【ミリマス】彼女は最後まで駆除したい (49)

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十三歳の箱崎星梨花は、765プロのアイドルとして活動をしている一方で、
アジリティのハンドラーを特技にしている少女だった。

アジリティとは、簡単に説明すると犬の障害物競争で、
ハンドラーとは、競技を行うワンちゃんに的確な指示を出す役目を持つ人間のことだ。

当然、良い成績を出すためには一人と一匹の信頼関係が重要で。
それは普段の接し方、愛情の掛け方でも顕著な違いが表れる。

まるで機械のように正確に、飼い主の指示に寸分違わず従うよう徹底的な調教を行う者もいれば、
星梨花のように愛犬とお友達感覚で付き合う者もいるだろう。

ハンドラーは特技であってプロではない。

彼女にとってこの"遊び"は、愛犬ジュニオールとの一種のコミュニケーションツールなのだ。

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「ステイ、ジュニオール!」

箱崎家の広い浴室に指示を出す星梨花の声が響く。

シャワーノズルから噴き出るお湯がタイルをうち、室内にもうもうと湯気を立ち込める中、
ジュニオールはその場にお尻を置いたいわゆるお座りの格好のまま動きを止めた。

桜色の両膝で体を支えるようにして屈みこんだ星梨花は、
シャワーの水温を確認しながら、自分を見上げる瞳に偉いねと応えるように微笑み返す。


ジュニオールは生まれてこのかたボーダーコリー。

その黒と白に分けられる全身の体毛は、星梨花が行う日頃のブラッシングによって
いつでもほわほわとした触り心地を保っていた。

トレードマークである真っ赤なスカーフを首に巻き、
颯爽と庭を走れば風になびいて揺れる毛並みは見事な物。


が、しかし。

最近どうも様子がおかしい。

星梨花が見ているその前で、しきりに耳元や首の周りを引っかいたり、
前足をペロペロガジガジしたり、落ち着きなくソワソワウロウロしてみたり。

……その不思議な踊りを披露され、星梨花はまさか! と目を疑う。

そうして半信半疑のまま愛犬の体を調べると――いたのである。

何が? ノミが。

犬の血を吸うにっくきぴょんぴょこあん畜生が一つの集落を築いていた。

キチンときれいにしてたのに!

にわかには信じられないことだったが、見つけてしまってはしょうがない。

「ノミ取り用のシャンプーを一つ下さい」そう星梨花がお小遣いを手に握って、
ペットショップに駆け込んだのは言うまでもない。


ついでに人の良い彼女は、店員に勧められるまま
ノミ駆除に効果があるという首輪だの何だのも買わされたが。

店側は商品の在庫がはけてニッコリ。
星梨花もこれだけあればと期待してニッコリ。

両者共々に万々歳、少しの間ジュニオールのおやつのランクが下がっても、
そんなものは些細な幸せのしわ寄せである。


とにかく戦いの準備は整った。
後は飼い主の自分が頑張るだけだ。

星梨花はとろみのついた犬用シャンプーを手の平の上に広げたなら、それをくちゅくちゅさせて泡立てると、
シャワーを浴びせたジュニオールの体に両手でしっかり擦りつける。

だが、欲張り過ぎては効果も薄い。

手っ取り早く済ませるなら全身を一度に洗ってしまいたいが、なるべく体の先端から
(つまり、顔や手足と尻尾である)背中や首に向かって獲物を追い込む形で泡の面積を広げていく。

その途中で掻き分ける毛の茂みに、見つけたノミさんこんにちわ。

シャンプーの力で動きを止めた小さなこの不法住人を、
星梨花は用意していた櫛を使って掬い取ると。

「よいしょ」

次いで、熱湯で満たした洗面器のお風呂にご招待。

湯船に浮かぶ様を目の端に、箱崎トレイントラベルツアーは続々とお客をお風呂に運び込む。

いえいえお代は結構です。

アナタも是非、この機会に、天にも昇る夢心地になれる極楽温泉に浸かってみては?


