コウイチ「君は僕に似ている」 (25)

アヤメ(リクたちを裏切って…私なりの罪滅ぼしを始めて、それなりに時間が経った。フォースの皆とはあれから一度も会っていない)

アヤメ(私は彼らを騙していた。気にするな、とリーダーのリクは言うけれど、簡単にはいかない。だから、フォースメンバーに限って、ログイン情報を見えないようにして、なるべく避けていた)

アヤメ(そう思っていたら、今度は私の大切な絆の証が返ってきた。あれを取り返してくれたのも、リクたちのようで――仲間たちの好意が、とてもとても嬉しかったし、会いたいと思った。でも、しばらく会っていないでいると、どんな風な顔をして会えばいいのか、分からなくなってしまった)

アヤメ(どうしようと悩み、迷っているうちに、またGBNに入ってしまった。リクたちに偶然出会う可能性だって、いくらでもあるのに)

アヤメ(なんて、実際には、ログイン時間はいつも深夜に絞っているから、リアルでは子供のリクたちに出くわすことはないだろうけれど)

アヤメ(……でも、本当は気付いていた。一人だけ、時間なんて関係ない人がいることに)

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深夜 GBN ロビー

アヤメ(私たちの、返ってきた絆の証を見てから、コージーたちとは結局別れた。でも、今度はすっきりと、はっきりと別れることができた。…前とは違う。私には、待ってくれる仲間がいる)

アヤメ(リク、ユッキー、モモ、サラ、コウイチ…皆、私の大切な、新しい仲間だ)

アヤメ(だから彼らのところに戻ろう、と決めたはいいけど…いざ戻るとなると、どんな顔をすればいいんだろう)

アヤメ(いろいろなことがあったし、彼らとはしばらく会っていない。どんな風に会って、何を話せばいいんだろう)

アヤメ(考えても結論の出ない疑問に、ずっと迷っている)

アヤメ(……少し考えよう。どこか、静かなところで――)




深夜 コウイチの家

コウイチ(……あの後、リクくんたちと少し話してから、どうやって帰ったかも分からないまま、気付けば僕は家にいた)

コウイチ(リクくんには何度も謝った。彼にとって世界でただ一つの、彼だけのガンプラを失わせてしまったのは、僕の昔からの友達だった)

コウイチ(リクくんは気にしないで、と言ってくれたし、また新しく相棒を作り直すから大丈夫、と言ってくれたけれど、それでも、申し訳ない気持ちでいっぱいだった)

コウイチ(罪滅ぼしに、彼の改修作業は絶対に出来る限り手伝おう、と決めたけれど、それが決まってからは、今度は自分のことについて考えていた)

コウイチ(シバ・ツカサ…僕と一緒に、GPDでたくさん遊んだ、大切な僕の友達。GBNが始まってから、姿を消していた、あいつ)

コウイチ(まさか、あいつだったなんて、思っていなかった。GBNを無茶苦茶にするために、いろんな人に迷惑をかけていたのが、あいつだったなんて)

コウイチ(正直、まだ信じられない。ツカサと楽しくガンプラバトルをしていたあの頃を思うと、信じたくなかった。あんなに、ガンプラが大好きだったあいつが、同じようにガンプラを好きな人たちを苦しめてるなんて)

コウイチ「……どうすれば、いいんだ」ハァ

コウイチ(口から出てくるのはため息ばかりで。いい考えなんて浮かばない。ただ、頭の中で、ショックだった情報だけが駆け巡って、消えて。また浮かんだ)

コウイチ(……ダメだ。何もまとまらない。どこか、別のところで考えたら――)

コウイチ(目に留まったのは、GBNの家庭用筐体。まさしく現実逃避かもしれないけれど、それでもいい。GBNで――あいつが壊そうとしてるモノの中で、少し落ち着こう)




GBN 草原フィールド

アヤメ「……」

アヤメ(深夜のGBNは、思ったより人がいる。たぶん、社会人が多いんだろう。そんな中でも、私がいるこの草原は、広いGBNの中でも、人の来ない穴場だ)

アヤメ(人が来ない分、静かで…気楽だ。昔、ソロで遊んでいたときや『仕事』をしていたときに、たまに来て、考え事をするためだったり、ただぼうっとするために、ここに静寂と安静を求めていた)

