モバP「はい、チケット」

朋「ありがと！」

朋「悪いわね、お金まで出してもらっちゃって」

朋「あとでなんかおごるわ」

モバP「別にいいよ」

モバP「……で、タイミングがよかったみたいで、そろそろ来るそうだ」

朋「ほんと！」

朋「えへへっ、今日ちょっと運がいいかも！」

モバP「かもな」

モバP「……朋はロープウェイに乗ったことってあるのか？」

朋「んー……乗ったことはあるらしいんだけど……」

朋「記憶にはないのよね」

モバP「あー、小さいころに乗ったってやつか」

朋「そうそう」

朋「お父さんとお母さんに連れられて乗ったことはあるらしいんだけど……ぜんぜん覚えてないわ」

朋「だから、今日はそれも楽しみなの！」

朋「あの時の景色は綺麗だったって二人とも言ってたしね」

モバP「……意外だな」

モバP「朋のことだから、もっと乗ってるのかと思ってたよ」

朋「どういうこと？」

モバP「山の上にパワースポットって珍しくなさそうだからさ」

モバP「今までもロープウェイに乗ってそういうとこまでいったりしてたのかなって」

朋「あー」

朋「……ロープウェイに乗るより、最初から山登る方がパワーもらえそうじゃない？」

モバP「……なるほど」

朋「今回は明日もレッスンがあるし、あんまり疲れないようにしようと思ってね」

モバP「……ってことで、初めてのロープウェイか」

朋「そういうこと」

朋「……あ、プロデューサー！　もういけるみたいよ！」

モバP「おう」

朋「いっちばんのり～♪」

朋「で、端ゲット！」

モバP「……」

朋「な、何よプロデューサー」

モバP「いや、いつもの朋だなって」

朋「どういう意味よ」

モバP「悪い意味じゃない」

モバP「……ほら、動くぞ」

朋「……きゃっ！」ｶﾞｸｯ

朋「……結構揺れるのね」

モバP「すぐに気にならなくなるぞ」

モバP「ほら、外見てみな」

朋「ん……わぁ！」

朋「すごーい……綺麗……」

モバP「気にならなくなるだろ？」

朋「うん……」

朋「……遠くの空も……山も……わっ、街も見える！」

朋「あははっ、すごーいっ！」

朋「ね、プロデューサー！　もっと高くなったらもっといろんなものが見えるかしら？」

モバP「見えるだろうな」

モバP「……でも、遠くばかりじゃなくて近くも見てみな」

モバP「ほら、あそこ、鹿がいるぞ」

朋「鹿？　どこ――」

モバP「あっちのほうだよ」

朋「――」

モバP「……朋？」

朋「――結構、高いのね」

モバP「そりゃ、山頂に向かってるんだからな」

朋「……」

モバP「朋？」

朋「ま、まだ上がる……上がるのよね……？」

モバP「……もしかして、怖いのか？」

朋「平気よ！　ぜんぜん怖くないしっ！」

モバP「そうか」

朋「そうよ！」

朋「むしろどんと来いって感じ！」

モバP「ふーん」

朋「さすがは最高のパワースポットね……そう楽々とたどり着かせてくれては――」

モバP「――わっ！」

朋「きゃあぁっ！？」ﾋﾞｸｯ

朋「ちょっ、こっ、あっ、ああ、あんた、あんたねぇ！？」

モバP「いや、すまん。さすがにそこまでびっくりするとは思わなかった」

朋「もうっ！　こういうことされたらびっくりするでしょ！」

朋「どうしてくれんのよ！　すっごい心臓がばくばく言ってるわ！」

モバP「ははっ、悪い悪い」

朋「はぁ……はぁ……」

朋「……ふぅ」

朋「……もう揺らさないでよ？」

モバP「わかったわかった」

モバP「……しかし、そんなに高いところが苦手だったんだな」

朋「あたしもびっくりよ……それこそ観覧車なんかは怖くないのに」

朋「……つるされてるわけじゃないからかな？

モバP（そういう問題なのか）

朋「……うー……あー」

朋「もう、いろいろ気になり始めちゃったじゃない……」

朋「風の揺れも感じるし……きゅ、急に止まったりしないわよね？」

モバP「大丈夫だ」

朋「それに、床が抜けたり……ゴンドラが落ちたりしたら……」

モバP「心配しすぎだって」

朋「そうは言っても……あ、あんたがさっき揺らしたから……！」

モバP「悪かった悪かった……怖くないって言ってたし、少し驚くくらいですむかなって思ってな」

朋「あんなの強がりに決まってるでしょ！」

モバP「自分で言うのか」

朋「もう……本当に怖かったんだから」

朋「……だから……ほら、そのお詫びというか……」

モバP「ん？」

朋「……手、繋いでもいい？」

モバP「……はいよ」

朋「ありがと……」ｷﾞｭｯ

朋「……不思議ね」

朋「さっきあたしをあんなに脅かした最低のプロデューサーなのに」

朋「あんたの手、握ってると落ち着くわ」

モバP「……そうか」

朋「……」

モバP「……落ち着いたなら、もっかい下見てみたらどうだ？」

朋「……もう脅かさない？」

