少女「人々の悪意と戦い続ける」(5)

 私はずっと、戦い続けていた。

少女「やああ!たあぁぁ!!」ザシュッザシュッ

巨大な人影「……」

 人々から生まれる、この化け物から…

人影「…」ブォン

少女「!しまっ……!」

 この世界に蔓延る、"思いの集合体"から…

少女「きゃあッ!」バシィンッ

ドガシャァアァン
ガラガラガラ…

 人々を、守る為に……


※グロ注意です

ーー夜、工場跡ーー

ガラガラ…

 大きな掌に弾かれ、私は放たれた矢の如く吹き飛ばされた。
 体勢を立て直す余裕などあるはずもなく、そのまま後方にあった壁に頭から激突した。
 老朽化が進んでいた壁はその衝撃に耐えきれず、がらがらと轟音を立てながら崩れ落ちた。
 瓦礫や硝子片が身動きの取れない私に容赦なく追い討ちをかける。

少女「ぁ…ぐ……ッ!」ギュッ

 私が噴き出す血を血を抑えていたその間に、黒い煙のような集合体__"人影"が、私の目前にまで迫っていた。
 人に近い形をしているその怪物は、大人一人分程度なら容易に覆い尽くせる巨大な手を、今にも振り下ろさんと高く掲げていた。

少女 (…ッ!来る!)ダッ

ブォンッ
ドガアアァァン

少女「はぁ、はぁ…危なかった…!」スタッ

 間一髪だった。少しでも行動が遅れていたら、私は__

少女 (でも隙ができた…今なら…!)ジャキッ

少女「はぁ!たぁぁ!」ズバン、ズバァン

人影「……!」

少女「これでぇ……!」スッ…

少女「終わりだああぁぁ!!」ズバアァァァン

人影「………オオオォォォォ……」ゴゴゴゴゴ…


 私の渾身の一撃がとどめとなり、人影は低い呻き声をあげながら消えていった。
 どうやら斃すことができたらしい。

少女「……終わった、かな…」

少女「…はぁ……」ヘナ

 気の抜けた私はその場にへたり込んでいた
 勝利はしたが、嬉しくはない。
 むしろ戦いが終わって湧き上がってきたものは、圧倒的な疲労感だった。
 立ち上がることすら億劫にさせるそれに、私は辟易とする。

少女「…腕…折れちゃった……まぁ、すぐ治るか…」

少女「………帰ろ…」

 私は重い身体を持ち上げ、住んでいるアパートへ向けて踵を返した。

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