モバP「かな子、ちょっとこっちきなさい」かな子「?」 (25)

かな子「どうかしましたか?」トコトコ

P「……」

かな子「え……あの……」

P「うーむ……」

かな子「どうかしたんですか? さっきからずっとその紙を見てますけど……」

P「かな子、今日の昼は何食べた?」

かな子「え? ええと、まゆちゃんとスパゲティを……」

P「朝は?」

かな子「ご飯と鮭とお味噌汁でした」

P「昨日の夜」

かな子「えっと、サラダとスープでした」ウーン

P「昨日の間食は?」

かな子「おやつの時間に、ケーキをホールの六分の一だけ」

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P「ちなみに今日の間食の予定は?」

かな子「おやつですか? あ、今日はドーナツを買ってきたので、Pさんもいっしょに食べませんか?」

P「ぜひいただこう。一人何個?」

かな子「二つのつもりで買ってきましたけど……」

P「かな子の分は? 二十?」

かな子「わ、私もみんなといっしょですよっ」

P「足りるのか? 無理はよくないぞ」

かな子「それでもそんなに食べられませんよ、いろんな意味で……」

P「ふむ、聞いてる限り、健康的な食生活してるみたいだな」ウンウン

かな子「はい、最近は体形の維持に気を使ってて」エヘヘ

P「……ちなみにこれは、昨日の定期身体測定の結果だ、体重も書いてある」ヒラヒラ

かな子「え゛」

P「……呼んだ理由は察せるな?」

かな子「も、もしかして、私、また太」ガクガク


P「やせすぎ、もっと食べて」


かな子「ええ!?」

P「先月から1kgも減ってる、これはゆゆしき事態だぞ……!」

かな子「聞き間違いじゃないですよね。減ってるのに駄目なんですか……」

P「朝昼は普通に食べて、夜は軽く、間食はおやつの時間にごく普通の量だけ……正気か?」

かな子「正気を疑われるほど!?」ガーン

P「おやつにドーナツを二十個食って深夜にホールケーキ貪っていたかな子はどこにいってしまったんだ……」

かな子「流石にそんなに食べられた時期はないですよ! おやつにワンホールくらいですっ」

P「普通の人間はおやつにワンホールケーキ食うのも苦行レベルだけどな」

かな子「う゛」

P「とにかくだ、体重が減ってるから、増やせ、肥えろ」

かな子「うぇぇ、別に、他の子たちより軽いわけじゃないですよね?」

P「まあ、俺の担当で50kg台かな子だけだけど」

かな子「ですよね……あらためて聞くとへこむなぁ」ズーン

P「あいつらはあいつらで軽すぎだからそこは気にしなくていい。しかし、このままだとかな子も40kg台に突入しそうだ」

かな子「い、一応そこ目指して頑張ってましたからっ」

P「最近ほどよく細くなって、かな子が一層可愛くなったという書き込みがSNSなんかで増えてる」

かな子「そうなんですか? えへへ、うれしいなぁ♪」

P「でも俺かな子は太ましい方が好きだから、もっと食べて」

かな子「Pさんの好みじゃないですか!」

P「一般受けなんぞくそくらえ」

かな子「ぷ、プロデューサーやってる人のセリフじゃない!?」

P「かな子はやせててもぷにょふわでも可愛い、だから食え。かな子可愛い」

かな子「か、可愛いですか? えへへ……/// ってごまかされませんよっ」

P「アニメ1期9話の時のような太さを取り戻してくれ!」

かな子「あれは本当に許しません」フッ…

P「かな子、ハイライトハイライト」

P「まあ、無理しない程度に頑張ってるみたいだし、極端に減りすぎない限り、体形管理はかな子自身に任せよう」

かな子「あ、ありがとうございます……?」ウーン

P「あ、特に他意はないけど今日ケーキバイキング連れてってやるよ、明日も明後日も」

かな子「全力で太らせようとしている!?」

P「都内中の名店を調べ上げといてやるからな」グッ

かな子「そんなところで本気を出さないでください……それに、Pさんとケーキバイキングは嬉しいですけど、そんなに何回もお金出してもらうのは申し訳ないですよ」

P「そんなことか。気にしなくていいぞ、かな子のおやつ代には事務所の予算が組まれてる」

かな子「そ、そうだったんですか?」

P「ん、これ今月の予算」ガサッ


──────────
こんげつのよさん


かな子のカロリー 0.6天井

菜々さん・心さん用の湿布 0.2天井

Pの家の鍵交換代 1天井

茄子の宝くじ購入費用 3天井

茄子の競馬費用 3天井

茄子の競艇費用 3天井

責任者 千川ちひろ
──────────


かな子「ほ、ほんとだ……でもお金の単位がなんか変……」

P「最近天井換算でしか金額が測れなくてなあ」シミジミ

かな子「えぇ……ていうか茄子さんに全振りしすぎじゃないですか予算!」

P「うちの重要な収入源だからなぁ」

かな子「いろいろ大丈夫なんですか、この事務所……」

P「その辺はちひろさんがうまくやるだろう。なんにせよお金の心配はしなくていい」

かな子「うぅ、逃げ道が……」


P「さっきも言った通り、自己管理に任せるから、無理にとは言わんさ。やせたきゃやせればいい……だがまあ、問題はかな子だけじゃないんだよなぁ」

かな子「私だけじゃない? どういうことですか?」

P「かな子お前、食う量は減ったが、お菓子作りをやめたわけじゃないだろう?」

かな子「は、はい。作るだけなら問題ないかなーと」

P「作ってきたものは、事務所で配ってるよな?」

