ロッチ中岡「UFO?……なに?」 (11)

とある喫茶店。男(中岡)がコーヒーを飲んでいる。熱そう。
カランコロン、と鐘の鳴る音。どうやら待ち合わせの相手(コカド)が来たらしい。


中岡「おーす」

コカド「あ、おったおった。おいっすいっすー」

軽快な挨拶と同時、隣に座るコカド。

中岡「何、久しぶりやん。突然会いたいとかなんやねん」

コカド「ごめんごめんw ちょっと気持ち悪かったな、あの文章な」

中岡「や、ええけどさ、で……どうしたん?お金いるの?」

コカド「いらんわ」

中岡「ん?」

コカド「いや、最近暇やってさ」

中岡「うん」

コカド「で、お前ともう3ヶ月くらい遊んでへんし、なにしてっかなと思ってさ」

中岡「ああ、なるほどな」コーヒーずずーっ

コカド「どう?最近」

中岡「ん?ぼちぼちよ」

コカド「ぼちぼち?どの辺が?」

中岡「あー……」

コカド「……おう」

中岡「全体的に?」

コカド「お、おう?全体的に?」

中岡「ぼちぼち」

コカド「……はー……そうですかぁー……」

中岡「……」


会話が続かない。ちょっとイラッとするコカド。


コカド「あ、ああー!そう言えば!」

中岡「おん?」

コカド「今日、何の日か知ってるか?」

中岡「え?」

コカド「今日、UFOの日やねんて!」

中岡「……は?」



※相変わらず書き溜めはありません
※店長さん弁当地上波放送記念

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コカド「え?」

中岡「ん?」

お互い見つめ合う。

中岡「UFO?……なに?」

コカド「やから、今日は世界的にUFOの日やってんて。ニュースでやってた」

中岡「……」

コカド「……中岡?」

中岡「いや、コカド。まず説明してくれ」

コカド「おう、分かった。今日は……」

中岡「ちゃう。その前段階や」

コカド「……前段階?」

中岡「UFOってなに?」

コカド「そこからぁ!!?」

中岡「なんでそんなびっくりしてんねん」

コカド「あっっっりえへんでそれ」

中岡「だからなんでそんなびっくりされなあかんねんって」

コカド「いや、いやいやいや、生きてたら一回は聞いたことあるやろ」

中岡「うーん?」

考え込む。数秒後、はっ、として。

中岡「あ、焼きそば?」

コカド「あるけども!それもUFOって言うけどあれは『うまい』『ふとい』『おいしい』でUFOや!」

中岡「それじゃないの?」

コカド「違う違う、UFOやUFO。知らん?」

中岡「焼きそばやないUFOは……知らんなぁ……」

コカド「マッッッジかお前」

大仰な溜息を吐くコカド。

中岡「そもそも何なん?なんかの名前?」

コカド「あー……そうやな、乗り物!乗り物や」

中岡「初乗り運賃いくら?」

コカド「ああ違う違う、そんな簡単に乗れるもんちゃうわ」

中岡「どこの駅行ったらみれる?」

コカド「駅にはおらんわ」

中岡「乗り物ちゃうやん!!」足で床ドン

コカド「!?」びくっ

中岡「だって駅におらんかって簡単に乗れんで初乗り運賃もそんな安ないんやったら、乗り物ちゃうやん!そんなんロケットやん!」

コカド「考えが飛躍しすぎやろ!なんで乗り物ちゃうかったらロケットになってん」

中岡「はぁー……分からんな……」

コカド「……知識ゼロの人間にUFOのこと教えるん難しいなこれ……」

中岡「なんか気になってきたから、コカド」

コカド「あん?」

中岡「俺にわかりやすーく、UFOが何か教えてくれ」

コカド「俺がぁ?」

中岡「おん」

コカド「自分で調べたらええやんか」

中岡「あかんねん、インターネットとかに書いてあること大体嘘やって近所のおっちゃんが言うてたし」

コカド「それを鵜呑みにするんは危険やと思うけどな」

中岡「顔と顔を合わせて、フェイス トゥ フェイスって言うんかな、見えてる人から教えてもらう情報を……」

