ガメゴン「ドラゴンの力を思い知らせてやろう」勇者「カメだろ」(20)

?「待っていたぞ勇者よ」

勇者「だれだっ!」スチャッ

ガメゴン「我はこの洞窟の主ガメゴン。魔王様のため貴様には死んでもらうぞ」

勇者「…………」

ガメゴン「ふふふ、恐ろしくて声も出せないようだな」

勇者(弱そう)

ガメゴン「かかってこい。ドラゴンの力を思い知らせてやろう」

勇者「おまえはカメだろ」

ガメゴン「なっ、我を愚弄するか! 許さんぞ人間!」

ガメゴンの こうげき!
ゆうしゃは ひらりと みをかわした!

勇者「うおっ」

ガメゴン「おのれ、ちょこまかと動きまわりおって!」

ガメゴンは みをまもっている!
ゆうしゃの こうげき!
ミス! ガメゴンにダメージをあたえられない!

勇者「かたい……!」

ガメゴン「無駄だ。そんなやわな攻撃、この甲羅には通用せんぞ」

勇者「じゃあ、これならどうだ!」

ゆうしゃは ライデインを となえた!
ガメゴンに 79のダメージ!

ガメゴン「ぐっ!」

ガメゴン(つ、強い……でも負けるわけには)

?「期待外れもいいところだな」

?「しょせんはガメゴン。ドラゴンの成りそこないということだな」

ガメゴン「魔王様の使いか。今は勝負の最中だ。話はあとにしてもらいたい」

魔王の使い「勝敗はついているだろう」

まおうのつかいは マヒャドをとなえた!
ガメゴンに 90のダメージ!
ガメゴンを たおした!

勇者「おまえ! 自分の仲間になんてことを!」

魔王の使い「次は勇者、貴様の番だ! ケケケしねーっ!」

ガメゴン(まだ倒れるわけには……私は……)

ガメゴン「――――」




ガメゴン「ん……」

勇者「おっ、目が覚めたな」

ガメゴン「!?」

ガメゴン「な、なぜ貴様がここにいる!!」

勇者「感謝しろよな。俺があの変なやつを追っ払ってやったんだから」

ガメゴン「追い払っただと……我を助けたというのか」

ガメゴン「なぜだ。我らは敵同士のはずだろう」

男「んーなんでだろ。気分? なんかムカついたし」

ガメゴン「……変なやつだ」

ガメゴン「…………」

男「なんだよ沈んだ顔して」

ガメゴン「私は自分のことを強いと思い込んでいた。今まで一度も負けたことがなかったのだ」

ガメゴン「だがおまえや魔王様の使いには手も足も出なかった」

ガメゴン「私は……弱いな」

勇者「いいんじゃねえか今は弱くても。肝心なのはこれからどうするかだよ」

勇者「俺も最初はそこらへん歩いてるスライムにボコボコにやられちゃってさ」

勇者「何度も冒険やめたくなったりしたんだぜ」

ガメゴン「スライムに負けたのか」

勇者「ちょっ、そこは引っ張るなって」

勇者「でもそこで諦めなかったから今日の俺がいるってわけだ」

勇者「旅はいいぜ。自分を大きく成長させてくれる」

勇者「まあ人生山あり谷ありってことさ!」キラッ

ガメゴン「貴様を見てると悩んでるのがアホらしくなってきた」

勇者「それ褒めてんのか?」

ガメゴン「さてな」

勇者「ちょっ」

ガメゴン(旅か……)

勇者「おっと、そろそろ行かないと」

ガメゴン「行くのか」

勇者「ああ」

ガメゴン「なあ」

勇者「なんだ?」

ガメゴン「…………」

ガメゴン「我はもっと強くなる。そのときはもう一度戦ってくれるな?」

勇者「望むところだ。おまえがどんなに強くなろうとも俺様はさらにその上を行くけどな! がはは!」

ガメゴンA「なにテキトーなことぬかしよるかこの青二才が」

ガメゴンB「ワシらの協力がなかったらお主も危なかったじゃろーが」

洞窟の魔物たち「そーだそーだ」

勇者「…………」

ガメゴンC「本来なら人間に手を貸すなんてまっぴらごめんじゃが」

ガメゴンD「今回は例外じゃ。ワシらの姫様を傷つけるなど魔王様でも絶対に許さん!」

洞窟の魔物たち「姫様は僕らに優しくしてくれたしね」

ガメゴン「みんな……」

勇者(え、メスだったの? しかも姫って? え?)

ガメゴンA「姫様はこの若者について行きたいんじゃろう?」

ガメゴン「なっ、そんなこと……」

ガメゴンB「ほっほっほ、隠し事が下手ですなぁ姫様は」

ガメゴンC「姫様にはワシらのために散々苦労をかけたからのう。こういうときぐらいワガママを言って欲しいんですじゃ」

ガメゴンD「ワシらの心配は無用。これを機に新しい隠れ家でも探しますじゃ」

ガメゴンA「人間は嫌いじゃが。この若者は信頼するに足る」

ガメゴンA「あとは姫の意志次第じゃよ」

ガメゴン「…………」

ガメゴン「……いいのか?」

勇者「いいんじゃねーの。退屈しなさそうだし」

ガメゴン「軽いな。寝首をかかれるとは思わないのか?」

勇者「おまえはそういう姑息な手を使うの嫌いだろ」

ガメゴン「……ふんっ」プイッ

勇者「はっはっは」

こうして始まった俺たちの冒険
その先になにが待っているのか
先行きはまったく見えない……

魔物「ギギー!」

ガメ子「いくぞ! まとめて消し炭にしてやる!」

ガメ子は もえさかる かえんをはいた!
まもののむれを やっつけた!

ガメ子「なんとたわいもない」

勇者「おーやるじゃん。味方がいるって心強いね」

ガメ子「勘違いするな。我は貴様の味方になった覚えはない」

ガメ子「利害の一致から一時的に協力してるだけだ」

勇者「素直じゃないなぁ」

勇者(なんやかんやあって俺の旅に同行しているガメゴン族の姫)

勇者(名前はガメ子というらしい)

勇者「もうすぐ町だな。はやめに用事を済ませてくるからガメ子は外で待ってろ」

勇者「さすがにその姿で……入るのはまずいからな」

ガメ子「姿を変えれば問題はないということだな」

勇者「おまえ、変化の術を使えるのか!」

ガメ子「ふふん、高貴なドラゴンの我にできぬことはない」

ガメ子「人間の姿に化けるというのはいまいち気が進まんがな」

勇者(ほんとにだいじょうぶか?)

ガメ子「はあっ!」

ポンッ

ガメ子「ふふふ、どうだ。すごいだろう」

勇者「おー」

勇者(ほんとに変わりやがった)

勇者(いろいろ突っ込みどころはあるけど……)

勇者「その甲羅はどうにかならないのかよ。正直違和感しかないぞ」

ガメ子「なにをいう。甲羅はガメゴン族の誇りだ。外すことなどできん」

勇者「はいはいそーですか」

勇者(まあいっか。一見するとカメの甲羅を装備した幼い女の子だし)

勇者(目立ちはするけど番兵にしょっぴかれることはないだろう)

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