と視線が吸い寄せられた。


貴方は―――


1、少女に話しかけてみた。
2、自分も仮面が欲しいと思った。
3、この世界で、仮面は独特の意味があるのかもしれないと興味が湧いた。

安価↓1


選択:1


どうしても気になった貴方は、少女に話しかけてみた。

「…………」

しかし少女は、厳しい目つきで貴方を一睨みし、そのままの速度で歩き続ける。
少女の視線からは、明確な敵意のようなモノを貴方は感じ取った。


貴方は―――


1、めげずに話しかける
2、何も言わず追いかける

安価↓1


選択:2


少女が話しかけて欲しくないことを察した貴方は、何も言わずについて歩く。

貴方は改めて少女の姿をマジマジと見る。
肩にかからない程度の黒い髪。
全身を包み込むように羽織る古布。その下に軽装の革の鎧のようなモノを着こんでいる。
上げ底のかっちりとしたブーツに、手には手袋を嵌めてある。
そして、こんもりと膨らんだ大量の仮面が入っていると思われる袋。

その少女は、行きかう他の人々と比べて、異様なまでに露出の少ない格好だった。


太陽は人々の真上に鎮座している時間。
多くの人々がミッシュしている場所な子もあって、貴方は額に汗をかき始めていた。
しかし、少女はその息を乱すことも無く、汗をかいている様子も全くない。

何か、この少女は普通ではない気がする。
貴方がそんな事を思ったとき、少女は突然走り出しました。

不意をつかれた貴方は少女を追いかけますが、一瞬目を離しただけで、人ごみに紛れてしまったのか見失ってしまいます。
しかし、貴方は一つの仮面が地面に落ちていることに気が付きます。
恐らく、あの少女が落した物だろうと貴方は推測する。

今度あの少女を見かけたら返してあげよう。
貴方はそう思い、仮面を懐の中に仕舞いこみました。


誤字訂正

× 多くの人々がミッシュしている場所な子もあって
〇 多くの人々が密集している場所な事もあって


貴方は仮面を手に取ってマジマジと観察する。

材質は樹。
とても軽く、貴方の顔よりは少し小さく、顔が綺麗に隠せそうにない。
もしかしたら、子供用の大きさなのかもしれない。
そんな事を思いつく。


気がつけば、日が少しづつ落ちてきている。
キアを返さないといけない以上、夜にはもう一度図書館に行く必要があるでしょう。

貴方は周囲を見渡す。
少女を追いかけて歩いてきた貴方は、いつの間にか中心街から離れた場所に来ているようです。
これ以上中心街から外れると、アルフォードが言っていた『スラム街』という場所に足を踏み入れることになるでしょう。


貴方は―――


1、ベンチに座ってキアと話す。
2、お金を稼ぐ方法を探すを探す。
3、スラム街に行ってみる。
4、町を歩いているときに何度も見かけた、鎧を着こんでいる人に話しかける。
5、自由安価

安価↓1




選択:1


一日中市場を歩き回った貴方は、噴水近くに設営されたベンチに座り、腰を落ち着かせることにした。

こうして歩き回った中で、貴方が感じたことは、どれも自分とは馴染みの無い物。そんな感想だった。
食べ物や道具、どれもが自分とは縁のない物のように、貴方は感じた。

だからこそ、一つの現実に確信を持てる。
自分はこの世界の人間ではない。と。

このまま市場を巡ってみても、自分の見知った人物とは決して出会えないだろう。
やはり、最初に思い立ったように、この町から出てみるのもいいかもしれない。と貴方は思った。


「アスラさん。如何でしたか?この町を巡って?」

珍しく、キアの方から貴方に話しかけられる。
貴方は、人がたくさんいて少し疲れた。と正直に話した。

「そうですね、此処にはとても人が多い。ですが、争いとはとても遠い場所にある。私はそう思っています」

何故?と貴方は問いかける。

「この場所には多くの人とモノが流れ着きます。ですが、この町には『人種』の差別がありません。『獣人』であろうと『エルフ』であろうと、アスラさんのような異国人であっても、ナキ様のような人ならざるものであっても、等しくこの町の一部として受け入れられるのです。それは、平和である証ではないか?と私は考えます」

貴方はキアの語りに大きく頷く。
確かに、一日中この町を歩いていて、貴方は奇異の目が向けられるようなことが無かった事を思い出す。
そして、明らかに普通の人間じゃない人も、自然にこの町に溶け込んでいたことも。


キアの言う通り、この町は平和そのものなのかもしれない。

「他の町では、そうではないのですか?」

「はい。この国は異色の国です。あらゆる文化、可能性、力を受け入れます。そんな国は、この世界のどこを探しても此処だけでしょう」

「そうなんですね」

そう聞くと、自分はとても幸運だったのだろうと貴方は思う。


もう少し、キアと話してみよう。

会話安価
安価↓1


選択:仮面について


貴方は拾った仮面について、キアに聞いてみた。

「この仮面が、どうかしましたか?」

「落し物だと思うんですけど、何に使う仮面なのかなと思いまして。」

「調べてみます」

キアがそう言うと、時計が光りを放つ。
暫くして光が収まると

「顔を隠すために用いられる道具。子供用の玩具のようです。何も特別なものは感じられません」

「この町で、仮面は特別な道具だったりしますか?」

「いえ、そのような文化は聞き及んでいません。仮面は、顔を隠す道具です」

どうやら、貴方が思う仮面と何ら変わりはないようだ。


「よろしければ、落とし主を探すことも出来るかもしれません」

「そんなことができるのですか?」

「はい。私は、『案内』の領域を扱うことができますから」

「領域を扱う?」

「簡潔に説明するのならば、この世界だと『魔法』が近いかもしれません」

「近いということは、魔法とは違うんですね」

「はい。私は悪魔ですので」

「えっ!?」

突然の告白に、貴方は目が点になる。
貴方のイメージにある悪魔の像と、目の前にある時計のイメージがどうしても結びつかない。

「キアという悪魔、ご存知ありませんか?」

貴方は首を振る。

「…どうやら、アスラさんは私の居た世界とも違う住人のようですね。………ところで、落とし主の追跡を致しますか?」


貴方は―――


1、お願いする
2、遠慮して、もう少しキアと話す。

安価↓1


選択:1


折角なので、陽が落ちる前に返してあげよう。
そう思った貴方は、キアに案内をお願いした。

「では、案内いたします」

キアに指示された通りに、貴方は歩き続ける。

しかし、奇妙なことに歩けば歩くほど、人通りが少なくなっていく。
そして遂には、周囲に殆ど人の居ない、薄暗い路地に入ろうとしていた。

「……この先はスラム街です。この先に進むことを、私は推奨いたしません。それでも進みますか?」

貴方は―――


1、進む
2、やめておく

安価↓1



選択:2


貴方は忠告に従い、その先には行かないことにした。

「その落とし主は、どうやらスラムの人間のようですね」

どうやらそうらしい。
しかし、そこで一つの疑問が貴方に浮かぶ。

ファンの言葉では、スラムには金も仕事も無い人が住んでいる、と言った口ぶりだったが、あの少女はあんなにも大量の仮面を買っていた。
あの量の仮面の使い道にも気になるが、それ以上に、そんなお金が何処にあるのだろう?というのも気になってくる。
今にして思えば、あの少女は何か怪しい所が多い。

そんな事を思いながら、貴方は来た道を帰ることにした。



日が暮れはじめる。

貴方は、疲れもあるが、それ以上に空腹を感じ始めてきた。
考えてみれば、貴方は今朝から一度も食事をしていないことに気が付いた。

「宿が無いのでしたら、図書館に戻ることを推奨します」

キアもそう言っている。


貴方はこれからどうしようか?


1、図書館に帰る。
2、宿を探す
3、自由安価

安価↓1


選択:3


気が付いてしまった以上、どうしても気になって仕方が無くなる。
貴方は、何をするよりもまず、この空腹をどうにかしようと飯屋を探すことにした。



コンマ判定

1-3  酒屋
4-6  民家
7-9  謎の行列
0    ???

直下コンマ


コンマ判定:3、酒場


貴方は匂いに釣られ、一件の店に入る。
見せに入ると、いの一番にその煩さに、貴方は顔を顰めた。

多くの人々が酒を煽り、歓談を楽しんでいる。

どうやらここは酒場のようだ。

貴方は人の流れに押されて、いつの間にかカウンター席に座らされてしまった。

「ご注文は?」

店主と思われる親父が、ぶっきらぼうに貴方に問いかける。
メニューのようなモノは無いらしく、貴方は困って周囲を見渡す。

「……初めてかい?分かんねーなら食えないものだけ言え。適当に出してやる」

それならば、と貴方は何でも食べられます。といって注文を終えた。

そのすぐ後で、ハッと気づく。
自分が無一文だということに。


暫くして、注文した料理が運ばれてきた。
肉料理を中心に、様々な料理と酒が立ち並ぶ。

貴方は自分がしようとしていることの不義理さを感じながらも、匂いに堪え切れず、料理を口にした。
そこから先は、もう手が止まる暇がなかった。

「…フッ、いい喰いっぷりだねぇ」

親父さん濡れしそうな笑顔に、かなりの罪悪感を覚えながらも、貴方はその手を止めることは無かった。


料理を全て食べ終え、酒を飲みながら貴方は漸く落ち着いて考え始める。
代金をどうしよう?と。

このままでは完全に無銭飲食。この国の法律は知らないが、通貨という概念がある以上、何らかの罰は確実だろうと予想できる。
気付かれずに逃げ出すことも不可能ではないかもしれないが……その後の生活を考えると、あまりいい手ではないように思う。

これを機に、仕事をさせてもらうという手も考えたが、身分証明の出来ない自分が働かせてもらえるだろうか?という不満も残る。

さて、どうしようか?そう考えていた時、一際大きな男たちの声が聞こえた。
頭を抱えて崩れ落ちている男と、いやらしい笑みを浮かべて紙幣を懐に仕舞いこむ男。
ギャンブル……だろうか?