コカド「なんでそんなインテリぶった横文字入れてきてんの?」

中岡「ええからコカド、お前がお前の言葉で、俺にUFOを……教えてくれ!」

コカド「えぇー……?」

頭を抱えてしまうコカド。あたふたとあちこち見回してから、諦めたようにふぅ、と息を吐く。

コカド「……あー、まずな、UFOはな、円盤みたいな形してんねん」

中岡「円盤?……えらい小さいな」

コカド「あー、違う違う、形は円盤やねん。けど、大きさはもっと大きい」

中岡「おっきいの?どんくらい?」

コカド「それはまだ分かってへんねん」

中岡「へ?なんで?」

コカド「本物のUFOは、見つかってないからな」

中岡「? ……それやったらUFOみんな知ってるのおかしくない?」

コカド「そうやろ?でぇ、ここからがUFOのおもろいところでぇ」

中岡「いやいや!おもんないわ」

コカド「なんで?」

中岡「見つかってへんのにみんな知ってるとかおかしいもん、全世界規模のドッキリやん」

コカド「考え過ぎやろ」

中岡「大体本物が見つかってへんのになんでお前もみんなもUFOを知ってんねん」

コカド「それはやな、UFOの目撃情報がたくさんあるからや」

中岡「目撃情報?」

コカド「おん。空飛ぶ円盤をみた!言うて」

中岡「そこで陸上競技やってたんじゃなくて?」

コカド「……その円盤は一回忘れよっか」

中岡「忘れんの?形は円盤だけど陸上の円盤じゃなくて、んで大きさも違うけど空飛ぶ円盤って呼ばれてて……」


無言で床を力強めに踏みしめる中岡。


コカド「それやめぇよ!びっくりするから!」

中岡「空飛ぶ円盤ってなんやねん、陸上やったら大体飛んでるし落ちるやろ」

コカド「その円盤は一回忘れて」

中岡「でも形は」

コカド「その円盤に似てる」

中岡「なんやねん既にややこしいわ」

コカド「多分世の中でお前だけやで、そこで躓いてるの」

中岡「そうかなぁ……」

コカド「ああ、そうやお前、UFOがなんでみんな知ってるもんやねん、って言うたやん」

中岡「『大体本物が見つかってへんのになんでお前もみんなもUFOを知ってんねん』や」

コカド「一字一句合わせんでええやろ!?」

中岡「まあええけど……そんで?」

コカド「あのな、UFOは、空飛んでるとこを写真に撮られたり、動画に収められたりしてんねん」

中岡「……でも本物は」

コカド「誰も見たことない」

中岡「矛盾!矛盾の固まり!」床ドン

コカド「それやめろ!お店に迷惑やから!」

中岡「そもそも乗り物やったっけ?誰が乗るの?そんなあるかどうかも分からん乗り物」

コカド「ああ?」

中岡「だって写真に映っただけやん、俺も乗れん乗り物やのに」

コカド「どんだけ乗りたいねん、つうか乗れへんと信用せんのか」

中岡「俺まだフェリーの存在も信用してへんからな」

コカド「乗ったこと無いんや……」

中岡「ない」

コカド「乗ったことないと信用せえへんのむずいな……」

中岡「ほんでUFOは誰が乗るん?」

コカド「いろいろ言われてるけど、一説には宇宙人が乗ってるって言われてるな」

中岡「……へー、そうなんやぁ」

コカド「……ええ!?」

中岡「いや、会うたことあるし……」

コカド「マジかお前」

中岡「多いと週2ぃ……くらいで会うよ?」

コカド「逆にすげぇわ!なんで!?どうやって!?」

中岡「その辺ふらーって歩いてるやんかぁ」

コカド「いやいやいやないないない!そっちの方がむしろないって!」

中岡「お前……」

立ち上がる中岡。


中岡「自分の肉眼で見たこともないものを無いって言い切るな!」


そのまま座る。

コカド「……なんで今の流れで俺怒られてんの……?」

中岡「そのー、UFOってのは宇宙人がな、まぁ宇宙人って言い方は大義では地球人を含んでしまうし間違ってるから、この場合は異星人やけど、つまり異星人が乗ってんねんな、なるほど」