アヤメ(……さて、どうしようか。明日から、またフォースに戻るとして。まず、何を言えばいいんだろう。『ありがとう』、『ごめんなさい』…言うべき言葉がいくつも浮かぶ)

アヤメ(第一声には、どれも正しい気がする。でも、しっくりと来ないような気もする。何を言うべきだろうか)

アヤメ(こんな問いには答えなんて人それぞれで、正しいものなんてないだろう。結局は、自分の中で納得のいく言葉が大事なのかもしれない)

アヤメ(私は、どうしたい? 仲間たちに、まず何を伝えたい? ……まず、そこからね――)




コウイチ(……気晴らしになればと思って、ログインしてみたけど……ランク上げも、アヤメくんのために皆でやってる家具探しも、ガンプラバトルの練習も、何もする気になれないな…)

コウイチ(ツカサ、ブレイクデカール…GBN、GPD……いろんなことが思い浮かぶけど、整理はつかないままだ)

コウイチ(整理がつかない理由をロビーにたくさんいた人たちの活気のせいにして、僕は適当に静かそうな草原のフィールドに出た)

コウイチ(前からそうだったけれど、GBNはいつでも賑やかだ。いろんな人たちが、一同に集まって、楽しくガンプラバトルをしたり、語ったり、遊んでいる)

コウイチ(こんなにも眩しいくらいに明るい、楽しい場所を、あいつは――)

コウイチ(急激に、久しぶりに見たツカサの顔が浮かんで、ロビーで楽しく笑ってた人たちの顔も浮かんできた。楽しそうにガンプラで遊ぶ人たちの笑顔と違って、ツカサは、険しく、怒っているようでいて、悲しみに歪んだ顔をしていた)

コウイチ(あんなにガンプラバトルを一緒に楽しく遊んでいたはずの、あいつが。行き場のない怒りを表情に浮かべて、涙を流していた)

コウイチ(本当は分かってるんだ。GBNを壊してたってどうしようもないことが。だから、泣いてたんだと思う。自分のしてることの虚しさに)

コウイチ「……はぁ」

コウイチ(それが分かったからなんだっていうんだ。僕に何ができる? ツカサに、偉そうに、ガンプラが好きだったときの気持ちを思い出せなんて言って。結局、僕の言葉にあいつは立ち止まってくれなかった)

コウイチ(きっと、ブレイクデカールが止まっても、ツカサは何か新しい手段に訴えるに違いない。そのとき、僕はどうする? 何ができるんだ?)

コウイチ(……答えの出ない問いが、頭の中でぐるぐると渦巻く中、草原の中を歩き続けて、僕は気付けば大きく開けた場所に出た。いつの間にかゲーム内の時間が大きく変わって、晴れやかだった空も暗くなって。太陽の代わりに大きな月が出ていた)

コウイチ(本当に本物みたいだ……。ん? 向こうに誰かいる……?)

アヤメ「……」

コウイチ(! …あの忍者風のアバター…見間違えようがない、よな?)ジッ

アヤメ「……? っ!」ハッ

コウイチ「あ、アヤメくん!」

アヤメ「……っ」ダダッ

コウイチ(いきなり逃げた!?)ガーン!