モバP「脅かさない……ほら、また鹿が見えたぞ」

朋「うん……どこ？」

モバP「あっちだあっち」

朋「……あっ！」

朋「いた！　いたわ、プロデューサー！」

朋「……でも遠いわね。もっと近くで見れないかしら？」

モバP「携帯で拡大してみるとか？」

朋「いいかも！」

朋「あ、でも、手……」

モバP「はずすか？」

朋「……うん、落ち着いたからもう大丈夫」ﾊﾟｯ

朋「……よし！」

朋「それじゃ、あの鹿を――」

モバP「うわっ、突風か！？」ｸﾞﾗｯ

朋「――きゃあぁっ！？」ｷﾞｭｯ

モバP「おっと。大丈夫か、朋？」

朋「はぁ……はぁ……」

朋「……うん、大丈夫」

朋「……」

朋「……鹿はあきらめるから、やっぱずっと手を握ってて」ｷﾞｭｯ

モバP「了解」

朋「……」

朋「……やっぱりあんたの手は落ち着くわ」

朋「なんでかしらね……あったかいからかな？」

モバP「さあな」

朋「……ふふ」

朋「ちょうどいいわ、パワープロデューサーからも今のうちに力いっぱいもらっちゃお」

モバP「なんだ、パワープロデューサーって」

朋「ほら、あんたってパワースポットみたいにたくさんの運気をくれるからさ」

朋「だからパワープロデューサー」

モバP「……」

朋「……やっぱあんたが一緒に来てくれてよかったわ」

朋「あたし一人だとこのロープウェイの試練は乗り越えられなかったもの」

モバP「大げさだな」

朋「そんなことないわよ」

朋「あんたがいるからあたしのドキドキは心地いいドキドキに変わってるんだから……」

モバP「……そうか」

朋「うん……」

朋「……あっ、へ、変な意味じゃないからね！」

朋「別にほら……そういう意味じゃなくって！」

朋「あたし一人だとずっとびくびくしてたけど、あんたがいたから落ち着けるってだけだから！」

モバP「お、おう」

朋「……」

モバP「……」

朋「……あっ、ほら、プロデューサー。ロープウェイの入り口、もうあんなに離れちゃったわ！」

モバP「おお、本当だな！」

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～


朋「んーっ、ついたーっ！」

モバP「お疲れ様。大変だったな」

朋「本当に大変だったわ」

朋「……でももうここからはウイニングランよ！」

モバP「あれ、まだゴールじゃないのか？」

朋「山頂はもうちょっと先にあるの」

朋「そこに小さな社があってね。それがパワースポットなの」

モバP「なるほど」

朋「……でも、ちょっと休ませて」

朋「ほら、あそこにベンチあるからちょっと座ってきましょ」

モバP「本当に疲れたんだな……」

朋「あんたが驚かさなきゃ今の半分くらいの疲れですんでたけどね」

朋「ふぅ……」

朋「……風が気持ちいいわ」

朋「さっきはあんなに吹くなーって思ってたのに」

モバP「ははっ」

モバP「……まあ、下も暑くなってきたしな」

モバP「山の上はちょうどいい気候かもしれないな」

朋「うん……」

朋「……なんだか空気も美味しい気がするし」

朋「ふふ、気分転換としてもちょうどよかったわね」

モバP「そうか……」

モバP「……大変か？」

朋「何が？」

モバP「今のレッスン」

モバP「……今までとはまったく違うだろ？」

朋「そうね……あんたがあの企画持ってきたときはびっくりしたわ」

モバP「そうだよな……今までの朋のイメージとはぜんぜん違うし」

モバP「……でも、そういう朋を見せてみたかったんだ」

朋「……うん」

朋「心配しないでも大丈夫。ちょっと大変だけど平気よ」

朋「……あんただって、できると思ったから持ってきたんでしょ？」

モバP「もちろん」

朋「じゃあ、大丈夫よ。あんたのお墨付きなんだもん！」

モバP「……そうか」

モバP「ありがとう」

朋「なんであんたがお礼言うのよ、ふふっ」

朋「……ま、あたしだけじゃできなかったかもしれないけどね」

朋「だからこうやってパワースポットのご利益をもらいに来てるんだし」

モバP「……ははっ、そうだったな」

朋「……よしっ！　あたしの元気回復っ！」

朋「あんたは？」

モバP「行けるぞ」

朋「ん！　それじゃいきましょっ！」

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モバP「はぁ……はぁ……」

朋「はぁ……はぁ……」

朋「……あっ！」

朋「ついた、山頂よ！」

モバP「おお、ようやくか……」

モバP「ふぅ……」

朋「……ふふ、お疲れ様」

朋「あんたって体力ないのね」

モバP「昔はもっとあったはずなんだけどな……」

朋「あたしと一緒にレッスンする？」

モバP「……考えとくよ」

モバP「それより……ほら」

朋「うん！」

朋「えーっとこのお社よね」