「荷物はーちょっとでいい、選ぶのーもっ楽しい♪」

歌を口ずさみながら小一時間を掛けて作業完了。

泡ぶくまみれの毛並みをしっかりとシャワーで洗い流し、ぶるるるるっと身を震わせ、
その場に水滴を撒き散らした愛犬を「もう!」と可愛らしく叱ったなら。

「おしまいだよ。ジュニオール」

頑張ったねと褒めてあげる。
ワン! と応えるジュニオール。

そうして星梨花は、自分の仕事の成果ともいえるノミだらけの洗面器を見下ろすと。

「そうだ!」

良い考えが閃いた。
そんな調子で手を合わせると浴室から一度外に出る。

突然姿を消したご主人にくぅーんとジュニオールが鳴いてしばらく、
戻って来た星梨花の手には一台のスマホが握られていた。

===

「それでこれが、その時に撮った写真です! こんなに沢山いたんですよ?」と、
スマホの画面いっぱいに映し出されたノミ達の行水を誇らしげに掲げて星梨花は言った。

ショッキングと言えば余りにショッキングな写真を見せられて、

サンドイッチを食べていた双海亜美は思わずハムを喉に詰まらし、
隣に座る双海真美も紙パックの牛乳を取り落とす。


ここは、ご存知765プロライブ劇場内にある一室。

アイドル達からは「和室」と呼ばれて使われているこの広々としたリラクゼーションルームでは、
現在星梨花たち三人がお昼ご飯の真っ最中。

畳の上に置かれたこたつ台にお行儀悪く片肘をつき、
髪型以外は瓜二つな双子姉妹は天を仰ぐ。


「うあうあ~!? ご飯食べてるのにぃ!!」

「せりかっちは不意打ちにも程があるよ~!?」

そうして嘆き悲しむ双子に対し、星梨花はちょこんと小首を傾げると。

「お二人とも、ノミはお嫌いなんですか? ……ヘビやカエルは平気なのに」

意外です! といった眼差しを向けてくる世間知らずなお嬢様に、
亜美がスマホをしまうよう手振りでパタパタお願いする。

その隣では、真美が落としたパック牛乳を拾い上げながら。

「好き嫌いの問題じゃ無いっしょ~。急にウジャウジャしてるの見せられたらん――」

「流石の亜美たちもビビらされますぜ? お嬢」

「ホントホント。それにぃ、真美たちからすればせりかっちが平気なことのがびっくらぽん」

彼女がずぞぞぞぞっとストローを鳴らす。
亜美が二つ入りサンドイッチの二つ目へとその手を伸ばす。

星梨花はスマホを片付けると、代わりに食べかけのお弁当箱を持ち上げて。

「そうでしょうか?」さくり、とフォークでプチトマトを摘まみ上げた。


「わたしみたいに犬を飼ってる人だったら、
見慣れてるまでは言わなくても、ある程度平気だと思いますよ」

そのある程度が洗面器に浮いたノミを写真に収めるレベルなのか……。

姉妹は無言で戦慄すると、ふと、どちらともなくこんな言葉を口にする。

「そう言えばさぁ」

「何々?」

「ノミって人にも移るのかな? この前の『ノミノミ・アタック!!』みたいに」

「お二人とも、それって一体何ですか?」

トマトをもごもごさせながら、星梨花が興味に目を光らせ訊いた。

ノミノミ・アタック!! それは姉妹が最近観たB級映画のタイトルだ。

休日、夜更かしをしていた二人が深夜の映画枠でたまたま視聴したもので、
内容は凶暴化したノミが人類を襲うパニックホラー。

だがしかし、映画の中にノミの姿は一切現れない。

ノミ軍団の侵攻状況は人類側の台詞によってのみ語られて、
襲われた俳優たちが突然「痒い痒い!」と悲鳴を上げながら体中を掻きむしり始める様はシュール。

それが登場する人間全てにドンドン広がっていくのである。

眠気でハイになっていた姉妹はお菓子を片手にゲラゲラ笑って楽しんだが、
後日見返した時にはその下らなさに渇いた笑いも漏れなかった。


だが、今になって二人の記憶のゴミ箱からサルベージされたこの映画が、
一人の少女の知的好奇心を刺激して、日常におけるある疑問と答えを関連づける役目を果たしたのだ。

「つまり、ノミは人に移るんですね?」

そう言って星梨花は、納得しましたとでも言うように力強く頷いた。

この純真無垢な箱入りお嬢さんは時々双子の玩具になる。
映画の内容を説明した亜美が両手で自分の頭を抱え、

「せりかっちも見たことあるっしょ? よくひびきんが『うぎゃー』って!」
といった具合に大げさな同僚のモノマネを披露すれば。

「あれはね、ひびきんの髪にノミがいるからだよ」
と真美の方もその悪乗りに乗る形で衝撃の事実を星梨花へと突きつける。

すると人を疑うことを知らない彼女はハッと小さく息を呑み。

「してます! わたし見たことあります!!」

「ひびきんは、よくいぬ美を枕にしてるかんね」

「事あるごとに頭が痒くなるんですな~」

「だから響さんは、あんなに頻繁に髪をかき上げて……」

「そうだそうだよせりかっち!」

「そうなのだ! いやはや全く気の毒に」

「知らなかった……。お二人ともノミに困っていただなんて」

そうして何か大きな決心をしたように、両手を胸の前で構えて見せる星梨花。
その反応に妙な違和感を覚えた姉妹は「ん?」と間抜けな声を上げると。


「二人?」

「ひびきんと……誰さ?」

不思議そうに顔を見合わせた二人に星梨花が笑ってこう言った。

「誰って、プロデューサーさんですよ?」

彼女の言うプロデューサーさんとは、
すなわちアイドル事務所765プロのプロデューサーをしている男のことだった。

彼は日頃から多くのアイドルの世話をしつつ、双海姉妹の可愛い悪戯の餌食になってくれるような
気の良い普通のあんちゃんであり、星梨花よりもよほど玩具役が似合う男でもある。

そんな彼がなぜ、唐突に三人の会話の中に現れたのか?