コウイチ「ちょ、ちょっと待って! …ぐえっ!?」ドテン

アヤメ「! ……っ、ちょっと、大丈夫?」タタッ

コウイチ「ご、ごめん。…大丈夫、立てるから」

アヤメ「……ゲームで転ぶかしらね、普通」

コウイチ「は、はは…つい、ね」

アヤメ「………その、久しぶりね」

コウイチ「うん。…久しぶり」

アヤメ「…リクたちは、どうかしら?」

コウイチ「……ええと、元気にしてるよ。皆、アヤメくんを待ってる」

アヤメ「……そう」

コウイチ「うん。…アヤメくんは?」

アヤメ「…まぁ、それなりよ。こんなところに一人でどうしたの?」

コウイチ「アヤメくんこそ」

アヤメ「私は…ここが気に入ってるのよ。静かだし、周りには何もないから」

コウイチ「そっか…確かに、考え事にはいいかもね。僕も、そう思ってた」

アヤメ「? あなたも、考え事?」

コウイチ「まぁ、ね。いろいろあってさ」

アヤメ「……そう。それじゃあ、お互いに考え事の邪魔してもよくないし、私は――」

コウイチ「あっ、待って! アヤメくん」

アヤメ「……何か?」

コウイチ「…その、ちょっとだけ、話さないかな、って。こうして会うのは久しぶりだし。…いろいろと、話したいことがあるんだ」

アヤメ「……分かったわ。それじゃあ、あっちに小さな丘があるの。そこで話しましょうか」

コウイチ「うん。ありがとう」




アヤメ「――それで、話したいことって?」

コウイチ「うん。…その、君に謝りたくて」

アヤメ「謝る? どうしてあなたが?」

コウイチ「……ブレイクデカールを作って、君の大切なガンプラを奪った男は…僕の、友達なんだ」

アヤメ「え……」

コウイチ「前に、言ったよね? 昔はGPDをやってたって。そのときに一緒に遊んでたやつの一人が、今回の事件の黒幕で、GBNの皆に、いろいろと迷惑をかけてきたやつなんだ」

アヤメ「……」

コウイチ「僕は君と黒幕…ツカサのことを知らなかった。だけど、謝りたい。僕の友達がしたことは、とてもひどいことだから。アヤメくんを利用して、傷つけてしまった」

コウイチ「……だから、すまない、アヤメくん」

アヤメ「……謝ることなんて、ないわ。選んだのは私だし、あなたは知らなかったんだもの」

コウイチ「いや、僕が謝りたいだけなんだ。迷惑かもしれないけど」

アヤメ「そう…さっき言ってた考え事って、そのこと?」

コウイチ「まぁ、ね。……正直、戸惑ってるんだ。ずっと一緒にガンプラバトルを楽しんできた仲間のことだから。どうすればいいのか、分からなくて」

アヤメ「……そう」

コウイチ「……あいつは、ツカサは…GPDが、ガンプラバトルのことが大好きだった。その気持ちは、今も変わらないって、そう思いたいけど」

アヤメ「……あなたは、どうなの?」

コウイチ「え?」

アヤメ「あの男…ツカサみたいに、GPDにこだわっていないの?」

コウイチ「……こだわってない、って言うと、ちょっとだけ嘘かもね」

アヤメ「そうなの?」

コウイチ「僕の使ってるガンプラ、知ってるよね?」

アヤメ「ガルバルディリベイク、でしょう?」

コウイチ「うん。昔から、大好きな機体だったんだ。ガルバルディは、初めてモデラーとして入賞したときのガンプラだし」

コウイチ「でも、それだけじゃない。GPDでも、僕はガルバルディを使ってた。仲間と楽しく遊んだ、思い出の詰まったガンプラなんだ」

アヤメ「思い出の、ガンプラ……」

コウイチ「そして、リベイク。僕は、このガンプラを、このGBNの中で作る新しい思い出の象徴のつもりで作ったんだ。けれど、それはある意味じゃ、昔のことを完全に忘れきれてないことの象徴なのかもしれない」

アヤメ「それは…」

コウイチ「ツカサと話してから、少しだけ思ったんだ。もしかしたら、僕も間違えたら、ツカサみたいにブレイクデカールを広めていたかもしれない。そうしたら、僕も色んな人たちを苦しませたのかもしれないって」

アヤメ「でも、あなたはそんなことしてないわ」

コウイチ「うん。だから、仮定の話だよ。ツカサの気持ち、僕には分からないわけじゃないんだ。…皆いなくなって、置いていかれたから」

アヤメ「……私の話、リクから聞いたのよね?」

コウイチ「……うん、一応」

アヤメ「私は、GPDはやってなかったから、あなたたちの気持ち、正確には分からないけれど、置いていかれる気持ちなら、分かるわ。ついこの前まで、楽しく誰かと一緒だったはずなのに、誰もいない、一人の世界」

