おっさん「男だったら腕時計には金をかけんとな!」若者「はぁ……」 (20)

おっさん「君の腕時計、そりゃいくらぐらいだ?」

若者「えーと、ハチズンのやつで……二万円ぐらいだったかな」

おっさん「二万~? おいおい、いくらなんでも安物すぎるだろ!」

若者「そうですか?」

おっさん「男だったら腕時計には金をかけんとな!」

若者「はぁ……」

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若者「じゃあ、あなたの腕時計はどんなやつなんです?」

おっさん「ふっふっふ、教えてやろう」

おっさん「まず、私の腕時計にはあらゆる宝石がちりばめられている!」

おっさん「ダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルド、トパーズ、トルコ石、真珠……」

おっさん「しかも、ひとつひとつが大きい!」

おっさん「それぞれが全て1000カラット以上を誇っているのだ!」

おっさん「さらに、それだけではないぞ」

おっさん「この腕時計にはテレビ機能もついている!」

若者「そんなのスマホでいいじゃないですか」

おっさん「これだから若いのは……スマホの画面なんて小さいじゃないか」

若者「腕時計はもっと小さいんじゃ……」

おっさん「これを見ろ!」

おっさん「100インチの液晶大画面だ!」

若者「おおっ」

おっさん「この大迫力で映画やスポーツを見たら、感動も100倍だ!」

若者「俺は映画もスポーツもあまり見ないですけどね」

おっさん「これだから、最近の若者は……」ブツブツ

おっさん「他にはオーディオもついている!」

おっさん「最高の音源で、いつでもクラシックを楽しめるというわけだ!」

若者「曲聴くなら、YouTubeで十分ですけどねえ」

おっさん「あんなもんじゃ、曲の真の魅力は伝わってこんわぁ!」

おっさん「だいたい、ちゃんとCDとか買わずに曲聴くのはよくない!」

若者「まあまあ、固いこといわないで」

おっさん「さらにさらに!」

おっさん「さまざまな武器を仕込んである! 武器は男のロマンだからな!」ジャキンッ

若者「うわっ」

おっさん「スタンガン、ライフル、バズーカ、日本刀……コナン君のように麻酔針だって発射できる」

若者「これ、立派な銃刀法違反じゃ?」

おっさん「まあまあ、固いこといわないで」

おっさん「他にも、レシピを入れればなんでも作ってくれるクッキングマシーンに」

おっさん「どんな秘境にも案内してくれる高性能ナビ!」

おっさん「もしも高いところから落ちた時のため、パラシュートもついてるし」

おっさん「暗いところを歩く時のため、LEDライトも搭載だぁっ!」

おっさん「マッサージ機能も……」

若者「分かりました、分かりました」

若者「で、肝心の時計機能は?」

おっさん「!」

おっさん「ふっふっふ、君はおそらくこう思ったな?」

おっさん「色々機能がついてるが、どうせ時計機能がないなんてオチなんだろうって!」

おっさん「残念だったな! 私はそんな安い男ではない! 君はまだまだ青い!」

おっさん「時計機能もちゃーんとついてる! 電波時計としてな!」

おっさん「しかも、最高精度で電波を受信するため、巨大アンテナ付きだぁっ!」

若者「……分かりました」

若者「じゃあ、最後の質問です」

おっさん「まだあるのか?」

若者「この時計、ちゃんと腕にはめて歩けるんですか?」





おっさん「え」

おっさん「うーん、うーん!」グッグッ…

おっさん「はぁ、はぁ……」

おっさん「無理だ……重たすぎる!」

若者「……」

おっさん「……」



――――

――

おっさん「やぁ、若者君」

若者「あ、おっさん」

おっさん「君の指摘を受けて、私は反省し、このたび――」

おっさん「腕を改造したよ」ウイーン…

若者「え」

おっさん「最先端技術を駆使し、脳からの指令で、いかなる重量をも持ち上げられるようにね!」

おっさん「むろん、腕以外の生身部分には負担がかからないようになっておる!」

おっさん「これにより、あの腕時計を身につけ歩くことも可能になったわけだ!」

若者「すげえ……」

おっさん「男だったら腕には金をかけんとな!」







おわり

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