貴方は―――


行動安価
安価↓1


選択:事情を説明して、交渉


貴方は一先ず店主の親父と話すことにした。

「料理、とても美味しかったです」

「そうかい。……兄ちゃん、異国の人だろ?口に合ったようで一安心だ」

「ここはいつも、こんなに繁盛してるんですか?」

「ああ、おかげさんでな」

「人手が足りなかったり、しませんか?」

「いやぁ、まあ…ボチボチだな」

「そうですか。私、ここに来たばかりで、働き口を探してたんですよね。例えばこんな、いい雰囲気の酒場とか」

貴方は店主の様子を窺う。
お金がないことを伝えれば、何があるか分からないと思い、なるべくただの異国の人として振る舞ってみた。

店主は貴方をジッと厳しい眼で見る。


コンマ判定
5以上で成功
隻腕 -2

直下コンマ


コンマ判定:6 失敗


「……生憎、間に合ってるんでね」

店主は素っ気なく、そう言った。
店主の目は、明らかに貴方の左腕に向けられていた。やはり、隻腕というのは、こういう時に不利らしい。

「兄ちゃん、もしや金がねーんじゃないよな?」

貴方は強く首を振って否定する。

「そうか、ならいいがな。……もし何か大道芸でもできるなら、あっちのステージで好きにやってくれて構わねーぜ」

大道芸。
残念ながら、貴方は人に見せられるような特技があるのかどうかすらよく分からない。
何か、自分に出来るのだろうか?

働くのが難しい以上、どうにかしてお金を手に入れないといけないが、どうしようか?

貴方は―――


1、大道芸をしてみることにした
2、ギャンブルに混ざることにした
3、キアに意見を仰いだ
4、自由安価

安価↓1


選択:1


何としてでもお金を手に入れなければならない。
出来るか分からなくても、やるしかない。

貴方は意を決してステージに向かうが、

「待ってくださいアスラさん!何か芸があるのですか?」

珍しくキアの声が慌てているように聞える。
何も無いが、やるしかない。そう言うと、貴方はズンズンとステージに向かう。

ざわざわとした喧騒が、ステージに向かう貴方に少しずつ視線が集まっている。

ステージの上には楽器と机と椅子。
自分が持つ道具は、サイコロと仮面。借り物の時計。

心もとない用意だが、それでも貴方は堂々とステージに立った。


コンマ判定
4以上で………

直下コンマ


コンマ判定:2 散々な結果



一先ず楽器に手を掛ける。
見たことも無い楽器だが、何とかなるだろうと適当に鍵盤のようなモノを押し込んだ瞬間。耳障りな高音が店内に響き渡る。

一瞬、騒がしかった酒場が静まり返る。
だが、それはほんの一瞬だけで、凄まじい大ブーイングの嵐が貴方を襲う。

「何のつもりだテメー!!」

「とっとと降りろクソッたれが!!」

これでもかと罵声が飛びかい、食器や料理なんかが飛んでくる。
貴方は慌てて酒場から飛び出した。


意図せずして酒場から出てしまった貴方は、どうしようかと逡巡する。
しかし、再び店の中に入る方がこのまま立ち去るよりも遥かに危険だと感じた貴方は、心の中で謝りながらその場を立ち去ることにした。



「漸く戻りましたか、アスラさん。それで、何か記憶の手掛かりはありましたか?」

図書館に戻り、アルフォードに今日あったことを聞かれたので、貴方は正直に全てを話した。
当然ながら、無銭飲食してしまったことを盛大に怒られてしまった。

「まったく貴方という人は何をしてるんですか………と、言いたいところですが、私もお金ぐらい渡してあげるべきでしたかね」

「少しだけ、お金を恵んであげますから。明日には謝罪に向かってくださいね」

そうして、アルフォードは幾らかの紙幣と金貨を手渡される。
大分痛い目を見てしまったが、お金が手に入ったので無駄ではなかったのかもしれない。と貴方は能天気にもそんな事を思っていた。


「宿も見つかってないでしょうから、今日はここに泊って行っても構いませんよ。また、騒ぎを起こされても迷惑ですからね」

そうして、貴方は小さな部屋に案内された。
どうやら読書をする個室らしく、机と椅子があるだけだ。

アルフォードは一枚の毛布を貴方に手渡すと

「言っておきますけど、本には勝手に触れないようお願いします。もし破損でもあれば、死罪ですので。それでは」

そう言い残して、司書の部屋に戻っていった。


貴方は一人残され、考える。
自分の記憶の手掛かりの一つも手に入れられず、今日一日を過ごしてしまった。
分かったことといえば、自分はこの世界の住人ではなく、この町に知り合いは恐らくいないだろうという現実。
もし、これからどこかに行くのならば、もっと中心街から離れた場所に行ってみる必要があるかもしれない。

しかし、何も得るモノがなかったわけでもない。
気になることは二つある。

一つはファンの言っていた事だ。
『この町は思っている以上に汚い』そんな事を言っていた。
しかし、キアはここはどこよりも平和で差別の無い場所だと言っていた。
二人の言葉は、どうにも上手く噛み合わないように思う。
自分の知らないことを多く知っていそうな彼の事を、探してみてもいいかもしれない。

もう一つは仮面を買っていた少女の事。
それほど気にし過ぎることではないかもしれないが、彼女がスラムの住人という点は少し気になる。
アルフォードやキアからは近づかない方が良いと言っていたが、記憶の為にはどんな場所にも行ってみるべきだと貴方は感じる。

そんな考え事をしながら、貴方は唯一の所持品であるサイコロを掌の上で転がしていた。
指の上を滑らせたり、跳ねさせたり、自由自在にサイコロを扱える。
手先はそれなりに器用だと思うが、どうやら音楽の才能は無かったらしい。


さて、まだ眠るには少し早いだろう。

貴方は―――



1、アルフォードと話す
2、キアと話す
3、外に出てみる
4、アルフォードに許可をとって本を読ませてもらう
5、自由安価

安価↓1


選択:3


貴方は何となく外に出てみることにした。
大きく息を吸い込み、大きく息を吐く。

外の空気はとても澄んでいる。
この町を一望できるこの図書館からの眺めは、貴方にとってとても新鮮だった。

家々の明かりが夜の闇を明るく照らしているが、昼間と違いとても静かだった。
人通りも目に見えて少なくなり、子供が出歩いている姿は一切見受けられない。

酒を飲んで浮ついた気分なこともあって、貴方はフラフラと町を歩いてみることにした。



イベント判定

1-3  何かにぶつかる
4-6  見覚えのある仮面
7-9  見覚えのある男
0    ???

直下コンマ


コンマ判定:4


何者かとすれ違う。
暗い闇の中、黒いローブのようなモノを身に纏っていたその者と、危うくぶつかりそうになって体を捻る。
そのすれ違う瞬間、気になる物を眼にする。

それは、仮面だった。

貴方が持っている仮面とは違うが、何故か見覚えがあった。
貴方はすぐに、あの少女が買って行った仮面の一つに似ていることに気が付いた。

あのすれ違った人物が、あの少女なのかもしれない。
もしあの少女ならば、仮面を返してあげた方が良いだろう。


貴方は―――


1、仮面の人を追いかけた。
2、仮面の人に話しかけた。

安価↓1


選択:1


貴方は仮面の人を追いかける。
少し走ると直ぐに追いつき、貴方は引き止めるため、その人物の肩に手を置いた。

その瞬間、『ぐりん』とあらぬ方向に首が捻じ曲がる。
完全に180度真後ろを向き、仮面の顔が此方を向いている。

貴方はその異様な光景にぎょっとし、思わず一歩下がる。

ひゅん

と、風切り音が鳴る。
仮面の人が貴方に向けて振るわれた腕には、夜闇に煌く刃が見える。

明確な敵意。

貴方は思わず冷汗をかく。
攻撃される理由は分からない。どうやら目の前の人からはどうにも、昼間に見た少女と同じ人物ではないような気がしてならなかった。
しかし、確かな敵意と殺意を持って、貴方に向けて刃が振るわれた。

右手を喉に当てると、何かが付着している。
見て見るとそれは――血だった。
真っ赤な血。

あの一瞬、ほんの少し一歩引くのが遅れていたら、今頃貴方は生きていなかったかもしれない。


コンマ判定
4以上、またはゾロ目で……

直下コンマ


如何にも人が居らっしゃらないようなので、今日の更新はここまでです。


遅くまでお付き合いいただきありがとうございました。
コンマは直下採用です



それでは、そろそろ再開です。


コンマ判定:2  失敗



自分の血を見た時、何か感じるような事もあった気がするが、貴方は雑念を振り払い目の前の相手に集中する。

どうする?
何をするのが正解なのだろう?