それには少し込み入った事情の説明が要るだろう。
ついでに先ほどから頻出している、ひびきんなる人物の紹介も兼ねる話だ。


そもそもひびきんとは、本名を我那覇響という十六歳の少女であり、
彼女はアイドルになるために沖縄から上京して来た元気娘。

その際、家族と称する多種多様なペット達も一緒に連れて来たのだが。

『ウチ、ペット禁止だから』

『その予算じゃお貸しできませんねぇ』

『騒音とか、臭いとか、トラブルの原因になっちゃうでしょ?』

『ペット可とは言いましたけど、流石にワニまでいるのはちょっと』

故郷とは違って都会の風は彼女に冷たい。
借りられなければ寝る場所も無い。

これではデビューどころではない、と無い無い尽くしの
彼女ら一家が紆余曲折を経て収まった場所こそ件の男の家だった。

以来、大家族は一つ屋根の下。

時が経つにつれて新たな住人も出たり入ったり、
今では765プロにおける寮のような役割すら担っているのだとか。


とにかく――そうして沖縄から連れて来られた家族の中にいぬ美と呼ばれる犬がいた。

その巨大なセントバーナードは、実に枕にするのに丁度よい大きさと気性をしているのだ。

響もよく劇場まで彼女を連れて来るが、和室に寝そべるいぬ美に頭を預け、
くつろいでいるアイドル達の姿というのは、劇場でよく見られる風景の一つでもあった。

何を隠そう、星梨花もいぬ美枕の体験者の一人である。
寝心地はどうか? 最高だったと彼女は言う。


そうして件のプロデューサー。

こちらは表立って枕扱いされることは無いが、誰それがその肩を借りただの、
いつぞや腕を借りただの、私は膝を貸しただの。

曰くだけは大量に付いている代物で。
真実を詰問されると首を縮め、困ったように頭を掻く。

ポリポリと、そうポリポリと。


「プロデューサーさんって、よく髪の毛をポリポリしてますよね」

星梨花の言葉に双子が頷く。

「癖じゃないの?」

「痒いんじゃないの?」

「その原因がきっとノミなんです!」

意気込み断言する星梨花に、果たして事実はそうだろうか? とは言わない亜美と真美である。

むしろ彼女達二人は「んっふっふ~」なんて邪悪な微笑みを浮かべると、
フンスフンスと鼻を鳴らす星梨花をけしかけるように言ったのだ。

「んじゃ、原因究明はせりかっちの肩に任せたよん!」

「兄ちゃんたちをどうしたかは、また学校ででも教えてね!」

きっと面白いコトが起きるに違いないとイタズラっ子の勘に賭け、声を揃えて「よろよろ~♪」と。

ここまで。

===2.

某日。ペットショップの店内にて、
星梨花は途方もないショックを受けていた。

「基本、ノミは人に移りませんね。噛むってことはありますけど」

その原因を作った店員は、
受けたばかりの質問に笑顔を崩すことなく言い切った。

思わずポカンとお口を開け放ち、
ポシェットから取り出した財布を構えたまま固まる星梨花。

「むしろ心配なのは、アレルギーや病気の感染ですよ。
これらを防ぐためにも日頃から掃除はしっかりと――」

さらにさらに、ご丁寧な追い打ちまでかける店員の対応は客商売の鏡と言える。
訊かれたことにはキチンと答え、プラスアルファのアフターフォローを忘れない。

つらつらと続く説明を心ここにあらずといった様子で聞いていると、
星梨花の胸の奥が針でつつかれてしまったようにチクリと痛む。

……もしかすると、自分は双子にからかわれたのだろうか?