かな子「そうですね、Pさんと、まゆちゃんたちと、ちひろさんとか、たまにお仕事でいっしょになった他の事務所のアイドルの人たちにもおすそ分けしてます」

P「そうだよな、俺もみんなもかな子のお菓子は全部美味しくいただいてるし、楽しみにしてる」

かな子「えへへ、ありがとうございます///」

P「そしてみんな太くなった」

かな子「あー……」


P「かな子が食わなくなった分、俺たちの取り分が増えたわけだな。順当にかな子以外のアイドルの体重が増加してる」

かな子「Pさん的にはその方がうれしいんじゃないですか?」

P「いや、特別太ってほしいのはかな子だけだから」

かな子「嫌な特別ですね……」

P「まず一番影響が大きかったのは菜々さんだな、脅威の(ミミミン)kg増加」

かな子「そ、そんなにですか!? 菜々さん、別にそこまで食べてたわけじゃないのに……」

P「……17歳になるとな、ちょっと食べるだけですぐ身体についちゃうんだよ」トオイメ

かな子「あっ……」


P「体重は落ちにくくなるし、クリームで胸焼けするし、チョコ食いすぎると肌に出てくるし、17歳は大変なんだよ」

かな子「17歳って怖いんですね……」

P「だからこそ17歳なりの自己管理が必要だったわけだが、その辺は油断した菜々さんにも責任はあるな」

かな子「ごめんなさい、菜々さん……」

P「似たような理由で心さんも体重増加だ。これ以上増えるようなら『ダイエットちゅう』『ぼんっ、きゅっ、ぼんっ♪』とかいうふざけた体重とスリーサイズを最新の数値に差し替えることになると伝えたら涙目で走っていった」

かな子「心さん……」

P「まゆも増えてたし、まゆ曰く俺も増えてるらしいし、ちひろさんも最近青い顔してるし、茄子はプラマイゼロだし」

かな子「茄子さんなんかずるくないですか!?」


P「茄子は大概超人じみてるからな」

かな子「私、茄子さんみたいな体形になりたかったです……」

P「そうなったらケーキバイキングは一日二回だな」

かな子「あくまで私を太らせるつもりなんですね」

P「とにかく、かな子のダイエットと俺の嗜好と事務所へのダメージを鑑みて、妥協案が必要だ」

かな子「Pさんの嗜好はあまり鑑みたくないんですけど」

P「もし死ぬことがあったならかな子の胸と太ももで顔を挟まれながら息絶えたいという俺の願望を鑑みてだ」

かな子「その願望はできれば聞きたくなかったですけど、ていうかなんで言っちゃったんですか……」


P「妥協案として、おやつの量の配分をこっちで決めさせてもらう」

かな子「ど、どういうことですか?」

P「かな子が持ってきたお菓子を、俺の裁量でまずまゆや菜々さんたちに太らない量だけ分配する。残った分をかな子が食う、以上だ」

かな子「えーと……?」

P「こうすれば他のアイドルは太らないし、かな子はたくさん食える。おやつ以外は特に何も言わないから、どうしてもというなら朝昼晩の三食で調整してダイエットしても構わん」

かな子「それでいいんですか?」

P「ん、まあ真面目な話、かな子以外の体重増加が深刻だったわけだから、そこさえ解決すれば俺がトレーナーさんに怒られることもなくなる」

かな子「Pさんの嗜好はくそどうでもいいですもんね……」

P「くそどうでもいいとか言うなや」


かな子「でも、そういうことならわかりました。私の趣味のせいで、みんなに迷惑かけちゃうのはよくないですよね」

P「あいつらがかな子のお菓子を迷惑に思ってたなんてことはないから、それは覚えとけなー」

かな子「もちろん、わかってますよ」

P「じゃ、そういうことで。今日のおやつからこのシステムな」

かな子「はいっ」

P「いやぁ、今日のおやつが楽しみだなぁ」

かな子「ふふっ、そうですねっ」


(──午後三時)

P「はい、かな子、あーん」

かな子「あ、あーん////」モグモグ

P「たくさんあるからな、ゆっくり食え」

かな子「うーん、どうしてこんなことに……?」モグモグ

P「どうしてだろうなぁ。……ドーナツはやっぱりオールドファッションだと思わない?」

かな子「チョコレートやクリームも美味しいですよ?」モグモグ

まゆ「Pさん、まゆもまゆも」

茄子「Pさん、茄子も茄子も♪」

P「美味いか?」

かな子「……はい、美味しいですっ」ニコッ

P「可愛い」

まゆ「Pさん、まゆにもあーんしてください」グイグイ

茄子「私にもお願いしますっ」グイグイ


心「……菜々パイセン、なんすかアレ」モグモグ

菜々「かな子ちゃんがちゃんと全部食べるように、監視のつもりらしいですよ」モグモグ

心「いやいや、アレそういうんじゃねーだろ☆ 完全に餌付け楽しんでる顔だぞ」

菜々「かな子ちゃんは誰より美味しそうに食べますから、それを見るのが楽しいんじゃないですか」

心「めんどくせーなうちのプロデューサー☆」

菜々「否定はしませんけど」

心「ところでパイセン、体重の方は……」

菜々「シンデレラガールになってからゲロ吐くほど忙しいせいでだいぶ減りましたよ。まだもとには戻ってませんけど……」

心「はぁともスウィーティ―地獄の特訓でなんとか『ぼん、きゅっ、ぼん』は死守できそう☆」

菜々「スウィーティーなのか地獄なのかどっちですか……」

心「ほんと、増えやすくなったのに落ちにくくなったよあ、体重☆」

心菜々「「……はぁ」」

終わりです
前作は

モバP「ただいま……」まゆ「おかえりなさい、Pさん♪」

モバP「さく……何?」まゆ「さくマジックです♪」

よければそちらもよろしくお願いします

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