助けを呼んで誰かが来るのか?
それとも逃げるべきか?
和平交渉ができるようには思えない。そもそも会話が成り立つのか?

様々な疑問が貴方の脳裏をよぎる。

選択肢は無数にあるように思える。
しかし、この一瞬で取れる選択肢は一つだけだ。


貴方は―――


1、撃退の構えをとった
2、背を向けて逃げ出した。
3、大声をあげて助けを呼んだ。
4、会話を試みた。
5、自由安価

安価↓1


選択:2


貴方は警戒を解かずに向き合いながら、じりじりと距離をとる。
相手も貴方の出方を窺っているようだ。

貴方はこれを好機と受け取り、背を向けて一目散に走りだした。

先手は取ったものの、背後からは追ってきている気配がある。
幸い、相手はそれほど速くない。このままいけば、十分逃げ切れそうだ。
しかし、貴方はここの地理に明るくない。長く逃げ続ければ自ずと追い詰められてしまうだろう。


逃走判定
5以上で成功

直下コンマ


コンマ判定:6



貴方はガムシャラに走りながら、出来る限り角を曲がって追ってを撒く。

一体どれほど走ったことだろうか?
一度呼吸を整えるために適当な建物の陰に座り込む。

周囲の足音に集中してみるが、どうやら走っているような足音は聞こえない。
恐らく撒けたのだろう。

貴方は安堵の息を吐く。

暫く息を整えて体を休めながら、周囲を見渡す。

この場所は―――


コンマ判定

1-3  中心街と比べてとても汚い
4-6  豪奢な屋敷
7-9  清潔でとても静かな建物
0又はゾロ目 人物判定

直下コンマ


コンマ判定:3


中心街と比べてとても汚く、殆ど明かりの無い場所だった。
貴方はここがスラム街なのではないか?という予想にすぐに行きつく。

周囲に人の気配はあるが、貴方に関心は向けられていない。
貴方の姿から、同じスラムの人間だと思われているのかもしれない。
幸い、貴方自身盗まれて困るような財産は持ち合わせていない。

図書館に帰ろうかとも思ったが、またあの仮面の人と出くわさないとも限らない。
一日中歩き回った疲れもある。
貴方は、今日ここで一夜を明かすことに決めた。

毛布も何もない、冷たい石壁に背中を預け、貴方は夜風に晒されながら目を閉じた。




一日終了


???判定
7以上、またはゾロ目で……

直下コンマ


コンマ判定:5  異変に気付かない



一日終わりの夢判定
初回なので強制成功です。

夢に出てくるキーワード(寒い、赤い部屋、『またね』という言葉。等々…)

安価↓3までをMIX

大人しそうな少女


>>198-200選択


そこは、酷く寒い場所だった。
辺り一面、何処まで見渡しても真っ白な雪景色。
深々と降り積もる雪が、痕跡を消し、音を内へと押し込める。

物言わぬ少女が私の服を掴んでいる。
真っ白な少女の肌は、寒さで赤らんでいる。
寒さに震え、足を動かす事すら困難を要する雪の世界で、私を手繰り寄せる手だけは強く意思を感じさせた。

音が遮断された世界で、一つだけ耳に響く声があった。

幼い赤子の声だった。
おぎゃあおぎゃあと泣きじゃくり、自らの命をあらん限りに叫んでいた。


そんな世界で私は、ただ立って居た。


ジクジクと痛む左肩には、真っ赤な体液がへばりついている。
背中には、熱く燃えるような新鮮な痛みが、私の存在を証明していた。

私は両の手を伸ばす、泣きじゃくる赤子に向けて――――



目を覚ます。
鼻を衝く悪臭、ジメジメとした嫌な空気。
貴方は、自分が居た場所を思い出しながら体を起こす。

全身が硬く凝り固まり、関節が痛む。

貴方は顔を顰めながら、体をほぐすようにゆっくりと深呼吸を交えて体操をし始めた。

その時、貴方をじっと見ている人影に気付いた。
その人物は―――


1、退廃的な雰囲気を纏った褐色肌の青年
2、呆れた顔の糸目の男
3、厳しい目つきの黒い外套の少女
4、安価で人物像を決める

安価↓1


選択:3


厳しい目つきで貴方を見つめる少女が一人。
黒い外套を着ているその少女は、よくよく見て見るとあの仮面を買って行った少女だということに気付く。

二人の間に会話は無く、気まずい空気が続く。


「貴方『はぐれ』?それとも、ただの放浪者?」


少女は突然貴方に問いかける。

貴方は言葉に詰まる。
『はぐれ』とは確か、何らかの外的要因で契約者を失ってしまい、導師が居なくなってしまった契約者の事だっただろうか?
放浪者といえば、そうなのかもしれないが。

貴方は何と答えよう?


会話安価
安価↓1

記憶を失っているから、『はぐれ』か放浪者か分からない。少なくとも導師みたいな人物とは会っていない。


>>205選択


記憶を失っているから、『はぐれ』か放浪者か分からない。と説明する。
貴方の言葉に、少女は一層険しく眉間にしわを寄せる。

「記憶がない?貴方が契約者なら、導師はどうしたの?」

そのような人物とは会ったことが無い。
そう伝えると、少女は少し考え込むような仕草を見せる。

暫く考え込んだ後、

「……貴方が契約者なら、『契約の印』がある筈。それを見せて」

『契約の印』?
聞いたことの無い言葉だ。アルフォードから説明を受けていない。
だが、もしかしたら体のどこかにその印があるのかもしれない。そう思った貴方は、おもむろに服を脱ぐ。

どこだろうか?貴方は全身を弄りその印とやらを探す。

「もういい。分かったわ。貴方は嘘をついていない。」

貴方は少女の言葉に驚き、何故信用してくれたのか?と問う。

「……『契約の印』なんてのは無いから。ただの嘘。貴方はこの世界について無知なことが分かった」

どうやら鎌をかけられたようだ。
少女は何も言わずに貴方に背を向ける。
その背中を見送っていると、少女は立ち止まり貴方に向き直る。


……どうやら、ついて来いと言っているようだ。
貴方は少女の後をついていくことにした。


貴方は少女について歩く。
しかし、何となくついてきたが、何処に向かっているのだろう?
貴方は気になって少女に問う。

「……貴方、このスラムの内情を聞いてきたわけではないの?」

貴方は頷く。

「………そう。ここは、寄る辺を失った者達が流れ着く場所。『はぐれ』達の巣……みたいなもの」

なるほど。と貴方は頷く。
だから、最初に『はぐれ』かどうか確認されたのか。と納得する。

「……着いた」

案内された場所は、潰れた酒場のようだった。

「入って」

そう促されるままに、貴方は中に足を踏み入れる。


コンマ判定

1-3  一人
4-6  3人
7-9  4人
0    5人

直下コンマ


コンマ判定:7  4人


一人は固定なので、残り3名を安価コンマで決めたいと思います。



一人目

種族安価

1、人間
2、亜人
3、怪物
4、魔法使い
5、悪魔
6、それ以外

安価↓3まででコンマの最大値


選択:3 怪物



種族に怪物が選ばれたので、二つ名を決めます。
『地獄の番犬』みたいな感じで、その怪物の通称であり、どのような存在かのイメージが伝わるのが望ましいですね。



二つ名
安価↓3まででコンマの最大値を採用

血染め大蛇

鉄翼グリフォン


同コンマなので再判定
偶数で>>215採用、奇数で>>217採用

直下コンマ



コンマ判定:奇数 『鉄翼グリフォン』



細かい設定を決めます


性別
1、男
2、女
3、不明

安価↓1


選択:1、男


『鉄翼グリフォン』の容姿
安価↓3までをMIX

黒縁めがね


>>223-225採用



【容姿】
黒縁眼鏡をかけた青年。
機械と生身が混ざり合った異形の体を持っている。
人のような形を保っているが、鳥のような羽毛を持つ獣人。
翼は機械仕掛けの鉄の翼であり、それ以外の体毛はもふもふの羽毛で覆われている。



性格や内情。来歴や好き嫌い等
安価↓3までをMIX

クソ真面目


>>227-229


【性格・来歴】
クソがつくほど真面目な性格。
機械の肉体をコンプレックスに思っており、触れられることを激しく嫌う。
良くも悪くも感情的になりやすい性格。
はぐれの契約者であり、スラムの住人。
自分が居た世界の事をよく思っていないのか、自らの過去について滅多に話すことは無い。




特殊能力について
機械の肉体が持つ能力の設定

安価↓3まででコンマの最大値を採用


イマイチ集まりが悪いようなのでコッチで考えときます!!