だが店員の次の言葉を聞いた瞬間、
彼女はハッとした表情になって顔を上げた。

「それでも痒みを訴えるなら、ノミよりシラミかもしれませんね」

「シラミですか?」星梨花は小首を傾げて訊き返す。

「ええ。簡単に言ってしまえば人間につくノミみたいなものです。
ウチでは扱ってませんが、薬局に行けば駆除用の薬が売ってますよ」

なるほど、それに違いない! 双子は思い違いをしていたのだ。

星梨花はサービス過剰な店員に「ありがとうございます!」と礼を言うと、
その足でドラッグストアへ駆け込んだ。


「シラミ用シャンプーを一つ下さい!」

訊かれた店員が眉をひそめ、
星梨花を案内した先の商品棚から一本のボトルを取り出し見せる。

そうして「最近は妙なペット用の商品が増えましたね」と溜め息。

一体どういう意味だろうと小首を傾げて受け取る星梨花。
そうしてすぐさま理解する。

彼女が手にした容器には、ニッコリ笑顔で洗髪している虫の絵と、
『シラミの健康を保つ為のシャンプーです』の説明文が踊っていた。

===

さてその後、「違います。退治するためのお薬が欲しいんです」と
無事に買い物を終えた星梨花はプロデューサーの家までやって来た。

もちろん今日が彼らの休日であることは事前にリサーチ済みである。

ピンポンとチャイムを押して待つこと数秒。
玄関を開いて姿を現したのは響だった。

星梨花は買い物袋をガサリと鳴らし、体を傾けるようにして挨拶する。

「おはようございます響さん! プロデューサーさんも家にいますか?」

すると、この突然の来訪客に響はパチクリと両目を瞬かせ。

「はいさい星梨花、プロデューサーならまだ寝てるけど……。いるよ?」

「良かった! もしお二人がお留守だったらどうしようかと。
あの、今からお邪魔してもいいでしょうか?」

断る理由も特にない。
響は「いいぞ」と軽く答えて彼女を我が家に招き入れた。

広々とした玄関で靴を脱いで、
星梨花は長い廊下を響の後に着いて歩く。


「それにしても今日はどうしたんだ?
遊びに来てくれるのは嬉しいけど、ジュニオールは一緒じゃないんだね」

「はい、お家でお留守番です。今日は遊びに来たんじゃないですから」

「ふぇ?」

「響さん、いぬ美ちゃんはドコにいますか? それと、プロデューサーさんも起こしてきてください。
今日はわたしからお二人にとっても大事なお話があるんです!」


数分後、プロデューサー宅のリビングに三人と一匹が集まった。

休みだというのに突如叩き起こされて、
まだ寝ぼけ眼のプロデューサーが「……それで」と欠伸混じりに訊く。

「星梨花は何だって突然ウチに来たんだ?」

それは至極もっともな質問だった。

傍らに寝そべるいぬ美の背中を撫でながら、
響も同意するようにコクコクと頷く。

問われた星梨花は仰々しい咳払いをすると、
持参した荷物を一つずつ順番にローテーブルの上へと並べ。

「わたし、プロデューサーさんと響さんの頭を洗いに来たんです」

言われた二人は眉をひそめ、
次いでその視線をテーブル上へと移動させた。

そこにはヒト用シラミ取りシャンプーが一本、
ペット用ノミ取りシャンプーが一本、ブラシ、コーム、シャンプーハット。

『コロコロ』こと粘着カーペットクリーナーに、
お風呂に浮かべて温度が計れるシロクマの玩具と入浴剤も置かれている。


「う、可愛い」と、響が早速クマに興味を示す。

「う、む」と物言いたげなプロデューサーが、
最後に出された防ダニ効果のある洗剤を手に取り星梨花を見やる。


一体全体どういうワケかは知れないが、
目の前の少女は自分たちをお風呂に入れる気満々らしい。

そりゃあ普段から仕事やレッスンで汗はかいているし、
今だって寝起きで汗臭いかもしれないけども――とプロデューサーは顔をしかめる。

だからと言って、それによる臭いや脂が気になると言うならこのラインナップは不可解だ。

暫し黙って熟考した彼は、隣でシロクマの玩具に夢中になっている
響の頭にそぉっと顔を近づけると、こっそりその髪の匂いを嗅いでみた。

……当然不快な臭いはしない。

むしろ女の子らしい良い匂いだ。
彼女が日頃から使っているシャンプーの澄んだ香りがする。

「きゃあああぁぁっ!!?」

だが次の瞬間、自身の身の危険を感じた響が逃げるように後ろへ飛び退った!

ヘンタイヘンタイと叫びながらテーブルのボトルやブラシを手に取ると、
そのまま男へ投げつける――命中!

