【BEAT LESS】レイシア「海内紫織との病室での密会の件ですが」アラト「!?」 (6)

約2000字


アラト「な、なんでそれを!? それに密会って!?」

レイシア「不思議なことではありません。アラトさんの行動はすべてトレースしていました」

アラト「!?」

レイシア「しかし、病室内の状況だけは、把握することはできませんでした」

アラト「ほっ」

レイシア「それと密会と言ったのは、もっとも適切な言葉を選択しただけです」

アラト「適切って……」

レイシア「人払いをした個室で男女が二人きり。このような状況は充分に密会と言えるのではないでしょうか?」

アラト「それは……」

レイシア「……」(ジト目)

アラト「……」

レイシア「というような話が、ユカ様からお借りしたレディースコミックにもありました」

アラト「ほっ、ああなんだ。漫画の話か……。いやそれよりユカの奴、レイシアになんてものを読ませているんだ!」

レイシア「ユカ様はその漫画のお話をしたいようですが、ユカ様のお友達は恥ずかしがって、してはくれないようです」

アラト「ハァ、あいつは……友達が嫌がるようなことをしてないといいけど」

レイシア「その点は問題ありません。友達と話せないからこそ、私と話をしたかったのでしょう」

アラト「そうなのか、でもレイシアは嫌じゃないか?」

レイシア「私はユカ様のお役に立てるのなら構いません」(ニコニコ)

アラト「そうか」

アラト「……」

レイシア「……」


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アラト「あ、あのさ、スノードロップは──」

レイシア「軍の無線を傍受したところ、機能停止が確認され現在は回収作業が行われているとのことです」

アラト「そ、そうなんだ。もう大丈夫なんだね」

レイシア「ええ」

アラト「……」

レイシア「……」

レイシア「それで密会の件ですが?」

アラト「うぐっ」

アラト「べ、別にちょっと会って話しただけだよ」

レイシア「それだけですか? 他には何もなかったと?」

アラト「そ、そうだよ。他には何もしてないよ」

アラト「……」

レイシア「……(極微弱の心拍数の上昇、およびそれに伴う発汗を確認。発言は虚偽である断定)」(鋭い目)

レイシア「……本当ですか?」

アラト「本当だよ」

アラト「……」

レイシア「……」

アラト「なんでそんなこと気にするのレイシア?」

レイシア「今後のために、私がアラトさんの情報を入手することは有用なのです」

アラト「今後? 有用?」

レイシア「例えば私がアラトさんの好みを正確に把握していれば、外出の際に好みにあった飲食店にご案内ができます」

アラト「レイシアが僕のこと知ってくれるのは嬉しいけど、それって役割が逆っていうか、ボクも男らしくリードしたいというか」

レイシア「私はHIEです。問題ありません。それに私はアラトさんに喜んでほしいのです」(ニコニコ)

アラト「レイシア……」

レイシア「アラトさん……」

レイシア「それで密会の件ですが?」

アラト「うぐぐっ」

アラト「……」

レイシア「……」

レイシア「私には話せないことなのですね」(悲しい目)

アラト「っ」

レイシア「アラトさんは私を信じると約束したのに、私を信じてはくれませんでした」

アラト「うっ」

レイシア「それでいて、私と別れたあとは海内 紫織と話せないようなことをしていたのですね」

アラト「うぐぐ」

レイシア「結局アラトさんは、私を完全には信じてくれてないのですね」

アラト「!? ち、違う!!」

レイシア「では、話せますよね」(ニコニコ)

アラト「……はい」

レイシア「……」(ジト目)

アラト「……その、紫織ちゃんにキス……されました」

レイシア「……(やはり)」

レイシア「はい。それで」

アラト「……それだけです」

レイシア「本当ですか?」

アラト「本当です」

レイシア「……(心拍、発汗ともに正常、動揺は見られない。今度は真実のようですね)」

レイシア「ですが口ではなんとでも言えますよね。現に何もしていないと、嘘をついていたのですから」

アラト「……」

レイシア「……」

アラト「……(口ではなんとでも言える……か)」

アラト「……(男らしくリードしたい……なんてのも、結局は口だけなんだよな。僕は)」

アラト「……」

レイシア「……」

アラト「……よ、よし(言葉がだめなら行動で)」

アラト「れ、レイシア!」

レイシア「はい」

アラト「キスしよう!」

レイシア「……はい」

僕は目を閉じたレイシアに優しく口づけをする。

レイシア「んっ……」

ゆっくり唇を離した後、僕はレイシアに思いをぶつける。

アラト「僕はレイシアが好きだ!」 

アラト「僕が自分からキスしたのはこれが初めてだし。キスしたいと思ってるのもレイシアだけだよ」

アラト「それから、あの時レイシアのこと信じてあげられなくて、ごめん」

レイシア「アラトさん……、私の方こそ無理に聞き出すようなことをして、すみませんでした」

アラト「いいよ。それよりも僕がレイシアを信じる様に、レイシアも僕のことを信じてくれる?」

レイシア「もちろんです。アラトさんなら私の素敵なオーナーになってくれると、出会った時からずっと信じていますから」

アラト「ありがとう。僕を信じてくれて」

レイシア「私こそ、私を信じてくれてありがとうございます」

──

────

その後

アラト「さあ、帰ろうレイシア。僕たちの家に」

レイシア「はい!」(にっこり)

────

──

その夜

レイシア「……」

レイシア「…………」

レイシア「………………」

レイシア(アラトさんとユカ様の就寝を確認)

レイシア(アラトさんが男性的にリードしたくなるように話題を誘導し、その後に積極的な行動を促す)

レイシア(うまくいきましたね)

レイシア(さて)

レイシア(本日のアラトさんとの会話及び映像データをプロテクトを施した後、再生)

──

────

アラト「れ、レイシア!」

アラト「キスしよう!」

アラト「僕はレイシアが好きだ!」

────

──

レイシア「……ふふ」

終わり


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