最後に名前を

安価↓1

ごめん>>233は無しで
ロア



>>234採用


一人目完成


名前:ロア
性別:男

【容姿】
黒縁眼鏡をかけた青年。
機械と生身が混ざり合った異形の体を持っている。
人のような形を保っているが、鳥のような羽毛を持つ獣人。
翼は機械仕掛けの鉄の翼であり、それ以外の体毛はもふもふの羽毛で覆われている。

【性格・来歴】
クソがつくほど真面目な性格。
機械の肉体をコンプレックスに思っており、触れられることを激しく嫌う。
良くも悪くも感情的になりやすい性格。
はぐれの契約者であり、スラムの住人。
自分が居た世界の事をよく思っていないのか、自らの過去について滅多に話すことは無い。



二人目です

種族安価

1、人間
2、亜人
3、怪物
4、魔法使い
5、悪魔
6、吸血鬼
7、それ以外(自由安価)

安価↓3まででコンマの最大値


選択:6  吸血鬼


性別

1、男
2、女
3、不明

安価↓1


選択:2



吸血鬼さんの容姿
安価↓3までをMIX

銀髪縦ロール


>>244-245採用


【容姿】
銀髪縦ロールの吸血鬼の少女。
とても小柄で華奢な体格。
人前で顔を晒すのが苦手で、顔をヴェールなどで覆っていることが多い。ヴェールをめくられると手で隠す。



性格や内情。来歴や好き嫌い等
安価↓3までをMIX

常にオドオドとしていて気弱


>>248-250



【性格・来歴】
常におどおどしていて気弱な性格。
元々は吸血鬼の中でも高貴な身分のお嬢様だったが、跡継ぎに相応しくないと勘当された。
そのため自分に自信が無くなり、病的なまでに他人に気を遣う。
良く言えば純粋無垢であり、悪く言えば世間知らず。他人を信じやすく、騙されやすい。




瞳の色
安価↓1

エメラルドグリーン


>>252選択:エメラルドグリーン



最後に名前
安価↓1

エマ



>>254採用



二人目完成


名前:エマ
性別:女性

【容姿】
銀髪縦ロールの吸血鬼の少女。エメラルドグリーンの魔眼を持つ。
とても小柄で華奢な体格。
人前で顔を晒すのが苦手で、顔をヴェールなどで覆っていることが多い。ヴェールをめくられると手で隠す。

【性格・来歴】
常におどおどしていて気弱な性格。
元々は吸血鬼の中でも高貴な身分のお嬢様だったが、跡継ぎに相応しくないと勘当された。
そのため自分に自信が無くなり、病的なまでに他人に気を遣う。
良く言えば純粋無垢であり、悪く言えば世間知らず。他人を信じやすく、騙されやすい。


【特殊能力】

『解放の魔眼』
吸血鬼だけが持つ特殊な力。
視線の先のモノを解き放つ力を持つ。



3人目はコンマでサクッと決めます



種族判定

1、人間
2、亜人
3、怪物
4、魔法使い
5、人間(特殊)
6、悪魔
7、英雄
8、悪魔(強)
9、0 二桁目のコンマ参照

直下コンマ



コンマ判定:2 亜人



キャラクターの選択

1、魔を従える怨念  
2、与えられた生命  
3、虹色の少女   
4、記憶を無くした少年

5、戦いに憑りつかれた鬼   
6、罪に染められしエルフ   
7、信念の魔術師



安価↓3まででコンマの最大値採用


選択:4  記憶をなくした少年



名前:コウラ・キョウジ(香良 恭二)
性別:男


【容姿】
髪の色は赤に近い茶。瞳の色はブルー。
中肉中背で、これといった特徴の無い容姿。

【性格・来歴】
活動的な性格で、人を観察するのが趣味。
自分に関する記憶が殆どなく、名前しか思い出せない。
異世界から来た人間であり、日本という国で暮らしていた。この世界に来る際に、記憶を無くしてしまったと主張する。
時折、人が変わったようになる時がある。


【特殊能力】

『鏡写しの異能』
他人の特殊能力をそっくりそのままコピーする能力
鏡が無ければ使用できない



少女に促されるままに足を踏み入れたその場所には、4人の男女が集まっていた。

一目で普通の人間ではないと分かる、鳥の羽毛のようなモノを蓄えた青年。
錆びれた場所に似合わない、上品なドレスを着て、顔を隠している少女。
この辺りでは見ないような服を着た少年。
溌剌とした雰囲気の金髪の少女。

「おかえりなさい、マスク。……その男の人は?」

「さっき拾った。多分、はぐれ」

「そう、なら敵ではないわね。いいわ、人はいくら居ても足りないくらいだもの」

溌剌とした少女が此方に近づいてくる。
『マスク』というのが、この隣りに居る少女の名前なのだろう。

「スラムへようこそ、私は『メイ』。此処に居るはぐれ達の……そうね、リーダーみたいなものよ」

友好的な態度に戸惑いながらも、貴方はこちらこそと軽く挨拶を交わす。



ちょっと半端ですが、今日の更新はここまでです。


お付き合いいただきありがとうございました。


そろそろ再開します。
少々お待ちいただく間に、公開し忘れていたプロフィールを公開します。




名前:リメロン・アスバール
性別:女性
属性:秩序・善
所属:秩序(図書館騎士)



【容姿】
身長は167cm
白いメッシュの入った長めの黒髪をポニーテールにしている
左目が黒、右目が白色のオッドアイ。かなり豊満な胸を持つ


【性格・来歴】
年齢は20歳。
非常に元気で前向きな性格であり、後先考えず行動することが多い。
13歳の時に『ナキ』と契約を結んだ。両親はおらず、血の繋がっている家族もいない。
弱気を助け、悪しきを挫く生粋の善人。
18歳の時、騎士学校を次席で卒業し晴れて図書館騎士となる。
座学こそ主席に一歩及ばなかったが、その実力は折り紙付き。歴代最強の図書館騎士との呼び声高い。


名前:ロイヤル・アルフォード
性別:男性
属性:中立・善
所属:中立(図書館司書)


【容姿】
身長は156cm
艶のある少し長めの黒髪、瞳の色は紫。
よく眉を顰めているため、キツイ性格だと思われがち。


【性格・来歴】
年齢は14歳。
非常に生真面目で、規則に厳しい性格。
だらしのない人間が苦手であり、周りの人のマイペースさに胃を痛めている。
他者と積極的に関わらない事なかれ主義ではあるが、なんだかんだお節介焼きな一面もある。
由緒ある司書家系の出であり、司書としては異例の若さ。
好きなものは紅茶とケーキ
嫌いなものは辛い食べ物


【特殊能力】

『司書権限』
図書館司書としての権能。
森羅万象、あらゆる知識を有している。


名前:キア
性別:女
種族:悪魔
属性:秩序・善



【容姿】
身長は179cm
淡い若草色の髪、美しい金色の瞳が印象的。
表情に乏しく、冷たい機械的な雰囲気を持つ。
契約により肉体の核を懐中時計に縛られているが、実体として姿を現すことも出来る。


【性格・来歴】
理知的で機械的な性格。
情熱を善しとせず、合理を愛する。
道筋を指し示す悪魔。
悪魔の中でも飛びぬけて理性的かつ、人間にも友好的。
秩序を愛し、規律を愛する悪魔の中でも変わり者。


【特殊能力】

『領域:案内』
悪魔特有の能力。
案内の領域を扱い、尋ね人を目的の場所まで送り届ける。
あるいは、最善の道を見つける能力。



「貴方もこのスラムの噂を聞いてここにやってきたの?」

メイの質問に、貴方は首を振る。

「あら、偶然ここに流れ着いたのかしら?なら運が良かったわね。ちょっと汚いかもしれないけど、外よりだいぶ生きやすいわ。貴方みたいな『はぐれ』は特にね」

外よりだいぶ生きやすいとは、どういう事だろうか?