「ぐがぁっ!?」と怪獣のような悲鳴を上げてプロデューサーが床に沈む。
星梨花はその一部始終を目をキラキラさせて見届けると。


「プロデューサーさん凄いです! いつもより派手なやられ方です!」

「褒められても……嬉しくない……!」

「まぁぁだ息があるかーっ!?」

「止めろ! ストップ! ソイツは洒落になら――ぐああああぁぁっ!!?」

騒音、いぬ美の巨体に押しつぶされた男の右手が空を掻いた。
「プロデューサーさん!?」と星梨花が心配するように傍へ寄る。

彼女に介抱されるヘンタイの姿を見下ろして、
響はぜーはーと肩で息をしながらゆっくりと呼吸を落ち着けると。

「もう、バカバカバカバカバカバカバカっ!
そういうの、みだりにしないって約束してたのに!」

「気になったんだからしょうがないだろ!?
第一、アイドルのコンディションを把握するのもプロデューサーの務めだぞ!」

「あーっ!? またすぐそうやってお仕事の為とかなんとか言う!!
自分、もう騙されてなんかあげないから!」

キャンキャンと騒ぎ始めた二人を前に星梨花が両手を腰に当てる。

そうして彼女は仁王立つと、「しっ、静かにして下さぁーいっ!!」「バウッ!」
いぬ美と共に二人を一喝、その場に大人しく腰を下ろすよう促した。

===

「で、だ」

仕切り直すように口を開いたプロデューサーの顔には疲労の色が濃い。

彼は星梨花から事情を聴く間に、
響が用意したさんぴん茶の入った湯呑をテーブルの上にことりと置くと。

「要するに、俺たちにノミやシラミがついてるんじゃないかって誤解が巡り巡って来たコレだ」

言って、並べられた駆除用グッズの山を見やる。

「誤解だなんて」星梨花が反論の為に口を開く。

「プロデューサーさんはいつも頭をポリポリしてますよね? 響さんだってこうやって――」

さらに彼女は、自身の大きなツインテールを持ち上げるようにして
「うーがー!」と可愛い雄叫びを披露した。

それが自分の真似だと気づいた響が赤面しながら顔を伏せる。
これは仕事で使えるぞとプロデューサーの瞳が光る。

そんな二人に星梨花はニコニコと髪を持ち上げたまま。


「だからお二人とも、もしかすると頭がおかしいんじゃないかなって心配に」

「星梨花?」

「……自分たち、別に頭はおかしくなってないぞ」

「え? ……あっ! ご、ごめんなさい。誤解を招く言い方でした!」

即座にジトッとした視線を向けられて、
咎められた星梨花が慌てた様子で首を振った。

「頭の調子がおかしいんじゃないかなって、心配になっちゃったんです。わたし」

そうして言い直された言葉はしかし、
無邪気にプロデューサー達を傷つけたが……。

何、彼らだって彼女の言わんとしているところは分かる。
男は「ま、まあいいさ」と引きつった笑顔で大人の余裕を見せつけると。

「とにかく、俺たちにシラミ取りシャンプーは必要ない。
申し訳ないがこいつは袋に仕舞っちゃって、折角来たんだからおやつでも――」

言いながらやれやれとその手で頭を掻いたのだ。
当然、彼の迂闊な行動を見逃すような星梨花ではない。

すぐさま疑うように男を見やり、「……やっぱり確認はしておいた方が」

「いやいやいや、これは癖! 単なる癖だからっ!」

「誤魔化すところがますます怪しい……。
プロデューサーさん。少しの間、そのままじっとしていてくださいね?」


すっくと腰を上げたならプロデューサーの背後へ回り、
疑惑の頭頂を確認するため後ろからむんずと捕まえた!

瞬間、男は金縛りにあったかのように全ての動きをピタリと止める。
響が成り行きを見守るように二人を見やる。

星梨花はその目をぐっと凝らし、
プロデューサーの髪の毛を両指でわさわさ掻き分けると。

「……じー……!」

「せ、星梨花や? 別に何ともなっちゃないだろう?」

「まだです! 思ったより探しやすいですから、もう少しだけ待って下さい」

男が少女の叱責に口をつぐむ。
響が遠慮することなく言い放つ。

「ねぇ、それってプロデューサーが薄毛だって――」

「響! 思ったことをすぐ口に出すのは悪い癖だ!」

ここまで。


それに遺伝的観点から見ても自分はまだまだ大丈夫……などと、
プロデューサーが自らに言い聞かせていたその時だった。

「あっ」と星梨花の探索が止まり、次いで「あたっ!?」と男が情けない声を上げる。

どうしたどうしたと響がその身を乗り出せば、星梨花が彼女に見せたのは。

「これって虫の卵ですよね?」

今しがた毟り取っ――抜け落ちたばかりの毛髪を摘まんで二人に尋ねる少女。

「まさか」とプロデューサーが慄く中、それをまじまじと手にした響が言う。

「……だね、ゴマがついてるようには見えないし。――星梨花、これ返すね」

「はい」

「お、俺の髪だぞ。俺にも見せて」

そうして、響から髪の毛を渡された星梨花は考えるように首を傾げ。


「じゃあやっぱりプロデューサーさんは、シラミを飼っていたんですね?」

「う~ん、あんまり想像したくないけど」

「だから俺にも見せてって……ちょっ、君たち聞いてる?」

すっかり蚊帳の外にされてしまったプロデューサーがそう嘆くと、
星梨花はフンス! と気合を入れるように両手を構え、彼と響の顔を交互に見る。

そうして「でもこれでハッキリとしました! お二人とも、今すぐお風呂に入る準備をして下さい!」

「うぇっ!? 二人ともって自分もなのっ!?」と、狼狽える響に詰め寄る星梨花。

「もちろんです! シラミは一緒に住んでる人にも移るって、
ペットショップの店員さんから教えて貰いました」

「……な、何でペットショップ?」

言われた響が首を捻る。

一方で、星梨花はプロデューサーへと自信に満ちた顔を向け。

「それにわたし、ジュニオールのノミ取りが得意なんです。
だからシラミだってこんな風に、全部残らずやっつけちゃいますね!」

ポシェットからいそいそスマホを取り出すと、
例の洗面器画像を二人に突きつけ悲鳴を上げさせたのであった。

===3.