コウイチ「…うん、寂しくて、悲しいよね」

アヤメ「彼も、あなたも、私も、きっと同じ気持ちだったんだわ。一人じゃなくて、皆で一緒に、ガンプラバトルを楽しみたい、って」

コウイチ「そう、だね。皆、ガンプラバトルが、大好きなんだ。GBNもGPDも、関係なく。……だけど、ツカサは、過去にこだわって、今も戦おうとしてる」

アヤメ「……彼は、私と同じなのかもしれないわ。私も、昔のことにこだわって、ずっと戦ってきた」

コウイチ「そこが、僕とツカサの違うところなんだ。…僕は一度逃げ出した。諦めた。忘れてしまえ、って」

アヤメ「でも、今あなたはここにいる」

コウイチ「うん。……教えてもらったんだ。自分が、どうしようもないくらいガンプラが大好きで、もう一度、遊びたいって」

アヤメ「リクのおかげ、ね」フッ

コウイチ「うん、その通りだよ。…リクくんのまっすぐさが、羨ましいよ。僕には、あんな風に誰かに響くような言葉を伝えられない。ツカサも、結局僕の言葉を聞いてくれなかった」

アヤメ「……彼は、もうGBNへの攻撃を止めると思う?」

コウイチ「…きっと、止めないだろうね。また、何かしてくると思う」

アヤメ「もしも…もしも、そうなったら、あなたはどうするの?」

コウイチ「分からない……分からないんだ。あいつが間違ってるって、そう思う。けれど、どうすればあいつを止められるんだろう。僕に、諦めて逃げた僕に、何ができるんだ、って。ずっと考えてるけれど、分からない」

アヤメ「……諦めたのは、昔のあなたでしょう」

コウイチ「え?」

アヤメ「今のあなたは、ここに――GBNにいる。大好きなガンプラバトルをしたいから。GPDのことを受け入れて、新しく出発してる。そうでしょう?」

コウイチ「それは……」

アヤメ「コウイチ、あなたは、楽しい? GBNが…ガンプラバトルが」

コウイチ「その質問…前に聞いたね、アヤメくんに」

アヤメ「そうよ。あのとき、あなたに聞かれて、私は正直答えに困ったわ。仲間と、昔みたいに楽しく遊びたかった。でも、そのために汚いことをたくさんしてきた。それで本当に、私はGBNを楽しめているのか、って」

コウイチ「アヤメくん…」

アヤメ「でも、今なら。きっと、今なら、あの質問にちゃんと答えられるわ。…私、GBNが楽しい。ビルドダイバーズの皆と、もっとガンプラバトルを楽しみたい、って」

コウイチ「そうか…よかったよ。その答えが聞けて」

アヤメ「あなたは?」

コウイチ「……楽しいよ。ここには、たくさんの人たちがいて、皆、ガンプラバトルが大好きなんだ。かつての、僕やツカサみたいに」

アヤメ「そう…。それなら、その気持ちを教えてあげればいいんじゃないかしら」

コウイチ「え?」

アヤメ「過去にこだわって大事なことを見失ったら、何も先に進まない。私は、それをリクに教えてもらったわ。あなたと同じように。私もあなたも、それで変わった。あなたの変化を知れば、きっと、彼も、同じように変われるわ」

コウイチ「……そう、かな」

アヤメ「あなたにとって、昔からの大切な友達なんでしょう? 私より、あなたのほうが、それが正しいか分かるんじゃないかしら?」

コウイチ「……」



ツカサ『いいぞ、コウイチ! その調子だ!』

コウイチ『ツカサも、フォローサンキュー!』

ツカサ『やるぞ…もうすぐ全国大会だ! 俺たちで優勝するぞ!』

コウイチ『うん!』

コウイチ「……ツカサは、ガンプラが大好きだった。たくさんの思い出を、GPDで僕や仲間と一緒に作ってきた。だからこそ、前に進めない。過去に立ち止まってる」

コウイチ「きっと、怖いんだ。過去のことがなんでもなかったことみたいになって。イヤなんだ。大好きだと思ったことが、消えてしまうことが。僕も、そうだったから」

アヤメ「コウイチ……」



リク『――俺、GPDに残ってたバトルの映像見て、思ったんだ。この人たちは絶対ガンプラが好きで、ガンプラバトルが大好きなんだって。きっと今の俺たちみたいに。今でもガンプラ作ってるってことは、好きな証拠だと思うから。だから、その気持ちを元に戻したいって思ったんだ』