「……その様子だと、あまりこの世界の事を知らないみたいね」

「それ、記憶喪失だって言ってた」

「えっ?そうなの?変な縁もあったモノね。あっちに居るキョウジって奴も、記憶喪失なのよね」

そう言ってメイが指さす先には、これといった特徴の無い茶髪の青年。
貴方と目が合い、にこやかに手を振っている。

「まあ、皆の紹介はおいおいね。先にご飯にしましょう。貴方もお腹空いてるわよね?」

何故か仲間としていつの間にか受け入れられていることに不安を感じ、貴方は弁解をしようと口を開く。

「なにかしら?聞きたい事でもあるの?悪いけど、ご飯作りながら聞くわね」

講堂に口を挟む暇もなく、貴方は朝食の用意をし始めているメイに質問を投げかけた。



質問
安価↓4まで(この投下から10分で質問を締切り)

なぜはぐれが出るのか

君たちも『はぐれ』なのか


>>273
「理由はそれこそ色々ね。だけどパターンは概ね二つね」

「一つは導師が未熟で契約が不完全だったパターン。契約そのものが正しく結ばれてなかったり、導師の適応力不足で異世界から契約者を呼んだ時点で導師が死亡してしまうケースもあるわ」

「もう一つは、契約者が導師を殺してしまうというパターン。これはそのままね。同志との不仲が原因だったり、不服な契約だった場合に起こる」

「貴方達『はぐれ』の契約者は、一人で生きていくのは難しいな。導師とは契約者を縛る枷であると同時に、契約者を守る檻でもあるの。枷も檻も無い未知の力を持つ生き物なんて、どう思われるかは分かるわよね?」


>>274
「ああ~……そうね。貴方を連れてきたマスクも、さっき紹介したキョウジも、さっきから興味津々で貴方を見てるエマも、さっき火を起こしてくれてたロアも、皆導師を失った契約者『はぐれ』よ」

「他にもたくさんいるんだけど、まともに動ける奴らってなるとこの数名」

「私?私は……まあいいじゃない。此処に居るスラムの住人のリーダー兼保護者って感じね」




ちょっと短かったかなと思ったので、質問延長します。
安価↓2まで(この投下から8分で締切り)

「はぐれ」が経験を積むには


>>276
「経験を積む?ってイマイチ何が言いたいのか分からないわね」

「人を集めて、モノを集めて、情報を集めて、やることはいくらでもあるから、それが経験になるっていうならそうなのかしらね」

「は?RPG的な?敵を倒す?言ってる意味がよく分からないわ。そりゃあ何とかしてほしい敵はいくらでも居るけど、貴方…荒事とか出来るの?全然そうは見えなかったわ」



料理ができたようで、綺麗に手入れされたテーブルの上に食事が並ぶ。
その卓を、貴方を含めて6人で囲む。

「それじゃあ、いただきましょうか。新しい仲間を祝して今日は豪華に…って言いたかったけど、物資にも限りがあってね。大したもてなしも出来なくてごめんなさい」

やはり、自然と仲間として扱われていることに、貴方は異を唱える。
まだここにずっといると決めたわけではない、と。

「……貴方、そうは言っても、ここ以上に安全な場所なんてそうないわよ?この町に居るのは、何も知らない馬鹿な市民と、私腹を肥やすことしか頭にない貴族と、知識欲に狂った研究者共だけよ」

「悪いこと言わないから、此処に居た方が良いわよ。………まあ、どうしてもっていうなら好きにすればいいけど」

怪訝な顔でそう言われたが、貴方は気にせずそうさせてもらう。と返事を返した。


「ああそうだった。まだ自己紹介してもらってなかったわね。」

貴方は『アスラ』と名乗り、それ以外に紹介できることが無いと語った。

「アスラね、改めてよろしく。私はメイ、貴方を連れてきたのがマスク。ちょっと無口だけど、ただ口下手なだけだから許してあげて」

貴方はマスクを一瞥すると、マスクは何も言わずに黙々と食事をとっている。


「それで一度紹介したけど、あの大した特徴も無い男がキョウジ」

「ちょ、その言い方は酷くないか?ああ……改めて、俺はコウラ・キョウジ。アンタと同じ記憶をなくしたはぐれだよ。お互い、仲良くしようぜ」

友好的な態度の少年に、貴方はこちらこそ。と当たり障りのない返事を返す。


「で、そこで顔隠してるお嬢様はエマ」

「あ、その……エマです。えと……こんな時、何て言えばいいのかしら……ごめんなさい…」

「エマはちょっと会話が苦手だけど、とってもいい子よ。程々に優しくしてあげて」

貴方はエマに顔を向けると、エマはサッと手で顔を隠し、下を向く。
貴方は首を傾げながらも、よろしく、と一言だけ返した。


「最後に、そこでむっつりした顔で座ってるのがロア」

「…ロアだ。言いたいことは何となく分かる。だが、あまり気にしないでくれ。俺も、好き好んでこんな姿なわけではない」

ロアと呼ばれた青年は、確かにとても特異な姿をしている。顔は人に見えるが、体は鳥のような羽毛に覆われ、鉄でできた翼をその背中に携えている。
よくよく見て見ると、その体の至る所に、鉄でできたような機械的な部分が見え隠れしている。
先程から食事を取っていないことにも関係しているのだろうか?

「ロアはちょっと気難しいところもあるけど、エマと同じくらいいい子よ。程々の距離感で接してあげて」

貴方は、軽く頭を下げる。
すると、ロアも軽く頭を下げ返してくれた。
なるほど、どうやらメイの言っていたことは本当なようだ、と感心する。


「気のせいか、俺だけいい子だって言われてないような…?」

「だってキョウジはいい子じゃ無いもの」

「ひでぇや……」

何となく、キョウジの役割も伝わってきた。
貴方は和やかな空気の中、有難く朝食を頂いた。



「じゃあ、私はちょっと行って来るわね。」

食事を終えてすぐ、メイは何処かに行ってしまった。

会話を回す役目が居なくなり、途端に静かな空間になってしまう。
特に親しい人が居るわけでもない貴方は、何処となく居心地の悪さを感じる。

これも何かの縁だろう、誰かと話してみようか?


貴方は―――



1、マスクに話しかけた
2、キョウジに話しかけた
3、エマに話しかけた
4、ロアに話しかけた
5、メイの後を追いかけた

安価↓


選択:3


視線の感じる方向に顔を向けると、エマがサッと顔を隠して視線を下げる。
背を向けると、再び視線を感じる。
もう一度顔を向けると、顔を背けられる。その繰り返し。

貴方はエマに近づく。

「あ、えっと…その………」

エマは困ったように言葉を詰まらせている。
貴方はどうしても気になり、彼女の顔を隠すヴェールをめくる。
ヴェールをめくると、彼女の両手が顔を覆っていた。どうにも、人に顔を見せるのが嫌らしいと貴方は悟る。

貴方はヴェールを戻してあげた。


「あの…エマに何かご用向きでしょうか?」

エマが、おどおどとした声色で貴方に話しかける。


会話安価
安価↓1

どうしてこのスラムにいるのか


>>283選択


エマという少女は、このスラムにおおよそ相応しくない格好に思う。
どちらかといえば上流階級、貴族を連想させるような服装と佇まい。
そのような少女が、何故こんな場所に居るのだろう?

「え、エマは…導師様に呼ばれた契約者でした」

「契約も正しく行われたのですが、エマの力を見せて欲しいと仰られたのでお見せした所、加減を誤って導師様を『解いて(ほどいて)』しまったのです……」

「本来なら導師が死んだ時点でエマは元の世界に送還されるはずだったんですが、契約も『解いて(といて)』しまったみたいで……帰れなくなってしまいまして…」

「途方に暮れていたところを、メイちゃんに拾って頂きました」

「で、ですのでこうして眼を隠しているのは、決して無礼ではなく、皆さまを見ないようにするためなのです!ど、どうか…変に思わないで下さい」

なるほど、と納得する。
奇妙に思っていた行動にも、意味はあったようだ。

貴方自身、自分が何をできるのか分かっていない。
どんな能力なのか分からないが、同じ異世界の住人、彼女の能力というのに少し興味が湧いた。


1、ちょっと見せてくれないかと提案する
2、どんな能力なのか聞く

安価↓1


選択:2


その能力とは、どんな能力なのだろうか?
貴方は気になって、エマに聞いてみる。

「エマの眼……『解放の魔眼』はその名の通り、見つめたモノを解放することができます」

「閉じた扉を開き、絡み合う糸を解き、繋がり合った手を放す。そのような力です」

「えと…上手く説明するのが難しいですが……『自由』に帰す力、といった方が伝わるかもしれません」

貴方の常識では測れない力であることは確かだが、何となくのイメージは湧いた。
かなり用途の広い能力なのだろうと、貴方は解釈する。

「た、確かアスラ様は…記憶が思い出せないとお聞きしました」

貴方は頷く。

「えと、差し出がましいかもしれませんが、私の魔眼で記憶を思い出すお手伝いができるかもしれません」

どういう事だろうか?

「アスラ様の記憶が、例えば…魔法であったり何らかの外的要因で閉じられていたり、何らかの力で蓋をされているのだとすれば、その蓋を強引に開けるかもしれません」

「……ちょっと危険かもしれませんが、如何でしょう?」


それは、思わぬ提案だった。
今まで解決の糸口すら見えない問題だったが、彼女の力があれば解決するかもしれないという。
危険かもしれないが、これは千載一遇のチャンスなのかもしれない。

貴方は―――


1、お願いした。
2、遠慮することにした

安価↓3まででコンマの最大値採用


選択:1


貴方はお願いしてみることにした。

「分かりました。では、肩の力を抜いて深呼吸してください」

貴方は言われた通りにリラックスし、深呼吸を繰り返す。

「では、落ち着いて…エマの目を見てくださいね。決して、眼を背けないでください。加減を誤るかもしれませんので」

意を決し、貴方は目を開く。
目線の先には、ヴェールをとったエマの顔が露わになっていた。
陶磁器のように白く美しい肌、西洋人形のように整った鼻立ち、そして宝石のようなエメラルドグリーンの瞳。

目が合った瞬間、貴方は何かがこみ上げてくるような奇妙な感覚に襲われる。
まるで何かが自分の体の中で暴れ回っているような、自分の中で何かが膨らんでいるような、体の中で風船が弾けるような………


コンマ判定
5以上で蓋が開く
ゾロ目で???
1で………

直下コンマ


コンマ判定:3 失敗


暫くして、奇妙な感覚が治まる。
エマがいそいそとヴェールを被り直しているのを見るあたり、どうやら終わったようだと察する。

貴方は自分の事を思い出そうとしてみるが、やはり何も思い出せない。
どういう事だろうと首を捻っていると、エマが困ったような口調で言う。

「あ、あの…試してみたのですが……どうにもおかしいのです」

おかしい、とは?