こいつはとんでもないことになったぞと、
プロデューサーはこれまでの話の流れを顧み嘆息した。

細かいアレコレは抜きにしても、
今、彼は海パン一丁の出で立ちで自宅の湯船に浸かっている。

他に装備している物はと言えば、星梨花の用意したシャンプーハット一つだが、
どちらも守備力の面で心許ない。それは否定しようもない事実だった。

そうして温かな湯気で満たされている浴室には、同じく水着姿で
風呂用の椅子に腰を下ろしている響の他に、なんとこちらも水着に着替えた星梨花の姿。

男一人と女二人で水気のある場所に籠るのだ。
まさか全裸になるワケにもいかない。

当然、濡れても構わない格好になるのは自然な成り行きだったと言えるだろう。


しかし、その舞台を太陽光照りつける青空の下のビーチではなく、
タイル張りの壁や床に照明を反射する密室に置き換えればどうか?

……手段はすこぶる健全であるはずなのに、何やらとっても如何わしい。

少なくとも男は落ち着かない。

どちらの少女も上から薄手のタオルを巻いているが、
その事がかえって見える見えないのチラリズムを効果的に演出しているようだった。

……見えても何ら問題が無いと言うのにである。

おまけに水を吸いぴちっと肌に張り付く様は、年に似合わぬ響の豊かな体つきを、
逆に成長途上な星梨花の少女らしさをこれでもかと言わんばかりに強調して――バシャンと湯船の水が跳ねる。