コウイチ「…でも、僕は知ってる。教えてもらったんだ。過去のことは消えたりなんかしない。大事な思い出として残ってる。だから、前に進める」

コウイチ「また同じことをしようとしたら、ツカサに、伝えてみるよ。過去にこだわり続けるんじゃなくて、それがくれた大切な思い出と一緒に前に進むこと。自分が悲しい思いをしたからって、それと同じ思いを人にさせることなんかないんだ。それじゃ、自分の好きを、悲しいものにしてしまうから」

アヤメ「……それでも、止まってくれなかったら?」

コウイチ「……あいつが止まってくれなかったら、このガルバルディと――思い出のガンプラと一緒にあいつを、うん、僕はツカサを助けたい。友達だから」

コウイチ「きっと、そうするべきなんだ。あいつの気持ちが一番分かってやれるのは、僕なんだから。…何で、こんな簡単なことに、僕は気付けなかったんだろう。ありがとう、アヤメくん」

アヤメ「お礼なんて言われるようなことはしてないわ。ただ、思ったことを言ってみただけ」

コウイチ「それでも、ありがとう。…不思議だな、さっきまでずっと悩んでたのに、今は、すっきりしてる」

アヤメ「誰かと話すだけで、変わるものよ。…私も、そうだった」

コウイチ「そっか……その通りだね。僕には、仲間がいる。リクくん、ユッキーくん、モモちゃん、サラちゃん、アヤメくん。迷ったら、皆に相談すればいいんだ」

アヤメ「ええ。…コウイチ、何か、できることがあれば、言ってちょうだい。リクや私たちに。…前に言ってたでしょう? 私たちは仲間だって。私は、結局抱え込んで何も言わなかったけれど、でも、今なら分かるわ。誰かに何か話すだけでも、全然違うんだって」

コウイチ「うん、ありがとう、アヤメくん」

アヤメ「お礼なんていいわ。あなたたち、ビルドダイバーズの仲間たちには、たくさん助けられたから。今度は私が助けたいの」

コウイチ「そっか。それなら、頼りにさせてもらうよ。仲間として」

アヤメ「ええ…任せて」フフッ

コウイチ「」ニコリ

コウイチ「……あ、そろそろ寝なきゃ。リクくん、壊れた自分のガンプラを作り直すって言ってたから、いろいろと用意してみようと思ってるんだ」

アヤメ「そうなの……リクにも、お礼を言わなくちゃ」

コウイチ「そう思うなら、フォースに戻っておいでよ。皆、アヤメくんのことを待ってるんだから」

アヤメ「……そうしようとは思ってるの。ただ…」

コウイチ「ただ?」

アヤメ「どんな顔して、なんて言って会いに行けばいいのか、分からなくて。皆には助けてもらったし、迷惑もかけたし…」

コウイチ「……アヤメくん。さっき言ったこと、忘れたの?」

アヤメ「え?」

コウイチ「僕たち仲間なんだよ? お礼もお詫びも、いらないんじゃないかな? 仲間って助け合うものだし、迷惑だなんて、きっと皆思ってなんかいないよ。だって、アヤメくんのことが、えっと…皆、その、好き、だから」

アヤメ「……あなた、言ってて恥ずかしくないの?」

コウイチ「…聞かないでくれると助かるんだけど」

アヤメ「……ふふっ」

コウイチ「わ、笑わないでよ……ははっ」

アヤメ「……そうね。私、仲間ってものがどういうものか、忘れていたみたい」

コウイチ「大丈夫だよ。これから、また思い出せるんだから」

アヤメ「ええ。そうよね、その通りだわ。……私、明日、フォースに戻る」

コウイチ「うん。皆で、待ってるよ」

アヤメ「……ありがとう、コウイチ」

コウイチ「ううん。……こちらこそ、ありがとう、アヤメくん。君と仲間になれて、僕はよかった」

アヤメ「…ええ、こちらこそ。また明日」

コウイチ「うん、また明日」




コウイチの家

『ログアウトしました』

コウイチ「……ふぅ、結構、長いこと入ってたなぁ」

コウイチ(でも、おかげですっきりした。アヤメくんと話したおかげで、自分のしたいことが、はっきりとした)