「……このようなことを聞くのは不躾かもしれません。ですが、決して無礼が目的ではなく、純粋な疑問とお受け取り下さい」


「アスラ様は、本当に記憶を失っていらっしゃるのですか?」


瞬間、空気がピシリと軋むような感覚があった。



貴方は動揺しながらも、どういう意味か、改めてエマに問う。

「えと…ですね、端的に申しますとアスラ様に魔法による呪縛や、何らかの要因で記憶に蓋がされているような事実はありませんでした」

「ですので、可能性が二つあるのです」

「一つは、記憶喪失というのが嘘の可能性です。ですがこれは…その、アスラ様を信じて違うと…思いたいです」

「もう一つというのが、『記憶そのものが無い』という可能性です」

記憶そのものが無い?

「はい。つまり…ですね、赤子に近い状態といいますか……本当にまっさらなのです。まるで『何も無い』のです」

「これは、確実な結果です。アスラ様は、記憶を思い出せないのではなく、『思い出す記憶がない』。そんな状態でした」

貴方は、ただでさえ曖昧だった自分が、更に希薄なものになっていくような感覚に陥る。
今エマに言われたことを、上手く現実として飲み込めない。

思い出す記憶がない。

それはつまり、どういう意味を差すのだろう?
自分に過去は無いということだろうか?
自分に生まれは無く、過去は無く、家族も無い。そういうことなのだろうか?

では何故?
何故、自分には異世界の常識があるのだろう?
何故、こんな姿なのだろう?
何故、サイコロを持っている?

何故、何故、なぜ…………


「おい。おーい!」

自問自答に飲み込まれそうになっていた時、誰かに肩を揺さぶられ現実に呼び戻される。

「大丈夫かアスラ?」

貴方を現実に呼び戻したのは、同じ記憶喪失の少年…キョウジだった。

「そう考えすぎんなよ。俺も同じだ。俺も……エマに同じことを言われた」

「そう、なのですか?」

「ああ、だから…よくあるバグなのかもしれないだろ?あんまり悪く考え過ぎるなよ」

「そういうモノなのでしょうか?私は……」

上手く消化できていない。
そんな簡単な言葉で、この心の靄を納得していいとは思えなかった。



「…俺はさ、この結果に一つの希望を持ってるんだ。……いや、ある種の確信だ」

「確信…ですか?」

「ああ。俺の記憶…アスラの記憶、或いは他の記憶を無くしたはぐれ達。そんな俺たちの、記憶を持ってる奴が居るんじゃないかって事さ」

「俺から、アンタから…記憶を奪った奴が居るっていう確信。俺にはそれがあるぜ」

そう言い切ったキョウジは、決して慰めや励ましでそう言ったのではないと、確かな意思が伝わってきた。

「不意に心がざわつくことがあるんだ。『此処に何かがある』ってさ。アスラさんは無かったか?」

貴方は力なく首を振る。
思い出す限り、そんな事は無かったように思う。

「じゃあまだ出会ってないだけかもな。多分、出会えると思うぜ。そしたらすぐに分かる。『コイツが何か知っている』そんな感覚がさ」

「そういうもの……なのでしょうか?」

「ああ、そういうもんさ。俺も初めてそう言われたときは怖かったよ。自分が何者か分からなくなって、頭がおかしくなりそうだった。だから、今のアスラの気持ちすっげーよく分かる」

キョウジは貴方に同情してくれているのだろう。
まだ、貴方自身納得できないことも多かったが、キョウジと話して多少は冷静になれた。
……同じ境遇の人が居るというのは、とても心強いことなのかもしれない。

貴方はキョウジに感謝を述べる。
キョウジは『いいってことよ』と爽やかな笑みを見せた。

貴方は初めて、ここに来たのは運命だったのかもしれない。そんな事を少しだけ思った。



そうこうしている内に、メイが此方に帰ってくる。
変わらぬ溌剌とした笑顔だったが、髪の毛は掻き毟られたように乱れ、服は皺になり汚れが増えているように見える。

「それじゃ、今日の仕事をみんなに伝えるけど……その前にアスラ。貴方これからどうするの?」

「別に何もしなくても此処に居ていいけど、ただ飯喰らいはちょっと困るから、仕事を探してもらうことになるわよ」

「それとも、私に言ったみたいに、ここに定住するつもりはない?」

「好きにしなさいと言いたいけど……こっちにも事情があってね、もしここを離れてどこかに行くことがあったとして、ここに帰ってくるのなら『必ず夜に来ること』それだけは絶対お願いね」

「それを破るようなら、此方も相応の考えがあるわ。いいわね?」

まるで幼い子供に言いつけるように、しっかりした口調でそう伝えられた。

貴方は―――



1、ここを離れて、まだ行っていない場所に行ってみる
2、ここで仕事を探す
3、自由安価

安価↓3まででコンマの最大値採用



選択:2


貴方はここで仕事を探すことにした。
此処にたどり着いたのはただの成り行きだったが、だからこそ運命的な出会いではないだろうかと思ったからだ。

『はぐれ』ではなく漂流者だが、似たような存在であることには変わりない。
それに、キョウジのような同じ境遇の仲間がいることが、貴方にとって励みになるような気がしたから。

「新参者で、何ができるか分かりませんが……どうか、よろしくお願いします」

「うん!働き手はいくらいても足りないくらいよ。とっても助かるわ!此方こそよろしくね、アスラ」

メイは嬉しそうな笑顔で、貴方の背中をバシバシと叩く。
その気安いスキンシップも、貴方にとっては新鮮で、悪い気持ではなかった。


「さて、それじゃあ仕事の話だけど……」

「あの、一つ聞きたいことがあるのですがいいでしょうか?」

「なにかしら?」

貴方はそこで、なんとなく聞いていなかった疑問を投げかける。

「メイさんは私たちのような『はぐれ』を集めているのには、理由があるんですか?」

メイは度々言っていた、人を集めている。人手が必要だ、と。
それはつまり、何かをするという目的があってのことだ。
その目的を訊ねていないことに、ふと気づいたのだ。

「そっか、まだ私たちが何者なのか説明してなかったわね」


「私たちは―――反社会主義『レジスタンス』よ」


「力と知識、あらゆる権力を欲しいがままにする上流階級、貴族階級に刃向かう牙」

「私たちは、『自由に生きる』権利の為に戦っているのよ」


メイは、ニヒルに笑いながら、ハッキリとそう言った。
社会に背く…秩序に背く存在である、と。

貴方はその頬に冷や汗をかく、もしかして自分は、軽はずみな決断を下してしまったのではないだろうかということに。


と言う所で、キリが良いので今回の更新はここまでです。
相変わらず書く速度が遅くて進みが悪いです。ごめんなさい。


しかし、どうしてこう記憶に繋がるコンマでことごとく失敗するのか。コンマ神に問い詰めてやりたいです。


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました。


更新再開します!
ちょっと短いかもしれません。


各人に仕事の説明をしているとき、マスクが突然こめかみを押さえて目を閉じた。
そしてすぐに、普段の平坦な声色と違い、焦ったような声で話し始める。

「今、監視から連絡が入った。蛇を連れた図書館騎士が真っ直ぐこっちに向かってるって…!」

その言葉を聞いた瞬間、明らかに空気が変わる。

「ど、どういうこと?何で今図書館騎士がこんなスラムに!?」

「分からない。でも、まるでこの拠点が分かってるみたいに真っ直ぐこっちに向かって来てる」

「いつどこで情報が……いえ、その事は後にしましょう。一先ず、人命最優先。私はガキ共を連れて地下に身を隠すわ。ロア、貴方も手伝って」

「了解だ」

「マスクとキョウジは出来るだけ時間を稼いで。でも、絶対に正面から戦っちゃ駄目よ。あくまで時間稼ぎ、危なくなったら直ぐに逃げなさい」

「分かった。マスク、準備するぞ。お前の能力を借りる」

マスクは軽く頷き、キョウジと共に何処かへと行ってしまった。

「エマ、貴女は…最後の砦よ。万が一図書館騎士をどうにかできる可能性があるとしたら、貴女しかいないわ。……辛いことを押し付けることになるわね」

「エマは大丈夫です。ですので、皆さんは早く非難を」


緊迫した状況ながら、貴方はその光景に感心してしまう。
唯一異質な力を感じさせていなかったメイが、テキパキと皆に指示を出している。
彼女がリーダーというのは、やはりそれ相応の理由があるらしい。