自身の顔を洗うようにして頬を叩いたプロデューサーは、
なるべく彼女たちの方は見ないように肩までその身を沈ませると。


「しっかしなぁ――ドコで拾って来ちゃったんだか」

指先でちょんちょんと薬液まみれの頭を触り、
全く不思議だと言わんばかりに腕を組んだ。

「人にやってもらった方が洗い残しも無くて安心です!」
そう星梨花に押し切られるまま髪を洗われて五分が経つ。

薬用シャンプーの説明では、
もうしばらくこのまま放置しておかなくてはならないらしいのだが。


星梨花の操るシャワーによって、
幽霊の如く前髪をしとしとに垂らした響が言う。

「うぅ~、ホントに覚えが無いの?」

「サッパリとな。これでも身だしなみには気を遣ってるんだぞ?
清潔第一、爽やか眼鏡の好青年が俺のモットーだ」

とはいえ、今の彼は愛用の眼鏡を掛けていなかったが。

もしも着用していれば、より鮮明になった少女たちの姿に
のぼせ上がるスピードを速めていたかもしれない。

その原因の一端を担う響が両手を椅子の上に置けば、両腕に挟みこまれる形で
彼女の胸元はせり上がり、その存在を大きく主張する。

それは無意識のうちにとられたであろうあられもないポーズであった。

……口では何のかんのと言っていても、
基本、彼女は他人の視線に無防備なのだ。


「そうなの? その割には笑顔が胡散臭いって評判だけど」

「だ、誰が一体そんなこと。心外だなぁ」

響の評を受け、大げさに肩をすくめて見せるプロデューサー。

そんな彼に、星梨花はボトルから出した薬液を掌の中で広げながら。

「でも可憐さんが、プロデューサーさんからはいつもいい匂いがしてるって言ってますよ」

肯定された男がたちまち得意な顔になる。
そうしてそのまま、好意的な態度の少女に会心の笑顔を見せたなら。

「ならほら、笑顔の方だって素敵だろう?」

「……えへへ♪」

そのリアクションに笑って対応する星梨花。しばし向き合う笑顔と笑顔。
そのうちに男は、優しい微笑みをニヒルな笑みへと変化させ。

「女の子の成長は早いもんだ」

「ドコ見て言ってるのさ、ヘンタイ」

響は、まるで汚物を見るような目で男の顔を睨みつけた。

そんな彼女の首筋に星梨花が遠慮なく両手の指を這わす。

そうしてそのまま、髪の根元から毛先へと
薬液を擦りつけるようにして彼女がその手を動かせば。

「ひゃっ!? ……んっ」

不意を突かれて与えられたこしょばゆさに響がぶるっと体を震わせる。
縮められた首、よじられた腰、身を守るように胸元で構えられた両手。


「ふぁ……やっ、そこだめぇ……!」

抵抗するには弱々しい、抗議の声が彼女の唇から零れ落ちた。

だがしかし、その囁きが聞こえているハズの星梨花は
わっしゃわっしゃと揉みしだくようにして響の髪を洗いながら。

「ああ、くすぐったくても動いちゃダメです。洗い残しが出来ちゃいます」

「だ、けど、せりかぁ……。人に洗ってもらうの、なんか……なんかぁ……!」

「何だか――どうしたんです?」

「ゾクゾクする、からぁ……んぅっ!?」

跳ねるような吐息と共に響の顎が強く引かれる。
ソレを引き起こした星梨花の指が彼女の側頭部へと爪を立てる。

頭皮にもしっかり馴染ませられるよう、十本の可愛らしい指先は
リズミカルなステップを刻みながら、鬱蒼とした木々のように茂る毛髪の中を進んで行き。


「我慢してください。もう少しで全体が泡立ちますからね」

「も、もうすこしってどのくらいさ……ぁ!」

「もう少しはもう少しですよ……。後はここと」

「ぃあっ!?」

「ここのここと」

「く、んうぅ~……!」

「それから、特にこの部分を――」

言いながらくにくにと押し付けられる指の腹が、
さわさわとかき上げられる髪の束が、

それに伴う形で毛根に与えられるむず痒いような微弱な痛みが、
まるで布地に水を染み込ませるような速度で響を我慢の効かない体へと作り替える。

――一刻も早くこの状況から解放されたい!

だが、そう願う彼女の思いとは裏腹に、星梨花は相変わらず
丁寧に丁寧に響の毛髪を指で梳かし、ゆっくりと薬液を広げ伸ばしていった。

……そのうちに洗髪される少女はふー、ふーと荒い呼吸をただただ繰り返すようになり。


「はっ、はやく、はやく全部やって! 我慢できるうちに最後までシてっ!」

両腿を強く擦り合わせて、肩を強張らせながら頼む悲鳴にも近い彼女の懇願。

甚だはしたない話になるが、先ほどから尿意を我慢するのにも近い
感覚の波が響のことを苦しめ続けていたのである。

僅かでも気を緩めたが最後、張り詰めた糸を切らしたように
甲高く間抜けな声を漏らしてしまう……。そう予感させるだけの焦りがあった。

しかし星梨花は、無情にも作業の手を一旦休めると、
傍らに置いておいたボトルから新たに薬液を計り取り。

「焦らないでください。響さんは髪の毛の量が多いですから――」

期待に反した答えを受け、椅子の上でくったりと脱力した響を前にくすくす笑ってこう続けた。

「もっとしっかりシャンプーを馴染ませないと」

「ま、まだするの!?」と、泡が目に入ることを恐れて瞼を閉じっぱなしの響が訊き返す。

「当然です!」

「や、やあぁ……。おかしくなるぅ……!!」

そうして、再び浴室には甘い悲鳴が垂れ流され始める。

湯船に浸かるプロデューサーが眉間に多くの皺を寄せ、
その視線を天井の隅の汚れに固定する。

さらに彼は間近の耽美的光景の毒に当てられてしまった自身を恥じ、
強い理性による戒めをきかんぼうな体に求めつつも、如何ともしがたい淫らな邪念を払うため、

朝風呂とは贅沢な限りだよなぁ……
などという牧歌的空想世界へ意識を逃避させるのだった。

ここまで

===

「はい、これでおしまいです」と、星梨花がにこやかに宣言した時には既に、
響が浴槽の縁にうつ伏せるように頭を押しつけ、だんまりと大人しくなってから長い時間が経っていた。