コウイチ(僕はもう、迷わない。ツカサを絶対に止めてみせる。それが、あいつの友達として、僕にできることだから)



『ログアウトしました』

アヤメ「……もう、こんな時間か」

アヤメ(長いこと迷っていたけれど、でも、答えが出た。彼と…コウイチと話したおかげで、私が皆に会って何をまず言うのか、ということが)

アヤメ(大切な仲間たちのところへ帰って、優しい彼らが私を迎えてくれたときに言ってくれるであろう『おかえり』に対して言うべき、言葉――『ただいま』を)

アヤメ(そうしたら、今度は私が、彼らのためにできることをしよう。もう私は、迷わない。これから、仲間と一緒に楽しくガンプラバトルをするために、力を尽くそう)



コウイチ『……こちらこそ、ありがとう、アヤメくん。君と仲間になれて、僕はよかった』



アヤメ「……私も、あなたと仲間になれてよかったわ、コウイチ」




ツカサ「……」



コウイチ『お前はどうなんだ、ツカサ! 感じたんじゃないのか!? リクくんとのGPデュエルで! あの頃の、俺たちの気持ち! もう一度! 大好きだって気持ち! ツカサッ!!』



ツカサ(…コウイチ、お前なら分かると、そう思っていたのに)

ツカサ(お前は、俺に似ているから。そう思っていたのに)

ツカサ(……ちくしょう、分かってるよ、どうしようもないことくらい。だけど、今さらどうしろってんだ。大好きだからこそ、帰ってきてほしいんだよ、GPDに。俺たちの、大切な思い出に)



リク『ガンプラが…ガンプラバトルが好きで、皆で笑顔になりたくて、始めたことじゃないですか。あなたがガンプラバトル大好きだって、分かります。でも、だからこそ、俺たちの好きまで否定するのは、ガンプラを好きだという気持ちで、誰かを傷つけるのは、これで最後にしてください…!』



ツカサ「…ちくしょう……っ!」

『友達』

ユッキー「……」ムスッ

リク「あのう、ユッキー、さん?」

ユッキー「…何? りっくん」

リク「なんか、怒ってる?」

ユッキー「へぇー…なんでそう思うの?」

リク「いや、さっきからずっと不機嫌そうな顔してるから…」

ユッキー「りっくん」

リク「は、はい!」

ユッキー「僕はとっても怒ってるよ。…僕やモモカちゃんに何も言わないで、一人で勝手に動いて。いくらアヤメさんのためだからって、相談くらい、してくれてもよかったじゃないか」

リク「……ごめん、ユッキー」

ユッキー「僕ら、友達だよね、りっくん。何か困ったことがあったら言ってよ。そうじゃなきゃ、意味ないじゃないか」

リク「ごめん! この通り、ふかーく反省してるから。今度何かあったら、絶対、絶対、相談するから!」

ユッキー「……仕方ないなぁ、りっくんは」

リク「! ユッキー、許してくれる?」

ユッキー「もう、こんなことにならないようにするって、誓う?」

リク「もちろん! もしまた同じことしたら…ええと、そうだな」

ユッキー「僕、PGのユニコーンが欲しいな。LEDユニットもつけて」

リク「うえええっ!? ユッキー、いくらなんでもそれは…っていうか、それなら俺、エクシアの方が……」

ユッキー「冗談だよ、もう。…信じてるからね、りっくん」

リク「……うん! 大丈夫だよ!」ニコリ

ユッキー「」ニコリ

リク「……あ、そうだ! 次のガンプラのことで相談したいんだけどさ……」

ユッキー「お、なになに! 聞かせてよ!」



モモカ「もう仲直りしちゃった」フフッ

ナナミ「あはは、男の子ねぇ」

今後の展開はどうなるのかとか知ったこっちゃなく好き放題に書いてみました
私GBN嫌い! さんとコウイチさんのくだりでとりあえず先週の不満は消え去った
GPDが一番なんですけど! さんはできればコウイチさんに止めてほしいなぁ… 読んでくれた人がいたらどうもありがとう

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