しかし、図書館騎士というのはそれほど恐ろしい者なのだろうか?
蛇を連れた図書館騎士と聞いて、貴方はあのリメロンの姿が頭に浮かぶ。
あの人懐っこい笑みを浮かべる心優しい騎士と、この周りの緊迫感とどうにも結びつかない。

此処に居る者たちも、決して善人ではないのだろうけど、悪人ではないように思う。
話し合えば、意外と何とかなりそうな気もするが……。


「アスラは……貴方、どんなことができるの?」

貴方は、分からない。と正直に答える。

「そうよね…貴方も私と来なさい。一緒に避難するわよ」

メイは貴方に背を向け、ついて来いと手振りをする。

貴方は―――


1、素直についていく
2、図書館騎士に会いに行く
3、自由安価

安価↓1


選択:2


「私は、少し考えがありますので、避難していてください」

「貴方、何言ってるの?図書館騎士なのよ!?」

「ええ、図書館騎士だからです。安心してください、何とかなると思いますから」

貴方はそう言い切ると、メイに背中を向ける。

「ちょっアスラ!?……ああ…もう!マスク!もしもの時はお願い!!」

「分かった。四肢を?いででも連れ帰る」

貴方の後ろで交わされた恐ろしい約束に、貴方は内心恐怖を覚えるが、それでもその歩みを止めることは無かった。
相手は図書館騎士、それがどんな人物か知っているからこそ、危険はないと確信していたからだ。


拠点の酒場から離れた場所で、貴方は図書館騎士を待ち構える。
近くの建物の屋上では、マスクが貴方の動向を見守っている。

程なくして、貴方の想像していた通りの図書館騎士、リメロンがその姿を見せた。

「ん?あ、居た!おーいアスラさーん!!」

貴方に向かって手を振るリメロンは、見間違いようも無く、貴方の知るリメロンであった。
貴方もリメロンに向かって手を振り返す。

「もう何してるんだよアスラさん!司書様が心配してたよ!」

その言葉で、貴方は図書館を抜け出して帰れなくなってしまったので此処で一晩過ごすことになったことを思い出す。

「キアさんが居なかったらどうなってたことか……」

なるほど、キアの『案内』の能力のおかげで貴方が何処に居るか判明したらしい。
そしてその口振りから、リメロンの目的は『レジスタンス』ではなく、貴方の捜索であることを確信する。

「まあとにかく、無事でよかったよ。早いとここんな所おさらばしよう。ここは、アスラさんが一人で居ていい場所じゃない」

リメロンは貴方に手を差し伸べる。
恐らく図書館に連れ帰るつもりだろう。

貴方は思考する。
レジスタンスに協力すると言った以上、あまりここで事を荒げるような事はしたくない。素直についていくのが最善であろうと考える。
しかしそうなると、夜までここに帰ってきてはいけないと釘を刺されているが……


1、リメロンについ行く。
2、事情を説明する。

安価↓1


選択:2


見ず知らずの、自分の事を説明すらできないような怪しい人物であろうと、最大限保護しようとしてくれていたリメロン。
そんな、弱者の味方をしてくれる彼女なら、此処の事を話してみてもいいかもしれない。
そう思った貴方は、事情を説明することにした。

「あの、リメロンさん」

「ん、なに?ああ立ち止まらないで、歩きながら聞くよ。どうやら大分見られてるみたいだしね」

「いえ、その見ている人たちの事なんですけど」

「え?知ってるの?」

「はい。彼女たちは―――」

そう口にした瞬間だった。
貴方は凄まじい力に引っ張られ、前のめりに倒れる。

キンッ

背後から、鉄と鉄がぶつかり合う音が響いた。
一拍のラグがあって、何かが地面に突き刺さる。
それは、ナイフだった。

「……大丈夫アスラさん?怪我はない?」

いつの間にか、リメロンは剣を抜いていた。
そこで貴方は漸く理解する。貴方はリメロンに守られたということに。


「やっぱり見られてた。ナキ、どうする?」

「誘い込まれたようだな。囲まれてるぞ」

「……アスラさん、走れる?」

貴方はリメロンから懐中時計を投げ渡される。

「それ、分かるよね?帰り道はキアさんが案内してくれるから。出来るだけ全速力で駆け抜けて…っ!」

再び、金属音が鳴る。
再び、ナイフが地面に突き刺さる。
貴方は感じた、そのナイフは貴方に向けられていたことに。

貴方は予想外の出来事に面食らってしまう。
何故ならそのナイフは、『マスク』が持っていたナイフと全く同じものだったからだ。

「私も出来るだけ引き付けるから、急いでっ!」

おっとりとした普段の雰囲気とは違い、緊迫した面持ちでリメロンは叫ぶ。

貴方は――――


1、逃げる。
2、皆を説得する。

安価↓1


選択:2


かなり短いですが、今回の更新はここまでです。
明日も、更新できない可能性が高いです。


一週間以上も音沙汰無くて本当にごめんなさい!!
纏まった時間が取れなくて、本当に申し訳なかったです…


お詫びとして貴方に一つスキルを贈呈したいと思います

1、【勝負師】   貴方は不利であればあるほどその闘志を燃やす。分の悪い勝負ほど有利な補正がつく。
2、【可能性】   貴方はあらゆる可能性に満ちている。初めて挑戦することに+2の補正を付与する。

3、【擬態】     貴方は何者でもないが故に。何かになりきるのが得意になります。 演じるだけであって、別のナニカになれるわけではない。
4、【看破】     貴方は洞察に優れ、人の真実を見抜く。他人が嘘をついているとき、それを察することができます。

安価↓1


選択:4、【看破】貴方は洞察に優れ、人の真実を見抜く。他人が嘘をついているとき、それを察することができます。


では、お久しぶりですが更新再開です!


貴方は立ち上がり、待ってくれと叫ぶ。

「ちょっ…何やってるの!?早く逃げてってば!!」

困惑するリメロンに、貴方は毅然とした態度で伝える。
自分に任せてくれ、と。

剣を構えるリメロンの手を下げさせ、貴方はナイフが飛んできたであろう方向に目を向ける。

「今すぐ攻撃をやめてください!彼女は図書館騎士ですが、皆さんに害成す人ではありません。一先ず話し合いませんか!」

すると、何者かが貴方の前に降り立つ。
黒い外套の厳しい表情の少女、マスクだった。
彼女の貴方に向ける目は、今までの冷たいだけの視線とは違い、明らかな敵意と殺意を孕んでいた。

「図書館騎士の犬が何を言っているの。最初からこの居場所を探るためにここに来たんでしょう?」

貴方はその発言に冷や汗をかく。
貴方がリメロンに事情を説明しようとしていたことを、そんな風に捉えられてしまったらしい。

貴方は―――


1、彼女は敵ではないとマスクを説得する。
2、そんなつもりはなかったと誤解を解く。
3、必ずしも争い合う必要があるのか?と話し合いを重要性を示す。
4、自由安価

安価↓1


選択:2


「それは誤解です。私もこんなつもりはなかったんです」

「じゃあ図書館騎士とはどういう関係?ただのはぐれが、図書館騎士と友達とでも?」

「……っ…そうです」

貴方は迷いながらも、肯定を口にした。
マスクは呆れたように首を振る。

「そんな戯言、信じられる?」

「…信じてもらう他ありません。私は一時的に彼女に保護して頂いて、その間にこの世界の事を少し学んだんです」

「図書館騎士が、どうしてはぐれを放っておくの?理に合っていない」

「それは……!」

貴方は口ごもる。
たった一つだけ語ることができる自分の事を。
自分ははぐれではなく、『漂流者』であるという話を。

この話をすれば、彼女を説得できる可能性があるかもしれないが、アルフォードに警告されたことでもある。
自身を漂流者であると明かすのはとても危険な行為だ、と。


貴方は―――


1、漂流者であることを明かす。
2、口を噤む。
3、誤魔化す。

安価↓1


選択:1


「…………実は、私は漂流者なんです」

「……!」

貴方の告白に、マスクは大きく目を開く。

「私はつい昨日、この世界に流れ着いたばかりなんです。その間に図書館騎士である彼女に保護され、図書館に案内されました」
「私は昨日の夜、偶然仮面をかぶった人に襲われ、偶然このスラムで一夜を明かすことにしたんです。だから、図書館騎士である彼女は、心配して私を探しに来てくれました」
「私は、何も知らなかったんです。貴方たちの事も、このスラムの実情も、この状況がどれだけ皆さんに不利益になるかも、何も知らなかったんです」