すっかり頬を紅潮させ、びくんびくんと痙攣したように肩を震わせる姿はまるで激しい情事の後のよう。

彼女がはぁ、ふぅと喉に絡みつくような吐息を口から漏らすその度に、
はだけたタオルから覗くご立派な胸が膨らみしぼむ。

「……響さん?」

そうして、そんな響の様子を心配した星梨花が晒されたうなじに指を置いた時だ。

少女は弾かれたように頭を跳ね上げると、今までで一番高く、甘い声で鳴いた。
キリキリと引き絞られていた矢が遂に放たれた瞬間だ。

残響は長く浴室に残り、ようやく蛇口から漏れ落ちる水滴の、
湯船を打つ音が聞こえるほど室内が静かになった時。

「ふ、えぇ……。ふぇえ、ふぇっ」

顔を上げた響の眦には涙が光っていた。

まるで限界まで我慢していたのに、
トイレを目前にして粗相をしてしまった幼子のようにしゃくりあげる。


そうして彼女は、えぐえぐと小さくえずきつつも座っていた椅子から立ち上がった。

体に巻いていたタオルを静々と外し、
それで自身の長い髪を包み込むようにして纏めたら。

「……どいて」

「え?」

「入るからぁ、どいてぇ……!」

湯船に浸かるプロデューサーを見下ろして、
響は自分の番が(とりあえず今は)終わったことを告げたのだ。

彼女より先に薬品漬けになっていた彼は、なるほど、
確かにそろそろ薬を洗い流すのに丁度よい頃合いになったもんな――と一人合点して頷くが。

だがしかし、これでプロデューサーは困ってしまっていたのである。

テクニシャン星梨花の手により涙目にまでなった響には気の毒だが、
彼には彼ですぐには立ち上がれない事情があった。

いやいや、見方によっては既にタチ上がっているとも言えようが……失礼。

「交代だから早く出てよぉ」

訴える響とは目を合わさないようにして彼は言う。

「いやぁ、出たいのは出たいけど……急に海パン一枚なのが恥ずかしくなって」

「なにそれ!? ワケが分かんないからぁっ!」


むしろ分かってもらえない方がプロデューサーとしては安心だ。

とはいえ、男が詳しく説明するにもそれができず、ほとほと困り果てていると。

「だったら、わたしのタオルを使ってください」

響の隣に来た星梨花がそう言って、
身につけていたタオルを彼へと差し出した。

その姿はプロデューサーにとって救いの女神に見えたと言う。

彼は「助かる!」と羽衣を受け取ると、湯船の中でそれを腰布よろしく装着し、
未だぐすんぐすんと鼻をすする響と入れ替わりで浴槽の外へ出る。


すると、タオルを腰に巻いた男の姿に星梨花が小首を傾げてこう尋ねた。

「プロデューサーさんは、見えてる部分が恥ずかしかったんじゃないんですか?」

彼女の視線は男の露わな胸元へと注がれている。
どうやら星梨花にしてみれば、隠すならその部分だと思っていたらしい。

プロデューサーは少女の無垢さ加減にありがたみと呆れの入り混じった複雑な気持ちになると。

「実は今日履いてるこの海パンがね、一昨年のモデルだってことに気づいたんだ」

「あの、それってどういう……?」

「去年買った水着の持ち越しは恥ずかしい。
それが一昨年にもなれば相当だろう? だからこうしてタオルで隠すのさ」

言って、男は腰のタオルを叩いて見せた。

星梨花は少し戸惑ったが、最終的にはその説明に自分なりの納得をしたようで。

「それじゃあ頭を流しますね」

先ほどまで響が座っていた椅子にプロデューサーが腰かけると、
彼女は手にしたシャワーの出具合を確認しながら微笑んだ。

温かな水流が男の髪を洗い流す。
床のタイルに降り注ぐ水滴が流れを作って排水溝へと旅に出る。

――これでようやく全部おしまいだな。

そうして男は、星梨花に頭を洗い流されながらやれやれと安堵のため息をつくのだった。


「できました! 今日の分はこれでおしまいです」

数分後、髪をすすぎ終わった星梨花がシャワーのお湯を止めて言った。
するとプロデューサーは自分の顔を両手で拭い。

「星梨花もご苦労様だったな。お陰で事が大きくなる前に、こうしてシラミを駆除できたよ」

ところがである。

シャワーをフックに戻しながら、
責任感の強い少女はキョトンとした様子で彼の方を向くと。

「プロデューサーさん、まだですよ?」

「へっ?」

「一度で全部は退治できませんから。三日おきに最低でも、
後二回は今日みたいにシャンプーで洗わないと」

そう言って彼女は、にこやかな笑顔で手にしたボトルの説明書きを指し示した。

プロデューサーが参ったという風に額を抑え、
湯船の中の響が勘弁してよと呻きを上げる。

星梨花はそんな二人に「任せてください!」と気合の入った返事をすると。

「わたし、責任をもって駆除しますから。
……お二人とも、最後までよろしくお願いします! えへへ♪」

===
以上おしまい。オチは当初の予定通り。

和気あいあいとお風呂に入るのは楽しいですが、ノミを潰して処理しちゃいけませんよ。

それではお読みいただきありがとうございました。

響の喘ぎ方エロいね
乙です

>>1
箱崎星梨花(13)Vo/An
http://i.imgur.com/IHt7uIh.jpg
http://i.imgur.com/wUi9SPS.png

>>7
双海亜美(13)Vi/An
http://i.imgur.com/FrYx56P.png
http://i.imgur.com/H1PzeRU.jpg

双海真美(13)Vi/An
http://i.imgur.com/Co3Df5m.png
http://i.imgur.com/C3mf1Kp.jpg

>>11
我那覇響(16)Da/Pr
http://i.imgur.com/ZpZCPkW.jpg
http://i.imgur.com/JtaQwbi.jpg

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