朋「うん……いかにもパワーがあるってたたずまいね」

朋「それじゃ、まずは……」

朋「……」ﾁｬﾘﾝ

朋「……」ﾍﾟｺﾘﾍﾟｺﾘ

朋「……」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

朋「……」ﾍﾟｺﾘ

朋「……」

モバP（……お参りか）

モバP（せっかくだ、俺もやっておくか）

モバP（……）

モバP（……よし）

モバP（さて、朋は……？）

朋「……」

モバP（……まだ礼してるのか）

朋「……」

朋「……よしっ！」

モバP「お願いごと、終わったか？」

朋「うん！」

朋「……あんたも隣でしてたわね？」

モバP「ああ。折角だからな」

朋「どんなお願いごと？」

モバP「次の朋のステージが成功しますように、ってな」

モバP「朋は？」

朋「あたしも似たような感じよ」

朋「次のステージは絶対成功させたいから、力を貸してください、ってね」

モバP「……それで、ずっと礼の形で止まってたんだな」

朋「うん。いっぱい力借りたいし！」

朋「……もうちょっとだけ力を借りてこうかな？」ﾊﾞｯ

モバP「……仁王立ちしてどうした？」

朋「いや、こうしたらもっといっぱい力もらえるかなって」

朋「ん～……！」

モバP「……」

モバP「……」ﾊﾟｼｬ

朋「あ、ちょっと写真取らないでよ！　恥ずかしいんだから！」

モバP「恥ずかしいとは思ってたのか」

朋「……よし！　たくさんもらえた！　これでもう大丈夫ね！」

モバP「満足か？」

朋「うん！」

モバP「ならよかった」

モバP「それじゃ、戻るか……」

朋「……あ！　ちょっと待って！」

モバP「ん？」

朋「折角だから、一番高いところまで行ってくる！」

モバP「……山頂には着いてるぞ？」

朋「山頂の一番高いところよ！」

朋「ほら、あの岩の上！」

モバP「……大丈夫か？」

朋「大丈夫大丈夫！　ちょっと登って来るわね！」

モバP「……」

朋「そんな心配そうな目で見ないの、ほんとに大丈夫だから！」

朋「よい……しょっと！」

朋「ほら、てっぺんよ！」

モバP「ああ」

モバP「……足を滑らすなよ？」

朋「だーいじょーうぶっ！」

朋「ふふっ、てっぺんのてっぺんね！」

朋「どこを見てもあたしより低いものしかないの！」

朋「見下ろす景色って素敵ね！」

朋「えへへっ、今の私より高いものなんて何も無いわ！」

モバP「あっちの方にたぶん富士山があるぞ」

朋「あんたねぇ……」

朋「……じゃあ、あんたが連れてってよ。あたしをてっぺんに」

モバP「ん？」

朋「あたしだってどうせ立つなら本当のてっぺんに立ちたいわよ」

朋「ここでこんなに気持ちいいんだもん。きっともっと上はもっと気持ちいいはずだしっ！」

朋「……アイドルと同じでね」

モバP「！」

朋「初めての主役のステージ……すっごい楽しみなの」

朋「緊張もたくさんしてる……不安もいっぱいある……」

朋「それでも、楽しみで楽しみで仕方ないのよ」

朋「どんな景色なんだろう……っていっぱい想像してるわ」

朋「でも、きっとそこに立ったときはそれを超えるような素敵な景色が待ってる……」

朋「……ここに立つ前のあたしみたいにね」

朋「この主役のステージって、間違いなくてっぺんのひとつだもん」

朋「……でも、てっぺんのてっぺんはもっと先にある……でしょ？」

モバP「……」

朋「だからさ、プロデューサー」

朋「あたしを連れてって」

モバP「……」

モバP「……次のロケ、富士山にでも登るか？」

朋「そういう意味じゃないわよ！」

モバP「ははっ、冗談だよ」

モバP「もちろん、連れてくさ……富士山の上にだって……何ならエベレストの上にでも行くか？」

朋「宇宙から見たらぜんぜんてっぺんじゃないわよ」

モバP「お前な……」

朋「あんただって似たようなこと言ったでしょ、仕返しよ仕返し」

モバP「……わかった」

モバP「そんなに言うなら宇宙の果てまで連れてってやろうじゃないか！」

モバP「いや違うな……宇宙を見下ろせるくらいの遥かな高みまで！」

朋「あははっ！　どこよそれっ！」

モバP「さあな」

モバP「……でも絶対連れてくからな」

モバP「朋より高いものは何もない高みまで、一緒に行こう。約束だ」

朋「うん、約束！」

朋「信じてるわ、あんたって約束は絶対守ってくれるし」

朋「……ふふっ、これからもあたしが満足するような未来を見せてよね、プロデューサー♪」





おしまい

ちょっと遅くなったけど朋イベお疲れ様でした。
ずっと待ってたクール100%な朋ちゃん見れたし、2枚取れたし、最後の最後でフォーチュンテリングと藤居朋がそれぞれボスできたのがめっちゃ嬉しかったので最高でした。


誤字脱字、コレジャナイ感はすいません。読んでくださった方ありがとうございました