コカド「どこで納得してんの?そしてさりげなく言い換えたなお前」

中岡「けど俺見たこと無いな」

コカド「俺は宇宙人もUFOも肉眼ではないけどな」

中岡「異星人な」

コカド「そのこだわりなんやねん」

中岡「まあ、ええわ、異星人が乗ってくる乗り物として知られてんのやな?」

コカド「うん、まあうん、そうやね」

中岡「でも本物は見たことがないから」

コカド「大きさは分からん」

中岡「材質とかも」

コカド「全く分からん」

中岡「エンジン何積んでんの?六気筒?」

コカド「そもそもエンジンかどうかも分かってないけどな!?」

中岡「ええ……?じゃあ存在せえへんの?」

コカド「だから有名な学者さんとかも頑張って、あるかどうか調べてんのやろ」

中岡「なるほどなぁ。何となく分かってきたわ」

コカド「お、ほんまか?」

中岡「あれやろ?あいつらのよく使うチャリンコみたいなもんやろ?」

コカド「突然規模しょぼなったな」

中岡「違う?」

コカド「もうちょっと大きいんちゃうかって言われてるわ」

中岡「リムジン?」

コカド「くらいちゃうの?本物があれば」

中岡「じゃああいつの右腕くらいの大きさかぁ」

コカド「どいつ!?どいつて!?」

中岡「うん、分かった分かった、オッケー」

コカド「何をひとりで納得してんねん、俺が納得いかんわ……」

中岡「円盤やったっけ、空飛ぶ円盤」

コカド「日本語に直すと大体そんな意味やわ」

中岡「お、なに?別な言語なの?」

コカド「UFOが元々英語を略したもんやからな」

中岡「何の略?うまいふといおいしい……」

コカド「ああそのUFOちゃう、振り出し戻ってもうた」

中岡「はぇ、英語なん?」

コカド「えーと、なんやったっけな……あ、」

噛まないようにめちゃくちゃ注意するコカド。

コカド「『アンアイデンティファインド フライング オブジェクト』の略や」

中岡「……」

コカド「……」

中岡「……ふふっw」

コカド「何笑てんねん」

中岡「ごめん、もっかい、もっかい言うて」

コカド「『アンアイデンティファインド フライング オブジェクト』や」

中岡「ふふっw」

コカド「笑うな、人が甘噛みしてんの笑うな」

中岡「……あ、日本語に直したら『なんやよう分からん飛んでるもん』ってとこか」

コカド「雑すぎるやろ」

中岡「よくもそんなよう分からんもん、適当におしゃれに言うたなぁおい」

コカド「おしゃれのつもりないと思うで、それぞれの単語の頭文字や、あれ」

中岡「そんなもんよう研究しよう思たな、学者さんも」

コカド「あるかどうかも分からんから調べたいってなるんちゃうか?」

中岡「はぇー……そんなもんかねえ」

コカド「ほんまは、このUFOって言葉は空飛んでて訳分からんもん全部に使う言葉やってんな」

中岡「うんうん」

コカド「それが、宇宙からの乗り物って思われて、そういう乗り物をようUFOって呼ぶねん」

中岡「今言うてる円盤は『なんやよう分からん飛んでるもん』の一部ってことか」

コカド「おお、そうやそうや、分かってきたな」

中岡「はぁー、それをUFOって呼んでんねや」

コカド「特に宇宙人が乗ってるやつは」

中岡「異星人な」

コカド「……異星人が、乗ってるやつは」

中岡「うん」

コカド「円盤の形が多いから、日本語で空飛ぶ円盤ってよう呼ばれんねん」

中岡「円盤の形が、多い?他のもあるん」

コカド「いろいろあるらしいで?球体型、葉巻型、三角型、ひし形にドーナツ型に」

中岡「?????」

コカド「あと人型」

中岡「幽霊やん」

コカド「そうざっくり言うか普通」

中岡「なるほどな、色々分かったわ、ありがとうなコカド」

コカド「今ので分かってもらえた?あー、よかったぁ……」

中岡「ちょっとUFOに興味持ったわ。円盤やけど円盤もなくて飛んでていろんな形で、異星人が乗ってるかもしれんけど本物見たこと……」

中岡「……まあ混乱してるけど後で他のヤツにも聞いてみるわ」

コカド「大丈夫か今の混乱の状況は、明らかにキャパシティオーバーしてたやろ」

中岡「おん、ありがとう。で今日は何の話やったっけ、UFOの話やったっけ」

コカド「ああ違う違う、最近何の仕事してんのかとか聞こう思うたら、ぼちぼちで話終わったから……」

中岡「え?ああ、ほんまにぼちぼちやねんって」

コカド「だから何がよぉ」

中岡「ん?ぼちぼち増えてきた」

コカド「ん?増えた?何が?」

中岡「しごと」

コカド「だから何の仕事してんねんて?」

中岡「土星からの留学生のフォローやん」

コカド「土星から留学生来てんの!?」

中岡「ロケット乗って来てるやん」

コカド「うっそぉ!?見たこと無いわ!」

中岡「土星の輪の辺りから来たパーリアクの足が18本あってさぁ……」

コカド「その話詳しく聞かせてくれへん?!」

中岡「ええ?うそぉ、お前、土星の留学生知らんのぉ?」


暗転。

今日6月24日はUFOの日です。
アメリカの実業家であるケネス・アーノルドが1947年の今日、初めて空飛ぶ円盤を観測しました。
ちなみに現在ではUFOは『宇宙人の乗り物説』『実は心霊現象説』『ただの見間違い説』が有力だそうです。

あ、異星人だ。


いつのかわかんない前のやつ
今野「あたたかいのだからぁ!」


またそのうち。

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