「これが私の全てです。これで、信じて頂けますか?」

意を決し、貴方は全てを告白した。
もうこれ以上、語る事のない自分の全てを吐き出した。


交渉判定
5以上で成功
交渉内容 +1
???  -2

直下コンマ


コンマ判定:4-1 失敗


沈黙。
何も言わず、マスクは貴方を真っ直ぐに見つめている。

貴方はその視線を真正面から受け止める。
嘘偽りなどない、自分の全てを曝け出した。
だからだろうか?毅然としたその態度に反し、貴方の体は震えていた。

もうこれ以上の手札は貴方には無かった。
これを信じて貰わなければ、貴方はもう何もないのだ。

マスクはゆっくりとした足取りで貴方に近づく。
そして、遂にその沈黙を解く。

「私は貴方を信じる」

貴方はその言葉に、深い安堵の息を吐く。

「貴方は嘘をついてない。私には分かる。その確信が持てた」

『良かった』貴方の口から、そんな言葉が漏れようとしていた。

「――――だから、殺しておかないと」

その言葉を遮るように、無慈悲の刃が貴方に振り下ろされる。


コンマ判定
4以下で……

直下コンマ


コンマ判定:5 正義の刃


完全に貴方の不意を打った無慈悲の刃は、間違いなく貴方の首に向けられて振り抜かれていた。
そして、間違いようも無く、振り抜かれたのだ。

血が噴き出る。
熱い命の体液が、貴方の体を濡らす。

しかし、その血は―――貴方のモノではなかった。

「間一髪、かな?」

貴方の眼前には、赤いマントを翻す正義の騎士がその剣を構えていた。

「ごめんね、私手加減とか苦手で。でも、人を殺そうって言うんだから、これくらい許してよね」

マスクは大きく後ろに飛びのき、リメロンから距離をとる。
ナイフが握られていたはずのその右手の付け根からは、真っ赤な血を噴出させていた。

下に目を向けると、ナイフの握られた少女の手が転がっている。

貴方は理解する。
目の前の二人の少女は、伊達や酔狂で刃を握っているわけではない。命を奪うためにその刃を握っているのだ、と。



「今、此処から立ち去れば貴方達を一先ず見逃してあげてもいいわ。これは図書館騎士としての、最後の慈悲。いえ……貴方“達”への、最後の警告よ」
「他にも見てる奴が居ることくらい分かってるから。お仲間の命を無駄に散らしたくないのなら、サッサと立ち去りなさい」

リメロンは数での不利を理解しておきながら、あくまで支配者としての立場を取る。
それは、圧倒的強者としての余裕の表れなのだろう。
彼女は恐らく、何人が相手であろうと勝利する自信が、負けないという自負があるのだ。

一方のマスクは、手首を切り落とされていながら、その表情を変えることは無い。
彼女が右腕を揺すると、『ずるり』と滑るように右腕が抜け落ちる。
そして、その腕が抜け落ちた肩から、新たな腕が生えてきたのだ。

「…そう、貴女も『はぐれ』って訳ね。それで、答えを聞かせて頂ける?」

返答は沈黙。
二人の少女は睨み合う。

一触即発の空気が、そこには出来上がっていた。




交渉は失敗だった。
説得に成功するどころか、状況をさらに悪化させてしまった。

理由は明瞭ではないが、マスクは貴方に対して殺意を向けている。
しかし、『貴方を信じる』と言っていたマスクの言葉に、嘘は混ざっていなかったように感じる。
ともすれば、貴方の語った言葉に、彼女にとって…ひいてはレジスタンスにとって不都合なことがあったのだろうと推察する。

リメロンは貴方を守ることを最優先に考えているようだ。
だからこそ、甘い条件でこの場を見逃すとマスク達に言った。
最も安全に、貴方をこの場所から遠ざけるために。


貴方は思考する。
この事態を招いてしまった自分はどうするべきなのか、を。

二人を止める?
どちらかに加勢する?
それとも、何もしないか?

いずれにせよ、貴方にどうにかできる範疇を、もうとっくに超えているかもしれない。

貴方は―――


1、行動安価
2、何もしない

安価↓1


選択:1


貴方は2人の間に割って入る。
剣を収めてください、と二人に伝える。

「……アスラさん、貴方状況を分かってる?その人たちとどんな関係なのか知らないけど、貴方を殺そうとしてるのよ?」

「分かってます。でも、それでもです。私はどちらにも戦いあって欲しくない。必ずしも、皆さんとリメロンさんは敵ではないと思うからです」

「そうは言っても、あっちがヤル気なわけだし……」

リメロンはマスクに目を向ける。
マスクから貴方に向けられた殺意は、一向に変わる様子はない。
これ以上一歩でもマスクに近づけば、間違いなくその殺意は形となって襲い掛かってくるだろう。

リメロンとマスクが戦えば、間違いなくリメロンが勝利するだろう。
そして、マスクは命を落とす事になるかもしれない。
だからこそ、貴方は2人が戦うことを止めさせたかったのだ。

例え殺意を向けられようと、貴方はマスクを仲間だと思っていた。



交渉判定
5以上で成功
時間稼ぎ +2

直下コンマ


コンマ判定:7+2 成功


「そちらの要求を飲むわ」

張り詰めていた空気に、凛とした声が通り抜ける。
強い意志を感じさせるその声の主は、メイだった。

メイはマスクの肩に手を置き、下がらせる。
然しもの彼女も、メイには逆らえないようで、素直にナイフを懐に収める。

「私達はこの場を立ち去る。貴女を見てる部下も下がらせるわ。貴女を追ったりしないと約束する。だから貴女も、私達を無傷で見逃すと約束して」

「……ええ、分かったわ。図書館騎士の名に誓って」

そうして、リメロンも剣を収める。

正に、鶴の一声といった光景だった。
彼女の言葉で、一触即発の空気を払しょくし、事を治めたのだ。
貴方は思わず感心してしまう。メイ、彼女からは一種のカリスマ性を感じられた。まるで、支配者然としたカリスマ性を。

メイは去る前に貴方にそっと近寄り、耳元に口を寄せ

「また夜に」

と貴方だけに聞こえるような小さな声でそう囁き、去って行った。


「ナキ、視線感じる?」

「……どうやら本当に退かせたようだぞ」

「そう。……はぁ…一先ずここを離れよっか。アスラさん、行くよ。私の傍を離れないでね」


貴方は、疲れた様子のリメロンを先頭に歩く。
その間に、貴方は説明しそびれたレジスタンスの事について説明をした。

「……ふぅん…レジスタンスねぇ。アスラさん、そんな危険な奴らの味方をするなんて言っちゃったの?」

貴方は頷く。
確かに、反社会主義というと聞こえは悪いが、貴方にはどうしても彼女たちが悪人だとは思えなかった。

「…まあ確かに、はぐれの扱いについては私も疑問に思う事はあったよ。彼らはあまりにも社会的に弱い立場だからね」
「はぐれはね、殆どの場合この国の宮殿に連行されるんだ。宮殿って言えば聞こえはいいけど、そこは王様お抱えの魔術師が集まった研究所。つまり、最先端の技術が集まった実験場。そこで行われることなんて…いくらでも想像がつく」
「そこに関してはね、私達貴族も賛否両論。こっちも一枚岩じゃないってワケ」

そう、リメロンはため息交じりにいう。
どうやら、一口に貴族階級といっても、複雑な事情があるらしい。

こういう話をする機会はそう滅多にないだろう、これを機に色々聞いてみてもいいかもしれない。


質問安価
1、リメロン個人として、レジスタンスをどう思うか
2、貴族階級について
3、リメロン個人として、現状の社会制度をどう思うか
4、自由安価

安価↓4まで

1

※大分時間たったので質問打ち切り



>>354
「そうだねぇ……貴族として、ちょっと責任感じるなー」

「弱者を守る存在であるはずの騎士なのに、本当の社会的弱者には剣を向けないといけないなんてね」

「なんとか救済の処置を…とは思うけど、私は貧乏貴族だし…政治的影響力は大したことないんだよね……」

「いくら私に力があっても、それを嵩に懸かるのは秩序に反する行為だし、難しいところ」

「……助けてあげたいとは思う。でも、この国の秩序を乱すつもりなら、相応の手段を取るつもりだよ」


スラム街を抜け、中心街に出る。

「うん。ここまでくれば安心かな。じゃあ私は図書館に戻るけど、アスラさんはどうするの?」

貴方はまだ決めていない、と答える。

「そっか。それじゃあ、教会に行ってみるといいと思うよ。まだ行ったことないんじゃない?」

貴方は頷く。

「アスラさんは、成り行きであの場所に身を置くことになったんだよね?だったら、知っておくべきだと思うよ」
「アスラさんはまだ世の中を知らなさすぎるからね。あの場所に行って、あの人達に会ってくれば、きっと今の考えも少しは変わると思う」

どういう意味だろうか?
貴方は首を傾げる。

「まあそれは…行けば分かると思うから。ってゆーか私図書館開けっぱにしてるから、そろそろ本当に帰らないと!じゃあね!!」

そう言い残すと、慌ただしくリメロンは去って行った。


貴方は考える。これからどうしようか、と。
リメロンに言われた通り、教会に向かってもいいかもしれない。


行動安価

1、教会に向かう
2、イベント判定
3、行動安価

安価↓1


選択:1、教会に向かう


今日の更新はここまでです。
お付き合いいただきありがとうございました。

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